JP2013082840A - 変性共役ジエン系重合体組成物、トレッド用組成物、サイドウォール用組成物及びタイヤ - Google Patents

変性共役ジエン系重合体組成物、トレッド用組成物、サイドウォール用組成物及びタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】転がり抵抗特性、ウェットスキッド抵抗性、耐磨耗性、及び加工性のバランスに優れる変性共役ジエン系重合体組成物を提供すること。
【解決手段】(A)アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を重合、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合することによって得られる共役ジエン系重合体の重合活性末端に、シリル基に結合したアルコキシ基の総数が4個以上であり、1つ以上の窒素原子を有する化合物を反応させてなる変性共役ジエン系重合体、及び(B)希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンゴムを含むゴム成分と、(C)シリカ系無機充填剤と、を含有し、前記ゴム成分100質量部に対する前記(C)シリカ系無機充填剤の含有量が、1〜300質量部である、変性共役ジエン系重合体組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、変性共役ジエン系重合体組成物、これを用いたトレッド用組成物、サイドウォール用組成物及びタイヤに関する。
近年、省資源や環境対策が重視されるにつれて、低燃費性に優れる自動車用タイヤに対する要求水準は、ますます高まっている。低燃費性に優れるタイヤを製造するには、路面との接地面であるトレッドを構成する材料として、タイヤのエネルギーロスを抑制し得る、転がり抵抗が低い材料であることが求められる。かかる観点から、転がり抵抗特性に優れる架橋ゴムを形成することができるゴム材料が、タイヤの材料として使用されている。
ゴム材料の転がり抵抗特性を改善する方法としては、例えば、シリカ等の補強剤の配合量を減じる方法が知られている。しかし、補強剤の配合量を減じると、ゴム組成物の硬度が低下することでタイヤが軟化し、ウェットスキッド抵抗性が悪化したり、耐磨耗性が悪化するという問題がある。
転がり抵抗特性を改善するその他の方法としては、例えば、特許文献1には、特定量の天然ゴム及び/又はイソプレンゴム、及びネオジウム系触媒を用いて合成された特定量のブタジエンゴムを含有するゴム成分に対し、特定のカーボンブラックを特定量含有するトレッド用ゴム組成物が記載されている。また、特許文献2には、シリル基に結合したアルコキシ基の総数が3個であり、かつ、1つの窒素原子を有する化合物により変性されたブタジエンゴム、及びネオジウムなどの希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴムを含有するゴム成分と、特定量のシリカからなるトレッド用ゴム組成物が記載されている。
特開2010−163544号公報 特開2011−122024号公報
しかしながら、特許文献1においては、耐磨耗性と転がり抵抗特性を両立できるとしているが、ウェットスキッド抵抗性が悪く、更に加工性をも含めた4物性のバランスが悪く、未だ改善の余地がある。特許文献2においては、転がり抵抗特性、ウェッドスキッド抵抗性、及び耐磨耗性等のバランスが良いとしているものの、加工性をも含めた4物性のバランスにおいて未だ改善の余地がある。さらに、トレッドだけでなく、サイドウォールに用いられる材料についても、上記した物性バランスに優れていることが望まれているが、この点についても未だ改善の余地がある。
本発明は、上記従来技術が有する問題に鑑みなされたものであって、転がり抵抗特性、ウェットスキッド抵抗性、耐磨耗性、及び加工性のバランスに優れる変性共役ジエン系重合体組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、(A)アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を重合、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合することによって得られる共役ジエン系重合体の重合活性末端に、特定構造の化合物を反応させてなる変性共役ジエン系重合体、及び(B)希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンゴムを含むゴム成分と、特定量の(C)シリカ系無機充填剤を用いることにより、転がり抵抗特性、ウェットスキッド抵抗性、耐破壊特性、及び耐磨耗性のバランスに優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕
(A)アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を重合、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合することによって得られる共役ジエン系重合体の重合活性末端に、シリル基に結合したアルコキシ基の総数が4個以上であり、1つ以上の窒素原子を有する化合物を反応させてなる変性共役ジエン系重合体、及び(B)希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンゴムを含むゴム成分と、
(C)シリカ系無機充填剤と、
を含有し、
前記ゴム成分100質量部に対する前記(C)シリカ系無機充填剤の含有量が、1〜300質量部である、変性共役ジエン系重合体組成物。
〔2〕
前記ゴム成分100質量部に対し、更にカーボンブラック0.5〜100質量部を含有する、〔1〕に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
〔3〕
前記シリル基に結合したアルコキシ基の総数が4個以上であり、1つ以上の窒素原子を有する化合物が、下記式(1)、式(2)、又は式(3)で表される化合物である、〔1〕又は〔2〕に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
(式(1)中、R1〜R4は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又はアリール基を表し、R5は炭素数1〜10のアルキレン基を表し、R6は炭素数1〜20のアルキレン基を表し、mは1又は2の整数であり、nは2又は3の整数である。)
(式(2)中、R7〜R10は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又はアリール基を表し、R11及びR12は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を表し、R13及びR14は、各々独立して、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、かつ隣接する2つのNとともに5員環以上の環構造を形成し、p及びqは、各々独立して、2又は3の整数を表す。)
(式(3)中、X1及びX2は、炭素数1〜20のアルコキシ基であり、R15及びR16は、それぞれ、炭素数1〜20のアルキル基であり、A1及びA2は、各々独立して、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を表し、A3は下記式(a)又は(b)で表される基を表す。複数の、X1、X2、R15、R16、A1、A2又はA3が存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。r及びsは、各々独立して0〜3の整数である。tは0〜20の整数であり、tが2以上の場合、(A1−A3−A2)で表される複数の繰り返し単位は、各々同一であっても異なっていてもよい。)
(式(a)中、R17は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。なお、A3が式(a)で表される場合、(r+s)は5又は6の整数である。)
(式(b)中、A4は単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を表し、X3は炭素数1〜20のアルコキシ基を表す。R18は炭素数1〜20のアルキル基を表す。複数のX4又はR18が存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。uは0〜3の整数である。なお、A3が式(b)で表される場合、[r+(t×u)+s]は5以上の整数である。)
〔4〕
〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の変性共役ジエン系重合体組成物を含むトレッド用組成物。
〔5〕
〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の変性共役ジエン系重合体組成物を含むサイドウォール用組成物。
〔6〕
〔4〕に記載のトレッド用組成物及び/又は〔5〕に記載のサイドウォール組成物を含むタイヤ。
本発明によれば、転がり抵抗特性、ウェットスキッド抵抗性、耐磨耗性、及び加工性のバランスに優れる変性共役ジエン系重合体組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
本実施形態の変性共役ジエン用共重合体組成物は、(A)アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を重合、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合することによって得られる共役ジエン系重合体の重合活性末端に、シリル基に結合したアルコキシ基の総数が4個以上であり、1つ以上の窒素原子を有する化合物を反応させてなる変性共役ジエン系重合体と、(B)希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンゴムを含むゴム成分と、(C)シリカ系無機充填剤と、を含有し、前記ゴム成分100質量部に対する前記(C)シリカ系無機充填剤の含有量が、1〜300質量部である、変性共役ジエン系重合体組成物である。まず、本実施形態の共役ジエン系重合体組成物に用いられる(A)変性共役ジエン重合体について説明する。
<(A)変性共役ジエン系重合体>
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物に用いられる変性共役ジエン系重合体は、アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を重合、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合することによって得られる共役ジエン系重合体の重合活性末端に、シリル基に結合したアルコキシ基の総数が4個以上であり、1つ以上の窒素原子を有する化合物を反応させてなるものである。
共役ジエン系重合体を構成するために用いられる共役ジエン化合物としては、重合可能な単量体であればよく、特に限定されず、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
共役ジエン系重合体を構成するために用いられる芳香族ビニル化合物としては、共役ジエン化合物と共重合可能な単量体であればよく、特に限定されず、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、ジフェニルエチレン等が挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、スチレンが好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態では、その効果を損なわない範囲で、上記した共役ジエン化合物及び芳香族ビニル化合物以外に極性基を含有する化合物を共重合させることもできる。極性基を含有する化合物としては、極性基を含有する芳香族ビニル化合物などが挙げられる。極性基を含有する化合物としては、共役ジエン化合物及び/又は芳香族化合物と共重合可能な単量体であればよく、例えば、N,N−ジメチルビニルベンジルアミン、N,N−ジエチルビニルベンジルアミン、4−(2−ピロリジノエチル)スチレン、4−(2−ピペリジノエチル)スチレン、4−(2−ヘキサメチレンイミノエチル)スチレン、4−(2−モルホリノエチル)スチレン、4−(2−チアジノエチル)スチレン等が挙げられる。
