以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施形態であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
なお、以下で説明する「Lab(Lab値)」は、例えばCIELAB(CIE 1976 L*a*b*)色空間(の値)を意味する。以下では説明の便宜のため、「L*a*b*」を単に「Lab」と表す。
図1〜図34は、本発明の撮像ユニット、測色装置、画像形成装置、測色システムおよび測色方法の一実施形態を示す図であり、図1は、本発明の撮像ユニット、測色装置、画像形成装置、測色システムおよび測色方法を適用した画像形成装置1の概略斜視図である。
図1において、画像形成装置1は、本体筐体2が、本体フレーム3上に配設されている。本体筐体2内には、図1に両矢印Aで示す主走査方向に主ガイドロッド4と副ガイドロッド5が張り渡されている。主ガイドロッド4は、キャリッジ6を移動可能に支持している。キャリッジ6には、副ガイドロッド5に係合してキャリッジ6の姿勢を安定化させる連結片6aが設けられている。画像形成装置1は、主ガイドロッド4に沿って無端ベルト状のタイミングベルト7が配設されている。タイミングベルト7は、駆動プーリ8と従動プーリ9との間に張り渡されている。駆動プーリ8は、主走査モータ10によって回転駆動される。従動プーリ9は、タイミングベルト7に対して所定の張りを与える状態で配設されている。駆動プーリ8は、主走査モータ10によって回転駆動されることで、その回転方向に応じて、タイミングベルト7を主走査方向に回転移動させる。
キャリッジ6は、タイミングベルト7に連結されており、タイミングベルト7が駆動プーリ8によって主走査方向に回転移動されることで、主ガイドロッド4に沿って主走査方向に往復移動する。
画像形成装置1は、本体筐体2内の主走査方向両端部位置に、カートリッジ部11と維持機構部12が収納されている。カートリッジ部11は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各インクをそれぞれ収納するカートリッジが、交換可能に収納されている。カートリッジ部11の各カートリッジは、キャリッジ6が搭載する記録ヘッド20の対応する色の記録ヘッド20y、20m、20c、20k(図2参照)と、図示しないパイプで連結されている。各カートリッジは、パイプを通して対応するカートリッジから記録ヘッド20y、20m、20c、20kに対してインクを供給する。なお、以下の説明において、記録ヘッド20y、20m、20c、20kを総称するときには、記録ヘッド20という。
画像形成装置1は、後述するように、キャリッジ6を主走査方向に移動させながら、プラテン14(図2参照)上を、主走査方向と直交する副走査方向(図1の矢印B方向)に間欠的に搬送される記録媒体Pにインクを吐出することで、記録媒体Pに画像を記録出力する。
すなわち、本実施形態の画像形成装置1は、記録媒体Pを副走査方向に間欠的に搬送し、記録媒体Pの副走査方向の搬送が停止している間に、キャリッジ6を主走査方向に移動させながら、キャリッジ6に搭載された記録ヘッド20のノズル列からプラテン14上の記録媒体P上にインクを吐出して、記録媒体Pに画像を形成する。
維持機構部12は、記録ヘッド20の吐出面の清掃、キャッピング、不要なインクの吐出等を行って、記録ヘッド20からの不要なインクの排出や記録ヘッド20の信頼性の維持を図っている。なお、維持機構部12の具体例については、詳細を後述する。
画像形成装置1は、記録媒体Pの搬送部分を開閉可能に、カバー13が設けられている。画像形成装置1のメンテナンス時やジャム発生時に、カバー13を開けることで、本体筐体2内部のメンテナンス作業やジャム記録媒体Pの除去等の作業を行うことができる。
キャリッジ6は、図2に示すように、記録ヘッド20y、20m、20c、20kを搭載している。記録ヘッド20y、20m、20c、20kは、それぞれ上記カートリッジ部11の対応する色のカートリッジにパイプで連結されて、それぞれ対応する色のインクを、対向する記録媒体Pに吐出する。すなわち、記録ヘッド20yは、イエロー(Y)インクを、記録ヘッド20mは、マゼンタ(M)インクを、記録ヘッド20cは、シアン(C)インクを、記録ヘッド20kは、ブラック(K)インクを、それぞれ吐出する。
記録ヘッド20は、その吐出面(ノズル面)が、図1の下方(記録媒体P側)に向くように、キャリッジ6に搭載されており、記録媒体Pにインクを吐出する。
画像形成装置1は、タイミングベルト7、すなわち、主ガイドロッド5に平行に、少なくともキャリッジ6の移動範囲に亘ってエンコーダシート15が配設されている。キャリッジ6には、エンコーダシート15を読み取るエンコーダセンサ21が取り付けられている。画像形成装置1は、エンコーダセンサ21によるエンコーダシート15の読み取り結果に基づいて主走査モータ10の駆動を制御することで、キャリッジ6の主走査方向の移動を制御する。
キャリッジ6に搭載されている記録ヘッド20は、図3に示すように、それぞれの記録ヘッド20y、20m、20c、20kが、複数のノズル列で構成されている。プラテン14上を搬送される記録媒体P上にノズル列からインクを吐出することで、記録媒体Pに画像が形成される。キャリッジ6の1回の走査で記録媒体Pに形成できる画像の幅を広く確保するため、画像形成装置1は、キャリッジ6に、上流側の記録ヘッド20と下流側の記録ヘッド20とを搭載している。また、黒の印字速度を向上させるために、カラーのインクを吐出する記録ヘッド20y、6m、6cの2倍の数の記録ヘッド20kがキャリッジ6に搭載されている。さらに、記録ヘッド20y、6mは、キャリッジ6の往復動作で色の重ね順を合わせて、往路と復路とで色が変わらないようにするために、主走査方向に分割されて隣接する状態で配置されている。記録ヘッド20の各記録ヘッド20y、20m、20c、20kの配置は、図3に示す配置に限るものではない。
キャリッジ6には、図2に示したように、撮像ユニット30が取り付けられている。撮像ユニット30は、後述する色調整処理時に被写体(測色対象物)を測色するために、被写体を撮像する。
撮像ユニット30は、平面図である図4、図4のA−A矢視断面図である図5および図5のB−B矢視断面図である図6に示すように、基板31を備える。基板31には、基板31側の面が開放されている四角の箱形状の枠体32が、締結部材33によって固定されている。基板31は、図1に示したキャリッジ6に固定されている。なお、枠体32は、四角の箱形状に限るものではなく、例えば、開口部32b、32cの形成されている底面部32aを有する円筒の箱形状や楕円筒の箱形状等であってもよい。
撮像ユニット30の基板31には、枠体32側の面であってその中央部に、イメージセンサ部(センサ部)34が配設されている。イメージセンサ部34は、CCD(Charge Coupled Device )センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor )センサ等の2次元イメージセンサ35とレンズ36を備えている。
撮像ユニット30は、枠体32が、その基板31とは反対側の面部(以下、底面部という。)32aの下面が、所定の間隔dを有してプラテン14上の記録媒体Pと対向する状態で、キャリッジ6に取り付けられている。該底面部(対向面)32aには、中心線Loを中心として、主走査方向にそれぞれ略長方形状の開口部32bと開口部32cが、所定幅の底面部32aを挟んで、形成されている。
間隙dは、後述するように、2次元イメージセンサ35に対する焦点距離を考慮して、小さい方が好ましいが、記録媒体Pの平面性との関係から、枠体32の下面と記録媒体Pとが接触しない大きさ、例えば、1mm〜2mm程度に設定されている。
開口部32cは、後述するように、記録媒体Pに形成されている撮像対象(被写体)である基準シートKS(図11参照)の基準色パッチKP(図12参照)および測色調整シートCS(図15参照)の測色調整色パッチCP(図15参照)を撮像するのに用いられる。開口部32cは、少なくとも、撮像対象の画像を全て撮像可能な大きさであればよい。枠体32と撮像対象との間に間隙dがあるため、開口部32cの周辺に発生する影を考慮して、撮像対象の撮像領域の大きさよりも若干大きめの開口状態で形成されている。
開口部32bは、その記録媒体P側の面に開口部32bの周囲に沿って所定幅の凹部32dが形成されている。該凹部32dに基準チャート(基準チャート部)KCが着脱可能にセットされている。枠体32の開口部32bの凹部32dには、基準チャートKCの記録媒体P側の面を覆って、基準チャートKCを該凹部32dに保持させる保持板32eが、嵌め込み、ネジ止め等の方法で着脱可能に取り付けられている。開口部32bは、基準チャートKCと保持板32eによって塞がれた状態となっている。保持板32eは、その記録媒体P側の面が、滑らかな平坦面となっている。
基準チャートKCは、上記基準シートKSの基準色パッチKPおよび色調整処理における撮像対象である測色調整シートCSの測色調整色パッチCPの撮像測色値との比較対象として、撮像ユニット30により基準色パッチKPや測色調整色パッチCPとともに撮影される。すなわち、撮像ユニット30は、枠体32の底面部32aに設けられた開口部32cを通して枠体32の外部の基準シートKSの基準色パッチKPや測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを撮像するとともに、枠体32の底面部32aの開口部32b周囲に形成されている凹部32dに装着されている基準チャートKC上の色パッチを、比較対象として撮像する。なお、撮像ユニット30は、2次元イメージセンサ35が画素を順次走査して画像を読み取るため、厳密には、基準シートKSの基準色パッチKPや測色調整シートCSの測色調整パッチCPと基準チャートKCを同時には読み取らないが、1フレーム内に基準色パッチKPや測色調整パッチCPと基準チャートKCの画像を取得することができる。以下、1フレームの撮像を、適宜、同時に撮像等と表現する。
この基準チャートKCは、その枠体32内部側の面(上面)に、図8に示すように、後述する基準シートKSと同様に、測色用の複数の基準色パッチ列Pa〜Pd、ドット径計測用パターン列Pe、距離計測用ラインlkおよびチャート位置特定用マーカmkが形成されている。
