JP2001073181A - 電鋳原版素材、電鋳原版、電鋳部品の製造方法及び振動板の製造方法 - Google Patents

電鋳原版素材、電鋳原版、電鋳部品の製造方法及び振動板の製造方法

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JP2001073181A
JP2001073181A JP24763099A JP24763099A JP2001073181A JP 2001073181 A JP2001073181 A JP 2001073181A JP 24763099 A JP24763099 A JP 24763099A JP 24763099 A JP24763099 A JP 24763099A JP 2001073181 A JP2001073181 A JP 2001073181A
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electroformed
original plate
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diaphragm
electroforming
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Kunio Ikeda
邦夫 池田
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電鋳部品のコストが高くなる。 【解決手段】 アルミニウム板72の表面にアルミニウ
ム酸化膜72aを形成し、その上に接着層73を介して
有機絶縁フィルム74を接着し、その上に接着層75を
介して銅箔75を接着した

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電鋳原版素材、電鋳原版
の製造方法、電鋳部品の製造方法及び振動板の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、プリンタ、ファクシミリ、複写
装置、プロッタ等の画像形成装置(画像記録装置)とし
て用いるインクジェット記録装置で記録ヘッドとして使
用するインクジェットヘッドは、インク滴を吐出する複
数のノズルと、各ノズルが連通するインク液室(吐出
室、加圧液室、インク流路、加圧室、圧力室などとも称
される。)を形成する流路形成部材と、各インク液室内
のインクを加圧してノズルからインク滴を吐出させるた
めのエネルギーを発生する圧電素子等の電気機械変換素
子、或いはヒータ等の電気熱変換素子、若しくは振動板
と電極などの静電力発生手段などからなるエネルギー発
生手段(アクチュエータ手段)とを備え、このアクチュ
エータ手段を画像情報に応じて駆動することで所要のノ
ズルからインク滴を吐出させて画像を記録する。
【0003】ここで、電気機械変換素子をエネルギー発
生手段として用いるピエゾ型インクジェットヘッド、或
いは振動板と対向電極とをエネルギー発生手段として用
いる静電型インクジェットヘッドにおける振動板及びそ
の製造方法としては、特開平6−143573号公報に
記載されているように、写真製版技術(フォトリソグラ
フィ)とNiメッキ・電鋳工法を用いてダイアフラム部
と島状凸部を有する振動板を形成したもの、特開平6−
346271号公報に記載されているように、写真製版
技術(フォトリソグラフィ)とNiメッキ・電鋳工法を
用いて第一Ni層と第二Ni層からなる振動板を形成す
る場合に、第一Ni層は光沢剤を添加しない無光沢Ni
で形成するようにしたものなどがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た写真製版技術(フォトリソグラフィ)とNiメッキ・
電鋳工法であるフォトエレクトロフォーミング法で振動
板を製造する場合、振動板部品を製造する度に第一層フ
ォトリソグラフィによるパターンの形成とメッキ膜の成
膜を行ない、重ねて第二層フォトリソグラフィによるパ
ターンの形成とメッキ膜の成膜を行なうので、2層構造
の振動板部品を製造するためには2回のフォトリソとメ
ッキ成膜を繰返すことになる。さらに、基板のリサイク
ルでは、毎回レジストパターンを基板から除去してから
新規にレジストパターンをパターニングしなければなら
ないなど工程が複雑になる。
【0005】フォトリソプロセスは周知のように多数の
各工程から成り立ち、全体を通しての工程時間が長いた
