JP6278691B2 - 変性共役ジエン系重合体組成物 - Google Patents
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Description
このような現状から、自動車用タイヤ、特に地面と接するタイヤトレッドの材料として、転がり抵抗が小さい材料の開発が求められてきている。
一方、安全性の観点からは、ウェットスキッド抵抗に優れ、実用上十分な耐摩耗性、破壊特性を有する材料の開発が求められている。
タイヤトレッドの補強性充填剤としてシリカを用いると、低ヒステリシスロス性及びウェットスキッド抵抗性の向上が図られるという利点を有している。
一方において、カーボンブラックが疎水性表面を有しているのに対して、シリカは親水性表面を有しているため、共役ジエン系ゴムとの親和性が低く、カーボンブラックに比較して分散性が悪いという欠点を有している。そこで、分散性を改良させたり、シリカ−ゴム間の結合付与を行ったりするため、別途シランカップリング剤を含有させたりすることが必要である。
例えば、グリシジルアミノ基を有する変性剤を重合体末端に反応させて得られる変性ジエン系ゴム(例えば、特許文献1参照。)や、グリシドキシアルコキシシランを重合体末端に反応させて得られる変性ジエン系ゴム(例えば、特許文献2参照。)、さらにはアミノ基を含有するアルコキシシラン類を重合体末端に反応させて得られる変性ジエン系ゴム(例えば、特許文献3、4参照。)、及びこれらとシリカとの組成物についての提案がなされている。
また、シリカの分散性を高めると、剛性又は動的弾性率が低下し、操縦安定性が悪化する傾向が見られるため、かかる特性の改良も要求されている。
すなわち、シリカの分散性を改良して低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランスの向上を図り、かつ動的弾性率の低下を抑制する、変性ジエン系ゴムが求められている。
本発明は以下の通りである。
(A)末端に、重合開始剤であるリチウムアミド化合物に由来する下記一般式(1)で表される官能基を有し、
下記一般式(1)で表される官能基を有する前記末端とは異なる末端に、アルコキシシ
リル基とアミンとを含有する官能基を有する変性共役ジエン系重合体と、
R1及びR2は、結合して隣接した窒素原子とともに環状構造を形成していてもよく、その場合はR1及びR2は、合計の炭素数が4〜12の炭化水素基である。)
を、含有する変性共役ジエン系重合体組成物。
前記(A)変性共役ジエン系重合体及び前記(B)変性共役ジエン系重合体が、それぞれ下記一般式(2)〜(8)のいずれかで表される、前記〔1〕に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
iは0〜20の整数であり、iが2以上の場合、(R14−A1−R15)で表される複数の繰り返し単位は、同じであってもよく相異なるものであってもよい。A1は下記一般式(a)、(b)、(c)のいずれかで表される基である。)
lは1又は2の整数であり、mは0又は1の整数であり、l+mは2以下の整数であり、Polymは、共役ジエン系重合体であり、一般式(4)が(A)変性共役ジエン系重合体である場合、複数あってもよいPolymの少なくとも一つの末端が前記一般式(1)で表される官能基である。)
wはvが1の時は3−t−uであり、vが2以上の時は2−tである。
Polymは、共役ジエン系重合体であり、一般式(8)が(A)変性共役ジエン系重合体である場合、複数あってもよいPolymの少なくとも一つの末端が前記一般式(1)で表される官能基である。)
前記(A)変性共役ジエン系重合体及び前記(B)変性共役ジエン系重合体の合計量1
00質量部に対して、
シリカ、クレイ、タルク、マイカ、珪藻土、ウォラストナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、及びガラス繊維からなる群より選ばれる無機充填剤0.5〜300質量部を、さらに含有する、前記〔1〕又は〔2〕に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
〔4〕
前記(A)変性共役ジエン系重合体と前記(B)変性共役ジエン系重合体との質量比率
((A)/(B))が10〜90/90〜10である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか
一に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
なお、本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物は、
(A):末端に下記一般式(1)で表される官能基を有し、
下記一般式(1)で表される官能基を有する前記末端とは異なる末端に、アルコキシシリル基とアミンとを含有する官能基を有する変性共役ジエン系重合体(以下、(A)変性共役ジエン系(共)重合体、変性共役ジエン系(共)重合体(A)、(A)成分と記載する場合がある。)と、
R1及びR2は、結合して隣接した窒素原子とともに環状構造を形成していてもよく、その場合はR1及びR2は、合計の炭素数が4〜12の炭化水素基である。)
を、含有する。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物は、変性共役ジエン系重合体(A)を含む。
変性共役ジエン系重合体(A)は、末端に下記一般式(1)で表される官能基を有し、下記一般式(1)で表される官能基を有する末端とは異なる末端に、アルコキシシリル基とアミンを含有する官能基を有する。
R1及びR2は、結合して隣接した窒素原子とともに環状構造を形成していてもよく、その場合はR1及びR2は、合計の炭素数が4〜12の炭化水素基である。
R1及びR2は、不飽和結合を有していても、分岐構造を有していてもよい。
R3〜R6が、複数存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。
iは0〜20の整数であり、iが2以上の場合、(R14−A1−R15)で表される複数の繰り返し単位は、同一であっても異なっていてもよい。
R10〜R13が、複数存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。
A1は下記一般式(a)、(b)、(c)のいずれかで表される基である。
R19、R20が、複数存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。
lは1又は2の整数であり、mは0又は1の整数であり、l+mは2以下の整数であり、Polymは、共役ジエン系重合体であり、複数あってもよいPolymの少なくとも一つの末端が前記一般式(1)で表される官能基である。
R21、R22が、複数存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。
R29、R30が、複数存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。
は炭素数6〜20のアリール基であり、R36は炭素数1〜20のアルキレン基であり、
R37、R38は、各々独立して炭素数1〜6の炭化水素基であって、隣接する2つのN
とともに5員環以上の環構造をなし、R39、R40は、各々独立して炭素数1〜20の
炭化水素基、活性水素を持たないヘテロ原子で置換されている炭素数1〜20の炭化水素
基、又は3有機置換シリル基であり、pは1又は2の整数であり、qは0又は1の整数であり、p+qは2以下の整数であり、Polymは、共役ジエン系重合体であり、複数あってもよいPolymの少なくとも一つの末端が前記一般式(1)で表される官能基である。
R34、R35が、複数存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていて
もよい。
R41、R42が、複数存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。
wはvが1の時は3−t−uであり、vが2以上の時は2−tである。
Polymは、共役ジエン系重合体であり、複数あってもよいPolymの少なくとも一つの末端が前記一般式(1)で表される官能基である。
R44、R45が、複数存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。
(A)変性共役ジエン系重合体は、リチウムアミド化合物を用いて、炭化水素溶媒中で、共役ジエン化合物を重合、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合させ、得られた共役ジエン系(共)重合体の活性末端に、2つ以上のアルコキシ基で置換されたシリル基と1つ以上のアミンを有する化合物を反応させることにより製造することができる。
変性共役ジエン系重合体(A)を得るために必要な前記リチウムアミド化合物とは、N−Li構造を有する化合物である。前記リチウムアミド化合物は、例えば、下記一般式(9)で表される化合物である。
