JP2017124540A - 配線基板、memsデバイス及び液体噴射ヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】配線の電気抵抗値を低減することができると共に小型化を図ることができる配線基板、MEMSデバイス及び液体噴射ヘッドを提供する。【解決手段】表面が(110)面であるシリコン単結晶基板30に、該シリコン単結晶基板30の(110)面に垂直な第1の(111)面と、前記第1の(111)面に相対向して前記(110)面に垂直な第2の(111)面と、を有する溝304が設けられ、該溝304に埋設された配線321を有する。【選択図】図8
Description
本発明は、配線の設けられた配線基板、配線基板を有するMEMSデバイス、配線基板を有する液体噴射ヘッドに関する。
液体噴射ヘッドなどに代表されるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスは、配線が設けられた配線基板を具備する。
配線基板に設けられた配線は、電気抵抗値が低いものが望ましいが、配線を高密度に且つ高精度に配設するためには、又は、配線に電子部品を実装するためには、配線の高さを抑える必要がある。このため、配線基板に溝を設け、溝内に配線を設けることで配線の高さを抑制した構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1では、表面が(100)面に優先配向したシリコン単結晶基板を、アルカリ溶液を用いた異方性エッチングすることにより溝を形成するため、溝の内壁面は、基板表面に対して54.7度の傾斜を有する傾斜面で形成される。このため、溝として開口幅が底面に行くにしたがって狭くなる、台形状又は三角形状の断面となってしまい、溝内に配線を設けると配線の横断面積が小さくなり、電気抵抗値が高くなってしまうという問題がある。
また、配線を溝内に設けずに基板表面に設ける場合、フォトリソグラフィー法の制限によって配線を高精度及び高密度にパターニングするのが困難であり、厚さの比較的薄い配線しか形成することができないという問題がある。そして、厚さの比較的薄い配線の電気抵抗値を下げるために、配線の幅を広くすると配線を設けるスペースが広がり、基板が大型化してしまうという問題がある。
本発明はこのような事情に鑑み、配線の電気抵抗値を低減することができると共に小型化を図ることができる配線基板、MEMSデバイス及び液体噴射ヘッドを提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、表面が(110)面であるシリコン単結晶基板に、該シリコン単結晶基板の(110)面に垂直な第1の(111)面と、前記第1の(111)面に相対向して前記(110)面に垂直な第2の(111)面と、を有する溝が設けられ、該溝に埋設された配線を有することを特徴とする配線基板にある。
かかる態様では、溝の横断面が矩形状となり、溝に埋設された配線の断面積を増やして配線の電気抵抗値を低下させることができる。また、配線を基板表面に成膜及びリソグラフィー法によって形成するのに比べて、厚く形成することができ、配線の幅を小さくしても電気抵抗値を低下させることができる。
また、本発明の他の態様は、上記態様の配線基板を具備することを特徴とするMEMSデバイスにある。
かかる態様では、配線の電気抵抗値を低減することができると共に小型化したMEMSデバイスを実現できる。
さらに、本発明の他の態様は、上記態様に記載の配線基板と、液体を噴射するノズルに連通する圧力発生室と、前記圧力発生室の液体に圧力変化を生じさせる駆動素子と、を具備し、前記第1の(111)面及び前記第2の(111)面が前記駆動素子の並設方向に沿って設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、駆動素子の並設方向に向かって帯状の配線を省スペースに形成することができる。
ここで、前記配線基板は、前記駆動素子と積層して設けられ、前記溝に埋設された前記配線が、前記配線基板の前記駆動素子が設けられている側とは反対側に設けられ、前記配線基板に設けられている駆動回路に接続されていることが好ましい。これによれば、駆動回路と配線とを接続する高さに制限があったとしても、配線を溝に埋め込むことで、電気抵抗値の低い配線を設けることができる。
また、前記配線基板は、前記駆動素子と積層して設けられ、前記溝に埋設された前記配線が、前記配線基板の前記駆動素子が設けられている側に設けられ、前記駆動素子を構成する電極の一つである共通電極に電気的に接続されていることが好ましい。これによれば、配線基板と駆動素子と間に制限があったとしても、配線を溝に埋め込むことで、電気抵抗値の低い配線を設けることができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
本発明を実施形態1に基づいて詳細に説明する。本実施形態では、液体噴射ヘッドの一例としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドとも言う)について説明する。
本発明を実施形態1に基づいて詳細に説明する。本実施形態では、液体噴射ヘッドの一例としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドとも言う)について説明する。
図1は本実施形態に係る記録ヘッドの分解斜視図であり、図2は記録ヘッドの平面図(液体噴射面20a側の平面図)であり、図3は図2のA−A′線断面図であり、図4は図3の要部を拡大した断面図である。
図示するように、本実施形態の記録ヘッド1は、流路形成基板10、連通板15、ノズルプレート20、本実施形態の配線基板である駆動回路基板30、コンプライアンス基板45等の複数の部材を備える。
流路形成基板10は、ステンレス鋼やNiなどの金属、ZrO2あるいはAl2O3を代表とするセラミック材料、ガラスセラミック材料、SiO2、MgO、LaAlO3のような酸化物などを用いることができる。本実施形態では、流路形成基板10は、シリコン単結晶基板からなる。この流路形成基板10には、一方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁によって区画された圧力発生室12がインクを吐出する複数のノズル開口21が並設される方向に沿って並設されている。以降、この方向を圧力発生室12の並設方向、又は第1の方向Xと称する。また、流路形成基板10には、圧力発生室12が第1の方向Xに並設された列が複数列、本実施形態では、2列設けられている。この圧力発生室12が第1の方向Xに沿って形成された圧力発生室12の列が複数列設された列設方向を、以降、第2の方向Yと称する。さらに、第1の方向X及び第2の方向Yの双方に交差する方向を本実施形態では、第3の方向Zと称する。各図に示した座標軸は第1の方向X、第2の方向Y、第3の方向Zを表しており、矢印の向かう方向を正(+)方向、反対方向が負(−)方向ともいう。なお、本実施形態では、各方向(X、Y、Z)の関係を直交とするが、各構成の配置関係が必ずしも直交するものに限定されるものではない。
流路形成基板10には、圧力発生室12の第2の方向Yの一端部側に、当該圧力発生室12よりも開口面積が狭く、圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を付与する供給路等が設けられていてもよい。
流路形成基板10の一方面側(駆動回路基板30とは反対側であって−Z方向)には、連通板15とノズルプレート20とが順次積層されている。すなわち、流路形成基板10の一方面に設けられた連通板15と、連通板15の流路形成基板10とは反対面側に設けられたノズル開口21を有するノズルプレート20と、を具備する。
連通板15には、圧力発生室12とノズル開口21とを連通するノズル連通路16が設けられている。連通板15は、流路形成基板10よりも大きな面積を有し、ノズルプレート20は流路形成基板10よりも小さい面積を有する。このように連通板15を設けることによってノズルプレート20のノズル開口21と圧力発生室12とを離せるため、圧力発生室12の中にあるインクは、ノズル開口21付近のインクで生じるインク中の水分の蒸発による増粘の影響を受け難くなる。また、ノズルプレート20は圧力発生室12とノズル開口21とを連通するノズル連通路16の開口を覆うだけでよいので、ノズルプレート20の面積を比較的小さくすることができ、コストの削減を図ることができる。なお、本実施形態では、ノズルプレート20のノズル開口21が開口されて、インク滴が吐出される面を液体噴射面20aと称する。
