JPH09136423A - インクジェットヘッド及びその製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッド及びその製造方法

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JPH09136423A
JPH09136423A JP23172196A JP23172196A JPH09136423A JP H09136423 A JPH09136423 A JP H09136423A JP 23172196 A JP23172196 A JP 23172196A JP 23172196 A JP23172196 A JP 23172196A JP H09136423 A JPH09136423 A JP H09136423A
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JP
Japan
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nozzle
forming member
nozzle forming
dry film
film resist
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Pending
Application number
JP23172196A
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English (en)
Inventor
Shinichi Tsunoda
慎一 角田
Yoshihisa Ota
善久 太田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Publication date
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 噴射効率が低くなると共に、安定した噴射特
性が得られない。 【解決手段】 表面処理ノズル40は、ノズル孔41を
形成したノズル形成部材42の表面に、穴43aを形成
した表面処理層43を形成し、表面処理層43をノズル
孔41の中心方向に若干せりださせることによって、表
面処理層43の穴43aの径をノズル孔41の径よりも
小さくした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットヘ
ッド及びその製造方法に関し、特にノズル孔を形成する
ノズル形成部材の吐出面側に表面処理をしたインクジェ
ットヘッド及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、記録プロセ
スが非常に単純であることやカラー記録にも適すること
などから注目されており、現在では、記録信号が入力さ
れたときにのみインクを吐出する所謂ドロップオンデマ
ンド(DOD)方式が主流になっている。そして、DO
D方式の中には、ヒータによる熱エネルギーによってイ
ンク中に発生するバブルを利用する所謂バブルジェット
方式(特公昭61−59913号等参照)と圧電素子を
用いるピエゾアクチュエータ方式(特公昭60−895
3号公報等参照)がある。
【0003】前者のバブルジェット方式は、熱エネルギ
ーによってインク中に発生するバブルを利用するもので
あり、例えば特公昭61−59913号公報に記載され
ているように、インク流路中にアクチュエータに相当す
るヒータを配設し、このヒータでインクを直接瞬間加熱
することでヒータ表面にバブルを発生させ、このときの
インク流路内の圧力上昇によってインクを液滴化してノ
ズル孔から飛翔させる方式である。この方式では、ヒー
タ加熱のための通電時間は5〜10μsecであり、ヒー
タ表面温度は300℃にまで達する。
【0004】このバブルジェット方式は、アクチュエー
タに相当するヒータが非常に小さく、ヘッドの高集積
化、小型化が容易であるという利点を有する反面、ヒー
タによる基板温度の上昇があるために、繰り返し駆動周
波数をあまり高くできず、また、ヒータによって直接イ
ンクを加熱するために、使用できるインクの種類が制約
されるという欠点がある。
【0005】これに対して、後者のピエゾアクチュエー
タ方式は、加圧液室を構成する壁面を変形可能な構造と
して、この変形可能な壁面の外側に圧電素子を設け、こ
の圧電素子を用いて加圧液室の壁面を変形させてその内
容積を変化させることで、インクに圧力を与えて液滴化
してノズル孔から飛翔させる方式である(例えば、特開
平3−10846号公報参照)。
【0006】このピエゾアクチュエータ方式では、圧電
素子前面のノズル孔領域あるいは加圧液室のパルス的な
圧力上昇が必要であり、圧電素子に印加される電圧波形
は数μsec〜数10μsecの立ち上がり時間に設定され、
インクの補給は圧電素子の変位を元に戻すことによって
行われる。
【0007】そして、このピエゾアクチュエータ方式に
あっては、圧電素子がインクに直接接触せず、さらに、
圧電素子の発熱も無視できるため、使用するインク種類
の制約がないという利点があるものの、圧電素子サイズ
が大きく、必要な電界強度を与えるための印加電圧が高
くて高耐圧のアレーを必要とするなどドライバの占める
面積が大きく、多チャンネル化が難しいという問題があ
る。なお、「チャンネル」とは、それぞれ1個の圧電素
子等のエネルギー発生手段、加圧液室及びノズル孔から
構成される部分をいう。
【0008】ところで、インクジェット記録方式は、上
述したようにヒータ、圧電素子等のエネルギー発生手段
(アクチュエータ)を駆動することによってノズル孔か
ら液滴化したインク(インク滴)を吐出飛翔させて記録
を行うため、ノズル孔の形状、精度等がインク滴の噴射
特性(インク滴吐出性能)に影響を与えると共に、ノズ
ル孔を形成しているノズル形成部材の表面の特性がイン
ク滴の噴射特性に影響を与える。例えば、ノズル形成部
材表面のノズル孔周辺部にインクが付着して不均一なイ
ンク溜り(所謂濡れムラ)が発生すると、インク滴の吐
出方向が曲げられたり、インク滴の大きさにバラツキが
生じたり、インク滴の飛翔速度が不安定になる等の不都
合が生じることが知られている。
【0009】なお、ノズル孔は、ノズル、吐出口、オリ
フィス、ノズルオリフィス等とも称されるが、本明細書
においては、インク滴を吐出する孔を「ノズル孔」、ノ
ズル孔を形成している部材を「ノズル形成部材」、ノズ
ル孔を形成したノズル形成部材の吐出面側に表面処理を
施したものを「表面処理ノズル」と称することとする。
【0010】そこで、従来、ノズル形成部材の表面に、
撥水性を有する表面処理を施すことで均一性を高めるこ
とが知られている。例えばシリコン系撥水剤、フッ素系
撥水剤などの撥水剤を塗布する方法(特開昭55−65
564号公報参照)、フロロアルコキシシランなどで表
面処理する方法(特開昭56−89569号公報参
照)、フッ素系化合物やシラン系化合物のプラズマ重合
膜を形成する方法(特開昭64−87359号公報参
照)、フロロシリコーンコーティング剤で処理する方法
(特開平2−39944号公報参照)、フッ素系高分子
共析メッキで撥水層を形成する方法(特開昭63−39
63号公報、特開平4−294145号公報参照)など
がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したよ
うに従来のノズル形成部材の表面処理には、ノズル形成
部材にノズル孔を形成した後に蒸着などによって表面を
改質する場合と、表面改質後にノズル孔を打抜きなどに
よって形成する場合とがあるが、いずれの場合にも、図
28(表面処理後打抜き形成の例)或いは図29(ノズ
ル孔形成後表面処理の例)に示すように、工法上、表面
処理部分(表面処理層)101の穴101aの径がノズ
ル形成部材102のノズル孔103の径と同じか、ノズ
ル孔103の径に対して表面処理部分101の穴101
aの径が少し大きくなっている。そのため、エネルギー
発生手段からのエネルギーが噴射滴に伝わらずに、噴射
効率が低くなると共に、安定した噴射特性が得られなく
なる。
【0012】また、図29(b)に拡大して示すように
表面処理部分101表面のノズル孔近傍のエッジ部10
1bが弛れてR(アール)が形成され、吐出面に対して
平行に形成されていないため、噴射の方向性にバラツキ
が生じ、安定した噴射特性が得られなくなる。
【0013】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、安定した噴射特性が得られるインクジェットヘッ
ドを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、請求項1のインクジェットヘッドは、インクを吐出
するノズル孔を形成するノズル形成部材の吐出面側に所
定の表面処理をしたインクジェットヘッドにおいて、前
記表面処理部分の穴径を前記ノズル孔の径よりも小さく
した。
【0015】請求項2のインクジェットヘッドは、上記
請求項1のインクジェットヘッドにおいて、前記表面処
理部分の表面がノズル孔近傍部で吐出面に対して平行に
形成されている構成とした。
【0016】請求項3のインクジェットヘッドは、上記
請求項1のインクジェットヘッドにおいて、前記表面処
理部分のノズル孔近傍部がR=1μm以下のエッジ部を
形成している構成とした。