共役ジエン系重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
ランダム共重合体としては、例えば、ブタジエン−イソプレンランダム共重合体、ブタジエン−スチレンランダム共重合体、イソプレン−スチレンランダム共重合体、ブタジエン−イソプレン−スチレンランダム共重合体等が挙げられる。共重合体鎖中の各単量体の組成分布としては、特に限定されず、例えば、統計的ランダムな組成に近い完全ランダム共重合体、組成がテーパー状に分布しているテーパー(勾配)ランダム共重合体等が挙げられる。共役ジエンの結合様式、すなわち1,4−結合や1,2−結合等の組成は、均一であってもよいし、分布があってもよい。
ブロック共重合体としては、例えば、ブロックが2個からなる2型ブロック共重合体、3個からなる3型ブロック共重合体、4個からなる4型ブロック共重合体等が挙げられる。例えば、スチレン等の芳香族ビニル化合物からなるブロックを「S」で表し、ブタジエンやイソプレン等の共役ジエン化合物からなるブロック及び/又は芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体からなるブロックを「B」で表すと、S−Bで表される2型ブロック共重合体、S−B−Sで表される3型ブロック共重合体、S−B−S−Bで表される4型ブロック共重合体等が挙げられる。
上記において、各ブロックの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。例えば、上記ブロックBが芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の場合、ブロックB中の芳香族ビニル化合物は均一に分布していてもよいし、テーパー状に分布していてもよい。また、ブロックBに、芳香族ビニル化合物が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個共存していてもよい。さらには、ブロックBに、芳香族ビニル化合物含有量が異なるセグメントが複数個共存していてもよい。共重合体中にブロックS、ブロックBがそれぞれ複数存在する場合、それらの分子量や組成等の構造は、同一でもよいし、異なっていてもよい。
本実施形態においては、官能基を有する共役ジエン系重合体を、不活性溶剤中で更に水素化することによって、二重結合の全部又は一部を飽和炭化水素に変換することができる。その場合、耐熱性、耐候性が一層向上し、高温で加工する場合の製品の劣化を防止することができる。その結果、自動車用途等種々の用途で一層優れた性能を発揮する。
より具体的には、共役ジエン化合物に基づく不飽和二重結合の水素化率(すなわち「水添率」)は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。例えば、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物を加硫ゴムとして用いる場合には、加硫性の観点から、(A)成分の共役ジエン部の二重結合が部分的に残存していることが好ましい。この場合、重合体中の共役ジエン部の水添率は3〜70%であることが好ましく、5〜65%であることがより好ましく、10〜60%であることが更に好ましい。なお、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体中の芳香族ビニル化合物に基づく芳香族二重結合の水添率については、特に限定されないが、50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、20%以下であるであることが更に好ましい。水素化率は、核磁気共鳴装置(NMR)により求めることができる。
水素化の方法としては、特に限定されず、公知の方法が利用できる。特に好適な水素化の方法としては、触媒の存在下、重合体溶液に気体状水素を吹き込む方法で水素化する方法が挙げられる。触媒としては、貴金属を多孔質無機物質に担持させた触媒等の不均一系触媒;ニッケル、コバルト等の塩を可溶化し有機アルミニウム等と反応させた触媒、チタノセン等のメタロセンを用いた触媒等の均一系触媒等が挙げられる。これらの中でも、特にマイルドな水素化条件を選択できる観点から、チタノセン触媒が好ましい。また、芳香族基の水素化は、貴金属の担持触媒を用いることによって行うことができる。
共役ジエン化合物に基づく不飽和二重結合を水素化する触媒の具体例としては、(a)Ni,Pt,Pd,Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(b)Ni,Co,Fe,Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩等の遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(c)Ti,Ru,Rh,Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等が挙げられる。例えば、水素化触媒として特公昭42−008704号公報、特公昭43−006636号公報、特公昭63−004841号公報、特公平01−037970号公報、特公平01−053851号公報、特公平02−009041号公報、特開平08−109219号公報に記載された水素化触媒を使用することができる。上記の中でも好ましい水素化触媒としては、チタノセン化合物と還元性有機金属化合物との反応混合物が挙げられる。
重合開始剤として用いるアニオン重合開始剤は、重合開始剤として機能するものであれば特に限定されず、例えば、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等が挙げられる。
アニオン重合開始剤として用いられるアルカリ金属化合物としては、特に限定されないが、有機リチウム化合物が好ましい。有機リチウム化合物としては、低分子化合物、可溶化したオリゴマーの有機リチウム化合物、有機基とリチウムの結合様式において炭素−リチウム結合からなる化合物、窒素−リチウム結合からなる化合物、錫−リチウム結合からなる化合物等が挙げられる。
有機リチウム化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等が挙げられる。
窒素−リチウム結合からなる化合物としては、例えば、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジ−n−ヘキシルアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムモルホリド等が挙げられる。
有機リチウム化合物としては、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムが好ましい。
これらの有機リチウム化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
その他のアルカリ金属化合物としては、例えば、有機ナトリウム化合物、有機カリウム化合物、有機ルビジウム化合物、有機セシウム化合物等が挙げられる。具体的には、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。その他にも、リチウム、ナトリウム及びカリウム等のアルコキサイド、スルフォネート、カーボネート、アミド等が挙げられる。また、他の有機金属化合物と併用してもよい。
アニオン重合開始剤として用いられるアルカリ土類金属化合物としては、特に限定されず、例えば、有機マグネシウム化合物、有機カルシウム化合物、有機ストロンチウム化合物等が挙げられる。また、アルカリ土類金属のアルコキサイド、スルフォネート、カーボネート、アミド等の化合物を用いてもよい。これらの有機アルカリ土類金属化合物は、上記したアルカリ金属化合物や、その他有機金属化合物と併用してもよい。
本実施形態において、共役ジエン系重合体は、上述したアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を重合開始剤とし、アニオン重合反応により成長させて得られるものが好ましい。特に、共役ジエン系重合体は、リビングアニオン重合による成長反応によって得られる活性末端を有する重合体であることがより好ましい。これにより、高変性率の変性共役ジエン系重合体を得ることができる。
重合様式としては、特に限定されないが、回分式、連続式等の重合様式で行うことができる。連続式においては、1個又は2個以上の連結された反応器を用いることができる。反応器は、撹拌機付きの槽型、管型等のものが用いられる。
通常、共役ジエン化合物中に、アレン類、アセチレン類等が不純物として含有されていると、後述する変性反応を阻害するおそれがある。そのため、これらの不純物の含有量濃度(質量)の合計は、200ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがより好ましく、50ppm以下であることが更に好ましい。アレン類としては、例えば、プロパジエン、1,2−ブタジエン等が挙げられる。アセチレン類としては、例えば、エチルアセチレン、ビニルアセチレン等が挙げられる。
共役ジエン系重合体の重合反応は、溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、例えば、飽和炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系溶媒が挙げられる。具体的には、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素及びそれらの混合物からなる炭化水素等が挙げられる。重合反応に供する前に、不純物であるアレン類やアセチレン類を有機金属化合物で処理することは、高濃度の活性末端を有する重合体が得られる傾向にあり、更には高い変性率が達成される傾向にあるため好ましい。
共役ジエン系重合体の重合反応においては、極性化合物を添加してもよい。芳香族ビニル化合物を共役ジエン化合物とランダムに共重合させることができ、共役ジエン部のミクロ構造を制御するためのビニル化剤としても用いることができる。また、重合速度の改善効果等もある。
極性化合物としては、特に限定されず、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン等のエーテル類;N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−t−アミラート、カリウム−t−ブチラート、ナトリウム−t−ブチラート、ナトリウムアミラート等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物等を用いることができる。これらの極性化合物は、それぞれ単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
極性化合物の使用量は、特に限定されず、目的等に応じて選択することができる。通常、極性化合物の使用量は、重合開始剤1モルに対して0.01〜100モルであることが好ましい。このような極性化合物は、共役ジエン系重合体中の共役ジエン部分のミクロ構造の調節剤(ビニル化剤)として、所望のビニル結合量に応じて、適量用いることができる。多くの極性化合物は、同時に、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合において有効なランダム化効果を有し、芳香族ビニル化合物の分布の調整やスチレンブロック量といった芳香族ビニル化合物ブロック量の調整を行う調整剤として用いることができる。
