JP2013228718A - ポリビニルアルコール系重合体フィルムの製造方法 - Google Patents

ポリビニルアルコール系重合体フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】近年要求されているような高い偏光性能を有する偏光フィルムを容易に製造することのできるPVA系重合体フィルムの製造方法を提供すること。
【解決手段】PVA系重合体を含む製膜原液を金属支持体上に膜状に流延して乾燥することによりPVA系重合体フィルムを得るPVA系重合体フィルムの製造方法であって、当該金属支持体上にある膜の水分率が40〜60質量%の範囲内にある時に膜の幅方向全体に赤外線を照射することにより膜を乾燥する工程、当該膜を当該金属支持体から剥離する工程、および、剥離された膜を熱ロールによりさらに乾燥する工程を有する、製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、偏光フィルムの製造原料として有用なポリビニルアルコール系重合体フィルムの製造方法、および、それにより製造されたポリビニルアルコール系重合体フィルムを用いる偏光フィルムの製造方法に関する。
光の透過および遮蔽機能を有する偏光板は、光のスイッチング機能を有する液晶とともに、液晶ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。このLCDの適用分野は、開発初期の頃の電卓および腕時計などの小型機器から、近年では、ノートパソコン、液晶モニター、液晶カラープロジェクター、液晶テレビ、車載用ナビゲーションシステム、携帯電話および屋内外で用いられる計測機器などの種々の分野に拡大している。液晶表示画面の大型化に伴い、従来品以上に幅広で、高い偏光性能を示す偏光板が求められている。
偏光板は、一般に、ポリビニルアルコール系重合体フィルム(以下、「ポリビニルアルコール」を「PVA」と略記することがある)に一軸延伸などを施すことにより製造した偏光フィルムの表面に三酢酸セルロース(TAC)フィルムなどの保護膜を貼り合わせることによって製造される。
偏光フィルムの光学性能を向上させることを目的として、これまで主として、偏光フィルムの製造原料であるPVA系重合体やPVA系重合体フィルムの構造、およびPVA系重合体フィルムや偏光フィルムを製造する際の製造条件などの改良が行われてきた。しかしながら、近年、液晶ディスプレイの性能が向上するにしたがって、偏光フィルムに対する要求性能もさらに高くなってきた。
例えば、PVA系重合体フィルムを製造する際の製造条件として、金属支持体上での乾燥時に幅方向に均一な熱風をあて乾燥することで乾燥斑をなくし偏光フィルムの光学性能を向上させる技術(例えば、特許文献1および2などを参照)などが知られているが、近年要求されている高い偏光性能を達成するためには、さらなる改良の余地があった。
特開2001−315144号公報 特開2002−30163号公報
本発明が解決すべき課題は、近年要求されているような高い偏光性能を有する偏光フィルムを容易に製造することのできるPVA系重合体フィルムの製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、PVA系重合体を含む製膜原液を用いて金属支持体上で流延製膜するにあたり、金属支持体上に流延された膜の水分率が40〜60質量%の範囲内にある時に膜の幅方向全体に赤外線を照射し、その後PVA系重合体フィルムの表裏両面を交互に多段式の熱ロールを用いて膜をさらに乾燥すると、得られるPVA系重合体フィルムを用いて製造された偏光フィルムの偏光性能が良好なものとなることを見出し、当該知見に基づいてさらに検討を重ねて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
[1]PVA系重合体を含む製膜原液を金属支持体上に膜状に流延して乾燥することによりPVA系重合体フィルムを得るPVA系重合体フィルムの製造方法であって、当該金属支持体上にある膜の水分率が40〜60質量%の範囲内にある時に膜の幅方向全体に赤外線を照射することにより膜を乾燥する工程、当該膜を当該金属支持体から剥離する工程、および、剥離された膜を熱ロールによりさらに乾燥する工程を有する、製造方法、
[2]前記赤外線を照射することにより膜を乾燥する工程において、赤外線により膜に与えられるエネルギーが55〜250J/mの範囲内にある、上記[1]の製造方法、
[3]前記熱ロールにより乾燥する工程において、2つ以上の熱ロールにより膜の表裏両面を交互に乾燥する、上記[1]または[2]の製造方法、
[4]幅が2m以上のPVA系重合体フィルムの製造方法である、上記[1]〜[3]のいずれか1つの製造方法、
[5]偏光フィルム製造用原反フィルムの製造方法である、上記[1]〜[4]のいずれか1つの製造方法、
[6]上記[5]の製造方法により製造されたPVA系重合体フィルムを用いて一軸延伸する工程を有する、偏光フィルムの製造方法、
に関する。
本発明によれば、高い偏光性能を有する偏光フィルムを容易に製造することのできるPVA系重合体フィルムの製造方法が提供される。