【0017】請求項4のインクジェットヘッドは、上記
請求項1乃至3のいずれかのインクジェットヘッドにお
いて、前記ノズル形成部材のノズル孔がホーン形状部と
このホーン形状部に連続する略円柱形状部とからなり、
インク吐出方向に向かって径が小さくなるように形成さ
れている構成とした。
【0018】請求項5のインクジェットヘッドは、上記
請求項1乃至4のいずれかのインクジェットヘッドにお
いて、前記表面処理部分の穴をテーパ形状に形成して、
前記ノズル孔と段差なく連続させた。
【0019】請求項6のインクジェットヘッドは、上記
請求項1乃至5のいずれかのインクジェットヘッドにお
いて、前記表面処理部分の穴径を前記ノズル孔の径に対
して50%以上100%未満にした。
【0020】請求項7のインクジェットヘッドは、上記
請求項1乃至6のいずれかのインクジェットヘッドにお
いて、前記ノズル形成部材を電鋳工法で形成した。
【0021】請求項8のインクジェットヘッドは、上記
請求項1乃至7のいずれかのインクジェットヘッドにお
いて、前記表面処理が撥水性を持たせる処理である構成
とした。
【0022】請求項9のインクジェットヘッドは、上記
請求項8のインクジェットヘッドにおいて、前記ノズル
形成部材のノズル孔内壁面に親水性を持たせる処理を施
した。
【0023】請求項10のインクジェットヘッドは、上
記請求項9のインクジェットヘッドにおいて、前記親水
性を持たせる処理が酸によるエッチングで行なわれてい
る構成とした。
【0024】請求項11のインクジェットヘッドは、上
記請求項9のインクジェットヘッドにおいて、前記親水
性を持たせる処理がドライエッチングで行なわれている
構成とした。
【0025】請求項12のインクジェットヘッドは、上
記請求項8乃至11のいずれかのインクジェットヘッド
において、前記表面処理がニッケル−フッ素系樹脂共析
電解メッキで行なわれている構成とした。
【0026】請求項13のインクジェットヘッドは、上
記請求項8乃至11のいずれかのインクジェットヘッド
において、前記表面処理がニッケル−リン−フッ素系樹
脂共析無電解メッキで行なわれている構成とした。
【0027】請求項14のインクジェットヘッドは、上
記請求項12又は13のインクジェットヘッドにおい
て、共析メッキにおけるフッ素系樹脂の含有率を20〜
40vol%にした。
【0028】請求項15のインクジェットヘッドは、上
記請求項12乃至14のいずれかのインクジェットヘッ
ドにおいて、前記表面処理で形成する層の厚みを1〜1
0μmにした。
【0029】請求項16のインクジェットヘッドの製造
方法は、請求項1乃至8のいずれかのインクジェットヘ
ッドを製造する方法において、ネガ型ドライフィルムレ
ジストをノズル形成部材の吐出面裏側からラミネート
し、ノズル孔から吐出面側にはみ出させ、ノズル形成部
材をマスクとしてノズル形成部材の吐出面裏側から露光
して硬化させ、現像を行なうことによってノズル形成部
材の吐出面側にノズル孔から凸形状に突出した突出部を
有するドライフィルムレジストパターンを形成し、その
後、ノズル形成部材の吐出面側に表面処理を施し、次い
で前記ドライフィルムレジストパターンを剥離する。
【0030】請求項17のインクジェットヘッドの製造
方法は、上記請求項1乃至8のいずれかのインクジェッ
トヘッドを製造する方法において、ネガ型ドライフィル
ムレジストをノズル形成部材の両面側からラミネート
し、ノズル形成部材をマスクとしてノズル形成部材の吐
出面裏側から露光して硬化させ、現像を行なうことによ
ってノズル形成部材の吐出面側にノズル孔から凸形状に
突出した突出部を有するドライフィルムレジストパター
ンを形成し、その後、ノズル形成部材の吐出面側に表面
処理を施し、次いで前記ドライフィルムレジストパター
ンを剥離する。
【0031】請求項18のインクジェットヘッドの製造
方法は、上記請求項1乃至8のいずれかのインクジェッ
トヘッドを製造する方法において、液状感光性樹脂を前
記ノズル形成部材のノズル孔内壁面を含む吐出面裏側に
コートして硬化させた後、ネガ型ドライフィルムレジス
トをノズル形成部材の吐出面裏側又は両面にラミネート
し、ノズル形成部材をマスクとしてノズル形成部材の吐
出面裏側から露光して硬化させ、現像を行なうことによ
ってノズル形成部材の吐出面側にノズル孔から凸形状に
突出した突出部を有するドライフィルムレジストパター
ンを形成し、その後、ノズル形成部材の吐出面側に表面
処理を施し、次いで前記ドライフィルムレジストパター
ン及び感光性樹脂を剥離する。
【0032】請求項19のインクジェットヘッドの製造
方法は、上記請求項1乃至8のいずれかに記載のインク
ジェットヘッドを製造する方法において、液状感光性樹
脂を前記ノズル形成部材の全面にコート、乾燥してから
吐出面裏側のみを硬化させる工程と、ネガ型ドライフィ
ルムレジストをノズル形成部材の吐出面裏側又は両面に
ラミネートし、ノズル形成部材をマスクとしてノズル形
成部材の吐出面裏側から露光して硬化させ、現像を行な
うことによってノズル形成部材の吐出面側にノズル孔か
ら凸形状に突出した突出部を有するドライフィルムレジ
ストパターンを形成する工程と、吐出面側の未硬化の感
光性樹脂を除去する工程からなり、その後表面処理を施
し、次いで前記ドライフィルムレジストパターン及び硬
化した感光性樹脂を剥離する。
【0033】請求項20のインクジェットヘッドの製造
方法は、上記請求項4のインクジェットヘッドを製造す
る方法において、電鋳によりホーン形状の孔を有する一
次ノズル形成部を形成し、ネガ型ドライフィルムレジス
トを一次ノズル形成部の両面にラミネートし、一次ノズ
ル形成部材自体をマスクとして一次ノズル形成部材の吐
出面裏側から露光して硬化させ、現像を行なうことによ
って一次ノズル形成部の吐出面側のノズル孔上に略円柱
形状をなす突出部を有するドライフィルムレジストパタ
ーンを形成し、その後、一次ノズル形成部材の吐出面側
に再度電鋳を行って、前記突出部の形状に沿った略円柱
形状の部分を有する二次ノズル形成部を前記一次ノズル
形成部と一体に形成してノズル形成部材とし、その後、
このノズル形成部材の吐出面側に表面処理を施し、次い
で前記ドライフィルムレジストパターンを剥離する。
【0034】請求項21のインクジェットヘッドの製造
方法は、上記請求項16乃至20のいずれかのインクジ
ェットヘッドの製造方法において、前記ドライフィルム
レジストに対する露光量及び/又は現像時間を調整可能
な手段で露光及び/又は現像する構成とした。
【0035】請求項22のインクジェットヘッドの製造
方法は、上記請求項16乃至21のいずれかのインクジ
ェットヘッドの製造方法において、前記表面処理層をフ
ッ素系樹脂を含む共析メッキで形成する構成とした。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。図1は本発明を適用するイン
クジェットヘッドの一実施例の外観斜視図、図2は図1
のA−A線に沿う要部拡大断面図、図3は図1のB−B
線に沿う要部拡大断面図である。このインクジェットヘ
ッドは、列状に設けた複数の圧電素子等を有するアクチ
ュエータユニット1と、アクチュエータユニット1上に
接合されて複数の圧電素子で変形部を介して加圧される
複数の加圧液室及びこの複数の加圧液室に連通する複数
のノズル孔等を形成している液室ユニット2とからな
る。
【0037】アクチュエータユニット1は、絶縁性の基
板3上に、複数の圧電素子を列状に設けた2列の圧電素
子列4,4と、これら2列の圧電素子列4,4の周囲を
取り囲むフレーム5を接着剤6によって接合している。
圧電素子列4は、インクを液滴化して飛翔させるための
駆動パルスが与えられる複数の圧電素子(これを「駆動
部圧電素子」という。)7,7…と、駆動部圧電素子
7,7間に位置し、駆動パルスが与えられずに単に液室
ユニット2を基板3に固定する複数の圧電素子(これを
「固定部圧電素子」という。)8,8…とを交互に配置
している。
【0038】液室ユニット2は、変形部であるダイアフ
ラム部11を形成した振動板12上に、加圧液室流路を
形成する感光性樹脂フィルム(ドライフィルムレジス
ト)からなる2層構造の液室流路形成部材13を接着
し、この液室流路形成部材13上に複数のノズル孔15
を形成したノズル形成部材であるノズルプレート16を
接着してなる。これら振動板12、液室流路形成部材1
3及びノズルプレート16によって、圧電素子列4の各
駆動部圧電素子7,7…に対向する変形可能なダイヤフ
ラム部11を有するそれぞれ略独立した複数の加圧液室
17,17…を形成し、かつ、ノズル孔15,15…を
振動板12のダイアフラム部11即ち圧電素子列4の各
駆動部圧電素子7,7…に対向して配列している。そし
て、この液室ユニット2は、その振動板12の所要の部
分を接着剤18によって固定部圧電素子8,8…及びフ
レーム5上に接合することで、全体としてアクチュエー
タユニット1上に高い剛性で接合している。
【0039】ここで、液室ユニット2を構成する各部の
材質及び構造について説明する。先ず、振動板12は、
図2に示すように液室流路形成部材13側を平坦面と
し、チャンネル方向と直交する方向では圧電素子列4側
にそれぞれ厚みの異なるダイアフラム領域12a、接合
領域12b及び逃げ領域12cを形成して、圧電素子列
4の駆動部圧電素子7,7…に対応してダイアフラム部
11、11…を形成したものである。
