以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
図1〜図20は、本発明の撮像ユニット、測色装置、測色システム及び画像形成装置の一実施例を示す図であり、図1は、本発明の撮像ユニット、測色装置、測色システム及び画像形成装置の一実施例を適用した画像形成装置1の概略斜視図である。
図1において、画像形成装置1は、本体筐体2が、本体フレーム3上に配設されており、本体筐体2内には、図1に両矢印Aで示す主走査方向に主ガイドロッド4と副ガイドロッド5が張り渡されている。主ガイドロッド4は、キャリッジ6を移動可能に支持しており、キャリッジ6には、副ガイドロッド5に係合してキャリッジ6の姿勢を安定化させる連結片6aが設けられている。
画像形成装置1は、主ガイドロッド4に沿って無端ベルト状のタイミングベルト7が配設されており、タイミングベルト7は、駆動プーリ8と従動プーリ9との間に張り渡されている。駆動プーリ8は、主走査モータ10によって回転駆動され、従動プーリ8は、タイミングベルト7に対して所定の張りを与える状態で配設されている。駆動プーリ8は、主走査モータ10によって回転駆動されることで、その回転方向に応じて、タイミングベルト7を主走査方向に回転移動させる。
キャリッジ6は、タイミングベルト7に連結されており、タイミングベルト7が駆動プーリ8によって主走査方向に回転移動されることで、主ガイドロッド4に沿って主走査方向に往復移動する。
画像形成装置1は、本体筐体2内の主走査方向両端部位置に、カートリッジ部11と維持機構部12が収納されており、カートリッジ部11は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各インクをそれぞれ収納するカートリッジが、交換可能に収納されている。カートリッジ部11の各カートリッジは、キャリッジ6が搭載する記録ヘッド20の対応する色の記録ヘッド20y、20m、20c、20k(図2参照)と、図示しないパイプで連結されており、パイプを通してカートリッジから記録ヘッド20y、20m、20c、20kに対してインクを供給する。なお、以下の説明において、記録ヘッド20y、20m、20c、20kを総称するときには、記録ヘッド20という。
画像形成装置1は、後述するように、キャリッジ6を主走査方向に移動させながら、プラテン14(図2参照)上を、主走査方向と直交する副走査方向(図1の矢印B方向)に間欠的に搬送される記録媒体Pにインクを吐出することで、記録媒体Pに画像を記録出力する。
すなわち、本実施例の画像形成装置1は、記録媒体Pを副走査方向に間欠的に搬送し、記録媒体Pの副走査方向の搬送が停止している間に、キャリッジ6を主走査方向に移動させながら、キャリッジ6に搭載された記録ヘッド20のノズル列からプラテン14上の記録媒体P上にインクを吐出して、記録媒体Pに画像を形成する。
維持機構部11は、記録ヘッド20の吐出面の清掃、キャッピング、不要なインクの吐出等を行って、記録ヘッド20からの不要なインクの排出や、記録ヘッド20の信頼性の維持を図っている。
画像形成装置1は、記録媒体Pの搬送部分を開閉可能に、カバー13が設けられており、画像形成装置1のメンテナンス時やジャム発生時に、カバー13を開けることで、本体筐体2内部のメンテナンス作業やジャム記録媒体Pの除去等の作業を行うことができる。
キャリッジ6は、図2に示すように、記録ヘッド20y、20m、20c、20kを搭載しており、記録ヘッド20y、20m、20c、20kは、それぞれ上記カートリッジ部11の対応する色のカートリッジにパイプで連結されて、それぞれ対応する色のインクを、対向する記録媒体Pに吐出する。すなわち、記録ヘッド20yは、イエロー(Y)インクを、記録ヘッド20mは、マゼンタ(M)インクを、記録ヘッド20cは、シアン(C)インクを、記録ヘッド20kは、ブラック(K)インクを、それぞれ吐出する。
記録ヘッド20は、その吐出面(ノズル面)が、図1の下方(記録媒体P側)に向くように、キャリッジ6に搭載されており、記録媒体Pにインクを吐出する。
画像形成装置1は、タイミングベルト7、すなわち、主ガイドロッド5に平行に、少なくともキャリッジ6の移動範囲に亘ってエンコーダシート15が配設されており、キャリッジ6には、エンコーダシート15を読み取るエンコーダセンサ21が取り付けられている。画像形成装置1は、エンコーダセンサ21によるエンコーダシート15の読み取り結果に基づいて主走査モータ10の駆動を制御することで、キャリッジ6の主走査方向の移動を制御する。
キャリッジ6に搭載されている記録ヘッド20は、図3に示すように、それぞれの記録ヘッド20y、20m、20c、20kが、複数のノズル列で構成されており、プラテン14上を搬送される記録媒体P上にノズル列からインクを吐出することで、記録媒体Pに画像を形成する。画像形成装置1では、キャリッジ6の1回の走査で記録媒体Pに形成できる画像の幅を広く確保するため、キャリッジ6に、上流側の記録ヘッド20と下流側の記録ヘッド20とを搭載している。また、ブラックのインクを吐出する記録ヘッド20kは、黒の印字速度を向上させるために、カラーのインクを吐出する記録ヘッド20y、6m、6cの2倍の数がキャリッジ6に搭載されている。さらに、記録ヘッド20y、6mは、キャリッジ6の往復動作で色の重ね順を合わせて、往路と復路とで色が変わらないようにするために、主走査方向に分割されて隣接する状態で配置されており、記録ヘッド20の各記録ヘッド20y、20m、20c、20kの配置は、図3に示す配置に限るものではない。
キャリッジ6には、図2に示したように、撮像ユニット30が取り付けられており、撮像ユニット30は、後述する色調整処理時に被写体(測色対象物)を測色するために、被写体を撮像する。
撮像ユニット30は、上部カバー31を剥離した状態の平面図である図4、図4のA−A矢視断面図である図5及び図5のB−B矢視断面図である図6に示すように、上部カバー31に、上部カバー31側の面が開放されている四角の箱形状の枠体32が、図示しない締結部材によって固定されており、上部カバー31は、図1に示したキャリッジ6に固定されている。なお、枠体32は、四角の箱形状に限るものではなく、例えば、開口部32b、32cの形成されている底面部32aを有する円筒の箱形状や楕円筒の箱形状等であってもよい。
撮像ユニット30は、図4及び図5に示すように、枠体32内であって、上部カバー31から底面部32a側に所定量離れた位置に、枠体32の内壁面に形成された凹部に嵌め込まれる状態でセンサ基板33が、取り付けられており、枠体32へのセンサ基板33の取り付け方法は、嵌合、ネジ止め、上部カバー31とセンサ基板33との間に枠体32の内壁面に沿った状態で挿入される固定部材による固定等の適宜の方法を用いることができる。
センサ基板33は、撮像ユニット30の移動方向である主走査方向において、枠体32の長さよりも短く、主走査方向両端部と枠体32の内壁面との間に隙間が開いている状態となっている。
センサ基板33は、その底面部32a側の面であってその主走査方向及び副走査方向中央部に、イメージセンサ部34が配設されており、CCD(Charge Coupled Device )センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor )センサ等の2次元イメージセンサ35とレンズユニット36を備えている。
撮像ユニット30は、枠体32が、その上部カバー31とは反対側の面部(以下、底面部という。)32aの下面が、所定の間隔dを有してプラテン14上の記録媒体Pと対向する状態で、キャリッジ6に取り付けられており、該底面部(対向面)32aには、中心線Loを中心として、主走査方向にそれぞれ略長方形状の開口部32bと開口部32cが形成されている。間隙dは、後述するように、2次元イメージセンサ35に対する焦点距離を考慮して、小さい方が好ましいが、記録媒体Pの平面性との関係から、枠体32の下面と記録媒体Pとが接触しない大きさ、例えば、1mm〜2mm程度に設定されている。
