以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
本発明を実施形態1に基づいて詳細に説明する。本実施形態では、液体噴射ヘッドの一例としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドとも言う)について説明する。
図1は本実施形態に係る記録ヘッドの分解斜視図であり、図2は記録ヘッドの平面図(液体噴射面20a側の平面図)であり、図3は図2のA−A′線断面図であり、図4は図3の要部を拡大した断面図である。
図示するように、本実施形態の記録ヘッド1は、流路形成基板10、連通板15、ノズルプレート20、本実施形態の配線基板30、コンプライアンス基板45等の複数の部材を備える。
流路形成基板10は、ステンレス鋼やNiなどの金属、ZrO2あるいはAl2O3を代表とするセラミック材料、ガラスセラミック材料、SiO2、MgO、LaAlO3のような酸化物などを用いることができる。本実施形態では、流路形成基板10は、シリコン単結晶基板からなる。この流路形成基板10には、一方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁によって区画された圧力発生室12がインクを吐出する複数のノズル開口21が並設される方向に沿って並設されている。以降、この方向を圧力発生室12の並設方向、又は第1の方向Xと称する。また、流路形成基板10には、圧力発生室12が第1の方向Xに並設された列が複数列、本実施形態では、2列設けられている。この圧力発生室12が第1の方向Xに沿って形成された圧力発生室12の列が複数列設された列設方向を、以降、第2の方向Yと称する。さらに、第1の方向X及び第2の方向Yの双方に交差する方向を本実施形態では、第3の方向Zと称する。各図に示した座標軸は第1の方向X、第2の方向Y、第3の方向Zを表しており、矢印の向かう方向を正(+)方向、反対方向が負(−)方向ともいう。なお、本実施形態では、各方向(X、Y、Z)の関係を直交とするが、各構成の配置関係が必ずしも直交するものに限定されるものではない。
流路形成基板10には、圧力発生室12の第2の方向Yの一端部側に、当該圧力発生室12よりも開口面積が狭く、圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を付与する供給路等が設けられていてもよい。
流路形成基板10の一方面側(配線基板30とは反対側であって−Z方向)には、連通板15とノズルプレート20とが順次積層されている。すなわち、流路形成基板10の一方面に設けられた連通板15と、連通板15の流路形成基板10とは反対面側に設けられたノズル開口21を有するノズルプレート20と、を具備する。
連通板15には、圧力発生室12とノズル開口21とを連通するノズル連通路16が設けられている。連通板15は、流路形成基板10よりも大きな面積を有し、ノズルプレート20は流路形成基板10よりも小さい面積を有する。このように連通板15を設けることによってノズルプレート20のノズル開口21と圧力発生室12とを離せるため、圧力発生室12の中にあるインクは、ノズル開口21付近のインクで生じるインク中の水分の蒸発による増粘の影響を受け難くなる。また、ノズルプレート20は圧力発生室12とノズル開口21とを連通するノズル連通路16の開口を覆うだけでよいので、ノズルプレート20の面積を比較的小さくすることができ、コストの削減を図ることができる。なお、本実施形態では、ノズルプレート20のノズル開口21が開口されて、インク滴が吐出される面を液体噴射面20aと称する。
また、連通板15には、マニホールド100の一部を構成する第1マニホールド部17と、第2マニホールド部18とが設けられている。
第1マニホールド部17は、連通板15を厚さ方向(連通板15と流路形成基板10との積層方向)に貫通して設けられている。第2マニホールド部18は、連通板15を厚さ方向に貫通することなく、連通板15のノズルプレート20側に開口して設けられている。
さらに、連通板15には、圧力発生室12の第2の方向Yの一端部に連通する供給連通路19が、圧力発生室12毎に独立して設けられている。この供給連通路19は、第2マニホールド部18と圧力発生室12とを連通する。
このような連通板15としては、ステンレス鋼やNiなどの金属、ZrO2あるいはAl2O3を代表とするセラミック材料、ガラスセラミック材料、SiO2、MgO、LaAlO3のような酸化物などを用いることができる。なお、連通板15は、流路形成基板10と線膨張係数が同等の材料が好ましい。すなわち、連通板15として流路形成基板10と線膨張係数が大きく異なる材料を用いた場合、加熱や冷却されることで、流路形成基板10と連通板15との線膨張係数の違いにより反りが生じてしまう。本実施形態では、連通板15として流路形成基板10と同じ材料、すなわち、シリコン単結晶基板を用いることで、熱による反りやクラック、剥離等の発生を抑制することができる。
ノズルプレート20には、各圧力発生室12とノズル連通路16を介して連通するノズル開口21が形成されている。このようなノズル開口21は、第1の方向Xに並設され、この第1の方向Xに並設されたノズル開口21の列が第2の方向Yに2列形成されている。
このようなノズルプレート20としては、例えば、ステンレス鋼(SUS)等の金属、ポリイミド樹脂のような有機物、又はシリコン単結晶基板等を用いることができる。なお、ノズルプレート20としてシリコン単結晶基板を用いることで、ノズルプレート20と連通板15との線膨張係数を同等として、加熱や冷却されることによる反りや熱によるクラック、剥離等の発生を抑制することができる。
一方、流路形成基板10の連通板15とは反対面側(配線基板30側であって+Z方向)には、振動板50が形成されている。本実施形態では、振動板50として、流路形成基板10側に設けられた酸化シリコンからなる弾性膜51と、弾性膜51上に設けられた酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜52と、を設けるようにした。なお、圧力発生室12等の液体流路は、流路形成基板10を一方面側(連通板15が接合された面側)から異方性エッチングすることにより形成されており、圧力発生室12等の液体流路の他方面は、弾性膜51によって画成されている。もちろん、振動板50は、特にこれに限定されるものではなく、弾性膜51と絶縁体膜52との何れか一方を設けるようにしてもよく、その他の膜が設けられていてもよい。
流路形成基板10の振動板50上には、本実施形態の圧力発生室12内のインクに圧力変化を生じさせる駆動素子として圧電アクチュエーター150が設けられている。上述したように、流路形成基板10には、圧力発生室12が第1の方向Xに沿って複数並設され、圧力発生室12の列が第2の方向Yに沿って2列並設されている。圧電アクチュエーター150は、実質的な駆動部である活性部が第1の方向Xに並設されて列を構成し、この圧電アクチュエーター150の活性部の列が第2の方向Yに2列並設されている。すなわち、実質的には、駆動素子とは、圧電アクチュエーター150の活性部のことである。
圧電アクチュエーター150は、振動板50側から順次積層された第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を有する。圧電アクチュエーター150を構成する第1電極60は、圧力発生室12毎に切り分けられており、圧電アクチュエーター150の実質的な駆動部である活性部毎に独立する個別電極を構成する。
圧電体層70は、第2の方向Yが所定の幅となるように第1の方向Xに亘って連続して設けられている。
圧力発生室12の第2の方向Yの一端部側(マニホールド100とは反対側)における圧電体層70の端部は、第1電極60の端部よりも外側に位置している。すなわち、第1電極60の端部は圧電体層70によって覆われている。また、圧力発生室12の第2の方向Yのマニホールド100側である他端側における圧電体層70の端部は、第1電極60の端部よりも内側(圧力発生室12側)に位置しており、第1電極60のマニホールド100側の端部は、圧電体層70に覆われていない。
圧電体層70は、第1電極60上に形成される分極構造を有する酸化物の圧電材料からなり、例えば、一般式ABO3で示されるペロブスカイト型酸化物からなることができる。圧電体層70に用いられるペロブスカイト型酸化物としては、例えば、鉛を含む鉛系圧電材料や鉛を含まない非鉛系圧電材料などを用いることができる。
なお、特に図示していないが、圧電体層70には、圧力発生室12間の各隔壁に対応する位置に凹部が形成されていてもよい。これにより、圧電アクチュエーター150を良好に変位させることができる。
第2電極80は、圧電体層70の第1電極60とは反対面側に設けられており、複数の活性部に共通する共通電極を構成する。
このような第1電極60、圧電体層70及び第2電極80で構成される圧電アクチュエーター150は、第1電極60と第2電極80との間に電圧を印加することで変位が生じる。すなわち両電極の間に電圧を印加することで、第1電極60と第2電極80とで挟まれている圧電体層70に圧電歪みが生じる。そして、両電極に電圧を印加した際に、圧電体層70に圧電歪みが生じる部分(第1電極60と第2電極80とで挟まれた領域)を活性部と称する。これに対して、圧電体層70に圧電歪みが生じない部分を非活性部と称する。また、圧電アクチュエーター150の圧力発生室12に対向して可変可能な部分を可撓部と称し、圧力発生室12の外側の部分を非可撓部と称する。
上述したように、圧電アクチュエーター150は、第1電極60を複数の活性部毎に独立して設けることで個別電極とし、第2電極80を複数の活性部に亘って連続して設けることで共通電極とした。もちろん、このような態様に限定されず、第1電極60を複数の活性部に亘って連続して設けることで共通電極とし、第2電極を活性部毎に独立して設けることで個別電極としてもよい。また、振動板50としては、弾性膜51及び絶縁体膜52を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。また、圧電アクチュエーター150自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。本実施形態では、圧電アクチュエーター150の活性部は、圧力発生室12に対応して第1の方向Xに並設されており、このように第1の方向Xに並設された活性部の列が、第2の方向Yに2列設けられていることになる。
また、図3及び図4に示すように、圧電アクチュエーター150の第1電極60からは、引き出し配線である個別リード電極91が引き出されている。個別リード電極91は、各列の活性部から第2の方向Yにおいて列の外側に引き出されている。
また、圧電アクチュエーター150の第2電極80からは、引き出し配線である共通リード電極92が引き出されている。本実施形態では、共通リード電極92は、2列の圧電アクチュエーター150のそれぞれの第2電極80に導通している。また、共通リード電極92は、複数の活性部に対して1本の割合で設けられている。
流路形成基板10の圧電アクチュエーター150側の面には、配線基板30が接合されている。配線基板30は、流路形成基板10と略同じ大きさを有する。ここで、本実施形態の配線基板である配線基板30についてさらに図5〜図9を参照して説明する。なお、図5は配線基板の第1面側の平面図であり、図6は図5の要部を拡大した図であり、図7は配線基板の第2面側の平面図であり、図8は図5のB−B′線断面図であり、図9は図5のC−C′線断面図である。
配線基板30は、ステンレス鋼やNiなどの金属、ZrO2あるいはAl2O3を代表とするセラミック材料、ガラスセラミック材料、SiO2、MgO、LaAlO3のような酸化物などを用いることができる。本実施形態では、配線基板30は、表面の面方位が(110)面に優先配向したシリコン単結晶基板からなる。また、配線基板30の駆動素子である圧電アクチュエーター150とは反対側の面(+Z)を第1面301と称し、配線基板30の圧電アクチュエーター150側の面(−Z)を第2面302と称する。そして、図1及び図3等に示すように、配線基板30の第1面301には、圧電アクチュエーター150を駆動するための信号を出力する駆動回路120が実装されている。すなわち、配線基板30の駆動素子である圧電アクチュエーター150とは反対側の第1面301が駆動回路120側となっている。
駆動回路120には、圧電アクチュエーター150の活性部毎にトランスミッションゲート等のスイッチング素子が設けられており、入力された制御信号に基づいてスイッチング素子を開閉させて、外部から供給された駆動信号(COM)から所望のタイミングで圧電アクチュエーター150の活性部を駆動させる吐出信号を生成する。なお、ここで言う吐出信号とは、駆動素子である圧電アクチュエーター150の活性部を駆動させてノズル開口21からインク滴を吐出させる信号に代表されるものであるが、これに限定されるものではなく、インク滴が吐出しない程度に圧電アクチュエーター150の活性部を駆動させる微振動駆動等のその他の駆動を行わせる信号も含むものである。このような駆動回路120としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)を用いることができる。ちなみに、駆動回路120によって圧電アクチュエーター150の各活性部の個別電極である第1電極60には、駆動信号(COM)から生成した吐出信号を供給し、複数の活性部の共通電極である第2電極80には基準電位となるバイアス電圧(VBS)を供給することで、圧電アクチュエーター150の活性部は駆動される。