めに、通常は1枚の基板上に多数の振動板部品を面付け
する多数個取りを行ない、部品1個単位のコストを下げ
るようにしているが、マルチノズルヘッドのように多数
チャンネルを一体的に形成する振動板部品では1個の部
品サイズが大きくなって面付け数が少なくなり、スケー
ル効果が十分に得られずに低コスト化を図ることができ
ない。
【0006】また、電鋳支持基板上に第一層のレジスト
パターンをパターニングした後、ダイアフラム部などの
第一層メッキ膜を成膜するため、フォトリソプロセスで
の汚れ、例えばレジスト残さ、プロセス中の熱処理によ
る基板露出表面の熱酸化膜などの形成によって、メッキ
膜成長の不均質層、ピンホールなどの膜欠陥が発生し易
く、歩留りが低下し、検査コストが増加する。
【0007】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、電鋳部品のコストを低減する電鋳原版素材、電鋳
原版、電鋳部品の製造方法、振動板の製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係る電鋳原版素材は、芯材表面に電気絶縁
層を介して金属層を積層した構成としたものである。こ
こで、芯材にはアルミニウム又はその合金を用いること
が好ましく、この場合、アルミニウム又はその合金の表
面にアルミニウム酸化膜を形成した芯材表面に有機電気
絶縁層を介して金属層を接着積層していることが好まし
い。
【0009】本発明に係る電鋳原版は、非めっきパター
ンを芯材表面に積層した電気絶縁層で形成し、導体面を
電気絶縁層上に積層した金属層で形成している構成とし
たものである。ここで、電気絶縁層による非めっきパタ
ーンは金属層をエッチングして露出させていることが好
ましい。また、導体面は金属層の表面に形成したNi、
Ni−P又はNi−Bのめっき膜で形成することが好ま
しい。
【0010】本発明に係る電鋳部品の製造方法は、非め
っきパターンを有する本発明に係る電鋳原版上にめっき
膜を成膜して形成する構成としたものである。この場
合、電鋳部品としてインクジェットヘッド用振動板とす
ることができる。また、電鋳原版の表面を機械的清浄化
をした後めっき膜を成膜することが好ましい。
【0011】本発明に係る振動板の製造方法は、複層構
造からなる振動板の第1層を本発明に係る電鋳原版を用
いて形成した後、この第1層上に形成する第2層以後の
層は感光性樹脂で非めっきパターンを形成する構成とし
たものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。図1は本発明を適用して製造
した電鋳部品である振動板を備えたインクジェットヘッ
ドの分解斜視図、図2は同ヘッドのチャンネル方向(ノ
ズル配列方向)と直交する方向の要部拡大断面図、図3
は同ヘッドのチャンネル方向の要部拡大断面図である。
【0013】このインクジェットヘッドは、駆動ユニッ
ト1と、液室ユニット2と、ヘッドカバー3とを備えて
いる。駆動ユニット1は、セラミックス基板、例えばチ
タン酸バリウム、アルミナ、フォルステライトなどの絶
縁性の基板11上に、エネルギー発生素子である複数の
積層型圧電素子12を列状に2列配置して接合し、これ
ら2列の各圧電素子12の周囲を取り囲む樹脂、セラミ
ック等からなるフレーム部材(支持体)13を接着剤1
4によって接合している。
【0014】複数の圧電素子12は、インクを液滴化し
て飛翔させるための駆動パルスが与えられる圧電素子
(これを「駆動部」という。)17,17…と、駆動部
17,17間に位置し、駆動パルスが与えられずに単に
液室ユニット2を基板11に固定する液室支柱部材とな
る圧電素子(これを「非駆動部」という。)18,18
…とを交互に構成している。
【0015】ここで、圧電素子12としては10層以上
の積層型圧電素子を用いている。この積層型圧電素子
は、例えば図2に示すように、厚さ10〜50μm/1
層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)20と、厚さ数μ
m/1層の銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電
極21とを交互に積層したものであるが、圧電素子とし
て用いる材料は上記に限られるものでなく、その他の電
気機械変換素子を用いることもできる。
【0016】各圧電素子12の内部電極21は1層おき