本発明のPVA系重合体フィルムの製造方法に用いる製膜装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のPVA系重合体フィルムの製造方法では、PVA系重合体を含む製膜原液を金属支持体上に膜状に流延して乾燥することによりPVA系重合体フィルムを得る。上記の製膜原液としては、PVA系重合体が液体媒体中に溶解したものや、PVA系重合体と液体媒体とを含み、PVA系重合体が溶融したものなどが挙げられる。
上記液体媒体としては水を使用することができ、その他、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのうちの1種または2種以上を併用することができる。
上記のPVA系重合体は特に限定されないが、ビニルエステルを重合して得られるポリビニルエステル系重合体をけん化してビニルエステル単位をビニルアルコール単位としたものを用いることができる。このビニルエステルとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル等を挙げることができ、これらの中でも酢酸ビニルが、原料コスト・入手性の観点から好ましい。
ビニルエステルを重合する際に、必要に応じて、これと共重合可能なモノマーを、本発明の効果を損なわない範囲内(好ましくは15モル%以下、より好ましくは5モル%以下の割合)で共重合させることもできる。
このようなビニルエステルと共重合可能なモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等の炭素数2〜30のオレフィン;アクリル酸またはその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸またはその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸エステル;アクリルアミド;N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその塩、N−メチロールアクリルアミドまたはその誘導体等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド;N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその塩、N−メチロールメタクリルアミドまたはその誘導体等のメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸またはその塩もしくはエステル;イタコン酸またはその塩もしくはエステル;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニル;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等のN−ビニルアミドなどを挙げることができる。
PVA系重合体の平均重合度は必ずしも限定されないが、フィルムの強度や偏光性能の観点から500以上が好ましく、1000以上がより好ましく、2000以上がさらに好ましい。一方、PVA系重合体の平均重合度は、PVA系重合体フィルムの製膜性の観点から10000以下が好ましい。なお、PVA系重合体の平均重合度(P)はJIS K−6726−1994の記載に準じて測定される。すなわちPVA系重合体を再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](単位:dL/g、Lはリットル)から次式により求めることができる。
P=([η]×10/8.29)(1/0.62)
PVA系重合体のけん化度は必ずしも限定されないが、偏光フィルムの耐久性の観点から90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましく、98モル%以上がさらに好ましい。一方、フィルムの染色性の観点から99.99モル%以下が好ましい。
前記けん化度とは、PVA系重合体が有する、けん化によってビニルアルコール単位に変換されうる構造単位(典型的にはビニルエステル単位)とビニルアルコール単位との合計モル数に対して当該ビニルアルコール単位のモル数が占める割合(モル%)を示したものである。なお、PVA系重合体のけん化度は、JIS K−6726−1994に記載の方法に準じて測定することができる。
上記の製膜原液は可塑剤として多価アルコールを含むことが好ましい。製膜原液が多価アルコールを含むことにより多価アルコールを含むPVA系重合体フィルムが得られ、それにより当該PVA系重合体フィルムの延伸性や染色性を向上させることができる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン等を挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上を使用することができる。これらの中でも、延伸性向上効果の観点からエチレングリコールまたはグリセリンが特に好適に使用される。
製膜原液、ひいてはPVA系重合体フィルム中における多価アルコールの含有量としては、PVA系重合体100質量部に対して1〜30質量部が好ましく、3〜25質量部がより好ましく、5〜20質量部がさらに好ましい。当該含有量が1質量部以上であることにより染色性や延伸性をより向上させることができる。また、当該含有量が30質量部以下であることにより、フィルムが過度に柔軟になるのを防止することができる。
