JP5850699B2 - ベーストレッド用ゴム組成物 - Google Patents
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Description
転がり抵抗特性を改善する方法としては、例えば、シリカ等の補強剤の配合量を減じる方法が知られているが、かかる配合量を減じると、ゴム組成物の形状が安定せず、押し出し加工性が悪化する傾向があった。これに対し、押し出し加工性の悪化を抑制できる方法として、固体のレジンを配合する方法等が知られているが、転がり抵抗特性が悪化する傾向がある。
以上のように、転がり抵抗特性と押し出し加工性は相反する関係にあり、両性能を改善する方法が望まれていた。
[1]
アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を重合することによって、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合することによって得られる共役ジエン系重合体の重合活性末端に、シリル基に結合したアルコキシ基の総数が4個以上であり、1つ以上の窒素原子を有する化合物を反応させてなる変性共役ジエン系重合体を含有するゴム成分100質量部に対し、シリカ系無機充填剤1〜300質量部を含むベーストレッド用ゴム組成物。
[2]
前記ゴム成分100質量部に対し、更にカーボンブラックを0.5〜100質量部含む、[1]に記載のベーストレッド用ゴム組成物。
[3]
前記シリル基に結合したアルコキシ基の総数が4個以上であり、1つ以上の窒素原子を有する化合物が、下記一般式(1)、一般式(2)、及び一般式(3)で表される化合物からなる群から選ばれる、[1]又は[2]に記載のベーストレッド用ゴム組成物。
[4]
前記変性共役ジエン系重合体が、前記ゴム成分中の5〜75質量%を含む、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のベーストレッド用ゴム組成物。
[5]
ゴム成分として、さらに天然ゴム又はハイシスポリブタジエンを含む、請求項[1]〜[4]のいずれか1項に記載のベーストレッド用ゴム組成物。
[6]
[1]〜[5]のいずれか1項に記載のベーストレッド用ゴム組成物の架橋物によりベーストレッドが構成されてなるタイヤ。
<変性共役ジエン系重合体>
本実施形態のベーストレッド用ゴム組成物に用いられるゴム成分は、変性共役ジエン共重合体を含有する。変性共役ジエン系重合体は、アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を重合することによって、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合することによって得られる共役ジエン系重合体の重合活性末端に、シリル基に結合したアルコキシ基の総数が4個以上であり、1つ以上の窒素原子を有する化合物を反応させてなるものである。
ランダム共重合体としては、例えばブタジエン−イソプレンランダム共重合体、ブタジエン−スチレンランダム共重合体、イソプレン−スチレンランダム共重合体、ブタジエン−イソプレン−スチレンランダム共重合体等が挙げられる。共重合体鎖中の各単量体の組成分布としては、特に限定されず、例えば統計的ランダムな組成に近い完全ランダム共重合体、組成がテーパー状に分布しているテーパー(勾配)ランダム共重合体等が挙げられる。
上式におけるS−B等の各ブロックの境界及び各S、B内における境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。例えばブロックBが芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の場合、ブロックB中の芳香族ビニル化合物は均一に分布していても、又はテーパー状に分布していてもよい。また、ブロックBに、芳香族ビニル化合物が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個共存していてもよい。さらには、ブロックBに、芳香族ビニル化合物含有量が異なるセグメントが複数個共存していてもよい。共重合体中にブロックS、ブロックBがそれぞれ複数存在する場合、それらの分子量や組成等の構造は、同一でもよいし、異なっていてもよい。
より具体的には、共役ジエン化合物に基づく不飽和二重結合の水素化率(すなわち「水添率」)は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。加硫ゴムとして変性共役ジエン系重合体を用いる場合には、共役ジエン部の二重結合が部分的に残存していることが好ましい。かかる観点から、水素化を行う場合には、共役ジエン系重合体中の共役ジエン部の水添率は3〜70%であることが好ましく、5〜65%であることがより好ましく、10〜60%であることが更に好ましい。なお、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体中の芳香族ビニル化合物に基づく芳香族二重結合の水添率については、特に限定されないが、50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、20%以下であるであることが更に好ましい。水添率は、核磁気共鳴装置(NMR)により求めることができる。
有機金属化合物としては、有機アルカリ金属化合物が挙げられ、有機リチウム化合物が好ましい。有機リチウム化合物としては、低分子化合物、可溶化したオリゴマーの有機リチウム化合物、有機基とリチウムの結合様式において炭素−リチウム結合からなる化合物、窒素−リチウム結合からなる化合物、錫−リチウム結合からなる化合物等が挙げられる。