開口部32cは、後述するように、記録媒体Pに形成されている撮像対象体(被写体)である基準シートKS(図10参照)の基準色パッチKP(図10参照)及び測色調整シートCS(図5、図13参照)の測色調整色パッチCP(図5、図13参照)を撮像するのに用いられる。開口部32cは、少なくとも、撮像対象(例えば、1つのパッチ)の画像を全て撮像可能な大きさであればよいが、枠体32と撮像対象との間に間隙dがあるため、開口部32cの周辺に発生する影を考慮して、撮像対象の撮像領域の大きさよりも若干大きめの開口状態で形成されている。
開口部32bは、その記録媒体P側の面に開口部32bの周囲に沿って所定幅の凹部32dが形成されており、該凹部32dに基準チャートKCが着脱可能にセットされている。枠体32の開口部32bの凹部32dには、基準チャートKCの記録媒体P側の面を覆って、基準チャートKC該凹部32dに保持させる保持板32eが着脱可能に取り付けられており、開口部32bは、基準チャートKCと保持板32eによって塞がれた状態となっている。保持板32eは、その記録媒体P側の面が、滑らかな平坦面となっている。
基準チャートKCは、上記基準シートKSの基準色パッチKP及び色調整処理における撮像対象である測色調整シートCSの測色調整色パッチCPの撮像測色値との比較対象として、撮像ユニット30により基準色パッチKPや測色調整色パッチCPと同時に撮影される。すなわち、撮像ユニット30は、枠体32の底面部32aに設けられた開口部32cを通して枠体32の外部に位置する基準シートKSの基準色パッチKPや測色調整シートCSの測色調整色パッチCPの撮像と同時に、枠体32の底面部32aの開口部32b周囲に形成されている凹部32dに装着されている基準チャートKC上の色パッチを、比較対象として撮像する。
なお、撮像ユニット30は、2次元イメージセンサ35が画素を順次走査して画像を読み取るため、厳密には、基準シートKSの基準色パッチKPや測色調整シートCSの測色調整色パッチCPと基準チャートKCを同時には読み取らないが、1フレーム内に基準色パッチKPや測色調整色パッチCPと基準チャートKCの画像を取得することができることから、同時取得として表現する。
この基準チャートKCは、その枠体32内部側の面(上面)に、図7に示すように、後述する基準シートKSと同様に、測色用の複数の基準色パッチ列Pa〜Pd、ドット径計測用パターン列Pe、距離計測用ラインlk及びチャート位置特定用マーカmkが形成されている。
測色用のパッチ列Pa〜Pdは、YMCの1次色の色パッチを階調順に配列したパッチ列Paと、RGBの2次色の色パッチを階調順に配列したパッチ列Paと、グレースケールのパッチを階調順に配列したパッチ列(無彩色の階調パターン)Pcと、3次色のパッチを配列したパッチ列Pdと、があり、ドット径計測用パターン列Peは、大きさが異なる円形パターンを大きさ順に配列された幾何学形状測定用のパターン列である。
距離計測用ラインlkは、測色用のパッチ列Pa〜Pdやドット径計測用パターン列Peを囲む矩形の枠線として形成されている。チャート位置特定用マーカmkは、距離計測用ラインlkの四隅の位置に設けられていて、各パッチ位置を特定するためのマーカである。
後述する測色制御部106(図8及び図9参照)は、撮像ユニット30から取得した基準チャートKCの画像データから距離計測用ラインlkとその四隅のチャート位置特定用マーカmkを特定することで、基準チャートKCの位置及び各パターンの位置を特定する。
測色用の基準色パッチ列Pa〜Pdを構成する各パッチは、後述する基準チャートKCの基準パッチKPと同様に、分光器BS(図10参照)を用いて、標準色空間であるLab色空間における表色値(Lab値)が予め計測されており、後述する測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを測色する際の基準値となる。
なお、基準チャートKCに配置されている測色用のパッチ列Pa〜Pdの構成は、図7に示す配置例に限定されるものではなく、任意のパッチ列を用いることができ、例えば、可能な限り色範囲を広く特定することのできるパッチを用いてもよいし、また、YMCKの1次色のパッチ列Paや、グレースケールのパッチ列Pcは、画像形成装置1に使用されるインクの測色値のパッチで構成されていてもよい。また、基準チャートKCのRGBの2次色パッチ列Paは、画像形成装置1で使用されるインクで発色可能な測色値のパッチで構成されていてもよく、さらに、JapanColor等の測色値が定められた基準色票を用いてもよい。
この基準チャートKCは、枠体32の底面部32aに形成されている開口部32bの記録媒体P側の面の外周に形成されている凹部32dに配設されているため、記録媒体P等の撮像対象と同様の焦点距離で、イメージセンサ部34の2次元イメージセンサ35によって撮像することができる。
また、基準チャートKCは、枠体32の底面部32aに形成されている開口部32bの記録媒体P側の面の外周に形成されている凹部32dに、着脱可能にセットされて、記録媒体P側の面が、該凹部32dに着脱可能に取り付けられている保持板32eで着脱可能に保持されているため、枠体32内に侵入したゴミ等が基準チャートKC表面に付着しても、保持板32eと基準チャートKCを取り外して、基準チャートKCを清浄に清掃した後に、再度、取り付けることができ、基準チャートKCの測定精度を向上させることができる。
再び、図4から図6に戻って、撮像ユニット30は、図4に示すように、イメージセンサ部34の中心を通る副走査方向の中心線Lo上であって、イメージセンサ部34の中心からそれぞれ副走査方向に所定量だけ等間隔で離れた位置のセンサ基板33に、1対の照明光源37が配設されており、照明光源37としては、LED(Light Emitting Diode)等が用いられている。
さらに、撮像ユニット30は、撮像領域の開口部32cと基準チャートKCの配置条件が、レンズユニット36の中心と照明光源37を結ぶ中心線Loに対して、略対称に配置されているため、2次元イメージセンサ35の撮像条件を線対称で同一にすることができ、基準チャートKCを用いた2次元イメージセンサ35の色調整処理や測色処理の精度を向上させることができる。
そして、レンズユニット36は、被写体と基準チャートKCから2次元イメージセンサ35への反射光の光路中に配設されており、該反射光を該2次元イメージセンサ35に集光させる。レンズユニット36は、図5に示すように、レンズ36aとして1枚の結像レンズが用いられているが、複数枚のレンズが用いられていてもよい。レンズユニット36のレンズ36aは、レンズ位置調整機構部40によって2次元イメージセンサ35に対して垂直方向において、近づく方向と離れる方向に移動される。
レンズ位置調整機構部40は、レンズ36aを挟んで主走査方向にそれぞれ配設されている駆動モータ41a、41b、駆動モータ41a、41bによって回転駆動されるガイドレール42a、42b及びガイドレール42a、42b間に張り渡されてレンズ36aを保持するレンズホルダ43等を備えている。この駆動モータ41a、41bは、レンズ位置調整部50(図9参照)によって回転制御される。
ガイドレール42a、42bは、2次元イメージセンサ35に対して垂直方向に延在して各駆動モータ41a、41bによって回転駆動され、その外周表面に軸方向に螺旋状のネジ溝またはネジ山のネジ部が形成されている。
レンズホルダ43は、図示しないが、両端部にガイドレール42a、42bが挿入されるネジ穴が形成されており、該ネジ穴のネジ山またはネジ溝のネジ部がガイドレール42a、42bのネジ部と咬み合って、ガイドレール42a、42bの回転方向に応じて、2次元イメージセンサ35に近づく方向または2次元イメージセンサ35から離れる方向に移動する。
駆動モータ41a、41bは、後述するレンズ位置調整部50からのモータ駆動信号によって、同じ方向に回転駆動される。後述するが、駆動モータ41a、41bがパスルモータであると、レンズ位置調整部50が、駆動モータ41a、41bに出力するモータ駆動信号のパルス数を制御することで、レンズ36aの移動量を制御し、開口部32cを通して被写体を撮像するときと、基準チャートKCを撮像するときとで、レンズ位置調整部50から駆動モータ41a、41bに出力するモータ駆動信号の符号を変更することで、駆動モータ41a、41bの回転方向を変更して、レンズ36aの移動方向を変更する。
