以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの斜視図であり、図2は、インクジェット式記録ヘッドの平面図であり、図3は図2のA−A′線の断面図であり、図4は図3の要部を拡大した図及びそのB−B′線の断面図であり、図5は、図4のC−C′線断面図である。
図示するように、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドIは、ヘッド本体11、ケース部材40等の複数の部材を備え、これら複数の部材が接着剤等によって接合されている。本実施形態では、ヘッド本体11は、本実施形態のアクチュエーター基板である流路形成基板10と、連通板15と、ノズルプレート20と、保護基板30と、コンプライアンス基板45と、を具備する。
ヘッド本体11を構成する流路形成基板10は、圧電アクチュエーター300が設けられたアクチュエーター基板である。流路形成基板10には、一方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁によって区画された圧力発生室12がインクを吐出する複数のノズル開口21が並設される方向に沿って並設されている。以降、この方向を圧力発生室12の並設方向、又は第1の方向Xと称する。また、流路形成基板10には、圧力発生室12が第1の方向Xに並設された列が複数列、本実施形態では、2列設けられている。この圧力発生室12が第1の方向Xに沿って形成された圧力発生室12の列が複数列設された列設方向を、以降、第2の方向Yと称する。さらに、本実施形態では、第1の方向X及び第2の方向Yに直交する方向を、以降、第3の方向Zと称する。
また、流路形成基板10には、圧力発生室12の第2の方向Yの一端部側に、当該圧力発生室12よりも開口面積が狭く、圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を付与する供給路等が設けられていてもよい。
また、流路形成基板10の一方面側には、連通板15が接合されている。また、連通板15には、各圧力発生室12に連通する複数のノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接合されている。
連通板15には、圧力発生室12とノズル開口21とを連通するノズル連通路16が設けられている。連通板15は、流路形成基板10よりも大きな面積を有し、ノズルプレート20は流路形成基板10よりも小さい面積を有する。このようにノズルプレート20の面積を比較的小さくすることでコストの削減を図ることができる。
また、連通板15には、マニホールド100の一部を構成する第1マニホールド部17と、第2マニホールド部18とが設けられている。
第1マニホールド部17は、連通板15を第3の方向Zに貫通して設けられている。
また、第2マニホールド部18は、連通板15を第3の方向Zに貫通することなく、連通板15のノズルプレート20側に開口して第3の方向Zの途中まで設けられている。
さらに、連通板15には、圧力発生室12の第2の方向Yの一端部に連通する供給連通路19が、各圧力発生室12毎に独立して設けられている。この供給連通路19は、第2マニホールド部18と圧力発生室12とを連通する。
ノズルプレート20には、各圧力発生室12とノズル連通路16を介して連通するノズル開口21が形成されている。すなわち、ノズル開口21は、同じ種類の液体であるインクを噴射するものが第1の方向Xに並設され、この第1の方向Xに並設されたノズル開口21の列が第2の方向Yに2列形成されている。
一方、図4に示すように、流路形成基板10の連通板15とは反対面側には、振動板50が形成されている。本実施形態では、振動板50として、流路形成基板10側に設けられた酸化シリコンからなる弾性膜51と、弾性膜51上に設けられた酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜52と、を設けるようにした。なお、圧力発生室12等の液体流路は、例えば、流路形成基板10を第3の方向Zの一方面側、本実施形態では、連通板15が接合される面側から異方性エッチングすることにより形成されており、圧力発生室12等の液体流路の他方面は、弾性膜51によって画成されている。なお、振動板50は、上述したものに限定されず、例えば、弾性膜51のみで構成されていてもよく、絶縁体膜52のみで構成されていてもよい。また、振動板50は、弾性膜51、絶縁体膜52に加えて、他の膜を有するものであってもよい。また、振動板50の材料は上述したものに限定されるものではない。
