JP3568022B2 - インクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェットヘッドの製造方法に関し、特にノズル孔形成部材の表面に撥インク性表面処理膜を形成するインクジェットヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、プリンタ、ファクシミリ、複写装置等に用いられるインクジェット記録装置におけるインクジェットヘッドは、複数のノズルを形成したノズル形成部材と、各ノズルが連通するインク液室と、各インク液室内のインクを加圧する圧電素子などの電気機械変換素子、或いはヒータなどの電気熱変換素子等のエネルギー発生手段とを備えて、エネルギー発生手段で発生したエネルギーでインク液室内インクを加圧することによってノズルからインク滴を吐出させる。
【0003】
ここで、ノズル孔形成部材及びその製造方法としては、特開平1−108056号公報、特開平2−121842号公報等に記載されているように、有機樹脂材料からなるプレートにエキシマレーザーによってノズルを形成したもの、或いは、特開昭63−3963号公報、特開平142939号公報等に記載されているように、電鋳支持基板上にドライフィルムレジスト等の感光性樹脂材料を用いてノズル径に応じたレジストパターンを形成した後、このレジストパターンを用いてニッケル等の金属材料を電鋳工法で析出してノズルプレートを形成するもの、その他プレスによってノズル孔を形成するものなどがある。
【0004】
また、インクジェットヘッドにおいては、ノズルから液滴化したインク(インク滴)を吐出飛翔させて記録を行うため、ノズルの形状、精度等がインク滴の噴射特性(インク滴吐出性能)に影響を与えると共に、ノズルを形成しているノズル形成部材の表面の特性がインク滴の噴射特性に影響を与える。例えば、ノズル形成部材表面のノズル周辺部にインクが付着して不均一なインク溜り(所謂濡れムラ)が発生すると、インク滴の吐出方向が曲げられたり、インク滴の大きさにバラツキが生じたり、インク滴の飛翔速度が不安定になる等の不都合が生じることが知られている。
【0005】
そこで、このようなインクジェットヘッドのノズル孔形成部材の表面(インク吐出面)には、例えば特開平4−294145号公報にも記載されているように、電解ニッケルノズル、プレス穿孔金属ノズル、ポリカーボネイトなどの高分子材料をエキシマレーザーで穿孔したノズルなどのノズル形成部材の表面に、フッ素系高分子の塗装膜や共析メッキ膜を成膜して撥インク性(撥水性)を持たせ、ノズル孔形成部材の表面の均一性を高めて、インク滴の飛翔特性の安定化を図るようにすることが行われている(このほか、例えば特開平6−143587号公報参照)。
【0006】
この場合、撥水性材料がノズル孔内部に侵入して撥水膜を形成すると、インク噴射直後にノズル孔部のインク液面(メニスカス面)がノズル孔内部まで深く引き込まれ、このときに気泡を巻き込み、この気泡の影響によってインク滴の吐出方向がばらついたり、インク滴の吐出が不能になる。
【0007】
そのため、撥水性の表面処理を行なうに際しては、(1)特開平6−143587号公報に記載されているように、撥水性材料を滲み込ませたウレタンフォームをノズル孔形成部材の表面に接触させて、ノズル孔内に侵入させないようにして撥水膜を形成することが知られている。また、(2)特開平7−329303号公報に記載されているように、ノズル孔形成部材の表面を撥水性を有する粘着剤付きのマスキングテープで覆い、ノズル孔形成部材の裏面(インク液室面)及びノズル孔内面に親水化処理を行なった後、マスキングテープを剥がし、ノズル孔形成部材表面に残存した粘着剤を加熱処理して撥水膜を形成するもののある。さらに、(3)特開平7−125220号公報に記載されているように、ドライフィルムレジストを熱圧着でノズル孔内に一定量浸入させて、撥水膜がノズル孔内に浸入する量を規制するようにしたものもある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、撥水膜の形成方法として、上記(1)のウレタンフォームを用いて撥水膜を形成する方法では、形成できる撥水膜の膜厚が0.1μm前後である。ところが、インクジェットヘッドでは、インク吐出方向を安定化するために、インク吐出の前後でシリコンゴム等のブレードを用いて、ノズル形成部材の表面をワイピングするようにしている。そのため、撥水膜の膜厚が0.1μm前後では、長期間ワイピングを行なうことによって撥水膜が摩耗し、撥水性が失われるおそれがある。しかも、この方法では、撥水膜の膜厚を厚くしようとすると、撥水性材料がノズル孔内部に侵入することになる。
