JP5534913B2 - 変性共役ジエン系ゴム組成物及び変性共役ジエン系ゴム組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
詳細には、特定の多官能開始剤により重合し、重合活性末端を分子中に3級アミノ基を2個以上およびアルコキシシリル基を1個以上有する化合物で変性した変性共役ジエン系重合体を含む変性共役ジエン系ゴム組成物及び変性共役ジエン系ゴム組成物の製造方法に関する。
このような現状から、自動車用タイヤ、特に地面と接するタイヤトレッドの材料として、転がり抵抗が小さい材料の開発が求められてきている。
一方、安全性の観点からは、ウェットスキッド抵抗に優れ、実用上十分な耐摩耗性、破壊特性を有する材料の開発が求められている。
従来、タイヤトレッドの補強性充填剤としては、カーボンブラック、シリカ等が使用されている。
シリカを用いると、低ヒステリシスロス性及びウェットスキッド抵抗性の向上が図られるという利点を有している。
しかし一方において、疎水性表面のカーボンブラックに対して、親水性表面のシリカは、共役ジエン系ゴムとの親和性が低く、カーボンブラックに比較して分散性が悪いという欠点を有していることから、分散性を改良させたり、シリカ−ゴム間の結合付与を行ったりするため、別途シランカップリング剤を含有させたりしなければならない。
さらに近年においては、運動性の高いゴム分子末端部に、シリカとの親和性や反応性を有する官能基を導入することによって、ゴム材中におけるシリカの分散性を改良し、さらにはゴム分子末端部をシリカ粒子との結合で封じることによって、ヒステリシスロスを低減化する試みがなされている。
また、多官能アニオン重合開始剤を用いてジエン系ゴムの重合を行い、その後に、グリシジルアミノ基等の変性剤によって変性することにより、官能化された重合体末端数を増やして、ジエン系ゴムとシリカとにより構成される組成物の性能、すなわちシリカ分散性を向上させ、ヒステリシスロスを低減化させる技術(特許文献5参照。)の提案もなされている。
そこで本発明においては、シリカ系無機充填剤を含む加硫物としたときに低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランスに優れ、実用上十分な耐摩耗性や破壊強度をも満足する、変性共役ジエン系重合体組成物及びその製造方法を提供する。
本発明は以下のとおりである。
(A)ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を使用して測定された分子量分布が1.2〜3.5の範囲である多官能アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合させた後、得られた重合体の活性末端に、2つ以上のアルコキシ基で置換されたシリル基と1つ以上の窒素原子を有する化合物を反応させて得られた変性共役ジエン系共重合体
及び
(B)ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を使用して測定された分子量分布が1.2〜3.5の範囲である多官能アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を重合させた後、得られた重合体の活性末端に、2つ以上のアルコキシ基で置換されたシリル基と1つ以上の窒素原子を有する化合物とを反応させて得られた変性共役ジエン重合体を含むことを特徴とする変性共役ジエン系ゴム組成物。
(A)炭化水素溶媒中、ポリビニル芳香族化合物とリチウムとのモル比(ポリビニル芳香族化合物/リチウム)が0.05〜1.0の範囲で調製された多官能アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合させた後、得られた重合体の活性末端に2つ以上のアルコキシ基で置換されたシリル基と1つ以上の窒素原子を有する化合物とを反応させて得られた変性共役ジエン系共重合体
及び
(B)炭化水素溶媒中、ポリビニル芳香族化合物とリチウムとのモル比(ポリビニル芳香族化合物/リチウム)が0.05〜1.0の範囲で調製された多官能アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を重合させた後、得られた重合体の活性末端に2つ以上のアルコキシ基で置換されたシリル基と1つ以上の窒素原子を有する化合物とを反応させて得られた変性共役ジエン重合体
を含むことを特徴とする変性共役ジエン系ゴム組成物。
2つ以上のアルコキシ基で置換されたシリル基と1つ以上の窒素原子を有する化合物が、下記一般式(1)、一般式(2)もしくは一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の変性共役ジエン系ゴム組成物。
[1]〜[3]のいずれかに記載の変性共役ジエン系ゴム組成物を含むゴム成分100質量部に対してシリカ系無機充填剤0.5〜300質量部を含む変性共役ジエン系ゴム組成物。
[5]
[1]〜[4]のいずれかに記載の変性共役ジエン系ゴム組成物100質量部に対してシリカ系無機充填剤75質量部を含む変性共役ジエン系ゴム組成物の加硫物の50℃における周波数10Hz、ひずみ0.1%と10%で測定した貯蔵弾性率の差(ΔG’)が0.8MPa以下であることを特徴とする変性共役ジエン系ゴム組成物。
ポリビニル芳香族化合物/リチウムのモル比が0.05〜1.0の範囲でポリビニル芳香族化合物と有機リチウム化合物を反応させて、
多官能アニオン重合開始剤を調製する工程、
(A)前記多官能アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を共重合させて、共役ジエン系共重合体を得る工程、
前記共役ジエン系共重合体の活性末端に、2つ以上のアルコキシ基で置換されたシリル基と1つ以上の窒素原子を有する化合物を反応させる工程、
