JP2013215551A - 放射性同位元素取り扱い装置用カセット、放射性同位元素取り扱い装置、及び放射性同位元素取り扱いシステム - Google Patents

放射性同位元素取り扱い装置用カセット、放射性同位元素取り扱い装置、及び放射性同位元素取り扱いシステム Download PDF

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Abstract

【課題】1つの基板を用いて複数の種類の薬剤を合成可能な放射性薬剤合成装置用カセット、放射性薬剤合成装置、および、放射性薬剤合成装置用基板を提供する。
【解決手段】取り外しモジュール2は、配管21を取付可能な複数の支柱部Fを備えるプレート22と、複数の支柱部Fのうちの一部によってプレート22に取り付けられた配管21と、を備える。また、プレート22には、配管21を開閉するための複数の貫通孔Hが設けられ、貫通孔Hの各々には、少なくとも2つの支柱部Fが対応して設けられる。そして、複数の支柱部Fは、第1方向に沿って配管21を取付可能な複数の第1支柱部Fvと、第1方向と交差する第2方向に沿って配管21を取付可能な複数の第2支柱部hと、を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、放射性同位元素取り扱い装置用カセット、放射性同位元素取り扱い装置、及び放射性同位元素取り扱いシステムに関する。
例えば、病院等でのPET検査(ポジトロン断層撮影検査)等に使用される放射性同位元素標識化合物(RI化合物)は、放射性同位元素(RI)を所定の原料試薬と化学反応させるRI化合物合成装置で合成される。このような合成装置が、特許文献1に開示されている。この合成装置は、固設モジュールと、複数の配管を基板に固定してなる使い捨てモジュールとを備える。この合成装置では、1回の合成が終了すると、使い捨てモジュールを新しいものに交換して、次の合成に備える。
特表2004−515330号公報
このような合成装置を試験等に用いる場合に、流路を自由に変更したいという要望がある。しかしながら、上記特許文献1に記載の合成装置では、使い捨てモジュールは、1種類の薬剤の合成専用である。このため、ユーザは使い捨てモジュールの流路を自由に変更することはできないので、使い捨てモジュールを他種類の薬剤の合成には使用できない。同様な課題が、例えば、放射性同位元素の精製を行う精製装置等の放射性同位元素取り扱い装置においても生じる。
そこで本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、1つの基板を用いて複数の種類の放射性同位元素を取り扱い可能な放射性同位元素取り扱い装置用カセット、放射性同位元素取り扱い装置、及び放射性同位元素取り扱いシステムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る放射性同位元素取り扱い装置用カセットは、配管を取付可能な複数の保持手段を備える基板と、複数の保持手段のうちの一部によって基板に取り付けられた配管と、を備え、基板には、配管を開閉するための複数の貫通孔が設けられ、貫通孔の各々には、少なくとも2つの保持手段が対応して設けられ、複数の保持手段は、第1方向に沿って配管を取付可能な複数の第1保持手段と、第1方向と交差する第2方向に沿って配管を取付可能な複数の第2保持手段と、を含む。
この放射性同位元素取り扱い装置用カセットにおいては、複数の第1保持手段および複数の第2保持手段のうちの一部に配管が取り付けられることによって、所望の流路が形成される。このため、1つの基板を用いて、所望の放射性同位元素を取り扱うための流路が形成可能となる。その結果、1つの基板を用いて、複数の種類の放射性同位元素を取り扱うことが可能となる。また、貫通孔に少なくとも2つの保持手段が対応して設けられることによって、保持手段により取り付けられた配管を貫通孔上に位置合わせすることができ、配管を開閉可能な構造とすることができる。
複数の第1保持手段の各々は、第1方向に沿った複数の第1ラインのいずれかの上に設けられてもよく、複数の第2保持手段の各々は、第2方向に沿った複数の第2ラインのいずれかの上に設けられてもよく、複数の貫通孔の各々は、複数の第1ラインのいずれかと複数の第2ラインのいずれかとの交点に位置合わせして設けられてもよい。この場合、第1ラインおよび第2ラインに沿って配管を取り付けることができる。また、取り付けられた配管をより確実に貫通孔上に位置合わせでき、配管をより確実に開閉可能な構造とすることができる。
貫通孔の各々には、少なくとも3つの保持手段が対応して設けられてもよい。この場合、配管の取り付けの自由度がさらに向上する。
貫通孔は、第2方向に沿って延伸する長孔によって構成され、長孔は、第1方向に沿って所定の間隔で複数設けられてよい。この場合、貫通孔が第2方向に沿って延伸して広い範囲に形成されるため、配管と貫通孔との位置合わせが容易となる。
本発明に係る放射性同位元素取り扱い装置は、上記放射性同位元素取り扱い装置用カセットを着脱自在に固定可能な固定部と、複数の貫通孔の各々に対向する位置に設けられ、配管を押圧可能な複数の押圧部材と、を備える。この放射性同位元素取り扱い装置においては、固定部に固定された放射性同位元素取り扱い装置用カセットで、複数の第1保持手段および複数の第2保持手段のうちの一部に配管が取り付けられることによって、所望の流路が形成される。このため、1つの基板を用いて、所望の放射性同位元素を取り扱うための流路が形成可能となる。その結果、1つの基板を用いて複数の種類の放射性同位元素を取り扱うことが可能となる。また、押圧部材によって配管を貫通孔に押圧することで、配管を閉じることができる。このため、配管を開閉することが可能となる。
放射性同位元素取り扱い装置では、固定部は、放射性同位元素取り扱い装置用カセットの基板を受ける前面と、基板の縁部を支持する爪部と、前面から突出する複数の突出部と、を有してよい。固定部は、前面にて基板を受け、爪部で基板の縁部を支持し、突出部を基板の貫通孔に挿通させることができる。これによって、固定部は放射性同位元素取り扱い装置用カセットを確実に固定することができる。
放射性同位元素取り扱い装置は、放射性同位元素取り扱い装置用カセットが取り付けられる本体部と、本体部に開閉可能に設けられた扉部と、をさらに備えてもよい。また、複数の押圧部材は、扉部に設けられており、扉部が閉められた状態で、配管を押圧可能としてもよい。この場合、扉部が開けられた状態と、扉部が閉められた状態とで、押圧部材の位置を変更することができる。すなわち、放射性同位元素取り扱い装置用カセットが取り付けられて、放射性同位元素取り扱い装置を動作させる場合と、放射性同位元素取り扱い装置用カセットが取り外されている場合とで、押圧部材の位置を変更することができ、放射性同位元素取り扱い装置用カセットの取り付けおよび取り外しの作業性の向上が可能となる。
放射性同位元素取り扱い装置において、本体部は、放射性同位元素取り扱い装置用カセットに設けられた貫通孔に対応する位置に突出部を備え、押圧部材は、突出部と対応する位置に設けられていてよい。このような構成により、押圧部材は、突出部との間でカセットの配管を挟み込むことができる。これによって、押圧部材は配管を確実に塞ぐことができ、流路の設定をより確実に行うことができる。
放射性同位元素取り扱いシステムは、放射性同位元素取り扱い装置用カセットを着脱自在に固定可能な固定部と、複数の貫通孔の各々に対向する位置に設けられ、配管を押圧可能な複数の押圧部材と、放射性同位元素を溶解させた溶液の調整を行う溶液調整ユニットと、溶液調整ユニットで調整された溶液に含まれる放射性同位元素を精製する精製部と、を備え、精製部は、溶液から放射性同位元素を抽出する抽出部と、抽出部よりも下流側に設けられる、交換可能な三方活栓と、三方活栓とは別体として設けられ、三方活栓の切り替えのための駆動力を付与する駆動部と、を有してよい。抽出部よりも下流側の流路において、流れの方向を切り替える部分が存在している場合、液体が通過する部分については安価で使い捨て可能な三方活栓とし、三方活栓に駆動力を付与する部分については当該三方活栓とは別体の駆動部としている。これによって、異なる種類の放射性同位元素の精製を行う場合、駆動部については放射性同位元素の種類によらず共通部品として使用し、液体が通過する部分は新たな三方活栓に交換することができる。これによって、安価な構造にて、精製性能の低下を防止できる。
本発明によれば、1つの基板を用いて複数の種類の放射性同位元素を取り扱うことができる。
本発明の第1実施形態に係る放射性同位元素取り扱い装置として例示される放射性薬剤合成装置の構成を示す斜視図である。 図1の放射性薬剤合成装置が備えるプレートの構成例を示す正面図である。 図2のプレートを用いた取り外しモジュールの第1構成例を示す図である。 図2のプレートを用いた取り外しモジュールの第2構成例を示す図である。 図2のプレートを用いた取り外しモジュールの第3構成例を示す図である。 図2のプレートを用いた取り外しモジュールの第4構成例を示す図である。 図2のプレートを用いた取り外しモジュールの第5構成例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る放射性同位元素取り扱い装置として例示される溶液調整装置を備える放射性同位元素精製システムのシステム構成を示す概略構成図である。 図8の溶液調整装置で用いられるカセットの構成の一例を示す平面図である。 図8に示す溶液調整ユニットの構成の一例を示す正面図である。 図10に示す溶液調整ユニットの扉部を開いた状態を示す正面図である。 図11に示す溶液調整ユニットの固定部にカセットを固定した様子を示す正面図である。 図12に示すXIII−XII線に沿った断面図であって、扉部を閉めた状態における断面図である。 64Cuを精製する場合の放射性同位元素精製システムの一例を示す概略構成図である。 89Zrを精製する場合の放射性同位元素精製システムの一例を示す概略構成図である。 99mTcを精製する場合の放射性同位元素精製システムの一例を示す概略構成図である。 変形例に係る放射性同位元素精製システムのシステム構成を示す概略構成図である。 64Cuを精製する場合の放射性同位元素精製システムの一例を示す概略構成図である。 89Zrを精製する場合の放射性同位元素精製システムの一例を示す概略構成図である。 99mTcを精製する場合の放射性同位元素精製システムの一例を示す概略構成図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明においては、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。ここで、放射性同位元素取り扱い装置としては、放射性同位元素を用いた放射性薬剤を合成する放射性薬剤合成装置、放射性同位元素を含む溶液の濃度調整等を行う溶液調整装置、放射性同位元素を精製する放射性同位元素精製装置などが挙げられる。第1実施形態では放射性同位元素取り扱い装置として放射性薬剤合成装置を採用した場合の例について説明し、第2実施形態では放射性同位元素取り扱い装置として溶液調整装置(なお、図17、図19及び図20の例では放射性同位元素精製装置も例示されている)を採用した場合の例について説明する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る放射性薬剤合成装置(以下、単に「合成装置」という。)の構成を示す斜視図である。図1に示すように、合成装置1は、取り外しモジュール2(放射性同位元素取り扱い装置用カセット)と固設モジュール(放射性同位元素取り扱い装置)3とを備えている。なお、本実施形態における合成装置1は、放射性同位元素取り扱い装置用カセットに該当する取り外しモジュール2及び放射性同位元素取り扱い装置に該当する固設モジュール3を備える、放射性薬剤合成ユニットとして機能する。以下の説明において、合成装置1の上下、前後、左右とは、合成装置1を設置した場合の設置面側を下、取り外しモジュール2が取り付けられている側面を前としたときの方位を意味するものとする。