【0009】
また、上記(2)の撥水性を有する粘着剤付きのマスキングテープを用いる方法では、マスキングテープを剥離するときに、ノズル孔部分ではノズル孔の円周にそってきれいな円状に剥離することが困難であり、粘着剤がノズル孔を塞いだり、或いはノズル孔の周囲に粘着剤が残らず、撥水膜が形成されないことがある。しかも、粘着剤を加熱処理するときに、熱で溶融した粘着剤がノズル孔内部に侵入するおそれがある。
【0010】
さらに、上記(3)のドライフィルムレジストを用いる方法では、ノズル孔内への撥水膜の浸入を防止することを目的としていない上、撥水膜形成後のドライフィルムレジスト剥離時にドライフィルムレジストがノズル孔内に残存してしまうことがある。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、表面処理膜をノズル孔内に侵入させることなく、しかもノズル孔形精度を損なうことのなく、低コストでインクジェットヘッドを製造する製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1のインクジェットヘッドの製造方法は、インク滴を吐出するノズル孔を形成したノズル孔形成部材の表面に撥インク性表面処理膜を形成したインクジェットヘッドの製造方法において、前記ノズル孔形成部材の裏面側に、このノズル孔形成部材の厚みの1.2倍以上の膜厚のドライフィルムレジストを熱圧着し、このドライフィルムレジストの一部を前記ノズル孔を介して前記ノズル形成部材の表面側にはみ出させた後、前記ノズル形成部材の表面側にドライフィルムレジストを熱圧着し、次いで前記ノズル孔形成部材の裏面側から露光して現像する構成とした。
【0013】
請求項2のインクジェットヘッドの製造方法は、上記請求項1のインクジェットへの製造方法において、前記ノズル孔形成部材に熱圧着したドライフィルムレジストを液体中で剥離する構成とした。
【0014】
請求項3のインクジェットヘッドの製造方法は、上記請求項2のインクジェットへの製造方法において、前記液体が脱脂洗浄液である構成とした。
【0015】
請求項4のインクジェットヘッドの製造方法は、上記請求項3のインクジェットへの製造方法において、前記脱脂洗浄液の液温を40℃以上60℃未満にする構成とした。
【0016】
請求項5のインクジェットヘッドの製造方法は、上記請求項4のインクジェットへの製造方法において、前記脱脂洗浄液中へのドライフィルムレジストの浸漬時間を1分以上にする構成とした。
【0017】
請求項6のインクジェットヘッドの製造方法は、上記請求項3ないし5のいずれかのインクジェットへの製造方法において、前記脱脂洗浄液を撹拌し、且つ、ろ過循環する構成とした。
【0018】
請求項7のインクジェットヘッドの製造方法は、上記請求項3ないし6のいずれかのインクジェットへの製造方法において、前記脱脂洗浄液はpH値7以上9以下の弱アルカリ性とした構成とした。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。図1は本発明を適用したインクジェットヘッドの分解斜視図、図2は同ヘッドのチャンネル方向(ノズル配列方向)と直交する方向の要部拡大断面図、図3は同ヘッドのチャンネル方向の要部拡大断面図である。
【0020】
このインクジェットヘッドは、駆動ユニット1と、液室ユニット2と、ヘッドカバー3とを備えている。
駆動ユニット1は、セラミックス基板、例えばチタン酸バリウム、アルミナ、フォルステライトなどの絶縁性の基板11上に、エネルギー発生素子である複数の積層型圧電素子12を列状に2列配置して接合し、これら2列の各圧電素子12の周囲を取り囲む樹脂、セラミック等からなるフレーム部材(液室支持部材)13を接着剤14によって接合している。