にAgPdからなる左右の端面電極22,23(2つの圧
電素子列の対向する面側を端面電極22とし、対向しな
い面側を端面電極23とする。)に接続している。一
方、基板11上には、図1に示すようにNi・Au蒸着、
Auメッキ、AgPtペースト印刷、AgPdペースト印刷
等によって共通電極24及び個別電極25の各パターン
を設けている。
【0017】そして、各列の各圧電素子12の対向する
端面電極22を導電性接着剤26を介して共通電極24
に接続し、他方、各列の各圧電素子12の対向しない端
面電極23を同じく導電性接着剤26を介してそれぞれ
個別電極25に接続している。これにより、駆動部17
に駆動電圧を与えることによって、積層方向に電界が発
生して、駆動部17には積層方向の伸びの変位(d33
方向の変位)が生起される。なお、共通電極24は、図
2にも示すように、フレーム部材13に設けた穴13a
内に導電性接着剤26を充填することで各圧電素子に接
続されたパターンの導通を取っている。
【0018】一方、液室ユニット2は、金属薄膜の積層
体からなる複層構造の振動板31と、ドライフィルムレ
ジスト(DFR)からなる感光性樹脂層で形成した2層
構造の液室隔壁部材32と、金属、樹脂等からなるノズ
ルプレート33とを順次を積層し、熱融着して形成して
いる。これらの各部材によって、振動板31のダイアフ
ラム部34を介して加圧される加圧液室35と、この加
圧液室35の両側に位置して加圧液室35に供給するイ
ンクを導入する共通液室36,36と、加圧液室35と
共通液室36,36とを連通するインク供給路37,3
7を形成している。
【0019】振動板31は、2層構造のニッケルめっき
膜からなり、駆動部17に対応する前記ダイアフラム部
34と、駆動部17と接合するためにこのダイアフラム
部34の中央部に一体的に形成した島状凸部40と、非
駆動部18に接合する梁となると共に各チャンネル(ノ
ズル)を独立させる隔壁部41及びフレーム部材13に
接合する周辺厚肉部42と、共通液室36に対応する圧
力を吸収する弾性体部(以下「ダンパー部」という。)
43を形成している。ここで、ダイアフラム部34及び
ダンパー部43の厚みを第一層(第一層めっき膜)の厚
みとし、島状凸部40、隔壁部41及び周辺厚肉部42
の厚みを第一層と第二層(第二層めっき膜)の厚みを加
えた厚みとしている。
【0020】液室隔壁部材32は、振動板31側に予め
ドライフィルムレジストをラミネートして所要のマスク
を用いて露光し、現像して所定の液室パターンを形成し
た第1感光性樹脂層45と、ノズルプレート33側に予
めドライフィルムレジストをラミネートして所要のマス
クを用いて露光し、現像して所定の液室パターンを形成
した第2感光性樹脂層46とを熱圧着で接合してなる。
【0021】ノズルプレート33にはインク滴を飛翔さ
せるための微細な吐出口であるノズル38を多数を形成
している。このノズル38の内部形状(内側形状)は、
略円柱形状(又は略円錘台形状でもよい。)に形成して
いる。また、このノズル38の径はインク滴出口側の直
径で約25〜35μmである。
【0022】このノズルプレート33のインク吐出面
(ノズル表面側)は、図1に示すように撥水性の表面処
理を施した撥水処理面47としている。例えば、PTF
E−Ni共析メッキやフッ素樹脂の電着塗装、蒸発性の
あるフッ素樹脂(例えばフッ化ピッチなど)を蒸着コー
トしたもの、シリコン系樹脂・フッ素系樹脂の溶剤塗布
後の焼き付け等、インク物性に応じて選定した撥水処理
膜を設けて、インクの滴形状、飛翔特性を安定化し、高
品位の画像品質を得られるようにしている。
【0023】これらの駆動ユニット1と液室ユニット2
とはそれぞれ別個に加工、組立を行なった後、液室ユニ
ット2の振動板31と駆動ユニット1の圧電素子12及
びフレーム部材13とを接着剤49で接合している。
【0024】そして、基板11をヘッド支持部材である
スペーサ部材(ヘッドホルダ)50上に支持して保持
し、このスペーサ部材50内に配設したヘッド駆動用I
C等を有するPCB基板と駆動ユニット1の各圧電素子
12(駆動部17)に接続した各電極24,25とをF
PCケーブル51,51を介して接続している。
【0025】また、ノズルカバー(ヘッドカバー)3
は、ノズルプレート33の周縁部及びヘッド側面を覆う
箱状に形成したものであり、ノズルプレート33の周縁
部に接着剤にて接着接合している。さらに、このインク
ジェットヘッドには、図示しないインクカートリッジか
