JPH09290506A - インクジェットヘッド及びインクジェットヘッド用振動板の製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッド及びインクジェットヘッド用振動板の製造方法

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JPH09290506A
JPH09290506A JP10595996A JP10595996A JPH09290506A JP H09290506 A JPH09290506 A JP H09290506A JP 10595996 A JP10595996 A JP 10595996A JP 10595996 A JP10595996 A JP 10595996A JP H09290506 A JPH09290506 A JP H09290506A
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ink jet
jet head
diaphragm
conversion element
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JP10595996A
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English (en)
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Kunio Ikeda
邦夫 池田
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 振動板の信頼性が十分でない。 【解決手段】 振動板12は、駆動部7の変位で変形可
能な金属材料からなる薄膜の第1層53に金属材料から
なる厚膜の第2層54が一体的に積層され、この第2層
54のみが選択的にエッチングされて、駆動部7に対応
する独立した島状凸部12aと、この島状凸部12aの
周囲に位置して駆動部7の変位で変形するダイヤフラム
部11と、このダイヤフラム部11の周囲に位置する厚
肉部12bが形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットヘ
ッド及びインクジェットヘッド用振動板の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録装置は、記録時の振
動、騒音が殆どなく、特にカラー化が容易なことから、
コンピュータ等のデジタル処理装置のデータを出力する
プリンタの他、ファクシミリやコピー機等にも用いられ
るようになっている。このようなインクジェット記録装
置に用いられるインクジェットヘッドとして、アクチュ
エータ素子として圧電素子等の電気機械変換素子で振動
板を介して加圧液室を加圧し、この加圧液室に連通した
ノズルからインクを液滴化して噴射させる所謂ピエゾア
クチュエータ方式のものがある。
【0003】このようなインクジェットヘッドの振動板
及びその製造方法としては、例えば 特開平6−143573号公報に記載されているよう
に、写真製版技術(フォトリソグラフィ)とNiメッキ
・電鋳工法を用いてダイアフラム部と島状凸部を有する
振動板を形成したもの、特開平6−346271号公
報に記載されているように写真製版技術(フォトリソグ
ラフィ)とNiメッキ・電鋳工法を用いて第一Ni層と
第二Ni層からなる振動板を形成する場合に、第一Ni
層は光沢剤を添加しない無光沢Niで形成するようにし
たもの、特開昭61−255863号公報に記載され
ているように金属薄膜層、接着剤層、有機フィルム層の
三層からなる構成部材の金属薄膜層をフォトエッチング
で選択的に除去してダイアフラム部と島状凸部等を形成
するようにしたものなどが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たの写真製版技術(フォトリソグラフィ)とNiメッ
キ・電鋳工法であるフォトエレクトロフォーミング法で
振動板を製造する場合、ダイヤフラム部となる第1層の
Ni薄膜上にレジストを塗布し、露光、現像で開口した
微小部分に第2層のNiメッキをして島状凸部と厚肉剛
体部を形成する(これは、レジスト開口にメッキを積み
上げる工法であるので、「リフトオフ法」とも言え
る。)が、フォトリソ工程での有機レジスト膜コーティ
ング、乾燥・焼き付け、熱酸化、レジスト残さなど、再
メッキ面の酸化、表面汚染による第2層の剥離が生じや
すく、メッキ密着信頼性が悪くなる。
【0005】しかも、第1層のNi薄膜層の表面に、第
