JP2016060177A - 液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】配線を容易に且つ高精度に形成して、配線の断線やマイグレーションを抑制した液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置を提供する。【解決手段】複数の圧力発生室12が形成された流路形成基板10と、前記流路形成基板10の一方面側に設けられて前記圧力発生室12内の液体に圧力変化を生じさせる駆動素子300と、前記流路形成基板10の前記一方面側に固定されて、前記駆動素子300を内部に保持する保持部32を有する保護基板30と、を具備し、前記保護基板30には、前記流路形成基板10との接合面側と当該保護基板30の前記流路形成基板10とは反対側とを連通する貫通孔33が、前記駆動素子300毎に設けられており、前記保護基板30の前記貫通孔33内には、めっきによって形成されて前記駆動素子300に接続された配線35が設けられている。【選択図】 図4

Description

本発明は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置に関し、特に液体としてインクを噴射するインクジェット式記録ヘッド及びその製造法並びにインクジェット式記録装置に関する。
液体を噴射する液体噴射ヘッドは、ノズル開口に連通する圧力発生室が形成された流路形成基板と、流路形成基板の一方面側に設けられた圧電アクチュエーターと、流路形成基板の圧電アクチュエーター側に接合された保護基板と、を具備し、圧電アクチュエーターによって圧力発生室内の液体に圧力変化を生じさせることで、ノズル開口から液体を噴射するものがある。
また、このような液体噴射ヘッドでは、保護基板の流路形成基板とは反対面側に駆動回路を実装し、保護基板に開口部を形成して、開口部内に圧電アクチュエーターから引き出されたリード電極を露出させ、リード電極と駆動回路とを保護基板上及び開口部の内面に形成された配線によって接続するようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特開2010−69750号公報 特開2003−127366号公報
しかしながら、流路形成基板と保護基板とは接着剤によって接着されているため、駆動回路と圧電アクチュエーターとを接続する配線を接着剤上に亘って形成しなくてはならず、保護基板や流路形成基板と接着剤との線膨張係数の違いによっての吸湿等によって配線が断線する虞があるという問題がある。
また、接着剤上に設けられた配線は、接着剤の吸湿等によってマイグレーションが発生し易いという問題がある。
さらに、保護基板の開口部の内面に配線を所定形状に形成するのは困難である。特に、開口部は保護基板の厚さがそのまま深さになるため、開口部の内面に配線を均一な厚さで、保護基板の上下において同じ幅で高精度に形成するのが困難であるという問題がある。これは、配線をパターニングする際に用いるレジストの露光時に保護基板の厚さの上下において、露光の寸法に誤差が生じてしまうからである。また、保護基板の上下において分割して露光することも考えられるものの、分割した露光の場合には、アライメント精度が不足し、配線を高密度及び高精度に形成することができないという問題がある。
また、保護基板の圧電アクチュエーターを保持する保持部の内面に配線を形成する場合には、保持部の側壁の角度によって配線を形成するのが困難であるという問題がある。
なお、このような問題はインクジェット式記録ヘッドだけではなく、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、配線を容易に且つ高精度に形成して、配線の断線やマイグレーションを抑制した液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、複数の圧力発生室が形成された流路形成基板と、前記流路形成基板の一方面側に設けられて前記圧力発生室内の液体に圧力変化を生じさせる駆動素子と、前記流路形成基板の前記一方面側に固定されて、前記駆動素子を内部に保持する保持部を有する保護基板と、を具備し、前記保護基板には、前記流路形成基板との接合面側と当該保護基板の前記流路形成基板とは反対側とを連通する貫通孔が、前記駆動素子毎に設けられており、前記保護基板の前記貫通孔内には、めっきによって形成されて前記駆動素子に接続された配線が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、配線を流路形成基板と保護基板とを接着する接着剤上に形成する必要がなく、配線の断線やマイグレーションの発生を抑制することができる。また、配線をスパッタリング等の気相法によって形成するのに比べて、めっきによって形成することで、貫通孔内に配線を確実に形成することができる。さらに、配線をめっきによって形成することで、保護基板の厚さ方向の上下において、配線の厚さや幅にばらつきが生じるのを抑制して、配線を高精度に形成することができる。
ここで、前記配線は、駆動回路に接続されていることが好ましい。これによれば、駆動素子に配線を介して駆動回路を容易に接続することができる。
また、前記駆動回路は、前記保護基板の前記流路形成基板とは反対面側に一体的に設けられていることが好ましい。これによれば、駆動回路と配線とのアライメントが不要となって、駆動回路と配線とを確実に接続することができると共に、部品点数を減少させて、コストを低減することができる。
また、前記流路形成基板上には、前記駆動素子から引き出された引き出し配線が、前記保護基板が接合される領域まで引き出されており、前記引き出し配線と前記配線とが電気的に接続されていることが好ましい。これによれば、流路形成基板と保護基板とを接合するだけで、引き出し配線と配線とを容易に接続することができる。
また、前記保持部の内面には、前記配線と接続される接続配線が設けられており、前記配線と前記駆動素子とが前記接続配線を介して接続されていることが好ましい。これによれば、貫通孔の位置に制限がなくなり、貫通孔を保持部に連通する位置に設けて、貫通孔の深さを浅くして、貫通孔を容易に形成することができると共に内部に配線を容易に形成することができる。
さらに、本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、配線の断線を抑制して信頼性を向上した液体噴射装置を実現できる。