また、上記の製膜原液は界面活性剤を含むことが好ましい。製膜原液が界面活性剤を含むことにより界面活性剤を含むPVA系重合体フィルムが得られ、それにより当該PVA系重合体フィルムの延伸性や染色性を向上させることができる。界面活性剤の種類に特に制限はないが、アニオン性界面活性剤またはノニオン性界面活性剤が好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸カリウム等のカルボン酸型、オクチルサルフェート等の硫酸エステル型、ドデシルベンゼンスルホネート等のスルホン酸型などが挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のアルキルエーテル型、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のアルキルフェニルエーテル型、ポリオキシエチレンラウレート等のアルキルエステル型、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル等のアルキルアミン型、ポリオキシエチレンラウリン酸アミド等のアルキルアミド型、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル等のポリプロピレングリコールエーテル型、ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等のアルカノールアミド型、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテル等のアリルフェニルエーテル型などが挙げられる。
これらの界面活性剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
製膜原液、ひいてはPVA系重合体フィルム中における界面活性剤の含有量としては、PVA系重合体100質量部に対して0.01〜1質量部が好ましく、0.02〜0.5質量部がより好ましく、0.05〜0.3質量部がさらに好ましい。当該含有量が0.01質量部以上であることにより延伸性向上効果や染色性向上効果がより顕著に現れやすくなる。また、当該含有量が1質量部以下であることにより、界面活性剤がフィルム表面にブリードアウトしてブロッキングが発生するのを防止することができる。
上記の製膜原液は、本発明の効果に顕著な悪影響を与えない限り、必要に応じて上記した液体媒体、PVA系重合体、多価アルコールおよび界面活性剤以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。製膜原液がこのような他の成分を含むことにより、当該他の成分を含むPVA系重合体フィルムが得られる。当該他の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、着色剤、防腐剤、防黴剤、PVA系重合体以外の他の高分子化合物、ナトリウム、カルシウム、鉄等の金属の塩などが挙げられる。
製膜原液、ひいてはPVA系重合体フィルム中における当該他の成分の含有量としては、その種類にもよるが、PVA系重合体100質量部に対して20質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、1質量部以下がさらに好ましい。
製膜原液の調製方法は特に限定されず、例えば、溶解缶などを使用してPVA系重合体を液体媒体に溶解することにより調製してもよいし、液体媒体と混ぜ合わせたPVA系重合体を押出機内で加熱・混練することにより調製してもよい。また、上記した多価アルコール、界面活性剤および他の成分の添加方法も特に限定されず、PVA系重合体および液体媒体のうちの一方または両方にこれらの成分を予め配合した後にPVA系重合体を液体媒体に溶解させるか、またはPVA系重合体を溶融させてもよいし、PVA系重合体が溶解または溶融したものにこれらの成分を配合してもよい。
また製膜原液は脱泡処理されたものであることが好ましい。脱泡処理方法としては、例えば、静置脱泡、加圧脱泡、減圧脱泡等が挙げられる。
製膜原料の揮発分率(製膜時に揮発や蒸発によって除去される液体媒体などの揮発性成分の、製膜原液中における含有割合)は50〜90質量%が好ましく、55〜80質量%がより好ましい。揮発分率が50質量%以上であることにより製膜原液の粘度が過度に高くなって製膜が困難になるのを防止することができる。一方、揮発分率が90質量%以下であることにより製膜原液の粘度が過度に低くなることを防止でき、厚み均一性により優れるPVA系重合体フィルムを得ることができる。
上記の製膜原液を金属支持体上に膜状に流延し、当該金属支持体上にある膜を乾燥することによりPVA系重合体フィルムを得ることができる。流延方法としては、公知の方法を採用することができるが、T−ダイ等のスリットダイに代表される吐出装置を用いて、これに製膜原液を一定量ずつ導入しながら吐出装置の出口から当該製膜原液を金属支持体上に連続的に供給する方法が好ましい。当該金属支持体としては、例えば、金属製のキャスティングドラム、金属製のエンドレスベルトなどが挙げられる。