【0040】この振動板12のダイアフラム領域12a
は、最も厚みの薄い領域(薄肉部)であって、厚さを3
〜10μm程度にしたダイアフラム部11のダイアフラ
ム領域(駆動部圧電素子7の変位に応じて変形する弾性
部分)である。また、接合領域12bは、最も厚みの厚
い領域(厚肉部)であり、圧電素子列4の駆動部圧電素
子7及び固定部圧電素子8及びフレーム5との接合領域
であって、例えば20μm程度以上の厚さに形成してい
る。この場合、図3に示すようにチャンネル方向と直交
する方向では、各接合領域12bの内、固定部圧電素子
8に対応する部分は、液室ユニット2を固定部圧電素子
8に接合するための梁部12eとなる。更に、逃げ領域
12cは、中間の厚さの領域であって、駆動部圧電素子
7との接触を避けるための逃げ領域である。
【0041】この振動板12を形成する材料は、駆動部
圧電素子7による加圧力を加圧液室17に伝搬できる弾
性部分を形成でき、インクに対する耐液性がよく、低透
湿性のものであればよい。ただし、この振動板12とし
ては、固定部圧電素子8と高い剛性で接合する上で、ヤ
ング率を100Kg/mm2以上とした非弾性材料を用いる
ことが好ましい。ここでは、エレクトロンフォーミング
工法(電鋳)によって製造したNi(ニッケル)の金属
プレートを用いているが、この他SUS等の金属膜、非
常に薄い低透湿性の樹脂膜、例えばポリフェニレンサル
ファイド、ポリイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリ
クロロトリフルオロエチレン、アラミド等の樹脂膜を用
いることもできる。
【0042】液室流路形成部材13は、上記のように振
動板12上面とノズルプレート16下面との間に位置し
て各駆動部圧電素子7に対応する各加圧液室17を形成
すると共に、各加圧液室17にインクを供給するために
各加圧液室17の両側に位置する共通液室20と、各加
圧液室17の両側を共通液室20に連通する流体抵抗部
を兼ねた各インク供給路21,21とを形成するもので
あるが、その製造工程上、振動板12上面にドライフィ
ルムレジスト(感光性樹脂フィルム)を用いて所要の液
室パターンを形成した下側液室流路形成層22と、ドラ
イフィルムレジストを用いて所要の液室パターンを形成
した上側液室流路形成層23とを接合した2層構造とし
ている。
【0043】なお、ここでは液室流路形成層を2層構造
としているが、液室流路形状に合わせた3層以上の多層
構造でも本発明をそのまま適用することができる。ま
た、液室流路形成部材としては、上記のドライフィルム
レジストに代えて、例えばSi、Niプレートなど、そ
の他の材料を用いることもできる。
【0044】ノズルプレート16にはインク滴を飛翔さ
せるための微細孔である多数のノズル孔15を形成して
おり、このノズル孔15の径はインク滴出口側の直径で
35μm以下に形成している。このノズルプレート16
も振動板12と同様にエレクトロンフォーミング工法
(電鋳)によって製造したNi(ニッケル)の金属プレ
ートを用いているが、Si、その他の金属材料を用いる
こともできる。なお、実際には、1列32〜64個のノ
ズル孔15を2列配列した64〜128個構成で1つの
インクジェットヘッドを製作するが、この64〜128
個のノズル孔15を有するノズルプレート16の品質
は、インクの滴形状、飛翔特性を決定し、画像品質に大
きな影響を与えるものである。
【0045】上述したようなこのインクジェットヘッド
は、予めアクチュエータユニット1と液室ユニット2と
を別々に組付けた後、両ユニット1,2を接着接合して
製造している。ここで、液室ユニット2の加工・組付け
工程について図4乃至図6を参照して説明する。
【0046】先ず、次のようにして、振動板12に下側
液室流路形成層22を形成した部材を製造する。すなわ
ち、 図4(a)に示すように予めエレクトロンフォーミ
ング工法(電鋳)を用いてNi(ニッケル)の金属プレ
ートからなる振動板12を製造した後、同図(b)に示
すように振動板12のフラットな面上に下側液室流路形
成層22を形成するための感光性樹脂であるネガ型ドラ
イフィルムレジスト31を熱及び圧力によってラミネー
トする。このドライフィルムレジストの厚さは20〜5
0μm程度である。
【0047】 同図(c)に示すように流路パターン
に応じたマスク32を用いて紫外線(UV光)露光をし
て、露光部分を硬化させる。これにより、ドライフィル
ムレジスト31は同図(d)に示すように硬化部分(露
光部分)31aと未硬化部分(未露光部分)31bとが
生じる。 同図(e)に示すように未露光部分を除去できる溶
剤を用いて、現像して未露光部分を除去することによ
り、下側液室流路形成層22による液室パターンを形成
する。これにより、一度に全面の液室パターニングがで
きる。 水洗い、乾燥の後、再度紫外線露光と加熱によって
本硬化する。
【0048】一方、振動板12側と同様にして、ノズル
プレート16側に上側液室流路形成層23を形成した部
材を製造する。すなわち、 図5(a)に示すように予めエレクトロンフォーミ
ング工法(電鋳)を用いてNi(ニッケル)の金属プレ
ートからなるノズル孔15を有するノズルプレート16
を製造した後、同図(b)に示すようにノズルプレート
16上に上側液室流路形成層23を形成するための感光
性樹脂であるネガ型ドライフィルムレジスト33を熱及
び圧力によってラミネートする。このドライフィルムレ
ジストの厚さは40〜100μm程度である。
【0049】 同図(c)に示すように流路パターン
に応じたマスク34を用いて紫外線(UV光)露光をし
て、露光部分を硬化させる。これにより、ドライフィル
ムレジスト33は同図(d)に示すように硬化部分(露
光部分)33aと未硬化部分(未露光部分)33bとが
生じる。 同図(e)に示すように未露光部分を除去できる溶
剤を用いて、現像して未露光部分を除去することによ
り、上側液室流路形成層23による液室パターンを形成
する。これにより、一度に全面の液室パターニングがで
きる。 水洗い、乾燥の後、再度紫外線露光と加熱によって
本硬化する。
【0050】そして、図6に示すように、以上のように
して振動板12とノズルプレート16に形成されたドラ
イフィルムレジストからなる下側液室流路形成層22と
上側液室流路形成層23の対応する面同士を接合する。
この接合は位置合わせ治具を用いて行い、加圧及び前記
本硬化のときより高い温度での加熱を行う。なお、実際
には、以上の工程は、複数個分のヘッド面積のプレート
にて組付けを行うようにしている。
【0051】次に、本発明に係るインクジェットヘッド
における表面処理ノズルの詳細について図7乃至図9を
参照して説明する。先ず、本発明に係るインクジェット
ヘッドの表面処理ノズル40は、図7に示すように断面
がストレート形状のノズル孔41を形成したノズル形成
部材42の表面に、ノズル孔41と同様にストレート形
状の穴43aを形成した表面処理層(表面処理部分)4
3を形成している。ここで、表面処理層(表面処理部
分)43をノズル孔41の中心方向に若干せりださせる
ことによって、表面処理層43の穴43aの径をノズル
孔41の径よりも小さくしている。
【0052】このように表面処理層43の穴径をノズル
孔41の穴径よりも小さくすることによって、インク吐
出時のエネルギーを効率良く吐出滴(インク滴)に伝え
ることができ、滴速度が上がって、噴射効率が高くな
り、安定した噴射特性を得ることができて、印字品質を
向上することができる。
【0053】また、本発明に係る表面処理ノズル40
は、図8(a)、(b)に示すように表面処理層(表面
処理部分)43の表面をノズル孔近傍においても吐出面
に対して略平行になるように形成している(図7の例も
同じである。)。すなわち、表面処理ノズル40のエッ
ジ部43bが弛れないように形成することで、表面処理
層43の表面がノズル孔近傍においても吐出面に対して
平行になるようにする。この平行の程度からは、ノズル
孔エッジ部43bはR=1μm以下にすることが噴射特
性のバラツキの低減の点から好ましい。
【0054】つまり、図9(a)、(b)に示す表面処
理ノズル40’にあっても表面処理層43の穴径をノズ
ル孔41の穴径よりも小さく形成しているが、エッジ部
43bが弛れた状態になっている。このようにエッジ部
43bが弛れていると噴射特性のバラツキが生じ得る。
これに対して、図8に示すよう表面処理ノズル40のよ
うにエッジ部43bが弛れないようにすることで、噴射
特性のバラツキを低減することができるのである。
【0055】また、本発明に係る他の表面処理ノズル4
0は、図8に示すように略テーパ形状のノズル孔41を
形成したノズル形成部材42の表面に、テーパ形状の穴
43aを形成した表面処理層(表面処理部分)43を形
成している。ここで、表面処理層(表面処理部分)43
は上述のように穴43aの形状を吐出面側が小さいテー
パ形状にすることでノズル孔41の中心方向に若干せり
ださせて、表面処理層43の穴43aの径をノズル孔4
1の径よりも小さく、かつノズル孔41と段差なく連続
させている。
【0056】このように表面処理層43の穴43aを断
面テーパ形状に形成してノズル孔41に対して連続させ
ることにより、ノズル形成部材42のノズル孔41と表
面処理層43の穴43aとの間に、同図に示すように段
差がなくなり、この部分への気泡の滞留や引き込みが生
じ難くなり、これに伴う噴射ダウンを防止できると共
