JP2013147679A - フッ化物溶射皮膜被覆部材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐食性と耐プラズマエロージョン性を有するフッ化物溶射皮膜の被覆形成方法とその部材とを提案する
【解決手段】基材表面に、YFやEuFなどのフッ化物粒子を、大気プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法などによって溶射して、フッ化物溶射皮膜を形成し、その後、その溶射皮膜表面に対して電子ビームまたはレーザビームを照射して再溶融処理して緻密化し、腐食性の液体による基材の腐食損傷防止とフッ化皮膜自体の耐ハロゲンガス性・耐プラズマエロージョン性を発揮させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、フッ化物溶射皮膜被覆部材およびその製造方法に関し、特に、腐食性の強いハロゲンガスなどの雰囲気に曝されても良好な耐食性や耐プラズマエロージョン性を示すフッ化物溶射皮膜被覆部材とそれの製造方法について提案する。
溶射法は、ArやHなどのガスプラズマ炎または炭化水素の燃焼炎などを用いて、金属(以下、合金を含めて金属と言う)やセラミックス、サーメットなどの粒子を、軟化もしくは溶融した状態にして被処理対象物(基材)の表面に吹付け、これらを堆積させて皮膜状にする表面処理技術の1つである。この技術は、熱によって軟化したり溶融する材料であれば、ガラスやプラスチックをはじめ、融点の高いタングステン(融点3,387℃)、タンタル(融点2,996℃)などの金属はもとより、Al(融点2,015℃)、MgO(融点2,800℃)などの酸化物系セラミックスでも成膜することが可能であり、皮膜材料種の選択自由度が非常に大きいという利点がある。このため、溶射皮膜の特性を利用した用途が、多くの産業分野に拡大している。
また、溶射装置や溶射ガンなどについても、これらの良し悪しが溶射皮膜の品質に大きく影響することから、品質の向上や生産性の向上と共に、さらなる改善や開発が精力的に行なわれている。例えば、特許文献1では、大気中で溶射された金属皮膜の粒子は酸化物を多量に含むため皮膜を構成する粒子間の相互結合力や基材との密着力低下原因となるとして、空気を排除した50hPa〜200hPaの低圧アルゴンガス雰囲気下でプラズマ溶射(減圧プラズマ溶射)する方法やその装置を提案している。
また、特許文献2では、炭化物サーメット粒子のように、高温の熱源中において炭化物が分解したり酸化する現象を最少限に止めると共に熱源の運動エネルギーを最大限に利用して炭化物粒子の飛行速度を上げ、その粒子の被爆時間(温度)を極限まで短縮する高速フレーム溶射法を提案している。
このように従来、溶射皮膜の品質や溶射装置については十分に検討されてきたが、溶射皮膜の成膜プロセスについての検討は未だ不十分である。例えば、溶射熱源中に投入された溶射粒子群には完全に溶融するものがある一方で、未溶融状態のままのものもあり、こうした粒子は基材表面に堆積した際、相互の融着が不完全ないしは不均等になることから、空隙(気孔)が不可避に発生し、これが皮膜の気孔となって顕在化する問題がある。
例えば、特許文献3によれば、減圧プラズマ溶射法で形成されたAlやYの溶射皮膜は、0.2〜7%程度の気孔が存在していることが明らかにされている。即ち、これらの気孔の大部分は、貫通気孔(皮膜の外部から基材の表面まで続いている気孔)として存在しているため、使用環境の中では腐食性のガスや流体の浸入通路を提供することとなって、基材表面の腐食が進行し、該皮膜と基材との接合力の低下を招いて剥離する原因となる。
このように、溶射皮膜というのは、気孔が不可避に存在することから成膜後に封孔処理を施すことが奨励されている。例えば、JIS H 9302セラミック溶射作業標準では、セラミック溶射皮膜を形成した後、その表面に無機系あるいは有機高分子系の封孔剤を塗布したり噴霧して、気孔内部に充填する方法が記載されている。
ところで、前述した溶射皮膜被覆部材が、半導体加工装置用部材、とくにハロゲンやハロゲン化合物が存在する環境下でプラズマ処理されたり、プラズマ処理によって発生する微細なパーティクルを洗浄除去することが必要な半導体加工装置の分野において使用される場合、さらに、以下のような表面処理の検討が必要であり、そのための従来技術についても幾つかの提案がある。
