JP3942118B2 - インクジェット記録装置及びインクジェットヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録装置及びインクジェットヘッドに関し、特に振動板を用いるインクジェットヘッド及びこのヘッドを備えたインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、プリンタ、ファクシミリ、複写装置等に用いられるインクジェット記録装置の記録ヘッドを構成するインクジェットヘッドとして、インク滴を吐出する複数のノズル孔と、各ノズル孔に対応するインク液室(「加圧液室」ともいう。)と、このインク液室内のインクを加圧する圧電素子等の電気機械変換素子やヒータ等の電気熱変換素子などのエネルギー発生手段を備え、エネルギー発生手段を記録信号に応じて駆動することで所要のインク液室内のインクを加圧してノズル孔からインク滴を噴射させるものである。
【0003】
このようなインクジェットヘッドとして、従来、例えば特開平9−76534号公報に記載されているように、絶縁性基板上に積層型圧電素子を配列し、この圧電素子上にダイアフラム部を有する振動板を積層し、この振動板上に圧電素子でダイアフラム部を介して加圧されるインク液室及びこのインク液室にインクを供給するインク供給路等を形成する液室隔壁部材を積層し、更にこの液室隔壁部材上にノズルを形成したノズル形成部材を積層したものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、積層型圧電素子は圧電体の積層界面に電極層として銀−パラジウム等の合金を介して積層され、且つこれらの金属が層間の圧電体を接合する役割を持っている。このような構成は金属板からなる振動板を接合した積層型圧電素子の最上層でも同様なことが言え、振動板は1つの電極層となって容量結合により電気的なイオンが蓄積される。
【0005】
この場合、振動板がインクを介して電気的な低い電位差のあるところと接合されていると電流が流れることになる。具体的には、振動板とノズル形成部材とが絶縁状態であって、且つノズル形成部材がノズルカバーなどを通じて接地されている(アースに落とされている)状態である。このとき、容量結合によって振動板に誘起された電圧で、振動板からインクを介してノズル板を経てノズルカバーを介してアースに電流が流れる。これによって、振動板の金属イオン、例えば振動板をニッケルで形成している場合にはNiイオンが流れ出すことになる。
【0006】
ところが、振動板には効率的に圧電素子の変位をインク液室に伝達するため、数μm程度の薄層のダイアフラム部を形成しているので、イオン流出が起こるとダイアフラム部には簡単に穴が明くことになる。このように振動板に穴が明くと、インク液室内のインクが圧電素子の周囲に浸入して圧電機能を減殺し、その結果吐出不良が発生する。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、金属製の振動板の溶解を防止して長期的に安定した印写を行えるインクジェット記録装置及びインクジェットヘッドを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1のインクジェットヘッドは、インク滴を吐出するノズルを有する金属材料で形成したノズル形成部材と、このノズル形成部材にインク液室を介して対向する導電性の振動板と、この振動板に接合した積層型圧電素子とを備え、積層型圧電素子の圧電体上に振動板が接合されたインクジェットヘッドにおいて、積層型圧電素子の周囲を囲むフレーム部材を備え、このフレーム部材に設けられた導電性部材を介して前記振動板が接地されることにより、積層型圧電素子を駆動したときに振動板に誘起される誘起電圧がアースに流れる構成とした。
【0009】
請求項2のインクジェットヘッドは、請求項1のインクジェットヘッドにおいて、フレーム部材が樹脂で形成され、このフレーム部材に導電性部材が形成されている構成とした。
【0010】
請求項3のインクジェットヘッドは、請求項1又は2のインクジェットヘッドにおいて、フレーム部材を貫通する導電性部材を介して振動板が接地されている構成とした。
【0011】