測色用の基準色パッチ列Pa〜Pdは、YMCの1次色の色パッチを階調順に配列したパッチ列Paと、RGBの2次色の色パッチを階調順に配列したパッチ列Paと、グレースケールのパッチを階調順に配列したパッチ列(無彩色の階調パターン)Pcと、3次色のパッチを配列したパッチ列Pdと、がある。ドット径計測用パターン列Peは、大きさが異なる円形パターンを大きさ順に配列された幾何学形状測定用のパターン列である。
距離計測用ラインlkは、測色用の基準色パッチ列Pa〜Pdやドット径計測用パターン列Peを囲む矩形の枠線として形成されている。チャート位置特定用マーカmkは、距離計測用ラインlkの四隅の位置に設けられていて、各パッチ位置を特定するためのマーカである。
後述する測色制御部106(図10および図11参照)は、撮像ユニット30から取得した基準チャートKCの画像データから距離計測用ラインlkとその四隅のチャート位置特定用マーカmkを特定することで、基準チャートKCの位置および各パターンの位置を特定する。
測色用の基準色パッチ列Pa〜Pdを構成する各パッチは、後述する基準チャートKCの基準パッチKPと同様に、分光器BSを用いて、標準色空間であるLab色空間における表色値(Lab値)が予め計測されており、後述する測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを測色する際の基準値となる。
なお、基準チャートKCに配置されている測色用の基準色パッチ列Pa〜Pdの構成は、図8に示す配置例に限定されるものではなく、任意のパッチ列を用いることができる。例えば、可能な限り色範囲を広く特定することのできるパッチを用いてもよいし、また、YMCKの1次色のパッチ列Paや、グレースケールのパッチ列Pcは、画像形成装置1に使用されるインクの測色値のパッチで構成されていてもよい。また、基準チャートKCのRGBの2次色のパッチ列Paは、画像形成装置1で使用されるインクで発色可能な測色値のパッチで構成されていてもよく、さらに、JapanColor等の測色値が定められた基準色票を用いてもよい。
なお、本実施形態では、一般的なパッチ(色票)の形状の基準色パッチ列Pa〜Pdを有する基準チャートKCを用いているが、基準チャートKCは、必ずしもこのような基準色パッチ列Pa〜Pdを有する形態でなくてもよい。基準チャートKCは、測色に利用可能な複数の色が、それぞれの位置を特定できるように配置された構成であればよい。
この基準チャートKCは、枠体32の底面部32aに形成されている開口部32bの記録媒体P側の面の外周に形成されている凹部32dに配設されている。このため、記録媒体P等の撮像対象と同様の焦点距離で、イメージセンサ部34の2次元イメージセンサ35によって基準チャートKCを撮像することができる。また、基準チャートKCは、枠体32の底面部32aに形成されている開口部32bの記録媒体P側の面の外周に形成されている凹部32dに、着脱可能にセットされて、記録媒体P側の面が、該凹部32dに着脱可能に取り付けられている保持板32eで着脱可能に保持されている。このため、枠体32内に侵入したゴミ等が基準チャートKC表面に付着しても、保持板32eと基準チャートKCを取り外して、基準チャートKCを清浄に清掃した後に、再度、取り付けることができ、基準チャートKCの測定精度を向上させることができる。
再び、図4から図6に戻って、撮像ユニット30には、イメージセンサ部34の中心を通る副走査方向の中心線Lo上であって、イメージセンサ部34の中心からそれぞれ副走査方向に所定量だけ等間隔で離れた位置の基板31に、1対の照明光源37が配設されている。照明光源37としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)等が用いられている。この照明光源37は、中心線Lo上、すなわち、基準チャートKCと開口部32cとの間の底面部32aの真上に配設されている。この底面部32aには、正反射防止用の方面処理、例えば、黒色に施す処理や細かい凹凸を形成する等の処理が施されていてもよい。なお、照明光源37の種類はLEDに限定されるものではない。例えば、有機ELなどを照明光源37として用いるようにしてもよい。有機ELを照明光源37として用いた場合は、太陽光の分光分布に近い照明光が得られるため、測色精度の向上が期待できる。
さらに、撮像ユニット30は、撮像領域の開口部32cと基準チャートKCの配置条件が、レンズ36の中心と照明光源37を結ぶ中心線Loに対して、略対称に配置されている。このため、2次元イメージセンサ35の撮像条件を線対称で同一にすることができ、基準チャートKCを用いた2次元イメージセンサ35の色調整処理や測色処理の精度を向上させることができる。
撮像ユニット30には、開口部32cを開閉可能にミスト防止板(カバー部材)40が装着されている。図4から図6および図8に示すように、枠体32の底面部32aの厚さ方向中間位置に、開口部32cを囲むようにガイド溝32eが形成されている。ミスト防止板40は、このガイド溝32e内に、図8に示すように、枠体32の基準チャートKC側とは反対側の側面に形成されている挿入口32fから着脱可能に装着される。
ミスト防止板40は、画像形成装置1の通常の画像形成時には、ユーザ等の手動操作によって、ミスト防止板40が挿入口32fから撮像装置30のガイド溝32e内に挿入されて、開口部32cの全面を覆う状態で装着さる。ミスト防止板40は、例えば、アクリル樹脂(t=1のPMMA(Poly methyl methacrylate):tは、ガラスの呼び厚さ(ミリ))等で形成されている。
画像形成装置1は、キャリッジ6の記録ヘッド20y、20m、20c、20kのノズル面に形成されているノズル穴からインク滴を記録媒体Pに向かって吐出することで、記録媒体Pに通常の画像および基準色パッチKPや測色調整色パッチCP等の被写体を形成する。このとき、画像形成装置1は、該ノズル穴から複数のインク滴を連続して吐出させて画像形成し、この連続して吐出されるインク滴が飛翔中に合体して、やがて1つのインク滴となるが、合体したインク滴の後ろから飛翔してくるインク滴は、合体することなく、サテライトと呼ばれる小さいインク滴となる。このサテライトと呼ばれる小さいインク滴は、合体して記録媒体Pに付着して画像となるインク滴の飛翔軌跡から外れて浮遊し始め、ミストとなる。
このミストが撮像ユニット30の枠体32の底面部32aのうち、記録媒体Pと対向する外面よりも内側、特に、開口部32cの該外面よりも内側に侵入すると、枠体32の該外面よりも内側にある部品(以下、適宜、内部部品という。)が汚れて、撮像精度が低下し、後述する測色精度が低下する原因となる。そこで、本実施形態の撮像ユニット30においては、画像形成装置1の通常の画像形成時には、ミスト防止板40で開口部32cを覆うことで、ミストが開口部32cの内側に侵入することを有効に防止して、内部部品の汚れ等に起因する測色精度の低下を抑制できるようにしている。
ミスト防止板40は、画像形成装置1の測色タイミングになると、ユーザ等の手動操作によってガイド溝32から引き抜かれて取り外される。これにより、撮像ユニット30は、イメージセンサ部34によって枠体32外の被写体を撮像可能な状態とされる。
また、撮像ユニット30の枠体32内には、開口部32cを密閉する状態で、該開口部32cを通した記録媒体Pと2次元イメージセンサ35との光路中に光路長変更部材41が配設されている。光路長変更部材41としては、屈折率n(nは、任意の値)の透過部材が用いられている。光路長変更部材41は、図5および図6に示すように、開口部32cよりも大きい四角形状を有し、枠体32内に配置されている。光路長変更部材41の固定位置は、開口部32cと2次元イメージセンサ35との光路中であればよく、枠体32の内部の開口部32cの位置に限るものではない。例えば、枠体32の撮像面側の位置、枠体32の内側であって開口部32cから離れた位置等に、光路長変更部材41を配置するようにしてもよい。なお、屈折率nの光路長変更部材41を光が通過すると、該光は、光路長変更部材41の屈折率nに応じて光路長が延びて、画像が浮き上がった状態で2次元イメージセンサ35に入射される。この画像の浮上がり量Cは、光路長変更部材41の長さをLpとすると、以下に示す式(1)により求めることができる。
C=Lp(1−1/n)・・・(1)
また、基準チャートKC以外の撮像部30の焦点面の焦点距離L、すなわち、光路長変更部材41および開口部32cを通して撮像される記録媒体Pの表面までの焦点距離は、次式(2)により求めることができる。
L=Lc+Lp(1−1/n)・・・(2)
ここで、Lcは、レンズ36の撮像対象側の頂部と基準チャートKCとの間の距離、nは、光路長変更部材41の屈折率である。
したがって、例えば、光路長変更部材41の屈折率nを1.5とした場合、L=Lc+Lp(1−1/1.5)=Lc+Lp(1/3)となり、光路長変更部材41の長さLpの約1/3だけ光路長を長くすることができる。なお、Lp=9[mm]とすると、L=Lc+3[mm]となって、基準チャートKCの結像位置と、記録媒体Pの撮像面の焦点位置を一致させることができ、基準チャートKCと記録媒体Pの撮像面を共役関係に設定することができる。
このように、撮像ユニット30は、光路長変更部材41が設けられることで、基準チャートKCと枠体32外の被写体とを同じ焦点距離で撮像することができ、基準チャートKCと被写体をより一層高精度に撮像することができる。
また、撮像ユニット30は、枠体32にミスト防止板40が設けられているため、開口部32cを枠体32の外面で塞いで、画像形成装置1の画像形成動作によって、紙くずやミスト、特に、ミストが、開口部32cの外面よりも枠体32の内側(以下、適宜、枠体32内の内部という。)に侵入するのを防止することができる。これにより、枠体32の内部に侵入したミストによって光路長変更部材41の開口部32c側の面および基準チャートKCやイメージセンサ部34等の枠体32内の内部部品が汚れることを未然に防止することができる。その結果、基準チャートKCと被写体を高精度に撮像して、内部部品の汚れ等に起因する測色精度の低下を有効に抑制することができる。
