JP2008049527A - ボールペン - Google Patents

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Abstract

【課題】粘度が比較的高いインクを使用するボールペンにおいて、逆流防止効果とインク追従性とを両立させ、上向き筆記性も良好とするためのボールペンチップの構造。
【解決手段】ボールペンチップ30のバック孔45内に挿入される略円筒形状の成形体20と、25℃で剪断速度38.3sec-1における粘度が500mPa・sec以上のインク17を収容するとともにボールペンチップ30が先端に装着される両端開放円筒状のインク収容管16とを備えたボールペン10であって、成形体20の後端部分は、同成形体20の先端部分がバック孔45に対してセンタリングされるように同バック孔45に対して固定されるとともに、成形体20の先端部分は、その外径がバック孔45の最小内径より小さい。
【選択図】図2

Description

本発明は、上向き筆記性を向上し、ペン後端からのインク漏れを抑制したボールペンに関する。
従来のいわゆる油性ボールペンやゲルインクボールペンにおいては、インクが直接インク収容管内に充填されており、インクの自重により筆記先端にインクが供給される。そのため、筆記先端を上向き(水平より筆記先端が上向きになっている状態をいう)にして筆記した場合、直ちに筆記できなくなるという問題点を有している。特に油性ボールペンにおいては、上向き筆記により筆記不能となった状態のまま、筆記先端を上向きで放置すると、ペン後端からインクが漏れる現象(以下、本明細書中ではこの現象を「逆流」と称する。)が発生し、場合によっては衣服を汚損するという問題点も有している。
逆流防止対策として、下記特許文献1から3までに開示の発明のように、筆記ボールの他に逆流防止用のボールをボールペンチップ内に挿入したものがある。すなわち、筆記先端を上向きにすると逆流防止用ボールがインク供給のためのバック孔を閉鎖することで、筆記先端からの空気の流入を防ぐことを意図している。このような技術においては、油性ボールペンのようにインク粘度が高い場合には逆流防止用ボールの動きが緩慢になるため、完璧な逆流防止が図れないこともある。
一方、下記特許文献4に開示の発明のように、ボールペンチップ内に挿入したスプリングにより筆記ボールを常に先端方向へ付勢することで逆流防止を図ったものもある。このような技術は逆流防止には有効ではあるが、筆記ボールが常に押圧されていることで筆記感を損なったり、また上向き筆記が連続してできない等の問題点がある。
また、下記特許文献5に開示の発明では、比較的低粘度のインクを使用する場合において、チップ内部に毛細管作用を有する多孔質体を挿入することで逆流防止を図っている。さらに、下記特許文献6に開示の発明では、ボールペンチップ内部又はボールペンチップとインク収容管との継手部分にインクの後退を防止する部材を挿入ないし装着することで逆流防止を図っている。
実公昭47−5661公報(第1図、第2図) 実公昭54−15704公報(第1図、第2図) 実開昭57−4373公報(第1図、第2図) 特開平10−329475号公報(図1〜図3) 特開平8−282176号公報 特開2003−11568号公報
上記従来技術のうち、特許文献5に記載のもののように多孔質体を使用するものについては、インクの吐出が多孔質体の毛細管力に依存するため、インクの粘度を高くした場合に、インクの追従性や流出性に難がある。また、特許文献6に記載のもののようにインクの後退を防止する部材を挿入ないし装着するものについては、使用する部材の寸法により逆流防止効果とインク追従性とが変化すると考えられるが、この両者のバランスを取ることは困難である。
そこで本発明は、粘度が比較的高いインクを使用するボールペンにおいて、逆流防止効果とインク追従性とを両立させ、上向き筆記性も良好とするためのボールペンチップの構造を提供することを課題とする。
(1)第1の発明
前記の課題を解決するために、本発明のうち第1の発明は、
(A)(a)略円筒状のホルダー40と、
(b)前記ホルダー40の内部空間の先端寄りの位置において、内壁面から中心方向に複数箇所等配して設けられる突出構造であるボール受座48と、
(c)前記ホルダー40の内部空間において、前記ボール受座48の先端側空間であるボールハウス43と、
(d)前記ホルダー40の内部空間において、前記ボール受座48の後端側空間であるバック孔45と、
