JP4471277B2 - 塗布具用チップの製造方法 - Google Patents
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従来技術のボールペンチップ120は、ボールペンチップ本体100とボール102によって構成されている。先端の構造は図23に示されており、ボールペンチップ本体100の外形は先端側が円錐状をしている。ボール102はボールハウス103内に挿入され、さらにボール102はボールペンチップ本体100の先端部101で挟持されている。
外部加工工程は塗布具用チップ本体の外側の形状を略円錐状に加工するものであり、内部加工工程は塗布具用チップ本体の内側にボールハウスを形成するものであり、ボール収納工程はボールハウスにボールを収納するものであり、先端変形工程は塗布具用チップ本体の先端部をボール側に変形させるものである。そして、本発明の製造方法の周状削り工程は、外部加工工程の後、塗布具用チップ本体の先端付近の外側を周状に削ることで円錐台側面である第1の面と、前記第1の面とは異なる円錐台側面又は円柱側面であって前記第1の面よりも先端側に位置する第2の面とを形成するものであり、先端変形工程は、傾斜部を有する加工具を前記塗布具用チップ本体の軸方向に、前記傾斜部が前記第1の面の先端側の縁または後端側の縁に接触するまで押しつけることにより、前記第2の面の全部又は一部を前記傾斜部に沿うようにボール側に変形させることを特徴としている。
ここで、「塗布具用チップの軸を通る断面における第1の面と第2の面となす角度」は周状に削った側の角度であり、塗布具用チップの外側の角度である。
まず、ボールペンチップ本体11を、円柱状であるステンレスなどの金属材料を用いて形成する。なお、この円柱状の材料の材質は切削が可能である金属材料が用いられ、快削用ステンレス(例えばDSR6F(大同特殊鋼製))、快削洋白、真ちゅうなどを使用する。そして、後述する外部加工工程、周状削り工程、内部加工工程、溝加工工程では、前記円柱材料の外側と内側とを切削して加工する。加工されるとボールペンチップ本体11の先端付近は図5に示された状態となる。
ボールペンチップ本体11の先端側に仮想的な頂点がある円錐面状の円錐部25を設け、また、図2に示される円筒部26やインキ筒結合段部26aなどの他の部分についても上記したような形状とする(外部加工工程)。
第1の面56の形状は頂点が先端側である円錐台側面状であり、円錐部25よりも傾斜が緩やかな面である。また、第2の面57は、第1の面56の先端側に位置しており、第2の面57の形状は円柱の側面状である。したがって、第2の面57付近のボールペンチップ本体11の先端部付近の形状は円筒状となり、全周において、ほぼ同じ幅の厚みとなる。
先端側からドリル等で軸方向に削り取り、ボールハウス15及び中心孔16を形成する(内部加工工程)。加工後におけるボールハウス15及び中心孔16の軸方向の垂直な断面は円形である。また、ボールハウス15の先端側は開口状である。また、ボールハウス15には円筒壁41が形成され、円筒壁41と中心孔16をつなぐように座面側加工面48が形成される。また、図2に示されるバック孔17は後端側から削って形成する。
先端変形工程の加工前のボールペンチップ本体11の状態は、図6、図8に示されており、特に、図8では、かしめ工具44を完全に押しつけた位置との関係を示している。そして、本実施形態では、ボールペンチップ1の軸を通る断面における、かしめ工具44の傾斜部44aの傾斜と、第1の面56の傾斜がほぼ等しい。すなわち、図9に示されるように、ボールペンチップ1の軸に対する傾斜部44aの傾きα(図8)と、ボールペンチップ1の軸に対する第1の面56の傾きβ(図6)とは同じである。
図11には、本実施形態のボールペンチップ1の隙間S1付近の状態が示されている。そして、先端部43の径方向の距離Xに対して、軸方向の長さYが小さく、先端部43の内側面Kがボールペンチップ1の軸に対してより傾斜している。
そして、ボールペンチップ本体70、71を用いる第2及び第3の実施形態ボールペンチップの製造方法では、上記した実施形態と比較して、かしめ工具44の傾斜部44aの傾きαと、周状削り部55の第1の面56の傾きβとの角度を変えて、ボールペンチップ1を製造するものである。また、ボールペンチップ本体72を用いるボールペンチップの製造方法では、上記した実施形態と比較して、縁部拡径工程によって内側削り部79を形成してボールペンチップ1を製造するものである。なお、第2〜第4の実施形態に用いるボールペンチップ本体70、71、72の先端部43以外の形状については、ボールペンチップ本体11と同様の形状である。