【0021】
複数の圧電素子12は、インクを液滴化して飛翔させるための駆動パルスが与えられる圧電素子(これを「駆動部」という。)17,17…と、駆動部17,17間に位置し、駆動パルスが与えられずに単に液室ユニット2を基板11に固定する液室支柱部材となる圧電素子(これを「非駆動部」という。)18,18…とを交互に構成している。ここで、複数の圧電素子12は1枚の圧電素子に多数のスリット加工を施すことで複数に分割形成したものであり、このスリット加工時に基板11上まで切込むことで、基板11上にスリット溝11aが形成される。
【0022】
ここで、圧電素子12としては10層以上の積層型圧電素子を用いている。この積層型圧電素子は、例えば図2に示すように、厚さ10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)20と、厚さ数μm/1層の銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電極21とを交互に積層したものであるが、圧電素子として用いる材料は上記に限られるものでなく、その他の電気機械変換素子を用いることもできる。
【0023】
各圧電素子12の内部電極21は1層おきにAgPdからなる左右の端面電極22,23(2つの圧電素子列の対向する面側を端面電極22とし、対向しない面側を端面電極23とする。)に接続している。一方、基板11上には、図1に示すようにNi・Au蒸着、Auメッキ、AgPtペースト印刷、AgPdペースト印刷等によって共通電極24及び個別電極25の各パターンを設けている。
【0024】
そして、各列の各圧電素子12の対向する端面電極22を導電性接着剤26を介して共通電極24に接続し、他方、各列の各圧電素子12の対向しない端面電極23を同じく導電性接着剤26を介してそれぞれ個別電極25に接続している。これにより、駆動部17に駆動電圧を与えることによって、積層方向に電界が発生して、駆動部17には積層方向の伸びの変位(d33方向の変位)が生起される。なお、共通電極24は、図2にも示すように、フレーム部材13に設けた穴13a内に導電性接着剤26を充填することで各圧電素子に接続されたパターンの導通を取っている。
【0025】
一方、液室ユニット2は、金属薄膜及び/又は金属薄膜と樹脂膜の積層体からなる複層構造の振動板31と、ドライフィルムレジスト(DFR)からなる感光性樹脂層で形成した2層構造の液室隔壁部材32と、金属、樹脂等からなるノズルプレート33とを順次を積層し、熱融着して形成している。これらの各部材によって、1つの圧電素子12(駆動部17)と、この1つの圧電素子12に対応するダイアフラム部34と、各ダイアフラム部34を介して加圧される加圧液室35と、この加圧液室35の両側に位置して加圧液室35に供給するインクを導入する共通液室36,36と、加圧液室35と共通液室36,36とを連通するインク供給路37,37と、加圧液室35に連通するノズル38とによって1つのチャンネルを形成し、このチャンネルを複数個2列設けている。
【0026】
振動板31は、2層構造のニッケルめっき膜からなり、駆動部17に対応する前記ダイアフラム部34と、駆動部17と接合するためにこのダイアフラム部34の中央部に一体的に形成した島状凸部40と、非駆動部18に接合する梁となると共に各チャンネル(ノズル)を独立させる隔壁部41及びフレーム部材13に接合する周辺厚肉部42と、共通液室36に対応する圧力を吸収する弾性体部(以下「ダンパー部」という。)43を形成している。
【0027】
液室隔壁部材32は、振動板31側に予めドライフィルムレジストを塗布して所要のマスクを用いて露光し、現像して所定の液室パターンを形成した第1感光性樹脂層45と、ノズルプレート33側に予めドライフィルムレジストを塗布して所要のマスクを用いて露光し、現像して所定の液室パターンを形成した第2感光性樹脂層46とを熱圧着で接合してなる。
【0028】