(e)前記各ボール受座48に囲まれる軸心を含む空間であるインク孔46と、
(f)前記各ボール受座48間の間隙であるチャンネル溝47と、
(g)前記ボールハウス43内に挿入される筆記ボール31と、
(h)前記ホルダー40の先端縁を内側にカシメ加工して形成したカシメ部49とを備えたボールペンチップ30と、
(B)前記ボールペンチップ30のバック孔45内に挿入される略円筒形状の成形体20と、
(C)25℃で剪断速度38.3sec-1における粘度が500mPa・sec以上のインク17を収容するとともに前記ボールペンチップ30が先端に装着される両端開放円筒状のインク収容管16とを備えたボールペン10であって、
前記成形体20の後端部分は、同成形体20の先端部分が前記バック孔45に対してセンタリングされるように同バック孔45に対して固定されるとともに、
前記成形体20の先端部分は、その外径が前記バック孔45の最小内径部分より小さいことを特徴とする。
本発明において、「先端」とは、ボールペン10が完成した際に、筆記のために筆記面と接する部分となる方向をいい、「後端側」とはその反対方向をいう。
上述のように、本件発明に係るボールペン10は、「ボールペンチップ30」と、「インク収容管16」と、「成形体20」とから構成されている。
「ホルダー40」とは、ボールペンチップ30から「筆記ボール31」を除いた本体部分をいい、ステンレス鋼等の金属製円柱材又はパイプ材を切削加工及び/又は塑性変形加工することにより形成される。円柱材の切削加工により形成される場合、このホルダー40の先端側を先細に切削するのが普通であるが、この部分を「テーパー部41」という。なお、円柱材の切削加工により形成される場合、ホルダー40後端側については特に限定はないが、外径を減じるように切削して「インク収容管16」あるいはこれとの間に介在する継手等に挿入される部分を形成することもできる。
ホルダー40の内部空間においては、先端寄りの位置において「ボール受座48」が中心に向かって突出し、これによりこの内部空間が先端側の「ボールハウス43」と後端側の「バック孔45」とに画されることとなっている。
「ボールハウス43」とは、筆記ボール31が挿入され、これを回転可能に保持する空間である。円柱材の切削加工によりホルダー40が形成される場合、テーパー部41の先端側から内周を切削してこのボールハウス43が形成されることとなる。
「バック孔45」とは、ホルダー40の後端からボール受座48に至る内部空間である。円柱材の切削加工によりホルダー40が形成される場合、ボールハウス43に達しない近傍までを切削した中心孔としてこのバック孔は形成され、この中を「インク収容管16」に収容されるインク17がボールハウス43まで誘導されることとなっている。
すなわち、円柱材の切削加工によりホルダー40が形成される場合には、先端からボールハウス43が切削される一方、後端からバック孔45が切削された後の残余の部分がボール受座48となる。これに対し、パイプ材の塑性変形加工によりホルダー40が形成される場合には、パイプ材の側面からたとえば三点ポンチなどにより内方へ押圧変形を施した内方突出部としてボール受座48が形成され、その先端側の空間がボールハウス43となり、また後端側の空間がバック孔45となる。
「インク孔46」とは、バック孔45とボールハウス43とを連結するバック孔45よりも小径な中心孔である。ここで、円柱材の切削加工によりホルダー40が形成される場合には、ボール受座48の中心を貫通して切削加工することによりこのインク孔46が形成される。一方、パイプ材の塑性変形加工によりホルダー40が形成される場合には、内方突出部として形成されるボール受座48の先端に囲まれる空間がこのインク孔46となる。
「チャンネル溝47」とは、インク孔46周囲に複数等配された軸方向の溝である。前記バック孔45の先端まで誘導されたインク17は、インク孔46からこのチャンネル溝47を経由して、ボールハウス43へ至ることとなる。ここで、円柱材の切削加工によりホルダー40が形成される場合には、ボール受座48の中心を貫通したインク孔46周囲をチャンネルツールにより貫通あるいは途中まで切削することでこのチャンネル溝47が形成される。一方、パイプ材の塑性変形加工によりホルダー40が形成される場合には、内方突出部として形成されるボール受座48とボール受座48とに挟まれる空間がこのチャンネル溝47となる。
「筆記ボール31」とは、超硬ステンレス鋼等の金属製球体であり、前記ボールハウス43に挿入される。ボールハウス43へ至ったインク17は、筆記ボール31表面に付着して筆記面に転写されることになる。
