JP5483911B2 - ボールペンチップ、ボールペンリフィル及びボールペン - Google Patents
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Description
インク収納部の内部に収納されたインクは、バック孔及びインク誘導孔を通ってボールハウス内の筆記ボールに供給されるようになっている。
筆記ボールの表面には、インク誘導孔から直接インクが供給されるだけでなく、インク誘導孔からチャンネル溝を通ってインクの供給が行われるようになっている。これにより、筆記ボールの表面における広い範囲に同時にインクが供給されるようになっている。
換言すると、受座面全体を覆うのに充分な量のインクが常に筆記ボールと受座面との間に供給されれば、受座面全体が常にインクに覆われるので、いわゆる油膜切れの状態にならず、滑らかに筆記でき、優れた筆感を得ることができる。
このため、受座面の面積を小さくすれば、受座面全体を覆うためのインクの量が少なくて済むので、優れた筆感を得るためには、受座面の面積を小さくした方が有利である。
このため、球面として形成された受座面を大きくし、これにより、受座部による筆記ボールの保持範囲を拡大し、後端側へ押圧する力だけでなく、ペン先の移動方向とは逆向きの力についても受座面で受けることができるようにし、これら二方向の力が筆記ボールに加わっても、筆記ボールがボールハウスの所定位置に保持されるようにする必要がある。また、受座面を拡大すれば、当該受座面の摩耗も抑制でき、これにより、ボールペンチップの耐久性能、特に、耐ボテ性能を向上することができる。
(1) ボールペンチップにボールハウスを形成する際に、ボールハウスの内面に形成される受座面となる部分の内側に座ぐり孔部を設けることで、受座面を小さくして、受座面全体を覆うのに必要なインクの量を少なくし、潤滑剤としてのインクの供給不足を防止して、筆記時の筆記ボールの滑らかな回転を可能とし、これにより、当該ボールペンチップを利用したボールペンの筆感を優れたものにする(例えば、特許文献1参照)。
特に、(3)のボールペンチップでは、チャンネル溝の内方支持区画を横切る部分の幅寸法が著しく小さいので、速記等のペン先が速く動く場合には、受座面全体にインクが充分供給されず、油膜切れの状態になり、筆感を充分に向上することはできない。
なお、符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(特徴点)
本発明の第1発明は、次の点を特徴とする。
すなわち、本発明の第1発明は、被筆記物に転写させる筆記ボール(2A)と、
この筆記ボール(2A)が先端に回転自在に設けられたホルダー(21)とを有し、
前記ホルダー(21)には、
前記筆記ボール(2A)を回転自在に収納する収納空間として形成されたボールハウス(31)と、
その後端から前記ボールハウス(31)の近傍まで延びるバック孔(32)と、
前記ボールハウス(31)及び前記バック孔(32)を相互に連通するインク誘導孔(35)と、
前記ボールハウス(31)の内面における前記インク誘導孔(35)の周囲に形成されるとともに、前記筆記ボール(2A)の表面に当接する受座面(41)を有し、この受座面(41)で当該筆記ボール(2A)を受ける受座部(40)と、
前記インク誘導孔(35)の周縁(35A)から径方向外側へ延伸して前記受座部(40)の前記受座面(41)を分断するとともに、延伸方向の両側の内側面(43A)が互いに離間した断面形状に形成された複数のチャンネル溝(43)とが設けられているボールペンチップ(20)であって、
前記受座面(41)の前記チャンネル溝(43)に臨む端縁(41A)から周方向に沿って当該受座面(41)に彫られるとともに、前記チャンネル溝(43)と連通しているチャンネル枝溝(44,45)が設けられていることを特徴とする。
(特徴点)
本発明の第2発明は、次の点を特徴とする。
すなわち、本発明の第2発明は、被筆記物に転写させる筆記ボール(2A)と、
この筆記ボール(2A)が先端に回転自在に設けられたホルダー(21)とを有し、
前記ホルダー(21)には、
