JP2018062567A - 変性共役ジエン系重合体組成物 - Google Patents

変性共役ジエン系重合体組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】加硫物としたときの低ヒステリシスロス性に優れる、変性共役ジエン系重合体組成物を提供すること。【解決手段】下記成分(a)及び成分(b)を変性共役ジエン系重合体組成物であって、前記成分(a)は、少なくとも共役ジエン化合物単位を含む重合体であり、アミノ基ならびに、窒素原子とアルコキシシランを含む官能基又は窒素原子とエポキシ基を含む官能基を有しており、ガラス転移温度が−80℃以上−50℃未満であり、前記成分(b)は、少なくとも共役ジエン化合物単位を含む重合体であり、Mw/Mnが1.50未満である、変性共役ジエン系重合体組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、変性共役ジエン系重合体組成物に関する。
近年、自動車に対する低燃費化の要求の高まりに伴い、転がり抵抗が低いタイヤが求められており、地面と直接接するタイヤトレッドに用いられるゴム材料として、低ヒステリシスロス性のゴム材料が求められている。
このような要求に応えるゴム材料として、ゴム材料に用いる補強性充填剤としてシリカを用いたゴム組成物がある。また、シリカの表面と相互作用する官能基を有するジエン系ゴムを用いたゴム組成物も開発されており、そのジエン系ゴムは、シリカの表面との親和性が高いことに起因して、ゴム組成物中でのシリカの分散性が良好であることや、優れた低ヒステリシスロス性を得られるという利点を有している。
例えば、特許文献1には、特定構造のアルコキシシリル系化合物にて変性した共役ジエン系重合体によって、低発熱性とウェットスキッド抵抗性、そして耐摩耗性を向上することが開示されている。
国際公開第2011/129425号パンフレット
実際のタイヤトレッドでは、目的に応じて複数の共役ジエン系重合体がブレンドして用いられており、上記文献1に記載の共役ジエン系重合体も、目的に応じて複数の共役ジエン系重合体をブレンドしたものが、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性、その他性能の向上を目的として用いられている。しかしながら、昨今、さらなる低発熱性向上が求められているため、上記特許文献1に記載の共役ジエン系重合体では、加硫物としたときの低ヒステリシスロス性が十分であるとは言えない。
そこで、本発明は、加硫物としたときの低ヒステリシスロス性に優れる、変性共役ジエン系重合体組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決するために鋭意研究検討した結果、特定の構造及び物性を有する2種類の変性共役ジエン系重合体を含む組成物が、加硫物としたときの低ヒステリシスロス性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
下記成分(a)及び成分(b)を変性共役ジエン系重合体組成物であって、
前記成分(a)は、少なくとも共役ジエン化合物単位を含む重合体であり、アミノ基ならびに、窒素原子とアルコキシシランを含む官能基又は窒素原子とエポキシ基を含む官能基を有しており、ガラス転移温度が−80℃以上−50℃未満であり、
前記成分(b)は、少なくとも共役ジエン化合物単位を含む重合体であり、Mw/Mnが1.50未満である、
変性共役ジエン系重合体組成物。
[2]
前記成分(a)のMw/Mnが1.50以上である、[1]に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
[3]
前記成分(b)が、窒素原子とアルコキシシランを含む官能基又は窒素原子とエポキシ基を含む官能基を有する、[1]又は[2]に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
[4]
前記成分(b)が、アミノ基をさらに含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
[5]
前記成分(b)のガラス転移温度が−50℃以上−20℃未満である、[1]〜[4]のいずれかに記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
[6]
前記成分(b)のガラス転移温度が−20℃以上0℃未満である、[1]〜[4]のいずれかに記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
[7]
前記成分(b)のガラス転移温度が−80℃以上−50℃未満である、[1]〜[4]のいずれかに記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
[8]
[1]〜[7]のいずれかに記載の変性共役ジエン系重合体組成物の加硫物。
本発明の変性共役ジエン系重合体組成物は、加硫物としたときの低ヒステリシスロス性に優れる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物は、
下記成分(a)及び成分(b)を変性共役ジエン系重合体組成物であって、
前記成分(a)は、少なくとも共役ジエン化合物単位を含む重合体であり、アミノ基ならびに、窒素原子とアルコキシシランを含む官能基又は窒素原子とエポキシ基を含む官能基を有しており、ガラス転移温度が−80℃以上−50℃未満であり、
前記成分(b)は、少なくとも共役ジエン化合物単位を含む重合体であり、Mw/Mnが1.50未満である。
本明細書においては、成分(a)と成分(b)の一方を、或いはまとめて「変性共役ジエン系共重合体」ともいう。
また、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物には、かかる変性共役ジエン系重合体組成物を加硫剤により加硫処理を施した加硫物も含まれる。
〔成分(a)〕
成分(a)は、少なくとも共役ジエン化合物を含む重合体であり、アミノ基ならびに、窒素原子とアルコキシシランを含む官能基又は窒素原子とエポキシ基を含む官能基を有しており、成分(a)のガラス転移温度が−80℃以上−50℃未満である。
本実施形態において、成分(a)中に含有されるアミノ基ならびに、窒素原子とアルコキシシランを含む官能基又は窒素原子とエポキシ基を含む官能基は、後述する方法にて導入することができる。
成分(a)のガラス転移温度は、低燃費化とウェットスキッド抵抗性を確保しつつ優れたアイスグリップを実現する観点から、−80℃以上−50℃未満である。ガラス転移温度の下限としては、好ましくは、−75℃以上であり、より好ましくは−70℃以上である。また、上限としては、好ましくは、−52℃以下が好ましく、より好ましくは、−55℃以下である。
ガラス転移温度は、共役ジエン系重合体中のスチレン量とビニル量を制御することにより調整でき、これらの量を増やすとガラス転移温度が上がり、減らすとガラス転移温度が下がる傾向にある。
ガラス転移温度は後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の効果をより顕著にする観点から、成分(a)の変性率は、75質量%以上、好ましくは78質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上、よりさらに好ましくは88質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である変性共役ジエン系重合体となるように、製造することが好ましい。ここで、成分(a)の変性率とは、特定官能基を有する重合体(例えば、重合開始末端に窒素原子を有する重合体及び/又は後述する式(1)又は(2)で表される変性剤により変性されている変性共役ジエン系重合体)の割合を意味する。
変性率は、官能基含有の変性成分と非変性成分を分離できるクロマトグラフィーによって測定することができる。このクロマトグラフィーを用いた方法としては、特定官能基を吸着するシリカ等の極性物質を充填剤としたゲル浸透クロマトグラフィー用のカラムを使用し、非吸着成分の内部標準を比較に用いて定量する方法が挙げられる。より具体的には、変性率は、試料及び低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液を用いてポリスチレン系ゲルカラムで測定したクロマトグラムと、シリカ系カラムで測定したクロマトグラムとの差分から求められるシリカカラムへの吸着量から測定することができる。さらに具体的には、変性率は、実施例に記載の方法により測定することができる。
変性率は、変性剤の添加量及び反応方法によって制御することができる。また、重合開始剤として後述する分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する有機リチウム化合物を用いて重合することでも変性率を制御することができる。
本実施形態における成分(a)は、性能と加工特性とのバランスの観点から、数平均分子量(Mn)が200,000以上2,000,000以下であることが好ましく、250,000以上1,500,000以下であることがより好ましく、300,000以上1,000,000以下であることがさらに好ましい。数平均分子量が200,000以上であることで、加硫物としたときの強度を一層向上させることができる傾向にあり、2,000,000以下であることで、加工性を一層向上させることができる傾向にある。また、本実施形態の変性共役ジエン系重合体は、性能と加工性のバランスの観点から、重量平均分子量が400,000以上4,000,000以下であることが好ましく、500,000以上3,000,000以下であることがより好ましく、600,000以上2,000,000以下であることがさらに好ましい。
本実施形態における成分(a)の、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)(Mw/Mn)は、加硫物の物性の観点から、好ましくは1.00以上3.50以下であり、より好ましくは1.40以上3.40以下であり、さらに好ましくは1.60以上2.70以下であり、特に好ましくは1.70以上2.50以下である。また、数平均分子量(Mn)が200,000以上2,000,000以下であり、且つ、(Mw/Mn)が1.50以上3.50以下であることが、より好ましい。
また、加硫物の物性に加え、加工性のバランスの観点から、Mw/Mnは1.50以上であることが好ましい。
本実施形態における成分(a)は、下記一般式(A)又は(B)で表される、変性共役ジエン系重合体であることが好ましい。
式(A)中、R21〜R24は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、R25及びR26は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R27は、水素原子、炭化水素で置換されたシリル基、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基を示す。a及びcは、各々独立して、1又は2の整数を示し、b及びdは、各々独立して、0又は1の整数を示し、(a+b)及び(c+d)は、各々独立して、2以下の整数を示し、(Polym)は、共役ジエン化合物、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを重合又は共重合することで得られる共役ジエン系重合体を示し、少なくともその一つの末端が、下記一般式(4)〜(7)のいずれかで表される官能基を示す。複数存在する場合のR21、及びR23、並びに複数存在する(Polym)は、各々独立している。変性共役ジエン系重合体が有し得る星形高分子構造としては、例えば、式(A)で表される変性共役ジエン系重合体において、R25と結合しているSi原子を分岐点として、その分岐点が、線状分子鎖(腕)であるR25、(OR213-a-b、R22 b、及び(Polym)aと結合している構造が挙げられる。
式(B)中、R28〜R33は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、R34〜R36は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を示す。a、c、及びeは、各々独立して、1又は2の整数を示し、b、d、及びfは、各々独立して、0又は1の整数を示し、(a+b)、(c+d)、及び(e+f)は、各々独立して、2以下の整数を示し、(Polym)は、共役ジエン化合物、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを重合又は共重合することで得られる共役ジエン系重合体を示し、少なくともその一つの末端が、下記一般式(4)〜(7)のいずれかで表される官能基を示す。複数存在する場合のR28、R30、及びR32、並びに複数存在する(Polym)は、各々独立している。変性共役ジエン系重合体が有し得る星形高分子構造としては、例えば、式(B)で表される変性共役ジエン系重合体において、R34と結合しているSi原子を分岐点として、その分岐点が、線状分子鎖(腕)であるR34、(OR283-a-b、R29 b、及び(Polym)aと結合している構造が挙げられる。
本実施形態の重合開始剤系に用いる分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する化合物としては、下記一般式(4)〜(7)のいずれかで表される化合物及び式(6)の位置異性体を用いることができる。
式(4)中、R10及びR11は、各々独立して、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜14のシクロアルキル基、及び炭素数6〜20のアラルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を示す。R10及びR11は、結合して隣接した窒素原子とともに環状構造を形成していてもよく、その場合のR10及びR11は、炭素数5〜12のアルキル基を示し、その一部分に不飽和結合又は分岐構造を有していてもよい。
式(5)中、R12及びR13は、各々独立して、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜14のシクロアルキル基、及び炭素数6〜20のアラルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を示す。R12及びR13は、結合して隣接した窒素原子とともに環状構造を形成していてもよく、その場合のR12及びR13は、炭素数5〜12のアルキル基を示し、その一部分に不飽和結合又は分岐構造を有していてもよい。R14は、炭素数1〜20のアルキレン基、又は炭素数1〜20の共役ジエン系重合体を示す。
式(6)中、R15及びR16は、各々独立して、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜14のシクロアルキル基、及び炭素数6〜20のアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1種を示す。R15及びR16は、結合して隣接した窒素原子とともに環状構造を形成していてもよく、その場合のR15及びR16は、炭素数5〜12のアルキル基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
式(7)中、R17は、窒素原子とともに環状構造を形成し、合計の炭素数が2〜12のアルキル基を示し、その一部分に不飽和結合又は分岐構造を有していてもよい。R18は、炭素数1〜12のアルキル基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
式(A)において、R21〜R24は、各々独立して、炭素数1〜8のアルキル基を示すことが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基を示すことがより好ましい。R25及びR26は、各々独立して、炭素数1〜8のアルキレン基を示すことが好ましく、炭素数2〜4のアルキレン基を示すことがより好ましい。R27は、水素原子、又は炭素数0〜6のアルキル基を示すことが好ましく、水素原子を示すことがより好ましい。R21〜R24が示すものとしては、以下に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びイソブチル基が挙げられ、好ましくはメチル基、及びエチル基である。また、R25及びR26が示すものとしては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、及びペンチレン基が挙げられ、好ましくはエチレン基、プロピレン基、及びブチレン基である。R27が示すものとしては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びイソブチル基が挙げられ、好ましくは水素原子、メチル基、及びエチル基である。
式(A)において、(Polym)の数平均分子量は、特に制限されないが、250,000以上1,500,000以下であることが好ましく、350,000以上900,000以下であることがより好ましい。(Polym)の数平均分子量が上記範囲であると、加硫物としたときの強度と加工特性とのバランスが良好となる傾向にある。
式(B)において、R28〜R33は、各々独立して、炭素数1〜8のアルキル基を示すことが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基を示すことがより好ましい。R34〜R36は、各々独立して、炭素数1〜8のアルキレン基を示すことが好ましく、炭素数2〜4のアルキレン基を示すことがより好ましい。R28〜R33が示すものとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びイソブチル基が挙げられ、好ましくはメチル基、及びエチル基である。また、R34〜R36が示すものとしては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、及びペンチレン基が挙げられ、好ましくはエチレン基、プロピレン基、及びブチレン基である。
式(B)において、(Polym)の数平均分子量は、特に制限されないが、250,000以上1,500,000以下であることが好ましく、350,000以上900,000以下であることがより好ましい。(Polym)の数平均分子量が上記範囲であると、加硫物としたときの強度と加工特性とのバランスが好ましくなる傾向にある。
式(4)において、R10及びR11がアルキル基を示す場合には、R10及びR11は、炭素数1〜6のアルキル基を示すことが好ましい。R10及びR11がシクロアルキル基を示す場合には、R10及びR11は、炭素数5〜7のシクロアルキル基を示すことが好ましい。R10及びR11がアラルキル基を示す場合には、R10及びR11は、炭素数6〜8のアラルキル基を示すことが好ましい。R10及びR11が、結合して隣接した窒素原子とともに環状構造を形成している場合には、R10及びR11は、炭素数5〜7のアルキル基を示すことが好ましい。また、R10及びR11が示すものとしては、以下に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びイソブチル基が挙げられ、好ましくはブチル基、及びイソブチル基である。R10及びR11が結合して隣接した窒素原子とともに環状構造を形成している場合には、R10及びR11が示すものとしては、以下のものに限定されないが、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、及びへキシレン基が挙げられ、好ましくは、ブチレン基、ペンチレン基、及びへキシレン基である。
式(5)において、R12及びR13が結合して隣接した窒素原子とともに環状構造を形成している場合には、R12及びR13は、炭素数1〜8のアルキル基を示すことが好ましい。また、R12及びR13が示すものとしては、以下に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びイソブチル基が挙げられ、好ましくは、ブチル基、及びイソブチル基である。R12及びR13が結合して隣接した窒素原子とともに環状構造を形成している場合には、R12及びR13が示すものとしては、以下のものに限定されないが、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、及びへキシレン基が挙げられ、好ましくは、ブチレン基、ペンチレン基、及びへキシレン基である。
式(5)において、R14は、炭素数1〜8のアルキレン基を示すことが好ましい。また、R14が示すものとしては、以下に限定されないが、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、及びへキシレン基が挙げられ、好ましくは、エチレン基、プロピレン基、及びブチレン基である。