共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とをランダム化する方法としては、例えば、特開昭59−140211号公報に記載されているような、共重合反応の途中に、共役ジエン化合物(1,3−ブタジエン等)の添加量の一部を断続的に添加する方法を用いてもよい。
重合温度は、アニオン重合が進行する温度であれば、特に限定されない。例えば、リビングアニオン重合の場合、通常、生産性の観点から、0℃以上であることが好ましく、重合終了後の活性末端に対する変性剤の反応量を充分に確保する観点から、120℃以下であることが好ましい。また、共役ジエン系重合体のコールドフローを防止する観点から、分岐度をコントロールするためにジビニルベンゼン等の多官能芳香族ビニル化合物を用いてもよい。
本実施形態の共役ジエン系重合体中の結合共役ジエン量は、特に限定されないが、50〜100質量%であることが好ましく、例えば、タイヤのサイドウォール用途に用いる場合、90〜100質量%であることがより好ましく、例えば、タイヤのトレッド用途に用いる場合、60〜80質量%であることがより好ましい。また、本実施形態の共役ジエン系重合体中の結合芳香族ビニル量は、特に限定されないが、0〜50質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることがより好ましい。
共役ジエン系重合体中の結合共役ジエン量及び結合芳香族ビニル量が上記範囲であると、転がり抵抗特性とウェットスキッド抵抗性のバランスが更に優れ、耐摩耗性も満足する加硫物を得ることができる。ここで、結合芳香族ビニル量は、フェニル基の紫外吸光によって測定でき、これにより結合共役ジエン量も求めることができる。具体的には、後述する実施例に従った方法により測定することができる。
また、共役ジエン結合単位中のビニル結合量は、特に限定されないが、10〜75モル%であることが好ましく、25〜65モル%であることがより好ましい。ビニル結合量が上記範囲であると、転がり抵抗特性とウェットスキッド抵抗性のバランスが更に優れ、耐摩耗性も満足する加硫物を得ることができる。ここで、変性共役ジエン系重合体がブタジエンとスチレンの共重合体である場合には、ハンプトンの方法(R.R.Hampton,Analytical Chemistry,21,923(1949))により、ブタジエン結合単位中のビニル結合量(1,2−結合量)を求めることができる。
ミクロ構造(上記の結合共役ジエン量、結合芳香族ビニル量及び共役ジエン結合単位中のビニル結合量)が上記範囲にあり、さらに共重合体のガラス転移温度が−45〜−15℃の範囲にあるときに、転がり抵抗特性とウェットスキッド抵抗性のバランスにより一層優れた加硫物を得ることができる。ガラス転移温度については、ISO 22768:2006に従い、所定の温度範囲で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とする。
共役ジエン系重合体が共役ジエン−芳香族ビニル共重合体である場合、芳香族ビニル単位が30以上連鎖しているブロックの数が少ないか又は無いものであることが好ましい。具体的には、共重合体がブタジエン−スチレン共重合体の場合、Kolthoffの方法(I.M.KOLTHOFF,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)により重合体を分解し、メタノールに不溶なポリスチレン量を分析する公知の方法において、芳香族ビニル単位が30以上連鎖しているブロックが、重合体の総量に対して好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。
以上のような方法で、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得た後、その活性末端に、分子中にシリル基に結合したアルコキシ基の総数が4個以上であり、かつ、1つ以上の窒素原子を有する化合物(変性剤)を反応させる変性工程を行うことで、変性共役ジエン重合体を得ることができる。下記式(1)、(2)又は(3)で表される化合物中のアルコキシシリル基が、共役ジエン系重合体の活性末端と反応することで、共役ジエン系重合体末端とSiとの間の結合を形成し、更にSi−N結合が開いて第2級アミノ基を形成することができる。これにより、変性共役ジエン重合体が高分岐化分子構造となり、加硫物にしたときに従来にも増して転がり抵抗特性とウェッドスキッド抵抗性のバランスに優れ、かつ実用上十分な耐磨耗性を付与できるとともに、従来にも増して優れた加工性を発現できるものと考えられる(但し、本実施形態の作用はこれに限定されない。)。
(式(1)中、R1〜R4は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又はアリール基を表し、R5は炭素数1〜10のアルキレン基を表し、R6は炭素数1〜20のアルキレン基を表し、mは1又は2の整数であり、nは2又は3の整数である。)
(式(2)中、R7〜R10は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基、又はアリール基を表し、R11及びR12は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を表し、R13及びR14は、各々独立して、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、かつ隣接する2つのNとともに5員環以上の環構造を形成し、p及びqは、各々独立して、2又は3の整数を表す。)
(式(3)中、X1及びX2は、炭素数1〜20のアルコキシ基であり、R15及びR16は、それぞれ、炭素数1〜20のアルキル基であり、A1及びA2は、各々独立して、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を表し、A3は下記式(a)又は(b)で表される基を表す。複数の、X1、X2、R15、R16、A1、A2又はA3が存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。r及びsは、各々独立して0〜3の整数である。tは0〜20の整数であり、tが2以上の場合、(A1−A3−A2)で表される複数の繰り返し単位は、各々同一であっても異なっていてもよい。)
(式(a)中、R17は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。なお、A3が式(a)で表される場合、(r+s)は5又は6の整数である。)
(式(b)中、A4は単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を表し、X3は炭素数1〜20のアルコキシ基を表す。R18は炭素数1〜20のアルキル基を表す。複数のX4又はR18が存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。uは0〜3の整数である。なお、A3が式(b)で表される場合、[r+(t×u)+s]は5以上の整数である。)
式(1)で表される変性剤の具体例としては、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(4−トリメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,2−ジメトキシ−1−(5−トリメトキシシリルペンチル)−1−アザ−2−シラシクロヘプタン、2,2−ジメトキシ−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ,2−メチル−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ,2−エチル−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ,2−メチル−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ,2−エチル−1−(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン等が挙げられる。これらの中でも、変性剤の官能基とシリカ系無機充填剤等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点や、加工性の観点から、mが2、nが3であるものがより好ましい。具体的には、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンがより好ましい。
式(2)で表される変性剤の具体例としては、1,4−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ピペラジン、1,4−ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ピペラジン、1,4−ビス[3−(ジメトキシメチルシリル)プロピル]ピペラジン、1,3−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]イミダゾリジン、1,3−ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]イミダゾリジン、1,3−ビス[3−(ジエメトキシエチルシリル)プロピル]イミダゾリジン、1,3−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサヒドロピリミジン、1,3−ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサヒドロピリミジン、1,3−ビス[3−(トリブトキシシリル)プロピル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン等が挙げられる。これらの中でも、変性剤の官能基とシリカ系無機充填剤等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点や、加工性の観点から、p及びqが3であるものがより好ましい。具体的には、1,4−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ピペラジン、1,4−ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ピペラジン、1,3−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]イミダゾリジン、1,3−ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]イミダゾリジン、1,3−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサヒドロピリミジン、1,3−ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサヒドロピリミジン、1,3−ビス[3−(トリブトキシシリル)プロピル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジンがより好ましく、これらの中でも、1,4−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ピペラジン、1,4−ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ピペラジンが更に好ましい。
