JP6259650B2 - ボールペン - Google Patents
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Description
そこで、本願発明は、筆記の際の力の入れ具合によって、ペン先部の撓み量が変化でき、がたつきの生ずることのなく、安定した筆感を得ることが可能なボールペンの提供を第1の課題とする。
また、筆記の際の力の入れ具合によって、顕著に描線の太さを変えることを可能とすべく、ボールペン先端の角度によって、1つの筆記先端で異なる太さの描線を筆記することを可能とするボールペンの提供を第2の課題とする。
(第1の発明)
本発明のうち第1の発明は、筆記ボール30と、先端をかしめたカシメ部23により筆記ボール30を保持するホルダー21と、ホルダー21にインクを供給するインク供給部40と、インク供給部40を内部に収納する軸本体11と、軸本体11の先端に連設し、かつ、筆記時にホルダーが突出する先軸12とを備え、先軸12には、軸心に対して放射状に複数のスリット17が形成されていることを特徴とするボールペンである。
ホルダー21は、筆記時にその先端側が先軸12から露出し、後端側はこの先軸12の内部に位置してインク供給部40と連通している。ホルダー21の先端内部には図示しないボールハウスが形成され、このボールハウスに筆記ボール30が抱持されている。ホルダー21は、ステンレス鋼などの金属材料やポリアセタールなどの樹脂材料を切削加工や射出成形することにより形成することができる。
本発明によれば、筆記の際の力の入れ具合によって、スリット17付近が撓むため、万年筆のような筆感を得ることができる。また、ボールペンチップ20とアウター60の構成は、ボールペン先端の角度によって、1つの筆記先端で異なる太さの描線を筆記することを可能にしている。したがって、筆記の際の力の入れ具合によって、ボールペン先端の筆記面に対する角度を微妙に調節することで、顕著に描線の太さを変えることができるとともに、筆跡の表現力を向上させることができる。
本発明のうち第2の発明は、第1の発明におけるスリット17をアウター60に設けたものである。すなわち、先軸12は、軸本体11に固定される継手50と、継手50に固定され、かつ、ホルダー21の外周を覆うアウター60とから構成され、アウター60には、軸心に対して放射状に複数のスリット17が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、第1の発明と同様に、筆記の際の力の入れ具合によって、筆記先端の筆記面に対する角度を微妙に調節することができるため、顕著に描線の太さを変えることができるとともに、筆跡の表現力も向上させることができる。
本発明のうち第3の発明は、第2の発明の特徴に加えて、継手50の先端縁には前方に向かって解放される複数の開口部56が形成され、アウター60の中央付近の外周側には前記開口部56に対応する突起65が形成されており、開口部56に突起65が挿入されていることを特徴とする。
本発明によれば、第2の発明の効果に加えて、筆記先端への力の入れ具合によって、スリット17付近が撓むことで、外周面の突起65は、挿入されている開口部56の中で、撓んだ方向に移動する。このため、ボールペン1の使用者にとって、この突起65の移動により、スリット17付近の撓みを可視化することができる。
本発明のうち第4の発明は、第1の発明におけるスリット17を継手50に設けたものである。すなわち、先軸12は、軸本体11に固定される継手50と、継手50に固定され、かつホルダー21の外周を覆うアウター60とから構成され、継手50には、軸心に対して放射状に複数のスリット17が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、第1の発明と同様に、筆記の際の力の入れ具合によって、筆記先端の筆記面に対する角度を微妙に調節することができるため、顕著に描線の太さを変えることができるとともに、筆跡の表現力も向上させることができる。
本発明のうち第5の発明は、第1の発明におけるスリット17を継手50の内部に設けたものである。すなわち、先軸12は、軸本体11に固定される継手50と、継手50に固定され、かつホルダー21の外周を覆うアウター60とから構成され、軸本体11の先端付近には、前方に向かって解放される複数の切欠き16が軸心に対して等配され、継手50は、筒状の継手筒部52bと、継手筒部52bの外周面に軸方向に突出形成され、かつ、切欠き16に対応する突出部57とから構成され、継手筒部52bと突出部57との間には、突出部57の後端から前方に向けてスリット17が形成され、切欠き16と突出部57とが嵌合されていることを特徴とする。