また、本発明の他の態様は、複数の圧力発生室が形成された流路形成基板と、前記流路形成基板の一方面側に設けられて前記圧力発生室内の液体に圧力変化を生じさせる駆動素子と、前記流路形成基板の前記一方面側に固定されて、前記駆動素子を内部に保持する保持部を有する保護基板と、を具備する液体噴射ヘッドの製造方法であって、前記保護基板に、前記流路形成基板との接合面側と当該保護基板の前記流路形成基板とは反対側とを連通する貫通孔を前記駆動素子毎に設ける工程と、前記保護基板の前記貫通孔内に、前記駆動素子に接続される配線をめっきによって形成する工程と、を具備することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる態様では、配線を流路形成基板と保護基板とを接着する接着剤上に形成する必要がなく、配線の断線やマイグレーションの発生を抑制することができる。また、配線をスパッタリング等の気相法によって形成するのに比べて、めっきによって形成することで、貫通孔内に配線を確実に形成することができる。さらに、配線をめっきによって形成することで、保護基板の厚さ方向の上下において、配線の厚さや幅にばらつきが生じるのを抑制して、配線を高精度に形成することができる。
ここで、前記配線を形成する工程では、前記保持部の内面に前記配線と前記駆動素子とを接続する接続配線をめっきによって同時に形成することが好ましい。これによれば、配線と接続配線とを同時に形成してコストを低減することができる。
本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの平面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの要部を拡大した断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの要部を拡大した断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態2に係る記録ヘッドの要部を拡大した断面図である。 本発明の実施形態3に係る記録ヘッドの要部を拡大した断面図である。 本発明の一実施形態に係る記録装置の概略図である。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図2は、インクジェット式記録ヘッドの平面図である。また、図3は図2のA−A′線断面図であり、図4は図3の要部を拡大した図であり、図5は図3のB−B′線断面図である。
図示するように、本実施形態のインクジェット式記録ヘッド1は、流路形成基板10、連通板15、ノズルプレート20、保護基板30、コンプライアンス基板45等の複数の部材を備える。
流路形成基板10は、ステンレス鋼やNiなどの金属、ZrOあるいはAlを代表とするセラミック材料、ガラスセラミック材料、MgO、LaAlOのような酸化物などを用いることができる。本実施形態では、流路形成基板10は、シリコン単結晶基板からなる。この流路形成基板10には、一方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁によって区画された圧力発生室12がインクを吐出する複数のノズル開口21が並設される方向に沿って並設されている。以降、この方向を圧力発生室12の並設方向、又は第1の方向Xと称する。また、流路形成基板10には、圧力発生室12が第1の方向Xに並設された列が複数列、本実施形態では、2列設けられている。この圧力発生室12が第1の方向Xに沿って形成された圧力発生室12の列が複数列設された列設方向を、以降、第2の方向Yと称する。さらに、第1の方向X及び第2の方向Yの双方に交差する方向を本実施形態では、第3の方向Zと称する。なお、本実施形態では、各方向(X、Y、Z)の関係を直交とするが、各構成の配置関係が必ずしも直交するものに限定されるものではない。
また、流路形成基板10には、圧力発生室12の第2の方向Yの一端部側に、当該圧力発生室12よりも開口面積が狭く、圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を付与する供給路等が設けられていてもよい。
また、流路形成基板10の一方面側(積層方向であって−Z方向)には、連通板15とノズルプレート20とが順次積層されている。すなわち、流路形成基板10の一方面に設けられた連通板15と、連通板15の流路形成基板10とは反対面側に設けられたノズル開口21を有するノズルプレート20と、を具備する。
連通板15には、圧力発生室12とノズル開口21とを連通するノズル連通路16が設けられている。連通板15は、流路形成基板10よりも大きな面積を有し、ノズルプレート20は流路形成基板10よりも小さい面積を有する。このように連通板15を設けることによってノズルプレート20のノズル開口21と圧力発生室12とを離せるため、圧力発生室12の中にあるインクは、ノズル開口21付近のインクで生じるインク中の水分の蒸発による増粘の影響を受け難くなる。また、ノズルプレート20は圧力発生室12とノズル開口21とを連通するノズル連通路16の開口を覆うだけで良いので、ノズルプレート20の面積を比較的小さくすることができ、コストの削減を図ることができる。なお、本実施形態では、ノズルプレート20のノズル開口21が開口されて、インク滴が吐出される面を液体噴射面20aと称する。
また、連通板15には、マニホールド100の一部を構成する第1マニホールド部17と、第2マニホールド部18とが設けられている。
第1マニホールド部17は、連通板15を厚さ方向(連通板15と流路形成基板10との積層方向)に貫通して設けられている。
また、第2マニホールド部18は、連通板15を厚さ方向に貫通することなく、連通板15のノズルプレート20側に開口して設けられている。
さらに、連通板15には、圧力発生室12の第2の方向Yの一端部に連通する供給連通路19が、圧力発生室12毎に独立して設けられている。この供給連通路19は、第2マニホールド部18と圧力発生室12とを連通する。
このような連通板15としては、ステンレスやNiなどの金属、またはジルコニウムなどのセラミックなどを用いることができる。なお、連通板15は、流路形成基板10と線膨張係数が同等の材料が好ましい。すなわち、連通板15として流路形成基板10と線膨張係数が大きく異なる材料を用いた場合、加熱や冷却されることで、流路形成基板10と連通板15との線膨張係数の違いにより反りが生じてしまう。本実施形態では、連通板15として流路形成基板10と同じ材料、すなわち、シリコン単結晶基板を用いることで、熱による反りや熱によるクラック、剥離等の発生を抑制することができる。
ノズルプレート20には、各圧力発生室12とノズル連通路16を介して連通するノズル開口21が形成されている。このようなノズル開口21は、第1の方向Xに並設され、この第1の方向Xに並設されたノズル開口21の列が第2の方向Yに2列形成されている。
このようなノズルプレート20としては、例えば、ステンレス鋼(SUS)等の金属、ポリイミド樹脂のような有機物、又はシリコン単結晶基板等を用いることができる。なお、ノズルプレート20としてシリコン単結晶基板を用いることで、ノズルプレート20と連通板15との線膨張係数を同等として、加熱や冷却されることによる反りや熱によるクラック、剥離等の発生を抑制することができる。