吐出装置の出口における製膜原液の温度は、使用する液体媒体の種類にもよるが、粘度が過度に高くなるのを防止すると共に発泡の発生を防ぐ観点から、80〜100℃であることが好ましい。
金属支持体の周速度(例えば、キャスティングドラムにおける外周面の周速度やエンドレスベルトにおけるベルトの移動速度)は特に制限されないが、膜の乾燥の均一性、生産性等の観点から、4〜30m/分であることが好ましい。
本発明のPVA系重合体フィルムの製造方法においては、金属支持体上にある膜の水分率が40〜60質量%の範囲内のいずれかの値にある時に、膜の幅方向全体に赤外線を照射することにより、当該膜を乾燥する工程を有することが重要である。水分率が上記範囲内のいずれかの値にある時に赤外線照射によって膜を乾燥させることにより、PVA系重合体フィルムの金属支持体に接する面(以下、接触面と略記することがある。)と金属支持体に接しない面(以下、自由面と略記することがある。)の温度差が少ない乾燥を行うことができ、それにより自由面・接触面の熱履歴の違いが少ない乾燥を行うことができる。自由面と接触面の温度差は0〜10℃に保つことが好ましく、0〜5℃に保つことがより好ましく、2℃以下に保つことがさらに好ましい。
赤外線を照射するときの膜の水分率が40〜60質量%の範囲内にあることも、本発明において重要である。赤外線照射を膜の水分率が40質量%未満、あるいは60質量%を超える時に行っても、いずれも偏光フィルムに加工した際の偏光性能の改善が不十分になる。これは、詳細は必ずしも明らかではないが、膜中のPVA系重合体の結晶構造が形成され始める水分率において赤外線照射により乾燥を行うことが重要と推定されるためである。
本発明のPVA系重合体フィルムの製造方法において赤外線照射に用いられる赤外線照射装置としては例えば赤外線ヒーターが挙げられる。赤外線ヒーターの形式は特に限定されないが、赤外線ヒーターから効果的に熱量を得るために、有効加熱長が製膜するPVA系重合体フィルムの幅よりも長いことが好ましい。具体的には、PVA系重合体フィルムの幅に対し1%以上長いことが好ましく、10%以上長いことがより好ましい。また、製膜のライン速度を好適な範囲に収めるためには、幅方向1mあたり1kW以上の赤外線ヒーターを使用することが好ましく、1mあたり5〜30kWの赤外線ヒーターを使用することがより好ましく、1mあたり10〜15kWの赤外線ヒーターを使用することがさらに好ましい。
赤外線の光源としては、セラミックスやハロゲンランプなどが挙げられるが、その中でも昇温速度が速く、寿命が長いことなどから、ハロゲンランプが好ましい。
赤外線照射の時間は、製膜原液の濃度や、膜状に流延された塗膜の厚み、製膜のライン速度などにより適宜調整することができるが、赤外線照射装置から効果的に熱量を得るために、照射時間は2〜10秒であることが好ましく、3〜8秒であることがより好ましく、3〜5秒であることがさらに好ましい。当該照射時間が2秒未満の場合、短時間に多くの熱量を加える必要が生じやすく、接触面、自由面の温度差が大きくなりすぎるおそれがある。一方、当該照射時間が10秒を超える場合、過乾燥を避けるためには膜に加える熱量を抑える必要があり、赤外線を照射する効果が十分に得られないおそれがある。
赤外線照射により膜に与えられるエネルギーは、製膜原液の濃度や、膜状に流延された塗膜の厚み、製膜のライン速度などにより適宜調整することができるが、膜1mあたりに与えられるエネルギーとして55〜250J/mの範囲内であることが好ましく、80〜220J/mの範囲内であることがより好ましい。当該エネルギーが上記範囲内にあることにより、より高い偏光性能を有する偏光フィルムが得られやすい。
接触面、自由面の温度差を少なくするためには、金属支持体上における膜の温度は、50〜150℃であることが好ましく、70〜120℃であることがより好ましく、80〜100℃であることがさらに好ましい。
金属支持体上における膜の乾燥は、乾燥に必要なエネルギーを全て赤外線により供給してもよいが、生産効率・エネルギーコストなどの観点より、膜の水分率が40〜60質量%の範囲内における自由面と接触面の温度差が大きくなりすぎない範囲で、金属支持体からの加熱や熱風を当てるなどの方法による乾燥方法も併用することが好ましい。その際の金属支持体の表面温度は、必ずしも限定されないが、膜の乾燥の均一性、生産性等の観点より、70〜99℃であることが好ましい。
本発明のPVA系重合体フィルムの製造方法は、上記のようにして金属支持体上で乾燥された膜に対して、これを当該金属支持体から剥離する工程と、剥離された膜を熱ロールによりさらに乾燥する工程とを有する。
金属支持体上で乾燥された膜を金属支持体から剥離する時の、当該膜の水分率は必ずしも限定されないが、本発明の効果がより顕著に奏されることから、5〜30質量%であることが好ましい。本発明の効果がより顕著に奏されることから、当該水分率は10%質量以上であることがより好ましく、15%質量以上であることがさらに好ましく、20%質量以上であることが特に好ましい。なお、当該水分率があまりに高すぎると剥離不良による厚み斑などの問題を生じるおそれがあることから、当該水分率は28%質量以下であることがより好ましく、26%質量以下であることが特に好ましい。