請求項4のインクジェット記録装置は、電気機械変換素子による変位で振動板を介してインク液室内のインクを加圧してノズルからインク滴を吐出させるインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置において、インクジェットヘッドが請求項1ないし3のいずれかのインクジェットヘッドである構成とした。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。図1は本発明を適用するインクジェットヘッドの一例を示す分解斜視図、図2は同ヘッドのチャンネル方向(ノズル配列方向)と直交する方向の要部拡大断面図、図3は同ヘッドのチャンネル方向の要部拡大断面図である。
【0016】
このインクジェットヘッドは、駆動ユニット1と、液室ユニット2と、ヘッドカバー3とを備えている。
駆動ユニット1は、セラミックス基板、例えばチタン酸バリウム、アルミナ、フォルステライトなどの絶縁性の基板11上に、エネルギー発生手段である複数の積層型圧電素子12を列状に2列配置して接合し、これら2列の各圧電素子12の周囲を取り囲む樹脂、セラミック等からなるフレーム部材13を接着剤14によって接合している。
【0017】
複数の圧電素子12は、インクを液滴化して飛翔させるための駆動パルスが与えられる圧電素子(これを「駆動部」という。)17,17…と、駆動部17,17間に位置し、駆動パルスが与えられずに単に液室ユニット2を基板11に固定する液室支柱部材となる圧電素子(これを「非駆動部」という。)18,18…とを交互に構成している。
【0018】
ここで、圧電素子12としては10層以上の積層型圧電素子を用いている。この積層型圧電素子は、例えば図2に示すように、厚さ10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)20と、厚さ数μm/1層の銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電極21とを交互に積層したものであるが、圧電素子として用いる材料は上記に限られるものでなく、その他の電気機械変換素子を用いることもできる。
【0019】
各圧電素子12の内部電極21は1層おきにAgPdからなる左右の端面電極22,23(2つの圧電素子列の対向する面側を端面電極22とし、対向しない面側を端面電極23とする。)に接続している。一方、基板11上には、図1に示すようにNi・Au蒸着、Auメッキ、AgPtペースト印刷、AgPdペースト印刷等によって共通電極24及び個別電極25の各パターンを設けている。
【0020】
そして、各列の各圧電素子12の対向する端面電極22を導電性接着剤26を介して共通電極24に接続し、他方、各列の各圧電素子12の対向しない端面電極23を同じく導電性接着剤26を介してそれぞれ個別電極25に接続している。これにより、駆動部17に駆動電圧を与えることによって、積層方向に電界が発生して、駆動部17には積層方向の伸びの変位(d33方向の変位)が生起される。なお、共通電極24は、図2にも示すように、フレーム部材13に設けた穴13a内に導電性接着剤26を充填することで各圧電素子に接続されたパターンの導通を取っている。
【0021】
一方、液室ユニット2は、金属材料からなる振動板31と、ドライフィルムレジスト(DFR)からなる感光性樹脂層で形成した2層構造の液室隔壁部材32と、金属材料からなるノズルプレート33とを順次を積層し、熱融着して形成している。これらの各部材によって、1つの圧電素子12(駆動部17)と、この1つの圧電素子12に対応するダイアフラム部34と、各ダイアフラム部34を介して加圧される加圧液室35と、この加圧液室35の両側に位置して加圧液室35に供給するインクを導入する共通液室36,36と、加圧液室35と共通液室36,36とを連通するインク供給路37,37と、加圧液室35に連通するノズル38とによって1つのチャンネルを形成し、このチャンネルを複数個2列設けている。
【0022】
振動板31は、金属材料、例えば電鋳工法によるNiメッキ膜等で形成したもので、駆動部17に対応する前記ダイアフラム部34と、非駆動部18に接合する梁41及びフレーム部材13に接合するベース42とを形成している。ダイアフラム部34は、駆動部17に接合する島状凸部43と、この凸部43の周囲に形成した厚み3〜10μm程度の最薄膜部分(ダイアフラム領域)44とからなる。