一方、流路形成基板10の連通板15とは反対面側には、振動板50が形成されている。本実施形態では、振動板50として、流路形成基板10側に設けられた酸化シリコンからなる弾性膜51と、弾性膜51上に設けられた酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜52と、を設けるようにした。なお、圧力発生室12等の液体流路は、流路形成基板10を一方面側(ノズルプレート20が接合された面側)から異方性エッチングすることにより形成されており、圧力発生室12等の液体流路の他方面は、弾性膜51によって画成されている。
また、流路形成基板10の振動板50上には、第1電極60と圧電体層70と第2電極80とを有する圧電アクチュエーター300が設けられている。本実施形態では、圧電アクチュエーター300が流路内に圧力変化を生じさせる圧力発生手段であって、詳しくは後述する半導体素子である駆動回路120によって駆動される駆動素子となっている。ここで、圧電アクチュエーター300は、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分をいう。一般的には、圧電アクチュエーター300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極を圧力発生室12毎にパターニングして構成する。本実施形態では、第1電極60を複数の圧電アクチュエーター300に亘って連続して設けることで共通電極とし、第2電極80を圧電アクチュエーター300毎に独立して設けることで個別電極としている。もちろん、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。すなわち、第1電極60を複数の圧電アクチュエーター300に亘って連続して設けることで共通電極とし、第2電極を圧電アクチュエーター300毎に独立して設けることで個別電極としてもよい。なお、上述した例では、振動板50が弾性膜51及び絶縁体膜52で構成されたものを例示したが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、振動板50として弾性膜51及び絶縁体膜52の何れか一方を設けたものであってもよく、また、振動板50として弾性膜51及び絶縁体膜52を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。また、圧電アクチュエーター300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
圧電体層70は、第1電極60上に形成される分極構造を有する酸化物の圧電材料からなり、例えば、一般式ABOで示されるペロブスカイト型酸化物からなることができ、鉛を含む鉛系圧電材料や鉛を含まない非鉛系圧電材料などを用いることができる。
また、圧電アクチュエーター300の各電極60、80には、引き出し配線であるリード電極90の一端がそれぞれ接続されている。リード電極90の他端部は、振動板50上であって、第2の方向Yで隣り合う圧電アクチュエーター300の列の間に引き出されている。ここで、引き出されたリード電極90の他端部が、保護基板30に設けられた配線35と接続されるリード電極端子91となっている。なお、各リード電極90は、本実施形態では、第2の方向Yに沿って直線状に延設されている。
また、流路形成基板10の圧電アクチュエーター300側の面には、流路形成基板10と略同じ大きさを有する保護基板30が接合されている。
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。また、流路形成基板10と保護基板30との接合方法は特に限定されず、例えば、本実施形態では、流路形成基板10と保護基板30とを接着剤39を介して接合されている。本実施形態では、流路形成基板10の保護基板30側の面、すなわち、振動板50の保護基板30側の面を第1主面201と称し、保護基板30の第1主面201に接合される面を第2主面202と称する。また、保護基板30の第1主面201とは反対側の面を第3主面203と称する。
このような保護基板30は、第2主面202に開口する凹部31を有する。凹部31は、保護基板30を厚さ方向である第3の方向Zに貫通することなく形成されており、流路形成基板10との間に圧電アクチュエーター300を保持する空間である保持部32を形成する。すなわち、保護基板30の凹部31は、流路形成基板10の第1主面201によって封止されており、封止された凹部31によって形成された空間である保持部32内に圧電アクチュエーター300が保持されている。本実施形態では、凹部31は、圧電アクチュエーター300の列毎に設けられている。すなわち、保護基板30には、2つの凹部31が第2の方向Yに並設されている。
凹部31は、第1主面201に相対向する底部311と、第2の方向Yの両側の壁面である第1側壁部312(図4参照)と、第1の方向Xの両側の壁面である第2側壁部313(図5参照)と、を具備する。
第1側壁部312は、底部311と第2主面202との間で傾斜して設けられた斜面となっている。すなわち、斜面である第1側壁部312は、基準方向である第1の方向Xに延在している。ここで、第1側壁部312が斜面になっているとは、第2主面202に対して傾斜して設けられていることを言う。すなわち、第1側壁部312が第2主面202と同じ面方向で形成されておらず、また、第1側壁部312が第2主面202に直交する第3の方向Zと同じ面方向に設けられていない。つまり、第1側壁部312は、第3の方向Zに対しても傾斜して設けられている。このような第1側壁部312の傾斜角度は特に限定されないが、例えば、保護基板30をシリコン単結晶基板で形成した場合、シリコン単結晶基板の面方位にもよるが、例えば、第1側壁部312は、第2主面202に対して54.7度となる。また、第2の方向Yで相対向する2つの第1側壁部312の間隔は、第3の方向Zにおいて流路形成基板10とは離れる方向に向かって漸小して設けられている。もちろん、第1側壁部312の傾斜角度は特にこれに限定されず、例えば、第2主面202に対して垂直に、すなわち、第3の方向Zに沿った面方向としてもよい。
なお、本実施形態では、図5に示すように、凹部31の第1の方向Xの両側の壁面である2つの第2側壁部313についても第1側壁部312と同様に第2主面202に対して傾斜して設けられている。このように第1側壁部312と第2側壁部313とを傾斜して設けることにより、凹部31を例えば異方性エッチングによって容易に高精度に形成することができる。
また、保護基板30には、第3主面203の凹部31に相対向する領域に半導体素子である駆動回路120が設けられている。すなわち、駆動回路120は、第3の方向Zから平面視した際に凹部31に少なくとも一部が重なる位置に配置されている。なお、本実施形態の駆動回路120は、半導体プロセスによって保護基板30に一体的に設けられている。このように駆動回路120を保護基板30の第3主面203側に設けることで、駆動回路120に外部配線を容易に接続することができる。ちなみに、駆動回路120を凹部31内に一体的又は別体として設けることも考えられるものの、駆動回路120に外部配線を接続するのが困難になると共に、保護基板30が大型化してしまう虞がある。つまり、本実施形態では、駆動回路120を保護基板30の第3主面203側に設けることで、保護基板30への外部配線の接続方向が制限されることがなく、外部配線を接続するための貫通孔等が不要となって、保護基板30の小型化を図ることができる。また、本実施形態のように、保護基板30に駆動回路120を一体的に形成することで、配線35に駆動回路120を位置決めして接続する工程が不要となり、位置決め精度を向上して高密度化を図ることができる。また、保護基板30に駆動回路120を一体的に設けることで、保護基板30と駆動回路120とを別体にする場合に比べて、部品点数を減少させてコストを低減することができる。
