JPH1110892A - ノズル形成部材及びその製造方法 - Google Patents

ノズル形成部材及びその製造方法

Info

Publication number
JPH1110892A
JPH1110892A JP16990197A JP16990197A JPH1110892A JP H1110892 A JPH1110892 A JP H1110892A JP 16990197 A JP16990197 A JP 16990197A JP 16990197 A JP16990197 A JP 16990197A JP H1110892 A JPH1110892 A JP H1110892A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nozzle
nozzle hole
ink
forming member
straight portion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP16990197A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuzuru Kudo
譲 工藤
Yoshihisa Ota
善久 太田
Shinichi Tsunoda
慎一 角田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP16990197A priority Critical patent/JPH1110892A/ja
Publication of JPH1110892A publication Critical patent/JPH1110892A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ストレート部を有するノズル孔を持つノズル
形成部材を低コストで製造できない。 【解決手段】 ノズル孔形成母材61の厚みをa、スト
レート部38aの長さをbとするとき、a/2≦b≦2
aの関係が成り立つように、ノズル形成母材61及び電
鋳メッキ膜62の厚みを規定した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はノズル形成部材及び
その製造方法に関し、特にインクジェットヘッドに用い
るノズル形成部材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、プリンタ、ファクシミリ、複写
装置等に用いられるインクジェット記録装置の記録ヘッ
ドを構成するインクジェットヘッドとして、インク滴を
吐出する複数のノズル孔と、各ノズル孔に対応するイン
ク液室(「加圧液室」ともいう。)と、このインク液室
内のインクを加圧する圧電素子等の電気機械変換素子や
ヒータ等の電気熱変換素子などのエネルギー発生手段を
備え、エネルギー発生手段を記録信号に応じて駆動する
ことで所要のインク液室内のインクを加圧してノズル孔
からインク滴を噴射させるものである。
【0003】このようなインクジェットヘッドとして、
従来、例えば特開平6−255099号公報に記載され
ているように、圧電素子上に、ダイアフラム部を有する
振動板を積層し、この振動板上に圧電素子でダイアフラ
ム部を介して加圧される液室及びこの液室にインクを供
給するインク供給路を形成する流路形成部材を積層し、
更にこの流路形成部材上にノズル孔を形成したノズル形
成部材を積層したものが知られている。
【0004】ところで、インクジェットヘッドにあって
は、インク滴噴射直後にノズル孔部のインク液面(イン
クメニスカス面)が内部に引き込まれるので、ノズル孔
に十分なストレート部がないと、インク液室内(加圧液
室内)に気泡を巻き込み易くなり、この気泡の影響によ
ってインク滴噴射方向にばらつきを生じたり、インク滴
の吐出不良が発生する。
【0005】そこで、従来、例えば特開昭62−234
941号公報に記載されているように、金属基板上に第
1のマスクを形成し、このマスク上に第1のマスクのマ
スク幅よりも狭く且つ高さの高い第2のマスクを形成し
て、金属基板の露出表面上に金属を形成して、第1、第
2のマスク及び金属基板を除去することで、ストレート
部を有するノズル孔を形成したノズル形成部材を製造す
る方法が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のノズル孔にストレート部を有するノズル形成部
材の製造方法にあっては、第1のマスクと第2のマスク
との位置がずれると、ノズル孔の形状が崩れてしまって
インク滴吐出特性が著しく低下することになるので、フ
ォトマスクを使用したフォトリソグラフィで厳密な位置
合わせを行う必要があり、製法が煩雑で、歩留りも低
く、コストが高くなっている。