また、連通板15には、マニホールド100の一部を構成する第1マニホールド部17と、第2マニホールド部18とが設けられている。
第1マニホールド部17は、連通板15を厚さ方向(連通板15と流路形成基板10との積層方向)に貫通して設けられている。第2マニホールド部18は、連通板15を厚さ方向に貫通することなく、連通板15のノズルプレート20側に開口して設けられている。
さらに、連通板15には、圧力発生室12の第2の方向Yの一端部に連通する供給連通路19が、圧力発生室12毎に独立して設けられている。この供給連通路19は、第2マニホールド部18と圧力発生室12とを連通する。
このような連通板15としては、ステンレスやNiなどの金属、またはジルコニウムなどのセラミックなどを用いることができる。なお、連通板15は、流路形成基板10と線膨張係数が同等の材料が好ましい。すなわち、連通板15として流路形成基板10と線膨張係数が大きく異なる材料を用いた場合、加熱や冷却されることで、流路形成基板10と連通板15との線膨張係数の違いにより反りが生じてしまう。本実施形態では、連通板15として流路形成基板10と同じ材料、すなわち、シリコン単結晶基板を用いることで、熱による反りや熱によるクラック、剥離等の発生を抑制することができる。
ノズルプレート20には、各圧力発生室12とノズル連通路16を介して連通するノズル開口21が形成されている。このようなノズル開口21は、第1の方向Xに並設され、この第1の方向Xに並設されたノズル開口21の列が第2の方向Yに2列形成されている。
このようなノズルプレート20としては、例えば、ステンレス鋼(SUS)等の金属、ポリイミド樹脂のような有機物、又はシリコン単結晶基板等を用いることができる。なお、ノズルプレート20としてシリコン単結晶基板を用いることで、ノズルプレート20と連通板15との線膨張係数を同等として、加熱や冷却されることによる反りや熱によるクラック、剥離等の発生を抑制することができる。
一方、流路形成基板10の連通板15とは反対面側(駆動回路基板30側であって+Z方向)には、振動板50が形成されている。本実施形態では、振動板50として、流路形成基板10側に設けられた酸化シリコンからなる弾性膜51と、弾性膜51上に設けられた酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜52と、を設けるようにした。なお、圧力発生室12等の液体流路は、流路形成基板10を一方面側(連通板15が接合された面側)から異方性エッチングすることにより形成されており、圧力発生室12等の液体流路の他方面は、弾性膜51によって画成されている。もちろん、振動板50は、特にこれに限定されるものではなく、弾性膜51と絶縁体膜52との何れか一方を設けるようにしてもよく、その他の膜が設けられていてもよい。
流路形成基板10の振動板50上には、本実施形態の圧力発生室12内のインクに圧力変化を生じさせる駆動素子として圧電アクチュエーター150が設けられている。上述したように、流路形成基板10には、圧力発生室12が第1の方向Xに沿って複数並設され、圧力発生室12の列が第2の方向Yに沿って2列並設されている。圧電アクチュエーター150は、実質的な駆動部である活性部が第1の方向Xに並設されて列を構成し、この圧電アクチュエーター150の活性部の列が第2の方向Yに2列並設されている。
圧電アクチュエーター150は、振動板50側から順次積層された第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を有する。圧電アクチュエーター150を構成する第1電極60は、圧力発生室12毎に切り分けられており、圧電アクチュエーター150の実質的な駆動部である活性部毎に独立する個別電極を構成する。このような第1電極60の材料は、導電性金属材料であれば特に限定されず、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)等の金属材料や、LaNiO3、SuRuO3などの導電性酸化物が好適に用いられる。
圧電体層70は、第2の方向Yが所定の幅となるように第1の方向Xに亘って連続して設けられている。
圧力発生室12の第2の方向Yの一端部側(マニホールド100とは反対側)における圧電体層70の端部は、第1電極60の端部よりも外側に位置している。すなわち、第1電極60の端部は圧電体層70によって覆われている。また、圧力発生室12の第2の方向Yのマニホールド100側である他端側における圧電体層70の端部は、第1電極60の端部よりも内側(圧力発生室12側)に位置しており、第1電極60のマニホールド100側の端部は、圧電体層70に覆われていない。
圧電体層70は、第1電極60上に形成される分極構造を有する酸化物の圧電材料からなり、例えば、一般式ABO3で示されるペロブスカイト形酸化物からなることができる。圧電体層70に用いられるペロブスカイト形酸化物としては、例えば、鉛を含む鉛系圧電材料や鉛を含まない非鉛系圧電材料などを用いることができる。
なお、特に図示していないが、圧電体層70には、圧力発生室12間の各隔壁に対応する位置に凹部が形成されていてもよい。これにより、圧電アクチュエーター150を良好に変位させることができる。
第2電極80は、圧電体層70の第1電極60とは反対面側に設けられており、複数の活性部に共通する共通電極を構成する。
このような第1電極60、圧電体層70及び第2電極80で構成される圧電アクチュエーター150は、第1電極60と第2電極80との間に電圧を印加することで変位が生じる。すなわち両電極の間に電圧を印加することで、第1電極60と第2電極80とで挟まれている圧電体層70に圧電歪みが生じる。そして、両電極に電圧を印加した際に、圧電体層70に圧電歪みが生じる部分(第1電極60と第2電極80とで挟まれた領域)を活性部と称する。これに対して、圧電体層70に圧電歪みが生じない部分を非活性部と称する。また、圧電アクチュエーター150の圧力発生室12に対向して可変可能な部分を可撓部と称し、圧力発生室12の外側の部分を非可撓部と称する。
上述したように、圧電アクチュエーター150は、第1電極60を複数の活性部毎に独立して設けることで個別電極とし、第2電極80を複数の活性部に亘って連続して設けることで共通電極とした。もちろん、このような態様に限定されず、第1電極60を複数の活性部に亘って連続して設けることで共通電極とし、第2電極を活性部毎に独立して設けることで個別電極としてもよい。また、振動板50としては、弾性膜51及び絶縁体膜52を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。また、圧電アクチュエーター150自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。本実施形態では、圧電アクチュエーター150の活性部は、圧力発生室12に対応して第1の方向Xに並設されており、このように第1の方向Xに並設された活性部の列が、第2の方向Yに2列設けられていることになる。
また、図3及び図4に示すように、圧電アクチュエーター150の第1電極60からは、引き出し配線である個別リード電極91が引き出されている。個別リード電極91は、各列の活性部から第2の方向Yにおいて列の外側に引き出されている。
また、圧電アクチュエーター150の第2電極80からは、引き出し配線である共通リード電極92が引き出されている。本実施形態では、共通リード電極92は、2列の圧電アクチュエーター150のそれぞれの第2電極80に導通している。また、共通リード電極92は、複数の活性部に対して1本の割合で設けられている。
流路形成基板10の圧電アクチュエーター150側の面には、本実施形態の配線基板である駆動回路基板30が接合されている。駆動回路基板30は、流路形成基板10と略同じ大きさを有する。ここで、本実施形態の配線基板である駆動回路基板30についてさらに図5〜図10を参照して説明する。なお、図5は駆動回路基板の平面図であり、図6は図5の要部を拡大した図であり、図7は駆動回路基板の底面図であり、図8は図4の要部を拡大した図であり、図9は、図5のB−B′線断面図であり、図10は、駆動回路の底面図である。
駆動回路基板30は、表面の面方位が(110)面に優先配向したシリコン単結晶基板からなる。本実施形態では、駆動回路基板30の流路形成基板10とは反対側の面(+Z)を第1主面301とし、流路形成基板10側の面(−Z)を第2主面302と称する。そして、図1及び図3等に示すように、駆動回路基板30の第1主面301には、圧電アクチュエーター150を駆動するための信号を出力する駆動IC(ドライバーICとも言う)である駆動回路120が実装されている。