剥離された膜を熱ロールによりさらに乾燥する際の乾燥の方法は特に制限されないが、膜の送り方向に直列に配置された2つ以上の熱ロール(多段式の熱ロール)を用いて、膜を順次各ロールの円周面に沿わせて、膜の表裏両面を交互に乾燥させることが、表裏両面の熱履歴の差を少なくできるので好ましい。
熱ロールは、スチーム、熱媒、温水、電気ヒーターなどで加熱されたものが使用可能である。また、温風や冷風などを膜に吹き付けたり、膜周囲の空気や蒸気などを吸引するなどの手段を補助的に採用してもよい。なお、各熱ロールの温度について、膜の表面および裏面の乾燥を同じ温度にしてもよいが、必要に応じて膜の表面および裏面を異なる温度で乾燥し、両者の熱履歴をより近づける方向に調整してもよい。
金属支持体としてキャスティングドラムを用いる場合において、前記多段式の熱ロールのうちの最上流側に位置する熱ロール(キャスティングドラムのすぐ下流に位置する熱ロール;第2乾燥ロール)のロール径は、キャスティングドラム(第1乾燥ロール)のロール径よりも小さいことが好ましく、キャスティングドラムのロール径の0.95倍以下であることがより好ましく、0.9倍以下であることがさらに好ましく、また、0.1倍以上であることが好ましい。当該熱ロール(第2乾燥ロール)のロール径が上記範囲にあることにより、延伸時に両端部に皺が入りにくいPVA系重合体フィルムが得られやすい。
本発明において、製造されるPVA系重合体フィルムの幅は必ずしも限定されないが、2m以上であることが好ましく、2.3m以上であることがより好ましく、2.6m以上であることがさらに好ましく、3m以上であることが特に好ましく、3.3m以上であることが最も好ましい。このような幅を有するPVA系重合体フィルムによれば、延伸時のネックインの影響が幅方向中央部付近にまで及びにくく、広幅で偏光性能がより良好な偏光フィルムが得られやすい。なお上記幅の上限としては、例えば8mが挙げられる。
本発明において、製造されるPVA系重合体フィルムの厚みは必ずしも限定されないが、5〜100μmが好ましく、10〜80μmがより好ましく、15〜50μmが特に好ましい。厚みが5μm以上であることにより、均一な延伸が行いやすくなって得られる偏光フィルムの色斑を抑制しやすくなる。また、厚みが100μm以下であることにより、PVA系重合体フィルムを一軸延伸して偏光フィルムを製造した際に、端部のネックインによる厚み変化が発生しにくくなり、やはり偏光フィルムの色斑を抑制しやすくなる。
本発明の製造方法により得られるPVA系重合体フィルムを原反フィルムとして用いて偏光フィルムを製造する際の製造方法は特に制限されず、従来公知の方法を採用することにより製造することができる。例えば、本発明の製造方法により得られるPVA系重合体フィルムを用いて一軸延伸することにより偏光フィルムを製造することができ、より具体的には、本発明の製造方法により得られるPVA系重合体フィルムに対して、染色処理、一軸延伸処理、および必要に応じてさらに固定処理、乾燥処理、熱処理などを施すことにより偏光フィルムを製造することができる。この場合に、染色処理、一軸延伸処理、固定処理などの操作の順序は特に制限されない。また、必要に応じて、前記した処理の1つまたは2つ以上を2回またはそれ以上行うこともできる。
上記の染色処理は、一軸延伸処理の前、一軸延伸処理と同時、一軸延伸処理の後のいずれの段階で行ってもよい。染色処理に用いられる染料としては、ヨウ素−ヨウ化カリウム;ダイレクトブラック 17、19、154;ダイレクトブラウン 44、106、195、210、223;ダイレクトレッド 2、23、28、31、37、39、79、81、240、242、247;ダイレクトブルー 1、15、22、78、90、98、151、168、202、236、249、270;ダイレクトバイオレット 9、12、51、98;ダイレクトグリーン 1、85;ダイレクトイエロー 8、12、44、86、87;ダイレクトオレンジ 26、39、106、107等の二色性染料などが挙げられ、これらは1種を単独で使用してもまたは2種以上を併用してもよい。
染色処理は、一般に、染料を含有する溶液中にPVA系重合体フィルムを浸漬させて行うが、それに限定されるものではなく、例えば、PVA系重合体フィルム上に染料を塗工する方法などを採用することもできる。染色処理時の処理条件や具体的な処理方法などは特に制限されず、公知の条件・方法を採用することができる。
上記の一軸延伸処理は、湿式延伸法または乾熱延伸法、あるいは両者の組み合わせのいずれで行ってもよい。さらに、一軸延伸処理は、ホウ酸を含む温水中で行ってもよいし、前記した染料を含有する溶液中や後述する固定処理浴中で行ってもよいし、吸水後のPVA系重合体フィルムを用いて空気中で行ってもよいし、その他の方法で行ってもよい。一軸延伸処理の際の延伸温度は特に限定されないが、PVA系重合体フィルムを温水中で延伸(湿式延伸)する場合は30〜90℃、より好ましくは40〜70℃、さらに好ましくは45〜65℃の範囲内の温度が好ましく採用され、乾熱延伸する場合は50〜180℃の範囲内の温度が好ましく採用される。また、一軸延伸処理の延伸倍率(多段で一軸延伸を行う場合は合計の延伸倍率)は、偏光性能の点から延伸前の長さに基づいて4倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましく、5.5倍以上であることがさらに好ましい。延伸倍率の上限に特に制限はないが、均一な延伸を行うためには8倍以下であることが好ましい。PVA系重合体フィルムの一軸延伸は、延伸ロールを用いるなどして長尺のPVA系重合体フィルムの長さ方向(MD)に連続的に行うのが生産性の観点から好ましい。