R1及びR2は、結合して隣接した窒素原子とともに環状構造を形成していてもよく、その場合はR1及びR2は、合計の炭素数が4〜12の炭化水素基である。
R1及びR2は、不飽和結合を有していても、分岐構造を有していてもよい。
前記炭化水素溶媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、飽和炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系溶媒が挙げられる。具体的には、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素及びそれらの混合物からなる炭化水素等が挙げられる。
前記2級アミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、下記一般式(10)で表される化合物が挙げられる。
R1及びR2は、結合して隣接した窒素原子とともに環状構造を形成していてもよく、その場合はR1及びR2は、合計の炭素数が4〜12の炭化水素基である。
R1及びR2は、不飽和結合を有していても、分岐構造を有していてもよい。
(A)変性共役ジエン系重合体を得るために必要な炭化水素溶媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、飽和炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系溶媒が挙げられる。具体的には、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素及びそれらの混合物からなる炭化水素等が挙げられる。
(A)変性共役ジエン系重合体の合成に用いる共役ジエン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらは、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
好ましい化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。
共役ジエン化合物中に、アレン類、アセチレン類等が不純物として含有されていると、(A)変性共役ジエン系重合体を製造する際の変性反応を阻害するおそれがある。そのため、これらの不純物の含有量濃度(質量)の合計は、200ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがより好ましく、50ppm以下であることがさらに好ましい。
アレン類としては、例えば、プロパジエン、1,2−ブタジエン等が挙げられる。
アセチレン類としては、例えば、エチルアセチレン、ビニルアセチレン等が挙げられる。
(A)変性共役ジエン系重合体の合成に用いる芳香族ビニル化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、ジフェニルエチレン等が挙げられる。これらは、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
好ましい化合物としては、スチレンが挙げられる。
重合反応に供する前に、不純物であるアレン類やアセチレン類を有機金属化合物で処理することは、高濃度の活性末端を有する重合体が得られる傾向にあり、更には高い変性率が達成される傾向にあるため好ましい。
有機金属化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−プロピルリチウム、iso−プロピルリチウム等が挙げられる。
(A)変性共役ジエン系重合体の変性前の共役ジエン系重合体の重合反応においては、極性化合物を添加してもよい。
極性化合物を添加することにより芳香族ビニル化合物を共役ジエン化合物とランダムに共重合させることができ、共役ジエン部のミクロ構造を制御するためのビニル化剤としても用いることができる。また、重合速度の改善等にも効果がある。
極性化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン等のエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−t−アミラート、カリウム−t−ブチラート、ナトリウム−t−ブチラート、ナトリウムアミラート等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物等が挙げられる。
これらの極性化合物は、それぞれ1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)変性共役ジエン系重合体中の結合ビニル芳香族化合物量は、加硫物としたときの低ヒステリシスロスの観点から、特に限定されないが、10%から50%であることが好ましく、15%から45%であることがより好ましく、20%から40%であることがさらに好ましい。
結合ビニル芳香族化合物量は、後述する実施例に記載するように、紫外線(UV)を用いてビニル芳香族化合物の吸収スペクトルを測定することにより算出できる。
重量平均分子量は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
分子量分布は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
前記ランダム共重合体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ブタジエン−イソプレンランダム共重合体、ブタジエン−スチレンランダム共重合体、イソプレン−スチレンランダム共重合体、ブタジエン−イソプレン−スチレンランダム共重合体などが挙げられる。
共重合体鎖中の各単量体の組成分布としては、統計的ランダムな組成に近い完全ランダム共重合体、もしくはテーパー状に組成に分布があるテーパーランダム共重合体などがある。共役ジエンの結合様式、すなわち1,4−結合と1,2−結合などの組成は均一であっても分布があってもよい。
例えば、スチレン等の芳香族ビニル化合物からなるブロックをSで、ブタジエンやイソプレン等の共役ジエン化合物からなるブロック及び/又は芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体からなるブロックをBで表すと、S−B2型ブロック共重合体、S−B−S3型ブロック共重合体、S−B−S−B4型ブロック共重合体などであらわされる。
上式において、各ブロックの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。
ブロックBが芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の場合、ブロックB中の芳香族ビニル化合物は均一に分布していても、又はテーパー状に分布していてもよい。
またブロックBには、芳香族ビニル化合物が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個共存していてもよい。
またブロックBには、芳香族ビニル化合物含有量が異なるセグメントが複数個共存していてもよい。
共重合体中にブロックS、ブロックBがそれぞれ複数存在する場合、それらの分子量や組成等の構造は同一でも、異なっていてもよい。
(S−B)n、 S−(B−S)n、B−(S−B)n、(S−B)m−X
[(S−B)n]m−X、[(B−S)n−B]m−X、[(S−B)n−S]m−X
(前記ブロック共重合体の構造例中、nは1以上の整数、好ましくは1〜5の整数である。mは2以上の整数、好ましくは2〜11の整数である。Xはカップリング剤の残基又は多官能開始剤の残基を示す。また、Xに結合しているポリマー鎖の構造は同一でも異なっていてもよい。)
本実施形態において、(A)変性共役ジエン系共重合体の変性前のブロック共重合体としては、上記一般式で表される構造を有するものの任意の混合物でもよい。
重合様式としては、特に限定されないが、回分式、連続式等の重合様式で行うことができる。
前記連続式においては、1個または2個以上の連結された反応器を用いることができる。反応器は、攪拌機付きの槽型、管型などのものが用いられる。
ビニル結合量が上記範囲であると、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性のバランスがさらに優れ、耐摩耗性や破壊強度も満足する加硫物を得ることができる。
ここで、(A)変性共役ジエン系重合体がブタジエンとスチレンを含有する共重合体である場合には、ハンプトンの方法(R.R.Hampton,Analytical Chemistry,21,923(1949))により、ブタジエン結合単位中のビニル結合量(1,2−結合量)を求めることができる。
(A)変性共役ジエン系重合体が、ブタジエンを重合単量体とした重合体である場合には、モレロ法によりブタジエン結合単位中のビニル結合量(1,2−ビニル結合量)を求めることができる。
ミクロ構造(上記(A)変性共役ジエン系重合体中の各ビニル結合量)が上記範囲にあり、さらに重合体のガラス転移温度が−45〜−15℃の範囲にあるときに、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性のバランスにより一層優れた加硫物を得ることができる。ガラス転移温度については、ISO22768:2006に従い、所定の温度範囲で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とする。
