JP3516394B2 - 偏光フィルム用ポリビニルアルコールフィルムの製造法 - Google Patents

偏光フィルム用ポリビニルアルコールフィルムの製造法

Info

Publication number
JP3516394B2
JP3516394B2 JP2000340241A JP2000340241A JP3516394B2 JP 3516394 B2 JP3516394 B2 JP 3516394B2 JP 2000340241 A JP2000340241 A JP 2000340241A JP 2000340241 A JP2000340241 A JP 2000340241A JP 3516394 B2 JP3516394 B2 JP 3516394B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
pva
polyvinyl alcohol
polarizing
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2000340241A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002028942A (ja
Inventor
勉 河合
聡 藤田
徹 実藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP2000340241A priority Critical patent/JP3516394B2/ja
Publication of JP2002028942A publication Critical patent/JP2002028942A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3516394B2 publication Critical patent/JP3516394B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Moulding By Coating Moulds (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、延伸性に優れたフ
ィルムを得ることができ、特に偏光フィルム用のポリビ
ニルアルコールフィルムの製造法として有用で、偏光性
能に優れた偏光フィルムとなり得るポリビニルアルコー
ルフィルムの製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光の透過および遮蔽機能を有する偏光板
は、光のスイッチング機能を有する液晶とともに、液晶
ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。こ
のLCDの適用分野も、初期の頃の電卓および腕時計等
の小型機器から、近年ではラップトップパソコン、ワー
プロ、液晶カラープロジェクター、車載用ナビゲーショ
ンシステム、液晶テレビ等の広範囲に広がり、明るく鮮
明な画面で使用されるようになってきたことから、従来
品以上に大画面における偏光性能の優れた偏光板が求め
られている。
【0003】偏光板は、一般にポリビニルアルコールフ
ィルム(以下、これを「PVAフィルム」と略記し、ま
た、これの原料であるポリビニルアルコールを「PV
A」と略記することがある)を一軸延伸し、染色するこ
とにより製造した偏光フィルムの両面に、三酢酸セルロ
ース(TAC)膜などの保護膜を貼り合わせた構成をし
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】偏光板の偏光性能を向
上させるためには、PVAの重合度やけん化度など、偏
光フィルムの加工工程における薬液処方や延伸方法など
の加工条件が重要であるが、偏光板の素材となるPVA
フィルムの延伸性が最も重要である。PVAフィルムの
延伸性が劣っている場合には偏光性能の向上が得られな
い。
【0005】そこで本発明の目的は、高倍率での延伸が
可能なPVAフィルムを得ることができ、特に偏光フィ
ルム用のPVAフィルムの製造法として有用で、偏光性
能に優れた偏光フィルムとなり得るPVAフィルムの製
造法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の偏光フィルム用PVAフィルムの製造法
は、PVAフィルムを製造する際に、PVAおよびその
PVA100重量部に対して0.01〜1重量部のノニ
オン性界面活性剤を含有する製膜原料をフィルム状に吐
出する際の吐出幅(W1)と、製膜後のフィルム幅(W
2)の収縮度((W1−W2)/W1)0〜0.15
として、幅2m以上の偏光フィルム用PVAフィルムを
製造するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明ではドラム製膜機が好適に用いられるが、
このドラム製膜機とは、例えば1個以上の回転するドラ
ムを用い、これらドラムのうち最上流側に位置する第1
ドラムの周面に、溶液または溶融状態のPVAを含有す
る製膜原料を供給して乾燥し、さらに下流側のドラムの
周面を通過させながら順次乾燥させて、PVAフィルム
を製造するもののことをいう。このドラム製膜機には、
