JP2013046967A - 画像形成装置、画像形成方法および文書管理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】画像形成装置の利用状況を考慮して最適な色補正を自動的に設定し実施する。
【解決手段】画像形成装置が、印刷ジョブの実行履歴である印刷ログを取得するログ取得手段と、前記ログ取得手段により取得した前記印刷ログから、過去の印刷ジョブを実行した時にカラー色剤を利用した割合であるカラー利用率を取得するカラー利用率取得手段と、前記カラー利用率取得手段にて取得された前記カラー利用率が閾値より大きい場合は混色の補正と単色の補正を行い、前記カラー利用率が閾値より小さい場合は混色の補正を行わずに単色の補正を行うことを決定する決定手段と、前記決定手段によって決定された補正を行う補正手段と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】図10

Description

本発明は、画像形成装置の色補正に関する。
カラープリンタ、カラー複写機等の電子写真方式を採用したカラー画像形成装置は出力画像の更なる高画質化が求められている。このような状況にあって、画像濃度の階調とその安定性は、人間が下す画像の良し悪しの判断に大きな影響を与えることが分かっている。
この点、画像の濃度は、環境の変化や長時間の使用による装置各部の変動によって変動し、特に電子写真方式のカラー画像形成装置の場合、わずかな環境変動でも濃度の変動が生じて、カラーバランスを崩す恐れがある。そこで、常に一定の濃度−階調特性を保つための手段が必要となる。そのため、カラー画像形成装置には、各色のトナーに対して、ルックアップテーブル(LUT)などの階調補正手段が設けられている。この階調補正手段は、温湿度センサによって測定された絶対湿度に応じて、露光量や現像バイアスなどのプロセス条件を最適化したり、階調補正の最適値を選択するものである。また、装置各部の変動が起こっても一定の濃度−階調特性が得られるように、濃度センサを用いた濃度制御(キャリブレーション)も行われている。このキャリブレーションは、各色のトナーで濃度検知用パッチを中間転写体やドラム等の上に作成し、該未定着パッチの濃度を濃度センサで検知し、その検知結果より露光量や現像バイアスなどのプロセス条件にフィードバックをかけるというものである。
上述のキャリブレーションは、中間転写体やドラム等の上に形成された未定着のパッチを検知して行うものである。しかしながら、紙等の記録媒体へのトナー像の転写における転写効率や、定着による加熱及び加圧によってもカラーバランスは変化することが分かっている。したがって、上述のキャリブレーションでは、記録媒体への転写及び定着による画像のカラーバランスの変化までは対応できない。また、電子写真方式では、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の単色について濃度補正を行ってそれぞれの濃度を安定させても、それらの組み合わせである混色については色ずれが生じることもある。
そこで、記録媒体上に、CMYKの単色の階調パッチとそれらの混色のパッチを形成し、定着後に記録媒体上のパッチ画像の濃度又は色度、分光反射率を検知するセンサ(カラーセンサや分光センサ等)を備えた画像形成装置もある。こうした画像形成装置では、センサで読み取った値を用いて作成した多次元のLUTによって、より精密な混色補正を行う事が可能である。また、これまでリーダスキャナを利用して行っていた手動の読み取り作業も不要となる。そのため、管理者等を確保できないユーザ、オペレータコスト(人的コスト)を削減したいユーザ、補正に対する十分な知識を持たないユーザにとっては、キャリブレーション処理が自動で実施できるというメリットもあった。このように、センサを用いた混色補正においては、単色補正と比較してより精密な結果が期待でき、また、人手をかけずにキャリブレーションを行うことができるという利点がある。
その一方で、センサを用いた混色補正は、補正に要する時間が単色補正に比べて長く、またパッチパターンの印刷に要する用紙やトナーの消費が多いという問題があった。例えば、専ら一般的なオフィス文書を利用するような、コストの削減を重視したいユーザにとっては、トナーや時間を多く費やす混色補正の実行を極力制限したいという要望があった。
このような要望に応えようと、たとえば、特許文献1のような技術が提案されている。特許文献1には、過剰な資源や時間の消費を抑制するべく、混色多次元LUTを利用する画像形成装置において、センサで読み取るパッチ群の組合せを利用者の指示に応じて変更可能にすることで、要望に応じた精度で色補正を実現する技術が開示されている。
特開2005−321570号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術ではオペレータが色補正の精度を指定する必要があり、人的コストを削減したいというユーザの要望には十分に応えられていなかった。また、オペレータによって指定された色補正の精度が、実際に利用されるジョブの内容にそぐわないというケースもあり得た。
本発明に係る画像形成装置は、印刷ジョブの実行履歴である印刷ログを取得するログ取得手段と、前記ログ取得手段により取得した前記印刷ログから、過去の印刷ジョブを実行した時にカラー色剤を利用した割合であるカラー利用率を取得するカラー利用率取得手段と、前記カラー利用率取得手段にて取得された前記カラー利用率が閾値より大きい場合は混色の補正と単色の補正を行い、前記カラー利用率が閾値より小さい場合は混色の補正を行わずに単色の補正を行うことを決定する決定手段と、前記決定手段によって決定された補正を行う補正手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、画像形成装置の利用状況を考慮した最適な色補正を自動で決定し実行する。これにより、キャリブレーションにかかる時間の節約や、用紙、トナー、人等のコスト削減が可能となる。