一軸延伸後のフィルム(偏光フィルム)の厚みは、3〜75μm、特に5〜50μmであることが、偏光性能、取り扱い性、耐久性などの点から好ましい。
偏光フィルムの製造にあたっては、フィルムへの染料の吸着を強固にするために、固定処理を行うことが多い。固定処理は、ホウ酸および/またはホウ酸化合物を添加した固定処理浴中にフィルム(例えば、一軸延伸処理されたフィルム)を浸漬する方法が一般に広く採用されている。その際に、必要に応じて固定処理浴中にヨウ素化合物を添加してもよい。
一軸延伸処理、または一軸延伸処理と固定処理を行ったフィルムに対して、さらに乾燥処理および/または熱処理を施してもよい。乾燥処理および/または熱処理の温度は30〜150℃、特に50〜140℃の範囲内の温度であることが好ましい。乾燥処理および/または熱処理の温度が低すぎると、得られる偏光フィルムの寸法安定性が低下する傾向があり、一方、高すぎると染料の分解などに伴う偏光性能の低下が発生する傾向がある。
以上のようにして得られる偏光フィルムの両面または片面に、光学的に透明で、かつ機械的強度を有する保護膜を貼り合わせることにより、偏光板を製造することができる。その場合の保護膜としては、三酢酸セルロース(TAC)フィルム、酢酸・酪酸セルロース(CAB)フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィルムなどを使用することができる。また、保護膜を貼り合わせるための接着剤としては、PVA系接着剤やウレタン系接着剤などが一般的に使用されており、そのうちでもPVA系接着剤が好ましく用いられる。
以上のようにして得られた偏光板は、アクリル系などの粘着剤を被覆した後、ガラス基板に貼り合わせて液晶ディスプレイ装置の部品として使用することができる。偏光板をガラス基板に貼り合わせる際に、位相差フィルム、視野角向上フィルム、輝度向上フィルムなどを同時に貼り合わせてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、偏光フィルムの作製および偏光フィルムの偏光性能(コントラスト比)の測定は以下の方法により行った。
(1)偏光フィルムの作製:
PVA系重合体フィルムを予備膨潤、染色、一軸延伸、固定処理および乾燥の順番で処理して、偏光フィルムを作製した。すなわち、PVA系重合体フィルムを30℃の水中に38秒間浸漬して予備膨潤し、ヨウ素/ヨウ化カリウムの質量比が1/100の30℃の水溶液中に1〜5分間浸漬して染色した。続いて、このフィルムをホウ酸濃度3質量%、ヨウ化カリウム濃度3質量%の30℃の水溶液中に浸漬して架橋し、ホウ酸濃度4質量%、ヨウ化カリウム濃度4〜6質量%の60℃の水溶液中で、6.6倍に一軸延伸した。このフィルムをヨウ化カリウム濃度3質量%の30℃の水溶液中に10秒間浸漬して固定処理を行った。その後、フィルムを取り出し、60℃の温風で4分間乾燥し偏光フィルムを作製した。この方法において、染色時間を1分間、2分間および5分間の3水準で変化させ、各実施例または比較例につき、透過率の異なる3種類の偏光フィルムを作製した。
(2)偏光フィルムの偏光性能(コントラスト比)の測定:
通常、偏光性能の評価は、同じ透過率における偏光フィルムの偏光度で優劣をつけて行うことが多いが、本実施例に記載の方法では同じ透過率の偏光フィルムを得ることが難しい。そこで今回、(1)において上記したように、各実施例または比較例につき透過率の異なる3種類の偏光フィルムを作製し、それぞれの偏光フィルムにおける透過率(Y)と偏光度(V)との関係から特定の透過率における偏光度を求め、この偏光度から、液晶ディスプレイの性能評価に広く採用されているコントラスト比を算出して、偏光フィルムの偏光性能を評価した。
すなわち、以下の各実施例または比較例で得られた3種類の偏光フィルムのそれぞれについて、その幅方向の中央部から、長さ方向(MD)に平行に正方形(4cm×4cm)のサンプルを2枚採取し、それぞれのサンプルについて、日立製作所製の分光光度計U−4100(積分球付属)を用いて、JIS Z 8722(物体色の測定方法)に準拠し、C光源、2度視野の可視光領域の視感度補正を行い、偏光フィルムの延伸軸方向に対して45度傾けた場合のY値と−45度傾けた場合のY値を測定し、Y値とY値を平均してそれぞれのサンプルのY値を求めた。そして、2枚のサンプルのY値を合計しそれを2で除して、その偏光フィルムの透過率Y(%)を求めた。
次いで、当該2枚のサンプルを、その配向方向が平行になるように重ねた状態で、上記と同様にして、偏光フィルムの延伸軸方向に対して45度傾けた場合のY値と−45度傾けた場合のY値をそれぞれ測定し、その平均値をとってYとした。また、当該2枚のサンプルを、その配向方向が直交するように重ねた状態で、上記と同様にして、サンプルのうちの一方についての偏光フィルムの延伸軸方向に対して45度傾けた場合のY値と−45度傾けた場合のY値をそれぞれ測定し、その平均をとってYとした。そして、得られたYおよびYから、下記式により、その偏光フィルムの偏光度V(%)を求めた。
