JP4149200B2 - 偏光フィルムの製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイ装置の部品として用いられる偏光板の材料として有用な偏光フィルムの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光の透過および遮蔽機能を有する偏光板は、光のスイッチング機能を有する液晶とともに、液晶ディスプレイ装置(LCD)の基本的な構成要素である。このLCDの適用分野も、開発初期の頃の電卓および腕時計などの小型機器から、近年では、ラップトップパソコン、ワープロ、液晶カラープロジェクター、車載用ナビゲーションシステム、液晶テレビ、パーソナルホンおよび屋内外の計測機器などの広範囲に広がり、従来品以上に面積全体での光学性能が均一で大面積の偏光板が求められるようになってきている。
【0003】
偏光板は、一般にポリビニルアルコールフィルム(以下、ポリビニルアルコールを「PVA」、ポリビニルアルコールフィルムを「PVAフィルム」と略記することがある)を一軸延伸して染色するか、または染色して一軸延伸した後、ホウ素化合物で固定処理を行うことにより(染色と固定処理が同時の場合もある)得られた偏光フィルムに、三酢酸セルロース(TAC)フィルムや酢酸・酪酸セルロース(CAB)フィルムなどの保護膜を貼り合わせた構成となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、偏光板には面積全体にわたって光学性能にバラツキがある色斑が存在していることがある。この色斑の発生にはさまざまな原因があり、偏光フィルムに保護膜などを積層した最終製品(偏光板)でないと確認しにくい。この最終製品の段階で色斑が発現すると、品質的には全く問題のない保護膜などの副資材も偏光板と共に不良品として廃棄されるので、大きな損失となる。従来色斑を減少させる方法として、特開平6−138319号公報などで提案されているように、PVAフィルムの厚み斑や複屈折斑を減少させる検討がなされてきた。PVAフィルムの厚み斑や複屈折斑を減少させるという方法により、偏光板の色斑をある程度減少させることができ、当時の要求レベルを満足させることは可能となったが、近年の性能が向上した最終製品(偏光板および液晶ディスプレイ装置)において問題となるようなレベルの色斑を減少させることは困難であることが分かってきた。
【0005】
また、液晶ディスプレイ装置の大型化に伴い大面積の偏光フィルムが要求されるようになってきた。従来の液晶ディスプレイ装置は表示面積が比較的小さいうえに偏光板が単独で用いられていたために、色斑が問題になることはほとんどなかったが、表示面積が大きくなると、表示面積全体の均一性が要求されることや、視野角を補正するフィルムなど他のフィルムと組み合わせて用いられることが多くなってきたことなどのため、色斑の問題が顕在化してきた。特にPVAフィルムをフィルムの流れ方向に一軸に延伸して製造される偏光フィルムの場合には、フィルムの流れ方向にスジ状の色斑が発生しやすい。これはフィルムが幅方向に均一に延伸されていないため、その延伸のバラツキが光学的な色斑として現れて見えるものと考えられる。従来のようにフィルム幅が2m未満のPVAフィルムの延伸を行っていた場合には、幅方向に均一に延伸させることが比較的容易であったが、近年のようにフィルム幅が2m以上のように広がるにつれて均一な延伸が困難となってきた。特にPVAフィルムを湿式法で一軸延伸させた場合に比べて、乾式法で一軸延伸させた場合には、延伸斑によって生じたと思われるスジ状の色斑が顕著である。
色斑は液晶ディスプレイ装置等に組み込んだ場合に輝度斑などの現象を引き起こすため、品質低下の原因となる問題がある。特に画面が大型化するにつれて、流れ方向にスジ状の色斑が存在した場合に、その箇所を避けて製品を採取することが困難となるため、工業的に大きな問題となる。
【0006】
また、偏光板は、これに粘着剤をコートし、液晶ディスプレイ装置の前面ガラスに貼り合わせて使用されることが多いが、液晶ディスプレイ装置の大型化に伴い、偏光フィルムに内在する応力によってカールが発生しやすくなり、大面積の偏光板を均一に貼り合わせることが困難となってきた。カールはフィルムの表裏の応力の大きさに差があるために発生することが多く、偏光フィルムを製造する際の延伸応力が厚み方向で差が大きいことが問題になりやすい。また、この厚み方向に均一な延伸が出来ていないことが原因で前記したような色斑が発生する場合もある。
【0007】