式(3)で表される変性剤の具体例としては、A3が式(a)で表される基である場合、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)メチルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)メチルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)エチルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)エチルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)プロピルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)プロピルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ブチルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ブチルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)フェニルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)フェニルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ベンジルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ベンジルアミン、ビス(トリメトキシシリルメチル)メチルアミン、ビス(トリエトキシシリルメチル)メチルアミン、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)メチルアミン、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)メチルアミン、ビス(トリエトキシシリルメチル)プロピルアミン、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)プロピルアミン等が挙げられ、A3が式(b)で表される基である場合、トリス(トリメトキシシリルメチル)アミン、トリス(2−トリエトキシシリルエチル)アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン等が挙げられる。これらの中でも、変性剤の官能基とシリカ系無機充填剤等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点や、加工性の観点から、r、s、及びuが3であるものがより好ましい。具体的には、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)メチルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)メチルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)エチルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)エチルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)プロピルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)プロピルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ブチルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ブチルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)フェニルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)フェニルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ベンジルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ベンジルアミン、ビス(トリメトキシシリルメチル)メチルアミン、ビス(トリエトキシシリルメチル)メチルアミン、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)メチルアミン、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)メチルアミン、ビス(トリエトキシシリルメチル)プロピルアミン、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)プロピルアミン、トリス(トリメトキシシリルメチル)アミン、トリス(2−トリエトキシシリルエチル)アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミンがより好ましい。
上述した変性剤を、共役ジエン系重合体の活性末端に反応させる際の、反応温度、反応時間等については、特に限定されないが、通常、0〜20℃で、30秒以上反応させることが好ましい。
上述した変性剤は、化合物中のシリル基に結合したアルコキシ基の合計モル数が、重合開始剤のアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の添加モル数の0.8〜3倍となる範囲であることが好ましく、1〜2.5倍となる範囲であることがより好ましく、1〜2倍となる範囲であることが更に好ましい。得られる変性共役ジエン系重合体が十分な変性率を得る観点から0.8倍以上とすることが好ましく、加工性改良のために重合体末端同士をカップリングさせ分岐状重合体成分を得ることが好ましいことに加え、変性剤コストの観点から3倍以下とすることが好ましい。
本実施形態において、上記具体的な化合物として示されているように、式(1)〜(3)における「アルキル基」とは、一般に、Cn2n+2として表される炭化水素からHを除いた、1価の結合手を有する基を表し、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。「アルキレン基」とは、アルキル基からさらに、Hを除いた、2価の結合手を有する基を表す。「アルコキシ基」とは、アルキル基が酸素原子に結合した基を表す。
式(1)〜(3)における「アリール基」とは、炭素数6〜20炭素原子が環状に配列した芳香族環を有する基を意味し、単環であっても、複数の環を有していてもよく、複数の環は縮合環であってもよい。
アリール基としては、フェニル基、ナフタレン基などが挙げられる。
本実施形態の効果をより優れたものにする観点から、官能基成分を有する重合体(式(1)、(2)、又は(3)で表される化合物により変性されている変性共役ジエン系重合体)が、好ましくは5質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは50質量%以上含有する重合体となるように、変性共役ジエン系重合体を製造することが好ましい。官能基成分を有する重合体の定量方法としては、官能基含有の変性成分と非変性成分を分離できるクロマトグラフィーによって測定可能である。このクロマトグラフィーを用いた方法としては、官能基成分を吸着するシリカ等の極性物質を充填剤としたGPCカラムを使用し、非吸着成分の内部標準を比較に用いて定量する方法が挙げられる。
変性共役ジエン系重合体の製造方法においては、変性反応を行った後、共重合体溶液に、必要に応じて、失活剤、中和剤等を添加してもよい。失活剤としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール等が挙げられる。中和剤としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、バーサチック酸等のカルボン酸;無機酸の水溶液、炭酸ガス等が挙げられる。
また、本実施形態の変性共役ジエン系重合体は、重合後又は重合後の仕上げ工程におけるゲル生成を防止する観点や、加工時の安定性を向上させる観点から、ゴム用安定剤を添加することが好ましい。ゴム用安定剤は、特に限定されず、公知のものを用いることができるが、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピネート、2−メチル−4,6−ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール等が好ましい。
また、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物の加工性を更に改善するために、必要に応じて、伸展油を変性共役ジエン系共重合体に添加することができる。伸展油を変性共役ジエン系重合体に添加する方法としては、特に限定されないが、伸展油を重合体溶液に加え、混合して、油展共重合体溶液としたものを脱溶媒する方法が好ましい。伸展油としては、例えば、アロマ油、ナフテン油、パラフィン油等が挙げられる。これらの中でも、環境安全上の観点や、オイルブリード防止及びウェットグリップ特性の観点から、IP346法による多環芳香族(PCA)成分が3質量%以下であるアロマ代替油が好ましい。アロマ代替油としては、Kautschuk Gummi Kunststoffe 52(12)799(1999)に示されるTDAE(Treated Distillate Aromatic Extracts)、MES(Mild Extraction Solvate)等の他、RAE(Residual Aromatic Extracts)等が挙げられる。
伸展油の添加量は、特に限定されないが、通常、変性共役ジエン系重合体100質量部に対し、10〜60質量部であり、20〜37.5質量部が好ましい。
変性共役ジエン系重合体を、重合体溶液から取得する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、スチームストリッピング等で溶媒を分離した後、重合体を濾別し、さらにそれを脱水及び乾燥して重合体を取得する方法、フラッシングタンクで濃縮し、さらにベント押し出し機等で脱揮する方法、ドラムドライヤー等で直接脱揮する方法等が挙げられる。
<(B)希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンゴム>
次に、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物に用いられる(B)希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンゴムについて説明する。
希土類元素系触媒としては、公知のものを使用でき、例えば、ランタン系列希土類元素化合物、有機アルミニウム化合物、アルミノキサン、ハロゲン含有化合物、必要に応じてルイス塩基を含む触媒が挙げられる。これらの中でも、高シス含有量及び低ビニル含有量のポリブタジエンゴムが得られる観点から、ランタン系列希土類元素化合物が好ましい。
ランタン系列希土類化合物としては、原子番号57〜71の希土類金属のハロゲン化物、カルボン酸類、アルコラート、チオアルコラート、アミド等が挙げられる。これらの中でも、ネオジウム含有化合物を用いたネオジウム系触媒が、高シス含有量及び低ビニル含有量のポリブタジエンゴムが得られる観点から、好ましい。ネオジウム系触媒としては、例えば、ネオジウム単体、NdCl3などのようなネオジウムと他の金属との化合物、Et−NdCl2等のような有機化合物が挙げられる。
有機アルミニウム化合物としては、式AlRabc(式中、Ra、Rb、Rcは、各々独立して、水素又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。)で表されるものを使用できる。
アルミノサンとしては、鎖状アルミノサン、環状アルミノサンが挙げられる。
ハロゲン含有化合物としては、式AlXed (3-e)(式中、Xはハロゲン、Rdは炭素数1〜20のアルキル基を表し、eは1、1.5、2又は3である。)で表されるハロゲン化アルミニウム;MeSrHCl2、MeSrCl2等のストロンチウムハロゲン化物;四塩化珪素、四塩化スズ、四塩化チタン等の金属ハロゲン化物が挙げられる。
ルイス塩基は、特にランタン系列希土類元素化合物を錯体化するために用いられ、アセチルアセトン、ケトン、アルコール等が好適に用いられる。
上記希土類元素系触媒は、ブタジエンの重合反応の際に、有機触媒(ノルマルへキサン、シクロヘキサン、ノルマルヘプタン、トルエン、キシレン、ベンゼン等)に溶解した状態で用いてもよいし、シリカ、酸化マグネシウム、塩化マグネシウム等の担体上に担持させて用いてもよい。
