《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態について、図1〜図26に基づいて説明する。
図1には、第1の実施形態の露光装置100の構成が概略的に示されている。露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。後述するように本実施形態では、投影光学系PLが設けられており、以下においては、この投影光学系PLの光軸AXと平行な方向をZ軸方向、これに直交する面内でレチクルとウエハとが相対走査される方向をY軸方向、Z軸及びY軸に直交する方向をX軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
露光装置100は、照明系10、レチクルステージRST、投影ユニットPU、ウエハステージWST及び計測ステージMSTを有するステージ装置50、及びこれらの制御系等を備えている。図1において、ウエハステージWST上には、ウエハWが載置されている。
照明系10は、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示されるように、光源と、オプティカルインテグレータを有する照度均一化光学系、及びレチクルブラインド(いずれも不図示)を有する照明光学系とを含む。照明系10は、レチクルブラインド(マスキングシステム)で規定されたレチクルR上のスリット状の照明領域IARを照明光(露光光)ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、照明光ILとして、例えばArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられる。
レチクルステージRST上には、回路パターンなどがそのパターン面(図1における下面)に形成されたレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ等を含むレチクルステージ駆動系11(図1では不図示、図10参照)によって、XY平面内で微少駆動可能であるとともに、走査方向(図1における紙面内左右方向であるY軸方向)に所定の走査速度で駆動可能となっている。
レチクルステージRSTのXY平面内の位置情報(θz方向の位置(以下では、適宜θz回転(若しくはθz回転量)、又はヨーイング(若しくはヨーイング量)とも記述する)の情報を含む)は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)116によって、移動鏡15(実際には、Y軸方向に直交する反射面を有するY移動鏡(あるいは、レトロリフレクタ)とX軸方向に直交する反射面を有するX移動鏡とが設けられている)を介して、例えば0.25nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計116の計測値は、主制御装置20(図1では不図示、図10参照)に送られる。
投影ユニットPUは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置されている。投影ユニットPUは、鏡筒40と、鏡筒40内に格納された投影光学系PLと、を含む。投影光学系PLとして、例えば、Z軸方向と平行な光軸AXに沿って配列される複数の光学素子(レンズエレメント)から成る屈折光学系が用いられている。投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで、所定の投影倍率(例えば1/4、1/5又は1/8など)を有する。このため、照明系10によってレチクルR上の照明領域IARが照明されると、投影光学系PLの第1面(物体面)とパターン面がほぼ一致して配置されるレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PL(投影ユニットPU)を介してその照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの縮小像(回路パターンの一部の縮小像)が、投影光学系PLの第2面(像面)側に配置される、表面にレジスト(感応剤)が塗布されたウエハW上の前記照明領域IARに共役な領域(以下、露光領域とも呼ぶ)IAに形成される。そして、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとの同期駆動によって、照明領域IAR(照明光IL)に対してレチクルRを走査方向(Y軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域IA(照明光IL)に対してウエハWを走査方向(Y軸方向)に相対移動させることで、ウエハW上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にレチクルRのパターンが転写される。すなわち、本実施形態では照明系10、レチクルR及び投影光学系PLによってウエハW上にパターンが生成され、照明光ILによるウエハW上の感応層(レジスト層)の露光によってウエハW上にそのパターンが形成される。
本実施形態の露光装置100には、液浸方式の露光を行うために、局所液浸装置8が設けられている。局所液浸装置8は、例えば液体供給装置5、液体回収装置6(いずれも図1では不図示、図10参照)、液体供給管31A、液体回収管31B、及びノズルユニット32等を含む。ノズルユニット32は、図1に示されるように、投影光学系PLを構成する最も像面側(ウエハW側)の光学素子、ここではレンズ(以下、「先端レンズ」ともいう)191を保持する鏡筒40の下端部周囲を取り囲むように、投影ユニットPUを保持する不図示のメインフレームに吊り下げ支持されている。本実施形態では、ノズルユニット32は、図1に示されるように、その下端面が先端レンズ191の下端面とほぼ同一面に設定されている。また、ノズルユニット32は、液体Lqの供給口及び回収口と、ウエハWが対向して配置され、かつ回収口が設けられる下面と、液体供給管31A及び液体回収管31Bとそれぞれ接続される供給流路及び回収流路とを備えている。液体供給管31Aと液体回収管31Bとは、図5に示されるように、平面視で(上方から見て)X軸方向及びY軸方向に対してほぼ45°傾斜し、投影ユニットPUの中心(投影光学系PLの光軸AX、本実施形態では前述の露光領域IAの中心とも一致)を通りかつY軸と平行な直線(基準軸)LV0に関して対称な配置となっている。
液体供給管31Aは液体供給装置5(図1では不図示、図10参照)に、液体回収管31Bは液体回収装置6(図1では不図示、図10参照)に接続されている。ここで、液体供給装置5には、液体を貯蔵するタンク、加圧ポンプ、温度制御装置、液体の流量を制御するためのバルブ等が備えられている。液体回収装置6には、回収した液体を貯蔵するタンク、吸引ポンプ、液体の流量を制御するためのバルブ等が備えられている。
主制御装置20(図10参照)は、液体供給装置5を制御して、液体供給管31Aを介して先端レンズ191とウエハWとの間に液体Lqを供給するとともに、液体回収装置6を制御して、液体回収管31Bを介して先端レンズ191とウエハWとの間から液体Lqを回収する。このとき、主制御装置20は、供給される液体Lqの量と回収される液体Lqの量とが常に等しくなるように、液体供給装置5と液体回収装置6とを制御する。従って、先端レンズ191とウエハWとの間には、一定量の液体Lq(図1参照)が常に入れ替わって保持され、それにより液浸領域14(図14等参照)が形成される。なお、投影ユニットPUの下方に後述する計測ステージMSTが位置する場合にも、同様に先端レンズ191と計測テーブルとの間に液浸領域14を形成することができる。
本実施形態では、上記の液体として、ArFエキシマレーザ光(波長193nmの光)が透過する純水(以下、特に必要な場合を除いて、単に「水」と記述する)を用いるものとする。なお、ArFエキシマレーザ光に対する水の屈折率nは、ほぼ1.44であり、水の中では、照明光ILの波長は、193nm×1/n=約134nmに短波長化される。
ステージ装置50は、図1に示されるように、ベース盤12の上方に配置されたウエハステージWSTと計測ステージMST、これらのステージWST,MSTの位置情報を計測する計測システム200(図10参照)、及びステージWST,MSTを駆動するステージ駆動系124(図10参照)等を備えている。計測システム200は、図10に示されるように、干渉計システム118、エンコーダシステム150及び面位置計測システム180などを含む。
ウエハステージWST及び計測ステージMSTは、それぞれの底面に固定された不図示の非接触軸受、例えばエアベアリングにより、数μm程度のクリアランスを介して、ベース盤12上に支持されている。また、ステージWST,MSTは、例えばリニアモータ等を含むステージ駆動系124(図10参照)によって、XY平面内で独立して駆動可能である。
ウエハステージWSTは、ステージ本体91と、該ステージ本体91上に搭載されたウエハテーブルWTBとを含む。ウエハテーブルWTB及びステージ本体91は、例えばリニアモータ及びZ・レベリング機構(ボイスコイルモータなどを含む)(いずれも不図示)を含む駆動系によって、ベース盤12に対し、6自由度方向(X、Y、Z、θx,θy,θz)に駆動可能に構成されている。
ウエハテーブルWTBの上面の中央には、ウエハWを真空吸着等によって保持するウエハホルダ(不図示)が設けられている。ウエハホルダ(ウエハの載置領域)の外側には、図2に示されるように、ウエハホルダよりも一回り大きな円形の開口が中央に形成され、かつ矩形状の外形(輪郭)を有するプレート(撥液板)28が設けられている。このプレート28の表面は、液体Lqに対して撥液化処理されている。なお、プレート28は、その表面の全部(あるいは一部)がウエハWの表面と同一面となるように設置されている。
プレート28は、中央に前記開口が形成された矩形の外形(輪郭)を有する第1撥液領域28aと、該第1撥液領域28aの周囲に設けられた矩形枠状の第2撥液領域28bとを有している。なお、本実施形態では、前述の如く液体Lqとして水を用いるので、以下では第1及び第2撥液領域28a,28bをそれぞれ第1及び第2撥水板28a,28bとも呼ぶ。
第1撥水板28aの+Y側の端部には、計測プレート30が設けられている。この計測プレート30には、中央に基準マークFMが設けられ、該基準マークFMを挟むように一対の空間像計測スリットパターン(スリット状の計測用パターン)SLが設けられている。そして、各空間像計測スリットパターンSLに対応して、それらを透過した照明光ILを、ウエハステージWSTの外部(後述する計測ステージMSTに設けられる受光系)に導くための送光系(不図示)が設けられている。
第2撥水板28bには、その上面のX軸方向(図2における紙面内左右方向)の一側と他側の領域に、Yスケール39Y1,39Y2がそれぞれ形成されている。Yスケール39Y1,39Y2はそれぞれ、例えばX軸方向を長手方向とする格子線38が所定ピッチでY軸に平行な方向(Y軸方向)に沿って配置される、Y軸方向を周期方向とする反射型の格子(例えば回折格子)によって構成されている。
同様に、第2撥水板28bの上面におけるY軸方向(図2における紙面内上下方向)の一側と他側の領域には、Xスケール39X1,39X2がそれぞれ形成されている。Xスケール39X1,39X2はそれぞれ、例えばY軸方向を長手方向とする格子線37が所定ピッチでX軸に平行な方向(X軸方向)に沿って配置される、X軸方向を周期方向とする反射型の格子(例えば回折格子)によって構成されている。各スケールは、例えば薄板状のガラスに上記回折格子の目盛りを、例えば138nm〜4μmの間のピッチ、例えば1μmピッチで刻んで作製されている。これらのスケールは前述の撥液膜(撥水膜)で覆われている。なお、図2では、図示の便宜上から、格子のピッチは、実際のピッチに比べて格段に広く図示されている。その他の図においても同様である。また、回折格子を保護するために、撥水性を備えた低熱膨張率のガラス板で、その表面がウエハの表面と同じ高さ(面位置)になるようにして回折格子をカバーしても良い。ここで、ガラス板としては、厚さがウエハと同程度、例えば厚さ1mmのものを用いることができる。
なお、各スケールの端付近には、後述するエンコーダヘッドとスケール間の相対位置を決めるための、不図示の位置出しパターンがそれぞれ設けられている。この位置出しパターンは例えば反射率の異なる格子線から構成され、この位置出しパターン上をエンコーダヘッドが走査すると、エンコーダの出力信号の強度が変化する。そこで、予め閾値を定めておき、出力信号の強度がその閾値を超える位置を検出する。この検出された位置を基準に、エンコーダヘッドとスケール間の相対位置を設定する。
ウエハテーブルWTBの−Y端面,−X端面には、図2及び図4等に示されるように、後述する干渉計システムで用いられる反射面17a,反射面17bが形成されている。
計測ステージMSTは、図1に示されるように、不図示のリニアモータ等によってXY平面内で駆動されるステージ本体92と、ステージ本体92上に搭載された計測テーブルMTBとを有している。計測ステージMSTは、不図示の駆動系によりベース盤12に対し、少なくとも3自由度方向(X、Y、θz)に駆動可能に構成されている。
なお、図10では、ウエハステージWSTの駆動系と計測ステージMSTの駆動系とを含んで、ステージ駆動系124として示されている。
計測テーブルMTB(及びステージ本体92)には、各種計測用部材が設けられている。この計測用部材としては、例えば、図3に示されるように、照度むらセンサ94、空間像計測器96、波面収差計測器98、照度モニタ(不図示)などが設けられている。また、ステージ本体92には、前述の一対の送光系(不図示)に対向する配置で、一対の受光系(不図示)が設けられている。本実施形態では、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとがY軸方向に関して所定距離以内に近接した状態(接触状態を含む)において、ウエハステージWST上の計測プレート30の各空間像計測スリットパターンSLを透過した照明光ILを各送光系(不図示)で案内し、計測ステージMST内の各受光系(不図示)の受光素子で受光する、空間像計測装置45(図10参照)が構成される。
計測テーブルMTBの−Y側端面には、図3に示されるように、フィデューシャルバー(以下、「FDバー」と略述する)46がX軸方向に延設されている。このFDバー46は、フルキネマティックマウント構造によって、計測ステージMST上にキネマティックに支持されている。FDバー46は、原器(計測基準)となるため、低熱膨張率の光学ガラスセラミックス、例えば、ショット社のゼロデュア(商品名)などがその素材として採用されている。FDバー46の長手方向の一側と他側の端部近傍には、センターラインCLに関して対称な配置で、Y軸方向を周期方向とする基準格子(例えば回折格子)52がそれぞれ形成されている。また、FDバー46の上面には、複数の基準マークMが形成されている。各基準マークMとしては、後述するプライマリアライメント系、セカンダリアライメント系によって検出可能な寸法の2次元マークが用いられている。なお、FDバー46の表面及び計測テーブルMTBの表面も撥液膜(撥水膜)で覆われている。
計測テーブルMTBの+Y側の端面及び−X側端面には、ウエハテーブルWTBと同様の反射面19a及び反射面19bが形成されている(図3参照)。
本実施形態の露光装置100では、図6に示されるように、前述の基準軸LV0上で、投影ユニットPUの中心(投影光学系PLの光軸AX)から−Y側に所定距離隔てた位置に検出中心を有するプライマリアライメント系AL1が設けられている。プライマリアライメント系AL1は、不図示のメインフレームの下面に固定されている。プライマリアライメント系AL1を挟んで、X軸方向の一側と他側には、基準軸LV0に関してほぼ対称に検出中心が配置されるセカンダリアライメント系AL21,AL22と、AL23,AL24とがそれぞれ設けられている。セカンダリアライメント系AL21〜AL24は、不図示の可動式の支持部材を介してメインフレーム(不図示)の下面に固定されており、駆動機構601〜604(図10参照)を用いて、X軸方向に関してそれらの検出領域の相対位置が調整可能となっている。なお、図6等に示されるプライマリアライメント系AL1の検出中心を通るX軸に平行な直線(基準軸)LAは、後述の干渉計127からの測長ビームB6の光軸に一致する。
本実施形態では、各アライメント系(AL1,AL21〜AL24)として、例えば画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。アライメント系AL1,AL21〜AL24のそれぞれからの撮像信号は、不図示の信号処理系を介して主制御装置20に供給される。
次に、ウエハステージWST及び計測ステージMSTの位置情報を計測する干渉計システム118(図10参照)の構成等について説明する。
干渉計システム118は、図4に示されるように、ウエハステージWSTの位置計測用のY干渉計16、X干渉計126、127、128、及びZ干渉計43A,43B、並びに計測ステージMSTの位置計測用のY干渉計18及びX干渉計130等を含む。Y干渉計16及び3つのX干渉計126、127、128は、ウエハテーブルWTBの反射面17a,17bに、それぞれ干渉計ビーム(測長ビーム)B4(B41,B42)、B5(B51,B52)、B6、B7を照射する。そして、Y干渉計16、及び3つのX干渉計126、127、128は、それぞれの反射光を受光して、ウエハステージWSTのXY平面内の位置情報を計測し、この計測した位置情報を主制御装置20に供給する。
ここで、例えば、X干渉計126は、投影光学系PLの光軸AX(本実施形態では前述の露光領域IAの中心とも一致)を通りかつX軸と平行な直線(基準軸LH(図5等参照))に関して対称な一対の測長ビームB51,B52を含む少なくとも3つのX軸に平行な測長ビームを反射面17bに照射する。また、Y干渉計16は、前述の基準軸LV0に関して対称な一対の測長ビームB41,B42、及びB3(図1参照)を含む少なくとも3つのY軸に平行な測長ビームを反射面17a、及び後述する移動鏡41に照射する。このように、本実施形態では、上記各干渉計として、一部(例えば干渉計128)を除いて、測長軸を複数有する多軸干渉計が用いられている。そこで、主制御装置20は、Y干渉計16と、X干渉計126又は127との計測結果に基づいて、ウエハテーブルWTB(ウエハステージWST)のX,Y位置に加え、θx方向の位置(以下、適宜、θx回転(若しくはθx回転量)、又はピッチング(若しくはピッチング量)とも記述する)、θy方向の位置(以下、適宜、θy回転(若しくはθy回転量)、又はローリング(若しくはローリング量)とも記述する)、及びθz回転(すなわちヨーイング量)をも算出することができる。
また、図1に示されるように、ステージ本体91の−Y側の側面に、凹形状の反射面を有する移動鏡41が取り付けられている。移動鏡41は、図2からわかるように、X軸方向の長さがウエハテーブルWTBの反射面17aよりも、長く設定されている。
移動鏡41に対向して、一対のZ干渉計43A,43Bが設けられている(図1及び図4参照)。Z干渉計43A,43Bは、移動鏡41を介して、例えば投影ユニットPUを支持するメインフレーム(不図示)に固定された固定鏡47A,47Bにそれぞれ2つの測長ビームB1,B2を照射する。そして、それぞれの反射光を受光して、測長ビームB1,B2の光路長を計測する。その結果より、主制御装置20は、ウエハステージWSTの4自由度(Y,Z,θy,θz)方向の位置を算出する。
本実施形態では、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のXY平面内の位置(θz方向の回転情報を含む)は、主として、後述するエンコーダシステムを用いて計測される。干渉計システム118は、ウエハステージWSTがエンコーダシステムの計測領域外(例えば、図5等に示されるアンローディングポジションUP及びローディングポジションLP付近)に位置する際に、使用される。また、エンコーダシステムの計測結果の長期的変動(例えばスケールの経時的な変形などによる)を補正(較正)する場合、あるいはエンコーダシステムの出力異常時のバックアップ用などとして補助的に使用される。勿論、干渉計システム118とエンコーダシステムとを併用して、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)の位置を制御することとしても良い。
干渉計システム118のY干渉計18、X干渉計130は、図4に示されるように、計測テーブルMTBの反射面19a,19bに、干渉計ビーム(測長ビーム)を照射して、それぞれの反射光を受光することにより、計測ステージMSTの位置情報(例えば、少なくともX軸及びY軸方向の位置とθz方向の回転情報とを含む)を計測し、その計測結果を、主制御装置20に供給する。
次に、ウエハステージWSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)を計測するエンコーダシステム150(図10参照)の構成等について説明する。エンコーダシステム150の主な構成は、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書などに開示されている。
露光装置100では、図5に示されるように、ノズルユニット32の+X側、+Y側、−X側、及びプライマリアライメント系AL1の−Y側に、4つのヘッドユニット62A、62B、62C、及び62Dが、それぞれ配置されている。また、ヘッドユニット62C、62Aそれぞれの−Y側でかつプライマリアライメント系AL1とほぼ同一のY位置に、ヘッドユニット62E、62Fが、それぞれ設けられている。ヘッドユニット62A〜62Fは、支持部材を介して、投影ユニットPUを保持するメインフレーム(不図示)に吊り下げ状態で固定されている。
ヘッドユニット62Aは、図6に示されるように、ノズルユニット32の+X側に配置され、X軸方向に沿って前述の基準軸LH上に間隔WDで配置された複数(ここでは4個)のYヘッド652〜655と、基準軸LHから−Y方向に所定距離離れたノズルユニット32の−Y側の位置に配置されたYヘッド651とを備えている。ここで、Yヘッド651,652のX軸方向の間隔もWDにほぼ等しく設定されている。ヘッドユニット62Cは、図6に示されるように、ヘッドユニット62Aと左右対称に構成され、前述の基準軸LV0に関して対称に配置されている。ヘッドユニット62Cは、Yヘッド655〜651と、基準軸LV0に関して対称に配置された5つのYヘッド641〜645を備えている。以下では、適宜、Yヘッド651〜655、641〜645を、それぞれ、Yヘッド65、64とも記述する。
ヘッドユニット62Aは、前述のYスケール39Y1を用いて、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のY軸方向の位置(Y位置)を計測する多眼(ここでは、5眼)のYリニアエンコーダ(以下、適宜「Yエンコーダ」又は「エンコーダ」と略述する)70A(図10参照)を構成する。同様に、ヘッドユニット62Cは、前述のYスケール39Y2を用いて、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のY位置を計測する多眼(ここでは、5眼)のYエンコーダ70C(図10参照)を構成する。ここで、ヘッドユニット62C,62Aがそれぞれ備える5個のYヘッド64i,65j(i,j=1〜5)のうち隣接するYヘッド(より正確には、各Yヘッドが発する計測ビームのスケール上の照射点)のX軸方向の間隔WDは、Yスケール39Y2,39Y1のX軸方向の幅(より正確には、格子線38の長さ)より僅かに狭く設定されている。従って、露光時などには、それぞれ5個のYヘッド65j,64iのうち、少なくとも各1つのヘッドが、常に、対応するYスケール39Y1,39Y2に対向する。
ヘッドユニット62Bは、図6に示されるように、ノズルユニット32(投影ユニットPU)の+Y側に配置され、前述の基準軸LV0上にY軸方向に沿って間隔WDで配置された複数、ここでは4個のXヘッド665〜668を備えている。また、ヘッドユニット62Dは、プライマリアライメント系AL1の−Y側に配置され、基準軸LV0上に間隔WDで配置された複数、ここでは4個のXヘッド661〜664を備えている。以下では、適宜、Xヘッド661〜668を、Xヘッド66とも記述する。
ヘッドユニット62Bは、前述のXスケール39X1を用いて、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のX軸方向の位置(X位置)を計測する、多眼(ここでは、4眼)のXリニアエンコーダ(以下、適宜「Xエンコーダ」又は「エンコーダ」と略述する)70B(図10参照)を構成する。また、ヘッドユニット62Dは、前述のXスケール39X2を用いて、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のX位置を計測する多眼(ここでは、4眼)のXリニアエンコーダ70D(図10参照)を構成する。
ここでヘッドユニット62B,62Dがそれぞれ備える4個Xヘッド661〜664、665〜668のうち、隣接するXヘッド66(より正確には、Xヘッドが発する計測ビームのスケール上の照射点)のY軸方向の間隔WDは、前述のXスケール39X1,39X2のY軸方向の幅(より正確には、格子線37の長さ)よりも狭く設定されている。従って、露光時又はウエハアライメント時などには、ヘッドユニット62B,62Dがそれぞれ備える各4つのXヘッド66、すなわち8つのXヘッド66のうち少なくとも1つのヘッドが、常に、対応するXスケール39X1又は39X2に対向する。なお、ヘッドユニット62Bの最も−Y側のXヘッド665とヘッドユニット62Dの最も+Y側のXヘッド664との間隔は、ウエハステージWSTのY軸方向の移動により、その2つのXヘッド間で切り換え(つなぎ)が可能となるように、ウエハテーブルWTBのY軸方向の幅よりも狭く設定されている。
ヘッドユニット62Eは、図6に示されるように、セカンダリアライメント系AL21の−X側に配置され、前述の基準軸LA上に間隔WDとほぼ同一間隔で配置された3つのYヘッド671〜673と、基準軸LAから+Y方向に所定距離離れたセカンダリアライメント系AL21の+Y側に配置されたYヘッド674と、を備えている。ここで、Yヘッド673,674間のX軸方向の間隔もWDと設定されている。以下では、Yヘッド671〜674を、適宜、Yヘッド67とも記述する。
ヘッドユニット62Fは、前述の基準軸LV0に関して、ヘッドユニット62Eと対称であり、上記4つのYヘッド674〜671と基準軸LV0に関して対称に配置された4つのYヘッド681〜684を備えている。以下では、Yヘッド681〜684を、適宜、Yヘッド68とも記述する。
後述するアライメント動作の際などには、Yスケール39Y2,39Y1にYヘッド67p,68q(p,q=1〜4)のうちの少なくとも各1つがそれぞれ対向する。このYヘッド67p,68q(すなわち、これらYヘッド67p,68qによって構成されるYエンコーダ70E、70F)によってウエハステージWSTのY位置(及びθz回転)が計測される。
また、本実施形態では、後述するセカンダリアライメント系のベースライン計測時などに、セカンダリアライメント系AL21、AL24にX軸方向で隣接するYヘッド673,682が、FDバー46の一対の基準格子52とそれぞれ対向し、その一対の基準格子52と対向するYヘッド673,682によって、FDバー46のY位置が、それぞれの基準格子52の位置で計測される。以下では、一対の基準格子52にそれぞれ対向するYヘッド673,682によって構成されるエンコーダを、Yエンコーダ70E2,70F2と呼び、これとの識別のため前述のYスケール39Y2,39Y1に対向するYヘッド67,68によって構成されるYエンコーダ70E,70Fを、Yエンコーダ70E1,70F1と呼ぶ。
上述したエンコーダ70A〜70Fの計測値は、主制御装置20に供給され、主制御装置20は、エンコーダ70A〜70Dのうちの3つ、又は70B、70D、70E1、70F1のうちの3つの計測値に基づいて、ウエハステージWSTのXY平面内の位置を制御するとともに、エンコーダ70E2,70F2の計測値に基づいて、FDバー46(計測ステージMST)のθz方向の回転(ヨーイング)を制御する。