(B)前記多官能アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を重合させて、共役ジエン重合体を得る工程、
前記共役ジエン重合体の活性末端に、2つ以上のアルコキシ基で置換されたシリル基と1つ以上の窒素原子を有する化合物を反応させる工程、
を有することを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の変性共役ジエン系ゴム組成物の製造方法。
変性共役ジエン系共重合体(A)は、ポリビニル芳香族化合物とリチウムとのモル比(ポリビニル芳香族化合物/リチウム)が0.05〜1.0の範囲で調製された多官能アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合することによって得られる共役ジエン系共重合体の重合活性末端に、2つ以上のアルコキシ基で置換されたシリル基と1つ以上の窒素原子を有する化合物を反応させることにより得られる変性共役ジエン系共重合体である。
変性共役ジエン重合体(B)は、ポリビニル芳香族化合物とリチウムとのモル比(ポリビニル芳香族化合物/リチウム)が0.05〜1.0の範囲で調製された多官能アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を重合することによって得られる共役ジエン系重合体の重合活性末端に、2つ以上のアルコキシ基で置換されたシリル基と1つ以上の窒素原子を有する化合物を反応させることにより得られる変性共役ジエン重合体である。
多官能アニオン重合開始剤は、ポリビニル芳香族化合物と有機リチウム化合物とを反応させることにより調製できる。
例えば、炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物とポリビニル芳香族化合物とを反応させる方法、有機リチウム化合物と共役ジエン化合物とを反応させた後にポリビニル芳香族化合物を反応させる方法、有機リチウム化合物とモノビニル芳香族化合物とを反応させた後にポリビニル芳香族化合物を反応させる方法、共役ジエン化合物及び/又はモノビニル芳香族化合物及びポリビニル芳香族化合物の二者又は三者の存在下で有機リチウム化合物を反応させる方法等が挙げられる。
特に、炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物とポリビニル芳香族化合物とを反応させる方法、有機リチウム化合物と共役ジエン化合物とを反応させた後にポリビニル芳香族化合物を反応させる方法、共役ジエン化合物及びポリビニル芳香族化合物の存在下でモノ有機リチウム化合物を反応させる方法で調製された多官能アニオン開始剤が好ましい。
また、多官能アニオン重合開始剤の生成の促進や安定化を図るために、調製の際に系内にルイス塩基を添加することが好ましい。
多官能アニオン重合開始剤の調製に用いるポリビニル芳香族化合物としては、例えば、o,m及びp−ジビニルベンゼン、o,m及びp−ジイソプロペニルベンゼン、1,2,4−トリビニルベンゼン、1,2−ビニル−3,4−ジメチルベンゼン、1,3−ジビニルナフタレン、1,3,5−トリビニルナフタレン、2,4−ジビニルビフェニル、3,5,4’−トリビニルビフェニル、1,2−ジビニル−3,4−ジメチルベンゼン、1,5,6−トリビニル−3,7−ジエチルナフタレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
特に、ジビニルベンセン、ジイソプロペニルベンゼンが好ましく、これらのo−,m−,p−の異性体の混合物であってもよい。工業的利用を行う場合には、これら異性体混合物を用いる方が経済的に有利である。
多官能アニオン重合開始剤の調製には、ポリビニル芳香族化合物と共に共役ジエン化合物及び/又はモノ芳香族ビニル化合物を用いることもできる。
共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられ、特に、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
また、モノビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン等が挙げられ、特に、スチレンが好ましい。
共役ジエン化合物及び/又はモノ芳香族ビニル化合物は、GPCで測定した多官能アニオン重合開始剤のポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜20,000の範囲内となるように添加することが好ましく、1,000〜10,000となるように添加することがさらに好ましい。
多官能アニオン重合開始剤の調製に用いる有機リチウム化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−プロピルリチウム、iso−プロピルリチウム、ベンジルリチウム等のモノ有機リチウム化合物;1,4−ジリチオブタン、1,5−ジリチオペンタン、1,6−ジリチオヘキサン、1,10−ジリチオデカン、1,1−ジリチオジフェニレン、ジリチオポリブタジエン、ジリチオポリイソプレン、1,4−ジリチオベンゼン、1,2−ジリチオ−1,2−ジフェニルエタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン、1,3,5−トリリチオ−2,4,6−トリエチルベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物が挙げられる。特に、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムのモノ有機リチウム化合物が好ましい。
<溶媒>
多官能アニオン重合開始剤の調製に用いる溶媒としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
多官能アニオン重合開始剤の生成の促進や安定化のためには、系内にルイス塩基を添加することが有効である。