撮像ユニット30は、上部カバー31とセンサ基板33との間の枠体32の位置側壁面には、ファン60が取り付けられており、該ファン60の取り付けられている枠体32の壁面には、外部の空気を該ファン6の回転によって枠体32内に取り込むための空気口(空気取り込み口)61が形成されている。この空気口61には、外部から枠体32内に取り込む空気中のゴミを除去するフィルタ62が取り付けられている。これらファン60、空気口61及びフィルタ62は、全体として、枠体32外の空気を該枠体32内に取り込んで、後述する空気噴射口63から噴射させる空気取り込み手段として機能している。
撮像ユニット30は、開口部32bと開口部32cの間の底面部32aに、空気噴射口63が形成されており、空気噴射口63は、該底面部32aの副走査方向中央部に、所定幅で該副走査方向に所定長さにわたって形成されている。空気噴射口63は、枠体32内と枠体32外を連通する状態で形成されており、上記ファン60で枠体32外から枠体32内に取り込まれた空気を、枠体32下部の記録媒体Pに向かって噴射する。すなわち、撮像ユニット30は、ファン60が回転することによって空気口61を通して外部から取り込まれた空気を、図5に矢印で示すように枠体32内を流れさせて、空気噴射口63から枠体32の下部の記録媒体Pに向かって空気を噴射し、記録媒体P上のゴミの除去、空気によるインクの乾燥及び浮遊ミストの記録媒体Pへの付着を防止する。上記ファン60、空気口61及び空気噴射口63は、全体として、被写体に向かって空気を噴射する空気噴射手段として機能している。
そして、このファン60は、噴射制御手段としてのファン駆動制御部64(図9参照)によって駆動制御される。
また、撮像ユニット30は、開口部32cを通した記録媒体Pと2次元イメージセンサ35との光路中に光路長変更部材71が配設されており、光路長変更部材71は、開口部32cの周囲の枠体32上に固定または保持されている。
光路長変更部材71は、屈折率n1を有して、光透過方向に長さ(以下、光路長変更部材の長さという。)Lp1を有した光透過部材が用いられており、屈折率n1と光透過方向の長さLp1によって、次式(1)で決定される光路長変更量(画像の浮き上がり量)C1を有している。
C1=Lp1(1−1/n1)・・・(1)
そして、記録媒体Pの撮像面からイメージセンサ部34の2次元イメージセンサ35への光路長(焦点距離)L1は、次式(2)で与えられる。
L1=Lt+Lp1(1−1/n1)・・・(2)
ここで、Ltは、レンズ36aの撮像対象側の頂部と記録媒体Pの撮像面との間の距離である。
そして、撮像ユニット30は、記録媒体Pの撮像面から2次元イメージセンサ35への光路長(焦点距離)L1と基準チャートKCから2次元イメージセンサ35への光路長(焦点距離)が一致するように、光路長変更部材71の屈折率n1と長さLp1が設定されている。このように設定することで、イメージセンサ部34の2次元イメージセンサ35に対する基準チャートKCの焦点位置と被写体(撮像面)の焦点位置を一致させることができる。
また、撮像ユニット30は、光路長変更部材71及び開口部32cを通して記録媒体Pの撮像面に照射する照明光と、基準チャートKCを照射する照明光とは、同一の照明光源37からの照明光であり、同じ照明条件で基準チャートKCと記録媒体Pの撮像面を同時に撮像することができる。また、照明光源37は、基準チャートKCと記録媒体Pの略中間位置である中心線Lo上に配置され、かつ、レンズ36aに対して中心線Lo上において対象に2個配置されているため、基準チャートKCと記録媒体Pの撮像領域を略同じ照明条件で、均一に照明することができる。
さらに、撮像ユニット30は、撮像領域の開口部32cと基準チャートKCの配置条件が、レンズ36aの中心と照明光源37を結ぶ中心線Loに対して、略対称に配置されているため、2次元イメージセンサ35の撮像条件を線対称で同一にすることができ、基準チャートKCを用いた2次元イメージセンサ35の色調整処理や測色処理の精度を向上させることができる。
そして、本実施例の画像形成装置1は、図8に示すようにブロック構成されており、CPU(Central Processing Unit )101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、主走査ドライバ104、記録ヘッドドライバ105、測色制御部106、紙搬送部107及び副走査ドライバ108等を備えているとともに、上述のようにキャリッジ6に搭載されている記録ヘッド20、エンコーダセンサ21及び撮像ユニット30等を備えている。
ROM102は、画像形成装置1としての基本プログラム及び色調整処理プログラム等のプログラム及び必要なシステムデータ等を記憶し、CPU101は、ROM102内のプログラムに基づいて、RAM103をワークメモリとして利用しつつ、画像形成装置1の各部を制御して、画像形成装置1としての基本処理を実行するとともに、撮像ユニット30が撮像したRGB値に基づいて、測色制御部106での測色処理で求められた測色値に基づいて、画像形成時における色調整処理を実行する。特に、CPU101は、ROM102内のプログラムに基づいて、色調整処理におけるファン60の駆動制御を行なう。
CPU101は、キャリッジ6及び紙搬送部107の制御においては、エンコーダセンサ21からのエンコーダ値に基づいて主走査ドライバ104の駆動を制御して、キャリッジ6の主走査方向の移動を制御し、また、CPU101は、副走査ドライバ108を介して、図示しない副走査モータや搬送ローラ等の紙搬送部107の駆動を制御する。さらに、CPU101は、記録ヘッドドライバ105を介して、記録ヘッド20によるインクの吐出タイミング及びインク吐出量を制御する。
撮像ユニット30は、上述したように、画像を記録出力する際の画像データの色を、ユーザの意図する色に正確に再現する色調整用の測色値を生成するために、後述するように、測色時に記録媒体Pに記録ヘッド20によって形成された測色調整色パッチCPを撮像して、撮像したRGB値をCPU101に出力する。
そして、撮像ユニット30及び測色制御部106は、図9に示すようにブロック構成されている。撮像ユニット30は、上記照明光源37、イメージセンサ部34、レンズ位置調整機構部40、ファン60を備えているとともに、画像処理部110及びインターフェイス部111等を備えており、画像処理部110は、A/D変換部112、シェーディング補正部113、ホワイトバランス補正部114、γ補正部115及び画像フォーマット変換部116を備えている。この撮像ユニット30及び測色制御部106は、全体として、測色装置として機能している。
撮像ユニット30は、イメージセンサ部34が被写体と基準チャートKCを同時に撮像したアナログのRGB画像データを画像処理部110に出力し、画像処理部110は、イメージセンサ部34から送られてくるアナログのRGB画像データに対して必要な画像処理を施して測色制御部106に出力する。
画像処理部110のA/D変換部112は、イメージセンサ部34から入力されるアナログのRGB画像データをデジタル変換してシェーディング補正部113に出力する。
シェーディング補正部113は、A/D変換部112から入力されるRGB画像データに対して、イメージセンサ部34の撮像範囲に対する照明光源37からの照明光の照度ムラに起因する画像データの誤差の補正を行って、ホワイトバランス補正部114に出力する。
ホワイトバランス補正部114は、シェーディング補正後のRGB画像データに対してホワイトバランスを補正して、γ補正部115に出力する。
γ補正部115は、ホワイトバランス補正部114から入力される画像データに対して、イメージセンサ部34の感度のリニアリティを補償するように補正して、画像フォーマット変換部116に出力する。
画像フォーマット変換部116は、γ補正後の画像データを任意のフォーマットに変換して、インターフェイス部111を介して測色制御部106に出力する。