これにより、高変性率の変性共役ジエン系重合体を得ることができる。重合様式としては、特に限定されないが、回分式、連続式等の重合様式で行うことができる。連続式においては、1個又は2個以上の連結された反応器を用いることができる。反応器は、撹拌機付きの槽型、管型等のものが用いられる。
重合反応に供する前に、不純物であるアレン類やアセチレン類を有機金属化合物で処理することは、高濃度の活性末端を有する重合体が得られる傾向にあり、更には高い変性率が達成される傾向にあるため好ましい。
極性化合物としては、特に限定されず、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン等のエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−t−アミラート、カリウム−t−ブチラート、ナトリウム−t−ブチラート、ナトリウムアミラート等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物等を用いることができる。これらの極性化合物は、それぞれ単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述した変性剤は、化合物中のシリル基に結合したアルコキシ基の合計モル数が、アニオン重合開始剤の添加モル数の0.8〜3倍となる範囲であることが好ましく、1〜2.5倍となる範囲であることがより好ましく、1〜2倍となる範囲であることが更に好ましい。得られる変性共役ジエン系重合体が十分な変性率を得るために0.8倍以上とすることが好ましく、押し出し加工性改良のために重合体末端同士をカップリングさせ分岐状重合体成分を得ることが好ましいことに加え、変性剤コストの観点から3倍以下とすることが好ましい。
式(1)〜(3)における「アリール基」とは、炭素原子が環状に配列した芳香族環を有する基を意味し、単環であっても、複数の環を有していてもよく、複数の環は縮合環であってもよい。
アリール基としては、フェニル基、ナフタレン基などが挙げられる。
また、変性共役ジエン系重合体は、重合後の仕上げ工程におけるゲル生成を防止する観点や、加工時の安定性を向上させる観点から、ゴム用安定剤を添加することが好ましい。ゴム用安定剤は、特に限定されず、公知のものを用いることができるが、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピネート、2−メチル−4,6−ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール等が好ましい。
ベーストレッド用ゴム組成物のゴム成分として、本実施形態の特性を満たす範囲で、本実施形態における変性共役ジエン系重合体以外に他のゴム状重合体を含んでいてもよい。
このようなゴム状重合体としては、特に限定されず、例えば共役ジエン系重合体又はその水素添加物、共役ジエン系化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合体又はその水素添加物、共役ジエン系化合物とビニル芳香族化合物とのブロック共重合体又はその水素添加物、非ジエン系重合体、天然ゴム等が挙げられる。
具体的には、天然ゴム、ブタジエンゴム又はその水素添加物、イソプレンゴム又はその水素添加物、スチレン−ブタジエンゴム又はその水素添加物、スチレン−ブタジエンブロック共重合体又はその水素添加物、スチレン−イソプレンブロック共重合体又はその水素添加物等のスチレン系エラストマー、アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はその水素添加物等が挙げられる。また、非ジエン系重合体としては、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−ブテン−ジエンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレン−ヘキセンゴム、エチレン−オクテンゴム等のオレフィン系エラストマー、ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、α、β−不飽和ニトリル−アクリル酸エステル−共役ジエン共重合ゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム等が挙げられる。
ハイシスポリブタジエンゴムとは、例えばチタン、コバルト、及びニッケルに基づくチーグラー・ナッタ型の配位触媒を用いてか、あるいはアルキルリチウム化合物の存在下で、溶液重合によって製造されているポリブタジエンのうち、1,4−シス結合量が高いポリブタジエンをいい、例えば宇部興産(株)製UBEPOL(登録商標) BR等が挙げられる。
本実施形態のベーストレッド用ゴム組成物は、変性共役ジエン系重合体を含有するゴム成分100質量部に対し、シリカ系無機充填剤を1〜300質量部を含有してなる。
本実施形態のベーストレッド用ゴム組成物は、変性共役ジエン系重合体を含有するゴム成分100質量部に対し、更にカーボンブラックを0.5〜100質量部含有するものが好ましい。
カーボンブラックとしては、特に限定されず、例えばSRF、FEF、HAF、ISAF、SAF等の各クラスのカーボンブラックが使用できる。これらの中でも、窒素吸着比表面積は、押し出し成形性の観点、及び転がり抵抗特性の観点で、50m2/g以上、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が80mL/100g以上のカーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックの配合量は、変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対し、シリカ系無機充填剤の添加による転がり抵抗特性を発現させる観点、及び押し出し加工性の観点から、0.5〜100質量部が好ましく、3〜100質量部がより好ましく、5〜50質量部が更に好ましい。
