JP2005230366A - 放射性薬剤合成投与装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 放射性薬剤の合成及び投与において、薬剤の輸送等の作業を簡単化することが可能な放射性薬剤合成投与装置を提供する。
【解決手段】 放射性核種で標識された放射性薬剤を合成する薬剤合成部10と、合成された薬剤を被験者に投与する薬剤投与部13とを単一の装置内に設けて合成投与装置1を構成する。また、品質検定等に用いられる放射性薬剤のサンプルを分注するためのサンプル分注部14と、薬剤合成部10で合成された放射性薬剤を薬剤投与部13及びサンプル分注部14のそれぞれへと移送する薬剤移送部11と、移送される放射性薬剤の放射能量を生理食塩水で希釈して調整する薬剤調整部12と、薬剤移送部11による放射性薬剤の移送及びその切換えを制御する制御部20とを設ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は、放射性核種で標識された放射性薬剤の合成及び投与を行うための放射性薬剤合成投与装置に関するものである。
近年、脳や心臓、癌などの精密検査に用いられる検査方法として、ポジトロン断層撮影法(PET:Positron Emission Tomography)の適用が進められている。このPET検査では、ポジトロン(陽電子)を放出する放射性核種(放射性同位元素)を含む検査用の放射性薬剤を、注射または吸入などの方法によって被験者の体内に導入する。この体内に導入された放射性薬剤は、代謝され、あるいは、体内の特定の部位(例えば腫瘍や病変部位)に蓄積される。この際に、放射性薬剤に含まれる放射性核種から陽電子が放出され、これと周囲の電子とが結合して消滅する際に放射線であるγ線が放出される。PET検査においては、このγ線を検出することにより、被験者の断層画像等を取得する。
PET検査用の放射性薬剤に使用される放射性核種としては、例えば、18F、15O、11C、13Nなどがある。これらの核種は半減期が2〜110分と短いため、病院内の検査室に近い場所に設置されたサイクロトロンなどの加速器で放射性核種を製造し、所定の化合物に組み込んだり、その一部を置き換えたりすることによって、検査用の放射性薬剤を合成している(例えば特許文献1、2参照)。
特開2000−356642号公報 特開2002−306609号公報
上記した放射性薬剤の合成、及び被験者への投与においては、従来、ホットラボ室と呼ばれる部屋に鉛5cm程度の遮蔽構造を有するホットセルを設置し、加速器で製造された放射性核種をホットセル内の薬剤合成装置に移送して放射性薬剤の合成を行っている。このとき、通常は複数人(例えば5〜20人)分の投与量の薬剤が一度に合成されるため、ホットラボ室、または放射性薬剤を被験者に投与するための処置室において1人分の投与量への分注が行われる。
ホットラボ室で放射性薬剤を分注する場合、合成装置で合成された放射性薬剤について品質検定を行った後、合成装置に並べて設置された分注装置によって1人分の投与量に分注する。そして、分注された薬剤を遮蔽付シリンジに入った状態あるいは遮蔽容器付バイアル瓶に詰められた状態で処置室まで輸送して、被験者に投与する。この場合、ホットラボ室から処置室への分注された薬剤の輸送は、手で運ぶか、またはワゴン等を利用して行われるが、輸送回数が多くなり作業が煩雑になるという問題がある。
また、処置室で分注する場合には、放射性薬剤の品質検定を行った後、遮蔽付バイアル瓶を用いて処置室まで輸送する。そして、処置室において分注装置または分注機能付の投与装置によって1人分の投与量に分注して、被験者に投与する。この場合、ホットラボ室から処置室への薬剤の輸送は1〜3回程度で済むこととなる。
一方、上記のように処置室で放射性薬剤の分注を行う場合には、1回に輸送する薬剤の放射能量が例えば5GBq以上と大きくなる。したがって、薬剤からの放射線被曝を防ぐため、バイアル瓶を厚さ30mm程度のタングステンなどの遮蔽容器に収納した状態で輸送を行う必要がある。この場合、遮蔽容器の重量が15kg程度あるいはそれ以上と重くなり、人力で輸送する場合にはワゴン等を必要とし、自動化する場合にはトロッコ型の自動搬送装置を必要とするという問題がある。
