JP2013252654A - ボールペン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】筆記ボール30を保持するホルダー21の外周を覆うアウター50は、ホルダー21のカシメ部23に達するまでの部分を覆い、かつ筆記ボール30と同時に筆記面に接触可能なアウター先端部51を有し、筆記ボール30とアウター先端部51が同時に筆記面に接触した状態で、筆記ボール30と筆記面の接触部と、アウター先端部51と筆記面の接触部との間に拡散可能な粘度のインクが用いられる。
【選択図】図6
Description
また、特許文献2に示すように、筆記軸の両端に異なるボール径のボールペンチップが取り付けられたボールペンにより、描線の太さや濃度を変化させるようにしたものも知られている。
また、特許文献2に記載された発明では、筆記軸を反転する必要がある煩わしさに加え、二種類だけのボールペンチップであるため、単純に太い線と細い線を描くことができるというのみで、太さの調整を行うことはできなかった。
そこで、本願発明は、簡易な構造で、筆記時に特別な操作をすることなく、1つの筆記先端で異なる太さの描線を筆記可能であり、さらに描線の太さを自在に変化可能なボールペンを提供することを目的とする。
(第1の発明)
本願の第1の発明は、1つの筆記先端で異なる太さの描線が筆記可能なボールペンである。
(第2の発明)
本願の第2の発明は、上記した第1の発明の構成に加え、以下のような構成を加える。すなわち、筆記ボールと、先端をかしめたカシメ部により前記筆記ボールを保持するホルダーと、ホルダーにインクを供給するインク供給部と、インク供給部を内部に収納する軸筒と、前記ホルダーの外周を覆うアウターとを備え、前記筆記ボールを保持したホルダー及び前記アウターを前記軸筒の先端部より露出させてなるボールペンであり、前記筆記ボールとアウター先端部が筆記部となることを特徴とする。
ホルダーは、先端側が軸筒の先端部(先軸部)から露出し、後端側は軸筒の内部に位置して前記インク供給部と連通している。ホルダーの先端内部にはボールハウスが形成され、このボールハウスに筆記ボールが抱持されている。ホルダーは、ステンレス鋼などの金属材料やポリアセタールなどの樹脂材料を切削加工や射出成形により形成することができる。
本発明に係るボールペンは、軸筒を筆記面に対してほぼ垂直となるような状態(立てた状態)や筆記部が筆記面に潜り込まないように筆記した場合には、筆記ボールのみが筆記面と接触し、筆記ボールの周囲に付着したインクによって所定の幅の線を描くことができる。一方、軸筒を筆記面に対してある程度傾斜させた状態(寝かせた状態)や筆記部が筆記面に潜り込むようにして筆記した場合には、筆記ボールとアウター先端部が同時に筆記面と接触し、筆記ボールの周囲に付着しているインクや、筆記ボールの回転に伴いホルダーの内部から流出するインクが、筆記ボールと筆記面の接触部と、アウター先端部と筆記面の接触部との間に毛細管現象により拡散する。このため、軸筒を立てた状態や筆記部を筆記面に潜り込ませないで筆記する場合よりも、太い幅の線を描くことが可能となる。
(第3の発明)
本願の第3の発明は、上記した第2の発明の構成に加え、前記アウターは、前記ホルダーのカシメ部周辺に達するまでの部分を覆うことを特徴とする。
アウター先端部は、ホルダーのカシメ部に達するまでの部分、すなわちカシメ部よりも後方側の外周を覆うようになっている。
本発明によれば、筆記ボールとアウターを同時に筆記面に接触させたときに、筆記面と筆記ボールとアウターとにより囲まれた部分にインクが毛細管現象により拡散するので、太い描線をかすれさせることなく描くことができる。
本願の第4の発明は、上記した第3の発明の構成に加え、前記インクは、前記筆記ボールと前記アウター先端部が同時に筆記面に接触した状態で、前記筆記ボールと筆記面の接触部と、前記アウター先端部と筆記面の接触部との間に拡散可能な粘度に形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、筆記ボールとアウター先端部を同時に筆記面に接触させたときに、筆記面と筆記ボールとアウター先端部とにより囲まれた部分にインクが毛細管現象により拡散するので、太い描線をかすれさせることなく描くことができる。
(第1の実施の形態)
本実施の第1の形態に係るボールペン1は、図1(A)及び(B)に示すように、筆記ボール30及び先端をかしめたカシメ部23(図3参照)により前記筆記ボール30を保持するホルダー21を有するボールペンチップ20と、ボールペンチップ20のホルダー21にインクを供給するインク供給部40と、インク供給部40を内部に収納する軸筒10と、ホルダー21の外周を覆うアウター50とを備えている。
