以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
なお、以下で説明する「Lab(Lab値)」は、例えば、CIELAB(CIE 1976 L*a*b*)色空間(の値)を意味する。以下では、説明の便宜のため、「L*a*b*」を「Lab」と表す。本発明は、L*a*b*色空間に限定されるものではなく、L*u*v*色空間等でも構わない。
図1〜図23は、本発明の画像形成装置、測色方法及び測色プログラムの第1実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像形成装置、測色方法及び測色プログラムの第1実施例を適用した画像形成装置1の概略斜視図である。
図1において、画像形成装置1は、本体筐体2が、本体フレーム3上に配設されており、本体筐体2内には、図1に両矢印Aで示す主走査方向に主ガイドロッド4と副ガイドロッド5が張り渡されている。主ガイドロッド4は、キャリッジ6を移動可能に支持しており、キャリッジ6には、副ガイドロッド5に係合してキャリッジ6の姿勢を安定化させる連結片6aが設けられている。画像形成装置1は、主ガイドロッド4に沿って無端ベルト状のタイミングベルト7が配設されており、タイミングベルト7は、駆動プーリ8と従動プーリ9との間に張り渡されている。駆動プーリ8は、主走査モータ10によって回転駆動され、駆動プーリ8は、タイミングベルト7に対して所定の張りを与える状態で配設されている。駆動プーリ8は、主走査モータ10によって回転駆動されることで、その回転方向に応じて、タイミングベルト7を主走査方向に回転移動させる。
キャリッジ6は、タイミングベルト7に連結されており、タイミングベルト7が駆動プーリ8によって主走査方向に回転移動されることで、主ガイドロッド4に沿って主走査方向に往復移動する。
画像形成装置1は、本体筐体2内の主走査方向両端部位置に、カートリッジ部11と維持機構部12が収納されている。カートリッジ部11は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各インクをそれぞれ収納するカートリッジが、交換可能に収納されている。カートリッジ部11の各カートリッジは、キャリッジ6が搭載する記録ヘッド(画像形成手段)20の対応する色の記録ヘッド20y、20m、20c、20k(図2参照)と、図示しないパイプで連結されている。カートリッジ部11は、パイプを通して記録ヘッド20y、20m、20c、20kに対してインクを供給する。なお、以下の説明において、記録ヘッド20y、20m、20c、20kを総称するときには、記録ヘッド20という。
画像形成装置1は、後述するように、キャリッジ6を主走査方向に移動させながら、プラテン14(図2参照)上を、主走査方向と直交する副走査方向(図1の矢印B方向)に間欠的に搬送される被記録媒体P(図2参照)にインクを吐出することで、被記録媒体Pに画像を記録出力する。
すなわち、本実施例の画像形成装置1は、被記録媒体Pを副走査方向に間欠的に搬送し、被記録媒体Pの副走査方向の搬送が停止している間に、キャリッジ6を主走査方向に移動させながら、キャリッジ6に搭載された記録ヘッド20のノズル列からプラテン14上の被記録媒体P上にインクを吐出して、被記録媒体Pに画像を形成する。
維持機構部12は、記録ヘッド20の吐出面の清掃、キャッピング、不要なインクの吐出等を行って、記録ヘッド20からの不要なインクの排出や、記録ヘッド20の信頼性の維持を図っている。
画像形成装置1は、被記録媒体Pの搬送部分を開閉可能に、カバー13が設けられており、画像形成装置1のメンテナンス時やジャム発生時に、カバー13を開けることで、本体筐体2内部のメンテナンス作業やジャムの発生した被記録媒体Pの除去等の作業を行うことができる。
キャリッジ6は、図2に示すように、記録ヘッド20y、20m、20c、20k(本実施例では、図3に示すように配列されている。)を搭載しており、記録ヘッド20y、20m、20c、20kは、それぞれ上記カートリッジ部11の対応する色のカートリッジにパイプで連結されて、それぞれ対応する色のインクを、対向する被記録媒体Pに吐出する。すなわち、記録ヘッド20yは、イエロー(Y)インクを、記録ヘッド20mは、マゼンタ(M)インクを、記録ヘッド20cは、シアン(C)インクを、記録ヘッド20kは、ブラック(K)インクを、それぞれ吐出する。
記録ヘッド20は、その吐出面(ノズル面)が、図1の下方(被記録媒体P側)に向くように、キャリッジ6に搭載されており、被記録媒体Pにインクを吐出する。
画像形成装置1は、タイミングベルト7、すなわち、主ガイドロッド4に平行に、少なくともキャリッジ6の移動範囲に亘ってエンコーダシート15が配設されており、キャリッジ6には、エンコーダシート15を読み取るエンコーダセンサ21が取り付けられている。画像形成装置1は、エンコーダセンサ21によるエンコーダシート15の読み取り結果に基づいて主走査モータ10の駆動を制御することで、キャリッジ6の主走査方向の移動を制御する。
キャリッジ6に搭載されている記録ヘッド20は、図3に示すように、それぞれの記録ヘッド20y、20m、20c、20kが、複数のノズル列で構成されており、プラテン14上を搬送される被記録媒体P上にノズル列からインクを吐出することで、被記録媒体Pに画像を形成する。画像形成装置1では、キャリッジ6の1回の走査で被記録媒体Pに形成できる画像の幅を広く確保するため、キャリッジ6に、上流側の記録ヘッド20と下流側の記録ヘッド20とを搭載している。また、ブラックのインクを吐出する記録ヘッド20kは、黒の印字速度を向上させるために、カラーのインクを吐出する記録ヘッド20y、20m、20cの2倍の数がキャリッジ6に搭載されている。さらに、記録ヘッド20y、20mは、キャリッジ6の往復動作で色の重ね順を合わせて、往路と復路とで色が変わらないようにするために、主走査方向に分割されて隣接する状態で配置されており、記録ヘッド20の各記録ヘッド20y、20m、20c、20kの配置は、図3に示す配置に限るものではない。なお、図3に示す矢印Bは、副走査方向を示している。
キャリッジ6には、図2に示したように、撮像部30が取り付けられており、撮像部30は、後述する色調整処理時に被写体(測色対象物)を測色するために、被写体を撮像する。
撮像部(撮像手段)30は、図4に示すように、キャリッジ6に固定されているプリント基板31上に、光源32と受光素子部33が搭載されている。
光源32は、例えば、LED(Light Emitting Diode)が用いられており、被写体、例えば、被記録媒体Pに記録出力された測色調整色パッチCPに読取光を照射して、その反射光(乱反射光または正反射光)が受光素子部33に入射される。光源32は、図5に示すように、被記録媒体Pに形成される測色調整色パッチCPを取り囲むように、4つ配置されており、測色調整色パッチCPに均一な読取光を照射する。
受光素子部33は、CCD(Charge Coupled Device )センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor )センサ等の2次元イメージセンサ34とレンズ35を備えている。受光素子部33は、光源32から測色調整色パッチCPに出射された読取光の反射光を、レンズ35を通して2次元イメージセンサ34に入射させ、2次元イメージセンサ34が画像データを出力する。
撮像部30は、光源32から測色調整色パッチCP等の被写体に照射された読取光が、該測色調整色パッチCPで反射された反射光を受光素子部33で光電変換し、後述するように、クロックに同期させてVDATA及び制御信号(HREE、VSYNC)を出力する。
また、画像形成装置Gkは、図1に示した維持機構部12の設けられているノズル詰まり解消動作位置に、図6〜図8に示すようなノズル状態検出部40が配設されている。
ノズル状態検出部(画像欠損検出手段)40は、維持機構部12のノズル詰まり解消時にインクを吐出する位置に設けられている廃液タンク12aを挟んで、発光部(発光手段)41と受光部(受光手段)42が配設されている。ノズル状態検出部40は、廃液タンク12aの真上の位置まで主走査方向に移動してきたキャリッジ6に搭載されている記録ヘッド20y、20m、20c、20kの各ノズルから廃液タンク12aに向かって吐出されるインクの有無と方向及び量を検出する。すなわち、ノズル状態検出部40の発光部41は、LD(Laser Diode:レーザーダイオード)等の発光素子41a、コリメートレンズ41b及びアパーチャ41c等を備えており、受光部42は、PD(Photodiode:フォトダイオード)等が用いられている。発光部41は、LD41aからの出射光を、コリメートレンズ41bによって平行光にし、アパーチャ41cによって主走査方向に対して所望の幅の検出光に整形して主走査方向に出射する。受光部42は、発光部41に対して主走査方向の位置から上記検出光の幅よりも副走査方向に位置ずれした状態で配置されており、図8に示すように、記録ヘッド20y〜20kの各ノズルから吐出されたインク滴によって乱反射された乱反射光が入射される。受光部42は、乱反射光が入射されると、そのPDが入射光の光量に応じた値の検出信号Soを出力する。すなわち、ノズル状態検出部40は、発光部41から主走査方向に出射された検出光が、記録ヘッド20y〜20kのノズルから出射されたインク滴によって乱反射された乱反射光を、受光部42が検出して検出信号Soを出力する、いわゆる散乱光検知方式のノズル状態検出部である。
そして、画像形成装置1は、図9に示すようにブロック構成されており、CPU51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53、不揮発性メモリ54、主走査ドライバ55、記録ヘッドドライバ56、紙搬送部57及び副走査ドライバ58等を備えている。また、キャリッジ6は、上記記録ヘッド20、エンコーダセンサ21、撮像部30等を備えているとともに、カメラコントローラ60を搭載している。
ROM52は、画像形成装置1としての基本プログラム及び測色プログラムと色調整プログラム等のプログラム及び必要なシステムデータ等を記憶する。
CPU51は、ROM52内のプログラムに基づいて、RAM53をワークメモリとして利用しつつ、画像形成装置1の各部を制御して、画像形成装置1としての基本処理を実行する。また、CPU51は、ROM52内の測色プログラム及び色調整プログラムに基づいて、測色対象の一部に不正画像がある場合にも撮像部30が撮像したRGB値に基づいて色調整用の測色値を求めて、該測色値に基づいて、画像形成時における色調整処理を正確に実行する。CPU51は、キャリッジ6及び紙搬送部57の制御においては、エンコーダセンサ21からのエンコーダ値に基づいて主走査ドライバ55の駆動を制御して、キャリッジ6主走査方向の移動を制御する。また、CPU51は、副走査ドライバ58を介して、図示しない副走査モータや搬送ローラ等の紙搬送部57の駆動を制御する。さらに、CPU51は、記録ヘッドドライバ56を介して、記録ヘッド20によるインクの吐出タイミング及びインク吐出量を制御する。また、CPU51は、LEDドライバ47を制御して、撮像部30の点灯駆動を制御する。