実施例1に係る画像形成装置としてのプリンタの主要な構成要素を示すブロック図である。 画像処理部における色空間変換処理の流れを示すブロック図である。 電子写真方式を採用した画像形成部の内部構造を示す図である。 中間転写体に形成する濃度‐階調特性制御用パッチ画像の一例を示す図である。 記録媒体上に形成された定着後の濃度‐階調特性制御用パッチ画像の一例を示す図である。 分光センサを搭載した画像形成装置における多次色のキャリブレーション制御処理の流れを示すフローチャートである。 (a)は紙の表面に形成された低濃度のパッチ画像の一例を示す図である。(b)は紙の裏面に形成された高濃度のパッチ画像の一例を示す図である。 画像処理部の内部構成を示すブロック図である。 補正モードの設定を行うためのユーザインタフェースの一例を示す図である。 実施例1に係る解析部における処理の流れを示すフローチャートである。 (a)は印刷ログのデータ構造を説明する図である。(b)は各ジョブのログの一例を示す図である。 (a)及び(b)は、解析対象となるジョブの範囲の一例を示す図である。 閾値の設定変更をするユーザインタフェースの一例を示す図である。 実施例2に係る解析部における処理の流れを示すフローチャートである。 ユーザ毎のカラー利用率の一例を示す表である。 実施例3に係る解析部における処理の流れを示すフローチャートである。 (a)はカラー利用率[P]に応じた混色補正の実施頻度を示すテーブルの一例である。(b)は閾値を越えたユーザの割合[PU]に応じた混色補正の実施頻度を示すテーブルの一例である。 コンピュータ等で印刷設定を行うためのユーザインタフェースの一例を示す図であり、(a)はメインダイアログ、(b)はサブダイアログを示している。 画像形成装置でコピー設定を行うためのユーザインタフェースの一例を示す図であり、(a)はメインダイアログ、(b)及び(c)はサブダイアログを示している。 実施例4に係る解析部における処理の流れを示すフローチャートである。 印刷ログの一例を示す図である。 実施例5に係る解析部における処理の流れを示すフローチャートである。 ネットワーク型文書管理システムの構成の一例を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
図1は、本実施例に係る画像形成装置としてのプリンタの主要な構成要素を示すブロック図である。
プリンタである画像形成装置10は、画像形成部20、画像制御部50、操作部60、ネットワークI/F70で構成される。
画像形成部20は、画像処理された画像データに基づいて、紙等の記録媒体にカラー画像を形成する処理を行う。画像形成部20の詳細については後述する。
画像制御部50は、CPU51、ROM52、RAM53、HDD54、ユーザ管理部55、画像処理部56、操作部I/F57、プリンタI/F58で構成される。
各部を統括的に制御するプロセッサ(CPU)51は、ROM52に記憶された制御プログラムを読み出して印刷制御等の各種制御処理を実行する。
ROM52は、CPU51で実行される各種命令(OSやアプリケーションプログラム等)を記憶する。
RAM53は、CPU51の主メモリ、ワークエリア等の一時記憶領域として用いられる。RAM53には、後述の補正モードや各種設定値、キャリブレーションの実行履歴等が保存される領域である記録部と、印刷ジョブの履歴(印刷ログ)等が保持される領域であるログ部とが含まれる。なお、記録部及びログ部をRAM53内ではなく、HDD54内に設けるような構成としてもよい。
HDD54は、RAM53に読み出されるプログラムや実行結果などの格納領域として用いられるハードディスクドライブである。
ユーザ管理部55は、ユーザIDやパスワードといった画像形成装置10の利用者情報を格納・管理する。利用者情報は、ログイン時のユーザ認証に用いられる。
画像処理部56は、画像形成部20で用いる画像データを生成し、PDLコードのビットマップイメージ展開、多値画像データにおけるJPEG、2値画像データにおけるJBIG、MMR、MR、MHの画像圧縮伸長処理、解像度変換等を行う。
操作部I/F57は、ユーザが各種の指示・操作を行うための操作部60とのインタフェースを行う。
プリンタI/F58はであり、画像形成部20とのインタフェースを行う。
ユーザが各種操作指示を行う操作部60は、スイッチやLEDのみのものから、タッチパネル式のLCD表示部を有しているものまで様々である。操作部60で入力された情報は操作部I/F57を介してCPU51に伝えられて所望の処理が実行され、その処理結果等が操作部60内に設けられた表示部61に表示される。
ネットワークI/F70は、LAN等のネットワーク80とのインタフェースを行う。画像形成装置10はネットワークI/F70を介して、ネットワーク80上のコンピュータ等(不図示)と接続される。
なお、画像形成装置10としてはプリンタに限られるものではなく、例えば、コピー、スキャナ、FAXなどの機能も備えたデジタル複合機であってもよい。
次に、画像制御部50内の画像処理部56における色空間変換処理について説明する。図2は、画像処理部56における色空間変換処理の流れを示すブロック図である。
まず、不図示のコンピュータ等から受け取ったRGB信号を、予め用意されているカラーマッチングテーブルにより、画像形成装置10の色再現域に合わせたデバイスRGB(DevRGB)信号に変換する(201)。
そして、DevRGB信号を、予め用意されている色分解テーブルにより、画像形成装置10のトナー色剤色であるCMYK信号に変換する(202)。
次に、CMYK信号を、画像形成装置10に固有の濃度‐階調特性を補正するキャリブレーションテーブルにより、濃度‐階調特性の補正を加えたC’M’Y’K’信号へ変換する(203)。
最後に、C’M’Y’K’信号を、PWM(Pulse Width Modulation)テーブルにより、スキャナ部(後述の24C、24M、24Y、24K)の露光時間Tc、Tm、Ty、Tkへ変換する(204)。
このようにして、画像処理部56で色空間変換処理がなされる。
次に、本実施例に係る画像形成部20の詳細について説明する。図3は、電子写真方式を採用した画像形成部20の内部構造を示す図である。
画像形成部20は、画像信号に従った露光時間に基づいて点灯させる露光光により静電潜像を形成し、この静電潜像を現像して単色トナー像を形成する。そして、この単色トナー像を重ね合わせて多色トナー像を形成し、形成された多色トナー像を紙等の記録媒体11へ転写して、転写された多色トナー像を定着させる。画像形成部20は、給紙部21、感光体22Y〜K、注入帯電器23Y〜K、トナーカートリッジ25Y〜K、現像器26Y〜K、中間転写体27、転写ローラ28、クリーニング手段29、定着部30、濃度センサ41、分光センサ42によって構成される。そして、給紙部21は、給紙カセット21aと手差し給紙段21bとで構成される。