ノズルプレート33にはインク滴を飛翔させるための微細な吐出口であるノズル38を多数を形成し、インク吐出面(ノズル表面側)には図1に示すように撥水性(撥インク性)表面処理膜47を成膜している。このノズルプレート33のノズル孔形成部材(表面処理膜47を形成する基材)は、エレクトロフォーミング(電鋳)工法によるニッケルメッキ膜で形成している。電鋳工法で製作することによってノズル38をインク滴吐出方向に向かうに従って急激に絞られたホーン形状やテーパー形状にすることができ、インク滴を高周波数で吐出することが可能になる。この他、ポリイミド等の樹脂にエキシマレーザー加工をしたもの、金属プレートにプレス加工で穴加工をしたもの等でも用いることができる。
【0029】
また、表面処理膜47は、ポリテトラフルオロエチレン微粒子を分散させたニッケル共析メッキ(PTFE−Ni共析メッキ)によるメッキ膜で形成しているが、このほかフッ素樹脂の電着塗装、蒸発性のあるフッ素樹脂(例えばフッ化ピッチなど)を蒸着コートしたもの、シリコン系樹脂・フッ素系樹脂の溶剤塗布後の焼き付け等によっても形成できる。
【0030】
これらの駆動ユニット1と液室ユニット2とはそれぞれ別個に加工、組立を行なった後、液室ユニット2の振動板31と駆動ユニット1の圧電素子12及びフレーム部材13とを接着剤49で接合している。
【0031】
そして、基板11をヘッド支持部材であるスペーサ(ヘッドホルダ)50上に支持して保持し、このスペーサ50内に配設したヘッド駆動用IC等を有するPCB基板と駆動ユニット1の各圧電素子12(駆動部17)に接続した各電極24,25とをFPCケーブル51,51を介して接続している。
【0032】
また、ノズルカバー(ヘッドカバー)3は、ノズルプレート33の周縁部及びヘッド側面を覆う箱状に形成したものであり、ノズルプレート33の周縁部に接着剤にて接着接合している。さらに、このインクジェットヘッドには、図示しないインクカートリッジからのインクを液室に供給するため、スペーサ50、基板11、フレーム部材13及び振動板31にそれぞれインク供給穴52〜55を設けている。
【0033】
このように構成したインクジェットヘッドにおいては、記録信号に応じて駆動部17に駆動波形(10〜50Vのパルス電圧)を印加することによって、駆動部17に積層方向の変位が生起し、振動板31のダイアフラム部34を介して加圧液室35が加圧されて圧力が上昇し、ノズル38からインク滴が吐出される。このとき、加圧液室35から共通液室36へ通じるインク供給路37,37方向へもインクの流れが発生するが、インク供給路37,37の断面積を狭小にすることで流体抵抗部として機能させて共通液室36,36側へのインクの流れを低減し、インク吐出効率の低下を防いでいる。
【0034】
そして、インク滴吐出の終了に伴い、加圧液室35内のインク圧力が低減し、インクの流れの慣性と駆動パルスの放電過程によって加圧液室34内に負圧が発生してインク充填行程へ移行する。このとき、インクタンクから供給されたインクは共通液室36,36に流入し、共通液室36,36からインク供給路37,37を経て加圧液室35内に充填される。そして、ノズル38の出口付近のインクメニスカス面の振動が減衰し、表面張力によってノズル38の出口付近に戻されて(リフィル)安定状態に至れば、次のインク滴吐出動作に移行する。
【0035】
次に、ノズルプレート33の製造方法の詳細について図4以降をも参照して説明する。
先ず、同図(a)に示すようにエレクトロフォーミング(電鋳)工法によってノズル孔61aを形成したノズル孔形成部材(ノズルプレート母材)61を形成する。ノズル孔形成部材を金属で形成することによって、表面処理にメッキ工法を採用することができ、また、電鋳工法を採用することによって、ノズル孔がテーパ形状となり、ノズル孔と表面処理膜の孔との段差を無くして滑らかにすることが容易にできる。
【0036】
その後、同図(b)に示すようにノズル孔形成部材61の裏面側(インク液室側)にネガ型ドライフィルムレジスト62を熱圧着する。このとき、ノズル孔61aから軟化したドライフィルムレジスト62を押し出してノズル孔形成部材61の表面側(インク吐出面側)にはみ出させてはみ出し部62aが形成されるようにする。
【0037】
ここで、ネガ型ドライフィルムレジスト62を使用することによって、露光時にノズル孔形成部材61自身が遮光マスクの役割を果たすため、露光用マスクが不要になってコストダウンを図れ、マスクアライメントも不要になって作業効率が高まり、この点でも製作コストを抑制できる。
