JP3478533B2 - ポリビニルアルコール系重合体フィルムの製造法 - Google Patents

ポリビニルアルコール系重合体フィルムの製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏光性能に優れる
偏光フィルムの製造原料として有用であり、高倍率の延
伸が可能なポリビニルアルコール系重合体フィルムの製
造法に関する。
【0002】
【従来の技術】光の透過および遮蔽機能を有する偏光板
は、光のスイッチング機能を有する液晶とともに、液晶
ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。こ
のLCDの適用分野も、初期の頃の電卓および腕時計等
の小型機器から、ラップトップパソコン、ワープロ、液
晶カラープロジェクター、車載用ナビゲーションシステ
ム、液晶テレビ等の広範囲に広がり、明るく鮮明な画面
で使用されるようになってきたことから、従来品以上に
偏光性能の優れた偏光板が求められている。
【0003】偏光板は、一般に、ポリビニルアルコール
フィルム(以下、ポリビニルアルコール系重合体を「P
VA」、ポリビニルアルコール(系重合体)フィルムを
「PVAフィルム」と略記することがある)を一軸延伸
し、染色することにより製造した偏光フィルムの両面
に、三酢酸セルロース(TAC)フィルムなどの支持板
を貼り合わせた構成となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、偏光性能の
向上のためには、PVAの重合度やけん化度など、 偏光
フィルムの加工工程における薬液処方や延伸方法などの
加工条件が重要であるが、偏光板のベースとなるPVA
フィルムの延伸性も重要である。PVAフィルムの延伸
性が低い場合には、偏光性能の向上が得られない。
【0005】そこで、本発明の目的は、偏光フィルムの
製造原料として有用な、延伸性に優れたPVAフィルム
の製造法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意研究した結果、ドラム製膜機を用い
てPVAフィルムを製造するに際し、PVAフィルムの
揮発分率が10重量%以下となる時点の工程速度と最終
巻き取り速度の速度比を、特定の範囲内とすることで延
伸性に優れ、偏光性能の優れた偏光フィルムを製造する
ことができるPVAフィルムが得られることを見出し、
本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明にかかる製造法は、ドラ
ム製膜機を用いてポリビニルアルコール系重合体および
そのポリビニルアルコール系重合体100重量部に対し
て0.01〜1重量部のアニオン性またはノニオン性の
界面活性剤を含有する製膜原料からポリビニルアルコー
ル系重合体フィルムを製造する偏光フィルム用ポリビニ
ルアルコール系重合体フィルムの製造法であって、乾燥
工程において、PVAフィルムの揮発分率が10重量%
以下となる時点の工程速度Rc と最終巻き取り速度Rf
の速度比(Rf /Rc )を、0.9〜1.1にする。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のドラム製膜に用いられる
製膜機とは、通常、1個以上の回転する金属の乾燥ドラ
ム、乾燥装置、調湿装置および巻き取り装置から構成さ
れる。また、それぞれの装置の駆動にはモータや変速機
などが使用され速度調整される。 乾燥温度は50℃〜1
50℃が一般的である。PVAフィルムを製造する方法
としては、例えば、PVAを含有する製膜原料を使用し
た、キャスト製膜法、溶融押出製膜法などが知られてい
る。
【0009】図1は本発明のPVAフィルムの製造法の
一例であり、PVAを含有する製膜原料を加熱したドラ
ム上に均一に吐出し、製膜するドラム型製膜機を示して
いる。この製膜機は、T形スリットダイ1から製膜原料
2を、回転する直径1m〜5mの金属製の乾燥用第1ド
ラム3の表面上に吐出して含有されている水分や有機溶
剤等の揮発分を蒸発させ、剥離したPVAフィルム6
を、次段の乾燥装置4で乾燥/調湿したのち、剥離ロー
ル5を経て巻き取り装置10で巻き取っている。
【0010】乾燥用第1ドラム3の表面を構成する金属
材料としては、例えばニッケル、クロム、銅およびステ
ンレススチール等があるが、ドラム表面が腐蝕しにく
く、鏡面光沢であるドラム表面が得られる金属材料が好
ましい。また、ドラムの耐久性を高めるために、乾燥用
第1ドラム3の表面に、ニッケル層、クロム層もしくは
ニッケル/クロム合金層を単層または2層以上組み合わ
せてメッキするのが好ましい。
【0011】PVAフィルムを構成するPVAとして
は、ビニルエステル系モノマーを重合して得られたビニ
ルエステル系重合体をけん化し、ビニルエステル単位を
ビニルアルコール単位としたものを用いることができ