本実施形態の画像形成装置1は、図9に示すようにブロック構成されている。画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit )101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、主走査ドライバ104、記録ヘッドドライバ105、測色制御部106、紙搬送部107および副走査ドライバ108等を備えているとともに、上述のようにキャリッジ6に搭載されている記録ヘッド20、エンコーダセンサ21および撮像ユニット30等を備えている。
ROM102は、画像形成装置1としての基本プログラムおよび色調整処理プログラム等のプログラムおよび必要なシステムデータ等を記憶する。CPU101は、ROM102内のプログラムに基づいて、RAM103をワークメモリとして利用しつつ、画像形成装置1の各部を制御して、画像形成装置1としての基本処理を実行する。また、CPU101は、測色制御部106での測色処理で求められた測色値に基づいて、画像形成時における色調整処理を実行する。
CPU101は、キャリッジ6および紙搬送部107の制御においては、エンコーダセンサ21からのエンコーダ値に基づいて主走査ドライバ104の駆動を制御して、キャリッジ6の主走査方向の移動を制御する。また、CPU101は、副走査ドライバ108を介して、図示しない副走査モータや搬送ローラ等の紙搬送部107の駆動を制御する。さらに、CPU101は、記録ヘッドドライバ105を介して、記録ヘッド20によるインクの吐出タイミングおよびインク吐出量を制御する。また、CPU101は、測色制御部106を介して、撮像ユニット30の照明光源37の点灯駆動を制御する。
撮像ユニット30は、上述したように、画像を記録出力する際の画像データの色を、ユーザの意図する色に正確に再現する色調整用の測色値を生成するために、後述するように、測色時に記録媒体Pに記録ヘッド20によって形成された測色調整パッチCPを撮像して、撮像したRGB値を測色制御部106に出力する。なお、本実施形態では、測色制御部106を撮像ユニット30とは別個の構成としているが、測色制御部106を撮像ユニット30と一体の構成としてもよい。例えば、撮像ユニット30の基板31に、測色制御部106として機能する制御回路を実装するようにしてもよい。
撮像ユニット30および測色制御部106は、図10に示すようにブロック構成されている。撮像ユニット30は、上記照明光源37、イメージセンサ部34を備えているとともに、画像処理部110およびインターフェイス部111等を備えている。画像処理部110は、A/D変換部112、シェーディング補正部113、ホワイトバランス補正部114、γ補正部115および画像フォーマット変換部116を備えている。なお、本実施形態では、画像処理部110をイメージセンサ部34とは別個の構成としているが、イメージセンサ部34の2次元イメージセンサ35に画像処理部110の機能を持たせるようにしてもよい。
撮像ユニット30は、イメージセンサ部34が被写体と基準チャートKCを同時に撮像したアナログのRGB画像データを画像処理部110に出力する。画像処理部110は、イメージセンサ部34から送られてくるアナログのRGB画像データに対して必要な画像処理を施して測色制御部106に出力する。
画像処理部110のA/D変換部112は、イメージセンサ部34から入力されるアナログのRGB画像データをデジタル変換してシェーディング補正部113に出力する。
シェーディング補正部113は、A/D変換部112から入力されるRGB画像データに対して、イメージセンサ部34の撮像範囲に対する照明光源37からの照明光の照度ムラに起因する画像データの誤差の補正を行って、ホワイトバランス補正部114に出力する。
ホワイトバランス補正部114は、シェーディング補正後のRGB画像データに対してホワイトバランスを補正して、γ補正部115に出力する。
γ補正部115は、ホワイトバランス補正部114から入力される画像データに対して、イメージセンサ部34の感度のリニアリティを補償するように補正して、画像フォーマット変換部116に出力する。
画像フォーマット変換部116は、γ補正後の画像データを任意のフォーマットに変換して、インターフェイス部111を介して測色制御部106に出力する。
インターフェイス部111は、測色制御部106から送られた各種設定信号、タイミング信号および光源駆動信号を撮像ユニット30が取得し、また、撮像ユニット30から測色制御部106へ画像データを送るためのインターフェイスである。
測色制御部106は、フレームメモリ121、タイミング信号発生部122、光源駆動制御部123、演算部124および不揮発性メモリ125を備えている。演算部124は、測色値算出部126を備えている。
フレームメモリ121は、撮像ユニット30から送られてきた画像データを一時的に記憶するメモリであり、保管した画像データを演算部124に出力する。
不揮発性メモリ125は、図11に示すように、分光器BSによって読み取られた、基準シートKSに配列形成されている複数の基準色パッチKPの測色結果の測色値であるLab値とXYZ値のうち、少なくともいずれか(図11では、Lab値とXYZ値の双方)を、基準測色値として格納している。基準測色値は、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1にパッチ番号に対応して格納されている。
さらに、画像形成装置1は、メモリテーブルTb1に基準測色値が不揮発性メモリ125に格納されている状態で、かつ、画像形成装置1の初期状態において、上記基準シートKSをプラテン14上にセットして、キャリッジ6の移動を制御し、該基準シートKSの分光器BSで読み取ったのと同じ基準パッチKPを撮像ユニット30によって読み取った撮像基準RGB値を、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に、パッチ番号に対応させて、すなわち、基準測色値に対応させて格納する。また、画像形成装置1は、撮像ユニット30の基準チャートKCの各パッチを撮像してRGB値を取得して、該基準チャートKCの各パッチのRGB値を初期基準RGB値RdGdBdとして、演算部124の制御下で不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に格納している。
画像形成装置1は、基準測色値と撮像基準RGB値および初期基準RGB値RdGdBdを不揮発性メモリ125に格納すると、測色値算出部126が、不揮発性メモリ125に格納されている基準測色値のXYZ値と撮像基準RGB値の対、すなわち、同じパッチ番号のXYZ値と撮像基準RGB値の対に対して、相互に変換する基準値線形変換マトリックスを算出して、算出した基準値線形変換マトリックスを不揮発性メモリ125に格納する。
画像形成装置1においては、上記処理を画像形成装置1の初期状態で実行して、実行結果である基準測色値と撮像基準RGB値および初期基準RGB値RdGdBdを不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に登録した後、基準値線形変換マトリックスを算出して、不揮発性メモリ125に格納する。
さらに、本実施形態の画像形成装置1は、後述するように、色調整処理時に、経時変化等している記録ヘッド20によって記録媒体Pに形成された被写体としての測色調整色パッチCPと枠体32の内部に配置された基準チャートKCとをイメージセンサ部34で同時に撮像して、測色調整色パッチCPおよび基準チャートKCを含む画像データを測色制御部106に出力する。測色制御部106は、撮像ユニット30から取得した測色調整色パッチCPのRGB値を、基準シートKSの基準色パッチ(以下、初期基準色パッチという。)を撮像部30で読み取ったときに同時に読み取って記憶した基準チャートKCのパッチPa〜Peの初期基準RGB値RdGdBdと、色調整処理時に調整色パッチCPと同時に撮像した基準チャートKCのパッチPa〜PeのRGB値(以下、測色時基準RGB値という。)とに基づいて変換した後に、測色調整パッチCPの測色値を求める測色処理を行なう。
すなわち、演算部124は、測色制御部106の動作を制御するとともに、測色値算出部126が、測色処理を実行して、測色処理の処理結果である測色値をCPU101に出力する。CPU101は、該測色値を用いて画像データを色調整処理して、色調整処理した画像データに基づいて記録ヘッド20を制御することで、色再現性を向上させた状態で画像形成する。
本実施形態の画像形成装置1は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Versatile Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本実施形態の測色方法を実行する測色プログラムを読み込んでROM102または不揮発性メモリ125等に導入することで、後述する色再現性を安価にかつ安定して実現する測色方法を実行する測色装置を備えた画像形成装置1として構築されている。この測色プログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
次に、本実施形態の作用を説明する。本実施形態の画像形成装置1は、色再現性を安価にかつ安定して実現する測色方法を実行する。
本実施形態の画像形成装置1は、図11に示したように、分光器BSによって読み取られた、基準シートKSに配列形成されている複数の基準色パッチの測色結果としての測色値であるLab値とXYZ値のうち、少なくともいずれかを、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1にパッチ番号に対応して基準測色値として格納している。
また、画像形成装置1は、基準測色値が不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に格納されている状態で、かつ、画像形成装置1が製造またはオバーフォール等によって初期状態であるときに、上記基準シートKSをプラテン14上にセットして、キャリッジ6の移動を制御して、該基準シートKSの分光器BSで読み取ったのと同じ基準パッチを撮像ユニット30によって撮像するとともに、図12に示すように、枠体32の内部に配置された基準チャートKCの各パッチ(初期基準色パッチ)を同時に撮像する。このとき、基準シートKSの基準パッチは、撮像ユニット30のイメージセンサ部34により、ミスト防止板40が取り除かれた開口部32cを介して撮像される。