なお、図5では、計測ステージMSTの図示が省略されるとともに、その計測ステージMSTと先端レンズ191との間に保持される水Lqで形成される液浸領域が符号14で示されている。また、図5において、符号UP、LPは、基準軸LV0に関して対称に設定された、ウエハテーブルWTB上のウエハのアンロードが行われるアンローディングポジション、ウエハテーブルWTB上へのウエハのロードが行われるローディングポジションを、それぞれ示す。なお、アンローディングポジションUPとローディングポジションLPとを同一位置としても良い。
本実施形態の露光装置100では、図5及び図7に示されるように、例えば米国特許第5,448,332号明細書などに開示されるものと同様の構成の照射系90a及び受光系90bから成る斜入射方式の多点焦点位置検出系(以下、「多点AF系」と略述する)90が設けられている。本実施形態では、一例として、前述のヘッドユニット62Eの−X端部の+Y側に照射系90aが配置され、これに対峙する状態で、前述のヘッドユニット62Fの+X端部の+Y側に受光系90bが配置されている。なお、多点AF系90は、前述した投影ユニットPUを保持するメインフレームの下面に固定されている。
この多点AF系90(90a,90b)の複数の検出点は、被検面上でX軸方向に沿って所定間隔で配置されている。本実施形態では、複数の検出点は、例えば、1行M列(Mは検出点の総数)又は2行N列(N=M/2)のマトリックス状に配置される。図5及び図7では、それぞれ検出ビームが照射される複数の検出点が、個別に図示されず、照射系90a及び受光系90bの間でX軸方向に延びる細長い検出領域(ビーム領域)AFとして示されている。この検出領域AFは、X軸方向の長さがウエハWの直径と同程度に設定されているので、ウエハWをY軸方向に1回スキャンするだけで、ウエハWのほぼ全面でZ軸方向の位置情報(面位置情報)を計測できる。
図7に示されるように、多点AF系90(90a,90b)の検出領域AFの両端部近傍に、基準軸LV0に関して対称な配置で、各一対のZ位置計測用の面位置センサのヘッド(以下、「Zヘッド」と略述する)72a,72b、及び72c,72dが設けられている。Zヘッド72a〜72dは、不図示のメインフレームの下面に固定されている。
Zヘッド72a〜72dとしては、例えば、CDドライブ装置などで用いられる光ピックアップと同様の光学式の変位センサのヘッドが用いられる。Zヘッド72a〜72dは、ウエハテーブルWTBに対し上方から計測ビームを照射し、その反射光を受光して、照射点におけるウエハテーブルWTBの面位置を計測する。なお、本実施形態では、Zヘッドの計測ビームは、前述のYスケール39Y1,39Y2を構成する反射型回折格子によって反射される構成を採用している。
さらに、前述のヘッドユニット62A,62Cは、図6及び図7に示されるように、それぞれが備える5つのYヘッド65j,64i(i,j=1〜5)と同じX位置に、ただしY位置をずらして、それぞれ5つのZヘッド76j,74i(i,j=1〜5)を備えている。ここで、ヘッドユニット62A,62Cのそれぞれに属する外側の3つのZヘッド763〜765,741〜743は、基準軸LHから+Y方向に所定距離隔てて、基準軸LHと平行に配置されている。また、ヘッドユニット62A,62Cのそれぞれに属する最も内側のZヘッド761,745は投影ユニットPUの+Y側に、残りのZヘッド762,744はそれぞれYヘッド652,644の−Y側に、配置されている。そして、ヘッドユニット62A,62Cのそれぞれに属する5つのZヘッド76j,74iは、互いに基準軸LV0に関して対称に配置されている。なお、各Zヘッド76j,74iとしては、前述のZヘッド72a〜72dと同様の光学式変位センサのヘッドが採用される。
ヘッドユニット62A,62Cがそれぞれ備える5つのZヘッド76j,74iのうち隣接するZヘッド(より正確には、各Zヘッドが発する計測ビームのスケール上の照射点)のX軸方向の間隔は、Yヘッドの65,64のX軸方向の間隔WDと等しく設定されている。従って、露光時などには、Yヘッド65j,64iと同様に、それぞれ5個のZヘッド76j,74iのうち、少なくとも各1つが、常に、対応するYスケール39Y1,39Y2に対向する。
上述したZヘッド72a〜72d,741〜745,761〜765は、図10に示されるように、信号処理・選択装置160を介して主制御装置20に接続されている。主制御装置20は、信号処理・選択装置160を介してZヘッド72a〜72d,741〜745,761〜765の中から任意のZヘッドを選択して作動状態とし、その作動状態としたZヘッドで検出した面位置情報を信号処理・選択装置160を介して受け取る。本実施形態では、Zヘッド72a〜72d,741〜745,761〜765と、信号処理・選択装置160とを含んでウエハステージWSTのZ軸方向及びXY平面に対する傾斜方向の位置情報を計測する面位置計測システム180が構成されている。
さらに、本実施形態の露光装置100では、図5に示されるように、多点AF系の検出領域(ビーム領域)AFとヘッドユニット62C,62Aとの間に、X軸方向に延びる周辺露光ユニット51が配置されている。周辺露光ユニット51は、不図示のメインフレームの下面に不図示の支持部材を介して吊り下げ状態で支持されている。
周辺露光ユニット51は、照明光ILとほぼ同一波長の光を射出する不図示の光源と、該光源からの光が入射する周辺露光用アクティブマスク(以下、適宜、アクティブマスクと略述する)51a(図8参照)と、を有している。なお、光源からの光に代えて、例えば光ファイバを用いて、照明光ILをアクティブマスク51aに導いても良い。
周辺露光ユニット51(アクティブマスク51a)は、図5に示されるように、その長さがウエハWの直径より幾分長く設定されている。アクティブマスク51aは、一例として図8に示されるように、X軸方向の両端に一対の可変成形マスクVM1,VM2を有している。
可変成形マスクVM1,VM2のそれぞれとしては、一例として、XY平面内にマトリックス状に配置された複数のマイクロミラーMij(図9(A),図9(B)参照)を含むマイクロミラー・アレイが用いられている。このマイクロミラー・アレイは、CMOSプロセスで作られた集積回路上に、MEMS技術で可動式のマイクロミラーを形成したものである。各マイクロミラーMijは鏡面(反射面)を、所定の軸(例えばマイクロミラーの対角線に一致する軸)周りに所定角度範囲、±θ(θは例えば3度(又は12度))で傾斜させることができ、鏡面下部に設けた電極を駆動することにより「オン(ON)」(−θ)と「オフ(OFF)」(+θ)の2つの状態を持たせることができる。すなわち、各可変成形マスクは、ベース部となる基板と、該基板上に形成された可動式のマイクロミラーMijと、各マイクロミラーをオン・オフする電極とを備えている。
各マイクロミラーMijは、電極に供給される駆動信号によって、一例として、図9(A)に示される、光源からの光をウエハWに向けて反射する状態(又は姿勢)と、図9(B)に示される、光源からの光をウエハWに入射させない所定の向きに向けて反射する状態(又は姿勢)とのいずれかに設定される。以下では、前者をマイクロミラーMijのオン状態(又はオン姿勢)と呼び、後者をマイクロミラーMi,jのオフ状態(又はオフ姿勢)と呼ぶ。
主制御装置20は、各マイクロミラーMijを個別に、オン状態(又はオン姿勢)及びオフ状態(又はオフ姿勢)のいずれかに制御する。従って、本実施形態の周辺露光ユニット51によると、ウエハWのX軸方向の中心と周辺露光ユニット51の長手方向の中心とがほぼ一致した状態で、ウエハステージWSTをY軸方向に移動させることで、ウエハWのX軸方向の両端部近傍の任意の位置を露光して任意のパターンを形成することができる。すなわち、周辺露光ユニット51は、X軸方向に関して離れた周辺露光のための2つの照射領域を形成可能であるとともに、少なくともX軸方向に関してその位置が可変である。
図10には、露光装置100の制御系の主要な構成が示されている。この制御系は、装置全体を統括的に制御するマイクロコンピュータ(又はワークステーション)から成る主制御装置20を中心として構成されている。なお、図10においては、前述した照度むらセンサ94、空間像計測器96及び波面収差計測器98など、計測ステージMSTに設けられた各種センサが、纏めてセンサ群99として示されている。
次に、本実施形態の露光装置100における、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとを用いた並行処理動作について、図14〜図24に基づいて説明する。なお、以下の動作中、主制御装置20によって、局所液浸装置8の液体供給装置5及び液体回収装置6の各バルブの開閉制御が前述したようにして行われ、投影光学系PLの先端レンズ191の射出面側には常時水が満たされている。しかし、以下では、説明を分かり易くするため、液体供給装置5及び液体回収装置6の制御に関する説明は省略する。また、以後の動作説明は、多数の図面を用いて行うが、図面毎に同一の部材に符号が付されていたり、付されていなかったりしている。すなわち、図面毎に、記載している符号が異なっているが、それら図面は符号の有無に関わらず、同一構成である。これまでに説明に用いた、各図面についても同様である。
ここで、並行処理動作の説明に先立って、露光対象となるウエハW上に形成されるショット領域のサイズ及び配列、すなわちウエハWのショットマップ等について説明する。図11には、ウエハWの平面図が示されている。ウエハWのレジストが塗布された有効露光領域(図11では円形の外形の内部の領域に対応している)は、多数のショット領域Sj(図11では、j=1〜76)に区画されている。そして、一例として、ショット領域Sjは、それぞれ同一のデバイス(チップ)が2個形成される2個取りのショット領域であるとする。
本実施形態では、図12において黒塗りされている16個のショット領域(S2、S4、S6、S18、S20、S22、S24、S26、S51、S53、S55、S57、S59、S71、S73、S75)が、ウエハアライメント(EGA:Enhanced Global Alignment)のサンプルショット領域(アライメントショット領域)として、オペレータにより指定されているものとする。上記16個のサンプルショット領域のうち、3個のショット領域(S71、S73、S75)がファーストアライメントショット領域、5個のショット領域(S51、S53、S55、S57、S59)がセカンドアライメントショット領域、5個のショット領域(S18、S20、S22、S24、S26)がサードアライメントショット領域、3個のショット領域(S2、S4、S6)がフォースアライメントショット領域である。
また、本実施形態では、図13に示されるように、ウエハWの12個の周辺ショット(S1、S7、S8、S16、S17、S27、S50、S60、S61、S69、S70、S76)における、ウエハWのエッジ側の半分の領域(S1a、S7a、S8a、S16a、S17a、S27a、S50a、S60a、S61a、S69a、S70a、S76a)がそれぞれ周辺露光の対象領域(以下、周辺露光領域と呼ぶ)となっている。
以下で説明する、両ステージWST,MSTを用いた並行処理動作は、周辺露光に関する部分を除き、全体としては、例えば国際公開第2007/097379号(及びこれに対応する米国特許出願公開第2008/0088843号明細書)に開示された並行処理動作と同様の手順で行われる。
図14には、ウエハステージWST上に載置されたウエハWに対するステップ・アンド・スキャン方式の露光が行われている状態が示されている。この露光は、開始前に行われるウエハアライメント(EGA:Enhanced Global Alignment)等の結果に基づいて、ウエハW上の各ショット領域の露光のための走査開始位置(加速開始位置)へウエハステージWSTを移動するショット間移動と、各ショット領域に対してレチクルRに形成されたパターンを走査露光方式で転写する走査露光と、を繰り返すことにより行われる。また、露光は、ウエハW上の−Y側に位置するショット領域から+Y側に位置するショット領域の順で行われる。なお、投影ユニットPUとウエハWとの間に液浸領域14が形成された状態で行われる。
上述の露光中、主制御装置20により、ウエハステージWSTのXY平面内の位置(θz方向の位置(θz回転)を含む)は、2つのYエンコーダ70A,70Cと、2つのXエンコーダ70B,70Dの一方との合計3つのエンコーダの計測結果に基づいて制御されている。ここで、2つのXエンコーダ70B,70Dは、Xスケール39X1,39X2のそれぞれに対向する2つのXヘッド66によって構成され、2つのYエンコーダ70A,70Cは、Yスケール39Y1,39Y2のそれぞれに対向するYヘッド65、64により構成される。また、ウエハステージWSTのZ位置とθy回転(ローリング)は、ウエハテーブルWTB表面のX軸方向一側と他側の端部にそれぞれ対向する、ヘッドユニット62C,62Aにそれぞれ属するZヘッド74i,76jの計測値に基づいて制御されている。ウエハステージWSTのθx回転(ピッチング)は、Y干渉計16の計測値に基づいて制御されている。なお、ウエハテーブルWTBの第2撥水板28bの表面にZヘッド74i、76jを含む3個以上のZヘッドが対向する場合には、Zヘッド74i、76j及びその他の1つのZヘッドの計測値に基づいて、ウエハステージWSTのZ軸方向の位置、θy回転(ローリング)及びθx回転(ピッチング)を制御することも可能である。いずれにしても、ウエハステージWSTのZ軸方向の位置、θy回転、及びθx回転の制御(すなわちウエハWのフォーカス・レベリング制御)は、事前に行われるフォーカスマッピングの結果に基づいて行われている。
図14に示される、ウエハステージWSTの位置では、Xスケール39X1にはXヘッド665(図14中に丸で囲んで示されている)が対向するが、Xスケール39X2に対向するXヘッド66はない。そのため、主制御装置20は、1つのXエンコーダ70Bと2つのYエンコーダ70A,70Cを用いて、ウエハステージWSTの位置(X,Y,θz)制御を実行している。ここで、図14に示される位置からウエハステージWSTが−Y方向に移動すると、Xヘッド665はXスケール39X1から外れ(対向しなくなり)、代わりにXヘッド664(図14中に破線の丸で囲んで示されている)がXスケール39X2に対向する。そこで、主制御装置20は、1つのXエンコーダ70Dと2つのYエンコーダ70A,70Cを用いるウエハステージWSTの位置(及び速度)の制御(以下、適宜、ステージ制御と略述する)に切り換える。
また、図14に示される位置にウエハステージWSTがあるとき、Zヘッド743,763(図14中に丸で囲んで示されている)がそれぞれYスケール39Y2,39Y1に対向している。そのため、主制御装置20は、Zヘッド743,763を用いて、ウエハステージWSTの位置(Z,θy)制御を実行している。ここで、図14に示される位置からウエハステージWSTが+X方向に移動すると、Zヘッド743,763は対応するYスケールから外れ、代わりにZヘッド744,764(図中に破線の丸で囲んで示されている)がそれぞれYスケール39Y2,39Y1に対向する。そこで、主制御装置20は、Zヘッド744,764を用いるステージ制御に切り換える。
このように、主制御装置20は、ウエハステージWSTの位置座標に応じて、使用するエンコーダとZヘッドを絶えず切り換えて、ステージ制御を実行している。
なお、上述の計測器類を用いたウエハステージWSTの位置計測と独立に、干渉計システム118を用いたウエハステージWSTの位置(X,Y,Z,θx,θy,θz)計測が、常時、行われている。ここで、干渉計システム118を構成するX干渉計126,127,又は128を用いてウエハステージWSTのX位置とθz回転量(ヨーイング量)が、Y干渉計16を用いてY位置、θx回転量、及びθz回転量が、Z干渉計43A,43Bを用いてY位置、Z位置、θy回転量、及びθz回転量が計測される。X干渉計126,127,及び128は、ウエハステージWSTのY位置に応じて、いずれか1つが使用される。露光中は、図14に示されるように、X干渉計126が使用される。干渉計システム118の計測結果は、ピッチング量(θx回転量)を除き、補助的に、又は、後述するバックアップの際、あるいはエンコーダシステム150及び/又は面位置計測システム180による計測が出来ないときなどにウエハステージWSTの位置制御に利用される。
ウエハWの露光が終了すると、主制御装置20は、ウエハステージWSTをアンロードポジションUPに向けて駆動する。その際、露光中には互いに離れていたウエハステージWSTと計測ステージMSTとが、接触あるいは300μm程度の離間距離を挟んで近接して、スクラム状態に移行する。ここで、計測テーブルMTB上のFDバー46の−Y側面とウエハテーブルWTBの+Y側面とが接触あるいは近接する。このスクラム状態を保って、両ステージWST,MSTが−Y方向に移動することにより、投影ユニットPUの下に形成される液浸領域14は、計測ステージMST上に移動する。例えば図15、図16には、移動後の状態が示されている。
ウエハステージWSTが、更に−Y方向へ移動して有効ストローク領域(ウエハステージWSTが露光時及びウエハアライメント時に移動する領域)から外れると、エンコーダシステム150を構成する全てのXヘッド、Yヘッド及び面位置計測システム180の全てのZヘッドが、ウエハテーブルWTB上の対応するスケールから外れる。そのため、エンコーダシステム150及び面位置計測システム180の計測結果に基づくステージ制御が不可能になる。そこで、主制御装置20は、エンコーダシステム150及び面位置計測システム180の計測結果に基づくステージ制御が不可能になる直前に、両システム150,180の計測結果に基づくステージ制御から干渉計システム118の計測結果に基づくステージ制御に切り換える。ここでは、3つのX干渉計126,127,128のうちX干渉計128が使用される。
その後、図15に示されるように、ウエハステージWSTは、計測ステージMSTとのスクラム状態を解除し、アンローディングポジションUPに移動する。移動後、主制御装置20は、ウエハテーブルWTB上のウエハWをアンロードする。そして、主制御装置20は、図16に示されるように、ウエハステージWSTを+X方向に駆動してローディングポジションLPに移動させ、ウエハテーブルWTB上に次のウエハWをロードする。
これらの動作と並行して、主制御装置20は、計測ステージMSTに支持されたFDバー46のXY平面内での位置調整と、4つのセカンダリアライメント系AL21〜AL24のベースライン計測と、を行うSec-BCHK(セカンダリ・ベースライン・チェック)を実行する。Sec-BCHKはウエハ交換毎にインターバル的に行われる。ここで、FDバー46のθz回転量を計測するために、前述のYエンコーダ70E2,70F2が使用される。
次に、主制御装置20は、図17に示されるように、ウエハステージWSTを駆動し、計測プレート30上の基準マークFMをプライマリアライメント系AL1の検出視野内に位置決めし、アライメント系AL1,AL21〜AL24のベースライン計測の基準位置を決定するPri-BCHK(プライマリ・ベースライン・チェック)の前半の処理を行う。
このとき、図17に示されるように、2つのYヘッド682,673と1つのXヘッド661(図中に丸で囲んで示されている)が、それぞれYスケール39Y1,39Y2とXスケール39X2に対向するようになる。そこで、主制御装置20は、干渉計システム118からエンコーダシステム150(エンコーダ70E1,70F1,70D)を用いたステージ制御へ切り換える。干渉計システム118は、ウエハステージWSTのθx回転量の計測を除き、再び補助的に使用される。なお、3つのX干渉計126,127,128のうちX干渉計127が使用される。
次に、主制御装置20は、上述の3つのエンコーダの計測値に基づいて、ウエハステージWSTの位置を管理しつつ、3つのファーストアライメントショット領域に付設されたアライメントマークを検出する位置へ向けてのウエハステージWSTの+Y方向への移動を開始する。
そして、ウエハステージWSTが図18に示される位置に到達すると、主制御装置20は、ウエハステージWSTを停止する。これに先立って、主制御装置20は、Zヘッド72a〜72dの全部又は一部がウエハテーブルWTBと対向した時点又はその前の時点で、それらZヘッド72a〜72dを作動させ(オンにし)、ウエハステージWSTのZ位置及び傾斜量(θy回転量)の計測を開始する。
ウエハステージWSTの停止後、主制御装置20は、プライマリアライメント系AL1,セカンダリアライメント系AL22,AL23を用いて、3つのファーストアライメントショット領域に付設されたアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出し(図18中の星マーク参照)、上記3つのアライメント系AL1,AL22,AL23の検出結果とその検出時の上記3つのエンコーダの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。
上述のように本実施形態では、ファーストアライメントショット領域のアライメントマークの検出を行う位置で、計測ステージMSTとウエハステージWSTとの接触状態(又は近接状態)への移行が完了し、その位置から、主制御装置20によって、その接触状態(又は近接状態)での両ステージWST,MSTの+Y方向への移動(5つのセカンドアライメントショット領域に付設されたアライメントマークを検出する位置に向かってのステップ移動)が開始される。この両ステージWST,MSTの+Y方向への移動開始に先立って、主制御装置20は、図18に示されるように、多点AF系(90a,90b)の検出ビームのウエハテーブルWTBへの照射を開始する。これにより、ウエハテーブルWTB上に多点AF系の検出領域が形成される。
そして、上記の両ステージWST,MSTの+Y方向への移動中に、図19に示される位置に両ステージWST,MSTが到達すると、主制御装置20は、基準軸LV0にウエハテーブルWTBのセンターラインが一致した状態におけるZヘッド72a,72b、72c,72dの計測値(ウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報)と、多点AF系(90a,90b)による計測プレート30表面の検出結果(面位置情報)との関係を求める、フォーカスキャリブレーション前半の処理を行う。このとき、液浸領域14は、FDバー46上面に形成されている。
そして、両ステージWST,MSTが接触状態(又は近接状態)を保ったまま+Y方向へ更に移動し、図20に示される位置に到達すると、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いて、5つのセカンドアライメントショット領域に付設されたアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出し(図20中の星マーク参照)、上記5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出結果とその検出時のウエハステージWSTのXY平面内の位置を計測している3つのエンコーダの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。このとき、主制御装置20は、Xスケール39X2に対向するXヘッド662(Xリニアエンコーダ70D)及びYリニアエンコーダ70E1,70F1の計測値に基づいて、ウエハステージWSTのXY平面内の位置を制御している。
また、主制御装置20は、上記の5つのセカンドアライメントショット領域に付設されたアライメントマークの検出の終了後、接触状態(又は近接状態)での両ステージWST,MSTの+Y方向への移動を再び開始すると同時に、図20に示されるように、Zヘッド72a〜72dと多点AF系(90a,90b)とを用いて、ウエハW表面のZ軸方向に関する位置情報(面位置情報)を検出するフォーカスマッピングを開始する。
そして、このフォーカスマッピングの開始後、図21に示される位置に、両ステージWST,MSTが、到達するまでの間に、主制御装置20は、Yリニアエンコーダ70E1,70F1によって計測される、ウエハステージWSTのY位置に応じて、周辺露光ユニット51の2つの可変成形マスクVM1,VM2を構成する各マイクロミラーMijのオン・オフを個別に制御することで、図25(A)、図25(B)、図25(C)に示されるように、周辺露光領域S70a及びS76a、S61a及びS69a、S50a及びS60aを順次露光する。この場合、主制御装置20は、周辺露光ユニット51を用いて、各周辺露光領域を全面的に露光しても良いし、所定のパターンを形成しても良い。
そして、両ステージWST,MSTが、図21に示される計測プレート30が投影光学系PLの直下に配置される位置に到達すると、主制御装置20は、ウエハステージWSTの投影光学系PLの光軸方向に関する位置(Z位置)の制御に用いるZヘッドを、Zヘッド74i、76jに切り換えることなく、Zヘッド72a,72b、72c,72dによって計測される面位置情報を基準とする、ウエハステージWST(計測プレート30)のZ位置制御を継続した状態で、次のようなフォーカスキャリブレーション後半の処理を行う。すなわち、主制御装置20は、Zヘッド72a〜72dによって計測される面位置情報を基準として、計測プレート30(ウエハステージWST)の投影光学系PLの光軸方向に関する位置(Z位置)を制御しつつ、空間像計測装置45を用いて、レチクルR、又はレチクルステージRST上の不図示のマーク板に形成された計測マークの空間像を、例えば国際公開第2005/124834号(及びこれに対応する米国特許出願公開第2008/030715号明細書)などに開示される、Z方向スキャン計測で計測し、その計測結果に基づいて投影光学系PLのベストフォーカス位置を測定する。主制御装置20は、上記のZ方向スキャン計測中、空間像計測装置45からの出力信号の取り込みと同期して、ウエハテーブルWTBのX軸方向の一側と他側の端部における面位置情報を計測する一対のZヘッド743、763の計測値を取り込む。そして、投影光学系PLのベストフォーカス位置に対応するZヘッド743、763の値を不図示のメモリに記憶する。なお、フォーカスキャリブレーションの後半の処理で、Zヘッド72a〜72dによって計測される面位置情報を基準として、計測プレート30(ウエハステージWST)の投影光学系PLの光軸方向に関する位置(Z位置)を制御するのは、このフォーカスキャリブレーションの後半の処理は、前述したフォーカスマッピングの途中で行なわれるからである。
また、主制御装置20は、上記のフォーカスキャリブレーション後半の処理と前後して、次のようなPri-BCHKの後半の処理を行う。すなわち、主制御装置20は、投影光学系PLによって投影されたレチクルR上の一対の計測マークの投影像(空間像)を、空間像計測装置45を用いて、例えば、米国特許出願公開第2002/0041377号明細書などに開示される方法と同様に、一対の空間像計測スリットパターンSLを用いたスリットスキャン方式の空間像計測動作にて、それぞれ計測し、その計測結果(ウエハテーブルWTBのXY位置に応じた空間像強度)をメモリに記憶する。このPri-BCHKの後半の処理に際しては、ウエハテーブルWTBのXY平面内の位置は、Xスケール39X2に対向するXヘッド664(エンコーダ70D)と、Yスケール39Y1,39Y2に対向する2つのYヘッド673,682(エンコーダ70E1,70F1)(又はYヘッド65j、64i(エンコーダ70A,70C))とに基づいて制御される。
そして、主制御装置20は、前述のPri-BCHKの前半の処理の結果とPri-BCHKの後半の処理の結果とに基づいて、プライマリアライメント系AL1のベースラインを算出する。これとともに、主制御装置20は、前述のフォーカスキャリブレーション前半の処理及び後半の処理の結果に基づいて、多点AF系(90a,90b)の代表的な検出点におけるオフセットを求め、内部メモリに格納する。そして、主制御装置20は、露光時に、フォーカスマッピングの結果得られたマッピング情報を読み出す際に、そのマッピング情報にオフセット分を加算することとしている。