ルイス塩基としては、3級モノアミン、3級ジアミン、鎖状又は環状エーテル等が挙げられる。
3級モノアミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、1,1−ジメトキシトリメチルアミン、1,1−ジエトキシトリメチルアミン、1,1−ジエトキシトリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミドジイソプロピルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジシクロヘキシルアセタール等の化合物が挙げられる。
鎖状エーテルとしては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレンジメチルエーテルが挙げられる。
前記ルイス塩基の中でも、3級モノアミンであるトリメチルアミン、トリエチルアミン、3級ジアミンであるN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、及び環状エーテルであるテトラヒドロフラン、2,2−ビス(3,4,5−トリメチル−2−オキソラニル)プロパンが好ましい。
ポリビニル芳香族化合物の使用量が多いほど、後述する変性反応によって官能基を付与される分子鎖末端の割合が増加し、後述するシリカ系粒子との親和性や反応性の向上が図られ、変性共役ジエン系重合体組成物における低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランスが良好なものとなり、耐摩耗性、破壊特性の向上も図られる。一方、有機リチウム化合物に対してポリビニル芳香族化合物の使用量が少ない方が組成物混練時などでの加工性を良好なものにする観点から1.0モル以下とすることが好ましい。加工性については配合物ムーニー粘度を指標とすることができる。配合物ムーニー粘度が高すぎる場合、溶融時のトルクが上昇して電力消費が増大するなどの悪影響が生じる。また混練後のシーティング工程で均一なシート作製が難しくなるといったことも生じる。一般に低ヒステリシスロス性を改善する場合、配合物ムーニー粘度が上昇し加工性が悪化する傾向にあるが、あまり高くしないことが実用上重要である。これらのバランスからポリビニル芳香族化合物の量は、有機リチウム化合物1モルに対して0.05〜1.0モルの範囲が好ましく、0.1〜0.5モル、0.1〜0.45、0.1〜0.4モル、の範囲がさらに好ましい。
多官能アニオン重合開始剤を調製する際の温度は、10℃〜140℃の範囲が好ましく、35℃〜110℃の範囲がより好ましい。
生産性の観点から10℃以上であることが好ましく、高温による副反応を抑制するために140℃以下であることが好ましい。
多官能アニオン重合開始剤を調製する反応時間は、反応温度に左右されるが、5分〜24時間の範囲である。
分子量分布は(Mw/Mn)1.2〜3.5の範囲であり、好ましくは1.2〜2.5の範囲である。この範囲の分子量分布を有する多官能アニオン重合開始剤を使用して得られた重合体を含む変性重合体組成物は、配合物ムーニー粘度が低下し、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性のバランスが優れる加硫物となる。
共役ジエン化合物の例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられ、一種又は二種以上を組み合わせて用いられる。好ましい化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。
共役ジエン系(共)重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。ランダム共重合体としては、ブタジエン−イソプレンランダム共重合体、ブタジエン−スチレンランダム共重合体、イソプレン−スチレンランダム共重合体、ブタジエン−イソプレン−スチレンランダム共重合体などが挙げられる。共重合体鎖中の各単量体の組成分布としては、統計的ランダムな組成に近い完全ランダム共重合体、もしくはテーパー状に組成に分布があるテーパーランダム共重合体などがある。共役ジエンの結合様式、すなわち1,4−結合と1,2−結合などの組成は均一であっても分布があってもよい。
(S−B)n、 S−(B−S)n、B−(S−B)n、(S−B)m−X
[(S−B)n]m−X、[(B−S)n−B]m−X、[(S−B)n−S]m−X
(nは1以上の整数、好ましくは1〜5の整数である。mは2以上の整数、好ましくは2〜11の整数である。Xはカップリング剤の残基又は多官能開始剤の残基を示す。また、Xに結合しているポリマー鎖の構造は同一でも異なっていても良い。)
本発明において、変性共役ジエン系共重合体は,上記一般式で表される構造を有するものの任意の混合物でもよい。
共役ジエン化合物中に、アレン類、アセチレン類等が不純物として含有されていると、後述する変性反応を阻害するおそれがある。そのため、これらの不純物の含有量濃度(質量)の合計は、200ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがより好ましく、50ppm以下であることがさらに好ましい。アレン類としては、例えば、プロパジエン、1,2−ブタジエン等が挙げられる。アセチレン類としては、例えば、エチルアセチレン、ビニルアセチレン等が挙げられる。
共役ジエン系(共)重合体の重合反応においては、芳香族ビニル化合物を共役ジエン化合物とランダムに共重合させる目的で、共役ジエン部のミクロ構造を制御するためのビニル化剤として、あるいは重合速度の改善等の目的で、少量の極性化合物を添加してもよい。
重合温度はリビングアニオン重合が進行する温度であれば、特に限定されないが、生産性の観点から、0℃以上であることが好ましく、重合終了後の活性末端に対する変性剤の反応量を充分に確保する観点から、120℃以下であることが好ましい。
