JP2007182002A - インクジェットヘッドおよびその製造方法ならびにインクジェット式記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】インク吐出効率の優れたインクジェットヘッドを得ることを目的とする。
【解決手段】流路部材16に接合材14を介して固定され、圧力室2を形成する複数の区画壁2aと、複数の区画壁2a上に固定され振動板および第1の電極としての振動板兼共通電極11と、振動板兼共通電極11上に形成された圧電体膜10と、圧電体膜10上に形成された第2の電極3と、を備え、振動板兼共通電極11と第2の電極3との間に所定の電圧が印加されることにより、圧力室2の容積を変化させる方向に圧電体膜10を変位させるインクジェットヘッドであって、複数の区画壁2aはそれぞれ段差部2bを有している。接合材14が圧力室2にはみ出したとしても、このはみ出した接合材14は区画壁2aの段差部2bで止まり、振動板兼共通電極11には到達していない構成とする。
【選択図】図4

Description

本発明はインクジェットヘッドおよびその製造方法ならびにインクジェット式記録装置に関するものである。
インクジェット式記録装置のインクジェットヘッドは、インク液を収容する圧力室を持つ圧力室部品と、この圧力室からインク滴を吐出させるためのアクチュエータ部である圧電体素子とを備えている。圧電体素子は、圧電体膜と、この圧電体膜に所定の電圧を印加するための個別電極及び共通電極とを備えている。所定の電圧を印加された圧電体膜は収縮および伸張する(圧電効果を生じる)。そして、インクジェットヘッドは、圧電体膜の圧電効果により圧力室の容積を変化させてインク滴をノズル孔から吐出させるように構成されている。
なお、多数のノズル孔から吐出されるインク滴の吐出特性を安定化させるには、圧電体素子の変位特性、共振特性のバラツキを抑制する必要がある。
たとえば、特開2000−301715号公報には、ヘッド本体部とアクチュエータ部とが接着されてなるインクジェットヘッドにおいて、振動板の変位部に接着剤が付着することを防止する技術が開示されている。このインクジェットヘッドでは、振動板のヘッド本体部側の面に振動板の変位部を圧力室に晒す窓部が設けられた中間層を形成し、中間層と本体部の区画壁とを電着樹脂からなる接着剤により接着する。しかも、中間層は銅より形成され、接着剤のはみ出し部が振動板の変位部に付着しないよう、その厚みは5μmに設定されている。
特開2000−301715号公報
しかしながら、上記従来の技術では、中間層と本体部の区画壁とを接着するために塗布された接着剤の面積が圧力室を構成する区画壁の接着面の面積より少なくなって、その接着面の端面が接着されないか、あるいは塗布された接着剤がその接着面の端面からはみ出した状態で中間層と本体部の区画壁とが接着されると、圧電体素子の変位特性や共振特性がばらついてインク吐出効率が悪化し、信頼性の高いインクジェットヘッドを得ることができない。
そこで、本発明は、インク吐出効率の優れたインクジェットヘッドおよびその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、インク吐出効率の優れたインクジェットヘッドによる安定したインク吐出により高画質の印刷を行うことのできるインクジェット式記録装置を提供することを目的とする。
この課題を解決するために、本発明のインクジェットヘッドは、流路部材に接合材を介して固定され、圧力室を形成する複数の区画壁と、前記複数の区画壁における前記流路部材に固定された側とは反対側の部位に固定された振動板と、前記振動板の上に固定された第1の電極と、前記第1の電極の上に形成された圧電体膜と、前記圧電体膜の上に形成された第2の電極と、を備え、前記第1の電極と前記第2の電極との間に所定の電圧が印加されることにより、前記圧力室の容積を変化させる方向に前記圧電体膜を変位させるインクジェットヘッドであって、前記複数の区画壁はそれぞれ段差部を有している構成としたものである。
本発明の好ましい形態において、前記段差部は8μm〜30μmの範囲である構成としたものである。
本発明のさらに好ましい形態において、前記振動板は前記第1の電極を兼ねている構成としたものである。
また、この課題を解決するために、本発明のインクジェット式記録装置は、請求項1〜3の何れか一項に記載のインクジェットヘッドを備えた構成としたものである。
さらに、この課題を解決するために、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、請求項1〜3の何れか一項に記載のインクジェットヘッドの製造方法であって、複数の区画壁をそれぞれ段差部が形成されるべく当該段差部の数に応じて複数回に分けて形成することとしたものである。
