JP6043259B2 - 画像形成方法 - Google Patents
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Description
インクジェット方式は、印刷装置が安価であり、かつ、印刷時に版を必要とせず、必要とされる画像部のみにインク組成物を吐出し被記録基材上に直接画像形成を行うため、インク組成物を効率良く使用でき、特に小ロット生産の場合にランニングコストが安い。更に、騒音が少なく、画像記録方式として優れており、近年注目を浴びている。
シャトル方式とは、短尺のシリアルヘッドを用い、ヘッドを基材の幅方向に走査させながら記録を行う方式である。この方式によれば、必要な吐出口の数が少なく、ヘッドを小さくできるため、低価格で装置を提供できるという利点があるが、装置の生産性が低いという欠点がある。
シングルパス方式とは、基材の全域をカバーするフルラインヘッドを用いて、上記フルラインヘッドと基材とを相対的に一回だけ移動させる動作で、基材の全面に画像を形成する方式である。この方式によれば、上記シャトル方式による装置と比較して装置が高価格になるという欠点があるが、装置の生産性が高いという利点がある。
また特許文献2には、吐出口を2次元マトリクス状に配置したヘッドをシングルパス方式のヘッドとして使用する画像形成装置が記載されており、液滴を吐出する複数のノズルが二次元配列された吐出面を有する液体吐出ヘッド、又は液滴を吐出する複数のノズルを備えた複数個のヘッドモジュールが千鳥状に配置された液体吐出ヘッドと、上記液体吐出ヘッドの上記ノズルから吐出された液滴を付着させる記録媒体を搬送する搬送手段と、上記搬送手段を支持する本体フレームと、上記本体フレームに対して上記液体吐出ヘッドを移動可能に支持するヘッド移動手段と、上記移動可能な上記液体吐出ヘッドを上記記録媒体への液滴吐出位置で上記本体フレームに固定するヘッド固定手段と、を備え、上記ヘッド固定手段は、上記搬送手段による上記記録媒体の搬送方向に対して直交する上記記録媒体の幅方向に上記液体吐出ヘッドを付勢するヘッド固定用の与圧付与手段を有し、上記ヘッド固定用の与圧付与手段のばね定数と上記液体吐出ヘッドの質量から規定される共振周波数が、上記液体吐出ヘッドのノズル配列における上記搬送方向のノズル間距離のうち、上記記録媒体上の上記幅方向に隣接するドットを形成するノズル並びの繋ぎ部に該当するノズル対の上記搬送方向の空間距離と、上記記録媒体の搬送時における上記搬送手段と上記液体吐出ヘッドの上記幅方向の相対振動周波数と、上記搬送手段による上記記録媒体の搬送速度と、に依存する振動ピッチの周波数成分と異なるように構成されることを特徴とする画像形成装置が記載されている。
しかし、上記画像形成方法によれば、特に、小さな液滴を吐出する際に、液滴のサイズが吐出口間でばらつくことによって、画像中に周期的なスジ状のムラ(以下、単に「スジムラ」ともいう。)が発生するという問題点がある。
そこで、液滴のサイズを揃えるため、比較的大きな液滴のみを用いて画像を形成した場合、スジムラの発生は抑えられるが、画像の粒状性が強くなってしまう。
以上のように、マトリックスヘッドを用い、非浸透媒体上に画像を形成する場合、粒状性の低減とスジムラの低減を両立するのは困難である。
<1>非浸透媒体上に、2以上のインクジェットヘッドから、それぞれ色相の異なる紫外線硬化型インク組成物を吐出する吐出工程と、吐出された上記インク組成物を、各色のインク組成物の吐出終了ごとに紫外線照射により半硬化する工程と、酸素濃度1体積%以下の雰囲気において紫外線を照射して上記インク組成物を完全硬化する工程と、をこの順で含み、上記インクジェットヘッドは、複数の吐出口を有するノズルプレートを備え、上記複数の吐出口が、上記非浸透媒体の進行方向に対して4×4以上の2次元マトリックス状に配列され、配列された上記複数の吐出口の密度は600npi以上であり、上記インクジェットヘッドはシングルパス方式であり、吐出される上記インク組成物の液量が10pl〜20plであり、上記吐出工程において、少なくともマゼンタインク、ライトマゼンタインク、シアンインク、及び、ライトシアンインクの4色のインク組成物を吐出することを特徴とする画像形成方法、
<2>印刷速度が20m/min以上である、<1>に記載の画像形成方法、
<3>上記非浸透媒体上に下塗り液を付与する下塗り工程と、上記下塗り液を紫外線照射により半硬化させる下塗り液半硬化工程と、半硬化された上記下塗り液上に上記インク組成物を吐出する吐出工程と、をこの順で含む、<1>又は<2>に記載の画像形成方法、
<4>上記非浸透媒体が、全膜厚が10μm〜90μmであり、かつ、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム及びナイロンフィルムよりなる群から選択された1又は2以上の樹脂フィルムを含む、単層又は積層の基材である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の画像形成方法、
<5>パッケージ印刷用である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の画像形成方法、
<6>上記インク組成物を完全硬化する工程における紫外線光源が、UV−LED、及び/又は、UV−LDである、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の画像形成方法、
<7>上記インクジェットヘッドは、上記複数の吐出口のそれぞれと連通する複数の圧力室と、上記複数の圧力室のそれぞれにインク組成物を供給する複数のインク供給口と、上記複数のインク供給口にインク組成物を供給する共通液室と、上記複数の圧力室のそれぞれを変形する複数の圧力発生手段と、を備える<1>〜<6>のいずれか1つに記載の画像形成方法、
<8>上記インクジェットヘッドが、上記共通液室を貫通するように配設され、かつ、上記圧力発生手段に駆動信号を供給する電気配線を更に備える、<7>に記載の画像形成方法、
<9>上記インクジェットヘッドが備える、上記圧力室及び上記共通液室が、上記圧力発生手段の反対側に配置されている、<7>又は<8>に記載の画像形成方法。
また、本発明の画像形成方法において、上記インクジェットヘッドは、複数の吐出口を有するノズルプレートを備え、上記複数の吐出口が、上記非浸透媒体の進行方向に対して4×4以上の2次元マトリックス状に配列され、配列された上記複数の吐出口の密度は600npi以上であり、上記インクジェットヘッドはシングルパス方式であり、吐出される上記インク組成物の液量が10pl〜20plであり、上記吐出工程において、少なくともマゼンタインク、ライトマゼンタインク、シアンインク、及び、ライトシアンインクの4色のインク組成物を吐出することを特徴とする(以下、ライトマゼンタインク及びライトシアンインクをまとめて、単に「ライトインク」ともいう。)。
インク吐出工程では、非浸透媒体上に、2以上のインクジェットヘッドから、それぞれ色相の異なる紫外線硬化型インク組成物(以下、単に「インク」、「インク組成物」ともいう。)を吐出して画像を形成する。本工程では、非浸透媒体上に画像状にインク組成物を付与でき、所望の可視画像を形成できる。
本発明における非浸透媒体とは、実質的に液滴が浸透しない基材をいう。「実質的に液滴が浸透しない」とは、例えば、1分後の液滴の浸透率が5%以下であることをいう。
上記合成樹脂としては、公知の合成樹脂を制限なく使用することができるが、例えば、ポリ塩化ビニル;ポリスチレン;ポリウレタン;ポリエチレン、及び、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、及び、ポリブタジエンテレフタレート等のポリエステル;ナイロン等のポリアミド;並びに、アクリル樹脂、ポリカーボネート、及び、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等や、ジアセテート、トリアセテート、ポリイミド、セロハン、及び、セルロイド等が挙げられる。
ポリエチレンテレフタレートフィルムは炭化水素系の有機化合物に対するバリア性が高いため、ナイロンフィルムは強度、耐熱性、耐寒性、及び、耐ピンホール性などに優れているため、また、ポリエチレンフィルム、及び、二軸延伸ポリプロピレンフィルムはヒートシール性が高いため、それぞれ好適である。また、上記フィルムを基材に積層することにより、基材にこれらの特性を与えることも可能である。
樹脂フィルムの積層方法としては、公知の方法を特に制限なく使用することができ、ドライラミネ−ション、押出コーティング、共押出コーティングが例示できる。