また、本実施形態の共役ジエン−芳香族ビニル共重合体は芳香族ビニル単位が30以上連鎖しているブロックの数が少ないか又は無いものであることが好ましい。具体的には、共重合体がブタジエン−スチレン共重合体の場合、Kolthoffの方法(I.M.KOLTHOFF,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)により重合体を分解し、メタノールに不溶なポリスチレン量を分析する公知の方法において、芳香族ビニル単位が30以上連鎖しているブロックが、重合体量に対して好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
ミクロ構造(上記変性共役ジエン系共重合体中の各結合量)が上記範囲にあり、さらに共重合体のガラス転移温度が−45〜−15℃の範囲にあるときに、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性のバランスにより一層優れた加硫物を得ることができる。ガラス転移温度については、ISO22768:2006に従い、所定の温度範囲で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とする。
詳細には、上述した方法で、活性末端を有する共役ジエン系共重合体、または共役ジエン重合体を得た後、その活性末端に、分子中に3級アミノ基を2個以上およびアルコキシシリル基を2個以上有する化合物を反応させることによって、本実施の形態における変性共役ジエン系(共)重合体が得られる。
変性反応に用いる分子中に3級アミノ基を2個以上およびアルコキシシリル基を1個以上有する化合物としては、下記式(1)
上記式(2)においてはR4、R5は同一であっても異なっていてもよい。
で表される。
これらの変性剤は、単独で用いてもよく、2種類以上併用しても良い。
上述した変性剤を、重合活性末端に反応させる際の、反応温度、反応時間等については、特に限定されないが、0〜120℃で、30秒以上反応させることが好ましい。
上述した変性剤は、化合物中のシリル基に結合したアルコキシ基の合計モル数が、重合開始剤のアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の添加モル数の0.8〜3倍となる範囲であることが好ましく、1〜2.5倍となる範囲であることがより好ましく、1〜2倍となる範囲であることがさらに好ましい。得られる変性共役ジエン系重合体が十分な変性率を得るために0.8倍以上とすることが好ましく、加工性改良のために重合体末端同士をカップリングさせ分岐状重合体成分を得ることが好ましいことに加え、変性剤コストの観点から3倍以下とすることが好ましい。
また、本実施形態の変性共役ジエン系(共)重合体は、重合後の仕上げ工程におけるゲル生成を防止する観点や、加工時の安定性を向上させる観点から、ゴム用安定剤を添加することが好ましい。ゴム用安定剤は、特に限定されず、公知のものを用いることができるが、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピネート、2−メチル−4,6−ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール等が好ましい。
本実施形態の変性共役ジエン系ゴム組成物の配合比率(質量比)は、変性共役ジエン系共重合体(A)/変性共役ジエン重合体(B)として、10/90〜90/10が好ましく、30/70〜90/10がより好ましく、50/50〜80/20がさらに好ましい。変性共役ジエン系共重合体(A)/変性共役ジエン重合体(B)の配合比率が上記範囲であると、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性のバランスがさらに優れ、耐摩耗性や破壊強度もより一層満足する加硫物を得ることができる。
上述した各種ゴム状重合体は、水酸基やアミノ基等の極性を有する官能基を付与した変性ゴムであってもよい。またその重量平均分子量は、性能と加工特性のバランスの観点から、2,000〜2,000,000であることが好ましく、5,000〜1,500,000であることがより好ましい。また、低分子量のいわゆる液状ゴムを用いることもできる。これらのゴム状重合体は、単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また上記変性共役ジエン系ゴム組成物の加硫物は50℃における周波数10Hz、ひずみ0.1%と10%で測定した貯蔵弾性率の差(ΔG’)が0.8MPa以下であり、シリカ等の分散性が良い。
カーボンブラックの配合量は、本実施形態の変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対し、0.5〜100質量部が好ましく、3〜100質量部がより好ましく、5〜50質量部がさらに好ましい。カーボンブラックの配合量は、ドライグリップ性能や導電性等のタイヤ等の用途に求められる性能を発現する観点から、0.5質量部以上とすることが好ましく、分散性の観点から、100質量部以下とすることが好ましい。
また、変性共役ジエン系ゴム組成物には、シリカ系無機充填剤やカーボンブラック以外に、金属酸化物や金属水酸化物を含有させてもよい。金属酸化物とは、化学式MxOy(Mは金属原子を表し、x及びyは各々1〜6の整数を表す。)を構成単位の主成分とする固体粒子のことをいい、例えば、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等を用いることができる。また金属酸化物と金属酸化物以外の無機充填剤の混合物も用いることができる。金属水酸化物としては、特に限定されず、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム等が挙げられる。