なお、図21の状態では、前述のフォーカスマッピングは続行されている。
上記の接触状態(又は近接状態)での両ステージWST,MSTの+Y方向への移動により、ウエハステージWSTが、図22に示される位置に達すると、主制御装置20は、ウエハステージWSTをその位置で停止させるとともに、計測ステージMSTについては、そのまま+Y方向への移動を続行させる。そして、主制御装置20は、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いて、5つのサードアライメントショット領域に付設されたアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出し(図22中の星マーク参照)、上記5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出結果とその検出時の上記3つのエンコーダの計測値とを関連付けて内部メモリに格納する。また、この時点でも、フォーカスマッピングは続行されている。
一方、上記のウエハステージWSTの停止から所定時間後に、計測ステージMSTとウエハステージWSTとは、接触(又は近接状態)から離間状態に移行する。この離間状態に移行後、主制御装置20は、計測ステージMSTが、露光開始まで待機する露光開始待機位置に達すると、その位置で停止させる。
次に、主制御装置20は、3つのフォースアライメントショットに付設されたアライメントマークを検出する位置へ向けてのウエハステージWSTの+Y方向への移動を開始する。このとき、フォーカスマッピングは続行されている。一方、計測ステージMSTは、上記露光開始待機位置で待機している。
前述のフォーカスキャリブレーションの終了後、両ステージWST,MSTが、+Y方向に移動を開始して、図23に示される位置に到達するまでの間に、主制御装置20は、Yリニアエンコーダ70E1,70F1によって計測される、ウエハステージWSTのY位置に応じて、周辺露光ユニット51の2つの可変成形マスクVM1,VM2を構成する各マイクロミラーMijのオン・オフを個別に制御することで、図25(D)、図25(E)に示されるように、周辺露光領域S17a及びS27a、S8a及びS16aを順次露光する。この場合も、主制御装置20は、周辺露光ユニット51を用いて、各周辺露光領域を全面的に露光しても良いし、所定のパターンを形成しても良い。
そして、ウエハステージWSTが図23に示される位置に到達すると、主制御装置20は、直ちにウエハステージWSTを停止させ、プライマリアライメント系AL1,セカンダリアライメント系AL22,AL23を用いて、ウエハW上の3つのフォースアライメントショット領域に付設されたアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出し(図23中の星マーク参照)、上記3つのアライメント系AL1,AL22,AL23の検出結果とその検出時の4つのエンコーダ(例えば70E1,70E2,70B,70D)のうちの3つのエンコーダの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。この時点でも、フォーカスマッピングは続行され、計測ステージMSTは、上記露光開始待機位置で待機したままである。そして、主制御装置20は、このようにして得た合計16個のアライメントマークの検出結果と対応するエンコーダの計測値とを用いて、例えば特開昭61−044429号公報などに開示される統計演算を行って、エンコーダシステムの上記4つのエンコーダ70E1,70E2,70B,70Dの計測軸で規定される座標系上におけるウエハW上の全てのショット領域の配列情報(座標値)を算出する。
次に、主制御装置20は、ウエハステージWSTを再度+Y方向へ移動させながら、フォーカスマッピングを続行する。このウエハステージWSTの+Y方向の移動中に、主制御装置20は、Yリニアエンコーダ70E1,70F1によって計測される、ウエハステージWSTのY位置に応じて、周辺露光ユニット51の2つの可変成形マスクVM1,VM2を構成する各マイクロミラーMijのオン・オフを個別に制御することで、図25(F)に示されるように、周辺露光領域S1a及びS7aを順次露光する。この場合も、主制御装置20は、周辺露光ユニット51を用いて、各周辺露光領域を全面的に露光しても良いし、所定のパターンを形成しても良い。これにより、ウエハWの周辺露光が終了し、図26に示されるように、周辺露光領域S1a、S7a、S8a、S16a、S17a、S27a、S50a、S60a、S61a、S69a、S70a、S76aは、それぞれ露光済みの領域となる。
そして、さらにウエハステージWSTが+Y方向に移動し、図24に示されるように、多点AF系(90a,90b)からの検出ビームがウエハW表面から外れると、フォーカスマッピングを終了する。
その後、主制御装置20は、ウエハステージWSTを、ウエハW上のファーストショットの露光のための走査開始位置(露光開始位置)に移動させるが、その移動の途中で、ウエハステージWSTのZ位置、θy回転及びθx回転を維持したまま、ウエハステージWSTのZ位置、θy回転の制御に用いるZヘッドを、Zヘッド72a〜72dから、Zヘッド74i、74jに切り換える。その切り換え後、直ちに、主制御装置20は、前述のウエハアライメント(EGA)の結果及び最新の5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24のベースライン等に基づいて、ステップ・アンド・スキャン方式の露光を、液浸露光にて行い、ウエハW上の複数のショット領域にレチクルパターンを順次転写する。以降、同様の動作が繰り返し行われる。
以上詳細に説明したように、本実施形態の露光装置100によると、ウエハステージWSTがY軸方向に直線的に移動する間に、複数の検出点がX軸方向に所定間隔で設定される多点AF系(90a,90b)によってウエハW表面の面位置情報が検出され、X軸方向に沿って一列に検出領域が配列される複数のアライメント系AL1,AL21〜AL24によってウエハW上で互いに位置が異なるアライメントマークが検出され、さらに周辺露光ユニット51によって、ウエハWの周辺露光が行なわれる。すなわち、ウエハステージWST(ウエハW)が、多点AF系(90a,90b)の複数の検出点(検出領域AF)と、複数のアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出領域と、周辺露光ユニット51の下方とを、直線的に通過するだけで、ウエハWのほぼ全面の面位置情報の検出と、ウエハW上で検出すべき全てのアライメントマーク(例えば、EGAにおけるアライメントショット領域のアライメントマーク)の検出と、ウエハWの周辺露光との3つの動作が終了する。従って、アライメントマークの検出動作と、面位置情報(フォーカス情報)の検出動作と、周辺露光動作と、を無関係に(別々に)行う場合に比べて格段スループットを向上させることができる。すなわち、周辺露光動作に要する時間を、ウエハアライメント動作時間にほぼオーバーラップさせることができるので、周辺露光動作がスループットを殆ど低下させることがない。
また、本実施形態によると、計測の短期安定性が良好なエンコーダ70A〜70F等を含むエンコーダシステム150によってウエハテーブルWTBのXY平面内の位置情報が、空気揺らぎなどの影響を受けることなく、高精度に計測されるとともに、Zヘッド72a〜72d、741〜745、及び761〜765等を含む面位置計測システム180によってウエハテーブルWTBのXY平面に直交するZ軸方向における位置情報が、空気揺らぎなどの影響を受けることなく、高精度に計測される。この場合、エンコーダシステム150及び上記面位置計測システム180の両者とも、ウエハテーブルWTB上面を直接的に計測しているので、シンプルでかつ直接的なウエハテーブルWTB、ひいてはウエハWの位置制御が可能になる。
また、本実施形態によると、前述したフォーカスマッピングの際に、主制御装置20により、面位置計測システム180と多点AF系(90a,90b)とが同時に作動され、多点AF系(90a,90b)の検出結果が、面位置計測システム180の計測結果を基準としたデータに換算される。従って、予めこの換算データを取得しておくことで、その後に、面位置計測システム180によってウエハテーブルWTBのZ軸方向の位置情報、及びXY平面に対する傾斜方向の位置情報を計測するのみで、ウエハWの面位置情報を取得することなく、ウエハWの面位置制御が可能になる。従って、本実施形態では、先端レンズ191とウエハW表面との間のワーキングディスタンスが狭くなっているにもかかわらず、特に支障なく、露光の際のウエハWのフォーカス・レベリング制御を精度良く実行することができる。
また、本実施形態によると、上述の如く、ウエハテーブルWTB、ひいてはウエハWの面位置を高精度に制御できるので、面位置制御誤差に起因する露光不良の殆どない高精度な露光が可能になり、これによりパターンの像を、デフォーカスによる像ぼけを伴うことなく、ウエハW上に形成することが可能になる。
また、本実施形態によると、Y軸方向を計測方向とする複数のYヘッド64,65のX軸方向の配置間隔は、Yスケール39Y1,39Y2のX軸方向の幅より狭く、X軸方向を計測方向とする複数のXヘッド66のY軸方向の配置間隔は、Xスケール39X1,39X2のY軸方向の幅より狭い。このため、ウエハテーブルWTB(ウエハステージWST)を移動させる際に、複数のYヘッド64,65を順次切り換えながら、Yスケール39Y1又は39Y2に検出光(ビーム)を照射するYリニアエンコーダ70A又は70Cの計測値に基づいて、ウエハテーブルWTB(ウエハステージWST)のY位置を計測することができ、これと並行して複数のXヘッド66を順次切り換えながら、Xスケール39X1又は39X2に検出光(ビーム)を照射するXリニアエンコーダ70B又は70Dの計測値に基づいて、ウエハテーブルWTB(ウエハステージWST)のX位置を計測することができる。
また、上記実施形態では、ウエハWの露光が行なわれる露光位置(投影ユニットPU下方の液浸領域14が形成される位置)からY軸方向に離れて、アライメント系(AL1、AL21〜AL4)、及び多点AF系90、並びに周辺露光ユニット51が、配置された場合について例示したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、アライメント系(AL1、AL21〜AL24)、及び多点AF系90の一方は上記の位置に配置されていなくても良い。かかる場合であっても、その他方の計測装置によるウエハの計測のため、ウエハステージWSTを露光位置に向かってY軸方向に移動させるのと並行して、ウエハの周辺露光とを行なうことができる。従って、周辺露光に要する時間を、他の処理時間にオーバーラップさせることができるので、スループットの向上が可能である。
あるいは、アライメント系(AL1、AL21〜AL24)、及び多点AF系(90a,90b)の両方が、上記の位置に配置されていなくても良い。ただし、この場合には、ウエハに対して何らかの計測を行う計測装置を、上記アライメント系(AL1、AL21〜AL4)、及び多点AF系(90a,90b)と同様の位置に配置する。
なお、上記実施形態では、ウエハステージWSTのY軸方向位置の計測に用いられる一対のYスケール39Y1,39Y2と、X軸方向位置の計測に用いられる一対のXスケール39X1,39X2とが、ウエハテーブルWTB上に設けられ、これに対応して、一対のヘッドユニット62A,62Cが投影光学系PLを挟んでX軸方向の一側と他側に配置され、2つのヘッドユニット62B、62Dが投影光学系PLを挟んでY軸方向の一側と他側に配置される場合について例示した。しかしながら、これに限らず、Y軸方向位置の計測用のYスケール39Y1,39Y2及びX軸方向位置の計測用のXスケール39X1,39X2のうち、少なくとも一方が一対でなく1つのみ、ウエハテーブルWTB上に設けられていても良いし、あるいは、一対のヘッドユニット62A,62C及び2つのヘッドユニット62B、62Dのうち、少なくとも一方が、1つのみ設けられていても良い。また、スケールの延設方向及びヘッドユニットの延設方向は、上記実施形態のX軸方向、Y軸方向のような直交方向に限定されるものではなく、相互に交差する方向であれば良い。
また、上記実施形態では、ヘッドユニット62A〜62Dは、所定間隔で配置された複数のヘッドを有するものとしたが、これに限らず、Yスケール又はXスケールのピッチ方向に細長く延びる領域に光ビームを射出する光源と、光ビームのYスケール又はXスケール(回折格子)からの反射光(回折光)を受光する、Yスケール又はXスケールのピッチ方向に隙間無く配列された多数の受光素子とを備えた単一のヘッドを採用しても良い。
なお、上記実施形態では、ウエハステージWST、計測ステージMST、アライメント系(AL1、AL21〜AL24)、多点AF系(90a,90b)、Zセンサ、干渉計システム118、及びエンコーダシステム(70A〜70F)などの全てを備えた露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、計測ステージMSTなどが設けられていない露光装置にも、本発明は適用が可能である。本発明は、上記各構成部分のうち、ウエハステージ(移動体)とこれ以外の一部の構成部分とを備えていれば適用が可能である。すなわち、ウエハWの露光が行なわれる露光位置から離れた、上記アライメント系(AL1、AL21〜AL4)、及び多点AF系(90a,90b)と同様の位置に、ウエハに対して何らかの計測を行う計測装置が設けられているのであれば、本発明を適用できる。
なお、上記実施形態では、周辺露光ユニット51が、アライメント系(AL1、AL21〜AL4)(及び多点AF系(90a,90b))の投影ユニットPU側に配置された場合について例示したが、これに限らず、周辺露光ユニットは、アライメント系(AL1、AL21〜AL4)(及び多点AF系(90a,90b))のアンローディングポジションUP及びローディングポジションLP側に配置されていても良い。
また、上記実施形態では、ウエハステージWSTが、ローディングポジションLPから露光位置(投影ユニットPU)に向かって進む往路で、ウエハWの周辺露光が行われる場合を例示したが、これに限らず、露光位置(投影ユニットPU)からアンローディングポジションUPに向かう復路で周辺露光が行われても良いし、あるいは、往路と復路の両方で1枚のウエハの周辺露光が行われても良い。
また、上記実施形態では、X軸方向に関して離れた2つの周辺露光のための照射領域を照射可能な周辺露光ユニット51を用いる場合を例示したが、周辺露光ユニットの構成はこれに限定されない。ただし、周辺露光ユニットは、複数の照射領域が、上記周辺露光ユニット51と同様に、少なくともX軸方向に関してその位置が可変であることが望ましい。
また、上記実施形態では、ウエハステージWST(ウエハW)が、多点AF系(90a,90b)の複数の検出点(検出領域AF)と、複数のアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出領域と、周辺露光ユニット51の下方とを、直線的に通過するだけで、ウエハWのほぼ全面の面位置情報の検出と、ウエハW上で検出すべき全てのアライメントマークの検出と、ウエハWの周辺露光との3つの動作が終了する場合について説明した。しかし、これに限らず、ウエハステージWST(ウエハW)のローディングポジションから露光位置までの移動と並行して周辺露光動作の少なくとも一部が行われるだけでも良い。この場合において、さらに、計測動作(マーク検出などを含む)の少なくとも一部が並行して行われる場合には、更なるスループットの向上を図ることができる。すなわち、ウエハステージWST(ウエハW)のローディングポジションから露光位置までの移動中に周辺露光動作の少なくとも一部が行われれば足り、その他のことは、必須ではない。
また、上記実施形態では、計測システム200が、干渉計システム118とエンコーダシステム150との両方を含むものとしたが、これに限らず、計測システムは、干渉計システム118とエンコーダシステム150との一方のみを含んでいても良い。
《第2の実施形態》
以下、本発明の第2の実施形態について、図27〜図39に基づいて説明する。
図27には、第2の実施形態の露光装置500の構成が概略的に示されている。露光装置500は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。
露光装置500は、照明系10、レチクルステージRST、投影ユニットPU、ウエハステージWST及び計測ステージMSTを有するステージ装置50、及びこれらの制御系等を備えている。図27において、ウエハステージWST上には、ウエハWが載置されている。露光装置500は、前述の第1の実施形態の露光装置100と比べて、前述のウエハテーブルWTBに代えてウエハテーブルWTB’が用いられるとともに、エンコーダシステム150の構成が相違する点を除き、第1の実施形態の露光装置100と同様に構成されている。以下では、相違点を中心として説明を行うとともに、前述した第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については、同一の符号を用いるとともに、説明を簡略若しくは省略する。さらに、説明の簡略化のため、ウエハWの周辺露光及びフォーカス・レベリング制御に関連する構成等については、その説明を省略する。
ステージ装置50は、前述の第1の実施形態と同様、図27に示されるように、ベース盤12上に配置されたウエハステージWST及び計測ステージMSTを備えている。ステージ装置50は、さらに、両ステージWST,MSTの位置情報を計測する計測システム200、及び両ステージWST,MSTを駆動するステージ駆動系124等(図27では、いずれも不図示、図32参照)を備えている。計測システム200は、図32に示されるように、干渉計システム118及びエンコーダシステム150などを含む。
ウエハステージWSTは、ステージ本体91と、該ステージ本体91上に搭載されたウエハテーブルWTB’とを含む。ウエハテーブルWTB’及びステージ本体91は、例えばリニアモータ及びZ・レベリング機構(ボイスコイルモータなどを含む)を含む駆動系によって、ベース盤12に対し、6自由度方向(X、Y、Z、θx,θy,θz)に駆動可能に構成されている。
ウエハテーブルWTB’の上面の中央には、ウエハWを真空吸着等によって保持するウエハホルダ(不図示)が設けられている。ウエハホルダ(ウエハの載置領域)の外側には、図28に示されるように、ウエハホルダよりも一回り大きな円形の開口が中央に形成され、かつ矩形状の外形(輪郭)を有するプレート(撥液板)28’が設けられている。プレート28’の表面は、液体Lqに対して撥液化処理されている。なお、プレート28’は、その表面の全部、あるいは一部がウエハWの表面と同一面となるように設置されている。
プレート28’は、ウエハテーブルWTBのX軸方向の中央に位置し、その中央に上述の円形の開口が形成された矩形の外形(輪郭)を有する第1撥液領域28a’と、該第1撥液領域28a’をX軸方向に挟んでウエハテーブルWTBの+X側端部、−X側端部に位置する長方形の一対の第2撥液領域28b’と、を有する。なお、本第2の実施形態では、液浸用の液体Lqとして水を用いるので、以下では第1及び第2撥液領域28a’,28b’をそれぞれ第1及び第2撥水板28a’,28b’とも呼ぶ。
第1撥水板28a’の+Y側の端部近傍には、基準マークFMと、該基準マークFMを挟む一対の空間像計測スリットパターン(スリット状の計測用パターン)SLとが形成された計測プレート30が設けられている。各空間像計測スリットパターンSLに対応して、それらを透過する照明光ILを、ウエハステージWST外部、具体的は、計測テーブルMTB(及びステージ本体92)に設けられた前述の受光系(不図示)に導く送光系(不図示)が設けられている。すなわち、本第2の実施形態においても、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとがY軸方向に関して所定距離以内に近接した状態(接触状態を含む)において、ウエハステージWST上の計測プレート30の各空間像計測スリットパターンSLを透過した照明光ILを各送光系(不図示)で案内し、計測ステージMST内の各受光系(不図示)の受光素子で受光する、空間像計測装置45(図32参照)が構成される。
一対の第2撥水板28b’には、後述のエンコーダシステムのための移動スケールが形成されている。詳述すると、一対の第2撥水板28b’には、それぞれ、移動スケール39A,39Bが形成されている。移動スケール39A,39Bはそれぞれ、例えばY軸方向を周期方向とする回折格子とX軸方向を周期方向とする回折格子とが組み合わされた、反射型の二次元回折格子によって構成されている。二次元回折格子の格子線のピッチは、Y軸方向及びX軸方向のいずれの方向についても、例えば1μmと設定されている。なお、図28では、図示の便宜のため、格子のピッチは、実際のピッチよりも大きく図示されている。その他の図においても同様である。
なお、この場合も、回折格子を保護するために、前述と同様、撥水性を備えた、例えば低熱膨張率のガラス板でカバーすることも有効である。
なお、各第2撥水板28b’の移動スケールの端付近には、後述するエンコーダヘッドと移動スケール間の相対位置を決めるための、前述と同様に構成された不図示の位置出しパターンがそれぞれ設けられている。
図28に示されるように、ウエハテーブルWTB’の−Y端面,−X端面には、反射面17a,反射面17bが形成されている。図29に示されるように、干渉計システム118(図32参照)のY干渉計16、並びに3つのX干渉計126〜128は、これらの反射面17a,17bにそれぞれ干渉計ビーム(測長ビーム)B41,B42,B51,B52,B6,B7等を照射する。そして、Y干渉計16、並びに3つのX干渉計126〜128は、それぞれの反射光を受光して、ウエハステージWSTのXY平面内の位置情報を計測し、この計測した位置情報を主制御装置20に供給する。本第2の実施形態においても、主制御装置20は、Y干渉計16及びX干渉計126又は127の計測結果に基づいて、ウエハテーブルWTB’(ウエハステージWST)のX,Y位置に加え、θx方向の回転情報(すなわちピッチング)、θy方向の回転情報(すなわちローリング)、及びθz方向の回転情報(すなわちヨーイング)も算出することができる。
また、図27に示されるように、ステージ本体91の−Y側の側面に、凹形状の反射面を有する移動鏡41が取り付けられている。
干渉計システム118の一部を構成する一対のZ干渉計43A,43Bは、移動鏡41を介して、固定鏡47A,47Bにそれぞれ2つの測長ビームB1,B2を照射し、それぞれの反射光を受光して、測長ビームB1,B2の光路長を計測する。その結果より、主制御装置20は、ウエハステージWSTの4自由度(Y,Z,θy,θz)方向の位置を算出する。
本第2の実施形態では、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB’)のXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、主として、後述するエンコーダシステム150(図32参照)を用いて計測される。干渉計システム118は、ウエハステージWSTがエンコーダシステムの計測領域外(例えば、図30に示されるアンローディングポジションUP又はローディングポジションLP付近)に位置する際に、使用される。また、エンコーダシステムの計測結果の長期的変動(例えばスケールの経時的な変形などによる)を補正(較正)する場合、あるいはエンコーダシステムの出力異常時のバックアップ用などとして補助的に使用される。勿論、干渉計システム118とエンコーダシステムとを併用して、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB’)の位置を制御することとしても良い。
なお、図32においても、ウエハステージWSTの駆動系と計測ステージMSTの駆動系とを含んで、ステージ駆動系124として示されている。
本第2の実施形態の露光装置500では、図30及び図31に示されるように、基準軸LV0上で、光軸AXから−Y側に所定距離隔てた位置に検出中心を有するプライマリアライメント系AL1が配置されている。プライマリアライメント系AL1を挟んで、X軸方向の一側と他側には、基準軸LV0に関してほぼ対称に検出中心が配置されるセカンダリアライメント系AL21,AL22と、AL23,AL24とがそれぞれ設けられている。
次に、ウエハステージWSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)を計測するエンコーダシステム150(図32参照)の構成等について説明する。
露光装置500では、図30に示されるように、ノズルユニット32の+X側、−X側に、一対のヘッドユニット62A’、62B’が配置されている。これらのヘッドユニット62A’、62B’は、支持部材を介して、投影ユニットPUを保持するメインフレーム(不図示)に吊り下げ状態で固定されている。
ヘッドユニット62A’及び62B’は、図31に示されるように、それぞれ、基準軸LH上に間隔WDで配置された複数(ここでは4個)の2次元ヘッド(以下、「ヘッド」又は「2Dヘッド」と略述する)1652〜1655及び1641〜1644と、基準軸LHから−Y方向に所定距離離れたノズルユニット32の−Y側の位置に配置されたヘッド1651及び1645とを備えている。なお、ヘッド1651,1652間、及びヘッド1644,1645間のX軸方向の間隔もWDに設定されている。以下では、必要に応じ、ヘッド1651〜1655及びヘッド1641〜1645を、それぞれヘッド165及びヘッド164とも記述する。
ヘッドユニット62A’は、前述の移動スケール39Aを用いて、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB’)のX軸方向の位置(X位置)及びY軸方向の位置(Y位置)を計測する多眼(ここでは、5眼)のXYリニアエンコーダ(以下、適宜「XYエンコーダ」又は「エンコーダ」と略述する)170A(図32参照)を構成する。同様に、ヘッドユニット62B’は、前述の移動スケール39Bを用いて、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB’)のX位置及びY位置を計測する多眼(ここでは、5眼)のXYエンコーダ170B(図32参照)を構成する。ここで、ヘッドユニット62A’,62B’がそれぞれ備える5個のヘッド165,164(より正確には、ヘッド165,164が発する計測ビーム(エンコーダビーム)の移動スケール上の照射点)のX軸方向の間隔WDは、移動スケール39A,39BのX軸方向の幅より僅かに狭く設定されている。ここで、移動スケールの幅とは、回折格子(又はその形成領域)の幅、より正確にはヘッドによる位置計測が可能な範囲を指す。
本第2の実施形態では、さらに、図30に示されるように、ヘッドユニット62B’、62A’の−Y側に所定距離隔てて、ヘッドユニット62C’、62D’が、それぞれ設けられている。ヘッドユニット62C’及び62D’は、支持部材を介して、投影ユニットPUを保持するメインフレーム(不図示)に吊り下げ状態で固定されている。
ヘッドユニット62C’は、図31に示されるように、セカンダリアライメント系AL21の−X側に基準軸LA上に間隔WDとほぼ同一間隔で配置された3つのヘッド1671〜1673と、基準軸LAから+Y方向に所定距離離れたセカンダリアライメント系AL21の+Y側に配置されたヘッド1674と、を備えている。なお、ヘッド1673,1674間のX軸方向の間隔はWDより僅かに狭く設定されている。
ヘッドユニット62D’は、前述の基準軸LV0に関して、ヘッドユニット62C’と対称であり、上記4つのヘッド1674〜1671と基準軸LV0に関して対称に配置された4つのヘッド1681〜1684を備えている。以下では、必要に応じ、ヘッド1671〜1674及びヘッド1681〜1684を、それぞれヘッド167及びヘッド168とも記述する。