に、ノズル孔内壁面から表面処理層の穴内壁面が連続す
ることによって噴射方向が更に安定し、一層印字品質を
向上することができる。
【0057】ここで、表面処理層43の穴43aの径は
ノズル孔41の径に対して50%以上100%未満にす
ることが好ましい。表面処理層43の穴径をノズル孔径
に対して100%にすると、表面処理層43の穴径とノ
ズル孔径が同じになって従来の技術の項で述べたとおり
インク吐出時のエネルギーを効率良く吐出滴(インク
滴)に伝えることができなくなり、50%未満にするこ
とはインク滴の噴射特性に影響を与えることがある。上
記の範囲にすることによって、噴射効率の向上、噴射特
性の安定化を図ることができる。
【0058】さらに、本発明に係る他の表面処理ノズル
40は、図10に示すようにノズル形成部材42のノズ
ル孔41がホーン形状部41aとこのホーン形状部41
aに連続する略円柱形状部41bとからなり、この略円
柱形状部41bはインク吐出方向に向かって径が若干小
さくなるように形成している。これらのホーン形状部4
1a及び略円柱形状部41bを有するノズル形成部材4
2は、例えばホーン形状部41aを有する一次ノズル形
成部材42aと略円柱形状部41bを有する二次ノズル
形成部材42bとを一体に積層した構造にすることで得
られる。
【0059】このように、ノズル形成部材のノズル孔が
ホーン形状部とこのホーン形状部に連続する略円柱形状
部とからなり、インク吐出方向に向かって径が小さく形
成されているようにすることで、集積度を低下させるこ
となく、内部の気泡の排出性を向上させることができ
る。また、ノズル孔41の厚みを厚く形成することがで
きるため、ノズル形成部材の剛性が高くなり、チャンネ
ル間の相互干渉を低下することができる。さらに、吐出
面からの深さが深くなるため外部からの気泡を巻き込み
難くなり、安定性を向上することができる。
【0060】また、表面処理層43を形成するための表
面処理の種類としては、撥水性を持たせる撥水化処理、
親水性を持たせる親水化処理に大別される。撥水化処理
を施すことによって、ノズル形成部材表面にインク溜り
ができることを防止でき、インク溜りに伴う噴射効率の
低下、噴射方向の曲りを抑制することができる。
【0061】撥水化処理の工法としては、シリコン系、
フッ素系化合物の塗布や、同化合物のプラズマ重合膜、
熱蒸着膜の形成、さらにはフッ素系高分子共析メッキな
どを用いることができる。
【0062】ここで、撥水化処理として、例えば、フッ
素系高分子共析メッキを用いる場合の含フッ素系化合物
としては、例えば次のようなものを使用することができ
る。すなわち、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四
フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂(FE
P)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニル
エーテル共重合樹脂(PFA)、エチレン−四フッ化エ
チレン共重合樹脂(ETFE)、エチレン−三フッ化塩
化エチレン共重合樹脂(ECTFE)、三フッ化エチレ
ン樹脂(PCTFE)、フッ化ビニル樹脂(PVF)、
四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−パーフルオロ
アルキルビニルエーテル共重合樹脂(EPE)、フッ化
ビニリデン樹脂(PVdF)等の熱可塑性フッ素樹脂、
含熱可塑性エラストマー及びその他の含フッ素共重合樹
脂、及び、(CF)Nや(C2F)F等のフッ化カーボ
ンを使用することができる。特に、テトラフルオロエチ
レン(PTEF)とフッ化カーボンが好ましい。また、
共析メッキに用いる金属化合物としては、ニッケル、ク
ロム、銀、銅等を用いることができるが、特にニッケル
メッキ浴を用いるのが適当である。
【0063】撥水化処理として、例えばニッケル−フッ
素系樹脂共析電解メッキを用いてノズル形成部材の表面
から積み上げにより形成して行くことで、容易に表面処
理層を所望の径や形状に安定して形成することができ、
しかもワイピングに対する耐久性も向上する。また、ニ
ッケル−リン−フッ素系樹脂共析無電解メッキを用いる
ことによって、上記の作用効果に加えて、厚みムラが少
なく均一な表面処理層を得ることができる。
【0064】また、表面処理層43の膜厚は、吐出面側
には清浄化の目的で上述のようにワイピング操作が入る
ので、ある程度の厚さが必要であるが、他方、あまり厚
すぎると、処理時間がかかるために不経済となり、メッ
キの場合には内部応力によるノズルプレートの反りが発
生するおそれがあるので、1μm〜10μmの範囲内に
設定することが好ましい。
【0065】さらに、フッ素系高分子共析メッキによっ
て表面処理層43を形成する場合、フッ素系樹脂の含有
率を20〜40vol%にすることが好ましい。フッ素系
樹脂の含有率を20vol%未満にすると、充分な撥水性
が得られないことがあり、含有率が40vol%を越える
と、撥水性は高くなるが、表面処理層43のワイピング
に対する強度が低下したり、ノズル形成部材42との密
着性が低下することがある。
【0066】一方、親水化処理の工法としては、FeC
3、HNO3等の酸を用いたエッチングやドライエッチ
ング、或いは、金スパッタ等を用いることができる。親
水化処理を酸エッチングで行なうことによって、工程が
容易で量産性のある表面処理ノズルを得ることができ
る。また、ドライエッチングを用いることによって、後
述するようにノズル孔内壁面のみを選択的にエッチング
することができ、吐出面の荒れによる撥水性の低下を生
じることなく、ノズル孔内壁面のみを親水化することが
できる。
【0067】ところで、上述したようにノズル形成部材
42の表面に撥水化処理を施すときでも、ノズル孔41
の内面にはメニスカス位置の後退を防ぐために親水化処
理を施すことが好ましい。このノズル孔41内面の親水
化処理は、例えば、図11(a)に示すようにノズル孔
41を形成したノズル形成部材42の全面に、同図
(b)に示すように上述したような親水化処理工法を用
いて親水層44を形成し、同図(c)に示すようにノズ
ル形成部材42の吐出面側に前述した撥水処理工法を用
いた表面処理層43を形成することによって行なうこと
ができる。
【0068】このように吐出面側に撥水性を持たせ、ノ
ズル孔内面(内壁面)に親水性を持たせる処理を施すこ
とによって、噴射方向の安定性と高速応答性を確保する
ことができ、更に一層印字品質が向上する。
【0069】次に、本発明に係る表面処理ノズルの製造
方法について説明する。先ず、図12を参照して製造方
法の第1例を説明すると、同図(a)に示すようにエレ
クトロフォーミング(電鋳)工法によってノズル孔41
を形成したノズル形成部材42を形成する。ノズル形成
部材を金属で形成することによって、表面処理にメッキ
工法を採用することができる。また、電鋳工法を採用す
ることによって、ノズル孔がテーパ形状となり、ノズル
孔と表面処理部分の穴との段差を無くして滑らかにする
ことが容易にできる。
【0070】そこで、同図(b)に示すようにノズル形
成部材42の吐出面裏側(図2の加圧液室17側の面を
いう。)にネガ型ドライフィルムレジスト45をラミネ
ートする。このとき、ラミネート温度、圧力を調整し
て、同図(b)に示すようにドライフィルムレジスト4
5の一部がノズル孔41の穴部から吐出面側にはみ出た
はみ出し部45aが形成されるようにする。このはみ出
し部45aの表面からのはみ出し量は形成する表面処理
層の厚みに応じて設定する。
【0071】その後、同図(c)に示すようにノズル形
成部材42の吐出面裏側から紫外線(UV光)を照射し
て全面露光することにより、同図(d)に示すようにド
ライフィルムレジスト45が硬化して硬化ドライフィル
ムレジスト46となる。このとき、ノズル形成部材42
がマスクとなっているので、図13に拡大して示すよう
にノズル孔41の穴部から吐出面側にはみ出しているは
み出し部45aはノズル孔41の穴部に対向している部
分のみが硬化されて硬化はみ出し部46aとなる。
【0072】そこで、これを現像することによって、図
12(e)及び図14に示すように、ノズル孔41から
吐出面側にはみ出したテーパ状の凸形状をなす突出部4
7aを有するドライフィルムレジストパターン(フォト
レジストパターン)47ができ上がる。この場合、露光
量及び/又は現像時間を調整可能な露光装置や現像装置
を使用することによって、例えば図15(a)に示すよ
うに露光量を大きくして現像時間を短くしたときには突
出部47aは相対的に太くなり、同図(b)に示すよう
に露光量を小さくして現像時間を長くしたときには突出
部47aは相対的に細くなる、というようにドライフィ
ルムレジストパターン47の突出部47aの形状を容易
に変更設定することができる。
【0073】次いで、図12(f)に示すように撥水化
処理をする場合には例えばフッ素系樹脂共析メッキを積
んで所定の厚みの表面処理層43を形成する。なお、こ
のときの表面処理層43の厚みは、ドライフィルムレジ
ストパターン47の突出部47aの厚み(ノズル形成部
材42表面からの高さ)より薄くなるようにすることが
好ましい。これは、表面処理層43の厚み(メッキ厚)
が突出部47aの厚みより厚くなると、突出部47a上
に表面処理層43が乗り上げてしまって、充分な精度が