ブタジエンの重合反応条件は、特に限定されず、溶液重合又は塊状重合の何れでもよい。また、重合温度についても、特に限定されないが、通常、好ましい温度は−30〜150℃である。重合圧力は、他の条件に依存して任意に選択してもよい。
上記(B)希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンゴムのムーニー粘度(JIS K6300−1に準じて、100℃、1分間の予熱を行った後に、ローターを毎分2回転で4分間回転させた後の粘度)は、加硫後の適正な厚みを確保する観点から、好ましくは45以上であり、より好ましくは50以上である。また、組成物の加工性の観点から、好ましくは70以下であり、より好ましくは65以下である。
上記(B)希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンゴムの分子量分布(ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて標準ポリスチレンより換算した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn))は、加工性の観点から、好ましくは2.3〜3.5であり、より好ましくは2.5〜3.0である。
上記(B)希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は、加硫後の適正な厚みを確保する観点から、好ましくは500,000以上であり、より好ましくは550,000以上である。また、加工時の発熱によるゴム焼け(スコーチ)を抑制する観点から、好ましくは700,000以下であり、より好ましくは650,000以下である。
上記(B)希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンゴムの数平均分子量(Mn)は、加硫後の適正な厚みを確保する観点から、好ましくは180,000以上であり、より好ましくは200,000以上である。また、加工時の発熱によるゴム焼け(スコーチ)を抑制する観点から、好ましくは300,000以下であり、より好ましくは250,000以下である。
上記(B)希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンゴムのシス含有量は、転がり抵抗特性向上及び耐磨耗性向上の観点から、好ましくは95質量%以上であり、より好ましくは97質量%以上である。また、上記(B)希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンゴムのビニル含有量は、転がり抵抗特性向上及び耐磨耗性向上の観点から、好ましくは1.8質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以下である。なお、シス含有量の上限値及びビニル含有量の下限値は特に限定されない。
上記(B)希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンゴムとしては、市販品を用いることもでき、例えば、ランクセス社製の商品名「Buna CB22」、同社製の商品名「Buna CB24」等が挙げられる。
<ゴム成分>
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物に用いる、上記(A)変性共役ジエン系重合体、及び上記(B)ポリブタジエンゴムを含むゴム成分において、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部における、上記(A)変性共役ジエン系重合体及び上記(B)ポリブタジエンゴムの各含有量は、特に限定されないが、転がり抵抗特性、ウェットスキッド抵抗性、耐磨耗性、及び加工性のバランスの観点から、好ましくは(A)変性共役ジエン系重合体を20〜95質量部及び(B)ポリブタジエンゴムを80〜5質量部であり、より好ましくは(A)変性共役ジエン系重合体40〜85質量部及び(B)ポリブタジエンゴム60〜15質量部であり、更に好ましくは(A)変性共役ジエン系重合体60〜80質量部及び(B)ポリブタジエンゴム20〜40質量部である。
ゴム成分は、本実施形態の特性を満たす範囲で、(A)変性共役ジエン系重合体及び(B)ポリブタジエンゴム以外に、他のゴム状重合体を更に含んでいてもよい。
このような他のゴム状重合体としては、特に限定されず、例えば、共役ジエン系重合体又はその水素添加物、共役ジエン系化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合体又はその水素添加物、共役ジエン系化合物とビニル芳香族化合物とのブロック共重合体又はその水素添加物、その他の共役ジエン系重合体又はその水素添加物、非ジエン系重合体等が挙げられる。
共役ジエン系重合体又はその水素添加物の具体例としては、ブタジエンゴム又はその水素添加物等が挙げられる。共役ジエン系化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合体又はその水素添加物の具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム又はその水素添加物等が挙げられる。共役ジエン系化合物とビニル芳香族化合物とのブロック共重合体又はその水素添加物の具体例としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体又はその水素添加物、スチレン−イソプレンブロック共重合体又はその水素添加物等のスチレン系エラストマーが挙げられる。その他の共役ジエン系重合体又はその水素添加物の具体例としては、アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はその水素添加物等が挙げられる。
また、非ジエン系重合体の具体例としては、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−ブテン−ジエンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレン−ヘキセンゴム、エチレン−オクテンゴム等のオレフィン系エラストマー、ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、α、β−不飽和ニトリル−アクリル酸エステル−共役ジエン共重合ゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム等が挙げられる。
上述した各種ゴム状重合体は、水酸基やアミノ基等の極性を有する官能基を付与した変性ゴムであってもよい。またその重量平均分子量は、性能と加工特性のバランスの観点から、2,000〜2,000,000であることが好ましく、5,000〜1,500,000であることがより好ましい。また、低分子量のいわゆる液状ゴムを用いることもできる。これらのゴム状重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<シリカ系無機充填剤>
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物は、上記(A)変性共役ジエン系重合体、及び上記(B)ポリブタジエンゴムを含むゴム成分100質量部に対し、(C)シリカ系無機充填剤を1〜300質量部を含む。
シリカ系無機充填剤の含有量は、変性共役ジエン系重合体組成物において無機充填剤の添加効果が十分に発現する観点から、1質量部以上であり、一方、変性共役ジエン系重合体組成物中においてシリカ系無機充填剤を十分に分散させ、組成物の加工性や機械強度を実用的に十分なものとする観点から、300質量部以下である。ゴム成分100質量部に対する(C)シリカ系無機充填剤の含有量は、好ましくは5〜200質量部、より好ましくは20〜100質量部である。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物に用いられるシリカ系無機充填剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができるが、SiO2、又はSi3Alを構成単位として含む固体粒子が好ましく、SiO2、又はSi3Alを構成単位の主成分とすることがより好ましい。ここで、主成分とは、シリカ系無機充填剤中に50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上含有される成分をいう。
シリカ系無機充填剤として、具体的には、シリカ、クレイ、タルク、マイカ、珪藻土、ウォラストナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、ガラス繊維等の無機繊維状物質等が挙げられる。また、表面を疎水化したシリカ系無機充填剤や、シリカ系無機充填剤とシリカ系以外の無機充填剤との混合物も用いることができる。これらの中でも、強度や耐摩耗性等の観点から、シリカ及びガラス繊維が好ましく、シリカがより好ましい。シリカとしては、乾式シリカ、湿式シリカ等が挙げられる。これらの中でも、湿式シリカが好ましい。
乾式シリカとしては、例えば、精製された四塩化珪素を高温の炎の中で反応させて得られ、湿式に比べて純度が高く粒子が微細で水分が極めて低いものが挙げられ、一般に、シリコーンゴムの充填剤、樹脂の増粘剤、補強剤、あるいは粉体の流動化剤、セラミックスの原料として広く用いられる。
湿式シリカとしては、例えば、珪砂を原料とする珪酸ソーダを原料として、その水溶液を中和してシリカを析出し、ろ過・乾燥して得られる、外観上はふわふわとした軽い白色の粉末が挙げられ、一般に、合成ゴムの補強充填剤、農薬等液体の粉末化と固結防止、軽量紙の印刷インクの裏抜け防止、塗料、インクの増粘・たれ止め、断熱材、研磨剤に用いられる。
変性共役ジエン系重合体組成物において、より優れた転がり抵抗特性を得る観点から、シリカ系無機充填剤のBET吸着法で求められる窒素吸着比表面積は、100〜300m2/gであることが好ましく、170〜250m2/gであることがより好ましい。
<カーボンブラック>
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物は、上記(A)変性共役ジエン系重合体、及び上記(B)ブタジエンゴムを含むゴム成分100質量部に対し、更にカーボンブラックを0.5〜100質量部含有するものが好ましい。
カーボンブラックとしては、特に限定されず、例えば、SRF、FEF、HAF、ISAF、SAF等の各クラスのカーボンブラックが使用できる。これらの中でも、窒素吸着比表面積は、押し出し成形性の観点、及び転がり抵抗特性の観点で、50m2/g以上、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が80mL/100gのカーボンブラックが好ましい。
上記ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量は、ドライグリップ性や導電性といったタイヤ等の用途に求められる性能を発現する観点から0.5質量%以上が好ましく、分散性の観点から100質量部以下が好ましく、より好ましくは3〜100質量部であり、更に好ましくは5〜50質量部である。
<金属酸化物、及び金属水酸化物>
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物には、ゴム成分、シリカ系無機充填剤及びカーボンブラック以外に、金属酸化物や金属水酸化物を含有させてもよい。
金属酸化物としては、例えば、式Mxy(Mは金属原子を表し、x及びyは各々独立して1〜6の整数である。)を構成単位の主成分とする固体粒子が挙げられ、例えば、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等が挙げられる。また、金属酸化物と、金属酸化物以外の他の無機充填剤の混合物を用いることができる。
金属水酸化物としては、特に限定されず、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム等が挙げられる。