乾燥装置や調湿装置などが付設されたり、フローティン
グ乾燥機が付設される場合もある。ここで、フローティ
ング乾燥機とは、フィルムをドラム上で乾燥させる代わ
りにフィルム下部、上部またはその両方から熱風を吹き
つけ、フィルムを浮遊させた状態で乾燥させる装置をい
う。熱風を吹きつける方法には、特に制限はないが、ノ
ズルまたはスリットを設けて熱風を吹きつけることが好
ましい。風速は5〜80m/分であるのが好ましく、1
0〜50m/分であるのがさらに好ましい。このとき、
乾燥のセクションを幾つかに分離しても差し支えない。
また、浮遊状態はクリップテンター、ピンテンター等フ
ィルム両端部を固定したり、またはフリーにする方法等
があるが、特に制限はない。また、それぞれの駆動には
モータや変速機などが使用されて速度調整される。乾燥
温度は50℃〜150℃が一般的である。また、PVA
フィルムを製造する方法としては、例えばPVAを含有
する製膜原料を使用した押出製膜法やキャスト製膜法な
どが知られている。
【0008】また、PVAフィルムを製造するときは、
PVAを含有する製膜原料をホッパープレート、T−ダ
イ、I−ダイ、リップコーターダイなどで前記第1ドラ
ム上に吐出供給し、このドラム上で水や有機溶剤などの
揮発分を蒸発させて後工程に送り、さらに乾燥および調
湿を行って適切なフィルムに調整して巻き取る。
【0009】以上のようにPVAフィルムを製造する際
には、PVAを含有する製膜原料をフィルム状に吐出す
る際の吐出幅(W1)と、製膜後のフィルム幅(W2)
の収縮度((W1−W2)/W1)を0〜0.15とす
る必要があり、0〜0.13とするのが好ましく、0〜
0.1とするのがより好ましい。この幅の収縮度が小さ
い方が、偏光フィルムを作製する際の延伸性に優れる。
この幅の収縮度が0より小さいか、または0.15より
大きいと、偏光フィルムを作製する際の延伸性に劣り、
偏光性能に優れた偏光フィルムが得られない場合があ
る。
【0010】さらに、幅2m以上の広幅のPVAフィル
ムを製造するときには、以上の範囲内の収縮度とするこ
とが特に重要であり、この収縮度を確保すれば、高倍率
での延伸が可能で偏光性能に優れた偏光フィルムが得ら
れる幅2m以上のPVAフィルムの製造が可能となる。
なお、本発明でいう製膜後のフィルム幅(W2)とは、
乾燥(調湿)工程通過後、巻き取り装置に巻き取られる
際のフィルム幅を示しており、フィルム両端部をトリミ
ングする場合には、フィルム幅は両端部のトリミング幅
と巻き取られる際のフィルム幅の総合計で示す。工程中
のトリミング回数に制限はないので、両端部のトリミン
グ幅とは、トリミングされた幅の合計をいう。
【0011】また、得られるPVAフィルムの厚みは、
20〜150μmが好ましく、30〜120μmがより
好ましい。
【0012】本発明のPVAフィルムを構成するポリビ
ニルアルコール系重合体(PVA)としては、ビニルエ
ステル系モノマーを重合して得られたビニルエステル系
重合体をけん化し、ビニルエステル単位をビニルアルコ
ール単位としたものを用いることができる。該ビニルエ
ステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、ラウ
リン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、
ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル等を挙げる
ことができ、これらのなかでも酢酸ビニルを用いるのが
好ましい。
【0013】ビニルエステル系モノマーを共重合させる
際に、必要に応じて、共重合可能なモノマーを、本発明
の効果を損なわない範囲内(好ましくは15モル%以
下、より好ましくは5モル%以下の割合)で共重合させ
ることもできる。
【0014】このようなビニルエステル系モノマーと共
重合可能なモノマーとしては、例えば、エチレン、プロ
ピレン、1−ブテン、イソブテン等の炭素数3〜30の
オレフィン類;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、ア
クリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリ
ル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2
−エチルへキシル、アクリル酸ドデシルアクリル酸オク
タデシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸およ
びその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、
メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピ
ル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチ
ル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチル
へキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタ
デシル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、
N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミ
ド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアク
リルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸および
その塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよび
その塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導
体等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−
メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミ
ド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその
塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびそ
の塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導
体等のメタクリルアミド誘導体;N−ビニルホルムアミ
ド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等
のN−ビニルアミド類;メチルビニルエーテル、エチル
ビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プ
ロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i
−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、
ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等
のビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル等のニトリル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、
フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル
類;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイ
ン酸およびその塩またはそのエステル;イタコン酸およ
びその塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシラ
ン等のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニル、N−
ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビ
ニルピロリドン等のN−ビニルアミド類を挙げることが
できる。
【0015】前記PVAフィルムを構成するPVAの平
均重合度は、フィルムの強度の点からは500以上が好
ましく、偏光性能の点からは1000以上がより好まし
く、2000以上がさらに好ましく、3500以上が特
に好ましい。一方、PVAの重合度の上限は、フィルム
の製膜性の点から10000以下が好ましい。
【0016】前記PVAの重合度(Po )はJIS K
6726に準じて測定される。すなわち、PVAを再
けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘
度[η](単位:dL/g、Lはリットル)から次式に
より求められる。 Po =([η]×103 /8.29)(1/0.62)
【0017】前記PVAフィルムを構成するPVAのけ
ん化度は、偏光フィルムの耐久性の点からは90モル%
以上が好ましく、95モル%以上がより好ましく、98
モル%以上がさらに好ましい。一方、フィルムの染色性
の点からは99.99モル%以下が好ましい。前記けん
化度とは、けん化によりビニルアルコール単位に変換さ
れ得る単位の中で、実際にビニルアルコール単位にけん
化されている単位の割合を示したものである。なお、P
VAのけん化度は、JIS記載の方法により測定を行っ
た。
【0018】前記PVAフィルムを製造する際には、可
塑剤として多価アルコールを添加することが好ましい。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコー
ル、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレング
リコール、トリエチレングリコール、テトラエチレング
リコール、トリメチロールプロパン等を挙げることがで
き、これらのうち1種または2種以上を使用できる。こ
れらの中でも延伸性の向上効果からエチレングリコール
またはグリセリンが好適に使用される。
【0019】多価アルコールの添加量としては、PVA