式(6)において、R15及びR16が示すものとしては、以下に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びイソブチル基が挙げられ、好ましくは、メチル基、及びエチル基である。
式(7)において、R17は、合計の炭素数4〜6のアルキル基を示すことが好ましい。R18は、炭素数1〜4のアルキル基を示すことが好ましい。また、R17が示すものとしては、以下に限定されないが、例えば、ブチレン基、ペンチレン基、及びへキシレン基が挙げられ、好ましくは、ペンチレン基、及びへキシレン基である。R18が示すものとしては、以下に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びイソブチル基が挙げられ、好ましくは、メチル基、及びエチル基である。
〔成分(a)の製造方法〕
本実施形態における成分(a)の製造方法としては、特に限定されないが、
分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する有機リチウム化合物を重合開始剤として用いて少なくとも共役ジエン化合物を重合し、共役ジエン系重合体を得る重合工程と、
該共役ジエン系重合体を、1分子中に窒素原子とシリル基に結合したアルコキシ基又は窒素原子とエポキシ基を含む官能基を有する変性剤により、変性させる変性工程と、
を有する、製造方法によって得られることが好ましい。
成分(a)を構成する共役ジエン系重合体は、例えば、単一の共役ジエン化合物の単独重合体、異なる種類の共役ジエン化合物の重合体すなわち共重合体、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体が挙げられる。
〔重合工程〕
本実施形態における重合工程は、分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する有機リチウム化合物の存在下、少なくとも共役ジエン化合物を重合し、共役ジエン系重合体を得る工程である。
<重合開始剤>
重合開始剤としては、分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する有機リチウム化合物、又は、分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する化合物及び有機リチウム化合物を含む重合開始剤系、を用いることができる。重合開始剤系は、分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する有機リチウム化合物を、予め所定の反応器で調製しておいてもよいし、後述する重合又は共重合を行うための反応器中に供給し、重合又は共重合と同時、もしくはその前に、分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する化合物と有機リチウムとを反応させてもよい。これにより成分(a)は、アミノ基を有する変性共役ジエン系重合体となる。
重合開始剤系に用いる、分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する化合物としては、下記一般式(24)〜(26)のいずれかで表される化合物を用いることができる。
式(24)中、R10及びR11は、各々独立して、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜14のシクロアルキル基、及び炭素数6〜20のアラルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を示す。R10及びR11は、結合して隣接した窒素原子とともに環状構造を形成していてもよく、その場合のR10及びR11は、炭素数5〜12のアルキル基を示し、その一部分に不飽和結合又は分岐構造を有していてもよい。
式(25)中、R12及びR13は、各々独立して、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜14のシクロアルキル基、及び炭素数6〜20のアラルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を示す。R12及びR13は、結合して隣接した窒素原子とともに環状構造を形成していてもよく、その場合のR12及びR13は、炭素数5〜12のアルキル基を示し、その一部分に不飽和結合又は分岐構造を有していてもよい。R14は、炭素数1〜20のアルキレン基、又は炭素数1〜20の共役ジエン系重合体を示す。Xは、水素原子、Cl原子、Br原子、又はI原子を示す。
式(26)中、R15及びR16は、各々独立して、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜14のシクロアルキル基、及び炭素数6〜20のアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1種を示す。R15及びR16は、結合して隣接した窒素原子とともに環状構造を形成していてもよく、その場合のR15及びR16は、炭素数5〜12のアルキル基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
式(26)は、メチル基をo位に有するが、かかるメチル基はm位、p位に置換していてもよい。
式(24)において、R10及びR11が示すものとして、以下のものに限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、3−フェニル−1−プロピル基、イソブチル基、デシル基、ヘプチル基、及びフェニル基が挙げられる。式(24)で表される化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジプロピルアミン、ジへプチルアミン、ジへキシルアミン、ジオクチルアミン、ジ−2−エチルへキシルアミン、ジデシルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、エチルベンジルアミン、及びメチルフェネチルアミンが挙げられる。式(24)で表される化合物は、これらに限定されるものではなく、これらの類似物を含む。式(24)で表される化合物は、後述する変性共役ジエン系重合体組成物のヒステリシスロス低減の観点から、ジブチルアミン、及びジへキシルアミンが好ましく、より好ましくはジブチルアミンである。
10及びR11が結合して隣接した窒素原子とともに環状構造を形成している場合、式(24)で表される化合物としては、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン、アザシクロオクタン、1,3,3−トリメチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、及び3,5−ジメチルピペリジンが挙げられる。式(24)で表される化合物は、これらに限定されるものではなく、上記条件を満たせば、これらの類似物を含む。式(24)で表される化合物は、後述する変性共役ジエン系重合体組成物のヒステリシスロス低減の観点から、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン、アザシクロオクタン、1,3,3−トリメチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、及び3,5−ジメチルピペリジンが好ましく、より好ましくはピペリジン、ヘキサメチレンイミン、及び3,5−ジメチルピペリジンであり、さらに好ましくはピペリジンである。
式(25)において、カーボン、シリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点から、R14は、炭素数2〜16のアルキル基を示すことが好ましく、より好ましくは炭素数3〜10のアルキル基を示す。式(25)で表される化合物としては、以下に限定されないが、例えば、3−クロロ−N,N−ジメチルプロパン−1−アミン、3−クロロ−N,N−ジエチルプロパン−1−アミン、3−クロロ−N,N−ジブチルプロパン−1−アミン、3−クロロ−N,N−ジプロピルプロパン−1−アミン、3−クロロ−N,N−ジヘプチルプロパン−1−アミン、3−クロロ−N,N−ジヘキシルプロパン−1−アミン、3−クロロロ−N−プロピル−N−エチルヘキサン−1−アミン、3−クロロ−N,N−ジデシルプロパン−1−アミン、3−クロロ−N−エチルプロパン−1−アミン、3−クロロ−N−エチルブタン−1−アミン、3−クロロ−N−エチルプロパン−1−アミン、N−ベンジル−3−クロロ−N−エチルプロパン−1−アミン、3−クロロ−N−エチル−N−フェネチルプロパン−1−アミン、3−クロロ−N−メチル−N−フェネチルプロパン−1−アミン、1−(3−クロロプロピル)ピペリジン、1−(3−クロロプロピル)ヘキサメチレンイミン、1−(3−クロロプロピル)アザシクロオクタン、6−(3−クロロプロピル)−1,3,3−トリメチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、1−(3−クロロプロピル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、1−(3−ブロモプロピル)ヘキサメチレンイミン、1−(3−ヨードプロピル)ヘキサメチレンイミン、1−(3−クロロブチル)ヘキサメチレンイミン、1−(3−クロロペンチル)ヘキサメチレンイミン、1−(3−クロロヘキシル)ヘキサメチレンイミン、及び1−(3−クロロデシル)ヘキサメチレンイミンが挙げられる。式(25)で表される化合物は、これらに限定されるものではなく、上記条件を満たせば、これらの類似物を含む。式(25)で表される化合物は、カーボン、シリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点から、3−クロロ−N,N−ジブチルプロパン−1−アミン、及び1−(3−クロロプロピル)ヘキサメチレンイミンが好ましく、より好ましくは1−(3−クロロプロピル)ヘキサメチレンイミンである。
式(25)において、R14が下記式(28)〜(30)のいずれかで表される繰り返し単位を有する共役ジエン系重合体を示す場合は、Xは、水素原子を示す。
Xが水素原子を示す場合に、式(25)で表される化合物としては、以下に限定されないが、例えば、N,N−ジメチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジエチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジブチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジプロピル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジへプチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジへキシル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジオクチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−(ジ−2−エチルへキシル)−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジデシル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−エチルプロピル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−エチルブチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−エチルベンジル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−メチルフェネチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジメチル−2−メチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジエチル−2−メチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジブチル−2−メチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジプロピル−2−メチル−2−ブテニル−1−アミン、(N,N−ジへプチル−2−メチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジへキシル−2−メチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジメチル−3−メチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジエチル−3−メチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジブチル−3−メチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジプロピル−3−メチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジへプチル−3−メチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジへキシル−3−メチル−2−ブテニル−1−アミン、1−(2−ブテニル)ピペリジン、1−(2−ブテニル)ヘキサメチレンイミン、1−(2−ブテニル)アザシクロオクタン、6−(2−ブテニル)1,3,3−トリメチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、1−(2−ブテニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、(2−メチル−2−ブテニル)ヘキサメチレンイミン、及び(3−メチル−2−ブテニル)ヘキサメチレンイミンが挙げられる。式(25)で表される化合物は、これらに限定されるものではなく、これらの類似物を含む。式(25)で表される化合物は、変性共役ジエン系重合体組成物のヒステリシスロス低減の観点から、N,N−ジブチル−2−ブテニル−1−アミン、1−(2−ブテニル)ピペリジン、及び1−(2−ブテニル)ヘキサメチレンイミンが好ましく、より好ましくは1−(2−ブテニル)ピペリジン、及び1−(2−ブテニル)ヘキサメチレンイミンであり、さらに好ましくは1−(2−ブテニル)ピペリジンである。
式(26)で表される化合物としては、以下に限定されないが、例えば、N,N−ジメチル−o−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−o−トルイジン、N,N−ジエチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジプロピル−o−トルイジン、N,N−ジプロピル−m−トルイジン、N,N−ジプロピル−p−トルイジン、N,N−ジブチル−o−トルイジン、N,N−ジブチル−m−トルイジン、N,N−ジブチル−p−トルイジン、o−ピペリジノトルエン、p−ピペリジノトルエン、o−ピロリジノトルエン、p−ピロリジノトルエン、N,N,N′,N′−テトラメチルトルイレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラエチルトルイレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラプロピルトルイレンジアミン、N,N−ジメチルキシリジン、N,N−ジエチルキシリジン、N,N−ジプロピルキシリジン、N,N−ジメチルメシジン、N,N−ジエチルメシジン、(N,N−ジメチルアミノ)トルイルフェニルメチルアミン、1−(N,N−ジメチルアミノ)−2−メチルナフタレン、及び1−(N,N−ジメチルアミノ)−2−メチルアントラセンが挙げられる。式(26)で表される化合物は、これらに限定されるものではなく、上記条件を満たせば、これらの類似物を含む。式(26)で表される化合物は、後述する変性共役ジエン系重合体組成物のヒステリシスロス低減の観点から、N,N−ジメチル−o−トルイジンが好ましい。
有機リチウム化合物としては、以下に限定されないが、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−プロピルリチウム、及びiso−プロピルリチウムが挙げられる。
本実施形態における有機リチウム化合物は、変性率向上と省燃費性能向上との観点から、分子内に少なくとも1つ窒素原子を有し、アニオン重合の重合開始剤として用いることが可能なものであることが好ましい。具体的には、下記一般式(14)〜(17)のいずれかで表される有機リチウム化合物を含むことが好ましい。
式(14)中、R10及びR11は、各々独立して、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜14のシクロアルキル基、及び炭素数6〜20のアラルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を示す。R10及びR11は、結合して隣接した窒素原子とともに環状構造を形成していてもよく、その場合のR10及びR11は、炭素数5〜12のアルキル基を示し、その一部分に不飽和結合又は分岐構造を有していてもよい。
式(15)中、R12及びR13は、各々独立して、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜14のシクロアルキル基、及び炭素数6〜20のアラルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を示す。R12及びR13は、結合して隣接した窒素原子とともに環状構造を形成していてもよく、その場合のR12及びR13は、炭素数5〜12のアルキル基を示し、その一部分に不飽和結合又は分岐構造を有していてもよい。R14は、炭素数1〜20のアルキレン基、又は炭素数1〜20の共役ジエン系重合体を示す。
式(16)中、R15及びR16は、各々独立して、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜14のシクロアルキル基、及び炭素数6〜20のアリール基からなる群より選ばれる少なくとも1種を示す。R15及びR16は、結合して隣接した窒素原子とともに環状構造を形成していてもよく、その場合のR15及びR16は、炭素数5〜12のアルキル基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。式(16)は、リチオメチル基をo位に有するが、かかるリチオメチル基は、m位、p位に置換していてもよい。
式(17)中、R17は、窒素原子とともに環状構造を形成し、合計の炭素数が2〜12のアルキル基を示し、その一部分に不飽和結合又は分岐構造を有していてもよい。R18は、炭素数1〜12のアルキル基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
式(14)において、R10及びR11が示すものとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ベンジル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、3−フェニル−1−プロピル基、イソブチル基、デシル基、ヘプチル基、及びフェニル基が挙げられる。R10及びR11は、これらに限定されるものではなく、これらの類似物を含む。R10及びR11としては、溶媒への可溶性、後述する変性共役ジエン系重合体組成物のヒステリシスロス低減の観点から、ブチル基、及びへキシル基が好ましく、より好ましくはブチル基である。
式(14)で表される有機リチウム化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、エチルプロピルアミノリチウム、エチルブチルアミノリチウム、エチルベンジルアミノリチウム、ジブチルアミノリチウム、及びジヘキシルアミノリチウムが挙げられ、これらの中では、ジブチルアミノリチウム及びジヘキシルアミノリチウムが好ましく、ジブチルアミノリチウムがより好ましい。
式(14)において、R10及びR11が結合して隣接した窒素原子とともに環状構造を形成している場合に、式(14)で表される有機リチウム化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、ピペリジノリチウム、ヘキサメチレンイミノリチウム、リチウムアザシクロオクタン、リチウム−1,3,3−トリメチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、1,2,3,6−テトラヒドロピリジノリチウム、及び3,5−ジメチルピペリジノリチウムが挙げられる。有機リチウム化合物は、これらに限定されるものではなく、これらの類似物を含む。式(14)で表される有機リチウム化合物としては、重合開始剤の溶媒への可溶性の観点から、ピペリジノリチウム、ヘキサメチレンイミノリチウム、リチウムアザシクロオクタン、及びリチウム−1,3,3−トリメチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタンが好ましく、より好ましくはピペリジノリチウム、ヘキサメチレンイミノリチウム、及び3,5−ジメチルピペリジノリチウムであり、さらに好ましくはピペリジノリチウムである。