このような二重結合の全部又は一部が飽和炭化水素に変換された(A)変性共役ジエン系重合体は、耐熱性、耐候性が向上するため、高温で加工する場合の製品の劣化を防止することができ、また、分子の運動性を変化させ、あるいは他の高分子化合物との相容性を改善することができる。その結果、このような水素化された(A)変性共役ジエン系重合体は、自動車用途など種々の用途で優れた性能を発揮するため、好ましい。共役ジエン化合物に基づく不飽和二重結合の水素化率(すなわち水添率)は目的に合わせて任意に選択でき、特に限定されない。耐熱老化性及び耐候性の良好な(A)変性共役ジエン系重合体を得る場合、当該(A)変性共役ジエン系重合体中の共役ジエン化合物に基づく不飽和二重結合の水添率は70%を超えることが好ましい。より好ましくは75%以上、さらに好ましくは85%以上、さらにより好ましくは90%以上が水添されていることが推奨される。また、熱安定性、分子運動性又は樹脂との相容性の改良の観点からは、(A)変性共役ジエン系重合体中の水添率は好ましくは3%〜70%、より好ましくは5%〜65%、さらに好ましくは10%〜60%である。なお、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体中の芳香族ビニル化合物に基づく芳香族二重結合の水添率については特に制限はないが、水添率を50%以下とすることが好ましく、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下である。水添率は、核磁気共鳴装置(NMR)により測定することができる。
また、芳香族基の水素化は貴金属の担持触媒を用いることによって行うことができる。例えば、(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等が挙げられる。具体例としては、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号、公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報、特開平8−109219号公報に記載された水素化触媒を使用することができる。好ましい水素化触媒としてはチタノセン化合物と還元性有機金属化合物との反応混合物が挙げられる。
本実施形態に用いる(A)変性共役ジエン系重合体は、上述した方法で、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得た後、その活性末端に、2つ以上のアルコキシ基で置換されたシリル基と1つ以上のアミンを有する化合物(以下、変性剤ともいう。)を反応させることによって、(A)変性共役ジエン系重合体が得られる。
変性反応に用いる分子中に2つ以上のアルコキシ基で置換されたシリル基と1つ以上のアミンを有する化合物としては、例えば、下記式(11)〜(18)が挙げられる。
前記一般式(11)で表される変性剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(4−トリメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,2−ジメトキシ−1−(5−トリメトキシシリルペンチル)−1−アザ−2−シラシクロヘプタン、2,2−ジメトキシ−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−エチル−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−エチル−1−(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン等が挙げられる。
これらの中でも、変性剤の官能基とシリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用の観点や、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物の加工性の観点から、m1が2、n1が3であるものが好ましい。具体的には、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンが好ましい。
p2は0〜20の整数であり、p2が2以上の場合、(R69−A61−R68)で表される複数の繰り返し単位は、相異なるものであってもよい。
R61〜R64が、複数存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。
r1は0〜3の整数である。
すなわち、上記一般式(12)中のA61が、前記一般式(d)の化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,4−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ピペラジン、1,4−ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ピペラジン、1,4−ビス[3−(ジメトキシメチルシリル)プロピル]ピペラジン、1,3−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]イミダゾリジン、1,3−ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]イミダゾリジン、1,3−ビス[3−(ジエメトキシエチルシリル)プロピル]イミダゾリジン、1,3−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサヒドロピリミジン、1,3−ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサヒドロピリミジン、1,3−ビス[3−(トリブトキシシリル)プロピル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン等が挙げられる。
プロピルアミン、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)プロピルアミン及びこれらのト
リエトキシシリル化合物に対応するトリメトキシシリル化合物、ビス(3−トリメトキシ
シリルプロピル)N−トリメチルシリルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル
)N−トリメチルシリルアミン、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)N−トリメチル
シリルアミン化合物等が挙げられる。
これらの中でも、変性剤の官能基とシリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の
観点や、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物の加工性の観点から、m2及びn2
が3であるものが好ましい。具体的には、1,4−ビス[3−(トリメトキシシリル)プ
ロピル]ピペラジン、1,4−ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ピペラジン
、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)N−トリメチルシリルアミン、ビス(3−ト
リエトキシシリルプロピル)N−トリメチルシリルアミン、ビス(3−トリエトキシシリ
ルプロピル)メチルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)エチルアミン、ト
リス(トリエトキシシリルメチル)アミンが好ましい。
R101、R102が、複数存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。
これらの中でも、変性剤の官能基とシリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点や、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物の加工性の観点から、N−[2−(トリメトキシシラニル)−エチル]−N,N',N'−トリメチルエタン−1,2−ジアミンが好ましい。
R201、R202が、複数存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。
