JP2003309301A - デバイス製造方法 - Google Patents

デバイス製造方法

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JP2003309301A
JP2003309301A JP2002115803A JP2002115803A JP2003309301A JP 2003309301 A JP2003309301 A JP 2003309301A JP 2002115803 A JP2002115803 A JP 2002115803A JP 2002115803 A JP2002115803 A JP 2002115803A JP 2003309301 A JP2003309301 A JP 2003309301A
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layer
piezoelectric film
easily peelable
film
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JP2002115803A
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English (en)
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Tetsuro Fukui
哲朗 福井
Yutaka Kagawa
豊 香川
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成膜温度に高温が必要な材料を耐熱温度が低
い基板上に配設することを可能にし、大面積となっても
均一性が良くかつ良好なデバイスを作製できるデバイス
製造方法を提供する。 【解決手段】 耐熱温度が高いセラミックス基板等の第
一の基板1上に、少なくともアルミナが主成分の層とジ
ルコニアが主成分の層を含む積層構造からなる容易に剥
離可能な易剥離層2を成膜し、その上に高温でのみ作製
可能な圧電膜等の造形物3を形成する。SiまたはTi
からなる第二の基板5を第一の基板1に形成された造形
物3に接合層6a、6bを介して当接させ、これらを加
熱および加圧して接合する。その後に、第一の基板1と
造形物3(および電極4)との間の易剥離層2を機械的
に破壊することにより不要な第一の基板1を剥離し、第
二の基板5上に造形物3を転写して、圧電膜型素子等の
デバイスを作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体噴射ヘッド、
マイクロホン、発音体(スピーカーなど)、各種振動子
や発振子、さらには加速度センサー、圧力センサー、振
動センサー、角速度センサー等の各種のセンサー等に用
いられるユニモルフ型やバイモルフ型等の圧電膜型素子
等の製造に好適に用いることができるデバイス製造方法
に関するものであり、特に、高温でのみ作製可能な造形
物を高温に耐えられない基板上で使用したい場合や特殊
な基板上にのみ成膜できる造形物を他の基板上で使用し
たい場合に有効なデバイス製造方法に関するものであ
る。なお、ここで呼称される圧電膜型素子とは、電気エ
ネルギーを機械エネルギーすなわち機械的な変位や振動
あるいは応力に変換する素子およびその逆の変換を行う
素子を意味するものとする。
【0002】
【従来の技術】近年、光学や精密加工等の分野におい
て、サブミクロンのオーダーで光路長や位置を調整する
変位素子や微小変位を電気的変化として検知する検出素
子が所望されるようになってきており、これに応えるも
のとして、強誘電体の圧電/電歪材料に電界を加えた時
に起こる逆圧電効果や電歪効果に基づくところの変位あ
るいはその逆の現象を利用した素子であるアクチュエー
タやセンサーの如き圧電膜型素子の開発が進められてい
る。
【0003】また、液体噴射ヘッド等においては、この
ような圧電膜型素子の構造体として、従来から知られて
いるユニモルフ型やバイモルフ型が好適に採用されてい
る。そして、そこでは、そのような圧電膜型素子を用い
たプリンターの印字品質や印字速度等の向上が要求され
ており、それに応えるべく、かかる圧電膜型素子の小型
高密度化、低電圧駆動化、高速応答性化、および長尺多
ノズル化を図るための開発が進められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述したユ
ニモルフ型やバイモルフ型の圧電膜型素子においては、
大きな屈曲変位や発生力あるいは大きな発生電位を得る
ために、振動板となる基板の厚さを薄くすることが重要
とされるが、かかる基板の厚さを減少させると、強度が
低下しまた平滑性が低下するという問題があった。しか
も、従来のユニモルフ型やバイモルフ型の圧電膜型素子