【0023】
液室隔壁部材32は、振動板31側に予めドライフィルムレジストをラミネートして所要のマスクを用いて露光し、現像して所定の液室パターンを形成した第1感光性樹脂層45と、ノズルプレート33側に予めドライフィルムレジストをラミネートして所要のマスクを用いて露光し、現像して所定の液室パターンを形成した第2感光性樹脂層46とを熱圧着で接合してなる。
【0024】
ノズルプレート33は金属材料、例えば電鋳工法によるNiメッキ膜等で形成したもので、インク滴を飛翔させるための微細な吐出口であるノズル38を多数を形成している。このノズル38の内部形状(内側形状)は、ホーン形状(略円柱形状又は略円錘台形状でもよい。)に形成している。また、このノズル38の径はインク滴出口側の直径で約25〜35μmである。
【0025】
このノズルプレート33のインク吐出面(ノズル表面側)は、図1に示すように撥水性の表面処理を施した撥水処理面47としている。例えば、PTFE−Ni共析メッキやフッ素樹脂の電着塗装、蒸発性のあるフッ素樹脂(例えばフッ化ピッチなど)を蒸着コートしたもの、シリコン系樹脂・フッ素系樹脂の溶剤塗布後の焼き付け等、インク物性に応じて選定した撥水処理膜を設けて、インクの滴形状、飛翔特性を安定化し、高品位の画像品質を得られるようにしている。なお、ノズルプレート33の周縁部は撥水処理膜を形成しない非撥水処理面48としている。
【0026】
なお、駆動ユニット1の基板11と圧電素子12及びフレーム部材13とは接着剤49で接合して組付け、また、液室ユニット2も駆動ユニット1とは別個に加工、組立を行なった後、液室ユニット2の振動板31と駆動ユニット1の圧電素子12及びフレーム部材13とを接着剤50で接合してインクジェットヘッドとしている。
【0027】
そして、基板11をヘッド支持部材であるスペーサ部材(ヘッドホルダ)51上に支持して保持し、このスペーサ部材51内に配設したヘッド駆動用IC等を有するPCB52と駆動ユニット1の各圧電素子12(駆動部17)に接続した各電極24,25とをFPCケーブル53,53を介して接続している。
【0028】
また、ノズルカバー(ヘッドカバー)3は、ノズルプレート33の周縁部及びヘッド側面を覆う箱状に形成した金属材料からなり、ノズルプレート33の撥水処理面47に対応して開口部を形成し、ノズルプレート33の周縁部に残した非撥水処理面48に接着剤にて接着接合している。さらに、このインクジェットヘッドには、図示しないインクカートリッジからのインクを液室に供給するため、スペーサ部材51、基板11、フレーム部材13及び振動板31にそれぞれインク供給穴54〜57を設けている。
【0029】
このように構成したインクジェットヘッドにおいては、記録信号に応じて駆動部17に駆動波形(10〜50Vのパルス電圧)を印加することによって、駆動部17に積層方向の変位が生起し、振動板31のダイアフラム部34を介して加圧液室35が加圧されて圧力が上昇し、ノズル38からインク滴が吐出される。このとき、加圧液室35から共通液室36へ通じるインク供給路37,37方向へもインクの流れが発生するが、インク供給路37,37の断面積を狭小にすることで流体抵抗部として機能させて共通液室36,36側へのインクの流れを低減し、インク吐出効率の低下を防いでいる。
【0030】
そして、インク滴吐出の終了に伴い、加圧液室35内のインク圧力が低減し、インクの流れの慣性と駆動パルスの放電過程によって加圧液室34内に負圧が発生してインク充填行程へ移行する。このとき、インクタンクから供給されたインクは共通液室36,36に流入し、共通液室36,36からインク供給路37,37を経て加圧液室35内に充填される。そして、ノズル38の出口付近のインクメニスカス面の振動が減衰し、表面張力によってノズル38の出口付近に戻されて(リフィル)安定状態に至れば、次のインク滴吐出動作に移行する。
【0031】
次に、このインクジェットヘッドに本発明を適用した第1実施例について図4及び図5を参照して説明する。
この第1実施例では、図4に示すようにインクジェットヘッドの振動板42の端部にノズルカバー3を装着したときにその内面に弾性によって圧接される突出部42aを一体形成している。そして、このノズルカバー3はインクジェット記録装置本体(以下「プリンタ本体」という。)のアース(以下「GND」ともいう。)に電気的に接続している。