取り外しモジュール2は、放射性薬剤に対応した流路を備えたディスポーザブルカセットであって、配管21と、プレート22(基板)と、反応器23と、を有している。配管21は、例えばシリコーンチューブなどによって構成され、流体を流すための流路を形成する。この配管21は、複数の継手部Jによって複数の配管部Lが接続されてなる。継手部Jは、2以上の配管部Lの端部を互いに接続する。また、配管21は、試薬バイアルなどに接続するための継手部Jを有する。
プレート22は、例えばポリプロピレンなどの樹脂材料によって構成された略矩形の放射性薬剤合成装置用基板である。このプレート22は、配管21を取り付け可能な複数の支柱部F(保持手段)を有し、この複数の支柱部Fの一部を用いて上記した配管21を所定の位置に位置決めして保持する。このプレート22には、後述するシリンダS(押圧部材)に対向する位置に、配管21を開閉するための複数の貫通孔Hが設けられている。プレート22の詳細については後述する。
反応器23は、原料を反応させて標識化合物を含む放射性薬剤の合成を行うためのバイアルである。この反応器23では、その容量が例えば7cc程度であって、平底、丸底、あるいは錘形の底を有し、反応性が高められている。取り外しモジュール2は、合成対象の薬剤によっては、複数の反応器23(反応器23A,23B)を有することもある。
固設モジュール3は、外形略立方体の部材であり、本体部31と扉部32とを有している。本体部31の前面には、取り外しモジュール2のプレート22を取り付ける取付部33が設けられている。さらに、本体部31の段部31a上面には、反応器23(23A,23B)を収容する収容孔34(34A,34B)が設けられている。この収容孔34の周りには、反応器23を冷却するためのクーラ、反応器23を加熱するためのヒータ、反応器23内の圧力を確認するための圧力センサ、反応器23内の温度を確認するための温度計、および、反応器23内に含まれる放射線量を確認するための放射線センサなどが設けられている。さらに、この本体部31には、ガスをオンラインで加熱するための電気炉、ガスの流量を制御するマスフローコントローラ、および、試薬バイアルなどを取り外し可能に収容する収容部などが設けられている。
扉部32は、本体部31の段部31a側面に設けられたヒンジを介して、矢印Aの方向に90度開閉可能に設けられている。この扉部32は、摘み36を回転して固定具37を本体部31の係合孔38に係合させ、また係合解除させることで、本体部31に対して開閉することができる。この扉部32の内側の所定位置には、複数のシリンダSが設けられている。これら複数のシリンダSは、例えばエアの力で前後動するエアシリンダである。エアは、本体部31から延びるエアチューブ41を介して、個々のシリンダSに供給される。また、本体部31には、貫通孔Hに対向する位置に、貫通孔Hに向かって突出する背板が設けられている。このように、シリンダSは、扉部32が閉められた状態で配管21を押圧可能となる。そして、シリンダSを前後動させ、略円形の貫通孔Hに配管21を押し込んで、背板とシリンダSとで配管21を挟み込むことによって、配管21を押し潰したり戻したりする開閉弁VPとして機能させることができる。
このような合成装置1において、図示しない製品バイアルに向かって、精製した薬液を供給する配管部Lが延びている。
続いて、上述したプレート22についてさらに詳細に説明する。図2は、合成装置1が備えるプレート22の構成例を示す正面図である。プレート22では、複数の支柱部Fは、上下方向(第1方向)に沿って配管21を取付可能な複数の第1支柱部Fv(第1保持手段)と、左右方向(第2方向)に沿って配管21を取り付け可能な複数の第2支柱部Fh(第2保持手段)と、を含む。第1支柱部Fvの各々は、上下方向に沿ったラインC1〜C17(第1ライン)のいずれかのラインC上に配置される。また、第2支柱部Fhの各々は、左右方向に沿ったラインR1〜R7(第2ライン)のいずれかのラインR上に配置される。なお、ラインC1〜C17は、左から右に向かって順に配列されており、ラインR1〜R7は、上から下に向かって順に配列されている。
貫通孔Hの各々は、ラインC1〜C17のいずれかとラインR1〜R7のいずれかの交点に位置合わせして設けられる。この例では、貫通孔Hは、ラインR1とラインC1,C2,C4,C5,C7,C8,C10,C11,C13,C14,C16,C17との交点、ラインR2とラインC1,C4,C8,C10,C14,C17との交点、ラインR3とラインC3,C6,C12,C15との交点、ラインR4とラインC9との交点、ラインR5とラインC3,C6,C12,C15との交点、ラインR6とラインC1,C4,C8,C10,C14,C17との交点、および、ラインR7とラインC1,C2,C4,C5,C7,C8,C10,C11,C13,C14,C16,C17との交点にそれぞれ位置合わせして設けられている。
また、貫通孔Hの各々には、少なくとも2つの支柱部Fが対応して配置されるが、この例では、少なくとも3つの支柱部Fが対応して配置されている。例えば、ラインC1〜C17のうち最も左側のラインC1上に設けられた貫通孔Hには、その周縁部に3つの支柱部Fが対応して配置されている。具体的には、貫通孔Hの上下それぞれに第1支柱部Fvが設けられ、貫通孔Hの右側に第2支柱部Fhが設けられている。
また、ラインC1〜C17のうち最も右側のラインC17上に設けられた貫通孔Hには、その周縁部に3つの支柱部Fが対応して配置されている。具体的には、貫通孔Hの上下それぞれに第1支柱部Fvが設けられ、貫通孔Hの左側に第2支柱部Fhが設けられている。また、ラインC2〜C16上に設けられた貫通孔Hには、その周縁部に4つの支柱部Fが対応して配置されている。具体的には、貫通孔Hの上下それぞれに第1支柱部Fvが設けられ、貫通孔Hの左右それぞれに第2支柱部Fhが設けられている。なお、支柱部Fは、貫通孔Hの周縁部以外に設けられてもよい。また、第1支柱部Fvは、ラインC1〜C17上において、隣り合うラインR1〜R7に挟まれた部分およびラインC1〜C17上の両端に位置する貫通孔Hとプレート22の端部とに挟まれた部分に設けられる。
次に、このように構成されたプレート22を用いた取り外しモジュール2の組立方法について説明する。まず、合成対象となる放射性薬剤に応じた流路を形成するために、支柱部Fの組合せを選択する。そして、選択した支柱部Fのそれぞれに配管部Lを取り付ける。このとき、1つの貫通孔Hに対して少なくとも2つの支柱部Fが選択される。このため、支柱部Fに取り付けた配管部Lは、貫通孔Hの中心を通るように固定される。続いて、継手部Jによって複数の配管部Lを互いに接続する。このとき、3つの配管部Lを接続する場合には、T字状の継手部JまたはY字状の継手部Jを用い、4つの配管部Lを接続する場合には、+字状の継手部Jを用いる。
このようにして、放射性薬剤に応じた流路を有する、放射性薬剤の合成用の配管21が形成される。そして、配管21に反応器23および所望の試薬バイアルなどを継手部Jを介して接続する。以上のようにして、取り外しモジュール2が組み立てられる。
以下、複数種類の放射性薬剤のそれぞれに応じた取り外しモジュール2の構成例を説明する。なお、図3〜図7においては、説明の便宜上、貫通孔Hに代えて、貫通孔HとシリンダSとによって構成される開閉弁VPを示し、各開閉弁VPを左上から順に開閉弁VP1〜開閉弁VP45として区別する。また、配管の接続は、接続される配管の数に応じた形状の継手部Jなどを介して行われるものとし、その説明を省略する。また、各配管および配管部は、1つの配管部によって構成されてもよく、複数の配管部によって構成されてもよいが、所定範囲の配管および配管部ごとに符号を付している。
(第1構成例)
第1構成例では、取り外しモジュール2を11C−メチル化反応に用いる場合について説明する。図3は、取り外しモジュール2および固設モジュール3の第1構成例を示す図である。図3に示すように、固設モジュール3には、配管T、クーラ43(43A,43B)、ヒータ44(44A,44B)、電気炉45、製品バイアル50、バイアル51、バイアルM(M11,M12)などが設けられている。まず固設モジュール3に設けられている配管Tについて具体的に説明する。
図示しない加速器および不活性ガスを供給するボンベに接続される配管Tinに、配管T1の一端および配管T2の一端がT字の継手部Jによって接続されている。配管T1の一端側には開閉弁V1が設けられ、他端側には開閉弁V14が設けられている。そして、配管T1の他端は圧力計46に接続されている。配管T2はバイアルM12まで延び、配管T2の経路中には開閉弁V2が設けられている。
配管T1の開閉弁V1と開閉弁V14との間において、配管T3の一端が接続されている。配管T3の経路中には開閉弁V6および開閉弁V15が設けられ、配管T3の他端は、圧力計46に接続されている。配管T3の開閉弁V6が設けられた部分をバイパスするように、配管T4が設けられ、配管T4によってバイパスされた配管T3の部分をさらにバイパスするように、配管T5が設けられている。配管T4の一端側には開閉弁V3が設けられ、他端側には開閉弁V16が設けられている。
また、配管T5の一端側には開閉弁V4が設けられ、他端側には開閉弁V17が設けられている。配管T5の開閉弁V4と開閉弁V17との間において、配管T8の一端が接続されている。配管T8の他端には、開閉弁V10が設けられている。さらに、配管T5によってバイパスされた配管T3の部分に配管T9の一端が接続されている。配管T9の他端には、開閉弁V13が設けられている。開閉弁V10および開閉弁V13の間に、開閉弁V11およびV12を介して電気炉45が設けられている。
さらに、配管T3の一端側には配管T6が接続されており、配管T6はバイアルM11まで延びている。この配管T6の経路中には開閉弁V5が設けられている。また、配管T3には、開閉弁V6を介して配管T7が接続されており、配管T7はバイアル51まで延びている。この配管T7の経路中には開閉弁V7が設けられている。圧力計46には、WasteラインおよびVacuumラインが接続されている。Wasteラインは、−40kPa程度で引圧するラインである。Vacuumラインは、−98kPa程度で引圧するラインである。このWasteラインには、開閉弁V18が設けられ、Vacuumラインには、開閉弁V19が設けられている。
上述のバイアルM11には、ヨウ化水素酸(HI)が例えば0.5mL程度充填されている。バイアルM12には、水酸化ナトリウム水溶液が充填されている。
次に、取り外しモジュール2について説明する。取り外しモジュール2は、配管21と、プレート22と、反応器23Aおよび反応器23Bと、を備えている。配管21は、配管部L11〜L17から構成されている。配管部L11は、バイアルM11から反応器23Aまで延び、開閉弁VP3,VP14,VP29,VP36を順に通るように取り付けられている。
ここで、配管部Lが開閉弁VPを通るように取り付けられるとは、配管部Lが、開閉弁VPの周縁に設けられた少なくとも2つの支柱部Fによって、貫通孔H上を通るように固定されることを意味するものとする。また、図において、開閉弁VPを上下方向に貫く配管部Lは、貫通孔Hの上下に設けられた2つの第1支柱部Fvによって貫通孔H上を通るように固定された配管部Lを意味し、開閉弁VPを左右方向に貫く配管部Lは、貫通孔Hの左右に設けられた2つの第2支柱部Fhによって貫通孔H上を通るように固定された配管部Lを意味するものとする。
配管部L12は、配管T1の開閉弁V1と開閉弁V14との間から、配管部L11の開閉弁VP3と開閉弁VP14との間まで延び、開閉弁VP4を通るように取り付けられている。配管部L13は、配管T4の開閉弁V3と開閉弁V16との間から反応器23Aまで延び、開閉弁VP34,VP35を順に通るように取り付けられている。配管部L14は、反応器23Aから開閉弁V10まで延び、開閉弁VP38,VP39を順に通るように取り付けられている。また、配管部L14の経路中にフィルタ61を設けてもよい。