前記筆記ボール(2A)を回転自在に収納する収納空間として形成されたボールハウス(31)と、
その後端から前記ボールハウス(31)の近傍まで延びるバック孔(32)と、
前記ボールハウス(31)及び前記バック孔(32)を相互に連通するインク誘導孔(35)と、
前記ボールハウス(31)の内面における前記インク誘導孔(35)の周囲に形成されるとともに、前記筆記ボール(2A)の表面に当接する受座面(41)を有し、この受座面(41)で当該筆記ボール(2A)を受ける受座部(40)と、
前記インク誘導孔(35)の周縁(35A)から径方向外側へ延伸して前記受座部(40)の前記受座面(41)を分断するとともに、延伸方向の両側の内側面(43A)が互いに離間した断面形状に形成された複数のチャンネル溝(43)とが設けられているボールペンチップ(20)であって、
前記受座面(41)の前記インク誘導孔(35)に臨む端縁(41B)から径方向に外側に向かって当該受座面(41)の途中まで彫られるとともに、前記インク誘導孔(35)と連通しているチャンネル補助溝(46,47)が設けられていることを特徴とする。
(特徴点)
本発明の第3発明は、次の点を特徴とする。
すなわち、本発明の第3発明は、被筆記物に転写させる筆記ボール(2A)と、
この筆記ボール(2A)が先端に回転自在に設けられたホルダー(21)とを有し、
前記ホルダー(21)には、
前記筆記ボール(2A)を回転自在に収納する収納空間として形成されたボールハウス(31)と、
その後端から前記ボールハウス(31)の近傍まで延びるバック孔(32)と、
前記ボールハウス(31)及び前記バック孔(32)を相互に連通するインク誘導孔(35)と、
前記ボールハウス(31)の内面における前記インク誘導孔(35)の周囲に形成されるとともに、前記筆記ボール(2A)の表面に当接する受座面(41)を有し、この受座面(41)で当該筆記ボール(2A)を受ける受座部(40)と、
前記インク誘導孔(35)の周縁(35A)から径方向外側へ延伸して前記受座部(40)の前記受座面(41)を分断するとともに、延伸方向の両側の内側面が互いに離間した断面形状に形成された複数のチャンネル溝とが設けられているボールペンチップであって、
受座面(41)の前記チャンネル溝(43)に臨む端縁(41A)から周方向に沿って当該受座面(41)に彫られるとともに、前記チャンネル溝(43)と連通しているチャンネル枝溝(45)と、
前記受座面(41)の前記インク誘導孔(35)に臨む端縁(41B)から径方向に外側に向かって当該受座面(41)の途中まで彫られるとともに、前記インク誘導孔(35)と連通しているチャンネル補助溝(46,47)とが設けられていることを特徴とする。
(特徴点)
本発明の第4発明は、前述した本発明の第1の発明から第3の発明までのいずれかの発明において、次の特徴点を備えたものである。
すなわち、本発明の第4発明は、前記インクが油性インクであることを特徴とする。
(特徴点)
本発明の第5発明は、ボールペンリフィル(2)に係るものであり、前述した本発明の第1の発明から第4の発明までのいずれかの発明に係るボールペンチップ(20)を備えていることを特徴とするものである。
(特徴点)
本発明の第6発明は、ボールペン(1)に係るものであり、前述した本発明の第1の発明から第4の発明までのいずれかの発明に係るボールペンチップ(20)を備えていることを特徴とするものである。
以上のように構成されている本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
すなわち、本発明によれば、受座面のチャンネル溝に臨む端縁から周方向に沿って当該受座面に彫られるチャンネル枝溝を設け、チャンネル枝溝をチャンネル溝に連通させる、あるいは、受座面のインク誘導孔に臨む端縁から径方向に外側に向かって当該受座面の途中まで彫られるチャンネル補助溝を設け、このチャンネル補助溝をインク誘導孔に連通させるので、筆記ボールと受座面との間には、チャンネル溝だけでなく、チャンネル枝溝又はチャンネル補助溝からもインクの供給が行え、筆記ボールと受座面との間へのインクの供給量を増やすことができ、筆記ボールを受ける受座面を大きくしても、受座面全体を覆うのに充分な量のインクを常に筆記ボールと受座面との間に供給することができる。