【0007】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、インク滴噴射安定性に優れたノズル形成部材を簡
便に、低コストで製造できるようにすることを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、請求項1のノズル形成部材は、インク滴を吐出する
ストレート部を有するノズル孔を形成したノズル形成部
材において、前記ノズル孔のストレート部以外の部分の
長さをa、前記ノズル孔のストレート部の長さをbとし
たとき、a/2≦b≦2aの関係が成り立つ構成とし
た。
【0009】請求項2のノズル形成部材は、インク滴を
吐出するストレート部を有するノズル孔を形成したノズ
ル形成部材において、前記ノズル孔のストレート部の長
さをb、ストレート部の孔径をcとしたとき、c/2≦
bの関係が成り立つ構成とした。
【0010】請求項3のノズル形成部材は、インク滴を
吐出するストレート部を有するノズル孔を形成したノズ
ル形成部材において、前記ノズル孔のストレート部以外
の部分の長さをa、前記ノズル孔のストレート部の長さ
をb、ストレート部の孔径をcとしたとき、a/2≦b
≦2a、及び、c/2≦bの関係がいずれも成り立つ構
成とした。
【0011】請求項4のノズル形成部材は、上記請求項
1乃至3のいずれかのノズル形成部材において、インク
吐出面の最表面に1〜10μmの厚みを有する撥水性の
表面処理層を形成した構成とした。
【0012】請求項5のノズル形成部材の製造方法は、
上記請求項1乃至4のいずれかのノズル形成部材を製造
する方法において、(A)ノズル孔のストレート部以外
の部分を形成するノズル孔形成母材を形成する工程、
(B)前記ノズル孔形成母材のインク液室面側にドライ
フィルムレジストを熱圧着する工程、(C)前記ノズル
孔形成母材のインク吐出面側にドライフィルムレジスト
を熱圧着する工程、(D)前記ノズル孔形成母材のイン
ク液室面側から露光し、現像してインク吐出面側に突出
した柱状部を有するレジストパターンを形成する工程、
(E)前記ノズル孔形成母材のインク吐出面側に前記ノ
ズルのストレート部を形成するメッキ膜を成膜する工程
とを含む構成とした。
【0013】請求項6のノズル形成部材の製造方法は、
上記請求項5のノズル形成部材の製造方法において、前
記(B)工程のドライフィルムレジストの厚みが前記ノ
ズル孔形成母材の厚みの1/3以上である構成とした。
【0014】請求項7のノズル形成部材の製造方法は、
上記請求項5又は6のノズル形成部材の製造方法におい
て、前記メッキ膜表面に1〜10μmの撥水性膜を成膜
し、これを200℃以上380℃未満で、30分以上9
0分以下の時間熱処理を施す構成とした。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。図1は本発明を適用したノズ
ル形成部材を備えたインクジェットヘッドの分解斜視
図、図2は同ヘッドのチャンネル方向(ノズル配列方
向)と直交する方向の要部拡大断面図、図3は同ヘッド
のチャンネル方向の要部拡大断面図である。
【0016】このインクジェットヘッドは、駆動ユニッ
ト1と、液室ユニット2と、ヘッドカバー3とを備えて
いる。駆動ユニット1は、セラミックス基板、例えばチ
タン酸バリウム、アルミナ、フォルステライトなどの絶
縁性の基板11上に、エネルギー発生手段である複数の
積層型圧電素子12を列状に2列配置して接合し、これ
ら2列の各圧電素子12の周囲を取り囲む樹脂、セラミ
ック等からなるフレーム部材(支持体)13を接着剤1
4によって接合している。
【0017】複数の圧電素子12は、インクを液滴化し
て飛翔させるための駆動パルスが与えられる圧電素子
(これを「駆動部」という。)17,17…と、駆動部
17,17間に位置し、駆動パルスが与えられずに単に
液室ユニット2を基板11に固定する液室支柱部材とな
る圧電素子(これを「非駆動部」という。)18,18
…とを交互に構成している。
【0018】ここで、圧電素子12としては10層以上
の積層型圧電素子を用いている。この積層型圧電素子
は、例えば図2に示すように、厚さ10〜50μm/1
層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)20と、厚さ数μ
m/1層の銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電
極21とを交互に積層したものであるが、圧電素子とし
て用いる材料は上記に限られるものでなく、その他の電
気機械変換素子を用いることもできる。
【0019】各圧電素子12の内部電極21は1層おき
にAgPdからなる左右の端面電極22,23(2つの圧
電素子列の対向する面側を端面電極22とし、対向しな