る。前記ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、
ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリ
ン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、
安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸
ビニル等を挙げることができ、これらのなかでも酢酸ビ
ニルを用いるのが好ましい。
【0012】ビニルエステル系モノマーを共重合させる
際に、必要に応じて、共重合可能なモノマーを、本発明
の効果を損なわない範囲内(好ましくは15モル%以
下、より好ましくは5モル%以下の割合)で共重合させ
ることもできる。
【0013】このようなビニルエステル系モノマーと共
重合可能なモノマーとしては、例えば、エチレン、プロ
ピレン、1−ブテン、イソブテン等の炭素数3〜30の
オレフィン類;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、ア
クリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリ
ル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2
−エチルへキシル、アクリル酸ドデシルアクリル酸オク
タデシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸およ
びその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、
メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピ
ル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチ
ル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチル
へキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタ
デシル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、
N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミ
ド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアク
リルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸および
その塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよび
その塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導
体等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−
メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミ
ド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその
塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびそ
の塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導
体等のメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテ
ル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテ
ル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエ
ーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニル
エーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニル
エーテル等のビニルエーテル類;アクリロニトリル、メ
タクリロニトリル等のニトリル類;塩化ビニル、塩化ビ
ニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲ
ン化ビニル類;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合
物;マレイン酸およびその塩またはそのエステル;イタ
コン酸およびその塩またはそのエステル;ビニルトリメ
トキシシラン等のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペ
ニル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミ
ド、N−ビニルピロリドン等のN−ビニルアミド類を挙
げることができる。
【0014】PVAフィルムを構成するPVAの平均重
合度は、フィルムの強度の点から500以上が好まし
く、偏光性能の点から1000以上がより好ましく、2
000以上がさらに好ましく、3500以上が特に好ま
しい。一方、PVAの重合度の上限は、フィルムの製膜
性の点から10000以下が好ましい。なお、PVAの
重合度(P)はJIS−K6726に準じて測定され
る。すなわちPVAを再けん化し、精製した後、30℃
の水中で測定した極限粘度[η](単位:dL/g、L
はリットル)から次式により求められる。 P=([η]×103 /8.29)(1/0.62)
【0015】PVAフィルムを構成するPVAのけん化
度は、偏光フィルムの耐久性の点から90モル%以上が
好ましく、95モル%以上がより好ましく、98モル%
以上がさらに好ましい。一方、フィルムの染色性の点か
ら99.99モル%以下が好ましい。
【0016】前記けん化度とは、けん化によりビニルア
ルコール単位に変換されうる単位の中で、実際にビニル
アルコール単位にけん化されている単位の割合を示した
ものである。なお、PVAのけん化度は、JIS記載の
方法により測定を行った。
【0017】PVAフィルムを製造する際に、可塑剤と
して多価アルコールを添加することが好ましい。多価ア
ルコールとしては、例えば、エチレングリコール、グリ
セリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ル、トリメチロールプロパン等を挙げることができ、こ
れらのうち1種または2種以上を使用することができ
る。これらの中でも延伸性向上効果から、エチレングリ
コールまたはグリセリンが好適に使用される。
【0018】多価アルコールの添加量としては、PVA
100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、3〜
25重量部がさらに好ましく、5〜20重量部が特に好
ましい。1重量部より少ないと染色性や延伸性が低下す
る場合があり、30重量部より多いとフィルムが柔軟に
なりすぎて取り扱い性が低下する場合がある。
【0019】PVAフィルムを製造する際に、アニオン
性またはノニオン性の界面活性剤を添加する。アニオン
性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸カリウムな
どのカルボン酸型、オクチルサルフェートなどの硫酸エ
ステル型、ドデシルベンゼンスルホネートなどのスルホ
ン酸型のアニオン性界面活性剤が好適である。ノニオン
性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオ
レイルエーテルなどのアルキルエーテル型、ポリオキシ
エチレンオクチルフェニルエーテルなどのアルキルフェ
ニルエーテル型、ポリオキシエチレンラウレートなどの
アルキルエステル型、ポリオキシエチレンラウリルアミ
ノエーテルなどのアルキルアミン型、ポリオキシエチレ
ンラウリン酸アミドなどのアルキルアミド型、ポリオキ
シエチレンポリオキシプロピレンエーテルなどのポリプ
ロピレングリコールエーテル型、オレイン酸ジエタノー
ルアミドなどのアルカノールアミド型、ポリオキシアル
キレンアリルフェニルエーテルなどのアリルフェニルエ
ーテル型などのノニオン性界面活性剤が好適である。こ
れらの界面活性剤の1種または2種以上の組み合わせで
使用することができる。
【0020】界面活性剤の添加量は、PVA100重量
部に対して0.01〜1重量部とするが、0.02〜
0.5重量部がさらに好ましく、0.05〜0.3重量
部が特に好ましい。0.01重量部より少ないと延伸性
向上や染色性向上の効果が現れにくく、1重量部より多
いとフィルム表面に溶出してブロッキングの原因にな
り、取り扱い性が低下する場合がある。
【0021】PVAフィルムを製造する際に使用される
PVAを含有する製膜原料の揮発分率は、50〜90重
量%が好ましく、55〜80重量%がさらに好ましい。
揮発分率が50重量%より小さいと粘度が高くなるた
め、製膜が困難となる場合がある。揮発分率が90重量
%より大きいと粘度が低くなり、フィルムの厚み均一性
が損なわれる場合がある。
【0022】本発明に言うPVAフィルム6の揮発分率
が10重量%以下となる時点の工程速度Rc とは、揮発
分率が50〜90重量%のPVAを含有する製膜原料が
乾燥第1ドラム3の面上に吐出され、後工程の乾燥/調
湿工程で、徐々にPVAフィルム6の揮発分率が減少
し、揮発分率が10重量%以下となる時点の工程の速度
である。したがって、この時の速度比とは、最終的に巻
取り装置10で巻き取られる速度Rf と、PVAフィル