即ち、半導体加工および液晶製造プロセスに使用されるドライエッチャー、CVD、PVDなどの加工装置類では、シリコンやガラスなどの基板回路の高集積化に伴う微細加工とその精度向上の必要性から、加工環境として一段と高い清浄性が求められるようになってきた。その一方で、微細加工用の各種プロセスについては、フッ化物、塩化物をはじめとする腐食性の強い有害ガスあるいは水溶液を用いている。従って、これらのプロセスに配設されている部材類は腐食損耗速度が速く、その結果として、腐食生成物の発生とその飛散による二次的な環境汚染が懸念されている。
半導体ディバイスは、その素材が、SiやGa、As、Pなどから成る化合物半導体を主体としたものであり、その製造工程の多くは、真空もしくは減圧中で処理されるいわゆるドライプロセスに属し、これらの環境中において、各種の成膜、不純物の注入、エッチング、アッシング、洗浄などの処理が繰返し施されている。このようなドライプロセスに属する装置としては、酸化炉、CVD装置、PVD装置、エピタキシャル成長装置、イオン注入装置、拡散炉、反応性イオンエッチング装置およびこれらの装置に付属している配管、給排気ファン、真空ポンプ、バルブ類などの部材、部品がある。また、これらの装置類では、次に示すような腐食性の強い薬剤およびガスの使用が知られている。基本的には、BF、PF、PF、NF、WF、HFなどのフッ化物、BCl、PCl、PCl、POCl、AsCl、SnCl、TiCl、SiHCl、SiCl、HCl、Clなどの塩化物、HBrなどの臭化物、NH、ClFなどの使用も散見されている。
上述したハロゲン化物を用いるドライプロセスでは、反応の活性化と加工精度の向上のため、しばしばプラズマ(低温プラズマ)が用いられる。プラズマ使用環境中では、各種のハロゲン化物は腐食性の強い原子状またはイオン化したF、Cl、Br、Iとなって半導体素材の微細加工に大きな効果を発揮している。その一方で、プラズマ処理(特にプラズマエッチング処理)された半導体素材の表面からは、エッチング処理によって削りとられた微細なSiO、Si、Si、Wなどのパーティクルが環境中に浮遊し、これらが加工中あるいは加工後のディバイスの表面に付着してその品質を著しく低下させるという問題がある。
これらの対策の一つとしては、従来、アルミニウム陽極酸化物(アルマイト)による表面処理がある。その他、Al、Al・TiO、Yなどの酸化物をはじめ、周期律表IIIa族金属の酸化物を溶射法、蒸着法(CVD法、PVD法)などによって、装置用部材の表面を被覆したり、また、焼結材として利用する技術がある(特許文献4〜8)。
さらに最近では、YやY−Alの溶射皮膜表面を、レーザビームや電子ビームを照射して該溶射皮膜の表面を再溶融することによって、耐プラズマエロージョン性を向上させる技術も開示されている(特許文献9〜12)。
例えば、昨今の高性能半導体加工の製造環境の清浄化度を極限まで高める手段として、従来のY皮膜の耐プラズマエロージョン性能を凌駕する材料としてYF(フッ化イットリウム)を成膜状態で適用する方法が提案されている。具体的には、YAGなどの焼結体や周期律表IIIa族元素の酸化物の表面にYF膜を被覆したり(特許文献13、14)、YやYb、YFなどの混合物を成膜材料とした方法(特許文献15、16)、YFを成膜材料として溶射法によって被覆形成する方法が(特許文献17、18)に見られる。
特開平1−139749号公報 特開平9−67661号公報 特開2001−164354号公報 特公平6−36583号公報 特開平9−69554号公報 特開2001−164354号公報 特開平11−80925号公報 特開2007−107100号公報 特開2005−256093号公報 特開2005−256098号公報 特開2006−118053号公報 特開2007−217779号公報 特開2002−293630号公報 特開2002−252209号公報 特開2008−98660号公報 特開2005−243988号公報 特開2004−197181号公報 特開2002―037683号公報
フッ化物溶射皮膜については、特に、従来技術が抱えている次のような技術的課題を解決することが求められている。
(1)溶射法によって形成されたCeF、YFなどのフッ化物層の膜は、ハロゲンガスによる腐食作用やハロゲン系ガス中におけるプラズマエッチング環境において、それぞれの酸化物(A1、Y)皮膜に比較すると、格段の耐久性を示し、半導体の加工環境の汚染化を著しく低減させる効果がある。一方で、溶射法によって形成された皮膜の共通の課題としては貫通気孔の存在である。