本発明で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でもよい。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)が例示できるが、いずれの吐出方式を用いてもよい。なお、上記インクジェット法により記録を行う際に使用する吐出口等については特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
また、本発明における画像形成方法では2以上のインクジェットヘッドを使用する。
本発明における画像形成方法に用いられるインクジェットヘッドは、複数の吐出口を有するノズルプレートを備える。図1は、インクジェットヘッドの内部構造の一例を示す概略断面図である。
また、配列された上記複数の吐出口の密度は600npi以上であり、1,200npi以上であることが好ましい。なお、本発明でいうnpiとは、2.54cmあたりのノズル数を表す。
図3に示したように、インクジェットヘッド550は、インク吐出口であるノズル551、各ノズルに対応する圧力室552、及び、インク供給口553からなる複数のインク室ユニット554を2次元マトリックス状に配置させた構造を有している。また、図中の424は基材である。
図4に示したように、主走査方向Mに対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿ってインク室ユニットを配置することにより、主走査方向に沿って並ぶように投影(正射影)される実質的なノズル間隔Pは、副走査方向の隣接ノズル間隔をLsとするとき、P=Ls/tanθで表すことができる。すなわち、インク室ユニットを2次元マトリックス状に配置することにより、実質的な吐出口の密度を高密度化することができる。本発明における吐出口の密度とは、上記の実質的な吐出口の密度をいう。
また、本発明で用いるインクジェットヘッドはシングルパス方式である。インクジェットヘッドとしては、短尺のシリアルヘッドを用い、ヘッドを基材の幅方向に走査させながら記録を行うシャトル方式と、基材の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているラインヘッドを用いたライン方式(シングルパス方式)とがあるが、本発明ではシングルパス方式のインクジェットヘッドを使用する。シングルパス方式とは、基材の全域をカバーするフルラインヘッドを用いて、上記フルラインヘッドと基材とを相対的に一回だけ移動させる動作で、基材の全面に画像を形成する態様である。このようなシングルパス方式の例としては、特開2005−96443号公報、特開2005−280346号公報に記載がある。つまり、シングルパス方式では、フルラインヘッドの素子配列方向と直交する方向に基材を走査させることで基材の全面に画像記録を行うことができ、短尺ヘッドを走査するキャリッジ等の搬送系が不要となる。また、キャリッジの移動と基材との複雑な走査制御が不要になり、基材だけが移動するので、シャトル方式に比べて記録速度の高速化が実現できる。本発明の画像形成方法は、これらのいずれにも適用可能である。
本発明におけるインクジェットヘッドは、複数の吐出口のそれぞれと連通する複数の圧力室と、上記複数の圧力室のそれぞれにインク組成物を供給する複数のインク供給口と、上記複数のインク供給口にインク組成物を供給する共通液室と、上記複数の圧力室のそれぞれを変形する複数の圧力発生手段とを備えることが好ましい。
このように、複数の吐出口にインクを多量に供給することが可能である
図5に示すように、インクジェットヘッド550は、ノズル551が形成されたノズルプレート551Aと圧力室552や共通液室555等の流路が形成された流路板552P等を積層接合した構造からなる。ノズルプレート551Aは、インクジェットヘッド550のノズル面(インク吐出面)550Aを構成し、各圧力室552にそれぞれ連通する複数のノズル551が2次元的に形成されている。
また、本発明におけるインクジェットヘッドは、上記共通液室を貫通するように配設され、かつ、上記圧力発生手段に駆動信号を供給する電気配線を更に備えることが好ましい。
吐出口密度の高密度化のため、圧力室を変形する圧力発生手段の電極(個別電極)に駆動信号を供給する電気配線を、各個別電極から垂直に立ち上げて共通液室中を貫通するようにして上部のフレキシブルケーブル等の配線へと接続することができる。
この電気配線190の上には多層フレキシブルケーブル192が配置され、これらの配線を介して駆動信号を圧電素子558の個別電極557に供給することができる。
上記構成の一例を、図7中の一点鎖線、9−9線に沿った断面図として図8に記載した。
本発明で用いられる紫外線硬化型インク組成物としては、特に限定されず、公知の紫外線硬化型インク組成物を使用することができる。
本発明で用いられる紫外線硬化型インク組成物としては、重合性化合物、重合開始剤、界面活性剤、重合禁止剤、着色剤、分散剤を含むことが好ましい。
本発明のインク組成物は、重合性化合物を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる重合性化合物は、付加重合性化合物であることが好ましく、ラジカル重合性化合物又はカチオン重合性化合物であることがより好ましい。
また、本発明に用いることができる重合性化合物は、1種単独で用いても、2種以上を用いてもよく、また、例えば、ラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物とを併用してもよい。これらの中でも、ラジカル重合性化合物を使用することが好ましい。
ラジカル重合性化合物としては、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特開平9−80675号等の各公報に記載されている光重合性組成物を用いた光硬化型材料が知られている。
本発明に用いることができるラジカル重合性化合物としては、ビニル基、(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、及び、N−ビニル基よりなる群から選択されたエチレン性不飽和二重結合基を有するラジカル重合性モノマーを好ましく例示できる。
本発明のインク組成物は、硬化性の観点から(メタ)アクリレート化合物を含有することが好ましい。
(メタ)アクリレート化合物は、分子量が1,000以下の低分子であることが好ましく、分子量200〜750であることが好ましい。
(メタ)アクリレート化合物は、メタクリレート化合物及び/又はアクリレート化合物を意味し、アクリレート化合物であることがより好ましい。
(メタ)アクリレート化合物は、多官能(メタ)アクリレート化合物及び単官能(メタ)アクリレート化合物のいずれでもよく、特に限定されないが、多官能(メタ)アクリレート化合物を含有することが好ましい。
本発明に使用するインク組成物は、重合性化合物として、多官能(メタ)アクリレート化合物を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる多官能(メタ)アクリレート化合物は、アクリルオキシ基及びメタクリルオキシ基よりなる群から選択される基を2つ以上有する多官能モノマーである。多官能(メタ)アクリレート化合物を含有することで、硬化性に優れ、高い硬化膜強度を有するインク組成物が得られる。
本発明において、インク組成物は、多官能(メタ)アクリレート化合物を含有することが好ましい。
本発明のインク組成物は、単官能(メタ)アクリレート化合物を使用してもよい。単官能(メタ)アクリレート化合物としては、特開2009−221414号公報に記載のラジカル重合性モノマー、特開2009−209289号公報に記載の重合性化合物、特開2009−191183号公報に記載のエチレン性不飽和化合物が例示できる。
中でも、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましく、イソボロニルアクリレート、ラウリルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレートが特に好ましい。
本発明のインク組成物は、上記成分(メタ)アクリレートモノマーの他に、その他の重合性化合物を含有してもよく、上記その他の重合性化合物として、(メタ)アクリルアミド類、N−ビニルラクタム類、ラジカル重合性オリゴマーが例示される。