感光ドラム(感光体)22Y〜22Kは、外周に有機光導伝層が塗布されたアルミシリンダを有し、これが不図示の駆動モータによって、画像形成動作に応じて反時計周り方向に回転する。注入帯電器23Y〜23Kは、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各感光体を帯電させるための一時帯電手段である。各注入帯電器にはスリーブ23YS〜23KSが備えられている。
感光ドラム22Y〜22Kへの露光光はスキャナ部24Y〜24Kから送られ、感光ドラム22Y〜22Kの表面を選択的に露光することにより、静電潜像が形成されるように構成されている。現像器26Y〜26Kは、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のそれぞれについて静電潜像を可視化する現像手段である。各現像器には、スリーブ26YS〜26KSが設けられている。また、各々の現像器は脱着可能に取り付けられている。
感光ドラム22Y〜22Kに接触して設けられた中間転写体27は、画像形成時に時計周り方向に、感光ドラム22Y〜22Kの回転に伴って回転し、単色トナー像を転写する。その後、中間転写体27に後述の転写ローラ28が接触して記録媒体11を狭持搬送し、記録媒体11に中間転写体27上の多色トナー像が転写する。
転写ローラ28は、記録媒体11上に多色トナー像を転写している間、28aの位置で記録媒体11に当接し、印字処理後は28bの位置に離間する。
定着部30は、記録媒体11を搬送させながら、転写された多色トナー像を溶融定着させるものであり、記録媒体11を加熱する定着ローラ31及び記録媒体11を定着ローラ31に圧接させるための加圧ローラ32を備えている。定着ローラ31と加圧ローラ32は中空状に形成され、内部にそれぞれヒータ33、34が内蔵されている。これにより、多色トナー像を保持した記録媒体11は定着ローラ31と加圧ローラ32により搬送されるとともに、熱および圧力を加えられ、トナー像が表面に定着される。トナー像の定着後、記録媒体11は、排出ローラによって排紙部(排紙トレイ)36に排出される。
クリーニング手段29は、中間転写体27上に残ったトナーをクリーニングするものであり、中間転写体27上に形成された4色の多色トナー像を記録媒体11に転写した後の廃トナーは、クリーナ容器に蓄えられる。
濃度センサ41は、中間転写体27へ向けて配置されており、中間転写体27の表面上に形成されたトナーパッチの濃度を測定する。図4は、中間転写体に形成する濃度‐階調特性制御用パッチ画像の一例を示す図である。ここでは未定着Kトナー単色の階調パッチのみが並んでいるが、C、M、Yの各トナー単色の階調パッチも同様に形成される。濃度センサ41は中間転写体27上に乗っているトナーの色を見分けることはできない。そのため、トナー単色の階調パッチを中間転写体27上に形成する。その後、この濃度データは、画像処理部56の濃度‐階調特性を補正するキャリブレーションテーブルや、画像形成部20の各プロセス条件へフィードバックされる。
分光センサ42は、画像形成部20において記録媒体搬送路(用紙搬送路)の定着部30より先に、記録媒体11の画像形成面へ向けて配置されている。つまり、このセンサは画像形成装置内部の用紙を定着してから排紙をするまでの搬送路上に配置されている。そして、記録媒体11上に形成された定着後の混色パッチを検知し、測定することで、分光値を得る。ここで、分光値とはパッチを測定することで得られる分光反射率から求められる値である。例えば、パッチの濃度値、反射率、輝度値、またL*a*b*値やXYZ等のデバイスに依存しない色空間の値である。定着後の混色パッチ画像を読み取ることで、カラーマッチングの精度を向上させることが可能になり、単色のパッチのみでは合わせきれない多次色の変動を補正することができる。分光センサ42では、混色パッチ画像を読み取る前に、センサに対向して設置された不図示の白板を読み取ることで、絶対色度を算出することができる。その後、混色パッチ画像を読み取ることになる。
記録媒体11上に形成する定着後の濃度−階調特性制御用パッチ画像は、C、M、Y、K単色の階調パターンや、C、M、Yを混色したプロセスグレー階調パッチであっても構わない。
図5は、記録媒体11上に形成された定着後の濃度‐階調特性制御用パッチ画像の一例を示している。図5に示された濃度‐階調特性制御用パッチ画像は、CMYKを混合した混色パッチによる2列のパッチで形成され、これが上記したように画像形成部20内に主走査方向に設置された2つの分光センサ42a、42bで測色される。
混色パッチを記録媒体11の片面のみに印字して排紙する場合には、定着部30により定着した後に、定着部30のすぐ後に設けられたフラッパ37が動作することにより、定着部30から出てきた記録媒体11を反転ローラ35の方向に搬送させる。そして、両面搬送路上にある分光センサ42にて、混色パッチの分光値の測色を行う。その後、記録媒体11の先端が反転ローラ35に突入した後に、反転ローラ35を逆方向に回転させる。さらに、両面フラッパ38を排紙部36の方向に動作させることにより、そのまま排紙部36に記録媒体11が排紙される。一方、記録媒体11の両面に混色パッチを印字して排紙する場合には、反転ローラ35を逆方向に回転させるまでは、片面のみ印字の場合と同様で、両面フラッパ38が両面搬送路39の方向に動作し、記録媒体11を両面搬送路39に搬送する。その後、表面を転写したのと同様に、中間転写体27に転写ローラ28が接触して記録媒体11を狭持搬送し、記録媒体11に中間転写体27上の多色トナー像が転写する。その先は、表面と同様に一旦反転ローラ35の方向に記録媒体11が搬送され、分光センサ42で測色された後に、反転ローラ35が逆回転することによって排紙部36に排紙される。
次に、キャリブレーション実行時の動作制御について説明する。
図6は、分光センサ42を搭載した画像形成装置10における多次色のキャリブレーション制御処理の流れを示すフローチャートである。この制御処理は、通常のプリント動作の合間に実施され、HDD54等に格納されたプログラムがRAM53に読み出され、これをCPU51が実行することにより実現される。キャリブレーションには、自動キャリブレーションと手動キャリブレーションの2種類がある。自動キャリブレーションは、環境変動、プリント枚数などの予め設定された条件が満たされた場合に自動的に実行されるキャリブレーションである。手動キャリブレーションは、ユーザが任意のタイミングで実行を指示する等、ユーザの操作指示に従って実施されるキャリブレーションである。以下では、特に断らない限り、自動キャリブレーションが設定されており、記録媒体11として紙が使用されるものとして説明を行う。