<シランカップリング剤>
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物には、シランカップリング剤を含有させてもよい。シランカップリング剤は、ゴム成分とシリカ系無機充填剤との相互作用を緊密にする機能を有しており、ゴム成分及びシリカ系無機充填剤のそれぞれに対する親和性及び/又は結合性を有する基を有している。このようなシランカップリング剤としては、一般的には、硫黄結合部分とアルコキシシリル基、シラノール基部分を一分子中に有する化合物が用いられる。具体的には、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−テトラスルフィド、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−ジスルフィド、ビス−[2−(トリエトキシシリル)−エチル]−テトラスルフィド等が挙げられる。
シランカップリング剤の含有量は、上述したシリカ系無機充填剤100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることがより好ましく、1〜15質量部であることが更に好ましい。シランカップリング剤の含有量が上記範囲であると、シランカップリング剤による上記添加効果を一層顕著なものにできる。
<ゴム用軟化剤>
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物には、加工性の改良を図るために、ゴム用軟化剤を含有させてもよい。ゴム用軟化剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることもできる。ゴム用軟化剤としては、鉱物油、又は液状若しくは低分子量の合成軟化剤が好適である。ゴム成分の軟化、増容、加工性の向上を図るために使用されているプロセスオイル又はエクステンダーオイルと呼ばれる鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族環、ナフテン環、及びパラフィン鎖の混合物であり、パラフィン鎖の炭素数が全炭素中50%以上を占めるものがパラフィン系と呼ばれ、ナフテン環炭素数が30〜45%のものがナフテン系、芳香族炭素数が30%を超えるものが芳香族系と呼ばれている。ゴム用軟化剤としては、適度な芳香族含量を有するものが(A)成分や(B)成分との馴染みがよい傾向にあるため好ましい。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物におけるゴム用軟化剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0〜100質量部であることが好ましく、10〜90質量部であることがより好ましく、30〜90質量部であることが更に好ましい。ゴム用軟化剤の含有量がゴム成分100質量部に対して100質量部以下とすることで、ブリードアウトを抑制でき、組成物表面のベタツキを抑制することができる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物には、本実施形態の目的を損なわない範囲内で、上述した以外のその他の軟化剤及び充填剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、着色剤、滑剤等の各種添加剤を用いてもよい。
その他の軟化剤としては、公知の軟化剤を用いることができる。
その他の充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、着色剤、滑剤としては、それぞれ公知の材料を用いることができる。
<混練方法、及び他の添加剤>
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物に配合する、(A)変性共役ジエン系重合体(B)ポリブタジエンゴム、その他のゴム状重合体、(C)シリカ系無機充填剤、カーボンブラックやその他の充填剤、シランカップリング剤、ゴム用軟化剤等の添加剤等を混合する方法については特に限定されるものではない。例えば、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解混合後、溶剤を加熱除去する方法等が挙げられる。これらのうち、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機による溶融混練法が生産性、良混練性の観点から好ましい。また、変性共役ジエン系重合体と各種配合剤とを一度に混練する方法、複数の回数に分けて混合する方法のいずれも適用可能である。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物は、加硫剤により加硫処理を施した加硫組成物としてもよい。加硫剤としては、例えば、有機過酸化物及びアゾ化合物等のラジカル発生剤、オキシム化合物、ニトロソ化合物、ポリアミン化合物、硫黄、硫黄化合物が使用できる。硫黄化合物には、一塩化硫黄、二塩化硫黄、ジスルフィド化合物、高分子多硫化合物等が含まれる。加硫剤の使用量は、通常は、本実施形態の変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対して0.01〜20質量部であり、0.1〜15質量部であることが好ましい。加硫方法としては、従来公知の方法を適用でき、加硫温度は、通常120〜200℃であり、好ましくは140〜180℃である。
また、加硫に際しては、必要に応じて加硫促進剤を用いてもよい。加硫促進剤としては、従来公知の材料を用いることができ、例えば、スルフェンアミド系、グアニジン系、チウラム系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、チオ尿素系、ジチオカルバメート系等の加硫促進剤が挙げられる。また、加硫助剤としては、亜鉛華、ステアリン酸等を使用できる。加硫促進剤の使用量は、通常、ゴム成分100質量部に対して0.01〜20質量部であり、0.1〜15質量部が好ましい。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物は、トレッド用組成物として好適に用いることができる。本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物を含むトレッド用組成物は、自動車用タイヤのトレッドの材料として好適に用いることができる。特に、ベーストレッドとキャップトレッドの2重構造のトレッドとする場合、ベーストレッド用組成物として好適に用いることができる。この場合、本実施形態のトレッド用組成物を用いてベーストレッドを作製し、他の部材とともに貼り合わせ、タイヤ成形機を使用して加熱加圧することにより、自動車用タイヤのトレッドを製造できる。本実施形態のトレッド用組成物には、上記した変性共役ジエン系重合体組成物の他に、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ハイシスポリブタジエンゴム等を添加することができる。
また、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物は、サイドウォール用組成物としても好適に用いることができる。本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物を含むサイドウォール用組成物は、自動車用タイヤのサイドウォールの材料として好適に用いることができる。本実施形態のサイドウォール用組成物には、上記した変性共役ジエン系重合体組成物以外に、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ハイシスポリブタジエンゴム等を添加することができる。
上記したトレッド用組成物及び/又はサイドウォール用組成物を用いて得られるタイヤは、上記した物性バランスに優れ、自動車用タイヤとして好適に用いることができる。
以下の実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、試料の分析は下記に示す方法により行った。
(1)結合スチレン量
試料100mgをクロロホルムで100mLにメスアップし、クロロホルムに溶解させて測定サンプルとした。測定サンプルについて、スチレンのフェニル基によるUV254nmの吸収により結合スチレン量(質量%)を測定した(島津製作所社製、紫外可視分光光度計UV−2450)。
(2)ブタジエン部分のミクロ構造(1,2−ビニル結合量)
試料50mgを10mLの二硫化炭素に溶解して測定サンプルとした。溶液セルを用いて、赤外線スペクトルを600〜1000cm-1の範囲で測定して所定の波数における吸光度によりハンプトンの方法の計算式に従いブタジエン部分のミクロ構造を求めた(日本分光社製、フーリエ変換赤外分光光度計FT−IR230)。
(3)変性率
シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに変性した成分が吸着する特性を応用することにより測定した。試料及び低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液を、ポリスチレン系ゲルカラムで測定したクロマトグラムと、シリカ系カラムで測定したクロマトグラムの差分よりシリカカラムへの吸着量を測定し変性率を求めた。
・試料溶液の調製:
試料10mg及び標準ポリスチレン5mgを20mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させて、試料溶液とした。
・ポリスチレン系カラムGPC測定条件:
THFを溶離液として用い、試料溶液200μLを装置に注入して測定した。カラムは、ガードカラム:東ソー社製 TSKguardcolumn HHR−H、カラム:東ソー社製 TSKgel G6000HHR、TSKgel G5000HHR、TSKgel G4000HHRを使用した。カラムオーブン温度40℃、THF流量1.0mL/分の条件で、東ソー社製 HLC8020のRI検出器を用いて測定し、クロマトグラムを得た。
・シリカ系カラムGPC測定条件:
THFを溶離液として用い、試料溶液200μLを装置に注入して測定した。カラムは、デュポン社製:Zorbaxを使用した。カラムオーブン温度40℃、THF流量0.5mL/分の条件で、東ソー製 HLC8020のRI検出器を用いて測定しクロマトグラムを得た。
・変性率の計算方法:
ポリスチレン系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP1、標準ポリスチレンのピーク面積をP2、シリカ系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料の面積をP3、標準ポリスチレンのピーク面積をP4として、下記式より変性率(%)を求めた。

変性率(%)=[1−(P2×P3)/(P1×P4)]×100
(但し、P1+P2=P3+P4=100)
重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ポリスチレン系カラムを3本連結して用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を使用して、クロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用した検量線により重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を求め、重量平均分子量と数平均分子量の比から分子量分布の指標(Mw/Mn)を計算した。溶離液としてはテトラヒドロフラン(THF)を使用した。カラムは、ガードカラム:東ソー社製 TSKguardcolumn HHR−H、カラム:東ソー社製 TSKgel G6000HHR、TSKgel G5000HHR、TSKgel G4000HHRを使用した。オーブン温度40℃、THF流量1.0mL/分の条件で、東ソー社製 HLC8020のRI検出器を用いて分子量の測定を行った(試料10mgをTHF20mLに溶解し、この溶液200μLを装置に注入して測定した)。