さらに、CPU51は、ノズル状態検出部40からの各記録ヘッド20y〜20kのノズル状態を検出した検出信号Soが入力され、該検出信号Soから記録ヘッド20y〜20kの各ノズルの状態情報であるノズル欠損情報を取得する。CPU51は、取得したノズル欠損情報を不揮発性メモリ54に格納するとともに、カメラコントローラ60に送信する。また、CPU51は、カメラコントローラ60から撮像部30の撮像した測色結果を取得する。さらに、CPU51は、ノズル抜け検出用のパターンデータ(画像欠損検出用パターン画像)によるノズル抜け検出駆動信号を、記録ヘッドドライバ56へ出力して、記録ヘッド20y〜20kの各ノズルからノズル抜け検出用(ノズル欠損画像検出用)にインク滴の吐出を行わせる。また、CPU51は、測色調整色パッチCPの記録出力時に、ノズル欠損情報に基づいて、欠損ノズルからのインク滴の吐出を停止させて測色調整色パッチCPを形成させるノズル欠損対応測色データを記録ヘッドドライバ56に出力して、記録ヘッド20y〜20kにノズル欠損対応測色調整色パッチCPを被記録媒体Pに形成させる。
そして、CPU51は、後述するように、画像形成手段である記録ヘッド20によって被記録媒体Pに形成された適宜の測色対象の被写体を所定の撮像範囲にわたって撮像する撮像手段撮像手段である撮像部30による該撮像範囲のうち、ノズル状態検出部40の検出した欠損範囲を除外した範囲を有効撮像範囲として、該有効撮像範囲の該撮像部30による撮像結果に基づいて測色を行う測色手段として機能している。
撮像部30は、上述したように、画像を記録出力する際の画像データの色を、ユーザの意図する色に正確に再現する色調整用の測色値を生成するために、測色時に被記録媒体Pに記録ヘッド20によって形成されたパッチ画像PGを撮像して、撮像したRGB値をCPU51に出力する。
また、CPU51は、ノズル状態検出部40の受光部42の出力する検出信号Soに基づいて画像の欠損状態(ノズル欠損(欠損画像))を判断し、欠損判断手段として機能する。
そして、カメラコントローラ60は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等で構成され、図10に示すように、ブロック構成されている。カメラコントローラ60は、サブCPU61、データ記憶メモリ62、SRAM(Static Random Access Memory)63、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)コントローラ64、I2C(Inter-Integrated Circuit:IスクウェアC)コントローラ65、上位CPUI/F66、VIDEO I/F67及び選択/平均化部68等を備えており、各部は、バス69によって接続されている。カメラコントローラ60と撮像部30の光源32との間には、ドライバ70が配設されている。カメラコントローラ60は、撮像部30、特に、2次元イメージセンサ34における撮影動作、自動露出(AE)動作、自動ホワイトバランス(AWB)調整動作やAF動作、表示等の制御を行い、また、各種制御のための情報入力手段の一つとして内蔵のA/D変換器(ADC)を用いてアナログ情報の把握を行う。
そして、撮像部30の撮像結果に基づいて画像の欠損状態を検出する場合には、サブCPU61は、ROM52内のプログラムに基づいてSRAM63をワークメモリとして利用して、撮像部30の2次元イメージセンサ34から送られてくる画像データに対して、後述するマトリクス演算を行なって欠損ノズルを特定する。したがって、サブCPU61は、画像欠損検出用パターン画像を撮像部30によって撮像させて、該撮像部30の出力するパターン画像データに基づいて、画像の欠損状態を検出する欠損画像判断手段として機能している。この場合、CPU51は、被記録媒体Pに所定の画像欠損検出用パターン画像を記録ヘッド20に形成させ、パターン画像形成制御手段として機能する。
VIDEO I/F67は、2次元イメージセンサ34からクロック(PCLK)に同期して入力されるVIDEO DATA(VDATA)及び制御信号(HREF、VSYNC)を受信し、選択部/平均化処理部68へ出力する。なお、VIDEO DATA(VDATA)は、以下の説明では、適宜、画像データまたはデータという。
選択部/平均化処理部68は、その選択部が、受信したデータ(VIDEO DATA)から所望の位置のデータを選択し、平均化処理部が、該選択データを平均化する。選択部/平均化処理部68は、後述するように、色調整処理時に、データにノズル欠損によるドット抜けが発生している場合は、選択部でドット抜けが発生した箇所のデータを非選択にするように制御し、平均化処理部での平均化対象から除外する。
I2Cコントローラ65は、上記CPU51またはサブCPU61からの命令に従って、I2Cコントローラ65で2次元イメージセンサ34のレジスタをセットする。
I2Cコントローラ65が、CPU51またはサブCPU61からのノズル欠損情報に基づいて2次元イメージセンサ34による撮像範囲を変えるようにレジスタを設定することで、予めドット抜けが発生している箇所のデータを除外したデータ(VDATA)をカメラコントローラ67へ出力させる。
PWMコントローラ64は、撮像部30の光源32であるLEDの発光強度を、ドライバ70への駆動信号のPWMのデューティ比を変えることで制御する。
データ記憶メモリ62は、選択部/平均化処理部68が平均化処理したデータ平均値やサブCPU61が演算した計算結果を格納する。
上位CPU I/F66は、データ記憶メモリ62に格納されたデータをCPU51へ送信し、また、ノズル抜けデータ等のカメラコントローラ60における制御に関するパラメータをCPU51から受信する。
そして、CPU51は、不揮発性メモリ(基準値記憶手段)44に予め記憶されている複数色のパッチ(基準色パッチKP:図11参照)の測色値と撮像部30の2次元イメージセンサ34で該基準色パッチKPを撮像したRGB値を対応させて、不揮発性メモリ54のメモリテーブルTb1(図11参照)に記憶し、また、該メモリテーブルTb1から求めた第1線形変換マトリックスを不揮発性メモリ54に記憶させる。さらに、CPU51は、撮像部30の2次元イメージセンサ34が測色調整パッチCP(図12参照)を撮像した測色対象RGB値を第1線形変換マトリックスで測色空間の第1測色値に変換して、複数色のパッチの測色値のうち該第1測色値に近い近傍点のパッチを選択する近傍点テーブル及び該近傍点の選択第1測色値と対となっている撮像基準RGB値を選択して該撮像基準RGB値と基準測色値とを変換する第2線形変換マトリックスを算出して不揮発性メモリ54に記憶し、上記基準測色値テーブル、第1変換マトリックス、近傍点テーブル及び第2線形変換マトリックスを用いて、測色調整色パッチCPのRGB値を測色値に変換する。
すなわち、画像形成装置1は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−RW(Compact Disc Rewritable)、DVD(Digital Versatile Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な被記録媒体に記録されている本発明の測色方法を実行する測色プログラムを読み込んでROM52または不揮発性メモリ54に導入することで、後述する測色対象の一部に不正画像がある場合にも測色を正確に行って色再現性を実現する測色方法を実行する測色装置を備えた画像形成装置1として構築されている。この測色プログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記被記録媒体に格納して頒布することができる。すなわち、撮像部30とCPU51及び不揮発性メモリ54は、全体として、測色装置として機能している。
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の画像形成装置1は、測色対象の一部に不正画像がある場合にも測色を正確に行う。
本実施例の画像形成装置1は、図11に示すように、分光器(測色装置)BSによって、基準シートKSに配列形成されている複数の基準色パッチKPの測色結果としての測色値であるLab値とXYZ値のうち、少なくともいずれか(図11では、Lab値とXYZ値の双方)が、不揮発性メモリ54のメモリテーブルTb1にパッチ番号に対応して格納されている。すなわち、Lab値とXYZ値は、既知の変換式を利用して相互に変換することができるため、いずれかを不揮発性メモリ54に格納することで、他方を求めることができるが、双方を不揮発性メモリ54に格納すると、変換処理を省くことができ、処理速度を向上させることができる。なお、以下の説明では、基準シートKSの基準パッチのLab値または/及びXYZ値を、適宜、基準測色値という。
画像形成装置1は、メモリテーブルTb1に基準測色値が不揮発性メモリ54に格納されている状態で、かつ、画像形成装置1が製造またはオバーフォール等によって初期状態であるときに、上記基準シートKSを画像形成装置1のプラテン14上にセットして、キャリッジ6の移動を制御して撮像部30によって該基準シートKSの分光器BSで読み取ったのと同じ基準色パッチKPを読み取る。画像形成装置1は、基準シートKSの基準色パッチKPを撮像部30によって読み取ると、A/Dコンバータ(ADC)によってデジタル変換したRGB値である撮像基準RGB値、すなわち、デバイスに依存するデバイス依存信号を、図11に示すように、不揮発性メモリ54のメモリテーブルTb1に、パッチ番号に対応させて、すなわち、基準測色値に対応させて格納する。
画像形成装置1は、基準測色値と撮像基準RGB値を不揮発性メモリ54に格納すると、CPU51が、不揮発性メモリ54に格納されている基準測色値のXYZ値と撮像基準RGB値の対、すなわち、同じパッチ番号のXYZ値と撮像基準RGB値の対に対して、相互に変換する第1線形変換マトリックス(基準値線形変換マトリックス)を算出して、算出した第1線形変換マトリックスを不揮発性メモリ54に格納する。
画像形成装置1においては、上記処理を画像形成装置1の初期状態で実行して、実行結果である基準測色値と撮像基準RGB値を不揮発性メモリ54のメモリテーブルTb1に登録した後、第1線形変換マトリックスを算出して、不揮発性メモリ54に格納する。
この状態で、画像形成装置1は、外部から入力される画像データや印刷設定等に基づいて、CPU51が、キャリッジ6の主走査移動制御、紙搬送部57による被記録媒体Pの搬送制御及び記録ヘッド20の駆動制御を行って、被記録媒体Pを間欠的に搬送させつつ、記録ヘッド20の各記録ヘッド20y、20m、20c、20kからのインク吐出を制御して、画像を被記録媒体Pに記録出力する。
このとき、記録ヘッド20y、20m、20c、20kからのインクの吐出量が、経時変化等によって変化することがあり、このインクの吐出量が変化すると、ユーザが意図する画像の色とは異なった色で画像形成されることとなって、色再現性が劣化する。
そこで、画像形成装置1は、所定の色調整処理タイミングで、測色値を求めて外側触知に基づく色調整を行なう色調整処理を実行する。