い面側を端面電極23とする。)に接続している。一
方、基板11上には、図1に示すようにNi・Au蒸着、
Auメッキ、AgPtペースト印刷、AgPdペースト印刷
等によって共通電極24及び個別電極25の各パターン
を設けている。
【0020】そして、各列の各圧電素子12の対向する
端面電極22を導電性接着剤26を介して共通電極24
に接続し、他方、各列の各圧電素子12の対向しない端
面電極23を同じく導電性接着剤26を介してそれぞれ
個別電極25に接続している。これにより、駆動部17
に駆動電圧を与えることによって、積層方向に電界が発
生して、駆動部17には積層方向の伸びの変位(d33
方向の変位)が生起される。なお、共通電極24は、図
2にも示すように、フレーム部材13に設けた穴13a
内に導電性接着剤26を充填することで各圧電素子に接
続されたパターンの導通を取っている。
【0021】一方、液室ユニット2は、金属薄膜の積層
体からなる複層構造の振動板31と、ドライフィルムレ
ジスト(DFR)からなる感光性樹脂層で形成した2層
構造の液室隔壁部材32と、ノズル形成部材であるノズ
ルプレート33とを順次を積層し、熱融着して形成して
いる。これらの各部材によって、1つの圧電素子12
(駆動部17)と、この1つの圧電素子12に対応する
ダイアフラム部34と、各ダイアフラム部34を介して
加圧されるインク液室である加圧液室35と、この加圧
液室35の両側に位置して加圧液室35に供給するイン
クを導入する共通液室36,36と、加圧液室35と共
通液室36,36とを連通するインク供給路37,37
と、加圧液室35に連通するノズル孔38とによって1
つのチャンネルを形成し、このチャンネルを複数個2列
設けている。
【0022】振動板31は、2層構造のニッケルめっき
膜からなり、駆動部17に対応する前記ダイアフラム部
34と、駆動部17と接合するためにこのダイアフラム
部34の中央部に一体的に形成した島状凸部40と、非
駆動部18に接合する梁となると共に各チャンネル(ノ
ズル)を独立させる隔壁部41及びフレーム部材13に
接合する周辺厚肉部42と、共通液室36に対応する圧
力を吸収する弾性体部(以下「ダンパー部」という。)
43を形成している。
【0023】液室隔壁部材32は、振動板31側に予め
ドライフィルムレジストを塗布して所要のマスクを用い
て露光し、現像して所定の液室パターンを形成した第1
感光性樹脂層45と、ノズルプレート33側に予めドラ
イフィルムレジストを塗布して所要のマスクを用いて露
光し、現像して所定の液室パターンを形成した第2感光
性樹脂層46とを熱圧着で接合してなる。
【0024】ノズルプレート33にはインク滴を飛翔さ
せるための微細な吐出口であるノズル孔38を多数を形
成している。このノズルプレート33は、ノズル孔形成
母材上に電鋳メッキ膜を成膜し、この電鋳メッキ膜表面
に後述する撥水膜を成膜したものであり、ノズル孔38
はインク吐出面側にストレート部を有する形状に形成し
ている。また、このノズル孔38の径はインク滴吐出面
の直径で約25〜35μmである。
【0025】このノズルプレート33のインク吐出面
(ノズル表面)側の最表面には、図1に示すように撥水
性の表面処理層である撥水膜47を成膜している。例え
ば、PTFE−Ni共析メッキやフッ素樹脂の電着塗
装、蒸発性のあるフッ素樹脂(例えばフッ化ピッチな
ど)を蒸着コートしたもの、シリコン系樹脂・フッ素系
樹脂の溶剤塗布後の焼き付け等、インク物性に応じて選
定した撥水処理膜を設けて、インクの滴形状、飛翔特性
を安定化し、高品位の画像品質を得られるようにする
が、ここではPTFE−Ni共析メッキを用いている。
なお、ノズルプレート33の周縁部は撥水膜を形成しな
い非撥水処理面48としている。
【0026】これらの駆動ユニット1と液室ユニット2
とはそれぞれ別個に加工、組立を行なった後、液室ユニ
ット2の振動板31と駆動ユニット1の圧電素子12及
びフレーム部材13とを接着剤49で接合している。
【0027】そして、基板11をヘッド支持部材である
スペーサ部材(ヘッドホルダ)50上に支持して保持
し、このスペーサ部材50内に配設したヘッド駆動用I
C等を有するPCB基板と駆動ユニット1の各圧電素子
12(駆動部17)に接続した各電極24,25とをF
PCケーブル51,51を介して接続している。
【0028】また、ノズルカバー(ヘッドカバー)3
は、ノズルプレート33の周縁部及びヘッド側面を覆う
箱状に形成したものであり、ノズルプレート33の撥水
膜47に対応して開口部を形成し、ノズルプレート33
の周縁部に残した非撥水処理面48に接着剤にて接着接
合している。さらに、このインクジェットヘッドには、
図示しないインクカートリッジからのインクを液室に供
給するため、スペーサ部材50、基板11、フレーム部