また、振動板50の絶縁体膜52上には、第1電極60と、圧電体層70と、第2電極80とが、本実施形態では、成膜及びリソグラフィー法によって積層形成されて圧電アクチュエーター300を構成している。ここで、圧電アクチュエーター300は、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分をいう。一般的には、圧電アクチュエーター300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、第1電極60を圧電アクチュエーター300の共通電極とし、第2電極80を圧電アクチュエーター300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。なお、上述した例では、第1電極60が、複数の圧力発生室12に亘って連続して設けられているため、第1電極60が振動板の一部として機能するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、上述の弾性膜51及び絶縁体膜52の何れか一方又は両方を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。
また、圧電アクチュエーター300の第2電極80には、本実施形態の引き出し配線であるリード電極90が接続されている。具体的には、リード電極90は、第2の方向Yにおいて、第2電極80の圧電アクチュエーター300の列の間側の端部から、流路形成基板10上に引き出されている。本実施形態では、流路形成基板10上には、振動板50が設けられているため、リード電極90は、第2電極80上から振動板50上に引き出されている。もちろん、リード電極90は、流路形成基板10の弾性膜51上に引き出されていてもよく、流路形成基板10の直上に引き出されていてもよい。つまり、リード電極90が流路形成基板10上に引き出されているとは、流路形成基板10の直上も、間に他の部材が介在した状態、すなわち、上方も含むものである。なお、本実施形態では、特に図示していないが、第1電極60からもリード電極90と同一層からなるが、リード電極90とは電気的に独立した共通リード電極が形成されている。なお、共通リード電極については、リード電極90と略同じ構成であるため、重複する説明は省略する。
このようなリード電極90は、流路形成基板10側に設けられた密着層91と、密着層91上に設けられた導電層92と、が第3の方向Zに積層されて設けられている。
密着層91は、圧電アクチュエーター300の電極、本実施形態では第2電極80と、導電層92との密着性を向上すると共に、流路形成基板10の圧電アクチュエーター300が設けられた一方面側、すなわち、本実施形態では振動板50の絶縁体膜52と、導電層92との密着性を向上させるためのものである。このような密着層91の材料は、導電層92の材料と、圧電アクチュエーター300の各電極や振動板50の材料とによって適宜選択すればよい。本実施形態の密着層91としては、例えば、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、ニッケルクロム(NiCr)、タングステン(W)、チタン(Ti)、酸化チタン(TiOX)、チタンタングステン(TiW)等からなる群から選択される少なくとも一種を用いることができる。また、密着層91は、導電層92よりもイオン化傾向が高い材料が好ましく、できるだけイオン化傾向の高い材料を用いるのが好適である。このようにイオン化傾向の高い材料の密着層91を用いることで、導電層92とその他の層との密着性を向上することができる。すなわち、密着層91は、イオン化傾向、つまり、反応性に比例して密着性が高まるものであるため、導電層92よりも密着性を向上させるためには、導電層92よりもイオン化傾向が高い材料を用いるのが好ましく、その中でもできるだけ高いイオン化傾向の材料を用いるのが好適である。本実施形態では、密着層91としてニッケルクロム(NiCr)を用いた。なお、ニッケルクロムは、柔軟性に富んでいるので、亀裂等が入りにくく、密着性に優れた材料である。もちろん、密着層91は、単一の層であっても、複数層が積層されたものであってもよく、単一材料であっても、複数の材料が混合した複数材料であってもよい。
導電層92は、密着層91上に設けられており、導電性に優れた材料、すなわち、電気抵抗が低い材料が好ましい。このような導電層92の材料としては、例えば、金(Au)、銅(Cu)等を含む材料が挙げられる。もちろん、導電層92は、単一層であっても複数層であってもよく、単一材料であっても複数材料が混合した複数材料であってもよい。