配管部L15は、バイアルM12から反応器23Bまで延び、開閉弁VP10,VP17,VP32,VP43を順に通るように取り付けられる。配管部L16は、配管部L15の開閉弁VP32と開閉弁VP43との間から開閉弁V13まで延び、開閉弁VP42を通るように設けられている。配管部L17は、配管部L15の開閉弁VP17と開閉弁VP32との間から製品バイアル50まで延び、開閉弁VP22,VP18,VP12を順に通るように取り付けられている。さらに、反応器23Bから配管T5の開閉弁V4と開閉弁V17との間まで延びる配管T10が設けられてる。
次に、この取り外しモジュール2および固設モジュール3を用いた11C−メチル化反応を説明する。まず、開閉弁VP1〜VP45を閉じておく。そして、THF(テトラヒドロフラン)に溶解した水素化アルミニウムリチウムを反応器23Aに充填し、クーラ43Aによって−10℃程度に冷却する。次に、開閉弁V1,V15,V16,V18,VP4,VP14,VP29,VP34〜VP36を開き、加速器によって製造した11C−COガスを反応器23A内のTHF溶液に吹き込むことにより、11COガスと水素化アルミニウムリチウムとを反応させる。
その後、開閉弁V15,V16,V18,VP34,VP35を開いて他の開閉弁VPを閉じる。そして、Wasteラインによって反応器23Aを減圧するとともに、ヒータ44Aによって反応器23Aを加熱する。これにより、反応器23A内のTHFを気化して排出し、反応器23A内を乾燥させる。
次に、開閉弁V1,V5,V15,V16,V18,VP3,VP14,VP29,VP34〜VP36を開き、他の開閉弁は閉じる。そして、乾燥した反応器23AにバイアルM11からヨウ化水素酸を導入して、上記反応で発生した11Cを含む塩と酸化反応させる。このとき、配管TinからバイアルM11に不活性ガスを吹き込むことにより、バイアルM11内のヨウ化水素酸を反応器23Aに移送する。以下においても、同様の方法によりバイアルM内の溶液等を移送する場合があるが、その説明を省略する。これにより、反応器23A内において11C−ヨウ化メチルガスを合成する。ここで合成した11C−ヨウ化メチルガスは、11Cを含む放射性薬剤の合成において、基幹試薬として扱われる。
例えば、11C−ヨウ化メチルガスを用いた11C−メチオニンの合成手順について説明する。11C−メチオニンの合成は、引き続き取り外しモジュール2を用いて行われる。なお、電気炉45は使用されないので、電気炉45および開閉弁V11,V12に代えて開閉弁V10および開閉弁V13とを配管で接続する。
まず、開閉弁VP1〜VP45を閉じておく。そして、メチオニンの原料であるホモシステインチオラクトンをアセトンに溶解して、反応器23Bに充填する。その後、開閉弁V1,V10,V13,V15,V17,V18,VP4,VP14,VP29,VP36,VP38,VP39,VP42,VP43を開き、反応器23Aにおいて合成した11C−ヨウ化メチルガスを反応器23Bに吹き込む。これにより、11C−ヨウ化メチルガスとホモシステインチオラクトンとを反応させる。
次に、開閉弁V2,V15,V17,V18,VP10,VP17,VP32,VP43を開いて他の開閉弁を閉じる。そして、バイアルM12内の水酸化ナトリウム水溶液を反応器23Bに導入して、反応器23B内の化合物を加水分解する。続いて、開閉弁V1,V4,VP12,VP18,VP22,VP32,VP43を開き、他の開閉弁を閉じる。そして、反応器23B内の反応液を取り出し、適切な精製処理をして11C−メチオニンを製品薬剤として製品バイアル50に回収する。
また、11C−ヨウ化メチルガスを用いて11C−ラクロプライドおよび11C−フルマゼニルを合成することもできる。11C−ラクロプライドおよび11C−フルマゼニルの合成は、引き続き取り外しモジュール2を用いて行われる。これらの薬剤の合成手順はほぼ同じであるので、11C−ラクロプライドを合成する場合について説明する。まず、開閉弁VP1〜VP45を閉じておく。そして、水酸化ナトリウムを微量に含むアセトンに、ラクロプライドの原料であるデスメチルラクロプライドを溶解し、反応器23Bに充填する。
その後、開閉弁V1,V10〜V13,V15,V17,V18,VP4,VP14,VP29,VP36,VP38,VP39,VP42,VP43を開き、反応器23Aにおいて合成した11C−ヨウ化メチルガスを、トリフルオロメタンスルホン酸銀(AgOTf)が充填された電気炉45に通す。これにより、11C−ヨウ化メチルガスとトリフルオロメタンスルホン酸銀とをオンラインにて反応させ、11C−メチルトリフレートガスを合成する。
そして、この11C−メチルトリフレートガスを反応器23Bに吹き込み、11C−メチルトリフレートガスとデスメチルラクロプライドとを反応させる。次に、開閉弁V1,V4,VP12,VP18,VP22,VP32,VP43を開いて他の開閉弁を閉じる。そして、反応器23B内の反応液を取り出し、適切な精製処理をして11C−ラクロプライドを製品薬剤として製品バイアル50に回収する。
(第2構成例)
第2構成例では、取り外しモジュール2を11C−コリンの合成に用いる場合について説明する。図4は、取り外しモジュール2および固設モジュール3の第2構成例を示す図である。図4に示すように、固設モジュール3は、第1構成例の固設モジュール3に対して、バイアルM11およびバイアルM12に代えてバイアルM21およびバイアルM24を備え、バイアルM22、バイアルM23、廃液ボトル53、フィルタ61およびカラム62をさらに備える点で相違する。
バイアルM21には、ヨウ化水素酸(HI)が0.5mL程度充填されている。バイアルM22には、エタノール/水が10mL程度充填されている。バイアルM23には、水が10mL程度充填されている。バイアルM24には、生理食塩水が10mL程度充填されている。カラム62は、樹脂の詰まった筒状容器である。その他の構成は第1構成例の固設モジュール3と同様であるのでその説明を省略する。
取り外しモジュール2は、配管21と、プレート22と、反応器23と、を備えている。配管21は、配管部L21〜L30から構成されている。配管部L21は、バイアルM21から反応器23まで延び、開閉弁VP3,VP14,VP29,VP36を順に通るように取り付けられている。配管部L22は、配管T1の開閉弁V1と開閉弁V14との間から、配管部L21の開閉弁VP3と開閉弁VP14との間まで延び、開閉弁VP4を通るように取り付けられている。
配管部L23は、配管T4の開閉弁V3と開閉弁V16との間から反応器23まで延び、開閉弁VP34,VP35を順に通るように取り付けられている。配管部L24は、反応器23からフィルタ61の一端まで延び、開閉弁VP38,VP39を順に通るように取り付けられている。配管部L25は、バイアルM22からフィルタ61の他端まで延び、開閉弁VP7,VP16,VP31,VP40を順に通るように取り付けられる。配管部L26は、バイアルM23から配管部L25の開閉弁VP7と開閉弁VP16との間まで延び、開閉弁VP8を通るように設けられている。
配管部L27は、バイアルM24から配管部L25の開閉弁VP16と開閉弁VP31との間まで延び、開閉弁VP10,VP17,VP21を順に通るように設けられている。配管部L28は、配管部L25の開閉弁VP31と開閉弁VP40との間からカラム62の一端まで延び、開閉弁VP41を通るように設けられている。
配管部L29は、廃液ボトル53から製品バイアル50まで延び、開閉弁VP45,VP33,VP18,VP12を順に通るように取り付けられている。配管部L30は、配管部L29の開閉弁VP33と開閉弁VP45との間からカラム62の他端まで延び、開閉弁VP44を通るように設けられている。さらに、廃液ボトル53から配管T5の開閉弁V4と開閉弁V17との間まで延びる配管T11が設けられている。
次に、この取り外しモジュール2および固設モジュール3を用いた11C−コリンの合成手順を説明する。11C−コリンの合成の前段階として、図3の取り外しモジュール2によって、反応器23内に11C−ヨウ化メチルガスを合成する。次に、図4の取り外しモジュール2を用いて、11C−コリンを合成する。具体的には、まず、開閉弁VP1〜VP45を閉じておく。そして、コリンの原料である2−ジメチルアミノエタノールをカラム62に充填する。
その後、開閉弁V1,V3,V15,V17,V18,VP34,VP35,VP38〜41,VP44,VP45を開き、反応器23において合成した11C−ヨウ化メチルガスをカラム62に通す。これにより、11C−ヨウ化メチルガスと2−ジメチルアミノエタノールとを反応させ、11C−コリンを合成する。
次に、開閉弁V15,V17,V18,VP7,VP16,VP31,VP41,VP44,VP45を開いて他の開閉弁を閉じる。そして、バイアルM22内のエタノール/水をカラム62に導入して、カラム62内の未反応のジメチルアミノエタノールを洗浄する。次に、開閉弁V2,VP10,VP12,VP17,VP18,VP21,VP31,VP33,VP41,VP44を開いて他の開閉弁を閉じる。そして、バイアルM24内の生理食塩水をカラム62に導入し、11C−コリンを製品薬剤として製品バイアル50に回収する。
(第3構成例)
第3構成例では、取り外しモジュール2を11C−酢酸の合成に用いる場合について説明する。図5は、取り外しモジュール2および固設モジュール3の第3構成例を示す図である。図5に示すように、固設モジュール3は、第1構成例の固設モジュール3に対して、バイアルM11およびバイアルM12に代えてバイアルM31およびバイアルM33を備え、バイアルM32、廃液ボトル53、カラム62およびカラム64をさらに備える点で相違する。
バイアルM31には、1mol/Lの塩酸(HCl)が0.5mL程度充填されている。バイアルM32には、水が10mL程度充填されている。バイアルM33には、生理食塩水が充填されている。カラム62は、陰イオン交換樹脂の充填されたカラムであって、通過液中に含まれる酢酸を一時的に捕集する。また、カラム62は、酢酸を捕集した後にこのカラム62に生理食塩水が通過されることにより、再びカラム62内でイオン交換を行い、酢酸を抽出する。カラム64は、陽イオン交換樹脂の充填されたカラムであって、反応液中に含まれるマグネシウムイオンを銀イオンへ交換する。その他の構成は第1構成例の固設モジュール3と同様であるのでその説明を省略する。
取り外しモジュール2は、配管21と、プレート22と、反応器23と、を備えている。配管21は、配管部L31〜L39から構成されている。配管部L31は、バイアルM31から反応器23まで延び、開閉弁VP3,VP14,VP29,VP36を順に通るように取り付けられている。配管部L32は、配管T4の開閉弁V3と開閉弁V16との間から反応器23まで延び、開閉弁VP34,VP35を順に通るように取り付けられている。配管部L33は、配管T1の開閉弁V1と開閉弁V14との間からカラム64の一端まで延び、開閉弁VP6,VP15,VP30,VP39を順に通るように取り付けられている。
配管部L34は、配管部L33の開閉弁VP30と開閉弁VP39との間から反応器23まで延び、開閉弁VP38を通るように取り付けられている。配管部L35は、バイアルM32からカラム64の他端まで延び、開閉弁VP7,VP16,VP31,VP40を順に通るように取り付けられている。配管部L36は、バイアルM33から配管部L35の開閉弁VP7と開閉弁VP16との間まで延び、開閉弁VP8を通るように取り付けられている。配管部L37は、配管部L35の開閉弁VP31と開閉弁VP40との間からカラム62の一端まで延び、開閉弁VP41を通るように取り付けられている。
配管部L38は、廃液ボトル53から製品バイアル50まで延び、開閉弁VP45,VP33,VP18,VP12を順に通るように取り付けられている。配管部L39は、配管部L38の開閉弁VP33と開閉弁VP45との間からカラム62の他端まで延び、開閉弁VP44を通るように取り付けられている。さらに、廃液ボトル53から配管T5の開閉弁V4と開閉弁V17との間まで延びる配管T11が取り付けられている。
次に、この取り外しモジュール2を用いた11C−酢酸の合成手順を説明する。まず、開閉弁VP1〜VP45を閉じておく。そして、グリニャール試薬であるメチルマグネシウムブロミドのTHF溶液を反応器23に充填する。その後、開閉弁V1,V15,V16,V18,VP6,VP15,VP30,VP34,VP35,VP38を開き、加速器によって製造した11C−CO2ガスを反応器23に吹き込む。これにより、11C−COガスとメチルマグネシウムブロミドのTHF溶液とを反応させる。