本発明の好ましい形態において、前記複数の区画壁を、振動板から流路部材の方向に向かって前記段差部の数に応じて複数回に分けて形成するとともに当該複数回に分けて形成される複数の区画壁要素の水平方向の幅が異なるように形成する構成としたものである。
本発明のさらに好ましい形態において、前記複数の区画壁要素の幅は、当該区画壁要素と前記振動板との距離に反比例していることとしたものである。
さらに、この課題を解決するために、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、請求項1〜3の何れか一項に記載のインクジェットヘッドの製造方法であって、前記複数の区画壁を、振動板から流路部材の方向に向かって2回に分けて形成するとともに当該2回に分けて形成される第1の区画壁要素と第2の区画壁要素との水平方向の幅が異なるように形成し、前記振動板から前記流路部材の方向の順に前記第1の区画壁要素、前記第2の区画壁要素が形成されるときは、前記第2の区画壁要素の幅は前記第1の区画壁要素の幅よりも小さくなるように形成することとしたものである。
本発明によれば、圧電体膜の変位特性や共振特性の均一化を図ることができ、インク吐出効率の優れたインクジェットヘッドを得ることが可能になるという有効な効果が得られる。
また、本発明によれば、インク吐出効率の優れたインクジェットヘッドによる安定したインク吐出により高画質の印刷を行うことができるという有効な効果が得られる。
本発明の請求項1に記載の発明は、流路部材に接合材を介して固定され、圧力室を形成する複数の区画壁と、複数の区画壁における流路部材に固定された側とは反対側の部位に固定された振動板と、振動板の上に固定された第1の電極と、第1の電極の上に形成された圧電体膜と、圧電体膜の上に形成された第2の電極と、を備え、第1の電極と第2の電極との間に所定の電圧が印加されることにより、圧力室の容積を変化させる方向に圧電体膜を変位させるインクジェットヘッドであって、複数の区画壁はそれぞれ段差部を有していることを特徴とするインクジェットヘッドであり、確実な接合材のはみ出し、およびはみ出した接合材の振動板への付着を確実に防止することができるという作用を有する。これにより圧電体膜の変位特性や共振特性の均一化を図ることができ、インク吐出効率の優れたインクジェットヘッドを得ることが可能になるという作用を有する。
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、段差部は8μm〜30μmの範囲であることを特徴とするインクジェットヘッドであり、確実な接合材のはみ出し、およびはみ出した接合材の振動板への付着を確実に防止することができるという作用を有する。これにより圧電体膜の変位特性や共振特性の均一化を図ることができ、インク吐出効率の優れたインクジェットヘッドを得ることが可能になるという作用を有する。
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、振動板は第1の電極を兼ねていることを特徴とするインクジェットヘッドであり、部品点数の削減およびこれに伴う作業工程の削減が可能になるので、コストを抑制することが可能になるという作用を有する。
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載のインクジェットヘッドを備えたことを特徴とするインクジェット式記録装置であり、インク吐出効率の優れたインクジェットヘッドによる安定したインク吐出により高画質の印刷を行うことができるという作用を有する。
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載のインクジェットヘッドの製造方法であって、複数の区画壁をそれぞれ段差部が形成されるべく当該段差部の数に応じて複数回に分けて形成することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法であり、区画壁に微少な段差を形成することが可能になるので、はみ出した接合材の振動板への付着を確実に防止することができるという作用を有する。これにより圧電体膜の変位特性や共振特性の均一化を図ることができ、インク吐出効率の優れたインクジェットヘッドを得ることが可能になるという作用を有する。