そして、本実施形態では、図4(b)に示すように、少なくともリード電極90の並設方向である第1の方向Xにおいて、密着層91の幅は、導電層92の幅よりも狭い。すなわち、第1の方向Xにおいて、導電層92の端部は、密着層91の端部よりも外側に配置されている。また、導電層92の第1の方向Xの端部は、流路形成基板10の振動板50に直接、接触することなく形成されている。つまり、リード電極90の第1の方向Xの側面には、密着層91と導電層92との幅の違いにより当該側面に開口する溝部93が形成されている。また、特に図示していないが、本実施形態では、リード電極90は、第2の方向Yにおいても、密着層91の幅は、導電層92の幅よりも狭く、幅の違いによって側面に開口する溝部93が形成されている。
このようなリード電極90は、例えば、成膜及びリソグラフィー法によって形成することができる。具体的には、圧電アクチュエーター300等が形成された流路形成基板10の一方面の全面に亘って密着層91と導電層92とを順次積層する。次に、導電層92を所定形状にパターニングする。その後、密着層91をウェットエッチングする。密着層91のウェットエッチングでは、サイドエッチングによって密着層91の幅が導電層92よりも幅狭になるまで行うことで、本実施形態のリード電極90を形成することができる。
また、異なる2種類の金属の膜が積層された金属膜を酸からなるエッチング液でエッチングする場合、異なる金属同士の電位差により電蝕反応が生じ、電位が低い金属、つまりイオン化傾向が高い金属のサイドエッチングが進行しやすい。この電蝕反応を利用して、密着層91をウェットエッチングすることにより、密着層91を導電層92よりも幅狭に形成することもできる。
このように、リード電極90の密着層91の少なくとも並設方向である第1の方向Xの幅を導電層92よりも狭くすることで、互いに隣り合う密着層91の距離を離すことができる。したがって、リード電極90に電圧が印加された際に、最もイオン化し易い密着層91の成分が溶出しても、隣り合う密着層91同士が短絡するまでの時間を長くすることができる。また、互いに隣り合う密着層91の距離を離すことができるため、隣り合う密着層91に印加される電界強度を低下させて、密着層91に含まれる成分の溶出スピードを低減することができ、隣り合う密着層91同士が短絡するまでの時間を長くすることができる。
また、本実施形態では、導電層92の幅を密着層91に合わせて幅狭に形成しないため、導電層92の電気抵抗が高くなるのを抑制することができる。すなわち、圧電アクチュエーター300の高密度化及びリード電極90の高密度化に伴い、リード電極90の幅は狭くする必要があるものの、リード電極90の幅が狭くなると、リード電極90の電気抵抗値が高くなり、各圧電アクチュエーター300に印加する電圧が降下してしまう虞がある。本実施形態では、圧電アクチュエーター300及びリード電極90を高密度に配置した場合であっても、導電層92の幅を密着層91に合わせて幅狭にする必要が無いため、リード電極90の電気抵抗値が著しく低下するのを抑制して、電圧降下を抑制することができる。
このようなリード電極90の第2電極80に接続された一端部とは反対側の他端部には、駆動IC等の駆動回路120を実装した配線基板121の接続配線122が電気的に接続されている。なお、配線基板121の接続配線122とリード電極90との接続方法は、特に限定されず、例えば、異方性導電性接着剤(ACP、ACF)や、非導電性接着剤(NCP)、半田等の金属を用いた溶接等が挙げられる。本実施形態では、図5に示すように、配線基板121の接続配線122とリード電極90とを非導電性接着剤125を用いて接合するようにした。ここで、図5に示すように、リード電極90の側面には、密着層91と導電層92との幅の違いによって溝部93が形成されているため、溝部93内に非導電性接着剤125が充填されることにより、アンカー効果によって配線基板121とリード電極90との接合強度が向上する。したがって、配線基板121の接続配線122とリード電極90との電気的な接続が切断されるのを抑制することができる。特に、リード電極90の高密度化を行う場合には、非導電性接着剤125による接続配線122とリード電極90との電気的な接続が必要になるが、非導電性接着剤125を用いた場合に、接続配線122とリード電極90との導通が確実に確保できない虞がある。本実施形態では、リード電極90の側面に密着層91と導電層92との幅の違いによって溝部93を形成して、溝部93内に非導電性接着剤125を充填することにより、アンカー効果によって配線基板121とリード電極90との接合強度を向上し、配線基板121とリード電極90との導通を確実に行うことができる。