アライメント動作の際などには、移動スケール39B,39Aにヘッド167,168が少なくとも各1つそれぞれ対向する。すなわち、ヘッド167,168が発する計測ビーム(エンコーダビーム)のうち、少なくとも各1つの計測ビームが、常に、移動スケール39B,39Aに照射される。ヘッド167,168(すなわち、これらヘッド167,168によって構成されるXYエンコーダ170C、170D)によってウエハステージWSTのX位置、Y位置、及びθz回転が計測される。
また、本第2の実施形態では、セカンダリアライメント系のベースライン計測時などに、セカンダリアライメント系AL21、AL24にX軸方向で隣接するヘッド1673,1682が、FDバー46の一対の基準格子52とそれぞれ対向し、その一対の基準格子52と対向するヘッド1673,1682によって、FDバー46のY位置が、それぞれの基準格子52の位置で計測される。以下では、一対の基準格子52にそれぞれ対向するヘッド1673,1682によって構成されるエンコーダをYリニアエンコーダ(適宜、「Yエンコーダ」又は「エンコーダ」とも略述する)170G,170H(図32参照)と呼ぶ。なお、Yエンコーダ170G,170Hは、エンコーダ170C、170Dを構成する一部のヘッド1673,1682が、一対の基準格子52に対向することで、2Dヘッドではなく、Yヘッドとして機能することに着目して、このように呼んでいるものである。以下においても、便宜上、XYエンコーダ170C,170Dの他に、Yエンコーダ170G,170Hが存在するものとして説明を行う。
上述した各エンコーダは、その計測値を、主制御装置20に供給する。主制御装置20は、XYエンコーダ170A,170B、又は170C,170Dの計測値に基づいて、ウエハテーブルWTBのXY平面内の位置(θz方向の回転(ヨーイング)を含む)を制御するとともに、Yエンコーダ170G,170Hの計測値に基づいて、FDバー46(計測ステージMST)のθz方向の回転を制御する。
図32には、露光装置500の制御系の主要な構成が示されている。この制御系は、装置全体を統括的に制御するマイクロコンピュータ(又はワークステーション)から成る主制御装置20を中心として構成されている。
本第2の実施形態の露光装置500では、前述したようなウエハテーブルWTB’上の移動スケールの配置及び前述したようなヘッドの配置を採用したことから、図33などに例示されるように、ウエハステージWSTの有効ストローク範囲(すなわち、アライメント及び露光動作のために移動する範囲)では、必ず、移動スケール39A,39Bと、ヘッド165,164(ヘッドユニット62A’,62B’)又はヘッド168,167(ヘッドユニット62D’,62C’)と、がそれぞれ対向するようになっている。なお、図33中では、対応する移動スケールに対向したヘッドであって位置計測に用いられているヘッドが実線の丸で囲んで示されている。
これを更に詳述すると、主制御装置20は、ウエハW上にレチクルRのパターンを転写する、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作中には、ヘッドユニット62A’,62B’の各5個のヘッド165,164の中から移動スケール39A、39Bにそれぞれ対向する各1つのヘッド165、164の計測値を用いて、ウエハステージWSTのXY平面内の位置及び回転(θz方向の回転)を制御する。
また、主制御装置20は、ウエハアライメントの際には、移動スケール39A、39Bにそれぞれ対向するヘッドユニット62D’、62C’のヘッド168、167(エンコーダ170D、170C)の計測値を用いて、ウエハステージWSTのXY平面内の位置及び回転(θz方向の回転)を制御する。
また、主制御装置20は、図33中に白抜き矢印で示されるようにウエハステージWSTをX軸方向に駆動する際、そのウエハステージWSTのX位置及びY位置を計測するヘッド165、164を、図33中に矢印e1で示されるように、隣のヘッド165、164に順次切り換える。例えば実線の丸で囲まれるヘッド1642から点線の丸で囲まれるヘッド1643へ(及び実線の丸で囲まれるヘッド1652から点線の丸で囲まれるヘッド1653へ)切り換える。すなわち、本第2の実施形態では、このヘッド165、164の切り換え(つなぎ)を円滑に行うために、前述の如く、ヘッドユニット62A’,62C’が備える隣接するヘッド165,164の間隔WDを、移動スケール39A,39BのX軸方向の幅よりも狭く設定したものである。
次に、エンコーダ170A〜170Dの構成等について、図34に拡大して示されるエンコーダ170Bを代表的に採り上げて説明する。図34では、移動スケール39Bに検出光(計測ビーム)を照射するヘッドユニット62B’の1つの2Dヘッド164が示されている。
ヘッド164は、図34に示されるように、ウエハテーブルWTB’の上面の−X側の端部に設けられた移動スケール(移動格子)39Bに対して、レーザ光を照射する光源164aと、光源164aとの間の位置関係が固定で、移動スケール39Bで発生する回折光を集光させる固定スケール164b1,164b2及び164b3,164b4と、固定スケール164b1,164b2及び固定スケール164b3,164b4のそれぞれにて集光された回折光を干渉させるインデックススケール164cと、インデックススケール164cにて干渉した光を検出する検出器164dと、を含んでいる。また、光源164aから射出されるレーザ光の光軸がXY平面に垂直になるように、光源164aの姿勢が設計上は設定されている。
固定スケール164b1,164b2は、Y軸方向を周期方向とする回折格子が形成されたプレートから成る透過型の位相格子である。一方、固定スケール164b3,164b4は、X軸方向を周期方向とする回折格子が形成されたプレートから成る透過型の位相格子である。インデックススケール164cは、Y軸方向を周期方向とする回折格子及びX軸方向を周期方向とする回折格子が形成された透過型の二次元格子である。また、検出器164dは、例えば4分割検出器又はCCDを含んでいる。
固定スケール164b1は、移動スケール39BのY軸方向を周期方向とする回折格子で発生した−1次回折光を回折して+1次回折光を生成し、この+1次回折光はインデックススケール164cに向かう。また、固定スケール164b2は、移動スケール39BのY軸方向を周期方向とする回折格子で発生した+1次回折光を回折して−1次回折光を生成し、この−1次回折光はインデックススケール164cに向かう。
ここで、固定スケール164b1,164b2で生成された+1次回折光,−1次回折光は、インデックススケール164c上の同一位置で互いに重なり合う。すなわち、+1次回折光と−1次回折光とがインデックススケール164c上で干渉する。
一方、固定スケール164b3は、移動スケール39BのX軸方向を周期方向とする回折格子で発生した−1次回折光を回折して+1次回折光を生成し、この+1次回折光はインデックススケール164cに向かう。また、固定スケール164b4は、移動スケール39BのX軸方向を周期方向とする回折格子で発生した+1次回折光を回折して−1次回折光を生成し、この−1次回折光はインデックススケール164cに向かう。
ここで、固定スケール164b3,164b4で生成された+1次回折光,−1次回折光は、インデックススケール164c上の同一位置で互いに重なり合う。すなわち、+1次回折光と−1次回折光とがインデックススケール164c上で干渉する。
この場合において、光源164aから射出されるレーザ光の波長と移動スケール(移動格子)39Bのピッチとに基づいて、移動スケールの各格子で発生する回折光の回折角度が決まり、また、レーザ光の波長と固定スケール164b1〜164b4のピッチを適切に決定することにより移動スケール(移動格子)39Bで発生した±1次回折光の見かけ上の折り曲げ角度が決まる。
ここで、ヘッド164(エンコーダ170B)においては、検出器164d上に二次元的な模様(市松模様)が現れる。この二次元的な模様は、ウエハステージWSTのY軸方向位置及びX軸方向位置に応じて変化するので、この変化を、検出器164dの少なくとも一部を構成する4分割素子又はCCDなどにより測定することによって、ウエハステージWSTのY軸方向及びX軸方向の位置を計測することができる。
なお、インデックススケール164cをZ軸を中心として微小量回転させてモアレ縞を発生させ、該モアレ縞をウエハステージWSTの計測に用いることとしても良い。
上記の説明からわかるように、エンコーダ170Bでは、干渉計システム118の各干渉計と異なり、干渉させる2つのビームの光路長が極短くかつほぼ等しいため、空気揺らぎの影響がほとんど無視できる。その他のエンコーダ170A,170C,170Dも、エンコーダ170Bと同様にして構成されている。各エンコーダとしては、分解能が、例えば0.1nm程度のものが用いられている。
本第2の実施形態の露光装置500では、後述する露光動作の際などに、主制御装置20により、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB’)のXY平面内の位置(θz方向の回転を含む)は、移動スケール39A,39Bのそれぞれに対向する2つのヘッド165、164によって構成される2つのエンコーダ170A,170Bの計測値と、各種の補正情報(この補正情報は、干渉計システム118によって計測される、エンコーダの非計測方向に関するウエハステージWSTの位置情報(傾斜情報を含む)に応じた各エンコーダのステージ位置起因誤差補正情報、移動スケールの特性情報(例えば、格子面の平面度、及び/又は格子形成誤差など)、及び移動スケールのアッベ外し量(アッベ誤差補正情報)などを含む)と、に基づいて制御される。
ここで、ステージ位置起因誤差補正情報とは、エンコーダヘッドに対する、その非計測方向(本第2の実施形態では、X軸方向及びY軸方向以外の方向、例えばθx方向、θy方向、θz方向及びZ軸方向など)に関するウエハステージWSTの位置(ピッチング量、ローリング量、ヨーイング量、及びZ位置など)が、エンコーダの計測値に影響する度合いを示す情報である。なお、ステージ位置起因誤差補正情報は、大略次のようにして予め取得されている。
すなわち、主制御装置20は、ウエハステージWSTを異なる複数の姿勢に変化させ、各姿勢について、干渉計システム118の計測結果に基づいてウエハステージWSTの姿勢を維持した状態で、ヘッド165、164から移動スケール39A,39Bの特定領域に検出光を照射しつつ、ウエハステージWSTをZ軸方向に所定ストローク範囲で移動させ、その移動中にエンコーダの計測結果をサンプリングする。これにより、各姿勢についての、ウエハステージWSTの移動面に直交する方向(Z軸方向)の位置に応じたエンコーダの計測値の変化情報(誤差特性曲線)が得られる。そして、主制御装置20は、このサンプリング結果、すなわち各姿勢についての、ウエハステージWSTのZ軸方向の位置に応じたエンコーダの計測値の変化情報に基づいて、所定の演算を行うことで、ウエハステージWSTの非計測方向の位置情報に応じたエンコーダの計測値の補正情報を求める。従って、簡単な方法で、非計測方向に関するヘッドと移動スケールの相対変化に起因するエンコーダの計測誤差を補正するステージ位置起因誤差補正情報を決定することができる。
また、本第2の実施形態では、同一のヘッドユニットを構成する複数のヘッド、例えばヘッドユニット62Bを構成する複数のヘッド164について、上記の補正情報を決定する場合に、対応するスケール39Bの同一の特定領域に各ヘッド164から検出光を照射して、上述したエンコーダの計測結果のサンプリングを行い、そのサンプリング結果に基づいて、移動スケール39Bに対向する各ヘッド164(各エンコーダ)の補正情報を決定しているので、結果的に、この補正情報を用いることで、ヘッドの倒れで生じる、幾何学的な誤差も補正される。換言すれば、主制御装置20は、同一の移動スケールに対応する複数のエンコーダを対象として、前記補正情報を求めるに際し、ウエハステージWSTをZ軸方向へ移動させた際に対象とするエンコーダのヘッドの倒れで生じる、幾何学的な誤差を考慮して前記対象とするエンコーダの補正情報を求めている。従って、本第2の実施形態では、複数のヘッドの倒れ角が異なることに起因するコサイン誤差も生じることがない。また、ヘッド164に倒れが生じていなくても、例えばヘッドの光学特性(テレセントリシティなど)などに起因してエンコーダに計測誤差が生じる場合、同様に前記補正情報を求めることで、計測誤差の発生、ひいてはウエハステージWSTの位置制御精度の低下を防止することができる。すなわち本第2の実施形態では、ヘッドユニットに起因して生じるエンコーダシステムの計測誤差(以下、ヘッド起因誤差とも呼ぶ)を補償するようにウエハステージWSTが駆動される。なお、ヘッドユニットの特性情報(例えば、ヘッドの倒れ、及び/又は光学特性などを含む)に基づいて、例えばエンコーダシステムの計測値の補正情報を算出するようにしても良い。
また、移動スケールの特性情報は、スケールの面(正確には、回折格子表面、及び回折格子がカバーガラスで覆われている場合には、そのカバーガラスの面を含む)の凹凸(傾斜を含む)、及び/又は格子形成誤差(格子ピッチ及び/又は格子線の曲がり)などの情報であり、予め計測されている。
また、アッベ外し量とは、ウエハテーブルWTB’上の各移動スケールの面(回折格子表面)の高さ(Z位置)と、露光中心(前述の露光領域IAの中心で、本第2の実施形態では投影光学系PLの光軸AXと一致)を含む基準面の高さとの差を指す。ウエハステージWSTの基準面の高さと各移動スケールの面(回折格子表面)の高さとに誤差(又はギャップ)があると、ウエハステージWSTのXY平面と平行な軸(X軸又はY軸)回りの回転(ピッチング又はローリング)の際にエンコーダの計測値にいわゆるアッベ誤差が生じる。ここで、基準面とは、干渉計システム118で計測されるウエハステージWSTのZ軸方向の変位の基準となる面であって、Z軸方向に関するウエハW上の各ショット領域の位置合わせ(位置制御)の基準となる面(本第2の実施形態では、投影光学系PLの像面に一致)を指す。なお、アッベ外し量は、大略次のようにして予め取得されている。
すなわち、ウエハステージWSTの駆動が行われるロット処理の開始に先立って、例えば装置の立ち上げ時などに、XY平面内におけるウエハステージWSTの位置情報を計測するエンコーダシステムの一連のキャリブレーションの1つとして、前述した各移動スケール(回折格子)表面のアッベ外し量を取得するためのキャリブレーション処理が行われる。すなわち、主制御装置20は、エンコーダシステムの移動スケール毎に、回折格子の周期方向に関するウエハステージWSTのXY平面に対する傾斜角を計測する干渉計システム118の計測値に基づいて、回折格子の周期方向に関しXY平面に対してウエハステージWSTを角度α傾斜させ、その傾斜前後のエンコーダシステムの計測値と干渉計システム118で計測される前記角度αの情報とに基づいて、回折格子表面のアッベ外し量を算出する。そして、主制御装置20は、その算出した情報を、メモリ内に記憶する。
次に、本第2の実施形態の露光装置500における、ウエハステージWSTと計測ステージMSTとを用いた並行処理動作について、図35〜図39に基づいて説明する。なお、以下の動作中、主制御装置20によって、局所液浸装置8の液体供給装置5及び液体回収装置6の各バルブの開閉制御が前述したようにして行われ、投影光学系PLの先端レンズ191の直下には常時水が満たされている。しかし、以下では、説明を分かり易くするため、液体供給装置5及び液体回収装置6の制御に関する説明は省略する。また、以後の動作説明は、多数の図面を用いて行うが、図面毎に同一の部材に符号が付されていたり、付されていなかったりしている。すなわち、図面毎に、記載している符号が異なっているが、それら図面は符号の有無に関わらず、同一構成である。これまでに説明に用いた、各図面についても同様である。
図35には、ウエハステージWST上に載置されたウエハWに対するステップ・アンド・スキャン方式の露光が行われている状態が示されている。この露光は、開始前に行われるウエハアライメント(例えばEGA)等の結果に基づいて、ウエハW上の各ショット領域の露光のための走査開始位置(加速開始位置)へウエハステージWSTを移動するショット間移動と、各ショット領域に対してレチクルRに形成されたパターンを走査露光方式で転写する走査露光と、を繰り返すことにより行われる。また、露光は、ウエハW上の−Y側に位置するショット領域から+Y側に位置するショット領域の順で行われる。
上述の露光動作中、主制御装置20により、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB’)のXY平面内の位置(θz方向の回転を含む)は、移動スケール39A,39Bのそれぞれに対向する2つのヘッド165、164によって構成される2つのエンコーダ170A,170Bの計測値と、エンコーダ計測値を補正するための前述した各種の補正情報(ステージ位置起因誤差補正情報、移動スケールの特性情報及びアッベ誤差補正情報など)と、に基づいて制御されている。また、上述の露光動作中、主制御装置20により、ウエハステージWSTのθy回転(ローリング)及びθx回転(ピッチング)は、前述のX干渉計126(又はZ干渉計43A,43B)及びY干渉計16の計測値に基づいて管理されている。なお、ウエハステージWSTのZ軸方向の位置(Z位置)、θy回転(ローリング)及びθx回転(ピッチング)の少なくとも1つ、例えばZ位置及びθy回転をその他のセンサ、例えばウエハテーブルWTB’の上面のZ位置を検出するセンサ、例えばCDドライブ装置などで用いられる光ピックアップと同様の光学式の変位センサのヘッドなどによって計測しても良い。いずれにしても、この露光中のウエハステージWST(ウエハテーブルWTB’)のZ軸方向の位置,θy回転及びθx回転の制御(ウエハWのフォーカス・レベリング制御)は、主制御装置20により、事前に計測したウエハの面位置情報の計測結果と、エンコーダシステム150及び/又は干渉計システム118の計測結果に基づいて行われる。
上記のステップ・アンド・スキャン方式の露光動作中、ウエハステージWSTがX軸方向に移動すると、その移動に伴って、前述のヘッドの切り換えが行なわれる。このように、主制御装置20は、ウエハステージWSTの位置座標に応じて、使用するエンコーダを適宜切り換えて、ステージ制御を実行している。
なお、上述のエンコーダシステムを用いたウエハステージWSTの位置計測と独立に、干渉計システム118を用いたウエハステージWSTの位置(X,Y,Z,θx,θy,θz)計測が、常時、行われている。例えば、X干渉計126,127,及び128は、ウエハステージWSTのY位置に応じて、いずれか1つが使用される。例えば露光中は、図35に示されるように、X干渉計126が、補助的に使用される。
ウエハWの露光が終了すると、主制御装置20は、ウエハステージWSTをアンロードポジションUPに向けて駆動する。その際、露光中には互いに離れていたウエハステージWSTと計測ステージMSTとが、接触あるいは例えば300μm程度の離間距離を挟んで近接して、スクラム状態に移行する。ここで、計測テーブルMTB上のFDバー46の−Y側の端面とウエハテーブルWTBの+Y側の端面とが接触あるいは近接する。このスクラム状態を保って、両ステージWST,MSTが−Y方向に移動することにより、投影ユニットPUの下に形成される液浸領域14は、計測ステージMST上に移動する。
上記のスクラム状態に移行後、ウエハステージWSTが、更に−Y方向へ移動して有効ストローク領域(ウエハステージWSTが露光及びウエハアライメント時に移動する領域)から外れると、エンコーダシステム150を構成する全てのヘッドが、ウエハテーブルWTB’上の対応する移動スケールから外れる。そのため、エンコーダシステム150の計測結果に基づくステージ制御が不可能になる。その直前に、主制御装置20は、干渉計システム118の計測結果に基づくステージ制御に切り換える。ここで、3つのX干渉計126,127,128のうちX干渉計128が使用される。
その後、図36に示されるように、ウエハステージWSTは、計測ステージMSTとのスクラム状態を解除し、アンロードポジションUPに移動する。移動後、主制御装置20は、ウエハテーブルWTB’上のウエハWをアンロードする。そして、図37に示されるように、ウエハステージWSTを+X方向に駆動してローディングポジションLPに移動させ、ウエハテーブルWTB’上に次のウエハWをロードする。
これらの動作と平行して、主制御装置20は、計測ステージMSTに支持されたFDバー46のXY平面内での位置調整と、4つのセカンダリアライメント系AL21〜AL24のベースライン計測と、を行うSec-BCHK(セカンダリ・ベースラインチェック)を実行する。ここで、FDバー46のθz方向の回転情報を計測するために、前述のYエンコーダ170G,170Hが使用される。
次に、主制御装置20は、ウエハステージWSTを駆動し、図38に示されるように、計測プレート30上の基準マークFMをプライマリアライメント系AL1の検出視野内に位置決めし、アライメント系AL1,AL21〜AL24のベースライン計測の基準位置を決定するPri-BCHKの前半の処理を行う。
このとき、図38に示されるように、2つのヘッド1683,1672(図中に丸で囲んで示されている)が、それぞれ移動スケール39A,39Bに対向するようになる。そこで、主制御装置20は、干渉計システム118からエンコーダシステム150(エンコーダ170D,170C)を用いたステージ制御へ切り換える。干渉計システム118は、再び補助的に使用される。なお、3つのX干渉計126,127,128のうちX干渉計127が使用される。
その後、主制御装置20は、プライマリアライメント系AL1とセカンダリアライメント系AL21〜AL24を用いて、ウエハアライメント(EGA)を実行する(図39中の星マーク参照)。
なお、本第2の実施形態では、図39に示されるウエハアライメントを開始するまでに、ウエハステージWSTと計測ステージMSTはスクラム状態へ移行している。主制御装置20は、スクラム状態を保ちながら、両ステージWST,MSTを+Y方向に駆動する。その後、液浸領域14の水は、計測テーブルMTB上からウエハテーブルWTB’上に移動する。
ウエハアライメント(EGA)と並行して、主制御装置20は、空間像計測装置45を用いたウエハテーブルWTB’のXY位置に対するレチクル上マークの投影像の強度分布を計測するPri-BCHK後半の処理を実行する。
以上の作業が終了すると、主制御装置20は、両ステージWST,MSTのスクラム状態を解除する。そして、図35に示されるように、ステップ・アンド・スキャン方式の露光を行い、新しいウエハW上にレチクルパターンを転写する。以降、同様の動作が繰り返し実行される。
以上説明したように、本第2の実施形態に係る露光装置500によると、ウエハステージWSTの上面のX軸方向の両端部に2次元格子を有する一対の移動スケール39A、39Bが設けられ、ウエハステージWSTが露光動作を行なうための移動範囲にあるとき、移動スケール39A、39Bに常に少なくとも1つのヘッド165、164が対向可能となるような一対のヘッドユニット62A’,62B’が、投影ユニットPU(ノズルユニット32)のX軸方向の両側に配置されている。これにより、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作中のウエハステージWSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)を、主制御装置20は、それらのヘッド165、164、すなわちエンコーダ170A、170Bを用いて高精度に計測することが可能となる。従って、本第2の実施形態によると、国際公開第2007/097379号に実施形態として開示される露光装置に比べて、エンコーダヘッドのレイアウトが容易である。
また、本第2の実施形態のウエハテーブルWTB’上面の+Y側の端部の領域、すなわち液浸領域14が頻繁に通過する領域には、スケールを配置しなくて良いので、その領域に対する液体の残存、あるいはゴミの付着がなどがあっても、エンコーダシステムの計測精度の低下が生じるおそれがない。
また、本第2の実施形態に係る露光装置500によると、露光の際に、移動スケール39A,39Bのそれぞれに対向してウエハステージWSTのX軸方向、及びY軸方向、並びにθz方向の位置計測に用いられる、ヘッドユニット62A’,62B’にそれぞれ属する各5つのヘッド1651〜1655,1641〜1645は、X軸方向に関しては、隣接するヘッドの間隔WDを移動スケール39A,39BのX軸方向の幅(例えば76mm)を考慮した所望の間隔例えば70mmに設定し、かつ空きスペース(本第2の実施形態では、ノズルユニット32の周囲の空きスペース)に応じて最も投影ユニットPUの中心寄りに位置するヘッド1651、1645のY位置を他の(残り4つの)ヘッドと異ならせて配置している。これにより、ヘッドユニット62A’,62B’の各5つのヘッド165、164の、空きスペースに応じた配置が可能であるともに、スペース効率の向上により装置全体の小型化が可能となる。これに加え、ヘッドユニット62A’,62B’の各5つのヘッド165,164それぞれの間でつなぎ(使用ヘッドの切り換え)を支障なく行なうことが可能となる。従って、ヘッドユニット62A’,62B’をそれぞれ有するXYエンコーダ170A、170Bを含むエンコーダシステム150によって、露光の際、ウエハステージWSTのXY平面内の位置を空気揺らぎの影響を受けることなく高精度に計測することが可能になる。
また、本第2の実施形態の露光装置500によると、主制御装置20は、露光の際などに、ウエハステージWSTを駆動するときに、エンコーダシステム150(エンコーダ170A,170B)の計測値と、各エンコーダの計測値を補正する補正情報(ステージ位置起因誤差補正情報(ヘッド起因誤差の補正情報を含む)、移動スケールの特性情報及びアッベ誤差補正情報などの少なくとも1つ)とに基づいて、ウエハステージWSTのXY平面内の位置(θz方向の回転を含む)を高精度に制御する。
また、本第2の実施形態に係る露光装置500によると、ウエハ交換の度に行われる、前述のアライメント系のベースライン計測により得られた、最新のベースラインと、ウエハアライメント(EGA)の結果とに基づいて、ウエハW上の各ショット領域の露光のための走査開始位置(加速開始位置)へウエハステージWSTが移動されるショット間移動動作と、レチクルRに形成されたパターンを走査露光方式で各ショット領域に転写する走査露光動作とを繰り返すことにより、レチクルRのパターンをウエハW上の複数のショット領域に精度(重ね合わせ精度)良く転写することが可能になる。さらに、本第2の実施形態では、液浸露光により高解像度の露光を実現できるので、この点においても微細パターンを精度良くウエハW上に転写することが可能になる。
さらに、本第2の実施形態に係る露光装置500では、実際には、前述の第1の実施形態と同様の位置に、周辺露光ユニット51、多点AF系(90a,90b)等が設けられている。このため、露光装置500によると、第1の実施形態の露光装置100と同様、ウエハステージWST(ウエハW)が、多点AF系(90a,90b)の複数の検出点(検出領域AF)と、複数のアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出領域と、周辺露光ユニット51の下方とを、直線的に通過するだけで、ウエハWのほぼ全面の面位置情報の検出と、ウエハW上で検出すべき全てのアライメントマーク(例えば、EGAにおけるアライメントショット領域のアライメントマーク)の検出と、ウエハWの周辺露光との3つの動作が終了する。従って、アライメントマークの検出動作と、面位置情報(フォーカス情報)の検出動作と、周辺露光動作と、を無関係に(別々に)行う場合に比べて格段スループットを向上させることができる。
また、本第2の実施形態に係る露光装置500では、前述の第1の実施形態と同様の面位置計測システムを設けることができる。従って、前述の第1の実施形態と同様のフォーカスマッピング、及び該フォーカスマッピングの結果を用いたウエハWの面位置制御が可能になる。従って、本実施形態では、先端レンズ191とウエハW表面との間のワーキングディスタンスが狭くなっているにもかかわらず、特に支障なく、露光の際のウエハWのフォーカス・レベリング制御を精度良く実行することができる。