さらに、保護基板30には、厚さ方向である第3の方向Zに貫通する貫通孔33が設けられている。本実施形態では、貫通孔33は、凹部31の底部311と第3主面203側に設けられた駆動回路120とに貫通して設けられている。なお、貫通孔33は、本実施形態では、第3の方向Zに沿って直線状に設けられているが、もちろんこれに限定されず、例えば、貫通孔33を第3の方向Zに対して傾斜して設けるようにしてもよい。また、貫通孔33は、図5に示すように、圧電アクチュエーター300毎に設けられている。すなわち、本実施形態では、圧電アクチュエーター300が第1の方向Xに並設された列が、第2の方向Yに2列設けられているため、貫通孔33も圧電アクチュエーター300と同様に、第1の方向Xに並設された列が、第2の方向Yに2列設けられている。また、本実施形態では、図5に示すように、第1の方向Xで並設された貫通孔33の両側には、さらに、共通電極である第1電極60から引き出されたリード電極90に対応する共通用貫通孔34が設けられている。
このような貫通孔33内には、配線35が形成されている。配線35は、貫通孔33の内部に亘って充填されており、一端が駆動回路120の端子121と接続されている。このような配線35は、詳しくは後述するが、めっきによって形成されている。このように配線35をめっきによって形成することで、微細な開口である貫通孔33内に配線35を充填するように形成することが可能となる。これに対して、スパッタリング法等の気相法によって配線35を形成しようとしても、微細な開口を有する貫通孔33内に充填するように配線35を形成するのは困難であり、配線35の形成不良による断線等が発生する虞がある。なお、共通用貫通孔34内にも貫通孔33と同様に配線35がめっきによって設けられている。
また、保護基板30の凹部31の内面及び第2主面202には、接続配線36が設けられている。具体的には、接続配線36は、第2主面202から第1側壁部312の内面を通過して底部311の内面に露出した配線35の端部まで延設されている。このような接続配線36は、第2主面202に設けられた一端部側で第2電極80から引き出されたリード電極90に電気的に接続され、凹部31の底部311側の他端部側で配線35と電気的に接続されている。また、接続配線36は、配線35と同様にめっきによって形成されている。すなわち、配線35及び接続配線36は、めっきによって同時に一体的に形成することが可能である。なお、共通用貫通孔34内に設けられた配線35についても接続配線36が設けられており、接続配線36は、第1電極60から引き出されたリード電極90(図示なし)と電気的に接続されている。
このような接続配線36は、凹部31の深さが、保護基板30の厚さに比べて浅いことから、保護基板30を厚さ方向に貫通する開口部の内面に配線35や接続配線36を形成するのに比べて、高精度に形成することができる。すなわち、保護基板30を厚さ方向に貫通する開口部の内面に配線35や接続配線36を形成する場合、保護基板30の厚さによって、保護基板30の第2主面202側と第3主面203側とにおける配線35及び接続配線36の幅や厚さを均一に形成するのが困難となる。これは、配線35及び接続配線36をパターニングする際に使用されるレジストの露光時に保護基板30の厚さの上下において寸法に誤差が生じることによって発生する。また、保護基板30の上下において分割して露光することも考えられるものの、分割した露光の場合には、アライメント精度が不足し、配線35及び接続配線36を高精度に形成することができない。これに対して、本実施形態では、凹部31は、保護基板30を厚さ方向に貫通することなく形成されているため、凹部31の内面に設けられた接続配線36は、形成される面の高さの差を減少させることができ、分割露光することなく所望の幅や厚さで高精度に形成することができる。
また、接続配線36をめっきによって形成することで、凹部31の第1側壁部312が第2主面202に対して大きな角度、つまり垂直に近く設けられていても、第1側壁部312へのカバレッジがよく、断線等の発生を抑制することができる。これに対して、例えば、接続配線36をスパッタリング法等の気相法によって形成すると、第1側壁部312が第2主面202に対して大きな角度で設けられている場合、カバレッジが悪く接続配線36を形成するのが困難である。
そして、接続配線36とリード電極90とは、第1主面201と第2主面202との間、すなわち、流路形成基板10と保護基板30との接合領域において、電気的に接続されている。具体的には、接続配線36の端部の接続端子37とリード電極90の端部のリード電極端子91とが電気的に接続されている。なお、接続配線36(接続端子37)とリード電極90(リード電極端子91)との接続方法は、特に限定されず、例えば、ハンダ付けやろう付けなどのろう接や、共晶接合、溶接、導電性粒子を含む導電性接着剤(ACP、ACF)、非導電性接着剤(NCP、NCF)等が挙げられる。例えば、接続配線36とリード電極90とが同じ材料、特に金(Au)や銅(Cu)で形成されている場合には、間に接着剤を介在させずに直接接着するいわゆる金(Au)−金(Au)接合や、銅(Cu)−銅(Cu)接合などの熱圧着を用いるようにしてもよい。また、圧電アクチュエーター300や駆動回路120が保持される空間である保持部32を密封する場合には、例えば、金属バンプ等の導電性粒子を含む導電性接着剤(ACP、ACF)や非導電性接着剤(NCP、NCF)によって流路形成基板10と保護基板30とを接着することで、接続配線36とリード電極90とを電気的に接続すると共に保持部32を密封することができる。もちろん、金(Au)−金(Au)等の直接接続と保持部32を密封する接着剤とを同時に用いるようにしてもよい。また、導電性接着剤を用いた場合であっても、保持部32は必ずしも密封していなくてもよい。ちなみに、圧電アクチュエーター300の高密度化に伴いリード電極90が高密度に配置されている場合には、リード電極90と接続配線36とのろう接による接続は困難であるため、直接接合、導電性接着剤、非導電性接着剤等によって接合するのが好ましい。なお、本実施形態では、保護基板30の第2主面202に樹脂材料で形成された半球状に突出した突起(バンプ)38を形成し、この突起38の表面に接続配線36を連続して設けることで、所謂、樹脂コアバンプからなる接続端子37を形成し、この接続端子37をリード電極90のリード電極端子91に接続するようにした。なお、保護基板30と流路形成基板10とは、非導電性接着剤(NCP、NCF)である接着剤39によって接合することで、接続配線36の接続端子37とリード電極90のリード電極端子91とが接続されている。このように接続配線36とリード電極90との接続に樹脂コアバンプで形成された接続端子37を用いることで、高密度に形成された接続配線36及びリード電極90同士を確実に接続することができる。また、樹脂材料からなるコアはつぶされることで、高さ調整が行われるため、接続配線36とリード電極90との接続をより確実に行うことができる。さらに、上述の樹脂コアバンプのコアとなる材料は、ポリイミド樹脂やアクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等で形成することができ、特許第4462332号に記載のある方法で形成できる。