2層を形成するための有機レジストパターンを付与した
状態で、レジストの浮きや剥離、第1層のNi薄膜層の
破損のないNi活性化処理を行なう場合に、使用する薬
品、処理法、処理条件などに種々の制約があるため、メ
ッキ密着の信頼性を向上する表面処理を施すことが困難
である。特にフォトリソ工程で、有機系コンタミ、密着
性を阻害する金属酸化膜などが単分子層レベルでも形成
されると、メッキは可能でも密着信頼性が得られないこ
とは実験で容易に検証された。
【0006】このようにリフトオフ法は、メッキ密着安
定性の点で工程管理上のバラツキが大きい工法である。
また、第1層のNi薄膜はメッキで形成するために、島
状凸部のもととなる多数のレジストパターンを付与した
状態で第2層をメッキするので、平板とは違ったNi厚
さ分布を持つことになり、島状凸部の厚さ、即ち振動板
としての高さ寸法を保つためには、メッキ時の陰極電流
密度が1A/dm2レベルという低電流密度での電析と
なり、製作に時間がかかり、歩留りの点からも生産性が
悪い。
【0007】また、の工法及び振動板は、上述した
の工法のメッキ密着性を改善しようとするものである
が、リフトオフ工法であることにかわりはなく、メッキ
密着性が十分でない。さらに、の工法及び振動板は、
上述したと異なり島状凸部の密着性の信頼性は向上
するが、弾性体(ダイヤフラム)が接着剤層と有機フィ
ルム層の二層からなるために薄肉化が難しく、ダイヤフ
ラム部面積の狭小化が困難で高集積化を図ることができ
ない。
【0008】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、振動板の信頼性を向上することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、請求項1のインクジェットヘッドは、電気機械変換
素子で振動板を介して加圧液室を加圧し、前記加圧液室
に連通するノズルからインク滴を吐出するインクジェッ
トヘッドにおいて、前記振動板は、前記電気機械変換素
子の変位で変形可能な金属材料からなる薄膜の第1層に
金属材料からなる厚膜の第2層が一体的に積層され、こ
の第2層のみが選択的にエッチングされて、前記電気機
械変換素子に対応する独立した島状凸部と、この島状凸
部の周囲に位置して前記電気機械変換素子の変位で変形
するダイヤフラム部と、このダイヤフラム部の周囲に位
置する厚肉部が形成されている構成とした。
【0010】請求項2のインクジェットヘッドは、上記
請求項1のインクジェットヘッドにおいて、前記第1層
と第2層のエッチング性が異なる構成とした。
【0011】請求項3のインクジェットヘッドは、上記
請求項2のインクジェットヘッドにおいて、前記第1層
がニッケル又はその合金からなり、第2層がアルカリ性
エッチング液で腐食可能な金属材料からなる構成とし
た。
【0012】請求項4のインクジェットヘッドは、上記
請求項1乃至3のいずれかのインクジェットヘッドにお
いて、前記第1層及び/又は第2層が複層構造をなす構
成とした。
【0013】請求項5のインクジェットヘッドは、上記
請求項4のインクジェットヘッドにおいて、前記第1層
がNi−Ni、Ni−Ni−Ni、Ni−Cu−Ni、
Ni−Pb・Sn、Ni−Snのうちのいずれかの複層
構造をなす構成とした。
【0014】請求項6のインクジェットヘッドは、電気
機械変換素子で振動板を介して加圧液室を加圧し、前記
加圧液室に連通するノズルからインク滴を吐出するイン
クジェットヘッドにおいて、前記振動板は、前記電気機
械変換素子の変位で変形可能な薄膜からなる薄膜部材上
にシルク印刷で前記電気機械変換素子に対応する独立し
た島状凸部及びその周囲の厚肉剛体部を形成してなる構
成とした。
【0015】請求項7のインクジェットヘッド用振動板
の製造方法は、電気機械変換素子で振動板を介して加圧
液室を加圧し、前記加圧液室に連通するノズルからイン
ク滴を吐出するインクジェットヘッドにおいて、金属材
料からなる薄膜部材上に金属材料からなる厚膜部材を一
体的に積層してなる出発材料を形成した後、この出発材
料の厚膜部材のみを選択的にエッチングして、前記電気
機械変換素子に対応する独立した島状凸部と、この島状
凸部の周囲に位置して前記電気機械変換素子の変位で変
形するダイヤフラム部と、このダイヤフラム部の周囲に
位置する厚肉部を形成する構成とした。
【0016】請求項8のインクジェットヘッド用振動板
は、上記請求項7のインクジェットヘッド用振動板の製
造方法において、前記出発材料の薄膜部材と厚膜部材と