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項5記載の発明において、複数の区画壁を、振動板から流路部材の方向に向かって段差部の数に応じて複数回に分けて形成するとともに当該複数回に分けて形成される複数の区画壁要素の水平方向の幅が異なるように形成することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法であり、区画壁に微少な段差を均一に形成することができるので、確実な接合材のはみ出し、およびはみ出した接合材の振動板への付着を確実に防止することができるという作用を有する。これにより圧電体膜の変位特性や共振特性の均一化を図ることができ、インク吐出効率の優れたインクジェットヘッドを得ることが可能になるという作用を有する。
本発明の請求項7に記載の発明は、請求項6記載の発明において、複数の区画壁要素の幅は、当該区画壁要素と振動板との距離に反比例していることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法であり、振動板に近い区画壁要素ほどその水平方向の幅は長くなっているので、振動板に最も近い区画壁要素において、はみ出した接合材の振動板への付着を確実に防止することができるという作用を有する。
本発明の請求項8に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載のインクジェットヘッドの製造方法であって、複数の区画壁を、振動板から流路部材の方向に向かって2回に分けて形成するとともに当該2回に分けて形成される第1の区画壁要素と第2の区画壁要素との水平方向の幅が異なるように形成し、振動板から流路部材の方向の順に第1の区画壁要素、第2の区画壁要素が形成されるときは、第2の区画壁要素の幅は第1の区画壁要素の幅よりも小さくなるように形成することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法であり、区画壁に微少な段差を均一に形成することができるので、確実な接合材のはみ出し、およびはみ出した接合材の振動板への付着を確実に防止することができるという作用を有する。これにより圧電体膜の変位特性や共振特性の均一化を図ることができ、インク吐出効率の優れたインクジェットヘッドを得ることが可能になるという作用を有する。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しつつさらに具体的に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の一実施の形態であるインクジェット式記録装置の全体概略構成を示す斜視図、図2は図1のインクジェット式記録装置におけるインクジェットヘッドの全体構成を示す斜視図、図3は図2のインクジェットヘッドの要部を示す斜視図、図4は図2のインクジェットヘッドの要部を示す断面図、図5は区画壁に形成された段差部の幅と共振変動率との関係を示すグラフ、図6は区画壁に形成された段差部の幅と接着強度比との関係を示すグラフ、図7は本発明の一実施の形態であるインクジェットヘッドの製造方法を連続的に説明する断面図、図8は本発明の一実施の形態であるインクジェットヘッドの製造方法に係る他の区画壁を説明する断面図である。
図1に示すように、インクジェット式記録装置40は、圧電体素子の圧電効果を利用して記録を行う本発明のインクジェットヘッド41(詳細については後述する)を備えており、インクジェットヘッド41から吐出したインク滴を紙等の記録媒体42に着弾させて、記録媒体42に記録を行うものである。インクジェットヘッド41は、主走査方向Xに配置したキャリッジ軸43に設けられたキャリッジ44に搭載されていて、キャリッジ44がキャリッジ軸43に沿って往復動するのに応じて、主走査方向Xに往復動する。また、インクジェット式記録装置40は、記録媒体42をインクジェットヘッド41の幅方向(すなわち、主走査方向X)と略垂直方向の副走査方向Yに移動させる複数個のローラ(移動手段)45を備えている。
次に、インクジェットヘッド41の構成について、図2および図3を参照して詳細に説明する。
図2および図3に示すように、インクジェットヘッド41は、圧力室部品であって、圧力室用開口部1が形成される圧力室部品A、圧力室用開口部1の上端開口面を覆うように配置されるアクチュエータ部B、圧力室用開口部1の下端開口面を覆うように配置されるインク液流路部品C、インク流路7に連通するノズル孔8が形成されているノズル板D、およびボンディングワイヤーBWを介して多数の個別電極3に対して電圧を供給するICチップEを備えている。
圧力室部品Aの圧力室用開口部1は、その上下に位置するアクチュエータ部Bおよびインク液流路部品Cにより区画されて圧力室2となる。
アクチュエータ部Bには、圧力室2の上方に位置する個別電極(第2の電極)3が配置されている。圧力室2および個別電極3は、図2を参照して分かるように、千鳥状に多数配列されている。