式(15)において、R14は、炭素数1〜20のアルキレン基、又は炭素数1〜20の共役ジエン系重合体を示す。該共役ジエン系重合体は、下記式(18)〜(20)のいずれかで表される繰り返し単位を有する共役ジエン系重合体であることが好ましい。
式(15)において、R14が炭素数1〜20のアルキレン基を示す場合、カーボン、シリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点から、R14は、炭素数2〜16のアルキレン基を示すことが好ましく、より好ましくは炭素数3〜10のアルキレン基を示すことである。また、R14が炭素数1〜20のアルキレン基を示す場合、式(15)で表される有機リチウム化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、(3−(ジメチルアミノ)−プロピル)リチウム、(3−(ジエチルアミノ)−プロピル)リチウム、(3−(ジプロピルアミノ)−プロピル)リチウム、(3−(ジブチルアミノ)−プロピル)リチウム、(3−(ジペンチルアミノ)−プロピル)リチウム、(3−(ジヘキシルアミノ)−プロピル)リチウム、(3−(ジオクチルアミノ)−プロピル)リチウム、(3−(エチルへキシルアミノ)−プロピル)リチウム、(3−(ジデシルアミノ)−プロピル)リチウム、(3−(エチルプロピルアミノ−プロピル)リチウム、(3−(エチルブチルアミノ−プロピル)リチウム、(3−(エチルベンジルアミノ)−プロピル)リチウム、(3−(メチルフェネチルアミノ)−プロピル)リチウム、(4−(ジブチルアミノ)−ブチル)リチウム、(5−(ジブチルアミノ)−ペンチル)リチウム、(6−(ジブチルアミノ)−ヘキシル)リチウム、(10−(ジブチルアミノ)−デシル)リチウムが挙げられる。式(15)で表される有機リチウム化合物としては、これらに限定されるものではなく、これらの類似物を含む。カーボン、シリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点から、(3−(ジブチルアミノ)−プロピル)リチウムがより好ましい。
式(15)において、R14が式(18)〜(20)のいずれかで表される繰り返し単位を有する共役ジエン系重合体を示す場合、式(15)で表される有機リチウム化合物としては、以下に限定されないが、例えば、(4−(ジメチルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジエチルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジブチルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジプロピルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジへプチルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジへキシルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジオクチルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジ−2−エチルへキシルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジデシルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(エチルプロピルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(エチルブチルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(エチルベンジルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(メチルフェネチルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジメチルアミノ)−2−メチル−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジエチルアミノ)−2−メチル−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジブチルアミノ)−2−メチル−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジプロピルアミノ)−2−メチル−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジへプチルアミノ)−2−メチル−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジへキシルアミノ)−2−メチル−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジメチルアミノ)−3−メチル−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジエチルアミノ)−3−メチル−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジブチルアミノ)−3−メチル−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジプロピルアミノ)−3−メチル−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジへプチルアミノ)−3−メチル−2−ブテニル)リチウム、及び(4−(ジへキシルアミノ)−3−メチル−2−ブテニル)リチウムが挙げられる。式(15)で表される有機リチウム化合物としては、これらに限定されるものではなく、上記条件を満たせば、これらの類似物を含む。中でも、開始剤としての反応性の観点、及び後述する連鎖移動反応制御の観点から、4−(ジメチルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジエチルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、及び(4−(ジブチルアミノ)−2−ブテニル)リチウムが好ましく、より好ましくは(4−(ジブチルアミノ)−2−ブテニル)リチウムである。
式(15)において、R12及びR13が結合して隣接した窒素原子とともに環状構造を形成している場合に、式(15)で表される有機リチウム化合物としては、(3−(ピペリジニル)プロピル)リチウム、(3−(ヘキサメチンレンイミニル)プロピル)リチウム、(3−(ヘプタメチレンイミニル)プロピル)リチウム、(3−(オクタメチレンイミニル)プロピル)リチウム、(3−(1,3,3−トリメチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタニル)プロピル)リチウム、(3−(1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル)プロピル)リチウム、(2−(ヘキサメチンレンイミニル)エチル)リチウム、(4−(ヘキサメチンレンイミニル)ブチル)リチウム、(5−(ヘキサメチンレンイミニル)ペンチル)リチウム、(6−(ヘキサメチンレンイミニル)ヘキシル)リチウム、(10−(ヘキサメチンレンイミニル)デシル)リチウム、(4−(ピペリジニル)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ヘキサメチンレンイミニル)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ヘプタメチレンイミニル)−2−ブテニル)リチウム、(4−(オクタメチレンイミニル)−2−ブテニル)リチウム、(4−(1,3,3−トリメチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタニル)−2−ブテニル)リチウム、(4−(1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ヘキサメチンレンイミニル)−2−メチル−2−ブテニル)リチウム、及び(4−(ヘキサメチンレンイミニル)−3−メチル−2−ブテニル)リチウムが挙げられる。式(15)で表される有機リチウム化合物としては、これらに限定されるものではなく、上記条件を満たせば、これらの類似物を含む。中でも、カーボン、シリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点から、(3−(ピペリジニル)プロピル)リチウム、(3−(ヘキサメチンレンイミニル)プロピル)リチウム、(3−(1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル)プロピル)リチウム、(4−(ピペリジニル)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ヘキサメチンレンイミニル)−2−ブテニル)リチウムが好ましく、より好ましくは(3−(ヘキサメチンレンイミニル)プロピル)リチウム、(4−(ピペリジニル)−2−ブテニル)リチウム、及び(4−(ヘキサメチンレンイミニル)−2−ブテニル)リチウムが好ましく、より好ましくは(4−(ピペリジニル)−2−ブテニル)リチウムである。
式(16)で表される有機リチウム化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、N,N−ジメチル−o−トルイジノリチウム、N,N−ジメチル−m−トルイジノリチウム、N,N−ジメチル−p−トルイジノリチウム、N,N−ジエチル−o−トルイジノリチウム、N,N−ジエチル−m−トルイジノリチウム、N,N−ジエチル−p−トルイジノリチウム、N,N−ジプロピル−o−トルイジノリチウム、N,N−ジプロピル−m−トルイジノリチウム、N,N−ジプロピル−p−トルイジノリチウム、N,N−ジブチル−o−トルイジノリチウム、N,N−ジブチル−m−トルイジノリチウム、N,N−ジブチル−p−トルイジノリチウム、o−ピペリジノトルエノリチウム、p−ピペリジノトルエノリチウム、o−ピロリジノトルエノリチウム、p−ピロリジノトルエン、N,N,N’,N’−テトラメチルトルイレンジアミノリチウム、N,N,N’,N’−テトラエチルトルイレンジアミノリチウム、N,N,N’,N’−テトラプロピルトルイレンジアミノリチウム、N,N−ジメチルキシリジノリチウム、N,N−ジエチルキシリジノリチウム、N,N−ジプロピルキシリジノリチウム、N,N−ジメチルメシジノリチウム、N,N−ジエチルメシジノリチウム、(N,N−ジメチルアミノ)トルイルフェニルメチルアミノリチウム、1−(N,N−ジメチルアミノ)−2−メチルナフタレノリチウム、及び1−(N,N−ジメチルアミノ)−2−メチルアントラセノリチウムが挙げられる。式(16)で表される有機リチウム化合物は、これらに限定されるものではなく、これらの類似物を含む。中でも、重合活性の観点から、N,N−ジメチル−o−トルイジノリチウムがより好ましい。
式(17)で表される有機リチウム化合物としては、以下に限定されないが、例えば、2−(2−メチルピペリジニル)−1−エチルリチウム(例えば、FMC社製の商品名「AI−250」)が挙げられる。式(17)で表される有機リチウム化合物は、これらに限定されるものではなく、上記条件を満たせば、これらの類似物を含む。
分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する有機リチウム化合物は、重合工程前に、予め調製しておいてもよく、その方法は既知のあらゆる方法で調製することができる。式(14)で表される分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する有機リチウム化合物は、例えば、式(24)で表される化合物と有機リチウム化合物とを、炭化水素溶媒中で反応させることによって得られる。炭化水素溶媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン等の適切な溶媒を選択すればよい。反応温度は、0℃以上80℃以下が好ましく、生産性の観点から5.0℃以上70℃以下が好ましく、7.0℃以上50℃以下がさらに好ましい。
式(15)で表される分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する有機リチウム化合物は、R14が炭素数1〜20のアルキレン基を示す場合、例えば、式(25)で表される化合物と有機リチウム化合物とを炭化水素溶媒中で反応させ、リチウムアミド化合物を調製し、これに下記式(C)で表されるジハロゲン化アルキルを反応させ、さらに有機リチウム化合物を反応させることで得られる。
式(C)中、X1及びX2は、各々独立して、I原子、Br原子、又はCl原子を示し、R3aは、炭素数1〜20のアルキレン基を、好ましくは炭素数2〜16のアルキレン基、より好ましくは炭素数3〜10のアルキレン基を示す。
式(C)で表される化合物としては、以下に限定されないが、例えば、1−ブロモ−3−クロロプロパン、1−ブロモ−4−クロロブタン、1−ブロモ−5−クロロペンタン、1−ブロモ−6−クロロヘキサン、1−ブロモ−10−クロロデカン、1−ブロモ−3−ヨードプロパン、1−ブロモ−4−ヨードブタン、1−ブロモ−5−ヨードペンタン、1−ブロモ−6−ヨードヘキサン、1−ブロモ−10−ヨードデカン、1−クロロ−3−ヨードプロパン、1−クロロ−4−ヨードブタン、1−クロロ−5−ヨードペンタン、1−クロロ−6−ヨードヘキサン、及び1−クロロ−10−ヨードデカンが挙げられる。式(C)で表される化合物は、反応性及び安全性の観点から、1−ブロモ−3−クロロプロパン、1−ブロモ−4−クロロブタン、1−ブロモ−5−クロロペンタン、1−ブロモ−6−クロロヘキサン、及び1−ブロモ−10−クロロデカンが好ましく、より好ましくは1−ブロモ−3−クロロプロパン、1−ブロモ−4−クロロブタン、及び1−ブロモ−6−クロロヘキサンである。
式(25)で表される化合物、有機リチウム化合物、及び炭化水素溶媒を用いて、リチウムアミド化合物を調製する際の反応温度は上述のとおりである。リチウムアミド化合物に式(C)で表される化合物を反応させる際の反応温度は−78℃以上70℃以下であることが好ましく、より好ましくは−50℃以上50℃以下である。その後、得られた化合物に有機リチウム化合物を反応させる際の反応温度は、−78℃以上70℃以下であることが好ましく、より好ましくは−50℃以上50℃以下である。
式(26)で表される化合物、有機リチウム化合物、及び炭化水素溶媒を用いて、リチウムアミド化合物を調製する際の反応温度は上述のとおりである。リチウムアミド化合物に式(C)で表される化合物を反応させる際の反応温度は−78℃以上70℃以下であることが好ましく、より好ましくは−50℃以上50℃以下である。その後、得られた化合物に有機リチウム化合物を反応させる際の反応温度は、−78℃以上70℃以下であることが好ましく、より好ましくは−50℃以上50℃以下である。
式(15)で表される、分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する有機リチウム化合物は、R14が式(18)〜(20)のいずれかで表される繰り返し単位を有する共役ジエン系重合体を示す場合、例えば、以下の工程(I)〜(IV)を含む方法により合成される。
(I)式(25)で表される化合物と有機リチウム化合物とを炭化水素溶媒中で反応させ、リチウムアミド化合物を合成する工程
(II)炭化水素溶媒中、得られたリチウムアミド化合物と、ブタジエン又はイソプレンとを反応させる工程
(III)アルコールを加えてリチウムを失活させ、得られた生成物を減圧蒸留する工程
(IV)蒸留して得られた生成物と有機リチウム化合物とを炭化水素溶媒中で反応させる工程
上記工程(I)における反応温度は上述のとおりである。上記工程(III)におけるアルコールとしては一般的なものを使用できるが、低分子量のものが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールが好ましく、より好ましくはエタノールである。工程(IV)における反応温度は、好ましくは0℃以上80℃以下であり、より好ましくは10℃以上70℃以下である。
<極性化合物>
上記有機リチウム化合物を調製する際には、生成の促進及び炭化水素溶媒への可溶化の観点から、系内に極性化合物を添加してもよい。極性化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、3級モノアミン、3級ジアミン、鎖状エーテル及び環状エーテルが挙げられる。
3級モノアミンとしては、以下に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、1,1−ジメトキシトリメチルアミン、1,1−ジエトキシトリメチルアミン、1,1−ジエトキシトリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミドジイソプロピルアセタール、及びN,N−ジメチルホルムアミドジシクロヘキシルアセタールが挙げられる。
3級ジアミンとしては、以下に限定されないが、例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノブタン、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノペンタン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン、ジピペリジノペンタン、及びジピペリジノエタンが挙げられる。
鎖状エーテルとしては、以下に限定されないが、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、及びテトラエチレンジメチルエーテルが挙げられる。
環状エーテルとしては、以下に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、ビス(2−オキソラニル)エタン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン、1,1−ビス(2−オキソラニル)エタン、2,2−ビス(2−オキソラニル)ブタン、2,2−ビス(5−メチル−2−オキソラニル)プロパン、及び2,2−ビス(3,4,5−トリメチル−2−オキソラニル)プロパンが挙げられる。
極性化合物としては、上記の中でも、3級モノアミンであるトリメチルアミン、トリエチルアミン;3級ジアミンであるN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン;環状エーテルであるテトラヒドロフラン、及び2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンが好ましい。極性化合物は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態における有機リチウム化合物を調製する際に極性化合物を添加する場合は、調製するときに用いられる溶媒に対し30質量ppm以上50,000質量ppmの範囲内で添加することが好ましく、200質量ppm以上20,000質量ppm以下の範囲内で添加することがより好ましい。極性化合物の添加量は、反応促進及び溶媒への可溶化の効果を十分に発現する観点からは、30質量ppm以上であることが好ましく、後の重合工程におけるミクロ構造調整の自由度を確保すること、及び重合後の溶媒を回収し、精製する工程における重合溶媒との分離の観点からは、50,000質量ppm以下で添加することが好ましい。
変性前の共役ジエン系重合体は、上述した分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する有機リチウム化合物、又は少なくとも1つ窒素原子を有する化合物及び有機リチウム化合物を含む重合開始剤系を用いて、共役ジエン化合物を重合し、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合することによって得られる。
重合工程においては、分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する有機リチウム化合物を、予め所定の反応器で調製しておき、共役ジエン化合物の重合、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合を行う反応器に供給して重合反応を行ってもよい。また、上述した分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する化合物と有機リチウム化合物をスタテックミキサー又はインラインミキサーを用いて混合し調製してもよい。重合開始剤系は、上述した分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する有機リチウム化合物を用いる場合には、1種のみならず2種以上の混合物でもよい。