本発明のインク組成物は、重合性化合物として、(メタ)アクリルアミド類を含有してもよい。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、ビニル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド、N−アリル(メタ)アクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドなどが例示でき、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−2−フェニル)エチル(メタ)アクリルアミド、N−ジフェニルメチル(メタ)アクリルアミド、N−フタルイミドメチル(メタ)アクリルアミド、N−(1,1’−ジメチル−3−(1,2,4−トリアゾール−1−イル))プロピル(メタ)アクリルアミド等用いることが好ましくN,N−ジメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドを用いることが更に好ましい。
本発明に用いられるインク組成物は、重合開始剤を含有することが好ましい。
重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、及び、カチオン重合開始剤が挙げられるが、ラジカル重合開始剤を含有することがより好ましい。
重合開始剤としては、公知の重合開始剤を使用することができる。本発明に用いることができる重合開始剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、ラジカル重合開始剤とカチオン重合開始剤とを併用してもよい。
本発明に用いることのできる重合開始剤は、紫外線を吸収して重合開始種を生成する化合物が好ましい。
本発明における重合開始剤は1種単独又は2種以上の併用によって好適に用いられるが、2種以上を併用することが好ましい。
中でも、ビスアシルホスフィンオキサイド化合物としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドが好ましい。
また、モノアシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドが好ましい。
α−アミノケトン化合物としては、2−メチル−1−フェニル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(ヘキシル)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−エチル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等が挙げられる。
チオクロマノン化合物としては、下記(I−1)〜(I−31)が好ましく挙げられ、(I−14)、(I−17)、及び、(I−19)がより好ましく挙げられ、(I−14)が特に好ましく挙げられる。
本発明における重合開始剤には、特定の紫外線を吸収して重合開始剤の分解を促進させるため、増感剤として機能する化合物(以下、単に「増感剤」ともいう。)を含んでもよい。
増感剤としては、例えば、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン等)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル等)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン等)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン等)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー等)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン等)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン等)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム等)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン等)、ベンゾフェノン類(例えば、ベンゾフェノン等)、チオキサントン類(例えば、イソプロピルチオキサントン等)、チオクロマノン類(例えば、チオクロマノン等)等が挙げられる。
中でも、増感剤としては、チオキサントン類が好ましく、イソプロピルチオキサントンがより好ましい。
また、増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、本発明に用いることができる下塗り液は、下記式(1)又は式(2)で表される化合物を含んでいてもよい。
上記インク組成物は、増感剤として、式(1)で表される化合物を含有することが好ましい。
式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基、又は、ハロゲン原子を表し、上記炭素数1〜5のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよいが、直鎖状又は分岐状であることが好ましく、また、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、炭素数2又は3のアルキル基であることがより好ましく、エチル基又はイソプロピル基であることが更に好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が例示され、塩素原子であることが好ましい。
これらの中でも、R1及びR2はそれぞれ独立にエチル基、イソプロピル基又は塩素原子であることが特に好ましい。
式(1)中、jは0〜4の整数を表し、0〜2であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。jが2以上の整数の場合、複数存在するR1は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
式(1)中、kは0〜3の整数を表し、0〜2であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが更に好ましい。kが2以上の整数の場合、複数存在するR2は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
式(1)中、xは2〜4の整数を表し、3又は4であることが好ましく、4であることがより好ましい。
なお、式(1)において、連結基であるX1を除いたチオキサントン構造(式(1)中、[ ]内に表された構造)を複数(x個)有するが、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、特に限定されない。合成上の観点からは、同一であることが好ましい。
R1の置換位置は、特に限定されないが、6位又は7位であることが好ましく、6位であることがより好ましい。
また、R2の置換位置は、特に限定されないが、1位、2位又は3位であることが好ましく、1位であることがより好ましい。
式(1’)中、R11はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、水素原子、メチル基又はエチル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
式(1’)中、rはそれぞれ独立に1〜6の整数を表し、1〜3の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。また、rが2以上のとき、複数存在するR11はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
x’は2〜4の整数を表し、2又は3であることが好ましく、2であることが更に好ましい。
Y1は少なくともx’個のヒドロキシ基を有するポリヒドロキシ化合物からx’個のヒドロキシ基の水素原子を除いた残基を表し、x’個のヒドロキシ基を有するポリヒドロキシ化合物から全て(x’個)のヒドロキシ基の水素原子を除いた残基であることが好ましい。具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールよりなる群から選択されたポリヒドロキシ化合物からx’個のヒドロキシ基の水素原子を除いた残基であることが好ましく、また、全てのヒドロキシ基の水素原子を除いた残基であることが好ましい。
式(1’)中、A1は下記(i)〜(iii)よりなる群から選択される基を表す。
分子量が500以上であると、硬化膜からの化合物の溶出が抑制され、マイグレーション、臭気及びブロッキングが抑制されたインク組成物が得られる。一方、3,000以下であると、分子の立体障害が少なく、また、分子の液/膜中での自由度が維持され、高い感度が得られる。
なお、式(1)で表される化合物が、炭素数等が異なる複数の化合物の混合物である場合、重量平均分子量が上記の範囲であることが好ましい。
