JP2013018447A - タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】トレッド部の剛性や耐摩耗性を損なうことなく、確実に放熱性を向上させる。
【解決手段】陸部ブロック100は、横溝40Aの溝壁を形成する側面101(横側面部を構成する)と、周方向溝20Aの溝壁を形成する側面102(周側面部を構成する)を有し、側面101におけるトレッド幅方向twの中央部よりもトレッド幅方向の一方側の領域101aには、側面101からタイヤ周方向tcに突出するとともにタイヤ径方向に延びる突部200が形成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、路面に当接する接地面を有するトレッド部に、複数の横溝部と、複数の周方向溝部と、横溝部と前記周方向溝によって区画された複数の陸部ブロックとを有するタイヤに関する。
粘弾性を有するゴム材料は、ヒステリシス挙動に従うため、タイヤのトレッド部は、転動による変形と収縮を繰り返すことにより発熱する。トレッド部を構成するゴム材料が増えると、タイヤ転動時における曲げ変形やせん断変形によるヒステリシスロスが増大する。そのため、トレッド部の厚みが厚いタイヤは、温度が上昇し易い。
特に、鉱山や建築現場などで使用される大型の車両に用いられる大型タイヤは、使用されているゴム材料の量が多いだけでなく、重負荷状態、劣悪路面、及び過酷なトラクション条件の下で使用され、タイヤが変形と収縮とを繰り返すため、発熱しやすいという特徴がある。走行中にタイヤが高温になると、トレッド部を形成するゴム材料とベルト層との剥離(セパレーション)などの原因にもなり、タイヤの交換サイクルを早めることに繋がる。
そこで、従来、トレッド部にトレッド幅方向に沿った副溝を形成することにより、発熱源であるゴム材料の量を減らすとともに、トレッド部の表面積を増加させることによってトレッド部の放熱を促進する方法が知られている(例えば、特許文献1)。
特開2003−205706号公報 図1など
しかし、従来のタイヤには、以下のような問題点があった。すなわち、タイヤ周方向に交差する横溝部(副溝)を形成し、溝面積を増やすことによって放熱を促進できるが、溝面積の増加は、トレッド部の剛性の低下や耐摩耗性の低下に繋がる。このように、タイヤの放熱性とタイヤの剛性とは、二律背反の関係にあるため、溝面積を増やすことにより、放熱性を確保するにも限界があった。
そこで、本発明は、トレッド部の剛性や耐摩耗性を損なうことなく、確実に放熱性を向上させることができるタイヤを提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明の特徴は、路面に当接する接地面を有するトレッド部に、前記接地面からタイヤ径方向内側に窪んでおりトレッド幅方向に沿ったトレッド幅方向に沿って形成された複数の横溝部と、複数の前記横溝部に連通し、前記接地面からタイヤ径方向内側に窪んでおりタイヤ周方向に沿って形成された複数の周方向溝部と、前記横溝部と前記周方向溝によって区画された複数の陸部ブロックと、が形成されたタイヤであって、前記陸部ブロックは、前記横溝部の溝壁を形成する横側面部と、前記周方向溝部の溝壁を形成する周側面部と、を有し、前記横側面部の中央部よりも前記陸部ブロックのトレッド幅方向の一方側の領域には、前記横側面部から前記タイヤ周方向に突出するとともにタイヤ径方向に延びる突部が形成されていることを要旨とする。
本発明に係るタイヤでは、横溝部と繋がる周方向溝部に対して、横溝部内を流れる相対風の一部を周方向溝部内部に誘導することができ、周方向溝部内の風量を増加させることができる。もともと、周方向溝部内には、タイヤが回転することによってタイヤ周方向に沿って、タイヤの回転方向とは反対向きの相対風が流れているが、横側面部に形成した突部により、横溝部から周方向溝部に空気を流入させることで、従前発生する空気の流れを増幅させることができる。これにより、熱伝達率が向上し、トレッドの温度を低減させることができる。
上述した本発明の特徴では、前記突部の前記タイヤ径方向の長さは、前記接地面から前記横溝部の底部までの長さよりも短く、前記突部のタイヤ径方向の端部は、前記接地面よりもタイヤ径方向内側に位置していてもよい。
上述した発明の特徴では、前記突部は、タイヤ径方向を長手方向とする矩形状であり、前記ブロック側面部におけるトレッド幅方向の端部からトレッド幅方向における前記突部の端部までの長さpとし、前記突部のタイヤ周方向の長さLtsとするとき、
p<2・Lts
を満たすように形成されていてもよい。
上述した発明の特徴では、前記突部のタイヤ周方向の長さLtsとし、前記横溝部のタイヤ周方向の幅をLlsとするとき、
Lts<0.5Lls