それは、溶射皮膜中の貫通気孔というのは、例えば、半導体加工装置の場合では、プラズマエッチング加工などのドライプロセス専用であっても、加工の進展に伴なってエッチングによって削り出された微細なパーティクルが装置内に集積し、これが原因となって高品質の半導体加工製品の生産が困難となる場合がある。そのため、装置を酸やアルカリ、純水などを用いて洗浄する必要がある。このような洗浄作業の時に、これらの水溶液が前記貫通気孔を通って皮膜表面から内部に浸入し、基材およびアンダーコートの表面を化学的に腐食し、被覆部材の耐久性を劣化させるという問題がある。
(2)Yなどのセラミック溶射皮膜を形成した後、その皮膜表面をフッ化処理することによって、Y粒子の表面にYFなどの薄膜を生成させる方法では、溶射皮膜の貫通気孔が成膜時の状態で残存する。その結果、耐ハロゲン腐食性は向上するものの、洗浄水などの内部への浸入が容易になるため、皮膜内部における腐食の発生とそれに起因する溶射皮膜の早期剥離現象によって使用寿命が短いという問題がある。
(3)YFやCeF、MgFなどのフッ化物粒子を溶射するプロセスでは、これらの粒子がガスプラズマや化石燃料の燃焼フレームなどの熱源中において溶融すると共に分解してガス化することが多い。そのため、基材表面に堆積した粒子には分解ガスの噴出孔や粒子間の相互結合部にも、フッ化物特有の低表面エネルギーの影響に起因する接合不良によって多くの空隙が存在することになるため、フッ化物溶射皮膜全体としては貫通気孔の多い皮膜となる。
(4)この点については、従来、酸化物セラミックス溶射皮膜の表面を電子ビーやレーザビームなどの高エネルギー照射処理して、該溶射皮膜を構成している皮膜構成成分を相互に溶融、融合させて貫通気孔を消滅させる方法が提案されている。この酸化物セラミックス溶射皮膜の再溶融技術は、皮膜表面の開口気孔(含貫通気孔)を、完全に消失するとともに、耐プラズマエロージョン性を向上させることができる。しかし、高エネルギー照射面では、溶射粒子の再溶融後の冷却過程における体積の収縮現象によって、皮膜表面に“ひび割れ”が発生し、これが新しい貫通気孔の役割を担うため、ウエットプロセスやドライプロセスの場合にも実施される加工環境の清浄化を維持させるための洗浄作業に使用される各種薬液・洗浄水の皮膜内部への浸入を防止できないという問題がある。溶射熱源中で、分解したり蒸気化する成分の多いYF、AlFなどのフッ化物粒子の集合体である溶射皮膜に対し、前記高エネルギー照射処理を施した場合の影響およびその皮膜品質に対する影響については、現在までのところ明らかにされていない。
本発明の目的は、従来技術、とくにYFなどのフッ化物溶射皮膜が抱えている前述の課題を解決することにある。即ち、フッ化物溶射皮膜の表面部分を、熱エネルギー照射による再溶融処理によって無気孔化し、良好な耐食性と耐プラズマエロージョン性とを兼ね備えたフッ化物溶射皮膜被覆部材を提供すること、およびこうした部材の有利な製造方法を提案することにある。
上記目的を達成するため、鋭意研究した結果、発明者らは、基材と、その表面に直接またはアンダーコートを介して形成された、元素の周期律表IIIa族元素の多孔質フッ化物溶射皮膜とからなるものにおいて、その多孔質フッ化物溶射皮膜の表面に、高エネルギー照射処理によって得られる緻密化層を設けたことを特徴とするフッ化物溶射皮膜被覆部材を開発した。
また、本発明は、基材の表面に、直接またはアンダーコートを介して、元素の周期律表のIIIa族元素のフッ化物からなる多孔質は溶射皮膜を形成し、その後、そのフッ化物溶射皮膜の表面を高エネルギー照射処理して緻密化層にすることを特徴とするフッ化物溶射皮膜被覆部材の製造方法を提案する。
なお、本発明は、
(1)前記フッ化物溶射皮膜は、気孔率が0.2〜20%で全体の厚さが30〜500μmであって、そのうちの該溶射皮膜表面から0.5〜8μmまでの範囲を電子ビーム照射またはレーザビーム照射処理によって緻密化層にすること、
(2)前記アンダーコートは、Al、Al−Ni、Al−Zn、Ni−Cr、Ni−Cr−Alのうちから選ばれる1種以上の金属質溶射皮膜を、30〜150μmの厚さに形成したものであること、
(3)前記フッ化物溶射皮膜は、Yおよび原子番号57〜71のランタノイド系元素から選ばれる1種以上のフッ化物であること、
