JP2013174025A - 消臭性繊維布帛 - Google Patents

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Abstract

【課題】セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維とを混用した消臭性繊維布帛であって、加齢臭に対する消臭性能に優れ、吸水拡散性能に優れ、シャリ感のある風合を保持し、着用感に優れる消臭性繊維布帛を提供すること。
【解決手段】セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維とを混用した消臭性繊維布帛であって、ポリアリルアミンを0.2〜2.0重量%含有し、平均粒子径が100nm以下で、比表面積が20m2/g以上の酸化亜鉛を0.05〜0.5重量%含有し、親水剤を0.3〜0.8重量%含有することを特徴とする消臭性繊維布帛。
【選択図】なし

Description

本発明は、消臭性能に優れる、セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維との混用布帛に関する。さらに詳しくは、本発明は、優れた消臭性能を有するとともに、吸水拡散性能の洗濯耐久性に優れ、シャリ感のある風合を有し、発色性、染色堅牢度にも優れる、セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維との混用布帛に関する。
綿等のセルロース繊維は、衣服に多く使用されているが、近年、衣服の着用時、特に夏場における日常生活の中での快適性を満足するための機能として、汗をかいたときの消臭性能や吸水速乾性能が求められている。
消臭性能の中でも特に高齢化社会の進行により、中高年の人が発する独特の体臭である加齢臭に対する消臭機能が求められている。
一般に、加齢臭とは、アンモニア、酢酸、イソ吉草酸、ノネナールの各臭気成分に起因すると考えられており、加齢臭の消臭には、これら4つの成分を全て除去する機能が必要とされている。
下記の特許文献1には、各種の消臭機能を得るための方法として、酸化チタン光触媒を付着させた原繊維を編成してなる布帛が、また、下記の特許文献2には、布帛製品自体を光触媒含有処理液に浸漬して加工処理する方法が開示されている。
しかしながら、これらの方法では、特定の臭気に対しては効果があるものの、上述の4つの臭気成分全てを除去することはできない。
加齢臭の中の一つであるノネナールは、加齢による生体防御機構の衰えで分解されなかった過酸化脂質と、加齢と共に分泌量が多くなるパルミトレイン酸とによるものであり、過酸化脂質による酸化伝播でバルミトレイン酸がバルミトオレイン酸ヒドロペルオキシドとなり、これが開裂分解して、ノネナールとなることから、抑制する方法として、キュレン抽出物やオウゴン抽出物等の抗酸化剤を繊維表面に付与し、過酸化脂質による酸化伝播を遮断する方法があるが、これら抗酸化剤そのものは洗濯耐久性がないという問題がある。
また、下記の特許文献3には、ノネナールとシッフ反応する基を有する特定量のポリカチオンと消臭剤、光触媒を付着させることにより、洗濯耐久性に優れ、ノネナールの消臭に有効な繊維構造物が得られることが開示されている。
しかしながら、繊維構造物への付与にアクリル樹脂等のバインダーを使用して付着させていることで、吸水拡散性能が悪く、特に吸水速乾性能は悪いという問題がある。
また、下記の特許文献4には、2層以上からなる多層構造の織編物に、特定の金属組成物からなる抗菌剤を付与することで、汗消臭性、抗菌性能に優れ、乾燥速度の速い織編物が得られることが開示されている。
しかしながら、2層以上の多層構造から構成されていることから布帛構造に制約があり、かつ布帛の厚みが大きく、インナー布帛として着用した場合、重量感、肉厚感があり、暑苦しく感じ、着心地の悪いものであり、しかもノネナール臭に対しては効果がないという問題がある。
また、下記の特許文献5には、染色堅牢性に優れた消臭性布帛を得る方法として、特定の共重合ポリエステル繊維を親水処理する方法が開示されている。しかしながらこの方法では、アンモニア臭、硫化水素臭、酢酸臭に対して優れた消臭性能を示すものの、イソ吉草酸臭やノネナール臭に対する効果が弱いという問題がある。
このように、現状では、セルロース繊維を含み、バインダーを使用しないで仕上げた染色布帛において、加齢臭に対する消臭性能に優れ、かつ性能の洗濯耐久性に優れ、吸水拡散性能に優れ、肌面へのベタツキがなくシャリ感のある風合を有し、発色性に優れた染色製品は得られていない。
特開2002−030552号公報 特開2007−126764号公報 特許第4092554号公報 特開2010−163710号公報 特開2010−242240号広報