を満たすように形成されていてもよい。
上述した発明の特徴では、前記横側面部は、トレッド幅方向に沿ったトレッド幅方向線に対して傾斜しており、前記突部は、前記横側面部と前記周側面部とのなす角が鋭角になる前記横側面部に形成されていてもよい。
上述した発明の特徴では、前記タイヤは、ビード部と、前記ビード部に連なるサイドウォール部と、路面に当接するトレッド部と、前記トレッド部の幅方向外側に位置するトレッド端部からタイヤ径方向内側に向かって前記横溝部の溝底まで延びるバットレス部とを有し、前記バットレス部には、トレッド幅方向に突出する突部が形成されていてもよい。
本発明によれば、トレッド部の剛性や耐摩耗性を損なうことなく、確実に放熱性を向上させることが可能なタイヤを提供できる。
図1は、本実施形態に係る空気入りタイヤの斜視図である。 図2は、本実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド幅方向及びタイヤ径方向の断面図である。 図3は、本実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド部の一部を拡大した拡大斜視図である。 図4は、図3の矢印A方向からみた平面図である。 図5は、本実施形態に係る空気入りタイヤの突部の位置を説明する平面図である。 図6は、本実施形態に係る空気入りタイヤの突部の変形例1を説明する斜視図である。 図7は、本実施形態に係る空気入りタイヤの突部の変形例2を説明する平面図である。 図8は、本実施形態に係る空気入りタイヤの変形例を説明する平面図である。 図9は、本実施形態に係る空気入りタイヤの突部の形状を説明する平面図である。 図10は、本実施形態に係る空気入りタイヤの突部の形状を説明する平面図である。 図11は、本実施形態に係る空気入りタイヤの突部の形状を説明する平面図である。 図12は、本実施形態に係る空気入りタイヤの突部の形状を説明する平面図である。 図13は、本実施形態に係る空気入りタイヤの突部の形状を説明する平面図である。
本発明に係る空気入りタイヤ1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。具体的には、(1)空気入りタイヤの構成の説明、(2)突部の説明、(3)作用・効果、(4)変形例、(5)その他の実施形態、について説明する。
なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なのものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることを留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる。
(1)空気入りタイヤの構成の説明
図1は、本実施形態に係る空気入りタイヤ1の斜視図である。図2は、空気入りタイヤ1のトレッド幅方向tw及びタイヤ径方向trに沿った断面図である。
図2に示すように、空気入りタイヤ1は、リムに当接するビード部11と、タイヤの側面を構成するサイドウォール部12と、路面に接地するトレッド部13と、サイドウォール部12とトレッド部13との間に位置するバットレス部14とを有する。
バットレス部14は、サイドウォール部12のタイヤ径方向trの延長上に位置しており、トレッド部13の側面が連なる部分である。バットレス部14は、トレッド部13のトレッド幅方向外側のトレッド端部13eからタイヤ径方向tr内側に向けて延びる。バットレス部14は、通常走行時では接地しない部分である。バットレス部は、トレッド部の幅方向外側のトレッド端部からタイヤ径方向の内側に向かって横溝部(後述する横溝40A,40B,40C)の溝底まで延びる領域である。
トレッド部13には、トレッド部13の表面(接地面)からタイヤ径方向内側に向かって窪み、タイヤ周方向に沿った周方向溝20A,20Bが形成されている。また、周方向溝20A,20Bによって区画された周方向陸部30A,30B,30Cが形成される。
また、トレッド部13には、トレッド部13の表面からタイヤ径方向内側に向かって窪み、タイヤ周方向に交差する方向に延びる複数の横溝が形成されている。図1に示されるように、周方向陸部30Aには、タイヤ周方向に交わる横溝40Aが形成される。周方向陸部30Bには、タイヤ周方向に交わる横溝40Bが形成される。周方向陸部30Cには、タイヤ周方向に交わる横溝40Cが形成される。本実施形態では、周方向陸部30A,30B,30Cは、横溝40A,40B,40Cによって分断されることにより、陸部ブロック100,110,120が形成される。また、横溝40A,40B,40Cは、周方向溝20A,20Bに連通されている。