(4)前記フッ化物溶射皮膜を120〜250℃に予熱したのち、高エネルギー処理を施し、次いで、1分間当り1℃以下の冷却速度で室温まで冷却すること、
が、より好適な課題解決手段になるものと考えられる。
本発明によれば、次のような効果が期待できる。
(1)上掲の構成に係る本発明によれば、フッ化物溶射皮膜に対して電子ビームやレーザビーム照射処理を施して該溶射皮膜の表面部分を再溶融することにより、その表面層部分の開気孔の他、該皮膜内部の空隙を通じて繋がる貫通気孔が、融着現象によって全て封鎖できるので、気孔の存在によって誘発される前述の腐食問題を確実に解決することができる。
(2)特に、本発明によれば、フッ化物溶射皮膜を高エネルギー照射処理したときの再溶融層については、これが急冷されたときに該溶射皮膜の照射面において発生する“ひび割れ”が、基材の予熱や徐冷によってほぼ完全に消滅して無気孔化するので、部材の耐食性をより一層向上すると共に、半導体や液晶の製造・加工装置などに適用した場合に耐プラズマエロージョン性をより一層向上させることができる。
本発明を説明するための処理工程を模式的に示した図である。 YF溶射皮膜について、予熱と冷却速度を変化させた場合のレーザビーム照射面のSEM写真を示したものである。図中の(a)は、溶射皮膜形成直後のSEM写真、(b)は、室温環境で予熱、徐冷しない場合のEM写真、(c)は、200℃に予熱後に高エネルギー照射し、その後、1分間当り1℃の速度で冷却した際の表面SEM写真である。
以下、本発明の好適実施形態について説明する。図1は、本発明の方法を実施するための工程の流れを示したものである。以下、その工程順に沿って、本発明の構成の詳細を説明する。
(1)基材および前処理
本発明に適用できる基材は、Alおよびその合金、Tiおよびその合金、ステンレス鋼、その他の合金鋼や炭素鋼、Niおよびその合金などの金属、石英や酸化物、炭化物、硼化物、珪化物、窒化物、およびこれらの混合物からなる無機化合物の焼結体などが好適である。また、本発明に用いる基材としては、表面に金属めっき(電気めっき、CVD、PVD)したものも使用することができる。
(2)基材表面へのフッ化物溶射皮膜の形成方法
前述したように、前記基材表面にフッ化物溶射皮膜を形成するに当たっては、JIS H9302に規定されているセラミック溶射作業標準に準拠した前処理を行なうことが好ましい。例えば、基材表面の錆や油脂類などを除去し、その後、AlやSiCなどの研削粒子を吹付けて粗面化し、その表面に直接または金属質のアンダーコートを施した後に、その上にトップコートしてフッ化物溶射皮膜を形成する。そのフッ化物溶射皮膜を基材表面に被覆形成する方法としては、大気プラズマ溶射法や減圧プラズマ溶射法、高速フレーム溶射法などが好適に用いられるが、特には限定されない。
前記基材上への前記フッ化物溶射皮膜の形成は、その表面に直接またはアンダーコートを介して間接的に行なう。そのアンダーコートとしては、AlやAl−Ni合金、Al−Zn合金、Ni−Cr合金、Ni−Cr−Al合金などの金属質のものを、30〜150μmの厚さに施工するのが好ましい。
なお、これらのアンダーコートは、フレーム溶射、電気アーク溶射法、高速フレーム溶射法、各種プラズマ溶射法などによっても成膜できるが、他の成膜方法であってもよい。
(3)フッ化物溶射材料
本発明において用いられるフッ化物溶射皮膜形成用溶射材料としては、元素の周期律表IIIaのY、原子番号57〜71に属するランタノイド系元素のフッ化物の粒子が用いられる。即ち、原子番号57〜71の金属元素としては、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジズプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)などがある。
これらの金属からなるフッ化物溶射材料は、粒径5〜80μmに調整したものを用いる。この粒径のものに限定する理由は、5μm未満の細粒では溶射熱源中で加熱された際に分解されて粒子径がさらに小さくなって成膜するより飛散するものの方が多くなるからであり、一方、80μm超の粒子では、溶射ガンへの送給速度が不安定になると共に、成膜された皮膜の気孔が大きくなる傾向が認められるからである。
前記フッ化物溶射材料を溶射して得られる溶射皮膜は、30〜500μmの厚さに施工するのがよい。特に、50〜200μmの範囲が好適である。その理由は、30μmよりも薄い膜では、均等な膜厚のものを得にくく、一方、500μmより厚く形成すると、フッ化物膜の形成時における残留応力が大きくなって、基材から剥離しやすくなるからである。