上記の反応は溶媒の存在下で行うことが好ましく、適当な溶媒として、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が例示される。
また、触媒下で行うことが好ましく、触媒としては、スルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸)、無機酸(例えば、硫酸、塩酸、リン酸)、ルイス酸(塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、オルガノチタネート)等が例示できる。
反応温度及び反応時間は特に限定されない。
反応終了後、反応混合物から公知の手段によって単離し、必要に応じて洗浄し、乾燥することによって、生成物を分離することができる。
上記インク組成物は、増感剤として、式(2)で表される化合物を含有することが好ましい。
式(2)中、mは0〜4の整数を表し、0〜2であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。mが2以上の整数の場合、複数存在するR3は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
式(2)中、nは0〜3の整数を表し、0〜2であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが更に好ましい。nが2以上の整数の場合、複数存在するR4は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
式(2)中、yは2〜4の整数を表し、2又は3であることが好ましく、2であることがより好ましい。
なお、式(2)において、連結基であるX2を除いたベンゾフェノン構造(式(2)中、[ ]内に表された構造)を複数(y個)有するが、それらは互いに同一でも異なっていてもよく特に限定されない。合成上の観点からは、同一であることが好ましい。
R3の置換位置は、特に限定されないが、2’位又は3’位であることが好ましく、3’位であることがより好ましい。
また、R4の置換位置は、特に限定されないが、2位、3位又は4位であることが好ましい。
式(2’)中、R21はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、水素原子、メチル基又はエチル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
式(2’)中、tはそれぞれ独立に1〜6の整数を表し、1〜3の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。また、tが2以上のとき、複数存在するR21はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
y’は2〜4の整数を表し、2又は3であることが好ましく、2であることが更に好ましい。
Y2は少なくともy’個のヒドロキシ基を有するポリヒドロキシ化合物からy’個のヒドロキシ基の水素原子を除いた残基を表し、y’個のヒドロキシ基を有するポリヒドロキシ化合物から全て(y’個)のヒドロキシ基の水素原子を除いた残基であることが好ましい。具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールよりなる群から選択されたポリヒドロキシ化合物からy’個のヒドロキシ基の水素原子を除いた残基であることが好ましく、また、全てのヒドロキシ基の水素原子を除いた残基であることが好ましい。
式(2’)中、A2は下記式(i)〜式(iii)よりなる群から選択される基を表す。
分子量が500以上であると、硬化膜からの化合物の溶出が抑制され、マイグレーション、臭気及びブロッキングが抑制されたインク組成物が得られる。一方、3,000以下であると、分子の立体障害が少なく、また、分子の液/膜中での自由度が維持され、高い感度が得られる。
なお、式(2)で表される化合物が、炭素数等が異なる複数の化合物の混合物である場合、重量平均分子量が上記の範囲であることが好ましい。
また、触媒下で行うことが好ましく、触媒としては、スルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸)、無機酸(例えば、硫酸、塩酸、リン酸)、ルイス酸(塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、オルガノチタネート)等が例示できる。
反応温度及び反応時間は特に限定されない。
また、式(2)で表される化合物としては、式(2−1)で表される化合物がより好ましい。
また、重合開始剤と、それらと併用される重合性化合物との含有比(質量比)としては、それぞれ、重合開始剤:重合性化合物=0.5:100〜30:100であることが好ましく、1:100〜15:100であることがより好ましく、2:100〜15:100であることが更に好ましい。
本発明に用いられるインク組成物は、界面活性剤を含有することが好ましい。
上記界面活性剤としては、シリコン系界面活性剤又はアセチレングリコール系界面活性剤が好ましく、シリコン系界面活性剤又はアセチレングリコール系界面活性剤のいずれか一方を含有していても、両方を含有していてもよい。
また、本発明のインク組成物は、表面張力調整剤を1種単独で含有していても、2種以上含有していてもよい。
また、シリコン系界面活性剤としては、広く市販品が使用でき、例えばBYK307、322、323、331、333、347、348、349、377、378、UV3510、3570、(ビックケミー社製)、KF351、352、353、354、355、412、413、414、618、945、8012、865、6001、6002(信越シリコン(株)製)、TSF4440、4460、4700、4701、4421(GE東芝シリコン(株)製)、などが挙げられる。
また、本発明のラジカル重合性組成物は、保存性、及び、ヘッド詰まりの抑制という観点から、重合禁止剤を含有することが好ましい。
重合禁止剤の含有量は、インク組成物の全質量に対し、0.01〜5質量%であることが好ましく、0.1〜2質量%であることがより好ましい。
また、本発明のインク組成物は、重合禁止剤を1種単独で含有していても、2種以上含有していてもよい。
重合禁止剤としては、ニトロソ系重合禁止剤や、ヒンダードアミン系重合禁止剤、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl等が挙げられる。これらの中でも、ニトロソ系重合禁止剤が好ましく、1−ニトロソ−2−ナフトール、2−ニトロソ−1−ナフトール、ニトロソベンゼン、トリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシアミン)アンモニウム塩等が挙げられ、トリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシアミン)アンモニウム塩が特に好適である。
また、本発明のインク組成物を着色インク組成物として使用する場合には、以下の着色剤を含有することが好ましい。
本発明に用いることができる着色剤としては、特に制限はないが、耐候性に優れ、色再現性に富んだ顔料及び油溶性染料が好ましく、溶解性染料等の公知の着色剤から任意に選択して使用することができる。本発明において好適に使用し得る着色剤は、活性放射線による硬化反応の感度を低下させないという観点からは、硬化反応である重合反応において重合禁止剤として機能しない化合物を選択することが好ましい。
本発明に使用できる顔料としては、特に限定されるわけではないが、例えばカラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
赤又はマゼンタ顔料としては、Pigment Red 3,5,19,22,31,38,42,43,48:1,48:2,48:3,48:4,48:5,49:1,53:1,57:1,57:2,58:4,63:1,81,81:1,81:2,81:3,81:4,88,104,108,112,122,123,144,146,149,166,168,169,170,177,178,179,184,185,208,216,226,257、Pigment Violet 3,19,23,29,30,37,50,88、Pigment Orange 13,16,20,36、
青又はシアン顔料としては、Pigment Blue 1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17−1,22,27,28,29,36,60、
緑顔料としては、Pigment Green 7,26,36,50、