100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、3〜
25重量部がより好ましく、5〜20重量部が特に好ま
しい。1重量部より少ないと、染色性や延伸性が低下す
る場合があり、30重量部より多いと、フィルムが柔軟
になりすぎて取り扱い性が低下する場合がある。
【0020】また、前記PVAフィルムを製造する際に
は、界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤
の種類としては、アニオン性またはノニオン性の界面活
性剤が好ましいが、ノニオン性の界面活性剤がより好ま
しい。アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリ
ン酸カリウムなどのカルボン酸型、オクチルサルフェー
トなどの硫酸エステル型、ドデシルベンゼンスルホネー
トなどのスルホン酸型のアニオン性界面活性剤が好適で
ある。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオ
キシエチレンオレイルエーテルなどのアルキルエーテル
型、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなど
のアルキルフェニルエーテル型、ポリオキシエチレンラ
ウレートなどのアルキルエステル型、ポリオキシエチレ
ンラウリルアミノエーテルなどのアルキルアミン型、ポ
リオキシエチレンラウリン酸アミドなどのアルキルアミ
ド型、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテ
ルなどのポリプロピレングリコールエーテル型、オレイ
ン酸ジエタノールアミドなどのアルカノールアミド型、
ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルなどのア
リルフェニルエーテル型などのノニオン性界面活性剤が
好適である。これらの界面活性剤の1種または2種以上
の組み合わせで使用することができる。
【0021】界面活性剤の添加量としては、PVA10
0重量部に対して0.01〜1重量部が好ましく、0.
02〜0.5重量部がより好ましく、0.05〜0.3
重量部が特に好ましい。0.01重量部より少ないと、
延伸性向上や染色性向上の効果が現れにくく、1重量部
より多いと、フィルム表面に溶出してブロッキングの原
因になり、取り扱い性が低下する場合がある。
【0022】前記PVAフィルムを製造する際に使用さ
れるPVAを含有する製膜原料の揮発分率は50〜90
重量%が好ましく、55〜80重量%がより好ましい。
揮発分率が50重量%より小さいと、粘度が高くなるた
め製膜が困難となる場合がある。揮発分率が90重量%
より大きいと、粘度が低くなり過ぎてPVAフィルムの
厚み均一性が損なわれる場合がある。
【0023】本発明のPVAフィルムから偏光フィルム
を製造するには、例えばPVAフィルムを染色、一軸延
伸、固定処理、乾燥処理、さらに必要に応じて熱処理を
行えばよい。各工程の順序は特に限定はなく、また染色
と一軸延伸などの二つの工程を同時に実施しても構わな
い。また、各工程を複数回繰り返しても良い。
【0024】染色は、一軸延伸前、一軸延伸時、一軸延
伸後のいずれでも可能であるが、PVAは一軸延伸によ
り結晶化度が上がりやすく染色性が低下することがある
ため、一軸延伸に先立つ任意の工程または一軸延伸工程
中において染色するのが好ましい。
【0025】染色に用いる染料としては、ヨウ素−ヨウ
化カリウムまたはDirect black 17、19、154 ;Direct
brown 44 、106 、195 、210 、223 ;Direct red 2、2
3、28、31、37、39、79、81、240 、242 、247 ;Direc
t blue 1 、15、22、78、90、98、151 、168 、202 、2
36 、249 、270 ;Direct violet 9 、12、51、98;Dir
ect green 1、85;Direct yellow 8 、12、44、86、8
7;Direct orange 26、39、106 、107 等の二色性染料
などが使用できる。染色は、通常PVAフィルムを上記
染料を含有する溶液中に浸漬させることにより行うこと
ができるが、その処理条件や処理方法は特に制限される
ものではない。
【0026】前記PVAフィルムの長さ方向に行う一軸
延伸は、湿式延伸法または乾熱延伸法が使用でき、温水
中(前記染料を含有する溶液や後記固定処理浴中でもよ
い)または吸水後のPVAフィルムを用いて空気中で行
っても良い。延伸はPVAフィルムが切断する少し手前
まで、できるだけ延伸することが好ましく、具体的には
4倍以上が好ましく、5倍以上が特に好ましい。延伸倍
率が4倍より小さいと、実用的に十分な偏光性能や耐久
性能が得られにくい。延伸温度は特に限定されないが、
PVAフィルムを温水中で延伸(湿式延伸)する場合は
30〜90℃が、また乾熱延伸する場合は50〜180
℃が好適である。延伸後のPVAフィルムの厚みは、3
〜75μmが好ましく、10〜50μmがより好まし
い。
【0027】前記PVAフィルムへの上記染料の吸着を
強固にすることを目的に、固定処理を行う。固定処理に