(4)フッ化物溶射皮膜の特徴
フッ化物共通の物理化学的性質として次のようなものがある。即ち、このフッ化物溶射皮膜は、金属皮膜やセラミック皮膜と比較すると、ハロゲン系ガスに対する化学的安定性を有するが、表面エネルギーが小さいために皮膜を構成するフッ化物粒子の相互結合力および基材の密着強さが弱いという問題がある。また、この皮膜は、溶射熱源中で分解(酸化)、蒸気化(気化)、溶融、軟化などの諸現象が極めて短時間(1/100〜1/1000秒)のうちに進行することから、多孔質(面積率0.2〜20%)で、皮膜中には大きな残留応力が発生するため、基材が僅かに変形しただけでも、皮膜が剥離することが多い。加えて、フッ化物自体は延性に乏しいため、皮膜が容易に“ひび割れ”し、前記成膜時に発生する気孔部とともに、酸やアルカリ洗浄液などの内部浸入を招き、このことが基材の腐食原因となりやすい。従って、フッ化物そのものの耐食性は良好であるものの、その性質を有効に利用できないという問題もある。
(5)フッ化物溶射皮膜表面への高エネルギー照射処理
本発明では、基材表面に被覆した前記フッ化物溶射皮膜中に存在する貫通気孔部や残留応力に起因して発生する「ひび割れ」防止を、該皮膜表面を電子ビームまたはレーザビームなどの高エネルギー照射処理して再溶融させて緻密な膜にすることが肝要である。例えば、本発明の高エネルギー照射処理としては、下記の条件の電子ビームの照射やレーザービームの照射が好適である。
(a)電子ビーム照射処理
照射雰囲気:1×10−1〜5×10−3MPaの不活性ガス雰囲気
照射出力:10〜30KeV
照射速度:1〜50mm/s
照射回数:1〜30回(連続または不連続)
(b)レーザビーム照射処理
フッ化物照射皮膜の表面に対して、COレーザ、YAGレーザ、半導体レーザ、エキシマレーザなどのレーザ熱源を照射して、前記溶射皮膜表面を溶融する。レーザビーム照射処理の雰囲気は、空気中、不活性ガス中、減圧(真空)中など自由に選択できる。なお、レーザビーム照射条件としては、下記のようなものが推奨される。
レーザ出力:1〜10kW
ビーム面積:2〜10mm
ビーム走査速度:2〜20mm/s
照射回数:1〜100回(連続または不連続)
前記溶射皮膜は、電子ビームやレーザビームのような高エネルギー照射処理によって、その表面層が溶融する。このことによって、該溶射皮膜表面には緻密層が生成する。この緻密層は、表面からの深さが0.5〜8μm程度となるように照射条件を決定する。その理由は、0.5μmより薄い緻密層では照射処理の効果が小さく、一方、8μmより厚くしても照射効果が飽和するうえ、再溶融後の冷却過程において“ひび割れ”を起しやくなるからである。
次に、フッ化物溶射皮膜を前記の高エネルギー照射処理するに際しては、被処理基材を予熱すること、および照射後には徐冷することが好ましく、その条件として次のような管理を行なうことが好ましい。具体的には、高エネルギー照射処理前に、120〜250℃の温度に予熱し、その温度を維持しつつ高エネルギー照射を行い、該フッ化物溶射皮膜の表面を再溶融する。その後、該溶射皮膜を冷却速度:1℃/min以下の速度にて徐冷することが好ましい。その理由は、フッ化物溶射皮膜の熱伝導率が小さく延性に乏しいため、予熱せずに高エネルギー溶射処理してから、室温(15〜30℃)状態にまで自然冷却すると、照射面に前記セラミックス溶射皮膜面の再溶融後と同様な“ひび割れ”現象を発生するからである。このため、実際の予熱−照射処理−徐冷の各操作は、0.1〜10hPa減圧中で実施することが望ましい。それは、減圧雰囲気だと、予熱温度を利用して照射できるうえ、そのまま放冷しても急冷されることなく、フッ化物溶射皮膜の表面が平滑化すると共に割れの発生を防止できるからである。なお、後述する実施例における本発明に係るフッ化物溶射皮膜の高エネルギー照射処理は、すべての減圧中で処理したものである。
図2は、プラズマ溶射直後のもの、室温でレーザ処理したもの、および予熱と徐冷を行なったものについての、フッ化物溶射皮膜表面および高エネルギー照射処理した後のSEM写真を示したものである。図2(a)は、プラズマ溶射処理直後のステンレス鋼基材の表面に形成したYFプラズマ溶射皮膜の表面状態を示したものである。この溶射皮膜表面には、プラズマ熱源によって溶融したYF粒子の平滑部が見られる一方、未溶融粒子が粗しょうな状態で存在している部分も多く、また、微細な割れが発生しているのが観察される。