ム6の揮発分率が10重量%以下となる時点の工程速度
Rc との比(Rf /Rc )であり、この速度比が、この
PVAフィルム6を用いて製造される偏光フィルムの品
質を左右する重要な因子である。
【0023】速度比(Rf /Rc )は、0.9〜1.1
とすることが必要であり、0.9〜1.05であること
が好ましい。速度比は小さい方が偏光フィルムに加工す
る際の延伸倍率を大きくすることが可能であるが、0.
9より小さい場合は、第2乾燥ロール4-2から巻取り装
置10までの間でPVAフィルム6がたるみ、シワが発
生したり、フィルムがロールに巻き付いて切断したりす
る。また、速度比が1.1をこえる場合は、偏光フィル
ムに加工する際に、目的とする4倍以上の延伸倍率が得
られない。
【0024】また、乾燥速度を制御する上で、前記各工
程の速度および温度をコントロールすることが好まし
く、PVAフィルム6を乾燥させる温度は、50〜15
0℃に設定することが好ましい。
【0025】また、PVAフィルムの厚みは20〜15
0μmが好ましく、40〜120μmがより好ましい。
【0026】本発明のPVAフィルム6から、偏光フィ
ルムを製造するには、例えば、PVAフィルム6を染
色、一軸延伸、固定処理、および乾燥処理、さらに必要
に応じて熱処理を行えばよい。各工程の順序は特に限定
はなく、また染色と一軸延伸などの二つの工程を同時に
実施してもよく、また、各工程を複数回繰り返しても良
い。
【0027】前記染色は、一軸延伸の前、一軸延伸と同
時、一軸延伸後のいずれでも可能であるが、PVAは一
軸延伸により結晶化度が上がりやすく染色性が低下する
ことがあるため、一軸延伸に先立つ任意の工程または一
軸延伸工程中において染色するのが好ましい。染色に用
いる染料としては、ヨウ素−ヨウ化カリウムまたはDire
ct black 17 、19、154 ;Direct brown 44 、106 、19
5 、210 、223 ;Direct red 2、23、28、31、37、39、
79、81、240 、242 、247 ;Direct blue 1 、15、22、
78、90、98、151 、168 、202 、236 、249 、270 ;Di
rect violet 9、12、51、98;Direct green 1、85;Dir
ect yellow 8 、12、44、86、87;Direct orange 26、3
9、106 、107 等の二色性染料などが使用できる。染色
は、通常PVAフィルムを上記染料を含有する溶液中に
浸漬させることにより行うことができるが、その処理条
件や処理方法は特に制限されるものではない。
【0028】前記一軸延伸は、湿式延伸法または乾熱延
伸法が使用でき、温水中(前記染料を含有する溶液や後
記固定処理浴中でもよい)または吸水後のPVAフィル
ムを用いて空気中で行うことができる。延伸はPVAフ
ィルムが切断する少し手前まで、できるだけ延伸するこ
とが好ましく、 具体的には4倍以上が好ましく、5倍以
上が特に好ましい。延伸倍率が4倍より小さいと、実用
的に十分な偏光性能や耐久性能が得られにくい。延伸温
度は特に限定されないが、PVAフィルムを温水中で延
伸(湿式延伸)する場合は30〜90℃が、また乾熱延
伸する場合は50〜180℃が好適である。延伸後のP
VAフィルムの厚みは、3〜75μmが好ましく、10
〜50μmがより好ましい。
【0029】PVAフィルムへの上記染料の吸着を強固
にすることを目的に、固定処理を行う。固定処理に使用
する処理浴には、通常、ホウ酸および/またはホウ素化
合物が添加される。また、必要に応じて処理浴中にヨウ
素化合物を添加してもよい。
【0030】以上の処理工程を経て製造された偏光フィ
ルムの乾燥処理(熱処理)は、30〜150℃で行うの
が好ましく、50〜150℃で行うのがより好ましい。
【0031】以上のようにして本発明の製造法で得られ
たPVAフィルムは、通常、その両面または片面に、光
学的に透明で、かつ機械的強度を有した保護フィルムを
貼り合わせて偏光板として使用される。保護フィルムと
しては、通常、セルロースアセテート系フィルム、アク
リル系フィルム、ポリエステル系フィルム等が使用され
る。
【0032】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものでは
ない。なお、実施例中の偏光フィルムの作製方法、 二色
性比、およびPVAフィルムの揮発分率の測定は、以下
の方法により評価した。
【0033】偏光フィルムの作製方法;PVAフィルム
を、予備膨潤、染色、洗浄、一軸延伸、固定処理、乾
燥、熱処理の順に処理して偏光フィルムを作製する。す
なわち、PVAフィルムを30℃の水中に1分間浸漬し
て予備膨潤し、ホウ酸4重量%水溶液中でヨウ素/ヨウ
化カリウムの重量比を1/10に固定し、偏光フィルム
の透過率が43〜44%になるようにヨウ素濃度30〜