基準シートKSの基準パッチと基準チャートKCの各パッチが撮像ユニット30によって撮像されると、基準シートKSの基準パッチを撮像した画像データを画像処理部110で処理したRGB値である撮像基準RGB値、すなわち、デバイスに依存するデバイス依存信号が、測色制御部106の演算部124によって、図11に示したように、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に、パッチ番号に対応させて、すなわち、基準測色値に対応させて格納される。また、基準チャートKCの初期基準色パッチを撮像した画像データを画像処理部110で処理したRGB値である初期基準RGB値RdGdBdが、測色制御部106の演算部124によって、図13(a)に示すように、不揮発性メモリ125に格納される。
なお、演算部124は、撮像ユニット30が読み取った基準チャートKCの初期基準色バッチの画像データのうち、所定領域、例えば、図13に破線で示す領域(測色対象領域)毎に平均値を算出して、初期基準RGB値RdGdBdとしている。このように測色対象領域の多数の画素を平均化して初期基準RGB値RdGdBdを算出すると、ノイズの影響を低減させることができるとともに、bit分解能を向上させることができる。また、図13(b)は、初期基準RGB値RdGdBdをプロットした散布図であり、図13(a)は、初期基準RGB値RdGdBdをLab値に変換した基準Lab値LdadbdおよびXYZ値に変換した基準XYZ値xdydzdも不揮発性メモリ125に登録されている状態を示している。
基準測色値と撮像基準RGB値および初期基準RGB値RdGdBdが不揮発性メモリ125に格納されると、演算部124の測色値算出部126が、不揮発性メモリ125に格納されている基準測色値のXYZ値と撮像基準RGB値の対、すなわち、同じパッチ番号のXYZ値と撮像基準RGB値の対に対して、相互に変換する基準値線形変換マトリックスを算出して、算出した基準値線形変換マトリックスを不揮発性メモリ125に格納する。
この状態で、CPU101が、外部から入力される画像データや印刷設定等に基づいて、キャリッジ6の主走査移動制御、紙搬送部48による記録媒体Pの搬送制御および記録ヘッド20の駆動制御を行って、記録媒体Pを間欠的に搬送させつつ、記録ヘッド20の各記録ヘッド20y、20m、20c、20kからのインク吐出を制御して、画像を記録媒体Pに記録出力する。この画像形成動作時には、撮像ユニット30は、挿入口32fからガイド溝32eに沿って挿入されたミスト防止板40により、枠体32の開口部32cが塞がれている。
したがって、撮像ユニット30の枠体32の内部に紙粉等のミストが侵入することを防止することができ、枠体32内の各部、特に、光路長変更部材41、基準チャートKCおよびイメージセンサ部34等がミストで汚れることを防止することができる。
そして、このとき、記録ヘッド20y、20m、20c、20kからのインクの吐出量が、機器固有の特性や経時変化等によって変化することがある。このインクの吐出量が変化すると、ユーザが意図する画像の色とは異なった色で画像形成されることとなって、色再現性が劣化する。
そこで、画像形成装置1は、所定の色調整処理タイミングで、測色値を求めて該測色値に基づいて色調整を行なう色調整処理を実行する。
すなわち、画像形成装置1は、色調整処理タイミングになると、複数の色パッチ(測色調整色パッチ)CPを、図14に示すように、記録ヘッド20によって記録媒体Pに形成して測色調整シートCSとして記録出力する。この測色調整シートCSの記録出力時には、撮像ユニット30は、ミスト防止板40により枠体32の開口部32cが塞がれた状態になっている。
この測色調整シートCSは、複数の測色調整用の色パッチである測色調整色パッチCPが、記録ヘッド20によって形成出力されたものである。測色調整シートCSは、画像形成装置1の色調整処理タイミングにおける出力特性、特に、記録ヘッド20の出力特性を反映した測色調整色パッチCPが形成されている。なお、測色調整色パッチCPの色パッチデータは、予め不揮発性メモリ125等に格納されている。
そして、画像形成装置1は、後述するように、この測色調整シートCSの複数の測色調整色パッチCPを撮像したRGB値を測色対象RGB値(測色用RGB値)として、この測色対象RGB値を初期基準RGB値RdGdBdに変換する。そして、画像形成装置1は、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に登録されている基準測色値のうち、該初期基準RGB値RdGdBdを変換した測色値に対して距離的に近い基準測色値(近傍基準測色値)を選択する。そして、画像形成装置1は、選択した近傍基準測色値に対応する撮像基準RGB値を近傍基準測色値に変換する選択RGB値線形変換マトリックスを求め、この選択RGB値線形変換マトリックスを用いて測色対象RGB値を変換し、測色値を求める。そして、画像形成装置1は、該測色値に基づいて色変換を行った後の画像データに基づいて、記録ヘッド20によって画像を出力する。これにより、画像形成装置1による形成画像の色再現性を向上させる。
画像形成装置1は、図14に示すように、測色調整シートCSがプラテン14上にセットされた状態、または、測色調整シートCSを記録した段階で排紙することなくプラテン14上に保持された状態で、このプラテン14上の測色調整シートCSの複数の測色調整色パッチCPを、キャリッジ6の移動を制御して撮像ユニット30によって撮像すると同時に、撮像ユニット30によって基準チャートKCのパッチを撮像する。測色調整シートCSの測色調整色パッチCPと基準チャートKCのパッチが撮像ユニット30によって同時に撮像されると、撮像ユニット30の画像処理部110で、測色調整シートCSの測色調整色パッチCPの画像データと基準チャートKCのパッチの画像データに対して、必要な画像処理が行なわれた後、測色調整シートCSの測色調整色パッチCPの画像データ(RGB値)が測色対象RGB値、すなわち、デバイスに依存するデバイス依存信号として、測色制御部106に送られる。また、基準チャートKCのパッチの画像データ(RGB値)が、測色時基準RGB値RdsGdsBdsとして、測色制御部106に送られる。測色制御部106は、測色対象RGB値を、図15に示すように、フレームメモリ121に一時保管する(ステップS11)。
測色制御部106は、演算部124の測色値算出部126が、フレームメモリ121に保管された測色対象RGB値を、後述する基準RGB間線形変換マトリックスを用いて、初期化測色対象RGB値RsGsBsに変換する(ステップS12、S13)。
測色制御部106の演算部124は、変換した初期化測色対象RGB値RsGsBsを、測色対象RGB値として(ステップS14)、後述する基本測色処理を実行して、Lab測色値を取得する(ステップS15)。
そして、本実施形態の画像形成装置1では、演算部124の測色値算出部126が、上記基準RGB間線形変換マトリックスを、図15および図16に示すようにして求める。
すなわち、演算部124の測色値算出部126は、図15に示すように、初期基準RGB値RdGdBdと測色時基準RGB値RdsGdsBdsを、不揮発性メモリ125から読み出す。初期基準RGB値RdGdBdは、初期時に撮像ユニット30が基準シートKSの基準色パッチKPを撮像したときに同時に基準チャートKCのパッチを撮像することで得られ、不揮発性メモリ125に格納されている。測色時基準RGB値RdsGdsBdsは、測色時に撮像ユニット30が測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを撮像したときに同時に基準チャートKCのパッチを撮像することで得られ、不揮発性メモリ125に格納されている。演算部124の測色値算出部126は、測色時基準RGB値RdsGdsBdsを初期基準RGB値RdGdBdに変換する基準RGB間線形変換マトリックスを求め、求めた基準RGB間線形変換マトリックスを不揮発性メモリ125に格納する。
すなわち、図16において、図16(a)に白抜き点で示されている点が初期基準RGB値RdGdBdをrgb空間でプロットした点であり、塗りつぶし点が、測色時基準RGB値RdsGdsBdsをrgb空間でプロットした点である。図16(a)から分かるように、測色時基準RGB値RdsGdsBdsの値が初期基準RGB値RdGdBdの値から変動している。これらのrgb空間上での変動方向は、図16(b)に矢印で示すように、概ね同じであるが、色相によってずれの方向が異なる。このように同じ基準チャートKCのパッチを撮像してもRGB値が変動する原因としては、照明光源37の経時変化、2次元イメージセンサ35の経時変化等がある。
このように、同じ基準チャートKCのパッチを撮像したときに変動している状態で、測色調整シートCSの測色調整パッチCPを撮像したときの測色対象RGB値を用いて測色値を求めると、変動分だけ測色値に誤差が発生するおそれがある。
そこで、測色値算出部126は、初期基準RGB値RdGdBdと、測色時基準RGB値RdsGdsBdsとの間で最小2乗法等の推定法を用いて、測色時基準RGB値RdsGdsBdsを初期基準RGB値RdGdBdに変換する基準RGB間線形変換マトリックスを求める。そして、測色値演算部126は、この基準RGB間線形変換マトリックスを用いて、撮像ユニット30が測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを撮像することで得られ、不揮発性メモリ125に格納されている測色対象RGB値を、初期化測色対象RGB値RsGsBsに変換する。そして、測色値演算部126は、変換した初期化測色対象RGB値RsGsBsを、測色対象RGB値として、後述する基本測色処理を実行して、Lab測色値を取得する。
この基準RGB間線形変換マトリックスは、1次だけでなく、さらに高次の非線形マトリックスであってもよい。rgb空間とXYZ空間間で非線形性が高い場合には、高次のマトリックスとすることで、変換精度を向上させることができる。