得られず、かつフォトレジストパターン47の剥離時に
剥離不良を引き起こすおそれがあるからである。
【0074】その後、フォトレジストパターン47を剥
離することによって、同図(g)及び図16に示すよう
にノズル孔41を形成したノズル形成部材42の表面に
テーパ形状の穴43aを形成した表面処理層43を形成
してなる表面処理ノズル40が得られる。
【0075】ここで、上述したドライフィルムレジスト
を用いた凸部形状(突出部の形状)には、ノズル形成
部材をマスクとして露光するため、ノズル孔の径以上に
は広がらない、現像の段階で露光面の反対側から現像
するため、ドライフィルムレジスト上面側は架橋率が低
く、パターン細りが生じて径が小さくなり易い、露光
量を抑え、突出部の径の細りを大きくしていくと、今後
はパターンの真円度がくずれ、ノズル孔形状が適さなく
なる(縦スジ等が発生する)、などの制約がある。この
ような制約を考慮すると、表面処理層の穴径はノズル孔
径の50%以上〜100%未満に限定される。
【0076】このように、ネガ型ドライフィルムレジス
トをノズル形成部材の吐出面裏側からラミネートし、ノ
ズル孔から吐出面側にはみ出させ、ノズル形成部材をマ
スクとしてノズル形成部材の吐出面裏側から露光して硬
化させ、現像を行なうことによってノズル形成部材の吐
出面側にノズル孔から凸形状に突出した凸部を有するド
ライフィルムレジストパターンを形成し、その後、ノズ
ル形成部材の吐出面側に表面処理層を形成する処理を施
し、次いで硬化したドライフィルムレジストを剥離する
ことにより、容易にノズル孔径よりも穴径の小さな表面
処理部分を設けた表面処理ノズルを得ることができる。
【0077】次に、図17及び図18を参照して製造方
法の第2例を説明する。図17(a)に示すようにエレ
クトロフォーミング工法によってノズル孔41を形成し
たノズル形成部材42を形成した後、同図(b)に示す
ようにノズル形成部材42の吐出面裏側にネガ型ドライ
フィルムレジスト45をラミネートする。このとき、ラ
ミネート温度、圧力を調整して、同図(b)に示すよう
にドライフィルムレジスト45の一部がノズル孔41の
穴部から吐出面側にはみ出たはみ出し部45aが形成さ
れるようにする。
【0078】その後、同図(c)に示すようにノズル形
成部材42の吐出面側にもネガ型ドライフィルムレジス
ト48をラミネートする。このときドライフィルムレジ
スト45のはみ出し部45aは、ドライフィルムレジス
ト48と一体になる。この際、はみ出し部45aのはみ
出し量が充分でないと、ドライフィルムレジスト48の
ラミネート時にノズル孔内壁部に空気がとじ込められ、
形成される凸部の形状、強度に悪影響が生じる。
【0079】次いで、同図(d)に示すようにノズル形
成部材42の吐出面裏側から紫外線(UV光)を照射し
て全面露光することにより、図18(a)に示すように
ドライフィルムレジスト45が硬化すると共に、ノズル
形成部材42がマスクとなっているので、ドライフィル
ムレジスト48のノズル孔41に対向している部分のみ
が硬化して、これらが一体となった硬化ドライフィルム
レジスト49となる。
【0080】そこで、これを現像することによって、同
図(b)及び図19に示すように、ノズル孔41の穴部
に凸形状の突出部50aを有するドライフィルムレジス
トパターン50ができ上がる。この場合も、露光量及び
/又は現像時間を調整可能な露光装置や現像装置を使用
することによって、ドライフィルムレジストパターン5
0の突出部50aの形状を容易に設定することができ
る。
【0081】次いで、図18(c)に示すように撥水化
処理をする場合には例えばフッ素系樹脂共析メッキを積
んで所定の厚みの表面処理層43を形成した後、フォト
レジストパターン50を剥離することによって、同図
(d)及び図20に示すようにノズル孔41を形成した
ノズル形成部材42の表面にテーパ形状の穴43aを形
成した表面処理層43を形成してなる表面処理ノズル4
0が得られる。
【0082】このように、ネガ型ドライフィルムレジス
トをノズル形成部材の両面側からラミネートし、ノズル
形成部材をマスクとしてノズル形成部材の吐出面裏側か
ら露光して硬化させ、現像を行なうことによってノズル
形成部材の吐出面側にノズル孔から凸形状に突出した凸
部を有するドライフィルムレジストパターンを形成し、
その後、ノズル形成部材の吐出面側に表面処理層を形成
する処理を施し、次いで硬化したドライフィルムレジス
トを剥離することにより、容易にノズル径よりも穴径の
小さな表面処理部分を設けた表面処理ノズルを得ること
ができると共に、吐出面裏側からのみラミネートする場
合に比べてより厚い表面処理層を形成することができ
る。
【0083】次に、図21及び図22を参照して製造方
法の第3例について説明する。図21(a)に示すよう
に前同様に形成したノズル形成部材42に、同図(b)
に示すようにノズル孔41の内壁面及びノズル形成部材
42の吐出面裏側に液状感光性樹脂51をコート、乾燥
し、同図(c)に示すように紫外線照射して露光し、同
図(d)に示すように加熱して、硬化感光性樹脂52を
形成する。
【0084】その後、同図(e)に示すようにノズル形
成部材42のネガ型ドライフィルムレジスト45をラミ
ネートし、以後、前述した第2例の図17(d)、図1
8(a)〜(c)と同様に、図21(f)、図22
(a)〜(d)に示すノズル形成部材42の吐出面側へ
のドライフィルムレジスト48のラミネート、ノズル形
成部材42の吐出面裏側からの露光による硬化ドライフ
ィルムレジスト49の形成、現像によるフォトレジスト
パターン50の形成、表面処理層43の形成の各工程を
行なった後、フォトレジストパターン50及び硬化感光
性樹脂層52を剥離することによって、同図(e)に示
すように表面処理ノズル40を得る。なお、ここではド
ライフィルムレジストのラミネートをノズル形成部材4
2の両面側に行なう例(前記第2例)に適用したが、ノ
ズル形成部材42の吐出面裏側に行なう例(前記第1
例)に適用することもできる。
【0085】このように、ノズル形成部材にネガ型ドラ
イフィルムレジストをラミネートする前に液状感光性樹
脂をコートして硬化させた層を設けることによって、ド
ライフィルムレジストとノズル形成部材との密着性が高
くなり、ノズル孔エッジ部でのドライフィルムレジスト
の剥離を防止し、これによる表面処理層のノズル孔内へ
の回り込みを防止できる。
【0086】つまり、ドライフィルムレジストを露光硬
化、現像する場合に、現像オーバーになると、図23
(a)に示すようにノズル形成部材42のノズル孔41
の吐出面側エッジ部とでき上がったドライフィルムレジ
ストパターン50との間に隙間54が発生し、そのため
に表面処理層43を形成するときに、同図(b)に示す
ように表面処理層43がノズル孔41内に回り込んで、
表面処理層43の穴43aにエッジ部55のダレが発生
して、所望のインク滴形状が得られなくなるなど噴射特
性が低下することがある。上述のように感光性樹脂をコ
ートしておくことにより、このような回り込みを防止で
きるのである。
【0087】なお、図21及び図22に示した例では、
ネガ型の液状感光性樹脂を用いた実施例で説明したが、
液状感光性樹脂としてポジ型のものを用いることもでき
る。ポジ型感光性樹脂を用いた場合には、ノズル形成部
材に塗布する際に、感光性樹脂がノズル孔を塞ぐように
膜状に残ったとしても、吐出面側から露光することによ
り、膜部分のみ溶剤可溶性となり、容易に除去できると
いう利点がある。また、これらの液状感光性樹脂の塗布
方法としては、例えばスピンコーター法、ロールコータ
ー法を用いることができる。
【0088】次に、図24及び図25を参照して製造方
法の第4例について説明する。図24(a)に示すよう
に前同様に形成したノズル形成部材42に、同図(b)
に示すようにノズル孔41の内壁面及びノズル形成部材
42の表裏面に、すなわちノズル形成部材42の全面に
液状感光性樹脂51をコートし、乾燥し、同図(c)に
示すように紫外線照射して露光し、ノズル形成部材42
の吐出面裏側及びノズル孔41内壁面の感光性樹脂51
のみを硬化させて硬化感光性樹脂52を形成する。この
とき、ノズル形成部材42の吐出面側の感光性樹脂51
はノズル形成部材42がマスクとなるので未硬化のまま
である。
【0089】その後、同図(e)に示すようにノズル形
成部材42のネガ型ドライフィルムレジスト45をラミ
ネートし、同図(f)に示すようにノズル形成部材42
の吐出面側へのドライフィルムレジスト48のラミネー
トし、図25(a)に示すようにノズル形成部材42吐
出面裏側からの露光して、同図(b)に示すように硬化
ドライフィルムレジスト49の形成し、同図(c)に示
すように現像をしてフォトレジストパターン50を形成
した後、同図(d)に示すように未硬化の感光性樹脂5
1を現像して除去し、同図(e)に示すように表面処理
層43を形成した後、フォトレジストパターン50及び
硬化感光性樹脂層52を剥離することによって、同図
(f)に示すように表面処理ノズル40を得る。なお、
ここではドライフィルムレジストのラミネートをノズル
形成部材42の両面側に行なう例(前記第2例)に適用
したが、ノズル形成部材42の吐出面裏側に行なう例
(前記第1例)に適用することもできる。
【0090】このように、ノズル形成部材にネガ型ドラ
イフィルムレジストをラミネートする前に液状感光性樹
