JP5219606B2 - ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ Download PDF

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Description

本発明はゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。より詳細には、発熱性の低いゴム組成物、及びそれを用いて自動車の低燃費化を図る空気入りタイヤに関するものである。
近年、省エネルギーの社会的な要請及び環境問題への関心が高まっている。このため、世界的な二酸化炭素排出規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に対する要求がある。このような要求に対応するため、タイヤ性能についても転がり抵抗の減少が求められている。タイヤの転がり抵抗を下げる手法は、タイヤ構造の最適化による手法、及びタイヤに発熱性の低いゴム組成物を用いる手法がある。発熱性の低いゴム組成物を得るためには、これまで、ゴム組成物に使用する充填材の分散性を高める技術開発が数多くなされている。その中でも特に、有機リチウム化合物を用いたアニオン重合で得られるジエン系重合体の重合活性末端を充填材と相互作用を持つ官能基にて修飾する方法が、最も一般的になりつつある。
例えば充填材にカーボンブラックを用い、重合活性末端をスズ化合物にて修飾する方法(例えば、特許文献1を参照。)、同様にカーボンブラックを用い、重合活性末端にアミノ基を導入する方法(例えば、特許文献2を参照。)、重合活性末端を有するゴム成分にシリカ、及びシリカ分散剤を含ませる方法(例えば、特許文献3)などが開示されている。
しかしながら、シリカ分散剤だけではシリカの分散が十分といえない。このため、自動車の低燃費化への関心の高まりに伴い、タイヤトレッドのゴム組成物の低発熱性に対する性能要求がされ、またタイヤの転がり抵抗の低減が十分に必要とされている。また、その加工性にも改良が望まれている。
特公平5−87530号公報 特開昭62−207342号公報 特開2001−131344号公報
本発明は、上記課題に鑑み、発熱性特性を維持し、加工性を改善したゴム組成物及び、それを用いて、転がり抵抗の改善及び耐摩耗性に優れた空気入りタイヤを提供しようとするものである。
本発明者等は、プロトン性アミン類を含有する重合体ゴムが、充填剤と優れた相互作用を示すことを見出しただけでなく、特に親水性及び疎水性基を有する分散剤、特に飽和及び/又は不飽和脂肪酸金属塩からなる分散剤を添加することにより、充填剤の分散向上効果が高くなり、ゴムの発熱性を維持すると共に加工性が向上し、且つそのタイヤ等の耐摩耗性が改善されることを見出し、本発明に至ったものである。
即ち、(A)重合体ゴムは、(C)充填剤である無機フィラーに対して分散効果を有し、更に特定の(B)分散剤を添加した場合、(C)充填剤である無機フィラーの分散効果を相乗的に改善し、ゴムとして耐摩耗性の向上が見られる。
以下、本発明は以下の構成を特徴とするものである。
(1). プロトン性アミノ基及び/又はそれに保護基を有したアミノ基、及びSi含有加水分解性官能基を有する共役ジオレフィン、あるいは共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物の(A)重合体ゴムをゴム成分中に10〜100質量%の範囲で含み、縮合促進剤を反応系内に存在するヒドロカルビロキシ基総量に対するモル比として、0.1〜10添加してなる重合体を含むゴム成分100質量部に対して、飽和及び/又は不飽和脂肪酸金属塩からなる(B)分散剤を0.3〜15質量部の範囲と、(C)無機フィラーとを10〜100質量部の範囲で含むことを特徴とするゴム組成物、及びその好ましい用途がトレッド、ベーストレッド、サイド補強ゴム及びビードフィラー等であるゴム組成物。
尚、ここで、(A)重合体ゴムはその縮合物を含む。Si含有加水分解性官能基は、加水分解能を有するSi含有官能基であってよい。
(2).プロトン性アミノ基及びそれに保護基を有したアミノ基は、−NH、−NHR、−NL、及び−NRL(但し、Rは、炭化水素基を示し、L〜Lは、保護基を示す。またLとLはお互い結合してもかまわない。)の中から選ばれる少なくとも1種以上の官能基である上記(1)記載のゴム組成物。
(3).上記L〜Lは、−Si(Rs)(但し、各Rsは互いに異なっても良い、炭化水素基を示す。Rsは他のRsと結合してもかまわない。)である上記(2)記載のゴム組成物。
尚、保護基は、加水分解、加熱、製造上のゴムの混練、及び加硫中に容易に離脱するものである。また、上記炭化水素基は、各Rsの大きさのバランスにもよるが、保護基としての役割を果たす範囲であれば、その炭素数を限ることはない。一般的には、炭素数が1〜20個の範囲であることが好ましい。また、炭化水素は保護基としての役割を果たす限り、アルキル基に限らず、不飽和基、又は芳香族基等を含で良く、例えば、アラルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基等であっても良い。
また、一般にこれらの保護基はその重合ゴムの変性化過程で加水分解により除去されるが、ここでは残存する場合を含むものを示したものである。
(4).上記Si含有加水分解性官能基により導入した構造部分が、−Si(R1)−R−A(R1は、水酸基、オキシ基類、ハロゲン、炭化水素基、及び重合体ゴムの中から選ばれ、各R1は同一又は互いに異なっても良く、Rは炭化水素鎖を示し、Aは、プロトン性アミノ基及び/又はそれに保護基を有したアミノ基を示す。)で示される上記(1)〜(3)に記載のゴム組成物。
(5).上記オキシ基類がアルコキシ基、アリーロキシ基、若しくはSi含有加水分解性官能基同士のシラノキシ基から選択される少なくとも1種以上のものである上記(4)記載のゴム組成物。
ここで、括弧書き中のR1の重合体ゴムとは、ゴム成分中の別の重合体ゴムが更に結合していて良いことを示す。また同様に製造上、オキシ基類のSi含有加水分解性官能基同士のシラノキシ基とは、Si−O−Si−で表される別のSi含有加水分解性官能基が更に結合して良いことを示す。
(6).飽和及び不飽和脂肪酸金属塩が亜鉛金属塩からなる上記(1)〜(5)に記載のゴム組成物。
(7).(A)重合体ゴムの縮合に使用する縮合促進剤は、周期律表(長周期型)の3族、4族、5族、12族、13族、14族及び15族のうちのいずれかに属する元素を一種以上含有する有機化合物である上記(1)〜(6)に記載のゴム組成物。