そして、上記撮像ユニット30は、被写体としての基準シートKSの基準色パッチKPと測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを、底面部32aに形成されている開口部32cを通して撮像する際に、同時に、枠体32の底面部32aの開口部32cに配置されている基準シートKSのパッチを撮像する。これにより、撮像ユニット30は、常に、同じ位置関係で、基準シートKSのパッチを被写体としての基準シートKSの基準色パッチKPと測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを撮像することができ、安定した状態で撮像することができる。
また、撮像ユニット30は、被写体を撮像するときを除いて、枠体32の開口部32cがミスト防止板40で覆われた状態となっている。このため、紙粉やミストが開口部32cから枠体32の外面よりも内側に侵入することを防止することができ、内部部品である光路長変更部材41、基準チャートKCおよびイメージセンサ部34等を清浄な状態に維持して、被写体および基準チャートKCの撮像画像品質を向上させることができる。その結果、測色精度を高品質な状態で維持することができる。
さらに、撮像ユニット30は、枠体32内に、光路長変更部材41が設けられているので、基準チャートKCと枠体32外の被写体とを同じ焦点距離で撮像することができ、基準チャートKCと被写体をより一層高精度に撮像することができる。
また、開口部32cを通して記録媒体Pの撮像面に照射する照明光と、基準チャートKCを照射する照明光とは、同一の照明光源37からの照明光である。このため、撮像ユニット30は、同じ照明条件で基準チャートKCと記録媒体Pの撮像面を同時に撮像することができる。また、照明光源37は、基準チャートKCと記録媒体Pの略中間位置である中心線Lo上に配置され、かつ、レンズ36に対して中心線Lo上において対象に2個配置されているため、基準チャートKCと記録媒体Pの撮像領域を略同一条件で、均一に照明することができる。すなわち、被写体を照明する照明光源37は、必ず基準チャートKCを照明しているため、略同じ照明条件で被写体と基準チャートKCを照明することができる。
さらに、撮像ユニット30では、撮像領域の開口部32cと基準チャートKCの配置条件が、レンズ36の中心と照明光源37を結ぶ中心線Loに対して、略対称に配置されている。このため、撮像ユニット30は、2次元イメージセンサ35の撮像条件を線対称で同一にすることができ、基準チャートKCを用いた2次元イメージセンサ35の色調整処理や測色処理の精度を向上させることができる。
そして、測色値算出部126は、上述のようにして初期測色対象RGB値RsGsBsを求めて、測色対象RGB値とすると、図17および図18に示すように、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に登録されている基準測色値のうち、該測色対象RGB値に変換した測色値に対して距離的に近い近傍の基準測色値(近傍基準測色値)を選択する。そして、測色値算出部126は、測色対象RGB値を、選択した近傍基準測色値に変換する測色値を求める基本測色処理を実行する。画像形成装置1は、該測色値に基づいて色変換を行った後の画像データに基づいて、記録ヘッド20によって画像を出力する。これにより、画像形成装置1による形成画像の色再現性を向上させる。
すなわち、図17に示すように、測色調整シートCSの測色調整色パッチCPが撮像ユニット30により撮像され、上述のように測色対象RGB値が不揮発性メモリ125に格納されると(ステップS21)、測色値算出部126は、上記基準値線形変換マトリックスを用いて(ステップS22)、測色対象RGB値を第1XYZ値に変換して(ステップS23)、不揮発性メモリ125に格納する(ステップS24)。例えば、図17では、測色値算出部126は、測色対象RGB値(3、200、5)を、(20、80、10)の第1XYZ値(第1測色値)に変換して、不揮発性メモリ125に格納している。
次に、測色値算出部126は、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1を参照して、または、既知の変換式を用いて、第1XYZ値を第1Lab値(第1測色値)に変換して(ステップS25)、不揮発性メモリ125に格納する(ステップS26)。例えば、図17では、測色値算出部126は、第1XYZ値(20、80、10)を、撮像測色値である第1Lab値(75、−60、8)に変換している。
次に、測色値算出部126は、図17にLab空間で示すように、不揮発性メモリ125に格納されているメモリテーブルTb1の複数色の色パッチの基準測色値(Lab値)を検索して、該基準測色値(Lab値)のうち、Lab空間上において第1Lab値に対して距離の近い基準測色値(Lab値)を持つ所定数の色パッチ(近傍色パッチ)の組みを選択する(ステップS27)。例えば、図17のLab空間の図では、60個の色パッチを選択してLab空間上にプロットしている図が示されている。選択する色パッチの個数(所定数)は60に限られるものではない。距離の近いパッチを選択する方法としては、例えば、第1Lab値と、複数の色パッチの基準測色値(Lab値)における全点との距離を算出し、第1測色値である第1Lab値に対して距離の近い色パッチの基準Lab値(図17では、ハッチングの施されている基準Lab値)を選択する方法等を適用できる。
次に、測色値算出部126は、図18に示すように、メモリテーブルTb1を参照して、選択組の第1Lab値と対になっている撮像基準RGB値、すなわち、選択組の第1Labと同じパッチ番号の撮像基準RGB値(選択RGB値)と基準XYZ値の組み合わせを選択する(ステップS28)。そして、測色値算出部126は、選択した組み合わせ(選択組)の撮像基準RGBと基準XYZの組同士で変換するための選択RGB値線形変換マトリックスを、最小二乗法を用いて求めて、求めた選択RGB値線形変換マトリックスを不揮発性メモリ125に格納する(ステップS29)。
次に、測色値算出部126は、上記のように求めた選択RGB値線形変換マトリックスを用いて、測色対象RGB値から、第2測色値である第2XYZ値を求める(ステップS30)。そして、測色値算出部126は、第2XYZ値を既知の変換式を用いて第2Lab値に変換して(ステップS31)、最終的な測色値として取得する(ステップS32)。
画像形成装置1は、測色値算出部126が求めた測色値を用いて色変換を行った画像データに基づいて画像調整し、画像調整した画像データに基づいて記録ヘッド20を駆動させて画像形成する。
すなわち、本実施形態の画像形成装置1は、色調整処理タイミングにおける記録ヘッド20の出力特性を反映している測色調整シートCSの複数の測色調整色パッチCPを撮像して取得したときの測色対象RGB値から、基準値線形変換マトリックスを用いて初期状態で基準シートKSを撮像したときの第1Lab値を求める。そして、画像形成装置1は、メモリテーブルTb1に登録されている複数色のパッチの基準Labのうち、Lab空間上において第1Lab値に対して距離の近い基準Lab値とのパッチの組みを選択して、選択した基準Lab値に対応する測色対象RGB値を、選択RGB値線形変換マトリックスを用いてLab値に変換することで、Lab測色値を求めている。そして、画像形成装置1は、この求めた測色値を用いて色変換を行った画像データに基づいて画像調整し、画像調整した画像データに基づいて記録ヘッド20を駆動させて画像形成する。
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置1の撮像ユニット30は、開口部32cを有する枠体32と、開口部32cを介して枠体32の外部の被写体を撮像するイメージセンサ部(センサ部)34と、枠体32に配置され、被写体とともにイメージセンサ部34により撮像される基準チャート(基準チャート部)KCと、開口部32cを覆うミスト防止板(カバー部材)40と、を備えている。より具体的には、撮像ユニット30は、被写体と対向する対向面部である底面部32aに、該被写体を撮像するための開口部32cと該開口部32cを通して撮像される被写体とともに撮像されて所定の色基準を提供する基準チャートKCとが設けられている所定の箱形状の枠体32と、被写体および基準チャートKCへ略同じ照明条件で照明する照明光源37と、開口部32cに対向する被写体からの反射光と基準チャートKCからの反射光を受光して該被写体と該基準チャートKCとを撮像するイメージセンサ部34と、開口部32cを覆って、該覆い位置よりも前記枠体32の内側へのミスト(異物)の侵入を防止するミスト防止板40と、を備えている。
したがって、ミスト防止板40による枠体32の開口部32cの覆い位置よりも枠体32の開口部32cの内側へミストが侵入することを防止して、基準チャートKCやイメージセンサ部34等の内部部品を清浄な状態に維持することができ、被写体と色基準チャートKCを常に安定した位置関係で高精度に撮像することができる。
また、本実施形態の画像形成装置1の撮像ユニット30は、底面部32の開口部32cを覆う状態で、光路長変更部材41が設けられているため、基準チャートKCと枠体32外の被写体とを同じ焦点距離で撮像することができる。また、撮像ユニット30は、ミスト防止板40によって、光路長変更部材41にミストが付着することができるとともに、ミストが開口部32cを通して枠体32のより内部に侵入することを防止することができ、基準チャートKCと被写体をより一層高精度に撮像することができる。
さらに、本実施形態の画像形成装置1は、通常の画像形成時および被写体の形成時には、撮像ユニット30の枠体32の開口部32cをミスト防止板40によって覆うようにしている。
したがって、ミストが発生する状況においては、ミスト防止板40によって枠体32の開口部32cの外面よりも内側にミストが侵入することを防止することができ、基準チャートKCと被写体をより一層高精度に撮像することができる。
なお、上記説明では、被写体の撮像時にミスト防止板40を取り外して開口部32cを通して被写体の撮像を行う場合について説明したが、ミスト防止板40の利用形態としては、上記利用形態に限るものではない。例えば、上述のように、ミスト防止板40が透明部材で構成されている場合は、このミスト防止板40を常時撮像ユニット30に装着しておくようにしてもよい。この場合、被写体の撮像を行う前に、撮像ユニット30からミスト防止板40を取り外して、新しく清浄なミスト防止板40と交換したり、装着されていたミスト防止板40を清浄に清掃した後に再度取り付けて、ミスト防止板40を撮像ユニット30に取り付けた状態で被写体の撮像を行なってもよい。