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、放射性薬剤の合成及び投与において、薬剤の輸送等の作業を簡単化することが可能な放射性薬剤合成投与装置を提供することを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明による放射性薬剤合成投与装置は、(1)放射性核種で標識された放射性薬剤を合成する薬剤合成手段と、(2)所定の投与量で放射性薬剤を投与するための薬剤投与手段と、(3)放射性薬剤のサンプルを分注するサンプル分注手段と、(4)薬剤合成手段に対して薬剤投与手段及びサンプル分注手段のそれぞれを、薬剤合成手段で合成された放射性薬剤を移送可能に接続するとともに、放射性薬剤の薬剤投与手段への移送、及びサンプル分注手段への移送を切換え可能に構成された薬剤移送手段とを備えることを特徴とする。
上記した装置においては、放射性薬剤を合成する合成装置の機能と、合成された薬剤を被験者に投与する投与装置の機能とを、単一の装置内で実現する構成としている。このような合成投与装置を処置室に設置することにより、ホットラボ室から処置室へと薬剤を輸送する作業が省略できる。また、放射性薬剤を輸送する際の作業者の被曝を防ぐことができる。また、薬剤投与手段に加えてサンプル分注手段を設置している。これにより、合成された薬剤の一部を品質検定用などのサンプルとして分注することが可能となる。
ここで、合成投与装置は、薬剤移送手段による放射性薬剤の薬剤投与手段への移送、サンプル分注手段への移送、及びその切換えを制御する制御手段を備えることが好ましい。これにより、薬剤移送手段による放射性薬剤の移送を好適に制御することができる。ただし、このような放射性薬剤の移送及びその切換えは、作業者による手動操作で制御する構成としても良い。
また、合成投与装置は、薬剤合成手段から薬剤投与手段またはサンプル分注手段へと移送される放射性薬剤を希釈によって調整する薬剤調整手段を備えることが好ましい。これにより、合成された薬剤を生理食塩水などで希釈して、その投与量、放射能量、投与速度などを調整することが可能となる。また、薬剤投与手段によって投与される放射性薬剤の放射能量を測定する放射能測定手段を備えることが好ましい。これにより、被験者に投与される薬剤の放射能量を精度良く制御することができる。
また、サンプル分注手段によって分注されたサンプルを外部に取り出すためのサンプル取出部を設ける構成としても良い。これにより、分注された薬剤のサンプルを作業者が取り出して、サンプルを用いた品質検定等を行うことができる。さらに、薬剤移送手段は、薬剤投与手段及びサンプル分注手段に加えて廃液を収容するための廃液収容手段に接続され、放射性薬剤の薬剤投与手段への移送、サンプル分注手段への移送、及び廃液の廃液収容手段への移送を切換え可能に構成されていることとしても良い。これにより、薬剤移送手段の配管系統に対する空気抜きの作業によって生じた廃液などを必要に応じて廃液収容手段へと移送して排出することが可能となる。
また、合成投与装置は、サンプル分注手段によって分注されたサンプルを用いた放射性薬剤の検定結果に基づいて薬剤投与手段による放射性薬剤の投与を可能とするインターロック機能が設けられていることが好ましい。これにより、合成後の薬剤が品質検定を行っていない状態で被験者に投与されることが防止される。また、薬剤移送手段による放射性薬剤の移送及びその切換えを制御する制御手段が設けられている場合には、合成投与装置は、サンプル分注手段によって分注されたサンプルを用いた放射性薬剤の検定結果を入力する入力手段を備え、制御手段が、検定結果の入力に基づいて薬剤投与手段による放射性薬剤の投与を可能とするインターロック機能を有する構成とすることが好ましい。