【0038】
また、ドライフィルムレジスト62の膜厚が薄すぎると、ノズル孔61aからインク吐出面側にはみ出さないため、後にインク吐出面側にドライフィルムレジストを熱圧着したときにノズル孔部分に気泡を巻き込んで、この気泡が露光時に紫外線光を散乱させてしまい、精密パターニングができなくなる。しかも、更に後の工程でドライフィルムレジスト62を剥離するときに、ドライフィルムレジスト62が薄すぎると途中で破れてしまうなどの問題が発生する。したがって、ドライフィルムレジスト62としては、ノズル孔形成部材61の厚みの1.2倍以上の膜厚のものを用いるのが好ましい。具体的には、日立化成製のSR−3000(商品名)等が適している。
【0039】
次に、同図(c)に示すように、ノズル孔形成部材61のインク吐出面側にもドライフィルムレジスト63を熱圧着する。このドライフィルムレジスト63の膜厚は後工程で形成する撥水性表面処理膜の厚さよりも厚くする。同時に熱圧着を行わないのは、ノズル孔61aへの気泡巻き込みを防止するためである。
【0040】
その後、同図(d)に示すように、ノズル孔形成部材61のインク液室側から平行紫外線光(UV光)で露光することによって、ノズル孔形成部材61が露光マスクになるので、インク液室側及びノズル孔61a内のドライフィルムレジスト62及びノズル孔61aに対応する部分のドライフィルムレジスト63が露光硬化し、これを現像することによって、ノズル孔形成部材61のインク吐出面側に突出した塔部(突出部)64aを有する硬化ドライフィルムレジスト64が形成される。
【0041】
そこで、同図(e)に示すように、ノズル孔形成部材61のインク吐出面側に撥水性表面処理膜65を形成する。この場合、ノズル孔61a内にはドライフィルムレジスト64が充填され、ノズル吐出面側に塔部64aが立設して、精密マスキングが行われているので、表面処理膜65がノズル孔61a内に浸入することなく精度良く形成される。
【0042】
この表面処理膜65としては、フッ素樹脂微粒子を分散させた無電解又は電解Niメッキ(例えば、上村工業製にニムフロン(商品名)又はメタフロン(商品名)等)を用いたメッキ皮膜で形成できる。この表面処理膜47の膜厚は、1μm以下ではフッ素樹脂微粒子の含有量が少なくなって撥水性が十分でなく、耐ワイピング性も十分でないので、2μm以上の膜厚にして撥水性を確保し、耐ワイピング耐久性を十分に持たせるようにする。
【0043】
次いで、図5(a)に示すように、上述のようにして表面処理膜65を形成したノズル孔形成部材61を、洗浄液槽66に満たした脱脂洗浄液67内に浸漬することで、ドライフィルムレジスト65が膨潤するので、ピンセット等でドライフィルムレジスト65を引張ることによって同図(b)に示すようにドライフィルムレジスト65を簡単に剥離することができる。そして、これを脱脂洗浄液67中から取り出して脱脂洗浄液を洗い流すことによって、同図(c)に示すようなノズルプレートが得られる。
【0044】
ここで、脱脂洗浄液67の液温は、40℃以上60℃未満にすることが好ましく、40℃未満では十分な洗浄効果及びドライフィルムレジスト剥離効果が得られなかったりし、また60℃以上では脱脂洗浄液自体の寿命が短くなる。また、脱脂洗浄液はpH値7以上9以下の弱アルカリ性とすることが好ましい。この範囲内のpH値にすることによって、撥水性の表面処理膜65を侵すことなくその表面を清浄し、撥水性を安定して保つことができる。この範囲の脱脂洗浄液としては、例えば上村工業製のUA−68(商品名)等を用いることができる。
【0045】
さらに、脱脂洗浄液67への浸漬時間は1分以上にすることが好ましい。浸漬時間が短いと、ドライフィルムレジストが十分に膨潤せずに、剥離時にノズル孔61a内に残留するなどする。また、脱脂洗浄液67は、フィルタろ過循環し、且つ撹拌することによって、液中に浮遊する細かいごみやドライフィルムレジストのカスなどがノズル孔形成部材61に再付着しないようする。
【0046】