脂をコートする場合に、ノズル形成部材の全面にコート
することによって、液状感光性樹脂をディップ法でコー
トすることが可能になり、工程が簡単になる。
【0091】なお、ここでも、ネガ型の液状感光性樹脂
を用いた実施例で説明したが、上述したように液状感光
性樹脂としてポジ型のものを用いることもできる。ここ
で、ポジ型感光性樹脂を用いた場合には、ノズル形成部
材42の吐出面側から露光することにより、吐出面側の
感光性樹脂が溶剤可溶性となる。このとき、ノズル形成
部材42の吐出面裏側の感光性樹脂51はノズル形成部
材42がマスクとなるので溶剤不溶性のままである。
【0092】また、ここでは、未硬化の感光性樹脂の現
像除去を工程の最後で行っているが、例えばネガ型ドラ
イフィルムのラミネート前に行うことも可能である。
【0093】次に、図26及び図27を参照して図10
に示す表面処理ノズルを製造する本発明に係る製造方法
の第5例について説明する。図26(a)に示すように
電鋳工法によってノズル孔となるホーン形状部41aを
形成した一次ノズル形成部材42aを形成した後、同図
(b)に示すように一次ノズル形成部材42aの吐出面
裏側にネガ型ドライフィルムレジスト57をラミネート
する。このとき、ラミネート温度、圧力を調整して、同
図(b)に示すようにドライフィルムレジスト57の一
部がホーン形状部41aの穴部から吐出面側にはみ出た
はみ出し部57aが形成されるようにする。
【0094】その後、同図(c)に示すように一次ノズ
ル形成部材42aの吐出面側にもネガ型ドライフィルム
レジスト58をラミネートする。このドライフィルムレ
ジスト58の厚みは、後述する略円柱形状部42bの厚
みと表面処理層43の厚みを加えたもの以上とする。こ
のときドライフィルムレジスト57のはみ出し部57a
は、ドライフィルムレジスト58と一体になる。この
際、はみ出し部57aのはみ出し量が充分でないと、ド
ライフィルムレジスト58のラミネート時にノズル孔内
壁部に空気がとじ込められ、形成される凸部の形状、強
度に悪影響が生じる。
【0095】次いで、同図(d)に示すように一次ノズ
ル形成部材42aの吐出面裏側から紫外線(UV光)を
照射して全面露光することにより、同図(e)に示すよ
うにドライフィルムレジスト57が硬化すると共に、一
次ノズル形成部材42aがマスクとなっているので、ド
ライフィルムレジスト58のホーン形状部41aに対向
している部分のみが硬化して、これらが一体となった硬
化ドライフィルムレジスト59となる。
【0096】そこで、これを現像することによって、同
図(f)に示すように、ホーン形状部41aに凸形状の
突出部60aを有するドライフィルムレジストパターン
60ができ上がる。この場合も、露光量及び/又は現像
時間を調整可能な露光装置や現像装置を使用することに
よって、ドライフィルムレジストパターン60の突出部
60aの形状を容易に設定することができる。
【0097】次いで、図27(a)に示すように一次ノ
ズル形成部材42aの吐出面側に再度電鋳を行って、ホ
ーン形状部41aに連続する略円柱形状部41bを形成
した二次ノズル形成部材42bを一次ノズル形成部材4
2aと一体に形成して、同図(b)に示すようにホーン
形状部41a及びこれに連続する略円柱形状部41bを
有するノズル形成部材42を完成する。これに同図
(c)に示すように表面処理層43を形成した後、ドラ
イフィルムレジストパターン60を剥離することによっ
て、同図(d)に示すようにホーン形状部41a及びこ
れに連続する略円柱形状部41bを有するノズル形成部
材42に表面処理層43を設けた表面処理ノズル40を
得る。
【0098】このようにホーン形状ノズル孔を形成した
後に、ドライフィルムレジストの凸状部をノズル孔吐出
面に形成し、これをパターンに二度目の電鋳を行い、続
いて表面処理層を形成することにより、ホーン形状部と
略円柱形状部の位置ずれがなく、かつ径が吐出方向に向
かって小さくなっていく表面処理ノズルを容易に形成す
ることができる。
【0099】なお、上記製造方法の各例における表面処
理としては代表的な共析メッキについて述べたが、この
共析メッキの材料としては、上村工業製のニムフロン
(無電界メッキ)、メタフロン(電界メッキ)等を用い
ることができる。また、共析メッキ以外にも、フッ素粒
子含有塗料や前述した一般的なシリコン系、フッ素系化
合物のスプレー塗布法といったノズル形成部材上に形成
していくタイプの表面処理工法全般を適用することがで
きる。
【0100】また、上記各実施例においては、本発明を
エネルギー発生手段として圧電素子を用いるピエゾアク
チュエータ方式のインクジェットヘッドに適用した例に
ついて説明したが、エネルギー発生手段にヒーターを用
いるいわゆるバブルジェット方式のインクジェットヘッ
ドにも適用することができる。さらに、表面処理ノズル
としては加圧液室を形成する部材と別体にした構造のも
のに限らず、加圧液室を形成する部材と一体構造のもの
にも適用することができる。
【0101】さらに、上記実施例においては、ノズル形
成部材としてプレート状のものを用いた例について説明
したが、複数の部材(例えば溝を形成した部材とその溝
を覆う部材)を組合わせてノズル孔を形成するものであ
っても、本発明を同様に適用することができる。
【0102】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1のインク
ジェットヘッドによれば、インクを吐出するノズル孔を
形成したノズル形成部材の吐出面側に所定の表面処理を
したインクジェットヘッドにおいて、表面処理部分の穴
径をノズル孔の径よりも小さくしたので、エネルギー発
生手段から噴射滴に効率的にエネルギーを伝えることが
でき、噴射効率を向上させ、安定させることができ、印
字品質が向上する。
【0103】請求項2のインクジェットヘッドによれ
ば、上記請求項1のインクジェットヘッドにおいて、表
面処理部分の表面がノズル孔近傍部において吐出面に対
して略平行に形成されている構成としたので、噴射方向
のバラツキを低減することができ、印字品質が向上す
る。
【0104】請求項3のインクジェットヘッドによれ
ば、上記請求項1のインクジェットヘッドにおいて、表
面処理部分のノズル孔近傍部がR=1μm以下のエッジ
部を形成している構成としたので、噴射方向のバラツキ
を低減することができ、印字品質が向上する。
【0105】請求項4のインクジェットヘッドによれ
ば、上記請求項1乃至3のいずれかのインクジェットヘ
ッドにおいて、ノズル形成部材のノズル孔がホーン形状
部とこのホーン形状部に連続する略円柱形状部とからな
り、インク吐出方向に向かって径が小さくなるように形
成されている構成としたので、集積度を低下させること
なく、内部の気泡の排出性が向上し、また、ノズル形成
部材の厚みが厚くなることで剛性が高くなってチャンネ
ル間の相互干渉が低減し、さらに、吐出面からの深さが
深くなることで気泡巻き込みが低減して吐出安定性が向
上し、印字品質が向上する。
【0106】請求項5のインクジェットヘッドによれ
ば、上記請求項1乃至4のいずれかのインクジェットヘ
ッドにおいて、表面処理部分の穴をテーパ形状に形成し
て、ノズル孔と段差なく連続させたので、ノズル孔と表
面処理部分の穴との接続部での気泡の滞留や引き込みを
低減することができ、噴射ダウンを防止できると共に、
噴射方向の安定性を向上でき、印字品質が向上する。
【0107】請求項6のインクジェットヘッドによれ
ば、上記請求項1乃至5のいずれかのインクジェットヘ
ッドにおいて、表面処理部分の穴径を吐出口の径に対し
て50%以上100%未満にしたので、上記請求項1乃
至5の効果をより効果的に発現することができる。
【0108】請求項7のインクジェットヘッドによれ
ば、上記請求項1乃至6のいずれかのインクジェットヘ
ッドにおいて、ノズル形成部材を電鋳工法で形成したの
で、表面処理をメッキで行なうことができると共に、ノ
ズル孔と表面処理部分とに段差のないインクジェットヘ
ッドを容易にえることができる。
【0109】請求項8のインクジェットヘッドによれ
ば、上記請求項1乃至7のいずれかのインクジェットヘ
ッドにおいて、表面処理が撥水性を持たせる処理である
構成としたので、吐出面側でのインク溜りの発生を抑え
ることができ、噴射効率の低下を抑制できると共に、噴
射方向曲りの発生を抑えることができ、印字品質が向上
する。
【0110】請求項9のインクジェットヘッドによれ
ば、上記請求項8のインクジェットヘッドにおいて、ノ
ズル形成部材のノズル孔内壁面に親水性を持たせる処理
を施したので、ノズル孔内壁面の濡れ性を良くし、メニ
スカス形成位置を吐出面近傍に持ってくることができ、
噴射効率を高めることができる。
【0111】請求項10のインクジェットヘッドによれ
ば、上記請求項9のインクジェットヘッドにおいて、親
水性を持たせる処理が酸によるエッチングで行なわれて
いる構成としたので、工程が容易で量産性を高めること
ができる。
【0112】請求項11のインクジェットヘッドによれ
ば、上記請求項9のインクジェットヘッドにおいて、親
水性を持たせる処理がドライエッチングで行なわれてい
る構成としたので、ノズル孔内壁面のみを選択的にエッ
チングすることにより、ノズル孔表面の荒れによる撥水
性の低下を伴うことなく、ノズル孔内壁面のみを親水化
することができる。
【0113】請求項12のインクジェットヘッドによれ