50g/Lの範囲で適宣選択した30℃の水溶液中に4
分間浸漬し、30℃の水中で0.5分浸漬して洗浄し
た。続いて、ホウ酸4重量%の50℃の水溶液中でPV
Aフィルムの延伸倍率が可能な限り高くなるように(フ
ィルムが切断する少し手前まで)一軸延伸を行い、続い
て、ヨウ化カリウム40g/L、ホウ酸40g/Lの4
0℃の水溶液中に5分間浸漬して固定処理を行った。こ
の後PVAフィルムを取り出し、定長下、40℃で熱風
乾燥し、さらに100℃で3分間熱処理を行った。
【0034】二色性比;得られた偏光フィルムの偏光性
能を評価する指数として、二色性比を使用した。 この二
色性比は、日本電子機械工業会規格(EIAJ)LD−
201−1983に準拠し、分光光度計を用いて、C光
源、2度視野にて測定、計算して得られた透過率TS
(%)と偏光度P(%)を使用して下記の式から求め
た。 二色性比=log(TS /100−TS /100×P/
100)/log(TS/100+TS /100×P/
100)
【0035】PVAフィルムの揮発分率(水分率)の測
定;ファイバー式赤外水分計(IM−3SCV MOD
EL−1900(L) 、(株)フジワーク製)を用いてド
ラム上のPVAフィルムの揮発分率(水分率)を測定し
た。
【0036】実施例1 図1と同様に構成されたドラム型製膜機を用い、けん化
度99.9モル%、重合度2400のPVA100重量
部とグリセリン12重量部とラウリン酸ジエタノールア
ミド0.1重量部と水からなる揮発分率74重量%の製
膜原料2を、乾燥用第1ドラム3の表面上に吐出し、製
膜して平均厚さ74μmのPVAフィルム6を得た。こ
の時、第7乾燥ロール4-7においてPVAフィルム6の
揮発分率が10重量%以下となっており、巻取り装置1
0の巻取り速度Rf と第7乾燥ロール4-7の工程速度R
c の速度比(Rf /Rc )は、1.00であった。
【0037】このPVAフィルム6を使用して、前記偏
光フィルムの作製方法で偏光フィルムに加工したとこ
ろ、一軸延伸工程における延伸倍率は5.6倍であり、
得られた偏光フィルムの厚みは27μm、偏光フィルム
の透過率は43.4%、偏光度は99.5%、二色性比
は42.6で、光学むらは見られなかった。
【0038】実施例2 図1と同様に構成されたドラム型製膜機を用い、けん化
度99.9モル%、重合度4000のPVA100重量
部とグリセリン7重量部とラウリン酸ジエタノールアミ
ド0.1重量部と水からなる揮発分率80重量%の製膜
原料2を、乾燥用第1ドラム3の表面上に吐出し、製膜
して平均厚さ75μmのPVAフィルム6を得た。この
時、第7乾燥ロール4-7においてPVAフィルム6の揮
発分率が10重量%以下となっており、巻取り装置10
の巻取り速度Rf と第7乾燥ロール4-7の工程速度Rc
の速度比(Rf /Rc )は、0.95であった。
【0039】このPVAフィルム6を使用して、前記偏
光フィルムの作製方法で偏光フィルムに加工したとこ
ろ、一軸延伸工程における延伸倍率は5.4倍であり、
得られた偏光フィルムの厚みは27μm、偏光フィルム
の透過率は43.9%、偏光度は99.5%、二色性比
は46.2で、光学むらは見られなかった。
【0040】実施例3 図1と同様に構成されたドラム型製膜機を用い、けん化
度99.9モル%、重合度1700のPVA100重量
部とグリセリン13重量部とラウリン酸ジエタノールア
ミド0.1重量部と水からなる揮発分率66重量%の製
膜原料2を、乾燥用第1ドラム3の表面上に吐出し、製
膜して平均厚さ76μmのPVAフィルム6を得た。こ
の時、第9乾燥ロール4-9においてPVAフィルム6の
揮発分率が10重量%以下となっており、巻取り装置1
0の巻取り速度Rf と第9乾燥ロール4-9の工程速度R
c の速度比(Rf /Rc )は、1.05であった。
【0041】このPVAフィルム6を使用して、前記偏
光フィルムの作製方法で偏光フィルムに加工したとこ
ろ、一軸延伸工程における延伸倍率は5.7倍であり、
得られた偏光フィルムの厚みは26μm、偏光フィルム
の透過率は43.3%、偏光度は99.3%、二色性比
は39.4で、光学むらは見られなかった。
【0042】実施例4 乾燥装置4の後段に熱風乾燥炉が付加された図1のドラ
ム型製膜機を用い、実施例1と同様の製膜原料2を、乾
燥用第1ドラム3の表面上に吐出し、製膜して平均厚さ
76μmのPVAフィルム6を得た。この時、第6乾燥
ロール4-6を経た熱風乾燥炉の入口におけるPVAフィ
ルム6の揮発分率が10重量%以下となっており、巻取
り装置10の巻取り速度Rf と熱風乾燥炉の入口の工程
速度Rcの速度比(Rf /Rc )は、1.03であっ
た。
【0043】このPVAフィルム6を使用して、前記偏
光フィルムの作製方法で偏光フィルムに加工したとこ
ろ、一軸延伸工程における延伸倍率は5.6倍であり、
得られた偏光フィルムの厚みは26μm、偏光フィルム