次に、開閉弁V1,V5,V15,V16,V18,VP3,VP14,VP29,VP34〜VP36を開いて他の開閉弁を閉じる。そして、バイアルM31内の塩酸を反応器23に導入して、反応器23内の化合物を加水分解し、反応器23内に11C−酢酸を合成する。続いて、開閉弁V1,V3,VP12,VP18,VP33〜VP35,VP38〜VP41,VP44を開いて他の開閉弁を閉じる。そして、反応器23内の反応液をカラム64およびカラム62を通じて取り出し、適切な精製処理をして11C−酢酸を製品薬剤として製品バイアル50に回収する。
(第4構成例)
第4構成例では、取り外しモジュール2を18F−FDG,18F−FLT,18F−FMISOの合成に用いる場合について説明する。図6は、取り外しモジュール2および固設モジュール3の第4構成例を示す図である。図6に示すように、固設モジュール3は、第1構成例の固設モジュール3に対して、バイアルM11に代えてバイアルM41を備え、バイアルM42〜バイアルM47およびイオン交換樹脂66をさらに備える点で相違する。この構成例では、配管T2は使用されないので、設ける必要はない。
バイアルM41は、加速器で製造した18Fイオンを含む水を一時的に貯留する。バイアルM42には、相間移動触媒(K.222)が0.7mL程度含まれ、炭酸カリウム水溶液が0.2mL程度含まれた溶液が充填されている。バイアルM43には、アセトニトリル(MeCN)が0.5mL程度充填されている。バイアルM44には、合成薬剤の主原料、例えばFDGであればトリフルオロメタスルホニルマンノピラノースが20mg程度溶解されたアセトニトリルが1.5mL程度充填されている。
バイアルM45には、1mol/Lの塩酸または水酸化ナトリウムが0.75mL程度充填されている。バイアルM46,M47には、合成する薬剤により加える必要な反応処理をするための薬剤を充填しておく。例えばFDGの場合は生理食塩水、例えばFLTの場合はpHを調整するためのリン酸緩衝液などが充填される。イオン交換樹脂66は、電解液を通じることにより、樹脂内のイオン性物質と電解液中のイオン性物質を交換する樹脂である。その他の構成は第1構成例の固設モジュール3と同様であるのでその説明を省略する。
取り外しモジュール2は、配管21と、プレート22と、反応器23と、を備えている。配管21は、配管部L41〜L54から構成されている。配管部L41は、バイアルM41から配管T4の開閉弁VP3と開閉弁VP16との間まで延び、開閉弁VP1,VP13,VP28,VP34を順に通るように取り付けられている。配管部L42は、バイアルM42から配管部L41の開閉弁VP1と開閉弁VP13との間まで延び、開閉弁VP2を通るように取り付けられている。
配管部L43は、配管部L41の開閉弁VP28と開閉弁VP34との間からイオン交換樹脂66の一端まで延び、開閉弁VP35を通るように取り付けられている。配管部L44は、バイアル51から反応器23まで延び、開閉弁VP39,VP30,VP31,VP40を順に通るように取り付けられている。配管部L45は、配管部L44の開閉弁VP30と開閉弁VP39との間からイオン交換樹脂66の他端まで延び、開閉弁VP38を通るように取り付けられている。
配管部L46は、反応器23から製品バイアル50まで延び、開閉弁VP43,VP32,VP27,VP18,VP12を順に通るように取り付けられている。配管部L47は、バイアルM43から配管部L46の開閉弁VP18と開閉弁VP27との間まで延び、開閉弁VP3,VP14,VP20,VP21,VP22を順に通るように取り付けられている。配管部L48は、バイアルM44から配管部L47の開閉弁VP3と開閉弁VP14との間まで延び、開閉弁VP4を通るように取り付けられている。
配管部L49は、配管T1の開閉弁V1と開閉弁V14との間から配管部L47の開閉弁VP20と開閉弁VP21との間まで延び、開閉弁VP6,VP15を順に通るように取り付けられている。配管部L50は、配管部L47の開閉弁VP20と開閉弁VP21との間から配管部L44の開閉弁VP30と開閉弁VP31との間まで延び、開閉弁VP23を通るように取り付けられている。配管部L51は、バイアルM47から配管部L46の開閉弁VP12と開閉弁VP18との間まで延び、開閉弁VP11を通るように取り付けられている。
配管部L52は、バイアルM46から配管部L47の開閉弁VP21と開閉弁VP22との間まで延び、開閉弁VP10,VP17を順に通るように取り付けられている。配管部L53は、バイアルM45から配管部L52の開閉弁VP10と開閉弁VP17との間まで延び、開閉弁VP9を通るように取り付けられている。配管部L54は、配管部L46の開閉弁VP43と反応器23との間から配管T5の開閉弁V4と開閉弁V17との間まで延び、開閉弁VP44,VP45を順に通るように取り付けられている。
次に、この取り外しモジュール2を用いた18F−FDG,18F−FLT,18F−FMISOの合成手順を説明する。これらの薬剤の合成手順はほぼ同じであるので、ここでは18F−FDGを合成する場合について説明する。まず、開閉弁VP1〜VP45を閉じておく。そして、開閉弁V1,V5,VP1,VP13,VP28,VP35,VP38,VP39を開き、加速器によって製造した18Fイオンを含む水を一旦バイアルM41へ貯留した後に、この18Fイオンを含む水をイオン交換樹脂66に通じて、18Fイオンをイオン交換樹脂66に吸着させる。
次に、開閉弁VP2,VP13,VP28,VP30,VP31,VP35,VP38,VP40を開いて他の開閉弁を閉じる。そして、相間移動触媒と混ぜた炭酸カリウム水溶液をバイアルM42からイオン交換樹脂66に通じ、イオン交換樹脂66に吸着された18Fイオンを相間移動触媒とともに反応器23に移送する。この相間移動触媒を電解質(イオン)に混ぜることによって、アセトニトリルなどの非プロトン性溶媒に電解質を溶解させることが可能となる。なお、炭酸カリウム水溶液をイオン交換樹脂へ通じて18Fイオンを反応器23に移送した後、相間移動触媒を反応器23に導入してもよい。
続いて、開閉弁V15,V17,V18,VP44,VP45を開いて他の開閉弁を閉じる。そして、ヒータ44によって反応器23を加熱し、Wasteラインによって反応器23を減圧して、反応器23内を乾燥させる。次に、開閉弁VP4,VP14,VP20,VP23,VP31,VP40を開いて他の開閉弁を閉じる。そして、トリフルオロメタスルホニルマンノピラノースをアセトニトリルに溶解した溶解液をバイアルM44から反応器23に導入する。これにより、相間移動触媒を混ぜた18Fイオンと溶解液とをフッ素化反応させる。
続いて、開閉弁VP9,VP17,VP22,VP27,VP32,VP43を開いて他の開閉弁を閉じる。そして、バイアルM45内の塩酸(または水酸化ナトリウム)を反応器23に導入して、反応器23内の化合物を加水分解する。次に、開閉弁V1,VP6,VP12,VP15,VP18,VP23,VP27,VP31,VP32,VP40,VP43を開いて他の開閉弁を閉じる。そして、反応器23内の反応液を取り出し、適切な精製処理をして18F−FDGを製品薬剤として製品バイアル50に回収する。
(第5構成例)
第5構成例では、取り外しモジュール2を18F−F−コリンの合成に用いる場合について説明する。図7は、取り外しモジュール2および固設モジュール3の第5構成例を示す図である。図7に示すように、固設モジュール3は、第1構成例の固設モジュール3に対して、バイアルM11およびバイアルM12に代えてバイアルM51およびバイアルM58を備え、バイアルM52〜バイアルM54、バイアルM56、バイアルM57、廃液ボトル53、カラム62、イオン交換樹脂66、シリカゲルカラム68をさらに備える点で相違する。
バイアルM51は、加速器で製造した18Fイオンを含む水を一時的に貯留する。バイアルM52には、相間移動触媒(K.222)が0.7mL程度含まれ、炭酸カリウム水溶液が0.2mL程度含まれた溶液が充填されている。バイアルM53には、アセトニトリルが0.5mL程度充填されている。バイアルM54には、ジブロモメタン(CH2Br2)が200μL程度溶解されたアセトニトリルが1mL程度充填されている。
バイアルM56には、エタノールが10mL程度充填されている。バイアルM57には、水が10mL程度充填されている。バイアルM58には、生理食塩水が10mL程度充填されている。シリカゲルカラム68は、シリカゲルが詰められた筒状容器であって、反応目的物を筒の中に滞留させて、反応目的物と異物とを分離する。その他の構成は第1構成例の固設モジュール3と同様であるのでその説明を省略する。
取り外しモジュール2は、配管21と、プレート22と、反応器23と、を備えている。配管21は、配管部L61〜L80から構成されている。配管部L61は、バイアルM51からイオン交換樹脂66の一端まで延び、開閉弁VP1,VP13,VP28,VP34を順に通るように取り付けられている。配管部L62は、バイアルM52から配管部L61の開閉弁VP1と開閉弁VP13との間まで延び、開閉弁VP2を通るように取り付けられている。
配管部L63は、配管T1の開閉弁V1と開閉弁V14との間から配管部L61の開閉弁VP13と開閉弁VP28との間まで延び、開閉弁VP6,VP15,VP20,VP19を順に通るように取り付けられている。配管部L64は、バイアルM53から配管部L63の開閉弁VP19と開閉弁VP20との間まで延び、開閉弁VP3,VP14を順に通るように取り付けられている。配管部L65は、バイアルM54から配管部L64の開閉弁VP3と開閉弁VP14との間まで延び、開閉弁VP4を通るように取り付けられている。
配管部L66は、配管部L68の開閉弁VP23と開閉弁VP25との間から配管T4の開閉弁V3と開閉弁V16との間まで延び、開閉弁VP30,VP39を順に通るように取り付けられている。配管部L67は、バイアルM58から開閉弁V13まで延び、開閉弁VP12,VP18,VP27,VP26,VP31,VP40を順に通るように取り付けられている。配管部L68は、配管部L61の開閉弁VP13と開閉弁VP28との間から配管部L67の開閉弁VP18と開閉弁VP27との間まで延び、開閉弁VP24,VP25,VP23,VP21,VP22を順に通るように取り付けられている。
配管部L69は、配管部L68の開閉弁VP21と開閉弁VP23との間からシリカゲルカラム68の一端まで延び、開閉弁VP16,VP7を順に通るように取り付けられている。シリカゲルカラム68の他端は、開閉弁V10に接続されている。配管部L71は、配管部L68の開閉弁VP24と開閉弁VP25との間からイオン交換樹脂66の他端まで延び、開閉弁VP29,VP36を順に通るように取り付けられている。配管部L72は、配管部L71の開閉弁VP29と開閉弁VP36との間からバイアル51まで延び、開閉弁VP35を通るように取り付けられている。
配管部L73は、配管部L71の開閉弁VP29と開閉弁VP36との間から反応器23まで延び、開閉弁VP37を通るように取り付けられている。配管部L74は、配管部L66の開閉弁VP30と開閉弁VP39との間から反応器23まで延び、開閉弁VP38を通るように取り付けられている。配管部L75は、バイアルM56から配管部L68の開閉弁VP21と開閉弁VP22との間まで延び、開閉弁VP10,VP17を順に通るように取り付けられている。配管部L76は、バイアルM57から配管部L67の開閉弁VP12と開閉弁VP18との間まで延び、開閉弁VP11を通るように取り付けられている。
配管部L77は、配管部L67の開閉弁VP26と開閉弁VP27との間から廃液ボトル53まで延び、開閉弁VP32,VP43を順に通るように取り付けられている。配管部L78は、配管部L67の開閉弁VP31と開閉弁VP40との間からカラム62の一端まで延び、開閉弁VP41を通るように取り付けられている。配管部L79は、配管部L77の開閉弁VP32と開閉弁VP43との間からカラム62の他端まで延び、開閉弁VP42を通るように取り付けられている。配管部L80は、配管部L77の開閉弁VP32と開閉弁VP43との間から製品バイアル50まで延び、開閉弁VP44を通るように取り付けられている。