はエッチング性が異なる構成とした。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。図1は本発明を適用したイン
クジェットヘッドの一例を示す外観斜視図、図2は同イ
ンクジェットヘッドの分解斜視図、図3は図1のA−A
線に沿う要部拡大断面図、図4は図1のB−B線に沿う
要部拡大断面図である。
【0018】このインクジェットヘッドは、アクチュエ
ータユニット1と、このアクチュエータユニット1上に
接合した液室ユニット2とからなる。アクチュエータユ
ニット1は、絶縁性の基板3上に2つの積層型圧電素子
4,4と、これら2列の圧電素子4,4の周囲を取り囲
む絶縁性材料からなるフレーム5を接着剤6によって接
合している。圧電素子4は、インクを液滴化して飛翔さ
せるための駆動パルスが与えられる複数のアクチュエー
タ素子となる駆動部7,7…と、これらの駆動部7,7
間に位置して、駆動パルスが与えられない支柱部となる
複数の非駆動部8,8…とを交互に配置してなる。
【0019】液室ユニット2は、ダイアフラム部11を
有する振動板12上に感光性樹脂フィルム(ドライフィ
ルムレジスト)で形成した流路形成部となる第1感光性
樹脂層13、第2感光性樹脂層14、第3感光性樹脂層
15及びノズル孔16を有するノズル形成部材であるノ
ズルプレート17を順次積層して各駆動部7,7…に対
応するインク流路である複数の加圧液室18,18…、
各加圧液室18,18…にインクを供給するインク流路
である複数の共通液室(共通インク流路)19,19、
共通液室19と加圧液室18を連通するインク供給路を
なすインク流路である流体抵抗部20,20をそれぞれ
形成している。この液室ユニット2はアクチュエータユ
ニット1に接合剤21で強固に接合している。
【0020】ここで、アクチュエータユニット1の基板
3は、厚さ0.5〜5mm程度で、しかも圧電素子に似た
材質のものからなり、圧電素子と共に例えばダイヤモン
ド砥石による切削が可能なものであることが好ましく、
この実施例ではセラミックス基板を用いている。また、
基板3の圧電素子4,4間には駆動部7の配列方向に沿
って溝25を形成している。
【0021】圧電素子4は、図3及び図4に示すように
積層型圧電素子からなり、厚さ20〜50μm/1層の
PZT(=Pb(Zr・Ti)O3)27と、厚さ数μm/
1層の銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電極2
8とを交互に積層したものである。圧電素子を、厚さ2
0〜50μm/1層の積層型とすることによって駆動電
圧の低電圧化を図れ、例えば20〜50Vのパルス電圧
で圧電素子の電界強度1000V/mmを得ることができ
る。なお、圧電素子として用いる材料は上記に限られる
ものでなく、一般に圧電素子材料として用いられるBa
TiO3、PbTiO3、(NaK)NbO3等の強誘電体など
を用いることもできる。
【0022】この圧電素子4の各内部電極28は1層お
きにAgPdからなる左右の外部電極30,31に接続し
ている。一方、基板3上には、積層型圧電素子4,4間
に位置して駆動部7に対して駆動波形を印加するための
共通電極パターン32を形成すると共に、駆動部7に対
して選択信号を与えるための個別電極パターン33を設
けている。
【0023】そして、各駆動部7の外部電極30を銀ペ
ースト等の導電性接着剤34を介して共通電極パターン
32に接続し、外部電極31を同じく導電性接着剤34
を介して個別電極パターン33に接続している。なお、
共通電極パターン32は基板3の中央部に形成した前記
溝部25表面に形成することで各駆動部7と導通を取る
ようにしている。そして、共通電極パターン32及び個
別電極パターン33にはそれぞれFPCケーブル35を
接続する。
【0024】一方、液室ユニット2の振動板12の詳細
は後述するが、電気機械変換素子である圧電素子4の駆
動部7の変位で変形可能な金属材料からなる薄膜の第1
層に金属材料からなる厚膜の第2層が一体的に積層さ
れ、この第2層のみが選択的にエッチングされて、圧電
素子4の駆動部7に対応する独立した島状凸部12a
と、この島状凸部12aの周囲に位置して圧電素子4の
駆動部7の変位で変形する前記ダイヤフラム部11と、
このダイヤフラム部11の周囲に位置する厚肉剛体部1
2bが形成されている。
【0025】この振動板12のダイアフラム部11は、
最も厚みの薄い領域(薄肉部)であって、厚さを3〜1
0μm程度にしている。また、島状凸部12aは、厚み
の厚い領域であり、駆動部7との接合領域であると共
に、チャンネル方向(図4に示す方向)では厚肉剛体部