【発明は解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、大型化している液晶ディスプレイの高度な要求性能に応えるべく、色斑が少なくて、偏光板にしたときにカールの程度が小さい偏光フィルムの製造法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明にかかる偏光フィルムの製造法は、厚みが10〜50μm、フィルム幅が2〜3.5mであるポリビニルアルコールフィルムを80〜140℃の延伸ロールを用いて乾式法で延伸することを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の偏光フィルムの製造法において使用されるPVAフィルムは厚みが10〜50μmである。PVAフィルムの厚みが10μmよりも小さいと、延伸時に切断することが多くなり、延伸倍率を上げることが困難となるため好ましくない。PVAフィルムの厚みが50μmよりも大きいと、PVAフィルムが延伸ロールに接触する方の面としない方の面との間に温度差などが出来て延伸状態が異なるため、延伸により得られる偏光フィルムの厚み方向に物性差が出来てカールなどの問題を引き起こすことになり好ましくない。
PVAフィルムの厚みは、好ましくは15〜45μmであり、特に好ましくは20〜40μmである。
【0010】
本発明において使用されるPVAフィルムはフィルム幅が2〜3.5mである。フィルム幅が2mより小さくても、色斑の少ない偏光フィルムが得られるが、フィルム幅が狭いPVAフィルムを延伸した場合には元来色斑が発生しにくいため、色斑の低減効果が判りにくい。フィルム幅が3.5mよりも大きいと、PVAフィルムを幅方向に均一に延伸することが困難となるため色斑の低減効果が小さい。
PVAフィルムのフィルム幅は好ましくは2.3〜3.5mであり、さらに好ましくは2.5〜3.5m、特に好ましくは2.8〜3.5mである。
【0011】
本発明の偏光フィルムの製造法は、特定の厚みと幅を有するポリビニルアルコールフィルムを80〜140℃の延伸ロールを用いて乾式法で延伸することを特徴とする。延伸ロールの設定温度が80℃よりも低いと、ポリビニルアルコールフィルムの延伸応力が高くなりすぎて、幅方向に均一な延伸を行うことが困難となり、色斑が発生する原因となりやすい。延伸ロールの設定温度が140℃よりも高いと、フィルムが軟化して伸びやすくなるが、そのような条件で延伸を行っても、得られる偏光フィルムが良好な偏光性能を発揮しないため好ましくない。延伸ロールの設定温度は好ましくは90〜130℃であり、特に好ましくは100℃〜120℃である。また、ポリビニルアルコールフィルムは延伸ロール上で延伸されることが重要である。
【0012】
本発明においてPVAフィルムを乾式法で延伸するとは、PVAフィルムを空気中で延伸する操作を意味しており、水中もしくはホウ酸水溶液などの水溶液中で、または可塑剤などの溶剤中で行われる延伸法とは区別される。フィルムを乾式法で延伸するには様々の方法があり、例えば、ポリエステルやナイロン等のフィルムで見られるような、フィルム全体を加熱してテンターやロール間で引っ張って延伸する方法や、塩化ビニルフィルムで見られるような、フィルムを圧延しながらフィルムの厚み方向に力を加えて延伸する方法などが知られている。本発明においては、PVAフィルムを、該PVAフィルムの温度に対して充分高い特定の温度に設定した延伸ロールと接触させて、延伸ロールとの接触点だけでPVAフィルムの温度を上げて軟化させ、PVAフィルムの延伸を延伸ロール上でのみ行うことが重要である。そのため、延伸ロールと接触させる前のPVAフィルムの温度と延伸ロールの温度の差は少なくとも10℃以上あることが好ましく、その温度差は15℃以上がより好ましく、20℃以上がさらに好ましく、25℃以上が特に好ましい。温度差が10℃より小さいと、延伸ロールによってフィルムに与えられる張力によって、延伸ロール上以外の箇所において不必要な延伸が発生することがある。
【0013】
本発明において、PVAフィルムは延伸ロールを用いて延伸する前に、50〜70℃の予熱ロールを用いて加熱されていることが好ましい。延伸ロールによる延伸の前にフィルムが予熱されていると、延伸ロールによるフィルムの加熱時にフィルムの厚み方向の温度差が小さくなるため、厚み方向における均一な延伸が容易になる結果、色斑が減少しやすく、偏光板のカールなどの問題も少なくなるため好ましい。予熱ロールの温度が50℃よりも低いと、予熱による効果が小さく、予熱ロールを用いない場合との違いが認められない。予熱ロールの温度が70℃よりも高いと、フィルムが軟化しやすくなり、延伸ロール上以外の箇所において不必要な延伸が発生しやくする。
予熱ロールの温度は55〜70℃であることが好ましく、60〜70℃であることが特に好ましい。