空気入りタイヤ1は、空気入りタイヤ1の骨格となるカーカス層51を有する。カーカス層51のタイヤ径方向内側には、チューブに相当する気密性の高いゴム層であるインナーライナー52が設けられている。カーカス層51の両端は、一対のビード53によって支持されている。
カーカス層51のタイヤ径方向外側には、ベルト層54が配置されている。ベルト層54は、スチールコードをゴム引きした第1ベルト層54aと第2ベルト層54bとを有する。第1ベルト層54aと第2ベルト層54bとを構成するスチールコードは、タイヤ赤道線CLに対して所定の角度を有して配置されている。トレッド部13は、ベルト層54(第1ベルト層54a及び第2ベルト層54b)のタイヤ径方向外側に配置されている。
空気入りタイヤ1の周方向陸部30A,30B,30C、すなわち陸部ブロック100,110,120には、周方向陸部30A,30B,30Cのタイヤ周方向に沿った側面を有する。一例として、陸部ブロック100の側面101には、側面101からトレッド幅方向に突出する突部200を有する。
空気入りタイヤ1の最大幅をSW、空気入りタイヤ1のトレッド部13の幅をTWと表す。空気入りタイヤ1には、空気ではなく、窒素ガスなどの不活性ガスが充填されてもよい。本実施形態では、空気入りタイヤ1は、例えば、偏平率80%以下、リム径が57”以上、荷重負荷能力が60mton以上、荷重係数(k−factor)が1.7以上のラジアルタイヤである。
(2)突部の説明
図3は、空気入りタイヤ1のトレッド部13の一部を拡大した拡大斜視図である。図4は、図3の矢印A方向からみた平面図である。
陸部ブロック100は、横溝40Aの溝壁を形成する側面101(横側面部を構成する)と、周方向溝20Aの溝壁を形成する側面102(周側面部を構成する)と、側面102の反対側の側面103とを有する。側面101は、トレッド幅方向twに沿ったトレッド幅方向線に対して傾斜している。
側面101におけるトレッド幅方向twの中央部よりもトレッド幅方向の一方側(図3では、タイヤ幅方向内側)の領域101aには、側面101からタイヤ周方向tcに突出するとともにタイヤ径方向に延びる突部200が形成されている。
実施形態では、突部200は、タイヤ径方向trに長辺を有する矩形状である。実施形態では、突部200の長手方向は、タイヤ法線Lmに一致し、トレッド幅方向twと矩形状の短手方向とが一致するように配置されている。
陸部ブロック100のトレッド幅方向twの長さをLbw、突部200のタイヤ径方向の長さをLh、突部200のトレッド幅方向twの長さをLtw、突部200の側面101からタイヤ周方向tcに沿った長さをLts、と表す。また、横溝40の溝幅をLlsと表す。実施形態では、Ltw<0.5Lbw、Lts<0.5Llsを満たす。
図5には、側面101における突部200の位置が示されている。陸部ブロック100のトレッド幅方向端部から突部200のトレッド幅方向突部の端部までの長さpとするとき、突部200は、p<2・Ltsを満たすように形成されている。
(3)作用・効果
図4には、空気入りタイヤ1が回転方向R1に回転するときに生じる空気の流れ(白抜き矢印)が示されている。空気入りタイヤ1では、側面101におけるトレッド幅方向twの領域101aに、側面101からタイヤ周方向tcに突出するとともにタイヤ径方向に延びる突部200が形成されている。このため、空気入りタイヤ1の回転に伴って、横溝40Aに沿った空気の流れを、横溝40Aと繋がる周方向溝20Aに誘導することができ、周方向溝20A内の風量を増加させることができる。
もともと、周方向溝20A内には、空気入りタイヤ1の回転に伴って、回転方向とは反対向きの相対風が流れるが、横溝40Aから周方向溝20Aに空気を流入させることで、従前発生する空気の流れを増幅させることができる。これにより、熱伝達率が向上し、トレッドの温度を低減させることができる。
実施形態では、突部200のトレッド幅方向twの長さLtwは、陸部ブロック100のトレッド幅方向twの長さLbwよりも短く、Ltw<0.5Lbwである。また、突部200の側面101からタイヤ周方向tcに沿った長さLtsは、横溝40の溝幅Llsよりも短く、Lts<0.5Llsを満たす。
突部200の側面101からタイヤ周方向tcに沿った長さLtsは、横溝40内部の空気の流れを妨げないサイズであることが好ましい。Lts<0.5Llsとすることにより、横溝40内部の空気の流れを確保できる。
実施形態では、突部200の矩形状の長手方向とタイヤ径方向(すなわち、タイヤ法線)とが一致し、トレッド幅方向と矩形状の短手方向とが一致するように配置することができる。このように配置することにより、横溝40A内の空気の流れの一部を効率よく周方向溝20A内部に流入させることができる。
(4)変形例
(4−1)変形例1