自動キャリブレーションについて予め設定された実行条件が満たされると、ステップ601において、CPU51は、給紙カセット21aから紙を印字位置まで搬送する。
ステップ602において、CPU51は、紙の表(おもて)面に上述したようなパッチ画像を形成する。この時、紙の表面には、濃度の低い混色のパッチ画像が形成される。これは、後で紙の裏面にもパッチ画像が形成されるところ、分光センサ42でパッチ画像を測色する際の裏写りの影響を低減するためである。基本的には、裏写りの影響は紙の透過率とトナーの載り量により決定される。そこで、裏写りの影響のない、もしくは低いとされる予め決定されている濃度閾値以下の混色パッチ画像が、紙の表面に形成されるパッチ画像として選択される。ステップ602の段階では、紙の裏面にパッチ画像は形成されていないので、裏写りの影響は全く受けない。図7の(a)は、紙の表面に形成された低濃度のパッチ画像の一例を示している。本実施例では分光センサ42が主走査方向に2つ設置されているため(図5を参照)、低濃度の2列の混色パッチ(71、72)が形成されている。そして、低濃度のパッチ群の中でも、搬送方向の先端に位置するパッチが最も低濃度で、徐々に高濃度のパッチへ移行するように配置されている。なお、この場合のパッチ画像は、予めROM52に格納しておいたものを使用してもよいし、キャリブレーションの実行時に生成してもよい。表面にパッチ画像が形成された紙は、定着部30を経て、分光センサ42の設置されている場所まで搬送される。
ステップ603において、CPU51は、紙の表面に形成されたパッチ画像の分光反射率を分光センサ42で測定する。測定を終えると、反転ローラ35が逆回転し、紙は両面搬送路39を経て、裏面に印字するために印字位置まで搬送される。
ステップ604において、CPU51は、紙の裏面にパッチ画像を形成する。ここで形成されるパッチ画像は、高濃度のパッチ画像である。図7の(b)は、紙の裏面に形成された高濃度のパッチ画像の一例を示している。表面と同様に、高濃度の2列の混色パッチ(73、74)が形成されている。そして、高濃度のパッチ画像では、表面に既に形成されているパッチ画像の裏写りの影響を相殺するようにパッチが配置されている。すなわち、高濃度のパッチ群の中でも、搬送方向の先端に位置するパッチが最も高濃度で、徐々に低濃度のパッチへ移行するように配置している。この際、紙の表面に形成されるパッチ画像と裏面に形成されるパッチ画像とでパッチの数が同数であれば一番効率が良いが、裏写りの影響の少ない濃度閾値によっては、パッチの総数が表面、裏面で異なっても構わない。裏面にパッチ画像が形成された紙は、定着部30を経て、分光センサ42の設置されている場所まで再び搬送される。
ステップ605において、CPU51は、紙の裏面に形成されたパッチ画像の分光反射率を分光センサ42で測定する。
ステップ606において、CPU51は、測定を終えた紙を排紙部36に排紙する。
ステップ607において、CPU51は、全てのパッチ画像の測定が終了したかどうかを判定する。全てのパッチ画像の測定が終了していれば、ステップ608へ進む。一方、全てのパッチ画像の測定が終了していなければ、ステップ601に戻り、ステップ601〜ステップ606の各処理を繰り返す。そして、測定した各分光反射率からパッチの濃度値を取得する。
ステップ608において、CPU51は、濃度‐階調特性を補正するキャリブレーションテーブルを用いて、CMYKの濃度を補正する。
次に、画像制御部50内の画像処理部56の詳細について説明する。図8は、画像処理部56の内部構成を示すブロック図である。
801は色補正を実施する補正部である。この補正部801は、画像形成装置10を起動した後にアイドル状態となり、後述の補正フラグ(キャリブレーションの実施/不実施を指示するフラグ)がONにされたのを機に、RAM53の記録部から補正モードの情報を読み込む。そして、読み込んだ補正モードに従ったキャリブレーションを実行する。キャリブレーションが完了すると、キャリブレーションの実行履歴をRAM53の記録部に書き込んで、アイドル状態に戻る。自動キャリブレーションにおいては、予め設定された条件が満たされたとき、例えば所定頁数印刷後、一定時間経過後、所定ジョブ数印刷後など、定期的にキャリブレーションを実施することを前提としている。
802は出力部である。但し、実際の出力物は画像形成部20を通して得られる。出力部802は、画像形成装置10を起動した後にアイドル状態となり、印刷要求イベントを受けると印刷を実行(画像形成部20に印刷の実行を指示)し、印刷を完了すると当該印刷処理に対応するログをログ部に書き込む。ログ部への書込みを終えると、解析部803に対してログ書込みイベントを通知する。なお、ログには、印刷ログと画像ログとが存在するが、詳しくは後述する。
803は解析部であり、ユーザによって設定された補正モードに応じてログの解析を行い、キャリブレーションの内容や実施の有無を決定する処理を行う。
ここで、補正モードについてまず説明する。本実施例における補正モードには、単色補正によるキャリブレーションを行う「単色補正モード」、混色補正によるキャリブレーションを行う「フルカラー補正モード」、単色補正又はフルカラー補正を自動で選択する「自動選択モード」の3種類がある。ちなみに、混色補正を行う場合には、最初に単色補正を実施し、その後に混色補正を実施する。そのため、フルカラー補正モードでは、単色補正モードに比べて補正に要する時間、利用される消費材(用紙、トナー)が多くなる。図9は、表示部61に表示される、補正モードの設定を行うためのユーザインタフェースの一例を示している。図9において、901は補正モード設定画面であり、単色補正モードを指定する「単色補正ボタン」902、フルカラー補正モードを指定する「フルカラー補正ボタン」903、自動選択モードを指定する「自動ボタン」904が設けられている。単色補正ボタン902或いはフルカラー補正ボタン903が選択された場合は、デバイスの利用状況等に関わらず、常に選択された内容のキャリブレーションが実施される。一方、自動ボタン904が選択された場合には、デバイスの利用状況などを考慮して、最適な色補正が自動で選択され実施される。以下では、特に断らない限り、自動選択モードが設定されているものとして説明を行う。