シランカップリング剤の配合量は、上述したシリカ系無機充填剤100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましく、1〜15質量部がさらに好ましい。シランカップリング剤の配合量が上記範囲であると、シランカップリング剤による上記添加効果を一層顕著なものにできる。
ゴム用軟化剤の配合量は、本実施形態の変性共役ジエン系ゴム組成物を含有するゴム成分100質量部に対して、0〜100質量部が好ましく、10〜90質量部がより好ましく、30〜90質量部がさらに好ましい。ゴム用軟化剤の配合量がゴム成分100質量部に対して100質量部を超えると、ブリードアウトを生じやすく、組成物表面にベタツキを生ずるおそれがある。
また、加硫に際しては、必要に応じて加硫促進剤を用いてもよい。加硫促進剤としては、従来公知の材料を用いることができ、例えば、スルフェンアミド系、グアニジン系、チウラム系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、チオ尿素系、ジチオカルバメート系等の加硫促進剤が挙げられる。また、加硫助剤としては、亜鉛華、ステアリン酸等を使用できる。加硫促進剤の使用量は、通常、本実施形態の変性共役ジエン系重合体を含有するゴム成分100質量部に対して0.01〜20質量部であり、0.1〜15質量部が好ましい。
(1)結合スチレン量
試料をクロロホルム溶液とし、スチレンのフェニル基によるUV254nmの吸収により結合スチレン量(質量%)を測定した(島津製作所製:UV−2450)。
(2)ブタジエン部分のミクロ構造(1,2−ビニル結合量)
試料を二硫化炭素溶液とし、溶液セルを用いて、赤外線スペクトルを600〜1000cm−1の範囲で測定して所定の波数における吸光度によりハンプトンの方法又はモレロの方法の計算式に従いブタジエン部分のミクロ構造を求めた(日本分光(株)製:FT−IR230)。
JIS K 6300に従い、100℃で1分間余熱し、4分後の粘度を測定した。
(4)重量平均分子量及び分子量分布
ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結して用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を使用して、クロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用した検量線により重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を求め、重量平均分子量と数平均分子量の比から分子量分布の指標(Mw/Mn)を計算した。
溶離液としてはテトラヒドロフラン(THF)を使用した。
カラムは、ガードカラム:東ソー TSKguardcolumn HHR−H、カラム:東ソー TSKgel G6000HHR、TSKgel G5000HHR、TSKgel G4000HHRを使用した。
オーブン温度40℃、THF流量1.0mL/分の条件で、東ソー製 HLC8020のRI検出器を用いて分子量の測定を行った。試料10mgをTHF20mLに溶解し、この溶液200μLを装置に注入して測定した。
シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに変性した成分が吸着する特性を応用し、試料及び分子量5000の標準ポリスチレン(ポリスチレンはカラムに吸着しない)を含む試料溶液を用いて、前記ポリスチレン系ゲルカラムのGPCと、シリカ系カラム(ガードカラム:DIOL 4.6×12.5mm 5micron、カラム:Zorbax PSM−1000S、PSM−300S、PSM−60S、オーブン温度40℃、THF流量0.5ml/分)のGPC(東ソー製CCP8020シリーズ ビルドアップ型GPCシステム:AS−8020、SD−8022、CCPS、CO−8020、RI−8021)の両クロマトグラムを、RI検出器を用いて測定し、それらの差分よりシリカカラムへの吸着量を測定し変性率を求めた。
試料は、20mLのTHFに対して10mgを標準ポリスチレン5mgとともに溶解し、200μL注入して測定した。
具体的な手順としては、ポリスチレン系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、サンプルピーク面積をP1、標準ポリスチレンのピーク面積をP2とし、シリカ系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、サンプルピーク面積をP3、標準ポリスチレンのピーク面積をP4として、変性率(%)は[1−(P2×P3)/(P1×P4)]×100の計算式により算出した。
変性前の共役ジエン系(共)重合体は、下記の多官能アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合し、又は共役ジエン化合物を重合することによって得られる。
(多官能アニオン重合開始剤a〜dの調製)
内容積10Lの撹拌装置及びジャケットを具備するオートクレーブを洗浄乾燥し、窒素置換を行った後、下記表1に示す条件に従い、乾燥処理を施した1,3−ブタジエン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、ジビニルベンゼンを加え、次いでn−ブチルリチウムを加えて75℃で1時間反応し調製した。
下記表1に示す条件により調製した多官能アニオン重合開始剤は、シクロヘキサンに可溶でありゲルは全くなかった。
多官能アニオン重合開始剤の調製には、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン、エチルビニルベンゼン等を含有し、ジビニルベンゼン濃度が57重量%であるジビニルベンゼン混合物(新日鐵化学製)を用いた。
下記表1中のジビニルベンゼン量については、上記市販のジビニルベンゼンが混合物であることから、不純物の含有量を除いて換算したジビニルベンゼン純量を表した。