材13及び振動板31にそれぞれインク供給穴52〜5
5を設けている。
【0029】このように構成したインクジェットヘッド
においては、記録信号に応じて駆動部17に駆動波形
(10〜50Vのパルス電圧)を印加することによっ
て、駆動部17に積層方向の変位が生起し、振動板31
のダイアフラム部34を介して加圧液室35が加圧され
て圧力が上昇し、ノズル38からインク滴が吐出され
る。このとき、加圧液室35から共通液室36へ通じる
インク供給路37,37方向へもインクの流れが発生す
るが、インク供給路37,37の断面積を狭小にするこ
とで流体抵抗部として機能させて共通液室36,36側
へのインクの流れを低減し、インク吐出効率の低下を防
いでいる。
【0030】そして、インク滴吐出の終了に伴い、加圧
液室35内のインク圧力が低減し、インクの流れの慣性
と駆動パルスの放電過程によって加圧液室34内に負圧
が発生してインク充填行程へ移行する。このとき、イン
クタンクから供給されたインクは共通液室36,36に
流入し、共通液室36,36からインク供給路37,3
7を経て加圧液室35内に充填される。そして、ノズル
38の出口付近のインクメニスカス面の振動が減衰し、
表面張力によってノズル38の出口付近に戻されて(リ
フィル)安定状態に至れば、次のインク滴吐出動作に移
行する。
【0031】次に、本発明に係るノズル形成部材及びそ
の製造方法について図4以降を参照して説明する。図4
は、ノズル形成部材であるノズルプレート33の要部拡
大模式的断面図である。ノズルプレート33は、ノズル
孔形成母材61、電鋳メッキ膜62及び撥水膜47を積
層したものであり、ノズル孔形成母材61によってノズ
ル孔38のストレート部38a以外の部分を形成し、電
鋳メッキ膜62によってストレート部38aを形成して
いる。
【0032】ここで、ノズル孔38のストレート部38
a以外の部分の長さ、ここではノズル孔形成母材61の
厚みをa、ストレート部38aの長さをbとするとき、
a/2≦b≦2aの関係が成り立つように、ノズル孔形
成母材61及び電鋳メッキ膜62の厚みを規定してい
る。また、ストレート部38aの孔径をcとするとき、
c/2≦bの関係が成り立つようにノズル孔38を規定
している。
【0033】このように、ノズル孔形成母材61の厚み
をa、ストレート部38aの長さをbとするとき、a/
2≦b≦2aの関係が成り立つようにすることで、ノズ
ル形成母材61のインク吐出面側に電鋳メッキ膜62を
成膜してストレート部38aを形成するとき、ノズル孔
形成母材の61の反りがなくなり、インク噴射特性の安
定したインクジェットヘッドを得ることができる。
【0034】また、ストレート部38aの長さをb、ス
トレート部38aの孔径をcとするとき、c/2≦bの
関係が成り立つようにすることで、インク噴射直後にイ
ンク液室内への気泡の巻き込みが発生しないノズル形成
部材を得ることができ、インク噴射特性の安定したイン
クジェットヘッドを得ることができる。
【0035】さらに、これらのa、b、cが上記のいず
れをも満足するとき、気泡の巻き込みをより確実に防止
することができ、さらにインクジェットヘッドのインク
噴射特性を向上することができる。
【0036】次に、ノズルプレート33の製造方法につ
いて図5及び図6を参照して説明する。先ず、図5
(a)に示すように電鋳支持基板71を準備する。この
電鋳支持基板71は、導電性を有し表面粗さが小さなも
の、例えばSUS基板などの金属基板、或いはスパッタ
リングなどで導体化したガラス、セラミックス基板など
を用いることができる。
【0037】そして、この電鋳支持基板71の表面にフ
ォトレジストを塗布し、これを所定の開口を有するマス
ク部材を用いて露光し、現像することによって、同図に
示すように電鋳支持基板71上に絶縁性の円形パターン
72を形成する。フォトレジストとしては、感度、解像
度に優れ、ミクロンオーダーの精度を得られるネガ型フ
ォトレジストが適している。ネガ型フォトレジストとし
ては、OFPR−800(商品名、東京押応化工業
製)、S−1400(商品名、シプレイ製)等を用いる
ことができる。
【0038】その後、上述した電鋳支持基板71上にニ
ッケル電鋳法によってNiメッキを施すと、同図(b)
に示すように円形パターン72上にメッキ金属がせり出
すようにNiメッキ膜73が析出形成される。そこで、
一定のニッケル厚さ、あるいは所要のせり出し量(ノズ
ル孔径)に至った時点で電鋳を停止し、メッキ液中から
取り出して、電鋳支持基板71からNiメッキ膜73を
分離することによって、同図(c)に示すようにノズル
孔38のストレート部38a以外の部分となる孔部61
aを有するノズル孔形成母材61が得られる。
【0039】このようなフォトレジストパターンを用い
た電鋳工法によるノズル孔形成母材61の孔部61a