黄顔料としては、Pigment Yellow 1,3,12,13,14,17,34,35,37,55,74,81,83,93,94,95,97,108,109,110,120,137,138,139,153,154,155,157,166,167,168,180,185,193、
黒顔料としては、Pigment Black 7,28,26、
白色顔料としては、PigmentWhite 6,18,21
などが目的に応じて使用できる。
以下に、本発明で使用することのできる油溶性染料について説明する。
本発明で使用することのできる油溶性染料とは、水に実質的に不溶な染料を意味する。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解できる染料の質量)が1g以下であり、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下であるものを指す。したがって、油溶性染料とは、いわゆる水に不溶性の顔料や油溶性色素を意味し、これらの中でも油溶性色素が好ましい。
これらの中で特に好ましいものは、Nubian Black PC−0850、Oil Black HBB 、Oil Yellow 129、Oil Yellow 105、Oil Pink 312、Oil Red 5B、Oil Scarlet 308、Vali Fast Blue 2606、Oil Blue BOS(オリエント化学(株)製)、Aizen Spilon Blue GNH(保土ヶ谷化学(株)製)、NeopenYellow 075、Neopen Mazenta SE1378、Neopen Blue 808、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238(BASF社製)等である。
本発明においては、油溶性染料は1種単独で用いてもよく、また、数種類を混合して用いてもよい。
本発明においては、水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で分散染料を用いることもできる。分散染料は一般に水溶性の染料も包含するが、本発明においては水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で用いることが好ましい。分散染料の好ましい具体例としては、C.I.ディスパースイエロー 5,42,54,64,79,82,83,93,99,100,119,122,124,126,160,184:1,186,198,199,201,204,224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ 13,29,31:1,33,49,54,55,66,73,118,119及び163;C.I.ディスパーズレッド 54,60,72,73,86,88,91,92,93,111,126,127,134,135,143,145,152,153,154,159,164,167:1,177,181,204,206,207,221,239,240,258,277,278,283,311,323,343,348,356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット 33;C.I.ディスパーズブルー 56,60,73,87,113,128,143,148,154,158,165,165:1,165:2,176,183,185,197,198,201,214,224,225,257,266,267,287,354,358,365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン 6:1及び9;等が挙げられる。
本発明において、溶剤が硬化画像に残留する場合の耐溶剤性の劣化並びに残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)の問題を避けるためにも、着色剤は、ラジカル重合性化合物のような分散基材にあらかじめ添加して、配合することが好ましい。なお、分散適性の観点のみを考慮した場合、着色剤の添加に使用する重合性化合物は、粘度の低いモノマーを選択することが好ましい。
本発明において、インク組成物中における着色剤の含有量は、色、及び使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の質量に対し、0.01〜30質量%であることが好ましい。
本発明のインク組成物は、着色剤の分散性を向上させる目的で、分散剤を含有することが好ましい。
分散剤としては、高分子分散剤が好ましい。なお、本発明における「高分子分散剤」とは、質量平均分子量が1,000以上の分散剤を意味する。
インク組成物中における分散剤の含有量は、使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の質量に対し、0.05〜15質量%であることが好ましい。
本発明のインク組成物には、必要に応じて、上記各成分以外に、有機溶剤、共増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、導電性塩類、高分子化合物、塩基性化合物、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類等を含んでいてもよい。これらその他の成分としては、公知のものを用いることができ、例えば、特開2009−221416号公報に記載されているものが挙げられる。
本発明のインク組成物には、基材との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加してもよい。
本発明のインク組成物に用いることができる溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤などが挙げられる。
また、本発明におけるインク組成物が有機溶剤を含有する場合は、インク吐出工程と硬化工程の間に乾燥工程を設けることが好ましい。
有機溶剤を含有する場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量はインク組成物全体に対し0.1〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量%の範囲である。
本発明の画像形成方法におけるインク吐出工程においては、2以上のインクジェットヘッドから、それぞれ色相の異なる紫外線硬化型インク組成物を吐出する。
具体的には、上述のインクジェットヘッドが備えるノズルプレートに配列された吐出口から、上述の紫外線硬化型インク組成物を、基材上にインクジェット法で付与する。本工程では、基材上に画像状にインク組成物を付与でき、所望の可視画像を形成できる。
上記ノズルプレートに配列された吐出口から吐出される液適量は10pl〜20plであり、10pl〜15plであることが好ましい。
また、上記インク組成物を吐出する吐出工程においては、少なくともマゼンタインク、ライトマゼンタインク、シアンインク、及び、ライトシアンインクの4色のインク組成物を吐出する。
具体的には、ブラック、イエロー、及び、ホワイトのインク組成物を更に含有することも好ましく、この場合、インク組成物は、ブラックインク、イエローインク、ホワイトインク、マゼンタインク、シアンインク、ライトシアンインク、及び、ライトマゼンタインクの計7色で構成される。
本発明における「ライトシアンインク」とは、着色剤の含有量が「シアンインク」の1/3〜1/10となっているインク組成物をいい、上記含有量が1/5〜1/10であることが好ましい。
本発明における「ライトマゼンタインク」とは、着色剤の含有量が「マゼンタインク」の1/3〜1/10となっているインク組成物をいい、上記含有量が1/3〜1/5であることが好ましい。
本発明の画像形成方法は、吐出された上記インク組成物を、各色のインク組成物の吐出終了ごとに紫外線照射により半硬化する工程を含む。
本発明において、「半硬化」とは、部分的な硬化(partially cured; partial curing)を意味し、インク組成物が部分的に硬化しているが完全には硬化していない状態をいう。具体的には、普通紙などの浸透媒体を硬化後のインク組成物に押し当て、インク組成物の10質量%〜90質量%が転写される状態を半硬化といい、打滴したインクの30質量%〜80質量%が転写されることが好ましい。また、全く転写しない状態を完全硬化という。
なお、基材上に付与されたインク組成物が半硬化している場合、インク組成物の深さ方向における硬化の程度は不均一であってもよく、インク組成物は深さ方向に硬化が進んでいることが好ましい。