このような駆動回路基板30は、圧電アクチュエーター150の各列の活性部の並設方向である第1の方向Xが長尺となるように設けられている。すなわち、駆動回路基板30は、第1の方向Xが長手方向となり、第2の方向Yが短手方向となるように配置されている。
また、図4、図5及び図6に示すように、この駆動回路基板30の第1主面301には、第1個別配線31と、供給配線32とが設けられている。
第1個別配線31は、第2の方向Yの両端部のそれぞれに、第1の方向Xに複数並設されている。また、第1個別配線31は、第2の方向Yに沿って延設されており、一端において駆動回路120の各端子と電気的に接続され、他端において第1貫通配線33と電気的に接続されている。
ここで、第1貫通配線33は、駆動回路基板30を厚さ方向である第3の方向Zに貫通して設けられた第1貫通孔303の内部に設けられたものであり、第1主面301と第2主面302とを間を中継する配線である。第1貫通配線33が設けられた第1貫通孔303は、駆動回路基板30をレーザー加工、ドリル加工、ドライエッチング加工(Bosch法、非Bosch法、イオンミリング)、ICP(Inductively Coupled Plasma ;誘導結合プラズマ)加工、ウェットエッチング加工、サンドブラスト加工等を行うことで形成することができる。このような第1貫通孔303内に第1貫通配線33が充填して形成されている。なお、第1貫通配線33は、銅(Cu)等の金属からなり、電解めっき、無電界めっきなどによって形成することができる。
また、第1貫通配線33は、第2主面302において、圧電アクチュエーター150の個別電極である第1電極60に接続された個別リード電極91とそれぞれ電気的に接続されている。すなわち、第1個別配線31と第1貫通配線33とは、圧電アクチュエーター150の第1電極60と同数設けられている。なお、第1個別配線31は、例えば、スパッタリング法等によって形成することができる。
供給配線32は、外部配線130から駆動回路120の電源、グランド(GNDN)、駆動信号(COM)、駆動回路120の制御信号、圧電アクチュエーター150の共通電極である第2電極80に印加するバイアス電圧(vbs)等を供給するためのものであり、駆動回路基板30の第1主面301に複数設けられている。
供給配線32は、第1主面301上に設けられた第1溝304内に埋め込まれた第1埋設配線321と、第1埋設配線321を覆うように設けられた第1接続配線322と、を具備する。
ここで、第1埋設配線321が設けられた第1溝304は、駆動回路基板30の表面の(110)面に垂直な第1の(111)面で形成された第1内壁面304aと、第1の(111)面に相対向して(110)面に垂直な第2の(111)面で形成された第2内壁面304bと、を有する。このような第1の(111)面と、第2の(111)面とを有する第1溝304は、駆動回路基板30を、アルカリ溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチング)することで高精度に形成することができる。ここで、異方性エッチングは、シリコン単結晶基板のエッチングレートの違いを利用して行われる。すなわち、表面の面方位が(110)面のシリコン単結晶基板は、(110)面のエッチングレートと比較して(111)面のエッチングレートが約1/180であるという性質を利用して行われる。すなわち、表面の面方位が(110)面に優先配向したシリコン単結晶基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)や、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に浸食されて(110)面に垂直な(111)面{以下、一方の(111)面と称する}と、この一方の(111)面と70.53度の角度をなし、且つ上記一方の(110)面と37.5度の角度をなす(111)面{以下、他方の(111)面と称する}とが出現する。かかる異方性エッチングにより、二つの平行する面である一方の(111)面と、二つの平行する面である他方の(111)面とで形成される平行四辺形を基本として精密加工を行うことができる。本実施形態では、第1溝304は、表面の(110)面に垂直な二つの平行する一方の(111)面を第1の(111)面及び第2の(111)面と称する。そして、第1溝304の第1の(111)面である第1内壁面304aと、第2の(111)面である第2内壁面304bとを、第1の方向Xに沿った直線状となるように配置した。このように、第1溝304の第1内壁面及び第2壁面を第1の方向Xに沿った直線状となるように形成することで、第1溝304及び第1埋設配線321を第1の方向Xに亘って長尺に且つ省スペースに形成することができる。すなわち、駆動回路基板30は、圧電アクチュエーター150の並設方向が長手方向となるように配置されているため、駆動回路基板30の一方の(111)面が、長手方向となるように配置することで、駆動回路基板30の長手方向に向かって長尺となる第1溝304を直線状に形成することができる。
なお、圧電アクチュエーター150の能動部の並設方向である第1の方向Xと、駆動回路基板30の第1の(111)面及び第2の(111)面の面方向とが完全に一致している場合には、第1の(111)面が、第1の方向Xに沿った直線状に配置されるものであるが、特にこれに限定されず、例えば、圧電アクチュエーター150の活性部の並設方向と駆動回路基板30の第1の(111)面及び第2の(111)面の面方向とを異ならせてもよい。このため、第1溝304の第1の(111)面である第1内壁面304a及び第2の(111)面である第2内壁面304bは、圧電アクチュエーター150の活性部の並設方向である第1の方向Xにおいて一端側から他端側に向かって帯状に形成されていればよい。すなわち、第1溝304の第1の(111)面及び第2の(111)面が、圧電アクチュエーター150の活性部の並設方向において一端側から他端側に向かって形成されているとは、第1の(111)面及び第2の(111)面が、第1の方向Xに沿った直線状に形成されていることも、第1の(111)面及び第2の(111)面が、第1の方向Xに対して傾斜して設けられていることも含むものである。つまり、第1の(111)面及び第2の(111)面が、圧電アクチュエーター150の活性部の並設方向において一端側から他端側に向かって形成されているとは、第1の(111)面及び第2の(111)面の延設方向が、第1の方向Xに向かう成分(ベクトル)が存在することを言う。ただし、第1の(111)面を第1の方向Xに射影した際の長さが、第1の(111)面を第2の方向Yに射影した際の長さよりも長いことが好ましい。すなわち、第1の(111)面の第1の方向Xに向かう成分の方が、第2の方向Yに向かい成分よりも大きい方が好ましい。これにより、駆動回路基板30の長手方向に向かって長尺となる第1溝304及び第1埋設配線321を省スペースに設けることができる。
また、本実施形態では、第1溝304及び第1埋設配線321を直線状に沿って設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、第1溝304及び第1埋設配線321が延設方向の途中で屈曲していてもよい。ちなみに、第1溝304に屈曲した部分を設ける場合、例えば、第1溝304の屈曲した部分の内壁面を平行する他方の(111)面で形成すれば、異方性エッチングによって第1溝304を高精度に形成することができる。ちなみに、第1溝304の第1の方向Xの両端部の内壁面は、他方の(111)面で形成されていてもよく、また、一方の(111)面及び他方の(111)面とは異なる面で形成されていてもよい。
このように形成された第1溝304は、第1内壁面304a及び第2内壁面304bによって横断面が矩形状となっている。そして、本実施形態では、このような第1溝304を第2の方向Yに同じ間隔で複数本、本実施形態では、各圧電アクチュエーター150の活性部の列に対して6本ずつ、合計12本設けるようにした。もちろん、第1溝304の数及び位置は特にこれに限定されず、第1溝304及び供給配線32は、1本でもよく、2本以上の複数本であってもよい。