においては、接着剤を用いるために信頼性が損ねるとい
う問題点もあった。
【0005】このような問題点を克服するために、特開
昭62−213399号公報には、圧電スピーカーとし
て、圧電セラミックスとセラミックス振動板を同時に焼
結することで、接着剤を用いることなく、強固な接合強
度をもたらす技術が開示されている。
【0006】しかしながら、この方法は、異種の材料を
高温で焼結することから、振動板の選択が制限され最適
な設計ができないこと、そして、振動板および圧電セラ
ミックスそのものが収縮するため、大面積でミクロンオ
ーダーの寸応精度を合わせることが困難であるという問
題があった。そのため信頼性の高い大面積の圧電膜型素
子(アクチュエータ)や液体噴射ヘッドを得ることが困
難であった。
【0007】また、圧電膜型素子(アクチュエータ)等
の作製に際して、例えば、加工工程のし易さからSi基
板を使用した素子やアクチュエータが研究されている
が、Si基板を用いる場合には、Si基板の耐熱温度以
下で圧電膜を成膜する必要があり、そのため圧電膜の膜
特性を材料が所有する本来の特性を引き出せないという
矛盾がある。また、現在使用されている圧電材料として
は鉛を有する材料であり、Si基板上にその圧電膜を焼
結させると、700℃以上で鉛のSiへの拡散が起こ
り、後の工程でのSi基板の加工性が劣化してしまうと
いう問題があった。
【0008】そこで、本発明は、前述した従来技術の有
する未解決の課題に鑑みてなされたものであって、大面
積でかつ信頼性が高い圧電膜型素子等のデバイスを作製
することができる新規なデバイス製造方法を提供するこ
とを目的とし、さらに詳細には、基板上に剥離可能な易
剥離層を介して形成した造形物に他の基板を接合して最
初の基板を易剥離層から剥離して造形物を他の基板に転
写することにより、成膜温度に高温が必要な材料からな
る造形物を耐熱温度が低い基板上に配設することを可能
にし、大面積となっても均一性が良くかつ良好なデバイ
スを作製できるデバイス製造方法を提供することを目的
とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のデバイス製造方法は、第一の基板上に形成
した造形物に第二の基板を接合し、第一の基板を造形物
から剥離して、造形物を第二の基板に転写することによ
り、デバイスを作製するデバイス製造方法であって、第
一の基板と造形物の間に2種類以上のセラミックスで容
易に剥離可能な易剥離層が設けられており、前記易剥離
層が少なくともアルミナが主成分の層とジルコニアが主
成分の層を含むことを特徴とする。
【0010】さらに、本発明のデバイス製造方法は、第
一の基板上に形成した造形物に第二の基板を接合し、第
一の基板を造形物から剥離して、造形物を第二の基板に
転写することにより、デバイスを作製するデバイス製造
方法であって、第一の基板と造形物の間に容易に剥離可
能な易剥離層が設けられており、易剥離層と第一の基板
との密着強度が5gf/mm2 〜200gf/mm2
あることを特徴とする。
【0011】本発明のデバイス製造方法においては、第
一の基板がセラミックス基板であり、第二の基板がSi
またはTi基板であることが好ましい。Si基板には、
SOI基板やSOS基板などの異種の層が構成上含まれ
たSi基板も含まれる。
【0012】
【作用】本発明によれば、成膜温度に高温が必要な材料
からなる造形物を容易に剥離可能な易剥離層が成膜され
た基板上に作製してその後に造形物を他の好ましい基板
に転写することにより、成膜温度に高温が必要な材料を
耐熱温度が低い基板上に作製することを可能にし、さら
に、特殊な基板上にのみ成膜できる造形物を他の基板に
作製することを可能にするとともに、大面積なものであ
っても均一性の良い良好なデバイスを得ることができ
る。
【0013】造形物と第一の基板との間に介在させる易
剥離層として、アルミナとジルコニアをそれぞれ主成分
とする層を積層した積層構造体、あるいは密着強度が5
gf/mm2 〜200gf/mm2 である易剥離層を用
いることにより、造形物を第二の基板に転写した後に不
要な第一の基板を簡便に造形物から剥離でき、特性の良
好なデバイスを作製することができる。
【0014】本発明のデバイス製造方法は、液体噴射ヘ
ッド、マイクロホン、発音体(スピーカーなど)、各種
振動子や発振子、さらには各種のセンサーに用いられる
ユニモルフ型やバイモルフ型等の屈曲変位を発生させる
タイプの圧電膜型素子(圧電膜型アクチュエータ)を作
製するのに好適でかつ新規な製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0016】図1は、本発明のデバイス製造方法の主要
工程を示す工程図であり、図2は、本発明のデバイス製
造方法により作製されるデバイスを適用した液体噴射ヘ
ッドの概略的な断面図である。