(4)配合物ムーニー粘度
ムーニー粘度計を使用し、JIS K6300−1に準じて、100℃、1分間の予熱を行った後に、ローターを毎分2回転で4分間回転させた後の粘度を測定した。値が小さいほど加工性に優れることを示す。
(5)転がり抵抗特性(RR)
レオメトリックス・サイエンティフィック社製の粘弾性試験機(ARES)を使用し、ねじりモードで粘弾性パラメータを測定した。各々の測定値は、実施例1〜8及び比較例1〜2については、比較例1を100として指数化し、実施例9〜11及び比較例3〜5については、比較例3を100として指数化した。50℃において周波数10Hz、ひずみ3%で測定したtanδを転がり抵抗特性(少燃費性)の指標とした。値が小さいほど転がり抵抗特性が良好であることを示す。
(6)ウェットスキッド抵抗性(WET)
レオメトリックス・サイエンティフィック社製の粘弾性試験機(ARES)を使用し、ねじりモードで粘弾性パラメータを測定した。各々の測定値は、実施例1〜8及び比較例1〜2については、比較例1を100として指数化し、実施例9〜11及び比較例3〜5については、比較例3を100として指数化した。0℃において周波数10Hz、ひずみ1%で測定したtanδをウェットスキッド抵抗性の指標とした。値が大きいほどウェッドスキッド抵抗性が良好であることを示す。
(7)WET/RRバランス
上記(5)で測定した転がり抵抗特性(RR)と上記(6)で測定したウェットスキッド抵抗性(WET)を用い、WET/RR比を算出した。求めたWET/RR比について、実施例1〜8及び比較例1〜2については、比較例1を100として指数化し、実施例9〜11及び比較例3〜5については、比較例3を100として指数化し、RR/WETバランスとした。

(RR/WETバランス)=(各実施例又は各比較例のRR/WET比)/(比較例1又は比較例3のRR/WET比)

RR/WETバランスの数値が大きいほどRR/WETバランス(転がり抵抗特性とウェットグリップ抵抗性のバランス)が優れていることを示す。
(8)耐摩耗性
アクロン摩耗試験機(安田精機製作所製)を使用し、JIS K6264−2に準じて、荷重44.1N、3000回転の摩耗量を測定し、以下の基準に基づき評価した。磨耗量が少ないほど、耐磨耗性に優れていることを示す。
記号 磨耗量(cc)
(指標) ◎ : 0.10未満
〇 : 0.10以上、0.15未満
△ : 0.15以上
[製造例1]
内容積10Lで、撹拌機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3−ブタジエン560g、スチレン200g、シクロヘキサン4800g、極性化合物として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン1.45gを反応器へ入れ、反応器内温を42℃に保持した。重合開始剤として、n−ブチルリチウム0.09mmolを含むシクロヘキサン溶液を反応器に供給した。重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、最終的な反応器内の温度は80℃に達した。反応温度のピーク到達2分後、反応器に2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンを0.03mmol添加し、75℃で5分間変性反応を実施した。
この重合体溶液に、酸化防止剤(2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン;BHT)2.1gを添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、乾燥機により乾燥処理を施して、変性共役ジエン系重合体(変性SBR1)を得た。
[製造例2]
n−ブチルリチウムの添加量を0.19mmolとし、変性剤として2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンの代わりに1,4−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ピペラジンを0.03mmol用いた以外は製造例1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(変性SBR2)を得た。
[製造例3]
n−ブチルリチウムの添加量を0.19mmol、変性剤として2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンの代わりにビス(3−トリエトキシシリルプロピル)メチルアミンを0.03mmol用いた以外は製造例1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(変性SBR3)を得た。
[製造例4]
変性剤として2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンの代わりにテトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンを0.03mmol用いた以外は製造例1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(変性SBR4)を得た。
[製造例5]
n−ブチルリチウムの添加量を0.07mmolとし、変性剤として2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンの代わりにN,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランを0.03mmol用いた以外は製造例1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(変性SBR5)を得た。
[製造例6]
スチレンを用いずに1,3−ブタジエンの添加量を760gとし、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.08mmol、変性剤として2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンの添加量を0.02mmolとした以外は製造例1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(変性BR−1)を得た。
[製造例7]
重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.10mmol用い、変性剤として2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンの代わりに1,4−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ピペラジンを0.02mmol用いた以外は製造例6と同様にして、変性共役ジエン系重合体(変性BR−2)を得た。
[製造例8]
重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.10mmol用い、変性剤として2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンの代わりにビス(3−トリエトキシシリルプロピル)メチルアミンを0.02mmol用いた以外は製造例6と同様にして、変性共役ジエン系重合体(変性BR−3)を得た。
[製造例9]
変性剤として2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンの代わりにテトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンを0.02mmol用いた以外は製造例6と同様にして、変性共役ジエン系重合体(変性BR−4)を得た。
[製造例10]
重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.06mmol、変性剤として2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンの代わりにN,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランを0.02mmol用いた以外は製造例6と同様にして-、変性共役ジエン系重合体(変性BR−5)を得た。
製造例1〜10で得られた各変性共役ジエン系重合体(変性SBR1〜5、変性BR1〜5)の製造条件及び各物性値を、表1及び表2に示す。
[実施例1]
以下に示す配合に従い、未加硫ゴム組成物、及び加硫ゴム組成物を得た。
・SBR1(変性共役ジエン系重合体):60質量部
・ネオジウム系ブタジエンゴム(ランクセス社製、商品名「Buna CB24」(ネオジウム系触媒により重合されたブタジエンゴム、シス1−4結合含有割合=96.6%、ビニル基含有割合=0.4%、100℃ムーニー粘度=46):40質量部
・シリカ(エボニック デグサ社製、商品名「ウルトラジル7000GR」、窒素吸着比表面積:175m2/g):75質量部
・シランカップリング剤(エボニック デグサ社製、商品名「Si69」(テトラエトキシシリルプロピルテトラスルフィド):6質量部
・プロセスオイルオイル(JX日鉱日石エネルギー社製、商品名「NC140」):42質量部
・カーボンブラック(東海カーボン社製、商品名「シーストKH(N339)」、ヨウ素吸着量90g/kg、CTAB比表面積95m2/g):5質量部
・亜鉛華(三井金属鉱業社製、商品名「亜鉛華1号」):2.5質量部
・ステアリン酸:1.0質量部
・ワックス:(大内新興化学工業社製、商品名「サンノック」、帯黄白色粒状、凝固点65℃以上、比重0.93、:1.5質量部
・老化防止剤(N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン):2.0質量部
・硫黄:2.2質量部
・加硫促進剤(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフィンアミド):1.7質量部
・加硫促進剤(ジフェニルグアニジン):2.0質量部
上記した材料を下記の方法により混練して、未加硫ゴム組成物、及び加硫ゴムシートを得た。
温度制御装置を具備するニーダー(内容量0.5L)を使用し、第一段の混練として、充填率65%、ローター回転数50rpmの条件で、変性共役ジエン重合体(SBR−1)、シリカ系無機充填剤(シリカ)、シランカップリング剤、プロセスオイルを4分混練した。このとき、ニーダーの温度を制御し、排出温度(配合物)は155〜160℃でゴム組成物を得た。
次に、第二段の混練として、上記で得た配合物を室温まで冷却後、カーボンブラック、亜鉛華、ステアリン酸、ワックス,及び老化防止剤を加え、上記ニーダーにて3分混練した。この場合も、混合機の温度制御により排出温度(配合物)を155〜160℃に調整した。そして、ニーダーより上記配合物を排出後、すぐに10インチφオープンロールに配合物を6回通して、シート状の未加硫ゴム組成物を作製した。
更に、オーブンを用いて未加硫組成物を70℃×30分加温した後,第三段の混練として、70℃に設定した10インチφオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤を加えて混練し、組成物を得た。この組成物の一部を取り出して、配合物ムーニー粘度(加工性)を測定した。その後、組成物の残りを160℃×20分間、加硫プレスにて加硫成形して、成形体を得た。得られた成形体の転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、WET/RRバランス、及び耐磨耗性を評価した。
[実施例2]
変性SBR1の代わりに変性SBR2を60質量部用いた以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加工性(配合物ムーニー粘度)、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、WET/RRバランス、及び耐磨耗性を評価した。
[実施例3]