本実施形態のベーストレッド用ゴム組成物には、シリカ系無機充填剤やカーボンブラック以外に、金属酸化物や金属水酸化物を含有させてもよい。金属酸化物とは、化学式MxOy(Mは金属原子を表し、x及びyは各々1〜6の整数を表す。)を構成単位の主成分とする固体粒子のことをいい、例えばアルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等を用いることができる。また金属酸化物と金属酸化物以外の無機充填剤の混合物も用いることができる。金属水酸化物としては、特に限定されず、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム等が挙げられる。
本実施形態のベーストレッド用ゴム組成物には、シランカップリング剤を含有させてもよい。シランカップリング剤は、ゴム成分とシリカ系無機充填剤との相互作用を緊密にする機能を有しており、ゴム成分及びシリカ系無機充填剤のそれぞれに対する親和性又は結合性の基を有しており、一般的には、硫黄結合部分とアルコキシシリル基、シラノール基部分を一分子中に有する化合物が用いられる。具体的には、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−テトラスルフィド、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−ジスルフィド、ビス−[2−(トリエトキシシリル)−エチル]−テトラスルフィド等が挙げられる。
シランカップリング剤の配合量は、上述したシリカ系無機充填剤100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましく、1〜15質量部が更に好ましい。シランカップリング剤の配合量が上記範囲であると、シランカップリング剤による上記添加効果を一層顕著なものにできる。
本実施形態のベーストレッド用ゴム組成物には、加工性の改良を図るために、ゴム用軟化剤を含有させてもよい。ゴム用軟化剤としては、鉱物油、又は液状若しくは低分子量の合成軟化剤が好適である。ゴムの軟化、増容、加工性の向上を図るために使用されているプロセスオイル又はエクステンダーオイルと呼ばれる鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族環、ナフテン環、及びパラフィン鎖の混合物であり、パラフィン鎖の炭素数が全炭素中50%以上を占めるものがパラフィン系と呼ばれ、ナフテン環炭素数が30〜45%のものがナフテン系、芳香族炭素数が30%を超えるものが芳香族系と呼ばれている。変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体とともに用いるゴム用軟化剤としては、適度な芳香族含量を有するものが共重合体との馴染みがよい傾向にあるため好ましい。
ゴム用軟化剤の配合量は、変性共役ジエン系重合体を含有するゴム成分100質量部に対して、0〜100質量部が好ましく、10〜90質量部がより好ましく、30〜90質量部が更に好ましい。ゴム用軟化剤の配合量がゴム成分100質量部に対して100質量部を超えると、ブリードアウトを生じやすく、組成物表面にベタツキを生ずるおそれがある。
本実施形態のベーストレッド用ゴム組成物を製造するに当たり、変性共役ジエン系重合体とその他のゴム状重合体、シリカ系無機充填剤、所望により、カーボンブラックやその他の充填剤、シランカップリング剤、ゴム用軟化剤等の添加剤を混合する方法については特に限定されるものではない。例えばオープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解混合後、溶剤を加熱除去する方法等が挙げられる。これらのうち、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機による溶融混練法が生産性、良混練性の観点から好ましい。また、変性共役ジエン系重合体と各種配合剤とを一度に混練する方法、複数の回数に分けて混合する方法のいずれも適用可能である。
試料100mgをクロロホルムに溶解し、100mLにメスアップして測定サンプルとした。スチレンのフェニル基によるUV254nmの吸収により結合スチレン量(質量%)を測定した(島津製作所製:UV−2450)。
試料50mgを10mLの二硫化炭素に溶解して測定サンプルとした。溶液セルを用いて、赤外線スペクトルを600〜1000cm−1の範囲で測定して所定の波数における吸光度によりハンプトンの方法の計算式に従いブタジエン部分のミクロ構造を求めた(日本分光(株)製:FT−IR230)。
シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに変性した成分が吸着する特性を応用することにより測定した。試料及び低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液を、ポリスチレン系ゲルカラムで測定したクロマトグラムと、シリカ系カラムで測定したクロマトグラムの差分よりシリカカラムへの吸着量を測定し変性率を求めた。
・試料調整:
試料10mg及び標準ポリスチレン5mgを20mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた。
・ポリスチレン系カラムGPC測定条件:
THFを溶離液として用い、試料200μLを装置に注入して測定した。カラムは、ガードカラム:東ソー TSKguardcolumn HHR−H、カラム:東ソー TSKgel G6000HHR、TSKgel G5000HHR、TSKgel G4000HHRを連結して使用した。カラムオーブン温度40℃、THF流量1.0mL/分の条件で、東ソー製 HLC8020のRI検出器を用いて測定しクロマトグラムを得た。
・シリカ系カラムGPC測定条件:
THFを溶離液として用い、試料200μLを装置に注入して測定した。カラムは、デュポン社製:Zorbaxを使用した。カラムオーブン温度40℃、THF流量0.5mL/分の条件で、東ソー製 HLC8020のRI検出器を用いて測定しクロマトグラムを得た。
・変性率の計算方法:
ポリスチレン系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP1、標準ポリスチレンのピーク面積をP2、シリカ系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料の面積をP3、標準ポリスチレンのピーク面積をP4として、下記式より変性率(%)を求めた。
変性率(%)=[1−(P2×P3)/(P1×P4)]×100
(ただし、P1+P2=P3+P4=100)
重量平均分子量及び分子量分布は、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結して用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を使用して、クロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用した検量線により重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を求め、重量平均分子量と数平均分子量の比から分子量分布の指標(Mw/Mn)を計算した。溶離液としてはテトラヒドロフラン(THF)を使用した。カラムは、ガードカラム:東ソー TSKguardcolumn HHR−H、カラム:東ソー TSKgel G6000HHR、TSKgel G5000HHR、TSKgel G4000HHRを連結して使用した。オーブン温度40℃、THF流量1.0mL/分の条件で、東ソー製 HLC8020のRI検出器を用いて分子量の測定を行った(試料10mgをTHF20mLに溶解し、この溶液200μLを装置に注入して測定した)。
ムーニー粘度計を使用し、JIS K6300−1に準じて、100℃、1分間の予熱を行った後に、ローターを毎分2回転で4分間回転させた後の粘度を測定した。値が小さいほど加工性に優れることを示す。配合物ムーニー粘度も同様にして測定した。
実施例及び比較例に示す方法で作成した未加硫ゴム組成物のロール通過後のゴムの肌(表面形状)について、パネラー5人が目視で観察し、パネラー一人当たり5点満点、総合25点満点で評価した。25点に近いほど押し出し加工性に優れることを示す。
レオメトリックス・サイエンティフィック社製の粘弾性試験機(ARES)を使用し、ねじりモードで粘弾性パラメータを測定した。各々の測定値は比較例1を100として指数化した。50℃において周波数10Hz、ひずみ3%で測定したtanδを転がり抵抗特性(少燃費性)の指標とした。値が小さいほど転がり抵抗特性が良好であることを示す。
内容積10Lで、内部の高さと直径の比(L/D)が4であり、底部に入り口、頂部に出口を有し、攪拌機及び温度調整用のジャケットを有するオートクレーブを2基直列に連結し、1基目を重合反応器として、2基目を変性反応器とした。
予め、水分等の不純物を除去した1,3−ブタジエンを19.0g/分、n−ヘキサンを125.6g/分の条件で混合し、次いで、不純物の不活性化に必要な量のn−ブチルリチウムを、1基目反応器に入る直前にスタティックミキサーでさらに混合した後、1基目反応器の底部に連続的に供給し、更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.02g/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.007mmol/分の速度で、1基目反応器底部へ供給し、反応器出口の内温を90℃となるように重合反応を継続させた。
2基目の反応器の温度を85℃に保ち、変性剤として2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンを0.014mmol/分の速度で2基目反応器の底部から添加し、変性(カップリング)反応を実施した。 2器目反応器の頂部から流出した重合体溶液に酸化防止剤(BHT)をポリマー100gあたり0.2gとなるように0.048g/分(n−ヘキサン溶液)で連続的に添加し、変性反応を終了させた後、溶媒を除去し、変性共役ジエン重合体溶液を得た。
更にこの変性共役ジエン系重合体溶液をドラムドライヤーで溶媒を除去し、変性共役ジエン系重合体(変性BR−1)を得た。
重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.009mmol/分、変性剤として1,4−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ピペラジンを0.014mmol/分とした以外は製造例1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(変性BR−2)を得た。
重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.009mmol/分、変性剤としてビス(3−トリメトキシシリルプロピル)メチルアミンを0.014mmol/分とした以外は製造例1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(変性BR−3)を得た。