本発明によれば、放射性薬剤の合成機能と、投与機能とを単一の装置内で実現するとともに、薬剤投与手段に加えてサンプル分注手段を設置することにより、放射性薬剤の合成及び投与において、薬剤の輸送等の作業を簡単化することが可能となる。
以下、図面とともに本発明による放射性薬剤合成投与装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
図1は、本発明による放射性薬剤合成投与装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。この合成投与装置1は、放射性核種で標識された放射性薬剤の合成及び被験者への投与を行うためのものである。本装置による合成及び投与の対象となる放射性薬剤の例としては、放射性核種18Fで標識された18F−FDG(フルオロデオキシグルコース)が挙げられる。この18F−FDGは、上述したPET検査に用いられる薬剤である。
図1に示す放射性薬剤合成投与装置1は、薬剤合成部10を含む合成ユニット1Aと、薬剤投与部13を含む投与ユニット1Bと、制御部20を含む制御ユニット1Cとによって構成されている。
合成ユニット1Aにおいて、薬剤合成部10は、合成投与装置1とは別に設けられたサイクロトロンなどの放射性核種製造装置から供給される放射性核種を用い、所定の化合物に組み込んだり、その一部を置き換えたりすることによって、放射性核種で標識された放射性薬剤を合成する。サイクロトロンから薬剤合成部10への放射性核種の輸送は、例えば床下に埋設された放射線遮蔽付の配管などを通して行われる。また、投与ユニット1Bにおいて、薬剤投与部13は、薬剤合成部10で合成された放射性薬剤を所定の投与量で被験者に投与する際に用いられる投与手段である。
本実施形態においては、投与ユニット1Bは、放射性薬剤の投与機能と併せて、放射性薬剤を分注して品質検定用などのサンプルとする分注機能を有している。具体的には、この分注機能付投与ユニット1Bには、薬剤投与部13に加えて、薬剤移送部11、サンプル分注部14、及びサンプル取出部15が設置されている。サンプル分注部14は、薬剤合成部10で合成された放射性薬剤のサンプルを分注する際に用いられる。また、サンプル取出部15は、サンプル分注部14によって分注されたサンプルを作業者が外部に取り出すために設けられている。
薬剤移送部11は、薬剤合成部10と、薬剤投与部13及びサンプル分注部14とに接続されている。この薬剤移送部11は、薬剤合成部10で合成された放射性薬剤を必要に応じて薬剤投与部13及びサンプル分注部14のそれぞれへと移送する。また、この薬剤移送部11に対して、さらに薬剤調整部12が設けられている。薬剤調整部12は、薬剤合成部10から薬剤投与部13またはサンプル分注部14へと移送される放射性薬剤を必要に応じて生理食塩水などを用いた希釈によって調整する。
また、上記した合成ユニット1A及び投与ユニット1Bには、それぞれ放射性薬剤の合成、投与、分注を行う際に内部の空気を清浄に保つ空気清浄化部16、17が設けられている。これらの清浄化部16、17は、例えば、高性能フィルタであるHEPAフィルタと排気ファンとを組み合わせて構成される。
これらの合成ユニット1A及び投与ユニット1Bに対し、制御ユニット1Cにコンピュータなどからなる制御部20が設けられている。この制御部20は、薬剤移送部11による放射性薬剤の薬剤投与部13への移送、サンプル分注部14への移送、及びその切換えを制御する。また、本実施形態においては、制御部20は、薬剤合成部10、薬剤調整部12、薬剤投与部13、サンプル分注部14、及び空気清浄化部16、17を含む合成投与装置1の各部の動作をも制御している。