これにより、受座面を大きくしても、受座面全体が常にインクに覆われるようになるので、いわゆる油膜切れの状態にならず、滑らかに筆記でき、優れた筆感を得ることができるうえ、筆記ボールを受ける受座面を拡大することが可能となり、受座面の拡大により、受座部による筆記ボールの保持範囲が拡大され、筆記時に、筆記ボールがボールハウスの所定位置に保持されるようになり、安定した書き味を達成することができ、以上により前記目的が達成される。
以下に、本発明を実施するための最良の形態である実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1〜図5は、本発明の第1実施形態を示すものである。図1は、本第1実施形態に係るボールペンを示す正面図及び平断面図、図2は、本第1実施形態に係るボールペンリフィルを示す正面図及び平断面図、図3は、本第1実施形態に係るボールペンチップを示す正面図、図4は、本第1実施形態に係るボールペンチップの要部を示す断面図、図5は、本第1実施形態に係る受座面を示す平面図である。
なお、本明細書において、筆記具における先端とは、軸筒の両端のうち、用紙等の書き込み対象に接する側の端部をいう。また、これとは反対側の端部を、筆記具における後端という。
本第1実施形態に係るボールペン1は、図1に示すように、油性インクで筆記を行うボールペンリフィル2と、このボールペンリフィル2を内部に収納する軸筒3とを備えたものとなっている。
軸筒3は、図1の如く、図1中左方に配置されるとともに、先細りとなった先軸部3Aと、図1中右方に配置される後軸部3Bとを分離可能に連結したものである。
すなわち、先軸部3Aは、図1(B)に示すように、その後軸部3B側に配置された端部近傍の外周面に雄ネジ部3Cが形成されたものとなっている。
一方、後軸部3Bは、その先軸部3A側に配置された端部近傍の内周面に、先軸部3A側の雄ネジ部3Cと螺合する雌ネジ部3Dが形成されたものとなっている。
これにより、先軸部3A及び後軸部3Bは、雄ネジ部3Cと雌ネジ部3Dとの螺合により相互に連結されるとともに、これら雄ネジ部3C及び雌ネジ部3Dの螺合を解除することで、分離が可能となっている。
一方、後軸部3Bの後端部分には、ノック操作力を受けるために設けられた後述するボタン部12の後端部分を挿通させる開口3Fが設けられている。
また、後軸部3Bの内部には、ノック操作で軸筒3の先端口3Eから突出した筆記体の先端を突出した状態に留めておくための回転子11と、軸筒3の先端口3Eから筆記体の先端を突出させるノック操作力を受けるボタン部12と、回転子11を後端側へ付勢するためのコイルバネ14とが設けられている。
このような回転子11は、その先端側の開口が凹部11Aとされ、この凹部11Aの内部に、ボールペンリフィル2の後端部を嵌合させることで、当該ボールペンリフィル2と接続されるようになっている。
複数のガイド溝3Hの各々は、その内部に進入してきた回転子11のキー部11Bを後軸部3Bの長手方向に案内するものである。
これらのガイド溝3Hの先端側の端部は、後軸部3Bの長手方向における同じ位置に配置されている。そして、ガイド溝3Hは、後軸部3Bの長手方向の長さ寸法が異なるものが2種類設けられている。長さの長いガイド溝3Hと、長さの短いガイド溝3Hとは、周方向に互い違いに設けられている。
コイルバネ14は、後軸部3Bの内部において圧縮された状態で収納されている。すなわち、後軸部3Bの先端近傍には、当該後軸部3Bの内径とほぼ同一の外径を有する筒状に形成されたバネ受筒15が圧入されている。
コイルバネ14は、バネ受筒15の後端縁と、回転子11の先端縁との間に圧縮状態で介装され、これにより発生する弾性力で回転子11及びボタン部12を後端側へ向かって付勢するものとなっている。
そして、ボールペンリフィル2の先端が先端口3Eの内部に収納されている状態で、ボタン部12に押圧力を加えて、コイルバネ14の弾性力に抗してボタン部12を先端側へ押すと、ボタン部12は、回転子11を先端側へ移動させ、これにより、ボールペンリフィル2の先端を先端口3Eから突出させるようになっている。