変性剤の官能基とシリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点や、本実施形態の変性共役ジエン系(共)重合体組成物の加工性の観点から、これらの中でも1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−4−メチルピペラジン、1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−メチルイミダゾリジン、1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−メチルヘキサヒドロピリミジン、1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−4−(トリメチルシリル)ピペラジン、1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(トリメチルシリル)イミダゾリジン、1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(トリメチルシリル)ヘキサヒドロピリミジンが好ましく用いられ、1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−4−メチルピペラジン、1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−4−(トリメチルシリル)ピペラジンがより好ましい。
R301、R302が、複数存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。
変性剤の官能基とシリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点や、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物の加工性の観点から、これらの中でも、2−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−1,3−ジメチルイミダゾリジン、2−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−1,3−(ビストリメチルシリル)イミダゾリジンが好ましい。
R401、R402が、複数存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。
また、[3−(ジメチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、[2−(ジメチルアミノ)エチル]トリエトキシシラン、[3−(ジブチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、 [(3−メチル−3−エチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン及びこれらのトリエトキシシリル化合物に対応するトリメトキシシリル化合物、メチルジエトキシシリル化合物、エチルジエトキシシリル化合物、メチルジメトキシシリル化合物、エチルジメトキシシリル化合物等が挙げられる。
さらに、2−(トリエトキシシリルエチル)ピリジン及びこれらのトリエトキシシリル化合物に対応するトリメトキシシリル化合物、メチルジエトキシシリル化合物、エチルジエトキシシリル化合物、メチルジメトキシシリル化合物、エチルジメトキシシリル化合物等が挙げられる。2−シアノエチルトリエトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、11−シアノウンデシルトリエトキシシラン及びこれらのトリエトキシシリル化合物に対応するトリメトキシシリル化合物、メチルジエトキシシリル化合物、エチルジエトキシシリル化合物、メチルジメトキシシリル化合物、エチルジメトキシシリル化合物等が挙げられる。
これらの中でも、変性剤の官能基とシリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点や、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物の加工性の観点から、3−シアノプロピルトリエトキシシランが好ましい。
R501〜R505、R508が、複数存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。
m8は1〜2の整数である。
R601は、各々同一であっても異なっていてもよい。
上述した変性剤を、重合活性末端に反応させる際の、反応温度、反応時間等については、特に限定されないが、0〜120℃で、30秒以上反応させることが好ましい。
上述した変性剤は、化合物中のシリル基に結合したアルコキシ基の合計モル数が、重合開始剤のアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の添加モル数の0.8〜3倍となる範囲であることが好ましく、1〜2.5倍となる範囲であることがより好ましく、1〜2倍となる範囲であることがさらに好ましい。得られる(A)変性共役ジエン系重合体が十分な変性率を得るために0.8倍以上とすることが好ましく、加工性改良のために重合体末端同士をカップリングさせ分岐状重合体成分を得ることが好ましいことに加え、変性剤コストの観点から3倍以下とすることが好ましい。
失活剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール等が挙げられる。
中和剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、バーサチック酸等のカルボン酸;無機酸の水溶液、炭酸ガス等が挙げられる。
(A)変性共役ジエン系重合体は、重合開始末端をリチウムアミド由来のアミンで変性され、更に重合終了末端を少なくとも2つ以上のアルコキシ基で置換されたシリル基と1つ以上のアミンを有する化合物で変性されているため、後述するシリカ系ゲルを充填剤としたGPCを用いて求められる変性率は、開始末端又は終了末端の少なくともどちらか一方を変性されたポリマーの割合を表す。
ゴム用安定剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。ゴム安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピネート、2−メチル−4,6−ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール等が好ましい。
また、(A)変性共役ジエン系重合体の加工性を改良するために、必要に応じて伸展油を(A)変性共役ジエン系重合体に添加することができる。
伸展油を(A)変性共役ジエン系重合体に添加する方法としては、特に限定されないが、伸展油を重合体溶液に加え、混合して、油展重合体溶液としたものを脱溶媒する方法が好ましい。伸展油としては、例えば、アロマ油、ナフテン油、パラフィン油等が挙げられる。これらの中でも、環境安全上の観点や、オイルブリード防止及びウェットグリップ特性の観点から、IP346法による多環芳香族(PCA)成分が3質量%以下であるアロマ代替油が好ましい。アロマ代替油としては、Kautschuk Gummi Kunststoffe 52(12)799(1999)に示されるTDAE、MES等の他、RAE等が挙げられる。
伸展油の添加量は、特に限定されないが、(A)変性共役ジエン系重合体100質量部に対し10〜60質量部が好ましく、20〜37.5質量部がより好ましい。
例えば、スチームストリッピング等で溶媒を分離した後、重合体を濾別し、さらにそれを脱水及び乾燥して重合体を取得する方法、フラッシングタンクで濃縮し、さらにベント押し出し機等で脱揮する方法、ドラムドライヤー等で直接脱揮する方法等が挙げられる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物は、末端にアルコキシシリル基とアミンを含有する官能基を有する変性共役ジエン系重合体(B)を含む.
R3〜R6が、複数存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。
iは0〜20の整数であり、iが2以上の場合、(R14−A1−R15)で表される複数の繰り返し単位は、同じであってもよく相異なるものであってもよい。
R10〜R13が、複数存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。
A1は下記一般式(a)、(b)、(c)のいずれかで表される基である。
R19、R20が、複数存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。
lは1又は2の整数であり、mは0又は1の整数であり、l+mは2以下の整数であり、Polymは、共役ジエン系重合体である。
R21、R22が、複数存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。
R29、R30が、複数存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。
R34、R35が、複数存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。
R41、R42が、複数存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。