となる。厚肉剛体部12bは液室ユニット2をフレーム
5に接合するための領域である。ここでは、島状凸部1
2aと厚肉剛体部12bとは同じ第2層で形成し、例え
ば20μm以上の厚みにしている。
【0026】また、ノズルプレート17にはインク滴を
飛翔させるための微細孔である多数のノズル16を形成
しており、このノズル16の径はインク滴出口側の直径
で35μm以下に形成している。このノズルプレート1
7はエレクトロンフォーミング工法(電鋳)によって製
造したNi(ニッケル)の金属プレートを用いている
が、Si、その他の金属材料を用いることもできる。な
お、実際には、1列32〜64個以上のノズル16を2
列配列した64〜128個以上の構成で1つのインクジ
ェットヘッドを製作するが、この多数のノズル16を有
するノズルプレート17の品質は、インクの滴形状、飛
翔特性を決定し、画像品質に大きな影響を与えるもので
あり、より高品位の画像品質を得る上で表面の均一化処
理が不可欠であるので、インク吐出側面に撥水層17a
を成膜している。
【0027】さらに、基板3、フレーム5及び振動板1
2には、外部から供給されるインクを共通液室20に供
給するためのインク供給孔37,38,39をそれぞれ
形成し、基板3のインク供給孔37に接続したインク供
給パイプ40を介してインクが供給される。
【0028】このインクジェットにおいては、共通電極
パターン32を介して駆動部7に駆動波形を印加し、個
別電極パターン33を介して記録画像に応じた選択信号
を駆動部7に印加することによって、選択された駆動部
7に積層方向の変位が生起して対応する加圧液室18を
振動板12のダイヤフラム8を介して加圧し、これによ
って加圧液室18内のインクが加圧されてノズル16か
らインク滴となって噴射して記録媒体に画像を記録す
る。
【0029】次に、このインクジェットヘッドにおける
振動板12及びその製造方法について図5以降をも参照
して説明する。先ず、図5及び図6を参照して本発明に
係る振動板及びその製造方法の第1実施例について説明
する。図5(a)に示すように電鋳支持基板として導体
化したガラス基板51に、同図(b)に示すように約8
00オングストロームの厚さでNiスパッタして導体膜
52を成膜する。
【0030】その後、同図(c)に示すように、この導
体膜52上にNiメッキで第1層53を形成する。この
第1層53の膜厚は10μmにしている。また、この第
1層53が振動板12のダイヤフラム部11となるので
ピンホール等の欠陥がないようにする。次いで、同図
(d)に示すように、第1層53上にメッキで第2層5
4を形成する。
【0031】この場合、第1層53表面を汚染すると、
第1層53と第2層54のメッキ間で密着不良を発生す
るので、第1層53を形成するNiメッキ後、水洗い工
程を経た後、速やかに第2層54を形成するメッキを施
すことが好ましい。ここでは、第2層54は、ピロ燐酸
銅メッキ浴を用いて20μm厚の銅メッキを施した。そ
して、第2層54が目標とする厚みになった時に通電を
止め、メッキ液中からガラス基板51を取り出すことに
よって、ガラス基板51上にNi−Cuの二層構成から
なる構成材料(出発材料)50を得て、乾燥した。
【0032】ここでは、第1層53を単層膜としている
が、図6に示すように第1−1層53a,第1−2層5
3b,第1−3層53cの3層構造など、複層構造とす
ることもできる。例えば、第1層53の複層構造として
は、例えばNi−Ni、Ni−Ni−Ni、Ni−Cu
−Ni、Ni−Pb・Sn、Ni−Snなどを挙げるこ
とができる。
【0033】このように、第1層53を複層構造にする
ことによって、単層に比べて成膜中の欠陥連続性を中断
することができると共に、新た複合する上層によって最
初のピンホール欠陥を補填することができる。そして、
この場合、Ni層を最下層とすることによって、耐イン
ク性(接液性)を向上することができる。さらに、第1
層にインク接液性の高いNiと耐アルカリエッチャント
性のハンダ、錫メッキを複合させることによって、島状
凸部を形成するときのエッチングで第1層が破損するこ
とを確実に防止できる。
【0034】次に、上述のようにして形成した振動板構
成材料50について、図7(a)に示すように構成材料
50の第2層54上にレジスト55を塗布した後、島状
凸部12a及び厚肉剛性部12bに対応する部分をマス
キングするマスクパターンを用いてレジスト55を露光
し、これを現像する。これによって、同図(b)に示す
ように第2層54上に島状凸部12aに対応する部分5
5a及び厚肉剛性部12bに対応する部分55bが残