ば、上記請求項8乃至11のいずれかのインクジェット
ヘッドにおいて、表面処理がニッケル−フッ素系樹脂共
析電解メッキで行なわれている構成としたので、容易に
表面処理層の穴径や形状を安定して形成することがで
き、吐出面のワイピングに対する耐久性も得られる。
【0114】請求項13のインクジェットヘッドによれ
ば、上記請求項8乃至11のいずれかのインクジェット
ヘッドにおいて、表面処理がニッケル−リン−フッ素系
樹脂共析無電解メッキで行なわれている構成としたの
で、請求項12の効果に加えて厚みムラが少ないより均
一な表面処理層を得ることができる。
【0115】請求項14のインクジェットヘッドによれ
ば、上記請求項12又は13のインクジェットヘッドに
おいて、共析メッキにおけるフッ素系樹脂の含有率を2
0〜40vol%にしたので、充分な撥水性、耐磨耗性を
持ち、かつノズル形成部材に強い密着性を持つ表面処理
層を得ることができる。
【0116】請求項15のインクジェットヘッドによれ
ば、上記請求項12乃至14のいずれかのインクジェッ
トヘッドにおいて、表面処理で形成する層の厚みを1〜
10μmにしたので、ワイピングなどに対しても耐性が
あり、信頼性が向上する。
【0117】請求項16のインクジェットヘッドの製造
方法によれば、請求項1乃至8のいずれかのインクジェ
ットヘッドを製造する方法において、ネガ型ドライフィ
ルムレジストをノズル形成部材の吐出面裏側からラミネ
ートし、ノズル孔から吐出面側にはみ出させ、ノズル形
成部材をマスクとしてノズル形成部材の吐出面裏側から
露光して硬化させ、現像を行なうことによってノズル形
成部材の吐出面側に吐出口から凸形状に突出した突出部
を有するドライフィルムレジストパターンを形成し、そ
の後、ノズル形成部材の吐出面側に表面処理を施し、次
いでドライフィルムレジストパターンを剥離してインク
ジェットヘッドを得るので、容易に請求項1乃至5のい
ずれかのインクジェットヘッドを製造することができ
る。
【0118】請求項17のインクジェットヘッドの製造
方法によれば、上記請求項1乃至8のいずれかのインク
ジェットヘッドを製造する方法において、ネガ型ドライ
フィルムレジストをノズル形成部材の両面側からラミネ
ートし、ノズル形成部材をマスクとしてノズル形成部材
の吐出面裏側から露光して硬化させ、現像を行なうこと
によってノズル形成部材の吐出面側にノズル孔から凸形
状に突出した突出部を有するドライフィルムレジストパ
ターンを形成し、その後、ノズル形成部材の吐出面側に
表面処理を施し、次いでドライフィルムレジストパター
ンを剥離してインクジェットヘッドを得るので、容易に
請求項1乃至5のいずれかのインクジェットヘッドを製
造することができると共に、表面処理層の厚みを厚く形
成することができる。
【0119】請求項18のインクジェットヘッドの製造
方法によれば、上記請求項1乃至8のいずれかのインク
ジェットヘッドを製造する方法において、液状感光性樹
脂を前記ノズル形成部材のノズル孔内壁面を含む吐出面
裏側にコートして硬化させた後、ネガ型ドライフィルム
レジストをノズル形成部材の吐出面裏側又は両面にラミ
ネートし、ノズル形成部材をマスクとしてノズル形成部
材の吐出面裏側から露光して硬化させ、現像を行なうこ
とによってノズル形成部材の吐出面側にノズル孔から凸
形状に突出した突出部を有するドライフィルムレジスト
パターンを形成し、その後、ノズル形成部材の吐出面側
に表面処理を施し、次いで前記ドライフィルムレジスト
パターン及び感光性樹脂を剥離してインクジェットヘッ
ドを得るので、容易に請求項1乃至5のいずれかのイン
クジェットヘッドを製造することができると共に、ドラ
イフィルムレジストとノズル形成部材の密着性が高ま
り、吐出口エッジ部でのドライフィルムレジストの剥離
が防止され、表面処理層の吐出口内への回り込みを防止
することができる。
【0120】請求項19のインクジェットヘッドの製造
方法によれば、上記請求項1乃至8のいずれかに記載の
インクジェットヘッドを製造する方法において、液状感
光性樹脂を前記ノズル形成部材の全面にコート、乾燥し
てから吐出面裏側のみを硬化させる工程と、ネガ型ドラ
イフィルムレジストをノズル形成部材の吐出面裏側又は
両面にラミネートし、ノズル形成部材をマスクとしてノ
ズル形成部材の吐出面裏側から露光して硬化させ、現像
を行なうことによってノズル形成部材の吐出面側にノズ
ル孔から凸形状に突出した突出部を有するドライフィル
ムレジストパターンを形成する工程と、吐出面側の未硬
化の感光性樹脂を除去する工程からなり、その後表面処
理を施し、次いで前記ドライフィルムレジストパターン
及び硬化した感光性樹脂を剥離してインクジェットヘッ
ドを得るので、請求項15の効果に加えて、液体感光性
樹脂の塗布工程を簡単にすることができる。
【0121】請求項20のインクジェットヘッドの製造
方法によれば、上記請求項4のインクジェットヘッドを
製造する方法において、電鋳によりホーン形状の孔を有
する一次ノズル形成部を形成し、ネガ型ドライフィルム
レジストを一次ノズル形成部の両面にラミネートし、一
次ノズル形成部材自体をマスクとして一次ノズル形成部
材の吐出面裏側から露光して硬化させ、現像を行なうこ
とによって一次ノズル形成部の吐出面側のノズル孔上に
略円柱形状をなす突出部を有するドライフィルムレジス
トパターンを形成し、その後、一次ノズル形成部材の吐
出面側に再度電鋳を行って、前記突出部の形状に沿った
略円柱形状の部分を有する二次ノズル形成部を一次ノズ
ル形成部と一体に形成してノズル形成部材とし、その
後、このノズル形成部材の吐出面側に表面処理を施し、
次いで前記ドライフィルムレジストパターンを剥離する
構成としたので、容易に請求項4のインクジェットヘッ
ドを製造することができる。
【0122】請求項21のインクジェットヘッドの製造
方法によれば、上記請求項16乃至20のいずれかのイ
ンクジェットヘッドの製造方法において、ドライフィル
ムレジストに対する露光量及び/又は現像時間を調整可
能な手段で露光及び/又は現像する構成としたので、表
面処理部分の穴径とノズル孔径との比を容易に変えるこ
とができる。
【0123】請求項22のインクジェットヘッドの製造
方法によれば、上記請求項16乃至21のいずれかのイ
ンクジェットヘッドの製造方法において、表面処理層を
フッ素系樹脂を含む共析メッキで形成する構成としたの
で、表面処理層の穴径や形状制御が容易で、かつノズル
孔と表面処理層との間に段差がなく、ワイピング耐性に
も優れたインクジェットヘッドを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用するインクジェットヘッドの外観
斜視図
【図2】図1のA−A線に沿う要部拡大断面図
【図3】図1のB−B線に沿う要部拡大断面図
【図4】液室ユニットの製造工程のうちの振動板の製造
工程を説明する工程図
【図5】液室ユニットの製造工程のうちのノズルプレー
トの製造工程を説明する工程図
【図6】液室ユニットの製造工程のうちの振動板とノズ
ルプレートの接合を説明する工程図
【図7】本発明に係るインクジェットヘッドの表面処理
ノズルの要部拡大説明図
【図8】(a)は本発明に係る他の表面処理ノズルの要
部拡大説明図、(b)は(a)の更に要部拡大説明図
【図9】(a)は本発明に係る図8の表面処理ノズルと
比較するための表面処理ノズルの要部拡大説明図、
(b)は(a)の更に要部拡大説明図
【図10】本発明に係る更に他の表面処理ノズルを説明
する要部拡大説明図
【図11】本発明に係る更にまた他の表面処理ノズルを
説明する要部拡大説明図
【図12】本発明に係る表面処理ノズルの製造方法の第
1例を説明する工程図
【図13】図12(c)の要部拡大図
【図14】図12(d)の要部拡大図
【図15】露光量及び現像時間とドライフィルムレジス
トパターンの形状との関係の説明に供する説明図
【図16】図12(g)の要部拡大図
【図17】本発明に係る表面処理ノズルの製造方法の第
2例の途中までを説明する工程図
【図18】同第2例の続きを説明する工程図
【図19】図18(b)の要部拡大図
【図20】図18(d)の要部拡大図
【図21】本発明に係る表面処理ノズルの製造方法の第
3例の途中までを説明する工程図
【図22】同第3例の続きを説明する工程図
【図23】表面処理層のノズル孔内への回り込みの説明
に供する説明図
【図24】本発明に係る表面処理ノズルの製造方法の第
4例の途中までを説明する工程図
【図25】同第4例の続きを説明する工程図
【図26】本発明に係る表面処理ノズルの製造方法の第
5例の途中までを説明する工程図
【図27】同第5例の続きを説明する工程図
【図28】従来の表面処理ノズルの要部拡大説明図
【図29】従来の他の表面処理ノズルの要部拡大説明図
【符号の説明】
1…アクチュエータユニット、2…液室ユニット、7…
駆動部圧電素子、12…振動板、15…ノズル孔、16
…ノズルプレート、17…加圧液室、40…表面処理ノ
ズル、41…ノズル孔、42…ノズル形成部材、43…
表面処理層、43a…表面処理層の穴、44…親水化処
理層、45,48,57…ネガ型ドライフィルムレジス
ト、47,50,60…ドライフィルムレジストパター
ン、47a,50a,60a…突出部、51…液状感光
性樹脂。

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを吐出するノズル孔を形成するノ