また、上記第2の実施形態では、ウエハステージWST上に移動スケール39A,39B(スケール部材)が配置され、これに対向してウエハステージWSTの外部、すなわち投影ユニットPUを保持するメインフレーム(不図示)の下方にヘッドユニット62A’〜62D’が配置される構成のエンコーダシステムを、露光装置500が備えている場合について説明した。しかし、これに限らず、次の第3の実施形態のように、ウエハステージWST上にエンコーダヘッドを設け、ウエハステージWSTの外部にスケール部材を設けても良い。
《第3の実施形態》
図40には、第3の実施形態の露光装置が備えるステージ装置及びセンサユニットの配置を示す平面図が示されている。この第3の実施形態の露光装置は、前述した第2の実施形態の露光装置と比べて、エンコーダシステムの構成が異なるのみで、その他の部分の構成は、同一である。従って、以下では、相違点であるエンコーダシステムを中心として説明する。また、前述した第2の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については、同一の符号を用いるとともに説明を省略する。
図40に示されるように、本第3の実施形態では、ウエハテーブルWTB’の上面の一対の第2撥水板28b’上に、移動スケール39A,39Bの代わりに、2Dヘッド1721〜1726、1741〜1746が、反射面17bに平行な方向に関して一定間隔WDで、それぞれ設けられている。2Dヘッド1721〜1726、1741〜1746のそれぞれとしては、前述の2Dヘッド164,165,167,168と同様の構成のものが用いられている。2Dヘッド1721〜1726と2Dヘッド1741〜1746とは、ウエハテーブルWTB’のセンターラインに関して対称の配置となっている。以下では、適宜、2Dヘッド1721〜1726、2Dヘッド1741〜1746を、それぞれ、ヘッド172、174とも記述する。
一方、ノズルユニット32の+X側、−X側に、それぞれ近接して、一対の固定スケール39A’、39B’が、それぞれX軸方向を長手方向として配置されている。固定スケール39A’、39B’は、図40に示されるように、それぞれ、長方形の長手方向の一端部の一側の一部に矩形状の切り欠き部が形成され、その切り欠き部と同じ形状の延設部が一端部の他側に設けられた形状を有している。この場合、固定スケール39A’は、X軸方向を長手方向としてノズルユニット32の+X側の面にほぼ接した状態で配置され、その−X端部の+Y側の一部に矩形状の切り欠き部が形成され、その切り欠き部と同じ形状の延設部が−X端部の−Y側に設けられた形状を有している。延設部は、ノズルユニット32より−Y側に幾分突出している。固定スケール39B’は、固定スケール39A’と左右対称な形状を有し、基準線LV0に関して対称に配置されている。固定スケール39A’、39B’は、投影ユニットPUを保持するメインフレーム(不図示)の裏面にXY平面に平行に固定されている。固定スケール39A’、39B’は、その長さが、前述の移動スケール39A,39Bに比べて幾分短く、その下面(−Z側の面)には、前述の反射型の二次元回折格子が形成されている。
本第3の実施形態では、さらに、図40に示されるように、固定スケール39A’、39B’の−Y側に所定距離(例えば固定スケール39A’の幅とほぼ同一寸法)隔てて、長方形の固定スケール39D’、39C’が、それぞれX軸方向を長手方向として配置されている。固定スケール39D’、39C’は、前述の基準線LV0に関して対称な配置となっている。また、固定スケール39D’、39C’は、それぞれ、セカンダリアライメント系AL24、AL21に近接して配置されている。固定スケール39D’、39C’は、投影ユニットPUを保持するメインフレーム(不図示)の裏面にXY平面に平行に固定されている。固定スケール39D’、39C’は、その長さが、前述の固定スケール39A’、39B’に比べて幾分短く、その下面(−Z側の面)には、前述の反射型の二次元回折格子が形成されている。
また、FDバー46の上面には、前述の一対の基準格子52に代えて、一対の2Dヘッド176が設けられている。
2Dヘッド1721〜1726は、前述の固定スケール39A’又は39D’を用いて、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB’)のX位置及びY位置を計測する多眼(ここでは、6眼)のXYエンコーダ170A’(図41参照)を構成する。同様に、2Dヘッド1741〜1746は、前述の固定スケール39B’又は39C’を用いて、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB’)のX位置及びY位置を計測する多眼(ここでは、5眼)のXYエンコーダ170B’(図41参照)を構成する。
露光動作の際などには、固定スケール39A’、39B’にヘッド172,174が少なくとも各1つそれぞれ対向する。すなわち、ヘッド172,174が発する計測ビーム(エンコーダビーム)のうち、少なくとも各1つの計測ビームが、常に、固定スケール39A’,39B’に照射される。このヘッド172,174(すなわち、これらヘッド172,174によって構成されるエンコーダ170A’、170B’)によってウエハステージWSTのX位置、Y位置、及びθz回転が計測される。
また、アライメント動作の際などには、固定スケール39C’,39D’にヘッド174,172が少なくとも各1つそれぞれ対向する。すなわち、ヘッド174,172が発する計測ビーム(エンコーダビーム)のうち、少なくとも各1つの計測ビームが、常に、固定スケール39C’,39D’に照射される。このヘッド174,172(すなわち、これらヘッド174,172によって構成されるエンコーダ170B’、170A’)によってウエハステージWSTのX位置、Y位置、及びθz回転が計測される。
また、本第3の実施形態では、セカンダリアライメント系のベースライン計測時などに、固定スケール39C’,39D’に、FDバー46上の一対の2Dヘッド176が対向し、その一対の2Dヘッド176によって、FDバー46のX,Y位置、及びθz回転が計測される。以下では、固定スケール39C’,39D’にそれぞれ対向する一対の2Dヘッド176によって構成されるエンコーダをエンコーダ170C’,170D’(図41参照)と呼ぶ。
上述した4つのエンコーダ170A’〜170D’は、その計測値を、主制御装置20に供給する。主制御装置20は、エンコーダ170A’,170B’の計測値に基づいて、ウエハテーブルWTB’のXY平面内の位置(θz方向の回転(ヨーイング)を含む)を制御するとともに、エンコーダ170C’,170D’の計測値に基づいて、FDバー46のX,Y、θz方向の位置を制御する。
その他の部分の構成は、前述した第2の実施形態と同一になっている。
このようにして構成された、本第3の実施形態の露光装置によると、前述した第2の実施形態の露光装置500と同様の、各部の制御動作が、主制御装置20によって行われ、それにより第1の実施形態と同等の効果を得ることが可能になる。
なお、上記第2、第3の実施形態では、エンコーダヘッドとして、一例として図34に示されるような構成の2Dヘッドを用いる場合について例示したが、これに限らず、2つの1次元ヘッドを組み合わせて、2次元ヘッドを構成しても良い。すなわち、本明細書でいう2次元ヘッドは、2つの1次元ヘッドを組み合わせたものをも含む。
上記第1〜第3の実施形態では、ウエハステージと計測ステージとを備えた露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず、単一のウエハステージのみを備えた露光装置、あるいは例えば米国特許第6,590,634号明細書、米国特許第5,969,441号明細書、米国特許第6,208,407号明細書などに開示されているように、複数のウエハステージを備えたマルチステージ型、例えばツインステージ型の露光装置などにも本発明を適用できる。この場合、露光装置の制御装置は、2つのウエハステージの一方に保持されたウエハに対する露光が行なわれるのと並行して、他方のウエハステージを少なくともY軸方向に移動させつつ、ウエハに対するアライメント計測などの計測が行われる領域(計測ステーション)とウエハに対する露光が行われる領域(露光ステーション)との間の移動経路に配置された周辺露光ユニットを制御して、露光位置に向かって移動する途中で周辺露光ユニットの下方を通過する他方のウエハステージに保持されたウエハの周辺部のショット領域の少なくとも一部の周辺露光を行うこととすることができる。
また、計測ステーションでの計測動作中に周辺露光動作を開始しても良い。この場合、周辺露光動作は計測動作終了後かつ露光開始前に終了する。
なお、周辺露光ユニットを計測ステーションにアライメント系(AL1、AL21〜AL25)などと一緒に配置して計測動作中に周辺露光動作を行っても良い。
また、計測ステーションと露光ステーションとの間でのウエハステージの位置制御(周辺露光動作の少なくとも一部が行われる期間中を含む)は、いかなる計測装置を用いて行っても良いが、上記エンコーダシステム又は干渉計システムを用いて行うことが好ましい。
また、ツインステージ型の露光装置では、周辺露光動作を往路(すなわち、計測ステーションから露光ステーションへのウエハステージの移動経路)で行っても良いし、復路(すなわち、露光ステーションから計測ステーションへ(アンローディングポジション)へのウエハステージの移動経路)で行っても良いし、1枚のウエハの周辺露光動作を往路と復路に分けて行っても良い。
なお、上記第2、第3の実施形態を、ツインステージ型の露光装置に適用する場合、周辺露光ユニットを設けることなく、前述の2Dヘッド(2Dエンコーダ)を有するエンコーダシステムを、少なくとも一方のウエハステージの位置計測装置として採用するのみでも良い。すなわち、上記第2、第3の実施形態では、前述の2Dヘッドを有するエンコーダシステムがあれば良く、該エンコーダシステム以外の構成、シーケンス(ステージ移動と計測動作を並行して行うなど)は、任意に組み合わせて採用しても良いが、必須ではない。
また、上記第2、第3の実施形態では、計測システム200が、干渉計システム118とエンコーダシステム150との両方を含むものとしたが、これに限らず、計測システムは、干渉計システム118とエンコーダシステム150との一方のみを含んでいても良い。
次に、ツインステージ型の露光装置に関する本発明の第4の実施形態について説明する。
《第4の実施形態》
以下、本発明の第4の実施形態を図42〜図76に基づいて説明する。ここで、前述した第1の実施形態、及び/又は第2の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用いるとともに、その説明を簡略化し若しくは省略する。
図42には、第4の実施形態の露光装置1000の構成が概略的に示されている。露光装置1000は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。後述するように、本第4の実施形態においても、投影光学系PLが設けられているので、以下においては、この投影光学系PLの光軸AXと平行な方向をZ軸方向、これに直交する面内でレチクルとウエハとが相対走査される方向をY軸方向、Z軸及びY軸に直交する方向をX軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
露光装置1000は、照明系10、照明系10からの照明光ILにより照明されるレチクルRを保持するレチクルステージRST、レチクルRから射出された照明光ILをウエハ上に照射する投影光学系PLを含む投影ユニットPU、2つのウエハステージWST1,WST2を含むステージ装置1050、局所液浸装置8、及びこれらの制御系等を備えている。ウエハステージWST1,WST2上には、ウエハW1,W2がそれぞれ保持されている。
ステージ装置1050は、図42に示されるように、ベース盤12上に配置された2つのウエハステージWST1,WST2、両ウエハステージWST1,WST2の位置情報を計測する計測システム200(図47参照)、及びウエハステージWST1,WST2を駆動するステージ駆動系124(図47参照)等を備えている。計測システム200は、図47に示されるように、干渉計システム118、エンコーダシステム150、及び面位置計測システム180などを含む。
ウエハステージWST1、WST2は、それぞれが備える例えばエアスライダ(後述)により、数μm程度のクリアランスを介して、ベース盤12上に浮上支持されている。そして、ウエハステージWST1、WST2は、ステージ駆動系124を構成する後述する平面モータにより、独立してベース盤12の上面(移動ガイド面)に沿ってXY平面内で駆動可能となっている。
ウエハステージWST1は、図42及び図43(A)に示されるように、ステージ本体91Aと、ステージ本体91A上に搭載されたウエハテーブルWTB1とを含む。ステージ本体91Aは、図43(A)に示されるように、ベース盤12の内部に埋め込まれた固定子152とともに平面モータ151を構成する可動子56と、該可動子56の下半部の周囲に一体的に設けられ、複数のエアベアリングを有するエアスライダ54とを有している。
可動子56は、例えば隣り合う磁極面の極性が互いに異なるようにマトリクス状に配列された複数の平板磁石から構成された平板状発磁体を含む磁石ユニットによって構成されている。可動子56は、厚さの薄い直方体状の形状を有している。
一方、固定子152は、ベース盤12の内部にマトリクス状に配列された複数の電機子コイル(駆動コイル)57を有する電機子ユニットによって構成されている。電機子コイル57として、本第4の実施形態では、X駆動コイル及びY駆動コイルが設けられている。そして、複数のX駆動コイル及びY駆動コイルを含む電機子ユニットからなる固定子152と、前述の磁石ユニットからなる可動子56とによって、電磁力駆動方式(ローレンツ力駆動方式)のムービングマグネット型の平面モータ151が構成されている。
複数の電機子コイル57は、ベース盤12の上面を構成する非磁性体から成る平板状部材58によってカバーされる。平板状部材58の上面は、ウエハステージWST1及びWST2の移動ガイド面かつエアスライダ54が備えるエアベアリングからの加圧空気の受圧面を構成する。
ウエハテーブルWTB1は、肉厚の薄い直方体(厚い板状)の部材から成るテーブル本体34と、該テーブル本体34の+Y側の側面に取り付けられた(正確には、フルキネマティックマウント構造によって、テーブル本体34にキネマティックに支持された)FDバー46と、テーブル本体34の−Y側の側面に固定された計測部138との3部分を有している。以下では、特に必要な場合を除いて、テーブル本体34とFDバー46と計測部138とを全体としてウエハテーブルWTB1と呼ぶ。ここで、テーブル本体34は、上方から見て可動子56と同じ形状及び大きさの外形を有している。
ウエハテーブルWTB1は、ステージ本体91Aの上に、ステージ駆動系124の一部を構成する不図示のZ・レベリング機構(例えば、ボイスコイルモータ等を含む)を介して、搭載されている。ウエハテーブルWTB1は、Z・レベリング機構により、ステージ本体91Aに対してZ軸方向、θx方向及びθy方向に微小駆動される。従って、ウエハテーブルWTB1は、平面モータ151とZ・レベリング機構とを含むステージ駆動系124(図47参照)によって、ベース盤12に対し、6自由度方向(X,Y,Z,θx,θy,θz)に駆動可能である。
ウエハテーブルWTB1の上面の中央には、ウエハを真空吸着等によって保持するウエハホルダ(不図示)が設けられている。ウエハホルダ(ウエハの載置領域)の外側には、図43(B)に示されるように、ウエハホルダよりも一回り大きな円形の開口が中央に形成され、かつ矩形状の外形(輪郭)を有するプレート28が設けられている。プレート28の表面は、液体Lqに対して撥液化処理されている。なお、プレート28は、その表面のほぼ全部がウエハW1の表面とほぼ同一面となるように設定されている。また、FDバー46及び計測部138は、それぞれの表面がプレート28の表面とほぼ同一面となるように、テーブル本体34に取り付けられている。
また、プレート28の+Y側端部近傍のX軸方向のほぼ中央には、長方形の開口が形成され、この開口の内部に計測プレート30が埋め込まれている。そして、計測プレート30の一対の空間像計測スリットパターンSLそれぞれの下方のウエハテーブルWTB1の内部には、対物レンズなどを含む光学系と、受光素子(例えばフォトマルチプライヤチューブなど)とを含む空間像計測装置45A(図47参照)が、上記一対の空間像計測スリットパターンSLに対応して一対設けられている。空間像計測装置45Aとしては、例えば米国特許出願公開第2002/0041377号明細書などに開示されるものと同様の構成のものが用いられている。計測プレート30は、その表面が、プレート28とほぼ同一面とされている。
さらに、プレート28上面のX軸方向一側と他側(図43(B)における左右両側)の領域には、移動スケール39A,39Bが形成されている。移動スケール39A,39Bはそれぞれ、例えばY軸方向を周期方向とする格子とX軸方向を周期方向とする格子とが組み合わされた、反射型の二次元格子(例えば回折格子)によって構成されている。二次元格子の格子線のピッチは、Y軸方向及びX軸方向のいずれの方向についても、例えば1μmである。なお、図43(B)では、図示の便宜のため、格子のピッチは、実際のピッチよりも大きく図示されている。その他の図においても同様である。移動スケール39A,39Bは撥液膜(撥水膜)で覆われている。
なお、回折格子を保護するために、撥水性を備えた低熱膨張率のガラス板でカバーすることも有効である。ここで、ガラス板としては、厚さがウエハと同程度、例えば厚さ1mmのものを用いることができ、そのガラス板の表面がウエハ面と同じ高さ(面位置)になるよう、テーブル本体34(ウエハテーブルWTB1)上面に設置される。
なお、プレート28の各移動スケールの端付近には、後述するエンコーダヘッドとスケール間の相対位置を決めるための、不図示の位置出しパターンがそれぞれ設けられている。この位置出しパターンは例えば反射率の異なる格子線から構成され、この位置出しパターン上をエンコーダヘッドが走査すると、エンコーダの出力信号の強度が変化する。そこで、予め閾値を定めておき、出力信号の強度がその閾値を超える位置を検出する。この検出された位置を基準に、エンコーダヘッドとスケール間の相対位置を設定する。
上述のように、本第4の実施形態では、プレート28そのものがスケールを構成するので、プレート28として低熱膨張率のガラス板を用いることとしている。しかし、これに限らず、格子が形成された例えば低熱膨張率のガラス板などから成るスケール部材を、局所的な伸縮が生じないように、例えば板ばね(又は真空吸着)等によりウエハテーブルWTB1の上面に固定しても良い。あるいは、ウエハテーブルWTB1を低熱膨張率の材料で形成することも可能であり、かかる場合には、移動スケールは、そのウエハテーブルWTB1の上面に直接形成しても良い。
FDバー46は、図43(B)に示されるように、前述の第1の実施形態と同様に構成されている。FDバー46に形成された一対の基準格子52の間隔は、距離Lとされている。
計測部138は、X軸方向を長手方向とする直方体状である。計測部138には、後述する各種計測用部材が設けられている。
ウエハステージWST2は、図42、図44(A)及び図44(B)などに示されるように、ステージ本体91Bと、ウエハテーブルWTB2とを含んで、上述のウエハステージWST1と同様に構成されている。ウエハステージWST2は、可動子56と固定子152とから成る平面モータ151によって駆動される。
ウエハテーブルWTB2は、図44(A)及び図44(B)に示されるように、前述のウエハテーブルWTB1と同様に、テーブル本体34と、該テーブル本体34の+Y側の側面、−Y側の側面にそれぞれ取り付けられたFDバー46と、計測部138との3部分を有している。ただし、ウエハステージWST2の計測部138が備える各種計測用部材は、ウエハステージWST1の計測部138が備える各種計測用部材と異なっている。すなわち、本第4の実施形態では、複数種類の計測用部材が、ウエハステージWST1,WST2がそれぞれ備える計測部138に分散して配置されている。なお、ウエハテーブルWTB2の計測プレート30を含んで構成される一対の空間像計測装置を、以下では、空間像計測装置45Bと記述する。
上記の計測用部材としては、例えば、図43(B)に示される、前述と同様の照度むらセンサ94、投影光学系PLの像面上で照明光ILを受光する所定面積の受光部を有する照度モニタ97、及び図44(B)に示される、波面収差計測器98、並びに空間像計測器などを用いることができる。
本第4の実施形態においても、計測用部材として、例えば投影光学系PLの透過率を計測する透過率計測器、及び/又は、前述の局所液浸装置8、例えばノズルユニット32(あるいは先端レンズ191)などを観察する計測器などを用いても良い。さらに、計測用部材と異なる部材、例えばノズルユニット32、先端レンズ191などを清掃する清掃部材などをいずれかのウエハステージに搭載しても良い。
なお、本第4の実施形態においても、投影光学系PLと液体(水)Lqとを介して露光光(照明光)ILによりウエハWを露光する液浸露光が行われるのに対応して、照明光ILを用いる計測に使用される上記の照度むらセンサ94、照度モニタ97及び波面収差計測器98並びに空間像計測器では、投影光学系PL及び水を介して照明光ILを受光することとなる。また、各センサは、例えば光学系などの一部だけがウエハテーブルに搭載されていても良いし、センサ全体をウエハテーブルに配置するようにしても良い。前述の空間像計測装置45A,45Bについても同様である。
なお、図示は省略されているが、ウエハステージWST1の−X側端部から、ベース盤12の−X側に設置されたY軸方向に移動可能な第1ケーブルシャトル(不図示)に、不図示の配線・配管用のケーブルが接続されている。同様に、ウエハステージWST2の+X側端部から、ベース盤12の+X側に設置されたY軸方向に移動可能な第2ケーブルシャトル(不図示)に、不図示の配線・配管用のケーブルが接続されている。これらのケーブルにより、両ウエハステージWST1,WST2に設けられたZ・レベリング機構、及び計測用部材などへの電力供給、及びエアスライダに対する加圧空気の供給などが行われる。
本第4の実施形態の露光装置1000では、図42では図面の錯綜を避ける観点から図示が省略されているが、実際には、図45に示されるように、投影ユニットPUの中心(投影光学系PLの光軸AX、本第4の実施形態では前述の露光領域IAの中心とも一致)を通りかつY軸と平行な直線、すなわち基準軸LV0上で、光軸AXから−Y側に所定距離隔てた位置に検出中心を有するプライマリアライメント系AL1が配置されている。また、プライマリアライメント系AL1を挟んで、X軸方向の一側と他側には、基準軸LV0に関してほぼ対称に検出中心が配置されるセカンダリアライメント系AL21,AL22と、AL23,AL24とがそれぞれ設けられている。すなわち、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24はその検出中心がX軸方向に関して異なる位置に、すなわちX軸方向に沿って配置されている。
プライマリアライメント系AL1及び4つのセカンダリアライメント系AL21〜AL24のそれぞれとして、例えば画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。プライマリアライメント系AL1及び4つのセカンダリアライメント系AL21〜AL24のそれぞれからの撮像信号は、不図示のアライメント信号処理系を介して図47の主制御装置20に供給されるようになっている。
次に、ウエハステージWST1及びWST2の位置情報を計測する干渉計システム118の構成等について説明する。
ウエハテーブルWTB1の+X側の面(+X端面)及び−X側の面(−X端面)には、それぞれ、鏡面加工が施され、図43(B)に示される反射面27a、27cが形成されている。また、ウエハテーブルWTB1の+Y側の面(+Y端面)、すなわちFDバー46の+Y端面、及びウエハテーブルWTB1の−Y側の面(−Y端面)、すなわち計測部138の−Y端面には、それぞれ,反射面27b、27dが形成されている。
同様に、ウエハテーブルWTB2の+X端面、−X端面、+Y端面(FDバーの+Y端面)、及び−Y端面(すなわち計測部の−Y端面)には、それぞれ、鏡面加工が施され、図44(B)に示される反射面27e、27g、27f、27hが形成されている。
干渉計システム118は、図46に示されるように、4つのY干渉計206,207,208,209と、6つのX干渉計217,218,226,227,228,229と、を含む。Y干渉計206,207,208は、ベース盤12の+Y側に、X軸方向に関して異なる位置に配置されている。Y干渉計209は、ベース盤12の−Y側に、Y干渉計207に対向して、配置されている。X干渉計217,218は、ベース盤12の−X側に、Y軸方向に所定間隔で配置されている。また、X干渉計226,227,228,229はベース盤12の+X側に、Y軸方向に関して異なる位置に配置されている。このうち、X干渉計227,228は、X干渉計217,218にそれぞれ対向して配置されている。
詳述すると、Y干渉計207は、図46に示されるように、前述の基準軸LV0をY軸方向に関する実質的な測長軸とする多軸干渉計である。Y干渉計207は、Y軸に平行な少なくとも3本の測長ビームをウエハテーブルWTB1の反射面27b(又はウエハテーブルWTB2の反射面27f)に照射し、それらの反射光を受光して、各測長ビームの照射点における反射面27b(又は27f)のY軸方向の位置情報を計測する。これらの位置情報は、主制御装置20(図47参照)に送られる。主制御装置20は、Y干渉計207で計測された位置情報に基づいて、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)のY軸方向に関する位置(Y位置)、θz回転量(ヨーイング量)、及びθx回転量(ピッチング量)を算出する。
Y干渉計206,208,209は、Y干渉計207と同様に、ウエハテーブルWTB1(又はWTB2)のY位置、ピッチング量、及びヨーイング量を計測するために用いられる。Y干渉計206,208は、それぞれ基準軸LV0に平行なY軸方向の実質的な測長軸LV1,LV2を有する。また、Y干渉計209は、実質的な測長軸を、基準軸LV0をとし、少なくとも3本の測長ビームをウエハテーブルWTB1の反射面27d,又はウエハテーブルWTB2の反射面27hに照射する。
X干渉計217,227は、前述の基準軸LHをX軸方向に関する実質的な測長軸とする多軸干渉計である。すなわち、X干渉計217は、X軸に平行な複数の測長ビームを、ウエハテーブルWTB1の反射面27cに照射し、それぞれの反射光を受光して、各測長ビームの照射点における反射面27cのX軸方向の位置情報を計測する。同様に、X干渉計227は、X軸に平行な複数の測長ビームを、ウエハテーブルWTB2の反射面27eに照射し、それぞれの反射光を受光して、測長ビームの照射点における反射面27eのX軸方向の位置情報を計測する。これらの位置情報は、主制御装置20に送られる。主制御装置20は、X干渉計217、227で計測された位置情報に基づいて、それぞれ、ウエハテーブルWTB1、WTB2のX位置、及びθy回転量(ローリング量)を算出する。
X干渉計218,228は、X干渉計217、227と同様の多軸干渉計から成り、それぞれ、ウエハテーブルWTB1、WTB2のX位置、及びθy回転量(ローリング量)を計測するために用いられる。
残りのX干渉計226,229は、X干渉計217、227と同様の多軸干渉計から成り、ともに、ウエハテーブルWTB1及びWTB2のX位置、及びθy回転量(ローリング量)を計測するために用いられる。なお、X干渉計229は、前述の基準軸LAを測長軸とする。
このように、Y干渉計206,207,208,209及びX干渉計217,218,226,227,228,229を含む干渉計システム118を用いることにより、ウエハテーブルWTB1、WTB2の5自由度(X,Y,θx,θy,θz)方向の位置情報を計測することができる。なお、多軸干渉計、例えば各X干渉計は、45°傾いてウエハステージWST1,WST2に設置される反射面を介して、投影ユニットPUを保持するメインフレームの一部に設置される不図示の反射面にレーザビームを照射し、ウエハステージWST1,WST2のZ位置を検出するようにしても良い。