なお、パイプ材の塑性変形加工によりホルダー40が形成される場合には、ボールハウス43に挿入された筆記ボール31を、いわゆる「タタキ加工」により後方に押圧して、ボール受座48の先端側の面に筆記ボール31の曲面を転写して凹曲面を形成するのが普通である。
「カシメ部49」とは、筆記ボール31を挿入した後のホルダー40の先端縁(パイプ材の塑性変形加工によりホルダー40が形成される場合には、テーパー部41の小口)を内方にカシメ加工して内径を減じ、筆記ボール31の落下を防止する構造である。
「インク収容管16」とは、ポリプロピレン等の比較的硬度の低い合成樹脂製の管であり、この内部に25℃で剪断速度38.3sec-1における粘度が500mPa・sec以上と比較的高粘度のインク17を収容する。このインク17としては、特に油性インクが適している。
「成形体20」とは、ボールペンチップ30のバック孔45内に挿入される部材であって、少なくとも先端部分の外径がバック孔45の最小内径より小さくなるように形成されているものをいう。ここで、バック孔45は、パイプ材の塑性変形加工によりホルダー40が形成される場合、後端から先端にかけて段階的に内径が小さくなるように形成されるのが普通であるので、そのような場合はこの成形体20の先端部分の内径を、バック孔45の内径が最も小さい部分よりも小さくすることとしている。
この成形体20は、たとえば繊維性樹脂により形成することができる。ここでいう繊維性樹脂としては、ポリアセタール系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂等が使用可能である。また、この成形体20は、略円筒形状に形成される。ここで、この成形体20には、インク17の流通をできるだけ妨げないよう、表面に長手方向の溝又は突条を設けたり、また内部に貫通構造又は空洞を設けるなど、表面積及び毛細管力を増すような処理がなされていることが望ましい。
また、この成形体20の先端部分をバック孔45に対してセンタリングするために、後端部分がバック孔45に対して固定される。ここで「センタリング」とは、成形体20の軸心とバック孔45の軸心とをおおよそ乃至完全に一致させることをいう。この固定の方法としては、たとえば、成形体20の後端部分の外径をバック孔45内径とほぼ同一にして、圧入することが可能である。また、成形体20と別体に形成された固定部材をバック孔45内径に圧入固定し、成形体20をこの固定部材に固定する方法も可能である。ただし、バック孔45に成形体20の後端部分又は別体の固定部材を圧入固定する場合には、これらの表面にチャネルを設けたり、また、中空に形成するなどして、インク17の流路を確保する必要がある。
この成形体20は、ボールハウス43内のインク17が後端方向へ移動することを妨げることを目的としているため、バック孔45内において、可能な限り先端寄りに位置することが望ましい。たとえば先端外径がインク孔46内径より小さくできる場合には、インク孔46内にまで挿入されることがより望ましい。
本発明に係るボールペン10においては、成形体20の先端部分の内径はバック孔45の最小内径部分より小さいので、バック孔45内壁との間に間隙を確保することができるとともに、チャンネル溝47によるインク17の流通も妨げないので、インク追従性が損なわれることはない。
一方、上向き筆記の場合、成形体20の先端がインクハウスからのインク17の後退を妨げるので、逆流を効果的に防止するとともに、それに伴い筆記性も損なわれないこととなる。
(2)第2の発明
上記第1の発明においては、成形体20の先端部分の外径はバック孔45の最小内径より小さければよいこととしていたが、本発明のうち第2の発明においては、前記第1の発明の特徴に加え、前記成形体20の先端部分の外径が前記チャンネル溝47の溝底を結ぶ円周の直径より小さいこととしている。
特に、成形体20の先端部分をたとえば先細テーパ形状にすることによって、前記成形体20の先端部分はインク孔46後縁を塞ぐ位置まで達するようにすることもでき、また、前記成形体20の先端部分はインク孔46内に挿入されているようにすることも可能である。
これにより、成形体20の先端を少なくともインク孔46後端の近傍まで位置させることができ、場合によってはより筆記ボール31に近い位置までもってくることができるので、逆流防止効果及び上向き筆記性がより向上することとなっている。
(3)第3の発明