次に、この取り外しモジュール2を用いた18F−F−コリンの合成手順を説明する。まず、開閉弁VP1〜VP45を閉じておく。そして、開閉弁V1,V5,VP1,VP13,VP28,VP34〜VP36を開き、加速器によって製造した18Fイオンを含む水を一旦バイアルM51へ貯留した後に、この18Fイオンを含む水をイオン交換樹脂66に通じて、18Fイオンをイオン交換樹脂66に吸着させる。
次に、開閉弁VP2,VP13,VP28,VP34,VP36,VP37を開いて他の開閉弁を閉じる。そして、相間移動触媒と混ぜた炭酸カリウム水溶液をバイアルM52からイオン交換樹脂66に通じて、イオン交換樹脂66に吸着された18Fイオンを相間移動触媒とともに反応器23に移送する。なお、炭酸カリウム水溶液をイオン交換樹脂へ通じて18Fイオンを反応器23に移送した後、相間移動触媒をバイアルM53から反応器23に別途導入してもよい。この場合、開閉弁VP3,VP14,VP19,VP24,VP29,VP37を開いて他の開閉弁を閉じる。
続いて、開閉弁V15,V16,V19,VP38,VP39を開いて他の開閉弁を閉じる。そして、ヒータ44によって反応器23を加熱し、Wasteラインによって反応器23を減圧して、反応器23内を乾燥させる。次に、開閉弁VP4,VP14,VP19,VP24,VP29,VP37を開いて他の開閉弁を閉じる。そして、ジブロモメタンをアセトニトリルに溶解した溶解液をバイアルM54から反応器23に導入する。これにより、相間移動触媒を混ぜた18Fイオンと溶解液とをフッ素化反応させ、18F−臭素化フッ化メチルガスを合成する。
続いて、開閉弁V1,V10,V15,V17,V18,VP6,VP7,VP15,VP16,VP19,VP20,VP23,VP24,VP29,VP30,VP37,VP38を開いて他の開閉弁を閉じる。そして、反応器23内の18F−臭素化フッ化メチルガスをシリカゲルカラム68に通じて、目的物(18F−臭素化フッ化メチルガス)が確認されたら目的物を取り分ける。このとき、目的物が確認されるまではWasteラインを通じてガスを廃棄する。次に、開閉弁V1,V10〜V13,VP6,VP7,VP15,VP16,VP19,VP20,VP23,VP24,VP29,VP30,VP37,VP38,VP40〜VP43を開いて他の開閉弁を閉じる。そして、コリンの原料である2−ジメチルアミノエタノールを充填したカラム62に、取り分けられた18F−臭素化フッ化メチルガスを通じて、18F−F−コリンを合成する。
その後、開閉弁VP10,VP17,VP22,VP26,VP27,VP31,VP41〜VP43を開いて他の開閉弁を閉じる。そして、バイアルM56内のエタノールをカラム62に導入して、カラム62内に残留する未反応のジメチルアミノエタノールを洗浄する。さらに、開閉弁VP11,VP18,VP26,VP27,VP31,VP41〜VP43を開いて他の開閉弁を閉じる。そして、バイアルM57内の水をカラム62に導入して、カラム62内に残留するエタノールを洗浄する。次に、開閉弁VP12,VP18,VP26,VP27,VP31,VP41,VP42,VP44を開いて他の開閉弁を閉じる。そして、バイアルM58内の生理食塩水をカラム62に導入して18F−F−コリンを製品薬剤として製品バイアル50に回収する。
以上詳述したように、合成装置1では、1つのプレート22を用いて、様々な形状の配管21を取り付けることができ、所望の放射性薬剤を合成するための流路の形成が可能となる。このため、合成対象の放射性薬剤専用のプレートを準備することなく、1つのプレート22を用いて、複数種類の放射性薬剤の合成が可能となる。また、貫通孔Hに少なくとも2つの支柱部Fが対応して設けられることによって、支柱部Fにより取り付けられた配管21を貫通孔H上に位置合わせすることができ、配管21を開閉可能な構造とすることができる。
なお、本発明に係る放射性薬剤合成装置用カセット、放射性薬剤合成装置、および、放射性薬剤合成装置用基板は本実施形態に記載したものに限定されない。例えば、プレート22において、複数の貫通孔Hの各々の位置を適宜変更してもよい。
また、第1支柱部Fvが配置されるラインCおよび第2支柱部Fhが配置されるラインRは、上記実施形態に記載されたものに限定されない。必要に応じてラインCおよびラインRの数を変更してもよい。例えば、各ラインCと各ラインRとが9箇所以上で交差するようにしてもよい。また、ラインCの延在方向およびラインRの延在方向は、上下方向および左右方向に限定されず、ラインCとラインRとが互いに交差すればよい。
また、貫通孔Hの上下および左右に支柱部Fを配置しているが、貫通孔Hの周縁部の他の方向に支柱部Fを配置してもよい。貫通孔Hに対して2以上の支柱部Fが設けられていればよく、支柱部Fが設けられる方向に制限はない。また、上記実施形態では、プレート22の左右方向の端部に支柱部Fを設けていないが、必要に応じて支柱部Fを設けてもよい。
また、支柱部Fに代えて、配管部Lを取り付け可能で、かつ、配管部Lの位置を固定可能な他の保持手段としてもよい。例えば、支柱部Fに代えてプレート22に設けられた溝としてもよい。
[第2実施形態]
図8は、本実施形態に係る溶液調整装置150を備える放射性同位元素精製システム100のシステム構成を示す概略構成図である。放射性同位元素精製システム100は、異なる複数の種類の放射性同位元素の精製を行うことができるシステムである。図8に示すように、放射性同位元素精製システム100は、荷電粒子線が照射されることで放射性同位元素が生成されたターゲット材料を溶解させる溶解槽101と、放射性同位元素を溶解させた溶液の調整を行う溶液調整ユニット102と、溶液調整ユニット102で調整された溶液に含まれる放射性同位元素を精製する精製部103と、を備えている。なお、図8においては、配管のうち、一本の実線で記載されている部分は、交換可能な配管であって、二本の実線で記載されている部分は、システムに固定されて短期的な周期での交換を前提としていない配管である。なお、本明細書で「交換可能」とは、一回、又は規定回数使用したら、新しいものに交換できる、使い捨てを前提としたものであることを示す。
本実施形態に係る溶液調整装置150を備える放射性同位元素精製システム100で精製することができる放射性同位元素として、例えば、64Cu、89Zr、99mTcなどが挙げられる。なお照射する荷電粒子は、陽子、重陽子、アルファ粒子、3Heまたは電子などである。
放射性同位元素を生成する際は、金属板で構成されるターゲット基板の表面にターゲット材料として金属層を形成しておく。ターゲット材料による金属層は、ターゲット基板の表面にめっき処理を施すことによって形成される。当該ターゲット材料に荷電粒子線を照射することにより、ターゲット材料中に微量の放射性同位元素が生成する。なお、ターゲット基板の材料として、Au、Al、Ptなどが挙げられる。ターゲット材料として、64Ni、89Y、100Moなどが挙げられる。溶解槽101では、溶解液を用いて、放射性同位元素と共にターゲット材料を溶解させる。これによって、放射性同位元素とターゲット材料が混在した溶液が得られる。溶解液として、塩酸、硝酸、水酸化ナトリウム、過酸化水素、硫酸などが挙げられる。
溶液調整ユニット102は、溶解槽101で生成された溶液の濃度調整等を行うために必要な、センサ、ポンプ、駆動部、弁、機構などを備えた溶液調整装置150(図10参照)に各種容器や配管等を組み付けることによって構成される。溶液調整ユニット102は、複数の配管111が設けられる放射性同位元素精製システム用カセット(放射性同位元素取り扱い装置用カセット)110を着脱自在に固定可能である(詳細な構成については後述する)。以下の説明においては「放射性同位元素精製システム用カセット」を「カセット」と称する。また、溶液調整ユニット102には、溶液の調整に用いられる各種容器が組み付けられている。図8に示す例では、溶液調整ユニット102は、希釈槽や混合槽として用いられる容器121と、シリンジ122と、溶解液が収容される容器123と、中和・希釈・溶解用の液体が収容される容器124と、洗浄液が収容される(あるいは予備用として用いられる)容器126と、洗浄液A1が収容される容器127と、洗浄液A2が収容される容器127と、抽出液B1が収容される容器129と、シリンジ131と、希釈・混合などにより溶液を調整する調整容器132と、廃液を回収する廃液容器133と、を備える。なお、本実施形態では、カセット110の流路は自由自在に変更することが可能であるため、容器22〜29に収容される液体は、互いに入れ替わっていてもよい。
容器123,124,126に収容され、溶液を調整するために用いられる液体として、上述の溶解液と同様なものを用いてよく(それらに過酸化水素水を加えてもよい)、水などを用いてよい。容器127,128に収容される洗浄液A1,A2として、上述の溶解液と同様なものを用いてよく、生理食塩水や水などを用いてよい。容器129に収容される抽出液B1として、塩酸、硝酸、蓚酸、テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)を含んだジクロロメタン(CHCl)、クロロホルムなどを用いてよい。
精製部103は、溶液から放射性同位元素を抽出する第1の調整容器132と、洗浄液A3を収容する容器136と、抽出液B2を収容する容器137と、溶液から放射性同位元素を抽出する第2の抽出部138と、再利用できる回収液を回収する回収容器139と、廃液を回収する廃液容器141と、精製された放射性同位元素の溶液を回収する回収容器142と、各構成要素を接続する配管143と、配管143に設けられる三方活栓144と、三方活栓144を切り替えるための駆動力を付与する駆動部146と、を備えている。なお、精製部103の構成要素の一部又は全部はユニット化されていてよい。図8に示す例では、放射性同位元素の精製に必要な、センサ、ポンプ、駆動部146、弁、機構を備えた精製装置に各種容器や抽出部を組み付けることによって構成される精製ユニット140が設けられている。精製ユニット140は、容器136,137,139,141,142、第2の抽出部138、配管143、三方活栓144、駆動部146を備えている。
第1の調整容器132としては、陰イオン交換樹脂や、放射性同位元素の選択樹脂を適用することができる。第2の調整容器132は、第1の調整容器132よりも下流側に配置され、放射性同位元素を更に精製するものである。第2の抽出部138としては、Sep−Pak(登録商標)などを適用することができる。
容器136,137は、第1の調整容器132よりも下流側であって第2の抽出部138よりも上流側に配置される。容器136に収容される洗浄液A3として、生理食塩水や水などを用いてよい。容器137に収容される抽出液B2として、塩酸や生理食塩水などを用いてよい。
三方活栓144は、第1の調整容器132よりも下流側の流路に設けられ、当該流路の流れを切り替えるためのものである。三方活栓144は、第1の調整容器132より下流側に設けられる配管143同士を接続しており、内部の弁を切り替えることにより、三つの配管143のうち、二つの配管143を連通させる。三方活栓144及び配管143は、交換可能な使い捨て用の構成要素である。駆動部146は、三方活栓144とは別体として設けられ、三方活栓切り替えのための駆動力を付与するものである。駆動部146は、使い捨て用の三方活栓144とは異なり、精製する放射性同位元素の種類によらず、共通した部品として精製ユニット140に設けられている。使用時においては、駆動部146の取付部に三方活栓144を取り付け、交換時には取付部から使用済みの三方活栓144を取り外す。例えば、三方活栓144は、エアの圧力によって弁を切り替える構造を有している。駆動部146は、三方活栓144にエアを供給する供給構造を有しており、例えば、精製装置の筐体内部に当該供給構造の本体部分が収納されており、筐体の外壁部に、各三方活栓144を取り付ける取付部が露出するように設けられていてもよい。