また、流路形成基板10の圧電アクチュエーター300側の面には、流路形成基板10と略同じ大きさを有する保護基板30が接合されている。保護基板30は、圧電アクチュエーター300を保護するための空間である保持部31を有する。また、保護基板30には、厚さ方向(流路形成基板10と保護基板30との積層方向)に貫通する貫通孔32が設けられている。この貫通孔32内にリード電極90の第2電極80に接続された端部とは反対側の端部が形成され、貫通孔32内で配線基板121の接続配線122とリード電極90とが接続されている。
また、このような構成のヘッド本体11には、複数の圧力発生室12に連通するマニホールド100をヘッド本体11と共に画成するケース部材40が固定されている。ケース部材40は、平面視において上述した連通板15と略同一形状を有し、保護基板30に接合されると共に、上述した連通板15にも接合されている。具体的には、ケース部材40は、保護基板30側に流路形成基板10及び保護基板30が収容される深さの凹部41を有する。この凹部41は、保護基板30の流路形成基板10に接合された面よりも広い開口面積を有する。そして、凹部41に流路形成基板10等が収容された状態で凹部41のノズルプレート20側の開口面が連通板15によって封止されている。これにより、流路形成基板10の外周部には、ケース部材40とヘッド本体11とによって第3マニホールド部42が画成されている。そして、連通板15に設けられた第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18と、ケース部材40とヘッド本体11とによって画成された第3マニホールド部42と、によって本実施形態のマニホールド100が構成されている。
なお、ケース部材40の材料としては、例えば、樹脂や金属等を用いることができる。ちなみに、ケース部材40として、樹脂材料を成形することにより、低コストで量産することができる。
また、連通板15の第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18が開口する面には、コンプライアンス基板45が設けられている。このコンプライアンス基板45が、第1マニホールド部17と第2マニホールド部18の液体噴射面側の開口を封止している。
このようなコンプライアンス基板45は、本実施形態では、封止膜46と、固定基板47と、を具備する。封止膜46は、可撓性を有する薄膜(例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やステンレス鋼(SUS)等により形成された厚さが20μm以下の薄膜)からなり、固定基板47は、ステンレス鋼(SUS)等の金属等の硬質の材料で形成される。この固定基板47のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部48となっているため、マニホールド100の一方面は可撓性を有する封止膜46のみで封止された可撓部であるコンプライアンス部49となっている。
なお、ケース部材40には、マニホールド100に連通して各マニホールド100にインクを供給するための導入路44が設けられている。また、ケース部材40には、保護基板30の貫通孔32に連通して配線基板121が挿通される接続口43が設けられている。
このような構成のインクジェット式記録ヘッドIでは、インクを噴射する際に、液体貯留手段から導入路44を介してインクを取り込み、マニホールド100からノズル開口21に至るまで流路内部をインクで満たす。その後、駆動回路120からの信号に従い、圧力発生室12に対応する各圧電アクチュエーター300に電圧を印加することにより、圧電アクチュエーター300と共に振動板50をたわみ変形させる。これにより、圧力発生室12内の圧力が高まり所定のノズル開口21からインク滴が噴射される。
(実施形態2)
図6は、本発明の実施形態2に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの要部を拡大した断面図である。なお、上述した実施形態1と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図6に示すように、本実施形態のリード電極90Aは、流路形成基板10側に設けられた密着層91と、密着層91上に設けられた導電層92Aと、を具備する。
密着層91は、少なくともリード電極90の並設方向である第1の方向Xにおいて、導電層92Aの幅よりも幅狭に設けられている。
また、リード電極90Aの並設方向である第1の方向Xにおいて、導電層92Aは、密着層91の端面を覆って形成されている。すなわち、導電層92Aは、密着層91の端面の外側で流路形成基板10の振動板50と接触して形成されている。