(8).更に、(C)無機フィラーが含水ケイ酸である上記(1)〜(7)に記載のゴム組成物。
プロトン性アミノ基及びSi含有加水分解性官能基を末端に有する重合体ゴムは、無機フィラー表面の官能基と親和性が高いため重合体ゴムの結びつきが向上する。しかし、無機フィラー同士が凝集しており、無機フィラー表面に十分な数の官能基が現れないため、プロトン性アミン変性ポリマーだけでは無機フィラーが分散しないため結合が十分にできず低ロス性能、耐摩耗性の向上効果は不十分であった。
本発明のゴム組成物及び空気入りタイヤによれば、特定の(B)分散剤を加えることにより、無機フィラー表面に現れた官能基数を増加させることが出来、無機フィラーと変性末端を有する重合体ゴムが結合する効率を改良する事ができ、各々単独で用いた場合の効果以上に、即ち相乗効果が見られる。また無機フィラーの分散性が改良される為、加工性が先述性能を維持したまま向上する。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明のゴム組成物は、プロトン性アミノ基及び/又はそれに保護基を有したアミノ基、及びSi含有加水分解性官能基を有する共役ジオレフィン、あるいは共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物の(A)重合体ゴムを含むゴム成分に、飽和及び/又は不飽和脂肪酸金属塩からなる(B)分散剤と、(C)無機フィラーとを含むものである。
(A)重合体ゴム
本発明の重合体ゴムは、共役ジオレフィン、あるいは共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物の共重合体及びその縮合物を含むものからなる。また、一部に共重合可能な第3モノマーを成分として含めて良い。
共役ジオレフィンとしては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンおよびこれらの混合物などが好ましく用いられる。共役ジオレフィンの重合単位の含有量は、全単量体中に40〜100質量%、好ましくは50〜95質量%である。40質量%未満では、タイヤ使用において、転がり抵抗、耐摩耗性が悪化し、また低温時にゴムが硬化してグリップ性能、ウェットスキッド抵抗が悪化する。
共役ジオレフィンの重合単位におけるビニル結合(1,2−結合および/または3,4−結合)含量は共役ジオレフィンの重合単位に基づいて、10モル%以上、好ましくは50モル%以上60モル%未満である。ビニル結合含量が10モル%未満ではヒステリシスロスとウェットスキッド特性のバランスが悪化する。また、通常の芳香族ビニル化合物と共役ジオレフィンの共重合体の合成法で、90モル%を超えることは困難である。
芳香族ビニル化合物は、例えばスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、tert−ブトキシスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4−ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、2−t−ブチルスチレン、3−t−ブチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、ビニルピリジンおよびこれらの混合物などを挙げることができる。これらのうち、スチレンが特に好ましい。芳香族ビニル化合物の重合単位の含有量は、全単量体中に60質量%以下、好ましくは50〜5質量%である。
上記の(A)重合体ゴムは、上記プロトン性アミノ基からなる変性基を含む。プロトン性アミノ基を導入する際に保護化アミノ基として−NL、及び−NRLとしてプロトンを保護し、ここで、Rは炭化水素基を示し、L、L、及びLはそれぞれ水素原子又は解離し得る保護基である。またLとLはお互い結合してもかまわない。
具体的にL〜Lは、Si(Rs)で示すものを挙げることができる。Rsは互いに異なっても良い、炭化水素基を示す。炭化水素基は、各Rsの大きさのバランスにもよるが、保護基としての役割を果たす範囲であれば、その炭素数を限ることはない。一般的には、炭素数が1〜20個の範囲である。また、炭化水素は保護基としての役割を果たす限り、アルキル基、置換基を有したアルキル基、アルケニル基、アリール基、置換基を有したアリール基等であっても良い。Rsは他のRsと結合してもかまわない。
尚、このような保護基は、加水分解の過程で除かれるが、影響を与えない範囲で一部重合体中に残存する場合がある。
(A)重合体ゴムにプロトン性アミノ基を導入するには、上記Si含有加水分解性官能基を有する化合物(変性剤)によって実施される。Si含有加水分解性官能基の変性剤は、具体的には、Si(R1)−R−Aで示すことができる。
R1は、水酸基、オキシ基類、ハロゲン、炭化水素、又は上記共役ジオレフィン系重合体ゴムの中から選ばれるものである。R1の少なくとも1個は(A)重合体ゴム中で、そのゴム部分と結合し、共役ジオフィン系重合体ゴムと変性剤が結合した状態におけるSi含有加水分解性官能基を導入した構造部分は、−Si(R1)−R−Aとして示され、この場合、その他のR1は別の重合体ゴムのゴム部分が更に結合していて良い。
各R1は、同一又は互いに異なっても良い。
Rは炭化水素鎖を示し、Aは、上記プロトン性アミノ基及び/又はそれに保護基を有したアミノ基である。
上記R1のオキシ基類がアルコキシ基、アリーロキシ基、及びSi含有加水分解性官能基同士のシラノキシ基から選択される少なくとも1種以上のものであることが好ましい。また、R1の炭素数及びRの炭素数は、反応活性基として分散剤及び充填剤の効果を阻害しない範囲であれば、制限することはないが、一般に、1〜15の炭化水素基を挙げることができる。
オキシ基類のSi含有加水分解性官能基のシラノキシ基は、−O−Siで表される別のSi含有加水分解性官能基が結合する場合も含まれる。
(A)重合体ゴムのこれらのプロトン性アミノ基の含有量は、好ましくは(A)重合体ゴムポリマーのkg当たり0.5〜200mmolである。同含有量は、さらに好ましくは(A)重合体ゴムポリマーのkg当たり1〜100mmolであり、特に好ましくは(A)重合体ゴムポリマーのkg当たり2〜50mmolである。ここで,(A)重合体ゴムポリマーとは、製造時または製造後、添加される老化防止剤などの添加剤を含まないポリマーのみの質量を意味する。
上記プロトン性アミノ基は、重合開始末端、重合終了末端、重合体主鎖、側鎖のいずれに結合していてもよいが、重合体末端からエネルギー消失を抑制してヒステリシスロス特性を改良しうる点から、重合開始末端あるいは重合終了末端に導入されていることが好ましい。