ここで、図9〜図13を参照して、溶液調整ユニット102及びカセット110の詳細な構成について説明する。図9は、本実施形態に係るカセット110の構成の一例を示す平面図である。図10は、本実施形態に係る溶液調整装置150を備える溶液調整ユニット102の構成の一例を示す正面図である。図11は、図10に示す溶液調整ユニット102の扉部152を開いた状態を示す正面図である。図12は、図11に示す溶液調整ユニット102の固定部161にカセット110を固定した様子を示す正面図である。図13は、図12に示すXIII−XIII線に沿った断面図であって、扉部152を閉めた状態における断面図である。
カセット110は、放射性同位元素精製システム100に交換可能に適用されるものであり、溶液調整ユニット102の溶液調整装置150に対して、交換可能に取り付けられる使い捨て用のモジュールである。図9に示すように、カセット110は、基板112と、基板112に取り付けられた複数の配管111と、を備えている。
基板112は、矩形板状の部材であり、使い捨て用の部材であるため、材料としては例えばポリプロピレンなどが適用される。図9に示す例では、基板112は、第2方向D2に沿って互いに平行に延びる一対の長辺、及び第2方向D2と直交する第1方向D1に沿って互いに平行に延びる一対の短辺を有する長方形状をなしている。基板112の表面112aには、配管111を挟んでガイドするためのフック(保持手段)113、及び支柱部(保持手段)114が形成されている。フック113は、表面112aから二本の爪が対向して突出することによって構成されており、当該爪の間に配管111を挟みこむことによって、当該配管111を固定することができる。また、フック113には、第1方向D1に沿って配管111を取付可能であって、第1保持手段として機能するものと、第2方向D2に沿って配管111を取付可能であって、第2保持手段として機能するものがある。支柱部114は、複数本の支柱が対向して突出することによって構成されており、支柱同士の間に配管111を挟み込むことによって、当該配管111を固定することができる。支柱部114は、配管111の取り付け方次第で、第1方向D1に沿って配管111を取付可能であると共に、第2方向D2に沿って配管111を取付可能であり、同時に第1の保持手段及び第2の保持手段として機能することができる。フック113及び支柱部114は、基板112の表面112aの所定の位置に設けられており、配管111の這回しによって、一部は使用され、一部は使用されない場合がある。
基板112には、当該基板112の厚さ方向に貫通する長孔116が形成されている。本実施形態では、長孔116は、第1方向D1に沿って延びており、第2方向D2に所定の間隔で形成されている。また、基板112には、短辺に該当する縁部112bに、位置決め用の円形の貫通孔117が形成されている。なお、フック113、支柱部114、長孔116、貫通孔117は、第1方向D1における中心線を基準として左右対称に設けられているが、このような配置には限定されない。
配管111は、フック113や支柱部114に挟みこまれることによって基板112に位置決めされた状態で固定されている。配管111は、使い捨て用の部材であるため、例えば、シリコンチューブやテフロン(登録商標)、テフゼル、ポリウレタンなどが適用される。また、継手118を介して配管111同士を接続することにより、基板112上に、直角に屈曲する流路や三方に分岐した流路を形成することができる。フック113及び支柱部114による固定位置や、継手118での接続位置を変更することによって、基板112に対して、自由自在に配管構成を設定することが可能である。また、配管111は、長孔116上を通過する。一部の配管111は、基板112の長辺に該当する縁部112cから外側へ延びており、当該配管111の先端にはコネクタ119が設けられている。当該コネクタ119は、図8に示す溶解槽101や、各種容器や、第1の調整容器132などに対して、着脱可能に接続される。なお、図9に示すカセット110の構成は、一例に過ぎず、基板112の形状は図に示すものに限られず、フック113や支柱部114等の位置等も図に示すものに限られない。また、複数の配管111の組み合わせによる配管構成も図に示すものに限られない。
図10〜図12に示すように、溶液調整ユニット102は、溶液調整装置150に対して、図8に示す各種容器や配管などを組み付けることによって、構成されている。また、溶液調整ユニット102は、カセット110を着脱自在に取り付け可能である。カセット110は交換可能なモジュールであるのに対して、溶液調整装置150は、精製する放射性同位元素の種類によらず、共通して使用される固設モジュールとして構成されている。カセット110以外の部分の各種容器や配管は、放射性同位元素の種類によって交換してもよく、洗浄して同じものを使ってもよい。溶液調整装置150は、本体部151と扉部152とを有している。扉部152は、本体部151のうち、上側の領域を覆うように設けられている。
本体部151の下側の領域には、容器132,133を収容する収容部153,154が設けられている。収容部153の周りには、調整容器132を冷却するためのクーラ、調整容器132を加熱するためのヒータ、調整容器132内の圧力を確認するための圧力センサ、調整容器132内の温度を確認するための温度計、及び調整容器132内に含まれる放射線量を確認するための放射線センサなどが設けられている。また、本体部151には、各種容器22〜29を取り付ける取付部156が設けられている。取付部156のどの部分にどの容器を設けるかは、特に限定されない。
扉部152は、本体部151の側面に設けられたヒンジ157(図10参照)を介して、開閉可能に設けられている。図11及び図12に示すように、扉部152に覆われる位置における、本体部151の前面151aには、カセット110を着脱自在に固定可能な固定部161が設けられている。固定部161は、カセット110の基板112を受ける前面151aと、カセット110の基板112の縁部112cを支持する爪部162と、基板112の長孔116に挿通される長円状の配管受部(突出部)163と、基板112の貫通孔117に挿通される円柱状のピン164と、を備えている。
爪部162は、本体部151の側面から見たときにL字状をなしており、前面151aから前方へ突出する部分と、当該突出する部分の先端から上方へ延びる部分を有する。基板112は、当該上方へ延びる部分と前面151aとに挟まれることによって、固定される。配管受部163は、前面151aから前方に突出するように複数カ所に設けられており、基板112の長孔116と対応する形状及び位置(爪部162で基板112を固定したときにおける長孔116の位置)に設けられる。ピン164は、前面151aから前方に突出するように複数カ所(本実施形態では二か所)に設けられており、基板112の貫通孔117と対応する形状及び位置(爪部162で基板112を固定したときにおける貫通孔117の位置)に設けられる。貫通孔117にピン164が挿通されることにより、固定部161に対するカセット110の位置決めがなされる。
扉部152の内面152aは、当該扉部152を閉じた場合に本体部151の前面151aに対して、所定の間隔を有して平行となるように対向する。扉部152の内面152aの所定位置には、複数の押圧部材166が設けられている。これら複数の押圧部材166は、例えばエアの力で前後動するエアシリンダである。エアは、本体部151から延びるエアチューブ(不図示)を介して、個々の押圧部材166に供給される。なお、押圧部材166の駆動は、エアの力によって行われなくともよく、電気的な力、磁気的な力によって行われてもよい。押圧部材166は、扉部152を閉じた状態において、本体部151の配管受部163と対向する位置に設けられる。また、押圧部材166と配管受部163との間に、カセット110の配管111が配置される。従って、押圧部材166は、扉部152を閉めた状態で、本体部151の配管受部163との間で配管111を押圧可能となる。
図13を参照して、押圧部材166による押圧構造についてより詳細に説明する。図13に示すように、押圧部材166は、扉部152の壁部158(扉部152の内面152aを有している)に支持されると共に内面152aから突出する軸部167と、軸部167に設けられた押圧部168と、を備えている。押圧部材166は、軸部167の延在方向に沿って前後に往復動可能である。一方、本体部151の前面151aには、押圧部材166の押圧部168と対向する位置に配管受部163が設けられている。配管受部163の端面163aには、突出部163bが形成されている。突出部163bの先端面は、固定部161に固定された状態における基板112の表面112aよりも押圧部材166側へ突出していることが好ましい。押圧部材166の中心位置と突出部163bの高さ方向の中心位置は略一致している。従って、押圧部材166の押圧部168が配管受部163側へ移動することによって、配管111は押圧部168と配管受部163との間で挟まれて押圧され、配管111の内部空間が潰されることで流路が閉鎖される。なお、押圧部材166による押圧構造は特に限定されず、配管受部163が突出部163bを有していなくともよい。また、配管受部163及び長孔116自体がなくともよく、押圧部材166の押圧部168と基板112の表面112aとの間で配管111を挟み込んでもよい。
上述のように、溶液調整ユニット102は、配管111を押圧部材166で押圧することによって、カセット110の配管111によって構成される流路を自在に設定可能である。図8では、押圧部材166によって配管111を押圧可能な押圧位置が、1A〜1Q、2A〜2Q、3B〜3P、4H、5B〜5P、6A〜6Q、7A〜7Qで示されている。溶液を通過させたいラインが決定した場合、当該ライン上に存在する押圧位置では押圧部材166による押圧をOFFとし、他の押圧位置では押圧部材166による押圧をONとする。これによって、溶液は所望のラインに沿った流路を流れ、当該ライン以外の流路へは流れない。
次に、図8に示す放射性同位元素精製システム100を用いて放射性同位元素を精製する場合の手順の一例について説明する。図14は64Cuを精製する場合の放射性同位元素精製システム100Aの概略構成の一例を示し、図15は89Zrを精製する場合の放射性同位元素精製システム100Bの概略構成の一例を示し、図16は99mTcを精製する場合の放射性同位元素精製システム100Cの概略構成の一例を示す。
64Cuの精製]
まず、各種配管や容器を組み付けることによって、図14に示すような放射性同位元素精製システム100Aを構成する。6mol/Lの塩酸(過酸化水素水を含む)を収容した容器123と、6mol/Lの塩酸を収容した容器124と、水を収容した容器126と、6mol/Lの塩酸を収容した容器127,128と、1mol/Lの塩酸を収容した容器129が、溶液調整ユニット102に組み付けられる。また、調整容器132及び廃液容器133が溶液調整ユニット102に組み付けられる。また、溶液調整ユニット102にカセット110を取り付け、各配管111に設けられたコネクタ119(図9参照)を相手側のコネクタに接続する。精製部103では、第1の調整容器132として陰イオン交換樹脂を準備し、回収容器139と回収容器142が精製ユニット140に組み付けられ、配管143及び三方活栓144が所定のパターンで精製ユニット140に組み付けられる。なお、放射性同位元素精製システム100Aでは、第2の抽出部138は組み付けられず、それに伴って容器136,137も組み付けられない。
(手順1)
まず、溶解槽101にて、Auのターゲット基板表面に形成されたNi(64Ni)の金属層に荷電粒子線が照射されたものを、加熱しながら6mol/Lの塩酸で溶解させることで、Niと64Cuが混在した溶液を得る。
(手順2)
溶液調整ユニット102は、溶解槽101で得られた溶液を、図に示すラインL2を介して調整容器132へ流す。このとき、溶液調整ユニット102は、ラインL2に係る流路が設定されるように、各押圧位置での押圧のON/OFFを制御する。具体的には、ラインL2が通過する押圧位置7A,6A,3B,6C,7Cでの押圧をOFFとし、他の押圧位置での押圧をONとする。なお、以降の手順において流路を設定する際の制御方法は、ラインL2と同趣旨であるため、説明を省略する。