上記第1の発明においては、成形体20の先端部分の外径はバック孔45の最小内径より小さければよいこととしていたが、本発明のうち第3の発明においては、前記第1の発明の特徴に加え、前記成形体20の先端部分の外径が前記インク孔46内径にほぼ等しいこととしている。
これにより、前記成形体20の先端部分はインク孔46後縁を塞ぐ位置まで達するようにすることもできる。
また、前記成形体20の先端部分はインク孔46内に挿入されているようにすることもできる。さらに、前記成形体20の先端は前記筆記ボール31後端近傍に位置するようにすることもできる。
これらにより、成形体20の先端を筆記ボール31に近づけるにつれて、逆流防止効果及び上向き筆記性がさらに向上していくこととなっている。
(4)第4の発明
上記各発明においては、チャンネル溝47は必ずしもバック孔45まで貫通している必要はなく、たとえば、インク孔46の途中で止まっていてもよかったが、本発明のうち第4の発明においては、上記各発明の特徴に加え、前記チャンネル溝47は前記バック孔45まで貫通していることとしている。
これにより、チャンネル溝47がバック孔45まで貫通しない場合に比べ、インク17の流通がよりスムーズになり、追従性や筆記性が向上することとなる。
本発明は、上述のように構成されているので、粘度が比較的高いインクを使用するボールペンにおいて、逆流防止効果とインク追従性と両立させ、上向き筆記性も良好とするためのボールペンチップの構造を提供することが可能となる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の1の実施の形態を説明する。
図1の正面断面図は、本実施の形態に係るボールペンに使用されるボールペンチップを表すものである。また、図2の正面断面図は、図1に示すボールペンチップの先端部を拡大したものである。さらに、図3の正面断面図は、本実施の形態に係るボールペンを表すものである。
本実施の形態に係るボールペン10は、図3の一部断面正面図に示すように、ボールペンチップ30と、成形体20と、インク収容管16とから構成されるインクリフィル15が、軸筒11内に収容された構造を呈している。また、軸筒11の先端及び後端に着脱可能な図示しないキャップも設けられている。
インク収容管16は、ポリプロピレン製の管であり、その内部には油性のインク17が充填される。
ボールペンチップ30は、図1及び図2に示すような形状を呈する。すなわち、ステンレス鋼製の円柱材のホルダー40の先端部分が先細に略円錐状に切削されテーパー部41として形成されるとともに、後端部分は外径を減じた被挿入部42として形成されている。この被挿入部42は、インク収容管16の先端に圧入される。さらにテーパー部41の内側に抱持される筆記ボール31の先端部がテーパー部41先端縁から露出するとともに、テーパー部41小口が内方に押圧されて縮径変形されたカシメ部49として形成されている。
ボールペンチップ30の内部においては、テーパー部41の先端内周が切削されて、筆記ボール31を抱持するボールハウス43が形成されている。一方、ホルダー40の後端からは、テーパー部41の後端付近の位置までバック孔45が穿孔されている。バック孔45の内径は、被挿入部42に当たる位置においてそれより前の部分より大きくなっている。以下、バック孔45の径の小さい方を小径部45aと、径の大きい方を大径部45bとそれぞれ称する。筆記ボール31の径が0.7mmの場合、小径部45aの内径は0.8mm、大径部45bの内径は1.3mmとなる。さらに、バック孔45とボールハウス43とを連結するバック孔45より内径の小さいインク孔46が穿孔されている。また、ボールハウス43の底面44から、インク孔46の回りに放射状に等配され、かつ、バック孔45まで貫通したチャンネル溝47が形成されている。
ボールペンチップ30を形成する際には、ボールハウス43に筆記ボール31を挿入してさらにカシメ部49が形成された後、筆記ボール31を後端方向に押圧するタタキ工程が施される。これにより、ボールハウス43の底面44に筆記ボール31の球面が転写されてボール受座48が形成される。