本発明が解決しようとする課題は、セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維との混用布帛において、消臭性能、吸水拡散性能の洗濯耐久性に優れ、肌面へのベタツキがなくシャリ感のある風合を保持し、発色性に優れ、染色堅牢度に優れた消臭性布帛、及びその製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討し、実験を重ねたところ、セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維との混用布帛において、ポリアリルアミンと微粒子酸化亜鉛、親水剤を付与することで良好な消臭性能と吸水拡散性能が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下のとおりのものである。
[1]セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維とを混用した消臭性繊維布帛であって、ポリアリルアミンを0.2〜3重量%含有し、平均粒子径が100nm以下で、比表面積が20m2/g以上の酸化亜鉛を0.05〜0.5重量%含有し、親水剤を0.3〜0.8重量%含有することを特徴とする消臭性繊維布帛。
[2]ポリアリルアミンの平均分子量が1000〜70000であることを特徴とする上記[1]に記載の消臭性繊維布帛。
[3]親水剤がカチオン性の芳香族ポリエステルポリエーテルブロック共重合体であることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の消臭性繊維布帛。
[4]洗濯30回後の水滴消失時間が2秒以下で、吸水拡散面積が10cm2以上であることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の消臭性繊維布帛。
[5]セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維との混用布帛をカチオン染料染色する際にポリアリルアミンと親水剤を併用処理し、同時にまたはその後酸化亜鉛を付与ことを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の消臭性繊維布帛の製造方法。
[6]酸化亜鉛の付与をバインダー樹脂不含の水分散溶液で行なうことを特徴とする上記[5]に記載の消臭性繊維布帛の製造方法。
[7]カチオン染料染色する前に、セルロース分解酵素により65℃以下の温度で、当該混用布帛の1.5〜10%減量処理を行なうことを特徴とする上記[5]または[6]に記載の消臭性繊維布帛の製造方法。
本発明はセルロース繊維と塩基性染料可染型繊維とから構成される消臭性繊維布帛に関し、塩基性染料可染型繊維をカチオン染料にて染色する際に、ポリアリルアミンと親水剤を付与し、同時にまたはその後、微粒子酸化亜鉛の水分散体で処理することにより優れた消臭性能が発揮され、消臭性能の洗濯耐久性が奏されるとともに吸水拡散性能、発色性に優れた繊維布帛が得られる。また、セルロース繊維をセルロース分解酵素で処理することによりセルロース繊維の表面に特定の大きさの筋状溝を形成させることで、消臭性能等がさらに高められる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の消臭性繊維布帛は、セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維から構成される混用布帛であり、加齢臭、特にイソ吉草酸およびノネナールに起因する加齢臭に対する消臭性能に優れ、さらに吸水拡散性能にも優れ、かつ、それら性能の洗濯耐久性が改良されたものである。
本発明で用いられるセルロース繊維とは、綿、麻等の天然セルロース繊維やビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、ポリノジック等の再生セルロース繊維をいい、再生セルロース繊維が好ましく使用でき、中でも銅アンモニア法によって得られるキュプラ(旭化成せんい製ベンベルグ)を用いた場合、本発明の効果が最も顕著に現れるため好ましい。従来、消臭性能付与のために、セルロース系繊維にメタクリル酸をグラフト共重合反応させて得られる改質セルロース繊維が考案されているが、本発明におけるセルロース繊維としてこのような改質セルロース繊維を用いなくても、本発明は十分に消臭性能を発揮する。コスト等を考慮すると、セルロース繊維はこのような改質が行なわれていない繊維、具体的には、後処理によるカルボキシル基が実質的に付与されていないセルロース繊維であることが好ましい。
本発明に係る布帛においては、セルロース繊維をセルロース分解酵素で処理し、繊維軸方向に特定の大きさの筋状溝を形成されたものであることが好ましい。これにより、アンモニア等の塩基性ガス、酢酸やイソ吉草酸の酸性ガスに対する消臭効果が高まる。特に、再生セルロース繊維(長繊維)は、セルロース分解酵素で処理する際に、繊維軸方向に特定筋状溝の幅、長さをコントロールがし易いという観点からも好ましい。
本発明で用いるセルロース繊維は、特に限定はしないが、総繊度が30〜300デシテックスであることが好ましい。また、断面形状は、L型断面の場合、しなやかな風合が得やすいとともに比表面積が大きくなっていることから、セルロース分解酵素による減量処理の効率が高まり、凹部周辺に筋状溝が形成されやすく、本発明の効果が十分に達成されるため、好ましい。