R44、R45が、複数存在するときは、それらは、各々同一であっても異なっていてもよい。
本実施形態に用いる(B)変性共役ジエン系重合体は、有機リチウム化合物を用いて、炭化水素溶媒中、共役ジエン化合物を重合させ、もしくは共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合させ、得られた共役ジエン重合体の活性末端に、2つ以上のアルコキシ基で置換されたシリル基と1つ以上の窒素原子を有する化合物を反応させることにより製造できる。
(B)変性共役ジエン系重合体(B)を得るために用いる有機リチウム化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−プロピルリチウム、iso−プロピルリチウム等が挙げられる。
(B)変性共役ジエン系重合体を構成する共役ジエン系重合体中の結合ビニル芳香族化合物量は、加硫物としたときの低ヒステリシスロスの観点から、特に限定されないが、0%から40%であることが好ましく、0%から30%であることがより好ましく、0%から20%であることがさらに好ましい。
結合ビニル芳香族化合物量は、後述する実施例に記載のようにUVを用いてビニル芳香族化合物の吸収スペクトルを測定することにより算出できる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物における、上述した(A)成分と(B)成分との配合比率(質量比)は、(A)変性共役ジエン系重合体/(B)変性共役ジエン系重合体として、10/90〜90/10が好ましく、30/70〜90/10がより好ましく、50/50〜80/20がさらに好ましい。
(A)変性共役ジエン系重合体/(B)変性共役ジエン系重合体の配合比率が上記範囲であると、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性のバランスがさらに優れ、耐摩耗性や破壊強度もより一層満足する加硫物を得ることができる。
加硫物は、例えば、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物を、必要に応じて、シリカ系無機充填剤やカーボンブラック等の無機充填剤、本実施形態の変性共役ジエン系ゴム組成物以外のゴム状重合体、シランカップリング剤、ゴム用軟化剤、加硫剤、加硫促進剤・助剤等と混合して、変性共役ジエン系重合体組成物とした後、加熱して加硫することにより得られる。これらの中でも、シリカ系無機充填剤を含む変性共役ジエン系重合体組成物とすることが好ましい。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物に、シリカ系無機充填剤を分散させることにより、加硫物としたときに、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランスに優れ、かつ実用上十分な耐摩耗性や破壊強度を有し、優れた加工性を付与できる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物が、タイヤ、防振ゴム等の自動車部品、靴等の加硫ゴム用途に用いられる場合にも、補強性充填剤としてシリカ系無機充填剤を含むことが好ましい。
このようなゴム状重合体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、共役ジエン系(共)重合体又はその水素添加物、共役ジエン系化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合体又はその水素添加物、共役ジエン系化合物とビニル芳香族化合物とのブロック共重合体又はその水素添加物、非ジエン系重合体、天然ゴム等が挙げられる。具体的には、ブタジエンゴム又はその水素添加物、イソプレンゴム又はその水素添加物、スチレン−ブタジエンゴム又はその水素添加物、スチレン−ブタジエンブロック共重合体又はその水素添加物、スチレン−イソプレンブロック共重合体又はその水素添加物等のスチレン系エラストマー、アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はその水素添加物等が挙げられる。
前記非ジエン系重合体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−ブテン−ジエンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレン−ヘキセンゴム、エチレン−オクテンゴム等のオレフィン系エラストマー;ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、α、β−不飽和ニトリル−アクリル酸エステル−共役ジエン共重合ゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム等が挙げられる。
上述した各種ゴム状重合体は、水酸基やアミノ基等の極性を有する官能基を付与した変性ゴムであってもよい。また前記各種ゴム状重合体の重量平均分子量は、性能と加工特性のバランスの観点から、2,000〜2,000,000であることが好ましく、5,000〜1,500,000であることがより好ましい。また、低分子量のいわゆる液状ゴムを用いることもできる。これらのゴム状重合体は、単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記シリカ系無機充填剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、シリカ、クレイ、タルク、マイカ、珪藻土、ウォラストナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、ガラス繊維等の無機繊維状物質等が挙げられる。
また、表面を疎水化したシリカ系無機充填剤や、シリカ系無機充填剤とシリカ系以外の無機充填剤との混合物も用いることができる。
これらの中でも、補強性の観点から、シリカ及びガラス繊維が好ましく、シリカがより好ましい。
シリカとしては、乾式シリカ、湿式シリカ、合成ケイ酸塩シリカ等が挙げられる。これらの中でも、破壊特性の改良効果及びウェットスキッド抵抗性のバランスに優れる観点から、湿式シリカが好ましい。
また必要に応じて、比較的比表面積が小さい(例えば、比表面積が200m2/g以下のシリカ系無機充填剤)と、比較的比表面積の大きい(例えば、200m2/g以上のシリカ系無機充填剤)と、を組み合わせて用いることができる。これにより、良好な耐摩耗性や破壊特性と低ヒステリシスロス性を高度にバランスさせることができる。
シリカ系無機充填剤の配合量は、無機充填剤の添加効果が発現する観点から、前記(A)成分と(B)成分との合計量100質量部に対して0.5質量部以上とすることが好ましく、一方、無機充填剤を十分に分散させ、組成物の加工性や機械強度を実用的に十分なものとする観点から、300質量部以下とすることが好ましい。
カーボンブラックとしては、特に限定されず、例えば、SRF、FEF、HAF、ISAF、SAF等の各クラスのカーボンブラックが使用できる。これらの中でも、窒素吸着比表面積が50m2/g以上、DBP(Di-butyl phthalate)吸油量が80mL/100gのカーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックの配合量は、上述した(A)成分、(B)成分を含むゴム成分100質量部に対し、0.5〜100質量部が好ましく、3〜100質量部がより好ましく、5〜50質量部がさらに好ましい。
カーボンブラックの配合量は、ドライグリップ性能や導電性等のタイヤ等の用途に求められる性能を発現する観点から、ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上とすることが好ましく、分散性の観点から、100質量部以下とすることが好ましい。
金属酸化物とは、化学式MxOy(Mは金属原子を表し、x及びyは各々1〜6の整数を表す。)を構成単位の主成分とする固体粒子のことをいい、例えば、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等を用いることができる。
また金属酸化物と金属酸化物以外の無機充填剤の混合物も用いることができる。
金属水酸化物としては、特に限定されず、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム等が挙げられる。
シランカップリング剤は、ゴム成分とシリカ系無機充填剤との相互作用を緊密にする機能を有しており、ゴム成分及びシリカ系無機充填剤のそれぞれに対する親和性又は結合性の基を有しており、一般的には、硫黄結合部分とアルコキシシリル基、シラノール基部分を一分子中に有する化合物が用いられる。具体的には、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−テトラスルフィド、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−ジスルフィド、ビス−[2−(トリエトキシシリル)−エチル]−テトラスルフィド等が挙げられる。