<共役ジエン系重合体>
本実施形態における共役ジエン系重合体は、炭化水素溶媒中で、少なくとも共役ジエン化合物を重合するか、或いは共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合することによって得られる。共役ジエン系重合体は、分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する有機リチウム化合物を重合開始剤とし、連続重合法を用いたアニオン重合反応により成長させて得られることが好ましい。特に、共役ジエン系重合体は、リビングアニオン重合による成長反応によって得られる活性末端を有する重合体であることがより好ましい。これにより、高変性率の変性共役ジエン系重合体を得ることができる。
<共役ジエン化合物>
共役ジエン化合物としては、重合可能な単量体であれば以下に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘプタジエン、及び1,3−ヘキサジエンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、1,3−ブタジエン、及びイソプレンが好ましい。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<芳香族ビニル化合物>
芳香族ビニル化合物としては、共役ジエン化合物と共重合可能な単量体であれば以下に限定されないが、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、及びジフェニルエチレンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、スチレンが好ましい。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<溶媒>
重合工程においては、溶媒中で重合することが好ましい。溶媒としては、例えば、飽和炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系溶媒が挙げられる。具体的な炭化水素系溶媒としては、以下に限定されないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素及びそれらの混合物が挙げられる。
共役ジエン化合物、芳香族ビニル化合物、及び重合溶媒は、それぞれ単独で、又はこれらの混合液を、予め重合反応に供する前に有機金属化合物と反応させて、不純物であるアレン類及びアセチレン類を処理しておくこともできる。これにより、不純物による重合の阻害が防止でき、重合体の活性末端量が高濃度となるため、よりシャープな分子量分布(Mw/Mn)を達成でき、さらには高い変性率が達成される傾向にあるため、好ましい。
共役ジエン系重合体の重合反応においては、極性化合物を添加してもよい。極性化合物を添加した場合、芳香族ビニル化合物を共役ジエン化合物とランダムに共重合させることができ、また、共役ジエン部のミクロ構造を制御するためのビニル化剤としても用いることができる傾向にある。また、重合速度の改善等にも効果がある。
極性化合物としては、以下に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン等のエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−t−アミラート、カリウム−t−ブチラート、ナトリウム−t−ブチラート、ナトリウムアミラート等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物が挙げられる。これらの極性化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
極性化合物の使用量は、特に限定されず、目的等に応じて選択することができるが、重合開始剤1モルに対して、0.01モル以上100モル以下であることが好ましい。このような極性化合物(ビニル化剤)は、重合体共役ジエン部分のミクロ構造の調節剤として、所望のビニル結合量に応じて、適量用いることができる。多くの極性化合物の多くは、同時に共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合において有効なランダム化効果を示し、芳香族ビニル化合物の分布の調整やスチレンブロック量の調整剤として用いることができる傾向にある。共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とをランダム化する方法としては、例えば、特開昭59−140211号公報に記載されているような、共重合の途中に1,3−ブタジエンの一部を断続的に添加する方法を挙げられる。
本実施形態における共役ジエン系重合体中の結合共役ジエン量は、特に限定されないが、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。また、本実施形態における共役ジエン系重合体中の結合芳香族ビニル量は、特に限定されないが、0質量%以上50質量%以下であることが好ましく、20質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。結合共役ジエン量及び結合芳香族ビニル量が上記範囲である場合、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランスがさらに優れ、耐摩耗性及び破壊強度にも優れた加硫物を得ることができる傾向にある。ここで、結合芳香族ビニル量は、フェニル基の紫外吸光によって測定でき、ここから結合共役ジエン量も求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法に準じて測定することができる。
共役ジエン結合単位中のビニル結合量は、特に限定されないが、10モル%以上75モル%以下であることが好ましく、25モル%以上65モル%以下であることがより好ましい。ビニル結合量が上記範囲であると、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランスがさらに優れ、耐摩耗性及び破壊強度にも優れた加硫物を得ることができる傾向にある。ここで、変性共役ジエン系重合体がブタジエンとスチレンとの共重合体である場合には、ハンプトンの方法(R.R.Hampton,Analytical Chemistry,21,923(1949))により、ブタジエン結合単位中のビニル結合量(1,2−結合量)を求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法に準じて測定することができる。
共役ジエン系重合体は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。ランダム共重合体としては、以下に限定されないが、例えば、ブタジエン−イソプレンランダム共重合体、ブタジエン−スチレンランダム共重合体、イソプレン−スチレンランダム共重合体、ブタジエン−イソプレン−スチレンランダム共重合体が挙げられる。共重合体鎖中の各単量体の組成分布としては、特に限定されず、例えば、統計的ランダムな組成に近い完全ランダム共重合体、組成がテーパー状に分布しているテーパー(勾配)ランダム共重合体が挙げられる。共役ジエンの結合様式、すなわち1,4−結合や1,2−結合等の組成は、均一であってもよいし、分布があってもよい。
ブロック共重合体としては、以下に限定されないが、例えば、ブロックが2個からなる2型ブロック共重合体、3個からなる3型ブロック共重合体、4個からなる4型ブロック共重合体が挙げられる。例えば、スチレン等の芳香族ビニル化合物からなるブロックをSで表し、ブタジエンやイソプレン等の共役ジエン化合物からなるブロック及び/又は芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体からなるブロックをBで表した場合に、S−B2型ブロック共重合体、S−B−S3型ブロック共重合体、S−B−S−B4型ブロック共重合体等で表される。
上記式において、各ブロックの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。例えば、ブロックBが芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の場合、ブロックB中の芳香族ビニル化合物は均一に分布していても、又はテーパー状に分布していてもよい。また、ブロックBに、芳香族ビニル化合物が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個共存していてもよい。さらには、ブロックBに、芳香族ビニル化合物含有量が異なるセグメントが複数個共存していてもよい。共重合体中にブロックS、ブロックBがそれぞれ複数存在する場合、それらの分子量や組成等の構造は、同一でもよいし、異なっていてもよい。
本実施形態においては、上述した製造方法により得られた共役ジエン系重合体を、不活性溶剤中でさらに水素化することによって、二重結合の全部又は一部を飽和炭化水素に変換することができる。その場合、耐熱性、耐候性がさらに向上し、高温で加工する場合の製品の劣化を防止することができる傾向にある。その結果、自動車用途等種々の用途で一層優れた性能を発揮する。
共役ジエン化合物に基づく不飽和二重結合の水素化率(単に、「水添率」ともいう。)は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。加硫ゴムとして用いる場合には、共役ジエン部の二重結合が部分的に残存していることが好ましい。かかる観点から、重合体中の共役ジエン部の水添率は3.0%以上70%以下であることが好ましく、5.0%以上65%以下であることがより好ましく、10%以上60%以下であることがさらに好ましい。また、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体中の芳香族ビニル化合物に基づく芳香族二重結合の水添率については、特に限定されないが、50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、20%以下であるであることがさらに好ましい。水素化率は、核磁気共鳴装置(NMR)により求めることができる。
水素化の方法としては、特に限定されず、公知の方法が利用できる。好適な水素化の方法としては、触媒の存在下、重合体溶液に気体状水素を吹き込む方法で水素化する方法が挙げられる。触媒としては、例えば、貴金属を多孔質無機物質に担持させた触媒等の不均一系触媒;ニッケル、コバルト等の塩を可溶化し有機アルミニウム等と反応させた触媒、チタノセン等のメタロセンを用いた触媒等の均一系触媒が挙げられる。これらの中でも、特にマイルドな水素化条件を選択できるという観点から、チタノセン触媒が好ましい。また、芳香族基の水素化は、貴金属の担持触媒を用いることによって行うことができる。
水素化触媒の具体例としては、以下のものに限定されないが、例えば、(1)Ni,Pt,Pd,Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni,Co,Fe,Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩等の遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti,Ru,Rh,Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体が挙げられる。さらに、水素化触媒として、例えば、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報、特開平8−109219号公報に記載された水素化触媒も挙げられる。好ましい水素化触媒としては、チタノセン化合物と還元性有機金属化合物との反応混合物が挙げられる。
共役ジエン化合物中に、アレン類、アセチレン類等が不純物として含有されていると、後述する変性の反応を阻害するおそれがある。そのため、これらの不純物の含有量濃度(質量)の合計は、共役ジエン化合物の総量に対して、200質量ppm以下であることが好ましく、100質量ppm以下であることがより好ましく、50質量ppm以下であることがさらに好ましい。アレン類としては、例えば、プロパジエン、1,2−ブタジエンが挙げられる。アセチレン類としては、例えば、エチルアセチレン、ビニルアセチレンが挙げられる。
ミクロ構造(上記変性共役ジエン系共重合体中の各結合量)が上記範囲にあり、さらに共重合体のガラス転移温度が−45℃以上−15℃以下の範囲にあるときに、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランスにより一層優れた加硫物を得ることができる。
本実施形態における共役ジエン系重合体が共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体である場合、芳香族ビニル単位が30以上連鎖しているブロックの数が少ないか又は無いものであることが好ましい。具体的には、共重合体がブタジエン−スチレン共重合体の場合、Kolthoffの方法(I.M.KOLTHOFF,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)により重合体を分解し、メタノールに不溶なポリスチレン量を分析する公知の方法において、芳香族ビニル単位が30以上連鎖しているブロックが、重合体の総量に対して好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下である。
〔変性工程〕
本実施形態における変性共役ジエン系重合の製造方法は、共役ジエン系重合体を、1分子中に窒素原子とシリル基に結合したアルコキシ基又は窒素原子とエポキシ基を含む官能基を有する変性剤により、変性させる変性工程を有することが好ましい。
変性剤として用いられる、分子中に窒素原子及びエポキシ基を有する化合物としては、アミノ基としては3級アミノ基を有し、分子量が1000以下の、場合により、繰り返し単位を有しても、有さなくてよい低分子化合物であることが好ましい。具体的には、以下に限定されないが、例えば、4,4’−ジグリシジル−ジフェニルメチルアミン、4,4’−ジグリシジル−ジベンジルメチルアミン等のエポキシ基含有3級アミン;ジグリシジルアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等のジグリシジルアミノ化合物、及びこれらアミノ基含有エポキシ化合物のオリゴマーが挙げられる。中でも、後述する変性共役ジエン系重合体組成物のヒステリシスロス低減の観点から、分子中にアミノ基及び複数のエポキシ基を有する化合物が好ましい。より好ましくはジグリシジルアミノ基含有多官能化合物であり、特に好ましくはテトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンである。これらのアミノ基及びエポキシ基を有する低分子有機化合物を重合体の活性リチウムと反応させると、一部のエポキシ基がアルコキシ基になり、複数のエポキシ基が反応すると重合体が複数結合してカップリングが起こり、またアルコキシリチウムが更にエポキシ基と反応し、さらに一部のエポキシ基が残存して重合体に結合した状態で存在する。
変性剤として用いられる分子中に窒素原子とシリル基に結合したアルコキシ基を有する変性剤としては以下のものが挙げられる。シリル基に結合したアルコキシ基が1個以上であり、2個以上の3級アミノ基を有する化合物としては、以下に限定されないが、例えば、N−[2−(トリアルコキシシラニル)−エチル]−N,N’,N’−トリアルキルエタン−1,2−ジアミン、N−[2−(アルキルジアルコキシシラニル)−エチル]−N,N’,N’−トリアルキルエタン−1,2−ジアミン、N−[3−(トリアルコキシシラニル)−プロピル]−N,N’,N’−トリアルキルプロパン−1,3−ジアミン、N−[3−(アルキルジアルコキシシラニル)−プロピル]−N,N’,N’−トリアルキルプロパン−1,3−ジアミン、N−[3−(トリアルコキシシラニル)−プロピル]−2,N,N’,N’−テトラアルキルプロパン−1,3−ジアミン、N−[3−(アルキルジアルコキシシラニル)−プロピル]−2,N,N’,N’−テトラアルキルプロパン−1,3−ジアミン等が挙げられる。また、1−[3−(トリアルコキシシラニル)−プロピル]−4−アルキルピペラジン、1−[3−(アルキルジアルコキシシラニル)−プロピル]−4−アルキルピペラジン、1−[3−(トリアルコキシシラニル)−プロピル]−3−アルキルイミダゾリジン、1−[3−(アルキルジアルコキシシラニル)−プロピル]−3−アルキルイミダゾリジン、1−[3−(トリアルコキシシラニル)−プロピル]−3−アルキルヘキサヒドロピリミジン、1−[3−(アルキルジアルコキシシラニル)−プロピル]−3−アルキルヘキサヒドロピリミジン、3−[3−(トリアルコキシシラニル)−プロピル]−1−アルキル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン、3−[3−(アルキルジアルコキシシラニル)−プロピル]−1−アルキル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン等も挙げられる、さらに、2−(トリアルコキシシラニル)−1,3−ジアルキルイミダゾリジン、2−(アルキルジアルコキシシラニル)−1,3−ジアルキルイミダゾリジン、2−(トリアルコキシシラニル)−1,4−ジアルキルピペラジン、2−(アルキルジアルコキシシラニル)−1,4−ジアルキルピペラジン、5−(トリアルコキシシラニル)−1,3−ジアルキルヘキサヒドロピリミジン、5−(アルキルジアルコキシシラニル)−1,3−ジアルキルヘキサヒドロピリミジン等も挙げられる。
また、シリル基に結合したアルコキシル基が1個以上であり、2個以上の3級アミノ基を有する化合物の具体例としては、以下に限定されないが、例えば、N−[2−(トリメトキシシラニル)−エチル]−N,N’,N’−トリメチルエタン−1,2−ジアミン、N−[2−(ジメトキシメチルシラニル)−エチル]−N−エチル−N’,N’−ジメチルエタン−1,2−ジアミン、N−[3−(トリメトキシシラニル)−プロピル]−N,N’,N’−トリメチルプロパン−1,3−ジアミン、N−[3−(ジメトキシメチルシラニル)−プロピル]−N−エチル−N’,N’−ジメチルプロパン−1,3−ジアミン、N−[3−(トリエトキシシラニル)−プロピル]−N,N’,N’−トリエチル−2−メチルプロパン−1,3−ジアミン、N−[3−(ジメトキシメチルシラニル)−プロピル]−2,N,N’,N’−テトラメチルプロパン−1,3−ジアミン、N−(2−ジメチルアミノエチル)−N’−[2−(トリメトキシシラニル)−エチル]−N,N’−ジメチルエタン−1,2−ジアミン、N−[2−(ジエトキシプロピルシラニル)−エチル]−N’−(3−エトキシプロピル)−N,N’−ジメチルエタン−1,2−ジアミン、N−[2−(トリメトキシシラニル)−エチル]−N’−メトキシメチル−N,N’−ジメチルエタン−1,2−ジアミン、N−[2−(トリメトキシシラニル)−エチル]−N,N’−ジメチル−N’−(2−トリメチルシラニルエチル)−エタン−1,2−ジアミン、N−[2−(トリエトキシシラニル)−エチル]−N,N’−ジエチル−N’−(2−ジブチルメトキシシラニルエチル)−エタン−1,2−ジアミン等が挙げられる。また、1−[3−(トリエトキシシラニル)−プロピル]−4−メチルピペラジン、1−[3−(ジエトキシエチルシラニル)−プロピル]−4−メチルピペラジン、1−[3−(トリメトキシシラニル)−プロピル]−3−メチルイミダゾリジン、1−[3−(ジエトキシエチルシラニル)−プロピル]−3−エチルイミダゾリジン、1−[3−(トリエトキシシラニル)−プロピル]−3−メチルヘキサヒドロピリミジン、1−[3−(ジメトキシメチルシラニル)−プロピル]−3−メチルヘキサヒドロピリミジン、3−[3−(トリブトキシシラニル)−プロピル]−1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン、3−[3−(ジメトキシメチルシラニル)−プロピル]−1−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン、1−(2−エトキシエチル)−3−[3−(トリメトキシシラニル)−プロピル]−イミダゾリジン、(2−{3−[3−(トリメトキシシラニル)−プロピル]−テトラヒドロピリミジン−1−イル}−エチル)ジメチルアミン等が挙げられる。さらに、2−(トリメトキシシラニル)−1,3−ジメチルイミダゾリジン、2−(ジエトキシエチルシラニル)−1,3−ジエチルイミダゾリジン、2−(トリエトキシシラニル)−1,4−ジエチルピペラジン、2−(ジメトキシメチルシラニル)−1,4−ジメチルピペラジン、5−(トリエトキシシラニル)−1,3−ジプロピルヘキサヒドロピリミジン、5−(ジエトキシエチルシラニル)−1,3−ジエチルヘキサヒドロピリミジン、{2−[3−(2−ジメチルアミノエチル)−2−(エチルジメトキシシラニル)−イミダゾリジン−1−イル]−エチル}−ジメチルアミン、5−(トリメトキシシラニル)−1,3−ビス−(2−メトキシエチル)−ヘキサヒドロピリミジン、5−(エチルジメトキシシラニル)−1,3−ビス−トリメチルシラニルヘキサヒドロピリミジン等が挙げられる。上記の中でも、後述する変性共役ジエン系重合体組成物のヒステリシスロス低減の観点から、N−[2−(トリメトキシシラニル)−エチル]−N,N’,N’−トリメチルエタン−1,2−ジアミン、1−[3−(トリエトキシシラニル)−プロピル]−4−メチルピペラジン、2−(トリメトキシシラニル)−1,3−ジメチルイミダゾリジンが好ましい。