は、インク吐出面側の開口部を最小径とし、インク液室
面側方向に向かって略円孤を描くように径が大きくなる
断面形状を有する。
【0040】次いで、同図(d)に示すようにノズル孔
形成母材61のインク液室面にドライフィルムレジスト
74をラミネートして熱圧着する。このとき、軟化した
ドライフィルムレジスト74をノズル孔形成母材61の
孔部61aから押出してインク吐出面側へはみ出すよう
にする。この場合、ドライフィルムレジスト74は押出
し前の厚みがノズル孔形成母材61の厚みの1/3以上
のものを用いることによって、ノズル孔形成母材61の
孔部61aからはみ出させることができる。
【0041】ドライフィルムレジスト74がインク吐出
面側にはみ出さないと、次の工程でインク吐出面側にド
ライフィルムレジストを熱圧着するときに、孔部61a
内に気泡を巻き込み、この気泡が更に後の紫外線露光時
に紫外線の乱反射を引き起こし、ドライフィルムレジス
トによる柱状部を精度良く形成することができなくな
る。ドライフィルムレジスト74として押出し前の厚み
がノズル孔形成母材61の厚みの1/3以上のものを用
いることで、このような不都合を避けることができる。
ドライフィルムレジストとしては、例えばSR−300
(商品名、日立化成製)などを用いることができる。
【0042】その後、同図(e)に示すようにノズル孔
形成母材61のインク吐出面側にドライフィルムレジス
ト75を熱圧着する。このドライフィルムレジスト75
の厚みは、後から積層する電鋳メッキ膜及び撥水膜の厚
さの和よりも大きくする。
【0043】この状態で、図6に示すようにノズル孔形
成母材61のインク液室面側から並行紫外線(UV)露
光をすることによって、インク液室面側のドライフィル
ムレジスト74が硬化すると共に、ノズル孔形成部材6
1がマスクとなるので孔部61a内のドライフィルムレ
ジスト74及び孔部61aに対応するドライフィルムレ
ジスト75の部分も硬化する。そこで、これを現像等す
ることによって、同図(a)に示すように孔部61aか
らインク吐出面側に向かって突き出た柱状部76aを有
するレジストパターン76が形成される。このとき、柱
状部76aは露光量・レジスト硬化温度をコントロール
することによって略円柱形状に形成することができる。
【0044】そして、このレジストパターン76が形成
された部材を電鋳槽にセットして、電鋳を行なうことに
よって、同図(b)に示すようにノズル孔形成母材61
のインク吐出面側に電鋳メッキ膜62が成膜される。こ
の電鋳メッキ膜62はレジストパターン76の柱状部7
6aによってノズル孔38のストレート部38aを形成
する。
【0045】ここで、ニッケル電鋳メッキの厚みが厚す
ぎても、また薄すぎても、メッキの内部応力によってノ
ズルプレート33が反ってしまう。そこで、このニッケ
ル電鋳メッキ膜62によるストレート部の長さbとノズ
ル孔形成母材61の厚さaとの関係を前述したように、
a/2≦b≦2aとすることによって、ノズル孔形成母
材61の反りをなくすることができる。また、ストレー
ト部の長さbとノズル孔直径cとの関係を前述したよう
にc/2≦bとすることによって、インク液室内に気泡
を巻き込むことのないインク噴射安定性の良いノズルを
得ることができる。
【0046】次いで、同図(c)に示すように電鋳メッ
キ膜62上に撥水膜47を成膜する。撥水膜47は、前
述したように、例えばフッ素樹脂微粒子を分散させた無
電解又は電解ニッケルメッキなどで成膜することができ
る。この撥水膜47の膜厚は1μm以上であればワイピ
ング耐性が十分にあり、10μmを越えると内部応力に
よる反りの原因となるので、膜厚は1μm〜10μmの
範囲に設定することが好ましい。
【0047】その後、同図(d)に示すようにレジスト
パターン76を剥離し、ノズル孔形成母材61と電鋳メ
ッキ膜62との密着性を向上すると共に、撥水膜47の
撥水性を高めるために熱処理を行う。この場合、ノズル
孔形成母材61と電鋳メッキ膜62との密着性は、20
0℃以上で加熱することで得られる。また、撥水膜47
を共析メッキで成膜した場合には、320℃以上で加熱
することで、フッ素樹脂が溶融して膜表面に浸み出して
撥水性を高めることができるが、380℃以上になる
と、フッ素樹脂が変質し始める。したがって、熱処理温
度の範囲は200℃〜380℃とする。さらに、処理時
間は、30分以上で効果が現出し始め、90分を越える
と、撥水性が低下し始めるの、30分以上90分以下の
範囲とすることが好ましい。
【0048】以上のようにして、インク噴射安定性に優
れたストレート部を有するノズル孔を形成したノズル形
成部材(ノズルプレート)を、簡便に、低コストで、反
りを発生させることなく製造することができる。
【0049】なお、上記実施例においては、本発明をエ
ネルギー発生手段として圧電素子を用いるピエゾアクチ