図2(b)は、前記溶射面を予熱および徐冷することなく、室温環境でレーザビーム照射した際に発生した“割れ”の状態を示したものである。レーザ照射面は再溶融現象によって、平滑面になっているが、冷却凝固過程に発生したと思われる“割れ”が認められ
これに対し、図2(c)は、該溶射皮膜を200℃に予熱後、レーザビーム照射し、その後、1分当り1℃の速度で冷却したときの表面状態を示したものであり、照射面は平滑なうえ、“ひび割れ”の発生も認められない。また、未溶融粒子も再溶融され、全体に丸味を帯びて小さく、平滑な面を有し、プラズマエロージョン作用を受け難い形状に変化していることがわかる。
(実施例1)
この実施例では、基材に相当するSS400鋼試験片(寸法:幅50mm×縦70mm×厚3.2mm)の表面に直接、大気プラズマ溶射法によって、YF、CeF、ErFのフッ化物溶射皮膜をそれぞれ100μmの厚さに形成し、その後、その溶射皮膜表面を高エネルギー照射して再溶融したものを準備し、該皮膜の貫通気孔の有無をフェロキシル試験方法によって調査した。なお、比較例として、高エネルギー照射処理をしないフッ化物溶射皮膜および耐プラズマエロージョン用溶射皮膜として知られているY溶射皮膜についても、高エネルギー照射の有無を変動因子としてフェロキシル試験に供した。
(1)フェロキシル試験(塩基噴霧試験)
このフェロキシル試験としては、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム10gおよび塩化ナトリウム15gを1リットルの蒸留水に溶解し、これを分析用のろ紙に十分含浸させ、その後、このろ紙を試験片表面に貼付し、30分間静置した後、ろ紙を剥がして、ろ紙面での青色斑点の有無を目視判定する方法によった。この方法によれば、アモルファス状膜に貫通気孔が存在するとフェロキシル試験液が浸透し、鉄基材界面に達して鉄イオンを生成させ、これにヘキサシアノ(III)酸カリウム塩が反応して、ろ紙の表面に青色斑点を生成することによって判定することができる。
(2)試験結果
上記試験結果を表1に示した。この表に示す結果から明らかなように、フッ化物溶射皮膜、酸化物溶射皮膜(Y)のいずれも成膜状態のままでは皮膜に多くの貫通気孔が存在するため、青色斑点が多数発生した(No.1、4、7、10)。また、酸化物溶射皮膜では(No.11、12)高エネルギー照射処理を行って皮膜表面を再溶融しても、溶融部の冷却過程において、皮膜に“ひび割れ”が発生するため、青色斑点数は少なくなるものの完全な緻密膜とはならなかった。
これに対して、フッ化物溶射皮膜を高エネルギー照射処理すると、皮膜の再溶融現象によって成膜時の貫通気孔部が消滅し、青色斑点は殆ど認められなくなり、酸、アルカリ、洗浄水などの内部浸入防止効果のあることが確認された。
Figure 2013147679
(実施例2)
この実施例では、Al基材(寸法:幅50mm×縦50mm×厚3mm)の表面に、大気プラズマ照射法によって、フッ化物(YF、DyF、CeF)を80μmの厚さに溶射した後、その表面に対して電子ビーム照射またはレーザビーム照射を行なって再溶融処理をしたものを供試皮膜とし、これをプラズマエッチング処理を行なって、それぞれの皮膜の耐エロージョン性を評価した。なお、比較例の皮膜として、Y、Dy、CeO 12mass%Y−88mass%ZrO溶射皮膜についても同条件でプラズマエッチング処理を行なって比較検討した。
以下にプラズマエッチング雰囲気ガス組成と条件を示す。
(1)雰囲気ガスと流量条件
(a)含Fガス:CHF/O/Ar=80/100/160(1分間当りの流量cm
(b)含CHガス:C/Ar=80/100(1分間当りの流量cm
(2)プラズマ照射出力
高周波電力:1300W
圧力:4Pa
温度:60℃
(3)プラズマエッチング試験の雰囲気
(a)含Fガス雰囲気中で実施
(b)含CHガス雰囲気中で実施
(C)含Fガス雰囲気1h⇔含CHガス雰囲気1hを交互に繰返す雰囲気中で実施
(評価)
耐プラズマエロージョン試験の評価は、エッチング処理によって供試皮膜から飛散する皮膜成分のパーティクル数を計測することによって、耐プラズマエロージョン性と耐環境汚染性を調査した。パーティクル類は、試験容器内に配設した直径8インチのシリコンウエハーの表面に付着する粒径0.2μm以上の粒子数が30個に達するまでの時間を測定することにより実施した。