またシリル基に結合したアルコキシ基の総数が4個以上であり、1つ以上の窒素原子を有する化合物としては、以下に限定されないが、例えば、下記式(1−1)、(1−2)で表される化合物が挙げられる。
一般式(1−1)中、R1〜R4は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20アリール基を表し、R5は炭素数1〜10のアルキレン基を表し、R6は炭素数1〜20のアルキレン基を表し、mは1又は2の整数であり、nは2又は3の整数である。
一般式(1−2)中、R7〜R10は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20アリール基を表し、R11及びR12は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を表し、R13及びR14は、各々独立して、炭素数1〜6の炭化水素基を表し、かつ隣接する2つのNとともに5員環以上の環構造を形成し、p及びqは、各々独立して、2又は3の整数である。
前記一般式(1−1)で表される変性剤としては、以下に限定されないが、例えば、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(4−トリメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,2−ジメトキシ−1−(5−トリメトキシシリルペンチル)−1−アザ−2−シラシクロヘプタン、2,2−ジメトキシ−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ,2−メチル−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ,2−エチル−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ,2−メチル−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ,2−エチル−1−(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン等が挙げられる。これらの中でも、変性剤の官能基とシリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点や、加工性の観点から、mが2、nが3であるものがより好ましい。具体的には、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンがより好ましい。
前記一般式(1−2)で表される変性剤としては、以下に限定されないが、例えば、1,4−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ピペラジン、1,4−ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ピペラジン、1,4−ビス[3−(ジメトキシメチルシリル)プロピル]ピペラジン、1,3−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]イミダゾリジン、1,3−ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]イミダゾリジン、1,3−ビス[3−(ジエメトキシエチルシリル)プロピル]イミダゾリジン、1,3−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサヒドロピリミジン、1,3−ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサヒドロピリミジン、1,3−ビス[3−(トリブトキシシリル)プロピル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン等が挙げられる。これらの中でも、変性剤の官能基とシリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点や、加工性の観点から、p及びqが3であるものがより好ましい。具体的には、1,4−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ピペラジン、1,4−ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ピペラジン、1,3−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]イミダゾリジン、1,3−ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]イミダゾリジン、1,3−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサヒドロピリミジン、1,3−ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサヒドロピリミジン、1,3−ビス[3−(トリブトキシシリル)プロピル]−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジンがより好ましく、1,4−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ピペラジン、1,4−ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ピペラジンがさらに好ましい。
変性剤は、省燃費性能の観点から、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される変性剤を含むことが好ましい。
式(1)中、R1〜R4は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、R5は、炭素数1〜10のアルキレン基を示し、R6は、炭素数1〜20のアルキレン基を示す。mは、1又は2の整数を示し、nは、2又は3の整数を示し、(m+n)は、4以上の整数を示す。複数存在する場合のR1〜R4は、各々独立している。
式(2)中、R1〜R6は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、R7〜R9は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を示す。m、n、及びlは、各々独立して、1〜3の整数を示し、(m+n+l)は、4以上の整数を示す。複数存在する場合のR1〜R6は、各々独立している。
式(3)中、R1〜R4は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、R5及びR6は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を示し、m、及びnは、各々独立して、1〜3の整数を示し、(m+n)は、4以上の整数を示し、R7は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭化水素基で置換されたシリル基を示す。複数存在する場合のR1〜R4は、各々独立している。
式(1)で表される変性剤としては、以下に限定されないが、例えば、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(4−トリメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,2−ジメトキシ−1−(5−トリメトキシシリルペンチル)−1−アザ−2−シラシクロヘプタン、2,2−ジメトキシ−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ,2−メチル−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ,2−エチル−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ,2−メチル−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、及び2−エトキシ,2−エチル−1−(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンが挙げられる。これらの中でも、変性剤の官能基とシリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点、並びに加工性の観点から、mが2、nが3を示すものが好ましい。具体的には、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、及び2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンが好ましい。
式(1)で表される変性剤を重合活性末端に反応させる際の反応温度、反応時間等については、特に限定されないが、0℃以上120℃以下で、30秒以上反応させることが好ましい。式(1)で表される変性剤の化合物中のシリル基に結合したアルコキシ基の合計モル数が、重合開始剤のアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の添加モル数の0.6倍以上3.0倍以下となる範囲であることが好ましく、0.8倍以上2.5倍以下となる範囲であることがより好ましく、0.8以上2.0倍以下となる範囲であることがさらに好ましい。上記値は、得られる変性共役ジエン系重合体が十分な変性率及び分子量と分岐構造を得る観点から、0.6倍以上とすることが好ましく、加工性改良のために重合体末端同士をカップリングさせ分岐状重合体成分を得るという観点や、変性剤コストの観点から、3.0倍以下とすることが好ましい。
式(2)で表される変性剤としては、以下に限定されないが、例えば、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(トリメトキシシリルメチル)アミン、トリス(2−トリメトキシシリルエチル)アミン、及びトリス(4−トリメトキシシリルブチル)アミンが挙げられる。これらの中でも、変性剤の官能基とシリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点、並びに加工性の観点から、n、m、及びlが全て3を示すものであることが好ましい。好ましい具体例としては、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、及びトリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミンが挙げられる。
式(2)で表される変性剤を重合活性末端に反応させる際の反応温度、反応時間等については、特に限定されないが、0℃以上120℃以下で、30秒以上反応させることが好ましい。式(2)で表される変性剤の化合物中のシリル基に結合したアルコキシ基の合計モル数が、上述した重合開始剤系を構成するリチウムのモル数の0.6倍以上3.0倍以下となる範囲であることが好ましく、0.8倍以上2.5倍以下となる範囲であることがより好ましく、0.8倍以上2.0倍以下となる範囲であることがさらに好ましい。上記値は、変性共役ジエン系重合体において十分な変性率及び分子量と分岐構造とを得る観点から、0.6倍以上とすることが好ましく、加工性改良のために重合体末端同士をカップリングさせ分岐状重合体成分を得るという観点や、変性剤コストの観点から、3.0倍以下とすることが好ましい。
式(3)で表される変性剤としては、以下に限定されないが、例えば、ビス(3−(メチルアミノ)プロピル)トリメトキシシラン、ビス(3−(エチルアミノ)プロピル)トリメトキシシラン、ビス(3−(プロピルアミノ)プロピル)トリメトキシシラン、及びビス(3−(ブチルアミノ)プロピル)トリメトキシシランが挙げられる。これらの中でも、変性剤の官能基とシリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点、並びに加工性の観点から、n、m、及びlが全て3で示すものであることが好ましい。好ましい具体例としては、ビス(3−(メチルアミノ)プロピル)トリメトキシシラン、及びビス(3−(エチルアミノ)プロピル)トリメトキシシランが挙げられる。
式(3)で表される変性剤を重合活性末端に反応させる際の反応温度、反応時間等については、特に限定されないが、0℃以上120℃以下で、30秒以上反応させることが好ましい。
変性剤としては、高変性率、高分子量、及び高分岐と、加硫物としたときの省燃費性能、加工性、及び耐摩耗性のバランスに優れた変性共役ジエン系重合体を得る観点から、式(1)で表される変性剤を含み、かつ式(1)におけるmは2を示しかつnは3を示し、又は、式(2)で表される変性剤を含み、かつ式(2)におけるm、n、及びlは全て3を示す、変性剤であることが好ましい。
式(3)で表される変性剤の化合物中のシリル基に結合したアルコキシ基の合計モル数が、重合開始剤のアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の添加モル数の0.6倍以上3.0倍以下となる範囲であることが好ましく、0.8倍以上2.5倍以下となる範囲であることがより好ましく、0.8倍以上2.0倍以下となる範囲であることがさらに好ましい。上記値は、得られる変性共役ジエン系重合体が十分な変性率及び分子量と分岐構造を得る観点から、0.6倍以上とすることが好ましく、加工性改良のために重合体末端同士をカップリングさせ分岐状重合体成分を得るという観点や、変性剤コストの観点から、3.0倍以下とすることが好ましい。
変性工程においては、変性率向上の観点から、共役ジエン化合物の含有量は、単量体及び重合体の総量に対して、100質量ppm以上50000質量ppm以下であることが好ましく、200質量ppm以上10000質量ppm以下であることがより好ましく、300質量ppm以上5000ppm以下であることがさらに好ましい。溶液中の共役ジエン化合物を含む単量体の含有量は、後述する実施例に記載の方法に準じて測定することができる。
本実施形態における変性共役ジエン系重合体の製造方法においては、変性反応を行った後、共重合体溶液に、必要に応じて、失活剤、中和剤等を添加してもよい。失活剤としては、以下に限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコールが挙げられる。中和剤としては、以下に限定されないが、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、バーサチック酸等のカルボン酸;無機酸の水溶液、炭酸ガスが挙げられる。
本実施形態における変性共役ジエン系重合体には、重合後のゲル生成を防止する観点、及び加工時の安定性を向上させる観点から、ゴム用安定剤を添加することが好ましい。ゴム用安定剤としては、以下に限定されず、公知のものを用いることができるが、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピネート、2−メチル−4,6−ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール等の酸化防止剤が好ましい。
本実施形態における変性共役ジエン系重合体の加工性をより改善するために、必要に応じて、伸展油を変性共役ジエン系共重合体に添加することができる。伸展油を変性共役ジエン系重合体に添加する方法としては、以下に限定されないが、伸展油を重合体溶液に加え、混合して、油展共重合体溶液としたものを脱溶媒する方法が好ましい。伸展油としては、例えば、アロマ油、ナフテン油、パラフィン油が挙げられる。これらの中でも、環境安全上の観点、並びにオイルブリード防止及びウェットグリップ特性の観点から、IP346法による多環芳香族(PCA)成分が3質量%以下であるアロマ代替油が好ましい。アロマ代替油としては、例えば、Kautschuk Gummi Kunststoffe 52(12)799(1999)に示されるTDAE(Treated Distillate Aromatic Extracts)、MES(Mild Extraction Solvate)の他、RAE(Residual Aromatic Extracts)が挙げられる。伸展油の添加量は、特に限定されないが、変性共役ジエン系重合体100質量部に対し、10質量部以上60質量部が好ましく、15質量部以上37.5質量部以下がより好ましい。
〔脱溶媒工程〕
本実施形態における変性共役ジエン系重合体の製造方法は、さらに脱溶媒工程を有していてもよい。脱溶媒工程は、変性共役ジエン系重合体を、重合体溶液から取得する工程であり、公知の方法を用いることができる。具体的には、例えば、スチームストリッピング等で溶媒を分離した後、重合体を濾別し、さらにそれを脱水及び乾燥して重合体を取得する方法、フラッシングタンクで濃縮し、さらにベント押し出し機等で脱揮する方法、ドラムドライヤー等で直接脱揮する方法が挙げられる。
〔成分(b)〕
本実施形態における変性共役ジエン系共重合体組成物は、上述した成分(a)に加えて、以下の成分(b)を含む。
成分(b)は、少なくとも共役ジエン化合物単位を含む重合体であり、成分(b)のMw/Mnが1.5未満である共役ジエン系重合体である。
成分(b)は、性能と加工特性とのバランスの観点から、第一の数平均分子量(Mn)が150,000以上1,500,000以下であることが好ましく、200,000以上1,200,000以下であることがより好ましく、250,000以上800,000以下であることがさらに好ましい。第一の数平均分子量がこのような下限値以上であることで、優れた低燃費性を得ることができる傾向にあり、このような上限値以下であることで、加工特性を確保できる傾向にある。また、本実施形態の変性共役ジエン系重合体は、性能と加工性のバランスの観点から、第一の重量平均分子量が200,000以上2,000,000以下であることが好ましく、250,000以上1,500,000以下であることがより好ましく、300,000以上1,000,000以下であることがさらに好ましい。
成分(b)の、第一の数平均分子量(Mn)に対する第一の重量平均分子量(Mw)(Mw/Mn)は、低燃費性の観点から1.5未満である。成分(b)のMw/Mnは、好ましくは0.50以上1.47以下であり、さらに好ましくは0.70以上1.43以下であり、よりさらに好ましくは1.00以上1.40以下である。
なお、第一の数平均分子量(Mn)については、最も分子量の大きいピークを「第一」とする。
成分(b)のガラス転移温度は低燃費性とウェットスキッド抵抗性、耐摩耗性のバランス化の観点から、−50℃以上−20℃未満であることが好ましい。この場合、下限としては、好ましくは−45℃以上であり、より好ましくは−40℃以上である。また、上限としては、−21℃以下が好ましく、−22℃以下がより好ましい。
また、成分(b)のガラス転移温度は、低燃費性とウェットスキッド抵抗性、ドライハンドリング性のバランス化の観点から、−20℃以上−0℃未満であることが好ましい。この場合、下限としては、好ましくは−18℃以上であり、より好ましくは−16℃以上である。また、上限としては、−2℃以下が好ましく、−5℃以下が好ましい。
さらに、成分(b)のガラス転移温度は、低燃費性とアイスグリップ性のバランス化の観点から、−80℃以上−50℃未満であることが好ましい。この場合、下限としては、好ましくは−75℃以上であり、より好ましくは−70℃以上である。また、上限としては、−52℃以下が好ましく、−55℃以下がより好ましい。
(b)成分のガラス転移温度は、ゴム中のスチレン量とビニル量を制御することにより調整でき、スチレンとビニルを増量するとガラス転移温度が上がり、スチレンとビニルを減量するとガラス転移温度が下がる傾向にある。
ガラス転移温度は後述する実施例に記載の方法に準じて測定することができる。
成分(b)の変性率は、好ましくは75質量%以上であり、より好ましくは78質量%以上、さらにより好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは85質量%以上、よりさらに好ましくは88質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である変性共役ジエン系重合体となるように、製造することが好ましい。