ュエータ方式のインクジェットヘッドのノズル形成部材
に適用した例について説明したが、圧電素子以外の電気
機械変換素子を用いるインクジェットヘッド、或いは発
熱抵抗体を用いるいわゆるバブルジェット方式のインク
ジェットヘッドなどのノズル形成部材にも同様に適用す
ることができる。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1のノズル
形成部材によれば、ノズル孔のストレート部以外の部分
の長さをa、ノズル孔のストレート部の長さをbとした
とき、a/2≦b≦2aの関係が成り立つ構成としたの
で、ノズル形成部材の反りを発生することなく、インク
滴噴射安定性に優れたノズル形成部材を、簡単に、低コ
ストで得ることができるようになる。
【0051】請求項2のノズル形成部材によれば、ノズ
ル孔のストレート部の長さをb、ストレート部の孔径を
cとしたとき、c/2≦bの関係が成り立つ構成とした
ので、インク滴噴射安定性に優れたノズル形成部材を、
簡単に、低コストで得ることができるようになる。
【0052】請求項3のノズル形成部材によれば、イン
ク滴を吐出するストレート部を有するノズル孔を形成し
たノズル形成部材において、ノズル孔のストレート部以
外の部分の長さをa、ノズル孔のストレート部の長さを
b、ストレート部の孔径をcとしたとき、a/2≦b≦
2a、及び、c/2≦bの関係がいずれも成り立つ構成
としたので、ノズル形成部材の反りを発生することな
く、インク滴噴射安定性に優れたノズル形成部材を、簡
単に、低コストで得ることができるようになる。
【0053】請求項4のノズル形成部材によれば、上記
請求項1乃至3のいずれかのノズル形成部材において、
インク吐出面の最表面に1〜10μmの厚みを有する撥
水性の表面処理層を形成したので、ノズル形成部材の反
りを発生することなく、よりインク滴噴射安定性に優れ
たノズル形成部材を、簡単に、低コストで得ることがで
きるようになる。
【0054】請求項5のノズル形成部材の製造方法によ
れば、上記請求項1乃至4のいずれかのノズル形成部材
を製造する方法において、(A)ノズル孔のストレート
部以外の部分を形成するノズル孔形成母材を形成する工
程、(B)ノズル孔形成母材のインク液室面側にドライ
フィルムレジストを熱圧着する工程、(C)ノズル孔形
成母材のインク吐出面側にドライフィルムレジストを熱
圧着する工程、(D)ノズル孔形成母材のインク液室面
側から露光し、現像してインク吐出面側に突出した柱状
部を有するレジストパターンを形成する工程、(E)ノ
ズル孔形成母材のインク吐出面側にノズルのストレート
部を形成するメッキ膜を成膜する工程とを含む構成とし
たので、ノズル形成部材の反りを発生することなく、イ
ンク滴噴射安定性に優れたノズル形成部材を、簡単に、
低コストで製造できる。
【0055】請求項6のノズル形成部材の製造方法によ
れば、上記請求項5のノズル形成部材の製造方法におい
て、(B)工程のドライフィルムレジストの厚みがノズ
ル孔形成母材の厚みの1/3以上である構成としたの
で、インク吐出面側に突出する柱状部を確実に高い精度
で形成することができる。
【0056】請求項7のノズル形成部材の製造方法によ
れば、上記請求項5又は6のノズル形成部材の製造方法
において、メッキ膜表面に1〜10μmの撥水性膜を成
膜し、これを200℃以上380℃未満で、30分以上
90分以下の時間熱処理を施したので、メッキ膜とノズ
ル孔形成母材の密着性を向上し、撥水性を向上すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したノズル形成部材を備えたイン
クジェットヘッドの分解斜視図
【図2】図1のノズル配列方向と直交する方向の要部断
面図
【図3】図1のノズル配列方向の要部断面図
【図4】本発明に係るノズル形成部材を示す要部拡大模
式的断面図
【図5】本発明に係るノズル形成部材の製造方法の各工
程を説明する模式的断面図
【図6】図5の工程に続く工程を説明する模式的断面図
【符号の説明】
1…駆動ユニット、2…液室ユニット、12…圧電素
子、33…ノズルプレート、38…ノズル孔、38a…
ストレート部、47…撥水膜、61…ノズル孔形成母
材、62…メッキ膜。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク滴を吐出するストレート部を有す
    るノズル孔を形成したノズル形成部材において、前記ノ
    ズル孔のストレート部以外の部分の長さをa、前記ノズ
    ル孔のストレート部の長さをbとしたとき、a/2≦b
    ≦2aの関係が成り立つことを特徴とするノズル形成部
    材。
  2. 【請求項2】 インク滴を吐出するストレート部を有す
    るノズル孔を形成したノズル形成部材において、前記ノ