この第1溝304内に第1埋設配線321が埋め込まれている。すなわち、第1埋設配線321は、第1溝304内に充填されて形成されている。第1埋設配線321は、銅(Cu)等の金属からなり、例えば、電解めっき、無電界めっき、導電性ペーストの印刷などの方法によって形成することができる。また、第1埋設配線321は、第1貫通配線33とめっきによって同時に形成することも可能である。このように、第1埋設配線321と第1貫通配線33とを同時に形成することで、製造工程を簡略化してコストを低減することができる。
第1接続配線322は、各第1埋設配線321を覆うように積層されている。この第1接続配線322は、第2の方向Yにおいて第1埋設配線321の幅よりも若干広い幅を有するが、第2の方向Yで互いに隣り合う供給配線32同士が短絡しないように間隔を空けて配置されている。つまり、本実施形態の1本の供給配線32は、1本の第1埋設配線321と1本の第1接続配線322とによって構成されている。このような第1接続配線322としては、特に図示していないが、例えば、第1埋設配線321側に設けられたチタン(Ti)等の密着層と、密着層上に設けられた金(Au)等の導電層とを積層したものを用いることができる。もちろん、その他の導電性材料で形成された層が積層されていてもよい。また、第1接続配線322は、例えば、スパッタリング法等によって形成することができる。なお、第1接続配線322は、例えば、第1個別配線31と同時に形成することもできる。このように、第1接続配線322と第1個別配線31とを同時に形成することで、製造工程を簡略化してコストを低減することができる。
また、前記密着層と導電層を前記埋設配線のマイグレーション、酸化に対しての保護膜とすることもできる。
また、前記導電層を、他の駆動回路基板に形成されたバンプやフレキシブルテープ(FPC)、COF(Chip on Film/Flex)との接合面とすることもできる。
また、前記密着層と導電層を前記埋設配線のマイグレーション、酸化に対しての保護膜とすることもできる。
また、前記導電層を、他の駆動回路基板に形成されたバンプやフレキシブルテープ(FPC)、COF(Chip on Film/Flex)との接合面とすることもできる。
また、第1接続配線322は図6及び図9に示すように、第1の方向Xにおいて、第1埋設配線321の端部の外側まで延設され、駆動回路基板30の第1の方向Xの端部近傍まで設けられている。このように、駆動回路基板30の第1の方向Xの一端部まで延設された第1接続配線322にFPC等の外部配線130が電気的に接続される。そして、供給配線32には、外部配線130から駆動回路120の高電圧回路用や低電圧回路用の電源、グランド(GND)、駆動信号(COM)、駆動回路120の制御信号、圧電アクチュエーター150の共通電極である第2電極80に印加するバイアス電圧(vbs)などが供給される。具体的には、本実施形態では、圧電アクチュエーター150の活性部の各列に対応して設けられた6本の供給配線32の少なくとも1つは、駆動回路120に接続されずに圧電アクチュエーター150の共通電極である第2電極80に電気的に接続されて、外部配線130から圧電アクチュエーター150の第2電極80にバイアス電圧(vbs)を供給するのに用いられる。また、圧電アクチュエーター150の活性部の列毎に設けられた6本の供給配線32のうち、その他の供給配線32は、駆動回路120に電気的に接続されて、駆動回路120の高電圧回路用や低電圧回路用の電源、グランド(GND)、駆動信号(COM)、駆動回路120の制御信号等を外部配線130から駆動回路120に供給するのに用いられる。
ここで、本実施形態では、各圧電アクチュエーター150の列毎に設けられた6本の供給配線32のうち、駆動回路基板30の第2の方向Yにおいて中央部側に設けられた供給配線32を圧電アクチュエーター150の第2電極80にバイアス電圧を供給するものとした。そして、この圧電アクチュエーター150の第2電極80にバイアス電圧を供給するのに用いられる供給配線32は、駆動回路基板30に設けられた第2貫通配線34に電気的に接続されている。
第2貫通配線34は、第1溝304の底面に開口して設けられた第2貫通孔305内に形成されている。これにより第2貫通配線34と供給配線32とは、第1溝304の底面において電気的に接続されている。なお、第2貫通配線34は、上述した第1貫通配線33と同様に銅(Cu)等の金属を電界めっき、無電界めっき等によって形成することができる。また、第1埋設配線321と、第2貫通配線34とを同時に形成することで、第1埋設配線321と第2貫通配線34とを一体的に連続して形成することも可能である。つまり、第1埋設配線321、第1貫通配線33及び第2貫通配線34を同時に形成することでさらに製造工程を簡略化してコストを低減することができる。
そして、第1個別配線31及び供給配線32は、上述したように第1主面301において、駆動回路120の各端子(図示なし)と電気的に接続されている。
本実施形態では、図4、図5、図8及び図10に示すように、駆動回路120の駆動回路基板30側の面にバンプ電極121を設け、バンプ電極121を介して駆動回路120の各端子(図示なし)と第1個別配線31及び供給配線32とを電気的に接続するようにした。
ここで、バンプ電極121は、例えば、弾性を有する樹脂材料で形成されたコア部122と、コア部122の表面の少なくとも一部を覆うバンプ配線123と、を有する。
コア部122は、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などの感光性絶縁樹脂や熱硬化性絶縁樹脂で形成されている。
また、コア部122は、駆動回路と駆動回路基板30とを接続する前において、ほぼ蒲鉾状に形成されている。ここで、蒲鉾状とは、駆動回路に接する内面(底面)が平面であると共に、非接触面である外面側が湾曲面となっている柱状形状をいう。具体的に、ほぼ蒲鉾状とは、横断面がほぼ半円状、ほぼ半楕円状、ほぼ台形状であるものなどが挙げられる。
そしてコア部122は、駆動回路120と駆動回路基板30とが相対的に近接するように押圧されることで、その先端形状が第1個別配線31及び供給配線32の表面形状に倣うように弾性変形している。これにより、駆動回路120や駆動回路基板30に反りやうねりがあっても、コア部122がこれに追従して変形することにより、バンプ電極121と第1個別配線31及び供給配線32とを確実に接続することができる。
コア部122は、第1の方向Xに沿って直線状に連続して形成されている。そして、このコア部122は、第2の方向Yに複数並設されている。本実施形態では、駆動回路120の第2の方向Yの両端部のそれぞれに設けられたコア部122が、第1個別配線31と接続されるバンプ電極121を構成する。また、駆動回路120の第2の方向Yの中央部側に設けられたコア部122が、供給配線32と接続されるバンプ電極121を構成する。このようなコア部122は、フォトリソグラフィー技術やエッチング技術によって形成することができる。
バンプ配線123は、コア部122の少なくとも表面の一部を被覆している。このようなバンプ配線123は、例えばAu、TiW、Cu、Cr(クロム)、Ni、Ti、W、NiV、Al、Pd(パラジウム)、鉛フリーハンダなどの金属や合金で形成されており、これらの単層であっても、複数種を積層したものであってもよい。そして、バンプ配線123は、コア部122の弾性変形によって第1個別配線31及び供給配線32の表面形状に倣って変形しており、第1個別配線31及び供給配線32のそれぞれと電気的に接合されている。本実施形態では、駆動回路120と駆動回路基板30との間に接着層124を設け、接着層124によって駆動回路120と駆動回路基板30とを接合することで、バンプ電極121と第1個別配線31及び供給配線32との接続状態を維持するようにした。
また、バンプ配線123は、駆動回路120の図示しない各端子と電気的に接続されている。具体的には、第1個別配線31に接続されたバンプ電極121のバンプ配線123は、駆動回路120から圧電アクチュエーター150に駆動信号を供給する端子に接続されている。また、供給配線32に接続されたバンプ電極121のバンプ配線123は、外部配線130から供給配線32を介して供給される電源や制御信号を受け取る端子に接続されている。供給配線32に接続されるバンプ電極121は、供給配線32に沿って、所定の間隔で複数箇所に設けられている。これにより、1つの供給配線32に対して複数箇所で駆動回路120と電気的に接続することができ、駆動回路120の長手方向である第1の方向Xにおける電圧降下を抑制することができる。