インク液流路部品Cには、インク液供給方向に並ぶ圧力室2間で共用する共通液室5と、この共通液室5を圧力室2に連通する供給口6と、圧力室2内のインク液が流出するインク流路7とが形成されている。
次に、アクチュエータ部Bおよび圧力室部品Aの構成について、図4を参照して詳細に説明する。
図4に示すように、アクチュエータ部Bは、圧力室2を形成する複数の区画壁2aと、圧力室2を覆うようにして複数の区画壁2a上に固定された振動板兼共通電極(振動板および第1の電極)11と、振動板兼共通電極11上に形成された圧電体膜10と、圧電体膜10上に形成された個別電極(第2の電極)3とを有している。そして、個別電極3と振動板兼共通電極11とは、これらの電極間に所定の電圧が印加されることにより、相互に協働して、圧力室2の容積を変化させる方向に圧電体膜10を変位させる。なお、圧電体膜10、第1の電極としての振動板兼共通電極11および第2の電極3で、圧電素子を構成している。
複数の区画壁2aはそれぞれ中間部分に段差部(あるいは段差)2bを有している。つまり、複数の区画壁2aは、振動板兼共通電極11側の部位つまり第1の区画壁(以下、「第1の区画壁要素」という。)20と、流路部材16側の部位つまり第2の区画壁(以下、「第2の区画壁要素」という。)21とを有しており、これらの区画壁要素の水平方向の幅は異なっている。具体的には第1の区画壁要素20は第2の区画壁要素21と比較して水平方向の幅が長さLだけ長くなっている。換言すると、区画壁2aは幅Lの段差部2bが形成されていることになる。
このような複数の区画壁2aは、たとえばアクリル樹脂またはエポキシ樹脂からなる接合材14を介して流路部材16に固定されている。接合材14は、図4に示すように、圧力室2内にはみ出し、かつ、そのはみ出した接合材14の一部は区画壁2aの段差部2bにはみ出している。
なお、上述したように段差部2bを有する区画壁2aにおいては第1の区画壁要素20は第2の区画壁要素21よりも広く(水平方向の幅が長さLだけ長く)なっているので、接合材14のはみ出しの一部が区画壁2aの段差部2bにはみ出したとしても、そのはみ出した接合材14は、区画壁2aの段差部2bで止まることになり、振動板としての振動板兼共通電極11には到達しない。すなわち、はみ出した接合材14の振動板としての振動板兼共通電極11への付着を防止することができる。
ここで、区画壁2aに形成された段差部2bの幅と共振変動率との関係、および区画壁2aに形成された段差部2bの幅と接着強度比との関係について、図5および図6を参照して説明する。
段差部2bの幅と共振変動率との関係においては、図5に示すように、段差部2bの幅L(μm)が大きくなると(図4参照)、接合材14が振動板兼共通電極11まで達する割合が減少するので、共振変動率(%)は小さくなり、特に段差部2bの幅Lが8μm以上であれば、共振変動率が安定しているのが分かる。
一方、段差部2bの幅と接着強度比との関係においては、図6に示すように、段差部2bの幅L(μm)が大きくなると(図4参照)、区画壁2aと流路部材16との間の接着面の幅が小さくなるので接着強度が低下し、特に段差部2bの幅Lが30μmを超えた場合、接着強度は段差が無い場合と比較して半分以下になってしまう。
従って、段差部2bの幅Lは8μm〜30μmの範囲が有効であることが分かる。すなわち、本実施の形態では、段差部2bの幅Lを8μm〜30μmの範囲になるように設定している。
なお、本実施の形態では、振動板兼共通電極11と振動板とを一体化した構造にしているが、本発明はこれに限定されることなく、振動板兼共通電極11と区画壁2aとの間に振動板を形成するようにすることもできる。
したがって、本明細書において、振動板兼共通電極11が区画壁2aに固定されているとは、第1の電極および振動板としての振動板兼共通電極11が直接区画壁2aに固定されていること、および第1の電極としての振動板兼共通電極11が振動板を介して区画壁2aに固定されていること、の両方を意味する。
ところで、本実施の形態において、個別電極3は例えばPt(白金)で、圧電体膜10は例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)で、振動板兼共通電極11は例えばCu(銅)で、第1の区画壁要素20および第2の区画壁要素21は例えばNi(ニッケル)でそれぞれ形成されている。また、個別電極3は例えば厚さ0.2μmに、圧電体膜10は例えば厚さ3μmに、振動板兼共通電極11は例えば厚さ5.5μmに、第1の区画壁要素20および第2の区画壁要素21は例えば厚さ70μmに、各々成膜されている。