【0014】
本発明において、予熱ロールは延伸ロールに接触しているPVAフィルム面の反対面に設置されていることが好ましい。予熱ロールが延伸ロールに接触しているフィルム面の反対面に設置されていると、延伸ロールによるフィルムの加熱時に、フィルムの厚み方向における温度差が小さくなるため、厚み方向における均一な延伸が容易になる結果、色斑が減少しやすく、偏光板のカールなどの問題も少なくなるため好ましい。
【0015】
本発明において使用されるPVAフィルムは、延伸ロールを用いて延伸する前に、50〜120℃の空気で加熱されていることが好ましい。PVAフィルムが延伸の前に50〜120℃の空気で加熱されていると、延伸ロールによるフィルムの加熱時に厚み方向の温度差が小さくなるため、厚み方向における均一な延伸が容易になる結果、色斑が減少しやすく、偏光板のカールなどの問題も少なくなるため好ましい。
PVAフィルムを予熱ロールを用いて加熱する場合には、PVAフィルムはその予熱ロールによる加熱の前に、空気で加熱される。
【0016】
本発明においてPVAフィルムの延伸は、2段階に分けて1段目で2〜4倍に、2段目で1.5〜3倍にそれぞれ延伸し、フィルムの延伸倍率を最終的に4〜5倍にするのが好ましい。延伸を2段階に分けて行うことにより、厚み方向における均一な延伸が容易となる結果、色斑が減少しやすくなるため、好ましい。また、延伸を2段階に分けて行うことにより、偏光性能が向上するという効果も期待できる。延伸倍率が前記した範囲を外れると、色斑が減少する効果が小さくなる。なお、延伸倍率は、延伸前のPVAフィルムに対する延伸倍率である。
【0017】
PVAフィルムの延伸を2段階に分けて行う場合、延伸ロールに接触するPVAフィルムの面が1段目と2段目で異なっていることが好ましい。1段目の延伸では、延伸ロールに接触する側のフィルム面と空気側のフィルム面で温度や応力などに違いがあるため、延伸状態が厚み方向に差が出来やすくなりカールが発生しやすくなるが、2段目の延伸において、1段目とは異なる面側から延伸ロールに接触するように延伸操作を行えば、厚み方向に差が出にくくなるためカールの発生が少なくなるという効果がもたらされる。
【0018】
本発明において使用されるPVAフィルムは、延伸ロールを用いて延伸する前に、延伸ロールから上流側1m以内にあるフィルムに接触する空気の湿度が50〜95%RHであることが好ましく、これにより延伸ロールによるフィルムの加熱時に厚み方向の水分差が小さくなるため、厚み方向における均一な延伸が容易となる結果、色斑が減少しやすく、偏光板のカールなどの問題も少なくなる。空気の湿度が50%RHより低いと、フィルムからの放湿が大きくて、フィルム中での水分変動が大きくなり、延伸後に色斑の原因となりやすいため好ましくない。空気の湿度が95%RHより大きくてもフィルムへの吸湿が大きくて、フィルム中での水分変動が大きくなり、延伸後に色斑の原因となりやすいため好ましくない。延伸ロールから上流側1m以内にあるフィルムに接触する空気の湿度は60〜90%RHであることがさらに好ましい。
【0019】
本発明において用いられるPVAは、例えば、ビニルエステルを重合して得られたポリビニルエステルをけん化することにより製造される。また、PVAの主鎖に不飽和カルボン酸またはその誘導体、不飽和スルホン酸またはその誘導体、炭素数2〜30のα−オレフィンなどを5モル%未満の割合でグラフト共重合させた変性PVAや、ビニルエステルと不飽和カルボン酸またはその誘導体、不飽和スルホン酸またはその誘導体、炭素数2〜30のα−オレフィンなどを15モル%未満の割合で共重合させた変性ポリビニルエステルをけん化することにより製造される変性PVAや、未変性または変性PVAをホルマリン、ブチルアルデヒド、ベンツアルデヒドなどのアルデヒド類で水酸基の一部を架橋したいわゆるポリビニルアセタール樹脂などを挙げることができる。
【0020】
前記のビニルエステルとしては、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニルなどが例示される。
【0021】