解析部803は、上記の自動選択モードが設定された場合にログを解析してキャリブレーションの内容を決定する処理を行う。すなわち、解析部803は、ログ書込みイベントを受けてログの解析を実施すると、解析結果に基づき補正内容を決定し、決定した補正内容(単色補正又は混色補正)を記録部に保持する。その後、補正実施タイミングであれば補正フラグをONに設定する。
なお、本実施例では、上記各部を画像処理部56において動作するよう構成したが、RAM53あるいはHDD54にプログラムを展開して動作させるような構成としてもよい。
図10は、本実施例に係る解析部803における処理の流れを示すフローチャートである。
ステップ1000において、解析部803は、RAM53のログ部から印刷ログを取得する。図11は、本ステップで取得される印刷ログを説明する図である。図11の(a)は印刷ログのデータ構造を示しており、合計のジョブ数N(1101)に各ジョブのログ(Job log)が続き、1の「Job log]に対して1つのID(1102)が割り振られて管理されている。図11の(b)は「Job log」の中身の一例であり、ジョブID、ジョブ種、開始時刻、終了時刻、ジョブのオーナー名、ジョブ中の頁数合計、ジョブ中のカラー頁合計と用紙サイズ毎の面数、白黒頁合計と用紙サイズ毎の面数などの情報が保持されている。ログ取得後、ステップ1001に進む。
ステップ1001において、解析部803は、取得された印刷ログから、カラー色剤を用いて印刷を行ったカラー印刷の占める割合(カラー利用率)を取得する。本実施例におけるカラー利用率は、解析対象となるジョブの総頁数に対するカラー頁数の割合で取得される。ここでのカラー利用率取得のための数式は、以下のとおりである。
カラー利用率[P](%)=(カラー頁数[PC]/総頁数[PT])×100
ここで、カラー頁数[PC]=総頁数[PT]−白黒頁数[PB]である。例えば、解析対象となるジョブの総数が10ジョブであり、10ジョブ分の総頁[PT]が100頁、うち白黒頁数[PB]が70頁であるとすると、
カラー利用率[P]=((100−70)/100)×100 = 30(%)
となる。また、この数式以外にもカラー利用率が取得できる方法があれば、その方法によって得られた値を用いてよい。
ここで、本ステップで解析対象となるジョブについて図12を用いて説明する。図12において、[D]はキャリブレーションの実施タイミングを規定する条件としての所定ジョブ数であり、[X]及び[E]は解析対象となるジョブの範囲をそれぞれ示している。図12の(a)ではキャリブレーション実施時点から遡った全ジョブが解析対象範囲となっており、同(b)では、キャリブレーション実施時点から遡った一定範囲のジョブが解析対象範囲となっている。1201〜1203は補正実施イベントをそれぞれ示している。なお、所定ジョブ数[D]や解析対象となるジョブの範囲については予めユーザが設定して記録部に保持しておくものとするが、不図示のユーザインタフェースを介して任意に設定できるようにしてもよい。
図10のフローチャートの説明に戻る。
ステップ1002において、解析部803は、取得されたカラー利用率[P]と予め設定された閾値(例えば、40(%))とを比較し、取得されたカラー利用率[P]が該閾値を超えるか否かを判定する。ここで閾値は予め記録部に保持されているものとし、固定値として変更不可能にしてもよいし、ユーザが任意に設定変更できるようにしてもよい。図13は、ユーザによる閾値の設定変更を可能とする場合のユーザインタフェースの一例を示す図である。
取得されたカラー利用率[P]が、予め設定された閾値を超えないと判定された場合は、ステップ1003に進む。一方、取得されたカラー利用率[P]が所定の閾値を超えると判定された場合は、ステップ1004に進む。
ステップ1003において、解析部803は、混色補正の必要はないと判断して、実施すべきキャリブレーションの内容を「単色補正」に決定する。
ステップ1004において、解析部803は、混色補正の必要があると判断して、実施すべきキャリブレーションの内容を「混色補正」に決定する。
ステップ1005において、解析部803は、ステップ1103又は1104での決定に従って、実行する場合のキャリブレーションの内容を設定する(記録部に書き込む)。
ステップ1006において、解析部803は、キャリブレーションを実施するタイミングかどうかを判定する。具体的には、予め設定された実施条件が満たされたかどうか(ここでは、処理したジョブ数が所定ジョブ数[D]に達したかどうか)を判定する。キャリブレーションを実施するための条件が満たされていると判定された場合は、ステップ1007に進む。一方、キャリブレーションを実施するための条件が満たされていないと判定された場合は、補正フラグを「OFF」のまま、本処理を抜ける。
ステップ1007において、解析部803は、キャリブレーションの実行を指示する補正フラグを「ON」に設定する。
以上のようにして色補正の内容と実施の有無が決定され、補正部801はこれに従ってキャリブレーションを実行する。すなわち、補正部801は、ステップ1007で補正フラグがONに設定されるとステップ1005で設定された内容を確認し、設定内容が「単色補正」であれば単色の色補正のみを、「混色補正」であれば単色の色補正に続いて混色の色補正を実行する。
以上説明したように、本実施例によれば、印刷ログ(ジョブ履歴)を利用して頁単位で過去のカラー利用率を取得し、最適なキャブレーションの内容と実施タイミングを自動で決定する。これにより、キャリブレーションに要する手間、時間、トナー等の消費を効果的に削減することが可能となる。
次に、ユーザ毎に取得されたカラー利用率に基づいてキャリブレーションの内容を決定する態様について、実施例2として説明する。なお、既に述べた実施例1と共通する部分については説明を簡略化ないしは省略し、ここでは差異点を中心に説明することとする。
図14は、本実施例に係る解析部803における処理の流れを示すフローチャートである。
ステップ1400で印刷ログを取得すると、続くステップ1401において、解析部803は、取得された印刷ログからユーザ毎のカラー利用率を取得する。この際、印刷ログに含まれる「ジョブのオーナー名」の情報を参照して、ユーザ毎に前述のカラー利用率を取得する。図15は、本ステップで取得されるユーザ毎のカラー利用率の一例を示す表である。図15では、User_1〜User_xについてそれぞれカラー利用率[P]が取得されている。