【0032】
即ち、図5に示すように、複数の色、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)等の各ヘッドH…を各色毎にノズル位置が合わされるヘッド取付け台61に取付け、各ヘッドH…のノズルカバー3をヘッド取付け台61上に設けたGNDライン62に接続端子63で接続することで、各ヘッドHのノズルカバー3を一括してプリンタ本体のGNDに接続する。
【0033】
このように構成したので、振動板42は突出部42aを介してノズルカバー3に電気的に接続され、更にこのノズルカバー3を介してプリンタ本体のGNDに電気的に接続されて接地される。
【0034】
この実施例の作用について図6をも参照して説明すると、上述したように圧電素子12に対して同図に示すように立ち上がりが急峻で、立下がりがなだらかな波形をなす駆動波形(駆動電圧)を印加した場合、圧電素子12の最上層に接合した振動板42を金属材料で形成しているので、この振動板42は一種の電極材となって圧電素子12との容量結合によって電圧が誘起される。この振動板42に誘起される誘起電圧も同図に示すように立ち上がりが急峻で、立下がりがなだらかな波形をなる。ただし、波高値は、駆動電圧が25V程度のとき誘起電圧は15V程度であって約60%となる。
【0035】
ここで、振動板42が上述のように電気的に接地されていない場合でも、振動板42が電気的に浮いていれば電荷は流れないが、振動板42に対向して設けた金属材料からなるノズルプレート33があるために導電性のインクを通じて振動板42中の金属イオンが溶出し、これによって振動板42の最も薄いダイアフラム部44に穴が明いてインクが圧電素子12側に流出することがある。
【0036】
これに対して、この実施例のように振動板42に突出部42aを設けて、この突出部42aを電気的に接地されたノズルカバー3に圧接させて、ノズルカバー3を介して電気的に接地することで、振動板42の誘起電圧はアースに流れることになるので、誘起電圧によって振動板42の金属イオンがインク中に溶出することが防止され、振動板42が溶解して穴が明くことが防止される。
【0037】
このように振動板を電気的に接地することによって誘起電圧による振動板の溶解が防止されるので、振動板の信頼性が向上し、長期的に安定したインク滴吐出を行うことができて印写品質を確保することができる。そして、この場合、この実施例のように振動板をノズルカバーを介して接地することによって、カラーインクジェット記録装置のように複数のヘッドを備えたときに、複数のヘッドの振動板をまとめて同電位に落とすことができ、生産性が向上する。
【0038】
次に、本発明の第2実施例について図7を参照して説明する。
この実施例では、基板11上に形成した接地される導通パターンであるGNDライン65に対応してフレーム部材13の外側壁に導電性接着剤を塗布するための溝部66を形成して、この溝部66内にフレーム部材13上に接合する振動板42と基板11上のGNDライン65とを電気的に導通させる導電性接着剤68を塗布している。そして、この基板11のGNDライン65はFPCケーブル53のGNDライン53aを通じてPCB基板52に接続されて、プリンタ本体のGNDにアースされている。
【0039】
これによって、振動板42は導電性接着剤68を介して基板11上のGNDライン65に接続され、更にGNDライン65からFPCケーブル53のGNDライン53a、PCB基板52を介してプリンタ本体にアースされるので、上記第1実施例と同様に、振動板42の誘起電圧をアースに落とすことができ、誘起電圧によって振動板42の金属イオンがインク中に溶出することが防止される。
【0040】
このように、基板に形成した接地される導通パターンと振動板とを電気的に接続することによって、ヘッド単体内で振動板を電気的に接地することができるので、カラーインクジェット記録装置のように複数のヘッドを用いるときでも、インクジェット記録装置にヘッドを搭載する前に各ヘッド毎に溶解防止処理の信頼性を確保することができる。
【0041】
次に、本発明の第3実施例について図8を参照して説明する。