変性PVAに使用されるコモノマーは、主としてPVAの変性を目的に共重合されるもので、本発明の趣旨を損なわない範囲で使用される。このようなコモノマーとして、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのα−オレフィン類;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシルなどのアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシルなどのメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体などのアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導体などのメタクリルアミド誘導体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニルアミド類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル類;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸およびその塩またはそのエステル;イタコン酸およびその塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニルなどを挙げることができる。これらの中でもα−オレフィンが好ましく、特にエチレンが好ましい。変性PVAの変性量は15モル%未満であるのが好ましい。
【0022】
PVAのけん化度は、偏光性能と耐久性の点から95モル%以上が好ましく、98モル%以上がより好ましく、99モル%以上がさらに好ましく、特に99.5モル%以上が最も好ましい。
【0023】
前記PVAのけん化度とは、ポリビニルエステルをけん化した際にビニルアルコール単位に変換されうる単位の中で、実際にビニルアルコール単位にけん化された単位の割合を示したものである。なお、PVAのけん化度は、JIS記載の方法により測定を行った。
【0024】
PVAの重合度は、偏光性能と耐久性の点から500以上が好ましく、1000以上がより好ましく、1500以上がさらに好ましく、特に2500以上が最も好ましい。PVA重合度の上限は8000以下が好ましく、6000以下がより好ましい。
【0025】
前記PVAの重合度は、JIS K 6726に準じて測定される。すなわち、PVAを再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度から求められる。
【0026】
以上のPVAを使用してPVAフィルムを製造する方法として、含水PVAを使用した溶融押出方式による製膜法の他に、例えばPVAを溶剤に溶解したPVA溶液(ポリビニルアルコールフィルムの原液)を使用してキャスト面に流延する流延製膜法、湿式製膜法(貧溶媒中への吐出)、ゲル製膜法(PVA水溶液を一旦冷却ゲル化した後、溶媒を抽出除去し、PVAフィルムを得る方法)、およびこれらの組み合わせによる方法などを採用することができる。これらの中でも流延製膜法および溶融押出製膜法が、良好な偏光フィルムが得られることから好ましい。
【0027】
PVAフィルムを製造する際に使用されるPVAを溶解する溶剤としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、グリセリン、水などを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を使用することができる。これらの中でも、ジメチルスルホキシド、水、またはグリセリンと水の混合溶媒が好適に使用される。
【0028】
PVAフィルムを製造する際に使用されるPVA溶液または含水PVAにおけるPVAの割合は、PVAの重合度によっても変わってくるが、20〜70重量%が好適であり、25〜60重量%がより好適であり、30〜55重量%がさらに好適であり、35〜50重量%が最も好適である。PVAの割合が多いと、粘度が高くなり過ぎて濾過や脱泡が困難となり、異物や欠点のないフィルムを得るのが困難になる。PVAの割合が少ないと、乾燥に多くの時間やエネルギーがかかるため工業的見地から好ましくない。また、このPVA溶液または含水PVAには、必要に応じて可塑剤、界面活性剤、二色性染料などが含有されていてもよい。
【0029】
PVAフィルムを製造する際に、可塑剤として多価アルコールを添加することが好ましい。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパンなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を使用することができる。これらの中でも、延伸性を向上させる効果が優れていることから、ジグリセリン、エチレングリコールおよびグリセリンが好適に使用される。
【0030】
可塑剤の添加量は、PVA100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、3〜25重量部がさらに好ましく、5〜20重量部が最も好ましい。1重量部より少ないと、染色性や延伸性が低下する場合があり、30重量部より多いと、PVAフィルムが柔軟になり過ぎて、取り扱い性が低下する場合がある。