そして、ステップ1402において、解析部803は、取得されたユーザ毎のカラー利用率の中から、ステップ1403の判定処理で閾値との比較に使用する代表値を選ぶ。代表値は、例えば、値が最も高かったユーザのカラー利用率にする等、予め定められた基準によって決定される。図15の例では「User_2」のカラー利用率が46%と最も高いので、User_2のカラー利用率である「46(%)」が代表値として選ばれることになる。
そして、選ばれた代表値(ここでは、46(%))と予め定められた閾値(例えば、40)と比較され、混色補正の必要があるかどうかが判定されて、キャブレーションの内容が設定される(ステップ1403〜ステップ1406)。
以降のステップ1407及びステップ1408は、実施例1に係る図10のフローチャートにおけるステップ1006及びステップ1007に対応するので、説明を省略する。
以上説明したように、本実施例によれば、ユーザ毎のカラー利用率を取得してキャリブレーションの内容が決定される。なお、本実施例のように、代表値の選出基準を、カラー利用率が最も高かったユーザのカラー利用率とした場合には、閾値を超えるカラー利用率となったユーザが1人でもいると、混色補正が必要と判断されることになる。これにより、高品質のカラー出力を行いたいというユーザの要望に応えつつ、キャリブレーションに掛かる時間の浪費を抑制し、消費材を効果的に削減することが可能となる。
実施例1および実施例2では、印刷ログの情報からカラー利用率を取得し、取得されたカラー利用率が予め設定された閾値を超えるかどうかによって混色補正の必要性を判断していた。次に、混色補正を行う頻度を画像形成装置の利用状況に連動させる態様について、実施例3として説明する。なお、既に述べた実施例1、2と共通する部分については説明を簡略化ないしは省略し、差異点を中心に説明することとする。
図16は本実施例に係る解析部803における処理の流れを示すフローチャートである。
ステップ1600で印刷ログを取得すると、続くステップ1601において、解析部803は、取得された印刷ログから実施例1と同様の方法で、カラー利用率[P]を取得する。
なお、実施例2と同様、ユーザ毎のカラー利用率を取得してもよい。この場合は、続けて、ユーザ毎に取得されたカラー利用率のうち、閾値を越えたユーザの割合[PU]を算出する。なお、割合[PU]は以下の式によって算出される。
PU = カラー利用率が閾値を超えたユーザ数 / 全ユーザ数
カラー利用率[P](或いは割合[PU])の取得を終えると、ステップ1602に進む。
そして、ステップ1602において、解析部803は、混色補正の実施頻度を定めたテーブルを参照して、取得されたカラー利用率[P](或いは割合[PU])に対応した混色補正の実施頻度を求める。図17は、混色補正の実施頻度を定めたテーブルの一例であり、図17の(a)はカラー利用率[P]に応じた混色補正の実施頻度、図17の(b)は閾値を越えたユーザの割合[PU]に応じた混色補正の実施頻度がそれぞれ示されている。なお、このテーブルは予め作成され、RAM53の記録部に保持されている。
ステップ1603において、解析部803は、記録部からキャリブレーションの実行履歴の情報を取得し、ステップ1602で求めた混色補正の実施頻度と照合して、混色補正の必要があるかどうかを決定する。例えば、これまでに9回の単色補正を実行しており、求められた混色補正の実行頻度が“10回に1回”であったとすれば、混色補正の必要ありと決定されることになる。
そして、ステップ1604において、解析部803は、ステップ1603における決定内容に従って、記録部にキャリブレーションの内容(混色補正又は単色補正)を設定する。
以降のステップ1605およびステップ1606は、実施例1に係る図10のフローチャートにおけるステップ1006およびステップ1007に対応するので、説明を省略する。
以上説明したように、本実施例によれば、過去のカラー利用率と混色補正の実施頻度とを連動させるので、過度な混色補正の実行を効率的に抑制することができる。
次に、カラー印刷時に使用された色剤の情報を分析し、その分析結果をキャリブレーション内容の決定に反映させる態様について、実施例4として説明する。なお、本実施例における画像形成装置10としては、コピーやFAX等の機能を備えたデジタル復号機を想定する。
昨今、フルカラー印刷と区別して、特定の色のみを用いたカラー印刷(以下、「モノカラー印刷」と呼ぶ。)が提案されている。モノカラー印刷には、ユーザの指定する任意の1色を用いて印刷する単色カラー印刷のほか、無彩色部はそのままで有彩色部をユーザの指定する特定の有彩色1色の濃淡表現に置き換えて印刷する2色カラー印刷がある。本実施例に係る処理の説明に入る前に、上記のようなモノカラー印刷を行う際の印刷設定について説明する。
図18の(a)及び(b)は、例えばコンピュータ(不図示)から印刷データを送信して画像形成装置10で印刷する場合における、コンピュータ上のプリンタドライバによって表示される、印刷設定を行うためのユーザインタフェースの一例である。ユーザは、図18の(a)に示すメインダイアログ1800中のカラーモード選択領域1801においてカラーモードの大枠(カラー、白黒、自動)を指定する。さらに、色数設定ボタン1802を押下することで、図18の(b)に示すサブダイアログ1803が表示され、カラー印刷を行う場合の色数を指定する。ここでは、フルカラー印刷と2色カラー印刷のいずれかが選択可能になっている(もちろん、単色カラー印刷を選択肢に加えてもよい。)。2色カラー印刷を選択した場合には、ユーザはカラー選択領域1804のプルダウンメニューから黒と組み合わせる有彩色(ここでは、レッド、グリーン、ブルー、イエロー、マゼンタ、シアン)を1色さらに選択する。このようにして指定された印刷設定の情報は印刷データ(PDLデータ)に含められ、印刷データを受け取った画像形成装置10はこれを解析することで印刷ジョブに対する印刷設定の内容を把握することが可能となる。
図19の(a)〜(c)は、例えば紙原稿のコピーを行う場合における、画像形成装置10の表示部61に表示される、コピー設定の詳細を指定するためのユーザインタフェースの一例である。図19の(a)に示すメインダイアログ1900中のカラーモード選択ボタン1901が押下されると、図19の(b)に示すサブダイアログ1902が表示される。このサブダイアログ1902には、2色カラーボタン1903及び単色カラーボタン1904が配され任意に選択可能となっており、例えば2色カラーボタン1903を押下すると、さらに図19の(c)に示すサブダイアログ1905が表示される。このサブダイアログ1905では、黒と共に利用可能な色として、レッド、グリーン、ブルー、イエロー、マゼンタ、シアン、が選択可能になっている。単色カラーボタン1904が押下された場合も同様のサブダイアログが表示され、任意の1色が選択可能になっている。