このような配線基板30は、圧電アクチュエーター150の各列の活性部の並設方向である第1の方向Xが長尺となるように設けられている。すなわち、配線基板30は、第1の方向Xが長手方向となり、第2の方向Yが短手方向となるように配置されている。
また、図4、図5及び図6に示すように、この配線基板30の第1面301には、個別配線31を構成する第1個別配線311と駆動信号配線32を構成する第1駆動信号配線321と電源配線33とバイアス配線34を構成する第1バイアス配線341とが設けられている。
個別配線31を構成する第1個別配線311は、第2の方向Yの両端部のそれぞれに、第1の方向Xに複数並設されている。また、第1個別配線311は、第2の方向Yに沿って延設されており、一端において駆動回路120の各端子と電気的に接続され、他端において第1貫通配線315と電気的に接続されている。
ここで、第1貫通配線315は、配線基板30を厚さ方向である第3の方向Zに貫通して設けられた第1貫通孔303の内部に設けられたものであり、第1面301と第2面302とを中継して第1面301の第1個別配線311と詳しくは後述する第2面302の第2個別配線312とを接続する配線である。第1貫通配線315が設けられた第1貫通孔303は、配線基板30をレーザー加工、ドリル加工、ドライエッチング加工(Bosch法、非Bosch法(RIE)、イオンミリング)、ウェットエッチング加工、サンドブラスト加工等やこれらの加工方法の組み合わせで形成することができる。このような第1貫通孔303内に第1貫通配線315が充填して形成されている。なお、第1貫通配線315は、銅(Cu)等の金属からなり、電解めっきや無電界めっきなどによって形成することができる。
また、第1貫通配線315は、第2面302で第2個別配線312と接続されている。第2個別配線312は、詳しくは後述するが、圧電アクチュエーター150の活性部の個別電極である第1電極60に接続された個別リード電極91と電気的に接続されている。すなわち、第1個別配線311と第1貫通配線315と第2個別配線312とで構成される個別配線31は、圧電アクチュエーター150の活性部の個別電極である第1電極60と同数設けられている。
また、配線基板30の第1面301には、駆動信号配線32を構成する第1駆動信号配線321が設けられている。駆動信号配線32は、外部配線130から供給された駆動信号(COM)を駆動回路120に供給するためのものである。本実施形態では、図5に示すように、第1駆動信号配線321は、配線基板30の第1の方向Xに沿って外部配線130が接続される一端側から他端側に向かって延設されている。また、第1駆動信号配線321は、本実施形態では、圧電アクチュエーター150の各列に対して第2の方向Yに2本ずつ、合計4本並設されている。
また、図5に示すように、配線基板30の第1面301には、電源配線33が設けられている。電源配線33は、駆動回路120に電力を供給するものであり、本実施形態では、駆動回路120の高電圧回路用に高圧電力を供給する高圧電源配線331とこれに対応した高圧用グランド配線332と駆動回路120に低電圧回路用に低圧電力を供給する低圧電源配線333とこれに対応した低圧用グランド配線334とを具備する。すなわち、本実施形態では、4種類の電源配線33が設けられている。
このような電源配線33は、配線基板30の第1の方向Xに沿って外部配線130が接続される一端側から他端側に向かって設けられている。また、高圧電源配線331と高圧用グランド配線332と低圧電源配線333と低圧用グランド配線334とは、圧電アクチュエーター150の活性部の列毎に1本ずつ、すなわち、圧電アクチュエーター150の活性部の列毎に4本の合計8本設けられている。このような高圧電源配線331と高圧用グランド配線332と低圧電源配線333と低圧用グランド配線334とは、第2の方向Yに並設されている。また、圧電アクチュエーター150の活性部の各列に対応する第1駆動信号配線321は、電源配線33に対して一方側、本実施形態では、第2の方向Yにおいて配線基板30の電源配線33よりも外側に配置されている。すなわち、第2の方向Yにおいて配線基板30の中央側に電源配線33が配置され、配線基板30の外側に第1駆動信号配線321が配置されている。
さらに、図6に示すように、配線基板30の第1面301には、バイアス配線34を構成する第1バイアス配線341が設けられている。第1バイアス配線341は、外部配線130から供給されたバイアス電圧(VBS)を圧電アクチュエーター150の共通電極である第2電極80に供給するためのものである。第1バイアス配線341は、第1の方向Xにおいて配線基板30の外部配線130が接続される一端部側に第1の方向Xに沿って設けられており、第1駆動信号配線321や電源配線33よりも短い長さを有する。すなわち、第1バイアス配線は、駆動回路120に接続することなく、直接圧電アクチュエーター150の共通電極である第2電極80に接続すればよいため、第1の方向Xにおいて駆動回路120が実装された領域に達しない長さで設けられている。本実施形態では、第1バイアス配線341は、第2の方向Yにおいて電源配線33の第1駆動信号配線321とは反対側、すなわち、電源配線33よりも配線基板30の内側である中央側に配置されている。また、本実施形態では、第1バイアス配線341は、各圧電アクチュエーター150に対して1本ずつ、合計2本設けられている。
このような第1駆動信号配線321と電源配線33と第1バイアス配線341とは、図4、図8及び図9に示すように、それぞれ配線基板30の第1面301に設けられた第1溝304内に埋め込まれた第1埋設配線35と、第1埋設配線35を覆うように設けられた第1接続配線36と、を具備する。
ここで、第1埋設配線35が設けられた第1溝304は、配線基板30の表面の(110)面に垂直な第1の(111)面で形成された第1内壁面304aと、第1の(111)面に相対向して(110)面に垂直な第2の(111)面で形成された第2内壁面304bと、を有する。このような第1の(111)面と、第2の(111)面とを有する第1溝304は、配線基板30を、アルカリ溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチング)することで高精度に形成することができる。ここで、異方性エッチングは、シリコン単結晶基板のエッチングレートの違いを利用して行われる。すなわち、表面の面方位が(110)面のシリコン単結晶基板は、(110)面のエッチングレートと比較して(111)面のエッチングレートが約1/180であるという性質を利用して行われる。すなわち、表面の面方位が(110)面に優先配向したシリコン単結晶基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)や、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に浸食されて(110)面に垂直な(111)面{以下、一方の(111)面と称する}と、この一方の(111)面と70.53度の角度をなし、且つ上記一方の(110)面と37.5度の角度をなす(111)面{以下、他方の(111)面と称する}とが出現する。かかる異方性エッチングにより、二つの平行する面である一方の(111)面と、二つの平行する面である他方の(111)面とで形成される平行四辺形を基本として精密加工を行うことができる。本実施形態では、第1溝304は、表面の(110)面に垂直な二つの平行する一方の(111)面を第1の(111)面及び第2の(111)面と称する。そして、第1溝304の第1の(111)面である第1内壁面304aと、第2の(111)面である第2内壁面304bとを、第1の方向Xに沿った直線状となるように配置した。このように、第1溝304の第1内壁面及び第2壁面を第1の方向Xに沿った直線状となるように形成することで、第1溝304及び第1埋設配線35を第1の方向Xに亘って長尺に且つ省スペースに形成することができる。すなわち、配線基板30は、圧電アクチュエーター150の並設方向が長手方向となるように配置されているため、配線基板30の一方の(111)面が、長手方向となるように配置することで、配線基板30の長手方向に向かって長尺となる第1溝304を直線状に形成することができる。
このように形成された第1溝304は、断面が矩形状となっている。もちろん、第1溝304は、異方性エッチングによって形成したものに限定されず、レーザー加工、ドリル加工、ドライエッチング加工(Bosch法、非Bosch法(RIE法)、イオンミリング)、サンドブラスト加工等やこれらの加工方法の組み合わせで形成してもよい。
なお、圧電アクチュエーター150の活性部の並設方向である第1の方向Xと、配線基板30の第1の(111)面及び第2の(111)面の面方向とが完全に一致している場合には、第1の(111)面が、第1の方向Xに沿った直線状に配置されるものであるが、特にこれに限定されず、例えば、圧電アクチュエーター150の活性部の並設方向と配線基板30の第1の(111)面及び第2の(111)面の面方向とを異ならせてもよい。このため、第1溝304の第1の(111)面である第1内壁面304a及び第2の(111)面である第2内壁面304bは、圧電アクチュエーター150の活性部の並設方向である第1の方向Xにおいて一端側から他端側に向かって帯状に形成されていればよい。すなわち、第1溝304の第1の(111)面及び第2の(111)面が、圧電アクチュエーター150の活性部の並設方向において一端側から他端側に向かって形成されているとは、第1の(111)面及び第2の(111)面が、第1の方向Xに沿った直線状に形成されていることも、第1の(111)面及び第2の(111)面が、第1の方向Xに対して傾斜して設けられていることも含むものである。つまり、第1の(111)面及び第2の(111)面が、圧電アクチュエーター150の活性部の並設方向において一端側から他端側に向かって形成されているとは、第1の(111)面及び第2の(111)面の延設方向が、第1の方向Xに向かう成分(ベクトル)が存在することを言う。ただし、第1の(111)面を第1の方向Xに射影した際の長さが、第1の(111)面を第2の方向Yに射影した際の長さよりも長いことが好ましい。すなわち、第1の(111)面の第1の方向Xに向かう成分の方が、第2の方向Yに向かう成分よりも大きい方が好ましい。これにより、配線基板30の長手方向に向かって長尺となる第1溝304及び第1埋設配線35を省スペースに設けることができる。
また、本実施形態では、第1溝304及び第1埋設配線35を直線状に沿って設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、第1溝304及び第1埋設配線35が延設方向の途中で屈曲していてもよい。ちなみに、第1溝304に屈曲した部分を設ける場合、例えば、第1溝304の屈曲した部分の内壁面を平行する他方の(111)面で形成すれば、異方性エッチングによって第1溝304を高精度に形成することができる。ちなみに、第1溝304の第1の方向Xの両端部の内壁面は、他方の(111)面で形成されていてもよく、また、一方の(111)面及び他方の(111)面とは異なる面で形成されていてもよい。
このように形成された第1溝304は、第1内壁面304a及び第2内壁面304bによって横断面が矩形状となっている。そして、本実施形態では、このような第1溝304を第2の方向Yに同じ間隔で複数個、本実施形態では、各圧電アクチュエーター150の活性部の列に対して10個ずつ、合計20個設けるようにした。具体的には、第1溝304は、圧電アクチュエーター150の各列に対して第1駆動信号配線321の2個と、電源配線33用の4個と、第1バイアス配線341用の4個との合計10個が設けられている。もちろん、第1溝304の第1駆動信号配線321、電源配線33及び第1バイアス配線341に対応する数及び位置は特にこれに限定されず、1個であってもよく、また、2個以上の複数個であってもよい。
この第1溝304内に第1埋設配線35が埋め込まれている。すなわち、第1埋設配線35は、第1溝304内に充填されて形成されている。第1埋設配線35は、銅(Cu)等の金属からなり、例えば、電解めっき、無電界めっき、導電性ペーストの印刷などの方法によって形成することができる。また、第1埋設配線35は、第1貫通配線315とめっきによって同時に形成することも可能である。このように、第1埋設配線35と第1貫通配線315とを同時に形成することで、製造工程を簡略化してコストを低減することができる。
第1接続配線36は、各第1埋設配線35を覆うように積層されている。この第1接続配線36は、第2の方向Yにおいて第1埋設配線35の幅よりも若干広い幅を有するが、第2の方向Yで互いに隣り合う第1駆動信号配線321、電源配線33、および、第1バイアス配線341が互いに短絡しないように間隔を空けて配置されている。なお、本実施形態の第1駆動信号配線321や電源配線33は、1本の第1埋設配線35と1本の第1接続配線36とによって構成されている。また、図5に示すように、第1バイアス配線341は、4本の第1埋設配線35とこれら4本の第1埋設配線35を連続して覆う1本の第1接続配線36とによって構成されている。