また、ポリマー鎖に結合する基の数が(A)重合体ゴムポリマーのkg当たり200mmolを超えると、カーボンブラックやシリカなどの充填剤との相互作用が高くなりすぎて、配合粘度が向上して加工性が悪化する。一方、ポリマー鎖に結合する基の数が(A)重合体ゴムポリマーのkg当たり0.5mmol未満では、基を導入した効果が発現し難くなる。すなわち、得られる(A)重合体ゴムのヒステリシスロス特性、耐摩耗性、破壊特性の改良が十分ではなく、好ましくない。
本発明に係る(A)重合体ゴムはその縮合物を含むものが良い。(A)重合体ゴムの縮合に使用する縮合促進剤は、周期律表(長周期型)の3族、4族、5族、12族、13族、14族及び15族のうちのいずれかに属する元素を一種以上含有する有機化合物である。
このような縮合促進剤としては、第三アミノ基を含有する化合物、又は周期律表(長周期型)の3族、4族、5族、12族、13族、14族及び15族のうちのいずれかに属する元素を一種以上含有する有機化合物を用いることができる。
縮合促進剤として、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ビスマス(Bi)又はアルミニウム(Al)からなる群から選択される少なくとも一種以上の金属を含有する、アルコキシド、カルボン酸塩、又はアセチルアセトナート錯塩であることが好ましい。
ここで用いる縮合促進剤は、前記変性反応前に添加することもできるが、変性反応の途中及び又は終了後に変性反応系に添加することが好ましい。変性反応前に添加した場合、活性末端との直接反応が起こり、例えば、活性末端に保護された第一アミノ基を有するヒ
ドロカルビロキシ基が導入されない場合がある。
縮合促進剤としては、具体的には、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ペンタンジオラト)チタン、テトラキス(1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−メチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−プロピル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−ブチル−1,3−ヘプタンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタンオリゴマー、テトライソブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン、ビス(オレート)ビス(2−エチルヘキサノエート)チタン、チタンジプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタンジブトキシビス(トリエタノールアミネート)、チタントリブトキシステアレート、チタントリプロポキシステアレート、チタントリプロポキシアセチルアセトネート、チタンジプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタントリプロポキシ(エチルアセトアセテート)、チタンプロポキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタントリブトキシアセチルアセトネート、チタンジブトキシビス(アセチルアセトネート)、チタントリブトキシエチルアセトアセテート、チタンブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラキス(アセチルアセトネート)、チタンジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)チタンオキサイド、ビス(ラウレート)チタンオキサイド、ビス(ナフテート)チタンオキサイド、ビス(ステアレート)チタンオキサイド、ビス(オレエート)チタンオキサイド、ビス(リノレート)チタンオキサイド、テトラキス(2−エチルヘキサノエート)チタン、テトラキス(ラウレート)チタン、テトラキス(ナフテート)チタン、テトラキス(ステアレート)チタン、テトラキス(オレエート)チタン、テトラキス(リノレート)チタン、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンオキサイドビス(ステアレート)、チタンオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタンオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタンテトラ(ラクテート)などが挙げられる。中でも、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、チタンジ−n−ブトキサイド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)が好ましい。
また、チタン系以外の縮合促進剤としては、例えば、トリス(2−エチルヘキサノエート)ビスマス、トリス(ラウレート)ビスマス、トリス(ナフテート)ビスマス、トリス(ステアレート)ビスマス、トリス(オレエート)ビスマス、トリス(リノレート)ビスマス、テトラエトキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシジルコニウム、テトラ−tert−ブトキシジルコニウム、テトラ(2−エチルヘキシル)ジルコニウム、ジルコニウムトリブトキシステアレート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムトリブトキシエチルアセトアセテート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ラウレート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ナフテート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ステアレート)ジルコニウムオキサイド、ビス(オレエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(リノレート)ジルコニウムオキサイド、テトラキス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウム、テトラキス(ラウレート)ジルコニウム、テトラキス(ナフテート)ジルコニウム、テトラキス(ステアレート)ジルコニウム、テトラキス(オレエート)ジルコニウム、テトラキス(リノレート)ジルコニウム等を挙げることができる。