このような構成のリード電極90Aでは、密着層91が導電層92Aに覆われていることから、リード電極90Aに電圧を印加しても、密着層91に含まれる成分が溶出し難く、隣り合うリード電極90Aの短絡等の不具合を抑制することができる。
なお、本実施形態では、上述した実施形態1と異なり、リード電極90Aの並設方向である第1の方向Xの側面には、溝部93が形成されていないが、上述した実施形態1と同様に、導電層92の側面に凹形状の溝部を形成するようにしてもよい。すなわち、導電層92の表面に凹形状の溝部を形成すれば、上述した実施形態1と同様に、非導電性接着剤125のアンカー効果による接合強度の向上を図ることができる。なお、導電層92の側面に溝部を形成する場合には、連続する溝部であっても、断続的に形成された溝部であってもよい。また、溝部によって密着層91の一部が露出されても、上述した実施形態1と同様に、互いに隣り合う密着層91の間隔を広げることができるため、電界強度を低下させて成分の溶出を抑制することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態1及び2では、圧電アクチュエーター300が設けられたアクチュエーター基板として流路形成基板10を例示したが、アクチュエーター基板は、圧電アクチュエーター300が設けられた基板であれば、特にこれに限定されるものではない。
また、上述した実施形態1では、引き出し配線であるリード電極90、90Aとして、密着層91と、導電層92、92Aとを具備するものを例示したが、特にこれに限定されず、密着層91と導電層92、92Aとの間に他の層が介在してもよい。また、導電層92、92Aの密着層91とは反対側に他の層を有するものであってもよい。
さらに、上述した実施形態1及び2では、圧力発生室12に圧力変化を生じさせる圧電アクチュエーター300として、薄膜型の圧電アクチュエーターを用いて説明したが、特にこれに限定されず、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型の圧電アクチュエーターや、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電アクチュエーターなどを使用することができる。
また、インクジェット式記録ヘッドIは、例えば、図7に示すように、インクジェット式記録装置IIに搭載される。インクジェット式記録ヘッドIを有する記録ヘッドユニット1は、液体貯留手段であるインクカートリッジ1A及び1Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1を搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動可能に設けられている。この記録ヘッドユニット1は、例えば、ブラックインク組成物及びカラーインク組成物を噴射する。
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、ヘッドユニット1を搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4には搬送手段としての搬送ローラー8が設けられており、紙等の記録媒体である記録シートSが搬送ローラー8により搬送されるようになっている。なお、記録シートSを搬送する搬送手段は、搬送ローラーに限られずベルトやドラム等であってもよい。
なお、上述した例では、インクジェット式記録装置IIとして、インクジェット式記録ヘッドIがキャリッジ3に搭載されて主走査方向に移動するものを例示したが、その構成は特に限定されるものではない。インクジェット式記録装置IIは、例えば、インクジェット式記録ヘッドIを固定し、紙等の記録シートSを副走査方向に移動させることで印刷を行う、いわゆるライン式の記録装置であってもよい。
また、上述した例では、インクジェット式記録装置IIは、液体貯留手段であるインクカートリッジ1A及び1Bがキャリッジ3に搭載された構成であるが、特にこれに限定されず、例えば、インクタンク等の液体貯留手段を装置本体4に固定して、貯留手段とインクジェット式記録ヘッドIとをチューブ等の供給管を介して接続してもよい。また、液体貯留手段がインクジェット式記録装置に搭載されていなくてもよい。
また、上述の実施形態では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて本発明を説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものである。液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッドの他、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。