このように脱脂洗浄液に浸漬してドライフィルムレジストを剥離することによって、剥離作業が簡単になると共に、ノズル孔形成部材や表面処理膜の損傷を防止できる。すなわち、従前は、撥水性表面処理膜を成膜した後に剥離液を用いてドライフィルムレジストを剥離しているが、剥離液によって撥水性表面処理膜やノズル孔形成部材が侵されるという問題があり、また剥離液浸漬後には専用のリンス液等で剥離液を洗い落とさなければならず、作業が面倒で、コストも大幅にアップしている。これに対して、本発明では、脱脂洗浄液に浸漬することで、ドライフィルムレジストが膨潤するので、簡単に剥離することができる。
【0047】
この場合、ドライフィルムレジストの剥離作業は、脱脂洗浄液中でもよく、又その後の脱脂洗浄液を洗い流す洗浄液中のいずれで行ってもよいが、いずれにしても液中で行うことが好ましい。液中でドライフィルムレジストの剥離を行うことで、ドライフィルムレジストが破れたり、ノズル孔内に塔部がちぎれて残存することを確実に防止できる。
【0048】
なお、上記実施例においては、本発明を電気機械変換素子をエネルギー発生手段とするインクジェットヘッドに適用しているが、電気熱変換素子をエネルギー発生手段とするインクジェットヘッドにも同様に実施でき、またサイドシュータ方式のインクジェットヘッドだけでなく、エッジシュータ方式のインクジェットヘッドにも同様に適用することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1のインクジェットヘッドの製造方法によれば、ノズル孔形成部材の裏面側に、このノズル孔形成部材の厚みの1.2倍以上の膜厚のドライフィルムレジストを熱圧着し、このドライフィルムレジストの一部をノズル孔を介してノズル形成部材の表面側にはみ出させた後、ノズル形成部材の表面側にドライフィルムレジストを熱圧着し、次いで前記ノズル孔形成部材の裏面側から露光して現像する構成としたので、ノズル孔内に表面処理膜が浸入することがなく、ノズル孔径も損なわれず、表面処理膜を高精度に形成することが可能になると共に、作業効率も向上し、低コストでマスキングを行うことができ、更に裏面側へのドライフィルムレジストの熱圧着時に、ドライフィルムレジストを表面側にノズル孔から確実にはみださせることができ、精密なドライフィルムレジストパターニングを行うことができる。
【0050】
請求項2のインクジェットヘッドの製造方法によれば、上記請求項1のインクジェットへの製造方法において、ノズル孔形成部材に熱圧着したドライフィルムレジストを液体中で剥離する構成としたので、簡単に低コストで、確実にドライフィルムレジストを剥離することができるようにすることができる。
【0051】
請求項3のインクジェットヘッドの製造方法によれば、上記請求項2のインクジェットへの製造方法において、液体が脱脂洗浄液である構成としたので、簡単に低コストで、確実にドライフィルムレジストを剥離することができる。
【0052】
請求項4のインクジェットヘッドの製造方法によれば、上記請求項3のインクジェットへの製造方法において、脱脂洗浄液の液温を40℃以上60℃未満にする構成としたので、ドライフィルムレジストを簡単に剥離でき、脱脂洗浄液の寿命も長くできる。
【0053】
請求項5のインクジェットヘッドの製造方法によれば、上記請求項4のインクジェットへの製造方法において、脱脂洗浄液中へのドライフィルムレジストの浸漬時間を1分以上にする構成としたので、ドライフィルムレジストを簡単に剥離できる。
【0054】
請求項6のインクジェットヘッドの製造方法によれば、上記請求項3ないし5のいずれかのインクジェットへの製造方法において、脱脂洗浄液を撹拌し、且つろ過循環する構成としたので、液中に浮遊するごみやカスがノズル孔形成部材に再付着することを防止できる。
【0055】
請求項7のインクジェットヘッドの製造方法によれば、上記請求項3ないし6のいずれかのインクジェットへの製造方法において、脱脂洗浄液はpH値7以上9以下の弱アルカリ性とした構成としたので、撥水性表面処理膜を損傷することなく、安定した撥水性を確保することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したインクジェットヘッドの分解斜視図
【図2】同ヘッドのチャンネル方向と直交する方向の要部拡大断面図
【図3】同ヘッドのチャンネル方向の要部拡大断面図
【図4】同ヘッドのノズルプレートの製造工程の説明の供する説明図