ボタン部12を先端側へ押し切ってしまうと、回転子11のキー部11Bは、長さの長いガイド溝3Hの端部よりも先端側へ移動し、長さの長いガイド溝3Hの外側へ抜け出るようになっている。
回転子11は、後端側へ移動をする際、そのキー部11Bがガイドリブ3Gの先端側端部に設けられたガイド傾斜面3Iに案内されて回転するようになっている。
この回転子11の回転により、キー部11Bは、ノック操作前に入っていた長さの長いガイド溝3Hではなく、その隣に配置された長さの短いガイド溝3Hの内部に進入するようになっている。
これにより、ボールペンリフィル2は、先端が軸筒3の先端口3Eから突出した状態が維持され、当該ボールペンリフィル2での筆記が可能となっている。
すなわち、当該ボールペンリフィル2の先端が軸筒3の先端口3Eから突出している状態で、ノック操作が行われると、キー部11Bは、回転子11の回転によって、ノック操作前に入っていた長さの短いガイド溝3Hから出て、その隣に配置された長さの長いガイド溝3Hの内部に進入するようになっている。これにより、ボールペンリフィル2は、コイルバネ14の弾性力で軸筒3の後端側へ後退して、先端が先端口3Eの内部に引き込まれるようになっている。
ボールペンリフィル2は、図2に示すように、先端に筆記ボール2Aが回転自在に設けられたボールペンチップ20と、このボールペンチップ20で使用される筆記用の油性インクを内部に貯留しているパイプ状の筒体2Bとを有するものである。
ボールペンチップ20は、図3に示すように、当該ボールペンチップ20の先端に配置されるとともに、表面に付着したインクを被筆記物に転写させる前述の筆記ボール2Aと、この筆記ボール2Aを回転自在に保持するホルダー21とを有するものとなっている。
このうち、ホルダー21は、先端から後端まで全体を貫通する中空部30が形成されたものであり、略中央部分に配置されるとともに、円筒状に形成されたパイプ部21Aと、このパイプ部21Aの先端側に形成されるとともに、先細りとなったテーパー部21Bと、パイプ部21Aの後端側に形成されるとともに、パイプ部21Aよりも外径が小さい縮径部21Cを備えている。
ホルダー21は、縮径部21Cをパイプ状に形成された筒体2Bの内部に嵌合させることによって、筒体2Bの先端部分に接続されている。
また、ホルダー21の後端部分、換言すると、ボールペンチップ20の後端分部には、当該後端からボールハウス31の近傍まで延びるバック孔32が、中空部30の一部分として形成されている。このバック孔32は、筒体2Bの内部と連通して、筒体2B内に貯留されているインクを内部に導き入れるための空間となっている。
なお、バック孔32には、内径が互いに異なる小径部33及び大径部34とが設けられている。このうち、内径の小さい小径部33は、テーパー部21Bに形成され、内径の大きい大径部34は、パイプ部21A及び縮径部21Cにまたがって形成されている。
さらに、ホルダー21の内部には、ボールハウス31及びバック孔32を相互に連通するインク誘導孔35が、中空部30の一部分として形成されている。
そして、ボールハウス31には、筆記ボール2Aを受けるための受座部40が形成されている。受座部40は、図4及び図5に示すように、ボールハウス31の内面におけるインク誘導孔35の周囲に形成されるとともに、筆記ボール2Aの表面に当接する受座面41を有し、この受座面41で当該筆記ボール2Aを受けるものとなっている。なお、図5では、斜線で示した部分が受座面41となっている。
さらに、ボールハウス31には、受座面41のチャンネル溝43に臨む端縁41Aの略中央部分から周方向に沿って当該受座面41に彫られるとともに、チャンネル溝43と連通している複数のチャンネル枝溝44が設けられている。
また、各チャンネル枝溝44は、筆記ボール2Aと受座面41との間に供給されるべき量のインクを流通させるのに充分な幅寸法及び深さ寸法を有している。
例えば、筆記ボール2Aの直径が0.7mmである場合、チャンネル枝溝44の幅寸法としては、0.03mmが採用でき、チャンネル枝溝44の深さ寸法としては、0.03mmが採用できる。