(第6の発明)
本発明のうち第6の発明は、前記の特徴に加えて、インク供給部40とホルダー21との間には内部継手14が介在していることを特徴とする。
ホルダー21はインク供給部40に直接接続されていてもよいが、内部継手14を介在させることは、特に、ホルダー21とインク供給部40との径の差が大きいときに有効となる。
また、ボールペン先端の角度によって、1つの筆記先端で異なる太さの描線を筆記することができる。したがって、筆記の際の力の入れ具合によって、ボールペン先端の筆記面に対する角度を微妙に調節することで、描線の太さを変えることができるため、「トメ」「ハネ」「ハライ」を容易かつ高品位で筆記することができ、筆跡の表現力も向上させることができる。
(第1の実施の形態)
本実施の第1の形態に係るボールペン1の外観を図1(A)に示す。このボールペン1は、図1(B)及び図2に示すように、筆記ボール30及び先端をかしめたカシメ部23により筆記ボール30を保持するホルダー21を有するボールペンチップ20と、ボールペンチップ20のホルダー21にインクを供給するインク供給部40と、インク供給部40を内部に収納する軸筒10とを備えている。
インク供給部40は、図1(B)に示すように、複数のフィンが外周に形成された略筒状のコレクター41と、コレクター41の先端を縮径して形成された先端保持部42と、この先端保持部42の先端に装着されたゴム弾性材料からなる先端コマ44とを有する。コレクター41の後端部はインク収容部13と接している。図2に示すように、先端コマ44には、後方内部に先端保持部42が、前方内部に内部継手14が嵌入されている。コレクター芯43は、棒状のポリエステルファイバーから形成されており、その後端側はインク収容部13内に突出しており(図1(B)参照)、その中央部はコレクター41と先端保持部42と先頭コマ44を軸方向に貫通し、その先端側は、内部継手14の後端部から内部継手14のほぼ半分の位置まで挿入されている。
継手50は、円筒状の継手固定部51と継手固定部51に連設する略円錐形状の継手テーパー部52aとから構成される合成樹脂製の部品である。また、継手50は、図2に示すように、後端から先端に向けて孔が形成されており、継手固定部51の内面には後方挿入孔53が設けられ、継手テーパー部52aの中央付近の内面には、後方挿入孔53よりも小径の中央挿入孔54が設けられ、継手テーパー部52aの先端付近の内面には、中央挿入孔54とほぼ同径の先方挿入孔55が設けられている。さらに、図4に示すように、継手50の先端縁3箇所に開口部56が等配されている。
アウター60は、図2、図3(A)及び(B)に示すように、円筒状のアウター固定部61と、このアウター固定部61より先端側を占め外部から視認可能な略円錐形状の露出部60aとから構成された合成樹脂製の部品である。この露出部60aの先端側は、アウターテーパー部62として形成されており、その先端には面取りされたアウター先端部66が設けられている。また、露出部60aの後端側、アウターテーパー部62の後端からアウター固定部61の先端にかけて、外方に突出した3個の突起65が軸心に対して放射状に等配されている。図4に示すように、この突起65は、対応する継手50の開口部56内に挿入されている。さらに、アウターテーパー部62の後端側およそ1/3の位置で、かつ、突起65に挟まれた部分には、スリット17が2箇所ずつ、計6箇所軸心に対して放射状に形成されている。そして、アウター60には、後端から先端に向けて孔が形成されており、アウター固定部61の内面には後部挿入孔63が設けられ、アウターテーパー部62の先端付近の内面には、後部挿入孔63よりも小径の前部挿入孔64が設けられている。アウター固定部61は、継手50の前方挿入孔55に嵌入されることで、継手50に固定される。そして、アウター60は、ボールペンチップ20に覆い被さる。この際、後部挿入孔63には内部継手14の先端部が挿入され、前部挿入孔64には、内部継手14から突出しているボールペンチップ20が嵌入される。アウター60の先端付近は、図4に示すように、筆記ボール30と、筆記ボール30を覆うカシメ部23と、アウター先端部66のみが露出しており、筆記ボール30とアウター先端部66が同時に筆記面に当接した場合、筆記面と、筆記ボール30と、カシメ部23と、アウター先端部66に囲まれた部分に空間が生じるように配置されている。