バック孔45内部には、ポリエステルファイバー製の成形体20が挿入されている。成形体20は、比較的小径の略円柱状の前方部21と、比較的大径の略円柱状の後方部22とが軸心同一に合わさった形状を呈している(図1参照)。後方部22の外径は1.3mmと、バック孔45の大径部45bの内径とほぼ等しく、大径部45b内に圧入固定されている。また、後方部22の外側面には、図示しない縦溝が放射状に複数本設けられており、ここを通ってインク収容管16からインク17がボールペンチップ30内に供給される。一方、前方部21は、バック孔45の小径部45a内に位置しており、その外径は0.6mmである。前方部21は、後方部22が大径部45b内で固定されていることにより、バック孔45に対してセンタリングされている。さらに、図2に示すように、バック孔45の先端は先細に形成され、この部分がインク孔46内にまで進入し、筆記ボール31の後端近傍に位置している。
成形体20は、使用するインク17の粘度等の性状に応じて、適切なポリエステルファイバーの気孔率や表面形状を選択して形成される。それにより、成形体20自体の毛細管力でインク17の流通を実現できるとともに、前方部21においてはバック孔45の内壁との間に間隙を保っており、ここを通じてもインク17の流通が可能となっている。さらに、成形体20はインク孔46の後端は塞いでいるものの、その周囲のチャンネル溝47によってボールハウス43へのインク供給が確保されている。
一方、筆記先端を上向きにした状態においては、インク孔46内部に位置する成形体20の先端面がインク17の後退を妨げるため、逆流を防ぎつつ、インク17の供給は妨げられないので、上向き筆記時の筆記性も良好にすることができる。
以下、本発明の実施例を、比較例との対比において説明する。
以下の実施例及び比較例で使用したボールペンチップを、筆記ボール(タングステンカーバイド製)径0.7mmの三菱鉛筆製SA−Rで使用されるボールペンリフィルに装着し評価に供した。ボールペンチップの形状は、成形体の形状を除き上記実施の形態で示したとおりであり、各部の寸法は、ボールハウス内径を0.73mm、インク孔径を0.42mm、チャンネル溝底間径を0.71mm、バック孔小径部径を0.80mmとした。
使用した成形体は、下記表1に示す4種類である。
Figure 2008049527
また、使用したインクは、下記表2に示す組成と物性を有する3種類の油性インクである。
Figure 2008049527
なお、上記表2における粘度の測定条件は以下の通りであった。
測定温度:25℃
剪断速度:38.3sec-1
コーン:1°34′48″×R24
回転数:10rpm
機種:TV−22(東機産業)
各実施例及び比較例に係るボールペンは、以下の4種の試験に供された。
(1)試験1:機械筆記試験
JIS規格S6039に準拠した筆記試験機(ミニテック筆記試験機、三菱鉛筆)を用い、筆記速度4.5m/分、筆記角度60°、筆記加重1.96Nの筆記条件で、JIS規格P3201に準拠した筆記試験紙上に螺旋筆記することにより筆記試験を行った。そしてその描線の品位を目視により下記基準に従い官能評価した。
A:良好
B:やや線割れがあるがほぼ良好
C:カスレ・線割れ多い
D:カスレひどく筆記不能
(2)試験2:速書筆記試験
前記筆記試験器にて、筆記速度9m/分、筆記角度60°、筆記加重1.96Nの筆記条件で、前記筆記試験紙上に螺旋筆記することにより筆記試験を行った。そしてその描線の品位を目視により下記基準に従い官能評価した。
A:良好
B:やや線割れがあるがほぼ良好
C:カスレ・線割れ多い
D:カスレひどく筆記不能
(3)試験3:上向き筆記試験
筆記先端を水平より45°ないし60°上向きの状態に保ち、フリーハンドにて径3cm程度の螺旋筆記を連続的に行い、筆記可能であった螺旋の周数により下記基準により評価した。
A:100周以上
B:50周以上100周未満
C:20周以上50周未満
D:20周未満
(4)試験4:逆流試験
筆記先端をほぼ垂直に上向きの状態に保ち、フリーハンドにて径3cm程度の螺旋筆記を20周連続的に行い、上向きのまま10分間静置してチップ後端部に空隙が認められるかどうかで評価した。評価基準は以下の通りである。
A:空隙なし
D:空隙あり
上記各試験を下記表3に示す各実施例及び比較例について行った。その結果を、同表3に合わせて示す。
Figure 2008049527
まず、成形体を備えない比較例については、下向き筆記時に係る試験項目である機械筆記試験(試験1)及び速書筆記試験(試験2)については問題はなかった。しかし、上向き筆記試験(試験3)については、筆記不能となる距離が全ての実施例に比べ極端に短かかった。また、逆流試験(試験4)でも全ての実施例とは異なりチップ後端部に空隙が認められ、逆流が発生したものと認められた。よって、比較例との対比より、ボールペンチップに成形体を備えることで上向き筆記性が向上し逆流も防止し得ることが判明した。