また、セルロース繊維は単独種で用いられていても良く、複数種のセルロース繊維が複合されたり、または他の繊維と複合されていても良い。しかし、再生セルロース繊維が50%以上含まれることが好ましく、再生セルロース繊維100%がより好ましい。繊維の形態は、長繊維でも短繊維でもよく、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよい。そして、繊維が加工される糸条の形態としては、リング紡績糸、オープンエンド紡績糸、エアジェット精紡糸等の紡績糸、甘撚糸〜強撚糸、仮撚加工糸、空気噴射加工糸、押し込み加工糸、ニットデニット加工糸等がある。
セルロース繊維とその他の繊維を混用する場合の糸条の形態の例としては、混紡(混綿、フリース混紡、スライバー混紡、コアヤーン、サイロスパン、サイロフィル、ホロースピンドル等)、交絡混繊、交撚、意匠撚糸、カバリング(シングル、ダブル)、複合仮撚(同時仮撚、先撚仮撚)、伸度差仮撚、位相差、仮撚加工後に後混繊、2フィード(同時フィードやフィード差)空気噴射加工等による混用形態が挙げられる。
本発明において塩基性染料可染型繊維とは、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート又はポリピロピレンテレフタレート単位を主たる構成成分とし、塩基性染料染着座席成分を共重合したポリエステルからなる繊維である。
塩基性染料染着座席成分としては、スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩、スルホイソフタル酸のホスホニウム塩及びこれから誘導されるエステル形成性誘導体を挙げることができる。具体的には、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸等のスルホイソフタル酸のアルカリ金属塩、5−(テトラアルキル)ホスホニウムスルホイソフタル酸及びこれから誘導されるエステル形成性誘導体等が挙げられる。中でも消臭性能の点から、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸、5−(テトラブチル)ホスホニウムスルホイソフタル酸、及び5−(テトラエチル)ホスホニウムスルホイソフタル酸が好ましい。
また、塩基性染料染着座席成分の共重合量は、消臭性能の観点から、全酸成分に対して0.1〜5モル%が好ましく、より好ましくは0.5〜3.5モル%である。共重合量が0.1モル%未満では、本発明の消臭性能が得られず、一方、5モル%を超える場合、原糸強度、耐光性の低下が顕在下するため好ましくない。
本発明で用いる塩基性染料可染型繊維は、酸化チタン、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の界面活性剤、従来公知の抗酸化剤、着色防止剤、耐光剤、帯電防止剤、アルカリ金属等を含有していてもよく、従来公知の方法にて製造することができる。
本発明で用いる塩基性染料可染型繊維は、特に限定はしないが、総繊度が30〜300デシテックスであることが好ましい。また、断面形状は、丸型以外に扁平、くびれ付扁平、三角形、四角形、3以上の多葉形、C型、H型、W型、X型、中空断面のいずれであってもよいが、シャリ感のある風合、消臭性能面より異形断面で単糸繊度が1.0〜2.3デシテックスの繊維が好ましい。
また、本発明で用いる塩基性染料可染型繊維中に、他の繊維、例えば絹、ウール、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリル繊維等が30%まで含まれていてもよい。
また、繊維の形態は、長繊維でも短繊維でもよく、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよい。繊維が加工される糸条の形態としては、リング紡績糸、オープンエンド紡績糸、エアジェット精紡糸等の紡績糸、甘撚糸〜強撚糸、仮撚加工糸、空気噴射加工糸、押し込み加工糸、ニットデニット加工糸等がある。
本発明の消臭性繊維布帛は、セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維が含有され、それぞれの繊維の割合は、用途により適宜決めることができるが、布帛性能や消臭性能の面から、セルロース繊維は20〜60%、塩基性染料可染型繊維が40〜80%であることが好ましい。また、両繊維以外に、ポリエステル、ナイロン、アクリル、シルク、ウール等を混用しても構わない。
本発明において、セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維とを混用する形態は、糸状の段階で複合して混用糸条とする形態と、セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維とを用いて製編織し、布帛にする時に混用布帛とする形態とに大別される。
セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維とを混用した糸条形態の例としては、混紡(混綿、フリース混紡、スライバー混紡、コアヤーン、サイロスパン、サイロフィル、ホロースピンドル等)、交絡混繊、交撚、意匠撚糸、カバリング(シングル、ダブル)、複合仮撚(同時仮撚、先撚仮撚)、伸度差仮撚、位相差、仮撚加工後に後混繊、2フィード(同時フィードやフィード差)空気噴射加工等による混用形態が挙げられる。
シャリ感のある風合を得るために、セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維との複合仮撚にて、塩基性染料可染型繊維を融着させたり、未解撚部分を形成させたり、600〜1200T/mの撚数を入れた撚糸形態をとったりすることが好ましい。
布帛形態としては、編物、織物、不織布、及びこれらの複合布帛(例えば、積層布等)が挙げられる。具体例としては、いわゆる機上混用品があり、製編織時にセルロース繊維と塩基性染料可染型繊維を引き揃えて又は合糸して混用した編織物が挙げられる。
本発明におけるセルロース繊維と塩基性染料可染型繊維との消臭性繊維布帛においては、上記のような混用布帛を染色する前に、後述するセルロース分解酵素処理により、布帛重量の1.5%〜10%減量し、セルロース繊維表面に筋状溝を形成させることが好ましい。
減量率が上記の範囲にあると、セルロース繊維表面に繊維軸長さ50μm当たり、幅0.05〜1.50μm、長さ3〜25μmの筋状溝が10個以上存在している。尚、筋状溝は、繊維軸方向に対し、ほぼ平行である必用はなく、45度まで傾いていてもよい。
このような筋状溝を有することで、繊維比表面積が増大し、アンモニア、酢酸、イソ吉草酸、ノネナールの各臭気成分の補足量が増大し、塩基性染料可染型繊維との混用布帛での消臭効果が高まり、本発明でいう加齢臭の消臭効果の高いものが得られとともに、色の鮮明性も増す。
上述の筋状溝の幅、長さの制御は、セルロース繊維の中でも再生セルロース繊維においてより容易である。
また、この筋状溝を有することで、汗をかいたときなど、水分をすばやく吸い取る力と水分を拡散させる力が発揮され、体に貼り付くことがなく、べたつき感を感じなく、すばやく乾燥させる効果や風合にしなやか性が強くなり、肌ざわり性も良好となり、着心地感の良さが向上するとともに洗濯時の脱水率が低く抑えられ、脱水後の速乾性が速くなるという効果も得られ、その効果は、繰り返し洗濯を行っても持続する。
減量率が1.5%以上であれば、筋状溝の幅が0.05μm以上、長さが3μm以上となり、個数も10個以上となり、消臭効果を高めることができ、またしなやかな風合が得られ、色も鮮明となるため、好ましい。一方、減量率が10%を超えると、セルロース繊維の強力低下が大きくなるという問題がある。
本発明でいうセルロース分解酵素とは、エキソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ、セルビアーゼ、β−グルコシダーゼ、セロビアーゼ等のセルラーゼ類をいい、それぞれ、単独で又は複数組み合わせて使用することができる。
セルロース繊維表面の筋状溝を制御する手段としては、セルロース分解酵素処理時の酵素(セルラーゼ)濃度、pH、浴比、処理温度、時間が挙げられ、処理条件としては、浴比を1:0.5〜1:50程度とし、用いるセルラーゼの活性に最適なpHとなるように、酸性活性セルラーゼの場合には酢酸やクエン酸、中性活性セルラーゼの場合にはリン酸ナトリウム、アルカリ活性セルラーゼの場合にはアンモニアや炭酸ナトリウム、等の緩衝剤を単独で又は併用して使用し調整することが挙げられる。セルラーゼの使用濃度は、セルラーゼの有する活性や目指す減量率に依存して異なるが、一般には0.3〜15重量%であり、処理温度は用いるセルラーゼの活性に最適で、セルロース繊維表面の筋状溝形成が制御しやすい40〜65℃であり、そして処理時間は30〜300分である。
処理後は酵素の失活処理を行うが、使用する酵素が失活する温度で処理すればよく、70〜100℃で、15分〜30分間が好ましい。また、処理浴にアルカリ剤を併用することは、酵素の脱着を促進するため、好ましい。
セルロース分解酵素による処理においては、ロータリドラム染色機、パドル染色機、ウインスリール染色機、ジッガー染色機、液流染色機、気流染色機等の回転式染色装置を使用することができるが、パッド−ロール、パッド−ジッグ染色機のように拡布状で処理できる装置を使用した方が、本発明の筋状溝形成をコントロールし易いため、好ましい。
本発明のセルロース繊維と塩基性染料可染型繊維との混用布帛を染色に先立ちセルロース分解酵素にて1.5〜10.0%の減量処理を行うことが、消臭効果の観点から、好ましい。2.0〜8.5%の減量処理が、混用布帛の消臭効果の洗濯耐久性、色の鮮明性を付与することが可能となるため、より好ましい。減量処理は、精練、リラックスなどの工程の前後又は同時に実施しても構わない。
本発明において微粒子酸化亜鉛を混用布帛に固定する際に、バインダー樹脂を使用せずに洗濯耐久性を得て、尚、かつ良好な消臭性能を得るには、混用布帛にポリアリルアミンを付着させることが重要である。