使用する処理浴には、通常、ホウ酸およびホウ素化合物
が添加される。また、必要に応じて処理浴中にヨウ素化
合物を添加しても良い。
【0028】PVAフィルムの乾燥処理(熱処理)は3
0〜150℃で行うのが好ましく、50〜150℃で行
うのがより好ましい。
【0029】以上のようにして得られた偏光フィルム
は、通常、その両面または片面に、光学的に透明で、か
つ機械的強度を有した保護膜を貼り合わせて偏光板とし
て使用される。保護膜としては、通常、セルロースアセ
テート系フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル
系フィルム等が使用される。
【0030】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものでは
ない。実施例、比較例に記載されている偏光フィルムの
作製は以下の方法で実施し、二色性比は以下の方法によ
り測定した。
【0031】偏光フィルムの作製方法:PVAフィルム
を予備膨潤、染色、洗浄、一軸延伸、固定処理、乾燥、
熱処理の順に処理して偏光フィルムを作製した。すなわ
ち、PVAフィルムを30℃の水中に1分間浸漬させて
予備膨潤し、ヨウ素/ヨウ化カリウムの重量比を1/1
0に固定し、偏光フィルムの透過率が43〜44%にな
るようにヨウ素濃度30〜50g/Lの範囲で適宣選択
した30℃のホウ酸4重量%の水溶液中に4分間浸漬さ
せ、30℃の水中で0.5分浸漬させて洗浄し、ホウ酸
4重量%の50℃の水溶液中でPVAフィルムの延伸倍
率が可能な限り高くなるように(PVAフィルムが切断
する少し手前まで)一軸延伸を行った。続いて、ヨウ化
カリウム40g/L、ホウ酸40g/Lの40℃の水溶
液中に5分間浸漬させて固定処理を行った。この後PV
Aフィルムを取り出し、定長下、40℃で熱風乾燥し、
さらに100℃で3分間熱処理を行った。
【0032】二色性比:得られた偏光フィルムの偏光性
能を評価する指数として二色性比を使用した。この二色
性比は、日本電子機械工業会規格(EIAJ)LD−2
01−1983に準拠し、分光光度計を用いて、C光
源、2度視野にて測定、計算して得られた透過率TS
(%)と偏光度P(%)を使用して下記の式から求め
た。 二色性比=log(TS /100−TS /100×P/
100)/log(TS /100+TS /100×P/
100)
【0033】実施例1 けん化度99.9モル%で重合度2400のPVA10
0重量部、グリセリン13重量部、パルミチン酸ジエタ
ノールアミド0.1重量部および水からなる揮発分率6
8重量%の製膜原料をTダイを使用してドラム製膜機の
第1ドラムに吐出して製膜し、平均厚さ75μmのPV
Aフィルムを得た。このとき、Tダイから製膜原料を吐
出する幅(W1)は3000mmで、製膜後のフィルム
幅(W2)は2820mmであり、収縮度((W1−W
2)/W1)は0.06であった。
【0034】このPVAフィルムを使用して偏光フィル
ムに加工したところ、延伸倍率は5.4倍であり、得ら
れた偏光フィルムの厚みは27μm、偏光フィルムの透
過率は43.5%、偏光度は99.5%、二色性比は4
3.2であった。
【0035】実施例2 けん化度99.9モル%で重合度4000のPVA10
0重量部、グリセリン8重量部、ラウリン酸ジエタノー
ルアミド0.1重量部および水からなる揮発分率82重
量%の製膜原料をTダイを使用してドラム製膜機の第1
ドラムに吐出して製膜し、平均厚さ73μmのPVAフ
ィルムを得た。このとき、Tダイから製膜原料を吐出す
る幅(W1)は3800mmで製膜後のフィルム幅(W
2)は3306mmであり、収縮度は0.13であっ
た。
【0036】このPVAフィルムを使用して偏光フィル
ムに加工したところ、延伸倍率は5.2倍であり、得ら
れた偏光フィルムの厚みは26μm、偏光フィルムの透
過率は43.1%、偏光度は99.6%、二色性比は4
3.2であった。
【0037】実施例3 けん化度99.9モル%で重合度1700のPVA10
0重量部、グリセリン10重量部、ラウリン酸ジエタノ
ールアミド0.1重量部および水からなる揮発分率60
重量%の製膜原料をTダイを使用してドラム製膜機の第
1ドラムに吐出して製膜し、平均厚さ74μmのPVA
フィルムを得た。このとき、Tダイから製膜原料を吐出
する幅(W1)は3000mmで製膜後のフィルム幅
(W2)は2730mmであり、収縮度は0.09であ
った。
【0038】このPVAフィルムを使用して偏光フィル
ムに加工したところ、延伸倍率は5.8倍であり、得ら
れた偏光フィルムの厚みは25μm、偏光フィルムの透
過率は43.3%、偏光度は99.2%、二色性比は3
8.3であった。
【0039】比較例1 けん化度99.9モル%で重合度2400のPVA10
0重量部、グリセリン10重量部、パルミチン酸ジエタ
ノールアミド0.1重量部および水からなる揮発分率7
3重量%の製膜原料をTダイを使用してドラム製膜機の
第1ドラムに吐出して製膜し、平均厚さ74μmのPV
Aフィルムを得た。このとき、Tダイから製膜原料を吐
出する幅(W1)は3000mmで製膜後のフィルム幅
(W2)は2490mmであり、収縮度は0.17であ
った。
【0040】このPVAフィルムを使用して偏光フィル