また、アウター60の先端部分を軸本体11の中心軸から傾けることで、筆記ボール30とアウター先端部66が筆記面に当接すれば、筆記面と、筆記ボール30と、カシメ部23と、アウター先端部66に囲まれた空間に、筆記ボール30の表面に付着しているインクや、筆記ボール30の回転に伴い図示しないボールハウスから流出するインクが、毛細管現象により拡散される。したがって、筆記ボール30によって描かれる線よりも太い線を描くことが可能となる。すなわち、スリット17付近の撓みにより、筆記先端の筆記面に対する角度を微妙に調節することできるため、描線の太さを変えることができる。
(第2の実施の形態)
本実施の第2の形態に係るボールペン1の外観を図5(A)に示す。第2の実施の形態は、先軸12において、継手50にスリット17を設けたものである。なお、第2の実施の形態は、先軸12の構造が第1の実施の形態と相違するものの、その他については第1の実施の形態と同様であるので、相違点についてのみ説明する。
アウター60は、図6及び図8に示すように、円筒状のアウター固定部61と、このアウター固定部61に連設する略円錐形状のアウターテーパー部62とから構成された合成樹脂製の部品である。アウターテーパー部62の先端には面取りされたアウター先端部66が設けられている。また、アウター60には、後端から先端に向けて孔が形成されており、アウター固定部61の内面には後部挿入孔63が設けられ、アウターテーパー部62の先端付近の内面には、後部挿入孔63よりも小径の前部挿入孔64が設けられている。アウター固定部61は、継手50の前方挿入孔55に嵌入されることで、継手50に固定される。そして、アウター60は、ボールペンチップ20に覆い被さる。この際、後部挿入孔63には内部継手14の先端部が挿入され、前部挿入孔64には、内部継手14から突出しているボールペンチップ20が嵌入される。アウター60の先端付近は、図8に示すように、筆記ボール30と、筆記ボール30を覆うカシメ部23と、アウター先端部66のみが露出しており、筆記ボール30とアウター先端部66が同時に筆記面に当接した場合、筆記面と、筆記ボール30と、カシメ部23と、アウター先端部66に囲まれた部分に空間が生じるように配置されている。
また、アウター60を軸本体11の中心軸から傾けることで、筆記ボール30とアウター先端部66が筆記面に当接すれば、筆記面と、筆記ボール30と、カシメ部23と、アウター先端部66に囲まれた空間に、筆記ボール30の表面に付着しているインクや、筆記ボール30の回転に伴い図示しないボールハウスから流出するインクが、毛細管現象により拡散される。したがって、筆記ボール30によって描かれる線よりも太い線を描くことが可能となる。すなわち、スリット17付近の撓みにより、筆記先端の筆記面に対する角度を微妙に調節することできるため、描線の太さを変えることができる。
本実施の第3の形態に係るボールペン1の外観を、図9(A)に示す。第3の実施の形態は、先軸12において、継手50の内部にスリット17を設けたものである。なお、第3の実施の形態は、先軸12の構造が第1の実施の形態と相違するものの、その他については第1の実施の形態と同様であるので、相違点についてのみ説明する。
軸本体11の前方の縮径部分には、図9(A)、図11(A)及び(B)に示すように、縮径部分の先端から約2/3まで切欠き16が形成されている。
継手50は、図12(A)及び(B)に示すように、円筒の継手筒部52bと、継手筒部52bの外周面8箇所に等配され、かつ、一部が継手筒部52bの後方に突出するように軸方向に突出形成された、略三角形状の突出部57とから構成される合成樹脂製の部品である。この突出部57の後端から継手50の後方側約1/3の位置に、突出部57と継手筒部52bとの間に隙間が生じるよう、スリット17が軸心に対して放射状に形成されている。また、継手50は、後端から先端に向けて孔が形成されており、継手筒部52bの後方の内面には後方挿入孔53が設けられ、継手筒部52bの前方の内面には後方挿入孔53と同径の先方挿入孔55が設けられている。