【0031】
PVAフィルムを製造する際には、界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤の種類としては特に限定はないが、アニオン性またはノニオン性の界面活性剤が好ましい。アニオン性界面活性剤としては、たとえば、ラウリン酸カリウムなどのカルボン酸型、オクチルサルフェートなどの硫酸エステル型、ドデシルベンゼンスルホネートなどのスルホン酸型のアニオン性界面活性剤が好適である。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのアルキルエーテル型、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどのアルキルフェニルエーテル型、ポリオキシエチレンラウレートなどのアルキルエステル型、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテルなどのアルキルアミン型、ポリオキシエチレンラウリン酸アミドなどのアルキルアミド型、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルなどのポリプロピレングリコールエーテル型、オレイン酸ジエタノールアミドなどのアルカノールアミド型、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルなどのアリルフェニルエーテル型などのノニオン性界面活性剤が好適である。これらの界面活性剤は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0032】
界面活性剤の添加量は、PVA100重量部に対して0.01〜1重量部が好ましく、0.02〜0.5重量部がさらに好ましく、0.05〜0.3重量部が最も好ましい。0.01重量部より少ないと、界面活性剤の添加によってもたらされるべき製膜性や剥離性の向上効果が発現しにくく、1重量部より多いと、PVAフィルムの表面に界面活性剤が溶出してブロッキングの原因になり、取り扱い性が低下する場合がある。
【0033】
本発明はPVAフィルムを乾式法で一軸延伸することによる偏光フィルムの製造法に関する。この方法を用いて、PVAフィルムから偏光フィルムを製造するには、例えば、PVAフィルムを乾式法による一軸延伸、染色、次いで湿式法による二段目の一軸延伸、固定処理、乾燥処理、さらに必要に応じて熱処理を行えばよく、染色、湿式法による二段目の一軸延伸、固定処理の操作の順番に特に制限はない。また、湿式法による二段目の一軸延伸は二回またはそれ以上の回数行っても良い。
なお、本発明において乾式法による延伸とはPVAフィルムを空気中で延伸する操作のことを指しており、一方、湿式法による延伸とはPVAフィルムを水中やホウ酸水溶液などの水溶液中や可塑剤などの溶剤中で延伸する操作のことを指しており、両者は区別される。
【0034】
PVAフィルムの染色は、一軸延伸の前、一軸延伸時、一軸延伸後のいずれの段階で行っても良い。染色に用いる染料としては、ヨウ素−ヨウ化カリウム;ダイレクトブラック 17、19、154;ダイレクトブラウン 44、106、195、210、223;ダイレクトレッド 2、23、28、31、37、39、79、81、240、242、247;ダイレクトブルー 1、15、22、78、90、98、151、168、202、236、249、270;ダイレクトバイオレット 9、12、51、98;ダイレクトグリーン 1、85;ダイレクトイエロー 8、12、44、86、87;ダイレクトオレンジ 26、39、106、107などの二色性染料などが、1種または2種以上の混合物で使用できる。PVAフィルムの染色は、PVAフィルムを上記染料を含有する溶液中に浸漬させることにより行われるのが一般的であるが、染料をPVAフィルムに混ぜて製膜するなど、その処理方法や処理条件は特に制限されるものではない。
【0035】
二段目の一軸延伸には、PVAフィルムをホウ酸水溶液などの温水溶液中(前記染料を含有する溶液中や後述する固定処理浴中でもよい)で延伸する湿式延伸法、含水後のPVAフィルムを空気中で延伸する乾式延伸法を使用することができる。延伸温度は特に限定されないが、PVAフィルムを温水溶液中などで延伸する場合は30〜90℃が、また空気中で延伸する場合は50〜180℃が好適である。延伸後のフィルムの厚さは、3〜45μmが好ましく、5〜30μmがより好ましい。
【0036】