【0017】本発明のデバイス製造方法は、第一の基板
上に容易に剥離可能な易剥離層を介して形成された造形
物を他の第二の基板に転写する点に特徴を有するもので
ある。すなわち、本発明のデバイス製造方法は、図1の
(a)に示すように、第一の基板1上に容易に剥離する
ことができる易剥離層2を設け、その易剥離層2上に、
電極4を介してあるいは電極4を設けることなく、造形
物3を作製し、次いで、同図(b)に示すように、第一
の基板1上に作製された造形物3に第二の基板5を接合
し、その後に、同図(c)に示すように、易剥離層2か
ら第一の基板1を剥離して、同図(d)に示すように、
造形物3を第二の基板5に転写し、第二の基板5上に造
形物3を備えるデバイス(アクチュエータ)を作製する
各工程から構成されている。
【0018】本発明のデバイス製造方法で用いられる第
一の基板1は、圧電膜等の造形物3の作成温度や成膜温
度に充分に耐えることができる基板を用い、好ましく
は、耐熱温度が1000℃〜1600℃のセラミックス
である。例えば、アルミナ、ジルコニア、マグネシア等
が用いられる。第一の基板1の厚みは、0.1mm〜
2.5mmが良く、好ましくは、0.2mm〜1.2m
mである。
【0019】この第一の基板1上に造形物3を作製する
方法としては、焼結法、スパッタリング法、ゾルゲル
法、水熱法等があるが、造形物3としての圧電膜を形成
する際には、焼結法、スパッタ法が好適である。そし
て、上記方法で成膜する圧電膜をパターニングする方法
としては、ウェットエッチング、ドライエッチング、レ
ジストリフトオフ等が用いられる。第一の基板1上に成
膜される圧電膜3の膜厚としては、0.8μm〜50μ
m、好ましくは、1.0μm〜25μmである。圧電膜
3の膜厚が0.8μm未満では、アクチュエータとして
の変位力に劣り、基板を変位させる十分な力を出せな
い。また、膜厚が50μmを超えると、圧電膜自身の剛
性が大きくなり、変位量を大きくできなくなるために好
ましくない。
【0020】造形物3としての圧電膜の材料は、チタン
酸ジルコン酸鉛、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛、マグ
ネシウム酸ニオブ酸鉛等がある。これらの材料に微量の
ドーパントを添加させても良い。ドーパントとしては、
WO3 とGeO2 、Tl2 3 、ThO2 、Rh23
とFe23 、Rh23 とIn23 等が好ましい。
その添加量としては、0.1wt%〜20wt%であ
り、好ましくは、0.2wt%〜8wt%である。
【0021】第一の基板1上に予め設けられる易剥離層
2は、造形物3を第二の基板5に接合した後に第一の基
板1を剥離する際に容易に剥離することができるように
形成するものであり、易剥離層2の第一の基板1に対す
る密着強度は、5gf/mm 2 〜200gf/mm2
好ましい。易剥離層2の密着強度が5gf/mm2 未満
では、その上に電極4や圧電膜等の造形物3を成膜して
パターニングする際に易剥離層2が剥離してしまうとい
う問題が生じ、また、密着強度が200gf/mm2
超えると第一の基板1を剥離する時に剥離しにくくなり
好ましくない。この密着強度は引っ張り試験機を用いて
測定することができる。易剥離層2の全体の膜厚は、
0.05μm〜30μmが好ましく、より好ましくは、
0.5μm〜15μmである。
【0022】このような易剥離層2は、主成分がアルミ
ナの層と主成分がジルコニアの層が少なくとも1層づつ
ある層構成として形成できる。この易剥離層2は、第一
の基板1上に主成分がアルミナあるいはジルコニアの層
を設けた後に、その上にさらに別の層を設けることで作
製される。アルミナ層とジルコニア層のどちらか一方に
異種のセラミックスを混合してもよい。このような主成
分がアルミナの層と主成分がジルコニアの層からなる積
層膜においては、加熱処理されても、これらのそれぞれ
の層は互いに焼結せず強固な膜とならずに容易に剥離で
きる易剥離層となる。
【0023】易剥離層2の成膜方法としては、焼結法、
スパッタ法、ゾルゲル法、水熱法等がある。焼結法やゾ
ルゲル法は、膜強度を制御するために成膜時に高分子材
料を含有させて気孔率を制御することができ、成膜法と
しては望ましい方法である。また、焼結法やゾルゲル法
で成膜する場合の塗布方法としては、スピンコート、ス
クリーン印刷、ブレードコート、ディップコート等の方
法を用いることができる。易剥離層を焼結法あるいはゾ
ルゲル法で成膜する場合、各層を塗布し順次加熱処理を
行っても良いし、全層を塗布した後加熱処理を行っても
良い。作業工程上は後者が望ましいが、その場合、各層
の塗布液の安定pH領域が異なる液を用いることが、層
構成が明確に分離した状態で成膜されるために好まし
い。
【0024】また、焼結法やゾルゲル法で易剥離層を成
膜する場合、第一の基板1の表面平滑性は、Raが0.