また、この制御部20には、入力部21及び表示部22が接続されている。入力部21は、サンプル分注部14によって分注され、サンプル取出部15から取り出された放射性薬剤のサンプルを用いて行われた品質検定の検定結果を入力する入力手段として用いられる。また、この入力部21は、放射性薬剤の検定結果の入力以外にも、放射性薬剤の合成の実行指示、被験者への投与量の設定など、放射性薬剤の合成、投与、分注に必要な情報を入力する際に用いられるように構成しても良い。また、表示部22は、放射性薬剤の合成、投与、分注の実行状況や必要なデータ等の情報を作業者に対して表示する。
また、合成投与装置1のうち、放射性核種または放射性薬剤が通過または保持される合成ユニット1A及び投与ユニット1Bを含む所定範囲に対し、放射性薬剤から外部へと放出される放射線を遮蔽するための遮蔽構造が設けられている。遮蔽構造の具体的な構造、例えば遮蔽隔壁の材質や厚さ等は、合成投与装置1内で取り扱われる放射性薬剤の放射能量などに応じて設定される。なお、図1においては、この遮蔽構造について図示を省略している。
上記実施形態による放射性薬剤合成投与装置の効果について説明する。
図1に示した合成投与装置1においては、放射性薬剤を合成する合成装置の機能と、合成された薬剤を被験者に投与する投与装置の機能とを、薬剤合成部10及び薬剤投与部13によって単一の装置内で実現する構成としている。病院内で放射性薬剤の合成及び投与を行う場合、放射性薬剤を被験者に投与するための処置室に、このような合成投与装置1を設置することにより、ホットラボ室から処置室へと薬剤を輸送するなどの作業を省略することが可能となる。また、合成された放射性薬剤の輸送作業が不要となることにより、装置構成が全体として簡略化及び低コスト化されるとともに、薬剤を輸送する際の作業者の被曝を防ぐことができる。
また、この合成投与装置1では、薬剤投与部13に加えてサンプル分注部14を設置するとともに、薬剤移送部11により、薬剤合成部10に対して薬剤投与部13及びサンプル分注部14のそれぞれを、薬剤合成部10で合成された放射性薬剤を移送可能に接続している。また、この薬剤移送部11は、放射性薬剤の薬剤投与部13への移送、及びサンプル分注部14への移送を切換え可能に構成されている。これにより、薬剤合成部10で合成された薬剤の一部を必要に応じて品質検定用などのサンプルとして分注することが可能となる。なお、薬剤移送部11による放射性薬剤の移送の切換えについては、上記のように放射性薬剤の移送及びその切換えを制御する制御部20を設けることが好ましい。これにより、薬剤移送部11による放射性薬剤の移送を好適に制御することができる。
図2は、(a)従来の合成装置及び投与装置を用いた場合、及び(b)図1に示した合成投与装置1を用いた場合での放射性薬剤の合成及び投与について示す模式図である。図2(a)に示すように、従来のシステム構成では、ホットラボ室に合成装置及び品質管理装置を設置し、また、処置室に投与装置を設置する。そして、サイクロトロンから配管を通してホットラボ室の合成装置へと放射性核種が輸送され、薬剤の合成、品質管理装置による品質検定が行われた後、放射性薬剤が所定の容器を用いて処置室へと輸送される。
一方、図2(b)に示すように、図1に示した放射性薬剤合成投与装置1を用いたシステム構成では、合成ユニット1A及び投与ユニット1Bを含む合成投与装置1を直接に処置室に設置する。これにより、放射性薬剤の輸送等の作業の簡単化、作業者の被曝の低減等が可能となるとともに、合成から投与までの一連の作業での人の介在を減らすことによりヒューマンエラーの発生を防ぐことができる。また、ホットラボ室等の装置設置スペースを節約することができる。
また、合成装置で合成される放射性薬剤の放射能量は通常数100mCi程度である。したがって、図2(a)の構成では、合成装置及び品質管理装置に対して、それぞれ鉛数10mm程度の厚さの遮蔽セル(例えば鉛50mmの合成用セル、鉛20mmの品質管理用セル)を設ける必要がある。