次に、本実施形態で採用するインクについて簡単に説明する。
本第1実施形態では、着色剤と、下記の化1で表される溶剤がインク中の全溶剤の50質量%以上を占める主溶剤と、この溶剤に可溶な樹脂とを含み、測定温度:25℃、剪断速度:3.83/sにおいて700mPa・s〜8,000mPa・sの範囲にある油性インクが採用されている。
このような主溶剤には、相溶性に優れた補助溶剤を含ませることができる。
換言すると、インクに添加される樹脂は、目的に応じて、その種類や分子量、インク配合量が適宜選択される。このような樹脂の具体例を挙げると、ケトン樹脂、スチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、テルペンフェノール樹脂を含むテルペン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、フェノール系樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、ロジン系樹脂、アクリル系樹脂、尿素アルデヒド系樹脂、マレイン酸系樹脂、シクロヘキサン系樹脂、ポリビニルピロリドン、セルロース系樹脂、ポリビニルブチラールなどがある。
次に、本第1実施形態に係るボールペンチップ20の製造手順について簡単に説明する。
本第1実施形態に係るボールペンチップ20は、次の製造手順(1)〜(3)のいずれでも製造可能である。
ボールペンチップ20に形成したボールハウス31を仕上げるための切削加工を行う第1工程、第1工程で仕上げたボールハウス31にチャンネル溝43を形成する第2工程、ボールハウス31にチャンネル枝溝44をプレス加工で形成する第3工程、及び、ボールハウス31に筆記ボール2Aを投入し、この状態で、ホルダー21の先端をかしめてカシメ部22を形成する第4工程を順次行う製造手順。
ボールペンチップ20に形成したボールハウス31を仕上げるための切削加工を行う第1工程、第1工程で仕上げたボールハウス31にチャンネル枝溝44を切削加工で形成する第2工程、ボールハウス31にチャンネル溝43を形成する第3工程、及び、ボールハウス31に筆記ボール2Aを投入し、この状態で、ホルダー21の先端をかしめてカシメ部22を形成する第4工程を順次行う製造手順。
ボールペンチップ20に形成したボールハウス31を仕上げるための切削加工を行う第1工程、第1工程で仕上げたボールハウス31にチャンネル溝43を形成する第2工程、ボールハウス31にチャンネル枝溝44を打ち抜き加工で形成する第3工程、及び、ボールハウス31に筆記ボール2Aを投入し、この状態で、ホルダー21の先端をかしめてカシメ部22を形成する第4工程を順次行う製造手順。
一方、ボールハウス31を仕上げるための切削加工を行う前に、ボールハウス31にチャンネル枝溝44を形成する手順を採用すると、ボールハウス31を仕上げるための切削加工を行った際に発生した切削屑が幅の狭いチャンネル枝溝44を塞ぎ、インクの流通を妨げることがあるので、充分な潤滑性が得られないおそれがある。
すなわち、受座面41のチャンネル溝43に臨む端縁41Aの略中央部分から周方向に沿って当該受座面41に彫られるチャンネル枝溝44を設け、チャンネル枝溝44をチャンネル溝43に連通させたので、筆記ボール2Aと受座面41との間には、チャンネル溝43だけでなく、チャンネル枝溝44からもインクの供給が行え、筆記ボール2Aと受座面41との間へのインクの供給量を増やすことができ、筆記ボール2Aを受ける受座面41を大きくしても、受座面41全体を覆うのに充分な量のインクを常に筆記ボール2Aと受座面41との間に供給することができる。
これにより、受座面41を大きくしても、受座面41全体が常にインクに覆われるようになるので、いわゆる油膜切れの状態にならず、滑らかに筆記でき、優れた筆感を得ることができるうえ、筆記ボール2Aを受ける受座面41を拡大することが可能となり、受座面41の拡大により、受座部40による筆記ボール2Aの保持範囲が拡大され、筆記時に、筆記ボール2Aがボールハウス31の所定位置に保持されるようになり、安定した書き味を達成することができ、以上により、優れた筆感を得ることができ、且つ、安定した書き味を達成することができる。