この実施例でも、基板11上に形成した導通パターンであるGNDライン65に対応してフレーム部材13に導電性接着剤を充填するための貫通穴67を形成して、この穴部67内に振動板42と基板11上のGNDライン65とを電気的に導通させる導電性接着剤68を塗布している。
【0042】
したがって、上記第2実施例と同様に、振動板42は導電性接着剤68を介して基板11上のGNDライン65に接続され、更にGNDライン65からFPCケーブル53のGNDライン53a、PCB基板52を介してプリンタ本体にアースされるので、振動板42の誘起電圧をアースに落とすことができ、誘起電圧によって振動板42の金属イオンがインク中に溶出することが防止される。
【0043】
このように、基板に形成した接地される導通パターンと振動板とを電気的に接続することによって、ヘッド単体内で振動板を電気的に接地することができるので、カラーインクジェット記録装置のように複数のヘッドを用いるときでも、インクジェット記録装置にヘッドを搭載する前に各ヘッド毎に溶解防止処理の信頼性を確保することができる。そして、この実施例のように導電性接着剤を充填する貫通穴を形成するときには、振動板を接合する前に貫通穴内に導電性接着剤を盛り上がるよう塗布することで、振動板をフレーム部材及び圧電素子とエポキシ接着剤などで接合すると同時に電気的接続も行うことができて工程を短縮化できる。
【0044】
次に、本発明の第4実施例について図9を参照して説明する。
この実施例では、ノズルプレート33及び液室隔壁部材32に貫通穴71,72を形成して、これらの貫通穴71,72内に導電性接着剤73を充填し、振動板42とノズルプレート33とを電気的に接続している。例えば、ノズルプレート33にディスペンサのニードルを挿入できる程度の穴(約0.8φ)を形成し、液室隔壁部材32にも同様の穴を形成する。
【0045】
したがって、振動板42とノズルプレート33との間で電位差を生じないために、ノズルプレート33と振動板42との間に電位差が発生したような場合でも振動板42の金属イオンがインク中に溶出することが防止され、振動板の信頼性が向上し、長期的に安定したインク滴吐出を行うことができて印写品質を確保することができる。
【0046】
そして、このように単に振動板42とノズルプレート33とを導通状態にして電気的に浮かせた状態にすることで、振動板42に誘起された電荷は流出しないので、安価に且つ容易に誘起電圧による振動板42の溶解を防止することができる。なお、振動板42とノズルプレート33とを導通状態にして電気的に浮かせた状態にするには、ヘッド取付け台を絶縁材料で形成してノズルカバー3を接地しなければよい。
【0047】
次に、本発明の第5実施例について図10を参照して説明する。
この実施例では、上記第4実施例のノズルプレート33にノズルカバー3を圧接して電気的に接続している。そして、ノズルカバー3は前記第1実施例と同様にして(図5参照)プリンタ本体のGNDに接続している。
【0048】
したがって、振動板42は導電性接着剤73及びノズルカバー3等を介して接地されて、振動板42に誘起される電圧はアースに流れることになるので、誘起電圧によって振動板42の金属イオンがインク中に溶出することが防止され、振動板の信頼性が向上し、長期的に安定したインク滴吐出を行うことができて印写品質を確保することができる。そして、この場合、複数のヘッドのインクに接触する液室構成部品を同電位差にすることができ、電気的に安定した状態となって振動板のみならずノズルプレートからの溶出も防止できて信頼性が向上する。
【0049】
次に、本発明の第6実施例について図11を参照して説明する。
この実施例では、フレーム部材13に前記第3実施例と同様に基板11上のGNDパターン65に対応する位置に貫通穴75を形成し、更に振動板42及び液室隔壁部材32にそれぞれ貫通穴75に対応する位置に貫通穴76,77を形成して、これらの貫通穴75〜77内に導電性接着剤78を充填して、ノズルプレート33及び振動板42とを導電性接着剤78を介して基板11上のGNDパターン65に接続し、このGNDパターン65、FPCケーブル53、PCB基板52を介してプリンタ本体のGNDに接続している。
【0050】