    ズル形成部材の吐出面側に所定の表面処理をしたインク
    ジェットヘッドにおいて、前記表面処理部分の穴径を前
    記ノズル孔の径よりも小さくしたことを特徴とするイン
    クジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のインクジェットヘッド
    において、前記表面処理部分の表面がノズル孔近傍部で
    吐出面に対して略平行に形成されていることを特徴とす
    るインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のインクジェットヘッド
    において、前記表面処理部分のノズル孔近傍部がR=1
    μm以下のエッジ部を形成していることを特徴とするイ
    ンクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載のイン
    クジェットヘッドにおいて、前記ノズル形成部材のノズ
    ル孔がホーン形状部とこのホーン形状部に連続する略円
    柱形状部とからなり、インク吐出方向に向かって径が小
    さくなるように形成されていることを特徴とするインク
    ジェットヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載のイン
    クジェットヘッドにおいて、前記表面処理部分の穴をテ
    ーパ形状に形成して、前記ノズル孔と段差なく連続させ
    たことを特徴とするインクジェットヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載のイン
    クジェットヘッドにおいて、前記表面処理部分の穴径を
    前記ノズル孔の径に対して50%以上100%未満にし
    たことを特徴とするインクジェットヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかに記載のイン
    クジェットヘッドにおいて、前記ノズル形成部材を電鋳
    工法で形成したことを特徴とするインクジェットヘッ
    ド。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7のいずれかに記載のイン
    クジェットヘッドにおいて、前記表面処理が撥水性を持
    たせる処理であることを特徴とするインクジェットヘッ
    ド。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載のインクジェットヘッド
    において、前記ノズル形成部材のノズル孔内壁面に親水
    性を持たせる処理を施したことを特徴とするインクジェ
    ットヘッド。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載のインクジェットヘッ
    ドにおいて、前記親水性を持たせる処理が酸によるエッ
    チングで行なわれていることを特徴とするインクジェッ
    トヘッド。
  11. 【請求項11】 請求項9に記載のインクジェットヘッ
    ドにおいて、前記親水性を持たせる処理がドライエッチ
    ングで行なわれていることを特徴とするインクジェット
    ヘッド。
  12. 【請求項12】 請求項8乃至11のいずれかに記載の
    インクジェットヘッドにおいて、前記表面処理がニッケ
    ル−フッ素系樹脂共析電解メッキで行なわれていること
    を特徴とするインクジェットヘッド。
  13. 【請求項13】 請求項8乃至11のいずれかに記載の
    インクジェットヘッドにおいて、前記表面処理がニッケ
    ル−リン−フッ素系樹脂共析無電解メッキで行なわれて
    いることを特徴とするインクジェットヘッド。
  14. 【請求項14】 請求項12又は13に記載のインクジ
    ェットヘッドにおいて、共析メッキにおけるフッ素系樹
    脂の含有率を20〜40vol%にしたことを特徴とする
    インクジェットヘッド。
  15. 【請求項15】 請求項12乃至14のいずれかに記載
    のインクジェットヘッドにおいて、前記表面処理で形成
    する層の厚みを1〜10μmにしたことを特徴とするイ
    ンクジェットヘッド。
  16. 【請求項16】 請求項1乃至8のいずれかに記載のイ
    ンクジェットヘッドを製造する方法において、ネガ型ド
    ライフィルムレジストをノズル形成部材の吐出面裏側か
    らラミネートし、ノズル孔から吐出面側にはみ出させ、
    ノズル形成部材をマスクとしてノズル形成部材の吐出面
    裏側から露光して硬化させ、現像を行なうことによって
    ノズル形成部材の吐出面側にノズル孔から凸形状に突出
    した突出部を有するドライフィルムレジストパターンを
    形成し、その後、ノズル形成部材の吐出面側に表面処理
    を施し、次いで前記ドライフィルムレジストパターンを
    剥離することを特徴とするインクジェットヘッドの製造
    方法。
  17. 【請求項17】 請求項1乃至8のいずれかに記載のイ
    ンクジェットヘッドを製造する方法において、ネガ型ド
    ライフィルムレジストをノズル形成部材の両面側からラ
    ミネートし、ノズル形成部材をマスクとしてノズル形成
    部材の吐出面裏側から露光して硬化させ、現像を行なう
    ことによってノズル形成部材の吐出面側にノズル孔から
    凸形状に突出した突出部を有するドライフィルムレジス
    トパターンを形成し、その後、ノズル形成部材の吐出面
    側に表面処理を施し、次いで前記ドライフィルムレジス
    トパターンを剥離することを特徴とするインクジェット
    ヘッドの製造方法。
  18. 【請求項18】 請求項1乃至8のいずれかに記載のイ
    ンクジェットヘッドを製造する方法において、液状感光
    性樹脂を前記ノズル形成部材のノズル孔内壁面を含む吐
    出面裏側にコートして硬化させた後、ネガ型ドライフィ
    ルムレジストをノズル形成部材の吐出面裏側又は両面に
    ラミネートし、ノズル形成部材をマスクとしてノズル形
    成部材の吐出面裏側から露光して硬化させ、現像を行な
    うことによってノズル形成部材の吐出面側にノズル孔か
    ら凸形状に突出した突出部を有するドライフィルムレジ
    ストパターンを形成し、その後、ノズル形成部材の吐出
    面側に表面処理を施し、次いで前記ドライフィルムレジ
    ストパターン及び感光性樹脂を剥離することを特徴とす
    るインクジェットヘッドの製造方法。
  19. 【請求項19】 請求項1乃至8のいずれかに記載のイ
    ンクジェットヘッドを製造する方法において、液状感光
    性樹脂を前記ノズル形成部材の全面にコート、乾燥して
    から吐出面裏側のみを硬化させる工程と、ネガ型ドライ
    フィルムレジストをノズル形成部材の吐出面裏側又は両
    面にラミネートし、ノズル形成部材をマスクとしてノズ
    ル形成部材の吐出面裏側から露光して硬化させ、現像を
    行なうことによってノズル形成部材の吐出面側にノズル
    孔から凸形状に突出した突出部を有するドライフィルム
    レジストパターンを形成する工程と、吐出面側の未硬化
    の感光性樹脂を除去する工程からなり、その後表面処理
    を施し、次いで前記ドライフィルムレジストパターン及
    び硬化した感光性樹脂を剥離することを特徴とするイン
    クジェットヘッドの製造方法。
  20. 【請求項20】 請求項4に記載のインクジェットヘッ
    ドを製造する方法において、電鋳によりホーン形状の孔
    を有する一次ノズル形成部を形成し、ネガ型ドライフィ
    ルムレジストを一次ノズル形成部の両面にラミネート
    し、一次ノズル形成部材自体をマスクとして一次ノズル
    形成部材の吐出面裏側から露光して硬化させ、現像を行
    なうことによって一次ノズル形成部の吐出面側のノズル
    孔上に略円柱形状をなす突出部を有するドライフィルム
    レジストパターンを形成し、その後、一次ノズル形成部
    材の吐出面側に再度電鋳を行って、前記突出部の形状に
    沿った略円柱形状の部分を有する二次ノズル形成部を前
    記一次ノズル形成部と一体に形成してノズル形成部材と
    し、その後、このノズル形成部材の吐出面側に表面処理
    を施し、次いで前記ドライフィルムレジストパターンを
    剥離することを特徴とするインクジェットヘッドの製造
    方法。
  21. 【請求項21】 請求項16乃至20のいずれかに記載
    のインクジェットヘッドの製造方法において、前記ドラ
    イフィルムレジストに対する露光量及び/又は現像時間
    を調整可能な手段で露光及び/又は現像することを特徴
    とするインクジェットヘッドの製造方法。
  22. 【請求項22】 請求項16乃至21のいずれかに記載
    のインクジェットヘッドの製造方法において、前記表面
    処理層をフッ素系樹脂を含む共析メッキで形成すること
    を特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
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