本発明に用いるポリアリルアミンは、一級アミンを主成分としたカチオンポリマーであり、特にセルロース繊維と塩基性染料可染型繊維への親和性に優れ、高分子であるため洗濯耐久性にも優れるもので、例えば一級アミン単独からなるアリルアミン塩酸塩重合体(CAS.NO.71550−12−4)、アリルアミンアミド硫酸塩重合体(CAS.NO.861901−41−9、CAS.NO.30551−89−4)、一級アミンと二級アミンからなるアリルアミン塩酸塩・ジアリルアミン塩酸塩共重合体(CAS.NO.97939−72−5)、一級アミンと三級アミンからなるアリルアミン塩酸塩・ジメチルアリルアミン塩酸塩共重合体(CAS.NO.223474−45−1)、アリルアミン・ジメチルアリルアミン共重合体(CAS.NO.177606−24−5)等が挙げられる。
上記ポリアリルアミンの平均分子量は1000〜70000であることがカチオン染料染色時に、混用布帛に均一に吸着し、染色性への悪影響がなく、風合が硬くならないので好ましく、濃度10〜50重量%の水溶液として用いることができる。
本発明におけるポリアリルアミンの付着量は、セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維との混用布帛に対して0.2〜3重量%、より好ましくは0.4〜2重量%である。付着量が0.2重量%未満では、後でまたは同時に処理する酸化亜鉛の付着量も少なくなり良好な消臭性能は得られない。また、ポリアリルアミンを全く付与しない場合は、酸化亜鉛は吸着されないので本発明の消臭性能は得られない。また、付着量が3重量%を超えた場合には、風合が硬くなるとともに、吸水拡散性が悪くなり、着用時に汗をかいたときの快適性は得られない。
また、ポリアリルアミンを混用布帛に付着させる方法は、吸尽加工、パディング加工、スプレー加工、浸漬加工等いかなる方法でもよいが、混用布帛全体に均一に効率よく付着させるには、塩基性染料可染型繊維をカチオン染料にて染色する際に併用して処理するのが好ましい。そのときの処理温度、時間、処理浴のpHはカチオン染料で染色する条件であればいずれでもかまわない。
本発明に用いる酸化亜鉛は、水に分散した二次粒子の状態で用いるのが好ましく、体臭で汗の分解に起因する酢酸、イソ吉草酸等の酸性ガスを化学的に消臭する効果を高めるとともに、混用布帛表面への均一な付着性をより高めるために粒子径はなるべく小さく、比表面積が大きいことが好ましく、その平均一次粒子径は、100nm以下で比表面積が20m2/g以上が好ましい。平均一次粒子径が50nm以下で7nmまでの範囲であり、比表面積が25m2/g以上50m2/gまでの範囲であると、少ない使用量にて消臭効果が得られるとともに風合が硬くならず洗濯耐久性の向上や繊維表面の発色性(表面濃度)が向上するのでより好ましい。このような微粒子の酸化亜鉛は、例えば特開平2−311314号公報に記載の方法や超臨界下での水熱合成法により製造することができる。
本発明の混用布帛への酸化亜鉛の付着量は、0.05重量〜0.5%であり、より好ましくは0.1〜0.4%である。またポリアリルアミン1重量%に対し、酸化亜鉛を0.06〜0.2重量%付着させることが良好な消臭性能を得るうえで好ましい。酸化亜鉛の付着量が0.05%未満では消臭性能が不良であり、0.5%を超えると風合が硬くなる。また付着量が本発明の範囲内にあると染色布帛の発色性(表面濃度)が高まる。
本発明おいてはポリアリルアミンを付着させることで、酸化亜鉛は繊維表面の80%以上を被覆させることが可能であり、酸化亜鉛を付与する際に、バインダー樹脂を必要としないので、風合の硬化や吸水性能の低下を抑制することができる。
本発明における酸化亜鉛の混用布帛への付着させる方法は、吸尽加工、パディング加工、スプレー加工、浸漬加工等いかなる方法でもよいが、混用布帛全体に均一に効率よく付着させやすい吸尽加工が好ましい。吸尽加工は、前述のポリアリルアミンの付着と同時またはポリアリルアミンを付着させた後に酸化亜鉛単独で行うが、常温から110℃の加工温度で実施することができ、常温から50℃の範囲で加工することがより好ましい。また、加工液のpHは7.5〜8.5の弱アルカリ性で行うことが酸化亜鉛の分散性、均一付着性を高めるうえで好ましい。ここで、吸尽加工とは、酸化亜鉛を添加した加工浴(水分散液)中に混用布帛を浸漬し、所定の温度および時間で液流染色機や気流染色機等の回転式染色装置にて処理することにより、酸化亜鉛を混用布帛に付着させる処理である。
本発明においては混用布帛に付着させたポリアリルアミンに酸化亜鉛が強固に付着するので、バインダー樹脂を使用しなくても酸化亜鉛の洗濯耐久性は優れる。さらに本発明において、セルロース分解酵素にてセルロースを減量処理した場合は、セルロース繊維表面の繊維軸方向にできた筋状溝の凹部にポリアリルアミンと両性金属化合物である酸化亜鉛が付着するので、よりいっそう洗濯耐久性の高いものとなる。
本発明のセルロース繊維と塩基性染料可染型繊維との混用布帛の染色については、セルロース分解酵素による処理を行なう場合は、セルロース分解酵素による処理後に実施する。セルロース繊維の染色は通常セルロース繊維が実施されている条件であればいずれも適用することができる。染色の手順は、塩基性染料可染型繊維の染色よりも先に行うのが、仕上がり生地pHを弱酸性側に維持する上でも好ましい。