マグネット攪拌子を備えた三方フラスコに、冷却管及び滴下漏斗をセットし、窒素置換を行った後、微加圧した窒素を流通させ、系内をシールした状態で、前記三方フラスコ中に、1.01mol/Lのsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン/n−ヘキサン混合溶液99.0mL(100ミリモル)、トリエチルアミン13.9mL(100ミリモル)、及びシクロヘキサン10mLを導入し、20℃で攪拌混合した。
さらに減圧蒸留により精製したm−ジイソプロペニルベンゼン7.91g(50ミリモル)を室温で3時間かけて滴下し、攪拌を15時間継続して行い、調製した。
内容積10リットルで、撹拌機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去したブタジエン740g、スチレン260g、シクロヘキサン4800g、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン0.85gを反応器へ入れ、反応器内の温度を42℃に保持した。
上述のようにして調製した多官能重合開始剤aをリチウム添加量として10.5mmolとなるように反応器に供給した。反応開始後、重合による発熱で、反応器内の温度は上昇を始め、最終的な反応器内の温度は75℃に達した。
試料SB1を分析した結果、結合スチレン量は26質量%、結合ブタジエン量は74質量%であった。また、試料SB1のムーニー粘度は56であった。
赤外分光光度計を用いた測定結果よりハンプトン法に準じて計算して求めたブタジエン部分のミクロ構造の1,2−結合量は57%であった。また、シリカ系吸着カラムを用いるGPCから求めた変性率は89%であった。試料SB1の分析結果を下記表2に示す。
上述した多官能アニオン重合開始剤の種類、これらの添加量、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン、及び1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−4−メチルピペラジンの添加量を、下記表2に示すように調整して、製造条件については、上述した同様の方法として、(試料SB2)及び(試料SB3)を得た。
変性成分を有するスチレンブタジエン共重合体(試料SB2)、(試料SB3)の分析結果を下記表2に示す。
内容積10リットルで、撹拌機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去したブタジエン740g、スチレン260g、シクロヘキサン4800g、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン1.01gを反応器へ入れ、反応器内の温度を42℃に保持した。
リチウム添加量として6.3mmolの上述した多官能アニオン重合開始剤eと、ノルマルブチルリチウム4.8mmolとを混合した後、反応器に供給した。
このとき、重合系に添加したポリビニル芳香族化合物とリチウムの比は0.284となった。
重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、最終的な反応器内の温度は74℃に達した。重合反応終了後、反応器に1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−4−メチルピペラジンを6.93mmol添加して、73℃の条件下で5分間、変性反応を実施した。
重合体溶液に酸化防止剤(BHT)2.1gを添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、乾燥機により乾燥処理を施し、変性成分を有するスチレン−ブタジエン共重合体(試料SB4)を得た。試料SB4の分析結果を下記表2に示す。
多官能アニオン重合開始剤bを用いて、SB2と同様の製造方法でスチレン−ブタジエン共重合体を得、その後、下記表2に示すように変性剤の種類を変えて変性を行い、変性成分を有するスチレン−ブタジエン共重合体(試料SB5〜8)を得た。試料5〜試料8の分析結果を下記表2に示す。
内容積10リットルで、撹拌機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去したブタジエン740g、スチレン260g、シクロヘキサン4800g、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン0.62gを反応器へ入れ、反応器内温を42℃に保持した。重合開始剤として、n−ブチルリチウム7.5mmolを含むシクロヘキサン溶液を反応器に供給した。重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、最終的な反応器内の温度は71℃に達した。重合反応終了後、反応器にテトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン0.28mmolを添加し、70℃で2分間攪拌して変性反応を実施した。その後、さらに1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−4−メチルピペラジンを4.0mmol添加して69℃で5分間変性反応を実施した。
一方において、(試料SB1〜SB8)においては、多官能開始剤を使用することで、変性後の重合体の一部が高分子量化してコールドフロー抑制効果があるため、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンによる変性の必要はなかった。
試料SB9を分析した結果、結合スチレン量は26質量%、結合ブタジエン量は74%であった。重合体のムーニー粘度は65であった。
赤外分光光度計を用いた測定結果よりハンプトン法に準じて計算して求めたブタジエン部分のミクロ構造の1,2−結合量は56%であり、またシリカ系吸着カラムを用いるGPCから求めた変性率は82%であった。