インク供給部40は、複数のフィンが外周に形成された略筒状のコレクター41と、コレクター41の先端を縮径して形成された先端保持部42とを有し、コレクター41の後端部はインク収容部13と接し、先端保持部42は先軸部12の内側に嵌入されている。また、先端保持部42の内部には、継ぎ手14の後端部が嵌入されている。また、コレクター41には、ポリエステルファイバー製の棒状のコレクター芯43が、軸方向に貫通している。コレクター芯43の後端側はインク収容部13内に突出しており、コレクター芯43の先端側は先端保持部42よりも先端側に突出して、継ぎ手14の後端部から内部に挿入されている。
アウター50は、略円錐形に形成された合成樹脂製の筒体であり、図2に示すように、先端に向かって先細となるテーパー部54が形成されているとともに、テーパー部54の先端部分は、R面取りが施されたアウター先端部51となっている。なお、アウター先端部51は、R面取りでなく、斜面状のテーパー面取りにしてもよい。また、後方側に形成された後方挿入孔52と、後方挿入孔52から先端側に連通する後方挿入孔52よりも小径の前方挿入孔53を有し、後方挿入孔52には継ぎ手14の先端部が挿入され、前方挿入孔53には、継ぎ手14から突出しているボールペンチップ20のホルダー21が挿入される。そして、アウター50は、前方挿入孔53にホルダー21が挿入され後方挿入孔52に継ぎ手14の先端部が挿入された状態で、継ぎ手14の先端部に固定され、先軸部12から露出している継ぎ手14及びホルダー21を覆うようになっている。
ここにおいて、アウター50のアウター先端部51は、図3に示すように、アウター先端部51と筆記ボール30との双方に接する接線Lよりも、カシメ部23が内側(筆記ボール30側)に位置するよう、カシメ部23の外側に膨出した形状に形成されている。換言すると、アウター先端部51は、カシメ部23が前記接線Lよりも前方に突出しないように形成されている。このように形成されていることから、筆記ボール30とアウター先端部51を同時に筆記面に当接させた場合に、筆記ボール30の表面に付着しているインクや筆記ボール30の回転に伴いボールハウス24から流出するインクが、筆記ボール30と筆記面の接触部と、アウター先端部51と筆記面の接触部との間の空間部に、毛細管現象により拡散して、筆記ボール30とアウター先端部51を同時に筆記面に当接させない場合よりも、太い線を描くことが可能となる。
上記構成を有するボールペン1の使用方法について、図4から図6までに基づき説明する。
図4(A)に示すように、アウター50のテーパー部54の筆記面に対する角度がa°となるようにボールペン1を傾斜させた場合には、図5に示すように、筆記ボール30のみを筆記面に接触させることができる。このような角度でボールペン1を傾斜させて筆記した場合には、筆記ボール30の表面に付着したインクによって、幅w1の線を描くことができる。
なお、アウター50のアウター先端部51の形状(前方への突出寸法又は側方への張り出し寸法)を調節することにより、筆記ボール30のボール径が異なる場合であっても、筆記ボール30とアウター先端部51が同時に筆記面に接触したときの線幅を同じ寸法にすることができる。
図7から図13までは、本発明の第2の実施の形態を示す。なお、第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同一の構成要素には、第1の実施の形態において用いた符号と同一の符号を用いている。以下、第3から第5までの実施の形態についても同様である。
第2の実施の形態に係るボールペン1は、図7(A)及び(B)に示すように、筆記ボール30及び先端をかしめたカシメ部23(図9参照)により前記筆記ボール30を保持するホルダー21を有するボールペンチップ20と、ボールペンチップ20のホルダー21にインクを供給するインク供給部40と、インク供給部40を内部に収納する軸筒10と、ホルダー21の外周を覆うアウター50とを備え、またボールペンチップ20の先端部の保護のためキャップ60が装着されている。以下、第1の実施の形態と重複する部分は説明を省略し、本実施の形態の特徴点を説明する。
本実施の形態においては、図9に示すように、中芯25は、コレクター芯43の先端面に形成された凹部43Aの凹底面と僅かながら離間している。また、継ぎ手14の、先端保持部42からの突出部分には、軸方向に沿った縦溝14Aが、断面放射状に形成されている。
第2の実施の形態に係るボールペン1によっても、第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、図11(A)に示すように、アウター50のテーパー部54の筆記面に対する角度がa°となるようにボールペン1を傾斜させた場合には、図12に示すように、筆記ボール30のみを筆記面に接触させ、幅w1の線を描くことができる。また、図11(B)に示すように、アウター50のテーパー部54の筆記面に対する角度が前記a°より小さいb°となるようにボールペン1を傾斜させた場合には、図13に示すように、筆記ボール30とアウター先端部51を同時に筆記面に接触させ、前記した幅w1よりも大きい幅w2の線を描くことができる(図11から図13まで参照)。
図14から図16までは、本発明の第3の実施の形態を示す。なお、第3の実施の形態において、第2の実施の形態と同一部品については同一の符号を用いている(第4及び第5の実施の形態において同じ)。以下、第1及び第2の実施の形態と重複する部分は説明を省略し、本実施の形態の特徴を説明する。