PVAフィルムへの上記染料の吸着を強固にすることを目的にして、固定処理を行うことが多い。固定処理に使用する処理浴には、通常、ホウ酸および/またはホウ素化合物が添加される。また、必要に応じて処理浴中にヨウ素化合物を添加してもよい。
【0037】
得られた偏光フィルムの乾燥処理(熱処理)は、30〜150℃で行うのが好ましく、50〜150℃で行うのがより好ましい。
【0038】
以上のようにして得られた偏光フィルムは、通常、その両面または片面に、光学的に透明で、かつ機械的強度を有する保護膜を貼り合わせて偏光板として使用される。保護膜としては、三酢酸セルロース(TAC)フィルム、酢酸・酪酸セルロース(CAB)フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィルムなどが使用される。また、貼り合わせに用いられる接着剤としては、PVA系の接着剤やウレタン系の接着剤などを挙げることができるが、なかでもPVA系の接着剤が好適である。このようにして得られる偏光板において、接着剤層の厚みは0.5〜10μmの範囲にあることが好ましい。
【0039】
本発明において、偏光フィルムに保護膜を貼り合わせることにより得られる偏光板は、60℃、90%RHの条件下で24時間放置後のカール度が90度以下であることが好ましい。偏光板のカール度が90度を超えると、液晶ディスプレイ装置の前面ガラス板などに偏光板を貼り合わせる場合に、端部の折れ曲がり等が発生して貼り合わせが困難となることから好ましくない。偏光板のカール度は80度以下であることがさらに好ましく、60度以下であることが特に好ましい。
【0040】
以上のようにして得られた偏光板は、アクリル系等の粘着剤をコートした後、ガラス基板に貼り合わせて液晶ディスプレイ装置の部品として使用される。ガラス基板に偏光板を貼り合わせる際に、位相差フィルム、視野角向上フィルム、輝度向上フィルム等を同時に貼り合わせてもよい。液晶ディスプレイ装置の表示方式には種々のタイプがあり、偏光板の使用方法にも種々のタイプがあるが、通常は液晶の基板を挟む形で偏光フィルムの延伸軸方向を直角方向に向き合うように2枚の偏光板が使用される。本発明の方法により得られる偏光フィルムから得られる偏光板は、色斑等の問題が小さいため、品質要求のより厳しい前面側(液晶ディスプレイ装置の表面側)に使用されることが好ましい。
【0041】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、偏光フィルムの光学性能、ならびに偏光板の色斑およびカール度を以下の方法により評価した。
【0042】
偏光フィルムの光学性能:
約4cm×4cmの偏光フィルムのサンプルを島津製作所製の分光光度計UV−2200(積分球付属)を用い、日本電子機械工業会規格(EIAJ)LD−201−1983に準拠して、C光源、2度視野の可視光領域の視感度補正したY値を測定し、偏光フィルムの延伸軸方向に対して45度と−45度方向の平均値から透過率を求めた。これと同様の方法でパラレルニコルとクロスニコルのY値を測定し、偏光度を求めた。
【0043】
偏光板の色斑:
全幅の偏光板を観察用偏光板(平行に2枚重ねたもの、偏光度99.99%以上)の間に直交方向に置き、色斑の程度を目視観察で判定した。
【0044】
偏光板のカール度:
1m角の偏光板を60℃、90%RHの条件下で24時間放置後に、内側にカールする面を上方に向けて偏光板を水平な台の上に置き、偏光板の端部から1cmの範囲の面の延長線と水平台との成す角度を求めた。
【0045】
実施例1
けん化度99.95モル%、重合度2400のPVA100重量部に、グリセリン10重量部および水170重量部を含浸させたものを溶融混練し、脱泡後、Tダイから金属ロールに溶融押出し、製膜した。その後、乾燥・熱処理して得られたPVAフィルムの厚みは30μm、幅3mであった。
得られたPVAフィルムを乾式法による一軸延伸、予備膨潤、染色、湿式法による一軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順番で連続的に処理して偏光フィルムを作製した。
PVAフィルムを80℃の温風で加熱し、予熱ロールを用いて予熱した後、乾式法による一軸延伸に付した。予熱ロールの温度は60℃であり、乾式法による一軸延伸に用いた延伸ロールの温度は100℃であった。予熱ロールは延伸ロールの上流側でPVAフィルムに接触するように配置されており、その接触する面は延伸ロールの反対側であった。PVAフィルムが延伸ロールに接触する前に通過する空気は温度が90℃、湿度が80%RHに調整されていた。PVAフィルムは延伸ロールの周速とその上流側に配置されている駆動ロールの周速の差によって延伸され、延伸は二段階に分けて行われた。フィルムは一段目で3倍に、2段目でさらに1.5倍に延伸された。一段目の延伸ロールと二段目の延伸ロールはPVAフィルムのそれぞれ反対側でフィルムに接触するように配置されていた。PVAフィルムの延伸はその大部分が、PVAフィルムが加熱ロールに接触している付近で行われており、幅方向の延伸ムラは目視観察では認められなかった。