このような第1接続配線36としては、特に図示していないが、例えば、第1埋設配線35側に設けられたチタン(Ti)等の密着層と、密着層上に設けられた金(Au)等の導電層とを積層したものを用いることができる。もちろん、その他の導電性材料で形成された層が積層されていてもよい。また、第1接続配線36は、例えば、スパッタリング法等によって形成することができる。なお、第1接続配線36は、例えば、第1個別配線311と同時に形成することもできる。このように、第1接続配線36と第1個別配線311とを同時に形成することで、製造工程を簡略化してコストを低減することができる。
また、上記の密着層と導電層を埋設配線のマイグレーション、酸化に対しての保護膜とすることもできる。また、上記の導電層を、他の駆動回路基板に形成されたバンプやフレキシブルテープ(FPC)、COF(Chip on Film/Flex)との接合面とすることもできる。
また、第1接続配線36は図5、図6、図8及び図9に示すように、第1の方向Xにおいて、第1埋設配線35の端部の外側まで延設され、配線基板30の第1の方向Xの端部近傍まで設けられている。このように、配線基板30の第1の方向Xの一端部まで延設された第1接続配線36にFPC等の外部配線130が電気的に接続される。外部配線130が接続された第1駆動信号配線321には駆動信号(COM)が供給され、電源配線33には電源が供給され、第1バイアス配線341には、バイアス電圧(VBS)が供給される。そして、第1個別配線311と第1駆動信号配線321と電源配線33とは、第1面301において駆動回路120の各端子(図示なし)と電気的に接続されている。なお、特に図示していないが、配線基板30の第1面301には、駆動回路120を制御するための、クロック信号(CLK)、ラッチ信号(LAT)、チェンジ信号(CH)、画素データ(SI)、設定データ(SP)等の制御信号を外部配線130から供給するための配線が設けられており、外部配線130と配線とが電気的に接続されていると共に、配線と駆動回路120の各端子とが電気的に接続されている。
本実施形態では、図4に示すように、駆動回路120の配線基板30側の面にバンプ電極121を設け、バンプ電極121を介して駆動回路120の各端子(図示なし)と第1個別配線311と第1駆動信号配線321と電源配線33とをそれぞれ電気的に接続するようにした。
ここで、バンプ電極121は、例えば、弾性を有する樹脂材料で形成されたコア部122と、コア部122の表面の少なくとも一部を覆うバンプ配線123と、を有する。
コア部122は、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などの感光性絶縁樹脂や熱硬化性絶縁樹脂で形成されている。
また、コア部122は、駆動回路120と配線基板30とを接続する前において、ほぼ蒲鉾状に形成されている。ここで、蒲鉾状とは、駆動回路120に接する内面(底面)が平面であると共に、非接触面である外面側が湾曲面となっている柱状形状をいう。具体的に、ほぼ蒲鉾状とは、横断面がほぼ半円状、ほぼ半楕円状、ほぼ台形状であるものなどが挙げられる。
そしてコア部122は、駆動回路120と配線基板30とが相対的に近接するように押圧されることで、その先端形状が第1個別配線311、第1駆動信号配線321及び電源配線33の表面形状に倣うように弾性変形している。これにより、駆動回路120や配線基板30に反りやうねりがあっても、コア部122がこれに追従して変形することにより、バンプ電極121と第1個別配線311、第1駆動信号配線321及び電源配線33とを確実に接続することができる。
コア部122は、第1の方向Xに沿って直線状に連続して形成されている。そして、このコア部122は、第2の方向Yに複数並設されている。本実施形態では、駆動回路120の第2の方向Yの両端部のそれぞれに設けられたコア部122が、第1個別配線311と接続されるバンプ電極121を構成する。また、駆動回路120の第2の方向Yの中央側に設けられたコア部122が、第1駆動信号配線321や電源配線33と接続されるバンプ電極121を構成する。このようなコア部122は、フォトリソグラフィー技術やエッチング技術によって形成することができる。
バンプ配線123は、コア部122の少なくとも表面の一部を被覆している。このようなバンプ配線123は、例えば、Au、TiW、Cu、Cr(クロム)、Ni、Ti、W、NiV、Al、Pd(パラジウム)、鉛フリーハンダなどの金属や合金で形成されており、これらの単層であっても、複数種を積層したものであってもよい。そして、バンプ配線123は、コア部122の弾性変形によって第1個別配線311、第1駆動信号配線321及び電源配線33の表面形状に倣って変形しており、第1個別配線311、第1駆動信号配線321及び電源配線33のそれぞれと電気的に接合されている。本実施形態では、駆動回路120と配線基板30との間に接着層124を設け、接着層124によって駆動回路120と配線基板30とを接合することで、バンプ電極121と第1個別配線311、第1駆動信号配線321及び電源配線33との接続状態を維持するようにした。
また、バンプ配線123は、駆動回路120の図示しない各端子と電気的に接続されている。具体的には、第1個別配線311に接続されたバンプ電極121のバンプ配線123は、駆動回路120から圧電アクチュエーター150に吐出信号を供給する端子に接続されている。また、第1駆動信号配線321に接続されたバンプ配線123からは、駆動信号(COM)を受け取る端子に接続されている。また、電源配線33に接続されたバンプ配線123からは、電源を受け取る端子に接続されている。第1駆動信号配線321及び電源配線33に接続されるバンプ電極121は、第1駆動信号配線321及び電源配線33に沿って、所定の間隔で複数箇所に設けられている。これにより、1つの第1駆動信号配線321及び電源配線33に対して複数箇所で駆動回路120と電気的に接続することができ、駆動回路120の長手方向である第1の方向Xにおける電圧降下を抑制することができる。
なお、本実施形態では、バンプ電極121として、コア部122と、バンプ配線123とを設けるようにしたが、特にこれに限定されず、バンプ電極121は、例えば、金属バンプであってもよい。また、駆動回路120の各端子と第1個別配線311、第1駆動信号配線321及び電源配線33との接続は、半田接続などの溶接、異方性導電性接着剤(ACP、ACF)、非導電性接着剤(NCP、NCF)を介在させて圧着することで接続してもよい。
このように、本実施形態では、配線基板30の第1面301に駆動回路120を実装するため、配線基板30の第1面301上に余分なスペースを確保することができない。すなわち、配線基板30の第1面301と駆動回路120との間のスペースは、バンプ電極121の高さによって決まる。記録ヘッド1のバンプ電極121の高さは、例えば20μm以下である。このような構成であっても、第1埋設配線35を有する第1駆動信号配線321、電源配線33及び第1バイアス配線341を設けることで、第1面301上の狭いスペースに、横断面積が大きく電気抵抗値が低い配線を配置することができる。ちなみに、第1駆動信号配線321、電源配線33及び第1バイアス配線341として第1埋設配線35を設けない場合、すなわち、配線基板30の第1面301に第1溝304を設けずに、各配線を設けた場合、第1面301上のスペースに制限があることから、配線を高く形成することができず、配線の横断面積が小さくなって、電気抵抗値が高くなってしまう。また、配線の電気抵抗値を小さくするために、配線の幅を広げると、配線基板30が大型化、特に第2の方向Yに大型化してしまう。さらに、配線基板30に第1溝304を設けずに、厚さの比較的厚い配線を形成する場合、フォトリソグラフィー法の制限によって配線を高精度及び高密度にパターニングするのが困難であり、厚さの比較的薄い配線しか形成することができない。本実施形態では、第1埋設配線35は、第1溝304によってその厚さが決定されると共に、第1溝304によってそのパターンが形成されるため、表面のみに配線を形成する場合に較べて、比較的厚い、例えば10μm〜50μm程度の厚さの第1埋設配線35を40μm〜50μmのピッチで高密度に形成することができる。したがって、第1埋設配線35の横断面積を増大させて電気抵抗値を低減することができる。また、第1埋設配線35は、第1内壁面304a及び第2内壁面304bが第1の(111)面及び第2の(111)面で形成された第1溝304内に埋め込まれているため、第1埋設配線35の横断面は矩形状となる。したがって、駆動回路基板として(100)面のシリコン単結晶基板を用いた場合に較べて、横断面積を増大させて、電気抵抗値をさらに低減することができる。すなわち、(100)面にシリコン単結晶基板を異方性エッチングして第1溝304を形成すると、開口幅が底面に行くにしたがって狭くなる、所謂、台形状の断面形状となってしまう。このため、断面が台形状の第1溝304内に埋め込んだ第1埋設配線35の横断面積が小さくなり、電気抵抗値が高くなってしまう。このように第1埋設配線35の横断面積を増大させることができるため、第1埋設配線35の第2の方向Yの幅を狭くしても電気抵抗値が著しく高くなるのを抑制することができる。したがって、第1埋設配線35を高密度に配置して配線基板30の小型化を図ることができる。
一方、図5及び図8に示すように、本実施形態の第1駆動信号配線321は、詳しくは後述する第2面302に設けられた第2駆動信号配線322と電気的に接続する中継配線である第2貫通配線325に接続されている。第2貫通配線325は、第1駆動信号配線321が形成された第1溝304の底面に開口して設けられた第2貫通孔305内に形成されている。これにより第2貫通配線325と第1駆動信号配線321とは、第1溝304の底面において電気的に接続されている。なお、第2貫通配線325は、上述した第1貫通配線315と同様に銅(Cu)等の金属を電界めっき、無電界めっき等によって形成することができる。また、第1埋設配線35と第2貫通配線325とを同時に形成することで、第1埋設配線35と第2貫通配線325とを一体的に連続して形成することも可能である。つまり、第1埋設配線35、第1貫通配線315及び第2貫通配線325を同時に形成することでさらに製造工程を簡略化してコストを低減することができる。このような第2貫通配線325は、第1の方向Xにおいて配線基板30の両端部側にそれぞれ設けられている。これにより、詳しくは後述する配線基板30の第2面302に設けられた第2駆動信号配線322と第1の方向Xの両端部において電気的に接続することができる。このような第2貫通配線325は、本実施形態では、第1の方向Xにおいて、圧電アクチュエーター150の活性部の列の両外側に少なくとも1つずつ、すなわち、少なくとも合計2箇所設けられている。ちなみに、図8に図示していないが、圧電アクチュエーター150の活性部の列は、第3の方向Zから平面視した際に、第1の方向Xにおいて駆動回路120に重なる範囲に配置されている。したがって、第2貫通配線325は、第1の方向Xにおいて駆動回路120の両外側、すなわち、第3の方向Zから平面視した際に、第2貫通配線325が駆動回路120に重ならない位置に設けることで、第2貫通配線325は、活性部の外側に設けられていることになる。
また、本実施形態では、第1駆動信号配線321には、第1の方向Xにおいて、第2貫通配線325よりも外側の端部側で外部配線130が接続されている。すなわち、第1駆動信号配線321には、第1の方向Xの一端部で外部配線130が接続され、中継配線である第2貫通配線325は、圧電アクチュエーター150の活性部の列と外部配線130が接続される部分との間に設けられている。これにより、外部配線130から駆動回路120に駆動信号が供給される前に分岐することができる。
もちろん、中継配線である第2貫通配線325の数及び位置は、上述したものに限定されず、例えば、第2貫通配線325は、第3の方向Zから平面視した際に、第1の方向Xで圧電アクチュエーター150の活性部の列に重なる配置されていてもよく、また、第2貫通配線325を3箇所以上設けるようにしてもよい。
さらに、図5及び図9に示すように、第1バイアス配線341は、配線基板30に設けられた第3貫通配線345に電気的に接続されている。第3貫通配線345は、第1バイアス配線341が形成された第1溝304の底面に開口して設けられた第3貫通孔307内に形成されている。これにより第3貫通配線345と第1バイアス配線341とは、第1溝304の底面において電気的に接続されている。なお、第3貫通配線345は、上述した第1貫通配線315と同様に銅(Cu)等の金属を電界めっき、無電界めっき等によって形成することができる。また、第1埋設配線35と、第3貫通配線345とを同時に形成することで、第1埋設配線35と第2貫通配線325とを一体的に連続して形成することも可能である。つまり、第1埋設配線35、第1貫通配線315、第2貫通配線325及び第3貫通配線345を同時に形成することでさらに製造工程を簡略化してコストを低減することができる。なお、第3貫通配線345は、第1の方向Xにおいて外部配線130と接続される一端側のみに形成されている。