すなわち、画像形成装置1は、色調整処理タイミングになると、複数の測色調整色パッチ(測色用被写体)CPを、図12に示すように、記録ヘッド20によって被記録媒体Pに形成して測色調整シートCSとして記録出力する。この測色調整シートCSは、複数の測色調整用の色パッチである測色調整色パッチCPが、記録ヘッド20によって形成出力されたものであり、画像形成装置1の色調整処理タイミングにおける出力特性、特に、記録ヘッド20の出力特性を反映した測色調整色パッチCPが形成されている。測色調整色パッチCPの色パッチデータは、予め不揮発性メモリ54に格納されている。
そして、画像形成装置1は、後述するように、この測色調整シートCSの複数の測色調整色パッチCPを撮像したRGB値を測色対象RGB値(測色用RGB値)として、不揮発性メモリ54のメモリテーブルTb1に登録されている基準測色値のうち、該測色対象RGB値に変換した測色値に対して距離的に近い近傍の基準測色値(近傍基準測色値)を選択して、測色対象RGB値を、選択した近傍基準測色値に変換する測色値を求める。画像形成装置1は、該測色値に基づいて色変換を行った後の画像データに基づいて、記録ヘッド20によって画像を出力することで、画像形成装置1による形成画像の色再現性を向上させる。
そこで、画像形成装置1は、この測色調整シートCSがプラテン14上にセットされるか、測色調整シートCSを記録した段階で排紙することなくプラテン14上に保持した状態として、このプラテン14上に位置する測色調整シートCSの複数の測色調整色パッチCPを、キャリッジ6の移動を制御して撮像部30によって撮像する。画像形成装置1は、測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを撮像部30によって撮像すると、撮像部30が搭載しているA/D変換器(図示略)によってデジタル変換したRGB値である測色対象RGB値、すなわち、デバイスに依存するデバイス依存信号を、CPU51が、図12に示すように、不揮発性メモリ54に、格納する(ステップS1)。CPU51は、この測色対象RGB値を、上記第1線形変換マトリックスを用いて(ステップS2)、第1XYZ値に変換して(ステップS3)、不揮発性メモリ54に格納する(ステップS4)。例えば、図12では、CPU51は、撮像部30の測色対象RGB値(3、200、5)を、(20、80、10)の第1XYZ値(第1測色値)に変換して、不揮発性メモリ54に格納している。
CPU51は、第1XYZ値を、不揮発性メモリ54のメモリテーブルTb1を参照して、または、既知の変換式を用いて、第1Lab値(第1測色値)に変換して(ステップS5)、不揮発性メモリ54に格納する(ステップS6)。例えば、図12では、CPU51は、第1XYZ値(20、80、10)を、撮像測色値である第1Lab値(75、−60、8)に変換している。
次に、CPU51は、図12にLab空間で示すように、不揮発性メモリ54に格納されているメモリテーブルTb1の複数色の色パッチの基準測色値(Lab値)を検索して、該基準測色値(Lab値)のうち、Lab空間上において第1Lab値に対して距離の近い色パッチ(近傍色パッチ)の組みを選択する(ステップS7)。例えば、図12のLab空間の図では、60個の色パッチを選択してLab空間上にプロットしている図が示されている。CPU51は、この距離の近いパッチを選択する方法として、例えば、第1Lab値と、複数の色パッチの基準測色値(Lab値)における全点との距離を算出し、第1測色値である第1Lab値に対して距離の近い色パッチの基準Lab値(図12では、ハッチングの施されている基準Lab値)を選択する方法を用いる。
次に、CPU51は、図13に示すように、メモリテーブルTb1を参照して、選択組の第1Lab値と対になっている撮像基準RGB値、すなわち、選択組の第1Labと同じパッチ番号の撮像基準RGB値(選択RGB値)と基準XYZ値の組み合わせを選択する(ステップS8)。CPU51は、選択した組み合わせ(選択組)の撮像基準RGBと基準XYZの組同士で変換するための第2線形変換マトリックスを、最小二乗法を用いて求めて、求めた第2線形変換マトリックスを不揮発性メモリ54に格納する(ステップS9)。
CPU51は、測色対象である測色調整シートCSの各測色調整色パッチCPを撮像部30で撮像してA/Dコンバータでデジタル変換した測色対象RGB値を、該第2線形変換マトリックスを用いて第2測色値である第2XYZ値を求める(ステップS10)。CPU51は、第2XYZ値を既知の変換式を用いて第2Lab値に変換して(ステップS11)、最終的な測色値として取得する(ステップS12)。
CPU51は、この求めた測色値を用いて色変換を行った画像データに基づいて画像調整し、画像調整した画像データに基づいて記録ヘッド20を駆動させて画像形成する。
すなわち、本実施例の画像形成装置1は、色調整処理タイミングにおける記録ヘッド20の出力特性を反映している測色調整シートCSの複数の測色調整色パッチCPを撮像して取得したときの測色対象RGB値を、第1線形変換マトリックスを用いて初期状態で基準シートKSを撮像したときの第1Lab値を求めて、メモリテーブルTb1に登録されている複数色のパッチの基準Labのうち、Lab空間上において第1Lab値に対して距離の近い基準Lab値とのパッチの組みを選択して、選択した基準Lab値に対応する測色対象RGB値を、第2線形変換マトリックスを用いてLab値に変換することで、Lab測色値を求めている。そして、CPU51は、この求めた測色値を用いて色変換を行った画像データに基づいて画像調整し、画像調整した画像データに基づいて記録ヘッド20を駆動させて画像形成する。
ところが、上記測色調整色パッチCPを形成する際に、記録ヘッド20y〜20kのノズルの一部が詰まっていたり、噴射量が極端に少ない、あるいは、噴射方向が異常に曲がっている等のノズル異常(以下、ノズル欠損という。)が発生していると、上記色調整処理をそのまま行うと、正確な測色値を得ることができず、色調整の正確性を確保することができない。
そこで、本実施例の画像形成装置1は、上記色調整処理の前後のうち、少なくともいずれかのタイミングで、ノズル状態検出部40によって記録ヘッド20y〜20kの各ノズルに欠損が存在するか否か、すなわち、形成される画像に欠損があるか否か検査するノズル状態検出処理(画像欠損状態検出処理)を行う。そして、画像形成装置1は、少なくとも欠損の存在しているノズルの形成する測色調整色パッチCP部分を、測色調整値から除外して、色調整を行う。
画像形成装置1は、このノズル状態検出処理では、CPU51の制御下で、キャリッジ6を調整機構12の位置まで移動させる。CPU51は、記録ヘッドドライバ56を介して、記録ヘッド20y〜20kの各ノズルから適宜の順番及び適宜の数ずつインク滴を廃液タンク12aに向かって吐出させるとともに、ノズル状態検出部40の動作を制御して、ノズル欠損の有無状態の検出を行う。すなわち、ノズル状態検出部40は、図6〜図8に示したように、発光部41が、ノズルから吐出されるインク滴に向かって検出光を出射し、インク滴で乱反射された乱反射光を受光部42に入射させる。受光部42は、入射光量に応じた検出信号SoをCPU51に出力する。
CPU51は、記録ヘッドドライバ56を介した記録ヘッド20y〜20kの駆動ノズルと検出信号Soに基づいて記録ヘッド20y〜20kのノズルのうち、どのノズルに欠損が発生しているかを検出し、検出したノズル欠損情報を不揮発性メモリ54に格納する。
そして、CPU51は、検出して不揮発性メモリ54に格納したノズル欠損情報を、カメラコントローラ60に渡す。
カメラコントローラ60は、CPU51から受け取ったノズル欠損情報をデータ記憶メモリ62に格納して、色調整処理におけるデータ処理に利用する。
すなわち、カメラコントローラ60は、色調整処理時、ノズル欠損情報をデータ記憶メモリ62から読み出して、測色調整色パッチCPに基づく測色対象RGB値の対象から除外して、測色値の取得を行う。
例えば、画像形成装置1は、記録ヘッド20y〜20kによって色パッチデータに基づいて測色調整色パッチCPを被記録媒体Pに形成するが、この測色調整色パッチCPは、ノズル欠損がないときには、例えば、図14に示すように形成される。なお、図14では、縦横それぞれNピクセル(pixel)の四角の測色調整色パッチCPを形成した場合が示されている。そして、測色調整色パッチCPは、ノズル欠損があるときには、例えば、図15に示すように、主走査方向に、ドット抜け(画像欠損)が発生する。
カメラコントローラ60は、このノズル欠損情報(画像欠損情報)に基づいて、測色調整色パッチCPに基づく測色対象RGB値の対象から除外して、測色値の取得を行う。カメラコントローラ60は、この測色対象RGB値の対象から除外する方法として、例えば、選択部/平均化処理部68が、その選択部で、2次元イメージセンサ34からのデータ(VDATA)からノズル欠損情報に対応するノズルからのドットデータ(ドット抜けしている箇所のデータ)を非選択にするように制御する。選択部/平均化処理部68は、選択部が除外した残りのデータを、平均化処理部で平均化する。すなわち、選択部/平均化処理部68は、ドット抜けしているドットデータを、その選択部で非選択にし、その平均化処理部による平均化対象から除外する。
また、カメラコントローラ60は、I2Cコントローラ65が、ノズル欠損情報に基づいて2次元イメージセンサ34による撮像範囲を変えるようにレジスタを設定し、予めノズル欠損が発生している箇所のデータを除外したデータ(VDATA)をVIDEO I/F67へ出力させるようにしてもよい。
そして、カメラコントローラ60は、上記いずれかの方法で、ドット抜け(画像欠損)しているデータ(欠損データ)を非選択とする場合、例えば、図15では、ΔMの領域のドットを非選択とする。カメラコントローラ60は、このドット抜けしているドット位置を示すノズル欠損情報(欠損状態)を、上述のように、測色調整色パッチCPの色パッチデータと記録ヘッド20y〜20kの各ノズル番号(No)との関係から求める。
また、カメラコントローラ60は、測色調整色パッチCPを、2色以上のノズルから吐出したインク、例えば、図16に示すシアン用記録ヘッド20cとイエロー用記録ヘッド20yのノズルからインクを吐出して、図17に示すような測色調整色パッチCPを記録する。このような場合、シアン用記録ヘッド20cとイエロー用記録ヘッド20yの複数のノズルに欠損があると、図17に示すように、複数の色の異なる欠損ラインL1、L2、L3が測色調整色パッチCPに形成されることになる。図17の場合、ラインL1は、シアンのノズルに欠損があってイエロラインとなっており、ラインL2は、イエローのノズルに欠損があってシアンラインとなっている。ラインL3は、シアンとイエローの両方のノズルに欠損があって、白ラインとなっている。このような場合、カメラコントローラ60は、測色対象から全てのラインL1、L2、L3を除外する必要がある。そこで、カメラコントローラ60は、複数のノズル列で測色パターンを形成するときには、各ノズル列におけるノズル欠損に対してオア(OR)をとって、ノズル欠損によるデータを測色対象から除外する。
また、画像形成装置1は、インターレース方式で、画像を形成する場合には、図18に示すように、複数回(図18では、4回)のスキャンを行って、測色調整色パッチCPを形成するが、図18にブラックの記録ヘッド20kのノズルにおいて、1つのノズルにノズル欠損があっても、測色調整色パッチCPには、複数(4つ)のドット抜け(スジ)が発生する。