また、トリエトキシアルミニウム、トリ−n−プロポキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシアルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウム、トリ(2−エチルヘキシル)アルミニウム、アルミニウムジブトキシステアレート、アルミニウムジブトキシアセチルアセトネート、アルミニウムブトキシビス(アセチルアセトネート)、アルミニウムジブトキシエチルアセトアセテート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、トリス(2−エチルヘキサノエート)アルミニウム、トリス(ラウレート)アルミニウム、トリス(ナフテート)アルミニウム、トリス(ステアレート)アルミニウム、トリス(オレエート)アルミニウム、トリス(リノレート)アルミニウム等を挙げることができる。
このような中でも、テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、トリス(2−エチルヘキサノエート)ビスマス、トリ−sec−ブトキシアルミニウム、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン等が好適に使用できる。
上述の縮合促進剤の内、チタン系縮合促進剤が好ましく、チタン金属のアルコキシド、チタン金属のカルボン酸塩、又はチタン金属のアセチルアセトナート錯塩が特に好ましい。この縮合促進剤の使用量としては、前記化合物のモル数が、反応系内に存在するヒドロカルビロキシ基総量に対するモル比として、0.1〜10となることが好ましく、0.5〜5が特に好ましい。縮合促進剤の使用量を前記範囲にすることによって縮合反応が効率よく進行する。
次に、(A)重合体ゴムの製造方法の態様を以下に簡単に示す。
先ず、(A)重合体ゴムの第1の製造方法の態様としては、炭化水素溶媒中で、共役ジオレフィン、あるいは共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物とを、有機アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属を重合開始剤としてアニオン重合せしめ、重合が実質的に完了した時点で、プロトン性アミノ基及び/又は保護化アミノ基とシリル基を有する化合物を添加してリビング重合鎖末端に反応せしめ、次いで脱保護(加水分解)することにより製造することができる。
かかる製造法であれば、(1)一段反応で容易にプロトン性アミノ基とシリル基を同時に導入することができ、(2)高い導入率を得ることが可能である。
アミノ基の保護基としては、上述したようにアルキルシリル基を挙げることができる。アルキルシリル基としては、例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基およびエチルメチルフェニルシリル基を挙げることができる。
保護された第1級アミノ基とアルコキシシリル基を有する化合物としては、例えばN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジメトキシシランおよびN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジエトキシシランなどを挙げることができ、好ましくは、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランまたは1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタンである。
リビング重合鎖末端、例えば、PLiとN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシランの反応は、下記反応式(1)で表すことができる。なお、Pは共役ジオレフィン、あるいは共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物の共重合体鎖を示している。
Figure 0005219606
同様に、リビング重合体鎖末端と1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタンとの反応は、下記式(2)で表すことができる。
Figure 0005219606
また、上記シラシクロペンタンは2分子のリビング重合体鎖末端と反応することができ、そのときには下記反応式(3)で表すことができる。
Figure 0005219606
このような製造方法の態様をより詳細に説明すると、(A)重合体ゴムを得るための、重合反応および保護基により保護された1級アミノ基とアルコキシシリル基を有する化合物との反応は、通常、0〜120℃の温度範囲で行われ、一定温度条件下でも上昇温度条件下でもよい。保護された第1級アミノ基を脱保護するための加水分解は、80〜150℃、好ましくは90〜120℃の温度範囲で、保護された第1級アミノ基とアルコキシシリル基を有する化合物の2倍モル以上の水もしくは酸性水などを添加し、10分間以上、好ましくは30分間以上反応させることにより行われる。重合方式は、バッチ重合方式または連続重合方式のいずれでもよい。
重合に使用される有機アルカリ金属および/または有機アルカリ土類金属の開始剤の例としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムなどのアルキルリリチウム、1,4−ジリチオブタンなどのアルキレンジリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム、リチウムナフタレン、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン、n−ブチルマグネシウム、n−ヘキシルマグネシウム、エトキシカルシウム、ステアリン酸カルシウム、t−ブトキシストロンチウム、エトキシバリウム、イソプロポキシバリウム、エチルメルカプトバリウムt−ブトキシバリウム、フェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、ステアリン酸バリウムなどが挙げられる。
開始剤の使用量は、全単量体成分1gに対して、アルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子換算で、0.002〜0.1ミリモル、好ましくは0.005〜0.03ミリモルである。