インターフェイス部111は、測色制御部106から送られた各種設定信号、タイミング信号及び光源駆動信号を撮像ユニット30が取得し、また、撮像ユニット30から測色制御部106へ画像データを送るためのインターフェイスである。
測色制御部106は、レンズ位置調整部50、ファン駆動制御部64、フレームメモリ121、タイミング信号発生部122、光源駆動制御部123、演算部124及び不揮発性メモリ125を備えており、演算部124は、測色値算出部126を備えている。
フレームメモリ121は、撮像ユニット30から送られてきた画像データを一時的に記憶するメモリであり、保管した画像データを演算部124に出力する。
不揮発性メモリ125は、図10に示すように、分光器(測色装置)BSによって、基準シートKSに配列形成されている複数の基準色パッチKPの測色結果の測色値であるLab値とXYZ値のうち、少なくともいずれか(図10では、Lab値とXYZ値の双方)が、基準測色値として、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1にパッチ番号に対応して格納されている。
さらに、画像形成装置1は、メモリテーブルTb1に基準測色値が不揮発性メモリ125に格納されている状態で、かつ、画像形成装置1の初期状態において、上記基準シートKSを画像形成装置1のプラテン14上にセットして、キャリッジ6の移動を制御して撮像ユニット30によって該基準シートKSの分光器BSで読み取ったのと同じ基準パッチKPを読み取った撮像基準RGB値を、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に、パッチ番号に対応させて、すなわち、基準測色値に対応させて格納するとともに、撮像ユニット30の基準チャートKCの各パッチを撮像してRGB値を取得して、該基準チャートKCの各パッチのRGB値を初期基準RGB値RdGdBdとして、演算部124の制御下で不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に格納している。
画像形成装置1は、基準測色値と撮像基準RGB値及び初期基準RGB値RdGdBdを不揮発性メモリ125に格納すると、測色値算出部126が、不揮発性メモリ125に格納されている基準測色値のXYZ値と撮像基準RGB値の対、すなわち、同じパッチ番号のXYZ値と撮像基準RGB値の対に対して、相互に変換する基準値線形変換マトリックスを算出して、算出した基準値線形変換マトリックスを不揮発性メモリ125に格納する。
画像形成装置1においては、上記処理を画像形成装置1の初期状態で実行して、実行結果である基準測色値と撮像基準RGB値及び初期基準RGB値RdGdBdを不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に登録した後、基準値線形変換マトリックスを算出して、不揮発性メモリ125に格納する。
さらに、本実施例の画像形成装置1は、後述するように、色調整処理時に、経時変化等している記録ヘッド20によって記録媒体Pに形成された被写体としての測色調整色パッチCPと枠体32の内部に配置された基準チャートKCとをイメージセンサ部34で同時に撮像して、測色調整色パッチCP及び基準チャートKCを含む画像データを測色制御部106に出力する。測色制御部106は、撮像ユニット30から取得した色調整処理時にイメージセンサ部34が撮像した測色調整色パッチCPを、基準シートKSの基準色パッチ(以下、初期基準色パッチという。)を撮像ユニット30で読み取ったときに、同時に読み取って記憶した基準チャートKCのパッチPa〜Peの初期基準RGB値RdGdBdに変換した後に、該初期基準RGB値RdGdBdに対して、測色調整色パッチCPのうち線形性を有する部分を取り出して線形変換して測色値を求める測色処理を行なう。
すなわち、演算部124は、測色制御部106の動作を制御するとともに、測色値算出部126が、測色処理を実行して、測色処理の処理結果である測色値をCPU101に出力し、CPU101が、該測色値を用いて画像データを色調整処理して、色調整処理した画像データに基づいて記録ヘッド20を制御することで、色再現性を向上させた状態で画像形成する。
そして、レンズ位置調整部50は、CPU、ROM、RAM等またはマイコンチップ等で構成されている。レンズ位置調整部50は、ROM等のメモリ内のレンズ位置調整プログラムに基づいて、CPU101からのレンズ位置調整タイミングに応じて、レンズ位置調整機構部40へのモータ駆動信号を制御して、レンズ位置調整機構部40の駆動制御、すなわち、駆動モータ41a、41bの回転駆動を制御し、イメージセンサ部34のレンズ36aの位置調整を行なう。
また、ファン駆動制御部(噴射制御手段)64は、CPU、ROM、RAM等またはマイコンチップ等で構成されている。ファン駆動制御部64は、ROM等のメモリ内のファン駆動制御プログラム及び駆動周波数、駆動時間等の駆動条件に基づいて、CPU101からのファン駆動タイミングに応じて、ファン60へモータ駆動信号を制御して、ファン60の駆動制御を行なう。このファン60の駆動条件は、印字中と測色中途で異なる条件が予めROMに格納されていてもよい。したがって、画像形成装置1は、撮像手段としての撮像ユニット30と、算出手段としての測色制御部106と、噴射制御手段としてのファン駆動制御部64と、を備えた測色装置を搭載している。
本実施例の画像形成装置1は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Versatile Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本実施例の測色方法を実行する測色プログラムを読み込んでROM102または不揮発性メモリ125等に導入することで、後述するゴミの付着を防止しつつ、被写体と基準チャートを常に安定した位置関係で撮像する測色方法を実行する測色装置を備えた画像形成装置1として構築されている。この測色プログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の画像形成装置1は、ゴミの付着を防止しつつ、被写体と基準チャートを常に安定した位置関係で撮像する。
本実施例の画像形成装置1は、図10に示したように、分光器BSによって、基準シートKSに配列形成されている複数の基準色パッチの測色結果を、Lab値とXYZ値のうち、少なくともいずれかを、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1にパッチ番号に対応して基準測色値として格納されている。
また、画像形成装置1は、メモリテーブルTb1に基準測色値が不揮発性メモリ125に格納されている状態で、かつ、画像形成装置1が製造またはオバーフォール等によって初期状態であるときに、上記基準シートKSを画像形成装置1のプラテン14上にセットして、キャリッジ6の移動を制御して撮像ユニット30によって該基準シートKSの分光器BSで読み取ったのと同じ基準パッチを読み取るとともに、同時に、図11に示すように、枠体32の内部に配置された基準チャートKCの各パッチ(初期基準色パッチ)を撮像する。
画像形成装置1は、基準シートKSの基準パッチと基準チャートKCの各パッチを撮像ユニット30によって撮像すると、基準シートKSの基準パッチを撮像した画像データを画像処理部110で処理したRGB値である撮像基準RGB値、すなわち、デバイスに依存するデバイス依存信号を、測色制御部106の演算部124が、図10に示したように、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に、パッチ番号に対応させて、すなわち、基準測色値に対応させて格納するとともに、基準チャートKCの初期基準色パッチを読み取って画像処理部110で処理したRGB値である初期基準RGB値RdGdBdを、図12(a)に示すように、不揮発性メモリ125に格納する。