カメラコントローラ60は、このような場合においても、上述のように、測色調整色パッチCPとノズル番号(No)の関係から欠損ノズルと撮像範囲のラインを対応させ、欠損ノズルによって形成される画像のデータを測色対象から除外する。
上述のようにして、図19(a)に示すように、欠損ノズルによって形成される画像のデータを測色対象から除外すると、除外した分だけ平均化の対象となるデータ量が減ることとなる。例えば、1パッチあたり5フレーム撮像するものとすると、5倍のΔM×N×5(ピクセル)分だけ平均化処理から除外される。ところが、ノイズの影響をキャンセルするためには、できるだけ多くの画素を平均化することが望ましい。
そこで、カメラコントローラ60は、図19(b)に示すように、ノズル欠損が発生すると、1パッチあたりのフレーム数を増やしたり、除外する画素数だけ同一パッチ内でノズル欠損が発生していない箇所のデータを測色範囲に加えることで、ノズル欠損分のデータ量を補充する。
すなわち、画像形成装置1は、上記ノズル状態検出処理を図20に示すように行う。まず、画像形成装置1は、CPU51の制御下で、上記ノズル状態検出部40を用いてノズル欠損検知を行うノズル欠損検知動作を実行する(ステップS101)。CPU51は、ノズル欠損検知動作を行なって、ノズル欠損情報を取得すると、該ノズル欠損情報をカメラコントローラ60へ通知する(ステップS102)。
カメラコントローラ60は、通知されたノズル欠損情報をデータ記憶メモリ62に保管して、該ノズル欠損情報を利用して、測色対象を制御して、ノズル欠損によるデータを除外して測色を行ない、色調整を実施する(ステップS103)。
そして、このノズル欠損によるデータを測色対象から除外する方法としては、カメラコントローラ60は、上述のように、選択部/平均化処理部68が、該当データを平均化処理の対象から排除する方法、I2Cコントローラ65が2次元イメージセンサ34のレジスタにノズル欠損によるデータ領域を撮像範囲から除外した正常範囲(有効撮像範囲)のみを読み取らせて、正常範囲(有効撮像範囲)のデータのみをデータ(VDATA)として出力させる方法等を用いる。
なお、上記説明においては、ノズル欠損をノズル状態検出部40の検出結果に基づいて検出しているが、ノズル欠損(画像の欠損状態)の検出方法は、上記方法に限るものではない。例えば、上記色調整処理において、あるいは、色調整を行う前に、記録ヘッド20y〜20kの各ノズルからインク滴を吐出させて被記録媒体Pにノズル欠損検出用パターン(画像欠損検出用パターン画像:図21参照)を形成して、このノズル欠損検出用パターンを撮像部30で撮像することで、ノズル欠損を検出してもよい。
この場合、例えば、図21に示すように、記録ヘッド20y〜20kが各色あたり副走査方向に、192ノズルを備えているものとすると、図21に小さい丸で示す位置の欠損ノズルから吐出されたインク滴によって形成された画像と、図21に大きい丸で示す位置の欠損ノズル以外の正常ノズルから吐出されたインク滴によって形成された画像によってノズル欠損検出用パターンPnが形成される。この場合、CPU51は、隣接するノズルから吐出されたインクが被記録媒体P上で重ならないように1ノズル空けて1列目を吐出させ、次に、1列目と2列目が重ならないように、キャリッジを移動し、先ほど吐出しなかったノズルから2列目を吐出する。上記吐出方法を全ての色のインクの吐出において適用して、インク滴を吐出させて、図21に示すような孤立点パターンからなるノズル欠損検出用パターンPnを被記録媒体P上に形成する。
画像形成装置1は、上記のようにして被記録媒体P上に形成したノズル欠損検出用パターンPnを、撮像部30で撮像することで、ノズル欠損(ノズル抜け)状態を検出する。
この場合、図21の場合、1色を96ノズルとして、2列に分けてノズル欠損検出用パターンPnを形成しているが、インク滴サイズや被記録媒体Pのサイズ等に応じて、64ノズル×3列、48ノズル×4列、・・・等に分けたノズル欠損検出用パターンPnを形成してもよい。
そして、データ記憶メモリ62には、予めノズル欠損が存在しないノズル欠損検出用パターンを撮像部30が読み取ったときの期待パターン画像データが格納されている。サブCPU61は、被記録媒体Pに記録ヘッド20によって形成されたノズル欠損検出用パターンを撮像部30が読み取ったときのパターン画像データを、データ記憶メモリ62の期待パターン画像データと比較することで、ノズル欠損の有無状態の検出を行う。
また、画像形成装置1は、撮像部30を用いたノズル欠損の検出方法としては、ノズル欠損検出用パターンを形成する方法に限るものではない。例えば、測色調整色パッチCPを撮像部30で撮像する際に、ノズル欠損の有無をも検出してもよい。
この場合、記録ヘッド20y〜20kのノズルにノズル欠損が存在する場合、例えば、図22(a)に示すようなドット抜けしている測色調整色パッチCPが被記録媒体P上に形成される。この測色調整色パッチCPを撮像部30で四角の破線で示す測色範囲(撮像範囲)を読み取ると、図22(a)の最も左の赤の測色調整色パッチCPを読み取った場合、図22(b)に示すようなデータが2次元イメージセンサ34からカメラコントローラ60へ出力される。図22(b)において、破線で示す範囲R1±ΔR1のデータが、R成分の測色結果のデータ分布を示しており、「255」側の小さいデータ分布がノズル欠損により発生したデータ分布を示している。
そこで、カメラコントローラ60は、予め測色調整色パッチCPの各色毎に、図22(b)の破線で示されている部分のデータ(図22(b)のR1から一定幅(ΔR1)をもたせた範囲のデータ)をデータ期待値として、予めデータ記憶メモリ62に格納されている。選択部/平均化処理部68の選択部は、2次元イメージセンサ34から送られてきたデータを、この期待値と比較して、大きく外れるデータを、ノズル欠損によるデータと判断して、平均化処理部による平均化処理の対象から除外する。
なお、カメラコントローラ60は、測色調整色パッチCPが網点で形成される場合には、1ラインにおける平均値をRGB毎に計算し、計算結果の平均値を期待値と比較することで、ノズル欠損か否かを判断する。
また、上記説明においては、ノズル状態検出処理においてノズル欠損と判断したノズルから吐出されて形成される測色調整色パッチCPのドット領域を測色対象から除外することで、色調整処理の正確性を向上させている。
ところが、ノズル状態検出処理においてノズル欠損と判断したノズルは、ノズル抜けだけではなく、ノズル曲がりも発生することがある。このようなノズル曲がりが発生すると、図23に示すように、ノズル欠損となったラインが白抜けするだけでなく、周辺のラインの濃度が濃くなることがある。
そこで、CPU51は、記録ヘッド20y〜20kのノズル欠損となったノズルからのインク吐出動作を停止させるように、記録ヘッドドライバ56を介して記録ヘッド20y〜20kの駆動を制御する。
このようにすると、ノズル欠損となっているノズル以外のノズルから吐出されたインク滴による測色調整色パッチCPを正常な状態で形成することができ、より一層色調整処理の正確性を向上させることができる。
このように、本実施例の画像形成装置1は、被記録媒体Pに対して複数色の画像を形成する記録ヘッド(画像形成手段)20と、記録ヘッド20の形成する画像の欠損状態を検出するノズル状態検出部40またはCPU51とサブCPU61で構築される画像欠損検出手段と、記録ヘッド20によって被記録媒体Pに形成された測色対象の被写体を所定の撮像範囲にわたって撮像する撮像部(撮像手段)30と、撮像部30による前記撮像範囲のうち、前記画像欠損検出手段の検出した欠損範囲を除外した範囲を有効撮像範囲として、該有効撮像範囲の撮像部30による撮像結果に基づいて測色を行うCPU(測色手段)51と、を備えている。
したがって、記録ヘッド20によって形成される測色対象の被写体に、画像欠損状態がある場合にも、該欠損範囲を除外した有効撮像範囲に基づいて測色することができ、測色対象の一部に不正画像がある場合にも測色を正確に行うことができる。その結果、形成画像の画像品質を向上させることができる。
また、本実施例の画像形成装置1は、被記録媒体Pに対して複数色の画像を形成する記録ヘッド20が形成する該画像の欠損状態を検出する画像欠損検出処理ステップと、記録ヘッド20によって被記録媒体Pに形成された測色対象の被写体を所定の撮像範囲にわたって撮像する撮像処理ステップと、前記撮像処理ステップでの前記撮像範囲のうち、前記画像欠損検出処理ステップで検出された欠損範囲を除外した範囲を有効撮像範囲として、該有効撮像範囲の該撮像処理ステップでの撮像結果に基づいて測色を行う測色処理ステップと、を有する測色方法を実行している。
したがって、記録ヘッド20によって形成される測色対象の被写体に、画像欠損状態がある場合にも、該欠損範囲を除外した有効撮像範囲に基づいて測色することができ、測色対象の一部に不正画像がある場合にも測色を正確に行うことができる。
さらに、本実施例の画像形成装置1は、CPU51等の制御プロセッサに、被記録媒体Pに対して複数色の画像を形成する記録ヘッド20が形成する該画像の欠損状態を検出する画像欠損検出処理と、記録ヘッド20によって被記録媒体Pに形成された測色対象の被写体を所定の撮像範囲にわたって撮像する撮像処理と、前記撮像処理での前記撮像範囲のうち、前記画像欠損検出処理で検出された欠損範囲を除外した範囲を有効撮像範囲として、該有効撮像範囲の該撮像処理での撮像結果に基づいて測色を行う測色処理と、を実行させる測色プログラムを搭載している。
したがって、記録ヘッド20によって形成される測色対象の被写体に、画像欠損状態がある場合にも、該欠損範囲を除外した有効撮像範囲に基づいて測色することができ、測色対象の一部に不正画像がある場合にも測色を正確に行うことができる。
また、本実施例の画像形成装置1は、前記画像形成手段が、複数のノズルを有し、該ノズルからインク滴を吐出して画像を形成する記録ヘッド20であり、前記画像欠損検出手段が、記録ヘッド20の各ノズルから吐出されるインク滴に向かって検出光を出射する発光部(発光手段)41と、インク滴による検出光の散乱光を受光して受光量に応じた検出信号を出力する受光部(受光手段)42と、受光部42の出力する検出信号に基づいて画像の欠損状態を判断するCPU(欠損判断手段)51と、を備えている。
したがって、記録ヘッド20の各ノズルからのインク滴の吐出状態を安価にかつ正確に検出して、画像欠損状態を安価にかつ正確に検出することができる。
さらに、本実施例の画像形成装置1は、前記画像欠損検出手段が、被記録媒体Pに所定のノズル欠損検出用パターン(画像欠損検出用パターン画像)を記録ヘッド20に形成させるCPU(パターン画像形成制御手段)51と、該ノズル欠損検出用パターンを撮像部30によって撮像させて、該撮像部30の出力するパターン画像データに基づいて画像の欠損状態を判断するサブCPU(欠損画像判断手段)61と、を備えている。
したがって、ノズル状態検出部40を設けることなく、ノズル欠損(欠損画像)を検出することができ、測色対象の一部に不正画像がある場合にも測色を安価にかつ正確に行うことができる。
また、本実施例の画像形成装置1は、前記欠損画像判断手段としてのサブCPU61が、ノズル欠損検出用パターンを撮像したときに撮像部30の出力するパターン画像データと、予めデータ記憶メモリ62に格納されている欠損の存在しないノズル欠損検出用パターンを該撮像部30が撮像したときに得られる期待パターン画像データとを比較して画像の欠損状態を判断している。