    ズル孔のストレート部の長さをb、ストレート部の孔径
    をcとしたとき、c/2≦bの関係が成り立つことを特
    徴とするノズル形成部材。
  3. 【請求項3】 インク滴を吐出するストレート部を有す
    るノズル孔を形成したノズル形成部材において、前記ノ
    ズル孔のストレート部以外の部分の長さをa、前記ノズ
    ル孔のストレート部の長さをb、ストレート部の孔径を
    cとしたとき、a/2≦b≦2a、及び、c/2≦bの
    関係がいずれも成り立つことを特徴とするノズル形成部
    材。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載のノズ
    ル形成部材において、インク吐出面の最表面に1〜10
    μmの厚みを有する撥水性の表面処理層を形成したこと
    を特徴とするノズル形成部材。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載のノズ
    ル形成部材を製造する方法において、(A)ノズル孔の
    ストレート部以外の部分を形成するノズル孔形成母材を
    形成する工程、(B)前記ノズル孔形成母材のインク液
    室面側にドライフィルムレジストを熱圧着する工程、
    (C)前記ノズル孔形成母材のインク吐出面側にドライ
    フィルムレジストを熱圧着する工程、(D)前記ノズル
    孔形成母材のインク液室面側から露光し、現像してイン
    ク吐出面側に突出した柱状部を有するレジストパターン
    を形成する工程、(E)前記ノズル孔形成母材のインク
    吐出面側に前記ノズルのストレート部を形成するメッキ
    膜を成膜する工程とを含むことを特徴とするノズル形成
    部材の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のノズル形成部材の製造
    方法において、前記(B)工程のドライフィルムレジス
    トの厚みが前記ノズル孔形成母材の厚みの1/3以上で
    あることを特徴とするノズル形成部材の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5又は6に記載のノズル形成部材
    の製造方法において、前記メッキ膜表面に1〜10μm
    の撥水性膜を成膜し、これを200℃以上380℃未満
    で、30分以上90分以下の時間熱処理を施すことを特
    徴とするノズル形成部材の製造方法。
JP16990197A 1997-06-26 1997-06-26 ノズル形成部材及びその製造方法 Pending JPH1110892A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16990197A JPH1110892A (ja) 1997-06-26 1997-06-26 ノズル形成部材及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16990197A JPH1110892A (ja) 1997-06-26 1997-06-26 ノズル形成部材及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1110892A true JPH1110892A (ja) 1999-01-19

Family

ID=15895081

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16990197A Pending JPH1110892A (ja) 1997-06-26 1997-06-26 ノズル形成部材及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1110892A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000226570A (ja) * 1999-02-03 2000-08-15 Seiko Epson Corp 撥水性構造体、その製造方法、インクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置
WO2000054972A1 (fr) * 1999-03-17 2000-09-21 Fujitsu Limited Procede de fabrication d'une base de gicleur d'un enregistreur a jet d'encre, base de gicleur et enregistreur a jet d'encre