このようにすると、被写体の撮像時においてもミストが枠体32の開口部32cの内部に侵入することを防止することができる。
また、撮像ユニット30は、図19に示すように、開口部32cがポリエステルフィルム(カバー部材)42で覆われていてもよい。なお、図19では、ポリエステルフィルム42を分かりやすく示すために、枠体32から離した状態で描かれているが、実際は、ポリエステルフィルム42は、枠体32の外側面から底面(少なくとも、開口部32cを覆う底面)を覆うとともに、密接した状態で枠体32に取り付けられている。また、上記ミスト防止板40とポリエステルフィルム42を併用するだけでなく、ポリエステルフィルム42のみで開口部32cを覆うように構成してもよい。
この場合、ポリエステルフィルム42は、例えば、t=0.118の薄いフィルム状の透明部材で構成されている。ポリエステルフィルム42としては、例えばマイラ(登録商標)と呼ばれるポリエステルフィルムを利用することができる。被写体の撮像時にポリエステルフィルム42を剥がしたり、複数枚重ねて貼りつけておいて、被写体の撮像時に1枚ずつ剥がして撮像するようにしてもよい。
このようにすると、簡単な構成でミストが枠体32の外面よりも内側に侵入することを防止することができ、光路長変更部材41、イメージセンサ部34および基準チャートKC等の枠体32の内部部品がミストで汚れることを防止して、基準チャートKCと被写体を安定して高精度に撮像することのできる撮像部30を小型で安価なものとすることができる。
さらに、撮像ユニット30は、基準チャートKCと被写体との距離差が十分に小さいときには、図20に示すように、光路長変更部材41を開口部32cに配設することなく、ミストの枠体32の内部への侵入を防止するポリエステルフィルム43を、枠体32内部から開口部32cを覆う状態で設けてもよい。また、図21に示すように、被写体の撮像時にはポリエステルフィルム42を剥がして、ポリエステルフィルム42により開口部32cが塞がれないようにしてもよい。
このように、撮像ユニット30は、光路長変更部材41を省くと、撮像部30を簡単な構成とすることができる。また、ミストの枠体32の開口部32cの外面よりも内側への侵入については、ミスト防止板40によって、また、ポリエステルフィルム43を設けているときには、開口部32cの内面よりも内側への侵入については、該ポリエステルフィルム43によってミストの侵入を防止することができる。その結果、安価かつ簡単な構成で、被写体を高精度に撮像することができる。
また、枠体32内へのミストの侵入防止構成としては、上記構成に限るものではなく、例えば、図22および図23に撮像ユニット50として示すように、一方向から他方向へ巻き取り式ポリエステルフィルム(カバー部材)51を適時に所定量巻き取りを行なって、少なくとも撮像時には、巻き取り式ポリエステルフィルム51の清浄な部分が開口部32cに位置するようにしてもよい。なお、図22および図23において、図4〜図6の撮像ユニット30と同様の構成部分には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
すなわち、撮像ユニット50では、枠体32の主走査方向における開口部32c側の外側面に、送り出しフィルムロール52と、該送り出しフィルムロール52を覆うカバー53が取り付けられている。また、枠体32の主走査方向における基準チャートKC側の外側面には、巻き取りフィルムロール54と、該巻き取りフィルムロール54を覆うカバー55および巻き取りモータ56と、が取り付けられている。これらの送り出しフィルムロール52および巻き取りフィルムロール54は、容易に交換可能に取り付けられている。
巻き取りモータ56は、そのモータ軸にプーリ57が取り付けられており、プーリ57と巻き取りフィルムロール54とがベルト58によって連結されている。巻き取りモータ56は、例えば、上記CPU101の制御下で、図21の時計方向に回転駆動され、ベルト58を介して巻き取りフィルムロール54を時計方向に回転させる。
一方、送り出しフィルムロール52は、巻き取り式ポリエステルフィルム51がロール状に巻き付けられている。巻き取り式ポリエステルフィルム51の先端は、巻き取りフィルムロール54に巻き付けられている。この巻き取り式ポリエステルフィルム51は、上述したポリエステルフィルム42と同様に、例えば、t=0.118の薄いフィルム状の透明部材で構成され、マイラと呼ばれるポリエステルフィルムを利用することができる。
そして、撮像ユニット50では、図23に示すように、枠体32の底面部32aの記録媒体P側の面に、主走査方向に延在するL字状の溝部32gが形成されており、該溝部32g内を巻き取り式ポリエステルフィルム51が通過する。なお、巻き取り式ポリエステルフィルム51を枠体32の底面部32aを主走査方向に通過させる方法としては、L字状の溝部32gを形成する方法に限るものではなく、例えば、巻き取り式ポリエステルフィルム51が通過可能な主走査方向の貫通穴を形成して、該貫通孔内に巻き取り式ポリエステルフィルム51を通過させるようにしてもよい。
撮像ユニット50は、この枠体32の底面部32aに、イメージセンサ部34を挟んで開口部32cと対象の位置に、開口部32cと略同じ大きさの凹部32hが形成されており、該凹部32h内に着脱可能に挿入されている状態で基準チャートKCが取り付けられている。
凹部32hへの基準チャートKCの取り付け方法としては、例えば、枠体32の副走査方向(A方向と直交する方向)の側壁面に、図22に破線で示すように、凹部32hを開閉可能な開閉扉59を設け、該開閉扉59を開けて基準チャートKCを凹部32h内に装着または取り外すようにしてもよい。また、凹部32hへの基準チャートKCの取り付け方法としては、基板31を枠体32から外して、上部開放部から凹部32hへの基準チャートKCの取り付けや取り外しを行なってもよい。
したがって、撮像ユニット50は、巻き取りフィルムロール54が巻き取りモータ56によってベルト58を介して時計方向に回転されると、巻き取りフィルム53が、図22に矢印fで示すように、送り出しフィルム51から送り出される巻き取り式ポリエステルフィルム51を巻き取る。
この撮像ユニット50は、被写体の撮像時に、巻き取り式ポリエステルフィルム51を所定の1ステップ分巻き取ることで、巻き取り式ポリエステルフィルム51の清浄な部分を開口部32cの位置に位置させた状態として、枠体32外の被写体の撮像を行なう。
この1ステップ分は、例えば、開口部32cの主走査方向の長さ+α分である。αの長さは、巻き取り式ポリエステルフィルム51の送り誤差や開口部32c近辺に位置していて汚れが存在しているおそれのある領域が開口部32cから外れるのに十分な移動量として設定される。
そして、画像形成装置1は、画像形成時におけるインク使用量やインク吐出時間等を考慮して、撮像に際して、1ステップ分巻き取りモータ56を駆動させて、巻き取りフィルムロール54によって巻き取り式ポリエステルフィルム51を巻き取る。なお、記録媒体Pのジャム時等のようにインクが巻き取り式ポリエステルフィルム51に付着したり、測色データが大きく異なる等の異常時には、CPU101は、自動的に、巻き取りモータ56を回転駆動させて巻き取り式ポリエステルフィルム51を1ステップ分だけ巻き取らせてもよい。
また、撮像ユニット50の枠体32内の開口部32c上には、該開口部32cを塞ぐ状態で、上記同様の光路長変更部材41が配設されている。
したがって、基準チャートKCと開口部32cを通した枠体32外の被写体とを高精度に撮像することができる。
さらに、撮像ユニット50では、基準チャートKCを枠体32の底面部32aに形成した凹部32hに装着しているため、基準チャートKCと開口部32cを通して記録媒体P上の被写体との撮像距離を近づけることができ、高精度に基準チャートKCと被写体を撮像することができる。
このようにすると、被写体の撮像に際して、巻き取り式ポリエステルフィルム51を1ステップ分だけ巻き取った後に、撮像を行なうことで、枠体32内へのミストの侵入を確実に防止することができるとともに、常に、巻き取り式ポリエステルフィルム51の清浄な部分を通して被写体を撮像することができ、基準チャートKCと被写体を高精度に撮像することができる。
なお、撮像ユニット50は、図22および図23では、枠体32内に光路長変更部材41が配設されている場合について示しているが、基準チャートKCと被写体との距離差がレンズ36の焦点深度内であれば、図24に示すように、光路長変更部材を省いてもよい。この場合、図23に示すように、開口部32cを塞ぐ状態で、ポリエステルフィルム43を設けて、枠体32cの開口部32cを通してミストが枠体32内に侵入して基準チャートKCやイメージセンサ部34を汚損することを防止してもよいし、ミストの状態によっては、ポリエステルフィルム43を設けなくてもよい。
また、枠体32内へのミストの侵入防止構成としては、上記構成に限るものではなく、例えば、図25〜図29に撮像ユニット60として示すように、開口部32cを開閉可能なシャッタ60を枠体32の底面部32aに配設して、少なくとも通常の画像形成時や測色調整シートCSの測色調整色パッチCPの形成時には、シャッタ61を開口部32cが閉じる方向に移動させるようにしてもよい。なお、図22〜図26において、図4〜図6の撮像ユニット30と同様の構成部分には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
すなわち、撮像ユニット60では、図25および図26に示すように、シャッタ(カバー部材)61が主走査方向(A方向)に移動して開口部32cを開閉可能に枠体32の底面部32aに支持されている。シャッタ61は、例えば、図25のA−A矢視断面図である図29に示すように、底面部32aの下面に、主走査方向に延在して一対形成されているL字状の溝部32iに、シール62を介して主走査方向に移動可能に支持されている。この溝部32iは、図25および図26に示すように、枠体32の基準チャートKC側の側面に対して開口しているが、開口部32c側では、開口部32cを通過して所定量枠体32内に入り込んだ状態で終了して開口部32c側の枠体32の側面に対しては、開口していない。