また、上記開始剤としては、有機アルカリ金属および/または有機アルカリ土類金属と、第2級アミン化合物または第3級アミン化合物との反応生成物を使用することができる。上記第2級アミン化合物または第3級アミン化合物と反応させる有機アルカリ金属としては、有機リチウム化合物が好ましい。より好ましくは、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムが用いられる。
有機アルカリ金属および/または有機アルカリ土類金属と反応させる第2級アミン化合物の例としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−(2−エチルヘキシル)アミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルベンジルアミン、ジアリルアミン、モルホリン、ピペラジン、2,6−ジメチルモルホリン、2,6−ジメチルピペラジン、1−エチルピペラジン、2−メチルピペラジン、1−ベンジルピペラジン、ピペリジン、3,3−ジメチルピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン、1−メチル−4−(メチルアミノ)ピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ピロリジン、2,5−ジメチルピロリジン、アゼチジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミン、5−ベンジルオキシインドール、3−アザスピロ[5,5]ウンデカン、3−アザビシクロ[3.2.2]ノナン、カルバゾールなどが挙げられる。
また有機アルカリ金属および/または有機アルカリ土類金属反応させる第3級アミン化合物の例としては、N,N−ジメチル−o−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ベンジルジメチルアミン、ベンジルジエチルアミン、ベンジルジプロピルアミン、ベンジルジブチルアミン、(o−メチルベンジル)ジメチルアミン、(m−メチルベンジル)ジメチルアミン、(p−メチルベンジル)ジメチルアミン、N,N−テトラメチレン−o−トルイジン、N,N−ヘプタメチレン−o−トルイジン、N,N−ヘキサメチレン−o−トルイジン、N,N−トリメチレンベンジルアミン、N,N−テトラメチレンベンジルアミン、N,N−ヘキサメチレンベンジルアミン、N,N−テトラメチレン(o−メチルベンジル)アミン、N,N−テトラメチレン(p−メチルベンジル)アミン、N,N−ヘキサメチレン(o−メチルベンジル)アミン、N,N−ヘキサメチレン(p−メチルベンジル)アミンなどが挙げられる。
また、重合には、必要に応じて、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、2,2−(ビステトラヒドロフルフリル)プロパン、ビステトラヒドロフルフリルホルマール、テトラヒドロフルフリルアルコールのメチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコールのエチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコールのブチルエーテル、α−メトキシテトラヒドロフラン、ジメトキシベンゼン、ジメトキシエタンなどのエーテル化合物および/またはトリエチルアミン、ピリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、N,N−ジエチルエタノールアミンのメチルエーテル、N,N−ジエチルエタノールアミンのエチルエーテル、N,N−ジエチルエタノールアミンのブチルエーテルなどの第3級アミン化合物を、重合系中に添加して、ジオレフィン(A)重合体ゴムの共役ジオレフィン部分のミクロ構造(ビニル結合含量)を調整することができる。
(A)重合体ゴムを重合する際に使用される炭化水素溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。これらのうちシクロヘキサン、ヘプタンが好ましい。
炭化水素溶媒の使用は、全単量体濃度が、5〜30質量%、好ましくは10〜20質量%程度となる量である。
また、本発明における縮合反応は、上述の縮合促進剤と、水蒸気又は水の存在下で進行する。水蒸気の存在下の場合として、スチームストリッピングによる脱溶媒処理が挙げられ、スチームストリッピング中に縮合反応が進行する。
また、縮合反応を水溶液中で行ってもよく、縮合反応温度は30〜180℃が好ましく、さらに好ましくは50〜170℃、特に好ましくは110〜150℃である。
縮合反応時の温度を前記範囲にすることによって、縮合反応を効率よく進行完結することができ、得られる変性共役ジエン重合体及び共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の経時変化によるポリマーの老化反応等による品質の低下等を抑えることができる。
なお、縮合反応時間は、通常、5分〜10時間、好ましくは15分〜5時間程度である。縮合反応時間を前記範囲にすることによって縮合反応を円滑に完結することができる。
なお、縮合反応時の反応系の圧力は、通常、0.01〜20MPa、好ましくは0.05〜10MPaである。
縮合反応を水溶液中で行う場合の形式については特に制限はなく、バッチ式反応器を用いても、多段連続式反応器等の装置を用いて連続式で行ってもよい。また、この縮合反応と脱溶媒を同時に行っても良い。
得られる(A)重合体ゴムの質量平均分子量は、10万〜200万、好ましくは15万〜170万である。15万未満では、得られるゴム組成物の破壊強度、耐摩耗性、低ヒステリシスロス性などが充分ではなく、一方、200万を超えると、加工性に劣り、また混練り時のフィラー分散性が悪化し、破壊強度、耐摩耗性、低ヒステリシスロス性、ウェットスキッド性が悪化する。
(A)重合体ゴムは、ゴム成分中に10〜100質量%の範囲、より好ましくは60〜100質量%の範囲、更に好ましくは70〜100質量%の範囲で含むことが好ましい。10質量%未満では、本発明の効果が十分に期待できない。
なお、(A)重合体ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は20〜200の範囲であることが好ましく、20未満では破壊強度、耐摩耗性、低ヒステリシスロス性が悪化し、一方、200を超えると加工性が低下する。
また、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が100を超えた重合体もそのままでは加工性に劣り好ましくないが、芳香族系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどの伸展油や質量平均分子量が15万以下の液状ポリマーを添加することで、ムーニー粘度を100以下に下げて、加工上問題なく使用できるようにすることもできる。