シランカップリング剤の配合量は、上述したシリカ系無機充填剤100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましく、1〜15質量部がさらに好ましい。シランカップリング剤の配合量が上記範囲であると、シランカップリング剤による上記添加効果を一層顕著なものにできる。
ゴム用軟化剤としては、鉱物油、又は液状若しくは低分子量の合成軟化剤が好適である。
ゴムの軟化、増容、加工性の向上を図るために使用されているプロセスオイル又はエクステンダーオイルと呼ばれる鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族環、ナフテン環、及びパラフィン鎖の混合物であり、パラフィン鎖の炭素数が全炭素中50%以上を占めるものがパラフィン系と呼ばれ、ナフテン環炭素数が30〜45%のものがナフテン系、芳香族炭素数が30%を超えるものが芳香族系と呼ばれている。
本実施形態の変性共役系重合体組成物とともに用いるゴム用軟化剤としては、適度な芳香族含量を有するものが共重合体との馴染みがよい傾向にあるため好ましい。
ゴム用軟化剤の配合量は、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物を含有するゴム成分100質量部に対して、0〜100質量部が好ましく、10〜90質量部がより好ましく、30〜90質量部がさらに好ましい。ゴム用軟化剤の配合量がゴム成分100質量部に対して100質量部を超えると、ブリードアウトを生じやすく、組成物表面にベタツキを生ずるおそれがある。
例えば、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解混合後、溶剤を加熱除去する方法等が挙げられる。
これらのうち、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機による溶融混練法が生産性、良混練性の観点から好ましい。
また、変性共役ジエン系(共)重合体と各種配合剤とを一度に混練する方法、複数の回数に分けて混合する方法のいずれも適用可能である。
加硫剤としては、例えば、有機過酸化物及びアゾ化合物等のラジカル発生剤、オキシム化合物、ニトロソ化合物、ポリアミン化合物、硫黄、硫黄化合物が使用できる。硫黄化合物には、一塩化硫黄、二塩化硫黄、ジスルフィド化合物、高分子多硫化合物等が含まれる。加硫剤の使用量は、通常は、(A)成分、(B)成分を含むゴム成分100質量部に対して0.01〜20質量部であり、0.1〜15質量部が好ましい。
加硫方法としては、従来公知の方法を適用でき、加硫温度は、通常120〜200℃、であり、好ましくは140〜180℃である。
また、加硫に際しては、必要に応じて加硫促進剤を用いてもよい。加硫促進剤としては、従来公知の材料を用いることができ、例えば、スルフェンアミド系、グアニジン系、チウラム系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、チオ尿素系、ジチオカルバメート系等の加硫促進剤が挙げられる。また、加硫助剤としては、亜鉛華、ステアリン酸等を使用できる。加硫促進剤の使用量は、通常、(A)成分、(B)成分を含むゴム成分100質量部に対して0.01〜20質量部であり、0.1〜15質量部が好ましい。
その他の充填剤としては、具体的には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
上記の耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、着色剤、潤滑剤としては、それぞれ公知の材料を用いることができる。
試料をクロロホルム溶液とし、スチレンのフェニル基によるUV254nmの吸収により結合スチレン量(質量%)を測定した(島津製作所製:UV−2450)。
試料を二硫化炭素溶液とし、溶液セルを用いて、測定装置として、日本分光(株)製:FTIR230を用いて、赤外線スペクトルを600〜1000cm−1の範囲で測定して、所定の波数における吸光度により、ハンプトンの方法又はモレロの方法の計算式に従い、ブタジエン部分のミクロ構造を求めた。
JIS K 6300に従い、100℃で1分間余熱し、4分後の粘度を測定した。
ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結して用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を使用して、クロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用した検量線により重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を求め、重量平均分子量と数平均分子量の比から分子量分布の指標(Mw/Mn)を計算した。溶離液としてはテトラヒドロフラン(THF)を使用した。
カラムは、ガードカラム:東ソー TSKguardcolumn HHR−H、カラム:東ソー TSKgel G6000HHR、TSKgel G5000HHR、TSKgel G4000HHRを使用した。
オーブン温度40℃、THF流量1.0mL/分の条件で、東ソー製 HLC8020のRI検出器を用いて分子量の測定を行った。試料10mgをTHF20mLに溶解し、この溶液200μLを装置に注入して測定した。
シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに変性した成分が吸着する特性を応用し、試料及び分子量5000の標準ポリスチレン(ポリスチレンはカラムに吸着しない)を含む試料溶液を用いて、前記ポリスチレン系ゲルカラムのGPCと、シリカ系カラム(ガードカラム:DIOL 4.6×12.5mm 5micron、カラム:Zorbax PSM−1000S、PSM−300S、PSM−60S、オーブン温度40℃、THF流量0.5ml/分)のGPC(東ソー製CCP8020シリーズ ビルドアップ型GPCシステム:AS−8020、SD−8022、CCPS、CO−8020、RI−8021)の両クロマトグラムを、RI検出器を用いて測定し、それらの差分よりシリカカラムへの吸着量を測定し変性率を求めた。
試料は、20mLのTHFに対して10mgを標準ポリスチレン5mgとともに溶解し、200μL注入して測定した。
具体的な手順としては、ポリスチレン系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、サンプルピーク面積をP1、標準ポリスチレンのピーク面積をP2とし、シリカ系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、サンプルピーク面積をP3、標準ポリスチレンのピーク面積をP4として、変性率(%)は[1−(P2×P3)/(P1×P4)]×100の計算式により算出した。
(変性共役ジエン系重合体(SB1)の製造(成分A))
内容積5リットルで、撹拌機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去したブタジエン265g、スチレン93g、シクロヘキサン2030g、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン4.1mmolを反応器へ入れ、反応器内の温度を50℃に保持した。
1−リチオピペリジンのc−hex溶液をリチウム添加量として5.1mmolとなるように反応器に供給した。反応開始後、重合による発熱で、反応器内の温度は上昇を始め、最終的な反応器内の温度は78℃に達した。
重合反応終了後、反応器に2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザー2−シラシクロペンタンを0.9mmol添加して、78℃の温度条件で5分間の変性反応を実施した。この重合体溶液に酸化防止剤(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール:BHT)1.0gを添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、乾燥機により乾燥処理を施して、変性共役ジエン系重合体(A)に相当する「変性成分を有するスチレン−ブタジエン共重合体(試料SBR1)」を得た。
試料SB1を分析した結果、結合スチレン量は27質量%、結合ブタジエン量は73質量%であった。また、試料SB1のムーニー粘度は61であった。
赤外分光光度計を用いた測定結果よりハンプトン法に準じて計算して求めたブタジエン部分のミクロ構造の1,2−結合量は57%であった。また、シリカ系吸着カラムを用いるGPCから求めた変性率は98%であった。
試料SB1の分析結果を下記表1に示す。
リチウムアミド化合物の種類、リチウムアミド化合物の添加量、極性物質の添加量、変性剤の種類、変性剤の添加量を下記表1に示すように調整した。その他の製造条件については、上述した(SB1)と同様にして試料SBR2〜9を得た。