(手順3)
溶液調整ユニット102は、容器123,124,126の液体を調整容器132へ流すことによって、調整容器132内で溶液の濃度調整を行う。溶液調整ユニット102は、図に示すラインL3に係る流路を設定すると共に、当該ラインL3を介して、容器123の過酸化水素水を含む6mol/Lの塩酸(押圧位置1D:OFF、押圧位置1F,1G:ON)、容器124の6mol/Lの塩酸(押圧位置1F:OFF、押圧位置1D,1G:ON)、容器126の水を(押圧位置1G:OFF、押圧位置1D,1F:ON)、この順番で調整容器132へ流す。なお、各容器123,124,126がシリンジで構成されていた場合は、各容器123,124,126から直接調整容器132へ液体を流せる。各容器123,124,126が単なる容器であった場合は、シリンジ122で一旦液体を所望量吸い出した後、調整容器132へ流す。なお、容器127,128,129についても、単なる容器であった場合は、シリンジ131を用いる。
(手順4)
溶液調整ユニット102は、調整容器132で調整された溶液を第1の調整容器132へ流す。溶液調整ユニット102は、図に示すラインL4に係る流路を設定すると共に、当該ラインL4を介して、Niと64Cuが混在した溶液を第1の調整容器132へ流す。64Cuは陰イオンであるテトラクロロ銅イオン([CuCl2−)、Niは陽イオンであるニッケルイオン([Ni2+])として存在する。64Cuはイオン交換樹脂に吸着され、Niは吸着されることなく塩酸溶液と共に第1の調整容器132を通過し、回収容器139で回収される。ただし、一部のNiは第1の調整容器132内に残存する。
(手順5)
溶液調整ユニット102は、容器127,128の液体を第1の調整容器132へ流すことによって、第1の調整容器132に残存するNiを溶出させる。溶液調整ユニット102は、図に示すラインL5に係る流路を設定すると共に、当該ラインL5を介して、容器127の6mol/Lの塩酸(押圧位置1J:OFF、押圧位置1K:ON)、容器127の6mol/Lの塩酸を(押圧位置1K:OFF、押圧位置1J:ON)、この順番で第1の調整容器132へ流す。第1の調整容器132を通過した塩酸溶液は、Niと共に回収容器139で回収される。
(手順6)
溶液調整ユニット102は、容器129の液体を第1の調整容器132へ流すことによって、第1の調整容器132に吸着されている64Cuを溶出させる。溶液調整ユニット102は、図に示すラインL6に係る流路を設定すると共に、当該ラインL6を介して、容器129の1mol/Lの塩酸を第1の調整容器132へ流す。第1の調整容器132を通過した塩酸溶液は、64Cuと共に回収容器142で回収される。なお、手順5と手順6との間において、三方活栓144は駆動部146から付与された駆動力により、回収容器139へ向かうラインL5から、回収容器142へ向かうラインL6へ流路を切り替える。以上によって、精製された64Cuが得られる。
89Zrの精製]
まず、各種配管や容器を組み付けることによって、図15に示すような放射性同位元素精製システム100Bを構成する。希釈槽として用いられる容器121と、6mol/Lの塩酸(過酸化水素水を含む)を収容した容器123と、6mol/Lの塩酸(過酸化水素水を含む)を収容した容器124と、水を収容した容器126と、1mol/Lの塩酸を収容した容器127と、水を収容した容器127と、1mol/Lの蓚酸を収容した容器129が、溶液調整ユニット102に組み付けられる。また、廃液容器133が溶液調整ユニット102に組み付けられる。なお、放射性同位元素精製システム100Bでは、調整容器132に代えて、希釈槽としての容器121が用いられる。また、溶液調整ユニット102にカセット110を取り付け、各配管111に設けられたコネクタ119(図9参照)を相手側のコネクタに接続する。精製部103では、第1の調整容器132としてZr選択保持樹脂を準備し、水を収容した容器136と、1mol/Lの塩酸を収容した容器137と、Sep−Pak(登録商標)QMAが適用された第2の抽出部138と、回収容器139と、廃液容器141と、回収容器142とが精製ユニット140に組み付けられ、配管143及び三方活栓144が所定のパターンで精製ユニット140に組み付けられる。
(手順1)
まず、溶解槽101にて、ターゲット基板表面に形成されたY(89Y)の金属層に荷電粒子線が照射されたものを6mol/Lの塩酸(過酸化水素水を含む)で溶解させることで、Yと89Zrが混在した溶液を得る。
(手順2〜手順5)
調整容器132に代えて、希釈槽としての容器121にて溶液の調整が行われる点以外は、64Cuを精製する放射性同位元素精製システム100Aと同趣旨の処理がなされる。
(手順6)
溶液調整ユニット102は、容器129の液体を第1の調整容器132へ流すことによって、第1の調整容器132に保持されている89Zrを溶出させる。溶液調整ユニット102は、図に示すラインL6に係る流路を設定すると共に、当該ラインL6を介して、容器129の1mol/Lの蓚酸を第1の調整容器132へ流す。第1の調整容器132を通過した蓚酸溶液は、89Zrと共に第2の抽出部138を通過する。89Zr及び残存していた不純物は、第2の抽出部138に残存する。蓚酸溶液と一部の不純物は廃液容器141で回収される。なお、手順5と手順6との間において、三方活栓144は駆動部146から付与された駆動力により、回収容器139へ向かうラインL5から、第2の抽出部138及び廃液容器141へ向かうラインL6へ流路を切り替える。
(手順7)
精製ユニット140は、容器136の液体を第2の抽出部138へ流すことによって、第2の抽出部138に残存する不純物を流す。精製ユニット140は、三方活栓144を駆動部146で切り替えることで、図に示すラインL7に係る流路を設定すると共に、当該ラインL7を介して、容器136の水を第2の抽出部138へ流す。第2の抽出部138を通過した水は、不純物と共に廃液容器141で回収される。
(手順8)
精製ユニット140は、容器137の液体を第2の抽出部138へ流すことによって、第2の調整容器132に保持されている89Zrを溶出させる。精製ユニット140は、図に示すラインL8に係る流路を設定すると共に、当該ラインL8を介して、容器137の1mol/Lの塩酸を第2の抽出部138へ流す。第2の抽出部138を通過した塩酸溶液は、89Zrと共に回収容器142で回収される。以上によって、精製された89Zrが得られる。
99mTcの精製]
まず、各種配管や容器を組み付けることによって、図16に示すような放射性同位元素精製システム100Cを構成する。混合槽として用いられる容器121と、2mol/Lの塩酸(過酸化水素水を含む)を収容した容器123と、5mol/Lの水酸化ナトリウム(過酸化水素水を含む)を収容した容器124と、水を収容した容器126と、生理食塩水を収容した容器127と、テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)を含んだジクロロメタン(CHCl)を収容した容器129が、溶液調整ユニット102に組み付けられる。また、廃液容器133が溶液調整ユニット102に組み付けられる。なお、放射性同位元素精製システム100Cでは、調整容器132に代えて、混合槽としての容器121が用いられる。また、溶液調整ユニット102にカセット110を取り付け、各配管111に設けられたコネクタ119(図9参照)を相手側のコネクタに接続する。精製部103では、第1の調整容器132として陰イオン交換樹脂を準備し、水を収容した容器136と、生理食塩水を収容した容器137と、Sep−Pak(登録商標)Al−Nが適用された第2の抽出部138と、回収容器139と、廃液容器141と、回収容器142とが精製ユニット140に組み付けられ、配管143及び三方活栓144が所定のパターンで精製ユニット140に組み付けられる。
(手順1)
まず、溶解槽101にて、ターゲット基板表面に形成されたMo(100Mo)の金属層に荷電粒子線が照射されたものを所定濃度の塩酸(過酸化水素水を含む)で溶解させることで、Moと99mTcが混在した溶液を得る。
(手順2〜手順8)
89Zrを精製する放射性同位元素精製システム100Bと同趣旨の処理がなされるため、説明を省略する。
次に、本実施形態に係る溶液調整装置150を備える放射性同位元素精製システム100及び放射性同位元素精製システム用カセット110の作用・効果について説明する。
種類が異なる放射性同位元素を精製する場合、種類ごとに精製手順が異なる場合がある。従って、従来の放射性同位元素精製システムにあっては、各種類に対応した個別のシステムや、個別の溶液調整ユニットが必要となる場合があった。あるいは、従来の放射性同位元素精製システムにおいて、異なる種類の放射性同位元素を一の溶液調整ユニットで精製しようとした場合、配管などを洗浄する必要性が生じる。更に、当該洗浄が不十分であった場合は、他の種類の放射性同位元素を精製するのに用いた液体が残存し、精製性能が低下する場合があった。
一方、本実施形態に係る溶液調整装置150を備える放射性同位元素精製システム100によれば、溶液調整ユニット102は、固定部161で固定されたカセット110の配管111を押圧部材166で押圧することによって、流路を自在に設定可能である。従って、複数の異なる種類の放射性同位元素の精製を行う場合、溶液調整ユニット102は、種類に応じて適切な精製手順を実行できるように、流路を設定することができる。これによって、一の溶液調整ユニット102を用いて複数種類の放射性同位元素を精製することができる。また、このように一の溶液調整ユニット102を用いて複数種類の放射性同位元素を精製できるため、システム全体の小型化を図ることが可能となる。
また、溶液調整ユニット102は、カセット110を着脱自在に固定可能な固定部161を有している。このような構成により、カセット110として、溶液調整ユニット102に対して交換可能な使い捨てのカセット110を採用することができる。従って、放射性同位元素の精製を行う場合は、新たなカセット110に交換することができるため、配管等の洗浄を不要とし、残存物の影響による精製性能の低下も防止することができる。以上によって、精製性能を低下させることなく、異なる種類の放射性同位元素の精製を行うことができる。
本実施形態に係る溶液調整装置150を備える放射性同位元素精製システム100において、溶液調整ユニット102は、カセット110に形成された長孔116に対応する位置に配管受部163を備え、押圧部材166は、配管受部163と対応する位置に設けられている。このような構成により、押圧部材166は、配管受部163との間でカセット110の配管111を挟み込むことができる。これによって、押圧部材166は配管111を確実に塞ぐことができ、流路の設定をより確実に行うことができる。
本実施形態に係る溶液調整装置150を備える放射性同位元素精製システム100は、溶液調整ユニット102で調整された溶液に含まれる放射性同位元素を精製する精製部103を更に備えている。また、精製部103は、溶液から放射性同位元素を抽出する第1の調整容器132と、第1の調整容器132よりも下流側の流路に設けられる、交換可能な三方活栓144と、三方活栓144とは別体として設けられ、三方活栓144の切り替えのための駆動力を付与する駆動部146と、を備えている。第1の調整容器132よりも下流側の流路において、流れの方向を切り替える部分が存在している場合、液体が通過する部分については安価で使い捨て可能な三方活栓144とし、三方活栓144に駆動力を付与する部分については当該三方活栓144とは別体の駆動部146としている。これによって、異なる種類の放射性同位元素の精製を行う場合、駆動部146については放射性同位元素の種類によらず共通部品として使用し、液体が通過する部分は新たな三方活栓144に交換することができる。これによって、安価な構造にて、精製性能の低下を防止できる。