本発明に用いられる伸展油の配合量は、(A)重合体ゴム100質量部に対して、10〜100量部、好ましくは15〜90質量部である。10質量部未満では、耐摩耗性向上効果や加工性に乏しく、一方、100質量部を超えると、著しく軟質化し加工性に劣る。尚、伸展油は、質量平均分子量が15万以下の液状ポリマー(あるいはその溶液)であっても良い。
(B)分散剤
本発明のゴム組成物においては、(B)分散剤は、飽和及び/又は不飽和脂肪酸からなる。脂肪酸の炭素数として、4〜30個、好ましくは、8〜24個、より好ましくは12〜20個の範囲にあるものである。
具体的な飽和脂肪酸としては、ブタン酸、 ブチル酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸デカン酸ドデカン酸テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、パルミトイル酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、オクタデセン酸、オクタデセン酸、オクタデカジエン酸、オクタデカントリエン酸、オクタデカトリエン酸、オクタデカトリエン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、ドコサン酸、ヘキサドコサン酸、オクタドコサン酸等が挙げられる。また、不飽和脂肪酸としては、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸 、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸等のモノ不飽和脂肪酸やリノール酸、トリ不飽和脂肪酸、α-リノレン酸、エレオステアリン酸、テトラ不飽和脂肪酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、ペンタ不飽和脂肪酸、エイコサペンタエン酸、イワシ酸、ヘキサ不飽和脂肪酸、ドコサヘキサエン酸等のジ不飽和脂肪酸等が挙げられる。
このような脂肪酸の金属塩としては、Na、K、Mg、Ag、Ca、Ti、Cu、Fe、Zn、Co、Al等を挙げることができ、より好ましいものとして亜鉛金属塩、カルシウム金属塩を挙げることができる。このような脂肪酸の市販品としては、Struktol WB16(Struktol社製)、Aktiplast PP(RC社製)、Aktiplast ST(RC社製)等を挙げることができる。
このような(B)分散剤は、通常のシランカップリング剤の分散剤等より、無機フィラー、特に、シリカ等の凝集を防ぐことが期待できる。
通常、シリカは、その表面官能基であるシラノール基の水素結合により、シリカ粒子同士が凝集し、ゴム中での分散不良を起こす。また、ゴム業界で一般的に使用されているシランカップリング剤は、アルコキシル基の加水分解で生じたシラノール基と、シリカ表面のシラノール基の脱水縮合反応によりシリカ粒子表面のシラノール基を減少させ、ゴム中の分散を改良する。しかし、この反応は低温では起こりにくく、140℃以上の温度にて反応すると考えられている。一方、170℃以上の高温になると、シランカップリング剤により、ゴムの三次元橋かけ反応が起こり、粘度が急激に上昇する。実際のゴム練り工程においては、練りゴムの温度の上昇が速いためシリカと、シランカップリング剤の反応時間が十分にとれないのが現実である。
これに対し、(A)重合体のアミン類の窒素原子は、シリカ表面のシラノール基と、水素結合を形成する能力が高く、シリカ表面シラノール基のマスキング効果により、シリカ粒子同士の凝集を防ぐものと考えられる。この反応は、一次結合ではなく化学的吸着であるため、室温近辺の定温領域においても、この効果を発揮する。したがって、ゴム練り初期の低温領域から、シリカ粒子の凝集を防ぐ効果があり、その結果、本発明のゴム組成物では、シリカのゴム中への分散が大幅に改良され、発熱性及び耐摩耗性が改良されるものと推察される。
(C)無機フィラー及び(D)カーボンブラックの制限
本発明のゴム組成物に使用する無機フィラーとしては特に制限はなく、従来ゴムの補強用充填材として慣用されているものの中から任意に選択して用いることができる。特にシリカを選択することが好ましく、シリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸),乾式シリカ(無水ケイ酸),ケイ酸カルシウム,ケイ酸アルミニウム等が挙げられるが、中でも破壊特性の改良効果並びにウェットグリップ性及び低転がり抵抗性の両立効果が最も顕著である湿式シリカが好ましい。
ゴム組成物において、(C)成分は、全ゴム成分100質量部に対し、10〜100質量部の範囲、特に好ましくは、10〜85質量部の範囲で配合することが好ましい。この量が10質量部未満では補強性や他の物性の改良効果が充分に発揮されず、また100質量部を超えると加工性などが低下する。補強性や他の物性及び加工性などを考慮すると、(C)成分が含水ケイ酸(シリカ)の場合、その配合量は10〜100質量部、特に20〜60質量部の範囲が好ましい。
ゴム組成物においては、所望により、貯蔵弾性率や補強性などを向上させる目的で、上記無機フィラーとして、(D)成分としてカーボンブラックを用いることができる。このカーボンブラックとしては特に制限はなく、従来ゴムの補強用充填材として慣用されているものの中から任意のものを選択して用いることができる。このカーボンブラックとしては、例えばFEF,SRF,HAF,ISAF,SAF等が挙げられる。好ましくはヨウ素吸着量(IA)が60mg/g以上で、かつ、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が80ミリリットル/100g以上のカーボンブラックである。このカーボンブラックを用いることにより、諸物性の改良効果は大きくなるが、特に、耐摩耗性に優れるHAF,ISAF,SAFが好ましい。
本発明においては、この所望により用いられる(D)成分のカーボンブラックの配合量は、ゴム成分100質量部に対し、80質量部以下の範囲になるように、かつ上記(C)成分との合計量が100質量部以下になるように選ぶのがよい。このカーボンブラックの配合量が80質量部を超えたり、(C)成分との合計量が100質量部を超えると所望の物性を有するゴム組成物が得られにくく、本発明の目的が達せられないおそれがある。配合効果及び物性などの面から、この(D)成分のカーボンブラックの好ましい配合量は、5〜70質量部の範囲であり、かつ(C)成分との合計配合量は100質量部以下が好ましい。