V(%) = 100 × {(Y−Y)/(Y+Y)}1/2
上記のようにして得られた3種類の偏光フィルムのそれぞれについての透過率Yおよび偏光度Vとの関係をグラフにプロットし、当該3点の結果から一次近似線を作成し、それから、透過率Yが44.25%における偏光度Vを求め、この偏光度から以下の式によりコントラスト比Cを算出した。
C = (1+(V/100))/(1−(V/100)
[実施例1]
(1)PVA(けん化度99.9モル%、平均重合度2400)100質量部、グリセリン(可塑剤)12質量部、ラウリン酸ジエタノールアミド(界面活性剤)0.1質量部および水217.6質量部を用い、溶融押出機で溶融混合して得られた製膜原液(水分率66質量%)を、図1に例示したのと同様の製膜装置を用いて、その吐出装置(a)からキャスティングドラム(第1乾燥ロール;b)(表面温度83℃、周速9m/分)上に膜状に吐出して流延し、キャスティングドラムの周面上の約1/3の領域において、赤外線照射装置(赤外線ヒーター;c)から27.3J/mのエネルギーを膜に与えて乾燥した。その後、膜をキャスティングドラムから剥離し、次いで、多段式の熱ロール(f)でその膜の表裏両面を交互に乾燥し、厚み75μm、幅3.2m、水分率2質量%のPVA系重合体フィルムを製膜した。
実施例1において、赤外線照射を開始した位置での膜の水分率は54質量%、赤外線照射を終了した位置での膜の水分率は41質量%、キャスティングドラムから剥離した時の膜の水分率は14.0質量%であった。
(2)上記(1)で得られたPVA系重合体フィルムを用いて、上記した方法により偏光フィルムを製造してコントラスト比を求めたところ2548であった。
[実施例2]
(1)実施例1で使用したのと同じ製膜原液および製膜装置を用いて、実施例1と同様にして厚み75μm、幅3.2m、水分率3質量%のPVA系重合体フィルムを製膜した。但し、実施例2においては、キャスティングドラム(第1乾燥ロール;b)の表面温度を99℃とし、その周速を17m/分とした。また、赤外線照射装置(c)から膜に与えるエネルギーは54.6J/mとした。
実施例2において、赤外線照射を開始した位置での膜の水分率は54質量%、赤外線照射を終了した位置での膜の水分率は41質量%、キャスティングドラムから剥離した時の膜の水分率は26.1質量%であった。
(2)上記(1)で得られたPVA系重合体フィルムを用いて、上記した方法により偏光フィルムを製造してコントラスト比を求めたところ2517であった。
[実施例3]
(1)実施例1で使用したのと同じ製膜原液および製膜装置を用いて、実施例1と同様にして厚み75μm、幅3.2m、水分率3質量%のPVA系重合体フィルムを製膜した。但し、実施例3においては、キャスティングドラム(第1乾燥ロール;b)の表面温度を99℃とし、その周速を17m/分とした。また、赤外線照射装置(c)から膜に与えるエネルギーは109.2J/mとした。
実施例3において、赤外線照射を開始した位置での膜の水分率は54質量%、赤外線照射を終了した位置での膜の水分率は41質量%、キャスティングドラムから剥離した時の膜の水分率は25.9質量%であった。
(2)上記(1)で得られたPVA系重合体フィルムを用いて、上記した方法により偏光フィルムを製造してコントラスト比を求めたところ2789であった。
[実施例4]
(1)実施例1で使用したのと同じ製膜原液および製膜装置を用いて、実施例1と同様にして厚み75μm、幅3.2m、水分率3質量%のPVA系重合体フィルムを製膜した。但し、実施例4においては、キャスティングドラム(第1乾燥ロール;b)の表面温度を99℃とし、その周速を17m/分とした。また、赤外線照射装置(c)から膜に与えるエネルギーは218.4J/mとした。
実施例4において、赤外線照射を開始した位置での膜の水分率は54質量%、赤外線照射を終了した位置での膜の水分率は40質量%、キャスティングドラムから剥離した時の膜の水分率は25.6質量%であった。
(2)上記(1)で得られたPVA系重合体フィルムを用いて、上記した方法により偏光フィルムを製造してコントラスト比を求めたところ2668であった。
[実施例5]
(1)実施例1で使用したのと同じ製膜原液および製膜装置を用いて、実施例1と同様にして厚み75μm、幅3.2m、水分率3質量%のPVA系重合体フィルムを製膜した。但し、実施例5においては、キャスティングドラム(第1乾燥ロール;b)の表面温度を99℃とし、その周速を17m/分とした。また、赤外線照射装置(c)から膜に与えるエネルギーは273.4J/mとした。
実施例5において、赤外線照射を開始した位置での膜の水分率は54質量%、赤外線照射を終了した位置での膜の水分率は38質量%、キャスティングドラムから剥離した時の膜の水分率は25.2質量%であった。
(2)上記(1)で得られたPVA系重合体フィルムを用いて、上記した方法により偏光フィルムを製造してコントラスト比を求めたところ2517であった。
[比較例1]
(1)実施例1で使用したのと同じ製膜原液および製膜装置を用いて、実施例1と同様にして厚み75μm、幅3.2m、水分率3質量%のPVA系重合体フィルムを製膜した。但し、比較例1においては、キャスティングドラム(第1乾燥ロール;b)の表面温度を99℃とし、その周速を17m/分とした。また、比較例1において、赤外線の照射は行わなかった。