シャッタ61は、例えば、t=1の熱可塑性樹脂(ABS樹脂:アクリロニトリル(Acrylonitrile)、ブタジエン(Butadiene)、スチレン(Styrene)共重合合成樹脂)等で形成されている。シャッタ61は、少なくとも、開口部32cの位置に移動して溝部32iの開口部32c側の端面に突き当たったときに、該開口部32cを塞いで、紙粉やインク粉等のミストが開口部32cの外面よりも内側に入り込むことを防止することのできる大きさに形成されている。
主走査方向であってシャッタ61の基準チャートKC側の側端面には、図25〜図29に示すように、一対の圧縮スプリング(付勢手段)63の一端がそれぞれ固定されている。圧縮スプリング63の他端は、枠体32の底面部32aの下面であって、副走査方向の両端部に一対形成されている溝32iと溝32iとの間に形成されているストッパ64に固定されている。
したがって、シャッタ61は、圧縮スプリング63によって開口部32c方向に所定の付勢力で常時付勢されている。
さらに、主走査方向であってシャッタ61の基準チャートKC側の側端面には、図25〜図29に示すように、一対の薄平板65の一端がそれぞれ固定されている。薄平板65の他端は、枠体32の主走査方向であって基準チャートKC側の側面にカバー66を介して取り付けられている巻き取りローラ67に係止めされて巻かれている。
巻き取りローラ67は、プーリ68の回転軸に連結されている。プーリ68は、ベルト69によって、プーリ70に連結されている。プーリ70は、枠体32の側面に固定されている巻き取りモータ71の回転軸に固定されている。巻き取りモータ71によってプーリ70が回転駆動されると、ベルト69を介してプーリ68が回転して、巻き取りローラ67が同じ方向に回転する。
撮像ユニット60は、巻き取りローラ67が時計方向に回転すると、薄平板65を巻き付けて、シャッタ61を開口部32cから引き寄せ、開口部32cを開く。
撮像ユニット60は、巻き取りローラ67が反時計方向に回転すると、薄平板65を解き放して、圧縮スプリング63の付勢力が、シャッタ61を開口部32c方向に移動させ、開口部32cを塞ぐ。すなわち、上記薄平板65、カバー66、巻き取りローラ67、プーリ68、ベルト69、プーリ70および巻き取りモータ71は、全体として、カバー部材であるシャッタ61を、付勢手段である圧縮スプリング63の付勢力に抗して開口部32cから外れた位置に移動させる移動駆動部(移動駆動手段)72として機能している。
そして、撮像ユニット60は、底面部32aの開口部32cが形成されている部分に、該開口部32cを塞ぐ状態で、上記同様の光路長変更部材41が配設されている。
この撮像ユニット60は、少なくとも通常の画像形成時や測色調整シートCSの測色調整色パッチCPの形成時には、CPU101等の制御下で、巻き取りモータ71の駆動を解除または反時計方向に回転駆動させることで、圧縮スプリング63によってシャッタ61が開口部32cを塞ぐ(覆う)位置まで移動させている。これにより、画像形成動作等によって光路長変更部材41がミストによって汚れることを防止することができる。
そして、撮像ユニット60は、少なくとも被写体の撮像タイミングになると、CPU101等の制御下で、巻き取りモータ71を駆動させて、巻き取りローラ67を時計方向に回転させ、圧縮スプリング63の付勢力に抗して薄平板65を巻き取りローラ67で巻き取って、シャッタ61を開口部32cの位置から基準チャートKCの下方位置(開口部32cから外れた位置)へと移動させて、開口部32cを解放する。
すなわち、撮像ユニット60は、通常の画像形成時や測色調整シートCSの測色調整色パッチCPの形成時において、記録ヘッド20がインクを吐出する前に、圧縮スプリング63によって、シャッタ61を、開口部32cを塞ぐ位置(第1の位置)に移動させる。そして、撮像ユニット60は、少なくとも、記録ヘッド20がインクを吐出してからミストの浮遊が収まるまでの時間として予め定められた所定時間が経過した後、被写体の撮像タイミングになると、圧縮スプリング63の付勢力に抗して薄平板65を巻き取りローラ67で巻き取って、シャッタ61を、開口部32cから外れた位置(第2の位置)に移動させて、開口部32cを開放する。したがって、撮像ユニット60は、清浄な状態の基準チャートKCおよび清浄な状態の光路長変更部材41を通して枠体32外の測色調整シートCS等の被写体を高精度に撮像することができ、高精度に測色処理を行なうことができる。
なお、撮像ユニット60は、基準チャートKCと被写体との距離差が十分に小さいときには、図30および31に示すように、光路長変更部材41を開口部32cに配設することなく、ミストの枠体32の内部への侵入を防止するポリエステルフィルム43を、枠体32内部から開口部32cを覆う状態で設けてもよい。また、図31に示すように、光路長変更部材41やポリエステルフィルム43を設けずに、シャッタ61のみで開口部32cを塞ぐ構成としてもよい。
このように、光路長変更部材41を省くと、撮像ユニット60を簡単な構成とすることができ、また、ミストの枠体32の開口部32cの外面よりも内側への侵入については、シャッタ61によって、また、ポリエステルフィルム43を設けているときには、開口部32cの内面よりも内側への侵入については、該ポリエステルフィルム43によってミストの侵入を防止することができる。その結果、安価かつ簡単な構成で、被写体を高精度に撮像することができる。
なお、撮像ユニット60は、上述したように、少なくとも通常の画像形成時や測色調整シートCSの測色調整色パッチCPの形成時にシャッタ61が開口部32cを塞ぎ、被写体を撮像する際にはシャッタ61を開口部32cから外れた位置に移動させて、開口部32cを開放するようにしている。しかし、撮像ユニット60は、通常の画像形成時や測色調整シートCSの測色調整色パッチCPの形成時だけでなく、キャリッジ6に搭載された記録ヘッド20がインクを空吐出する際にも、シャッタ61で開口部32cを塞ぐように構成することが望ましい。
記録ヘッド20は、上述したように、維持機構部12によって、吐出面の清掃、キャッピング、不要なインクの吐出等が行われることで、信頼性の維持が図られる。ここで、維持機構部12の詳細について、図32および図33を参照して説明する。図32は、維持機構部12を含む画像形成装置1の平面図である。図33は、維持機構部12を拡大して示す側面図である。なお、図2を用いて説明した部分と共通部分には同一の符号を付して、重複した説明を適宜省略する。
図32に示すように、本実施形態の画像形成装置1では、主走査方向(図中矢印A方向)の一方側の非印字領域(キャリッジ6が移動可能な領域であるが印字が行われない領域)に、維持機構部12が配置されている。
この維持機構部12は、記録ヘッド20の各ノズル面をキャピングするためのキャップ130a〜130d(以下、これらを特に区別しないときはキャップ130という。)と、ノズル面をワイピングするためのワイパーブレード131と、記録ヘッド20がインクの空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け132等を備えている。ここでは、キャップ130aがインクの吸引とノズル面の保湿の双方を行う吸引用キャップであり、他のキャップ130b〜130dがノズル面の保湿のみを行う保湿用キャップであるものとしている。
また、本実施形態の画像形成装置1では、走査方向の他方側の非印字領域に、記録ヘッド20が空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け133が配置されている。この空吐出受け133には記録ヘッド20のノズル列方向に沿った開口133a〜133dが設けられている。
本実施形態の画像形成装置1では、印字(画像形成)待機中にはキャリッジ6が維持機構部12の位置で待機する。このとき、キャリッジ6に搭載された各記録ヘッド20のノズル面はキャップ130によりキャッピングされる。これにより、ノズル面の湿潤状態が保たれて、インクの乾燥による吐出不良が防止される。また、キャップ130aでキャッピングされた記録ヘッド20に対しては、吸引ポンプによってノズルから増粘したインクや気泡を吸引して排出するインク吸引動作が行われる。また、本実施形態の画像形成装置1では、画像形成の開始前や画像形成の途中などに、記録ヘッド20が不要なインクを吐出する空吐出動作を行う。これによって、記録ヘッド20の安定した吐出性能が維持されるようにしている。
図33に示すように、キャップ130aおよびキャップ130bは、キャップホルダ134Aにより保持されている。また、キャップ130cおよびキャップ130dは、キャップホルダ134Bにより保持されている。また、ワイパーブレード131は、ブレードホルダ135により保持されている。
キャップ130aには、可撓性チューブ136を介して吸引ポンプ137が接続されている。このため、キャップ130aでキャッピンされる記録ヘッド20に対しては、吸引ポンプ137を作動させることによりインク吸引動作を行うことができる。したがって、インク吸引動作が必要な記録ヘッド20を、キャップ130aによってキャッピング可能な位置に選択的に移動させてインク吸引動作を行うことで、当該記録ヘッド20の信頼性を回復させることができる。
キャップホルダ134A,134Bの下方には、フレーム138に回転自在に支持されたカム軸139が配置されている。このカム軸139には、キャップホルダ134A,134Bを昇降させるためのキャップカム140A,140Bと、ブレードホルダ135を昇降させるためのワイパーカム141とが、それぞれ連結されている。
また、吸引ポンプ137およびカム軸139を回転駆動するために、モータ142が設けられている。モータ軸142の回転軸142aには、モータギヤ145が設けられている。また、吸引ポンプ137の回転軸137aには、ポンプギヤ146が設けられている。そして、モータギヤ145とポンプギヤ146とが噛み合わされて、モータ142の回転が吸引ポンプ137に伝達される構成となっている。
また、吸引ポンプ137の回転軸137aには、ポンプギヤ146と一体に中間ギヤ147が設けられている。この中間ギヤ147は、中間ギヤ148を介して、一方向クラッチ149付きの中間ギヤ150が噛み合わされている。また、この中間ギヤ150と同軸の中間ギヤ151に、中間ギヤ152を介して、カム軸139に固定されたカムギヤ153が噛み合わされている。