なお、演算部124は、撮像ユニット30が読み取った基準チャートKCの初期基準色バッチの画像データのうち、所定領域、例えば、図11に破線で示す領域(測色対象領域)毎に平均値を算出して、初期基準RGB値RdGdBdとしている。このように測色対象領域の多数の画素を平均化して初期基準RGB値RdGdBdを算出すると、ノイズの影響を低減させることができるとともに、bit分解能を向上させることができる。また、図12(b)は、初期基準RGB値RdGdBdをプロットした散布図であり、図12(a)は、初期基準RGB値RdGdBdをLab値に変換した基準Lab値Ldadbd及びXYZ値に変換した基準XYZ値xdydzdも不揮発性メモリ125に登録されている状態を示している。
画像形成装置1は、基準測色値と撮像基準RGB値及び初期基準RGB値RdGdBdを不揮発性メモリ125に格納すると、演算部124の測色値算出部126が、不揮発性メモリ125に格納されている基準測色値のXYZ値と撮像基準RGB値の対、すなわち、同じパッチ番号のXYZ値と撮像基準RGB値の対に対して、相互に変換する基準値線形変換マトリックスを算出して、算出した基準値線形変換マトリックスを不揮発性メモリ125に格納する。
この状態で、画像形成装置1は、外部から入力される画像データや印刷設定等に基づいて、CPU101が、キャリッジ6の主走査移動制御、紙搬送部48による記録媒体Pの搬送制御及び記録ヘッド20の駆動制御を行って、記録媒体Pを間欠的に搬送させつつ、記録ヘッド20の各記録ヘッド20y、20m、20c、20kからのインク吐出を制御して、画像を記録媒体Pに記録出力する。
このとき、記録ヘッド20y、20m、20c、20kからのインクの吐出量が、機器固有の特性や経時変化等によって変化することがあり、このインクの吐出量が変化すると、ユーザが意図する画像の色とは異なった色で画像形成されることとなって、色再現性が劣化する。
そこで、画像形成装置1は、所定の色調整処理タイミングで、測色値を求めて該測色値に基づいて色調整を行なう色調整処理を実行する。
すなわち、画像形成装置1は、色調整処理タイミングになると、複数の色パッチ(測色調整色パッチ)CPを、図13に示すように、記録ヘッド20によって記録媒体Pに形成して測色調整シートCSとして記録出力する。この測色調整シートCSは、複数の測色調整用の色パッチである測色調整色パッチCPが、記録ヘッド20によって形成出力されたものであり、画像形成装置1の色調整処理タイミングにおける出力特性、特に、記録ヘッド20の出力特性を反映した測色調整色パッチCPが形成されている。なお、測色調整色パッチCPの色パッチデータは、予め不揮発性メモリ125等に格納されている。
そして、画像形成装置1は、後述するように、この測色調整シートCSの複数の測色調整色パッチCPを撮像したRGB値を測色対象RGB値(測色用RGB値)として、この測色対象RGB値を初期基準RGB値RdGdBdに変換して、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に登録されている基準測色値のうち、該初期基準RGB値RdGdBdを変換した測色値に対して距離的に近い基準測色値(近傍基準測色値)を選択して、測色対象RGB値を、選択した近傍基準測色値に変換する測色値を求め、該測色値に基づいて色変換を行った後の画像データに基づいて、記録ヘッド20によって画像を出力することで、画像形成装置1による形成画像の色再現性を向上させる。
画像形成装置1は、上記測色調整シートCSに測色調整色パッチCPを形成する際に、CPU101からの駆動タイミングに基づいて、ファン60にファン駆動信号を出力し、所定の駆動時間のみ、例えば、キャリッジ6の移動中のみファン駆動信号をファン60に出力してファン60を駆動させる。
撮像ユニット30は、ファン60が回転駆動すると、ファン60が空気口61からフィルタ62を通して枠体32内に取り込んだ空気を、図5に矢印で示したように、枠体32内を循環させて、枠体32の底面部32aの中央部に形成された空気噴射口63から枠体32の下方に噴射する。空気噴射口63から噴射された空気は、図5に矢印で示すように、測色調整シートCSと枠体32の底面部32aの外面との間を通過して、枠体32の側方に噴射され、撮像ユニット30の測色に影響を及ぼす開口部32cに面する光路長変更部材71にインクミストやゴミ等が付着して、撮像結果にゴミ等の異物の影響が入り込むことを防止することができ、測色精度を向上させることができる。
また、インク噴射式で形成された測色調整色パッチCPは、インクが噴射されて乾燥する前と乾燥後では、色味が変化するため、通常、インクが乾燥するのを待って測色を行なう必要があるが、本実施例の画像形成装置1は、上述のように、キャリッジ6を移動させながらインク噴射を行なって測色調整色パッチCPを形成しているときに、ファン60を回転駆動させて、空気噴射口63から測色調整色パッチCPの形成された測色調整シートCSに空気を噴射しているため、インクの乾燥を促進させることができ、インクが乾燥して測色を行なうまでの待ち時間を短縮することができる。
そして、画像形成装置1は、上述のようにして撮像ユニット30で基準シートKSの基準色パッチKPを撮像するとき及び測色調整シートCSの各測色調整色パッチCPを撮像対象として撮像するときに、枠体32に取り付けられている基準チャートKCの各パッチを撮像するが、このとき、高精度に各パッチを撮像するために、各パッチからの反射光を、イメージセンサ部34の2次元イメージセンサ35へ集光するレンズ36aの位置を、レンズ位置制御部50の制御下で、レンズ位置調整機構部40によって変更調整する。
すなわち、画像形成装置1は、基準シートKSの基準色パッチKPや測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを撮像するタイミングになると、まず、測色制御部106のレンズ位置制御部50が、初期状態として、基準チャートKCのパッチを撮像する位置にレンズ36aの位置をセットしており、この状態で、撮像ユニット30を、基準シートKSの基準色パッチKPまたは測色調整シートCSの測色調整色パッチCP(以下、適宜、撮像対象という。)の撮像位置に移動する。
画像形成装置1は、撮像ユニット30を、撮像対象の撮像位置に移動すると、まず、基準チャートKCのパッチを撮像し、基準チャートKCの所定パッチの撮像が完了すると、次に、レンズ位置制御部50からモータ駆動信号を出力して駆動モータ41a、41bを同期して同じ方向に回転駆動させて、レンズホルダ43の取り付けられているガイドレール42a、42bを同期して同じ方向に回転させることで、レンズ36aを保持するレンズホルダ43の位置、すなわち、レンズ36aの位置を基準チャート撮像用位置から撮像対象撮像用レンズ位置に調整する。
すなわち、基準チャートKCを撮像するときには、基準チャートKCとレンズ36aとの距離をak、レンズ36aと2次元イメージセンサ35との距離をbk、基準チャートKCと2次元イメージセンサ35との距離をLk及びレンズ36aの焦点距離をfとすると、これらの間には、次式で示すような関係がある。
ak+bk=Lk
1/ak+1/bk=1/f・・・(3)
そして、開口部32cを通して撮像対象を撮像するときには、撮像対象とレンズ36aとの距離をas、レンズ36aと2次元イメージセンサ35との距離をbs、撮像対象と2次元イメージセンサ35との距離をLsとすると、レンズ36aの焦点距離fとこれらの間には、次式で示すような関係がある。
as+bs=Ls
1/as+1/bs=1/f・・・(4)
したがって、基準チャートKCを撮像するときのレンズ36aの位置と撮像対象を撮像するときのレンズ36aの位置との位置差Δdは、次式(5)により求めることができる。
Δd=bk−bs・・・(5)
ステップS103で、撮像対象用レンズ位置に位置調整すると、画像形成装置1は、撮像ユニット30による撮像対象の撮像を行わせ、レンズ位置制御部50からモータ駆動信号を出力して駆動モータ41a、41bを回転駆動させて、レンズホルダ43の取り付けられているガイドレール42a、42bを回転させることで、レンズ36aを保持するレンズホルダ43の位置、すなわち、レンズ36aの位置を撮像対象撮像用レンズ位置から基準チャート撮像用位置に戻す位置調整を行なう。