また塩基性染料可染型繊維の染色は、カチオン染料を用い染色する。カチオン染料とは、水に可溶で塩基性基を示す基を有する水溶性染料をいい、ジ及びトリアクリルメタン系、キノンイミン(アジン、オキサジン、チアジン)系、キサンテン系、メチン系(ポリメチン、アザメチン)、複素環アゾ系(チアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ベンゾチアゾールアゾ)、アントラキノン系などの染料が例示される。また塩基性基を封鎖することにより水分散型にした分散型カチオン染料として、Kayacryl ED(日本化薬(株)製)、KIWA CDP(紀和化学工業(株)製)、NichilonCDPN(日成化成(株)製)、Aizen Cathilon DP(保土谷化学(株)製)を用いて染色することは、染色時に後述する芳香族ポリエステルポリエーテルブロック共重合体を付与しやすいことから好ましい。
また衣服の着用時、汗をかいたときに快適に感じるには、布帛が水分を吸い取る力を有することが必要であるが、汗を吸い取るだけでは一ヶ所に水分が保持されるのでベタツキ感が解消されずに不快を感じたままである。ベタツキ感を解消するためには、吸い取った水分をすばやく拡散させる必要があり、吸水拡散性に優れることが重要である。本発明においては、親水剤を付与することで、吸い取った水分をすばやく拡散させる力を発揮する。また、セルロース繊維表面をセルロース分解酵素にて減量処理した場合、糸長方向に筋状溝が形成され、この筋状溝が水分を吸い取る力を助長させるので好ましい。吸水拡散性に優れ、快適性を得るには2つの力が必要であり、この2つの力は水滴消失時間と吸水拡散面積で表すことができる。肌着衣料やスポーツ衣料のように洗濯回数の多い用途においては、少なくとも洗濯30回の耐久性を有することが好ましい。本発明では水滴消失時間と吸水拡散面積と快適性との関係について検討した結果、着用快適性に優れた混用布帛製品を得るためには、洗濯30回後の水滴消失時間が2秒以下で、吸水拡散面積が10cm2以上であると好ましいことが見出された。また、洗濯30回後の吸水拡散面積の変化率が、未洗濯時の吸水拡散面積の50%以下であるとさらに好ましいことが見出された。
また、本発明の混用布帛において上記の吸水拡散面積を得るには親水剤を付与する必要がある。親水剤の付与量は、混用布帛重量に対して固形分で0.3〜0.8重量%が好ましい。付与量が0.3重量%未満では、消臭性能、吸水拡散性能、耐久性を十分に改良できず、一方、0.8重量%を越えた場合には、コスト高となる他に染色堅牢度、耐光性の低下が顕在下するため好ましくない。親水剤としては公知の親水剤が何ら制限なく使用でき、例えばポリアミド樹脂、ポリウレタン、吸水性シリコーン、吸水性ウレタン、芳香族ポリエステルポリエーテルブロック共重合体等が挙げられる。これらの中でも、吸水拡散性能の洗濯耐久性に優れた布帛を得るためには、カチオン性の芳香族ポリエステルポリエーテルブロック共重合体を付与することが好ましく、混用布帛へ付着させるには、染色と同時または染色後に吸尽法や浸漬法、パッド法等いかなる方法で行なってもよいが、混用布帛全体に均一に効率よく付着させ、洗濯耐久性を得るためにはカチオン染料染色時に併用し、吸尽させることが好ましい。
また、本発明では、塩基性染料可染型繊維にカチオン性の芳香族ポリエステルポリエーテルブロック共重合体を付与することで消臭性能が一段と高まる。
本発明に用いるカチオン性の芳香族ポリエステルポリエーテルブロック共重合体は、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコールとからなるブロック共重合体が好ましい。該共重合体の市販品としては、高松油脂(株)製のカチオン乳化したSR−C1800が挙げられ、吸水拡散性を高めるうえでも好ましく使用できる。
また、染色布帛の仕上加工法は、通常セルロース繊維が実施されている条件であればいずれも適用することができ、混用布帛の特性に応じ適宜設定すればよい。また、仕上布帛の生地pHが弱酸性にあると消臭性能が安定して得られるので、仕上剤浴中に不揮発性の有機酸を添加し、調整することが好ましい。
このようにして得られたセルロース繊維と塩基性染料可染型繊維とからなる混用染色布帛は、社団法人繊維評価技術協議会が定める消臭加工繊維製品認証基準(2010年4月1日版)に規定されている加齢臭に対する消臭性能に優れる。具体的には後述する、JTETC消臭性区分「加齢臭」消臭試験における、JTETCが定める消臭加工繊維製品認証基準によるアンモニアの減少率は70%以上、好ましくは75%以上、酢酸の減少率は80%以上、好ましくは85%以上、イソ吉草酸の減少率は85%以上、好ましくは90%以上、ノネナールの減少率は、75%以上、好ましくは85%以上である。
本発明の消臭性繊維布帛は上記消臭性能に加え、吸水性能にも優れ、具体的には洗濯30回後の水滴消失時間が2秒以下で、吸水拡散面積が10cm2以上であり、シャリ感のある風合を有する。また、堅牢度性能も良好であり、具体的には、JIS−L−0848 A法における汗アルカリ堅牢度が3級以上である商品価値の高い染色品である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。以下、実施例等で用いた特性値の測定法を示す。