内容積5リットルで、撹拌機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去したブタジエン265g、スチレン93g、シクロヘキサン2030g、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン2.3mmolを反応器へ入れ、反応器内の温度を50℃に保持した。
n−ブチルリチウムのn−hex溶液をリチウム添加量として2.3mmolとなるように反応器に供給した。反応開始後、重合による発熱で、反応器内の温度は上昇を始め、最終的な反応器内の温度は78℃に達した。
重合反応終了後、反応器にN−[2−(トリメトキシシラニル)−エチル]−N,N',N'−トリメチルエタン−1,2−ジアミンを1.3mmol添加して、78℃の温度条件で5分間の変性反応を実施した。この重合体溶液に酸化防止剤(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール:BHT)1.0gを添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、乾燥機により乾燥処理を施して、変性共役ジエン系重合体に相当する「変性成分を有するスチレン−ブタジエン共重合体(試料SB10)」を得た。
試料SB10を分析した結果、結合スチレン量は26質量%、結合ブタジエン量は74質量%であった。また、試料SB10のムーニー粘度は60であった。
赤外分光光度計を用いた測定結果よりハンプトン法に準じて計算して求めたブタジエン部分のミクロ構造の1,2−結合量は58%であった。また、シリカ系吸着カラムを用いるGPCから求めた変性率は88%であった。試料SB10の分析結果を下記表1に示す。
内容積5リットルで、撹拌機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去したブタジエン358g、シクロヘキサン2030g、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン0.041mmolを反応器へ入れ、反応器内の温度を45℃に保持した。
n−ブチルリチウムのn−hex溶液をリチウム添加量として4.1mmolとなるように反応器に供給した。反応開始後、重合による発熱で、反応器内の温度は上昇を始め、最終的な反応器内の温度は83℃に達した。
重合反応終了後、反応器に2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザー2−シラシクロペンタンを0.9mmol添加して、83℃の温度条件で5分間の変性反応を実施した。この重合体溶液に酸化防止剤(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール:BHT)1.0gを添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、乾燥機により乾燥処理を施して、変性共役ジエン系重合体に相当する変性成分を有するスチレン−ブタジエン共重合体(試料B1)を得た。
試料B1を分析した結果、ムーニー粘度は60であった。
赤外分光光度計を用いた測定結果よりハンプトン法に準じて計算して求めたブタジエン部分のミクロ構造の1,2−結合量は13%であった。また、シリカ系吸着カラムを用いるGPCから求めた変性率は85%であった。試料B1の分析結果を下記表2に示す。
n−ブチルリチウムの添加量、極性物質の添加量、変性剤の種類、変性剤の添加量を下記表2に示すように調整した。その他の製造条件については、上述した(B1)と同様にして試料B2〜9を得た。
(実施例1〜11)、(比較例1)
上記表1及び2に示す試料(試料SB1〜SB10、試料B1〜B9)を原料ゴムとして、以下に示す配合に従い、それぞれの原料ゴムを含有する、変性共役ジエン系重合体組成物を製造した。
・B(変性共役ジエン系重合体(B)):30質量部
・シリカ(エボニック デグサ社製、商品名「ウルトラジル7000GR」、窒素吸着比表面積:175m2/g):75質量部
・シランカップリング剤(エボニック デグサ社製、商品名「Si75」(テトラエトキシシリルプロピルジスルフィド):6質量部
・プロセスオイルオイル(JX日鉱日石エネルギー社製、商品名「NC140」):42質量部
・カーボンブラック(東海カーボン社製、商品名「シーストKH(N339)」、ヨウ素吸着量90g/kg、CTAB比表面積95m2/g):5質量部
・亜鉛華(三井金属鉱業社製、商品名「亜鉛華1号」):2.5質量部
・ステアリン酸:1.0質量部
・ワックス:(大内新興化学工業社製、商品名「サンノック」、帯黄白色粒状、凝固点65℃以上、比重0.93、:1.5質量部
・老化防止剤(N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン):2.0質量部
・硫黄:2.2質量部
・加硫促進剤(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフィンアミド):1.7質量部
・加硫促進剤(ジフェニルグアニジン):2.0質量部
温度制御装置を具備するニーダー(内容量0.5L)を使用し、第一段の混練として、充填率65%、ローター回転数50rpmの条件で、変性共役ジエン系重合体(SB)、変性共役ジエン重合体系重合体(B)、シリカ系無機充填剤(シリカ)、シランカップリング剤、プロセスオイルを4分混練した。このとき、ニーダーの温度を制御し、排出温度(配合物)は155〜160℃でゴム組成物を得た。
次に、第二段の混練として、上記で得た配合物を室温まで冷却後、カーボンブラック、亜鉛華、ステアリン酸、ワックス、及び老化防止剤を加え、上記ニーダーにて3分混練した。この場合も、混合機の温度制御により排出温度(配合物)を155〜160℃に調整した。そして、ニーダーより上記配合物を排出後、すぐに10インチφオープンロールに配合物を6回通して、シート状の未加硫ゴム組成物を製造し、冷却した後、加工性((未加硫)ムーニー粘度)を評価した。
更に、オーブンを用いて前記未加硫ゴム組成物を70℃×30分加温した後、第三段の混練として、70℃に設定した10インチφオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤を加えて混練し、組成物を得た。その後、組成物を160℃×20分間、加硫プレスにて加硫成形して、加硫物を得た。加硫物の特性測定結果を下記表3に示す。
(B)変性ブタジエン重合体に代えて、宇部興産株式社製のUBEPOL BR150を使用した。その他の条件は、実施例1と同様の方法で加硫物を得た。
加硫物の特性の測定結果を下記表3に示す。
(B)変性ブタジエン重合体に代えて天然ゴム(NR)を使用した。その他の条件は、実施例1と同様の方法で加硫物を得た。
加硫物の特性の測定結果を下記表3に示す。
<バウンドラバー量>
第2段混練工程の終了後の配合物:約0.2グラムを約1mm角状に裁断し、ハリスかご(100メッシュ金網製)へ入れ、質量を測定した。
その後、トルエン中に24時間浸せき後、乾燥処理を施し、質量を測定した。
非溶解成分の量から充填剤に結合したゴム(変性共役ジエン系重合体+天然ゴム)の量を計算し、最初の配合物中のゴム量に対する充填剤と結合したゴムの割合(バウンドラバー量(%)を算出した。
ムーニー粘度計を使用し、JIS K6300−1により、130℃で、予熱を1分間
行った後に、ローターを毎分2回転で回転させ4分後の粘度を測定した。
各々の測定値は、各実施例及び比較例については比較例1を100として指数化した。値が小さいほど加工性に優れることを示す。
実施例及び比較例において製造した加硫物について、JIS K6251の引張試験法により引張伸び、破断強度を測定した。
各々の測定値は、各実施例及び比較例については比較例1を100として指数化した。数値が大きいほど耐破壊性に優れることを示す。
実施例及び比較例において製造した加硫物について、レオメトリックス・サイエンティフィック社製の粘弾性試験機(ARES)を使用し、ねじりモードで粘弾性パラメータを測定した。
0℃において周波数10Hz、ひずみ1%で測定したtanδをウェットグリップ性能の指標とした。値が大きいほどウェットグリップ性能が良好であることを示す。各々の測定値は、各実施例及び比較例については比較例1を100として指数化した。
また50℃において周波数10Hz、ひずみ3%で測定したtanδを省燃費特性の指標とした。値の小さいほど省燃費性能が良好であることを示す。各々の測定値は、各実施例及び比較例については比較例1を100として指数化した。
50℃において周波数10Hz、ひずみ3%で測定したG’を操縦安定性の指標とした。値の大きいほど操縦安定性が良好であることを示す。各々の測定値は、各実施例及び比較例については比較例1を100として指数化した。
また、ひずみ0.1%と10%での貯蔵弾性率(G’)の差をΔG’としてペイン効果の指標とした。値の小さいほどシリカ等充填剤の分散性が良いことを示す。
実施例及び比較例において製造した加硫物について、アクロン摩耗試験機を使用し、荷重6ポンド、1000回転の摩耗量を測定した、各々の測定値は、各実施例及び比較例については比較例1を100として指数化した。指数の大きいほど耐摩耗性が優れることを示す。