CPU101は、上記レンズ36aの位置調整を行いながら撮像対象及び基準チャートKCの必要な全範囲を撮像する。
そして、画像形成装置1は、図13に示すように、この測色調整シートCSがプラテン14上にセットされるか、測色調整シートCSを記録した段階で排紙することなくプラテン14上に保持した状態として、このプラテン14上の測色調整シートCSの複数の測色調整色パッチCPを、キャリッジ6の移動を制御して撮像ユニット30によって撮像すると同時に、撮像ユニット30によって基準チャートKCのパッチを撮像する。なお、このキャリッジ6の移動時においても、ファン60を駆動させて、空気を空気噴射口63から測色調整シートCSに向かって噴射させてもよい。このようにすると、撮像ユニット30の移動に伴う紙奮闘のゴミの被写体や撮像ユニット30に付着することを防止することができる。
画像形成装置1は、測色調整シートCSの測色調整色パッチCPと基準チャートKCのパッチを撮像ユニット30によって同時に撮像すると、撮像ユニット30の画像処理部110で、測色調整シートCSの測色調整色パッチCPの画像データと基準チャートKCのパッチの画像データに対して、必要な画像処理を行なった後、測色調整シートCSの測色調整色パッチCPの画像データ(RGB値)を測色対象RGB値、すなわち、デバイスに依存するデバイス依存信号として、また、基準チャートKCのパッチの画像データ(RGB値)を、測色時基準RGB値RdsGdsBdsとして、測色制御部106に送り、測色制御部106は、図13に示すように、図9に示したフレームメモリ121に一時保管する(ステップS11)。
そして、測色制御部106は、演算部124の測色値算出部126が、フレームメモリ121に保管された測色対象RGB値を、後述する基準RGB間線形変換マトリックスを用いて、初期化測色対象RGB値RsGsBsに変換する(ステップS12、S13)。
測色制御部106の演算部124は、変換した初期化測色対象RGB値RsGsBsを、測色対象RGB値として(ステップS14)、後述する基本測色処理を実行して、Lab測色値を取得する(ステップS15)。
そして、本実施例の画像形成装置1は、演算部124の測色値算出部126が、上記基準RGB間線形変換マトリックスを、図14及び図15に示すようにして求める。
すなわち、演算部124の測色値算出部126は、図14に示すように、初期時に撮像ユニット30で基準シートKSの基準色パッチKPを撮像したときに同時に基準チャートKCのパッチを撮像して不揮発性メモリ125に格納されている初期基準RGB値RdGdBdと、測色時に撮像ユニット30で測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを撮像したときに、同時に、基準チャートKCのパッチを撮像して不揮発性メモリ125に格納されている測色時基準RGB値RdsGdsBdsを、不揮発性メモリ125から読み出して、測色時基準RGB値RdsGdsBdsを初期基準RGB値RdGdBdに変換する基準RGB間線形変換マトリックスを求め、求めた基準RGB間線形変換マトリックスを不揮発性メモリ125に格納する。
すなわち、図15において、図15(a)に白抜き点で示されている点が初期基準RGB値RdGdBdをrgb空間でプロットした点であり、塗りつぶし点が、測色時基準RGB値RdsGdsBdsをrgb空間でプロットした点である。図15(a)から分かるように、測色時基準RGB値RdsGdsBdsの値が初期基準RGB値RdGdBdの値から変動しており、これらのrgb空間上での変動方向は、図15(b)に矢印で示すように、概ね同じであるが、色相によってずれの方向が異なる。このように同じ基準チャートKCのパッチを撮像してもRGB値が変動する原因としては、照明光源37の経時変化、2次元イメージセンサ35の経時変化等がある。
このように、同じ基準チャートKCのパッチを撮像したときに変動している状態で、測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを撮像したときの測色対象RGB値を用いて測色値を求めると、変動分だけ測色値に誤差が発生するおそれがある。
そこで、本実施例の画像形成装置1は、初期基準RGB値RdGdBdと、測色時基準RGB値RdsGdsBdsとの間で最小2乗法等の推定法を用いて、測色時基準RGB値RdsGdsBdsを初期基準RGB値RdGdBdに変換する基準RGB間線形変換マトリックスを求め、この基準RGB間線形変換マトリックスを用いて、撮像ユニット30で測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを撮像して不揮発性メモリ125に格納されている測色対象RGB値を、初期化測色対象RGB値RsGsBsに変換し、変換した初期化測色対象RGB値RsGsBsを、測色対象RGB値として、後述する基本測色処理を実行して、Lab測色値を取得する。
この基準RGB間線形変換マトリックスは、1次だけでなく、さらに高次の非線形マトリックスであってもよく、rgb空間とXYZ空間間で非線形性が高い場合には、高次のマトリックスとすることで、変換精度を向上させることができる。
そして、上記撮像ユニット30は、被写体としての基準シートKSの基準色パッチKPと測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを、底面部32aに形成されている開口部32cを通して撮像する際に、同時に、枠体32の底面部32aの開口部32bに配置されている基準シートKSのパッチを撮像することで、常に、同じ位置関係で、基準シートKSのパッチを被写体としての基準シートKSの基準色パッチKPと測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを撮像することができ、安定した状態で撮像することができる。
さらに、撮像ユニット30は、開口部32cを通した被写体としての基準シートKSの基準色パッチKP及び測色調整シートCSの測色調整色パッチCPと2次元イメージセンサ35との光路中に光路長変更部材71が配設されており、被写体である測色調整シートCSの測色調整色パッチCPからイメージセンサ部34への光路長(焦点距離)L1と基準チャートKCからイメージセンサ部34への光路長(焦点距離)L2が一致するように、光路長変更部材71の屈折率n1と長さLp1が設定されていて、イメージセンサ部34に対する基準チャートKCの焦点位置と被写体(基準シートKSの基準色パッチKP及び測色調整シートCSの測色調整色パッチCP)の焦点位置を一致させることができる。
したがって、基準シートKSの基準色パッチKPと測色調整シートCSの測色調整色パッチCPとこれらの比較対象である基準チャートKCを、常に、高精度にかつ同じ精度で安定して撮像することができる。
また、撮像ユニット30は、光路長変更部材71及び開口部32cを通して記録媒体Pの撮像面に照射する照明光と、基準チャートKCを照射する照明光とは、同一の照明光源37からの照明光であり、同じ照明条件で基準チャートKCと記録媒体Pの撮像面を同時に撮像することができる。また、照明光源37は、基準チャートKCと記録媒体Pの略中間位置である中心線Lo上に配置され、かつ、レンズ36に対して中心線Lo上において対象に2個配置されているため、基準チャートKCと記録媒体Pの撮像領域を略同じ照明条件で、均一に照明することができる。
さらに、撮像ユニット30は、撮像領域の開口部32cと基準チャートKCの配置条件が、レンズ36aの中心と照明光源37を結ぶ中心線Loに対して、略対称に配置されているため、2次元イメージセンサ35の撮像条件を線対称で同一にすることができ、基準チャートKCを用いた2次元イメージセンサ35の色調整処理や測色処理の精度を向上させることができる。