このような構成では、上述のように駆動回路120と圧電アクチュエーター300との接続は、貫通孔33に設けられた配線35と凹部31の内面及び第2主面202に設けられた接続配線36と、第1主面201上のリード電極90とを直接電気的に接続することで行われるため、接続配線36を保護基板30と流路形成基板10とを接着する接着剤39上に亘って形成する必要がない。すなわち、予め配線35及び接続配線36が形成された保護基板30をリード電極90が形成された流路形成基板10に接合するだけで、接続配線36とリード電極90とを電気的に接続することができるため、接続配線36を接着剤39上に跨がって形成する必要がない。したがって、接続配線36を接着剤39上に形成することによる断線やマイグレーションの発生を抑制して、信頼性の高いインクジェット式記録ヘッド1を実現することができる。
また、本実施形態では、予め接続配線36が形成された保護基板30を流路形成基板10に接合するだけで、接続配線36とリード電極90との電気的接合を行うことができるため、流路形成基板10と保護基板30とを接合した後、成膜及びリソグラフィー法によって接続配線を形成する場合に比べて製造工程を簡略化して、接続配線36とリード電極90とを電気的に確実に接続することができる。
さらに、本実施形態では、駆動回路120と圧電アクチュエーター300とを、配線35と接続配線36とを介して接続するため、2つの凹部31の間に配線を形成するための大きな開口部が不要となる。したがって、保護基板30及び流路形成基板10の第2の方向Yの小型化を図ることができる。
また、本実施形態では、配線35とリード電極90とを接続配線36を介して接続するようにしたため、貫通孔33の位置に制限がなくなり、凹部31の底部311に開口する位置に貫通孔33を形成することができる。したがって、貫通孔33の深さを浅くすることができ、微細な開口を有する貫通孔33を容易に形成することができると共に貫通孔33の内部に配線35を容易に形成することができる。
このような流路形成基板10、保護基板30、連通板15及びノズルプレート20の接合体には、複数の圧力発生室12に連通するマニホールド100を形成するケース部材40が固定されている。ケース部材40は、平面視において上述した連通板15と略同一形状を有し、保護基板30に接合されると共に、上述した連通板15にも接合されている。具体的には、ケース部材40は、保護基板30側に流路形成基板10及び保護基板30が収容される深さの凹部41を有する。この凹部41は、保護基板30の流路形成基板10に接合された面よりも広い開口面積を有する。そして、凹部41に流路形成基板10等が収容された状態で凹部41のノズルプレート20側の開口面が連通板15によって封止されている。また、ケース部材40には、凹部41の第2の方向Yの両側に凹形状を有する第3マニホールド部42が形成されている。この第3マニホールド部42と、連通板15に設けられた第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18とによって本実施形態のマニホールド100が構成されている。
なお、ケース部材40の材料としては、例えば、樹脂や金属等を用いることができる。ちなみに、ケース部材40として、樹脂材料を成形することにより、低コストで量産することができる。
また、連通板15の第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18が開口する面には、コンプライアンス基板45が設けられている。このコンプライアンス基板45が、第1マニホールド部17と第2マニホールド部18の液体噴射面20a側の開口を封止している。このようなコンプライアンス基板45は、本実施形態では、封止膜46と、固定基板47と、を具備する。封止膜46は、可撓性を有する薄膜(例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やステンレス鋼(SUS)等により形成された厚さが20μm以下の薄膜)からなり、固定基板47は、ステンレス鋼(SUS)等の金属等の硬質の材料で形成される。この固定基板47のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部48となっているため、マニホールド100の一方面は可撓性を有する封止膜46のみで封止された可撓部であるコンプライアンス部49となっている。
なお、ケース部材40には、マニホールド100に連通して各マニホールド100にインクを供給するための導入路44が設けられている。また、ケース部材40には、保護基板30の第3主面203を露出して図示しない外部配線が挿通される接続口43が設けられており、接続口43に挿入された外部配線が駆動回路120と接続されている。
このような構成のインクジェット式記録ヘッド1では、インクを噴射する際に、インクが貯留された液体貯留手段から導入路44を介してインクを取り込み、マニホールド100からノズル開口21に至るまで流路内部をインクで満たす。その後、駆動回路120からの信号に従い、圧力発生室12に対応する各圧電アクチュエーター300に電圧を印加することにより、圧電アクチュエーター300と共に振動板50をたわみ変形させる。これにより、圧力発生室12内の圧力が高まり所定のノズル開口21からインク滴が噴射される。
ここで、本実施形態のインクジェット式記録ヘッド1の製造方法について図6〜図10を参照して説明する。なお、図6〜図10は、本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。
まず、図6(a)に示すように、シリコンウェハーであり複数の流路形成基板10が一体的に形成される流路形成基板用ウェハー110の表面に振動板50を形成する。本実施形態では、流路形成基板用ウェハー110を熱酸化することによって形成した二酸化シリコン(弾性膜51)と、スパッタリング法で成膜後、熱酸化することによって形成した酸化ジルコニウム(絶縁体膜52)との積層からなる振動板50を形成した。