(1)JTETC消臭性区分「加齢臭」消臭試験
臭気成分としてアンモニア、酢酸、イソ吉草酸、ノネナール(2−ノネナール;CAS番号463−53−8)の4成分を用いて消臭試験を行い、下記の方法により消臭性能を評価した。
<消臭性能評価>
JTETCが定める消臭加工繊維製品認証基準に従い、上記4成分について機器分析を行った。
機器分析試験:容器に臭気成分とサンプルを入れ、2時間放置後の臭気成分の残留濃度(2時間後の試料試験濃度)を測定した。臭気成分のみを入れた容器の残留濃度を空試験濃度として、下記式により、臭気成分の減少率を計算した。
減少率(%)=(2時間後の空試験濃度−2時間後の試料試験濃度)/(2時間後
の空試験濃度)×100
なお、アンモニアと酢酸は検知管法により、イソ吉草酸とノネナールはガスクロマトグラフィー法により測定した。
判定:アンモニアの減少率70%以上、酢酸の減少率80%以上、イソ吉草酸の減少率85%以上、ノネナールの減少率75%以上の条件を全て満足する場合を合格「○」と判定し、それ以外を不合格「×」と判定した。
<官能試験>
判定臭ガスを用いた官能試験を6名で行ない、判定者6名のうち、5名以上が下記基準により臭気を弱と判断した場合を合格とした。
臭気「強」:判定臭ガスより強い場合
臭気「弱」:判定臭ガスと比較して同等又はより弱い場合
(2)セルロース繊維表面の筋状溝の状態
走査型電子顕微鏡(日立製作所製、形式S−3500N)を用いて、試料のセルロース繊維表面を1800倍に拡大し、適宜に5ヶ所写真撮影し、スケールゲージと比較して、筋状溝の幅、長さ、及び数を測定し、繊維長50μmあたりの数(個)を算出して平均値を求めた。
(3)酸化亜鉛の比表面積
酸化亜鉛の比表面積を、BET比表面積測定器(Mountech社製)にて5回測定し、その平均値を求めた。
(4)洗濯条件
JIS L−0217 103法に従って、30回行った。尚、洗剤は、花王製アタック 1g/Lを用いた。
(5)水滴消失時間
JIS L−1907 滴下法に従って水滴消失時間を評価した。サンプル毎に5回ずつ測定を行い、平均水滴消失時間を求めた。尚、このときの水滴1滴の平均量は0.039mlであった。
(6)吸水拡散面積
布帛を直径15cmの刺繍用の丸枠に取り付け、布帛表面に水溶性青染料(C.I.アシッドブルー62を0.005wt%含有)を0.1ml滴下し、3分後に濡れ拡がった吸水拡散面積を次式により求める。
吸水拡散面積(cm2)=[縦の直径(cm)×横の直径(cm)]×π÷4
サンプル毎に測定を5回行い、平均吸水拡散面積を求めた。
(7)風合評価
検査者(30人)の感触によって混用染色品を次の基準で相対評価し、21人以上の感触で得られた基準を示した。
○ : ソフトでシャリ感がよい
△ : ソフトであるがシャリ感はやや劣る
× : シャリ感がなく硬い
(8)発色性の評価
染色品につき、布帛の分光反射率Rを測定し、以下に示すKubelka−Munkの式よりK/S値を求めた。この値が大きいほど発色性が高い(表面濃度が高い)こと、即ち、良く発色されていることを示す。当該染料の最大吸収波長である610nmでの値を採用した。
K/S=(1−R)2/2R
(9)汗アルカリ堅牢度
染色品について、JIS−L−0848−A法に準じて汗アルカリ人工汗液を用いて評価した。試験片の変褪色と添付白布片の汚染の程度を、それぞれ、変褪色用グレースケール、汚染用グレースケールと比較して判定した。
[実施例1〜3]
三菱レイヨン(株)製の塩基性染料可染型ポリエステル繊維(商品名:A.H.Y.)70dtex/48fのPOYを常法により185℃にて仮撚加工を行い、未解撚部分を残し、加工工程中に56dtex/45fのキュプラ(旭化成せんい製ベンベルグ)を挿入し、インターレース混繊し、106dtex/93fの複合糸を得た。
次に、得られた複合糸を用い、常法により24ゲージにて、フライス丸編地を作製した。この編地中のセルロース繊維の混用率は53%で、塩基性染料可染型繊維の混用率は47%であった。
次いで、拡布状で60℃でプレウエットした後、185℃でプレセットを行い、下記に示す酵素処理条件を用い、減量率が2.3%となるように液流染色機を用い処理時間を調整し、減量処理を行った。
<酵素処理条件>
酵素溶液: セルラーゼT(天野エンザイム社製、エンド+エキソ型セルラーゼ)8%omf
pH: 4.5(酢酸と酢酸ナトリウムにて調整)
助剤: イマコール C2GL:4g/L
浴比: 1:30
処理温度: 45℃
処理後は、80℃で15分間の失活処理を行った後、水洗を行い、下記の条件にてセルロース繊維の染色を行った。
<染色条件1>
反応染料: スミフィックス HF ブルー BG :0.6%omf
硫酸ナトリウム: 20g/L
炭酸ナトリウム: 10g/L
助剤: イマコール C−2GL:4g/L
浴比: 1:20
染色温度: 60℃
染色時間: 60分
染色後は、90℃で湯洗及び水洗を繰り返し、脱水後、下記の条件にて塩基性染料可染型繊維の染色を行った。