内容積10Lで、撹拌機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3−ブタジエン760g、シクロヘキサン4800g、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン1.45gを反応器へ入れ、反応器内温を42℃に保持した。重合開始剤として、n−ブチルリチウム0.14mmolを含むシクロヘキサン溶液を反応器に供給した。重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、最終的な反応器内の温度は80℃に達した。反応温度のピーク到達2分後、反応器に2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンを0.036mmol添加し、75℃で5分間変性反応を実施した。
この重合体溶液に、酸化防止剤(2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン;BHT)2.1gを添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、乾燥機により乾燥処理を施して、変性共役ジエン系重合体(変性BR−4)を得た。
内容積10Lで、撹拌機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3−ブタジエン560g、スチレン200g、シクロヘキサン4800g、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン1.45gを反応器へ入れ、反応器内温を42℃に保持した。重合開始剤として、n−ブチルリチウム0.14mmolを含むシクロヘキサン溶液を反応器に供給した。重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、最終的な反応器内の温度は80℃に達した。反応温度のピーク到達2分後、反応器に2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンを0.036mmol添加し、75℃で5分間変性反応を実施した。
この重合体溶液に、酸化防止剤(2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン;BHT)2.1gを添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、乾燥機により乾燥処理を施して、変性共役ジエン系重合体(変性SBR(1))を得た。
変性剤として2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンを用いる代わりに、N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランを0.050mmol用いる以外は製造例5と同様にして、変性共役ジエン系重合体(変性SBR(2))を得た。
重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.007mmol/分、変性剤としてN,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランを0.19mmol/分とした以外は製造例1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(変性BR−5)を得た。
以下に示す配合に従い、下記の方法により混練して、未加硫ゴム組成物、及び加硫ゴム組成物を得た。
・変性共役ジエン系重合体(BR−1);100質量部
・シリカ(エボニック デグサ ジャパン(株)製、ウルトラジル7000GR、窒素吸着比表面積:175m2/g):75質量部
・シランカップリング剤(エボニック デグサ ジャパン(株)製、Si69):6質量部
・プロセスオイル(JX日鉱日石エネルギー(株)製、NC140):42質量部
・カーボンブラック(東海カーボン(株)製、シーストKH(N339)):5質量部
・亜鉛華(三井金属鉱業(株)製、亜鉛華1号):2.5質量部
・ステアリン酸:1.0質量部
・ワックス:(大内新興化学工業(株)製、サンノック):1.5質量部
・老化防止剤(N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン):2.0質量部
・硫黄:2.2質量部
・加硫促進剤(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフィンアミド):1.7質量部
・加硫促進剤(ジフェニルグアニジン):2.0質量部
温度制御装置を具備するニーダー(内容量0.5L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数50rpmの条件で、変性共役ジエン系重合体(BR−1)、シリカ、シランカップリング剤、プロセスオイルを4分混練した。このとき、ニーダーの温度制御により排出温度を155〜160℃に調整して配合物を得た。
次に、第二段の混練として、上記で得た配合物を室温まで冷却後、カーボンブラック、亜鉛華、ステアリン酸、ワックス,及び老化防止剤を加え、上記ニーダーにて3分混練した。この場合も、ニーダーの温度制御により排出温度を155〜160℃に調整した。なお、排出温度は、各配合物における温度として制御した。そして、ニーダーより排出された配合物を、すぐに10インチφオープンロールに6回通して、シート状の未加硫ゴム組成物を作成し、冷却した後、押し出し加工性を評価した。