また、個別電極3、圧電体膜10、振動板兼共通電極11、第1の区画壁要素20および第2の区画壁要素21などの形成方法は、公知の各種の膜形成法、例えばスクリーン印刷の如き厚膜法やディッピング等の塗布法、スパッタリング法、CVD法、真空蒸着法、メッキ法、電鋳等の薄膜形成法が適宜採用され得る。しかし、それらに何等限定されるものではない。
次に、上述した構成のインクジェットヘッドの製造方法について、図7を参照して説明する。
図7において、先ず、例えばMgO(酸化マグネシウム)基板15上に個別電極3をエピタキシャル成長により成膜し(図7(a))、次に、個別電極3上にペロブスカイト構造の圧電体膜10を成膜し(図7(b))、さらに、圧電体膜10上に振動板兼共通電極11を成膜する(図7(c))。なお、振動板を振動板兼共通電極11とは別に設ける場合には、さらに振動板兼共通電極11上に振動板を成膜する。
その後、振動板兼共通電極11上に第1の区画壁要素20を形成しこの表面を平滑にした後に(図7(d))、第1の区画壁要素20上にパターンを形成し、そのパターンの形状を第1の区画壁要素20とは変えて第2の区画壁要素21を形成しこの表面を平滑にし(図7(e))、次に、例えばリン酸を用いたウエットエッチングによりMgO基板15を除去し(図7(f))、さらに、個別電極3および圧電体膜10を所定の形状にパターニングする(図7(g))。
最後に流路部材16を接合材14で固定すると(図7(h))、図4に示したインクジェットヘッドが得られる。
ところで、図7(d)、(e)に示す例の複数の区画壁2aを形成する場合は、複数の区画壁2aを、振動板としての振動板兼共通電極11から流路部材16の方向に向かって1つの段差部2bの数に対応して2回に分けて形成するとともに、当該2回に分けて形成される第1および第2の区画壁要素20,21の水平方向の幅が異なるように形成する。そのとき、各区画壁要素20,21の幅は、当該区画壁要素と振動板としての振動板兼共通電極11との距離に反比例するようにする。すなわち、第2の区画壁要素21と比較して振動板としての振動板兼共通電極11に近い第1の区画壁要素20の水平方向の幅を、第2の区画壁要素21の水平方向の幅よりも長くする。
なお、本実施の形態では、区画壁2aを、振動板兼共通電極(振動板および第1の電極)11から流路部材16の方向に向かって段差部の数(この例では段差部2bの1つ)に応じて複数回(この例では2回)に分けて形成するとともに当該複数回(この例では2回)に分けて形成される第1の区画壁要素20、第2の区画壁要素21の水平方向の幅が異なるように形成するようにしているが、本発明はこれに限定されることなく、図8(a)、(b)に示すような構造とすることもできる。
なお、図8(a)、(b)に示す構造例は、例えば図7(e)の紙面に対し左側の区画壁2aに対応するものである。ここでは右側の区画壁2aは省略している。
さて、区画壁2aを、図8(a)に示すように、振動板兼共通電極(振動板および第1の電極)11から流路部材16の方向に向かって例えば2つの段差部30a,30bに対応して3回に分けて形成するとともに当該3回に分けて形成される第1の区画壁要素31、第2の区画壁要素32、第3の区画壁要素33の水平方向の幅が異なるように形成するようにする。
換言すれば、振動板兼共通電極11から流路部材16の方向(垂直方向)に向かって、第1の区画壁要素31、第2の区画壁要素32、第3の区画壁要素33を形成する。しかも、これらの区画壁要素の水平方向の幅が、振動板としての振動板兼共通電極11との距離に反比例するように、つまり振動板兼共通電極11に近い区画壁要素ほどその水平方向の幅が長くなるようにする。
そして、段差部30aの水平方向の幅と段差部30bの水平方向の幅とを加算した値の幅は、上記段差部2bの幅L(8μm〜30μm)とする。
なお、流路部材16と接合材14を介して固定される第3の区画壁要素33の水平方向の幅は、例えば上記第2の区画壁要素21の水平方向の幅と同等程度にすればよい。
また、区画壁2aを、図8(b)に示すように、例えば1つの段差部35に対応して水平方向に2回に分けて形成するとともに当該2回に分けて形成される第1の区画壁要素36、第2の区画壁要素37を形成するようにする。この場合、流路部材16と接合材14を介して固定される第1の区画壁要素36の水平方向の幅L1は、例えば上記第2の区画壁要素21の水平方向の幅と同等程度にし、また第2の区画壁要素37の水平方向の幅つまり段差部35は、上記段差部2bの幅L(8μm〜30μm)とする。
以上説明したように、本実施の形態によれば、確実な接合材のはみ出し、およびはみ出した接合材の振動板兼共通電極への付着防止が可能になり、複数の圧電体素子(圧電体膜10、個別電極3および振動板兼共通電極)の相互間における変位特性や共振特性が均一化されるので、インク吐出効率の優れたインクジェットヘッドを得ることが可能になる。