したがって、ノズル状態検出部40を設けることなく、ノズル欠損(欠損画像)を安価かつ速やかに検出することができ、測色対象の一部に不正画像がある場合にも測色を安価にかつ正確に行うことができる。
さらに、本実施例の画像形成装置1は、前記画像欠損検出手段が、測色タイミングに、記録ヘッド20の形成する前記測色対象の被写体である測色調整色パッチCPを前記画像欠損検出用パターン画像として、撮像部30に撮像させて、該撮像部30の出力するパターン画像データに基づいて画像の欠損状態を検出してもよい。
このようにすると、ノズル欠損を検出するために、ノズル欠損検出用パターンを形成する必要がなく、より一層速やかにかつ安価にノズル欠損(欠損画像)を検出することができ、測色対象の一部に不正画像がある場合にも測色をより一層安価にかつ速やかに行うことができる。
また、前記測色手段としてのCPU51は、撮像部30による前記撮像範囲から除外した前記欠損範囲を、前記有効撮像範囲のデータによって補完して、前記測色を行っている。
したがって、捕食処理におけるデータ数が減少することによる測色の精度の低下を防止することができ、より一層正確に測色を行うことができる。
なお、本実施例の画像形成装置1は、CPU51が、測色後の記録ヘッド20による画像形成に際して、該記録ヘッド20のうち、前記画像欠損検出手段によって欠損の検出された画像を形成する部分の記録ヘッド20、すなわち、吐出曲がり等の発生しているノズルによる画像の形成を禁止している。
したがって、測色を正確に行うことができ、また、形成画像の画像品質を向上させることができる。
図24〜図38は、本発明の画像形成装置、測色方法及び測色プログラムの第2実施例を示す図であり、図24は、本発明の画像形成装置、測色方法及び測色プログラムの第2実施例を適用した画像形成装置の撮像部100の平面面図である。
なお、本実施例は、上記第1実施例の図1に示した画像形成装置1と同様の画像形成装置に適用したものであり、本実施例の説明においては、図示しないが、図1と同様の構成部分については、必要に応じて、第1実施例で用いた符号をそのまま用いて説明する。
画像形成装置1は、その撮像部(撮像手段)100が、図24、図24のA−A矢視断面図である図25及び図25のB−B矢視断面図である図26に示すように、基板101に、基板101側の面が開放されている四角の箱形状の枠体102が、締結部材103によって固定されており、基板101は、図1に示したキャリッジ6に固定されている。
撮像部100は、基板101の枠体102側の面であってその中央部に、イメージセンサ部104が配設されており、イメージセンサ部104は、CCD(Charge Coupled Device )センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor )センサ等の2次元イメージセンサ105とレンズ106を備えている。撮像部100は、このイメージセンサ部104の中心を通る副走査方向の中心線Lo上であって、イメージセンサ部104の中心からそれぞれ副走査方向に所定量だけ等間隔で離れた位置の基板101に、1対の照明光源107が搭載されており、照明光源107としては、LED等が用いられている。
撮像部100は、枠体102が、その基板101とは反対側の面部(以下、底面部という。)102aの下面が、所定の間隔dを有してプラテン14上の被記録媒体Pと対向する状態で、キャリッジ6に取り付けられており、該低面部102aには、中心線Loを中心として、主走査方向にそれぞれ略長方形状の開口部102bと開口部102cが形成されている。間隙dは、後述するように、2次元イメージセンサ105に対する焦点距離を考慮して、小さい方が好ましいが、被記録媒体Pの平面性との関係から、枠体102の下面と被記録媒体Pとが接触しない大きさ、例えば、1mm〜2mm程度に設定されている。
開口部102bは、その被記録媒体P側の面に開口部102bの周囲に沿って所定幅の凹部102dが形成されており、該凹部102dに基準チャートKCが着脱可能にセットされている。枠体102の開口部102bの凹部102dには、基準チャートKCの被記録媒体P側の面を覆って、基準チャートKC該凹部102dに保持させる保持板102eが着脱可能に取り付けられており、開口部102bは、基準チャートKCと保持板102eによって塞がれた状態となっている。保持板102eは、その被記録媒体P側の面が、滑らかな平坦面となっている。
開口部102cは、被記録媒体Pに形成されている撮像対象体(被写体)である上記基準シートKSの基準色パッチKP及び測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを撮像するのに用いられる。開口部102cは、少なくとも、撮像対象の画像を全て撮像可能な大きさであればよいが、枠体102と撮像対象との間に間隙dがあるため、開口部102cの周辺に発生する影を考慮して、撮像対象の撮像領域の大きさよりも若干大きめの開口状態で形成されている。
基準チャートKCは、上記基準シートKSの基準色パッチKP及び色調整処理における撮像対象である測色調整シートCSの測色調整色パッチCPの撮像測色値との比較対象として、撮像部100により基準色パッチKPや測色調整色パッチCPとともに撮影される。すなわち、撮像部100は、枠体102の低面部102aに設けられた開口部102cを通して枠体102の外部にある基準シートKSの基準色パッチKPや測色調整シートCSの測色調整色パッチCPの撮像とともに、枠体102の低面部102aの開口部102b周囲に形成されている凹部102dに装着されている基準チャートKC上の色パッチを、比較対象として撮像する。なお、撮像部100は、2次元イメージセンサ105が画素を順次走査して画像を読み取るため、基準シートKSの基準色パッチKPや測色調整シートCSの測色調整パッチCPと基準チャートKCを順番に読み取っていくことになるが、この場合、1フレーム内に基準色パッチKPや測色調整パッチCPと基準チャートKCの画像を取得する。
この基準チャートKCは、その枠体102内部側の面(上面)に、図27に示すように、上記基準シートKSと同様に、測色用の複数の基準色パッチ列Pa〜Pd、ドット径計測用パターン列Pe、距離計測用ラインlk及びチャート位置特定用マーカmkが形成されている。
測色用のパッチ列Pa〜Pdは、YMCの1次色の色パッチを階調順に配列したパッチ列Paと、RGBの2次色の色パッチを階調順に配列したパッチ列Paと、グレースケールのパッチを階調順に配列したパッチ列(無彩色の階調パターン)Pcと、3次色のパッチを配列したパッチ列Pdと、があり、ドット径計測用パターン列Peは、大きさが異なる円形パターンを大きさ順に配列された幾何学形状測定用のパターン列である。
距離計測用ラインlkは、測色用のパッチ列Pa〜Pdやドット径計測用パターン列Peを囲む矩形の枠線として形成されている。チャート位置特定用マーカmkは、距離計測用ラインlkの四隅の位置に設けられていて、各パッチ位置を特定するためのマーカである。
後述する測色制御部120(図29参照)は、撮像部100から取得した基準チャートKCの画像データから距離計測用ラインlkとその四隅のチャート位置特定用マーカmkを特定することで、基準チャートKCの位置及び各パターンの位置を特定する。
測色用の基準色パッチ列Pa〜Pdを構成する各パッチは、図11同様に、分光器BSを用いて、標準色空間であるLab色空間における表色値(Lab値)が予め計測されており、測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを測色する際の基準値となる。なお、基準チャートKCに配置されている測色用のパッチ列Pa〜Pdの構成は、図27に示す配置例に限定されるものではなく、任意のパッチ列を用いることができ、例えば、可能な限り色範囲を広く特定することのできるパッチを用いてもよいし、また、YMCKの1次色のパッチ列Paや、グレースケールのパッチ列Pcは、画像形成装置1に使用されるインクの測色値のパッチで構成されていてもよい。また、基準チャートKCのRGBの2次色パッチ列Paは、画像形成装置1で使用されるインクで発色可能な測色値のパッチで構成されていてもよく、さらに、JapanColor等の測色値が定められた基準色票を用いてもよい。
この基準チャートKCは、枠体102の低面部102aに形成されている開口部102bの被記録媒体P側の面の外周に形成されている凹部102dに配設されているため、被記録媒体P等の撮像対象と同様の焦点距離で、イメージセンサ部104の2次元イメージセンサ105によって撮像することができる。
また、基準チャートKCは、枠体102の低面部102aに形成されている開口部102bの被記録媒体P側の面の外周に形成されている凹部102dに、着脱可能にセットされて、被記録媒体P側の面が、該凹部102dに着脱可能に取り付けられている保持板102eで着脱可能に保持されているため、枠体102内に侵入したゴミ等が基準チャートKC表面に付着しても、保持板102eと基準チャートKCを取り外して、基準チャートKCを清浄に清掃した後に、再度、取り付けることができ、基準チャートKCの測定精度を向上させることができる。
撮像部100は、開口部102cを閉止する状態で、該開口部102cを通した被記録媒体Pと2次元イメージセンサ105との光路中に光路長変更部材108が配設されており、光路長変更部材108は、屈折率n(nは、任意の値)の透過部材が用いられている。光路長変更部材108は、図25に示すように、開口部102cよりも大きい外形形状を有し、枠体102内に配置されている。光路長変更部材108の固定位置は、図25に示したように枠体102の内部の開口部102cの位置に限るものではなく、開口部102cと2次元イメージセンサ105との光路中であれば、例えば、枠体102の撮像面側の位置、枠体102の内側であって開口部102から離れた位置等であってもよい。なお、屈折率nの光路長変更部材108を光が通過すると、該光は、光路長変更部材108の屈折率nに応じて光路長が延びて、画像が浮き上がった状態で2次元イメージセンサ105に入射され、この画像の浮上がり量Cは、光路長変更部材108の長さをLpとすると、以下に示す式(1)により求めることができる。
C=Lp(1−1/n)・・・(1)
また、基準チャートKC以外の撮像部100の焦点面の焦点距離L、すなわち、光路長変更部材108及び開口部102cを通して撮像される被記録媒体Pの表面までの焦点距離Lは、次式(2)により求めることができる。
L=Lc+Lp(1−1/n)・・・(2)
ここで、Lcは、レンズ106の撮像対象側の頂部と基準チャートKCとの間の距離、nは、光路長変更部材108の屈折率である。
したがって、例えば、光路長変更部材108の屈折率nを1.5とした場合、L=Lc+Lp(1−1/1.5)=Lc+Lp(1/3)となり、光路長変更部材108の長さLpの約1/3だけ光路長を長くすることができる。なお、Lp=9[mm]とすると、L=Lc+3[mm]となって、基準チャートKCの結像位置と、被記録媒体Pの撮像面の焦点位置を一致させることができ、基準チャートKCと被記録媒体Pの撮像面を共役関係に設定することができる。