らのインクを液室に供給するため、スペーサ部材50、
基板11、フレーム部材13及び振動板31にそれぞれ
インク供給穴52〜55を設けている。
【0026】このように構成したインクジェットヘッド
においては、記録信号に応じて駆動部17に駆動波形
(10〜50Vのパルス電圧)を印加することによっ
て、駆動部17に積層方向の変位が生起し、振動板31
のダイアフラム部34を介して加圧液室35が加圧され
て圧力が上昇し、ノズル38からインク滴が吐出され
る。このとき、加圧液室35から共通液室36へ通じる
インク供給路37,37方向へもインクの流れが発生す
るが、インク供給路37,37の断面積を狭小にするこ
とで流体抵抗部として機能させて共通液室36,36側
へのインクの流れを低減し、インク吐出効率の低下を防
いでいる。
【0027】そして、インク滴吐出の終了に伴い、加圧
液室35内のインク圧力が低減し、インクの流れの慣性
と駆動パルスの放電過程によって加圧液室34内に負圧
が発生してインク充填行程へ移行する。このとき、イン
クタンクから供給されたインクは共通液室36,36に
流入し、共通液室36,36からインク供給路37,3
7を経て加圧液室35内に充填される。そして、ノズル
38の出口付近のインクメニスカス面の振動が減衰し、
表面張力によってノズル38の出口付近に戻されて(リ
フィル)安定状態に至れば、次のインク滴吐出動作に移
行する。
【0028】次に、本発明に係る電鋳原版素材、電鋳原
版及び当該電鋳原版を用いた電鋳部品である振動板の製
造方法について図4以降をも参照して説明する。先ず、
電鋳原版素材の異なる例について図4及び図5を参照し
て説明する。図4に示す電鋳原版素材61は、芯材であ
る鉄板62上に接着層63を介して有機絶縁フィルム6
4を接着し、この有機絶縁フィルム64上に接着層65
を介して金属層である銅箔66を接着したものである。
ここで、接着層63、有機絶縁フィルム64及び接着層
65で電気絶縁層67を形成する。この電気絶縁層とし
ては有機、無機のいずれであってもよい。
【0029】また、図5に示す電鋳原版素材71は、芯
材であるアルミニウム板72の表面に陽極酸化処理でア
ルミニウム酸化膜72aを形成し、このアルミニウム酸
化膜72a上に接着層73を介して有機絶縁フィルム7
4を接着し、この有機絶縁フィルム74上に接着層75
を介して金属層である銅箔75を接着したものである。
ここで、接着層73、有機絶縁フィルム74及び接着層
75で電気絶縁層を形成する。この電気絶縁層としては
有機、無機のいずれであってもよい。
【0030】これらの電鋳原版素材61、71において
は、後述するように銅箔66、76をエッチングして電
気絶縁層67、77を露出させることで、電気絶縁層6
7、77を非めっきパターンとする電鋳原版を製作する
ことができ、これにより繰り返し使用できる電鋳原版が
得られ、電鋳部品の製造コストや電鋳原版の製作コスト
を低減することができ、また電鋳部品の寸法バラツキを
低減できて品質を向上することができる。
【0031】また、電鋳原版素材71のように芯材にア
ルミニウム板72を用いることで、軽量でフォトリソ工
程の自動化における操作性に優れた電鋳原版を製作する
ことができる。この場合、アルミニウム板72の表面に
陽極酸化処理による酸化膜72aを形成することで、電
気絶縁性に優れた非めっきパターンを形成することがで
き、この酸化膜72a上に有機絶縁層を接着することで
基板密着性に優れた非めっきパターンを形成できる。
【0032】次に、電鋳部品としての振動板を製作する
ための電鋳原版及びその製造工程について図6及び図7
を参照して説明する。先ず、図6(a)に示すような電
鋳原版素材71の銅箔76表面に同図(b)に示すよう
にレジスト80を塗布し、露光、現像工程を経て、同図
(c)に示すように振動板部品の第一層パターンに対応
する開口部81を形成する。この開口部81は、図7
(a)に示すように複数個取りを行うための外形枠パタ
ーン用開口部82、インク供給口(インク流入穴)55
を形成するためのインク供給口パターン用開口部83、
アライメントマークパターン用開口部84を形成する。
【0033】なお、外形枠パターンは上述したように1
つの電鋳原版で同時に多数の振動板を形成する多数個取
りを行うので、形成後に個々の振動板を分離するための
パターンであり、またアライメントマークパターンは後
述する第二層を形成するときの位置合せ用のものであ
る。