05μm〜1.5μmであることが望ましく、より好ま
しくは、0.1μm〜0.5μmである。Raが0.0
5μm未満の場合にはゾル液あるいはペーストの濡れ性
が不良となり膜厚の制御が困難になり、Raが1.5μ
mを超えると易剥離層の表面平滑性が不良となり、デバ
イスを大面積化する場合に素子のばらつきが大きくな
る。
【0025】第一の基板1上に成膜された易剥離層2の
上には、後にデバイスの電極層となる電極4を作製す
る。電極4の材料としては、金属や金属酸化物を用いる
ことができる。金属としては、例えば、白金、イリジウ
ム、金、アルミニウム、銅等が用いられ、金属酸化物と
しては、例えば、LaNiO3 、LaCrO3 、SrR
uO3 、La1-x Srx CoO3 、La1-x-y Srx
y RuO3 、La1-xSrx TiO3 、Nb1-x Srx
TiO3 等の酸化物である。そして、この電極4上に
前述した造形物3が作製される。なお、電極4は、易剥
離層2の上に形成することなく、後の工程として造形物
3を第二の基板5に転写した後に造形物3の上に形成す
ることもできる。
【0026】次に、造形物3としての圧電膜を接合する
第二の基板5に関して説明する。第二の基板5は、圧電
膜等の造形物3の作成温度や成膜温度には耐久性がない
基板であってもよく、デバイスのために加工し易くかつ
大面積(例えば、76mm(3インチ)以上の大きさ)
が得られる基板が好ましい。また、デバイスを液体噴射
ヘッドに用いる際には、液室の一部を形成するためにヤ
ング率が30Gpa以上で300Gpa以下の基板が好
ましい。このような基板としては、例えば、Si基板、
SUS基板、Ti基板等であるが、好ましくは、Si基
板である。Siの結晶方位は、(100)、(10
1)、(111)等であるが、好ましくは(101)の
結晶方位のものである。結晶方位が(101)であるS
i基板は、ウェットエッチングにより矩形状の加工がし
易いため、液体噴射ヘッドに好適である。また、第二の
基板5の厚みとしては、150μm〜900μmが好適
である。厚みが150μm未満のものでは、製造上ハン
ドリングし難いことにより好ましくない。また、厚みが
900μmを超えるものでは、エッチング等の加工に時
間がかかりすぎ、好ましくない。なお、上述したSi基
板には、SOI基板やSOS基板などの異種の層が構成
上含まれたSi基板も含まれる。
【0027】造形物(圧電膜)3と第二の基板5との接
合方法としては、拡散接合、活性金属法、圧接などの接
合方法を採ることができる。好ましくは、活性金属法で
あり、用いる金属としては、In、Pd、Au、Cr、
Ni、Cu、Sn、Mo、Ti、Zr、Ag等の金属を
用いることができる。接合時の温度は80℃〜500℃
で、より好ましくは、100℃〜300℃である。ま
た、加圧は0.5kg/mm2 〜20kg/mm2 であ
り、好ましくは0.8kg/mm2 〜5kg/mm2
ある。例えば、PdとInの組み合わせを用いて接合す
る際には、図1の(b)に示すように、圧電膜3と第二
の基板5の両接合面に、PdとInをそれぞれ単層成膜
し、または、両接合面にIn/Pdの積層を形成し、さ
らにまた、一方の面にIn、他方の面にIn/Pdの積
層を形成して、接合層6a、6bとして、これらの接合
層を当接させて、200℃付近に加圧下加熱することに
よって、PdIn3 の合金を形成して接合層7とするこ
とができ、低温で両者を接合することができる。このよ
うに、各接合層6a、6bは、加熱および加圧による接
合によって一体の接合層7となり、実質的に界面が判別
できない状態となる(図1の(c)参照)。
【0028】造形物(圧電膜)3と第二の基板5を接合
した後に、図1の(c)に示すように、造形物3(およ
び電極4)から第一の基板1を剥離する。第一の基板1
を剥離する方法としては、機械的な応力を利用して易剥
離層2を破壊して剥離する方法や、ウォータージェット
の如く水力を利用して易剥離層2を破壊して剥離する方