内容積10リットルで、撹拌機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去したブタジエン1000g、シクロヘキサン4800gを反応器へ入れ、反応器内の温度を42℃に保持した。上述のようにして調製した多官能重合開始剤aをリチウム添加量として10.5mmolとなるように反応器に供給した。反応開始後、重合による発熱で、反応器内の温度は上昇を始め、最終的な反応器内の温度は79℃に達した。重合反応終了後、反応器に1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−4−メチルピペラジンを5.25mmol添加して、77℃の温度条件で5分間の変性反応を実施した。この重合体溶液に酸化防止剤(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール:BHT)2.1gを添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、乾燥機により乾燥処理を施して、変性成分を有するブタジエン重合体(試料B1)を得た。
試料B1を分析した結果、ムーニー粘度は50あった。赤外分光光度計を用いた測定結果よりモレロ法に準じて計算して求めたブタジエン部分のミクロ構造の1,2−結合量は13であった。また、シリカ系吸着カラムを用いるGPCから求めた変性率は93%であった。試料B1の分析結果を下記表2に示す。
多官能アニオン重合開始剤の種類及びこれらの添加量、変性剤の種類及び添加量を、下記表2に示すように調整して、上述した製造条件と同様の方法(試料B1)により、試料B2〜B4を得た。変性成分を有するブタジエン重合体(試料B2)、(試料B3)、(試料B4)の分析結果を下記表2に示す。
内容積10リットルで、撹拌機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去したブタジエン1000g、シクロヘキサン4800gを反応器へ入れ、反応器内温を42℃に保持した。重合開始剤として、n−ブチルリチウム7.5mmolを含むシクロヘキサン溶液を反応器に供給した。重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、最終的な反応器内の温度は71℃に達した。重合反応終了後、反応器にテトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン0.28mmolを添加し、70℃で2分間攪拌して変性反応を実施した。その後、さらに1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−4−メチルピペラジンを4.0mmol添加して69℃で5分間変性反応を実施した。
一方において、(試料B1〜B4)においては、多官能開始剤を使用することで、変性後の重合体の一部が高分子量化してコールドフロー抑制効果があるため、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンによる変性の必要はなかった。
試料SB4を分析した結果、重合体のムーニー粘度は51であった。赤外分光光度計を用いた測定結果よりモレロ法に準じて計算して求めたブタジエン部分のミクロ構造の1,2−結合量は13%であり、またシリカ系吸着カラムを用いるGPCから求めた変性率は93%であった。
上記表2に示す試料(試料SB1〜SB10、試料B1〜B5)を原料ゴムとして、以下に示す配合に従い、それぞれの原料ゴムを含有するゴム組成物を得た。
変性スチレン−ブタジエン共重合体(試料SB1〜SB10) 80.0質量部変性ブタジエン重合体(試料B1〜B5) 20.0質量部
シリカ(デグサ社製 Ultrasil VN3) 75.0質量部
カーボンブラック(東海カーボン社製 N339) 5.0質量部
シランカップリング剤(デグサ社製Si69) 7.5質量部
S−RAEオイル
(ジャパンエナジー社製JOMOプロセスNC140) 37.5質量部
亜鉛華 2.5質量部
ステアリン酸 2.0質量部
老化防止剤
(N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン) 2.0質量部
硫黄 1.7質量部
加硫促進剤(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフィンアミド)1.7質量部
加硫促進剤(ジフェニルグアニジン) 1.5質量部
合計 236.4質量部
温度制御装置を具備する密閉混練機(内容量0.3リットル)を使用し、第一段の混練として、充填率65%、ローター回転数50/57rpmの条件で、原料ゴム(変性スチレン−ブタジエン共重合体、変性ブタジエン重合体)、充填剤(シリカ、カーボンブラック)、有機シランカップリング剤、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸を混練した。
このとき、密閉混合機の温度を制御し、排出温度(配合物)は155〜160℃でゴム組成物を得た。
次に、第二段の混練として、上記で得た配合物を室温まで冷却後、老化防止剤を加え、シリカの分散を向上させるため再度混練した。この場合も、混合機の温度制御により排出温度(配合物)を155〜160℃に調整した。
次に、第三段の混練として、上記で得た配合物を室温まで冷却後、シリカの分散を向上させるため再度混練した。この場合も、混合機の温度制御により排出温度(配合物)を155〜160℃に調整した。
冷却後、第四段の混練として、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤を加えて混練した。その後、成型し、160℃で20分間、加硫プレスにて加硫した。
加硫後、ゴム組成物の物性を測定した。物性測定結果を下記表3に示した。