次いで、図6(b)に示すように、振動板50上の全面に第1電極60を形成すると共に所定形状にパターニングする。なお、第1電極60に圧電体層70の結晶成長を制御するための制御層を形成してもよい。本実施形態では、特に図示していないが、圧電体層70(PZT)の結晶制御としてチタンを使用している。チタンは、圧電体層70の成膜時に圧電体層70内に取り込まれるため、圧電体層70形成後には膜として存在していない。
次に、図6(c)に示すように、第1電極60上に圧電体層70及び第2電極80を順次積層形成する。ここで、本実施形態では、金属錯体を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成している。なお、圧電体層70の製造方法は、ゾル−ゲル法に限定されず、例えば、MOD(Metal-Organic Decomposition)法やスパッタリング法又はレーザーアブレーション法等のPVD(Physical Vapor Deposition)法等を用いてもよい。すなわち、圧電体層70は液相法、気相法の何れで形成してもよい。
次に、図6(d)に示すように、圧電体層70及び第2電極80を同時にパターニングすることで、圧電アクチュエーター300を形成する。なお、圧電体層70及び第2電極80のパターニングは、例えば、反応性イオンエッチングやイオンミリング等のドライエッチングが挙げられる。
次に、図6(e)に示すように、金(Au)からなるリード電極90を形成すると共に所定形状にパターニングする。
次に、シリコンウェハーであり保護基板用ウェハー130に複数の保護基板30を一体的に形成する。
具体的には、図7(a)に示すように、保護基板用ウェハー130に駆動回路120を一体的に形成する。
次に、図7(b)に示すように、保護基板用ウェハー130に凹部31及び貫通孔33を形成する。凹部31は、例えば、異方性エッチング(ウェットエッチング)によって形成することができる。また、貫通孔33は、ドライエッチングによって形成することができる。もちろん、凹部31をドライエッチングで形成してもよい。また、貫通孔33は、保護基板用ウェハー130の厚さ及び貫通孔33の開口面積にもよるが、異方性エッチング(ウェットエッチング)によっても形成することも可能である。
次に、保護基板用ウェハー130に配線35及び接続配線36を形成する。本実施形態では、最初に図7(c)に示すように、保護基板用ウェハー130にパラジウム(Pd)を含む第1層351を形成する。この第1層351は、後の無電界めっきの触媒(アクチベーター)として機能するものである。なお、第1層351の形成方法としては、ディップ式とスプレー式(スピン式)とがあり、ディップ式は薬液槽に基板を浸漬する方法である。ディップ式としては、例えば、基板を塩化スズの塩酸溶液であるセンシタイザー溶液に浸漬した後、塩化パラジウムの塩酸溶液からなるアクチベーター溶液に浸漬することで、パラジウムからなる触媒を付与する方法(センシタイザー−アクチベーター法)などが挙げられる。ちなみに、スプレー式は薬液をノズルから基板に吹き付ける方法である。それ以外、薬液をインクジェット式記録ヘッドを用いて基板上に噴射するインクジェット方式もある。なお、第1層351を形成する前に、第2主面202には、予め突起38を形成しておく。
次に、図8(a)に示すように、第1層351上に無電界めっきによって第2層352を形成する。第2層352としては、例えば、主成分としてニッケル(Ni)を含む材料を用いることができる。
次に、図8(b)に示すように、第2層352上に第3層353を形成する。本実施形態では、第3層353として、金(Au)を電解めっきによって形成した。もちろん、第3層353を無電界めっきによって形成するようにしてもよい。また、第2層352と第3層353との間にパラジウム(Pd)等の中間層を設けるようにしてもよい。ちなみに、本実施形態のように、第2層352と第3層353との間にパラジウム等の中間層を設けない場合には、コストを低減することができる。また、第2層352と第3層353との間に中間層を設ける場合には、信頼性を向上することができる。なお、中間層としてパラジウムを設ける場合には、例えば、金(Au)の第3層353は、無電界めっきによって形成することができる。
その後は、図8(c)に示すように、第1層351、第2層352及び第3層353をパターニングすることで、配線35及び接続配線36を形成する。なお、第1層351、第2層352及び第3層353のパターニングは、例えば、第3層353上に所定形状のレジストを形成した後、レジストを介してエッチングすることによって行うことができる。
このように、配線35及び接続配線36をめっきによって形成することで、保護基板用ウェハー130の厚さ、特に凹部31の深さや貫通孔33の長さに拘わらず、均一な厚さで配線35及び接続配線36を形成することができる。また、配線35をめっきによって形成することで、微細な開口を有する貫通孔33内に配線35を確実に形成することができる。
また、凹部31は、保護基板用ウェハー130の全体の厚さに比べて浅いため、凹部31の第1側壁部312上の接続配線36を所望の形状にパターニングすることができる。つまり、凹部31内において、レジストの露光時の誤差を抑制することができ、接続配線36を高精度に形成することができる。
なお、本実施形態では、保護基板用ウェハー130の第2主面202及び凹部31の内面の全面に亘って、第1層351、第2層352及び第3層353を積層した後、パターニングして配線35及び接続配線36を形成するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、第1層351を形成する際に、配線35及び接続配線36が形成される領域以外の部分にレジストを形成しておき、第1層351をレジスト上に亘って形成した後、レジストを除去することで、配線35及び接続配線36が形成される領域のみに第1層351を形成するようにしてもよい。この場合には、第2層352及び第3層353は、第1層351が形成された部分のみに積層されるので、第2層352及び第3層353を成膜後のパターニングする工程が不要となる。
また、本実施形態では、第1層351、第2層352及び第3層353のパターニングは、レジストを用いて行うようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、レーザー光を用いたレーザーパターニングを行うようにしてもよい。レーザーパターニングによれば、高精度なパターニングが可能になる。もちろん、上述したように、第1層351のみをパターニングする際にもレーザーパターニングを用いてもよい。
図9(a)に示すように、上述した工程によって製造した保護基板用ウェハー130を、流路形成基板用ウェハー110の圧電アクチュエーター300側に接着剤39を介して接合する。これにより、接続配線36の接続端子37とリード電極90のリード電極端子91とが接続される。
次に、図9(b)に示すように、保護基板用ウェハー130が接合された流路形成基板用ウェハー110を所定の厚みに薄くする。