ムに加工したところ、延伸倍率は4.2倍であり、得ら
れた偏光フィルムの厚みは30μm、偏光フィルムの透
過率は43.0%、偏光度は99.0%、二色性比は3
5.0であった。
【0041】比較例2 けん化度99.9モル%で重合度1700のPVA10
0重量部、グリセリン13重量部、ラウリン酸ジエタノ
ールアミド0.1重量部および水からなる揮発分率66
重量%の製膜原料をTダイを使用してドラム製膜機の第
1ドラムに吐出して製膜し、平均厚さ50μmのPVA
フィルムを得た。このとき、Tダイから製膜原料を吐出
する幅(W1)は3800mmで製膜後のフィルム幅
(W2)は3192mmであり、収縮度は0.16であ
った。
【0042】このPVAフィルムを使用して偏光フィル
ムに加工したところ、延伸倍率は3.5倍であり、得ら
れた偏光フィルムの厚みは20μm、偏光フィルムの透
過率は43.3%、偏光度は97.0%、二色性比は2
7.3であった。
【0043】以上の各実施例および比較例から明らかな
ように、W1とW2の収縮度(W1−W2)/W1が
0.15より大きいと、得られるPVAフィルムの延伸
性が悪くなり、PVAフィルムから偏光フィルムに加工
したときの偏光性能(二色性比)も悪くなる。このこと
から、偏光フィルムの製造素材として有用で、偏光性能
に優れた偏光フィルムとなる延伸性に優れたPVAフィ
ルムを製造するためには、前記収縮度を0〜0.15に
する必要のあることが理解できる。
【0044】以上においては、偏光フィルム用のPVA
フィルムを製造する場合について説明したが、本発明の
PVAフィルム製造法は、偏光フィルム用PVAフィル
ム以外の用途に使用されるPVAフィルムの製造にも適
用できる。
【0045】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、延伸性
に優れたPVAフィルムを得ることができ、特に偏光フ
ィルム用のPVAフィルムの製造法として利用した場合
には、偏光性能に優れた偏光フィルムとなり得るPVA
フィルムを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 7:00 B29L 7:00 C08L 29:04 C08L 29:04 (56)参考文献 特開 平6−138319(JP,A) 特開 昭54−76171(JP,A) 特公 昭38−23037(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 41/26 C08J 5/18 G02B 5/30 G02F 1/1335 510 B29K 29:00 B29L 7:00 C08L 29:04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリビニルアルコールフィルムを製造す
    る際に、ポリビニルアルコールおよびそのポリビニルア
    ルコール100重量部に対して0.01〜1重量部のノ
    ニオン性界面活性剤を含有する製膜原料をフィルム状に
    吐出する際の吐出幅(W1)と、製膜後のフィルム幅
    (W2)の収縮度((W1−W2)/W1)0〜0.
    15として、幅2m以上の偏光フィルム用ポリビニルア
    ルコールフィルムを製造することを特徴とする偏光フィ
    ルム用ポリビニルアルコールフィルムの製造法。
  2. 【請求項2】 製膜原料の揮発分率が50〜90重量%
    である請求項1に記載の偏光フィルム用ポリビニルアル
    コールフィルムの製造法。
  3. 【請求項3】 製膜原料をフィルム状に吐出する際の吐
    出幅(W1)と、製膜後のフィルム幅(W2)の収縮度
    ((W1−W2)/W1)を0〜0.13である請求項
    1または2に記載の偏光フィルム用ポリビニルアルコー
    ルフィルムの製造法。
  4. 【請求項4】 ポリビニルアルコールの平均重合度が2
    000以上である請求項1から3のいずれか1項に記載
    の偏光フィルム用ポリビニルアルコールフィルムの製造
    法。
JP2000340241A 2000-05-12 2000-11-08 偏光フィルム用ポリビニルアルコールフィルムの製造法 Expired - Lifetime JP3516394B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000340241A JP3516394B2 (ja) 2000-05-12 2000-11-08 偏光フィルム用ポリビニルアルコールフィルムの製造法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000140021 2000-05-12
JP2000-140021 2000-05-12
JP2000340241A JP3516394B2 (ja) 2000-05-12 2000-11-08 偏光フィルム用ポリビニルアルコールフィルムの製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002028942A JP2002028942A (ja) 2002-01-29
JP3516394B2 true JP3516394B2 (ja) 2004-04-05