り、ダイアフラム部11に対応する部分55cが開口し
たレジストパターンが形成される。
【0035】そこで、同図(c)に示すようにレジスト
パターンの開口部分55cによって露出した第2層54
のみを化学的にエッチングして除去した後、残っている
レジストパターン55を剥離し、ガラス基板51を取り
除くことによって、同図(d)に示すように第1層53
でダイアフラム部11を形成し、第1,第2層53,5
4で島状凸部12a及び厚肉剛体部12bを形成した振
動板12を得る。
【0036】なお、ここでは第2層54の銅メッキを選
択的に除去するエッチング液としてアンモニア性アルカ
リの液を用いたが、シアン系エッチング液でも同様に第
1層53のニッケルを腐食しないで第2層54のみを選
択的にエッチングすることができる。また、エッチング
は第1層53が露出した時点で終了すればよい。また、
ここでは等方性エッチングによっているので、島状凸部
12aの断面形状は山裾状になる。
【0037】また、実際には1枚のガラス基板上に多数
の振動板構成材料を一括してパターニングし、エッチン
グ加工を施して多数個の振動板12を同時に形成する。
【0038】このように、本発明に係る振動板は、電気
機械変換素子の変位で変形可能な金属材料からなる薄膜
の第1層に金属材料からなる厚膜の第2層が一体的に積
層され、この第2層のみが選択的にエッチングされて、
電気機械変換素子に対応する独立した島状凸部と、この
島状凸部の周囲に位置して電気機械変換素子の変位で変
形するダイヤフラム部と、このダイヤフラム部の周囲に
位置する厚肉部が形成されているので、最初に一体的に
所要の厚みを有する振動板構成材料を形成することがで
き、リフトオフ工法と異なってフォトリソ工程でレジス
ト残さ、熱酸化膜の形成、工程コンタミなどの表面汚染
がなく、微小な島状凸部のメッキ層密着性が向上する。
【0039】また、島状凸部を形成するレジストパター
ンのない平板状の振動板構成材料から形成することがで
きるので、陰極電流密度を5〜10A/dm2のレベル
で電析可能で、従来のリフトオフ工法に比べて5〜10
倍の速さで成膜することができる上、全体厚さも1〜2
μmレベルで制御可能であることから、島状凸部の厚さ
(高さ)も1〜2μmレベルに制御することができる。
これによって、振動板を多数面付けしたスケールアップ
時の厚さの均一性を確保でき、歩留りが向上して生産性
も高くなる。
【0040】さらに、振動板の島状凸部とその周囲の厚
肉部との厚さのバラツキが少ないので、ノズル形成部材
と接合するヘッド組立時に平均的にバランス良く押圧で
き、ヘッド内部の熱可塑性高分子レジストパターンの変
形バラツキが低減し、特に、流体抵抗部の変形を一定に
制御できることから、安定したインク噴射特性のインク
ジェットヘッドを得ることができる。
【0041】この場合、エッチング性が異なる第1層と
第2層を用いることで第2層のみの選択的エッチングが
容易になる。また、第1層にニッケル又はその合金を、
第2層にアルカリ性エッチング液で腐食可能な金属材
料、例えば銅を用いることによって、Niより銅の方が
活性化し易く、メッキ層間の密着信頼性が高くなると共
に、耐インク性が優れた振動板を得ることができる。
【0042】また、本発明に係る振動板の製造方法は、
金属材料からなる薄膜部材上に金属材料からなる厚膜部
材を一体的に積層した出発材料(構成材料)を形成した
後、出発材料の厚膜部材のみを選択的にエッチングし
て、電気機械変換素子に対応する独立した島状凸部と、
この島状凸部の周囲に位置して電気機械変換素子の変位
で変形するダイヤフラム部と、このダイヤフラム部の周
囲に位置する厚肉部を形成するので、微小な島状凸部の
メッキ層密着性が向上し、島状凸部の高さ寸法のバラツ
キが少ない振動板を高い生産性で製造することができ
る。この場合、特にエッチング性の異なる薄膜部材と厚
膜部材とを一体的に積層した複合材料を出発材料するこ
とで、より効果的である。
【0043】次に、本発明に係る振動板及びその製造方
法の第2実施例について図8を参照して説明する。この
実施例では、同図(a)に示すように上記第1実施例と
同様、ガラス基板51上に導体膜52を成膜し、この導
体膜52上にNiメッキで第1層53を形成する。その
後、同図(b)に示すように紫外線硬化樹脂やペースト
状ガラスの印刷・焼き付けパターニングをして、島状凸
部12a及び周囲の厚肉部12bをなす第2層54をシ
ルク印刷で成膜した後、同図(c)に示すように基板5
1から剥離する。これにより、第1層53のみの部分が
ダイヤフラム部11となる。
【0044】このように振動板を構成し、製造すること