次に、ウエハステージWST1及びWST2のXY平面内の位置情報(θz回転の情報を含む)を計測するエンコーダシステム150の構成等について説明する。
本第4の実施形態の露光装置1000では、図45に示されるように、前述した液浸領域14(ノズルユニット32)の+X側,−X側に、X軸方向を長手方向として、エンコーダシステム150の2つのヘッドユニット162A,162Bが配置されている。これらのヘッドユニット162A,162Bは、図45等では図面の錯綜を避ける観点から図示が省略されているが、実際には、支持部材を介して、前述した投影ユニットPUを保持するメインフレームに吊り下げ状態で固定されている。
ヘッドユニット162B、162Aは、X軸方向に関して間隔WDで配置された複数(ここでは5つ)の2次元エンコーダヘッド(以下、2Dヘッドと略述する)164i,165j(i,j=1〜5)をそれぞれ備えている。より詳細には、ヘッドユニット162B及び162Aは、それぞれ、投影ユニットPUの周辺を除いて、前述の基準軸LH上に間隔WDで配置された複数(ここでは4つ)の2Dヘッド(1641〜1644、又は1652〜1655)と、投影ユニットPUの周辺において、基準軸LHから−Y方向に所定距離離れた位置、すなわちノズルユニット32の−Y側の位置に配置された1つの2Dヘッド(1645、又は1651)とを備えている。ヘッドユニット162A、162Bは、後述する5つのZヘッドをもそれぞれ備えている。ここで、2Dヘッドとは、互いに直交する二軸方向、ここではX軸方向及びY軸方向に感度をもつ、すなわち直交二軸方向(X軸方向及びY軸方向)を計測方向とするエンコーダヘッドである。2Dヘッドとしては、例えば前述の第2、第3の実施形態中で採用した2Dヘッドと同様の構成の2Dヘッド(例えば図34に示されるもの)を用いることができる。
ヘッドユニット162Aは、前述の移動スケール39Aを用いて、ウエハステージWST1,WST2のX軸方向の位置(X位置)及びY軸方向の位置(Y位置)を計測する多眼(ここでは、5眼)の2次元エンコーダ(以下、適宜「エンコーダ」と略述する)170A(図47参照)を構成する。同様に、ヘッドユニット162Bは、前述の移動スケール39Bを用いて、ウエハステージWST1,WST2のX位置及びY位置を計測する多眼(ここでは、5眼)の2次元エンコーダ170B(図47参照)を構成する。ここで、ヘッドユニット162A及び162Bがそれぞれ備える5つの2Dヘッド(164i又は165j)(すなわち、計測ビーム)のX軸方向の間隔WDは、移動スケール39A,39B(より正確には、2次元格子)のX軸方向の幅より僅かに狭く設定されている。
また、2Dヘッド1643、1653から、−Y方向に所定距離離れた位置に、2Dヘッド1661,1662が、配置されている。2Dヘッド1661,1662は、互いに基準軸LV0に関して対称な配置で設けられている。2Dヘッド1661,1662は、実際には、支持部材を介して、前述した投影ユニットPUを保持するメインフレームに吊り下げ状態で固定されている。
2Dヘッド1662,1661は、前述の移動スケール39A,39Bをそれぞれ用いて、ウエハステージWST1,WST2のX位置及びY位置を計測する2次元エンコーダ170E,170F(図47参照)を構成する。後述する周辺露光動作の際などに、移動スケール39B,39Aに2Dヘッド1661,1662がそれぞれ対向し、この2Dヘッド1661,1662(すなわち、2次元エンコーダ170E、170F)によってウエハステージWST1,又はWST2のX、Y位置及びθz回転量が計測される。
本第4の実施形態では、2Dヘッド1662,1661からさらに−Y側に所定距離隔てて、ヘッドユニット162C、162Dが、それぞれ設けられている。ヘッドユニット162C及び162Dは、図45等では図面の錯綜を避ける観点から図示が省略されているが、実際には、支持部材を介して、メインフレームに吊り下げ状態で固定されている。
ヘッドユニット162Dは、ヘッドユニット162Bに属する5つの2Dヘッド641〜645と同じX位置にそれぞれ配置された5つの2Dヘッド1671〜1675を備えている。より詳細には、ヘッドユニット162Dは、セカンダリアライメント系AL21の−X側に配置され、前述の基準軸LA上に間隔WDで配置された4つの2Dヘッド1671〜1674と、最も内側(+X側)の2Dヘッド1674から+X側に距離WD離れ、かつ基準軸LAから−Y側に所定距離離れたセカンダリアライメント系AL21の−Y側の位置に配置された1つの2Dヘッド1675とを備えている。
ヘッドユニット162Cは、基準軸LV0に関して、ヘッドユニット162Dと対称であり、上記5つの2Dヘッド1675〜1671と基準軸LV0に関して対称に配置された5つの2Dヘッド1681〜1685を備えている。後述するアライメント動作の際などには、移動スケール39B,39Aに2Dヘッド167p,168q(p,q=1〜5)が少なくとも各1つそれぞれ対向し、この2Dヘッド167,168(すなわち、これら2Dヘッド167,168によって構成される2次元エンコーダ170D、170C(図47参照))によってウエハステージWST1,又はWST2のX、Y位置及びθz回転量が計測される。ここで、セカンダリアライメント系AL21、AL24にX軸方向で隣接する2Dヘッド1674、1682のX軸方向の間隔は、前述の距離Lにほぼ等しく設定されている。
また、本第4の実施形態では、例えば、国際公開第2007/097379号などに開示されているSec‐BCHK(インターバル)と同様の手順で、定期的にセカンダリアライメント系AL21〜AL24のベースライン計測が行われる。このセカンダリアライメント系AL21〜AL24のベースライン計測時に、上記2つの2Dヘッド1674、1682が、FDバー46の一対の基準格子52とそれぞれ対向し、その一対の基準格子52と対向する2Dヘッド1674,1682によって、FDバー46のY位置が、それぞれの基準格子52の位置で計測される。以下では、一対の基準格子52にそれぞれ対向する2Dヘッド1674,1682によって構成されるエンコーダをYリニアエンコーダ(適宜、「Yエンコーダ」又は「エンコーダ」とも略述する)170G,170H(図47参照)と呼ぶ。
上述したエンコーダ170A〜170Hは、例えば0.1nm程度の分解能で、ウエハステージWST1(又はWST2)の位置座標を計測し、その計測値を主制御装置20に供給する。主制御装置20は、エンコーダ170A及び170B、又は170C及び170D、又は170E及び170Fの計測値に基づいて、ウエハステージWST1(又はWST2)のXY平面内の位置(θz回転を含む)を制御するとともに、Yエンコーダ170G,170Hの計測値に基づいて、FDバー46(ウエハステージ)のθz回転を制御する。
本第4の実施形態では、上述した2Dヘッド164i、165j、1661、1662、167p、168qとしては、例えばX軸方向及びY軸方向に配置された2対の固定スケールを有し、各対の固定スケールで2次元格子(移動スケール39A,39B)から発生する直交2軸方向の同一次数の回折光を、それぞれ共通のインデックスケールに集光する3格子回折干渉方式のエンコーダが用いられている。ただし、これに限らず、単一のヘッドで、ウエハテーブルのXY2次元方向の位置を計測できるのであれば、如何なる構成の2Dヘッドを用いても良い。
本第4の実施形態の露光装置1000では、図45に示されるように、照射系90a及び受光系90bから成る、多点AF系が設けられている。ここでは、一例として、前述のヘッドユニット162Dの+Y側に照射系90aが配置され、これに対峙する状態で、前述のヘッドユニット162Cの+Y側に受光系90bが配置されている。照射系90aと受光系90bとは、基準軸LV0に関して対称の配置となっている。
図45中では、それぞれ検出ビームが照射される複数の検出点が、個別に図示されず、照射系90a及び受光系90bの間でX軸方向に延びる細長い検出領域(ビーム領域)AFとして示されている。この検出領域AFは、X軸方向の長さがウエハ(W1,W2)の直径より幾分長く設定されているので、ウエハをY軸方向に1回スキャンするだけで、ウエハのほぼ全面でZ軸方向の位置情報(面位置情報)を計測できる。また、検出領域AFは、Y軸方向に関して、液浸領域14(露光領域IA)とアライメント系(AL1、AL21,AL22,AL23,AL24)の検出領域との間に配置されているので、多点AF系とアライメント系とでその検出動作を並行して行うことが可能となっている。多点AF系は、投影ユニットPUを保持するメインフレームなどに設けられている。
多点AF系(90a,90b)の検出領域AFのY軸方向の中心を通るX軸方向の直線LFに関して、前述の一対のヘッドユニット162C、162Dとほぼ対称な配置で、一対のヘッドユニット162E、162Fが配置されている。ヘッドユニット162E、162Fは、不図示のメインフレームの下面に固定されている。ヘッドユニット162E、162Fは、基準軸LV0に関して対称な配置となっている。ヘッドユニット162Fは、前述のヘッドユニット162Dに属する2Dヘッド1671〜1675と、直線LFに関して対称に配置された5つのZヘッド1711〜1715を有している。また、ヘッドユニット162Eは、前述のヘッドユニット162Cに属する2Dヘッド1681〜1685と、直線LFに関して対称に配置された5つのZヘッド1731〜1735を有している。この場合、Zヘッド1711〜1715と、Zヘッド1735〜1731とは、基準線LV0に関して対称である。
Zヘッド1711〜1715及びZヘッド1731〜1735としては、ウエハテーブルWTB1又はWTB2、具体的には移動スケール39A,39Bに対し上方から光を照射し、その反射光を受光してその光の照射点におけるウエハテーブルWTB1又はWTB2表面のZ軸方向の位置情報を計測するセンサヘッド、一例としてCDドライブ装置などで用いられる光ピックアップのような構成の光学式の変位センサのヘッドが用いられている。
さらに、前述のヘッドユニット162B,162Aは、それぞれが備える5つのYヘッド164i,165j(i,j=1〜5)と同じX位置に、ただしY位置をずらして、それぞれ5つのZヘッド74i,76j(i,j=1〜5)を備えている。ここで、ヘッドユニット162A,162Bのそれぞれに属する外側の4つのZヘッド762〜765,741〜744は、基準軸LHから+Y方向に所定距離隔てて、基準軸LHと平行に配置されている。また、ヘッドユニット162A,162Bのそれぞれに属する最も内側のZヘッド761,745は、投影ユニットPUの+Y側に、配置されている。そして、ヘッドユニット162B,162Aのそれぞれに属する5つのZヘッド74i,76j(i,j=1〜5)は、互いに基準軸LV0に関して対称に配置されている。
上述したZヘッド1711〜1715、Zヘッド1731〜1735、Zヘッド741〜745、及びZヘッド761〜765は、図47に示されるように、信号処理・選択装置160を介して主制御装置20に接続されている。主制御装置20は、信号処理・選択装置160を介してZヘッド1711〜1715、Zヘッド1731〜1735、Zヘッド741〜745、及びZヘッド761〜765の中から任意のZヘッドを選択して作動状態とし、その作動状態としたZヘッドで検出した面位置情報を信号処理・選択装置160を介して受け取る。本第4の実施形態では、Zヘッド1711〜1715、Zヘッド1731〜1735、Zヘッド741〜745、及びZヘッド761〜765と、信号処理・選択装置160とを含んでウエハテーブルWTB1(又はWTB2)のZ軸方向及びXY平面に対する傾斜方向の位置情報を計測する面位置計測システム180が構成されている。
さらに、本第4の実施形態の露光装置1000では、図45に示されるように、前述の2Dヘッド1661,1662相互間に、X軸方向に延びる周辺露光用アクティブマスク51aを有する周辺露光ユニット51(図8参照)が配置されている。周辺露光ユニット51は、不図示のメインフレームの下面に不図示の支持部材を介して吊り下げ状態で支持されている。この周辺露光ユニット51では、周辺露光用アクティブマスクの一対の可変成形マスクVM1,VM2を構成する各マイクロミラーをON状態とOFF状態とに切り替えることで、周辺露光ユニット51の下方に位置するウエハW1(又はW2)上の周辺ショットの任意の領域を露光することができる。なお、周辺露光ユニット51の周辺露光用アクティブマスク51aを、X方向に延びる単一の可変成形マスクによって構成しても良い。また、光源からの光に代えて、例えば光ファイバを用いて、照明光ILを周辺露光用アクティブマスクに導いても良い。
周辺露光ユニット51によると、ウエハW1又はW2のX軸方向の中心と周辺露光ユニット51の長手方向の中心とがほぼ一致した状態で、ウエハステージWST1又はWST2をY軸方向に移動させることで、ウエハW1又はW2の任意の周辺露光領域(例えば、図13の領域S1a、S7a、S8a、S16a、S17a、S27a、S50a、S60a、S61a、S69a、S70a、S76a参照)を露光して任意のパターンを形成することができる。
図47には、露光装置1000の制御系の主要な構成が示されている。この制御系は、装置全体を統括的に制御するマイクロコンピュータ(又はワークステーション)から成る主制御装置20を中心として構成されている。なお、図47においては、前述した照度むらセンサ94、照度モニタ97及び波面収差計測器98などの各種センサが、纏めてセンサ群99として示されている。
次に、図48〜図76に基づいて、ウエハステージWST1,WST2を用いた並行処理動作について、説明する。なお、以下の動作中、主制御装置20によって、液体供給装置5と液体回収装置6が制御され、液体Lqが、投影光学系PLの先端レンズ191の直下に供給されるとともに、先端レンズ191の直下から回収され、一定量の液体Lqが先端レンズ191とウエハテーブルWTB1及び/又はWTB2との間に保持されることにより、常時、液浸領域14が形成されている。しかし、以下では、説明を分かり易くするため、液体供給装置5及び液体回収装置6の制御に関する説明は省略する。また、以後の動作説明は、多数の図面を用いて行うが、図面毎に同一の部材に符号が付されていたり、付されていなかったりしている。すなわち、図面毎に、記載している符号が異なっているが、それら図面は符号の有無に関わらず、同一構成である。これまでに説明に用いた、各図面についても同様である。なお、図48〜図76において、図示の便宜上から、液浸領域14のみを図示し、投影ユニットPU(投影光学系PL)及び局所液浸装置8(ノズルユニット32)などの図示は省略されている。
図48には、液浸領域14(投影ユニットPU)の下方において、ウエハステージWST2上に保持されたウエハW2に対して、ステップ・アンド・スキャン方式の露光が行われ、これと並行して、左側ローディングポジションにおいて、ウエハ搬送機構(不図示)とウエハステージWST1との間でウエハ交換、及びウエハホルダの冷却その他の露光のための準備作業(以下、Pit作業と呼ぶ)が完了したときの状態が示されている。このとき、ウエハテーブルWTB1の位置は、Y干渉計208とX干渉計229との計測値に基づいて、主制御装置20によって管理されている。また、このとき、ウエハテーブルWTB2のXY平面内の位置(θz方向の回転量を含む)は、ウエハテーブルWTB2の移動スケール39A、39Bにそれぞれ対向するヘッドユニット162A,162Bに属する2Dヘッド165j、164i(すなわち2次元エンコーダ170A、170B)の計測値に基づいて、主制御装置20によって制御されている。
また、露光中のウエハテーブルWTB2のZ軸方向の位置、及びθy方向の回転(ローリング)は、ウエハテーブルWTB2表面のX軸方向一側と他側の端部(移動スケール39B、39A)にそれぞれ対向する一対のZヘッド74i,76jの計測値に基づいて、主制御装置20により制御されている。また、露光中のウエハテーブルWTB2のθx方向の回転(ピッチング)は、Y干渉計207の計測値に基づいて、主制御装置20により制御されている。この露光中のウエハテーブルWTB2のZ軸方向の位置,θy回転及びθx回転の制御(ウエハWのフォーカス・レベリング制御)は、事前に行われたフォーカスマッピングの結果に基づいて行われる。さらに、ウエハテーブルWTB2のZ軸方向を除く、5自由度方向の位置は、干渉計207、227によっても計測されている。
上記の露光動作は、主制御装置20により、事前に行われたウエハアライメント(例えばEGA)の結果及びアライメント系AL1,AL21〜AL24の最新のベースライン等に基づいて、ウエハW2上の各ショット領域の露光のための走査開始位置(加速開始位置)へウエハステージWST2が移動されるショット間移動動作と、レチクルRに形成されたパターンを走査露光方式で各ショット領域に転写する走査露光動作とを繰り返すことにより、行われる。なお、ウエハW2上の露光対象のショット領域の行数が、偶数行であり、上記の露光は、いわゆる完全交互スキャンにより、図48における左上に位置するショット領域から左下に位置するショット領域の順で行われる。
上述のように、ウエハテーブルWTB2上のウエハW2に対するステップ・アンド・スキャン方式の露光が続行されている間に、主制御装置20により、図49に示されるようにウエハステージWST1の+X方向への駆動が開始される。そして、ウエハステージWST1は、図50に示される、計測プレート30上の基準マークFMがプライマリアライメント系AL1の視野(検出領域)内に位置決めされる位置へ移動される。この移動の途中で、主制御装置20により、ウエハテーブルWTB1のXY平面内の位置の制御が、前述の干渉計208、229の計測値に基づく制御から、ウエハテーブルWTB1の移動スケール39B,39Aに対向するヘッドユニット162D,162Cにそれぞれ属する2Dヘッド167p、168q(p,q=1〜5)、すなわち2次元エンコーダ170D,170Cの計測値に基づく制御に切り換えられる。
そして、図50に示される位置にウエハステージWST1が移動すると、主制御装置20は、新しいウエハW1に対するウエハアライメント(及びその他の前処理計測)の開始に先立って、Y干渉計209及びX干渉計229、並びに2次元エンコーダ170D,170Cのリセット(原点の再設定)を実行する。
干渉計209,229、及び2次元エンコーダ170D,170Cのリセットが終了すると、主制御装置20は、プライマリアライメント系AL1を用いてウエハステージWST1の計測プレート30上の基準マークFMを検出する。そして、主制御装置20は、プライマリアライメント系AL1の指標中心を基準とする基準マークFMの位置を検出し、その検出結果と、検出時におけるエンコーダ170C,170Dの計測値とを対応付けてメモリに記憶する。
次に、主制御装置20は、ウエハステージWST1の+Y方向への走査(スキャン)を開始し、図51に示されるように、アライメント領域に移動させる。そして、主制御装置20は、エンコーダ170C,170D(及び干渉計209,229)を用いて、ウエハステージWST2の位置座標を計測しつつ、エンハンスト・グローバル・アライメント(EGA)を開始する。詳述すると、主制御装置20は、ウエハステージWST1をX軸方向に移動させるとともに、Y軸方向に関してステップ移動させつつ、ステップ位置毎に、プライマリアライメント系AL1を含む少なくとも1つのアライメント系を用いて、ウエハW1上の特定の複数のショット領域(サンプルショット領域)に付設された複数のアライメントマークの一部を検出し、その検出結果と検出時におけるエンコーダ170C,170Dの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。
図51には、プライマリアライメント系AL1,セカンダリアライメント系AL22,AL23,AL24を用いて、4つのサンプルショット領域に付設されたアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出している様子が示されている(図51中の星マーク参照)。このとき、ウエハステージWST2上に保持されたウエハW2に対するステップ・アンド・スキャン方式の露光は続行されている。
主制御装置20は、上述のウエハステージWST1の+Y方向への走査(スキャン)開始後、ウエハステージWST1が+Y方向に移動して、多点AF系(90a,90b)の検出ビームがウエハW1上に掛かり始めるまでの間に、移動スケール39B,39Aにそれぞれ対向する2つZヘッド171p,173q(例えば1713,1733)と多点AF系(90a,90b)とを共に作動させ(ONにし)、フォーカスマッピングを開始する。
ここで、本第4の実施形態におけるフォーカスマッピングとは、Zヘッド171p,173qと多点AF系(90a,90b)とが同時に作動している状態で、ウエハステージWST1(又はWST2)が+Y方向へ進行している間に(図51〜図55参照)、所定のサンプリング間隔で、Zヘッド171p,173qで計測されるウエハテーブルWTB1(又はWTB2)表面(プレート28の表面、具体的には移動スケール39B,39Aの表面)のZ軸方向に関する位置情報(面位置情報)と、多点AF系(90a,90b)で検出される複数の検出点におけるウエハW1(又はW2)表面のZ軸方向に関する位置情報(面位置情報)とを、取り込み、その取り込んだ各面位置情報と各サンプリング時のエンコーダ170C,170Dの計測値との三者を相互に対応付けて不図示のメモリに逐次格納する処理を指す。
フォーカスマッピングの開始後、主制御装置20は、エンコーダ170C,170Dの計測値に基づいて、ウエハステージWST1を+Y方向に所定距離移動させ、かつ−X方向に所定距離移動させて、図52に示される、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24がウエハW上の5つのサンプルショット領域に付設されたアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出可能となる位置に位置決めする。そして、主制御装置20は、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いて、5つのアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出し(図52中の星マーク参照)、上記5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出結果とその検出時のエンコーダ170C,170Dの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。このとき、前述のウエハステージWST1側のフォーカスマッピング、及びウエハステージWST2上のウエハW2に対するステップ・アンド・スキャン方式の露光は続行されている。
次に、主制御装置20は、エンコーダ170C,170Dの計測値に基づいて、ウエハステージWST1を+Y方向に所定距離移動させ、かつ+X方向に所定距離移動させて、図53に示される、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24がウエハW上の5つのサンプルショット領域に付設されたアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出可能となる位置に位置決めする。そして、主制御装置20は、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いて、5つのアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出し(図53中の星マーク参照)、上記5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出結果とその検出時のエンコーダ170C,170Dの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。このとき、前述のウエハステージWST1側のフォーカスマッピング、及びウエハステージWST2のウエハW2に対するステップ・アンド・スキャン方式の露光は続行されている。
次に、主制御装置20は、エンコーダ170C,170Dの計測値に基づいて、ウエハステージWST1を+Y方向に所定距離移動させ、かつ−X方向に所定距離移動させて、図54に示される、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24がウエハW上の5つのサンプルショット領域に付設されたアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出可能となる位置に位置決めする。そして、主制御装置20は、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いて、5つのアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出し(図54中の星マーク参照)、上記5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出結果とその検出時のエンコーダ170C,170Dの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。このとき、X干渉計218からの測長ビームがウエハテーブルWTB1の反射面27cに当たり始めるので、主制御装置20は、このときのX干渉計229の計測値(又はエンコーダ170C,170Dの計測値)に基づいて、X干渉計218をプリセットする。これにより、以後、X干渉計218によってもウエハテーブルWTB1のX位置及びθy方向の回転量(ローリング量)の計測が可能になる。このとき、前述のウエハステージWST1側のフォーカスマッピング、及びウエハステージWST2上のウエハW2に対するステップ・アンド・スキャン方式の露光は続行されている。
次に、主制御装置20は、エンコーダ170C,170Dの計測値に基づいて、ウエハステージWSTを+Y方向に所定距離移動させ、かつ+X方向に所定距離移動させて、図55に示されるアライメント系AL1,AL23がウエハW上の最後の2つのサンプルショット領域に付設されたアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出可能となる位置に位置決めする。そして、主制御装置20は、2つのアライメント系AL1,AL23を用いて、2つのアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出し(図55中の星マーク参照)、上記2つのアライメント系AL1,AL23の検出結果とその検出時のエンコーダ170C,170Dの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。このとき、ウエハステージWST2上のウエハW2に対するステップ・アンド・スキャン方式の露光が終了する。ただし、この時点では、前述のウエハステージWST1側のフォーカスマッピングは続行されている。ウエハW2に対する露光終了位置にウエハステージWST2が到達する前に、X干渉計226からの測長ビームがウエハテーブルWTB2の反射面27eに当たり始めるので主制御装置20は、X干渉計227の計測値(又はエンコーダ170A,170Bの計測値)に基づいて、X干渉計226をプリセットする。
上記の露光が終了するのに先だって、主制御装置20は、周辺露光ユニット51を用いて、ウエハW1に対する走査露光方式の周辺露光(周辺スキャン露光)を開始する(図55参照)。この周辺露光が開始される時点では、図55からもわかるように、2Dヘッド1662,1661が、移動スケール39A,39Bに対向しているので、以後、主制御装置20は、2Dヘッド1662,1661、すなわち、エンコーダ170E,170Fの計測値に基づく、ウエハステージWST1のXY平面内の位置情報の計測も開始する。
次いで、主制御装置20は、周辺スキャン露光を続行しつつ、図56に示される第1のスクラム開始位置に、ウエハステージWST2及びウエハステージWST1を移動させる。これに先立って、ウエハステージWST1のXY平面内の位置情報の計測に用いられるエンコーダは、エンコーダ170C,170Dからエンコーダ170E、170Fに切り替えられている。