そして、このようなインクジェットヘッドを備えたインクジェット式記録装置によれば、安定したインク吐出により高画質の印刷を行うことが可能になる。
本発明は、モノクロ印刷あるいはカラー印刷を行うためのインクジェットヘッドおよびその製造方法、ならびにモノクロ印刷あるいはカラー印刷を行うインクジェット式記録装置に適用することができる。
本発明の一実施の形態であるインクジェット式記録装置の全体概略構成を示す斜視図 図1のインクジェット式記録装置におけるインクジェットヘッドの全体構成を示す斜視図 図2のインクジェットヘッドの要部を示す斜視図 図2のインクジェットヘッドの要部を示す断面図 区画壁に形成された段差部の幅と共振変動率との関係を示すグラフ 区画壁に形成された段差部の幅と接着強度比との関係を示すグラフ 本発明の一実施の形態であるインクジェットヘッドの製造方法を連続的に説明する断面図 本発明の一実施の形態であるインクジェットヘッドの製造方法に係る他の区画壁を説明する断面図
符号の説明
2 圧力室
2a 区画壁
2b,35 段差部
3 個別電極(第2の電極)
10 圧電体膜
11 振動板兼共通電極(振動板、第1の電極)
14 接合材
16 流路部材
20,31,36 第1の区画壁(第1の区画壁要素)
21,32,37 第2の区画壁(第2の区画壁要素)
33 第3の区画壁(第3の区画壁要素)
30a 第1の段差部
30b 第2の段差部
40 インクジェット式記録装置
41 インクジェットヘッド

Claims (8)

  1. 流路部材に接合材を介して固定され、圧力室を形成する複数の区画壁と、
    前記複数の区画壁における前記流路部材に固定された側とは反対側の部位に固定された振動板と、
    前記振動板の上に固定された第1の電極と、
    前記第1の電極の上に形成された圧電体膜と、
    前記圧電体膜の上に形成された第2の電極と、
    を備え、前記第1の電極と前記第2の電極との間に所定の電圧が印加されることにより、前記圧力室の容積を変化させる方向に前記圧電体膜を変位させるインクジェットヘッドであって、
    前記複数の区画壁はそれぞれ段差部を有していることを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 前記段差部は8μm〜30μmの範囲であることを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッド。
  3. 前記振動板は前記第1の電極を兼ねていることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェットヘッド。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載のインクジェットヘッドを備えたことを特徴とするインクジェット式記録装置。
  5. 請求項1〜3の何れか一項に記載のインクジェットヘッドの製造方法であって、
    複数の区画壁をそれぞれ段差部が形成されるべく当該段差部の数に応じて複数回に分けて形成することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  6. 前記複数の区画壁を、振動板から流路部材の方向に向かって前記段差部の数に応じて複数回に分けて形成するとともに当該複数回に分けて形成される複数の区画壁要素の水平方向の幅が異なるように形成することを特徴とする請求項5記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  7. 前記複数の区画壁要素の幅は、当該区画壁要素と前記振動版との距離に反比例している
    ことを特徴とする請求項6記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  8. 請求項1〜3の何れか一項に記載のインクジェットヘッドの製造方法であって、
    前記複数の区画壁を、
    振動板から流路部材の方向に向かって2回に分けて形成するとともに当該2回に分けて形成される第1の区画壁要素と第2の区画壁要素との水平方向の幅が異なるように形成し、
    前記振動板から前記流路部材の方向の順に前記第1の区画壁要素、前記第2の区画壁要素が形成されるときは、前記第2の区画壁要素の幅は前記第1の区画壁要素の幅よりも小さくなるように形成することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
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