一方、図2(b)の構成では、合成投与装置1とは別に品質管理装置を設置した場合、品質管理装置で取り扱われるのは合成投与装置1のサンプル分注部14によって分注された放射能量10mCi程度の放射性薬剤のみであるため、品質管理用セルは鉛5mm程度の厚さで良いという利点がある。また、合成投与装置1で分注されたサンプル薬剤を品質管理装置に輸送する際に用いる容器の遮蔽厚さも薄くすることができるので、サンプル薬剤の輸送も容易となる。なお、品質管理装置については、合成投与装置1に併設または合成投与装置1の装置内に設ける構成としても良い。この場合、分注されたサンプル薬剤を外部に取り出すためのサンプル取出部15は不要となる。
また、図1に示した合成投与装置1においては、薬剤合成部10から移送される放射性薬剤に対して薬剤調整部12が設けられている。これにより、合成された薬剤を生理食塩水などで希釈して、その被験者への投与量、放射能量、投与速度など、様々な条件を調整することが可能となる。ここで、薬剤投与部13によって投与される放射性薬剤については、その放射能量を測定する放射能測定手段を設置することが好ましい。これにより、被験者に投与される薬剤の放射能量を精度良く制御することができる。これらの薬剤調整手段、放射能測定手段等については、具体例とともにさらに後述する。
さらに、合成投与装置1では、制御部20に対し、サンプル分注部14によって分注されたサンプル薬剤を用いた検定結果等を入力可能な入力部21が接続されている。このような構成では、制御部20は、品質検定の検定結果の入力に基づいて薬剤投与部13による放射性薬剤の投与を可能とするインターロック機能を有することが好ましい。これにより、合成後の放射性薬剤が品質検定を行っていない状態で被験者に投与されることが防止される。この場合の入力部21の構成例としては、例えば、薬剤の検定結果をデータとして入力するためのキーボード、あるいは、検定結果が問題なかったことを指示するインターロック解除ボタンなどを用いることができる。また、品質検定を行う品質管理装置からオンラインで検定結果が入力される構成としても良い。
図1に示した合成投与装置1を用いた放射性薬剤の合成及び投与の方法の一例を説明する。まず、サイクロトロンから供給される放射性核種(例えば18F)を直接に本装置1に導き、薬剤合成部10において放射性薬剤(例えば18F−FDG)を合成する。続いて、薬剤移送部11を通して、合成された薬剤の一部をサンプル分注部14に移送して分注を行い、得られたサンプル薬剤をサンプル取出部15から取り出して、品質管理装置にて品質検定を行う。
次に、サンプル薬剤を用いた品質検定の検定結果を入力部21から入力する。入力された検定結果が良好な場合、制御部20は、薬剤移送部11による薬剤投与部13への放射性薬剤の移送についてのインターロックを解除する。そして、所定量の放射性薬剤を薬剤調整部12によって生理食塩水で希釈し、放射能量を測定した上で薬剤投与部13へと移送し、あらかじめ静脈確保された被験者に対して薬剤をオンライン投与する。
図1に示した放射性薬剤合成投与装置について、図3を参照しつつさらに説明する。図3は、図1に示した合成投与装置1の構成例を示す図である。なお、図3においては、投与ユニット1Bについてその具体的な構成を示すとともに、合成ユニット1Aについては薬剤合成部10の投与ユニット1Bへの接続のみを模式的に示している。また、制御ユニット1Cについては、図3では図示を省略している。
図3に示す構成例においては、合成ユニット1A及び投与ユニット1Bは、それぞれ放射線遮蔽隔壁70、71内に設置されている。薬剤合成部10で合成された放射性薬剤30は、チューブ(エクステンションチューブ)31及びその先端に設けられた注射針31aを通して、投与ユニット1Bに遮蔽容器33内に収容された状態で設置されたバイアル瓶32へと注入される。バイアル瓶32内の放射性薬剤30は、カテラン針34a及びチューブ34を通して、薬剤移送部11及び薬剤調整部12を構成する配管系統へと導入される構成となっている。また、チューブ34の所定部位に対し、チューブ34を通る放射性薬剤30の有無、放射能量等を測定するための放射能センサ85が配置されている。