の透過率は43.2%、偏光度は99.6%、二色性比
は42.9で、光学むらは見られなかった。
【0044】比較例1 図1と同様に構成されたドラム型製膜機を用い、実施例
1と同様の製膜原料2を、乾燥用第1ドラム3の表面上
に吐出し、製膜して平均厚さ75μmのPVAフィルム
6を得た。この時、第7乾燥ロール4-7においてPVA
フィルム6の揮発分率が10重量%以下となっており、
巻取り装置10の巻取り速度Rf と第7乾燥ロール4-7
の工程速度Rc の速度比(Rf /Rc )は、1.15で
あった。
【0045】このPVAフィルム6を使用して、前記偏
光フィルムの作製方法で偏光フィルムに加工したとこ
ろ、一軸延伸工程における延伸倍率は3.9倍であり、
得られた偏光フィルムの厚みは26μm、偏光フィルム
の透過率は43.0%、偏光度は97.1%、二色性比
は26.5で、光学むらは見られなかった。
【0046】比較例2 図1と同様に構成されたドラム型製膜機を用い、実施例
2と同様の製膜原料2を、乾燥用第1ドラム3の表面上
に吐出し、製膜して平均厚さ76μmのPVAフィルム
6を得た。この時、第7乾燥ロール4-7においてPVA
フィルム6の揮発分率が10重量%以下となっており、
巻取り装置10の巻取り速度Rf と第7乾燥ロール4-7
の工程速度Rc の速度比(Rf /Rc )は、0.85で
あり、PVAフィルム6にシワが発生した。
【0047】このPVAフィルム6を使用して、前記偏
光フィルムの作製方法で偏光フィルムに加工したとこ
ろ、一軸延伸工程における延伸倍率は5.4倍であり、
得られた偏光フィルムの厚みは26μm、偏光フィルム
の透過率は43.0%、偏光度は99.4%、二色性比
は38.7で、シワの発生した部分に光学むらが見ら
れ、偏光フィルムとしては不適であった。
【0048】比較例3 図1と同様に構成されたドラム型製膜機を用い、実施例
3と同様の製膜原料2を、乾燥用第1ドラム3の表面上
に吐出し、製膜して平均厚さ75μmのPVAフィルム
6を得た。この時、第9乾燥ロール4-9においてPVA
フィルム6の揮発分率が10重量%以下となっており、
巻取り装置10の巻取り速度Rf と第9番目の乾燥ロー
ル4-9の工程速度Rc の速度比(Rf /Rc )は、1.
50であった。
【0049】このPVAフィルム6を使用して、前記偏
光フィルムの作製方法で偏光フィルムに加工したとこ
ろ、一軸延伸工程における延伸倍率は3.4倍であり、
得られた偏光フィルムの厚みは25μm、偏光フィルム
の透過率は43.7%、偏光度は95.5%、二色性比
は25.0で、光学むらは見られなかった。
【0050】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、偏光フ
ィルム作製時の一軸延伸工程における延伸性に優れたP
VAフィルムが得られ、このPVAフィルムから製造し
た偏光フィルムは、従来のPVAフィルムから製造した
偏光フィルムに比べて、偏光度や透過度等の光学特性お
よび耐久性能が優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリビニルアルコール系重合体フィル
ムの製造法に用いるドラム型製膜機の概略構成図であ
る。
【符号の説明】
3…乾燥用第1ドラム、4…乾燥装置、4-2〜4-n…乾
燥ロール、6…PVAフィルム、10…巻取り装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特公 昭38−23037(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 41/00 - 41/52

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドラム製膜機を用いてポリビニルアルコ
    ール系重合体およびそのポリビニルアルコール系重合体
    100重量部に対して0.01〜1重量部のアニオン性
    またはノニオン性の界面活性剤を含有する製膜原料から
    ポリビニルアルコール系重合体フィルムを製造する偏光
    フィルム用ポリビニルアルコール系重合体フィルムの製
    造法であって、 乾燥工程において、フィルムの揮発分率が10重量%以
    下となる時点の工程速度Rc と最終巻き取り速度Rf の
    速度比(Rf /Rc )が0.9〜1.1である偏光フィ
    ルム用ポリビニルアルコール系重合体フィルムの製造
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記ポリビニルアル
    コール系重合体フィルムが50℃の水溶液中で4倍以上
    の倍率で延伸可能であることを特徴とする偏光フィルム
    ポリビニルアルコール系重合体フィルムの製造法。
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