【図5】図4の工程に続く工程の説明に供する説明図
【符号の説明】
1…駆動ユニット、2…液室ユニット、3…フレーム部材、12…圧電素子、33…ノズルプレート、38…ノズル、47…表面処理膜、61…ノズル孔形成部材、61a…ノズル孔、62,63…ドライフィルムレジスト、64…硬化ドライフィルムレジスト、64a…塔部、65…表面処理膜、67…脱脂洗浄液。
Claims (7)
- インク滴を吐出するノズル孔を形成したノズル孔形成部材の表面に撥インク性表面処理膜を形成したインクジェットヘッドの製造方法において、前記ノズル孔形成部材の裏面側に、このノズル孔形成部材の厚みの1.2倍以上の膜厚のドライフィルムレジストを熱圧着し、このドライフィルムレジストの一部を前記ノズル孔を介して前記ノズル形成部材の表面側にはみ出させた後、前記ノズル形成部材の表面側にドライフィルムレジストを熱圧着し、次いで前記ノズル孔形成部材の裏面側から露光して現像することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
- 請求項1に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、前記ノズル孔形成部材に熱圧着したドライフィルムレジストを液体中で剥離することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
- 請求項2に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、前記液体が脱脂洗浄液であることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
- 請求項3に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、前記脱脂洗浄液の液温を40℃以上60℃未満にすることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
- 請求項4に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、前記脱脂洗浄液中へのドライフィルムレジストの浸漬時間を1分以上にすることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
- 請求項3ないし5のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法において、前記脱脂洗浄液を撹拌し、且つ、ろ過循環することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
- 請求項3ないし6のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法において、前記脱脂洗浄液はpH値7以上9以下の弱アルカリ性としたことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
Priority Applications (1)
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| JP7891698A JP3568022B2 (ja) | 1998-03-26 | 1998-03-26 | インクジェットヘッドの製造方法 |
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| JP7891698A JP3568022B2 (ja) | 1998-03-26 | 1998-03-26 | インクジェットヘッドの製造方法 |
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| JPH11268279A JPH11268279A (ja) | 1999-10-05 |
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1998
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