第2の実施形態におけるボールペンチップ1の製造方法は、図13(a)に示されるボールペンチップ本体70を用いて製造される。図13(b)、図13(c)に示されるように、先端部43を変形させる先端変形工程において使用するかしめ加工具44の傾斜部44aは、ボールペンチップ本体70の周状削り部55の第1の面56と傾きが異なっている。そして、ボールペンチップ1の軸に対する、傾斜部44aの傾斜が、第1の面56の傾斜よりも大きい。すなわち、ボールペンチップ1の軸に対する傾斜部44aの傾きαは、ボールペンチップ1の軸に対する第1の面56の傾きβより大きい。
なお、図15(b)、図15(c)に示されるように、ボールペンチップ本体72のボールペンチップ1の軸に対する傾斜部44aの傾きαは、ボールペンチップ1の軸に対する第1の面56の傾きβと同じとしている。
図16は、本発明の第5の実施形態の製造方法におけるボールペンチップの加工段階での先端部分の断面図である。図17は、本発明の第5の実施形態の製造方法におけるボールペンチップの加工段階での先端部分の断面図である。
座面側加工面48の内側端部48a側が突出しているボールペンチップ本体85を用いて、ボールペンチップ84を製造するので、座面変形工程を小さい力で行うことができる。
上記した実施形態の水性インキ及び水性ゲルインキであるインキ5として、吐出量を多くすることが適しているインキ5を用いることが好ましい。一例として、以下のようなインキ5を用いることが用いることができる。
1)立体造膜成分としての粘着性合成樹脂エマルション及び水を少なくとも含んでいるインキ。
2)前記インキにおいて、前記粘着性合成樹脂エマルションがインキ全量に対して少なくとも30重量%含まれているインキ。
3)前記インキにおいて、粘度が5mPa・s以上、100mPa・s未満(ELD型粘度計、1°34′コーンローター、10rpm、20℃)のインキ。
4)前記インキにおいて、粘着性合成樹脂エマルションの樹脂粒子が複数の粒度分布を持つ樹脂粒子群で構成されるインキ。
5)前記インキにおいて、粘着性合成樹脂エマルションは最低造膜温度(MFT)25℃以下の合成樹脂エマルションであるインキ。
6)前記インキにおいて、最低造膜温度(MFT)が5℃以下の粘着性合成樹脂エマルションと、最低造膜温度(MFT)が50℃以上の粘着性合成樹脂エマルションとが含まれているインキ。
7)前記インキにおいて、着色剤を有するインキ。
8)前記着色剤として金属を含む顔料が含まれ、かつさらに増粘剤が含まれているインキ。
9)前記インキにおいて、粘着性合成樹脂エマルションがアクリル系合成樹脂エマルション及びスチレン系合成樹脂エマルションの群から少なくとも選ばれたインキ。
10)前記インキにおいて、前記樹脂エマルションの造膜樹脂を可塑化する性質を持つ物質である造膜助剤を含むインキ。
11)前記インキにおいて、香料を含むインキ。
また、このボールペン18を用いて筆記する場合のインキの吐出量Zを、少なくとも100mg/10mとすることができる。
1)ボール径D(mm)に対して、筆記によって形成された筆跡の厚みH(μm)ラ103の比であるH/Dが15以上であるボールペン。
2)ボール径D(mm)に対する前記ペン先からの前記水性インキ組成物の吐出量Z(mg/10m)の比であるZ/Dが125以上であるボールペン。
3)ボール径D(mm)に対して、筆記によって形成された筆跡の厚みH(μm)ラ103の比であるH/Dが15以上であり、ボール径D(mm)に対する吐出量Z(mg/10m)の比であるZ/Dが125以上であるボールペン。
上記の範囲のボールペン18は、インキの成分、粘度等及びボール径等を調整して製造することができる。
10 ボール
11、70、71、72、74、85 ボールペンチップ本体(塗布具用チップ本体)
15 ボールハウス
18 ボールペン
43 先端変形部
44 かしめ加工具
44a 傾斜部
47 溝
48 座面側加工面
55 周状削り部
56 第1の面
57 第2の面
Claims (16)
- 先端側が開口状であるボールハウスを備えた塗布具用チップ本体と、ボールハウス内で保持されたボールとを有する塗布具用チップの製造方法において、
塗布具用チップ本体の外側の形状を略円錐状に加工する外部加工工程と、塗布具用チップ本体の内側にボールハウスを形成する内部加工工程と、前記ボールハウスにボールを収納するボール収納工程と、塗布具用チップ本体の先端部をボール側に変形させる先端変形工程を有し、さらに、前記外部加工工程の後、塗布具用チップ本体の先端付近の外側を周状に削る周状削り工程を有し、前記先端変形工程において前記周状に削った部分をボール側に変形させ、