なお、上記のようにカラー印刷の内容として単色カラー印刷や2色カラー印刷が設定可能な場合、後述のように、印刷ログ(ジョブ履歴)においては、「モノカラー」についての履歴も残される。
次に、本実施例に係る解析部803の処理について説明する。図20は、本実施例に係る解析部803における処理の流れを示すフローチャートである。なお、既に述べた実施例1〜3と共通する部分については説明を簡略化ないしは省略し、差異点を中心に説明することとする。
まず、解析部803は、ステップ2000で印刷ログを取得する。図21は本ステップで取得される印刷ログの一例を示している。実施例1に係る図11の(b)に示す印刷ログに含まれる情報に加え、モノカラー頁合計とその用紙サイズ毎の面数、モノカラー印刷時に使用された色(モノカラーの色)の情報をさらに含んでいる。
続くステップ2001において、解析部803は、印刷ログに含まれるモノカラーに関する情報を用いて、解析対象範囲のジョブの全モノカラー頁を以下の2つのグループに分ける。
グループ1:シアン、マゼンタ、イエローを使用したモノカラー頁のグループ
グループ2:レッド、グリーン、ブルーを使用したモノカラー頁のグループ
このようなグループ分けを行う理由は、シアン、マゼンタ、イエローはそれぞれ単色で表現されるのに対し、レッド:シアン+マゼンタ、グリーン:シアン+イエロー、ブルー:イエロー+マゼンタのように、グループ2に属する色は混色で表現されるためである。グループ分けされたモノカラー頁についての情報は、全モノカラー頁の総計[PM]、グループ1に属するモノカラー頁の合計[PM1]、グループ2に属するモノカラー頁の合計[PM2]として、RAM53に保持される。
ステップ2002において、解析部803は、グループ分けされたモノカラー頁の情報を用いて、カラー利用率[P]を取得する。本ステップにおけるカラー利用率[P]の取得には、以下の式を用いる。
カラー利用率[P]=(カラー頁数[PC]/総頁数[PT])×100(%)
ここで、カラー頁数[PC]=総頁数[PT]−(白黒頁数[PB]+[PM1])である。すなわち、グループ2の合計モノカラー頁数[PM2]だけがカラー頁数[PC]としてカウントされ、グループ1の合計モノカラー頁数[PM1]はカラー頁数[PC]にカウントされない。これは、色補正の観点からすれば、シアン、マゼンタ、イエローを使用するモノカラー印刷のためには単色補正で十分であるが、レッド、グリーン、ブルーを使用するモノカラー印刷を高品位に出力するためには混色補正が必要となるからである。
例えば、解析対象となるジョブの総数が10ジョブであり、10ジョブ分の総頁数[PT]が100頁、うち白黒頁数[PB]が70頁、グループ1の頁数[PM1]が10頁であるとすると、取得されるカラー利用率[P]は以下のようになる。
カラー利用率[P]=((100−(70+10))/100)×100=20(%)
このようにして取得されたカラー利用率を用いて、以降のステップ2003〜ステップ2008が実行される。なお、ステップ2003〜ステップ2008は、実施例1に係る図10のフローチャートにおけるステップ1002〜ステップ1007に対応するので、説明を省略する。
なお、本実施例に係るカラー印刷時に使用された色剤の分析結果をキャリブレーション内容の決定に反映させる態様を、実施例2や実施例3で述べた態様と組み合わせてもよい。
以上説明したように、本実施例によれば、カラー印刷時に使用された色剤の特性と使用状況を加味したより適切なキャリブレーションの内容を決定することができる。
実施例1〜4においては、カラー利用率の取得は頁単位で行っていた。次に、印刷ジョブに対応する画像ログを生成・保持しておき、この画像ログにおいてカラー部分が占める割合(面積比)を用いてカラー利用率の取得を行う態様について実施例5として説明する。
まず、本実施例で用いられる画像ログの生成・保持について説明する。画像ログは、印刷ジョブに係る画像そのものの履歴に関する情報であり、この生成・保持は、出力部802によって、先に述べた印刷ログの生成・保持と併せてなされる。ここで。画像ログのフォーマットは頁単位のフルカラービットマップとするが、JPEGやTIFFなど、カラーオブジェクトの判別が可能な形式であれば他の一般的なフォーマットであっても構わない。ログ部に印刷ログ及び画像ログが書き込まれると、解析部803に対してログ書込みイベントが通知される。
図22は、本実施例に係る解析部803における処理の流れを示すフローチャートである。なお、既に述べた実施例1〜4と共通する部分については説明を簡略化ないしは省略し、差異点を中心に説明することとする。
ステップ2200において、解析部803は、印刷ログ及び画像ログを取得する。
続くステップ2201において、解析部803は、解析対象となるジョブに対応する画像ログの中の1頁分の画像ログに対し、該画像ログの全体面積およびカラー利用部分の面積をそれぞれ取得する。具体的には、1頁分の画像ログであるフルカラービットマップ画像の各ドットについて、カラー利用されているかどうかを判定して取得する。この場合、全ドット数が全面積に相当し、カラーを利用しているドット数がカラー利用面積に相当することになる。
ステップ2202において、解析部803は、取得された全体面積(全ドット数)およびカラー利用部分の面積(カラードット数)の情報を各々累積して記録部に保持する。
ステップ2203において、解析部803は、解析対象となる全ジョブに対応する画像ログの全頁について上記の処理が完了したかどうかを判定する。全頁について完了していれば、ステップ2204に進む。一方、未処理の頁があれば、ステップ2201に戻り、ステップ2201及びステップ2202の処理を繰り返す。
ステップ2204において、解析部803は、全体面積(全ドット数)の合計(累積値)およびカラー利用部分の面積(カラードット数)の合計(累積値)を以下の式にあてはめ、カラー利用率[P]を取得する。
カラー利用率[P]= (カラー利用部分の面積/全体面積)×100(%)
そして、取得されたカラー利用率を用いて、以降のステップ2205〜ステップ2209が実行される。なお、ステップ2205〜ステップ2209は、実施例1に係る図10のフローチャートにおけるステップ1002〜ステップ1007に対応するので、説明を省略する。