そして、画像形成装置1は、上述のようにして初期測色対象RGB値RsGsBsを求めて、測色対象RGB値とすると、図16及び図17に示すように、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1に登録されている基準測色値のうち、該測色対象RGB値に変換した測色値に対して距離的に近い近傍の基準測色値(近傍基準測色値)を選択して、測色対象RGB値を、選択した近傍基準測色値に変換する測色値を求める基本測色処理を実行し、該測色値に基づいて色変換を行った後の画像データに基づいて、記録ヘッド20によって画像を出力することで、画像形成装置1による形成画像の色再現性を向上させる。そして、この記録ヘッド20からインクを吐出させて画像を形成する際にも、ファン60を回転駆動させて、空気を空気噴射口63から吐出させてもよい。このようにすると、枠体32の表面、光路長変更部材71へのインクミストやゴミの付着を防止することができるとともに、空気噴射口63から枠体32内へのインクミストやゴミの侵入を防止することができる。
すなわち、画像形成装置1は、図16に示すように、測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを撮像して上述のように初期測色対象RGB値RsGsBsを求めて、測色対象RGB値として、不揮発性メモリ125に格納すると(ステップS21)、上記基準値線形変換マトリックスを用いて(ステップS22)、第1XYZ値に変換して(ステップS23)、不揮発性メモリ125に格納する(ステップS24)。例えば、図16では、測色値算出部126は、撮像ユニット30の測色対象RGB値(3、200、5)を、(20、80、10)の第1XYZ値(第1測色値)に変換して、不揮発性メモリ125に格納している。
測色値算出部126は、第1XYZ値を、不揮発性メモリ125のメモリテーブルTb1を参照して、または、既知の変換式を用いて、第1Lab値(第1測色値)に変換して(ステップS25)、不揮発性メモリ125に格納する(ステップS26)。例えば、図16では、測色値算出部126は、第1XYZ値(20、80、10)を、撮像測色値である第1Lab値(75、−60、8)に変換している。
次に、測色値算出部126は、図16にLab空間で示すように、不揮発性メモリ125に格納されているメモリテーブルTb1の複数色の色パッチの基準測色値(Lab値)を検索して、該基準測色値(Lab値)のうち、Lab空間上において第1Lab値に対して距離の近い色パッチ(近傍色パッチ)の組みを選択する(ステップS27)。例えば、図16のLab空間の図では、60個の色パッチを選択してLab空間上にプロットしている図が示されており、距離の近いパッチを選択する方法としては、例えば、第1Lab値と、複数の色パッチの基準測色値(Lab値)における全点との距離を算出して、第1測色値である第1Lab値に対して距離の近い色パッチの基準Lab値(図16では、ハッチングの施されている基準Lab値)を選択する。
次に、測色値算出部126は、図17に示すように、メモリテーブルTb1を参照して、選択組の第1Lab値と対になっている撮像基準RGB値、すなわち、選択組の第1Labと同じパッチ番号の撮像基準RGB値(選択RGB値)と基準XYZ値の組み合わせを選択し(ステップS28)、選択した組み合わせ(選択組)の撮像基準RGBと基準XYZの組同士で変換するための選択RGB値線形変換マトリックスを、最小二乗法を用いて求めて、求めた選択RGB値線形変換マトリックスを不揮発性メモリ125に格納する(ステップS29)。
測色値算出部126は、測色対象である測色調整シートCSの各測色調整色パッチCPを撮像ユニット30で撮像してA/Dコンバータ36でデジタル変換した測色対象RGB値を、該選択RGB値線形変換マトリックスを用いて第2測色値である第2XYZ値を求め(ステップS30)、第2XYZ値を既知の変換式を用いて第2Lab値に変換して(ステップS31)、最終的な測色値として取得する(ステップS32)。
測色値算出部126は、この求めた測色値を用いて色変換を行った画像データに基づいて画像調整し、画像調整した画像データに基づいて記録ヘッド20を駆動させて画像形成する。
すなわち、本実施例の画像形成装置1は、色調整処理タイミングにおける記録ヘッド20の出力特性を反映している測色調整シートCSの複数の測色調整色パッチCPを撮像して取得したときの測色対象RGB値を、基準値線形変換マトリックスを用いて初期状態で基準シートKSを撮像したときの第1Lab値を求めて、メモリテーブルTb1に登録されている複数色のパッチの基準Labのうち、Lab空間上において第1Lab値に対して距離の近い基準Lab値とのパッチの組みを選択して、選択した基準Lab値に対応する測色対象RGB値を、選択RGB値線形変換マトリックスを用いてLab値に変換することで、Lab測色値を求めている。そして、測色値算出部126は、この求めた測色値を用いて色変換を行った画像データに基づいて画像調整し、画像調整した画像データに基づいて記録ヘッド20を駆動させて画像形成する。
なお、上記説明においては、撮像ユニット30は、底面部32aの中央部に空気噴射口63が形成されているが、空気噴射口63の形成位置は、上記位置に限るものではなく、また、空気噴射口63を底面部32aのみに形成する必要はなく、例えば、図18及び図19に示すように、底面部32aの中央部に連通口32fと光路長変更部材71の対応する中央下部の位置に傾斜面71aを形成して、開口部32cと枠体32内を連通する傾斜空気噴射口65を形成してもよい。
この場合、撮像ユニット30は、ファン60が空気口61からフィルタ62を通して枠体32内に取り込んだ空気を、図18に矢印で示すように、枠体32内を循環させて、枠体32の底面部32aの中央部に形成された傾斜空気噴射口65から枠体32の下方、特に、開口部32cの下方に向かって噴射する。傾斜空気噴射口63から噴射された空気は、図18に矢印で示すように、測色調整シートCSと枠体32の底面部32aの外面との間、特に、開口部32cと測色調整シートCSとの間を通過して、枠体32の側方に噴射されて、撮像ユニット30の測色に影響を及ぼす開口部32cに面する光路長変更部材71にインクミストやゴミ等が付着するのをより一層効率的に防止することができ、より一層測色精度を向上させることができる。
このように、本実施例の画像形成装置1は、その撮像ユニット30が、被写体を含む所定の領域を撮像するイメージセンサ部(センサ手段)34を有する撮像ユニット30であって、前記領域内に配置され、前記撮像ユニット30の外部に位置する前記被写体とともにイメージセンサ部34によって撮像される基準チャートKCと、撮像ユニット30の内部から前記被写体に向かって空気を噴射する空気噴射手段としてのファン60、空気口61及び空気噴射口63と、を備えている。
したがって、撮像ユニット30や被写体へのインクミストやゴミの付着を防止して、イメージセンサ部34による撮像結果にゴミ等の異物の影響が入り込むことを防止することができるとともに、被写体と基準チャートKCとを、同時にかつ安定して撮像して、被写体と基準チャートKCを常に安定した位置関係で高精度に撮像することができる。
また、本実施例の撮像ユニット30は、イメージセンサ部34が前記被写体を撮像するための開口部32cの設けられた枠体32を備え、前記空気噴射手段が、開口部32c付近に形成され枠体32内と被写体に面する部分の該枠体32外とを連通する空気噴射口63と、枠体32外の空気を該枠体32内に取り込んで空気噴射口63から噴射させる空気取り込み手段としてのファン60、空気口61及びフィルタ62と、を備えている。
したがって、簡単な構成で、被写体に向かって空気を噴射することができ、被写体や撮像ユニット30へのインクミストやゴミの付着を安価かつ容易に防止して、イメージセンサ部34による撮像結果にゴミ等の異物の影響が入り込むことを安価かつ容易に防止することができるとともに、被写体と基準チャートKCとを、同時にかつ安定して撮像して、被写体と基準チャートKCを常に安定した位置関係で高精度に撮像することができる。