〔成分(b)の製造方法〕
本実施形態における成分(b)は、有機リチウム化合物を重合開始剤として用い、少なくとも共役ジエン化合物を重合して共役ジエン系重合体を得る重合工程を含む製造方法によって得られることが好ましい。
<重合開始剤>
重合開始剤としては、有機リチウム化合物が挙げられ、以下に限定されないが、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−プロピルリチウム、iso−プロピルリチウム、ベンジルリチウム等のモノ有機リチウム化合物;1,4−ジリチオブタン、1,5−ジリチペンタン、1,6−ジリチオヘキサン、1,1,0−ジリチオデカン、1,1,−ジリチオフェニレン、ジリチオポリブタジエン、ジリチオポリイソプレン、1,4−ジリチオベンゼン、1,2−ジリチオ−1,2−ジフェニルエタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン、1,3,5−トリリチオ−2,4,6−トリエチルベンゼン等の多官能有機リチウム化合物等が挙げられる。特に、反応性の観点から、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムのモノ有機リチウム化合物が好ましい。
また、重合開始剤として、多官能アニオン重合剤を用いることで、両末端変性共役ジエン系重合体とすることができる。以下、共役ジエン系重合体の重合活性末端に後述するアルコキシラン化合物(変性剤)によって変性を行う前段階の、共役ジエン系重合体を重合する工程において使用する多官能アニオン重合開始剤について説明する。なお、多官能アニオン重合開始剤を用いる以外は、上述した成分(a)と同様の方法で、変性を行う前段階の共役ジエン系重合体を重合することができる。
共役ジエン系重合体の重合工程において用いる多官能アニオン重合開始剤は、所定の溶媒を用いて、ポリビニル芳香族化合物と有機リチウム化合物とを反応させることにより調製できる。多官能アニオン重合開始剤の調製方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物とポリビニル芳香族化合物とを反応させる方法、有機リチウム化合物と共役ジエン化合物とを反応させた後にポリビニル芳香族化合物を反応させる方法、有機リチウム化合物とモノビニル芳香族化合物とを反応させた後にポリビニル芳香族化合物を反応させる方法、共役ジエン化合物及び/又はモノビニル芳香族化合物及びポリビニル芳香族化合物の二者又は三者の存在下で有機リチウム化合物を反応させる方法等がある。特に、転がり抵抗特性、ウェットスキッド抵抗性、引張特性、及び耐摩耗性の観点から、炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物とポリビニル芳香族化合物とを反応させる方法、有機リチウム化合物と共役ジエン化合物とを反応させた後にポリビニル芳香族化合物を反応させる方法、共役ジエン化合物及びポリビニル化合物の存在下でモノ有機リチウム化合物を反応させる方法で調製された多官能アニオン重合開始剤が好ましい。また、多官能アニオン重合開始剤の生成促進や安定化を図るために、調製の際、系内にルイス塩基を添加することが好ましい。
多官能アニオン重合開始剤の調製に用いるポリビニル芳香族化合物の単量体としては、以下に限定されないが、例えば、o,m及びp−ジビニルベンゼン、o,m及びp−ジイソプロペニルベンゼン、1,2,4−トリビニルベンゼン、1,2−ビニル−3,4−ジメチルベンゼン、1,3−ジビニルナフタレン、1,3,5−トリビニルナフタレン、2,4−ジビニルビフェニル、3,5,4’−トリビニルビフェニル、1,2−ジビニル−3,4−ジメチルベンゼン、1,5,6−トリビニル−3,7−ジエチルナフタレン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼンが好ましく、これらのo−、m−、及びp−の異性体の混合物であってもよい。
多官能アニオン重合開始剤の調製には、前記ポリビニル芳香族化合物とともに、共役ジエン化合物及び/又はモノ芳香族ビニル化合物を用いてもよい。
共役ジエン化合物としては、以下に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられ、特に、転がり抵抗特性、ウェットスキッド抵抗性、引張特性、及び耐磨耗性の観点から1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
モノ芳香族ビニル化合物としては、以下に限定されないが、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン等が挙げられ、特に、転がり抵抗特性、ウェットスキッド抵抗性、引張特性、及び耐磨耗性の観点から、スチレンが好ましい。
共役ジエン化合物及び/又はモノ芳香族ビニル化合物は、GPCで測定した多官能アニオン重合開始剤のポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜10,000となるように添加量を調整することが好ましい。
多官能アニオン重合開始剤の調製に用いる有機リチウム化合物としては、以下に限定されないが、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−プロピルリチウム、iso−プロピルリチウム、ベンジルリチウム等のモノ有機リチウム化合物;1,4−ジリチオブタン、1,5−ジリチペンタン、1,6−ジリチオヘキサン、1,1,0−ジリチオデカン、1,1,−ジリチオフェニレン、ジリチオポリブタジエン、ジリチオポリイソプレン、1,4−ジリチオベンゼン、1,2−ジリチオ−1,2−ジフェニルエタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン、1,3,5−トリリチオ−2,4,6−トリエチルベンゼン等の多官能有機リチウム化合物等が挙げられる。特に、反応性の観点から、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムのモノ有機リチウム化合物が好ましい。
多官能アニオン重合開始剤の調製に用いる溶媒としては、以下に限定されないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
なお、多官能アニオン重合開始剤の調製工程においては、系内にルイス塩基を添加することが好ましい。ルイス塩基としては、以下に限定されるものではないが、例えば、3級モノアミン、3級ジアミン、鎖状又は環状エーテル等が挙げられる。
3級モノアミンとしては、以下に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、1,1−ジメトキシトリメチルアミン、1,1−ジエトキシトリメチルアミン、1,1−ジエトキシトリメチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミドジイソプロピルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジシクロヘキシルアセタール等の化合物が挙げられる。
3級ジアミンとしては、以下に限定されないが、例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノブタン、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノペンタン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン、ジピペリジノエタン等の化合物が挙げられる。
鎖状エーテルとしては、以下に限定されないが、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレンジメチルエーテルが挙げられる。
環状エーテルとしては、以下に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、ビス(2−オキオラニル)エタン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン、1,1−ビス(2−オキソラニル)エタン、2,2−ビス(2−オキソラニルブタン)、2,2−ビス(5−メチル−2−オキソラニル)プロパン、2,2−ビス(3,4,5−トリメチル−2−オキソラニル)プロパン等の化合物が挙げられる。
前記ルイス塩基の中でも、多官能アニオン重合開始剤の生成促進や安定化の観点から、3級モノアミンであるトリメチルアミン、トリエチルアミン、3級ジアミンであるN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、及び環状エーテルであるテトラヒドロフラン、2,2−ビス(2−オキサソラニル)プロパンが好ましい。前記ルイス塩基は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、多官能アニオン重合開始剤を調製する際にルイス塩基を添加する場合は、重合開始剤を調製するときに用いられる前記溶媒に対し、30〜50,000ppmの範囲内で添加することが好ましく、200〜20,000ppmの範囲内で添加することがより好ましい。すなわち、反応促進や安定化の効果を十分に発現する観点から、30ppm以上が好ましく、後の重合工程でのミクロ構造調整の自由度を確保することや重合後の溶媒を回収し、精製工程における重合触媒との分離を考慮すると、50,000ppm以下とすることが好ましい。
共役ジエン系重合体の重合工程において用いる多官能アニオン重合開始剤については、ポリビニル芳香族化合物と有機リチウムとのモル比が、ポリビニル芳香族化合物/有機リチウムで0.01〜1.0の範囲になるように調整することが好ましい。有機リチウムに対するポリビニル芳香族化合物の使用量が多いほど、上述した共役ジエン系重合体の変性反応によって官能基を付与される分子鎖末端の割合が増加し、シリカ系粒子との親和性や反応性の向上が図られ、変性共役ジエン系重合体組成物の低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランスが更に良好なものとなり、耐摩耗性が向上する傾向にある。かかる観点から、有機リチウム化合物1モルに対するポリビニル芳香族化合物の量は0.01モル以上とすることが好ましい。一方、有機リチウム化合物に対するポリビニル芳香族化合物の使用量が少ない方が、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物の混練り等の加工性を良好なものとすることができる傾向にある。かかる観点から、有機リチウム化合物1モルに対するポリビニル芳香族化合物の量は1.0モル以下とすることが好ましい。
一般に、低ヒステリシスロス性の改善のみを考慮した場合、変性共役ジエン系重合体組成物のムーニー粘度が上昇し、加工性が悪化する傾向にあるため、良好な加工性を得る観点からは、有機リチウム化合物に対するポリビニル芳香族化合物の使用量を適宜調整することが好ましい。ポリビニル芳香族化合物の量は、低ヒステリシスロス性と加工性とのバランスを良好なものとする観点から、有機リチウム化合物1モルに対して0.02〜0.1モルの範囲とすることが好ましく、0.02〜0.5モルの範囲とすることがより好ましい。
多官能アニオン重合開始剤を調製する際の温度は、生産上の観点から10℃以上とすることが好ましく、高温による副作用抑制の観点から140℃以下とすることが好ましい。上記温度は、より好ましくは35〜110℃の範囲である。
多官能アニオン重合開始剤を調製する際の反応時間は、反応温度に左右されるが、5分〜24時間の範囲である。
多官能アニオン重合開始剤のGPCで測定されるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、500〜20,000の範囲であることが好ましく、1,000〜10,000の範囲であることがより好ましい。
多官能アニオン重合開始剤の分子量分布(Mw/Mn)は、1.2〜3.5の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.2〜2.5の範囲であり、さらに好ましくは1.2〜2.0の範囲である。上記範囲の分子量分布を有する多官能アニオン重合開始剤を使用して得られた共役ジエン系重合体を含む変性共役ジエン系重合体組成物は、ムーニー粘度が低下し、低ヒステリシスロス性と、ウェットスキッド抵抗性、耐摩耗性のバランスが更に優れる加硫物となる傾向にある。上記のMw(重量平均分子量)、Mn(数平均分子量)はGPC測定により求めることができる。
両末端変性共役ジエン系重合体は、上述した多官能アニオン重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とを共重合することによって得られた共役ジエン系重合体の重合活性末端に、上述の変性剤を反応することによって得ることができる。
上述した変性剤は、添加した当該変性剤中のシリル基に結合したアルコキシ基の合計モル数が、上述した多官能アニオン重合開始剤に含まれるリチウムの合計モル数の0.1〜3倍の範囲となるように添加することが好ましく、0.2〜2倍の範囲になるように添加することがより好ましく、0.2〜1倍の範囲になるように添加することがさらに好ましい。
また、回分式プロセスで共役ジエン系重合体の重合を行った場合には、GPCの分子量分布で複数のピークがみられる。その最も低分子側のピークは、主にアニオン重合開始剤中に混在している単官能成分により重合が開始されて生成した成分であると考えられる。また、アニオン重合開始剤中の高分子側の量が多いほど、転がり抵抗性、耐摩耗性等の物性に優れる傾向にある。一方で加工性をより良好にする観点からは、最も低分子側のピーク面積が10〜70%であることが好ましい。多官能アニオン重合開始剤を調製する際のポリビニル芳香族化合物と有機リチウム化合物とのモル比と、変性剤の添加量とを、上述した範囲内に調整することで、最も低分子量側のピーク面積を10〜70%とすることができる。
成分(b)は、低ヒステリシスロス性の観点から、窒素原子とアルコキシシランを含む官能基、又は窒素原子とエポキシ基を含む官能基を有することが好ましく、アミノ基をさらに有することがより好ましい。これらの官能基は、上述した成分(a)と同様のものが好ましく用いられ、同様の製造方法で製造することができる。
その他の点については、成分(a)と同様の方法により成分(b)を製造することが好ましい。
成分(a)と成分(b)の質量比率は、低ヒステリシスロス性と加硫物の強度の観点から10/90〜90/10であることが好ましく、20/80〜80/20であることがより好ましく、30/70〜70/30であることがさらに好ましい。
〔変性共役ジエン系重合体組成物〕
本実施形態における変性共役ジエン系重合体は、加硫物として好適に用いられる。加硫物は、例えば、本実施形態の変性共役ジエン系重合体を、必要に応じて、シリカ系無機充填剤、カーボンブラック等の無機充填剤、変性共役ジエン系重合体以外のゴム状重合体、シランカップリング剤、ゴム用軟化剤、ワックス、樹脂、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤等と混合して、変性共役ジエン系重合体組成物とした後、加熱して加硫することにより得ることができる。
〔ゴム成分〕
共役ジエン系重合体組成物は、ゴム成分として、本実施形態の成分(a)及び成分(b)である変性共役ジエン系重合体以外のゴム状重合体を含んでいてもよい。このようなゴム状重合体としては、以下に限定されないが、例えば、共役ジエン系重合体又はその水素添加物、共役ジエン系化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合体又はその水素添加物、共役ジエン系化合物とビニル芳香族化合物とのブロック共重合体又はその水素添加物、非ジエン系重合体、天然ゴム、及び変性天然ゴムが挙げられる。より具体的には、例えば、ブタジエンゴム又はその水素添加物、イソプレンゴム又はその水素添加物、スチレン−ブタジエンゴム又はその水素添加物、スチレン−ブタジエンブロック共重合体又はその水素添加物、及びスチレン−イソプレンブロック共重合体又はその水素添加物等のスチレン系エラストマー、アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はその水素添加物が挙げられる。
変性天然ゴムとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素化天然ゴム等が挙げられ、エポキシ化天然ゴムとしては、たとえばENR25(クランプーランスガリー社製)(エポキシ化率:25%)、ENR50(クランプーランスガリー社製)(エポキシ化率:50%)などの市販のものを用いてもよいし、天然ゴムをエポキシ化したものを用いてもよい。
非ジエン系重合体のゴム状重合体としては、以下のものに限定されないが、例えば、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−ブテン−ジエンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレン−ヘキセンゴム、エチレン−オクテンゴム等のオレフィン系エラストマー;ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、α、β−不飽和ニトリル−アクリル酸エステル−共役ジエン共重合ゴム、ウレタンゴム、及び多硫化ゴムが挙げられる。
上述した各種ゴム状重合体は、水酸基、アミノ基等の極性を有する官能基を付与した変性ゴムであってもよい。また、その重量平均分子量は、性能と加工特性とのバランスの観点から、2,000以上2,000,000以下であることが好ましく、5,000以上1,500,000以下であることがより好ましい。重量平均分子量は、実施例に記載する変性共役ジエン系重合体の重量平均分子量の測定方法と同様の方法で測定できる。また、低分子量のいわゆる液状ゴムも、ゴム状重合体として用いることができる。これらのゴム状重合体は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態における変性共役ジエン系重合体と、上述したゴム状重合体と、を含む変性共役ジエン系重合体組成物とする場合、これらの配合比率(質量比)は、(変性共役ジエン系重合体/ゴム状重合体)として、20/80以上100/0以下が好ましく、30/70以上90/10以下がより好ましく、50/50以上80/20以下がさらに好ましい。(変性共役ジエン系重合体/ゴム状重合体)が上記範囲にある場合、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランスがより優れ、耐摩耗性及び破壊強度にもより一層優れた加硫物を得ることができる傾向にある。
変性共役ジエン系重合体組成物は、上述した変性共役ジエン系重合体を20質量部以上含むゴム成分100質量部と、シリカ系無機充填剤0.5質量部以上300質量部以下と、を含むものがより好ましい。本実施形態の変性共役ジエン系重合体に、シリカ系無機充填剤を分散させることで、加硫物としたときに低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランスに優れ、かつ実用上十分な耐摩耗性及び破壊強度を有し、加硫物とする際の優れた加工性を付与できる傾向にある。本実施形態における変性共役ジエン系重合体組成物が、タイヤ、防振ゴム等の自動車部品、靴等の加硫ゴム用途に用いられる場合にも、シリカ系無機充填剤を含むことが好ましい。
シリカ系無機充填剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができるが、SiO2又はSi3Alを構成単位として含む固体粒子が好ましく、SiO2又はSi3Alを構成単位の主成分として含むものがより好ましい。ここで、主成分とは、シリカ系無機充填剤中に50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上含有する成分をいう。
シリカ系無機充填剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、シリカ、クレイ、タルク、マイカ、珪藻土、ウォラストナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、ガラス繊維等の無機繊維状物質が挙げられる。シリカの市販品として、例えば、エボニック デグサ社製の商品名「Ultrasil 7000GR」が挙げられる。また、表面を疎水化したシリカ系無機充填剤、シリカ系無機充填剤とシリカ系以外の無機充填剤との混合物も挙げられる。これらの中でも、強度及び耐摩耗性の観点から、シリカ及びガラス繊維が好ましく、シリカがより好ましい。シリカとしては、例えば、乾式シリカ、湿式シリカ、及び合成ケイ酸塩シリカが挙げられる。これらの中でも、破壊特性の改良効果及びウェットスキッド抵抗性のバランスに優れる観点から、湿式シリカがさらに好ましい。