で、極めて低コストで振動板を製造することができる。
【0045】なお、上記実施例においては、積層型圧電
素子のd33方向の変位を用いて加圧液室を加圧するイ
ンクジェットヘッドについて説明したが、積層型圧電素
子のd31方向の変位を用いて加圧液室を加圧するイン
クジェットヘッド、その他のバイモルフ型圧電素子を用
いるインクジェットヘッドなどにも同様に適用すること
ができる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1のインク
ジェットヘッドによれば、振動板は、電気機械変換素子
の変位で変形可能な金属材料からなる薄膜の第1層に金
属材料からなる厚膜の第2層が一体的に積層され、この
第2層のみが選択的にエッチングされて、電気機械変換
素子に対応する独立した島状凸部と、この島状凸部の周
囲に位置して電気機械変換素子の変位で変形するダイヤ
フラム部と、このダイヤフラム部の周囲に位置する厚肉
部が形成されている構成としたので、ダイヤフラム部と
島状凸部のメッキ密着信頼性が向上すると共に、高い生
産性で製造することが可能になる。
【0047】請求項2のインクジェットヘッドによれ
ば、上記請求項1のインクジェットヘッドにおいて、第
1層と第2層のエッチング性が異なる構成としたので、
第2層のみを選択的にエッチングすることが容易にな
る。
【0048】請求項3のインクジェットヘッドによれ
ば、上記請求項2のインクジェットヘッドにおいて、第
1層がニッケル又はその合金からなり、第2層がアルカ
リ性エッチング液で腐食可能な金属材料からなる構成と
したので、接液性に優れ、かつ生産性が高く、しかもメ
ッキ密着信頼性の高い振動板が得られる。
【0049】請求項4のインクジェットヘッドによれ
ば、上記請求項1乃至3のいずれかのインクジェットヘ
ッドにおいて、第1層及び/又は第2層が複層構造をな
す構成としたので、耐インク性を向上することができ
る。
【0050】請求項5のインクジェットヘッドによれ
ば、上記請求項4のインクジェットヘッドにおいて、第
1層がNi−Ni、Ni−Ni−Ni、Ni−Cu−N
i、Ni−Pb・Sn、Ni−Snのうちのいずれかの
複層構造をなす構成としたので、耐インク性が向上する
と共に、エッチングによる第1層の損傷を確実に防止で
きる。
【0051】請求項6のインクジェットヘッドによれ
ば、電気機械変換素子で振動板を介して加圧液室を加圧
し、加圧液室に連通するノズルからインク滴を吐出する
インクジェットヘッドにおいて、振動板は、電気機械変
換素子の変位で変形可能な薄膜からなる薄膜部材上にシ
ルク印刷で電気機械変換素子に対応する独立した島状凸
部及びその周囲の厚肉剛体部を形成してなる構成とした
ので、極めて低コストで信頼性の高い振動板を得ること
ができる。
【0052】請求項7のインクジェットヘッド用振動板
の製造方法によれば、振動板は、金属材料からなる薄膜
部材上に金属材料からなる厚膜部材を一体的に積層した
出発材料を形成した後、この出発材料の厚膜部材のみを
選択的にエッチングして、電気機械変換素子に対応する
独立した島状凸部と、この島状凸部の周囲に位置して電
気機械変換素子の変位で変形するダイヤフラム部と、こ
のダイヤフラム部の周囲に位置する厚肉部を形成する構
成としたので、ダイヤフラム部と島状凸部のメッキ密着
信頼性が高い振動板を高い生産性で製造することができ
る。
【0053】請求項8のインクジェットヘッド用振動板
によれば、上記請求項7のインクジェットヘッド用振動
板の製造方法において、出発材料の薄膜部材と厚膜部材
とはエッチング性が異なる構成としたので、製造が容易
で、メッキ密着性の信頼性や寸法精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明を適用したインクジェットヘッドの一例を
示す外観斜視図
【図2】同インクジェットヘッドの分解斜視図
【図3】図1のA−A線に沿う要部拡大断面図
【図4】図1のB−B線に沿う要部拡大断面図
【図5】本発明に係る振動板及びその製造方法の第1実
施例のうちの出発材料の説明に供する工程説明図
【図6】同第1実施例の第1層の他の例を説明する説明
【図7】同第1実施例の説明に供する工程説明図
【図8】本発明に係る振動板及びその製造方法の第2実
施例の説明に供する工程説明図
【符号の説明】 1…アクチュエータユニット、2…液室ユニット、3…
フレーム、4…積層型圧電素子、7…駆動部、8…非駆
動部、11…ダイヤフラム部、12…振動板、12a…
島状凸部、12b…厚肉部、13,14,15…感光性
樹脂層、16…ノズル、17…ノズルプレート、50…