(5)試験結果
試験結果を表2に示した。この表に示す結果から明らかなように、比較例の溶射皮膜(No.1、3、5、7)は、パーティクル発生量が許容値を超えるまでの時間を示した場合、含CHガス中ではパーティクルの発生が少なく、含Fガス中ではやや多くなり許容値に達する時間が短くなる状況が見られる。しかし、含Fガスと含CHガスを交互に繰返す雰囲気下におけるパーティクル発生数は一段と多くなっていることが判明した。この原因は、含Fガス中におけるフッ化ガスの酸化作用とCHガスの還元作用の繰返しによって、酸化物セラミック皮膜の表面の酸化膜が常に不安定な状態となって飛散するためと考えられる。これに対して、フッ化物溶射皮膜(No.2、4、6)は、含Fガス中、含CHガス中およびこれらのガス交互繰返し雰囲気中でも化学的に安定な状態を維持し、パーティクルの発生を抑制したものと考えられる。なお、フッ化物溶射皮膜からエロージョンにより削り取られるパーティクルの大きさは、酸化物セラミックからのものに比較して1/5〜1/10程度小さいのものが多い点も耐環境汚染性をよくしているものと考えられる。
Figure 2013147679
(実施例3)
この実施例では、YFフッ化物溶射皮膜への高エネルギー照射処理の効果を、アルカリ性液への浸漬試験と耐プラズマエロージョン性について調査した。
(1)供試皮膜
基材としてAl合金(A13003)(寸法:幅50mm×縦50mm×厚5mm)を用い、ブラスト粗面化処理後、減圧プラズマ溶射法によって、YFを膜厚100μmの厚さに成形した後、その表面を電子ビームおよびレーザビーム照射して、再溶融処理を施した。
(2)腐食・損傷試験方法
この実施例では、薬剤に対する耐食性試験として、供試皮膜を5%NaOH水溶液中に40℃の条件で1時間浸漬し、皮膜の表面から発生する水素ガス気泡の有無を目視観察することによって、皮膜の緻密性を調査した。この試験では、基材の露出部は耐薬品塗料を塗り、NaOH水溶液は皮膜表面から内部へ浸入するように準備した。もし、皮膜の気孔からNaOH水溶液が内部へ浸入すると、これが下記(1)式に示すように基材(Al合金)と反応して水素ガスを発生するため、皮膜の封孔の可否を判断できるからである。
Al+NaOH+HO→NaAlO+3/2H (1)
また、耐プラズマエロージョン試験は、実施例2の含Fガス中と同条件で評価した。この実施例の比較例の皮膜として、Yを減圧プラズマ溶射法によって成膜した後、その表面を電子ビームおよびレーザビーム照射を行い、同条件でNaOH液浸演とプラズマエロージョン試験に供した。
(3)試験結果
試験結果を表3に示した。この表に示す結果から明らかなように、比較例のYF皮膜(No.1、4)は5%NaOH液中に浸漬すると、5分程度経過後、基材のAl合金が皮膜の貫通気孔を通して浸入したNaOH液によって浸食され、小さな水素ガス気泡が発生した。これに対し、YF溶射皮膜の表面を高エネルギー照射処理した供試膜(No.2、3、5、6)には水素ガスの発生は見られず、皮膜表面が緻密化されている状況が確認された。これに対し、比較例のY皮膜は、成膜状態はもとより、高エネルギー照射したもの(No.7〜12)すべてにおいて水素ガスの発生が確認され、緻密性に乏しいことが判明した。
一方、プラズマエロージョン試験による損失量では、比較例のY皮膜(No.7、10)は6.1〜6.3μm程度侵食量を示すが、高エネルギー照射処理によって、2.0〜2.2μm程度に低下し、耐プラズマエロージョン性向上に大きな効果を発揮する。これに対し、本発明に係るフッ化物溶射皮膜は、高エネルギー照射処理の有無に拘わらず、さらに高い耐プラズマエロージョン性を示し、特に高エネルギー照射を行った供試皮膜(No.2、3、5、6)は損失量が一段と少なく、半導体加工装置内の汚染を甚だしく減少できることがわかる。
Figure 2013147679
(実施例4)
この実施例では、本発明に係るフッ化物溶射皮膜の耐プラズマエロージョン性を調査した。
(1)供試皮膜
基材としてJIS H4000規定のA3003(寸法:幅50mm×縦50mm×厚5mm)を用い、その表面に大気プラズマ溶射法によってYF、減圧プラズマ溶射法によってEuFをそれぞれ80μmの厚さに形成したが、フッ化物溶射皮膜の形成に先立って、アンダーコート(Ni−20mass%Cr)を30μmの厚さに施工した場合についても、その影響の有無を調査した。