Family

ID=26591767

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000340241A Expired - Lifetime JP3516394B2 (ja) 2000-05-12 2000-11-08 偏光フィルム用ポリビニルアルコールフィルムの製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3516394B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5348823B2 (ja) * 2004-11-02 2013-11-20 日本合成化学工業株式会社 偏光膜用ポリビニルアルコール系フィルム、偏光膜、および偏光板
CN101792535B (zh) * 2004-11-02 2012-02-22 日本合成化学工业株式会社 聚乙烯醇膜及其生产方法
KR100962543B1 (ko) 2008-06-20 2010-06-14 동아대학교 산학협력단 용액상태에서 요오드화시킨 폴리비닐알코올계 수지를이용한 편광필름의 제조방법
JP5911219B2 (ja) * 2010-08-27 2016-04-27 日本合成化学工業株式会社 ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、ポリビニルアルコール系フィルム、偏光フィルム及び偏光板
TW201927887A (zh) * 2017-12-27 2019-07-16 日商三菱化學股份有限公司 偏光膜製造用聚乙烯醇系薄膜、及使用此薄膜獲得之偏光膜、以及聚乙烯醇系樹脂水溶液

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002028942A (ja) 2002-01-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR20090074710A (ko) 폴리비닐알코올계 중합체 필름 및 편광필름
JP3422759B2 (ja) ポリビニルアルコール系重合体フィルムとその製造法および偏光フィルム
JP3480920B2 (ja) ポリビニルアルコールフィルムの製造法
JP3473839B2 (ja) 偏光フィルム用ポリビニルアルコールフィルムの製造法
JP3476135B2 (ja) 偏光フィルム用ポリビニルアルコールフィルムの製造法
JP4573404B2 (ja) 偏光フィルムの製造方法
JP3514386B2 (ja) ポリビニルアルコール系重合体フィルムとその製造法
JP4592147B2 (ja) ポリビニルアルコールフィルムおよび偏光フィルム
JP3496825B2 (ja) ポリビニルアルコール系重合体フィルムの製造法
JP3448011B2 (ja) 偏光フィルムの製造法
JP3478534B2 (ja) ポリビニルアルコールフィルムおよび偏光フィルム
JP3478533B2 (ja) ポリビニルアルコール系重合体フィルムの製造法
JP7165724B2 (ja) ポリビニルアルコールフィルム及びそれを用いた偏光フィルムの製造方法
JP2001311828A (ja) 偏光フィルム用ポリビニルアルコールフィルムとその製造法および偏光フィルム
JP3516394B2 (ja) 偏光フィルム用ポリビニルアルコールフィルムの製造法
JP3476137B2 (ja) ポリビニルアルコール系重合体フィルムの製造法
JP3478536B2 (ja) ポリビニルアルコール系フィルムおよび偏光フィルム
JP3476136B2 (ja) ポリビニルアルコールフィルムの製造法
JP4646356B2 (ja) ポリビニルアルコールフィルムの製造法
JP3473838B2 (ja) ポリビニルアルコールフィルムの製造法
JP3796198B2 (ja) 偏光フィルムの製造法
JP2001315140A (ja) ポリビニルアルコール系重合体フィルムとその製造法および偏光フィルム
JP2002028971A (ja) 延伸フィルムの製造法
JP3478535B2 (ja) ポリビニルアルコール系フィルムおよび偏光フィルム
JP7199445B2 (ja) ポリビニルアルコールフィルム及びそれを用いた偏光フィルムの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040113

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040116

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3516394

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080130

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090130

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090130

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100130

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110130

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110130

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120130

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130130

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130130

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140130

Year of fee payment: 10

EXPY Cancellation because of completion of term