また、撮像部100は、基準チャートKCを照射する照明光と、光路長変更部材108及び開口部102cを通して被記録媒体Pの撮像面に照射する照明光とは、同一の照明光源107からの照明光であり、同じ照明条件で基準チャートKCと被記録媒体Pの撮像面をともに撮像することができる。また、照明光源107は、基準チャートKCと被記録媒体Pの略中間位置である中心線Lo上に配置され、かつ、レンズ106に対して中心線Lo上において対象に2個配置されているため、基準チャートKCと被記録媒体Pの撮像領域を略同一条件で、均一に照明することができる。
さらに、撮像部100は、撮像領域の開口部102cと基準チャートKCの配置条件が、レンズ106の中心と照明光源107を結ぶ中心線Loに対して、略対称に配置されているため、2次元イメージセンサ105の撮像条件を線対称で同一にすることができ、基準チャートKCを用いた2次元イメージセンサ105の色調整処理や測色処理の精度を向上させることができる。
そして、本実施例の画像形成装置1は、図28に示すようにブロック構成されており、第1実施例の画像形成装置1のブロック構成とは、カメラコントローラが、測色制御部120となるとともに、撮像部100が異なっている。そこで、図28では、第1実施例の図6と同様の構成部分については、同一の符号を付してその説明を省略または簡略化する。
本実施例の画像形成装置1は、図28に示すように、第1実施例の画像形成装置1と同様に、CPU51、ROM52、RAM53、不揮発性メモリ54、主走査ドライバ55、記録ヘッドドライバ56、紙搬送部57、副走査ドライバ58、ノズル状態検出部40、キャリッジ6に搭載されている記録ヘッド20及びエンコーダセンサ21等を備えているとともに、キャリッジ6に搭載されている撮像部100及び測色制御部120等を備えている。
本実施例の画像形成装置1は、第1実施例のCPU51及びカメラコントローラ60が、測色処理を伴う色調整処理を行なっていたが、測色処理については、測色制御部120が測色処理を行い、CPU51は、該測色処理で得られた測色値を用いて画像データを色調整処理して、色調整処理した画像データに基づいて記録ヘッド20を制御することで、色再現性を向上させた状態で画像形成する。また、第1実施例と同様に、CPU51が、ノズル状態検出部40の検出結果に基づいて、欠損ノズルを検出するノズル欠損検出処理を行う。
すなわち、撮像部100は、上述したように、色調整処理時に、経時変化等している記録ヘッド20によって被記録媒体Pに形成された測色調整色パッチCPと枠体102の内部に配置された基準チャートKCとをイメージセンサ部104で撮像して、測色調整色パッチCP及び基準チャートKCを撮像した画像データを測色制御部120に出力する。測色制御部120は、撮像部100から取得した色調整処理時にイメージセンサ部104が撮像した測色調整色パッチCPを、第1実施例と同様に、基準シートKSの基準色パッチ(以下、初期基準色パッチという。)を撮像部100で読み取ったときに、読み取って記憶した基準チャートKCのパッチPa〜Peの初期基準時の測色値である初期基準測色値(初期基準Lab値と初期基準XYZ値のうち、少なくともいずれか)に、変換した後に、第1実施例での測色整処理と同様の測色整処理を行なう。したがって、撮像部100と測色制御部120は、全体として、測色装置として機能している。
そして、撮像部100及び測色制御部120は、図29に示すようにブロック構成されている。撮像部100は、上記イメージセンサ部104、照明光源107を備えているとともに、基板101に、画像処理部110とインターフェイス部111が搭載されており、画像処理部110は、A/D変換部112、シェーディング補正部113、ホワイトバランス補正部114、γ補正部115及び画像フォーマット変換部116を備えている。
画像処理部110は、イメージセンサ部104が撮像して出力するアナログのRGB画像データに対して必要な画像処理を施して測色制御部120に出力する。
A/D変換部112は、イメージセンサ部104から入力されるアナログのRGB信号をデジタル変換してシェーディング補正部113に出力する。
シェーディング補正部113は、A/D変換部112から入力されるRGB画像データに対して、イメージセンサ部104の撮像範囲に対する照明光源107からの照明光の照度ムラに起因する画像データの誤差の補正を行って、ホワイトバランス補正部114に出力する。
ホワイトバランス補正部114は、シェーディング補正後のRGB画像データに対してホワイトバランスを補正して、γ補正部115に出力する。
γ補正部115は、ホワイトバランス補正部114から入力される画像データに対して、イメージセンサ部104の感度のリニアリティを補償するように補正して、画像フォーマット変換部116に出力する。
画像フォーマット変換部116は、γ補正後の画像データを任意のフォーマットに変換して、インターフェイス部111を介して測色制御部120に出力する。
インターフェイス部111は、測色制御部120から送られた各種設定信号、タイミング信号及び光源駆動信号を撮像部100が取得し、また、撮像部100から測色制御部120へ画像データを送るためのインターフェイスである。
測色制御部120は、フレームメモリ121、タイミング信号発生部122、光源駆動制御部123、演算部124及び不揮発性メモリ125等を備え、演算部124は、測色値算出部126を備えている。
フレームメモリ121は、撮像部100から送られてきたデータ(画像データ)を一時的に記憶するメモリであり、保管した画像データを演算部124に出力する。
不揮発性メモリ125は、第1実施例の不揮発性メモリ54と同様に、図11に示したように、分光器(測色装置)BSによって、基準シートKSに配列形成されている複数の基準色パッチKPの測色結果の測色値であるLab値とXYZ値のうち、少なくともいずれか(図11では、Lab値とXYZ値の双方)が、基準測色値として、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1にパッチ番号に対応して格納されている。また、不揮発性メモリ125は、CPU51から送られてくるノズル欠損情報が格納される。
さらに、画像形成装置1は、基準測色値が不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に格納されている状態で、かつ、画像形成装置1の初期状態において、上記基準シートKSを画像形成装置1のプラテン14上にセットして、キャリッジ6の移動を制御して撮像部100によって該基準シートKSの分光器BSで読み取ったのと同じ基準パッチKPを読み取った撮像基準RGB値を、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に、パッチ番号に対応させて、すなわち、基準測色値に対応させて格納するとともに、撮像部100の基準チャートKCの各パッチを撮像してRGB値を取得して、該基準チャートKCの各パッチのRGB値を初期基準RGB値RdGdBdとして、演算部124の制御下で不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に格納している。
なお、初期基準RGB値RdGdBdは、実際には、撮像部100によって基準シートKSの基準色パッチKPを撮像する際に撮像した基準チャートKCの各パッチのRGB値であるが、基準シートKSの基準色パッチKPの数が、例えば、数百パッチと多く、基準色パッチKPをパッチ毎に順番に撮像するため、基準チャートKCも基準色パッチKPの撮像の度に撮像されることとなり、基準チャートKCの撮像データが多数存在することとなる。
そこで、本実施例の画像形成装置1は、測色制御部120が、撮像部100の撮像した基準チャートKCの各パッチのRGB値を所定の撮像領域毎、例えば、パッチの色毎に平均化して、その平均値を、初期基準RGB値RdGdBdとして、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に格納する。
また、この場合、測色制御部120は、撮像部100が基準シートKSとともに複数回撮像した基準チャートKCの各パッチのRGB値のうち、複数回撮像したRGB値の平均値に限るものではなく、例えば、最初に撮像したRGB値、適宜の回数目に撮像したRGB値、中央値のRGB値等適宜のRGB値を初期基準RGB値RdGdBdとして、設定してもよい。
本実施例の画像形成装置1は、基準測色値と撮像基準RGB値及び初期基準RGB値RdGdBdを不揮発性メモリ125に格納すると、測色値算出部126が、第1実施例の場合と同様に、不揮発性メモリ125に格納されている基準測色値のXYZ値と撮像基準RGB値の対、すなわち、同じパッチ番号のXYZ値と撮像基準RGB値の対に対して、相互に変換する第1線形変換マトリックス(基準値線形変換マトリックス)を算出して、算出した第1線形変換マトリックスを不揮発性メモリ125に格納する。
画像形成装置1においては、上記処理を画像形成装置1の初期状態で実行して、実行結果である基準測色値と撮像基準RGB値及び初期基準RGB値RdGdBdを不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に登録した後、第1線形変換マトリックスを算出して、不揮発性メモリ125に格納する。
さらに、本実施例の画像形成装置1は、後述するように、色調整処理時に、経時変化等している記録ヘッド20によって被記録媒体Pに形成された測色調整色パッチCPと枠体102の内部に配置された基準チャートKCとをイメージセンサ部104で撮像して、測色調整色パッチCP及び基準チャートKCを含む画像データを測色制御部120に出力する。測色制御部120は、撮像部100から取得した色調整処理時にイメージセンサ部104が撮像した測色調整色パッチCPを、基準シートKSの基準色パッチ(以下、初期基準色パッチという。)を撮像部100で読み取ったときに、読み取って記憶した基準チャートKCのパッチPa〜Peの初期基準RGB値RdGdBdに変換した後に、該初期基準RGB値RdGdBdに対して、第1実施例での測色処理と同様の測色処理を行なう。
すなわち、演算部124は、測色制御部120の動作を制御するとともに、測色値算出部126が、測色処理を実行して、測色処理の処理結果である測色値をCPU51に出力する。
そして、CPU51は、該測色値を用いて画像データを色調整処理して、色調整処理した画像データに基づいて記録ヘッド20を制御することで、色再現性を向上させた状態で画像形成する。
さらに、測色値算出部126は、第1実施例の選択部/平均化処理部68の選択部の機能を実行する。すなわち、測色値算出部126は、撮像部100カラーのデータのうち、不揮発性メモリ125に格納したノズル欠損情報に基づいて、欠損ノズルから吐出されたドット領域のデータを除外して、平均化処理を行う。
撮像部100と測色制御部120は、全体として、測色装置として機能している。