変性SBR1の代わりに変性SBR3を60質量部用いた以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加工性(配合物ムーニー粘度)、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、WET/RRバランス、及び耐磨耗性を評価した。
[実施例4]
変性SBR1の配合量を95質量部、及びネオジウム系ブタジエンゴムの配合量を5質量部とした以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加工性(配合物ムーニー粘度)、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、WET/RRバランス、及び耐磨耗性を評価した。
[実施例5]
変性SBR1の配合量を85質量部、及びネオジウム系ブタジエンゴムの配合量を15質量部とした以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加工性(配合物ムーニー粘度)、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、WET/RRバランス、及び耐磨耗性を評価した。
[実施例6]
変性SBR1の配合量を80質量部、及びネオジウム系ブタジエンゴムの配合量を20質量部とした以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加工性(配合物ムーニー粘度)、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、WET/RRバランス、及び耐磨耗性を評価した。
[実施例7]
変性SBR1の配合量を40質量部、及びネオジウム系ブタジエンゴムの配合量を60質量部とした以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加工性(配合物ムーニー粘度)、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、WET/RRバランス、及び耐磨耗性を評価した。
[実施例8]
変性SBR1の配合量を20質量部、及びネオジウム系ブタジエンゴムの配合量を80質量部とした以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加工性(配合物ムーニー粘度)、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、WET/RRバランス、及び耐磨耗性を評価した。
[比較例1]
変性SBR1の代わりに変性SBR4を20質量部用いた以外は、実施例8と同じ操作を繰り返し、加工性(配合物ムーニー粘度)、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、WET/RRバランス、及び耐磨耗性を評価した。
[比較例2]
変性SBR1の代わりに変性SBR5を20質量部用いた以外は、実施例8と同じ操作を繰り返し、加工性(配合物ムーニー粘度)、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、WET/RRバランス、及び耐磨耗性を評価した。
実施例1〜8、及び比較例1、2における加工性(配合物ムーニー粘度)、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、WET/RRバランス、及び耐磨耗性の評価結果を表3に示す。
表3より、各実施例の変性共役ジエン系重合体組成物は、加工性、転がり抵抗特性、ウェットスキッド抵抗性、及び耐磨耗性のバランスに優れることがわかる。特に、実施例1〜3、5〜7の各種物性バランスがより優れており、実施例1〜3、6、7の各種物性バランスがより一層優れていることが確認された。これに対し、エポキシ基を4つ有する化合物で変性した変性共役ジエン系重合体を用いたもの(比較例1)、及び1つ以上の窒素原子を有しながらシリル基に結合したアルコキシ基が4に満たない化合物で変性した変性共役ジエン系重合体を用いたもの(比較例2)は、加工性、転がり抵抗特性、ウェットスキッド抵抗性、及び耐磨耗性のバランスに劣ることがわかる。
[実施例9]
変性SBR1の代わりに変性BR−1を20質量部、ネオジウム系ブタジエンゴムを30質量部、更に天然ゴム(「#RSS3」)を50質量部用いた以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加工性(配合物ムーニー粘度)、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、WET/RRバランス、及び耐磨耗性を評価した。
[実施例10]
変性BR−1の代わりに変性BR−2を20質量部用いた以外は、実施例9と同じ操作を繰り返し、加工性(配合物ムーニー粘度)、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、WET/RRバランス、及び耐磨耗性を評価した。
[実施例11]
変性BR−1の代わりに変性BR−3を20質量部用いた以外は、実施例9と同じ操作を繰り返し、加工性(配合物ムーニー粘度)、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、WET/RRバランス、及び耐磨耗性を評価した。
[比較例3]
変性BR−1の代わりに変性BR−4を20質量部用いた以外は、実施例9と同じ操作を繰り返し、加工性(配合物ムーニー粘度)、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、WET/RRバランス、及び耐磨耗性を評価した。
[比較例4]
変性BR−1の代わりに変性BR−5を20質量部用いた以外は、実施例9と同じ操作を繰り返し、加工性(配合物ムーニー粘度)、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、WET/RRバランス、及び耐磨耗性を評価した。
[比較例5]
ネオジウム系ブタジエンゴムの代わりにハイシスブタジエンゴム(宇部興産社製、商品名「UBEPOL BR150」)を30質量部用いた以外は、実施例9と同じ操作を繰り返し、加工性(配合物ムーニー粘度)、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、WET/RRバランス、及び耐磨耗性を評価した。
実施例9〜11、及び比較例3蚊等における加工性(配合物ムーニー粘度)、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、WET/RRバランス、及び耐磨耗性の評価結果を表4に示す。
表4より、各実施例は、加工性、転がり抵抗特性、ウェットスキッド抵抗性、及び耐磨耗性のバランスに優れることがわかる(実施例9〜11)。これに対し、エポキシ基を4つ有する化合物で変性した変性共役ジエン系重合体を用いたもの(比較例3)、1つ以上の窒素原子を有しながらシリル基に結合したアルコキシ基が4に満たない化合物で変性した変性共役ジエン系重合体を用いたもの(比較例4)、及びネオジウム系(希土類元素系)触媒を用いて合成されたポリブタジエンゴムを用いないもの(比較例5)は、加工性、転がり抵抗特性、ウェットスキッド抵抗性、及び耐磨耗性のバランスに劣ることがわかる。
本発明によれば、加工性、転がり抵抗特性、ウェットスキッド抵抗性、及び耐磨耗性のバランスに優れる変性共役ジエン系重合体組成物が得られ、タイヤ用トレッドやサイドウォール、履物、工業用品等の各種部材の材料として好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. (A)アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を重合、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合することによって得られる共役ジエン系重合体の重合活性末端に、シリル基に結合したアルコキシ基の総数が4個以上であり、1つ以上の窒素原子を有する化合物を反応させてなる変性共役ジエン系重合体、及び(B)希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンゴムを含むゴム成分と、
    (C)シリカ系無機充填剤と、
    を含有し、
    前記ゴム成分100質量部に対する前記(C)シリカ系無機充填剤の含有量が、1〜300質量部である、変性共役ジエン系重合体組成物。
  2. 前記ゴム成分100質量部に対し、更にカーボンブラック0.5〜100質量部を含有する、請求項1に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
  3. 前記シリル基に結合したアルコキシ基の総数が4個以上であり、1つ以上の窒素原子を有する化合物が、下記式(1)、式(2)、又は式(3)で表される化合物である、請求項1又は請求項2に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
    (式(1)中、R1〜R4は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又はアリール基を表し、R5は炭素数1〜10のアルキレン基を表し、R6は炭素数1〜20のアルキレン基を表し、mは1又は2の整数であり、nは2又は3の整数である。)
    (式(2)中、R7〜R10は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又はアリール基を表し、R11及びR12は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を表し、R13及びR14は、各々独立して、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、かつ隣接する2つのNとともに5員環以上の環構造を形成し、p及びqは、各々独立して、2又は3の整数を表す。)
    (式(3)中、X1及びX2は、炭素数1〜20のアルコキシ基であり、R15及びR16は、それぞれ、炭素数1〜20のアルキル基であり、A1及びA2は、各々独立して、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を表し、A3は下記式(a)又は(b)で表される基を表す。複数の、X1、X2、R15、R16、A1、A2又はA3が存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。r及びsは、各々独立して0〜3の整数である。tは0〜20の整数であり、tが2以上の場合、(A1−A3−A2)で表される複数の繰り返し単位は、各々同一であっても異なっていてもよい。)
    (式(a)中、R17は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。なお、A3が式(a)で表される場合、(r+s)は5又は6の整数である。)
    (式(b)中、A4は単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を表し、X3は炭素数1〜20のアルコキシ基を表す。R18は炭素数1〜20のアルキル基を表す。複数のX4又はR18が存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。uは0〜3の整数である。なお、A3が式(b)で表される場合、[r+(t×u)+s]は5以上の整数である。)
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の変性共役ジエン系重合体組成物を含むトレッド用組成物。
  5. 請求項1〜3の何れかに記載の変性共役ジエン系重合体組成物を含むサイドウォール用組成物。
  6. 請求項4に記載のトレッド用組成物及び/又は請求項5に記載のサイドウォール組成物を含むタイヤ。
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