これによって振動板42はノズルプレート33と導通されると共に導電性接着剤78、GNDパターン65等を介して接地されるので、振動板42に誘起される電圧はアースに流れ、誘起電圧によって振動板42の金属イオンがインク中に流出することが防止され、振動板の信頼性が向上し、安定した印写品質を確保することができる。また、ノズルプレート33も接地されることで、ノズルプレート33からの金属イオンの溶出も防止される。
【0051】
このように振動板とノズルプレートとを導通状態にした上、各ヘッド毎にそれ自身のPCB基板内のGNDに落とすことで、ヘッド単体状態で確実に振動板をアースに落とすことができ、振動板及びノズルプレートの金属イオンの溶出を防止できる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るインクジェットヘッドによれば、積層型圧電素子の周囲を囲むフレーム部材を備え、このフレーム部材に設けられた導電性部材を介して振動板が接地されることにより、前記積層型圧電素子を駆動したときに前記振動板に誘起される誘起電圧がアースに流れる構成としたので、振動板に誘起電圧が生じても振動板中の金属イオンがインク中に流出して穴が明くことが防止され、振動板の信頼性が向上し、画像品質が向上する。
【0053】
本発明に係るインクジェット記録装置によれば、本発明に係るインクジェットヘッドを備えている構成としたので、振動板に誘起電圧が生じても振動板中の金属イオンがインク中に流出して穴が明くことが防止され、振動板の信頼性が向上し、画像品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用するインクジェットヘッドの一例を示す分解斜視図
【図2】同ヘッドのチャンネル方向と直交する方向の要部拡大断面図
【図3】同ヘッドのチャンネル方向の要部拡大断面図
【図4】本発明の第1実施例を示す要部断面図
【図5】同実施例の斜視図
【図6】駆動波形と誘起電圧の関係を説明する説明図
【図7】本発明の第2実施例を示す要部斜視図
【図8】本発明の第3実施例を示す要部斜視図
【図9】本発明の第4実施例を示す要部断面
【図10】本発明の第5実施例を示す要部断面
【図11】本発明の第6実施例を示す要部断面
【符号の説明】
1…駆動ユニット、2…液室ユニット、3…ノズルカバー、11…基板、12…圧電素子、13…フレーム部材、32…液室隔壁部材、33…ノズルプレート、42…振動板、53…FPCケーブル、65…GNDパターン、66部…溝、67…穴部、68…導電性接着剤、71,72,75〜77…貫通穴、73,78…導電性接着剤。
Claims (4)
- インク滴を吐出するノズルを有する金属材料で形成したノズル形成部材と、このノズル形成部材にインク液室を介して対向する導電性の振動板と、この振動板に接合した積層型圧電素子とを備え、前記積層型圧電素子の圧電体上に前記振動板が接合されたインクジェットヘッドにおいて、
前記積層型圧電素子の周囲を囲むフレーム部材を備え、このフレーム部材に設けられた導電性部材を介して前記振動板が接地されることにより、前記積層型圧電素子を駆動したときに前記振動板に誘起される誘起電圧がアースに流れることを特徴とするインクジェットヘッド。 - 請求項1に記載のインクジェットヘッドにおいて、前記フレーム部材が樹脂で形成され、このフレーム部材に導電性部材が形成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
- 請求項1又は2に記載のインクジェットヘッドにおいて、前記フレーム部材を貫通する導電性部材を介して前記振動板が接地されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
- 電気機械変換素子による変位で振動板を介してインク液室内のインクを加圧してノズルからインク滴を吐出させるインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置において、前記インクジェットヘッドが請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェットヘッドであることを特徴とするインクジェット記録装置。
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