チューブ34は、三方活栓(三方活栓付バルブ)35に接続されている。また、三方活栓35には、さらに、他端が三方活栓40に接続されたチューブ38と、シリンジ駆動装置36aによって駆動される薬剤用シリンジ36とが接続されている。このような構成において、シリンジ36を駆動することにより、チューブ34によって供給される薬剤30の必要量が、三方活栓35及びチューブ38を介して三方活栓40に注入される。また、シリンジ36の周囲には、遮蔽37が設けられている。
三方活栓40には、さらに、2つのチューブ45、46が接続されている。チューブ45は、三方活栓43、チューブ42、及び注射針42aを介して、生理食塩水が入れられた生食用バック41に接続されている。また、三方活栓43には、さらに、シリンジ駆動装置44aによって駆動される生食用シリンジ44が接続されている。このような構成において、シリンジ44を駆動することにより、チューブ42によってバック41から供給される生理食塩水の必要量が、三方活栓43及びチューブ45を介して三方活栓40に注入される。
一方、三方活栓40に接続されたもう一方のチューブ46は、その他端が三方活栓48に接続されるとともに、その途中の所定部分がコイル状のバッファループ47となっている。このバッファループ47は、薬剤投与部13またはサンプル分注部14へと移送する放射性薬剤を一時的に収容可能に構成されている。また、チューブ46の三方活栓40及びバッファループ47の間の所定部位に対して放射能センサ86が配置されている。この放射能センサ86は、例えば空気抜き用薬剤の注入容量を検出するために用いられる。
さらに、バッファループ47に対し、ループ47に収容された放射性薬剤の放射能量を測定する放射能測定手段として、放射能量測定器80が設置されている。これにより、薬剤投与部13によって投与される放射性薬剤の放射能量を測定して、被験者に投与される薬剤の放射能量を制度良く制御することが可能となっている。また、バッファループ47の周囲には、遮蔽81が設けられている。
以上のチューブ、三方活栓、シリンジ等は、薬剤移送部11及び薬剤調整部12として機能する配管系統を構成している。また、三方活栓48には、上記したバッファループ47を有するチューブ46に加えて、薬剤投与部13側のチューブ49と、サンプル分注部14側のチューブ53とが接続されている。これにより、この三方活栓48は、放射性薬剤を薬剤投与部13に移送して被験者に投与するか、または、サンプル分注部14に移送するかを切換えるための切換えバルブとして機能する。上述したように制御部20(図1参照)が検定結果の入力に基づく放射性薬剤の投与についてのインターロック機能を有している場合には、制御部20は、例えばこの三方活栓48での経路の切換え動作を制御することによってインターロックを実現する。
薬剤投与部13では、三方活栓48に接続されたチューブ49に対して、被験者毎に交換可能なファイナルフィルタ51、及び翼付針52が順に接続されている。三方活栓48及びチューブ49を介して薬剤投与部13に導入された放射性薬剤は、この翼付針52によって被験者へと投与される。チューブ49の途中には、ピンチバルブ50が設けられている。また、チューブ49の所定部位に対して放射能センサ87が配置されている。この放射能センサ87は、例えば放射性薬剤の排出を検出するために用いられる。なお、ファイナルフィルタ51及び翼付針52は、放射性薬剤の被験者への投与を行うため、遮蔽隔壁71の外部に設けられている。
サンプル分注部14では、三方活栓48に接続されたチューブ53に対して、三方活栓54、チューブ61、及び注射針61aが順に接続されている。三方活栓48及びチューブ53を介してサンプル分注部14に導入された放射性薬剤は、チューブ61の先端に設けられた注射針61aを通して、遮蔽容器63に収容された状態で設置されたサンプル用バイアル瓶62へとサンプル薬剤60として注入される。