ピニング工程における紫外線光源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線光硬化型インクジェット記録用インクの硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。しかしながら、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。
また、紫外発光ダイオード(UV−LED)及び/又は紫外レーザーダイオード(LD)を紫外線光源として用いることが好ましい。UV−LED、UV−LDは小型、長寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されている。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。更に一層短い波長が必要とされる場合、LEDとして、米国特許番号第6,084,250号明細書に開示されている300nmと370nmとの間に中心付けされた紫外光を放出し得るLEDが例示できる。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる波長の紫外光を照射することができる。本発明で特に好ましい紫外線光源はUV−LEDであり、特に好ましくは350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
なお、LEDの基材上での最高照度は10〜2,000mW/cm2であることが好ましく、20〜1,000mW/cm2であることがより好ましく、50〜800mW/cm2であることが特に好ましい。
ピニング工程において、インク組成物は、このような紫外光を、好ましくは0.01〜15秒、より好ましくは0.05〜10秒照射されることが適当である。
紫外光の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、紫外光の照射は、インク組成物の着弾後、一定時間(好ましくは0.01〜0.5秒、より好ましくは0.01〜0.3秒、更に好ましくは0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク組成物の着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、支持体に着弾したインク組成物が硬化前に滲むことを防止することが可能となる。
図9は、本発明の画像形成方法に好適に用いることができるインクジェット記録装置の一例を示す概略図である。以下、ピニング工程の実行方法について、図9を参照しながら詳説する。
7つのインクジェットヘッド241〜247は、基材搬送方向の順にそれぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタ、ホワイトの7色に対応している。
インクジェットヘッド241〜247の間には、それぞれUV−LED光源222〜227が配置されており、各色の吐出終了ごとに紫外線を照射し、吐出されたインク組成物を半硬化させる。
ホワイトに対応するインクジェットヘッド247の、更に基材搬送方向側には、後述する硬化工程を行うための窒素パージ露光機231が配置されている。
本発明の画像形成方法は、酸素濃度1体積%以下の雰囲気において紫外線を照射して上記インク組成物を完全硬化する工程を含む。
硬化工程において使用できる紫外線光源は、上記ピニング工程で使用できる紫外線光源と同様である。
また、本発明においては、酸素濃度1体積%以下の雰囲気において紫外線を照射して上記インク組成物を完全硬化する。硬化雰囲気の酸素濃度を抑えることにより、硬化に必要な活性線のエネルギーを小さくすることができ、またパッケージ印刷物特性として重要な、マイグレーション、臭気、シュリンクの改良にも効果的である、
一般的にラジカル重合系のインク組成物は特に空気と接する表面が酸素重合阻害を受けやすく、特に表面の硬化不良が起きやすい。この表面の硬化性劣化により、モノマーが膜中に残留したり、多官能モノマーによる膜の架橋構造形成により、低分子成分を膜中にとどめる性能が不十分となり、マイグレーション、臭気を著しく劣化させる。しかし、酸素濃度の低い環境下で露光することで、上記の酸素重合阻害の程度を低減させ、マイグレーション、臭気が改良されると推定される。
また、選択的に硬化膜表面のみが、酸素重合阻害を受けることで、良好な硬化性が得られる膜内部との硬化性の差が生じ、体積収縮率に分布ができてしまう結果、パッケージ用の薄い支持体がシュリンクを起こしやすくなってしまう。これに関しても、酸素濃度の低い環境下で露光することで、膜表面と内部の体積収縮率を均一化させ、シュリンクを改良することができると推定される。
本発明における貧酸素雰囲気については、特に限定されず上記いずれの方法も用いることができる。
酸素分圧の下限には特に制限はない。真空又は雰囲気を空気以外の気体(例えば窒素)で置換することにより酸素分圧を事実上0にすることができるが、これも好ましい方法である。
図10に示すように、LED光源ユニット1は、不活性ガスブランケット2に囲まれており、不活性ガス配管3を介して不活性ガス発生装置4に接続している。不活性ガスブランケット2内の雰囲気を貧酸素雰囲気とする手段である不活性ガス発生装置4は、不活性ガス発生配管3を介して不活性ガスブランケット2の内部に不活性ガスを供給するもので、初期状態では、不活性ガスブランケット2内雰囲気は空気であるが、不活性ガス発生装置4を稼働させると、不活性ガスブランケット2内の空気は不活性ガスに置換される。なお、図中の5は基材を表している。不活性ガスは、既述の通り、N2などを利用することができる。
本発明における画像形成方法は、上記の必須工程に加えて、任意の工程として、非浸透媒体上に下塗り液を付与する下塗り工程と、下塗り液を紫外線照射により半硬化させる下塗り液半硬化工程と、半硬化された下塗り液上にインク組成物を吐出する吐出工程と、をこの順に含むことが好ましい。
また、その他工程として、本発明における画像形成方法は、任意の工程として、乾燥工程、ラミネート加工工程、を含むことが好ましい。
〔下塗り液〕
本発明における下塗り液は、少なくとも重合性化合物及び光重合開始剤を含有する。また、下塗り液としては、着色剤を含有しないか、又は、白色の着色剤を含有する上記紫外線硬化型インク組成物を使用することが好ましい。
下塗り液の粘度を、10mPa・s以上、より好ましくは、50mPa・s以上とすることにより、液体が付着しにくい基材にも下塗り液を付与することが可能となる。
また、下塗り液の粘度を、2,000mPa・s以下、より好ましくは、1,200mPa・s以下とすることで、基材上に形成する下塗り層の表面粗さをより確実に小さくすることができる。
なお、下塗り液の25℃における表面張力の測定方法としては、公知の方法を用いることができるが、吊輪法、又は、ウィルヘルミー法で測定することが好ましい。例えば、協和界面科学(株)製自動表面張力計CBVP−Zを用いて測定する方法、又は、KSV INSTRUMENTS LTD社製 SIGMA702を用いて測定する方法が好ましく挙げられる。
(A)下塗り液の表面張力は、いずれかのインク組成物の表面張力よりも小さい。
(B)下塗り液に含まれる界面活性剤のうち少なくとも1種類は、
γs(0)−γs(飽和)>0(mN/m)
の関係を満たす。
(C)下塗り液の表面張力は、
γs<(γs(0)+γs(飽和)最大)/2
の関係を満たす。
また、条件(A)は、全てのインク組成物について満たすことが好ましい。
更に、着滴から露光までの間のインクドットの拡大をより効果的に防ぐ観点から、γs<γk−3(mN/m)であることがより好ましく、γs<γk−5(mN/m)であることが特に好ましい。
非浸透媒体上に下塗り液を付与する下塗り工程において、下塗り液は、基材上に着色液の液滴の吐出によって形成される画像と同一領域若しくは上記画像より広い領域に付与することが好ましい。
また、下塗り液の付与量(単位面積あたりの重量比)としては、上記インク組成物の最大吐出量(1色あたり)を1とした場合に、0.05〜5の範囲内であることが好ましく、0.07〜4の範囲内がより好ましく、0.1〜3の範囲内が特に好ましい。
具体的には、例えば、ホリゾンタルサイズプレス法、ロールコーター法、カレンダーサイズプレス法などに代表されるサイズプレス法;エアーナイフコーター法などに代表されるナイフコーター法;ゲートロールコーター法などのトランスファーロールコーター法、ダイレクトロールコーター法、リバースロールコーター法、スクイズロールコーター法などに代表されるロールコーター法;ビルブレードコーター法、ショートデュエルコーター法;ツーストリームコーター法などに代表されるブレードコーター法;ロッドバーコーター法などに代表されるバーコーター法;キャストコーター法;グラビアコーター法;カーテンコーター法;ダイコーター法;ブラシコーター法;転写法などが挙げられる。