次に、図10(a)に示すように、流路形成基板用ウェハー110にマスク膜53を新たに形成し、所定形状にパターニングする。
次に、図10(b)に示すように、流路形成基板用ウェハー110をマスク膜53を介してアルカリ性水溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチング)することにより、圧電アクチュエーター300に対応する圧力発生室12を形成する。
その後は、流路形成基板用ウェハー110の保護基板用ウェハー130とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、保護基板用ウェハー130にコンプライアンス基板45を接合し、流路形成基板用ウェハー110等を図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドとする。
(実施形態2)
図11は、本発明の実施形態2に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの要部を拡大した断面図である。なお、上述した実施形態1と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図11に示すように、駆動回路120は、保護基板30とは別体で設けられている。すなわち、保護基板30の貫通孔33は、凹部31の底部311と第3主面203とに開口して設けられている。そして、貫通孔33内に設けられた配線35と駆動回路120の端子121とが、第3主面203において接続部材122を介して電気的に接続されている。
このような構成であっても、上述した実施形態1と同様に、配線35及び接続配線36をめっきによって確実に且つ高精度に形成することができる。また、駆動回路120が保護基板30と別体であっても、駆動回路120を保護基板30の第3主面203側に設けることで、駆動回路120と外部配線との接続を容易に行うことができる。
(実施形態3)
図12は、本発明の実施形態3に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの要部を拡大した断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図12に示すように、保護基板30の第3主面203には、駆動回路120が一体的に設けられている。また、保護基板30には貫通孔33が、第2主面202に開口するように設けられている。この貫通孔33の第2主面202への開口位置は、リード電極90のリード電極端子91に相対向する位置である。そして、貫通孔33内には、配線35が設けられており、配線35の一端が直接リード電極90に接続されている。すなわち、本実施形態の保護基板30には、上述した実施形態1の接続配線36が設けられておらず、貫通孔33及び配線35のみが設けられている。そして、駆動回路120とリード電極90とは配線35のみを介して接続されている。
このように、接続配線36を設けずに配線35のみを設けることで、接続配線36を第1側壁部312の内面への形成及びパターニングが不要となって、さらに高精度及び高密度に配線35を配置することが可能となる。
なお、本実施形態では、接続配線36を設けていないとしたが、実質的に第2主面202には、接続配線36の一部が設けられており、第2主面202上において、接続配線36の一部を引き回すことで、上述した実施形態1と同様に突起38を設けることも可能である。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態1〜3では、配線35及び接続配線36として、パラジウムからなる第1層351と、ニッケルからなる第2層352と、金からなる第3層353とを積層、又は、第2層352と第3層353との間にさらにパラジウム等の中間層を積層するようにしたが、特にこれに限定されるものではない。例えば、第1層351の下地層として、銅(Cu)を設けるようにしてもよい。このように銅(Cu)からなる下地層を設けることで、第1層351として、下地層上に選択的に付着するパラジウム(触媒)を用いて、下地層、第1層351、第2層352及び第3層353を選択的に形成することができる。
また、上述した実施形態1〜3では、駆動回路120を保護基板30に一体的に又は別体として設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、保護基板30の配線に駆動回路120が実装されたCOF基板等を接続するようにしてもよい。
また、上述した実施形態1〜3では、1列の圧電アクチュエーター300の列毎に駆動回路120を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、2列の圧電アクチュエーター300に対して1つの駆動回路120を設けるようにしてもよい。
また、凹部31についても同様に、2列の圧電アクチュエーター300に対して1つの凹部31、すなわち、1つの保持部32内に2列の圧電アクチュエーター300を保持するようにしてもよい。この場合には、リード電極90を第2の方向Yにおいて、圧電アクチュエーター300の列の間とは反対側に延設し、第1側壁部312に設けられた接続配線を介して駆動回路120と接続すればよい。もちろん、もちろん、第1の方向Xに並設された圧電アクチュエーター300の列において途中で分割する凹部31を設けるようにしてもよい。
また、上述した実施形態1〜3では、1つの流路形成基板10に対して1つの保護基板30を設けるようにしたが、例えば、上述した実施形態1〜3のように、圧電アクチュエーター300の列毎に凹部31が設けられている場合には、凹部31毎に保護基板30を設けるようにしてもよい。すなわち、1つの流路形成基板10に対して2つの保護基板30を設けるようにしてもよい。また、上述した実施形態1では、1枚の保護基板30に厚さ方向である第3の方向Zに貫通しない凹部31を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、保護基板30として、2枚の基板を第3の方向Zに積層して構成し、一方の基板に厚さ方向に貫通する貫通孔を設けることで凹部を形成するようにしてもよい。ただし、上述した実施形態1〜3のように、1枚の保護基板30に凹部31を形成することで、部品点数を減らしてコストを低減することができる。
さらに、上述した実施形態1〜3では、圧電アクチュエーター300の列が第2の方向Yに2列設けられた構成を例示したが、圧電アクチュエーター300の列の数は特にこれに限定されず、3列以上であってもよい。そして、凹部31は、3列以上の圧電アクチュエーター300の列に対して1つ設けるようにしてもよい。