さらに、撮像ユニット30は、前記空気取り込み手段が、枠体32に形成された空気口(空気取り込み口)61と、該空気口61に配設されて該空気口61から枠体32外の空気を該枠体32内に取り込むファン60と、空気口61に配設されファン60によって枠体32内に取り込まれる空気を清浄にするフィルタ62と、を備えている。
したがって、簡単な構成で、被写体に向かって空気を噴射することができ、被写体や撮像ユニット30へのインクミストやゴミの付着を安価かつ容易に防止することができるとともに、被写体と基準チャートKCとを、同時にかつ安定して撮像して、被写体と基準チャートKCを常に安定した位置関係で高精度に撮像することができる。
また、撮像ユニット30は、空気噴射口63が、枠体32の開口部32cと基準チャートKCの間の対向面である底面部32aに形成されている。
したがって、より一層簡単な構成で、被写体に向かって空気を噴射することができ、被写体や撮像ユニット30へのインクミストやゴミの付着を安価かつ容易に防止することができるとともに、被写体と基準チャートKCとを、同時にかつ安定して撮像して、被写体と基準チャートKCを常に安定した位置関係で高精度に撮像することができる。
さらに、撮像ユニット30は、開口部32cを塞ぐ状態で対向面である底面部32a上に配設され、所定の光路長変更量を有する光路長変更部材71を、備え、空気噴射口63が、底面部32aの光路変更部材71が載置されている開口部32cの基準チャートKC側の端部位置に、該光路長変更部材71と該底面部32aのうち少なくとも一方に、枠対32内と該枠体32外を連通するとともに、該枠体32内から該枠体32外へ該光路長変更部材71方向に向かって開口する状態で形成されている。
したがって、空気を光路長変更部材71と被写体との間に向かって噴射することができ、被写体や撮像ユニット30へのインクミストやゴミの付着をより一層適切に防止することができるとともに、被写体と基準チャートKCとを、同時にかつ安定して撮像して、被写体と基準チャートKCを常に安定した位置関係で高精度に撮像することができる。
さらに、上記説明においては、測色処理を、画像形成装置1の測色制御部106が行なっているが、測色処理は、画像形成装置1内部で実行する必要はなく、例えば、図20に示すように、画像形成システム(測色システム)200として、画像形成装置210が、外部装置220に接続されていて、画像形成装置210で撮像した画像データを、該外部装置220に出力し、該外部装置220が測色処理を伴う色調整処理を行って、色調整後の画像データを画像形成装置210に出力して、画像形成装置210が、外部装置220からの画像データに基づいて画像形成してもよい。
すなわち、画像形成装置210は、エンジン211、操作表示部212、I/F部213及びその他のI/F部214等を備えており、各部は、バス215により接続されている。また、外部装置220は、例えば、通常のハードウェア構成とソフトウェア構成のコンピュータ等を用いることができ、ソフトウェアとして本発明の測色処理を伴う色調整処理を実行する測色プログラムを含む色調整プログラムを導入することで、測色処理を伴う色調整処理を実行する。外部装置220は、CPU221、メモリ部222、画像処理部223、通信I/F部224及びI/F部225等を備えており、各部は、バス226により接続されている。メモリ部222は、ROM227、RAM228及びハードディスク(HDD)229等を備えている。
画像形成装置210は、I/F部213により回線230により外部装置220に接続されており、回線230は、専用線、LAN(Local Area Network)等のネットワーク、インターネット等であって、有線であっても、無線であってもよい。
画像形成装置210は、外部装置220の制御下で、外部装置220から送られてくる画像データに基づいてエンジン211で、記録媒体に画像を形成出力する。エンジン211は、インク噴射方式等で記録媒体に画像を形成し、操作表示部212は、各種操作キー及びLCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイ等を備えていて、画像形成装置210の動作に必要な各種操作が操作キーによって行われるとともに、画像形成装置210からユーザに通知する各種情報をディスプレイに表示出力する。その他I/F部214は、拡張ユニットの接続等に使用される。
エンジン211は、上記実施例で説明したと同様の主走査方向に移動するキャリッジを備えており、該キャリッジに、上記撮像ユニット30が取り付けられている。画像形成装置210は、外部装置220のCPU221の制御下で、外部装置220から送られてくる測色調整色パッチCPの色パッチデータに基づいて記録媒体に、該測色調整色パッチCPを形成して測色調整シートCSを生成し、生成した測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを撮像ユニット30で読み取って、I/F部213を介して外部装置220に送信する。
外部装置(算出手段、噴射制御手段)220は、画像形成装置210の動作制御を行う画像形成制御プログラムや本発明の測色処理を伴う色調整処理を行なう色調整プログラム及び必要なデータがハードディスク229またはROM227に格納されており、CPU221がROM227またはハードディスク229内のプログラムに基づいて画像形成装置210を制御することで、画像形成装置210としての基本処理を実行させるとともに、本発明の測色処理を伴う色調整処理及び空気噴射手段としてのファン60の駆動を制御する空気噴射制御処理を実行する。
ハードディスク229は、上記プログラムを格納するとともに、色調整処理を実行するのに必要な各種データ、特に、上記実施例で説明した基準シートKSに配列形成されている複数の基準色パッチKPの測色結果のLab値とXYZ値のうち、少なくともいずれか、該基準シートKSの基準パッチKPを画像形成装置210の撮像ユニット30で読み取ったときの撮像基準RGB値、基準値線形変換マトリックス、近傍点のテーブルと選択RGB値線形変換マトリックス、基準シートKSと同時に読み取った基準チャートKCの各色パッチの初期基準RGB値RdGdBd、測色調整シートCSの測色調整色パッチCPを読み取ったときに同時に読み取った基準チャートKCの基準パッチの測色時基準RGB値RdsGdsBds及び測色時基準RGB値RdsGdsBdsを初期基準RGB値RdGdBdに変換する基準RGB間線形変換マトリックスが格納される。
通信I/F部224は、ネットワーク等の回線を介してスキャナ装置、複合装置、他の外部装置等の画像処理装置に接続されており、画像形成装置210に画像出力させる画像データを受信する。上記I/F部213、I/F部224及び回線230は、全体として通信手段として機能している。
画像処理部223は、画像データに対して画像形成装置210のエンジン211で形成出力するのに必要な各種画像処理を施す。
CPU221は、上述のように、画像形成装置210の動作を制御するとともに、測色制御部106の演算部124、特に、測色値算出部126が実行する測色処理を実行して測色値を求め、該測色値に基づいて画像データに対して色調整を施して、画像形成装置210に出力する。
なお、図23の画像形成システム200では、画像形成装置210の動作を外部装置220が制御しているが、画像形成装置210自体がCPU等のコントローラを備えて、画像形成動作自体については、該コントローラが制御を行い、測色値を求める測色処理のみ、または、測色処理を含む色調整処理についてのみ外部装置220が実行してもよい。
このように、少なくとも画像形成装置210の外部装置で測色処理または測色処理を含む色調整処理を実行すると、安価な画像形成装置210においても安価にかつ適切に色再現性を向上させることができる。
なお、上記説明では、センサ基板33が、枠体32よりも小さい場合について説明したが、枠体32を塞いでしまう大きさであってもよく、この場合、センサ基板33に、ファン60によって枠体32内に取り込まれた空気を空気噴射口63へ流れるように、通気口を形成する。
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。