上記のフッ化物溶射皮膜の表面に対して、電子ビームおよびレーザビームを照射して再溶融処理を行なった。なお、比較例の皮膜として、高エネルギー照射を実施しないフッ化物溶射皮膜を準備した。
(2)耐プラズマエロージョン試験方法
耐プラズマエロージョン試験は、実施例2の含Fガス雰囲気中で同条件で実施し、試験結果の評価は実施例3の同様な方法を用いた。
(3)試験結果
試験結果を表4に示した。この表に示す結果から明らかなように、比較例のフッ化物溶射皮膜(No.1、4、7、10)は、アンダーコートの有無にかかわらず、プラズマエロージョン損失量が多く、2.2〜2.7μmに達した。これに対して、フッ化物溶射皮膜の表面を高エネルギー照射処理した皮膜(No.2、3、5、6、8、9、11、12)では損失量は0.6〜0.8μm程度にとどまり、優れた耐プラズマエロージョン性が確認された。
また、エロージョン損失量は、大気プラズマ溶射法で形成された多孔質なフッ化物溶射皮膜(No.1、4)の方が、気孔率の小さい減圧プラズマ法による溶射皮膜よりやや多くなっていることから、フッ化物溶射皮膜の気孔率が、この種の耐プラズマエロージョン特性に影響を与えることが窺え、皮膜表面が平滑でプラズマ粒子の集中的衝撃の目標とならない照射面が有利であることが認められる。
Figure 2013147679
本発明に係る技術は、高度な耐ハロゲン腐食性と耐プラズマエロージョン性が要求されている半導体の精密加工装置用部材に適用することができる。具体的には、ハロゲンおよびその化合物を含む処理ガスを用いて、プラズマ理される装置に配設されているテッポシールド、バッフルプレート、フォーカスリング、インシュレータリング、シルドリング、ベローズカバー、電極などに加え、類似のガス雰囲気の化学プラント装置用部材などの耐食皮膜として利用できる。

Claims (8)

  1. 基材と、その表面に直接またはアンダーコートを介して形成された、元素の周期律表IIIa族元素の多孔質フッ化物溶射皮膜とからなるものにおいて、その多孔質フッ化物溶射皮膜の表面に、高エネルギー照射処理によって得られる緻密化層を設けたことを特徴とするフッ化物溶射皮膜被覆部材。
  2. 前記フッ化物溶射皮膜は、気孔率が0.2〜20%で全体の厚さが30〜500μmであって、そのうちの該溶射皮膜表面から0.5〜8μmまでの範囲を電子ビーム照射またはレーザビーム照射処理によって緻密化層にすることを特徴とする請求項1記載のフッ化物溶射皮膜被覆部材。
  3. 前記アンダーコートは、Al、Al−Ni、Al−Zn、Ni−Cr、Ni−Cr−Alのうちから選ばれる1種以上の金属質溶射皮膜を、30〜150μmの厚さに形成したものであることを特徴とする請求項1または2に記載のフッ化物溶射皮膜被覆部材。
  4. 前記フッ化物溶射皮膜は、Yおよび原子番号57〜71のランタノイド系元素から選ばれる1種以上のフッ化物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載のフッ化物溶射皮膜被覆部材。
  5. 基材の表面に、直接またはアンダーコートを介して、元素の周期律表のIIIa族元素のフッ化物からなる多孔質は溶射皮膜を形成し、その後、そのフッ化物溶射皮膜の表面を高エネルギー照射処理して緻密化層にすることを特徴とするフッ化物溶射皮膜被覆部材の製造方法。
  6. 前記フッ化物溶射皮膜を120〜250℃に予熱したのち、高エネルギー処理を施し、次いで、1分間当り1℃以下の冷却速度で室温まで冷却することを特徴とする請求項5に記載のフッ化物溶射皮膜被覆部材の製造方法。
  7. 前記フッ化物溶射皮膜は、気孔率が0.2〜20%で全体の厚さが30〜500μmであって、そのうちの該溶射皮膜表面から0.5〜8μmまでの範囲については電子ビーム照射またはレーザビーム照射処理によって生成した緻密化層であることを特徴とする請求項5または6記載のフッ化物溶射皮膜被覆部材の製造方法。
  8. 前記フッ化物溶射皮膜は、Yおよび原子番号57〜71のランタノイド系元素から選ばれる1種以上のフッ化物であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1記載のフッ化物溶射皮膜被覆部材の製造方法。
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