なお、本実施形態では、バンプ電極121として、コア部122と、バンプ配線123とを設けるようにしたが、特にこれに限定されず、バンプ電極121は、例えば、金属バンプであってもよい。また、駆動回路120の各端子と第1個別配線31及び供給配線32との接続は、半田接続などの溶接、異方性導電性接着剤(ACP、ACF)、非導電性接着剤(NCP、NCF)を介在させて圧着することで接続してもよい。
このように、本実施形態では、駆動回路基板30の第1主面301に駆動回路120を実装するため、駆動回路基板30の第1主面301上に余分なスペースを確保することができない。すなわち、駆動回路基板30の第1主面301と駆動回路120との間のスペースは、バンプ電極121の高さによって決まる。記録ヘッド1のバンプ電極121の高さは、例えば20μm以下である。このような構成であっても、第1埋設配線321を有する供給配線32を設けることで、第1主面301上の狭いスペースに、横断面積の大きく、電気抵抗値が低い供給配線32を配置することができる。ちなみに、供給配線32に第1埋設配線321を設けない場合、すなわち、駆動回路基板30の第1主面301に第1溝304を設けずに、供給配線32を設けた場合、第1主面301上のスペースに制限があることから、供給配線32を高く形成することができず、供給配線32の横断面積が小さくなって、電気抵抗値が高くなってしまう。また、供給配線32の電気抵抗値を小さくするために、供給配線32の幅を広げると、駆動回路基板30が大型化、特に第2の方向Yに大型化してしまう。さらに、駆動回路基板30に第1溝304を設けずに、厚さの比較的厚い供給配線32を形成する場合、フォトリソグラフィー法の制限によって供給配線32を高精度及び高密度にパターニングするのが困難であり、厚さの比較的薄い供給配線32しか形成することができない。本実施形態では、第1埋設配線321は、第1溝304によってその厚さが決定されると共に、第1溝304によってそのパターンが形成されるため、表面に供給配線32を形成する場合に較べて、比較的厚い、例えば20μm〜40μm程度の厚さの第1埋設配線321を40μm〜50μmのピッチで高密度に形成することができる。したがって、第1埋設配線321の横断面積を増大させて電気抵抗値を低減することができる。また、第1埋設配線321は、第1内壁面304a及び第2内壁面304bが第1の(111)面及び第2の(111)面で形成された第1溝304内に埋め込まれているため、第1埋設配線321の横断面は矩形状となる。したがって、駆動回路基板として(100)面のシリコン単結晶基板を用いた場合に較べて、横断面積を増大させて、電気抵抗値をさらに低減することができる。すなわち、(100)面にシリコン単結晶基板を異方性エッチングして第1溝304を形成すると、開口幅が底面に行くにしたがって狭くなる、所謂、台形状の断面形状となってしまう。このため、断面が台形状の第1溝304内に埋め込んだ第1埋設配線321の横断面積が小さくなり、電気抵抗値が高くなってしまう。具体的には、図11に示すように、本実施形態の第1溝304に形成した第1埋設配線321の幅wを80μm、高さhを40μmとすると、その断面積は約3000μm2となる。これに対して、図12に示すように、(100)面のシリコン単結晶基板に第1溝を形成すると、表面に対して54.7度の傾斜を有する内壁面が形成されるため、図11と同じ開口部の幅w、高さhで形成したとしても、内部に形成される第1埋設配線の断面積は、約2080μm2となる。このため、図12に示す比較例の第1埋設に比べて本実施形態の第1埋設配線321は、断面積が約3/2倍となり、その結果、電気抵抗値を約2/3とすることができる。このように第1埋設配線321の横断面積を増大させることができるため、第1埋設配線321の第2の方向Yの幅を狭くしても電気抵抗値が著しく高くなるのを抑制することができる。したがって、第1埋設配線321を高密度に配置して駆動回路基板30の小型化を図ることができる。また、電気抵抗値の低い供給配線32によって、外部配線130と接続することで、電源や接地の供給不良を抑制することができる。特に、駆動素子である圧電アクチュエーター150を高周波数で駆動する際に遅延が発生するのを抑制することができる。
また、圧電アクチュエーター150の各活性部につながる配線長差に起因する配線抵抗差の影響を小さくできるため、活性部に実際に印可される電圧差を低減でき、各活性部が同等の特性(排除体積)で駆動できることになる。これにより吐出インク重量のばらつきを抑制でき印刷物のムラを低減することができる。
ちなみに、第1溝304は、駆動回路基板30をドライエッチングすることによっても、第1溝304の第1内壁面304a及び第2内壁面304bを表面に対して垂直に形成することもできる。しかしながら、ドライエッチングでは、エッチングレートのパターン幅依存性が高く、異なる開口幅の第1溝304を形成すると、その深さにばらつきが生じてしまい、深さ制御が困難になる。このため、ドライエッチングによって第1溝304を形成するには、パターン幅に制約が生じ、結果として、所望の電気抵抗値の第1埋設配線321を実現できない場合が生じる。本実施形態では、駆動回路基板30を異方性エッチングすることによって第1溝304を形成するため、異方性エッチングではエッチングレートのパターン幅依存性がドライエッチングに比べて低く、異なる幅の第1溝304を所望の深さで高精度に形成することができる。このため、所望の電気抵抗値の第1埋設配線321を実現することができる。
図4、図5、図7及び図8に示すように駆動回路基板30の第2主面302には、配線として、第2個別配線35と、補助配線36とが設けられている。
第2個別配線35は、第1貫通配線33に電気的に接続されると共に、流路形成基板10に設けられた個別リード電極91に電気的に接続されており、駆動回路120からの駆動信号をバンプ電極121、第1個別配線31、第1貫通配線33、第2個別配線35及び個別リード電極91を介して圧電アクチュエーター150の個別電極である第1電極60に供給する。
具体的には、第2個別配線35は、駆動回路基板30の第2の方向Yの両端部のそれぞれに、第1の方向Xに亘って複数並設されている。また、第2個別配線35は、第2の方向Yに沿って延設されており、一端において第1貫通配線33の端部を覆うことで第1貫通配線33と電気的に接続されている。また、第2個別配線35は、詳しくは後述するバンプ電極37によって流路形成基板10に設けられた個別リード電極91と電気的に接続されている。
補助配線36は、第2貫通配線34に電気的に接続されると共に、流路形成基板10に設けられた共通リード電極92に電気的に接続されたものであり、外部配線130から供給されたバイアス電圧(vbs)を供給配線32、第2貫通配線34、補助配線36及び共通リード電極92を介して圧電アクチュエーター150の共通電極である第2電極80に供給する。
本実施形態の補助配線36は、図8に示すように第2主面302に設けられた第2溝306に埋設された第2埋設配線361と、第2埋設配線361を被覆する第2接続配線362と、を具備する。
第2溝306は、第1主面301に設けられた第1溝304と第3の方向Zにおいて相対向する位置に設けられている。すなわち、本実施形態の各第2溝306は、第2の方向Yの位置が各第1溝304と同じ位置で、且つ第1溝304と同じ幅で設けられている。また、第2溝306は、第1の方向Xに亘って直線状に沿って設けられている。つまり、第2溝306は、第1溝304と同様に、圧電アクチュエーター150の活性部の列毎にそれぞれ6個、合計12個設けられている。
このような第2溝306は、上述した第1溝304と同様に、駆動回路基板30の表面の結晶方位である(110)面に垂直な第1の(111)面で形成された第1内壁面306aと、第1の(111)面に相対向して(110)面に垂直な第2の(111)面である第2内壁面306bとを有する。この第2溝306についても、第1溝304と同様にアルカリ溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチング)によって高精度に形成することができる。また、第1溝304と第2溝306とは、異方性エッチングによって同時に形成することが可能である。すなわち、駆動回路基板30に第1溝304と第2溝306とが形成される部分に開口を有するマスクを形成し、駆動回路基板30をアルカリ溶液に浸漬することによって、第1溝304と第2溝306とを異方性エッチングによって同時に形成することができる。