本実施形態に係る溶液調整装置150では、固定部161は、カセット110の基板112を受ける前面151aと、基板112の縁部112cを支持する爪部162と、前面151aから突出する複数の配管受部163と、を有している。固定部161は、前面151aにて基板112を受け、爪部162で基板112の縁部112cを支持し、配管受部163を基板112の長孔116に挿通させることができる。これによって、固定部161はカセット110を確実に固定することができる。
本実施形態に係る溶液調整装置150は、カセット110が取り付けられる本体部151と、本体部151に開閉可能に設けられた扉部152と、をさらに備えている。また、複数の押圧部材166は、扉部152に設けられており、扉部152が閉められた状態で、配管111を押圧可能である。この場合、扉部152が開けられた状態と、扉部152が閉められた状態とで、押圧部材166の位置を変更することができる。すなわち、カセット110が取り付けられて、溶液調整装置150を動作させる場合と、カセット110が取り外されている場合とで、押圧部材166の位置を変更することができ、カセット110の取り付けおよび取り外しの作業性の向上が可能となる。
溶液調整装置150において、本体部151は、カセット110に設けられた長孔116に対応する位置に配管受部163を備え、押圧部材166は、配管受部163と対応する位置に設けられていてよい。このような構成により、押圧部材166は、配管受部163との間でカセット110の配管111を挟み込むことができる。これによって、押圧部材166は配管111を確実に塞ぐことができ、流路の設定をより確実に行うことができる。
本実施形態に係るカセット110においては、複数のフック113及び支柱部114のうちの一部に配管111が取り付けられることによって、所望の流路が形成される。このため、1つの基板112を用いて、所望の放射性同位元素を取り扱うための流路が形成可能となる。その結果、1つの基板112を用いて、複数の種類の放射性同位元素を取り扱うことが可能となる。また、長孔116にフック113及び支柱部114が対応して設けられることによって、フック113及び支柱部114により取り付けられた配管111を長孔116上に位置合わせすることができ、配管111を開閉可能な構造とすることができる。
本実施形態に係るカセット110において、基板112に形成される貫通孔は、第2方向D2に沿って延伸する長孔116によって構成され、長孔116は、第1方向D1に沿って所定の間隔で複数設けられている。この場合、貫通孔としての長孔116が第2方向D2に沿って延伸して広い範囲に形成されるため、配管111と貫通孔としての長孔116との位置合わせが容易となる。
本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。上述の実施形態で説明した放射性同位元素精製システムのシステム構成や溶液調整ユニットの構成は一例であり、適宜変更してもよい。
例えば、図17に示すような放射性同位元素精製システム200としてもよい。放射性同位元素精製システム200は、カセット210を取り付け可能な精製ユニット240を備えている点で、上述の放射性同位元素精製システム100と主に相違する。なお、カセット210は、基板212の大きさ・形状や配管211の構成が異なる点以外は、カセット110と同様な構成を有している。また、精製ユニット240は、溶液調整ユニット102と同趣旨の構成を有しており、カセット210を着脱自在に固定可能な固定部と、カセット210の配管211を押圧する押圧部材を有する放射性同位元素精製装置250を備えている。なお、精製ユニット240では、押圧位置1R〜1X、2R〜2X、3T,3W、5T,5W,6R〜6X,7R〜7Xにて、押圧部材で配管211を押圧可能である。
図17に示す放射性同位元素精製システム200を用いて放射性同位元素を精製する場合の手順の一例について説明する。図18は64Cuを精製する場合の放射性同位元素精製システム200Aの概略構成の一例を示し、図19は89Zrを精製する場合の放射性同位元素精製システム200Bの概略構成の一例を示し、図20は99mTcを精製する場合の放射性同位元素精製システム200Cの概略構成の一例を示す。
64Cuの精製]
まず、各種配管や容器を組み付けることによって、図18に示すような放射性同位元素精製システム200Aを構成する。組み付ける容器等や、それらの容器に収容される液体は図14の放射性同位元素精製システム100Aと同様である。なお、精製ユニット240には第2の抽出部138や容器136,137が組み付けられないため、カセット210は取り付けられていない。また、放射性同位元素精製システム200Aでは、図14の放射性同位元素精製システム100Aの(手順1〜手順6)と同様な処理がなされる。
89Zrの精製]
まず、各種配管や容器を組み付けることによって、図19に示すような放射性同位元素精製システム200Bを構成する。組み付ける容器等や、それらの容器に収容される液体は図15の放射性同位元素精製システム100Bと同様である。精製ユニット240にはカセット210が取り付けられ、各配管211に設けられたコネクタを容器136,137,141,142側のコネクタや、第2の抽出部138側のコネクタに接続する。
(手順1〜手順5)
放射性同位元素精製システム200Bでは、図15の放射性同位元素精製システム100Bの(手順1〜手順5)と同趣旨の処理がなされる。
(手順6〜手順8)
図15の放射性同位元素精製システム100Bでは駆動部146で三方活栓144を切り替えることによってラインL6〜L8の流路が設定されていたが、図19の放射性同位元素精製システム200Bでは各押圧位置で配管211を押圧することによってラインL6〜L8の流路を設定する。その他に関しては、図15の放射性同位元素精製システム100Bの(手順6〜手順8)と同趣旨の処理がなされる。
99mTcの精製]
まず、各種配管や容器を組み付けることによって、図20に示すような放射性同位元素精製システム200Cを構成する。組み付ける容器等や、それらの容器に収容される液体は図16の放射性同位元素精製システム100Cと同様である。精製ユニット240にはカセット210が取り付けられ、各配管211に設けられたコネクタを容器136,137,141,142側のコネクタや、第2の抽出部138側のコネクタに接続する。
(手順1〜手順5)
放射性同位元素精製システム200Cでは、図16の放射性同位元素精製システム100Cの(手順1〜手順5)と同趣旨の処理がなされる。
(手順6〜手順8)
図16の放射性同位元素精製システム100Cでは駆動部146で三方活栓144を切り替えることによってラインL6〜L8の流路が設定されていたが、図20の放射性同位元素精製システム200Cでは各押圧位置で配管211を押圧することによってラインL6〜L8の流路を設定する。その他に関しては、図16の放射性同位元素精製システム100Cの(手順6〜手順8)と同趣旨の処理がなされる。
上述の実施形態で説明した溶液調整ユニット及び精製ユニットにおいてユニット化されている構成要素は一例に過ぎず、どの構成要素をユニットに組み込むかは、自由に設定してよい。例えば第1の調整容器132を溶液調整ユニット、又は精製ユニットに組み込んでもよい。また、溶液調整ユニットと精製ユニットを一つのユニットにまとめてもよい。
また、カセットを固定するための固定部の構造は実施形態に示すものに限定されず、カセットを着脱自在に固定可能である限り、あらゆる構造を採用してよい。
1…放射性薬剤合成装置、2…取り外しモジュール(放射性同位元素取り扱い装置用カセット)、3…固設モジュール(放射性同位元素取り扱い装置)、21…配管、22…プレート(基板)、31…本体部、32…扉部、C1〜C17…ライン(第1ライン)、F…支柱部(保持手段)、Fh…第2支柱部(第2保持手段)、Fv…第1支柱部(第1保持手段)、H…貫通孔、R1〜R7…ライン(第2ライン)、S…シリンダ(押圧部材)、102…溶液調整ユニット、103…精製部、110…放射性同位元素精製システム用カセット(放射性同位元素取り扱い装置用カセット)、111…配管、112…基板、113…フック(保持手段、第1保持手段、第2保持手段)、114…支柱部(保持手段、第1保持手段、第2保持手段)、116…長孔(貫通孔)、138…抽出部、144…三方活栓、146…駆動部、150…溶液調整装置(放射性同位元素取り扱い装置)、151…本体部、151a…前面、152…扉部、161…固定部、162…爪部、163…配管受部(突出部)、166…押圧部材、100,200…放射性同位元素精製システム(放射性同位元素取り扱いシステム)、250…放射性同位元素精製装置(放射性同位元素取り扱い装置)。

Claims (9)

  1. 配管を取付可能な複数の保持手段を備える基板と、
    前記複数の保持手段のうち一部によって前記基板に取り付けられた配管と、
    を備え、
    前記基板には、前記配管を開閉するための複数の貫通孔が設けられ、
    前記複数の保持手段は、
    第1方向に沿って前記配管を取付可能な複数の第1保持手段と、
    前記第1方向と交差する第2方向に沿って前記配管を取付可能な複数の第2保持手段と、
    を含む放射性同位元素取り扱い装置用カセット。
  2. 前記複数の第1保持手段の各々は、前記第1方向に沿った複数の第1ラインのいずれかの上に設けられ、
    前記複数の第2保持手段の各々は、前記第2方向に沿った複数の第2ラインのいずれかの上に設けられ、
    前記複数の貫通孔の各々は、前記複数の第1ラインのいずれかと前記複数の第2ラインのいずれかとの交点に位置合わせして設けられる請求項1に記載の放射性同位元素取り扱い装置用カセット。
  3. 前記貫通孔の各々には、少なくとも3つの前記保持手段が対応して設けられる請求項1又は2に記載の放射性同位元素取り扱い装置用カセット。
  4. 前記貫通孔は、前記第2方向に沿って延伸する長孔によって構成され、
    前記長孔は、前記第1方向に沿って所定の間隔で複数設けられる請求項2に記載の放射性同位元素取り扱い装置用カセット。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の放射性同位元素取り扱い装置用カセットを着脱自在に固定可能な固定部と、
    前記複数の貫通孔の各々に対向する位置に設けられ、前記配管を押圧可能な複数の押圧部材と、を備える放射性同位元素取り扱い装置。
  6. 前記固定部は、前記放射性同位元素取り扱い装置用カセットの前記基板を受ける前面と、前記基板の縁部を支持する爪部と、前記前面から突出する複数の突出部と、を有する請求項5に記載の放射性同位元素取り扱い装置。
  7. 前記固定部が取り付けられる本体部と、
    前記本体部に開閉可能に取り付けられた扉部と、
    を更に備え、
    前記複数の押圧部材は、前記扉部に設けられており、前記扉部が閉められた状態で、前記配管を押圧可能となる請求項5又は6に記載の放射性同位元素取り扱い装置。
  8. 前記本体部は、前記放射性同位元素取り扱い装置用カセットに設けられた前記貫通孔に対応する位置に突出部を備え、
    前記押圧部材は、前記突出部と対応する位置に設けられている請求項7に記載の放射性同位元素取り扱い装置。
  9. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の放射性同位元素取り扱い装置用カセットを着脱自在に固定可能な固定部と、
    前記複数の貫通孔の各々に対向する位置に設けられ、前記配管を押圧可能な複数の押圧部材と、
    放射性同位元素を溶解させた溶液の調整を行う溶液調整ユニットと、
    前記溶液調整ユニットで調整された溶液に含まれる前記放射性同位元素を精製する精製部と、を備え、
    前記精製部は、
    前記溶液から前記放射性同位元素を抽出する抽出部と、
    前記抽出部よりも下流側に設けられる、交換可能な三方活栓と、
    前記三方活栓とは別体として設けられ、前記三方活栓の切り替えのための駆動力を付与する駆動部と、を有する放射性同位元素取り扱いシステム。
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