法等がある。図1の(c)は、第二の基板5に接合され
た造形物(圧電膜)3および電極4から第一の基板1を
剥離する状態を示す。
【0029】以上のようにして、図1の(d)に示すよ
うに、第二の基板5上に造形物(圧電膜)3が形成され
たデバイス(アクチュエータ)が作製される。図1の
(d)に図示するデバイスにおいては、造形物(圧電
膜)3の上には上部電極4が設けられており、また、造
形物(圧電膜)3の下方に位置する(金属)接合層7を
下部電極として利用することもできる。
【0030】以上のように、本発明のデバイス製造方法
は、第一の基板上に少なくともアルミナが主成分の層と
ジルコニアが主成分の層を含む易剥離層を介して作製し
た造形物に第二の基板を接合し、造形物の作製時に使用
した第一の基板を易剥離層を利用して造形物から容易に
剥離して、造形物を第二の基板に転写するものであり、
高温でのみ作製可能な造形物を高温に耐えられない基板
上で使用したい場合や特殊な基板上にのみ成膜できる造
形物を他の基板上で使用したい場合に、特に有効なデバ
イス製造方法である。そして、例えば、液体噴射ヘッ
ド、マイクロホン、発音体(スピーカーなど)、各種振
動子や発振子、さらには加速度センサー、圧力センサ
ー、振動センサー、角速度センサー等の各種のセンサー
に用いられるユニモルフ型やバイモルフ型等の屈曲変位
を発生させるタイプの圧電膜型素子(圧電膜型アクチュ
エータ)を作製するのに好適な製造方法である。
【0031】また、前述したデバイスを液体噴射ヘッド
に用いる場合には、図2に示すように、金属接合層7を
介して圧電膜3が配設された第二の基板5は、振動板1
1と基板部12に区分され、基板部12には一部エッチ
ングされて液室(圧力室)13が形成される。なお、圧
電膜3の上には上部電極4が設けられており、金属接合
層7を下部電極として利用する。そして、液吐出口15
を有するノズルプレート14を液吐出口15が液室13
に対応するように接合することにより液体噴射ヘッドを
得ることができる。また、前述した実施例では、振動板
11と基板部12は一体の第二の基板5として説明した
が、振動板11と基板部12をそれぞれ別部材として構
成し、第二の基板5を振動板11とし、液室13を形成
する基板部12を振動板11に適宜接合することもでき
る。
【0032】本発明のデバイス製造方法により作製され
る液体噴射ヘッドは、ユニモルフ型のベンダー型ヘッド
を容易に安定して得ることができるが、第二の基板をシ
ムとして利用し第二の基板の両側に圧電膜を接合してバ
イモルフ型の液体噴射ヘッドを作製しても良い。
【0033】次に、本発明のデバイス製造方法の詳細に
ついて、具体的な実施例を挙げて、図1および図2を参
照しながら、さらに説明する。なお、以下の説明におい
て括弧内の符号は図1および図2に示す部材の符号であ
る。
【0034】(実施例1)第一の基板(1)として、表
面平滑度Raが0.2μmのアルミナ基板(厚み300
μm)を用い、アルミナ基板(1)上に、ジルコニアゾ
ル(日産化学製、NSZ−30B、PH=10)とアル
ミナゾル(日産化学製、520、PH=4.5)を順次
2000rpmでスピン塗布した後、1000℃のマッ
フル炉で2時間焼成した。このようにして易剥離層
(2)を成膜した。この易剥離層(2)の膜厚は、ジル
コニア層が1.2μm、アルミナ層が1.1μmであっ
た。なお、この易剥離層(2)の密着強度は、引っ張り
試験機(東洋精機製、テンシロン)で測定したところ、
50gf/mm2 であった。
【0035】次いで、上記と同様に別途作成した易剥離
層(2)の上に5μm厚の白金層をペースト塗布して焼
成し、電極(4)を形成した。この電極(4)の上にポ
ジレジストにより造形物(3)としての圧電膜のペース
トを埋め込むレジストパターンを作成した。アルカリ液
でエッチング除去された素子部のサイズを幅100μ
m、長さ2.5mm、レジストの高さは15μmとし
た。素子部の数は80本、レジスト除去部の間隔(素子