配線基板30の第2面302には、図4及び図7に示すように、個別配線31を構成する第2個別配線312と駆動信号配線32を構成する第2駆動信号配線322とバイアス配線を構成する第2バイアス配線342とが設けられている。
第2個別配線312は、第1貫通配線315に電気的に接続されると共に、流路形成基板10に設けられた個別リード電極91に電気的に接続されており、駆動回路120からの吐出信号をバンプ電極121と第1個別配線311、第1貫通配線315及び第2個別配線312を有する個別配線31と個別リード電極91とを介して圧電アクチュエーター150の活性部の個別電極である第1電極60に供給する。
具体的には、第2個別配線312は、配線基板30の第2の方向Yの両端部のそれぞれに、第1の方向Xに亘って複数並設されている。また、第2個別配線312は、第2の方向Yに沿って延設されており、一端において第1貫通配線315の端部を覆うことで第1貫通配線315と電気的に接続されている。すなわち、個別配線31は、第1面301に設けられた第1個別配線311と第1貫通配線315と第2面302に設けられた第2個別配線312とを含む。また、第2個別配線312は、詳しくは後述するバンプ電極39によって流路形成基板10に設けられた個別リード電極91と電気的に接続されている。
第2駆動信号配線322は、図4、図7及び図8に示すように、配線基板30の第2面302に第1の方向Xに沿って延設されており、第2貫通配線325に電気的に接続されている。すなわち、第2駆動信号配線322は、第1の方向Xの両端部のそれぞれにおいて第2貫通配線325を介して第1駆動信号配線321と接続されている。つまり、外部配線130から駆動回路120に駆動信号(COM)を供給する駆動信号配線32は、第1駆動信号配線321と第2貫通配線325と第2駆動信号配線322とを具備する。このような第2駆動信号配線322は、圧電アクチュエーター150の列毎に第2の方向Yに2本並設されている。すなわち、駆動信号配線32は、圧電アクチュエーター150の列毎に2本ずつ、合計4本設けられている。
なお、第2駆動信号配線322は、第2面302の面内において、第1面301の法線方向である第3の方向Zからの平面視で電源配線33が重なる位置に対して、第1駆動信号配線321の電源配線33に対する第2の方向Yにおける位置と同じ一方側に配置されている。このように、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322とを第2の方向Yにおいて電源配線33に対して同じ側に配置することで、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322とを容易に接続することができる。ちなみに、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322との電源配線33に対する位置が互いに異なる方向に配置されていると、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322とを電源配線33を越えて引き回さなくてはならず、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322とを引き回すためのスペースが必要となり、配線基板30が大型化してしまう。本実施形態では、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322とを電源配線33に対して同じ側に配置することで、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322とを引き回すスペースを低減でき、配線基板30を第1面301の面内方向で小型化することができる。
また、本実施形態では、第1駆動信号配線321の第1埋設配線35と第2駆動信号配線322の第2埋設配線37とは、第1面301の法線方向である第3の方向Zからの平面視において少なくとも一部が重なる位置に配置されている。このように、第1駆動信号配線321の第1埋設配線35と第2駆動信号配線322の第2埋設配線37とを第3の方向Zからの平面視において少なくとも一部が重なる位置に設けることで、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322とを接続する中継配線である第2貫通配線325によって容易に接続することができる。すなわち、第1駆動信号配線321の第1埋設配線35と第2駆動信号配線322の第2埋設配線37とを第3の方向Zからの平面視において少なくとも一部が重なる位置に設けることで、第3の方向Zに沿った第2貫通配線325及び第2貫通配線325が設けられる第2貫通孔305を容易に且つ高精度に形成することができる。また、第2貫通配線325の第3の方向Zの長さをできるだけ短くして、第2貫通配線325の電気抵抗値を低下させることができる。
また、第2駆動信号配線322の本数は、第1駆動信号配線321の本数以上であるのが好ましい。これは、第1面301には、電源配線33等が形成されるため、第1面301に第1駆動信号配線321を多く設けると、電源配線33を設けるスペースが減少することや、配線基板30を大型化する必要が生じる。これに対して、第2面302には、第2バイアス配線342が設けられるだけであるため、第2駆動信号配線322の本数を第1駆動信号配線321の本数以上とすることで、配線基板30の小型化及び第1面301にその他の配線、例えば、電源配線33等を容易に設けることができる。
第2バイアス配線342は、図4、図7及び図9に示すように、第3貫通配線345に電気的に接続されると共に、流路形成基板10に設けられた共通リード電極92に電気的に接続されたものであり、外部配線130から供給されたバイアス電圧(VBS)を第1バイアス配線341、第3貫通配線345、第2バイアス配線342及び共通リード電極92を介して圧電アクチュエーター150の活性部の共通電極である第2電極80に供給する。すなわち、圧電アクチュエーター150にバイアス電圧(VBS)を供給するバイアス配線34は、第1面301に設けられた第1バイアス配線341と第3貫通配線345と第2バイアス配線342とを具備する。また、第2バイアス配線342は、第1の方向Xに沿って延設されており、圧電アクチュエーター150の列毎に第2の方向Yに4本、合計8本並設されている。
すなわち、図4及び図7に示すように、配線基板30の第2面302には、圧電アクチュエーター150の列毎に、2本の第2駆動信号配線322と4本の第2バイアス配線342とが設けられている。また、第2駆動信号配線322は、第2の方向Yにおいて第2バイアス配線342に対して配線基板30の外側となるように配置されている。
このような第2駆動信号配線322及び第2バイアス配線342は、図4、図8及び図9に示すように、配線基板30の第2面302に設けられた第2溝306に埋設された第2埋設配線37と、第2埋設配線37を被覆する第2接続配線38と、を具備する。
第2溝306は、本実施形態では、第1面301に設けられた第1溝304と第3の方向Zにおいて相対向する位置に設けられている。すなわち、本実施形態の各第2溝306は、第2の方向Yの位置が各第1溝304と同じ位置で、且つ第1溝304と同じ幅で設けられている。また、第2溝306は、図7に示すように、外部配線130側の端部以外において第1の方向Xに亘って第1の方向Xに沿って直線状に設けられている。このような第2溝306は、圧電アクチュエーター150の活性部の列毎にそれぞれ6個、合計12個設けられている。具体的には、第2溝306は、圧電アクチュエーター150の活性部の各列に対して、第2駆動信号配線322用の2個と、第2バイアス配線342用の4個との合計6個が設けられている。もちろん、第2溝306の第2駆動信号配線322及び第2バイアス配線342に対応する数及び位置は特にこれに限定されず、1個であってもよく、また、2個以上の複数個であってもよい。
このような第2溝306は、上述した第1溝304と同様に、配線基板30の表面の結晶方位である(110)面に垂直な第1の(111)面で形成された第1内壁面306aと、第1の(111)面に相対向して(110)面に垂直な第2の(111)面である第2内壁面306bとを有する。この第2溝306についても、第1溝304と同様にアルカリ溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチング)によって高精度に形成することができる。また、第1溝304と第2溝306とは、異方性エッチングによって同時に形成することが可能である。すなわち、配線基板30に第1溝304と第2溝306とが形成される部分に開口を有するマスクを形成し、配線基板30をアルカリ溶液に浸漬することによって、第1溝304と第2溝306とを異方性エッチングによって同時に形成することができる。
また、第1溝304と第2溝306とを第3の方向Zで相対向する同じ位置に設けることで、第1溝304及び第2溝306に配線基板30と異なる線膨張係数、面内応力を持った材料を埋め込んだ際に、第1面301と第2面302とで埋め込んだ材料の面積比が異なることによる配線基板30の反りを抑制することができる。すなわち、第1面301と第2面302とで配線基板30と異なる線膨張係数、面内応力を持った材料を埋め込んだ際の面積比が異なると、配線基板30に反りが発生してしまう。そして、配線基板30に反りが発生すると、配線基板30の破壊や配線基板30と流路形成基板10との剥離や配線の断線等が発生する虞がある。なお、本実施形態では、圧電アクチュエーター150の活性部の列毎に、第1溝304は、第2溝306よりも第1バイアス配線341用の4個分だけ多く設けられているが、第1バイアス配線341用の4個の第1溝304は、第1の方向Xの長さが短いため、配線基板30の反りへの影響は低いと考えられる。すなわち、第1の方向Xに略亘って設けられた第1溝304と第2溝306とを同数で設けるようにすれば配線基板30の反りは抑制することができる。
このような第2溝306内に、第2埋設配線37が埋め込まれている。第2埋設配線37は、上述した第1溝304内に埋設された第1埋設配線35と同様に、銅(Cu)等の金属からなり、例えば、電解めっき、無電界めっき、導電性ペーストの印刷などの方法によって形成することができる。
第2接続配線38は、第2埋設配線37を覆うように積層されている。本実施形態では、第2バイアス配線342では、第2接続配線38が複数の第2埋設配線37を覆うように積層されている。すなわち、1つの第2接続配線38が圧電アクチュエーター150の活性部の列毎に設けられた4本の第2埋設配線37の全てを覆うように設けられている。また、第2駆動信号配線322では、第2接続配線38は、第2埋設配線37の各々を独立して覆うように設けられている。
このような第2接続配線38は、第1接続配線36と同様に、第2埋設配線37側に設けられたチタン(Ti)等の密着層と、密着層上に設けられた金(Au)等の導電層とを積層したものを用いることができる。もちろん、第2接続配線38として、その他の導電性材料で形成された層が積層されていてもよい。また、第2接続配線38は、例えば、スパッタリング法等によって形成することができる。なお、第2接続配線38は、第2個別配線312と同時に形成することができる。これにより、製造工程を簡略化してコストを低減することができる。
このような第2埋設配線37と第2接続配線38とによって第2駆動信号配線322と第2バイアス配線342とが形成されている。
ここで、駆動信号配線32は、図8に示すように、配線基板30の第1面301に設けられた第1駆動信号配線321と第2面302に設けられた第2駆動信号配線322とこれら第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322とを中継する第2貫通配線325とを具備する。そして、駆動信号配線32に接続された外部配線130から入力された駆動信号(COM)は、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322とを経由して駆動回路120に供給される。