変性ブタジエン重合体の代わりに天然ゴム(NR)を使用した以外は、実施例1と同様な方法で加硫物を得た。加硫後、ゴム組成物の物性を測定した。物性測定結果を下記表3に示した。
ゴム組成物の物性は、下記の方法により測定した。
<バウンドラバー量>
第2段混練工程の終了後の配合物:約0.2グラムを約1mm角状に裁断し、ハリスかご(100メッシュ金網製)へ入れ、重量を測定した。
その後、トルエン中に24時間浸せき後、乾燥処理を施し、重量を測定した。
非溶解成分の量から充填剤に結合したゴム(変性共役ジエン系重合体+天然ゴム)の量を計算し、最初の配合物中のゴム量に対する充填剤と結合したゴムの割合を求めた。
<配合物ムーニー粘度>
ムーニー粘度計を使用し、JIS K6300−1により、130℃で、予熱を1分間行った後に、ローターを毎分2回転で回転させ4分後の粘度を測定した。
<引張強さ>
JIS K6251の引張試験法により測定した。
レオメトリックス・サイエンティフィック社製の粘弾性試験機(ARES)を使用し、ねじりモードで粘弾性パラメータを測定した。
0℃において周波数10Hz、ひずみ1%で測定したtanδをウェットグリップ性能の指標とした。値が大きいほどウェットグリップ性能が良好であることを示す。
また50℃において周波数10Hz、ひずみ3%で測定したtanδを省燃費特性の指標とした。値の小さいほど省燃費性能が良好であることを示す。
また、ひずみ0.1%と10%での貯蔵弾性率(G’)の差をΔG’としてペイン効果の指標とした。値の小さいほどシリカ等充填剤の分散性が良いことを示す。
<耐摩耗性>
アクロン摩耗試験機を使用し、荷重6ポンド、1000回転の摩耗量を測定し、指数化した。
指数の大きいほど耐摩耗性が優れることを示す。
Claims (6)
- (A)ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を使用して測定された分子量分布が1.2〜3.5の範囲である多官能アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合させた後、得られた重合体の活性末端に、2つ以上のアルコキシ基で置換されたシリル基と1つ以上の窒素原子を有する化合物を反応させて得られた変性共役ジエン系共重合体
及び
(B)ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を使用して測定された分子量分布が1.2〜3.5の範囲である多官能アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を重合させた後、得られた重合体の活性末端に、2つ以上のアルコキシ基で置換されたシリル基と1つ以上の窒素原子を有する化合物とを反応させて得られた変性共役ジエン重合体を含むことを特徴とする変性共役ジエン系ゴム組成物。 - (A)炭化水素溶媒中、ポリビニル芳香族化合物とリチウムとのモル比(ポリビニル芳香族化合物/リチウム)が0.05〜1.0の範囲で調製された多官能アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合させた後、得られた重合体の活性末端に2つ以上のアルコキシ基で置換されたシリル基と1つ以上の窒素原子を有する化合物とを反応させて得られた変性共役ジエン系共重合体
及び
(B)炭化水素溶媒中、ポリビニル芳香族化合物とリチウムとのモル比(ポリビニル芳香族化合物/リチウム)が0.05〜1.0の範囲で調製された多官能アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を重合させた後、得られた重合体の活性末端に2つ以上のアルコキシ基で置換されたシリル基と1つ以上の窒素原子を有する化合物とを反応させて得られた変性共役ジエン重合体
を含むことを特徴とする変性共役ジエン系ゴム組成物。 - 2つ以上のアルコキシ基で置換されたシリル基と1つ以上の窒素原子を有する化合物が、下記一般式(1)、一般式(2)もしくは一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の変性共役ジエン系ゴム組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の変性共役ジエン系ゴム組成物を含むゴム成分100質量部に対してシリカ系無機充填剤0.5〜300質量部を含む変性共役ジエン系ゴム組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の変性共役ジエン系ゴム組成物100質量部に対してシリカ系無機充填剤75質量部を含む変性共役ジエン系ゴム組成物の加硫物の50℃における周波数10Hz、ひずみ0.1%と10%で測定した貯蔵弾性率の差(ΔG’)が0.8MPa以下であることを特徴とする変性共役ジエン系ゴム組成物。
- ポリビニル芳香族化合物/リチウムのモル比が0.05〜1.0の範囲でポリビニル芳香族化合物と有機リチウム化合物を反応させて、
多官能アニオン重合開始剤を調製する工程、
(A)前記多官能アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を共重合させて、共役ジエン系共重合体を得る工程、
前記共役ジエン系共重合体の活性末端に、2つ以上のアルコキシ基で置換されたシリル基と1つ以上の窒素原子を有する化合物を反応させる工程、
(B)前記多官能アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物を重合させて、共役ジエン重合体を得る工程、
前記共役ジエン重合体の活性末端に、2つ以上のアルコキシ基で置換されたシリル基と1つ以上の窒素原子を有する化合物を反応させる工程、
を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の変性共役ジエン系ゴム組成物の製造方法。
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