また、第1溝304と第2溝306とを第3の方向Zで相対向する同じ位置に設けることで、第1溝304及び第2溝306に駆動回路基板30と異なる線膨張係数、面内応力を持った材料を埋め込んだ際に、第1主面301と第2主面302とで埋め込んだ材料の面積比が異なることによる駆動回路基板30の反りを抑制することができる。すなわち、第1主面301と第2主面302とで駆動回路基板30と異なる線膨張係数、面内応力を持った材料を埋め込んだ際の面積比が異なると、駆動回路基板30に反りが発生してしまう。そして、駆動回路基板30に反りが発生すると、駆動回路基板30の破壊や駆動回路基板30と流路形成基板10との剥離や配線の断線等が発生する虞がある。
このような第2溝306内に、第2埋設配線361が埋め込まれている。第2埋設配線361は、上述した第1溝304内に埋設された第1埋設配線321と同様に、銅(Cu)等の金属からなり、例えば、電解めっき、無電界めっき、導電性ペーストの印刷などの方法によって形成することができる。
第2接続配線362は、複数の第2埋設配線361を覆うように積層されている。本実施形態では、1つの第2接続配線362が、圧電アクチュエーター150の活性部の列毎に設けられた6本の第2埋設配線361の全てを覆うように設けられている。このような第2接続配線362は、第1接続配線322と同様に、第2埋設配線361側に設けられたチタン(Ti)等の密着層と、密着層上に設けられた金(Au)等の導電層とを積層したものを用いることができる。もちろん、第2接続配線362として、その他の導電性材料で形成された層が積層されていてもよい。また、第2接続配線362は、例えば、スパッタリング法等によって形成することができる。なお、第2接続配線362は、第2個別配線35と同時に形成することができる。これにより、製造工程を簡略化してコストを低減することができる。
このように複数、本実施形態では、6本の第2埋設配線361と、これら6本の第2埋設配線361を共通して覆う第2接続配線362とを有する補助配線36は、本実施形態では、圧電アクチュエーター150の活性部の列毎に、すなわち、第2の方向Yに間隔を空けて2つ並設されている。
また、図7に示すように各補助配線36の第2接続配線362は、第2の方向Yで並設された2つの補助配線36の間に延設されており、この延設された部分において、図8に示すようにバンプ電極37を介して流路形成基板10に設けられた共通リード電極92と電気的に接続されている。
ここで、第2個別配線35及び補助配線36と、個別リード電極91及び共通リード電極92とを接続するバンプ電極37は、上述した駆動回路120に設けられたバンプ電極121と同様に、弾性を有する樹脂材料からなるコア部371と、コア部371の表面の少なくとも一部を覆うバンプ配線372と、を有する。
コア部371は、上述した駆動回路120のバンプ電極121を構成するコア部122と同様の材料を用いて同様の断面形状で形成されている。このようなコア部371は、第1の方向Xに直線状に連続して配置されている。また、コア部371は、第2の方向Yにおいて、圧電アクチュエーター150の活性部の2列の外側のそれぞれに1本ずつの計2本と、圧電アクチュエーター150の活性部の2列の間に1本と、の合計3本が設けられている。そして、2列の圧電アクチュエーター150の活性部の外側に設けられた各コア部371が、第2個別配線35を個別リード電極91に接続するためのバンプ電極37を構成する。また、圧電アクチュエーター150の活性部の2列の間に設けられたコア部371が、補助配線36と2列の圧電アクチュエーター150の共通リード電極92とを接続するためのバンプ電極37を構成する。
また、第2個別配線35を個別リード電極91に接続するためのバンプ電極37を構成するバンプ配線372は、本実施形態では、第2個別配線35をコア部371上まで延設することで、第2個別配線35をバンプ配線372として用いている。
同様に、補助配線36を共通リード電極92に接続するためのバンプ電極37を構成するバンプ配線372は、本実施形態では、第2接続配線362をコア部371上まで延設することで、第2接続配線362をバンプ配線372として用いている。もちろん、第2個別配線35及び第2接続配線362とバンプ配線372とを別の配線として、両者の一部を積層することで電気的に接続するようにしてもよい。
なお、第2接続配線362は、第1の方向Xに沿って所定の間隔で複数箇所においてコア部371上まで延設されている。つまり、補助配線36と共通リード電極92を接続するバンプ電極37は、第1の方向Xに亘って所定の間隔で複数設けられている。このような補助配線36は、第2貫通配線34を介して第1主面301の供給配線32の1つと電気的に接続されている。このため、補助配線36が接続された供給配線32の電気抵抗値を実質的に低下させることができる。すなわち、補助配線36は、電流容量が少ない配線に接続することで、当該配線の電気抵抗値を低下させることができる。また、補助配線36は、供給配線32の1つと、第1の方向Xに所定の間隔で複数設けられた第2貫通配線34を介して電気的に接続されている。このため、供給配線32及び補助配線36の第1の方向Xにおける電圧降下を抑制することができる。
さらに、補助配線36は、バンプ電極37を介して共通リード電極92と第2の方向Yの複数箇所で電気的に接続されている。このため、第2電極80の第1の方向Xにおける電圧降下が抑制され、各活性部へのバイアス電圧の印加ばらつきを抑制することができる。
なお、第2個別配線35及び補助配線36と、個別リード電極91及び共通リード電極92との電気的な接続は、上述したバンプ電極37に限定されず、例えば、金属バンプであってもよい。また、第2個別配線及び補助配線と、個別リード電極及び共通リード電極との接続は、半田接続などの溶接、異方性導電性接着剤(ACP、ACF)、非導電性接着剤(NCP、NCF)を介在させて圧着することで接続してもよい。
このように流路形成基板10の個別リード電極91及び共通リード電極92と、駆動回路基板30の第2個別配線35及び補助配線36とをバンプ電極37によって電気的に接続することで、流路形成基板10や駆動回路基板30に反りやうねりがあっても、コア部371がこれに追従して変形するため、個別リード電極91及び共通リード電極92と、駆動回路基板30の第2個別配線35及び補助配線36とを確実に電気的に接続することができる。
また、流路形成基板10と駆動回路基板30とは、接着層38によって接着されており、これにより、バンプ電極37を構成するバンプ配線372である第2個別配線35及び第2接続配線362と個別リード電極91及び共通リード電極92とは互いに当接した状態で固定されている。
このように流路形成基板10と駆動回路基板30とを接合する接着層38によって、流路形成基板10と駆動回路基板30との間には、内部に圧電アクチュエーター150が配置された空間である保持部160が形成されている。すなわち、保持部160は、バンプ電極37によって第3の方向Zの高さが規定されるものであるが、保持部160を高くするには、バンプ電極37のコア部371を大きくしなくてはならないが、コア部371を大きくするには、コア部371を設ける平面スペースも必要となり、流路形成基板10及び駆動回路基板30等が大型化してしまう。つまり、保持部160は、圧電アクチュエーター150の駆動を阻害しない程度の高さで、できるだけ低くすることが好ましく、これにより記録ヘッドの第2の方向Y及び第3の方向Zの小型化を図ることができる。ちなみに、本実施形態の記録ヘッド1において圧電アクチュエーター150の変位に必要な空間は、20μm程度である。