ちなみに、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322とを中継する中継配線である第2貫通配線325は、上述のように、圧電アクチュエーター150の活性部の並設方向である第1の方向Xにおいて、活性部の列の両外側に少なくとも1つずつ設けられている。このため、第1駆動信号配線321の第1の方向Xの外部配線130側の端部側に接続されたバンプ電極121から駆動回路120に供給する駆動信号(COM)と、第1駆動信号配線321の第1の方向Xの外部配線130とは反対側の端部側に設けられたバンプ電極121から駆動回路120に供給する駆動信号(COM)との間で電圧降下を抑制して略同じ電圧で供給することができる。つまり、駆動回路120の外部配線130側のバンプ電極121には、外部配線130から第1駆動信号配線321を経由して駆動信号が供給される。これに対して、駆動回路120の外部配線130とは反対側のバンプ電極121には、外部配線130から第1駆動信号配線321のみを経由した経路と、第1駆動信号配線321から外部配線130側の第2貫通配線325と第2駆動信号配線322と外部配線130とは反対側の第2貫通配線325とを経由した経路と、の2つの経路から駆動信号が供給される。このため、外部配線130から駆動回路120の外部配線130とは反対側のバンプ電極121までの駆動信号配線32の電気抵抗値、すなわち、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322との合成された電気抵抗値を低下させて、供給する駆動信号に電圧降下が生じるのを抑制することができる。したがって、駆動回路120に駆動信号配線32が接続される位置によって、駆動回路120に供給される駆動信号に電圧降下が生じるのを抑制して、ばらつきを低減した駆動信号を供給することができる。したがって、駆動回路120は、駆動信号に基づいてばらつきを抑制した吐出信号を生成することができる。このため、安定した吐出信号によって圧電アクチュエーター150の活性部を駆動することができ、活性部の駆動時の変位ばらつきを低減して印刷品質を向上することができる。
ちなみに、駆動信号配線32を流れる電圧は、圧電アクチュエーター150の同時に駆動する活性部の数によって変動する。例えば、全ての活性部を同時に駆動する際には、駆動回路120に駆動信号配線32を介して供給される駆動信号の電圧が高くなるが、このときの駆動信号配線32の電気抵抗値が高いと電圧降下が発生し、第1の方向Xにおいて異なる位置に設けられたバンプ電極121から入力される駆動信号(COM)の電圧に変化が生じる。これに対して、圧電アクチュエーター150の同時に駆動する活性部の数が少ないと、駆動回路120に駆動信号配線32を介して供給される電圧が低くなり、駆動信号配線32の電気抵抗値が高くても電圧降下による影響は生じ難い。このため、駆動信号配線32の電気抵抗値を低下させることで、圧電アクチュエーター150の同時に駆動する活性部の数の変動、いわゆる負荷変動による駆動信号の電圧変動のばらつきを抑制して、圧電アクチュエーター150の活性部に安定した駆動を行わせることができ、インク滴の吐出特性にばらつきが生じるのを抑制して、印刷品質を向上することができる。
また、配線の発熱は、電流の2乗に比例して大きくなる。したがって、駆動信号配線32の外部配線130が接続された部分から駆動回路120の外部配線130とは反対側に設けられたバンプ電極121に接続される部分までの間を第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322との2つの経路に分割することで、1本の配線当たりに流れる電流を減少させることができ、駆動信号配線32の発熱を効果的に低下させることができる。
また、第2駆動信号配線322を第2面302に設けることで、第1面301に設ける第1駆動信号配線321の断面積及び本数を増加させることなく、駆動信号配線32の電気抵抗値を低減することができる。このため、配線基板30の第1面301に多くの駆動信号配線32を設けるスペースが不要となり、配線基板30の小型化を図ることができる。また、第1面301に多くの駆動信号配線32を設ける必要がないため、他の配線、例えば、電源配線33等の設置スペースが減少するなどの影響を抑制することができる。
なお、本実施形態では、圧電アクチュエーター150の活性部の列に対する駆動信号配線32の本数、すなわち、駆動信号配線32において第1の方向Xに沿って略第1の方向Xに亘って設けられた配線である第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322との本数は、4本となっている。これに対して、圧電アクチュエーター150の活性部の列に対するバイアス配線34の本数、すなわち、バイアス配線34において第1の方向Xに沿って略第1の方向Xに亘って設けられた配線である第2バイアス配線342の本数は4本となっている。なお、本実施形態では、第2バイアス配線342は、第2接続配線38が4本の第2埋設配線37に共通して設けられているが、第2バイアス配線342において主に電気抵抗値に影響を与えているのは、断面積の大きな第2埋設配線37であるため、第2接続配線38の本数を第2バイアス配線342の本数としている。ちなみに、第2接続配線38は、第2埋設配線37毎に設けられていてもよい。このように、駆動信号配線32とバイアス配線34とは同じ本数設けられている。このように駆動信号配線32とバイアス配線34との本数を同じ本数とすることで、駆動信号配線32とバイアス配線34とに確実に電流を流すことができる。ちなみに、駆動信号配線32とバイアス配線34とを流れる電流の比率は1:1となる。このため、バイアス配線34の本数が駆動信号配線32の本数よりも多くても、バイアス配線34を有効利用することができない。すなわち、バイアス配線34の本数を多くして、バイアス配線34に多くの電流を流すことができても、駆動信号配線32の本数が著しく少ない場合には、駆動信号配線32を流れる電流が制限されてしまうため、バイアス配線34が無駄になってしまう。したがって、駆動信号配線32とバイアス配線34との本数は同じ本数で設けるのが好ましい。また、バイアス配線34の本数は、駆動信号配線32の本数以上であることが好適である。これは、圧電アクチュエーター150として電圧と電界誘起歪み(変位)との関係がバタフライカーブで示される圧電体層70を用いた場合、圧電体層70の電圧と電界誘起歪みとの関係がグランドに近い部分の方が、電圧のばらつきに対する変位特性のばらつきが大きくなる傾向がある。このため、圧電体層70の特性においてグランドに近い部分の電圧のばらつきを抑制した方が変位ばらつきを抑制することができるため、グランドに近いバイアス配線34の電気抵抗値を下げるのが好ましい。つまり、グランドに近いバイアス配線34の電気抵抗値が高く、負荷変動による電圧変動が大きいと、圧電体層70の変位特性のばらつきが大きくなってしまう。これに対して、バタフライカーブにおける高い電圧の部分では、電圧のばらつきに対する変位特性のばらつきはグランド付近に比べて小さい。したがって、バイアス配線34の本数は、駆動信号配線32の本数以上とすることで、バイアス配線34の電気抵抗値を確実に低下させて、バイアス配線34の電圧降下を抑制して、圧電アクチュエーター150の変位特性のばらつきをさらに抑制することができる。
なお、本実施形態では、駆動信号配線32とバイアス配線34との本数を比較したが、これは、駆動信号配線32とバイアス配線34との電気抵抗値を比較しているものであり、駆動信号配線32及びバイアス配線34において、特に電気抵抗値に大きな影響を与えているのは、横断面積の大きな第1埋設配線35及び第2埋設配線37である。したがって、第1埋設配線35と第2埋設配線37との横断面積が略同じ場合において本数を比較すればよい。ただし、実際には、駆動信号配線32及びバイアス配線34をそれぞれ構成する第1埋設配線35と第2埋設配線37とは、引き回しの違いから長さが異なる場合や断面積が異なる場合が考えられるため、駆動信号配線32及びバイアス配線34をそれぞれ構成する第1埋設配線35と第2埋設配線37との電気抵抗値を比較すればよい。すなわち、バイアス配線34を構成する第1埋設配線35及び第2埋設配線37の合成した電気抵抗値と、駆動信号配線32を構成する第1埋設配線35及び第2埋設配線37の合成した電気抵抗値とを比較して、バイアス配線34の合成した電気抵抗値が駆動信号配線32の合成した電気抵抗値以下であればよい(バイアス配線34の合成した電気抵抗値≦駆動信号配線32の合成した電気抵抗値)。これにより、第1埋設配線35と第2埋設配線37との横断面積が異なる場合や長さが異なる場合であっても電気抵抗値を上記のような関係とすることで、電圧変動のばらつきによる圧電アクチュエーター150の変位ばらつきの影響を抑制することができる。ただし、複数の第1埋設配線35の横断面積は、略同じ大きさで形成するのが好ましく、複数の第2埋設配線37の横断面積は、略同じ大きさで形成するのが好ましい。すなわち、第1埋設配線35が形成される第1溝304や第2埋設配線37が形成される第2溝306は、それぞれ複数が同じ断面積となるように形成するのが好ましい。これは、第1溝304や第2溝306を形成するエッチングのマスクパターン形状の煩雑化を抑制すると共に、エッチングの精度の向上や第1埋設配線35や第2埋設配線37のカバレッジの安定性を向上するためである。また、配線基板30の異なる面にそれぞれ設けられた第1埋設配線35と第2埋設配線37とは、断面積が略同じ大きさとなるように形成するのが好ましい。これにより、上述のように第1溝304及び第2溝306に配線基板30と異なる線膨張係数、面内応力を持った材料を埋め込んだ際に、第1面301と第2面302とで埋め込んだ材料の面積比が異なることによる配線基板30の反りを抑制することができる。
また、実際には、駆動信号配線32及びバイアス配線34は、第1埋設配線35及び第2埋設配線37だけではなく、第1接続配線36及び第2接続配線38を有する。したがって、駆動信号配線32とバイアス配線34とは、外部配線130が接続された部分から駆動回路120や共通電極である第2電極80に接続された部分までの電気抵抗値で比較すればよい。すなわち、バイアス配線34の外部配線130に接続された部分から圧電アクチュエーター150の共通電極である第2電極80、本実施形態では、第2電極80に接続された共通リード電極92に接続された部分までの電気抵抗値が、駆動信号配線32の外部配線130に接続された部分から駆動回路120の端子、本実施形態では、端子に接続されたバンプ電極121に接続された部分までの電気抵抗値以下であるのが好ましい。ちなみに、バイアス配線34の第2電極80に接続された部分は複数箇所存在するが、そのうちの最も電気抵抗値が高い部分を比較すればよい。同様に、駆動信号配線32の駆動回路120の端子に接続された部分は複数存在するが、そのうち最も電気抵抗値が高い部分を比較すればよい。いずれにしても、バイアス配線34の電気抵抗値を駆動信号配線32の電気抵抗値以下とすることで、バイアス配線34の電圧降下を抑制して、圧電アクチュエーター150の変位特性のばらつきを確実に抑制することができる。
また、駆動信号配線32及びバイアス配線34のそれぞれの本数は、電源配線33を構成する高圧電源配線331と高圧用グランド配線332と低圧電源配線333と低圧用グランド配線334との各々の本数よりも多い本数であるのが好ましい。すなわち、(バイアス配線34の本数)≧(駆動信号配線32の本数)>(高圧電源配線331の本数、または、高圧用グランド配線の本数、または、低圧電源配線333の本数、または、低圧用グランド配線334の本数)であるのが好ましい。なお、駆動信号配線32及びバイアス配線34の本数と電源配線33との本数との比較は、上述したものと同様に、駆動信号配線32、電源配線33、及び、バイアス配線34のそれぞれを構成する第1埋設配線35及び第2埋設配線37の本数のことであり、実質的には、駆動信号配線32、電源配線33、及び、バイアス配線34のそれぞれを構成する第1埋設配線35及び第2埋設配線37の電気抵抗値のことであり、さらに実質的には、外部配線130が接続された部分から対象となる駆動回路120の端子や圧電アクチュエーター150の共通電極である第2電極80などに接続された部分までの電気抵抗値のことである。
このような配線基板30に設けられた第2バイアス配線342を構成する第2接続配線38は、第2の方向Yで並設された第2接続配線38の間に延設されており、この延設された部分において、図4に示すようにバンプ電極39を介して流路形成基板10に設けられた共通リード電極92と電気的に接続されている。
ここで、第2個別配線312及び第2バイアス配線342と、個別リード電極91及び共通リード電極92とを接続するバンプ電極39は、上述した駆動回路120に設けられたバンプ電極121と同様に、弾性を有する樹脂材料からなるコア部391と、コア部391の表面の少なくとも一部を覆うバンプ配線392と、を有する。
コア部391は、上述した駆動回路120のバンプ電極121を構成するコア部122と同様の材料を用いて同様の断面形状で形成されている。このようなコア部391は、第1の方向Xに直線状に連続して配置されている。また、コア部391は、第2の方向Yにおいて、圧電アクチュエーター150の活性部の2列の外側のそれぞれに1本ずつの計2本と、圧電アクチュエーター150の活性部の2列の間に1本と、の合計3本が設けられている。そして、2列の圧電アクチュエーター150の活性部の外側に設けられた各コア部391が、第2個別配線312を個別リード電極91に接続するためのバンプ電極39を構成する。また、圧電アクチュエーター150の活性部の2列の間に設けられたコア部391が、第2バイアス配線342と2列の圧電アクチュエーター150の共通リード電極92とを接続するためのバンプ電極39を構成する。
また、第2個別配線312を個別リード電極91に接続するためのバンプ電極39を構成するバンプ配線392は、本実施形態では、第2個別配線312をコア部391上まで延設することで、第2個別配線312をバンプ配線392として用いている。