図6及び図7は、本発明の第2実施形態を示すものである。すなわち、図6は、本第2実施形態に係るボールペンチップの要部を示す断面図、図7は、本第2実施形態に係る受座面を示す平面図である。
本第2実施形態は、前記第1実施形態における、受座面41の中心手前位置で途絶えて反対側の端縁41Aには到達しないチャンネル枝溝44を、一方の受座面41から反対側の端縁41Aまで延びるチャンネル枝溝45としたものである。
このような本第2実施形態によっても、前記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
図8及び図9は、本発明の第3実施形態を示すものである。すなわち、図8は、本第3実施形態に係るボールペンチップの要部を示す断面図、図9は、本第3実施形態に係る受座面を示す平面図である。
本第3実施形態は、前記第1実施形態における周方向に沿って受座面41に彫られているチャンネル枝溝44を、径方向に沿って受座面41に彫られているチャンネル補助溝46に代えたものである。
具体的には、ボールハウス31に設けられている複数の受座面41の各々には、図8及び図9に示すように、インク誘導孔35と連通するチャンネル補助溝46が彫られている。
これらのチャンネル補助溝46の各々は、受座面41のインク誘導孔35に臨む端縁41Aの略中央部分から径方向に外側に向かって当該受座面41の途中まで延伸したものとなっている。
各チャンネル補助溝46は、筆記ボール2Aと受座面41との間に供給されるべき量のインクを流通させるのに充分な幅寸法及び深さ寸法を有している。
例えば、筆記ボール2Aの直径が0.7mmである場合、チャンネル補助溝46の幅寸法としては、0.06mmが採用でき、チャンネル補助溝46の深さ寸法としては、0.06mmが採用できる。
すなわち、受座面41のインク誘導孔35に臨む端縁41Bの略中央部分から径方向に外側に向かって当該受座面41の途中まで彫られるチャンネル補助溝46を設け、このチャンネル補助溝46をインク誘導孔35に連通させたので、筆記ボール2Aと受座面41との間には、チャンネル溝43だけでなく、チャンネル補助溝46からもインクの供給が行え、筆記ボール2Aと受座面41との間へのインクの供給量を増やすことができ、筆記ボール2Aを受ける受座面41を大きくしても、受座面41全体を覆うのに充分な量のインクを常に筆記ボール2Aと受座面41との間に供給することができる。
これにより、受座面41を大きくしても、受座面41全体が常にインクに覆われるようになるので、いわゆる油膜切れの状態にならず、滑らかに筆記でき、優れた筆感を得ることができるうえ、筆記ボール2Aを受ける受座面41を拡大することが可能となり、受座面41の拡大により、受座部40による筆記ボール2Aの保持範囲が拡大され、筆記時に、筆記ボール2Aがボールハウス31の所定位置に保持されるようになり、安定した書き味を達成することができ、以上により、優れた筆感を得ることができ、且つ、安定した書き味を達成することができる。
図10及び図11は、本発明の第4実施形態を示すものである。すなわち、図10は、本第4実施形態に係るボールペンチップの要部を示す断面図、図11は、本第4実施形態に係る受座面を示す平面図である。
本第4実施形態は、前記第2実施形態におけるチャンネル枝溝45及び前記第3実施形態におけるチャンネル補助溝46の両方を受座面41に設けたものである。
このような本第4実施形態によっても、前記第1〜3実施形態と同様の効果を奏することができる。
図12及び図13は、本発明の第5実施形態を示すものである。すなわち、図12は、本第5実施形態に係るボールペンチップの要部を示す断面図、図13は、本第5実施形態に係る受座面を示す平面図である。
本第5実施形態は、前記第4実施形態におけるチャンネル枝溝45には到達していないチャンネル補助溝46を、チャンネル枝溝45まで延びて、当該チャンネル枝溝45と直接連通しているチャンネル補助溝47としたものである。
このような本第5実施形態によっても、前記第1〜4実施形態と同様の効果を奏することができる。