また、上述した各実施形態では、圧力発生室12に圧力変化を生じさせる圧力発生手段として、薄膜型の圧電アクチュエーター300を用いて説明したが、特にこれに限定されず、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型の圧電アクチュエーターや、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電アクチュエーターなどを使用することができる。また、圧力発生手段として、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル開口から液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル開口から液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
また、これら各実施形態のインクジェット式記録ヘッド1は、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備するインクジェット式記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図13は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
図13に示すインクジェット式記録装置Iにおいて、インクジェット式記録ヘッド1は、インク供給手段を構成するカートリッジ2が着脱可能に設けられ、インクジェット式記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、インクジェット式記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4には搬送手段としての搬送ローラー8が設けられており、紙等の記録媒体である記録シートSが搬送ローラー8により搬送されるようになっている。なお、記録シートSを搬送する搬送手段は、搬送ローラーに限られずベルトやドラム等であってもよい。
なお、上述したインクジェット式記録装置Iでは、インクジェット式記録ヘッド1がキャリッジ3に搭載されて主走査方向に移動するものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、インクジェット式記録ヘッド1が固定されて、紙等の記録シートSを副走査方向に移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。
また、上述した例では、インクジェット式記録装置Iは、液体貯留手段であるカートリッジ2がキャリッジ3に搭載された構成であるが、特にこれに限定されず、例えば、インクタンク等の液体貯留手段を装置本体4に固定して、貯留手段とインクジェット式記録ヘッド1とをチューブ等の供給管を介して接続してもよい。また、液体貯留手段がインクジェット式記録装置に搭載されていなくてもよい。
さらに、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種のインクジェット式記録ヘッド等の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等にも適用することができる。
I インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 1 インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 10 流路形成基板、 15 連通板、 20 ノズルプレート、 20a 液体噴射面、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 凹部、 311 底部、 312 第1側壁部、 313 第2側壁部、 32 保持部、 33 貫通孔、 34 共通用貫通孔、 35 配線、 36 接続配線、 351 第1層、 352 第2層、 353 第3層、 37 接続端子、 38 突起、 39 接着剤、 40 ケース部材、 45 コンプライアンス基板、 50 振動板、 60 第1電極、 70 圧電体層、 80 第2電極、 90 リード電極、 91 リード電極端子、 100 マニホールド、 120 駆動回路(半導体素子)、 121 端子、 201 第1主面、 202 第2主面、 203 第3主面、 300 圧電アクチュエーター(圧力発生手段:駆動素子)

Claims (8)

  1. 複数の圧力発生室が形成された流路形成基板と、
    前記流路形成基板の一方面側に設けられて前記圧力発生室内の液体に圧力変化を生じさせる駆動素子と、
    前記流路形成基板の前記一方面側に固定されて、前記駆動素子を内部に保持する保持部を有する保護基板と、を具備し、
    前記保護基板には、前記流路形成基板との接合面側と当該保護基板の前記流路形成基板とは反対側とを連通する貫通孔が、前記駆動素子毎に設けられており、
    前記保護基板の前記貫通孔内には、めっきによって形成されて前記駆動素子に接続された配線が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 前記配線は、駆動回路に接続されていることを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッド。
  3. 前記駆動回路は、前記保護基板の前記流路形成基板とは反対面側に一体的に設けられていることを特徴とする請求項2記載の液体噴射ヘッド。
  4. 前記流路形成基板上には、前記駆動素子から引き出された引き出し配線が、前記保護基板が接合される領域まで引き出されており、前記引き出し配線と前記配線とが電気的に接続されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  5. 前記保持部の内面には、前記配線と接続される接続配線が設けられており、前記配線と前記駆動素子とが前記接続配線を介して接続されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
  7. 複数の圧力発生室が形成された流路形成基板と、
    前記流路形成基板の一方面側に設けられて前記圧力発生室内の液体に圧力変化を生じさせる駆動素子と、
    前記流路形成基板の前記一方面側に固定されて、前記駆動素子を内部に保持する保持部を有する保護基板と、を具備する液体噴射ヘッドの製造方法であって、
    前記保護基板に、前記流路形成基板との接合面側と当該保護基板の前記流路形成基板とは反対側とを連通する貫通孔を前記駆動素子毎に設ける工程と、
    前記保護基板の前記貫通孔内に、前記駆動素子に接続される配線をめっきによって形成する工程と、を具備することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  8. 前記配線を形成する工程では、前記保持部の内面に前記配線と前記駆動素子とを接続する接続配線をめっきによって同時に形成することを特徴とする請求項7記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
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