第3の実施の形態に係るボールペン1は、図14(A)及び(B)に示すように、ボールペンチップ20が固定されたインクリフィル70を、軸筒10に収納したものであり、ボールペンチップ20の先端部の保護のためキャップ60が装着されている。
キャップ60は、図14(A)に示すように、軸筒10の先端側の略4分の1程度を覆っており、図14(B)に示すように、合成樹脂製の筒体61と、筒体61の先端側から嵌め込まれる蓋部材62から構成され、内部にペン先収納部63を備えている。キャップ60を軸筒10の先端に被せると、軸本体11の直径を縮径して形成された段差15に筒体61の後端部61Aが係止され、ペン先収納部63にボールペンチップ20の先端部が位置するようになっている。
第3の実施の形態に係るボールペン1によっても、第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。そして、本実施の形態においては、第1の実施の形態、第2の実施の形態と異なり、インクリフィル70のインクが無くなり、筆記できなくなったら、インクリフィル70を交換することで新たに筆記することができる。
図17及び図18は、本発明の第4の実施の形態を示す。以下、第1から第3までの実施の形態と重複する部分は説明を省略し、本実施の形態の特徴を説明する。
第4の実施の形態に係るボールペン1は、図17(A)及び(B)に示すように、ボールペンチップ20が固定されたインクリフィル70を、軸筒10に収納したものである。なお、図示しないが、ボールペンチップ20の先端部の保護のためキャップを有していてもよい。
そして、本実施の形態においては、軸筒10の先端部には、先端に向かって先細に形成された略円錐形のアウター50が取り付けられている。アウター50の内部は後側から先端側に貫通する挿入孔57となっており、図17(B)及び図18に示すように、挿入孔57の後側の孔内周面にはネジ部57Aが形成されている。そして、このネジ部57Aを、軸本体11の先端側外周に形成されたネジ部11Aと螺合させることにより、アウター50が固定されるとともに、継ぎ手71及び継ぎ手71から露出するボールペンチップ20を覆うようになっている。すなわち、本実施の形態では、アウター50が先軸部を兼ねているものである。
(第5の実施の形態)
図19及び図20は、本発明の第5の実施の形態を示す。本実施の形態は、第4の実施の形態の筆記ボール30よりも大径の筆記ボール30を有するボールペン1である。ボールペンチップ20の先端部の径が第4の実施の形態のものよりも大きいので、アウター50のテーパーが緩やかになっているとともに、アウター50の先端部に角度の異なるテーパー部が設けられている点以外は、第4の形態と同様である。
図21は、ボールペン、サインペン、万年筆と、本発明に係るボールペン1で筆記した筆跡である。本発明に係るボールペン1で筆記した筆跡は、ボールペン、サインペン、万年筆と比べ、画の終わりであるα「トメ」β「ハネ」γ「ハライ」を容易かつ高品位で筆記することができる。
このように、上記した第1から第5までの実施の形態においては、ボールペンチップ20とアウター50によって、1つの筆記先端で異なる太さの描線を筆記することができるとともに、筆跡の表現力も向上させることができる。
10 軸筒 11 軸本体 12 先軸部
13 インク収容部 14 継ぎ手 15 段差
20 ボールペンチップ 21 ホルダー 22 テーパー部
23 カシメ部 24 ボールハウス 25 中芯
30 筆記ボール
40 インク供給部 41 コレクター 42 先端保持部
43 コレクター芯 43A 凹部
50 アウター 51 アウター先端部 52 後方挿入孔
53 前方挿入孔 54 テーパー部 55 面取り部
56 段部 57 挿入口
60 キャップ 61 筒体 62 蓋部材
63 ペン先収納部
70 インクリフィル 71 インク収容管 72 継ぎ手
Claims (4)
- 1つの筆記先端で異なる太さの描線を筆記可能なボールペン。
- 筆記ボールと、先端をかしめたカシメ部により前記筆記ボールを保持するホルダーと、ホルダーにインクを供給するインク供給部と、インク供給部を内部に収納する軸筒と、前記ホルダーの外周を覆うアウターとを備え、前記筆記ボールを保持したホルダー及び前記アウターの一部を前記軸筒の先端部より露出させてなり、
前記筆記ボールとアウター先端部が筆記部となることを特徴とする請求項1記載のボールペン。 - 前記アウターは、前記ホルダーのカシメ部に達するまでの部分を覆うことを特徴とする請求項2記載のボールペン。
- 前記インクは、前記筆記ボールと前記アウター先端部が同時に筆記面に接触した状態で、前記筆記ボールと筆記面の接触部と、前記アウター先端部と筆記面の接触部との間に拡散可能な粘度に形成されていることを特徴とする請求項3記載のボールペン。
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