<染色条件2>
分散型カチオン染料: カヤクリル ブルー 2RL−ED:1.5%omf
硫酸ナトリウム: 4g/リットル
pH: 4.3
PAA−D41−HCL(日東紡製ポリアリルアミン、平均分子量20000、純分40%)使用量は表1の付着量となるように調整した。
カチオン性芳香族ポリエステルポリエーテルブロック共重合体:
SR−C1800:6%omf(高松油脂製、固形分10%)
浴比: 1:20
染色温度: 105℃
染色時間: 45分
染色後は、80℃で湯洗及び水洗を繰り返し、下記の条件にて酸化亜鉛の処理を行なった。
<酸化亜鉛処理>
酸化亜鉛ZW−030A(住友大阪セメント製、30%水分散液、酸化亜鉛の一次粒子径25〜30nm、比表面積30g/m2)使用量は表1の付着量となるように調整した。
浴比: 1:20
pH: 7.8
処理温度: 40℃
処理時間: 20分
処理後は、水洗を繰り返し、脱水後、可縫製向上剤、柔軟剤を添加し、パッド法にて仕上剤を付与し、乾燥し、160℃の熱処理にて仕上げた。仕上布帛のpHは6.8であった。
仕上げた染色布帛の目付は152g/m2、コース密度は56/インチ、ウエル密度34/インチ、厚み0.52mmであった。
仕上げた染色布帛を電子顕微鏡にて1800倍の倍率にて観察したとき、セルロース繊維表面には、繊維長50μmあたり、幅0.4μm、長さ7.9μmの筋状溝が12本存在していた。
得られた染色布帛の消臭性能、吸水性能、発色性、風合、アルカリ堅牢度の評価結果を以下の表2に示す。
表2の結果から、実施例1〜3で得られた布帛は、消臭性能、吸水拡散性能、発色性、堅牢度性能に優れ商品価値の高い染色布帛であることが分かる。
[比較例1]
比較例1として、実施例で得られたフライス編地を用い、実施例と同様の方法にて酵素処理、染色、酸化亜鉛処理を実施し、同様の方法にて同じ性量となるように熱セットを行い仕上げた。但し、塩基性染料可染型繊維の染色時にカチオン性芳香族ポリエステルポリエーテルブロック共重合体は併用せずに染色を実施した。
得られた染色布帛の消臭性能、吸水性能、発色性、風合、汗アルカリ堅牢度の評価結果を以下の表2に示す。
[比較例2]
比較例2として、実施例の方法にて、酸化亜鉛処理を行わないこと以外は全く同様に仕上げた。
得られた染色布帛の消臭性能、汗アルカリ堅牢度の評価結果及び洗濯30回後の消臭性能、色差の評価結果を、以下の表2に示す。
[比較例3]
ポリアリルアミンの付着量が4重量%、酸化亜鉛の付着量が0.6重量%となるようにそれぞれの使用濃度を調整する他は、実施例と同様の方法にて仕上げた。
得られた染色布帛の消臭性能、汗アルカリ堅牢度の評価結果及び洗濯30回後の消臭性能、色差の評価結果を、以下の表2に示す。
表2の結果から、本発明の実施例1〜3で得られた染色布帛は、比較例1、2、3、で得られた布帛に比べ、消臭性能、吸水拡散性能に優れ、発色性が高く、風合にも優れ商品価値の高い染色布帛であることが分かる。
Figure 2013174025
Figure 2013174025
本発明の消臭性繊維布帛は、消臭性能、吸水拡散性能に優れ、シャリ感のある風合を保持し、色の発色性、堅牢度性能に優れ、着用感に優れる消臭性繊維布帛であるため、インナー分野、スポーツ衣料分野で好適に利用可能である。

Claims (7)

  1. セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維とを混用した消臭性繊維布帛であって、ポリアリルアミンを0.2〜3重量%含有し、平均粒子径が100nm以下で、比表面積が20m2/g以上の酸化亜鉛を0.05〜0.5重量%含有し、親水剤を0.3〜0.8重量%含有することを特徴とする消臭性繊維布帛。
  2. ポリアリルアミンの数平均分子量が1000〜70000であることを特徴とする請求項1記載の消臭性繊維布帛。
  3. 親水剤がカチオン性の芳香族ポリエステルポリエーテルブロック共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の消臭性繊維布帛。
  4. 洗濯30回後の水滴消失時間が2秒以下で、吸水拡散面積が10cm2以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の消臭性繊維布帛。
  5. セルロース繊維と塩基性染料可染型繊維との混用布帛をカチオン染料染色する際にポリアリルアミンと親水剤を併用処理し、同時にまたはその後酸化亜鉛を付与ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の消臭性繊維布帛の製造方法。
  6. 酸化亜鉛の付与をバインダー樹脂不含の水分散溶液で行なうことを特徴とする請求項5に記載の消臭性繊維布帛の製造方法。
  7. カチオン染料染色する前に、セルロース分解酵素により65℃以下の温度で、当該混用布帛の1.5〜10%減量処理を行なうことを特徴とする請求項5または6に記載の消臭性繊維布帛の製造方法。
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