更に、オーブンを用いて未加硫ゴム組成物を70℃×30分加温した後,第三段の混練として、70℃に設定した10インチφオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤を加えて混練した。その後、160℃×20分間、加硫プレスにて加硫成形して、加硫ゴムシートを得た。加硫ゴム組成物の転がり抵抗特性を評価した。
変性共役ジエン系重合体として、製造例1で作成した「変性BR−1」の代わりに、製
造例2で作成した「変性BR−2」を用いる以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、押
し出し加工性、及び転がり抵抗特性を評価した。
変性共役ジエン系重合体として、製造例1で作成した「変性BR−1」の代わりに製造
例3で作成した「変性BR−3」を用いる以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、押し
出し加工性、及び転がり抵抗特性を評価した。
変性共役ジエン系重合体として、製造例1で作成した「変性BR−1」の代わりに製造例4で作成した「変性BR−4」を用いる以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、押し出し加工性、及び転がり抵抗特性を評価した。
変性共役ジエン系重合体として、製造例1で作成した「変性BR−1」の代わりに製造例5で作成した「変性SBR(1)」を用いる以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、押し出し加工性、及び転がり抵抗特性を評価した。
変性共役ジエン系重合体として、実施例1における「変性BR−1」を70質量部とし、第一段の混練りにおいて、更に「天然ゴム(#RSS3)」を30質量部を用いる以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、押し出し加工性、及び転がり抵抗特性を評価した。
変性共役ジエン系重合体として、実施例1における「変性BR−1」を70質量部とし、第一段の混練りにおいて、更に「ハイシスポリブタジエン(宇部興産(株)製、UBEPOL BR150」30質量部を用いる以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、押し出し加工性、及び転がり抵抗特性を評価した。
変性共役ジエン系重合体として、実施例1における「変性BR−1」を40質量部とし、更に「天然ゴム(#RSS3)」を60質量部用いる以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、押し出し加工性、及び転がり抵抗特性を評価した。
変性共役ジエン系重合体として、実施例1における「変性BR−1」を20質量部とし、更に「天然ゴム(#RSS3)」を80質量部用いる以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、押し出し加工性、及び転がり抵抗特性を評価した。
変性共役ジエン系重合体として、実施例1における「変性BR−1」の代わりに「非変性ポリブタジエン(旭化成ケミカルズ(株)製、「ジエンNF55」)」を用いる以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、押し出し加工性、及び転がり抵抗特性を評価した。
変性共役ジエン系重合体として、実施例1における「変性BR−1」の代わりに製造例6で作成した「変性SBR(2)」を用いる以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、押し出し加工性、及び転がり抵抗特性を評価した。
変性共役ジエン系重合体として、実施例1における「変性BR−1」の代わりに製造例7で作成した「変性BR−5」を用いる以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、押し出し加工性、及び転がり抵抗特性を評価した。
これに対し、非変性共役ジエン系重合体を用いたものは(比較例1)、或いは変性剤として1つ以上の窒素原子を有しながら、シリル基に結合したアルコキシ基の総数が4以上に満たないもの(比較例2、3)は、押し出し加工性と転がり抵抗特性のバランスに劣ることがわかる。
Claims (5)
- アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を重合することによって、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合することによって得られる共役ジエン系重合体の重合活性末端に、シリル基に結合したアルコキシ基の総数が4個以上であり、1つ以上の窒素原子を有する下記一般式(1)で表される化合物を反応させてなる変性共役ジエン系重合体を含有するゴム成分100質量部に対し、シリカ系無機充填剤1〜300質量部を含むベーストレッド用ゴム組成物。
- 前記ゴム成分100質量部に対し、更にカーボンブラックを0.5〜100質量部含む、請求項1に記載のベーストレッド用ゴム組成物。
- 前記変性共役ジエン系重合体が、前記ゴム成分中の5〜75質量%を含む、請求項1又は2に記載のベーストレッド用ゴム組成物。
- ゴム成分として、さらに天然ゴム又はハイシスポリブタジエンを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のベーストレッド用ゴム組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のベーストレッド用ゴム組成物の架橋物によりベーストレッドが構成されてなるタイヤ。
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