乾式法による一軸延伸後のPVAフィルムを、30℃の水中に30秒間浸して予備膨潤し、ヨウ素濃度0.6g/リットル、ヨウ化カリウム濃度40g/リットルの35℃の水溶液中に3分間浸した。続いて、ホウ酸濃度4%の50℃の水溶液中で1.5倍に一軸延伸を行い、ヨウ化カリウム濃度60g/リットル、ホウ酸濃度40g/リットル、塩化亜鉛濃度10g/リットルの30℃の水溶液中に5分間浸漬して固定処理を行った。その後、得られたPVAフィルムを取り出して40℃で熱風乾燥し、さらに100℃で5分間熱処理を行った。このようにして得られた偏光フィルムの偏光性能は、透過率43.5%、偏光度99.9%、2色性比56.7であった。
得られた偏光フィルムを10%のPVA水溶液の接着剤を用いて、トリアセテートフィルムと貼り合わせ、偏光板を得た。偏光板の色斑を観察したところ、偏光板の全面にわたって色斑はなく良好であった。偏光板のカール度は30度であった。この偏光板を液晶ディスプレイ装置に組み込んだところ、色斑はなく良好であった。
【0046】
実施例2
実施例1と同様にして得られた幅3m、厚み40μmのPVAフィルムを、乾式法による一軸延伸、予備膨潤、染色、湿式法による一軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順番で連続的に処理して偏光フィルムを作製した。
延伸ロールの温度を110℃にした以外は実施例1と同様にして乾式法による一軸延伸を行った。一軸延伸により得られたPVAフィルムについて目視観察をしたところ、幅方向の延伸ムラは認められなかった。
次いで、該一軸延伸後のPVAフィルムを30℃の水中に30秒間浸して予備膨潤し、ヨウ素濃度0.6g/リットル、ヨウ化カリウム濃度40g/リットルの35℃の水溶液中に3分間浸した。続いて、ホウ酸濃度4%の50℃の水溶液中で1.5倍に一軸延伸を行い、ヨウ化カリウム濃度60g/リットル、ホウ酸濃度40g/リットル、塩化亜鉛濃度10g/リットルの30℃の水溶液中に5分間浸漬して固定処理を行った。その後、得られたPVAフィルムを取り出して40℃で熱風乾燥し、さらに100℃で5分間熱処理を行った。
得られた偏光フィルムを10%のPVA水溶液の接着剤を用いて、トリアセテートフィルムと貼り合わせ、偏光板を得た。偏光板の色斑を観察したところ、偏光板の全面にわたって色斑はなく良好であった。偏光板のカール度は45度であった。この偏光板を液晶ディスプレイ装置に組み込んだところ、色斑はなく良好であった。
【0047】
実施例3
実施例1と同様にして得られた幅3m、厚み30μmのPVAフィルムを、乾式法による一軸延伸、予備膨潤、染色、湿式法による一軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順番で連続的に処理して偏光フィルムを作製した。
一段目の延伸倍率を4.2倍にした以外は実施例1と同様にして乾式法による一軸延伸を行った。一軸延伸により得られたPVAフィルムについて目視観察をしたところ、幅方向の延伸ムラは認められなかった。
次いで、該一軸延伸後のPVAフィルムを30℃の水中に30秒間浸して予備膨潤し、ヨウ素濃度0.6g/リットル、ヨウ化カリウム濃度40g/リットルの35℃の水溶液中に3分間浸した。続いて、ホウ酸濃度4%の50℃の水溶液中で1.5倍に一軸延伸を行い、ヨウ化カリウム濃度60g/リットル、ホウ酸濃度40g/リットル、塩化亜鉛濃度10g/リットルの30℃の水溶液中に5分間浸漬して固定処理を行った。その後、得られたPVAフィルムを取り出し、40℃で熱風乾燥し、さらに100℃で5分間熱処理を行った。
得られた偏光フィルムを10%のPVA水溶液の接着剤を用いて、トリアセテートフィルムと貼り合わせ、偏光板を得た。偏光板の色斑を観察したところ、偏光板の全面にわたって僅かに色斑が認められたが、実用的には問題のないレベルであった。偏光板のカール度は60度であった。この偏光板を液晶ディスプレイ装置に組み込んだところ、色斑はわずかに認識できる程度であり、比較的良好であった。
【0048】
比較例1
実施例1と同様にして得られた幅3m、厚み30μmのPVAフィルムを、乾式法による一軸延伸、予備膨潤、染色、湿式法による一軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順番で連続的に処理して偏光フィルムを作製した。