以上説明したように、本実施例によれば、解析対象のジョブに対応する画像ログからカラー利用率が面積比で取得される。このため、例えば、フルカラーオブジェクトが対象ジョブの全頁に存在しているもののほとんどが微小サイズのオブジェクトに過ぎず、単色補正で十分であるといったケースでは、混色補正の必要はないと判断されることになる。このように、実際にカラーが利用された面積(量)を考慮することで、より適切なキャリブレーションの内容を決定できる。
近年、情報漏洩の抑止を目的として、デジタル複合機でコピー、プリント、スキャン、FAXした文書データをログ情報とともに文書管理サーバに保存し、後に文書管理クライアントから検索、閲覧が可能なネットワーク型文書管理システムが提案されている。
図23は、ネットワーク型文書管理システムの構成の一例を示す図であり、画像形成装置10及び10’、文書管理クライアント2300、文書管理サーバ2310が相互にネットワーク80で接続されている。また、文書管理サーバ2310は、ログ管理部2311、ログ記録部2312、画像ログ解析部2313を有する。ログ管理部2311はログの取得やログ書込みイベントの管理を行う。ログ記録部2312は取得したログ情報を記録する。ログ解析部2313は、画像形成装置10及び10’における解析部803に相当し、先の実施例において解析部803が行っていた処理を代わりに実行する。
このようなネットワーク型文書管理システムを利用することによって、ネットワーク上の複数の画像形成装置について、それぞれの利用状況を加味しながら、実施例1乃至5で説明したキャリブレーションの制御を行うことができる。
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施例の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

Claims (9)

  1. 印刷ジョブの実行履歴である印刷ログを取得するログ取得手段と、
    前記ログ取得手段により取得した前記印刷ログから、過去の印刷ジョブを実行した時にカラー色剤を利用した割合であるカラー利用率を取得するカラー利用率取得手段と、
    前記カラー利用率取得手段にて取得された前記カラー利用率が閾値より大きい場合は混色の補正と単色の補正を行い、前記カラー利用率が閾値より小さい場合は混色の補正を行わずに単色の補正を行うことを決定する決定手段と、
    前記決定手段によって決定された補正を行う補正手段と、
    を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記補正手段は、予め設定された数のジョブが実行されたことが判断されてから、前記決定手段にて決定された補正を実行する
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記カラー利用率取得手段は、前記カラー利用率をユーザ毎に取得して、該取得されたカラー利用率の中から代表値を選び、
    前記決定手段は、選ばれた代表値と前記閾値とを比較することにより、混色の補正を行うかどうかを決定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  4. 補正の実行履歴を取得する手段と、
    混色補正の実施頻度を定めたテーブルを用いて、取得された前記カラー利用率に対応する混色の補正の実施頻度を求める手段と、
    をさらに備え、
    前記決定手段は、取得された前記補正の実行履歴と、求められた前記混色の補正の実施頻度とを照合して、混色の補正を行うか否かを決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  5. 前記カラー利用率は、カラー色剤を用いて印刷された頁の占める割合であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記印刷ログにはモノカラー印刷の情報を含んでおり、
    前記モノカラー印刷の情報を用いて、過去のジョブにおけるモノカラー印刷の頁を、単色を使用したグループと混色を使用したグループとに分けるグループ分け手段をさらに備え、
    前記カラー利用率取得手段は、前記モノカラー印刷の頁のうち、混色を使用したグループのモノカラー印刷の頁を前記カラーで印刷された頁として扱い、前記カラー利用率を取得することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  7. 前記ログ取得手段は、前記印刷ジョブに係る画像の履歴である画像ログを取得し、
    取得した前記画像ログから、過去の印刷ジョブにおける全体面積の合計とカラー利用面積の合計を算出する手段をさらに備え、
    前記カラー利用率取得手段は、取得された前記全体面積の合計とカラー利用面積の合計とを用いて、前記カラー利用率を取得する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  8. 印刷ジョブの実行履歴である印刷ログを取得するログ取得ステップと、
    取得した前記印刷ログから、過去の印刷ジョブを実行した時にカラー色剤を利用した割合であるカラー利用率を取得するカラー利用率取得ステップと、
    前記カラー利用率取得ステップにて取得された前記カラー利用率が閾値より大きい場合は混色の補正と単色の補正を行い、前記カラー利用率が閾値より小さい場合は混色の補正を行わずに単色の補正を行うことを決定する決定ステップと、
    前記決定ステップによって決定された補正を行う補正ステップと、
    を含むことを特徴とする画像形成方法。
  9. 少なくとも画像形成装置および文書管理サーバがネットワークを介して接続された文書管理システムであって、
    前記文書管理サーバは、
    前記画像形成装置で実行された印刷ジョブの実行履歴である印刷ログを取得するログ取得手段と、
    取得した前記印刷ログから、過去の印刷ジョブを実行した時にカラー色剤を利用した割合であるカラー利用率を取得するカラー利用率取得手段と、
    前記カラー利用率取得手段にて取得された前記カラー利用率が閾値より大きい場合は混色の補正と単色の補正を行い、前記カラー利用率が閾値より小さい場合は混色の補正を行わずに単色の補正を行うことを決定する決定手段と、
    前記決定手段によって決定された補正の内容を設定する設定手段と、
    を備えたことを特徴とする文書管理システム。
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