【0034】その後、図6(d)に示すように開口部8
1(開口部82〜84)により露出している銅箔76を
塩化第二鉄水溶液でエッチングすることにより、銅箔露
出部は化学的に溶解除去され原版素材71の電気絶縁層
77(表面は接着層75)が露出する。この電気絶縁層
77(表面は接着層75)の部分にめっき・電鋳膜は析
出しないので、振動板第一層形成用の非めっきパターン
85とすることができ、この非めっきパターン85は図
7(b)に示すように外形枠パターン86、インク供給
口パターン87、アライメントマークパターン88を形
成する。
【0035】次いで、図6(e)に示すように、レジス
ト80を除去した後、銅箔76表面に厚付けめっき膜8
9を形成する。これは、銅箔76の状態では繰り返し使
用するには厚さと耐摩耗性が充分でないためである。こ
の厚付けめっき膜89は、ニッケル、銅、Ni−P、N
i−Bなどを用いることが好ましい。
【0036】その後、図6(f)に示すように、厚付け
めっき膜89を不織布研磨などの機械的清浄化処理を施
して、図7(c)にも示すように、振動板第一層形成用
の非めっきパターン85(パターン86,87,88)
がレイアウトされた電鋳原版90を得る。
【0037】このように電鋳原版素材の銅箔露出部にニ
ッケルめっき、無電解ニッケルめっきなどによる厚付け
めっき膜を形成してこれを導体面とすることにより、電
鋳・めっき析出面の機械的清浄研磨性(耐久性)、耐め
っき薬品性に優れた電鋳原版として繰り返し使用するこ
とができる。
【0038】次に、電鋳原版90を用いた振動板の製造
方法について図8及び図9を参照して説明する。先ず、
各図(a)に示すように、機械的に清浄研磨された電鋳
原版90の表面に、図8(b)に示すように金属メッキ
を施してダイアフラム部34の厚みを有する第一層91
を形成する。この第一層91の厚みは3〜5μmとして
いる。ここで、上述したように電鋳原版の厚付けめっき
面を不織布研磨剤で機械的に清浄化しておくことで、適
度の表面粗さを付与することができ、めっき電鋳中には
原版からの剥がれず、最後の電鋳めっき膜の剥離工程で
は容易に剥離できる適度な密着力が得られるようにな
る。
【0039】また、振動板部品において第一層めっき膜
41は、ダイアフラム部34、ダンパー部43の機能を
もち、サブミクロンのレベルで厚さ均一性とピンホール
欠陥が無いなど、最も部品信頼性が求められる。さら
に、ダイアフラム部34はインク噴射特性上重要な役割
をもち、振動板部品の生産において、歩留まりを左右
し、第一層のめっき成膜工程までで振動板部品のピンホ
ール歩留まりがほぼ決定される。したがって、振動板第
一層非めっきパターンにフォトリソプロセスを用いない
ことにより、振動板ピンホールのもととなるフォトリソ
系コンタミなど無く直接第一層成膜できるのでピンホー
ル欠陥が低減する。
【0040】その後、第一層91を成膜した電鋳原版9
0上にフォトレジストを塗布した後、同図(c)及び図
9(b)に示すように、電鋳原版90上のアライメント
マークパターン88を基準として、外形枠パターン9
3、インク供給口パターン4及びアライメントマークパ
ターン95を露光、現像工程によってパターニングす
る。それと共に、ダイアフラム部34(薄肉部分)及び
ダンパー部43以外の部分は島状凸部40及び隔壁部4
1を含めて厚肉にするため、島状凸部40及び隔壁部4
1を反転した形状でダイアフラム部34に対応するダイ
アフラム部パターン96をパターニングし、ダンパー部
43に相当する部分にダンパー部パターン97をパター
ニングする。
【0041】次いで、図8(d)及び図9(c)に示す
ようにニッケル等の金属メッキを施してめっき膜からな
る第二層98を形成する。このとき、第一層91表面の
内のダイアフラム部34に相当する部分がダイアフラム
部パターン96で覆われ、同様にダンパー部43に相当
する部分がダンパー部パターン97で覆われているの
で、これらの部分は第一層91の厚みのままとなる。
【0042】このようにして、各チャンネル毎に分離さ
れたダイアフラム部34、島状凸部40、梁部(隔壁
部)41及び周辺厚肉部42が一体的に積層形成された
振動板部品を多数個連結した振動板シート100が得ら
れるので、電鋳原版90から振動板シート100を剥離
して第二層用のレジストを除去して外形枠パターン93
で各振動板に分離することで、図10にも示すような振
動板部品101が得られる。
【0043】そして、電鋳原版90は、第一層パターン