Claims (4)
- (A)末端に、重合開始剤であるリチウムアミド化合物に由来する下記一般式(1)で表される官能基を有し、
下記一般式(1)で表される官能基を有する前記末端とは異なる末端に、アルコキシシ
リル基とアミンとを含有する官能基を有する変性共役ジエン系重合体と、
(前記一般式(1)中、R1及びR2は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜14
のシクロアルキル基、及び炭素数6〜20のアリール基からなる群より選択されるいずれ
かであり、同一であっても異なっていてもよい。
R1及びR2は、結合して隣接した窒素原子とともに環状構造を形成していてもよく、
その場合はR1及びR2は、合計の炭素数が4〜12の炭化水素基である。)
(B)末端にアルコキシシリル基とアミンを含有する官能基を有し、前記末端とは異なる末端に、重合開始剤であるn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−プロピルリチウム、及びisо−プロピルリチウムからなる群より選ばれるリチウム化合物に由来する構造を有する変性共役ジエン系重合体と、
を、含有する変性共役ジエン系重合体組成物。 - 前記(A)変性共役ジエン系重合体及び前記(B)変性共役ジエン系重合体が、それぞ
れ下記一般式(2)〜(8)のいずれかで表される、請求項1に記載の変性共役ジエン系
重合体組成物。
(前記一般式(2)中、R3〜R6は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は
炭素数6〜20のアリール基であり、R7及びR8は、炭素数1〜20のアルキレン基で
あり、R9は水素又は炭化水素で置換されたシリル基である。a及びcは、各々独立して
1又は2の整数であり、b及びdは、各々独立して0又は1の整数であり、a+b及びc
+dは2以下の整数であり、Polymは、共役ジエン系重合体であり、一般式(2)が
(A)変性共役ジエン系重合体である場合、Polymの少なくとも一つの末端が前記一
般式(1)で表される官能基である。)
(前記一般式(3)中、R10〜R13は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基
又は炭素数6〜20のアリール基であり、R14及びR15は、各々独立して炭素数1〜
20のアルキレン基であり、e及びgは、各々独立して0〜2の整数であり、eもしくは
gのどちらかが1以上である。f及びhは、各々独立して0又は1の整数であり、e+f
及びg+hは2以下の整数であり、Polymは、共役ジエン系重合体であり、一般式(
3)が(A)変性共役ジエン系重合体である場合、複数あってもよいPolymの少なく
とも一つの末端が前記一般式(1)で表される官能基である。
iは0〜20の整数であり、iが2以上の場合、(R14−A1−R15)で表される
複数の繰り返し単位は、同じであってもよく相異なるものであってもよい。A1は下記一
般式(a)、(b)、(c)のいずれかで表される基である。)
(前記一般式(a)において、R16及びR17は、各々独立して、炭素数1〜20のアル
キレン基であり、かつ隣接する2つのNとともに5員環以上の環構造を形成する。)
(前記一般式(b)において、R18は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20の
アリール基、及び活性水素を持たないヘテロ原子で置換されている炭素数1〜20の炭化
水素基、からなる群より選ばれるいずれかである。)
(前記一般式(c)において、R19は炭素数1〜20のアルキレン基であり、R19及
びR20は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール
基である。jは0〜2の整数であり、kは0又は1の整数であり、j+kは2以下の整数
であり、Polymは、共役ジエン系重合体であり、一般式(3)が(A)変性共役ジエ
ン系重合体である場合、複数あってもよいPolymの少なくとも一つの末端が前記一般
式(1)で表される官能基である。
(前記一般式(4)中、R21、R22は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基
又は炭素数6〜20のアリール基であり、R23、R24は、各々独立して、炭素数1〜
20のアルキレン基であり、R25、R26、R27は、各々独立して、Si、O、又は
Nを含み、活性水素を持たない有機基で置換されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素
基である。
lは1又は2の整数であり、mは0又は1の整数であり、l+mは2以下の整数であり
、Polymは、共役ジエン系重合体であり、一般式(4)が(A)変性共役ジエン系重
合体である場合、複数あってもよいPolymの少なくとも一つの末端が前記一般式(1
)で表される官能基である。)
(前記一般式(5)中、R28、R29は、各々独立して炭素数1〜20のアルキル基又
は炭素数6〜20のアリール基であり、R30は炭素数1〜20のアルキレン基であり、
R31、R32は、各々独立して炭素数1〜6の炭化水素基であって、隣接する2つのN
とともに5員環以上の環構造をなし、R33は炭素数1〜20の炭化水素基、活性水素を
持たないヘテロ原子で置換されている炭素数1〜20の炭化水素基、又は3有機置換シリ
ル基であり、nは1又は2の整数であり、oは0又は1の整数であり、n+oは2以下の
整数であり、Polymは、共役ジエン系重合体であり、一般式(5)が(A)変性共役
ジエン系重合体である場合、複数あってもよいPolymの少なくとも一つの末端が前記
一般式(1)で表される官能基である。)
(前記一般式(6)中、R34、R35は、各々独立して炭素数1〜20のアルキル基又
は炭素数6〜20のアリール基であり、R36は炭素数1〜20のアルキレン基であり、
R37、R38は、各々独立して炭素数1〜6の炭化水素基であって、隣接する2つのN
とともに5員環以上の環構造をなし、R39、R40は、各々独立して炭素数1〜20の
炭化水素基、活性水素を持たないヘテロ原子で置換されている炭素数1〜20の炭化水素
基、又は3有機置換シリル基であり、pは1又は2の整数であり、qは0又は1の整数であり、p+qは2以下の整数であり、Polymは、共役ジエン系重合体であり、一般式(6)が(A)変性共役ジエン系重合体である場合、複数あってもよいPolymの少なくとも一つの末端が前記一般式(1)で表される官能基である。)
(前記一般式(7)において、A2は三級アミン、ピリジン、シアン、イミンの中から選
ばれる少なくとも一種の官能基を有する一価の基であり、R41及びR42は、各々独立
して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であり、R43は炭
素数1〜20のアルキレン基である。rは1又は2の整数であり、sは0又は1の整数で
あり、Polymは、共役ジエン系重合体であり、一般式(7)が(A)変性共役ジエン
系重合体である場合、複数あってもよいPolymの少なくとも一つの末端が前記一般式(1)で表される官能基である。)
(前記一般式(8)において、R44は炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20
のアリール基であり、R45は炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリー
ル基、もしくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、R46は炭素数1〜20のアルキ
レン基である。R47及びR48は、各々独立に水素であるか、炭化水素で置換されたシ
リル基である。tは1〜2の整数であり、uは0〜1の整数であり、vは1〜10の整数
である。
wはvが1の時は3−t−uであり、vが2以上の時は2−tである。
Polymは、共役ジエン系重合体であり、一般式(8)が(A)変性共役ジエン系重
合体である場合、複数あってもよいPolymの少なくとも一つの末端が前記一般式(1
)で表される官能基である。) - 前記(A)変性共役ジエン系重合体及び前記(B)変性共役ジエン系重合体の合計量1
00質量部に対して、
シリカ、クレイ、タルク、マイカ、珪藻土、ウォラストナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、及びガラス繊維からなる群より選ばれる無機充填剤0.5〜300質量部を、さらに含有する、請求項1又は2に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。 - 前記(A)変性共役ジエン系重合体と前記(B)変性共役ジエン系重合体との質量比率
((A)/(B))が10〜90/90〜10である、請求項1乃至3のいずれか一項に
記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
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