そして、駆動回路基板30の第2主面302に設けられた補助配線36は、本実施形態では、第2溝306内に設けられた第2埋設配線361を有するため、高さの低い保持部160内に電気抵抗値の低い補助配線36を設けることができる。すなわち、駆動回路基板30の第2主面302に第2溝306を設けずに、補助配線36を設ける場合、保持部160の高さに制限があることから、補助配線36を高く形成することができず、補助配線36の横断面積が小さくなって、電気抵抗値が高くなってしまう。また、補助配線36の電気抵抗値を低くするために、補助配線36の幅を広げると、駆動回路基板30や流路形成基板10が第2の方向Yに大型化してしまう。さらに、駆動回路基板30に第2溝306を設けずに、厚さの比較的厚い配線を形成する場合、フォトリソグラフィー法の制限によって配線を高精度及び高密度にパターニングするのが困難であり、厚さの比較的薄い配線しか形成することができない。本実施形態では、第2埋設配線361は、第2溝306によってその厚さが決定されると共に、第2溝306によってパターンが形成されるため、表面に配線を形成する場合に較べて、比較的厚い、例えば20μm〜40μm程度の厚さの第2埋設配線361を40μm〜50μmのピッチで高密度に形成することができる。したがって、第2埋設配線361の横断面積を増大させて電気抵抗値を低下させることができる。また、第2埋設配線361は、第1埋設配線321と同様に、第1内壁面306a及び第2内壁面306bが第1の(111)面及び第2の(111)面で形成された第2溝306内に埋め込まれているため、第2埋設配線361の横断面は矩形状となる。したがって、駆動回路基板30として(100)面のシリコン単結晶基板を用いた場合に較べて、第2溝306内に形成される第2埋設配線361の横断面積を増大させて、電気抵抗値をさらに低下させることができる。このように第2埋設配線361の横断面積を増大させることができるため、第2埋設配線361の第2の方向Yの幅を狭くしても電気抵抗値が著しく高くなるのを抑制することができる。したがって、第2埋設配線361を高密度に配置して駆動回路基板30及び流路形成基板10の小型化を図ることができる。
また、第2溝306は、異方性エッチングによって形成することで、ドライエッチングで形成するのに比べて、異なる幅の第2溝306を所望の深さで高精度に形成することができる。このため、所望の電気抵抗値の第2埋設配線361を実現することができる。
以上に説明したように、本実施形態に係る記録ヘッド1は、保持部160内に圧電アクチュエーター150が収容され、駆動回路基板30の第2主面302側に駆動回路120が設けられている。駆動回路120は、圧電アクチュエーター150とは反対側に面した、いわゆるフェイスアップ配置である。そして、これらの圧電アクチュエーター150と駆動回路120とは、駆動回路基板30を貫通して第3の方向Zに延びる第1貫通配線33及び第2貫通配線34により電気的に接続されている。
仮に、駆動回路120がフェイスダウン配置であると、従来技術で述べたように、駆動回路基板30の第2主面302側に、保持部160よりも外側に、外部配線130が接続される部分を設けなければならない。すなわち、水平面(第1の方向X及び第2の方向Yで規定される面)で駆動回路基板30が大型化してしまう。
しかしながら、本実施形態の記録ヘッド1は、駆動回路120をフェイスアップ配置としたことで、外部配線130が接続される部分を第2主面302側等に必要としない。したがって、駆動回路基板30を小型化することができる。
また、本実施形態に係る記録ヘッド1は、第1貫通配線33及び第2貫通配線34が駆動回路基板30を貫通する第3の方向Zに延設されている。これにより、駆動回路120をフェイスアップ配置とすることで圧電アクチュエーター150と駆動回路120とが保持部160の内外で離隔されても、これらを電気的に接続することができる。
さらに、供給配線32に第1溝304に埋設された第1埋設配線321を設けると共に、補助配線36に第2溝306に埋設された第2埋設配線361を設けることで、駆動回路基板30の第2の方向Y及び第3の方向Zの小型化を図ることができる。
図1〜図3に示すように、このような流路形成基板10、駆動回路基板30、連通板15及びノズルプレート20の接合体には、複数の圧力発生室12に連通するマニホールド100を形成するケース部材40が固定されている。ケース部材40は、平面視において上述した連通板15と略同一形状を有し、駆動回路基板30に接合されると共に、上述した連通板15にも接合されている。具体的には、ケース部材40は、駆動回路基板30側に流路形成基板10及び駆動回路基板30が収容される深さの凹部41を有する。この凹部41は、駆動回路基板30の流路形成基板10に接合された面よりも広い開口面積を有する。そして、凹部41に流路形成基板10等が収容された状態で凹部41のノズルプレート20側の開口面が連通板15によって封止されている。また、ケース部材40には、凹部41の第2の方向Yの両側に凹形状を有する第3マニホールド部42が形成されている。この第3マニホールド部42と、連通板15に設けられた第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18とによって本実施形態のマニホールド100が構成されている。
ケース部材40の材料としては、例えば、樹脂や金属等を用いることができる。ちなみに、ケース部材40として、樹脂材料を成形することにより、低コストで量産することができる。
連通板15のノズルプレート20側の面には、コンプライアンス基板45が設けられている。このコンプライアンス基板45が、第1マニホールド部17と第2マニホールド部18のノズルプレート20側の開口を封止している。このようなコンプライアンス基板45は、本実施形態では、封止膜46と、固定基板47と、を具備する。封止膜46は、可撓性を有する薄膜(例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やステンレス鋼(SUS)等により形成された厚さが20μm以下の薄膜)からなり、固定基板47は、ステンレス鋼(SUS)等の金属等の硬質の材料で形成される。この固定基板47のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部48となっているため、マニホールド100の一方面は可撓性を有する封止膜46のみで封止された可撓部であるコンプライアンス部49となっている。
ケース部材40には、マニホールド100に連通して各マニホールド100にインクを供給するための導入路44が設けられている。また、ケース部材40には、駆動回路基板30が露出し、外部配線が挿通される接続口43が設けられており、接続口43に挿入された外部配線が駆動回路基板の供給配線と接続されている。
このような構成の記録ヘッド1では、インクを噴射する際に、インクが貯留された液体貯留手段から導入路44を介してインクを取り込み、マニホールド100からノズル開口21に至るまで流路内部をインクで満たす。その後、駆動回路120からの信号に従い、圧力発生室12に対応する各圧電アクチュエーター150に電圧を印加することにより、圧電アクチュエーター150と共に振動板50をたわみ変形させる。これにより、圧力発生室12内の圧力が高まり所定のノズル開口21からインク滴が噴射される。
(実施形態2)
図13は、本発明の実施形態2に係る駆動回路基板の底面図である。なお、上述した実施形態1と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図13は、本発明の実施形態2に係る駆動回路基板の底面図である。なお、上述した実施形態1と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図13に示すように、駆動回路基板30の第2主面302には、第2個別配線35と、補助配線36と、が設けられている。
補助配線36は、第2溝306に設けられた第2埋設配線361と、複数の第2埋設配線361を覆う第2接続配線362とを具備する。
本実施形態の第2溝306及び第2埋設配線361は、第1の方向Xに亘って断続的に設けられている。すなわち、第2溝306及び第2埋設配線361は、第1の方向Xに亘って所定の間隔で複数並設されている。そして、第1の方向Xに亘って複数並設された第2埋設配線361の列が、圧電アクチュエーター150の活性部の列毎に6本設けられている。つまり、第2埋設配線361は、第2主面302にマトリックス状に配置されている。
第2接続配線362は、マトリックス状に配置された複数の第2埋設配線361を共通して覆うように設けられている。
なお、特に図示していないが、駆動回路基板30の第1主面301には、実施形態1と同様に第1個別配線31や、第1溝304に設けられた第1埋設配線321と、第1接続配線322とを有する供給配線32等が設けられている。
このような駆動回路基板30であっても、第2溝306と第1溝304との第2の方向の位置及び幅を同等とすることで、駆動回路基板30に第1溝304及び第2溝306を異方性エッチングによって高精度に形成することができる。