前記周状削り工程では、円錐台側面である第1の面と、前記第1の面とは異なる円錐台側面又は円柱側面であって前記第1の面よりも先端側に位置する第2の面とを形成するように加工するものであり、前記先端変形工程において塗布具用チップの軸を通る断面における前記第1の面と前記第2の面とがなす角度を大きくするように加工し、
傾斜部を有する加工具を前記塗布具用チップ本体の軸方向に、前記傾斜部が前記第1の面の先端側の縁または後端側の縁に接触するまで押しつけることにより、前記第2の面の全部又は一部を前記傾斜部に沿うように変形させることを特徴とする塗布具用チップの製造方法。 - 先端側が開口状であるボールハウスを備えた塗布具用チップ本体と、ボールハウス内で保持されたボールとを有する塗布具用チップの製造方法において、
塗布具用チップ本体の外側の形状を略円錐状に加工する外部加工工程と、塗布具用チップ本体の内側にボールハウスを形成する内部加工工程と、前記ボールハウスにボールを収納するボール収納工程と、塗布具用チップ本体の先端部をボール側に変形させる先端変形工程を有し、さらに、前記外部加工工程の後、塗布具用チップ本体の先端付近の外側を周状に削る周状削り工程を有し、前記先端変形工程において前記周状に削った部分をボール側に変形させ、
前記周状削り工程では、円錐台側面である第1の面と、前記第1の面とは異なる円錐台側面又は円柱側面であって前記第1の面よりも先端側に位置する第2の面とを形成するように加工するものであり、前記先端変形工程において塗布具用チップの軸を通る断面における前記第1の面と前記第2の面とがなす角度を大きくするように加工し、
前記先端変形工程において傾斜部を有する加工具を塗布具用チップ本体の軸方向に、前記傾斜部が前記第1の面に接触するまで押しつけることにより、前記第2の面の全部又は一部を前記傾斜部に沿うように変形させるように加工することを特徴とする塗布具用チップの製造方法。 - 前記先端変形工程において、当該工程により形成される塗布具用チップ本体の先端部の外側の表面であるかしめ表面部は円錐台の側面状であり、前記第1の面の後端側の縁が、前記かしめ表面部の仮想面上となるように加工するものであることを特徴とする請求項2に記載の塗布具用チップの製造方法。
- 周状削り工程において、第1の面の形状を外側に向かって突出する曲面状に加工し、第1の面の後端側の縁が連続面となっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塗布具用チップの製造方法。
- 塗布具用チップ本体の先端側の内側を、ボールハウス内部の内径よりも大きい内径とするように加工する縁部拡径工程を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の塗布具用チップの製造方法。
- 前記縁部拡径工程において、姿バイトを用いて加工することを特徴とする請求項5に記載の塗布具用チップの製造方法。
- 縁部拡径工程は、内部加工工程と同時に行うことを特徴とする請求項5又は6に記載の塗布具用チップの製造方法。
- 前記ボールハウスの後端側に軸方向に伸びる溝を形成する溝加工工程を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の塗布具用チップの製造方法。
- 前記ボールを先端側から押圧して、前記ボールハウスの後端側を変形させる座面変形工程を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の塗布具用チップの製造方法。
- 内部加工工程において、先端側に突出している座面側加工面を形成するように加工し、座面変形工程において、前記座面側加工面を変形させて座面を形成することを特徴とする請求項9に記載の塗布具用チップの製造方法。
- 内部加工工程において、座面側加工面の内側を先端側に突出させることを特徴とする請求項10に記載の塗布具用チップの製造方法。
- 内部加工工程において、座面側加工面の形状は頂点を先端側とする円錐台の側面の形状に加工することを特徴とする請求項10又は11に記載の塗布具用チップの製造方法。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の塗布具用チップの製造方法を用いて製造された塗布具用チップ。
- 請求項13記載の塗布具用チップを用いたことを特徴とする塗布具。
- 塗布液として水性インキ又は水性ゲルインキを用いているボールペンであることを特徴とする請求項14に記載の塗布具。
- ボールは先端側に付勢されていることを特徴とする請求項14又は15に記載の塗布具。
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