そして、ウエハステージWST1,WST2が、第1のスクラム開始位置に、到達すると、主制御装置20は、多点AF系(90a,90b)(及びZヘッド171p,173q)の作動を停止して(OFFにして)、フォーカスマッピングを終了し、多点AF系(90a,90b)の各検出点についての面位置情報を、同時に取り込んだZヘッド171p,173qによる面位置情報を基準とするデータに換算する。この場合の換算は、例えば国際公開第2007/097379号に開示される方法と同様の方法で行われる。
このようにして、予め上記の換算データを取得しておくことで、例えば、露光の際などには、前述のZヘッド74i、76jでウエハテーブルWTB1表面(スケール39B,39Aがそれぞれ形成された領域上の点)を計測して、ウエハテーブルWTB1のZ位置とXY平面に対する傾斜量(主としてθy回転量)を算出する。この算出したウエハテーブルWTB1のZ位置とXY平面に対する傾斜と前述の換算データを用いることで、ウエハ表面の面位置情報を実際に取得することなく、ウエハW上面の面位置制御が可能になる。
上記のフォーカスマッピングが終了した時点では、EGAも終了しているので、主制御装置20は、それまでに得た複数のアライメントマークの検出結果と対応する上記2つのエンコーダ170C,170Dの計測値と、予め計測したセカンダリアライメント系AL2nのベースラインとを用いて、例えば米国特許第4,780,617号明細書などに開示されるEGA方式にて統計演算を行って、上記2つのエンコーダ170C,170D(2つのヘッドユニット162C,162D)の計測軸で規定される座標系(例えば、プライマリアライメント系AL1の検出中心を原点とするXY座標系(アライメント座標系))上におけるウエハW1上の全てのショット領域の配列(位置座標)を算出する。
このように、本第4の実施形態では、主制御装置20は、ウエハステージWST1を+Y方向に移動させつつ、X軸方向にジグザグ状に往復移動させ、その移動経路上における複数箇所にウエハステージWST1を位置決めして、位置決めの都度、5つのアライメント系AL1、AL21〜AL24のうちの少なくとも2つを同時に用いてアライメントマークを検出する。従って、本第4の実施形態によると、ウエハW1上の複数のサンプルショット領域におけるアライメントマークの位置情報を、単一のアライメント系によりアライメントマークを順次検出する場合などに比べて、格段に短時間で得ることができる。従って、ウエハW1上の全てのショット領域をサンプルショット領域とする場合であっても、短時間での計測が可能である。
そして、両ウエハステージWST1、WST2が第1のスクラム開始位置に移動した状態では、ウエハテーブルWTB1のセンターラインが基準軸LV0にほぼ一致し、かつウエハテーブルWTB2のセンターラインが、基準軸LV0から所定距離(第1のオフセット量)+X側にずれた状態で、ウエハテーブルWTB2の−Y端面(計測部138の−Y端面)とウエハテーブルWTB1の+Y端面(FDバー46の+Y端面)とが接触(あるいは例えば300μm程度のクリアランスを介して近接)するスクラム状態となる。すなわち、このスクラム状態では、ウエハテーブルWTB2の一部を構成する計測部138の−Y側端とウエハテーブルWTB1の一部を構成するFDバー46の+Y側端とが接触(又は近接)することで、ウエハステージWST1の+Y側の面とウエハステージWST2の−Y側の面とが一部対向した状態で、ウエハステージWST1とウエハステージWST2とが、FDバー46及び計測部138を介して、Y軸方向に関して接触(又は近接)することができるようになっている。
ウエハテーブルWTB2の計測部138のY軸方向の長さと、ウエハテーブルWTB1のFDバー46のY軸方向の長さとの合計は、計測部138とFDバー46とが接触した状態において、ウエハステージWST1とウエハステージWST2とが接触する(より正確には、ウエハステージWST1のエアスライダ54の+Y側端と、ウエハステージWST2のエアスライダ54の−Y側端とが接触する)のを阻止できる程度の長さに設定されている。
主制御装置20は、上記のスクラム状態を保ったまま、エンコーダ170E,170Fの計測値に基づいて、ウエハステージWST1を+Y方向に駆動すると同時にウエハステージWST2を干渉計207,226の計測値に基づいて、図57中の白抜き太矢印で示されるように、+Y方向かつ+X方向に駆動する。この両ウエハステージWST1,WST2の移動中も、周辺スキャン露光は続行されている。
ウエハステージWST1,WST2が、スクラム状態を保ったまま上述のそれぞれの移動方向に移動するに伴い、先端レンズ191とウエハテーブルWTB2との間に形成されていた液浸領域14は、ウエハテーブルWTB2上からウエハテーブルWTB1上へ移動する。図57には、この移動の途中で、液浸領域14がウエハテーブルWTB2上から該ウエハテーブルWTB2の計測部138、及びウエハテーブルWTB1のFDバー46を介して、ウエハテーブルWTB1のテーブル本体34上へ渡される直前の両ウエハステージWST1,WST2の状態が示されている。
液浸領域14のウエハテーブルWTB1(テーブル本体34)上への移動が完了し、図58に示される位置(計測プレート30が投影光学系PLの直下に位置する位置)にウエハステージWST1が達すると、主制御装置20は、両ウエハステージWST1,WST2の+Y方向に関する駆動力をゼロにする。これにより、ウエハステージWST1は停止され、ウエハステージWST2は、図58中の白抜き太矢印で示されるように、+X方向への駆動が開始されることとなる。
次に、主制御装置20は、投影光学系PLによって投影されたレチクルR上の一対の計測マークの投影像(空間像)を、ウエハステージWST1の計測プレート30を含む前述した空間像計測装置45Aを用いて計測する。例えば、前述の米国特許出願公開第2002/0041377号明細書などに開示される方法と同様に、一対の空間像計測スリットパターンSLを用いたスリットスキャン方式の空間像計測動作にて、一対の計測マークの空間像をそれぞれ計測し、その計測結果(ウエハテーブルWTB1のXY位置に応じた空間像強度)をメモリに記憶する。このレチクルR上の一対の計測マークの空間像の計測処理に際しては、ウエハテーブルWTB1のXY平面内の位置は、Xスケール39B,39Aに対向する2つの2Dヘッド164i,165j(エンコーダ170B,170A)に基づいて制御されている。
ところで、ウエハステージWST2の+X方向への駆動開始に先立って、ウエハテーブルWTB2の反射面27fに、Y干渉計207からの測長ビームが当たっている段階で、Y干渉計206からの測長ビームも反射面27fに当たり始める。そこで、主制御装置20は、Y干渉計206からの測長ビームが反射面27fに当たり始めた直後に、Y干渉計207の計測値に基づいて、Y干渉計206をプリセットしている。このプリセットが行われた時点以後、ウエハテーブルWTB2の位置は、図58に示されるように、干渉計206、226の計測値に基づいて、主制御装置20によって制御される。
一方、図58に示される位置に、ウエハステージWST1,WST2が移動した段階では、X干渉計217からの測長ビームがウエハテーブルWTB1の反射面27cに当たるとともに、Y干渉計207からの測長ビームがウエハテーブルWTB1の反射面27bに当たるようになる。そこで、主制御装置20は、X干渉計218の計測値に基づいて、X干渉計217をプリセットするとともに、Y干渉計209の計測値に基づいて、Y干渉計207をプリセットする。あるいは、主制御装置20は、エンコーダ170B,170Aの計測値に基づいて、干渉計207,217をプリセットする。いずれにしても、この時点以後、主制御装置20は、ウエハテーブルWTB1の位置情報を干渉計207、217を用いて計測する。勿論、ウエハテーブルWTB1のXY平面内の位置の制御は、エンコーダ170B,170Aの計測値に基づいて行われる。
そして、主制御装置20は、上述の空間像計測動作を行うのと並行して、ウエハステージWST2を、図59に示される位置まで移動させる。
そして、空間像計測動作が終了すると、主制御装置20は、前述のプライマリアライメント系AL1を用いてウエハステージWST1の計測プレート30上の基準マークFMを検出した際の検出結果と上記の空間像の計測結果とに基づいて、プライマリアライメント系AL1のベースラインを算出する。このとき、前述のウエハW1の周辺露光は、続行されている。
次に、主制御装置20は、図60に示されるように、ウエハW1の周辺露光を続行しつつ、ウエハステージWST1を、ウエハW1に対する露光開始位置に移動させるとともに、図61に示される右側ローディングポジションに向けてのウエハステージWST2の−Y方向の移動を開始する。ウエハW1の露光が開始された時点では、周辺露光は終了している。
上記のウエハW1の露光動作は、主制御装置20により、事前に行われたウエハアライメント(前述のEGA)の結果及びアライメント系AL1,AL21〜AL24の最新のベースライン等に基づいて、ウエハW1上の各ショット領域の露光のための走査開始位置(加速開始位置)へウエハステージWST1が移動されるショット間移動動作と、レチクルRに形成されたパターンを走査露光方式で各ショット領域に転写する走査露光動作とを繰り返すことにより、行われる。なお、ウエハW1上の露光対象のショット領域の行数が、偶数行であり、上記の露光は、いわゆる完全交互スキャンにより、図60における右上に位置するショット領域から右下に位置するショット領域の順で行われる。
なお、ウエハW1の露光動作中、ウエハテーブルWTB1のXY平面内の位置(θz方向の回転を含む)は、移動スケール39A、39Bにそれぞれ対向するヘッドユニット162A,162Bに属する2Dヘッド165j、164i(すなわち2次元エンコーダ170A、170B)の計測値に基づいて、主制御装置20によって制御されている。また、露光中のウエハテーブルWTB1のZ軸方向の位置、及びθy回転(ローリング)は、ウエハテーブルWTB1表面のX軸方向一側と他側の端部(移動スケール39B、39A)にそれぞれ対向する一対のZヘッド74i,76jの計測値に基づいて、主制御装置20により制御されている。また、露光中のウエハテーブルWTB1のθx方向の回転(ピッチング)は、Y干渉計207の計測値に基づいて、主制御装置20により制御されている。この露光中のウエハテーブルWTB1のZ軸方向の位置,θy回転及びθx回転の制御(ウエハWのフォーカス・レベリング制御)は、前述のフォーカスマッピングの結果に基づいて行われる。また、ウエハテーブルWTB1のZ軸方向を除く、5自由度方向の位置は、干渉計207、217によっても計測されている。
図60からも明らかなように、右側ローディングポジションに向けてのウエハステージWST2の移動の途中で、X干渉計226からの測長ビームがウエハテーブルWTB2の反射面27eに当たらなくなるが、それに先立ち、X干渉計226からの測長ビームが反射面27eに当たっているときに、X干渉計227からの測長ビームが反射面27eに当たり始める。そこで、主制御装置20は、X干渉計226の計測値に基づいて、X干渉計227の計測値をプリセットしている。
図60に示される位置から、さらに−Y方向にウエハステージWST2が移動すると、X干渉計228からの測長ビームが反射面27eに当たり始める。そこで、主制御装置20は、X干渉計227からの測長ビームが反射面27eに当たっている間に、X干渉計227の計測値に基づいて、X干渉計228の計測値をプリセットする。
さらに、−Y方向にウエハステージWST2が移動すると、X干渉計229からの測長ビームが反射面27eに当たり始める。そこで、主制御装置20は、X干渉計228からの測長ビームが反射面27eに当たっている間に、X干渉計228の計測値に基づいて、X干渉計229の計測値をプリセットする。
主制御装置20は、上述のように、位置制御に用いるX干渉計を切り替えつつ、ウエハステージWST2を、右側ローディングポジションに向かって駆動するのと並行して、ウエハW1に対するステップ・アンド・スキャン方式の露光動作を続行している。
そして、図61に示される、右側ローディングポジションにウエハステージWST2が到達すると、主制御装置20は、右側ローディングポジションにおいて、Pit作業を開始する。
図62には、右側ローディングポジションにおいて、Pit作業(ウエハ搬送機構(不図示)とウエハステージWST2との間でウエハ交換、及びウエハホルダの冷却その他の露光のための準備作業)が行われ、これと並行して、投影ユニットPUの下方において、ウエハステージWST1上に保持されたウエハW1に対して、ステップ・アンド・スキャン方式の露光が行われている状態が示されている。このとき、ウエハテーブルWTB2の位置は、Y干渉計206とX干渉計229との計測値に基づいて、主制御装置20によって管理されている。
上述のように、ウエハテーブルWTB1上のウエハW1に対するステップ・アンド・スキャン方式の露光が続行されている間に、主制御装置20により、図63に示されるように、Pit作業が完了したウエハステージWST2の−X方向への駆動が開始される。そして、ウエハステージWST2は、図64に示される、計測プレート30上の基準マークFMがプライマリアライメント系AL1の視野(検出領域)内に位置決めされる位置へ移動される。この移動の途中で、主制御装置20により、ウエハテーブルWTB2のXY平面内の位置の制御が、前述の干渉計206、229の計測値に基づく制御から、ウエハテーブルWTB2の移動スケール39B,39Aに対向するヘッドユニット162D,162Cにそれぞれ属する2Dヘッド167p、168q、すなわち2次元エンコーダ170D,170Cの計測値に基づく制御に切り換えられる。
そして、図64に示される位置にウエハステージWST2が移動すると、主制御装置20は、新しいウエハW2に対するウエハアライメント(及びその他の前処理計測)の開始に先立って、Y干渉計209及びX干渉計229、並びに2次元エンコーダ170D,170Cのリセット(原点の再設定)を実行する。
干渉計209,229のリセットが終了すると、主制御装置20は、プライマリアライメント系AL1を用いてウエハステージWST2の計測プレート30上の基準マークFMを検出する。そして、主制御装置20は、プライマリアライメント系AL1の指標中心を基準とする基準マークFMの位置を検出し、その検出結果と、検出時におけるエンコーダ170C,170Dの計測値とを対応付けてメモリに記憶する。
次に、主制御装置20は、ウエハステージWST2の+Y方向への走査(スキャン)を開始し、図65に示されるように、アライメント領域に移動させる。そして、主制御装置20は、エンコーダ170C,170D(及び干渉計209,229)を用いて、ウエハステージWST2の位置座標を計測しつつ、前述と同様のEGAを開始する。
図65には、主制御装置20により、プライマリアライメント系AL1,セカンダリアライメント系AL22,AL23を用いて、3つのサンプルショット領域に付設されたアライメントマークがほぼ同時にかつ個別に検出されている様子が示されている(図65中の星マーク参照)。このとき、ウエハステージWST1上に保持されたウエハW1に対するステップ・アンド・スキャン方式の露光は続行されている。
主制御装置20は、上述のウエハステージWST2の+Y方向への走査(スキャン)開始後、ウエハステージWST2が+Y方向に移動して、多点AF系(90a,90b)の検出ビームがウエハW1上に掛かり始めるまでの間に、Zヘッド171p,173qと多点AF系(90a,90b)とを共に作動させ(ONにし)、前述と同様のフォーカスマッピングを開始する。
フォーカスマッピングの開始後、主制御装置20は、エンコーダ170C,170Dの計測値に基づいて、ウエハステージWST2を+Y方向に所定距離移動させ、かつ+X方向に所定距離移動させて、図66に示される位置に位置決めする。そして、主制御装置20は、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いて、5つのアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出し(図66中の星マーク参照)、上記5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出結果とその検出時のエンコーダ170C,170Dの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。このとき、前述のウエハステージWST2側のフォーカスマッピング、及びウエハステージWST1上のウエハW1に対するステップ・アンド・スキャン方式の露光は続行されている。
次に、主制御装置20は、エンコーダ170C,170Dの計測値に基づいて、ウエハステージWSTを+Y方向に所定距離移動させ、かつ−X方向に所定距離移動させて、図67に示される位置に位置決めする。そして、主制御装置20は、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いて、5つのアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出し(図67中の星マーク参照)、上記5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出結果とその検出時のエンコーダ170C,170Dの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。このとき、前述のウエハステージWST2側のフォーカスマッピング、及びウエハステージWST1上のウエハW1に対するステップ・アンド・スキャン方式の露光は続行されている。
次に、主制御装置20は、エンコーダ170C,170Dの計測値に基づいて、ウエハステージWST2を+Y方向に所定距離移動させ、かつ+X方向に所定距離移動させて、図68に示される位置に位置決めする。そして、主制御装置20は、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いて、5つのアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出し(図68中の星マーク参照)、上記5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出結果とその検出時のエンコーダ170C,170Dの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。このとき、X干渉計228からの測長ビームがウエハテーブルWTB2の反射面27eに当たり始めるので、主制御装置20は、このときのX干渉計229の計測値に基づいて、X干渉計228をプリセットする。これにより、以後、X干渉計228によってもウエハテーブルWTB2のX位置及びθy方向の回転量(ローリング量)の計測が可能になる。このとき、前述のウエハステージWST2側のフォーカスマッピング、及びウエハステージWST1上のウエハW1に対するステップ・アンド・スキャン方式の露光は続行されている。
次に、主制御装置20は、エンコーダ170C,170Dの計測値に基づいて、ウエハステージWST2を+Y方向に所定距離移動させ、かつ−X方向に所定距離移動させて、図69に示される位置に位置決めする。そして、主制御装置20は、2つのアライメント系AL1,AL22を用いて、2つのアライメントマークをほぼ同時にかつ個別に検出し(図69中の星マーク参照)、上記2つのアライメント系AL1,AL22の検出結果とその検出時のエンコーダ170C,170Dの計測値とを関連付けて不図示のメモリに格納する。このとき、ウエハステージWST1上のウエハW1に対する、ステップ・アンド・スキャン方式の露光が終了する。ただし、この時点では、前述のウエハステージWST2側のフォーカスマッピングは続行されている。ウエハW1に対する、露光終了位置にウエハステージWST1が到達する前に、X干渉計226からの測長ビームがウエハテーブルWTB1の反射面27aに当たり始めるので主制御装置20は、X干渉計217の計測値(又はエンコーダ170A,170Bの計測値)に基づいて、X干渉計226をプリセットする。
上記の露光終了に先だって、主制御装置20は、周辺露光ユニット51を用いて、ウエハW2に対する周辺スキャン露光を開始する(図69参照)。この周辺露光が開始される時点では、図69からもわかるように、2Dヘッド1662,1661が、移動スケール39A,39Bに対向しているので、以後、主制御装置20は、2Dヘッド1662,1661、すなわち、エンコーダ170E,170Fの計測値に基づく、ウエハステージWST2のXY平面内の位置情報の計測も開始する。
次いで、主制御装置20は、周辺スキャン露光を続行しつつ、図70に示される第2のスクラム開始位置に、ウエハステージWST1及びウエハステージWST2を移動させる。これに先立って、ウエハステージWST2のXY平面内の位置情報の計測に用いられるエンコーダは、エンコーダ170C,170Dからエンコーダ170E、170Fに切り替えられている。
そして、ウエハステージWST1,WST2が、第2のスクラム開始位置に到達すると、主制御装置20は、フォーカスマッピングを終了し、多点AF系(90a,90b)の各検出点についての面位置情報を、同時に取り込んだZヘッド171p,173qによる面位置情報を基準とするデータに前述と同様にして換算する。
上記のフォーカスマッピングが終了した時点では、EGAも終了しているので、主制御装置20は、それまでに得た複数のアライメントマークの検出結果と対応する上記2つのエンコーダ170C,170Dの計測値と、予め計測したセカンダリアライメント系AL2nのベースラインとを用いて、EGA方式にて統計演算を行って、上記2つのエンコーダ(2つのヘッドユニット)の計測軸で規定される座標系(例えば、プライマリアライメント系AL1の検出中心を原点とするXY座標系(アライメント座標系))上におけるウエハW1上の全てのショット領域の配列(位置座標)を算出する。
ここで、両ウエハステージWST1、WST2が第2のスクラム開始位置に移動した状態では、ウエハテーブルWTB2のセンターラインが基準軸LV0にほぼ一致し、かつウエハテーブルWTB1のセンターラインが、基準軸LV0から所定距離(第2のオフセット量)−X側にずれた状態で、ウエハテーブルWTB1の−Y端面(計測部138の−Y端面)とウエハテーブルWTB2の+Y端面(FDバー46の+Y端面)とが接触(あるいは例えば300μm程度のクリアランスを介して近接)するスクラム状態となる。すなわち、このスクラム状態では、ウエハテーブルWTB1の一部を構成する計測部138の−Y側端とウエハテーブルWTB2の一部を構成するFDバー46の+Y側端とが接触(又は近接)することで、ウエハステージWST2の+Y側の面とウエハステージWST1の−Y側の面とが一部対向した状態で、ウエハステージWST2とウエハステージWST1とが、FDバー46及び計測部138を介して、Y軸方向に関して接触(又は近接)することができるようになっている。ここで、第2のオフセット量は、前述の第1のオフセット量と同じ距離に定められている。
ウエハテーブルWTB1の計測部138のY軸方向の長さと、ウエハテーブルWTB2のFDバー46のY軸方向の長さとの合計は、計測部138とFDバー46とが接触した状態において、ウエハステージWST2とウエハステージWST1とが接触する(より正確には、ウエハステージWST2のエアスライダ54の+Y側端と、ウエハステージWST1のエアスライダ54の−Y側端とが接触する)のを阻止できる程度の長さに設定されている。
主制御装置20は、上記のスクラム状態を保ったまま、エンコーダ170E,170Fの計測値に基づいて、ウエハステージWST2を+Y方向に駆動すると同時にウエハステージWST1を干渉計207,226の計測値に基づいて、図71中の白抜き太矢印で示されるように、+Y方向かつ−X方向に駆動する。この両ウエハステージWST1,WST2の移動中も、周辺スキャン露光は続行されている。
ウエハステージWST1,WST2が、スクラム状態を保ったまま上述のそれぞれの移動方向に移動するに伴い、先端レンズ191とウエハテーブルWTB1との間に形成されていた液浸領域14は、ウエハテーブルWTB1上からウエハテーブルWTB2上へ移動する。図71には、この移動の途中で、液浸領域14がウエハテーブルWTB1上から該ウエハテーブルWTB1の計測部138、及びウエハテーブルWTB2のFDバー46を介して、ウエハテーブルWTB2のテーブル本体34上へ渡される直前の両ウエハステージWST1,WST2の状態が示されている。
液浸領域14のウエハテーブルWTB2(テーブル本体34)上への移動が完了し、図72に示される位置(計測プレート30が投影光学系PLの直下に位置する位置)にウエハステージWST2が達すると、主制御装置20は、両ウエハステージWST1,WST2の+Y方向に関する駆動力をゼロにする。これにより、ウエハステージWST2は停止され、ウエハステージWST1は、図72中の白抜き太矢印で示されるように、−X方向への駆動が開始されることとなる。
次に、主制御装置20は、投影光学系PLによって投影されたレチクルR上の一対の計測マークの投影像(空間像)を、ウエハステージWST2の計測プレート30を含む前述した空間像計測装置45Bを用いて前述と同様にして計測する。この空間像の計測処理に際しては、ウエハテーブルWTB2のXY平面内の位置は、Xスケール39A,39Bに対向する2つの2Dヘッド165j,164i(エンコーダ170B,170A)に基づいて制御されている。
ところで、ウエハステージWST1の−X方向への駆動開始に先立って、ウエハテーブルWTB1の反射面27bに、Y干渉計207からの測長ビームが当たっている段階で、Y干渉計208からの測長ビームも反射面27bに当たり始める。そこで、主制御装置20は、Y干渉計208からの測長ビームが反射面27bに当たり始めた直後に、Y干渉計207の計測値に基づいて、Y干渉計208をプリセットしている。このプリセットが行われた時点以後、ウエハテーブルWTB1の位置は、図72に示されるように、干渉計208、226の計測値に基づいて、主制御装置20によって制御される。
一方、図72に示される位置に、ウエハステージWST1,WST2が移動した段階では、X干渉計227からの測長ビームがウエハテーブルWTB2の反射面27eに当たるとともに、Y干渉計207からの測長ビームがウエハテーブルWTB1の反射面27fに当たるようになる。そこで、主制御装置20は、X干渉計228の計測値に基づいて、X干渉計227をプリセットするとともに、Y干渉計209の計測値に基づいて、Y干渉計207をプリセットする。あるいは、主制御装置20は、エンコーダ170B,170Aの計測値に基づいて、干渉計207,227をプリセットする。いずれにしても、この時点以後、主制御装置20は、ウエハテーブルWTB1の位置情報を干渉計207、227を用いて計測する。勿論、ウエハテーブルWTB2のXY平面内の位置の制御は、エンコーダ170B,170Aの計測値に基づいて行われる。
そして、主制御装置20は、上述の空間像計測動作を行うのと並行して、ウエハステージWST1を、図73に示される位置まで移動させる。
そして、空間像計測が終了すると、主制御装置20は、前述のプライマリアライメント系AL1を用いてウエハステージWST2の計測プレート30上の基準マークFMを検出した際の検出結果と上記の空間像の計測結果とに基づいて、プライマリアライメント系AL1のベースラインを算出する。このとき、前述のウエハW2の周辺露光は、続行されている。
次に、主制御装置20は、図73に示されるように、ウエハW2の周辺露光を続行しつつ、ウエハステージWST2を、ウエハW2に対する露光開始位置に移動させるとともに、図75に示される左側ローディングポジションに向けてのウエハステージWST1の−Y方向の移動を開始する。
そして、主制御装置20は、前述と同様にして、ウエハW2に対する露光を開始する。このウエハW2の露光が開始された時点では、周辺露光は終了している。