ここで、遮蔽容器63の厚さは、分注されたサンプル薬剤60の放射能量が比較的少ないことにより、合成後の放射性薬剤30に対する遮蔽容器33の厚さよりも薄く(例えば5mm程度)なっている。また、投与ユニット1Bを囲む遮蔽隔壁71のうち、サンプル用バイアル瓶62が置かれている位置に面する所定部位は、開閉可能なサンプル取出扉73となっている。このサンプル取出扉73は、分注されてバイアル瓶62に収容されたサンプル薬剤60を外部に取り出すためのサンプル取出部15として機能する。また、サンプル薬剤60を取り出す際の外部への放射線漏れを防止するため、投与ユニット1Bのうちでバイアル瓶62が置かれている位置を含む部分と、それ以外の部分との間には、遮蔽隔壁72が設けられている。
また、チューブ53、61が接続された三方活栓54には、さらにチューブ55が接続されている。また、このチューブ55は、廃液を収容するための廃液収容手段である廃液用ボトル56に接続されている。これにより、この三方活栓54は、三方活栓48を通過した放射性薬剤をサンプル分注用のバイアル瓶62に移送するか、または、廃液用ボトル56に移送するかを切換えるための切換えバルブとして機能する。
このように、薬剤移送部11については、薬剤投与部13及びサンプル分注部14に加えて廃液用ボトル56に接続し、放射性薬剤の薬剤投与部13への移送、サンプル分注部14への移送、及び廃液の廃液用ボトル56への移送を切換え可能に構成しておくことが好ましい。例えば、薬剤合成部10で合成された放射性薬剤を投与ユニット1Bのバイアル瓶32に導入した後、放射性薬剤の投与及びサンプル薬剤の分注を行う際には、配管系統のすべての経路を液体(放射性薬剤または生理食塩水)で満たして空気を抜く必要がある。廃液用ボトル56は、このような作業に用いられた空気抜き用薬剤等を廃液として排出するために用いられる。
なお、図3に示した配管系統のうち、シリンジ、三方活栓、チューブ、針等の構成部品としては、通常、一日一回程度の頻度で交換される減菌済ディスポーザブル部品が用いられる。また、薬剤調整部12での放射性薬剤の希釈に用いられる液体としては、上記した例では生理食塩水としたが、必要に応じて蒸留水等としても良く、生食用バック及び蒸留水用バックの両方を切換え可能に接続しておく構成としても良い。
放射線遮蔽隔壁70、71、72等としては、鉛またはタングステン等が用いられる。放射線遮蔽の具体的な構造については、具体的な配管系統の構成等に応じて適宜設定して良い。例えば、合成ユニット1Aに対する遮蔽隔壁と、投与ユニット1Bに対する遮蔽隔壁とは一体の隔壁としても良い。また、本合成投与装置1には、サイクロトロンのターゲットで生成された18Fなどの放射性核種を導入するための配管接続部の他、合成時の放射性蒸気ガスの回収を行うためのウエスト配管、施設排気ガス処理装置につながる排気ダクト等が必要に応じて接続される。
本発明による放射性薬剤合成投与装置は、上記した実施形態及び構成例に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、薬剤移送部11及び薬剤調整部12に用いられる配管系統などの具体的な構成については、図3に示した構成以外にも様々な構成を用いて良い。例えば、放射性薬剤の品質検定を行う品質管理装置が合成投与装置1に併設されている場合には、例えば、図3においてサンプル分注部14のバイアル瓶62に収容されたサンプル薬剤60を、カテラン針及びチューブを通して品質管理装置へと導入する構成としても良い。また、薬剤投与部13については、さらに投与用の薬剤のためのバイアル瓶を設置し、このバイアル瓶に分注した後に被験者に投与する構成としても良い。
また、本合成投与装置による合成及び投与の対象となる放射性薬剤については、上記した18F−FDGはその一例であり、PET薬剤に代表される院内製剤などにおいて、様々な放射性薬剤の合成、投与に上記装置を適用することが可能である。また、図1に示した構成では、制御部20によって薬剤移送部11による放射性薬剤の移送及びその切換えを制御しているが、このような放射性薬剤の移送及びその切換えは、作業者による手動操作で制御することとし、制御部20を設けない構成としても良い。