出発材料、53…第1層、54…第2層。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気機械変換素子で振動板を介して加圧
    液室を加圧し、前記加圧液室に連通するノズルからイン
    ク滴を吐出するインクジェットヘッドにおいて、前記振
    動板は、前記電気機械変換素子の変位で変形可能な金属
    材料からなる薄膜の第1層に金属材料からなる厚膜の第
    2層が一体的に積層され、この第2層のみが選択的にエ
    ッチングされて、前記電気機械変換素子に対応する独立
    した島状凸部と、この島状凸部の周囲に位置して前記電
    気機械変換素子の変位で変形するダイヤフラム部と、こ
    のダイヤフラム部の周囲に位置する厚肉部が形成されて
    いることを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のインクジェットヘッド
    において、前記第1層と第2層のエッチング性が異なる
    ことを特徴とするインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のインクジェットヘッド
    において、前記第1層がニッケル又はその合金からな
    り、第2層がアルカリ性エッチング液で腐食可能な金属
    材料からなることを特徴とするインクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載のイン
    クジェットヘッドにおいて、前記第1層及び/又は第2
    層が複層構造をなすことを特徴とするインクジェットヘ
    ッド。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のインクジェットヘッド
    において、前記第1層がNi−Ni、Ni−Ni−N
    i、Ni−Cu−Ni、Ni−Pb・Sn、Ni−Sn
    のうちのいずれかの複層構造をなすことを特徴とするイ
    ンクジェットヘッド。
  6. 【請求項6】 電気機械変換素子で振動板を介して加圧
    液室を加圧し、前記加圧液室に連通するノズルからイン
    ク滴を吐出するインクジェットヘッドにおいて、前記振
    動板は、前記電気機械変換素子の変位で変形可能な薄膜
    からなる薄膜部材上にシルク印刷で前記電気機械変換素
    子に対応する独立した島状凸部及びその周囲の厚肉部を
    形成してなることを特徴とするインクジェットヘッド。
  7. 【請求項7】 電気機械変換素子で振動板を介して加圧
    液室を加圧し、前記加圧液室に連通するノズルからイン
    ク滴を吐出するインクジェットヘッドにおいて、金属材
    料からなる薄膜部材上に金属材料からなる厚膜部材を一
    体的に積層してなる出発材料を形成した後、この出発材
    料の厚膜部材のみを選択的にエッチングして、前記電気
    機械変換素子に対応する独立した島状凸部と、この島状
    凸部の周囲に位置して前記電気機械変換素子の変位で変
    形するダイヤフラム部と、このダイヤフラム部の周囲に
    位置する厚肉部を形成することを特徴とするインクジェ
    ットヘッド用振動板の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載のインクジェットヘッド
    用振動板の製造方法において、前記出発材料の薄膜部材
    と厚膜部材とはエッチング性が異なることを特徴とする
    インクジェットヘッド用振動板の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006256317A (ja) * 2005-02-17 2006-09-28 Brother Ind Ltd 圧電アクチュエータ及び液体移送装置
JP2008044370A (ja) * 2006-08-11 2008-02-28 Oce Technol Bv インクジェット装置、及びそれを製造する方法
US7677709B2 (en) 2004-09-28 2010-03-16 Fujifilm Corporation Liquid ejection head and image forming apparatus
JP2010064260A (ja) * 2008-09-08 2010-03-25 Ricoh Co Ltd 液体吐出ヘッド及びその製造方法、画像形成装置

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