延伸ロールの温度を70℃にした以外は実施例1と同様にして乾式法による一軸延伸を行った。一軸延伸時に延伸ロール上でフィルムの滑りが見られ、フィルムにシワも発生していたが、フィルムを目視観察したところ幅方向の延伸ムラは認められなかった。
次いで、該一軸延伸後のPVAフィルムを30℃の水中に30秒間浸して予備膨潤し、ヨウ素濃度0.6g/リットル、ヨウ化カリウム濃度40g/リットルの35℃の水溶液中に3分間浸した。続いて、ホウ酸濃度4%の50℃の水溶液中で1.5倍に一軸延伸を行い、ヨウ化カリウム濃度60g/リットル、ホウ酸濃度40g/リットル、塩化亜鉛濃度10g/リットルの30℃の水溶液中に5分間浸漬して固定処理を行った。その後、得られたPVAフィルムを取り出し、40℃で熱風乾燥し、さらに100℃で5分間熱処理を行った。
得られた偏光フィルムを10%のPVA水溶液の接着剤を用いて、トリアセテートフィルムと貼り合わせ、偏光板を得た。偏光板の色斑を観察したところ、偏光板の流れ方向にスジ状の色斑が認められた。偏光板のカール度は120度であった。この偏光板を液晶ディスプレイ装置に組み込んだところ、偏光板で色ムラが認められたのとほぼ同じ位置に色斑が認められ、製品として不合格であった。
【0049】
比較例2
実施例1と同様にして得られた幅3m、厚み30μmのPVAフィルムを、乾式法による一軸延伸、予備膨潤、染色、湿式法による一軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順番で連続的に処理して偏光フィルムを作製した。
延伸ロールの温度を150℃にした以外は実施例1と同様にして乾式法による一軸延伸を行った。一軸延伸時に延伸ロール上でのフィルムの異常は見られず、フィルムを目視観察したところ幅方向の延伸ムラも認められなかった。
次いで、該一軸延伸後のPVAフィルムを30℃の水中に30秒間浸して予備膨潤し、ヨウ素濃度0.6g/リットル、ヨウ化カリウム濃度40g/リットルの35℃の水溶液中に3分間浸した。続いて、ホウ酸濃度4%の50℃の水溶液中で1.5倍に一軸延伸を行い、ヨウ化カリウム濃度60g/リットル、ホウ酸濃度40g/リットル、塩化亜鉛濃度10g/リットルの30℃の水溶液中に5分間浸漬して固定処理を行った。その後、得られたPVAフィルムを取り出し、40℃で熱風乾燥し、さらに100℃で5分間熱処理を行った。
得られた偏光フィルムを10%のPVA水溶液の接着剤を用いて、トリアセテートフィルムと貼り合わせ、偏光板を得た。偏光板の色斑を観察したところ、偏光板の流れ方向にスジ状の色斑が認められた。スジ状の色斑部分は偏光性能が低かった。偏光板のカール度は150度であった。この偏光板を液晶ディスプレイ装置に組み込んだところ、偏光板で色ムラが認められたのとほぼ同じ位置に色斑が認められ、製品として不合格であった。
【0050】
【発明の効果】
本発明の製造法によって得られる偏光フィルムは、色斑が少なくて、偏光板にしたときにカールの程度が小さいことから、偏光板の材料として有用であり、このような偏光板はその優れた性能を活かして、表示画面が大型化している液晶ディスプレイ装置の部品として有効に用いることができる。
Claims (4)
- 厚みが10〜50μm、フィルム幅が2〜3.5mであるポリビニルアルコールフィルムを、50〜120℃の空気で加熱し、50〜70℃の予熱ロールを用いて加熱し、80〜140℃の延伸ロールを用いて乾式法で延伸するにあたり、延伸を2段階に分けて、延伸ロールに接触するポリビニルアルコールフィルムの面が1段目と2段目で異なる状態で、1段目で2〜4倍に、2段目で1.5〜3倍にそれぞれ延伸し、フィルムの延伸倍率を最終的に4〜5倍とし、次いで湿式法で延伸することを特徴とする偏光フィルムの製造法。
- 予熱ロールが、延伸ロールに接触しているポリビニルアルコールフィルム面の反対面に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の偏光フィルムの製造法。
- ポリビニルアルコールフィルムを延伸ロールを用いて乾式法で延伸する際に、延伸ロールと接触させる前のPVAフィルムの温度と延伸ロールとの温度の差が10℃以上あることを特徴とする請求項1または2に記載の偏光フィルムの製造法。
- 延伸ロールから上流側に1m以内にあるポリビニルアルコールフィルムに接触する空気の湿度が50〜95%RHであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光フィルムの製造法。
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