同様に、第2バイアス配線342を共通リード電極92に接続するためのバンプ電極39を構成するバンプ配線392は、本実施形態では、第2接続配線38をコア部391上まで延設することで、第2接続配線38をバンプ配線392として用いている。もちろん、第2個別配線312及び第2接続配線38とバンプ配線392とを別の配線として、両者の一部を積層することで電気的に接続するようにしてもよい。
なお、第2接続配線38は、第1の方向Xに沿って所定の間隔で複数箇所においてコア部391上まで延設されている。つまり、第2バイアス配線342と共通リード電極92を接続するバンプ電極39は、第1の方向Xに亘って所定の間隔で複数設けられている。このような第2バイアス配線342は、上述のように、第3貫通配線345を介して第1面301の第1バイアス配線341と電気的に接続されている。このため、第1の方向Xに亘ってバイアス配線34の電気抵抗値を実質的に低下させることができる。すなわち、バイアス配線34を配線基板30の第1面301に、長手方向である第1の方向Xに亘って設けることなく、第2面302にバイアス配線34の一部である第2バイアス配線342を複数設けることで、第1の方向Xに亘ってバイアス配線34の電気抵抗値を低下させることができるため、バイアス配線34の電流容量不足による電圧降下を抑制することができる。
さらに、第2バイアス配線342は、バンプ電極39を介して共通リード電極92と第2の方向Yの複数箇所で電気的に接続されている。このため、第2電極80の第1の方向Xにおける電圧降下が抑制され、各活性部へのバイアス電圧の印加ばらつきを抑制することができる。
なお、第2個別配線312及び第2バイアス配線342と、個別リード電極91及び共通リード電極92との電気的な接続は、上述したバンプ電極39に限定されず、例えば、金属バンプであってもよい。また、第2個別配線及び補助配線と、個別リード電極及び共通リード電極との接続は、半田接続などの溶接、異方性導電性接着剤(ACP、ACF)、非導電性接着剤(NCP、NCF)を介在させて圧着することで接続してもよい。
このように流路形成基板10の個別リード電極91及び共通リード電極92と、配線基板30の第2個別配線312及びバイアス配線34とをバンプ電極39によって電気的に接続することで、流路形成基板10や配線基板30に反りやうねりがあっても、コア部391がこれに追従して変形するため、個別リード電極91及び共通リード電極92と、配線基板30の第2個別配線312及び第2バイアス配線342とを確実に電気的に接続することができる。
また、流路形成基板10と配線基板30とは、接着層300によって接着されており、これにより、バンプ電極39を構成するバンプ配線392である第2個別配線312及び第2接続配線38と個別リード電極91及び共通リード電極92とは互いに当接した状態で固定されている。
このように流路形成基板10と配線基板30とを接合する接着層300によって、流路形成基板10と配線基板30との間には、内部に圧電アクチュエーター150が配置された空間である保持部160が形成されている。すなわち、保持部160は、バンプ電極39によって第3の方向Zの高さが規定されるものであるが、保持部160を高くするには、バンプ電極39のコア部391を大きくしなくてはならないが、コア部391を大きくするには、コア部391を設ける平面スペースも必要となり、流路形成基板10及び配線基板30等が大型化してしまう。つまり、保持部160は、圧電アクチュエーター150の駆動を阻害しない程度の高さで、できるだけ低くすることが好ましく、これにより記録ヘッドの第2の方向Y及び第3の方向Zの小型化を図ることができる。ちなみに、本実施形態の記録ヘッド1において圧電アクチュエーター150の変位に必要な空間は、20μm程度である。
そして、配線基板30の第2面302に設けられた第2駆動信号配線322と第2バイアス配線342とは、本実施形態では、第2溝306内に設けられた第2埋設配線37を有するため、高さの低い保持部160内に電気抵抗値の低い第2駆動信号配線322と第2バイアス配線342とを設けることができる。すなわち、配線基板30の第2面302に第2溝306を設けずに、第2駆動信号配線322及び第2バイアス配線342等の配線を設ける場合、保持部160の高さに制限があることから、配線を高く形成することができず、配線の横断面積が小さくなって、電気抵抗値が高くなってしまう。また、配線の電気抵抗値を低くするために、配線の幅を広げると、配線基板30や流路形成基板10が第2の方向Yに大型化してしまう。さらに、配線基板30に第2溝306を設けずに、厚さの比較的厚い配線を形成する場合、フォトリソグラフィー法の制限によって配線を高精度及び高密度にパターニングするのが困難であり、厚さの比較的薄い配線しか形成することができない。さらに、配線を厚く形成すると配線と圧電アクチュエーター150とが近くなり、配線と圧電アクチュエーター150の電極とが接触することや、放電により絶縁破壊が発生する虞がある。本実施形態では、第2埋設配線37は、第2溝306によってその厚さが決定されると共に、第2溝306によってパターンが形成されるため、表面のみに配線を形成する場合に較べて、比較的厚い、例えば20μm〜40μm程度の厚さの第2埋設配線37を40μm〜50μmのピッチで高密度に形成することができる。したがって、第2埋設配線37の横断面積を増大させて電気抵抗値を低下させることができる。また、第2埋設配線37は、第1埋設配線35と同様に、第1内壁面306a及び第2内壁面306bが第1の(111)面及び第2の(111)面で形成された第2溝306内に埋め込まれているため、第2埋設配線37の横断面は矩形状となる。したがって、配線基板30として(100)面のシリコン単結晶基板を用いた場合に較べて、第2溝306内に形成される第2埋設配線37の横断面積を増大させて、電気抵抗値をさらに低下させることができる。このように第2埋設配線37の横断面積を増大させることができるため、第2埋設配線37の第2の方向Yの幅を狭くしても電気抵抗値が著しく高くなるのを抑制することができる。したがって、第2埋設配線37を高密度に配置して配線基板30及び流路形成基板10の小型化を図ることができる。また、第2埋設配線37を設けることで、第2駆動信号配線322及び第2バイアス配線342と圧電アクチュエーター150との距離を確保することができ、配線と圧電アクチュエーター150の電極との接触や放電を抑制することができる。
また、第2溝306は、異方性エッチングによって形成することで、ドライエッチングで形成するのに比べて、異なる幅の第2溝306を所望の深さで高精度に形成することができる。このため、所望の電気抵抗値の第2埋設配線37を実現することができる。
以上説明したように、本実施形態では、インクを噴射するノズル開口21に連通する流路である圧力発生室12内のインクに圧力変化を生じさせる駆動素子である圧電アクチュエーター150の活性部と、圧電アクチュエーター150の活性部を駆動する信号である吐出信号を出力する駆動回路120と、圧電アクチュエーター150の活性部とは反対側の第1面301が駆動回路120側、第2面302が圧電アクチュエーター150の活性部側となる配線基板30と、を備え、第1面301には、駆動回路120に電力を供給する電源配線33と駆動回路120に駆動信号(COM)を供給する第1駆動信号配線321とが形成され、第2面302には、第2駆動信号配線322が形成され、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322とは、第1面301及び第2面302との間を中継する複数の中継配線である第2貫通配線325によって接続されている。このように配線基板30の第2面302に第2駆動信号配線322を設けると共に、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322とを複数の中継配線である第2貫通配線325によって接続することによって、第1駆動信号配線321のみを設ける場合に比べて、駆動信号配線32の電気抵抗値を低下させることができる。したがって、駆動回路120に入力される駆動信号の電圧降下を抑制することができる。特に、負荷変動による駆動信号の電圧変動のばらつきを抑制して、圧電アクチュエーター150の活性部に安定した駆動を行わせることができ、インク滴の吐出特性にばらつきが生じるのを抑制して、印刷品質を向上することができる。
また、第1面301のみに駆動信号配線32を設ける場合に比べて、駆動信号配線32を第1面301に設けられた第1駆動信号配線321と第2面302に設けられた第2駆動信号配線322とで構成することで、第1面301に駆動信号配線32を形成するスペースを低減することができる。したがって、配線基板30を第1面301の面方向に小型化することができ、記録ヘッド1の小型化を図ることができる。
また、本実施形態では、第1駆動信号配線321は、配線基板30の第1面301に設けられた第1溝304内に埋設された第1埋設配線35を有する。このため、第1面301の狭いスペースに横断面積が大きく、電気抵抗値が低い第1駆動信号配線321を設けることができる。また、第1駆動信号配線321を高密度に配置することができ、配線基板30を第1面301の面内方向に小型化することができる。
また、本実施形態では、第2駆動信号配線322は、配線基板30の第2面302に設けられた第2溝306内に埋設された第2埋設配線37を有する。このため、第2面302の狭いスペースに横断面積が大きく、電気抵抗値が低い第2駆動信号配線322を設けることができる。また、第2駆動信号配線322を高密度に配置することができ、配線基板30を第2面302の面内方向に小型化することができる。さらに、配線基板30と圧電アクチュエーター150との距離を短くすることができ、記録ヘッド1の配線基板30と圧電アクチュエーター150との積層方向である第3の方向Zの小型化を図ることができると共に、圧電アクチュエーター150と第2駆動信号配線322との放電による絶縁破壊を抑制することができる。
また、本実施形態では、圧電アクチュエーター150の活性部を複数具備し、複数の活性部に共通する共通電極である第2電極80を備え、配線基板30の第2面302には、第2電極80に接続されて第2電極80に基準電位となるバイアス電圧を供給するバイアス配線34を構成する第2バイアス配線342が設けられている。具体的には、バイアス配線34は、第1面301に設けられた第1バイアス配線341と第2面302に設けられた第2バイアス配線342とを具備する。第1バイアス配線341は、外部配線130が接続された端部から、活性部の並設方向である第1の方向Xにおいて、外部配線130とは反対側まで延設されていない。これに対して、第2バイアス配線342は、共通電極である第2電極80において、活性部の並設方向である第1の方向Xに亘って連続して設けられている。このため、第2面302に活性部の並設方向である第1の方向Xに亘って連続する第2バイアス配線342を設けることで、第1面301に第1の方向Xに亘って連続するバイアス配線34を設ける場合に比べて、第1面301にバイアス配線を形成するためのスペースが不要となり、配線基板30を第1面301の面内方向に小型化することができる。
また、第1面301に比べてスペースのある第2面302に第2バイアス配線342を設けることで、第2バイアス配線342を電気抵抗値が低くなるように設けることができるため、バイアス配線の電圧降下を抑制して、活性部を安定して駆動することができる。
また、本実施形態では、バイアス配線34の第2面302に設けられた第2バイアス配線342は、配線基板30の第2面302に設けられた第2溝306内に埋設された第2埋設配線37を有する。このため、第2面302の狭いスペースに横断面積が大きく、電気抵抗値が低い第2駆動信号配線322を設けることができる。また、第2駆動信号配線322を高密度に配置することができ、配線基板30を第2面302の面内方向に小型化することができる。さらに、配線基板30と圧電アクチュエーター150との距離を短くすることができ、記録ヘッド1の配線基板30と圧電アクチュエーター150との積層方向である第3の方向Zの小型化を図ることができると共に、圧電アクチュエーター150と第2バイアス配線342との放電による絶縁破壊を抑制することができる。
また、本実施形態では、第1駆動信号配線321は、第1面301の面内において、電源配線33に対して一方側に設けられており、第2駆動信号配線322は、第2面302の面内において、第1面301の法線方向である第3の方向Zからの平面視で電源配線33が重なる位置に対して、第1駆動信号配線321の電源配線33に対する位置と同じ一方側に設けられている。このように、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322とを第2の方向Yにおいて電源配線33に対して同じ側に配置することで、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322とを容易に接続することができる。ちなみに、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322との電源配線33に対する位置が互いに異なる方向に配置されていると、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322とを電源配線33を越えて引き回さなくてはならず、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322とを引き回すためのスペースが必要となり、配線基板30が大型化してしまう。本実施形態では、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322とを電源配線33に対して同じ側に配置することで、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322とを引き回すスペースを低減でき、配線基板30を第1面301の面内方向で小型化することができる。