形成用の非めっきパターンが原版素材71にシート状で
強固に接着積層されているので、再度清浄化処理を行う
ことによって繰り返し使用することができる。
【0044】このように、第一層のフォトリソ工程が不
要になるので、フォトリソ系コンタミ・異物付着や工程
熱酸化などのピンホール発生因子がなく、高品質の電鋳
部品を得ることができ、また、第一層のフォトリソ工程
を省くことができるので大幅な工程短縮が可能になる。
【0045】なお、上記実施例においては、本発明をイ
ンクジェットヘッド用振動板部品を製造するために用い
る電鋳原版を製作するための電鋳原版素材、及び電鋳原
版に適用した例で説明したが、インクジェットヘッド部
品に限るものではなく、金属メッシュを製作するための
電鋳原版及びその電鋳原版素材などにも適用することが
できる。さらに、インクジェットヘッドとしてもピエゾ
型のものに限らず、振動板と対向電極とを用いる静電型
インクジェットヘッドの振動板部品にも適用することが
でき、さらにまたインクジェットヘッドのノズル形成部
材を製作するための電鋳原版やその電鋳原版素材にも適
用することができる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る電鋳
原版素材によれば、芯材表面に電気絶縁層を介して金属
層を積層した構成としたので、繰り返し使用可能な電鋳
原版を製作することができ、電鋳部品の製作コストを低
減し、部品間のバラツキを低減することが可能になる。
【0047】ここで、芯材にはアルミニウム又はその合
金を用いることにより、軽量で自動化における操作性に
優れた電鋳原版を製作することが可能になり、この場合
アルミニウム又はその合金の表面にアルミニウム酸化膜
を形成した芯材表面に有機電気絶縁層を介して金属層を
接着積層することで、電気絶縁性、基板密着性に優れた
非めっきパターンを有する電鋳原版を製作することが可
能になる。
【0048】本発明に係る電鋳原版によれば、非めっき
パターンを芯材表面に積層した電気絶縁層で形成し、導
体面を電気絶縁層上に積層した金属層で形成している構
成としたので、繰り返し使用することができて、電鋳部
品の製作コストが低減し、部品間のバラツキが低減する
と共に、フォトリソプロセスに起因するコンタミ、レジ
スト残り、熱酸化などのフォトリソ欠陥に起因する部品
不良を大幅に低減することができ、電鋳部品の信頼性、
歩留まりが向上する。
【0049】ここで、電気絶縁層による非めっきパター
ンは金属層をエッチングして露出させてることで、簡単
に非めっきパターンを形成することができる。また、導
体面は金属層の表面に形成したNi、Ni−P又はNi
−Bのめっき膜で形成することにより、電鋳・めっき析
出面の機械的清浄研磨性(耐久性)に優れ、耐めっき薬
品性に優れた繰り返し使用可能な電鋳原版を得ることが
できる。
【0050】本発明に係る電鋳部品の製造方法によれ
ば、非めっきパターンを有する本発明に係る電鋳原版上
にめっき膜を成膜して形成する構成としたので、電鋳部
品を低コストで歩留まり良く製作することができると共
に、フォトリソプロセスに起因するコンタミ、レジスト
残り、熱酸化などのフォトリソ欠陥に起因する部品不良
を大幅に低減することができ、電鋳部品の信頼性が向上
する。
【0051】この場合、電鋳部品としてインクジェット
ヘッド用振動板を製造することにより、特に複層構造の
振動板の第一層のピンホール欠陥を低減することがで
き、振動板部品の信頼性が向上し、歩留まりが向上す
る。また、電鋳原版の表面を機械的清浄化をした後めっ
き膜を成膜することにより、めっき電鋳中には原盤から
の剥がれず、最後の剥離工程では容易に剥離できる適度
な密着力が得られる。
【0052】本発明に係る振動板の製造方法によれば、
複層構造からなる振動板の第1層を本発明に係る電鋳原
版を用いて形成した後、この第1層上に形成する第2層
以後の層は感光性樹脂で非めっきパターンを形成する構
成としたので、フォトリソプロセスに起因する部品不良
を大幅に低減することができ、振動板部品を低コスト
で、信頼性良く、歩留まり良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したインクジェットヘッドの分解
斜視図
【図2】同ヘッドのチャンネル方向と直交する方向の要
部拡大断面図
【図3】同ヘッドのチャンネル方向の要部拡大断面図
【図4】本発明に係る電鋳原版素材の一例を示す模式的