JP2001018398A (ja) * 1999-07-09 2001-01-23 Konica Corp インクジェットヘッドのノズルプレートの製造方法
JP2001310476A (ja) * 2000-04-27 2001-11-06 Seiko Epson Corp インクジェット式記録装置
US7303783B2 (en) 2003-06-30 2007-12-04 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Inkjet head, manufacturing method thereof and method of forming water repellent film
JP2008087284A (ja) * 2006-09-29 2008-04-17 Fujifilm Corp ノズルプレートの製造方法、液体吐出ヘッド及び画像形成装置

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000226570A (ja) * 1999-02-03 2000-08-15 Seiko Epson Corp 撥水性構造体、その製造方法、インクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置
WO2000054972A1 (fr) * 1999-03-17 2000-09-21 Fujitsu Limited Procede de fabrication d'une base de gicleur d'un enregistreur a jet d'encre, base de gicleur et enregistreur a jet d'encre
JP2001018398A (ja) * 1999-07-09 2001-01-23 Konica Corp インクジェットヘッドのノズルプレートの製造方法
JP2001310476A (ja) * 2000-04-27 2001-11-06 Seiko Epson Corp インクジェット式記録装置
US7303783B2 (en) 2003-06-30 2007-12-04 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Inkjet head, manufacturing method thereof and method of forming water repellent film
JP2008087284A (ja) * 2006-09-29 2008-04-17 Fujifilm Corp ノズルプレートの製造方法、液体吐出ヘッド及び画像形成装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3942118B2 (ja) インクジェット記録装置及びインクジェットヘッド
JPH1110892A (ja) ノズル形成部材及びその製造方法
JP3495218B2 (ja) ノズル形成部材の製造方法
JP3595129B2 (ja) インクジェットヘッド
JPH10337875A (ja) ノズル形成部材及びその製造方法並びにインクジェットヘッド
JP3545147B2 (ja) ノズル形成部材の製造方法及びインクジェットヘッド
JPH1158747A (ja) ノズル形成部材及びその製造方法並びにインクジェットヘッド
JPH09136423A (ja) インクジェットヘッド及びその製造方法
JP3539653B2 (ja) インクジェットヘッド
JPH1158736A (ja) インクジェットヘッド及びその製造方法
JPH11188879A (ja) ノズル形成部材及びその製造方法並びにインクジェットヘッド
JP2001010050A (ja) インクジェットヘッド
JP3496797B2 (ja) インクジェットヘッド用振動板及びその製造方法
JPH10138474A (ja) インクジェットヘッド
JP2000313984A (ja) 電鋳原版及びその製造方法並びに振動板の製造方法
JP3474368B2 (ja) インクジェットヘッド及びその製造方法並びにインクジェット記録装置
JPH10119263A (ja) インクジェットヘッド
JPH1110873A (ja) インクジェットヘッド及びその製造方法
JPH09193401A (ja) インクジェットヘッド及びその製造方法
JPH11115187A (ja) インクジェットヘッド及びその製造方法
JP3568022B2 (ja) インクジェットヘッドの製造方法
JPH11198368A (ja) インクジェットヘッド用振動板
JPH11105297A (ja) インクジェットヘッド及びその製造方法
JPH11198371A (ja) インクジェットヘッド
JP2001038913A (ja) インクジェットヘッドの製造方法