本実施例の画像形成装置1は、ROM、EEPROM、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM、CD−RW、DVD、SDカード、MO等のコンピュータが読み取り可能な被記録媒体に記録されている本実施例の測色方法を実行する測色プログラムを読み込んでROM52または不揮発性メモリ125等に導入することで、後述する経時変化を考慮した色再現性を安価にかつ安定して実現するとともに、測色対象の一部に不正画像がある場合にも測色を正確に行う測色方法を実行する測色装置を備えた画像形成装置1として構築されている。この測色プログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記被記録媒体に格納して頒布することができる。
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の画像形成装置1は、経時変化を考慮した色再現性を安価にかつ安定して実現するとともに、測色対象の一部に不正画像がある場合にも測色を正確に行う。
本実施例の画像形成装置1は、図11に示したように、分光器(測色装置)BSによって、基準シートKSに配列形成されている複数の基準色パッチの測色結果を、Lab値とXYZ値のうち、少なくともいずれかを、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1にパッチ番号に対応して基準測色値として格納されている。
また、画像形成装置1は、メモリテーブルTb1に基準測色値が不揮発性メモリ125に格納されている状態で、かつ、画像形成装置1が製造またはオバーフォール等によって初期状態であるときに、上記基準シートKSを画像形成装置1のプラテン14上にセットして、キャリッジ6の移動を制御して撮像部100によって該基準シートKSの分光器BSで読み取ったのと同じ基準パッチを読み取るとともに、図30に示すように、枠体102の内部に配置された基準チャートKCの各パッチ(初期基準色パッチ)を撮像する。
画像形成装置1は、基準シートKSの基準パッチと基準チャートKCの各パッチを撮像部100によって撮像すると、基準シートKSの基準パッチを撮像した画像データを画像処理部110で処理したRGB値である撮像基準RGB値、すなわち、デバイスに依存するデバイス依存信号を、測色制御部120の演算部124が、図11に示したように、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に、パッチ番号に対応させて、すなわち、基準測色値に対応させて格納するとともに、基準チャートKCの初期基準色パッチを読み取って画像処理部110で処理したRGB値である初期基準RGB値RdGdBdを、図31(a)に示すように、不揮発性メモリ125に格納する。
なお、演算部124は、撮像部100が読み取った基準チャートKCの初期基準色バッチの画像データのうち、所定領域、例えば、図30に破線で示す領域(測色対象領域、撮像範囲)毎に平均値を算出して、初期基準RGB値RdGdBdとしている。このように測色対象領域の多数の画素を平均化して初期基準RGB値RdGdBdを算出すると、ノイズの影響を低減させることができるとともに、bit分解能を向上させることができる。また、図31(b)は、初期基準RGB値RdGdBdをプロットした散布図であり、図31(a)は、初期基準RGB値RdGdBdをLab値に変換した基準Lab値Ldadbd及びXYZ値に変換した基準XYZ値xdydzdも不揮発性メモリ125に登録されている状態を示している。
画像形成装置1は、基準測色値と撮像基準RGB値及び初期基準RGB値RdGdBdを不揮発性メモリ125に格納すると、演算部124の測色値算出部126が、不揮発性メモリ125に格納されている基準測色値のXYZ値と撮像基準RGB値の対、すなわち、同じパッチ番号のXYZ値と撮像基準RGB値の対に対して、相互に変換する第1線形変換マトリックスを算出して、算出した第1線形変換マトリックスを不揮発性メモリ125に格納する。
この状態で、画像形成装置1は、外部から入力される画像データや印刷設定等に基づいて、CPU51が、キャリッジ6の主走査移動制御、紙搬送部57による被記録媒体Pの搬送制御及び記録ヘッド20の駆動制御を行って、被記録媒体Pを間欠的に搬送させつつ、記録ヘッド20の各記録ヘッド20y、20m、20c、20kからのインク吐出を制御して、画像を被記録媒体Pに記録出力する。
このとき、記録ヘッド20y、20m、20c、20kからのインクの吐出量が、機器固有の特性や経時変化等によって変化することがあり、このインクの吐出量が変化すると、ユーザが意図する画像の色とは異なった色で画像形成されることとなって、色再現性が劣化する。
そこで、画像形成装置1は、所定の色調整処理タイミングで、測色値を求めて該測色値に基づいて色調整を行なう色調整処理を実行する。
すなわち、画像形成装置1は、色調整処理タイミングになると、第1実施例の場合と同様に、複数の色パッチ(測色調整色パッチ)CPを、図32に示すように、記録ヘッド20によって被記録媒体Pに形成して測色調整シートCSとして記録出力する。この測色調整シートCSは、複数の測色調整用の色パッチである測色調整色パッチCPが、記録ヘッド20によって形成出力されたものであり、画像形成装置1の色調整処理タイミングにおける出力特性、特に、記録ヘッド20の出力特性を反映した測色調整色パッチCPが形成されている。なお、測色調整色パッチCPの色パッチデータは、予め不揮発性メモリ125等に格納されている。
そして、画像形成装置1は、後述するように、この測色調整シートCSの複数の測色調整色パッチCPを撮像したRGB値を測色対象RGB値(測色用RGB値)として、この測色対象RGB値を初期基準RGB値RdGdBdに変換して、以下、第1実施例と同様に、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に登録されている基準測色値のうち、該初期基準RGB値RdGdBdを変換した測色値に対して距離的に近い基準測色値(近傍基準測色値)を選択して、測色対象RGB値を、選択した近傍基準測色値に変換する測色値を求め、該測色値に基づいて色変換を行った後の画像データに基づいて、記録ヘッド20によって画像を出力することで、画像形成装置1による形成画像の色再現性を向上させる。
そこで、画像形成装置1は、図32に示すように、この測色調整シートCSがプラテン14上にセットされるか、測色調整シートCSを記録した段階で排紙することなくプラテン14上に保持した状態として、このプラテン14上の測色調整シートCSの複数の測色調整色パッチCPを、キャリッジ6の移動を制御して撮像部100によって撮像するとともに、撮像部100によって基準チャートKCのパッチを撮像する。
画像形成装置1は、測色調整シートCSの測色調整色パッチCPと基準チャートKCのパッチを撮像部100によって撮像すると、撮像部100の画像処理部110で、測色調整シートCSの測色調整色パッチCPの画像データと基準チャートKCのパッチの画像データに対して、必要な画像処理を行なった後、測色調整シートCSの測色調整色パッチCPの画像データ(RGB値)を測色対象RGB値、すなわち、デバイスに依存するデバイス依存信号として、また、基準チャートKCのパッチの画像データ(RGB値)を、測色時基準RGB値RdsGdsBdsとして、測色制御部120に送り、測色制御部120は、図32に示すように、フレームメモリ121に一時保管する(ステップS21)。
なお、測色時基準RGB値RdsGdsBdsは、実際には、撮像部100によって測色調整シートCSの測色調整パッチCPを撮像する際に撮像した基準チャートKCの各パッチのRGB値であるが、測色調整シートCSの測色調整パッチCPの数が、例えば、数百パッチと多く、測色調整シートCSの測色調整パッチCPをパッチ毎に順番に撮像するため、基準チャートKCも測色調整パッチCPの撮像の度に撮像されることとなり、基準チャートKCの撮像データが多数存在することとなる。
そこで、本実施例の画像形成装置1は、測色制御部120が、撮像部100の撮像した基準チャートKCの各パッチのRGB値を所定の撮像領域毎、例えば、パッチの色毎に平均化して、その平均値を、測色時基準RGB値RdsGdsBdsとして、不揮発性メモリ125に一時格納する。
また、この場合、測色制御部120は、撮像部100が測色調整シートCSとともに複数回撮像した基準チャートKCの各パッチのRGB値のうち、複数回撮像したRGB値の平均値に限るものではなく、例えば、最初に撮像したRGB値、適宜の回数目に撮像したRGB値、中央値のRGB値等適宜のRGB値を測色時基準RGB値RdsGdsBdsとして、設定してもよい。
測色制御部120は、演算部124の測色値算出部126が、フレームメモリ121に保管された測色対象RGB値を、後述する第3線形変換マトリックスを用いて、初期化測色対象RGB値RsGsBsに変換する(ステップS22、S23)。
測色制御部120の演算部124は、変換した初期化測色対象RGB値RsGsBsを、第1実施例の測色対象RGB値として(ステップS24)、第1実施例で実施した測色処理を実行して、Lab測色値を取得する(ステップS25)。
そして、本実施例の画像形成装置1は、演算部124の測色値算出部126が、上記第3線形変換マトリックスを、図33及び図34に示すようにして求める。
すなわち、演算部124の測色値算出部126は、図33に示すように、初期時に撮像部100で基準シートKSの基準色パッチKPを撮像したときに、基準チャートKCのパッチをも撮像して不揮発性メモリ125に格納されている初期基準RGB値RdGdBdと、測色時に撮像部100で測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを撮像したときに、基準チャートKCのパッチを撮像して不揮発性メモリ125に格納されている測色時基準RGB値RdsGdsBdsを、不揮発性メモリ125から読み出して、測色時基準RGB値RdsGdsBdsを初期基準RGB値RdGdBdに変換する第3線形変換マトリックスを求め、求めた第3線形変換マトリックスを不揮発性メモリ125に格納する。
すなわち、図34において、図34(a)に白抜き点で示されている点が初期基準RGB値RdGdBdをrgb空間でプロットした点であり、塗りつぶし点が、測色時基準RGB値RdsGdsBdsをrgb空間でプロットした点である。図34(a)から分かるように、測色時基準RGB値RdsGdsBdsの値が初期基準RGB値RdGdBdの値から変動しており、これらのrgb空間上での変動方向は、図34(b)に矢印で示すように、概ね同じであるが、色相によってずれの方向が異なる。このように同じ基準チャートKCのパッチを撮像してもRGB値が変動する原因としては、照明光源107の経時変化、2次元イメージセンサ105の経時変化等がある。
このように、同じ基準チャートKCのパッチを撮像したときに変動している状態で、測色調整シートCSの測色調整パッチCPを撮像したときの測色対象RGB値を、第1実施例のようにして用いて測色値を求めると、変動分だけ測色値に影響することとなる。
そこで、本実施例の画像形成装置1は、初期基準RGB値RdGdBdと、測色時基準RGB値RdsGdsBdsとの間で最小2乗法等の推定法を用いて、測色時基準RGB値RdsGdsBdsを初期基準RGB値RdGdBdに変換する第3線形変換マトリクスを求めて、この第3線形変換マトリクスを用いて、撮像部100で測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを撮像して不揮発性メモリ125に格納されている測色対象RGB値を、初期化測色対象RGB値RsGsBsに変換し、変換した初期化測色対象RGB値RsGsBsを、第1実施例の測色対象RGB値として、第1実施例で実施した測色処理を実行して、Lab測色値を取得する。