アウター60は、図10及び図13に示すように、円筒状のアウター固定部61と、このアウター固定部61に連設する略円錐形状のアウターテーパー部62とから構成された合成樹脂製の部品である。アウターテーパー部62の先端には面取りされたアウター先端部66が設けられている。また、アウター60は、後端から先端に向けて孔が形成されており、アウター固定部61の内面には後部挿入孔63が設けられ、アウターテーパー部62の先端付近の内面には、後部挿入孔63よりも小径の前部挿入孔64が設けられている。アウター固定部61は、継手50の前方挿入孔55に嵌入されることで、継手50に固定される。そして、アウター60は、ボールペンチップ20に覆い被さる。この際、後部挿入孔63には内部継手14の先端部が挿入され、前部挿入孔64には、内部継手14から突出しているボールペンチップ20が嵌入される。アウター60の先端付近は、図13に示すように、筆記ボール30と、筆記ボール30を覆うカシメ部23と、アウター先端部66のみが露出しており、筆記ボール30とアウター先端部66が同時に筆記面に当接した場合、筆記面と、筆記ボール30と、カシメ部23と、アウター先端部66に囲まれた部分に空間が生じるように配置されている。
また、アウター60を軸本体11の中心軸から傾けることで、筆記ボール30とアウター先端部66が筆記面に当接すれば、筆記面と、筆記ボール30と、カシメ部23と、アウター先端部66に囲まれた空間に、筆記ボール30の表面に付着しているインクや、筆記ボール30の回転に伴い図示しないボールハウスから流出するインクが、毛細管現象により拡散される。したがって、筆記ボール30によって描かれる線よりも太い線を描くことが可能となる。すなわち、スリット17付近の撓みにより、筆記先端の筆記面に対する角度を微妙に調節することできるため、描線の太さを変えることができる。
図14は、ボールペン、サインペン、万年筆と、本発明に係るボールペン1で筆記した筆跡である。本発明に係るボールペン1で筆記した筆跡は、ボールペン、サインペン、万年筆と比べ、画の終わりである「トメ」α、「ハネ」β及び「ハライ」γを容易かつ高品位で筆記することができる。
このように、上述した第1、第2及び第3の実施の形態においては、スリット17によってアウター60を撓ませることができ、筆記の際の力の入れ具合によって、万年筆のような筆感を得ることができる。
10 軸筒 11 軸本体 12 先軸
13 インク収容部 14 内部継手
16 切欠き 17 スリット
20 ボールペンチップ 21 ホルダー 22 テーパー部
23 カシメ部 25 中芯
30 筆記ボール
40 インク供給部 41 コレクター 42 先端保持部
43 コレクター芯 44 先端コマ
50 継手 51 継手固定部 52a 継手テーパー部
52b 継手筒部 53 後方挿入孔 54 中央挿入孔
55 前方挿入孔 56 開口部 57 突出部
60 アウター 60a 露出部 61 アウター固定部
62 アウターテーパー部 63 後部挿入孔 64 前部挿入孔
65 突起 66 アウター先端部
Claims (2)
- 筆記ボールと、
先端をかしめたカシメ部により前記筆記ボールを保持するホルダーと、
前記ホルダーにインクを供給するインク供給部と、
前記インク供給部を内部に収納する軸本体と、
前記軸本体の先端部に連設し、かつ、筆記時にホルダーが突出する先軸とを備え、
前記先軸には、軸心に対して放射状に複数のスリットが形成され、
前記先軸は、前記軸本体に固定される継手と、
前記継手に固定され、かつ、前記ホルダーの外周を覆うアウターとから構成され、
前記アウターには、軸心に対して放射状に複数のスリットが形成され、
前記継手の先端縁には前方に向かって解放される複数の開口部が形成され、
前記アウターの中央付近の外周側には前記開口部に対応する突起が形成されており、
前記開口部に前記突起が挿入されていることを特徴とするボールペン。 - 筆記ボールと、
先端をかしめたカシメ部により前記筆記ボールを保持するホルダーと、
前記ホルダーにインクを供給するインク供給部と、
前記インク供給部を内部に収納する軸本体と、
前記軸本体の先端部に連設し、かつ、筆記時にホルダーが突出する先軸とを備え、
前記先軸には、軸心に対して放射状に複数のスリットが形成され、
前記先軸は、前記軸本体に固定される継手と、
前記継手に固定され、かつ前記ホルダーの外周を覆うアウターとから構成され、
前記軸本体の先端付近には、前方に向かって解放される複数の切欠きが軸心に対して等配され、
前記継手は、筒状の継手筒部と、当該継手筒部の外周面に軸方向に突出形成され、かつ、前記切欠きに対応する突出部とから構成され、
前記継手筒部と前記突出部との間には、前記突出部の後端から前方に向けてスリットが形成され、
前記切欠きと前記突出部とが嵌合されていることを特徴とするボールペン。
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