また、この場合、放射性薬剤の投与のインターロック機能については、手動操作等でインターロックを解除する構成とすることが好ましい。一般には、合成投与装置は、サンプル分注部14によって分注されたサンプルを用いた放射性薬剤の検定結果に基づいて薬剤投与部13による放射性薬剤の投与を可能とするインターロック機能が設けられていることが好ましい。
本発明は、放射性薬剤の合成及び投与において、薬剤の輸送等の作業を簡単化することが可能な放射性薬剤合成投与装置として利用可能である。
放射性薬剤合成投与装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。 (a)従来の合成装置及び投与装置を用いた場合、及び(b)図1に示した合成投与装置を用いた場合での放射性薬剤の合成及び投与について示す模式図である。 図1に示した合成投与装置の具体的な構成例を示す図である。
符号の説明
1…放射性薬剤合成投与装置、1A…合成ユニット、1B…分注機能付投与ユニット、1C…制御ユニット、10…薬剤合成部、11…薬剤移送部、12…薬剤調整部、13…薬剤投与部、14…サンプル分注部、15…サンプル取出部、16、17…空気清浄化部、20…制御部、21…入力部、22…表示部、
30…放射性薬剤、31、34、38、42、45、46、49、53、55、61…チューブ、31a、42a、61a…注射針、34a…カテラン針、35、40、43、48、54…三方活栓、32…バイアル瓶、33…遮蔽容器、36…薬剤用シリンジ、36a…シリンジ駆動装置、37…遮蔽、41…生食用バック、44…生食用シリンジ、44a…シリンジ駆動装置、47…バッファループ、50…ピンチバルブ、51…ファイナルフィルタ、52…翼付針、56…廃液用ボトル、60…サンプル薬剤、62…サンプル用バイアル瓶、63…遮蔽容器、70、71、72…遮蔽隔壁、73…サンプル取出扉、80…放射能量測定器、81…遮蔽、85、86、87…放射能センサ。

Claims (5)

  1. 放射性核種で標識された放射性薬剤を合成する薬剤合成手段と、
    所定の投与量で前記放射性薬剤を投与するための薬剤投与手段と、
    前記放射性薬剤のサンプルを分注するサンプル分注手段と、
    前記薬剤合成手段に対して前記薬剤投与手段及び前記サンプル分注手段のそれぞれを接続するとともに、前記放射性薬剤の前記薬剤投与手段への移送、及び前記サンプル分注手段への移送を切換え可能に構成された薬剤移送手段と
    を備えることを特徴とする放射性薬剤合成投与装置。
  2. 前記薬剤移送手段による前記放射性薬剤の前記薬剤投与手段への移送、前記サンプル分注手段への移送、及びその切換えを制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項1記載の放射性薬剤合成投与装置。
  3. 前記サンプル分注手段によって分注された前記サンプルを外部に取り出すためのサンプル取出部が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の放射性薬剤合成投与装置。
  4. 前記薬剤移送手段は、前記薬剤投与手段及び前記サンプル分注手段に加えて廃液を収容するための廃液収容手段に接続され、前記放射性薬剤の前記薬剤投与手段への移送、前記サンプル分注手段への移送、及び前記廃液の前記廃液収容手段への移送を切換え可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の放射性薬剤合成投与装置。
  5. 前記サンプル分注手段によって分注された前記サンプルを用いた前記放射性薬剤の検定結果に基づいて前記薬剤投与手段による前記放射性薬剤の投与を可能とするインターロック機能が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の放射性薬剤合成投与装置。
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