間隔)は50μmとした。これに主成分としてチタン酸
ジルコン酸鉛の粒子が分散されドーパントとして3.0
wt%のWO3 と0.2wt%のGeO2 を添加したペ
ーストを塗布し、レジストのエッチングされた部分にペ
ーストを均一に埋めた。これをマッフル炉内で400℃
で30分仮焼し、その後、昇温速度250℃/時間で昇
温し、1150℃で1時間保持して圧電膜の焼成を行っ
た。そして、室温下まで冷却して取り出したところ、レ
ジストのパターンに沿って造形物としての圧電膜(3)
のパターンが形成されていた。この圧電膜(3)の形状
は、幅88μm、長さ2.3mmであり、素子ごとのサ
イズはほぼ均一であった。圧電膜(3)の高さは11μ
m〜12μmであり、圧電膜(3)の厚みムラをなくす
ために、研磨を行い、一定厚み(8μm)の圧電膜
(3)にした。
【0036】この圧電膜(3)のパターン体の間に樹脂
を埋め込んだ後、室温下で、100nm厚みの鉛、50
nm厚みのCr、200nm厚みの金を順次スパッタ成
膜し、その後に樹脂を有機溶剤で除去することにより、
圧電膜(3)上にのみ、鉛/Cr/金の金属層(接合層
6a)を成膜した。また、第二の基板(5)としてSi
基板(厚み400μm)を用い、このSi基板(5)上
に250nm厚の金層(接合層6b)をスパッタ成膜し
た。
【0037】そして、圧電膜(3)上に成膜した鉛/C
r/金の金属層(接合層6a)とSi基板(5)上の金
層(接合層6b)とを金同士が接するように当接させ
て、真空下で1.5時間、150℃に加熱・加圧(1.
5kg/mm2 )して、圧電膜(3)をSi基板(5)
に接合した。その後、室温下で取り出し、Si基板
(5)を保持する冶具で固定し、アルミナ基板(1)側
の5箇所に金属爪をかけて引っ張ったところ、容易に易
剥離層(2)が破壊されてアルミナ基板(1)が剥離さ
れ、Si基板(5)上に圧電膜(3)のパターンが残さ
れており、圧電膜(3)および電極(4)上には、易剥
離層(2)のアルミナ層とジルコニア層が一部残ってい
た。これを研磨洗浄除去して、白金層(電極4)を露出
させた。以上のようにして、図1の(d)に図示するよ
うなデバイスを作製した。
【0038】その後に、図2に示すように、第二の基板
としてのSi基板(5)の圧電膜(3)の反対面側から
ドライエッチングにより、各圧電膜(3)の下部に幅1
10μm、長さ2mmの圧力室(液室)(13)を形成
した。圧電膜(3)の下部のSiは6μm残し、これを
振動板(11)とした。Si基板(5)上の接合層
(7)として利用した金層と圧電膜(3)上の白金
(4)を電極として、圧電膜(3)の電圧をかけ、レー
ザードップラー計でその変位量を測定した。
【0039】周波数1kHzから10kHzまで5Vか
ら25Vの矩形波をかけたところ、1kHzでは0.5
2μmの変位、10kHzで0.23μmの変位を測定
し、液体噴射ヘッドとして液滴を吐出させるに十分な変
位量を確認した。素子ごとの変位量のばらつきは1kH
zで駆動させた場合で、±3.8%であった。
【0040】これに25μmΦのノズル(液吐出口)を
開けたSi基板と液流路を形成した2枚のSUS基板を
重ね、ノズル部が圧力室の端部にくるよう貼り合わせ、
液体噴射ヘッドを得た。この液体噴射ヘッドにおいて、
1kHzで液体を吐出させると、約50plの液滴を1
3m/sの速度で吐出させることができた。
【0041】(実施例2)圧電膜(3)の厚みを4μm
とした以外は、前述した実施例1と同様にして、第一の
基板としてのアルミナ基板(1)上に圧電膜(3)のパ
ターニング体を作成し、第二の基板としての厚み20μ
mのTi基板(5)の両側から圧電膜(3)を同時に接
合した。その後、アルミナ基板(1)を易剥離層(2)
を介して剥離し、圧電膜(3)上の易剥離層(2)を研
磨洗浄除去し、バイモルフタイプのデバイス(アクチュ
エータ)を得た。Ti基板(5)を電極として利用し、
両側の圧電膜(3)には同じ電位を負荷させ、実施例1
と同様の方法で変位量をレーザードップラー変位計で測