説明図
【図5】本発明に係る電鋳原版素材の他の例を示す模式
的説明図
【図6】本発明に係る電鋳原版の製造工程を説明する模
式的説明図
【図7】同じくその説明に供する模式的斜視図
【図8】本発明に係る電鋳部品の製造工程を説明する模
式的説明図
【図9】同じくその説明に供する模式的斜視図
【図10】電鋳部品の斜視説明図
【符号の説明】
1…駆動ユニット、2…液室ユニット、3…フレーム、
12…圧電素子、17…駆動部、18…非駆動部、31
…振動板、33…ノズルプレート、34…ダイヤフラム
部、40…島状凸部、41…梁部、42…周辺厚肉部、
43…ダンパー部、61、71…電鋳原版素材、62、
72…芯材、64、74…有機絶縁フィルム、65、7
5…銅箔、80…電鋳原版。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導体面に非めっきパターンを有する電鋳
    原版を形成するための電鋳原版素材であって、芯材表面
    に電気絶縁層を介して金属層を積層していることを特徴
    とする電鋳原版素材。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電鋳原版素材におい
    て、アルミニウム又はその合金のである芯材表面に有機
    電気絶縁層を介して金属層を接着積層していることを特
    徴とする電鋳原版素材。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の電鋳原版素材におい
    て、前記アルミニウム又はその合金の表面にはアルミニ
    ウム酸化膜を形成していることを特徴とする電鋳原版素
    材。
  4. 【請求項4】 導体面に非めっきパターンを形成して電
    鋳めっき膜を析出するための電鋳原版において、前記非
    めっきパターンを芯材表面に積層した電気絶縁層で形成
    し、前記導体面を前記電気絶縁層上に積層した金属層で
    形成していることを特徴とする電鋳原版。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の電鋳原版において、前
    記電気絶縁層による非めっきパターンは前記金属層をエ
    ッチングして露出させていることを特徴とする電鋳原
    版。
  6. 【請求項6】 請求項4又は5に記載の電鋳原版におい
    て、前記導体面は前記金属層の表面に形成したNi、N
    i−P又はNi−Bのめっき膜で形成されていることを
    特徴とする電鋳原版。
  7. 【請求項7】 電鋳原版上にめっき膜を成膜した後、前
    記電鋳原版からめっき膜を剥離して電鋳部品を製造する
    電鋳部品の製造方法において、前記請求項4乃至6のい
    ずれかに記載の非めっきパターンを有する電鋳原版上に
    前記めっき膜を成膜することを特徴とする電鋳部品の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の電鋳部品の製造方法に
    おいて、前記電鋳部品がインクジェットヘッド用振動板
    であることを特徴とする電鋳部品の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項7又は8に記載の電鋳部品の製造
    方法において、前記電鋳原版の表面を機械的清浄化をし
    た後めっき膜を成膜することを特徴とする電鋳部品の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 複層構造からなる振動板の製造方法に
    おいて、第1層を前記請求項4乃至6のいずれかに記載
    の電鋳原版を用いて形成した後、この第1層上に形成す
    る第2層以後の層は感光性樹脂で非めっきパターンを形
    成することを特徴とする振動板の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007046109A (ja) * 2005-08-10 2007-02-22 Seiko Instruments Inc 電鋳型、電鋳部品及び電鋳部品の製造方法
CN114481041A (zh) * 2021-12-24 2022-05-13 鲨利生物科技(海南)有限公司 真空蒸镀非金属电铸模具制造方法

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