この維持機構部21においては、モータ142が正転することによってモータギヤ145、ポンプギヤ146、中間ギヤ147、中間ギヤ148、中間ギヤ149までが回転し、吸引ポンプ137の回転軸137aが回転することで吸引ポンプ137が作動して、キャップ130a内を吸引する。これにより、キャップ130aでキャッピングされた記録ヘッド20から増粘したインクや気泡が吸引され、排出される。このとき、中間ギヤ151、中間ギヤ152、およびカムギヤ153は、一方向クラッチ149によってモータ142の回転の伝達が遮断されるので、回転(作動)しない。
一方、モータ142が逆転する場合には、一方向クラッチ149が連結されるので、モータ142の回転が、モータギヤ145、ポンプギヤ146、中間ギヤ150、中間ギヤ151および中間ギヤ152を介して、カムギヤ153に伝達され、カムギヤ153が回転する。このカム軸213の回転によって、キャップカム140A,140Bおよびワイパーカム141がそれぞれ所定のタイミングで上昇、下降する。これにより、記録ヘッド20のキャッピングやワイパーブレード131によるノズル面のワイピングが行われる。なお、記録ヘッド20のノズル面をワイピングは、ワイパーブレード131を上昇させた状態にして、記録ヘッド20をワイパーブレード131に相対的に移動させることによって行う。
本実施形態の画像形成装置1では、上述したように、キャリッジ6に取り付けられた撮像ユニット60により被写体を撮像して、被写体の測色値を算出する構成である。このため、撮像ユニット60により被写体を撮像している間は、キャリッジ6を維持機構部12の位置に待機させることはできず、キャリッジ6に搭載された記録ヘッド20を維持機構部12のキャップ130によりキャッピングすることができない。つまり、撮像ユニット60により被写体を撮像している間は、記録ヘッド20のキャッピングによりノズルを湿潤状態に保ってインク乾燥による吐出不良を防止することができない。
測色の対象となる被写体は、主に、画像形成装置1が記録媒体Pに形成したテストパターンに含まれる多数のパッチである。このため、キャリッジ6に搭載された記録ヘッド20は、撮像ユニット60によって多数のパッチがすべて撮像されるまでの間、キャップ130によるキャッピングが行われないことになる。そこで、本実施形態の画像形成装置1では、記録ヘッド20をキャッピングせずにノズルの湿潤状態を保つために、撮像ユニット60によって多数のパッチを撮像する間に、予め定められたタイミングで、記録ヘッド20からインクを空吐出させる。なお、記録ヘッド20からインクを空吐出させるタイミングは、タイマ等で計測する一定時間が経過したタイミングであってもよいし、環境(例えば温度や記録ヘッド20の使用状況)に応じて変更される可変のタイミングであってもよい。
通常の画像形成時や測色調整シートCSの測色調整色パッチCPの形成時には、上述したように、記録ヘッド20がインクを吐出することに伴ってミストが発生する。同様に、画像形成装置1の色調整時(撮像ユニット60による被写体の撮像時)においても、記録ヘッド20からインクを空吐出させる場合には、ミストが発生する。このため、撮像ユニット60は、通常の画像形成時や測色調整シートCSの測色調整色パッチCPの形成時だけでなく、画像形成装置1の色調整時においても、記録ヘッド20からインクを空吐出させる場合にはシャッタ61で開口部32cを塞ぎ、開口部32cから枠体32の内部へミストが侵入することを防止することが望ましい。そして、インクの空吐出が終わった後、ミストの浮遊が収まるまでの時間として予め定められた所定時間が経過した後に、シャッタ61を開口部32cから外れた位置に移動させて開口部32cを開放し、次のパッチの撮像を再開させることが望ましい。
このように、通常の画像形成時や測色調整シートCSの測色調整色パッチCPの形成時だけでなく、キャリッジ6に搭載された記録ヘッド20がインクを空吐出する際にも、シャッタ61で開口部32cを塞ぐように撮像ユニット60を構成することで、撮像ユニット60の内部部品が汚れることによる撮像不良をより効果的に抑制し、高精度に測色処理を行なうことができる。
また、本実施形態の画像形成装置1では、撮像ユニット60により被写体を撮像する間に、キャリッジ6を微駆動させることにより、記録ヘッド20に振動を与えるようにしてもよい。これにより、キャッピングされていない状態の記録ヘッド20のインクが乾燥するまでの時間を延ばすことができ、インクの空吐出の頻度を低下させることができる。
なお、上記の実施形態においては、測色処理を、画像形成装置1の測色制御部106が行なっているが、測色処理は、画像形成装置1内部で実行する必要はない。例えば、図34に示すように、画像形成システム(測色システム)200として、画像形成装置210が、外部装置220に接続されている場合、画像形成装置210で撮像した画像データを外部装置220に出力し、該外部装置220が測色処理を伴う色調整処理を行うようにしてもよい。この場合、外部装置220が、色調整後の画像データを画像形成装置210に出力する。そして、画像形成装置210が、外部装置220からの画像データに基づいて画像形成する。
すなわち、画像形成装置210は、エンジン211、操作表示部212、I/F部213およびその他のI/F部214等を備えており、各部は、バス215により接続されている。また、外部装置220は、例えば、通常のハードウェア構成とソフトウェア構成のコンピュータ等を用いることができ、ソフトウェアとして本実施例の測色処理を伴う色調整処理を実行する測色プログラムを含む色調整プログラムを導入することで、測色処理を伴う色調整処理を実行する。外部装置220は、CPU221、メモリ部222、画像処理部223、通信I/F部224およびI/F部225等を備えており、各部は、バス226により接続されている。メモリ部222は、ROM227、RAM228およびハードディスク(HDD)229等を備えている。
画像形成装置210は、I/F部213により回線230により外部装置220に接続されている。回線230は、専用線、LAN(Local Area Network)等のネットワーク、インターネット等であって、有線であっても、無線であってもよい。
画像形成装置210は、外部装置220の制御下で、外部装置220から送られてくる画像データに基づいてエンジン211で、記録媒体に画像を形成出力する。エンジン211は、インク噴射方式等で記録媒体に画像を形成する。操作表示部212は、各種操作キーおよびLCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイ等を備えていて、画像形成装置210の動作に必要な各種操作が操作キーによって行われるとともに、画像形成装置210からユーザに通知する各種情報をディスプレイに表示出力する。その他I/F部214は、拡張ユニットの接続等に使用される。
エンジン211は、上記実施形態で説明したと同様の主走査方向に移動するキャリッジを備えている。該キャリッジに、上記撮像ユニット30が取り付けられている。画像形成装置210は、外部装置220のCPU221の制御下で、外部装置220から送られてくる測色調整色パッチCPの色パッチデータに基づいて記録媒体に、該測色調整パッチCPを形成して測色調整シートCSを生成する。画像形成装置210は、生成した測色調整シートCSの測色調整パッチCPを撮像ユニット30で読み取って、I/F部213を介して外部装置220に送信する。
外部装置220は、画像形成装置210の動作制御を行う画像形成制御プログラムや本実施例の測色処理を伴う色調整処理を行なう色調整プログラムおよび必要なデータがハードディスク229またはROM227に格納されている。CPU221がROM227またはハードディスク229内のプログラムに基づいて画像形成装置210を制御することで、画像形成装置210としての基本処理を実行させるとともに、本実施形態の測色処理を伴う色調整処理を実行する。
ハードディスク229は、上記プログラムを格納するとともに、色調整処理を実行するのに必要な各種データを格納する。ハードディスク229は、特に、上記の実施形態で説明した基準シートKSに配列形成されている複数の基準色パッチKPの測色結果のLab値とXYZ値のうち、少なくともいずれか、該基準シートKSの基準パッチKPを画像形成装置210の撮像ユニット30で読み取ったときの撮像基準RGB値、基準値線形変換マトリックス、近傍点のテーブルと選択RGB値線形変換マトリックス、基準シートKSと同時に読み取った基準チャートKCの各色パッチの初期基準RGB値RdGdBd、測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを読み取ったときに同時に読み取った基準チャートKCの基準パッチの測色時基準RGB値RdsGdsBdsおよび測色時基準RGB値RdsGdsBdsを初期基準RGB値RdGdBdに変換する基準RGB間線形変換マトリックス等を格納する。
通信I/F部224は、ネットワーク等の回線を介してスキャナ装置、複合装置、他の外部装置等の画像処理装置に接続されており、画像形成装置210に画像出力させる画像データを受信する。
画像処理部223は、画像データに対して画像形成装置210のエンジン211で形成出力するのに必要な各種画像処理を施す。
CPU221は、上述のように、画像形成装置210の動作を制御するとともに、測色制御部106の演算部124、特に、測色値算出部126が実行する測色処理を実行して測色値を求め、該測色値に基づいて画像データに対して色調整を施して、画像形成装置210に出力する。
なお、図32の画像形成システム200では、画像形成装置210の動作を外部装置220が制御しているが、画像形成装置210自体がCPU等のコントローラを備えて、画像形成動作自体については、該コントローラが制御を行い、測色値を求める測色処理のみ、または、測色処理を含む色調整処理についてのみ外部装置220が実行してもよい。
このように、少なくとも画像形成装置210の外部装置で測色処理または測色処理を含む色調整処理を実行すると、安価な画像形成装置210においても安価にかつ適切に色再現性を向上させることができる。
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。