図74からも明らかなように、左側ローディングポジションに向けてのウエハステージWST1の移動の途中で、X干渉計226からの測長ビームがウエハテーブルWTB1の反射面27aに当たらなくなるが、それに先立ち、X干渉計226からの測長ビームが反射面27aに当たっているときに、X干渉計217からの測長ビームが反射面27cに当たり始める。そこで、X干渉計226の計測値に基づいて、X干渉計217の計測値をプリセットしている。
図74に示される位置から、さらに−Y方向にウエハステージWST1が移動すると、X干渉計218からの測長ビームが反射面27cに当たり始める。そこで、主制御装置20は、X干渉計217からの測長ビームが反射面27cに当たっている間に、X干渉計217の計測値に基づいて、X干渉計218の計測値をプリセットする。
さらに、−Y方向にウエハステージWST1が移動すると、X干渉計229からの測長ビームが反射面27aに当たり始める。そこで、主制御装置20は、X干渉計218からの測長ビームが反射面27cに当たっている間に、X干渉計218の計測値に基づいて、X干渉計229の計測値をプリセットする。
主制御装置20は、上述のように、位置制御に用いるX干渉計を切り替えつつ、ウエハステージWST1を、左側ローディングポジションに向かって駆動するのと並行して、ウエハW2に対するステップ・アンド・スキャン方式の露光動作を続行している。
そして、図75に示される、左側ローディングポジションにウエハステージWST1が到達すると、主制御装置20は、左側ローディングポジションにおいて、Pit作業を開始する。
図76には、左側ローディングポジションにおいて、Pit作業の一部としてウエハ搬送機構(不図示)とウエハステージWST1との間でウエハ交換が行われ、これと並行して、投影ユニットPUの下方において、ウエハステージWST2上に保持されたウエハW2に対して、ステップ・アンド・スキャン方式の露光が行われている状態が示されている。
以降、主制御装置20により、上述したウエハステージWST1,WST2を用いた並行動作が繰り返し実行される。
以上詳細に説明したように、本第4の実施形態の露光装置1000によると、主制御装置20により、ウエハステージWST1,WST2の一方に保持されたウエハ(W1又はW2)に対する露光が行なわれるのと並行して、ウエハステージWST1,WST2の他方がY軸方向に移動されつつ、X軸方向にも移動され、該他方のウエハステージに保持されたウエハ上の異なる複数のアライメントマークがアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出領域(複数の検出領域)に順次位置決めされ、アライメント系AL1,AL21〜AL24の検出領域内に位置するアライメントマークの位置情報が順次検出される。従って、一方のウエハステージWSTに保持されたウエハの露光が行われるのと並行して、他方のウエハステージがアライメント系AL1,AL21〜AL24の検出領域の近傍の位置(例えばウエハステージに保持されたウエハの交換が行われる位置の近傍)から露光位置(投影ユニットPUの直下、露光領域IA)へ向かってY軸方向に関して移動する間に、その他方のウエハステージに保持されたウエハ上の複数のアライメントマーク、例えばすべてのアライメントマークの位置情報を検出することが可能になる。この結果、スループットの向上と重ね合わせ精度の向上とを実現することが可能になる。また、主制御装置20により、周辺露光ユニット51が制御され、露光位置に向かって移動する途中で周辺露光ユニット51の下方を通過する他方のウエハステージに保持されたウエハの周辺部のショット領域の少なくとも一部に照明光ILとほぼ同一波長のエネルギビームが照射される。従って、スループットを低下させることなく、歩留まりの向上を実現することが可能になる。
また、本第4の実施形態の露光装置1000では、主制御装置20により、ウエハステージWST1,WST2の一方に保持されたウエハ(W1又はW2)に対する露光が行なわれるのと並行して、ウエハステージWST1,WST2の他方のローディングポジションにおいて、Pit作業、すなわちウエハ搬送機構(不図示)とその他方のウエハステージとの間でウエハ交換、及びウエハホルダの冷却その他の露光のための準備作業が行われる。従って、ウエハホルダの冷却などの作業を、スループットを低下させることなく、行うことができる。
また、本第4の実施形態によると、主制御装置20により、ウエハステージWST1,WST2をXY平面内で駆動する平面モータ151が制御されるとともに、ウエハステージWST1に保持されたウエハW1の露光が終了した際に、ウエハステージWST1が露光位置のX軸方向の一側(−X側)に位置する第1帰還経路に沿ってウエハステージWST1上のウエハW1の交換が行われる左側ローディングポジションへ移動され、かつウエハステージWST2に保持されたウエハW2の露光が終了した際に、ウエハステージWST2が露光位置のX軸方向の他側(+X側)に位置する第2帰還経路に沿ってウエハステージWST2上のウエハW2の交換が行われる右側ローディングポジションへ移動される。従って、ウエハステージWST1には、X軸方向の一側から、ウエハステージWST2には、X軸方向の他側から、それぞれ配線・配管用のケーブルを取り付けることで、それらのケーブルの縺れを防止することができるとともに、その長さを極力短くすることができる。
また、本第4の実施形態の露光装置1000では、主制御装置20は、ウエハW1の露光が終了すると、ウエハステージWST1の計測部138とウエハステージWST2のFDバー46とを近接又は接触させたスクラム状態を維持して、ウエハステージWST2を+Y方向に駆動すると同時にウエハステージWST1を+Y方向かつ−X方向に駆動して、液浸領域14をウエハステージWST1上からウエハステージWST2上へ渡す。液浸領域14を渡した直後、主制御装置20は、投影光学系PLの直下にウエハステージWST2の計測プレート30が位置する位置で、両ウエハステージWST1,WST2の+Y方向に関する駆動力をゼロにする。これにより、ウエハステージWST2は停止され、ウエハステージWST1は、図72中の白抜き太矢印で示されるように、−X方向への移動を開始し、上述の第1帰還経路に沿って左側ローディングポジションへ向かって移動する。このウエハステージWST1の第1帰還経路に沿っての移動を効率良く開始できるように、第2のスクラム開始位置では、ウエハテーブルWTB2のセンターラインが基準軸LV0にほぼ一致し、かつウエハテーブルWTB1のセンターラインが、基準軸LV0から所定距離(第2のオフセット量)−X側にずれた状態で、両ウエハステージWST1,WST2のスクラム状態が開始されるようになっている。
一方、主制御装置20は、ウエハW2の露光が終了すると、前述と同様に、ウエハステージWST2の計測部138とウエハステージWST1のFDバー46とを近接又は接触させたスクラム状態を維持して、ウエハステージWST1を+Y方向に駆動すると同時にウエハステージWST2を+Y方向かつ+X方向に駆動して、液浸領域14をウエハステージWST2上からウエハステージWST1上へ渡す。液浸領域14を渡した直後、主制御装置20は、投影光学系PLの直下にウエハステージWST1の計測プレート30が位置する位置で、両ウエハステージWST1,WST2の+Y方向に関する駆動力をゼロにする。これにより、ウエハステージWST1は停止され、ウエハステージWST2は、図58中の白抜き太矢印で示されるように、+X方向への移動を開始し、上述の第2帰還経路に沿って右側ローディングポジションへ向かって移動する。このウエハステージWST2の第2帰還経路に沿っての移動を効率良く開始できるように、第1のスクラム開始位置では、ウエハテーブルWTB1のセンターラインが基準軸LV0にほぼ一致し、かつウエハテーブルWTB2のセンターラインが、基準軸LV0から所定距離(第1のオフセット量)+X側にずれた状態で、両ウエハステージWST1,WST2のスクラム状態が開始されるようになっている。
上述の説明からもわかるように、本第4の実施形態の露光装置1000では、一方のウエハステージ上のウエハの露光終了後、その一方のウエハステージの対応するローディングポジションへ向かっての帰還経路に沿った移動を最も効率良く開始することができるように、すなわち、その一方のウエハステージの移動経路を最も短く、かつ所要時間が最短になるように、ウエハステージWST1,WST2のスクラム開始時のX軸方向のオフセット量が定められている。
なお、上記第4の実施形態では、露光済みのウエハを保持するウエハステージの対応するローディングポジションへ向かっての帰還経路に沿った移動を最も効率良く開始することができるように、ウエハステージWST1,WST2のスクラム開始時のX軸方向のオフセット量が定められているものとしたが、これに代えて、あるいはこれとともに、次の露光対象であるウエハの露光の開始を最も効率良く行うことができるように、ウエハステージWST1,WST2のスクラム開始時のX軸方向のオフセット量が定められていても良い。
一方のウエハステージ上のウエハの露光終了後、その一方のウエハステージの対応するローディングポジションへ向かっての帰還経路に沿った移動を最も効率良く開始することを可能にする両ウエハステージのスクラム、又は次の露光対象であるウエハの露光の開始を最も効率良く行うことを可能にする両ウエハステージのスクラムを、最も効率の良いスクラムと呼ぶことができる。
また、上記第4の実施形態では、液浸領域14を両ウエハステージWST1,WST2間で受け渡すため、両ウエハステージWST1,WST2が、Y軸方向に関して接触又は近接するY方向スクラムを採用する場合について説明したが、これに限らず、液浸領域14を両ウエハステージWST1,WST2間で受け渡すため、両ウエハステージWST1,WST2が、X軸方向に関して接触又は近接するX方向スクラムを採用しても良い。この場合、両ウエハステージWST1,WST2を、スクラム開始時に、Y軸方向に関してオフセットさせても良い。
また、上記第4の実施形態と同様にY方向スクラムを採用する場合であっても、ウエハステージWST1,WST2のY軸方向の側面から機構部の一部が他の部分より外側に突出するような場合も考えられる。このような場合には、それらの突出部がもう一方のウエハステージの一部と接触しない程度の長さに、計測部及びFDバーのY軸方向の寸法、及び/又はスクラム時のオフセット量などを設定することが望ましい。
なお、上記第4の実施形態では、ウエハステージWST1及びWST2に固定の計測部及びFDバーなどのテーブル本体34に対する突出部が設けられる場合について説明したが、これに限らず、突出部が両ウエハステージWST1,WST2間での液浸領域の受け渡しを主目的とする場合には、この突出部は、可動であっても良い。この場合、例えば、突出部は、両ウエハステージWST1,WST2のスクラム時のみほぼ水平状態とし、スクラム時以外、すなわち非使用時には、折り畳んでおくこととしても良い。また、上記第4の実施形態では、計測部及びFDバーが突出部を兼用するものとしたが、これに限らず、専用の固定の突出部をウエハステージWST1及びWST2に設けても良い。
なお、上記第4の実施形態では、露光終了後、一方のウエハステージから他方のウエハステージに液浸領域14を渡すため、両ウエハステージWST1,WST2をY軸方向に関して所定距離以下に近接させる近接状態(スクラム状態)と、両ウエハステージWST1,WST2を離間させる離間状態(スクラム解除状態)との切り換えを行った後、ウエハステージWST1が露光位置の−X側に位置する第1帰還経路に沿ってウエハステージWST1上のウエハW1の交換が行われる第1交換位置へ移動され、ウエハステージWST2が露光位置の+X側に位置する第2帰還経路に沿ってウエハステージWST2上のウエハW2の交換が行われる第2交換位置へ移動される場合について説明した。すなわち、第1交換位置と第2交換位置とが別々である場合について説明した。しかし、これに限らず、第1交換位置と第2交換位置とが同一であっても良い。かかる場合には、主制御装置20は、露光位置にある一方のウエハステージに保持されたウエハの露光終了後、一方のウエハステージから他方のウエハステージに液浸領域14を渡すため、両ウエハステージWST1,WST2をY軸方向に関して所定距離以下に近接させる近接状態(スクラム状態)と、両ウエハステージWST1,WST2を離間させる離間状態(スクラム解除状態)との切り換えを行わせるとともに、他方のウエハステージから離間された一方のウエハステージを、X軸方向に関して露光位置の一側に位置する帰還経路に沿って両ウエハステージWST1,WST2上のウエハの交換が行われる交換位置へ移動させるように、平面モータを制御する構成を採用することとしても良い。かかる場合には、一方のウエハステージをX軸方向に関して露光位置の一側に位置する帰還経路に沿って交換位置へ移動させ、他方のウエハステージをX軸方向に関して露光位置の他側に位置する帰還経路に沿って交換位置へ移動させる場合などに比べて、両ウエハステージのX軸方向に関する移動範囲を狭く設定することができる。
また、上記第4の実施形態では、前述したウエハステージWST1,WST2の移動経路を前提に、ウエハステージWST1,WST2が、平面モータによりXY平面に沿って独立して駆動されるものとした。しかし、必ずしも平面モータを用いる必要はなく、移動経路によっては、リニアモータなどを用いても良い。
なお、上記第4の実施形態では、周辺露光ユニット51は、必ずしも設けなくても良い。かかる場合であっても、上述した種々の効果を得ることができる。
なお、上記第4の実施形態では、主制御装置20により、ウエハステージWST1,WST2の一方に保持されたウエハ(W1又はW2)に対する露光が行なわれるのと並行して、ウエハステージWST1,WST2の他方がY軸方向に移動されつつ、該他方のウエハステージに保持されたウエハ上の異なる複数のアライメントマークがアライメント系AL1,AL21〜AL24によって検出され、その位置情報が計測されるのみで良い。すなわち、露光位置からウエハ交換位置への移動経路は、ウエハステージWST1,WST2で同一であっても良い。また、上記のウエハステージWST1,WST2の他方は、X軸方向へ移動されることなく、Y軸方向に移動されつつ、該他方のウエハステージに保持されたウエハ上の異なる複数のアライメントマークが検出されれば良い。また、他方のウエハステージの上記Y軸方向への移動中に周辺露光を行う必要もない。また、ウエハステージWST1,WST2を平面モータで駆動する必要もない。
この一方、上記第4の実施形態では、主制御装置20により、ウエハステージWST1,WST2をXY平面内で駆動する平面モータ151が制御されるとともに、ウエハステージWST1に保持されたウエハW1の露光が終了した際に、ウエハステージWST1が露光位置のX軸方向の一側(−X側)に位置する第1帰還経路に沿ってウエハステージWST1上のウエハW1の交換が行われる左側ローディングポジションへ移動され、かつウエハステージWST2に保持されたウエハW2の露光が終了した際に、ウエハステージWST2が露光位置のX軸方向の他側(+X側)に位置する第2帰還経路に沿ってウエハステージWST2上のウエハW2の交換が行われる右側ローディングポジションへ移動されるのみでも良い。すなわち、ウエハステージWST1,WST2の一方に保持されたウエハ(W1又はW2)に対する露光が行なわれるのと並行して、ウエハステージWST1,WST2の他方に保持されたウエハの周辺露光は勿論、そのウエハ上の異なる複数のアライメントマークの位置情報の計測が行われなくても良い。また、平面モータは、ムービングコイル型でも良い。
また、上記第4の実施形態では、計測システム200が、干渉計システム118とエンコーダシステム150との両方を含むものとしたが、これに限らず、計測システムは、干渉計システム118とエンコーダシステム150との一方のみを含んでいても良い。特に、エンコーダシステムのみを含む場合には、そのエンコーダシステムは、2Dヘッドを含む2次元エンコーダでなくても良い。
なお、上記第1、第4の実施形態のそれぞれでは、マイクロミラー・アレイを用いて周辺露光ユニット51を構成した場合を例示したが、これに限らず、ウエハ上の任意の位置(領域)を照明光ILとほぼ同一波長の光で自在に露光ができるのであれば、周辺露光ユニットの構成は特に問わない。例えば、マイクロミラー・アレイ以外の空間光変調器を用いて周辺露光ユニットを構成することができる。また、レチクルと投影光学系PLとを用いて、周辺露光ユニットを構成することもできる。また、周辺露光では、通常露光でショット領域に転写されるのと同じパターンを転写することとしても良いが、異なるパターンを転写することとしても良い。この場合、例えば転写パターン密度などは同じか、極端に異ならないことが好ましい。ただし、線幅は粗くても良い。
なお、上記第1〜第4実施形態で説明した、エンコーダヘッド、Zヘッド、干渉計などの各計測装置の配置、構成などは一例に過ぎず、本発明がこれに限定されないことは勿論である。例えばヘッドユニットが、それぞれ備えるヘッドの数は上述した数に限らず、複数のマーク検出系(上記各実施形態では、アライメント系AL1、AL21〜AL24)の両外側に、ヘッドがそれぞれあれば足り、その数は問わない。要は、複数のマーク検出系のそれぞれで、ウエハW上の特定のアライメントマークを検出する際に、一対のスケールに、ヘッドが少なくとも各1つ対向できれば良い。また、上記各実施形態では、複数のマーク検出系の両外側のそれぞれ複数のヘッドのうち、最も内側に位置する2つのヘッドのY位置を、他のヘッドと異ならせる場合について説明したが、これに限らず、どのヘッドのY位置を異ならせても良い。要は、空きスペースに応じて、任意のヘッドのY位置を、他のヘッドのY位置と異ならせれば良い。あるいは、複数のマーク検出系の両外側に十分な空きスペースがある場合には、全てのヘッドを同一のY位置に配置しても良い。
また、マーク検出系(アライメント系)の数も5つに限られるものではなく、第2方向(上記各実施形態ではX軸方向)に関して検出領域の位置が異なるマーク検出系が2つ以上あることが望ましいが、その数は特に問わない。
また、上記各実施形態において、干渉計システムを設けず、エンコーダシステムのみを設ける場合には、Zヘッドによりウエハテーブルのθx方向の位置情報をも計測可能としても良い。
また、上記第1、第2、及び第4の実施形態のそれぞれにおいて、第3の実施形態、あるいは例えば米国特許出願公開第2006/0227309号明細書などに開示されているように、ウエハテーブルにエンコーダヘッドが設けられ、かつウエハテーブルの上方にこれに対向して一次元又は二次元の格子(例えば回折格子)が形成されたスケールが配置されるエンコーダシステムを用いても良い。この場合、Zヘッドもウエハテーブル上に配置し、上記スケールの表面をZヘッドからの計測ビームが照射される反射面として兼用しても良い。また、X軸方向及び/又はY軸方向に加えて、Z軸方向をも計測方向とする、いわばエンコーダヘッドとZヘッドとの機能を兼ね備えたヘッドを用いても良い。この場合、Zヘッドは不要となる。
なお、上記各実施形態では、ノズルユニット32の下面と投影光学系PLの先端光学素子の下端面とがほぼ同一面であるものとしたが、これに限らず、例えばノズルユニット32の下面を、先端光学素子の射出面よりも投影光学系PLの像面(すなわちウエハ)の近くに配置しても良い。すなわち、局所液浸装置8は上述の構造に限られず、例えば、欧州特許出願公開第1420298号明細書、国際公開第2004/055803号、国際公開第2004/057590号、国際公開第2005/029559号(対応米国特許出願公開第2006/0231206号明細書)、国際公開第2004/086468号(対応米国特許出願公開第2005/0280791号明細書)、特開2004−289126号公報(対応米国特許第6,952,253号明細書)などに記載されているものを用いることができる。また、例えば国際公開第2004/019128号(対応米国特許出願公開第2005/0248856号明細書)に開示されているように、先端光学素子の像面側の光路に加えて、先端光学素子の物体面側の光路も液体で満たすようにしても良い。さらに、先端光学素子の表面の一部(少なくとも液体との接触面を含む)又は全部に、親液性及び/又は溶解防止機能を有する薄膜を形成しても良い。なお、石英は液体との親和性が高く、かつ溶解防止膜も不要であるが、蛍石は少なくとも溶解防止膜を形成することが好ましい。
なお、上記各実施形態では、液体として純水(水)を用いるものとしたが、本発明がこれに限定されないことは勿論である。液体としては、化学的に安定で、照明光ILの透過率が高く安全な液体、例えばフッ素系不活性液体を使用しても良い。このフッ素系不活性液体としては、例えばフロリナート(米国スリーエム社の商品名)が使用できる。このフッ素系不活性液体は冷却効果の点でも優れている。また、液体として、照明光ILに対する屈折率が、純水(屈折率は1.44程度)よりも高い、例えば1.5以上の液体を用いても良い。この液体としては、例えば、屈折率が約1.50のイソプロパノール、屈折率が約1.61のグリセロール(グリセリン)といったC−H結合あるいはO−H結合を持つ所定液体、ヘキサン、ヘプタン、デカン等の所定液体(有機溶剤)、あるいは屈折率が約1.60のデカリン(Decalin: Decahydronaphthalene)などが挙げられる。あるいは、これら液体のうち任意の2種類以上の液体が混合されたものであっても良いし、純水にこれら液体の少なくとも1つが添加(混合)されたものであっても良い。あるいは、液体としては、純水に、H+、Cs+、K+、Cl−、SO4 2−、PO4 2−等の塩基又は酸を添加(混合)したものであっても良い。更には、純水にAl酸化物等の微粒子を添加(混合)したものであっても良い。これら液体は、ArFエキシマレーザ光を透過可能である。また、液体としては、光の吸収係数が小さく、温度依存性が少なく、投影光学系(先端の光学部材)、及び/又はウエハの表面に塗布されている感光材(又は保護膜(トップコート膜)あるいは反射防止膜など)に対して安定なものであることが好ましい。また、F2レーザを光源とする場合は、フォンブリンオイルを選択すれば良い。さらに、液体としては、純水よりも照明光ILに対する屈折率が高い液体、例えば屈折率が1.6〜1.8程度のものを使用しても良い。液体として、超臨界流体を用いることも可能である。また、投影光学系PLの先端光学素子を、例えば石英(シリカ)、あるいは、フッ化カルシウム(蛍石)、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム、フッ化リチウム、及びフッ化ナトリウム等のフッ化化合物の単結晶材料で形成しても良いし、石英や蛍石よりも屈折率が高い(例えば1.6以上)材料で形成しても良い。屈折率が1.6以上の材料としては、例えば、国際公開第2005/059617号に開示される、サファイア、二酸化ゲルマニウム等、あるいは、国際公開第2005/059618号に開示される、塩化カリウム(屈折率は約1.75)等を用いることができる。
また、上記各実施形態で、回収された液体を再利用するようにしても良く、この場合は回収された液体から不純物を除去するフィルタを液体回収装置、又は回収管等に設けておくことが望ましい。
なお、上記各実施形態では、露光装置が液浸型の露光装置である場合について説明したが、これに限られるものではなく、液体(水)を介さずにウエハWの露光を行うドライタイプの露光装置にも採用することができる。
また、上記各実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式等の走査型露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず、ステッパなどの静止型露光装置に本発明を適用しても良い。また、ショット領域とショット領域とを合成するステップ・アンド・スティッチ方式の投影露光装置、プロキシミティー方式の露光装置、又はミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明は適用することができる。
また、上記各実施形態の露光装置における投影光学系は縮小系のみならず等倍および拡大系のいずれでも良いし、投影光学系PLは屈折系のみならず、反射系及び反射屈折系のいずれでも良いし、その投影像は倒立像及び正立像のいずれでも良い。さらに、投影光学系PLを介して照明光ILが照射される露光領域IAは、投影光学系PLの視野内で光軸AXを含むオンアクシス領域であるが、例えば国際公開第2004/107011号に開示されるように、複数の反射面を有しかつ中間像を少なくとも1回形成する光学系(反射系又は反屈系)がその一部に設けられ、かつ単一の光軸を有する、いわゆるインライン型の反射屈折系と同様に、その露光領域は光軸AXを含まないオフアクシス領域でも良い。また、前述の照明領域及び露光領域はその形状が矩形であるものとしたが、これに限らず、例えば円弧、台形、あるいは平行四辺形などでも良い。
なお、上記各実施形態の露光装置の光源は、ArFエキシマレーザに限らず、KrFエキシマレーザ(出力波長248nm)、F2レーザ(出力波長157nm)、Ar2レーザ(出力波長126nm)、Kr2レーザ(出力波長146nm)などのパルスレーザ光源、あるいはg線(波長436nm)、i線(波長365nm)などの輝線を発する超高圧水銀ランプなどを用いることも可能である。また、YAGレーザの高調波発生装置などを用いることもできる。この他、例えば国際公開第1999/46835号(対応米国特許第7,023,610号明細書)に開示されているように、真空紫外光としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
また、上記各実施形態では、露光装置の照明光ILとしては波長100nm以上の光に限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことはいうまでもない。例えば、露光波長5〜15nmの波長域、例えば13.5nmの下で設計されたオール反射縮小光学系、及び反射型マスクを用いたEUV露光装置にも本発明を好適に適用することができる。この他、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置にも、本発明は適用できる。
また、上述の各実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれ、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)などを含む)を用いても良い。
また、例えば国際公開第2001/035168号に開示されているように、干渉縞をウエハ上に形成することによって、ウエハ上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
さらに、例えば特表2004−519850号公報(対応米国特許第6,611,316号明細書)に開示されているように、2つのレチクルパターンを投影光学系を介してウエハ上で合成し、1回のスキャン露光によってウエハ上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置にも本発明を適用することができる。
また、物体上にパターンを形成する装置は、前述の露光装置(リソグラフィシステム)に限られず、例えばインクジェット方式にて物体上にパターンを形成する装置にも本発明を適用することができる。
なお、上記各実施形態でパターンを形成すべき物体(エネルギビームが照射される露光対象の物体)はウエハに限られるものではなく、ガラスプレート、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置、有機EL、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
半導体素子などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、上記各実施形態の露光装置(パターン形成装置)によりレチクルのパターンをウエハに転写するリソグラフィステップ、露光されたウエハを現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記各実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ウエハ上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。