変性共役ジエン系重合体組成物において、実用上良好な耐摩耗性や破壊特性を得る観点から、シリカ系無機充填剤のBET吸着法で求められる窒素吸着比表面積は、100m2/g以上300m2/g以下であることが好ましく、170m2/g以上250m2/g以下であることがより好ましい。また必要に応じて、比較的に比表面積が小さい(例えば、比表面積が200m2/g以下のシリカ系無機充填剤)と、比較的に比表面積の大きい(例えば、200m2/g以上のシリカ系無機充填剤)と、を組み合わせて用いることができる。これにより、良好な耐摩耗性及び破壊特性と、低ヒステリシスロス性とを高度にバランスさせることができる。
変性共役ジエン系重合体組成物中のシリカ系無機充填剤の配合量は、本実施形態の変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対し、0.5質量部以上300質量部以下であることが好ましく、5.0質量部以上200質量部以下であることがより好ましく、20質量部以上100質量部以下であることがさらに好ましい。シリカ系無機充填剤の配合量は、無機充填剤の添加効果を発現させる観点から、0.5質量部以上とすることが好ましく、一方、無機充填剤を十分に分散させ、組成物の加工性や機械強度を実用的に十分なものとする観点から、300質量部以下とすることが好ましい。
変性共役ジエン系重合体組成物には、カーボンブラックをさらに含有させてもよい。カーボンブラックとしては、以下に限定されないが、例えば、SRF、FEF、HAF、ISAF、SAF等の各クラスのカーボンブラックが挙げられる。市販品としては、例えば、東海カーボン社製の商品名「シーストKH(N339)」が挙げられる。これらの中でも、窒素吸着比表面積が50m2/g以上、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が80mL/100g以下のカーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックの配合量は、本実施形態の変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対し、0.5質量部以上100質量部以下であることが好ましく、3.0質量部以上100質量部以下であることがより好ましく、5.0質量部以上50質量部以下であることがさらに好ましい。カーボンブラックの配合量は、ドライグリップ性能、導電性等のタイヤ等の用途に求められる性能を発現する観点から、0.5質量部以上とすることが好ましく、分散性の観点から、100質量部以下とすることが好ましい。
シリカ系無機充填剤とカーボンブラックの総量に占めるシリカ系無機充填剤の割合を30〜90重量%、好ましくは40〜85重量%、さらに好ましくは60〜85重量%に
する。カーボンブラック及びシリカ系無機充填剤の配合量の合計をこの範囲にすることにより、良好な耐摩耗性及び破壊特性と低ヒステリシスロス性とをバランスさせることが出来る。
変性共役ジエン系重合体組成物には、シリカ系無機充填剤又はカーボンブラック以外に、金属酸化物又は金属水酸化物をさらに含有させてもよい。金属酸化物とは、化学式MxOy(Mは、金属原子を示し、x及びyは、各々独立に1〜6の整数を示す。)を構成単位の主成分とする固体粒子のことをいい、例えば、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、及び酸化亜鉛を用いることができる。また、金属酸化物と金属酸化物以外の無機充填剤との混合物も用いることができる。金属水酸化物としては、以下のものに限定されないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化ジルコニウムが挙げられる。
変性共役ジエン系重合体組成物には、シランカップリング剤をさらに含有させてもよい。シランカップリング剤は、ゴム成分とシリカ系無機充填剤との相互作用を緊密にする機能を有しており、ゴム成分及びシリカ系無機充填剤のそれぞれに対する親和性又は結合性の基を有しており、一般的には、硫黄結合部分とアルコキシシリル基、シラノール基部分を一分子中に有する化合物が用いられる。シランカップリング剤としては、例えば、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−テトラスルフィド、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−ジスルフィド、及びビス−[2−(トリエトキシシリル)−エチル]−テトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロパンチオールとエトキシレートC13アルコールの反応生成物、S−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]オクタンチオエート、S−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]オクタンチオエートと[(トリエトキシシリル)−プロピル]チオールの縮合物から選ばれる少なくとも一種類が、補強効果が高いために好ましい。これらのシランカップリング剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。市販品としては、例えば、エボニック デグサ社製の商品名「Si69」、「Si75」、「Si363」、モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ社「NXT」 が挙げられる。
シランカップリング剤の配合量は、上述したシリカ系無機充填剤100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上20質量部以下であることがより好ましく、1.0質量部以上15質量部以下であることがさらに好ましい。シランカップリング剤の配合量が上記範囲であると、上述したシランカップリング剤の添加効果を一層顕著なものにできる傾向にある。
変性共役ジエン系重合体組成物には、加工性の改良を図るために、ゴム用軟化剤をさらに含有させてもよい。ゴム用軟化剤としては、鉱物油、又は液状若しくは低分子量の合成軟化剤が好適である。ゴムの軟化、増容、加工性の向上を図るために使用されているプロセスオイル又はエクステンダーオイルと呼ばれる鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族環、ナフテン環、及びパラフィン鎖の混合物であり、パラフィン鎖の炭素数が全炭素中50%以上を占めるものがパラフィン系と呼ばれ、ナフテン環炭素数が30%以上45%以下のものがナフテン系、芳香族炭素数が30%を超えるものが芳香族系と呼ばれている。市販品として、例えば、S−RAEオイルであるジャパンエナジー社製の商品名「JOMOプロセスNC140」が挙げられる。本実施形態の変性共役ジエン−芳香族ビニル共重合体とともに用いるゴム用軟化剤としては、適度な芳香族含量を有するものが共重合体との馴染みが良くなる傾向にあるため好ましい。
ゴム用軟化剤の配合量は、本実施形態の変性共役ジエン系重合体を含有するゴム成分100質量部に対して、0質量部以上100質量部以下であることが好ましく、10質量部以上90質量部以下であることがより好ましく、30質量部以上90質量部以下であることがさらに好ましい。ゴム用軟化剤の配合量が、ゴム成分100質量部に対して、100質量部以下であることで、ブリードアウトと組成物表面のベタツキとを抑制できる傾向にある。
樹脂を配合することにより、グリップ性能を向上することが出来る。例えば、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂などの天然樹脂、石油系樹脂、石炭系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂などの合成樹脂が挙げられる。この樹脂は、本実施形態の変性共役ジエン系重合体を含有するゴム成分100質量部に対して、対し5〜25重量部、好ましくは10〜20重量部配合する。樹脂の配合量が5重量部より少ないとグリップ性能が不充分になり、配合量が25重量部より多いと低温路面でのグリップ発生が遅くなる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体とその他のゴム状重合体、シリカ系無機充填剤、カーボンブラック及びその他の充填剤、シランカップリング剤、ゴム用軟化剤、樹脂等の添加剤を混合する方法については特に限定されるものではない。その方法としては、例えば、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解混合後、溶剤を加熱除去する方法が挙げられる。これらのうち、生産性、良混練性の観点から、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機による溶融混練法が好ましい。また、変性共役ジエン系重合体と各種配合剤とを一度に混練する方法、複数の回数に分けて混合する方法のいずれも適用可能である。
変性共役ジエン系重合体組成物は、加硫剤により加硫処理を施した加硫組成物としてもよい。加硫剤としては、以下に限定されないが、例えば、有機過酸化物及びアゾ化合物等のラジカル発生剤、オキシム化合物、ニトロソ化合物、ポリアミン化合物、硫黄、及び硫黄化合物、ポリサルファイド化合物が挙げられる。硫黄化合物には、一塩化硫黄、二塩化硫黄、ジスルフィド化合物、高分子多硫化合物等が含まれる。加硫剤の使用量は、本実施形態の変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上15質量部以下であることがより好ましい。加硫方法としては、従来公知の方法を適用でき、加硫温度は、120℃以上200℃以下が好ましく、より好ましくは140℃以上180℃以下である。
上記加硫に際しては、必要に応じて加硫促進剤、加硫助剤を用いてもよい。加硫促進剤としては、従来公知の材料を用いることができ、例えば、スルフェンアミド系、グアニジン系、チウラム系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、チオ尿素系、ジチオカルバメート系等の加硫促進剤が挙げられる。具体的な化合物としては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフィンアミド、ジフェニルグアニジンが挙げられる。また、加硫助剤としては、以下に限定されないが、例えば、亜鉛華、ステアリン酸が挙げられる。加硫促進剤の使用量は、本実施形態の変性共役ジエン系重合体を含有するゴム成分100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上15質量部以下であることがより好ましい。
変性共役ジエン系重合体組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内で、上述した以外のその他の軟化剤及び充填剤、さらに、大内新興化学社製の商品名「サンノックN」等のワックス、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン等の老化防止剤、着色剤、滑剤等の各種添加剤を用いてもよい。その他の軟化剤としては、公知の軟化剤を用いることができる。その他の充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸バリウムが挙げられる。上記の耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、着色剤、潤滑剤としては、それぞれ公知の材料を用いることができる。
その他に粘弾性特性を改善させる化合物を用いても良い。化合物としては、S−(4−アミノブチル)チオ硫酸その金属塩、N,N’−ビス(2−メチル−2−ニトロプロピル)−1,6−ヘキサンジアミン、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン、1,6−ビス(N,N’−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)−ヘキサン、ヘキサメチレンビスチオサルフェート2ナトリウム塩2水和物、1,3−ビスシトラコンイミドメチルベンゼン等が好ましい。市販品としては住友化学社製「スミファイン(登録商標)1162」、「NQ−58」、ランクセス社製「KA9188」、(フレキシス社製「デュラリンクHTS」、「パーカリンク900」が挙げられる。
以下に具体的な実施例及び比較例を挙げて本実施形態を更に詳しく説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。後述する、実施例及び比較例における各種の物性は下記に示す方法により測定した。
(製造例1)変性共役ジエン系重合体(試料1)
内容積が10Lであり、内部の高さ(L)と直径(D)との比(L/D)が4.0であり、底部に入口を有し、頂部に出口を有し、攪拌機および温度調整用のジャケットを有するオートクレーブを2基連結した。さらに、2基目の反応器出口下流にスタティックミキサーを1基連結した。予め水分等の不純物を除去した1,3−ブタジエンを、26.5g/分、スチレンを2.7g/分、n−ヘキサンを180.2g/分で混合した。この混合溶液が1基目の反応器に入る直前で、不純物不活性化処理用のn−ブチルリチウムを0.016mmol/分で供給し、スタティックミキサーで混合した後、1基目の反応器の底部に連続的に供給した。更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.026g/分の速度で、重合開始剤であるn−ブチルリチウムを0.180mmol/分の速度で、1基目反応器の底部へ供給し、反応器内温を67℃に保持した。1基目反応器頂部より重合体溶液を連続的に抜き出し、2基目反応器の底部に連続的に供給して72℃で反応を継続し、さらに2基目の頂部よりスタティックミキサーへ供給した。2基目反応器出口より、変性剤添加前の共重合体溶液を少量抜き出し、酸化防止剤(BHT)をポリマー100gあたり、0.2gとなるように添加した後に溶媒を除去した。
次に、スタティックミキサー中に連続的に流れる共重合体溶液に、変性剤として2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンを0.047mmol/分の速度で添加し、変性反応を実施した。スタティックミキサーから流出した重合体溶液に、酸化防止剤(BHT)をポリマー100gあたり、0.2gとなるように連続的に添加し、変性反応を終了させ、その後溶媒を除去した。
更にこの変性共役ジエン系重合体(ポリマー)溶液にプロセスオイル(H&R社製、商品名「Vivatec500」)を混合した後、ドラムドライヤーで溶媒を除去し、変性共役ジエン系重合体(試料1)を得た。
得られた変性共役ジエン系重合体(試料1)とプロセスオイルの混合物を構成する変性共役ジエン系重合体(試料1)の変性率は80.3%、変性共役ジエン系重合体(試料1)のムーニー粘度は75、変性共役ジエン系重合体(試料1)の結合スチレン量は9質量%、変性共役ジエン系重合体(試料1)の1,2−ビニル結合量は35質量%、変性共役ジエン系重合体(試料1)の重量平均分子量Mwは80.3万、変性共役ジエン系重合体(試料1)の数平均分子量Mnは37.0万、変性共役ジエン系重合体(試料1)のMw/Mnは2.2、変性共役ジエン系重合体(試料1)のガラス転移温度は−60℃、変性共役ジエン系重合体(試料1)のプロセスオイル含有量は20.0質量%であった。これらの結果を併せて表1に示す。
(製造例2)変性共役ジエン系重合体(試料2)
重合開始剤を、予め調製したリチウムアミドであるピペリジノリチウム(「1−リチオピペリジン」ともいう。)とn−ブチルリチウムの混合溶液(ピペリジノリチウムとn−ブチルリチウムのモル比は0.75:0.25とした)に代えたこと以外は、製造例1と同様にして、試料2を得た。試料2の物性を表1に示す。
(製造例3)変性共役ジエン系重合体(試料3)
ピペリジノリチウムをヘキサメチレンイミノリチウムに代えたこと以外は、製造例2と同様にして、試料3を得た。試料3の物性を表1に示す。
(製造例4)変性共役ジエン系重合体(試料4)
撹拌機及びジャケットを有し、温度制御が可能な内容積10Lのオートクレーブを反応器として使用した。不純物を除去したブタジエン625g、スチレン225g、シクロヘキサン5500g、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン0.82gを反応器へ入れ、反応器内温を30℃に保持した。重合開始剤としてn−ブチルリチウム6.75mmolを含むシクロヘキサン溶液を反応器に供給した。反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇をはじめた。重合開始剤添加後7分〜12分にわたって、ブタジエン50gを10g/分の速度で追加供給した。その結果、最終的な反応器内の温度は77℃に達した。重合反応終了後、反応器に1−[3−(トリエトキシシラニル)−プロピル]−4−メチルピペラジンを13.5mmol添加し、75℃で5分間攪拌して変性反応を実施した。この重合体溶液に酸化防止剤(BHT;2,6−ジ−tertブチル−4−メチルフェノール)を1.8g添加後、溶媒を除去し、変性成分を有するスチレン−ブタジエン共重合体(試料4)を得た。試料4の物性を表1に示す。
(多官能アニオン重合開始剤Aの調製)
マグネット攪拌子を備えた三方フラスコに、冷却管及び滴下漏斗をセットし、窒素置換を行った後、微加圧した窒素を流通させ、系内をシールした状態で、前記三方フラスコ中に、1.01mol/Lのsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン/n−ヘキサン混合溶液99.0mL(100ミリモル)、トリエチルアミン13.9mL(100ミリモル)、及びシクロヘキサン10mLを導入し、20℃で攪拌混合した。 さらに減圧蒸留により精製したm−ジイソプロペニルベンゼン7.91g(50ミリモル)を室温で3時間かけて滴下し、攪拌を15時間継続して行い、多官能アニオン重合開始剤Aを調製した。
(製造例5)変性共役ジエン系重合体(試料5)
重合開始剤をn−ブチルリチウムから多官能アニオン重合開始剤Aに代えたこと以外は製造例4と同様にして、試料5を得た。試料5の物性を表1に示す。
(製造例6)変性共役ジエン系重合体(試料6)
変性剤を1−[3−(トリエトキシシラニル)−プロピル]−4−メチルピペラジンから2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン6.7mmolに変えた以外は製造例4と同様にして、試料6を得た。試料6の物性を表1に示す。
(製造例7)変性共役ジエン系重合体(試料7)
重合開始剤をn−ブチルリチウムから、予め調製したリチウムアミドであるピペリジノリチウム(「1−リチオピペリジン」ともいう。)とn−ブチルリチウムの混合溶液(ピペリジノリチウムとn−ブチルリチウムのモル比は0.75:0.25とした。)に代えたこと以外は製造例6と同様にして、試料7を得た。試料7の物性を表1に示す。
(製造例8)変性共役ジエン系重合体(試料8)
不純物を除去したブタジエンを535g、スチレンを315g、極性物質の2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.86gに代えたこと以外は製造例4と同様にして、試料8を得た。試料8の物性を表1に示す。
(製造例9)変性共役ジエン系重合体(試料9)
変性剤を2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン6.7mmolに代えたこと以外は製造例8と同様にして、試料9を得た。試料9の物性を表1に示す。
(製造例10)変性共役ジエン系重合体(試料10)
重合開始剤をn−ブチルリチウムから多官能アニオン重合開始剤Aに代えたこと以外は製造例8と同様にして、試料10を得た。試料10の物性を表1に示す。
(製造例11)変性共役ジエン系重合体(試料11)
重合開始剤をn−ブチルリチウムから、予め調製したリチウムアミドであるピペリジノリチウム(「1−リチオピペリジン」ともいう。)とn−ブチルリチウムの混合溶液(ピペリジノリチウムとn−ブチルリチウムのモル比は0.75:0.25とした。)に代えたこと以外は製造例9と同様にして、試料11を得た。試料11の物性を表1に示す。
(製造例12)変性共役ジエン系重合体(試料12)
不純物を除去したブタジエンを760g、スチレンを90g、極性物質の2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.52gに代えたことは製造例4と同様にして、試料12を得た。試料12の物性を表1に示す。
(製造例13)変性共役ジエン系重合体(試料13)
変性剤を1−[3−(トリエトキシシラニル)−プロピル]−4−メチルピペラジンから2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン6.7mmolに代えたこと以外は製造例12と同様にして、試料13を得た。試料13の物性を表1に示す。
(製造例14)変性共役ジエン系重合体(試料14)