例えば、ボールペンとしては、軸筒後端に設けられたボタンを押圧操作することで、ペン先の出し入れを行うノック式のものに限らず、軸筒の後端側部分を回転操作してペン先の出し入れを行う回転操作式のボールペンでもよく、ペン先を出し入れするための機構は、実施にあたり適宜選択できる。
また、ボールペンとしては、ペン先を隠蔽するキャップが着脱可能に設けられているキャップ式のボールペン等、ペン先を出し入れするための機構を備えていないボールペンでもよい。
さらに、ボールペンとしては、軸筒内に1本のボールペンリフィルを備えた単式のボールペンに限らず、軸筒内に2本以上のボールペンリフィルや、ボールペンリフィルに加えてシャープペンシルリフィルを備えている複式のボールペンでもよい。
2A 筆記ボール 2B 筒体
3 軸筒 3A 先軸部
3B 後軸部 3C 雄ネジ部
3D 雌ネジ部 3E 先端口
3F 開口 3G ガイドリブ
3H ガイド溝 3I ガイド傾斜面
11 回転子 11A 凹部
11B キー部 12 ボタン部
14 コイルバネ 15 バネ受筒
20 ボールペンチップ 21A パイプ部
21B テーパー部 21C 縮径部
21 ホルダー 22 カシメ部
30 中空部 31 ボールハウス
32 バック孔 33 小径部
34 大径部 35A 周縁
35 インク誘導孔 40 受座部
41A 端縁 41B 端縁
41 受座面 43A 内側面
43 チャンネル溝 44 チャンネル枝溝
45 チャンネル枝溝 46 チャンネル補助溝
47 チャンネル補助溝
Claims (5)
- 被筆記物に転写させる筆記ボールと、
この筆記ボールが先端に回転自在に設けられたホルダーとを有し、
前記ホルダーには、
前記筆記ボールを回転自在に収納する収納空間として形成されたボールハウスと、
その後端から前記ボールハウスの近傍まで延びるバック孔と、
前記ボールハウス及び前記バック孔を相互に連通するインク誘導孔と、
前記ボールハウスの内面における前記インク誘導孔の周囲に形成されるとともに、前記筆記ボールの表面に当接する受座面を有し、この受座面で当該筆記ボールを受ける受座部と、
前記インク誘導孔の周縁から径方向外側へ延伸して前記受座部の前記受座面を分断するとともに、延伸方向の両側の内側面が互いに離間した断面形状に形成された複数のチャンネル溝とが設けられているボールペンチップであって、
前記受座面の前記インク誘導孔に臨む端縁から径方向に外側に向かって当該受座面の途中まで彫られるとともに、前記インク誘導孔と連通しているチャンネル補助溝が設けられていることを特徴とするボールペンチップ。 - 被筆記物に転写させる筆記ボールと、
この筆記ボールが先端に回転自在に設けられたホルダーとを有し、
前記ホルダーには、
前記筆記ボールを回転自在に収納する収納空間として形成されたボールハウスと、
その後端から前記ボールハウスの近傍まで延びるバック孔と、
前記ボールハウス及び前記バック孔を相互に連通するインク誘導孔と、
前記ボールハウスの内面における前記インク誘導孔の周囲に形成されるとともに、前記筆記ボールの表面に当接する受座面を有し、この受座面で当該筆記ボールを受ける受座部と、
前記インク誘導孔の周縁から径方向外側へ延伸して前記受座部の前記受座面を分断するとともに、延伸方向の両側の内側面が互いに離間した断面形状に形成された複数のチャンネル溝とが設けられているボールペンチップであって、
前記受座面の前記チャンネル溝に臨む端縁から周方向に沿って当該受座面に彫られるとともに、前記チャンネル溝と連通しているチャンネル枝溝と、
前記受座面の前記インク誘導孔に臨む端縁から径方向に外側に向かって当該受座面の途中まで彫られるとともに、前記インク誘導孔と連通しているチャンネル補助溝とが設けられていることを特徴とするボールペンチップ。 - 前記インクが油性インクであることを特徴とする請求項1又は2に記載のボールペンチップ。
- 請求項1から3までのいずれかに記載のボールペンチップを備えていることを特徴とするボールペンリフィル。
- 請求項1から3までのいずれかに記載のボールペンチップを備えていることを特徴とするボールペン。
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