定したところ、1kHzで1.12μm、10kHzで
は0.43μmの変位量を測定した。
【0042】上述した実施例で用いている振動板材料
は、SiとTiであり、これらの材料の耐熱性はそれぞ
れ700℃および600℃であり、耐熱性が低い。しか
しながら、本発明のデバイス製造方法により、これらの
耐熱性の低いSiやTiをデバイス(アクチュエータ)
の基板として用いることができる。
【0043】また、上述した実施例における易剥離層の
層構成は、2層としたが、さらに、3〜10層の多重層
構造にしても良い。それは、基板面積の拡大を図る場
合、表面平滑性が得にくくなり、より低濃度のゾル液で
多層塗布することにより、良好な表面平滑性を得ること
ができるからである。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のデバイス
製造方法によれば、成膜温度に高温が必要な材料からな
る造形物を容易に剥離可能な易剥離層が成膜された基板
上に作製し、その後に造形物を他の好ましい基板に転写
することにより、成膜温度に高温が必要な材料を耐熱温
度が低い基板上に作製することを可能にし、また、特殊
な基板上にのみ成膜できる造形物を他の基板に作製する
ことを可能にするとともに、デバイスが大面積なもので
あっても均一性の良い良好なデバイスを得ることができ
る。
【0045】さらに、造形物と基板との間に、アルミナ
とジルコニアをそれぞれ主成分とする層を積層した容易
に剥離可能な易剥離層あるいは密着強度が5gf/mm
2 〜200gf/mm2 である易剥離層を介在させるこ
とにより、基板を簡便に造形物から剥離でき、従来のよ
うにエッチング除去等によって基板を剥離する必要がな
く、デバイスにエッチャントによる悪作用が起こらず、
特性の良好なデバイスを作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のデバイス製造方法の主要工程を示す工
程図である。
【図2】本発明のデバイス製造方法により作製されるデ
バイスを適用した液体噴射ヘッドの概略的な断面図であ
る。
【符号の説明】
1 第一の基板 2 易剥離層 3 造形物(圧電膜) 4 電極 5 第二の基板 6a、6b 接合層 7 接合層(下部電極) 11 振動板 12 基板部 13 液室(圧力室) 14 ノズルプレート 15 液吐出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 香川 豊 東京都立川市柴崎町4丁目6番33号

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一の基板上に形成した造形物に第二の
    基板を接合し、第一の基板を造形物から剥離して、造形
    物を第二の基板に転写することにより、デバイスを作製
    するデバイス製造方法であって、第一の基板と造形物の
    間に2種類以上のセラミックスで容易に剥離可能な易剥
    離層が設けられており、前記易剥離層が少なくともアル
    ミナが主成分の層とジルコニアが主成分の層を含むこと
    を特徴とするデバイス製造方法。
  2. 【請求項2】 第一の基板上に形成した造形物に第二の
    基板を接合し、第一の基板を造形物から剥離して、造形
    物を第二の基板に転写することにより、デバイスを作製
    するデバイス製造方法であって、第一の基板と造形物の
    間に容易に剥離可能な易剥離層が設けられており、易剥
    離層と第一の基板との密着強度が5gf/mm2 〜20
    0gf/mm2 であることを特徴とするデバイス製造方
    法。
  3. 【請求項3】 第一の基板がセラミックス基板であり、
    第二の基板がSiまたはTi基板であることを特徴とす
    る請求項1または2記載のデバイス製造方法。
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