この第3線形変換マトリクスは、1次だけでなく、さらに高次の非線形マトリックスであってもよく、rgb空間とXYZ空間間で非線形性が高い場合には、高次のマトリックスとすることで、変換精度を向上させることができる。
なお、上記撮像部100は、開口部102cを介した被記録媒体Pと2次元イメージセンサ105との光路中に光路長変更部材108が配設されている場合について説明したが、光路長変更部材108は、上記光路中に配設されている場合に限るものではなく、例えば、図35及び図36に示すように、光路長変更部材108の他に、光路長変更部材109を開口部102bに配設されている基準シートKSと2次元イメージセンサのとの光路中に配設してもよい。
この場合、光路長変更部材109は、その長さLqを、光路長変更部材108の長さLpよりも短い長さであって、浮き上がり量Cを、上記式(1)から算出して、式(2)から算出される焦点距離Lが、光路長変更部材108を通過する光の焦点距離Lと同じになるように設定されている。
したがって、このように被記録媒体P側と基準チャートKC側の双方に光路長変更部材108、109を配設すると、被記録媒体Pまでの焦点距離Lと基準チャートKCまでの焦点距離Lを同じにすることができ、より一層正確な測色を行うことができる。
また、上記撮像部100は、被記録媒体P側の一方または被記録媒体P側と基準チャートKC側の双方に、光路長変更部材108または光路長変更部材108、109を配設しているが、図37に示すように、被記録媒体P側及び基準チャートKC側のいずれにも光路長変更部材を設けなくても、測色処理に必要なデータを取得することができる。この場合、基準チャートKCと被記録媒体Pとは、光路長に差があるが、レンズ106の焦点深度内であれば、測色処理に対しては、問題なく撮像可能である。
そして、本実施例においても、CPU51は、上記色調整処理の前後のうち、少なくともいずれかのタイミングで、ノズル状態検出部40によって記録ヘッド20y〜20kの各ノズルに欠損が存在するか否か検査するノズル状態検出処理を行う。そして、CPU51は、ノズル状態検出処理を行って、記録ヘッドドライバ56を介した記録ヘッド20y〜20kの駆動ノズルと検出信号Soから記録ヘッド20y〜20kのノズルのうち、どのノズルに欠損が発生しているかを検出し、検出したノズル欠損情報を不揮発性メモリ54に格納する。
そして、CPU51は、検出して不揮発性メモリ54に格納したノズル欠損情報を、測色制御部120に渡す。
測色制御部120は、その演算部124の測色値算出部126が、CPU51から受け取ったノズル欠損情報を不揮発性メモリ125に格納して、上記色調整処理におけるデータ処理に利用する。
すなわち、測色値算出部126は、色調整処理時、ノズル欠損情報を不揮発性メモリ125から読み出して、測色調整色パッチCPに基づく測色対象RGB値の対象から除外して、測色値の取得を行う。
そして、本実施例の画像形成装置1では、第1実施例の図15に示したようなノズル欠損がある場合、CPU51は、この場合の欠損ノズルの位置を、予め分かっている測色調整色パッチCPと記録ヘッド20y〜20kのノズル番号(NO)の関係から容易に特定する。
また、CPU51は、ノズル状態検出処理を、撮像部100の撮像データに基づいて実行する場合には、記録ヘッド20y〜20kと撮像部100の位置関係から撮像部100の撮像範囲と測色調整色パッチCPの関係を判断して、欠損ノズルの位置を特定する。
したがって、CPU51は、例えば、図15の場合、測色対象から除外する除外開始ライン(M)を容易に判定することができる。
なお、除外ライン数(ΔM)は、被記録媒体Pに付着したインク滴のサイズ及び撮像部100の撮像光学系によって異なる。例えば、図38に示すように、被記録媒体Pに付着したインク滴サイズが100umであり、撮像部100の撮像光学系が、画素サイズが2um、倍率が10倍であった場合、除外領域ΔMは、ΔM=100/(2×10)=5ラインとなる。実際には、上下にずれるため、除外領域を、6ライン以上にする必要がある。また、被記録媒体Pによっては、インクのにじみ具合が異なり、インク滴サイズが変わるため、被記録媒体Pに応じて、除外領域のサイズ(除外ライン数)を適宜設定する。
また、本実施例の画像形成装置1においても、除外データが多い場合には、第1実施例で説明したように、ノズル欠損分のデータ量を補充してもよい。
このようにすると、測色精度を向上させることができる。
さらに、上記各実施例においては、測色処理を、画像形成装置1のCPU51または測色制御部120が行なっているが、測色処理は、画像形成装置1内部で実行する必要はなく、例えば、図39に示すように、画像形成システム(測色システム)200として、画像形成装置210が、外部装置220に接続されていて、画像形成装置210で撮像した画像データを、該外部装置220に出力し、該外部装置220が測色処理を伴う色調整処理を行って、色調整後の画像データを画像形成装置210に出力して、画像形成装置210が、外部装置220からの画像データに基づいて画像形成してもよい。
すなわち、画像形成装置210は、エンジン211、操作表示部212、I/F部213及びその他のI/F部214等を備えており、各部は、バス215により接続されている。
また、外部装置220は、例えば、通常のハードウェア構成とソフトウェア構成のコンピュータ等を用いることができ、ソフトウェアとして本発明の測色処理を伴う色調整処理を実行する測色プログラムを含む色調整プログラムを導入することで、測色処理を伴う色調整処理を実行する。外部装置220は、CPU221、メモリ部222、画像処理部223、通信I/F部224及びI/F部225等を備えており、各部は、バス226により接続されている。メモリ部222は、ROM227、RAM228及びハードディスク(HDD)229等を備えている。
画像形成装置210は、I/F部213により回線230により外部装置220に接続されており、回線230は、専用線、LAN(Local Area Network)等のネットワーク、インターネット等であって、有線であっても、無線であってもよい。
画像形成装置210は、外部装置220の制御下で、外部装置220から送られてくる画像データに基づいてエンジン211で、被記録媒体に画像を形成出力する。エンジン211は、インク噴射方式等で被記録媒体に画像を形成し、操作表示部212は、各種操作キー及びLCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイ等を備えていて、画像形成装置210の動作に必要な各種操作が操作キーによって行われるとともに、画像形成装置210からユーザに通知する各種情報をディスプレイに表示出力する。その他I/F部214は、拡張ユニットの接続等に使用される。
エンジン211は、上記実施例で説明したと同様の主走査方向に移動するキャリッジ6を備えており、該キャリッジ6に、第1実施例で示した撮像部30または第2実施例で示した撮像部100が取り付けられている。画像形成装置210は、外部装置220のCPU221の制御下で、外部装置220から送られてくる測色調整色パッチCPの色パッチデータに基づいて被記録媒体に、該測色調整パッチCPを形成して測色調整シートCSを生成し、生成した測色調整シートCSの測色調整パッチCPを撮像部で読み取って、I/F部213を介して外部装置220に送信する。
外部装置220は、画像形成装置210の動作制御を行う画像形成制御プログラムや本発明の測色処理を伴う色調整処理を行なう色調整プログラム及び必要なデータがハードディスク229またはROM227に格納されており、CPU221がROM227またはハードディスク229内のプログラムに基づいて画像形成装置210を制御することで、画像形成装置210としての基本処理を実行させるとともに、本発明の測色処理を伴う色調整処理を実行する。
ハードディスク229は、上記プログラムを格納するとともに、色調整処理及びノズル状態検出処理を実行するのに必要な各種データ、特に、上記実施例で説明した基準シートKSに配列形成されている複数の基準色パッチKPの測色結果のLab値とXYZ値のうち、少なくともいずれか(図11では、Lab値とXYZ値の双方)、該基準シートKSの基準パッチKPを画像形成装置210の撮像部で読み取ったときの撮像基準RGB値、第1線形変換マトリックス、近傍点のテーブルと第2線形変換マトリックス、また、撮像部が第2実施例の撮像部100であるときには、基準シートKSとともに読み取った基準チャートKCの各色パッチの初期基準RGB値RdGdBd、測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを読み取ったときに読み取った基準チャートKCの基準パッチの測色時基準RGB値RdsGdsBds及び測色時基準RGB値RdsGdsBdsを初期基準RGB値RdGdBdに変換する第3線形変換マトリックスが格納される。
通信I/F部224は、ネットワーク等の回線を介してスキャナ装置、複合装置、他の外部装置等の画像処理装置に接続されており、画像形成装置210に画像出力させる画像データを受信する。
画像処理部223は、画像データに対して画像形成装置210のエンジン211で形成出力するのに必要な各種画像処理を施す。
CPU221は、上述のように、画像形成装置210の動作を制御するとともに、第1実施例のCPU51または第2実施例の測色制御部120の演算部124、特に、測色値算出部126が実行する測色処理及びノズル状態検出処理を実行して測色値を求め、該測色値に基づいて画像データに対して色調整を施して、画像形成装置210に出力する。
なお、図39の画像形成システム200では、画像形成装置210の動作を外部装置220が制御しているが、画像形成装置210自体がCPU等のコントローラを備えて、画像形成動作自体については、該コントローラが制御を行い、測色値を求める測色処理のみ、または、測色処理を含む色調整処理についてのみ外部装置220が実行してもよい。
このように、少なくとも画像形成装置210の外部装置で測色処理または測色処理を含む色調整処理を実行すると、安価な画像形成装置210においても安価にかつ適切に色再現性を向上させることができる。
なお、上記説明では、色調整処理を画像形成装置1または外部装置220で行なっているが、色調整処理を行うか否かはユーザによる任意の行為であり、必ずしも画像形成装置1や外部装置220で色調整処理を行う必要はない。実際に画像形成装置が出力している色を測色することで、ユーザはL*a*b*色空間等での測色値を知ることができる。測色値を使った行為は任意であり、例えば、ユーザが画像形成装置や画像形成システムに入力される前の画像の色を変更しても構わない。また、画像形成装置の出力色が入力色からずれている場合にも、ずれた色味を生かして出力することも可能である。このように、色調整処理は、ユーザの任意の行為である。
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。