次に、粘度1,000mPa・secのインク1を使用した実施例1、3、5及び7によって、成形体の先端部径とそれに伴うその先端位置が及ぼす影響について検討する。
成形体の先端位置がチャンネル溝の後端の直後である実施例7では、それより前に位置している実施例1、3及び5よりも、機械筆記試験(試験1)、速書筆記試験(試験2)及び上向き筆記試験(試験3)の結果が劣ることとなった。また、成形体の先端位置がインク孔後端とチャンネル溝後端との間に位置する実施例5は、それより前に位置している実施例1及び3よりも、速書筆記試験(試験2)及び上向き筆記試験(試験3)の結果が劣ることとなった。以上より、粘度を一定にした場合には、成形体の先端位置をできるだけ筆記ボールに近づけることで、上向き筆記性(試験3)を向上させることができることが判った。
なお、実施例4の結果から、成形体を設けた場合には、油性インクとしては比較的低粘度(500mPa・sec)のものを使用したときでも下向き筆記性(試験1及び試験2)はもちろん上向き筆記性(試験3)にも悪影響はなかった。
さらに、実施例2及び6の結果から、成形体を設けた場合には、比較的高粘度(5,000mPa・sec)の油性インクを使用したときでも、下向き筆記性(試験1及び試験2)及び上向き筆記性(試験3)ともに実用に耐え得る水準であることが判った。
本発明は、ボールペン、特に、粘度の比較的高いインクが使用される油性ボールペンに利用可能である。
本発明の1の実施の形態に係るボールペンに使用されるボールペンチップを表す正面断面図である。 正面断面図は、図1に示すボールペンチップの先端部を拡大したものである。 本発明の1の実施の形態に係るボールペンを表す正面断面図である。
符号の説明
10 ボールペン 11 軸筒
15 インクリフィル 16 インク収容管 17 インク
20 成形体 21 前方部 22 後方部
30 ボールペンチップ 31 筆記ボール
40 ホルダー 41 テーパー部 42 被挿入部
43 ボールハウス 44 底面 45 バック孔
45a 小径部 45b 大径部
46 インク孔 47 チャンネル溝 48 ボール受座
49 カシメ部

Claims (7)

  1. (A)(a)略円筒状のホルダーと、
    (b)前記ホルダーの内部空間の先端寄りの位置において、内壁面から中心方向に複数箇所等配して設けられる突出構造であるボール受座と、
    (c)前記ホルダーの内部空間において、前記ボール受座の先端側空間であるボールハウスと、
    (d)前記ホルダーの内部空間において、前記ボール受座の後端側空間であるバック孔と、
    (e)前記各ボール受座に囲まれる軸心を含む空間であるインク孔と、
    (f)前記各ボール受座間の間隙であるチャンネル溝と、
    (g)前記ボールハウス内に挿入される筆記ボールと、
    (h)前記ホルダーの先端縁を内側にカシメ加工して形成したカシメ部とを備えたボールペンチップと、
    (B)前記ボールペンチップのバック孔内に挿入される略円筒形状の成形体と、
    (C)25℃で剪断速度38.3sec-1における粘度が500mPa・sec以上のインクを収容するとともに前記ボールペンチップが先端に装着される両端開放円筒状のインク収容管とを備えたボールペンであって、
    前記成形体の後端部分は、同成形体の先端部分が前記バック孔に対してセンタリングされるように同バック孔に対して固定されるとともに、
    前記成形体の先端部分は、その外径が前記バック孔の最小内径部分より小さいことを特徴とするボールペン。
  2. 前記成形体の先端部分の外径が前記チャンネル溝の溝底を結ぶ円周の直径より小さいことを特徴とする請求項1記載のボールペン。
  3. 前記成形体の先端部分の外径が前記インク孔内径にほぼ等しいことを特徴とする請求項1記載のボールペン。
  4. 前記成形体の先端部分はインク孔後縁を塞ぐ位置まで達していることを特徴とする請求項2又は3記載のボールペン。
  5. 前記成形体の先端部分はインク孔内に挿入されていることを特徴とする請求項2又は3記載のボールペン。
  6. 前記成形体の先端は前記筆記ボール後端近傍に位置することを特徴とする請求項5記載のボールペン。
  7. 前記チャンネル溝は前記バック孔まで貫通していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載のボールペン。
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