また、本実施形態では、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322とは、前記第1面301の法線方向である第3の方向Zからの平面視において少なくとも一部が重なる位置に設けられている。本実施形態では、第1駆動信号配線321の第1埋設配線35と第2駆動信号配線322の第2埋設配線37とが第1面301の法線方向である第3の方向Zからの平面視において少なくとも一部が重なる位置に配置されている。このように、第1駆動信号配線321の第1埋設配線35と第2駆動信号配線322の第2埋設配線37とを第3の方向Zからの平面視において少なくとも一部が重なる位置に設けることで、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322とを接続する中継配線である第2貫通配線325及び第2貫通配線325が設けられる第2貫通孔305を容易に且つ高精度に形成することができる。また、第2貫通配線325の第3の方向Zの長さをできるだけ短くして、第2貫通配線325の電気抵抗値を低下させることができる。
また、本実施形態では、配線基板30の第2面302に設けられた第2駆動信号配線322の本数は、第1面301に設けられた第1駆動信号配線321の本数以上である。このように、第2駆動信号配線322の本数を第1駆動信号配線321の本数以上とすることで、配線基板30の小型化及び第1面301にその他の配線、例えば、電源配線33等を容易に設けることができる。
駆動素子である圧電アクチュエーター150の活性部は、第1の方向Xに複数並設されており、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322とを中継する中継配線である第2貫通配線325は、配線基板30を第1面301から第2面302まで貫通して設けられており、第2貫通配線325は、第1の方向Xにおいて活性部の列の両外側にそれぞれ少なくとも1つずつ設けられている。このように第2貫通配線325を圧電アクチュエーター150の活性部の並設方向である第1の方向Xにおいて、活性部の列の両外側に少なくとも1つずつ設けることで、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322とを第1の方向Xの両端部側で第2貫通配線325を介して導通することができる。したがって、駆動回路120の第1の方向Xの両端部側に設けられた端子への駆動信号の供給を、第1駆動信号配線321のみを経由した経路と、第1駆動信号配線321から両端部の第2貫通配線325と第2駆動信号配線322とを経由した経路と、の2つの経路から供給することができ、駆動信号配線32の第1の方向Xの両端部の間における電気抵抗値を低下させることができる。
また、本実施形態では、配線基板30には、第1の方向Xの一端部で外部配線130が接続され、中継配線である第2貫通配線325は、圧電アクチュエーター150の活性部の列と外部配線130が接続される部分との間に設けられている。このように、第2貫通配線325を外部配線130と活性部との間に設けることで、第2貫通配線325を設けるスペースを別途確保する必要がなく、配線基板30の小型化を図ることができる。
また、本実施形態では、配線基板30の第2面302には、コア部391と該コア部391の一部を覆うバンプ配線392とを具備し、駆動素子である圧電アクチュエーター150の活性部の電極とバンプ配線392とが電気的に接続されている。これにより、配線基板30や圧電アクチュエーター150の活性部が設けられた基板、本実施形態では、流路形成基板10に反りやうねりがあっても、バンプ電極39のコア部391が変形することによってバンプ配線392と活性部の電極とを確実に接続することができる。
配線基板30には、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322と電源配線33と圧電アクチュエーター150に基準電位となるバイアス電圧を供給するバイアス配線34とが、配線基板30に設けられた溝である第1溝304及び第2溝306内に埋設された第1埋設配線35及び第2埋設配線37を有し、バイアス配線34の本数は、第1駆動信号配線321及び第2駆動信号配線322の合計本数以上であり、電源配線33は、駆動回路120に高圧電力を供給する高圧電源配線331と、高圧電源配線331のグランド配線である高圧用グランド配線332と、駆動回路120に低圧電力を供給する低圧電源配線333と、低圧電源配線333のグランド配線である低圧用グランド配線334と、を含み、バイアス配線34の本数、本実施形態では、第2バイアス配線342を構成する第2埋設配線37の本数は、第1駆動信号配線321及び第2駆動信号配線322の合計本数、本実施形態では、第1駆動信号配線321を構成する第1埋設配線35及び第2駆動信号配線322を構成する第2埋設配線37の合計本数以上である。
また、第1駆動信号配線321及び第2駆動信号配線322の合計本数、本実施形態では、第1埋設配線35及び第2埋設配線37の合計本数は、高圧電源配線331の第1埋設配線35の本数、高圧用グランド配線332の第1埋設配線35の本数、低圧電源配線333の第1埋設配線35の本数、及び、低圧用グランド配線334の第1埋設配線35の本数のそれぞれよりも多い。
このように、バイアス配線34の第2埋設配線37の本数を、第1駆動信号配線321を構成する第1埋設配線35及び第2駆動信号配線322を構成する第2埋設配線37の合計本数以上とすることで、バイアス配線34の電気抵抗値を低下させることができる。したがって、圧電アクチュエーター150の圧電体層70として、電圧と電界誘起歪み(変位)との関係がバタフライカーブで示される特性を有するものを用いた場合、電圧のばらつきに対する変位特性のばらつきが大きなグランド側となるバイアス配線34の電気抵抗値を確実に低下させて、バイアス配線34の電圧降下を抑制して、圧電アクチュエーター150の変位特性のばらつきをさらに抑制することができる。
配線基板30には、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322と電源配線33と駆動素子である圧電アクチュエーター150の活性部に基準電位となるバイアス電圧を供給するバイアス配線34とが、配線基板30に設けられた溝である第1溝304及び第2溝306内に埋設された第1埋設配線35及び第2埋設配線37を有し、バイアス配線34の本数は、第1駆動信号配線321及び第2駆動信号配線322の合計本数以上であり、電源配線33は、駆動回路120に高圧電力を供給する高圧電源配線331と、高圧電源配線331のグランド配線である高圧用グランド配線332と、駆動回路120に低圧電力を供給する低圧電源配線333と、低圧電源配線333のグランド配線である低圧用グランド配線334と、を含み、配線基板30の第1溝304及び第2溝306に埋設された部分である第1埋設配線35及び第2埋設配線37において、バイアス配線34の第2埋設配線37の電気抵抗値は、第1駆動信号配線321及び第2駆動信号配線322の第1埋設配線35及び第2埋設配線37の合成した電気抵抗値以下であり、配線基板30の第1溝304及び第2溝306に埋設された部分である第1埋設配線35及び第2埋設配線37において、第1駆動信号配線321及び第2駆動信号配線322の第1埋設配線35及び第2埋設配線37の合成した電気抵抗値は、高圧電源配線331の第1埋設配線35の電気抵抗値、高圧用グランド配線332の第1埋設配線35の電気抵抗値、低圧電源配線333の第1埋設配線35の電気抵抗値、及び、低圧用グランド配線334の第1埋設配線35の電気抵抗値のそれぞれよりも小さい。
このように、バイアス配線34の第2埋設配線37の電気抵抗値を、第1駆動信号配線321を構成する第1埋設配線35及び第2駆動信号配線322を構成する第2埋設配線37の合成した電気抵抗値以下とすることで、圧電アクチュエーター150の圧電体層70として、電圧と電界誘起歪み(変位)との関係がバタフライカーブで示される特性を有するものを用いた場合、電圧のばらつきに対する変位特性のばらつきが大きなグランド側となるバイアス配線34の電気抵抗値を確実に低下させて、バイアス配線34の電圧降下を抑制して、圧電アクチュエーター150の変位特性のばらつきをさらに抑制することができる。
配線基板30には、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322と電源配線33と駆動素子である圧電アクチュエーター150の活性部に基準電位となるバイアス電圧を供給するバイアス配線34とが、配線基板30に設けられた溝である第1溝304及び第2溝306内に埋設された第1埋設配線35及び第2埋設配線37を有し、配線基板30の第1面301において、第1駆動信号配線321及び前記バイアス配線34には外部配線130が接続され、バイアス配線34の外部配線130が接続された部分から活性部に接続された部分までの当該バイアス配線34の電気抵抗値は、第1駆動信号配線321の外部配線130が接続された部分から当該第1駆動信号配線321及び第2駆動信号配線322を経由して駆動回路120に接続された部分までの電気抵抗値以下である。
このように、バイアス配線34の電気抵抗値を、第1駆動信号配線321及び第2駆動信号配線322の電気抵抗値以下とすることで、圧電アクチュエーター150の圧電体層70として、電圧と電界誘起歪み(変位)との関係がバタフライカーブで示される特性を有するものを用いた場合、電圧のばらつきに対する変位特性のばらつきが大きなグランド側となるバイアス配線34の電気抵抗値を確実に低下させて、バイアス配線34の電圧降下を抑制して、圧電アクチュエーター150の変位特性のばらつきをさらに抑制することができる。
また、本実施形態では、配線基板30の第2面302において、第2の方向Yの中央部に第2バイアス配線342を設け、第2バイアス配線342の外側に第2駆動信号配線322を設けるようにした。このため、第2駆動信号配線322と第2バイアス配線342との誘導起電流を低下させることができる。したがって、駆動信号配線32に流れる電圧波形の歪み、所謂、オーバーシュートやアンダーシュートの発生を抑制することができる。
図1〜図3に示すように、このような流路形成基板10、配線基板30、連通板15及びノズルプレート20の接合体には、複数の圧力発生室12に連通するマニホールド100を形成するケース部材40が固定されている。ケース部材40は、平面視において上述した連通板15と略同一形状を有し、配線基板30に接合されると共に、上述した連通板15にも接合されている。具体的には、ケース部材40は、配線基板30側に流路形成基板10及び配線基板30が収容される深さの凹部41を有する。この凹部41は、配線基板30の流路形成基板10に接合された面よりも広い開口面積を有する。そして、凹部41に流路形成基板10等が収容された状態で凹部41のノズルプレート20側の開口面が連通板15によって封止されている。また、ケース部材40には、凹部41の第2の方向Yの両側に凹形状を有する第3マニホールド部42が形成されている。この第3マニホールド部42と、連通板15に設けられた第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18とによって本実施形態のマニホールド100が構成されている。
ケース部材40の材料としては、例えば、樹脂や金属等を用いることができる。ちなみに、ケース部材40として、樹脂材料を成形することにより、低コストで量産することができる。
連通板15のノズルプレート20側の面には、コンプライアンス基板45が設けられている。このコンプライアンス基板45が、第1マニホールド部17と第2マニホールド部18のノズルプレート20側の開口を封止している。このようなコンプライアンス基板45は、本実施形態では、封止膜46と、固定基板47と、を具備する。封止膜46は、可撓性を有する薄膜(例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やステンレス鋼(SUS)等により形成された厚さが20μm以下の薄膜)からなり、固定基板47は、ステンレス鋼(SUS)等の金属等の硬質の材料で形成される。この固定基板47のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部48となっているため、マニホールド100の一方面は可撓性を有する封止膜46のみで封止された可撓部であるコンプライアンス部49となっている。