また、特開平10−230201号公報に記載の塗布装置のように、液量制限部材を備えた塗布装置を用いることで塗布量を制御して塗布する方法であってもよい。
下塗り液の付与量を上記範囲に制御して塗布する方法としては、例えば、アニロックスローラーを用いた方法が挙げられる。アニロックスローラーとは、セラミックが溶射されたローラー表面をレーザーで加工しピラミッド型や斜線、亀甲型などの形状を付したローラーである。このローラー表面に付けられた凹みの部分に下塗り液が入り込み、紙面と接触すると転写されて、アニロックスローラーの凹みで制御された塗布量にて塗布される。
上記下塗り液層及び下塗り層の厚さが上記範囲内であると、硬化画像の柔軟性、密着性が良好に保持できることから好ましい。
本発明における画像形成方法は、下塗り液を紫外線照射により半硬化させる下塗り液半硬化工程を含むことが好ましい。
本発明において、「下塗り液の半硬化」とは、インク組成物の場合と同様に、部分的な硬化(partially cured; partial curing)を意味し、下塗り液が部分的に硬化しているが完全には硬化していない状態をいう。具体的には、普通紙などの浸透媒体を硬化後の下塗り液に押し当て、下塗り液の10質量%〜90質量%が転写される状態を半硬化といい、打滴した下塗り液の30質量%〜80質量%が転写されることが好ましい。また、全く転写しない状態を完全硬化という。なお、下塗り液が半硬化している場合、硬化の程度は不均一であってもよく、下塗り液は深さ方向に硬化が進んでいることが好ましい。
また、下塗り液の半硬化、及び、半硬化に用いる紫外線光源についての好ましい態様は、上記インク組成物の半硬化、及び、半硬化に用いる紫外線光源についての好ましい態様と同様である。
本発明における画像形成方法は、半硬化された下塗り液上にインク組成物を吐出する吐出工程を含むことが好ましい。
上記吐出工程は、上記インク吐出工程と同様である。すなわち、「半硬化された上記下塗り液上に上記インク組成物を吐出する工程」とは、半硬化された下塗り液の層にインク吐出工程を行うことを意味している。
本発明の画像形成方法においては、基材上に付与又は吐出されたインク組成物から、加熱手段により水及び必要に応じて併用される水溶性有機溶剤を蒸発させる乾燥工程を含むことができる。
上記乾燥工程は、本発明の画像形成方法においてはインク吐出工程と硬化工程との間に行うことが好ましい。
また、本発明におけるインク組成物が有機溶剤を含有する場合は、インク吐出工程と硬化工程の間に乾燥工程を設けることが好ましい。
以下、本発明の画像形成方法により付与されたインク組成物に熱を加え、定着する工程について説明する。
乾燥手段としては、水及び必要に応じて併用される水溶性有機溶剤を乾燥させることができればよく、限定されないが、ヒートドラム、温風、赤外線ランプ、熱オーブン、ヒート版加熱などの加熱乾燥処理を使用することができる。
加熱温度は、インク組成物中に存在する水、及び、必要に応じて併用される水溶性有機溶剤が蒸発し、皮膜を形成することができれば特に制限はないが、40℃以上であればその効果が得られるので好ましく、40℃〜150℃がより好ましく、40℃〜80℃が更に好ましい。
なお、乾燥/加熱時間は、インク組成物中に存在する水及び必要に応じて併用される水溶性有機溶剤が蒸発し、かつ樹脂剤の皮膜を形成することができれば特に制限はなく、用いるインク組成物の組成・印刷速度を加味して適宜設定することができる。
また、本発明の印刷方法では、硬化工程を行った後、ラミネートフィルムを用いて、完全硬化したインク組成物の上をラミネート加工することが好ましい。
ラミネート加工により、印刷物からのインク成分の溶出、ブロッキング、臭気を抑制でき、特に食品パッケージ用として、好ましく使用できるためである。
ラミネートフィルムとしては、樹脂フィルムが用いられ、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンフィルム、トリアセチルセルロースフィルムが例示できる。また、それらのフィルムは2軸延伸されていてもよい。
ラミネート加工の方法としては、特に制限なく公知の方法が使用できるが、ドライラミネ−ションが例示できる。
基材に樹脂フィルムを用いた場合、選択するラミネート加工の方法にもよるが、基材のラミネート加工が行われる面に使用されている樹脂フィルムと接着性が高い樹脂フィルムを使用することが好ましい。
また、ポリプロピレンフィルムはヒートシール性が高いため、本工程において好適に使用できる。
なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「質量部」を示すものとする。
本発明で使用した素材は下記に示す通りである。
<着色剤>
・IRGALITE BLUE GLVO(シアン顔料、BASFジャパン社製)
・CINQUASIA MAGENTA RT−355−D(マゼンタ顔料、BASFジャパン社製)
・NOVOPERM YELLOW H2G(イエロー顔料、クラリアント社製)
・SPECIAL BLACK 250(ブラック顔料、BASFジャパン社製)
・タイペークCR60−2(ホワイト顔料、石原産業(株)製)
・SOLSPERSE32000(Noveon社製分散剤)
・SR9003(プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート、Sartomer社製)
・3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート(SR341、Sartomer社製)
・ポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA、SR344、Sartomer社製)
・IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、BASF社製、分子量419)
・Speedcure7010(前述した化合物I−B、Lambson社製、分子量1,899)
・UV−12(FLORSTAB UV12、ニトロソ系重合禁止剤、トリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミン)アルミニウム塩、Kromachem社製)
・BYK307(シリコン系界面活性剤、BYK Chemie社製)
<シアンミルベースAの調製>
IRGALITE BLUE GLVOを300質量部と、SR9003を620質量部と、SOLSPERSE32000を80質量部とを撹拌混合し、シアンミルベースAを得た。なお、シアンミルベースAの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで4時間分散を行った。
シアンミルベースAと同様にして、表1に示す組成、分散条件でマゼンタミルベースB、イエローミルベースC、ブラックミルベースD及びホワイトミルベースEを調製した。なお、表中の数字は各素材の使用した質量部を表している。
表2に示す割合で各素材をミキサー(シルバーソン社製L4R)を用いて室温で5,000回転/分にて20分撹拌混合し、シアンインクC−1、マゼンタインクM−1、イエローインクY−1、ブラックインクK−1、ライトシアンインクLc−1、ライトマゼンタインクLm−1、ホワイトインクW−1、下塗り液U−1を調製した。なお、表中の数字は各素材の使用した質量部を表している。
<装置の構成>
図9に示すインクジェット装置において、インクジェットヘッド241〜247として富士フイルムDIMATIX社製Samba1200ヘッドを各色1つずつ、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ライトシアンインク、ライトマゼンタインク、ホワイトインクの順に配置した。また、各色のインクジェットヘッドの間に、紫外線光源221〜227としてピーク波長385nmのLED光源ユニット(LEDZero Solidcure、Integration Technology社製)を配置した。上記LED光源ユニットの光量は、各インクが半硬化状態に保てるように調整した。
打滴サイズは13plと設定した。描画速度は30m/minに設定し、吐出周波数は上記速度で1,200dpiの画像が形成できるように設定した。なお、Samba1200ヘッドの吐出口密度は1,200npiである。
なお、実施例1としては塗布ローラー211による下塗り液U−1の塗布、及び、LED光源221による下塗り液の半硬化は行わなかった。
紫外線光源として、ピーク波長385nmのLED光源ユニット(LEDZero Solidcure、Integration Technology社製)を不活性ガスブランケット内に配置し、不活性ガス源として、コンプレッサー付きN2ガス発生装置Maxi−Flow30(Inhouse Gas社製)を0.2MPa・sの圧力で接続し、ブランケット内の酸素濃度が1%になるよう、10L/分の流量でN2をフローさせた。