本発明においては、(B)分散剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対し、0.3〜15質量部の範囲で選定される。この量が0.3質量部未満ではシリカの分散性向上効果が充分に発揮されないため、所望の物性を有するゴム組成物が得られず、本発明の目的が達せられない。また、15質量部を超えると耐摩耗性が低下する原因となる。シリカの分散性及び耐摩耗性などを考慮するとこの(B)分散剤の好ましい配合量は、3〜10質量部の範囲である。
本発明のゴム組成物においては、所望により、シランカップリング剤を配合することができる。
このシランカップリング剤としては、特に制限はなく、従来ゴム組成物に使用されている公知のもの、例えばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド,γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン,γ−アミノプロピルトリエトキシシラン,N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン,N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどを用いることができる。この所望により用いられるシランカップリング剤の配合量は、前記(C)成分に対して、通常1〜20質量%の範囲で選定される。この量が1質量%未満ではカップリング剤としての効果が充分に発揮されにくく、また、20質量%を超えるとゴム成分のゲル化を引き起こすおそれがある。カップリング剤としての効果及びゲル化防止などの点から、このシランカップリング剤の好ましい配合量は、5〜15質量%の範囲である。
本発明のゴム組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、通常ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば加硫剤,加硫促進剤,プロセス油,老化防止剤,スコーチ防止剤,亜鉛華,ステアリン酸などを含有させることができる。上記加硫剤としては、硫黄等が挙げられ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として0.1〜10.0質量部が好ましく、さらに好ましくは1.0〜5.0質量部である。0.1質量部未満では加硫ゴムの破壊強度、耐摩耗性、低発熱性が低下するおそれがあり、10.0質量部を超えるとゴム弾性が失われる原因となる。本発明で使用できる加硫促進剤は、特に限定されるものではないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール),DM(ジベンゾチアジルジスルフィド),CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアジニン系の加硫促進剤等を挙げることができ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1〜5.0質量部が好ましく、さらに好ましくは0.2〜3.0質量部である。また、本発明のゴム組成物で使用できるプロセス油としては、例えばパラフィン系,ナフテン系,アロマチック系等を挙げることができる。引張強度、耐摩耗性を重視する用途にはアロマチック系が、ヒステリシスロス、低温特性を重視する用途にはナフテン系又はパラフィン系が用いられる。その使用量は、ゴム成分100質量部に対して、0〜100質量部が好ましく、100質量部を超えると加硫ゴムの引張強度、低発熱性が悪化する傾向がある。
ゴム組成物は、ロール、インターナルミキサー等の混練り機を用いて混練りすることによって得られ、成形加工後、加硫を行い、タイヤトレッド,アンダートレッド,カーカス,サイドウォール,ビード部分等のタイヤ用途に好適に使用される。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて、上記のように各種薬品を含有させた本発明のゴム組成物が未加硫の段階でトレッド用部材等に押出し加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。
このようにして得られた本発明の空気入りタイヤは、低燃費性、破壊特性及び耐摩耗性に優れており、しかも該ゴム組成物の加工性が良好であるので、生産性にも優れている。
尚、本発明のゴム組成物及び空気入りタイヤは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら制限を受けるものではない。
なお、実施例中の各種の測定は下記の方法に拠った。
(1)質量平均分子量(Mw)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8020、カラム:東ソー製GMH−XL(2本直列)、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、各重合体のポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)を求めた。
(2)ビニル量
重合体のビニル含量を赤外法(モレロ法)で求めた。
(3)結合スチレン含有量
重合体の結合スチレン含量を270MHz1H−NMRによって求めた。
(A)重合体ゴム及びその他の重合体ゴムの製造し、下記表1にその物性を示した。
[変性重合体ゴムAの製造(一級アミン(−NL)+アルコキシシラン含有)]
乾燥し、窒素置換した800mlの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン60g及びスチレン15gとなるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパンを0.7mmol加え、更にn−ブチルリチウム0.7mmolを加えた後、温度50℃の温水浴中で、1.5時間重合反応を行った。この際の重合転化率が99%以上に達した。
次に、重合反応系に変性剤であるN,N−トリエトキシシリル−アミノプロピルトリエトキシシランをリチウム対比等モル量となるように加えて、更に温度50℃で30分間変性反応を行った。共重合体ゴムAを得た。
また、重合反応系に必要により以下に挙げる縮合促進剤をリチウム対比等モル量となるように適宜選択して加え、温度50℃で更に30分間攪拌を行って縮合反応を行った。