ケース部材40には、マニホールド100に連通して各マニホールド100にインクを供給するための導入路44が設けられている。また、ケース部材40には、配線基板30が露出し、外部配線が挿通される接続口43が設けられており、接続口43に挿入された外部配線130が配線基板30の各配線、すなわち、第1駆動信号配線321と電源配線33と第1バイアス配線341とに接続されている。
このような構成の記録ヘッド1では、インクを噴射する際に、インクが貯留された液体貯留手段から導入路44を介してインクを取り込み、マニホールド100からノズル開口21に至るまで流路内部をインクで満たす。その後、駆動回路120からの信号に従い、圧力発生室12に対応する各圧電アクチュエーター150に電圧を印加することにより、圧電アクチュエーター150と共に振動板50をたわみ変形させる。これにより、圧力発生室12内の圧力が高まり所定のノズル開口21からインク滴が噴射される。
(実施形態2)
図10は、本発明の実施形態2に係る駆動回路基板の要部断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図10に示すように、配線基板30の第2面302に設けられた配線の圧電アクチュエーター150側の表面には、絶縁性を有する保護膜が設けられている。すなわち、本実施形態では、配線基板30の第2面302には、配線として第2駆動信号配線322と第2バイアス配線342とが設けられており、これらの第2接続配線38の圧電アクチュエーター150側の表面には、絶縁性を有する保護膜400が設けられている。保護膜400は、第2駆動信号配線322の全面を覆うと共に、第2バイアス配線342の共通電極である第1電極60と接続される端部以外を覆って設けられている。また、本実施形態では、保護膜400は、第2個別配線312の個別リード電極91に接続される部分以外の表面も覆って設けられている。
このような保護膜400としては、絶縁性を有する材料であれば特に限定されず、例えば、酸化シリコン(SiOX)、酸化タンタル(TaOX)、酸化アルミニウム(AlOX)等の無機絶縁材料、または、ポリイミド(PI)等の有機絶縁材料を用いることができる。
以上説明したように、本実施形態では、配線基板30の第2面302に設けられた少なくとも第2駆動信号配線322を含む配線、本実施形態では、第2駆動信号配線322と第2バイアス配線342と第2個別配線312の圧電アクチュエーター150の活性部側の表面に、絶縁性を有する保護膜400を設けることで、配線と圧電アクチュエーター150との間での放電を抑制して、絶縁破壊を抑制することができる。また、保護膜400を設けることで、配線と圧電アクチュエーター150との間での放電を抑制することができるため、配線と圧電アクチュエーター150との間隔を狭くすることができる。したがって、記録ヘッドの第3の方向Zの小型化を図ることができる。
(実施形態3)
図11は、本発明の実施形態3に係る駆動回路基板の要部断面図である。なお、上述した実施形態1と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図11に示すように、配線基板30には、個別配線31と駆動信号配線32と電源配線33とバイアス配線34とが設けられている。
駆動信号配線32は、第1駆動信号(COM1)を駆動回路120に供給する駆動信号配線32Aと第1駆動信号配線(COM1)とは異なる駆動信号である第2駆動信号(COM2)を供給する駆動信号配線32Bとを具備する。
駆動信号配線32Aは、配線基板30の第1面301に設けられた第1駆動信号配線321Aと、第2面302に設けられた第2駆動信号配線322Aと、を具備する。
第1駆動信号配線321Aは、第1埋設配線35と第1接続配線36とを具備する。また、第2駆動信号配線322Aは、第2埋設配線37と第2接続配線38とを具備する。
第1駆動信号配線321Aは、圧電アクチュエーター150の活性部の列毎に1本の第1埋設配線35とこれを覆う第1接続配線36とを具備する。
また、第2駆動信号配線322Aは、圧電アクチュエーター150の活性部の列毎に2本の第2埋設配線37と2本の第2埋設配線37を共通して覆う第2接続配線38とを具備する。
駆動信号配線32Bは、配線基板30の第1面301に設けられた第1駆動信号配線321Bと、第2面302に設けられた第2駆動信号配線322Bと、を具備する。
第1駆動信号配線321Bは、第1埋設配線35と第1接続配線36とを具備する。また、第2駆動信号配線322Bは、第2埋設配線37と第2接続配線38とを具備する。
第1駆動信号配線321Bは、圧電アクチュエーター150の活性部の列毎に1本の第1埋設配線35とこれを覆う第1接続配線36とを具備する。
また、第2駆動信号配線322Bは、圧電アクチュエーター150の活性部の列毎に2本の第2埋設配線37と2本の第2埋設配線37を共通して覆う第2接続配線38とを具備する。
すなわち、配線基板30の第2面302に設けられた第2駆動信号配線322A、322Bの本数は、第1面301に設けられた第1駆動信号配線321A、321Bの本数よりも多い。本実施形態では、第2接続配線38は、2本の第2埋設配線37を共通して覆うため、1本とみなすことができるが、本実施形態の第2駆動信号配線322A、322Bの本数、及び、第1駆動信号配線321A、321Bの本数とは、第2埋設配線37の本数、及び、第1埋設配線35の本数のことである。もちろん、第2接続配線38は、第2埋設配線37の各々に独立して覆うようにしてもよい。
このように、第2面302の第2駆動信号配線322A、322Bの本数を、第1面301の第1駆動信号配線321A、321Bの本数よりも多くすることで、第1面301の第1駆動信号配線321A、321Bの本数を増やすよりも省スペース化することができる。すなわち、第1面301には、電源配線33が設けられているため、電源配線33と共に、第1駆動信号配線321A、321Bを多くの本数を形成するには、第1面301に設置スペースが必要になり、大型化してしまう。これに対して、第2面302には、電源配線33が設けられておらず、また、第2面302には外部配線130が接続されないため、第2面302の第2駆動信号配線322A、322Bの本数を増やしても、第2面302に設置スペースを増大させる必要がないため、大型化を抑制することができる。
なお、本実施形態のバイアス配線34は、圧電アクチュエーター150の活性部の列毎に第2面に3本の第2埋設配線37と、これを共通して覆う第2接続配線38とを具備する。
なお、本実施形態では、駆動信号配線32として、第1駆動信号(COM1)が供給される駆動信号配線32Aと第2駆動信号(COM2)が供給される駆動信号配線32Bとを設けるようにしたが、特にこれに限定されず、上述した実施形態1と同様に、駆動信号配線32は、1つの駆動信号(COM)を供給するものであってもよく、また、3つ以上の異なる駆動信号を供給するものであってもよい。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、上述した各実施形態では、バイアス配線34を構成する第2バイアス配線342を配線基板30の第2面302に設けるようにしたが、特にこれに限定されず、第2バイアス配線342を第1面301のみに設けるようにしてもよい。
また、上述した各実施形態では、駆動信号配線32を構成する第1駆動信号配線321を第1埋設配線35と第1接続配線36とで構成し、第2駆動信号配線322を第2埋設配線37と第2接続配線38とで構成するようにしたが、特にこれに限定されない。例えば、第1駆動信号配線321及び第2駆動信号配線322の何れか一方又は両方を埋設配線で構成しなくてもよい。ただし、上述のように、駆動信号配線32を埋設配線で構成することで、横断面積の大きな駆動信号配線32を高密度に配置することができる。また、駆動信号配線32を埋設配線で構成することで、配線基板30と駆動回路120との第3の方向Zの間隔を狭くすることができると共に、配線基板30と流路形成基板10との第3の方向Zの間隔を狭くすることができ、小型化を図ることができる。
また、電源配線33やバイアス配線34においても同様に、第1面301及び第2面302の何れか一方又は両方を埋設配線で構成しなくてもよい。
すなわち、上述した各実施形態では、第1面301に第1埋設配線35を設け、第2面302に第2埋設配線37を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、何れか一方のみを設けるようにしてもよく、両方を設けないようにしてもよい。
さらに、上述した各実施形態では、第1駆動信号配線321と第2駆動信号配線322とを中継する第2貫通配線325は、配線基板30の第1の方向Xの両側に2箇所設けるようにしたが、第2貫通配線325の位置及び数は、特にこれに限定されず、例えば、3箇所以上であってもよい。また、第2貫通配線325を設ける位置も特に限定されず、第3の方向Zの平面視において駆動回路120に重なる位置に配置してもよい。
また、上述した各実施形態では、駆動回路120にバンプ電極121を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、配線基板30の第1面301側にバンプ電極を設けるようにしてもよい。同様に、配線基板30の第2面302にバンプ電極39を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、流路形成基板10側にバンプ電極を設けるようにしてもよい。また、バンプ電極121、39の位置についても上述した各実施形態に限定されるものではない。
さらに、上述した各実施形態では、2列の圧電アクチュエーター150に対して1つの駆動回路120を設けたが、特にこれに限定されない。例えば、1列の圧電アクチュエーター150の列毎に駆動回路120を設けてもよく、1列の圧電アクチュエーター150の列に対して、第1の方向Xで2つ以上に分割された複数の駆動回路120を設けるようにしてもよい。
さらに、上述した各実施形態では、バンプ配線392を共通リード電極92に接続するバンプ電極39は、2つのバンプ配線392から引き出された第2接続配線38を1つのコア部391の表面の一部を覆うように設けたが、特にこれに限定されず、例えば、バンプ配線392毎にコア部391を設けるようにしてもよい。また、バンプ配線392用のバンプ電極39のコア部391と、第2個別配線312用のバンプ電極39のコア部391とを共通化してもよい。
さらに、上述した各実施形態では、圧力発生室12に圧力変化を生じさせる駆動素子として、薄膜型の圧電アクチュエーター150を用いて説明したが、特にこれに限定されず、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型の圧電アクチュエーターや、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電アクチュエーターなどを使用することができる。また、駆動素子として、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル開口から液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル開口から液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
なお、実施形態の記録ヘッド1は、液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置に搭載される。図12は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
図示するように、インクジェット式記録装置Iにおいて、記録ヘッド1は、インク供給手段を構成するカートリッジ2が着脱可能に設けられ、記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4には搬送手段としての搬送ローラー8が設けられており、紙等の記録媒体である記録シートSが搬送ローラー8により搬送されるようになっている。なお、記録シートSを搬送する搬送手段は、搬送ローラーに限られずベルトやドラム等であってもよい。
なお、上述したインクジェット式記録装置Iでは、記録ヘッド1がキャリッジ3に搭載されて主走査方向に移動するものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、記録ヘッド1が固定されて、紙等の記録シートSを副走査方向に移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。
また、上述した例では、インクジェット式記録装置Iは、液体貯留手段であるカートリッジ2がキャリッジ3に搭載された構成であるが、特にこれに限定されず、例えば、インクタンク等の液体貯留手段を装置本体4に固定して、貯留手段と記録ヘッド1とをチューブ等の供給管を介して接続してもよい。また、液体貯留手段がインクジェット式記録装置に搭載されていなくてもよい。
さらに、本発明は、広くヘッド全般を対象としたものであり、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種のインクジェット式記録ヘッド等の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等にも適用することができる。