また、本実施形態では、第2溝306及び第2埋設配線361を第1の方向Xに沿って複数並設するようにしたが、第1主面301に設けられた第1溝304及び第1埋設配線321についても同様に、第1の方向Xに亘って所定の間隔で複数設けるようにしてもよい。このような場合には、第1の方向Xで断続して設けられた複数の第1埋設配線321同士を第1接続配線322で電気的に接続すればよい。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態1及び2では、第1主面301に第1埋設配線321を設け、第2主面302に第2埋設配線361を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、何れか一方のみを設けるようにしてもよい。
また、上述した実施形態1及び2では、駆動回路120にバンプ電極121を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、駆動回路基板30の第1主面301側にバンプ電極を設けるようにしてもよい。同様に、駆動回路基板30の第2主面302にバンプ電極37を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、流路形成基板10側にバンプ電極を設けるようにしてもよい。また、バンプ電極121、37の位置についても上述した実施形態1及び2に限定されるものではない。
さらに、実施形態1及び2では、2列の圧電アクチュエーター150に対して1つの駆動回路120を設けたが、特にこれに限定されない。例えば、1列の圧電アクチュエーター150の列毎に駆動回路120を設けてもよく、1列の圧電アクチュエーター150の列に対して、第1の方向Xで2以上に分割された複数の駆動回路120を設けるようにしてもよい。
さらに、実施形態1及びでは、補助配線36を共通リード電極92に接続するバンプ電極37は、2つの補助配線36から引き出された第2接続配線362を1つのコア部371の表面の一部を覆うように設けたが、特にこれに限定されず、例えば、補助配線36毎にコア部371を設けるようにしてもよい。また、補助配線36用のバンプ電極37のコア部371と、第2個別配線35用のバンプ電極37のコア部371とを共通化してもよい。
さらに、上述した実施形態1及び2では、圧力発生室12に圧力変化を生じさせる駆動素子として、薄膜型の圧電アクチュエーター150を用いて説明したが、特にこれに限定されず、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型の圧電アクチュエーターや、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電アクチュエーターなどを使用することができる。また、駆動素子として、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル開口から液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル開口から液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
なお、実施形態の記録ヘッド1は、液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置に搭載される。図14は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
図示するように、インクジェット式記録装置Iにおいて、記録ヘッド1は、インク供給手段を構成するカートリッジ2が着脱可能に設けられ、記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4には搬送手段としての搬送ローラー8が設けられており、紙等の記録媒体である記録シートSが搬送ローラー8により搬送されるようになっている。なお、記録シートSを搬送する搬送手段は、搬送ローラーに限られずベルトやドラム等であってもよい。
なお、上述したインクジェット式記録装置Iでは、記録ヘッド1がキャリッジ3に搭載されて主走査方向に移動するものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、記録ヘッド1が固定されて、紙等の記録シートSを副走査方向に移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。
また、上述した例では、インクジェット式記録装置Iは、液体貯留手段であるカートリッジ2がキャリッジ3に搭載された構成であるが、特にこれに限定されず、例えば、インクタンク等の液体貯留手段を装置本体4に固定して、貯留手段と記録ヘッド1とをチューブ等の供給管を介して接続してもよい。また、液体貯留手段がインクジェット式記録装置に搭載されていなくてもよい。
さらに、本発明は、広くヘッド全般を対象としたものであり、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種のインクジェット式記録ヘッド等の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等にも適用することができる。
また、本発明は、広くMEMSデバイスを対象としたものであり、記録ヘッド以外のMEMSデバイスにも適用することができる。MEMSデバイスとしては、外部からの信号を検知し、検知前後において電流値が変化するものが挙げられる。このようなMEMSデバイスの一例としては、超音波デバイス、モーター、圧力センサー、焦電素子、強誘電体素子などが挙げられる。また、これらのMEMSデバイスを利用した完成体、たとえば、上記ヘッドを利用した液体等噴射装置、上記超音波デバイスを利用した超音波センサー、上記モーターを駆動源として利用したロボット、上記焦電素子を利用したIRセンサー、強誘電体素子を利用した強誘電体メモリーなども、MEMSデバイスに含まれる。そして、MEMSデバイスにおいて本発明の配線抵抗の低減した埋設配線を有する配線基板を用いることで、微少電流を検出することが可能となる。
さらに、本発明は、広く配線基板を対象としたものであり、MEMSデバイス以外の配線基板にも適用することができる。
I…インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、1…インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、10…流路形成基板、12…圧力発生室、20…ノズルプレート、30…駆動回路基板(配線基板;シリコン単結晶基板)、31…第1個別配線、32…供給配線、33…第1貫通配線、34…第2貫通配線、35…第2個別配線、36…補助配線、37…バンプ電極、91…個別リード電極、92…共通リード電極、100…マニホールド、120…駆動回路、121…バンプ電極、122…コア部、123…バンプ配線、130…外部配線、150…圧電アクチュエーター、160…保持部、301…第1主面、302…第2主面、303…第1貫通孔、304…第1溝、304a…第1内壁面、304b…第2内壁面、305…第2貫通孔、306…第2溝、306a…第1内壁面、306b…第2内壁面、321…第1埋設配線、322…第1接続配線、361…第2埋設配線、362…第2接続配線、371…コア部、372…バンプ配線
Claims (5)
- 表面が(110)面であるシリコン単結晶基板に、該シリコン単結晶基板の(110)面に垂直な第1の(111)面と、前記第1の(111)面に相対向して前記(110)面に垂直な第2の(111)面と、を有する溝が設けられ、
該溝に埋設された配線を有することを特徴とする配線基板。 - 請求項1記載の配線基板を具備することを特徴とするMEMSデバイス。
- 請求項1に記載の配線基板と、
液体を噴射するノズルに連通する圧力発生室と、
前記圧力発生室の液体に圧力変化を生じさせる駆動素子と、を具備し、
前記第1の(111)面及び前記第2の(111)面が前記駆動素子の並設方向に沿って設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。 - 前記配線基板は、前記駆動素子と積層して設けられ、
前記溝に埋設された前記配線が、前記配線基板の前記駆動素子が設けられている側とは反対側に設けられ、
前記配線基板に設けられている駆動回路に接続されていることを特徴とする請求項3記載の液体噴射ヘッド。 - 前記配線基板は、前記駆動素子と積層して設けられ、
前記溝に埋設された前記配線が、前記配線基板の前記駆動素子が設けられている側に設けられ、前記駆動素子を構成する電極の一つである共通電極に電気的に接続されていることを特徴とする請求項3記載の液体噴射ヘッド。
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