基材としては、上から、延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(25μm)、ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)、ナイロンフィルム(15μm)が積層されている3層構造の樹脂フィルムを使用し、OPPフィルムの上に画像を形成した。なお、()内の数字は各樹脂フィルムの厚さを表している。
上記構成の印刷装置を用い、基材に、網%を0%(網%)から300%(網%)まで30%刻みで変化させ、上にホワイトインクを100%(網%)で重ねた3.5×10cmのカラーパッチを作成し、以下に示す諸性能のテストを行った。なお、300%(網%)とは、ブラックインク100%(網%)の上に、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ライトシアンインク及びライトマゼンタインクを合計200%になるように重ねた状態をいう。
図9に示すインクジェット装置において、塗布ローラー211による下塗り液U−1の塗布、及び、UV−LED光源221による下塗り液の半硬化を行った以外は、実施例1と同様に画像形成を行い、以下に示す諸性能のテストを行った。下塗り層の厚さは1μmとした。
液滴サイズ、使用ヘッド、ライトインク使用の有無を表3の記載に従って変更した以外は、実施例1と同様に画像形成を行い、以下に示す諸性能のテストを行った。なお、2種類以上の滴サイズを設定している比較例3、4、6、7については、ハイライト部から、中間濃度部(網%で25%)にかけて小滴を使用し、中間濃度部から、シャドー部にかけて徐々に大滴を増やし、ソリッド部では大滴のみを使用するという設定とした。この時、階調のつながりを考慮し、トーンジャンプが発生しないように設定した。
比較ヘッドの詳細を、図11及び図12に示す。
図11に示すように、ノズルを備えるインク室ユニット602を1次元(1列)に配置し、実質的な吐出口密度が150npiである以外は、上述のSamba1200ヘッドと同様のインクジェットヘッド601を作成した。図12は、比較ヘッドを使用した場合のインクジェット装置の一部を表している。1,200dpiの画像を形成するため、図12に示すように、作成したインクジェットヘッド601を基材搬送方向Sと垂直な方向に20μmずつずらして8本配置し、実質的な吐出口密度を1,200npiとした比較ヘッド604を作成した。比較ヘッドを使用した場合のインクジェット装置としては、図9中のインクジェットヘッド241〜247をそれぞれ比較ヘッド604に置換した構成をとる。606は半硬化工程用の紫外線光源である。
なお、比較例としては塗布ローラー605による下塗り液U−1の塗布、及び、紫外線光源603による下塗り液の半硬化は行わなかった。
上記条件により作成したカラーパッチを50cmの距離から観察し、ハイライト部(30%(網%))と中濃度部(90%(網%))の画像の粒状性を、それぞれ下記のように5段階で評価した。なお、評価人数は10名とし、10名の評価点数の平均値を四捨五入して評価値とし、表3に記載した。
5:ザラツキが認識できない。
4:ザラツキがわずかに認識できるが気にならない。
3:ザラツキが認められるが許容できる。
2:ザラツキが気になる。
1:ザラツキが非常に気になる。
評価点3以上が許容範囲である。
上記条件により作成したカラーパッチを50cmの距離から観察し、周期的なスジ状のムラの有無を下記のように5段階で評価した。なお、評価人数は10名とし、10名の評価点数の平均値を四捨五入して評価値とし、表3に記載した。
5:スジ状のムラが認められない。
4:スジ状のムラがわずかに認められるが気にならない。
3:スジ状のムラが認められるが許容できる。
2:スジ状のムラが気になる。
1:スジ状のムラが非常に気になる。
評価点3以上が許容範囲である。
2 不活性ガスブランケット
3 不活性ガス配管
4 不活性ガス発生装置
5 基材
11 ノズルプレート
12 吐出口
20 インク供給ユニット
21 圧力室
22 ノズル連通路
23 インク供給流路
24 供給調整路
25 共通液室
30 圧力発生手段
31 振動板
32 接着層
33 下部電極
34 圧電体層
35 上部電極
41 循環絞り
42 循環路
190 電気配線
190a 電極パッド
192 多層フレキシブルケーブル
194 ノズルプレート
196 流路プレート
198 絶縁・保護膜
200 インクジェットヘッド
201 送り出しローラー
202 巻き取りローラー
211 塗布ローラー
221〜227 UV−LED光源
231 窒素パージ露光機
241〜247 インクジェットヘッド
424 基材
550 インクジェットヘッド
550A インク吐出面
551 ノズル
551A ノズルプレート
551a ノズル流路
552 圧力室
552P 流路板
553 インク供給口
554 インク室ユニット
555 共通液室
556 振動板
557 個別電極
558 圧電素子(ピアゾアクチュエータ、圧電アクチュエータ)
558a 圧電体
559 電極パッド
601 インクジェットヘッド
602 インク室ユニット
603、606 紫外線光源
604 比較ヘッド
605 塗布ローラー
607 送り出しローラー
M 主走査方向
S 基材搬送方向
θ 主走査方向に対するインク室ユニットの配置角度
P 実質的なノズル間隔
Ls 副走査方向の隣接ノズル間隔
Claims (9)
- 非浸透媒体上に、2以上のインクジェットヘッドから、それぞれ色相の異なる紫外線硬化型インク組成物を吐出する吐出工程と、
吐出された前記インク組成物を、各色のインク組成物の吐出終了ごとに紫外線照射により半硬化する工程と、
酸素濃度1体積%以下の雰囲気において紫外線を照射して前記インク組成物を完全硬化する工程と、をこの順で含み、
前記インクジェットヘッドは、複数の吐出口を有するノズルプレートを備え、
前記複数の吐出口が、前記非浸透媒体の進行方向に対して4×4以上の2次元マトリックス状に配列され、
配列された前記複数の吐出口の密度は1,200npi以上であり、
前記インクジェットヘッドはシングルパス方式であり、
吐出される前記インク組成物の液量が10pl〜20plであり、
前記吐出工程において、少なくともマゼンタインク、ライトマゼンタインク、シアンインク、及び、ライトシアンインクの4色のインク組成物を吐出することを特徴とする
画像形成方法。 - 印刷速度が20m/min以上である、請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記非浸透媒体上に下塗り液を付与する下塗り工程と、
前記下塗り液を紫外線照射により半硬化させる下塗り液半硬化工程と、
半硬化された前記下塗り液上に前記インク組成物を吐出する吐出工程と、をこの順で含む、請求項1又は2に記載の画像形成方法。 - 前記非浸透媒体が、全膜厚が10μm〜90μmであり、かつ、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム及びナイロンフィルムよりなる群から選択された1又は2以上の樹脂フィルムを含む、単層又は積層の基材である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- パッケージ印刷用である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記インク組成物を完全硬化する工程における紫外線光源が、UV−LED、及び/又は、UV−LDである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記インクジェットヘッドは、前記複数の吐出口のそれぞれと連通する複数の圧力室と、
前記複数の圧力室のそれぞれにインク組成物を供給する複数のインク供給口と、
前記複数のインク供給口にインク組成物を供給する共通液室と、
前記複数の圧力室のそれぞれを変形する複数の圧力発生手段と、を備える請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成方法。 - 前記インクジェットヘッドが、前記共通液室を貫通するように配設され、かつ、前記圧力発生手段に駆動信号を供給する電気配線を更に備える、請求項7に記載の画像形成方法。
- 前記インクジェットヘッドが備える、前記圧力室及び前記共通液室が、前記圧力発生手段の反対側に配置されている、請求項7又は8に記載の画像形成方法。
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