1)テトラキス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン(Ti(EHDO)
2)トリス(2−エチルヘキサノエート)ビスマス
3)トリ−sec−ブトキシアルミニウム
4)テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン(Ti(EHO)
[変性重合体ゴムBの製造(一級アミン(−NL)+アルコキシシラン含有)]
N,N−トリエトキシシリル−アミノプロピルトリエトキシシランに代えて、N,N−トリエトキシシリル−アミノプロピルメチルジエトキシシランを変性剤とし、変性重合体ゴムAの製造方法と同様にして変性重合体ゴムBを製造した。
[変性重合体ゴムCの製造(二級アミン(−NRL)+アルコキシシラン含有)]
N,N−トリエトキシシリル−アミノプロピルトリエトキシシランに代えて、N−メチル−N−トリエトキシシリル−アミノプロピルトリエトキシシランを変性剤とし、変性重合体ゴムAの製造方法と同様にして変性重合体ゴムCを製造した。
[変性重合体ゴムDの製造(三級アミン(−NRR)+アルコキシシラン含有)]
N,N−トリエトキシシリル−アミノプロピルトリエトキシシランに代えて、N,N−ジメチル−アミノプロピルトリエトキシシランを変性剤とし、変性重合体ゴムAの製造方法と同様にして変性重合体ゴムDを製造した。
[変性重合体ゴムEの製造(停止末端TEOS変性)]
N,N−トリエトキシシリル−アミノプロピルトリエトキシシランに代えて、四塩化ケイ素を変性剤とし、変性重合体ゴムAの製造方法と同様にして変性重合体ゴムEを製造した。
[変性重合体ゴムFの製造(停止末端TEOS変性)]
N,N−トリエトキシシリル−アミノプロピルトリエトキシシランに代えて、四塩化スズを変性剤とし、変性重合体ゴムAの製造方法と同様にして変性重合体ゴムFを製造した。
Figure 0005219606
次に、変性重合体ゴムA−Eを用いて下記表2(Si配合)及び表3(Si及びカーボンブラック配合)の配合処方を行って、実施例及び比較例のゴム組成物を処方した。また、かかるゴム組成物を加硫又はゴム組成物をトレッドに使用してタイヤを製造して評価をした。その結果を下記表4及び表5に示した。
Figure 0005219606
Figure 0005219606
表2及び表3中において、シリカは日本シリカ工業(株)製 ニプシルAQ、シランカップリング剤は、デグッサ社製 Si69、加硫促進剤DPGは大内新興化学工業(株)製 ノクラック810NA、加硫促進剤DMは大内新興化学工業(株)製 ノクセラーD、加硫促進剤NSは大内新興化学工業(株)製 ノクセラーCZ、老化防止剤は大内新興化学工業(株)製 ノクセラーNS−Fである。
Figure 0005219606
Figure 0005219606
(イ)粘度試験
JIS K 6300−1994に準拠して、島津製作所社製の自動ムーニービスコメーターSMV−202を使用して、製造直後の100℃におけるムーニー粘度:MLl+4(ORIGINAL)を測定した。比較例4と比較例5を100として、指数表示した。数値が小さいほど、加工性が良好である。
(ロ)転がり抵抗試験
転がり抵抗は、各ゴム組成物に基づいてトレッド部を形成したタイヤ(195/65R15)を作成した実施例及び比較例において、スチール平滑面を有する外形1707.6mm、幅350mmの回転ドラムを用い、4500N(460kg)の荷重の作用下で、80km/hの速度で回転させた時の惰行性をもって測定し、評価した。測定値数値が大きいほど、転がり抵抗は小さい(低燃費性)である事を示し、比較例4と比較例5を100として、指数表示した。
(ハ)耐摩耗性試験
上記各タイヤにおいて、ランボーン型摩耗試験機を用い、スリップ率が25%の摩耗量で表し、また、測定温度は室温とした。指数が大きいほど、耐摩耗性は良好であり、比較例3と比較例4を100として、指数表示した。
本発明のゴム組成物及びそれを用いたタイヤは、そのゴム組成物が発熱性の低く抑えられ、にそれを用いた場合、耐摩耗性に優れ産業上の利用可能性があるものである。

Claims (9)

  1. プロトン性アミノ基及び/又はそれに保護基を有したアミノ基、及びSi含有加水分解性官能基を有する共役ジオレフィン、あるいは共役ジオレフィンと芳香族ビニル化合物の(A)重合体ゴムをゴム成分中に10〜100質量%の範囲で含み、縮合促進剤を反応系内に存在するヒドロカルビロキシ基総量に対するモル比として、0.1〜10添加してなる重合体を含むゴム成分100質量部に対して、飽和及び/又は不飽和脂肪酸金属塩からなる(B)分散剤を0.3〜15質量部の範囲と、(C)無機フィラーとを10〜100質量部の範囲で含むゴム組成物。
  2. プロトン性アミノ基及びそれに保護基を有したアミノ基は、−NH、−NHR、−NL、及び−NRL(但し、Rは、炭化水素基を示し、L〜Lは、保護基を示す。またLとLはお互い結合してもかまわない。)の中から選ばれる少なくとも1種以上の官能基である請求項1記載のゴム組成物。
  3. 上記L〜Lは、−Si(Rs)(但し、各Rsは互いに異なっても良い、炭化水素基を示す。Rsは他のRsと結合してもかまわない。)である請求項2記載のゴム組成物。
  4. 上記Si含有加水分解性官能基により導入した構造部分が、−Si(R1)−R−A(R1は、水酸基、オキシ基類、ハロゲン、炭化水素基、及び重合体ゴムの中から選ばれ、各R1は同一又は互いに異なっても良く、Rは炭化水素鎖を示し、Aは、プロトン性アミノ基及び/又はそれに保護基を有したアミノ基を示す。)で示される請求項1〜3の何れかの項に記載のゴム組成物。
  5. 上記オキシ基類がアルコキシ基、アリーロキシ基、及びSi含有加水分解性官能基同士のシラノキシ基から選択される少なくとも1種以上のものである請求項4記載のゴム組成物。
  6. 飽和及び不飽和脂肪酸金属塩が亜鉛金属塩もしくはカルシウム塩からなる請求項1〜5の何れかの項に記載のゴム組成物。
  7. (A)重合体ゴムの縮合に使用する縮合促進剤は、周期律表(長周期型)の3族、4族、5族、12族、13族、14族及び15族のうちのいずれかに属する元素を一種以上含有する有機化合物である請求項1〜6の何れかの項に記載のゴム組成物。
  8. 更に、(C)無機フィラーが含水ケイ酸である請求項1〜7の何れかの項に記載のゴム組成物。
  9. 上記請求項1〜8の何れかに記載のゴム組成物をトレッド、ベーストレッド、サイド補強ゴム及びビードフィラーの何れかのものに用いた空気入りタイヤ。
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