比較例1において、キャスティングドラムから剥離した時の膜の水分率は26.5質量%であった。
(2)上記(1)で得られたPVA系重合体フィルムを用いて、上記した方法により偏光フィルムを製造してコントラスト比を求めたところ2202であった。
[比較例2]
(1)実施例1で使用したのと同じ製膜原液および製膜装置を用いて、実施例1と同様にして厚み75μm、幅3.2m、水分率3質量%のPVA系重合体フィルムを製膜した。但し、比較例2においては、キャスティングドラム(第1乾燥ロール;b)の表面温度を99℃とし、その周速を17m/分とした。また、赤外線照射装置(c)から膜に与えるエネルギーは109.2J/mとした。なお赤外線照射装置(c)の設置位置は、実施例1と比較して、製膜原液の吐出装置(a)から遠い位置にした。
比較例2において、赤外線照射を開始した位置での膜の水分率は35質量%、赤外線照射を終了した位置での膜の水分率は28質量%、キャスティングドラムから剥離した時の膜の水分率は26.0質量%であった。
(2)上記(1)で得られたPVA系重合体フィルムを用いて、上記した方法により偏光フィルムを製造してコントラスト比を求めたところ2283であった。
[比較例3]
(1)実施例1で使用したのと同じ製膜原液および製膜装置を用いて、実施例1と同様にして厚み75μm、幅3.2m、水分率3質量%のPVA系重合体フィルムを製膜した。但し、比較例3においては、キャスティングドラム(第1乾燥ロール;b)の表面温度を99℃とし、その周速を17m/分とした。また、赤外線照射装置(c)から膜に与えるエネルギーは27.3J/mとした。なお赤外線照射装置(c)の設置位置は、実施例1と比較して、製膜原液の吐出装置(a)に近い位置に変更した。
比較例3において、赤外線照射を開始した位置での膜の水分率は64質量%、赤外線照射を終了した位置での膜の水分率は61質量%、キャスティングドラムから剥離した時の膜の水分率は25.9質量%であった。
(2)上記(1)で得られたPVA系重合体フィルムを用いて、上記した方法により偏光フィルムを製造してコントラスト比を求めたところ2227であった。
[比較例4]
(1)実施例1で使用したのと同じ製膜原液および製膜装置を用いて、実施例1と同様にして厚み75μm、幅3.2m、水分率3質量%のPVA系重合体フィルムを製膜した。但し、比較例4においては、キャスティングドラム(第1乾燥ロール;b)の表面温度を99℃とし、その周速を17m/分とした。また、比較例4において赤外線照射はキャスティングドラムの位置では行わずに多段式の熱ロールにおいて行った。なお、赤外線照射装置(c)から膜に与えるエネルギーは109.2J/mとした。
比較例4において、キャスティングドラムから剥離した時の膜の水分率は26.5質量%、赤外線照射を開始した位置での膜の水分率は10質量%、赤外線照射を終了した位置での膜の水分率は3質量%であった。
(2)上記(1)で得られたPVA系重合体フィルムを用いて、上記した方法により偏光フィルムを製造してコントラスト比を求めたところ2188であった。
本発明の製造方法により製造されるPVA系重合体フィルムを用いて一軸延伸することにより作製した偏光フィルムは、コントラスト比が大きくて高い偏光性能を有することから、当該偏光フィルムは、液晶ディスプレイ装置の部品として好適に用いることができる。
a 吐出装置
b キャスティングドラム(第1乾燥ロール)
c 赤外線照射装置
d 第2乾燥ロール
e 第3乾燥ロール
f 熱ロール

Claims (6)

  1. ポリビニルアルコール系重合体を含む製膜原液を金属支持体上に膜状に流延して乾燥することによりポリビニルアルコール系重合体フィルムを得るポリビニルアルコール系重合体フィルムの製造方法であって、当該金属支持体上にある膜の水分率が40〜60質量%の範囲内にある時に膜の幅方向全体に赤外線を照射することにより膜を乾燥する工程、当該膜を当該金属支持体から剥離する工程、および、剥離された膜を熱ロールによりさらに乾燥する工程を有する、製造方法。
  2. 前記赤外線を照射することにより膜を乾燥する工程において、赤外線により膜に与えられるエネルギーが55〜250J/mの範囲内にある、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記熱ロールにより乾燥する工程において、2つ以上の熱ロールにより膜の表裏両面を交互に乾燥する、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 幅が2m以上のポリビニルアルコール系重合体フィルムの製造方法である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 偏光フィルム製造用原反フィルムの製造方法である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 請求項5に記載の製造方法により製造されたポリビニルアルコール系重合体フィルムを用いて一軸延伸する工程を有する、偏光フィルムの製造方法。
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