重合開始剤をn−ブチルリチウムから多官能アニオン重合開始剤Aに代えたこと以外は製造例12と同様にして、試料14を得た。試料14の物性を表1に示す。
(製造例15)変性共役ジエン系重合体(試料15)
重合開始剤をn−ブチルリチウムから、予め調製したリチウムアミドであるピペリジノリチウム(「1−リチオピペリジン」ともいう。)とn−ブチルリチウムの混合溶液(ピペリジノリチウムとn−ブチルリチウムのモル比は0.75:0.25とした。)に代えたこと以外は製造例13と同様にして、試料15を得た。試料15の物性を表1に示す。
(試料16)共役ジエン系重合体(試料16)
スタイロン社製 SLR4630を使用した。試料16の物性を表1に示す。
以下の実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例において使用した変性共役ジエン系重合体の構造分析の方法、並びに実施例及び比較例の変性共役ジエン系重合体組成物の物性の測定方法について下記に示す。
〔(1)結合スチレン量〕
測定用の試料(組成物の原料となる変性共役ジエン系重合体)100mgをクロロホルムで100mLにメスアップ、溶解して測定サンプルとした。測定機器として島津製作所製UV−2450を用いて、スチレンのフェニル基による波長254nmの紫外線(UV)の吸収量を測定し、結合スチレン量(質量%)を測定した。
〔(2)ブタジエン部分のミクロ構造(1,2−ビニル結合量)〕
上記測定用の試料(組成物の原料となる変性共役ジエン系重合体)50mgを10mLの二硫化炭素に溶解して測定サンプルとした。溶液セルを製造し、測定機器として日本分光(株)製:FT−IR230を用いて、赤外線スペクトルを600〜1000cm-1の範囲で測定して、所定の波数における吸光度によりハンプトンの方法の計算式に従い、ブタジエン部分のミクロ構造(1,2−ビニル結合量:モル%)を求めた。
〔(3)分子量〕
ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定装置を使用して、変性共役ジエン系重合体のクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用した検量線に基づいて数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)を求めた。溶離液としては、テトラヒドロフラン(THF)を用いた。カラムは、ガードカラムとして東ソー社製 TSKguardcolumn HHR−Hを使用し、他のカラムとして東ソー社製 TSKgel G6000HHR、TSKgel G5000HHR、及びTSKgel G4000HHRを使用した。オーブン温度40℃、THF流量1.0mL/分の条件で、RI検出器(東ソー社製、「HLC8020」)を用いて分子量の測定を行った。測定用の試料(組成物の原料となる変性共役ジエン系重合体)10mgを20mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液200μLをGPC測定装置に注入して測定した。
〔(4)変性率〕
シリカゲルを充填剤としたGPCカラムに、変性した成分が吸着する特性を応用することにより測定した。以下に示すとおり、試料及び低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液を、ポリスチレン系ゲルカラムで測定したクロマトグラムと、シリカ系カラムで測定したクロマトグラムの差分よりシリカカラムへの吸着量を測定し変性率を求めた。低分子量内部標準ポリスチレンとして市販の分子量5000の標準ポリスチレンを用いた。
<試料溶液の調製>
試料10mg及び標準ポリスチレン5mgを20mLのTHFに溶解させて、試料溶液とした。
<ポリスチレン系カラムを用いたGPC測定条件>
THFを溶離液として用い、試料溶液200μLを装置に注入して測定した。カラムは、ガードカラムとして東ソー社製 TSKguardcolumn HHR−Hを使用し、他のカラムとして東ソー TSKgel G6000HHR、TSKgel G5000HHR、TSKgel G4000HHRを使用した。また、カラムオーブン温度40℃、THF流量1.0mL/分の条件で、RI検出器(東ソー社製 HLC8020)を用いて測定し、クロマトグラムを得た。
<シリカ系カラムを用いたGPC測定条件>
THFを溶離液として用い、試料200μLを装置に注入して測定した。カラムは、ガードカラムとしてDIOL 4.6×12.5mm 5micronを使用し、他のカラムとしてZorbax PSM−1000S、PSM−300S、PSM−60Sを使用した。また、カラムオーブン温度40℃、THF流量0.5mL/分で、東ソー社製 CCP8020シリーズ ビルドアップ型GPCシステム:AS−8020、SD−8022、CCPS、CO−8020、RI−8021で、RI検出器を用いて測定し、クロマトグラムを得た。
<変性率の計算方法>
ポリスチレン系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP1、標準ポリスチレンのピーク面積をP2、シリカ系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP3、標準ポリスチレンのピーク面積をP4として、下記式より変性率(%)を求めた。
変性率(%)=[1−(P2×P3)/(P1×P4)]×100
〔(5)配合物ムーニー粘度〕
ムーニー粘度計を使用し、JIS K6300−1に準じて、100℃、1分間の予熱を行った後に、ローターを毎分2回転で4分間回転させた後の粘度を測定した。なお、表1に記載の変性共役ジエン系重合体のムーニー粘度は、配合物ムーニー粘度の測定方法に準じて測定した。
〔(6)転がり抵抗特性(RR)〕
レオメトリックス・サイエンティフィック社製の粘弾性試験機(ARES)を使用し、ねじりモードで粘弾性パラメータを測定した。すなわち、50℃において周波数10Hz、ひずみ3%で測定したtanδを転がり抵抗特性(少燃費性)の指標とした。各々の測定値は、実施例1〜16、及び比較例2〜4については比較例1を100として指数化した。値が大きいほど転がり抵抗特性が良好であることを示す。転がり抵抗特性は、低ヒステリシスロス性の指標でもあり、転がり抵抗特性が良好であることは低ヒステリシスロス性に優れることを表す。
〔(7)ウェットスキッド抵抗性(WET)〕
レオメトリックス・サイエンティフィック社製の粘弾性試験機(ARES)を使用し、ねじりモードで粘弾性パラメータを測定した。すなわち、0℃において周波数10Hz、ひずみ1%で測定したtanδをウェットスキッド抵抗性の指標とした。各々の測定値は、実施例1〜16、及び比較例2〜4については比較例1を100として指数化した。値が大きいほどウェッドスキッド抵抗性が良好であることを示す。
〔(8)アイスグリップ性(ICE)〕
レオメトリックス・サイエンティフィック社製の粘弾性試験機(ARES)を使用し、ねじりモードで粘弾性パラメータを測定した。すなわち、−10℃において周波数10Hz、ひずみ1%で測定した貯蔵剛性率 G‘をアイスグリップの指標とした。アイスグリップとは、凍った路面での制動性能を示す。指数が大きい程、ブレーキを踏んでから車両が停止するまでの距離が短いことを示す。各々の測定値は、実施例12〜16、及び比較例4については比較例1を100として指数化した。値が大きいほどアイスグリップ性が良好であることを示す。
〔(9)耐摩耗性〕
アクロン摩耗試験機(安田精機製作所製)を使用し、JIS K6264−2に準じて、荷重44.1N、3000回転の摩耗量を測定した。各々の測定値は、実施例1〜5、及び比較例2については比較例1を100として指数化した。値が大きいほど、摩耗が少なく、耐摩耗性に優れていることを示す。
〔(10)ガラス転移温度(℃)〕
ガラス転移温度(℃)は、示差走査熱量測定(Differential scanning calorimetry:DSC)により測定した。なお、所望とされるガラス転移温度は要求される用途、例えば、適用されるタイヤの部材や、夏用タイヤ・冬用タイヤの別によって異なり、スチレン量、ビニル量に依存する。上記ガラス転移温度については、ISO22768:2006に従い、所定の温度範囲で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とした。なお、測定にはマックサイエンス社製 DSC 3200Sを用いた。
[実施例1]
以下に示す配合に従い、加硫ゴム組成物を得た。
・試料2:ゴム分のみで50質量部。プロセスオイル込みでは62.5質量部
・試料4:30質量部
・宇部興産(株)社製のポリブタジエン「ウベポールU150」:20質量部
・シリカ(エボニック デグサ社製、商品名「ウルトラジル7000GR」、窒素吸着比表面積:175m2/g):75質量部
・シランカップリング剤(エボニック デグサ社製、商品名「Si75」(テトラエトキシシリルプロピルジスルフィド):6質量部
・プロセスオイルオイル(JX日鉱日石エネルギー社製、商品名「NC140」):29.5質量部
・カーボンブラック(東海カーボン社製、商品名「シーストKH(N339)」、ヨウ素吸着量90g/kg、CTAB比表面積95m2/g):5質量部
・亜鉛華(三井金属鉱業社製、商品名「亜鉛華1号」):2.5質量部
・ステアリン酸:1.0質量部
・ワックス:(大内新興化学工業社製、商品名「サンノック」、帯黄白色粒状、凝固点65℃以上、比重0.93、:1.5質量部
・老化防止剤(N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン):2.0質量部
・硫黄:2.2質量部
・加硫促進剤(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフィンアミド):1.7質量部
・加硫促進剤(ジフェニルグアニジン):2.0質量部
上記した材料を下記の方法により混練して、未加硫ゴム組成物、及び加硫ゴムシートを得た。温度制御装置を具備する神戸製鋼所バンバリーミキサー「ミクストロンBB2」(内容量1430cc)を使用し、第1段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数90rpmの条件で、試料2、試料4、ウベポールU150を30秒素練りした。その後、シリカ、カーボンブラック、Si75、プロセスオイルを配合し、混練りした。
次いで、材料指示温度が150℃に達してから、混合機の温度制御によりバンバリーミキサー内材料指示温度を150〜160℃に制御しながら2分間混練りした。
その後、混練り物を排出することなく、引き続きバンバリー内材料指示温度を150〜160℃に制御しながら、加硫促進助剤(ステアリン酸及び酸化亜鉛)、老化防止剤、及びワックスを配合して1分混練りし、ラムを上げて掃除を行った後、さらに一分混練し、配合物(排出温度140〜150℃)をバンバリーミキサーより排出した。そして、すぐに10インチφオープンロールに配合物を6回通して、シート状配合物とした。
次に、混練り2段目として、上述した第1段目の混練りで得たシート状配合物を室温まで冷却した後、これを上記バンバリーミキサーにて3分間再度混練りした。この場合も、混合機の温度制御により排出温度(配合物)を150〜160℃に調整した。そして、バンバリーミキサーより上記配合物を排出後、すぐに10インチφオープンロールに配合物を6回通して、シート状の未加硫ゴム組成物とした。
更に、オーブンを用いて未加硫組成物を70℃×30分加温した後、混練り3段目として、70℃に設定した10インチφオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤を加えて2分間混練し、組成物を得た。
その後、組成物を160℃×20分間、加硫プレスにて加硫成形した。加硫後、加硫ゴム組成物の転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、耐摩耗性、アイスグリップ性を評価した。
[実施例2]
試料2の代わりに試料3を用いたこと以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加硫ゴムシートを製造し、実施例1と同様にして、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、耐摩耗性を評価した。結果を表2に示した。
[実施例3]
試料2の代わりに試料3を、試料4の代わりに試料5を用いたこと以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加硫ゴムシートを製造し、実施例1と同様にして、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、耐摩耗性を評価した。結果を表2に示した。
[実施例4]
試料4の代わりに試料6を用いたこと以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加硫ゴムシートを製造し、実施例1と同様にして、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、耐摩耗性を評価した。結果を表2に示した。
[実施例5]
試料2の代わりに試料3を用い、試料4の代わりに試料7を用いたこと以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加硫ゴムシートを製造し、実施例1と同様にして、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、耐摩耗性を評価した。結果を表2に示した。
[実施例6]
試料4の代わりに試料16を41.25質量部用い、プロセスオイルを18.25質量部用いたこと以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加硫ゴムシートを製造し、実施例1と同様にして、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、耐摩耗性を評価した。結果を表2に示した。
[実施例7]
試料4の代わりに試料8を用いたこと以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加硫ゴムシートを製造し、実施例1と同様にして、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、耐摩耗性を評価した。結果を表3に示した。
[実施例8]
試料4の代わりに試料9を用いたこと以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加硫ゴムシートを製造し、実施例1と同様にして、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、耐摩耗性を評価した。結果を表3に示した。
[実施例9]
試料4の代わりに試料10を用いたこと以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加硫ゴムシートを製造し、実施例1と同様にして、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、耐摩耗性を評価した。結果を表3に示した。
[実施例10]
試料4の代わりに試料11を用いたこと以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加硫ゴムシートを製造し、実施例1と同様にして、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、耐摩耗性を評価した。結果を表3に示した。
[実施例11]
試料2の代わりに試料3を用い、試料4の代わりに試料11を用いたこと以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加硫ゴムシートを製造し、実施例1と同様にして、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、耐摩耗性を評価した。結果を表3に示した。
[比較例1]
試料2の代わりに試料1を用いたこと以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加硫ゴムシートを製造し、実施例1と同様にして、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、耐摩耗性、アイスグリップ性を評価した。結果を表2〜4に示した。
[比較例2]
試料2の代わりに試料1を用い、試料4の代わりに試料5を用いたこと以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加硫ゴムシートを製造し、実施例1と同様にして、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、耐摩耗性を評価した。結果を表2に示した。
[比較例3]
試料2の代わりに試料1を用い、試料4の代わりに試料8を用いたこと以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加硫ゴムシートを製造し、実施例1と同様にして、転がり抵抗特性(RR)、ウェットスキッド抵抗性(WET)、耐摩耗性を評価した。結果を表3に示した。
[比較例4]
試料2の代わりに試料1を用い、試料4の代わりに試料13を用いたこと以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加硫ゴムシートを製造し、実施例1と同様にして、転がり抵抗特性(RR)、アイスグリップ性を評価した。結果を表4に示した。
[実施例12]
試料4の代わりに試料12を用いたこと以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加硫ゴムシートを製造し、実施例1と同様にして、転がり抵抗特性(RR)、アイスグリップ性を評価した。
[実施例13]
試料4の代わりに試料13を用いたこと以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加硫ゴムシートを製造し、実施例1と同様にして、転がり抵抗特性(RR)、アイスグリップ性を評価した。
[実施例14]
試料4の代わりに試料14を用いたこと以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加硫ゴムシートを製造し、実施例1と同様にして、転がり抵抗特性(RR)、アイスグリップ性を評価した。
[実施例15]
試料4の代わりに試料15を用いたこと以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加硫ゴムシートを製造し、実施例1と同様にして、転がり抵抗特性(RR)、アイスグリップ性を評価した。
[実施例16]
試料2の代わりに試料3を用い、試料4の代わりに試料15を用いたこと以外は、実施例1と同じ操作を繰り返し、加硫ゴムシートを製造し、実施例1と同様にして、転がり抵抗特性(RR)、アイスグリップ性を評価した。
本発明の変性共役ジエン系重合体組成物は、加硫物としたときの低ヒステリシスロス性に優れるため、自動車のタイヤレッドに用いられるゴム材料としての産業上利用可能性を有する。

Claims (8)

  1. 下記成分(a)及び成分(b)を変性共役ジエン系重合体組成物であって、
    前記成分(a)は、少なくとも共役ジエン化合物単位を含む重合体であり、アミノ基ならびに、窒素原子とアルコキシシランを含む官能基又は窒素原子とエポキシ基を含む官能基を有しており、ガラス転移温度が−80℃以上−50℃未満であり、
    前記成分(b)は、少なくとも共役ジエン化合物単位を含む重合体であり、Mw/Mnが1.50未満である、
    変性共役ジエン系重合体組成物。
  2. 前記成分(a)のMw/Mnが1.50以上である、請求項1に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
  3. 前記成分(b)が、窒素原子とアルコキシシランを含む官能基又は窒素原子とエポキシ基を含む官能基を有する、請求項1又は2に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
  4. 前記成分(b)が、アミノ基をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
  5. 前記成分(b)のガラス転移温度が−50℃以上−20℃未満である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
  6. 前記成分(b)のガラス転移温度が−20℃以上0℃未満である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
  7. 前記成分(b)のガラス転移温度が−80℃以上−50℃未満である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体組成物の加硫物。
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