図6は、実施形態に係る空気入りタイヤ1の側面101に形成される突部の変形例を説明する斜視図である。図6に示された突部201のタイヤ径方向trの長さLh1は、接地面Gから横溝40Aの溝底部40Abまでの長さH(すなわち、溝深さH)よりも短く、突部201のタイヤ径方向trの端部201aは、使用初期の段階において、接地面Gよりもタイヤ径方向内側に位置するように構成されている。
例えば、実施形態では、Lh1と溝深さHとは、0.1≦Lh/H≦0.7 (Lh=Lh1)を満たす。
突部201の長さLh1が横溝40Aの深さH相当であった場合には、空気入りタイヤ1の接地によって陸部ブロック100がタイヤ径方向に圧縮されるように変形したとき、突部201がタイヤ径方向trに対して屈曲する座屈変形が生じる。悪路走行などによって、突部201の座屈変形が繰り返されることにより、突部201が損傷を受けやすくなる。
これに対して、変形例1の突部201は、タイヤ径方向trの長さLh1が横溝40Aの溝深さHよりも短く形成されているため、突部201の座屈変形が起こりにくく、突部201が損傷しにくい。従って、横溝40A内部の空気の流れを周方向溝20A内部に流入させる役割が持続できる。従って、熱伝達率を向上させて、陸部ブロック100の温度を低減させる効果を持続させることができる。
実施形態では、突部201の長さLh1が横溝40Aの深さHの10%に満たない場合には、横溝40Aにおける空気の流れを周方向溝20A内部に導く効果が薄れ、熱伝達率を向上させることが難しくなる。また、突部201のタイヤ径方向の長さLhが横溝40Aの深さHの70%を超えると、突部201の座屈変形が起こりやすくなるため好ましくない。
(4−2)変形例2
突部は、陸部ブロック100の横側面部と周側面部とのなす角が鋭角になるような横側面部に形成されていればよい。具体的に、突部202は、図7に示すように、陸部ブロック100に隣接する陸部ブロック110の横側面部を構成する側面111におけるトレッド幅方向twの中央部よりもトレッド幅方向の一方側(図7では、タイヤ幅方向外側)の領域111aには、側面111からタイヤ周方向tcに突出するとともにタイヤ径方向に延びるように形成されている。
図7には、空気入りタイヤ1が回転方向R2に回転するときに生じる空気の流れ(白抜き矢印)が示されている。空気入りタイヤ1では、空気入りタイヤ1の回転に伴って、横溝40Aに沿った空気の流れを、横溝40Aと繋がる周方向溝20Aに誘導することができ、周方向溝20A内の風量を増加させることができる。これにより、熱伝達率が向上し、トレッドの温度を低減させることができる。
(4−3)変形例3
図8は、空気入りタイヤ1の変形例3を説明する平面図である。図8に示すように、空気入りタイヤ1のバットレス部14には、トレッド幅方向twに突出するバットレス突部301が形成されていてもよい。
バットレス部14にバットレス突部301が形成される場合には、横溝40Aのトレッド幅方向twに沿ったトレッド幅方向線に対する傾斜角度と、陸部ブロック100においてバットレス突部301が形成される位置とに応じて、突部200を形成する効果的な位置が異なる。
図8(a)は、接地面側からみた平面図であり、バットレス部14にバットレス突部301が形成された空気入りタイヤ1が回転方向R1に回転するときに生じる空気の流れを説明する模式図であり、図8(b)は、回転方向R2に回転するときに生じる空気の流れを説明する模式図である。
図8(a)に示すように、空気入りタイヤ1が、回転方向R1に回転する場合には、回転による空気の流れ(相対風)ARは、バットレス部14に形成されたバットレス突部301の側面に当たって、バットレス突部301を乗り越えて流れる。このとき、バットレス突部301の側面の回転方向後側には、幅方向外側に向かう空気の流れが生まれる。この流れにより、横溝40Aや周方向溝20Aを通って空気が吸い出されて、横溝40Aから外へ向かう空気の流れARが生じる。
したがって、陸部ブロック100における側面101と側面102とのなす角が鋭角になるような位置に突部200を形成すると、横溝40A内部を流れる空気を増やすとともに、効率よく周方向溝20A内部に流入させることができる。これにより、横溝40A内部の熱伝達率が向上し、陸部ブロック100の温度を低減させることができる。更には、トレッド部13の温度を低減させることができる。
また、図8(b)に示すように、空気入りタイヤ1が、回転方向R2に回転する場合には、回転による空気の流れ(相対風)ARは、バットレス部14に形成されたバットレス突部301の側面に当たって横溝40Aに取り込まれる。このように、空気入りタイヤ1周囲の空気の流れARが横溝40A内へ取り込まれ、横溝40A内を流れる空気の流量を増加させることができる。
したがって、陸部ブロック110における側面111と側面112とのなす角が鋭角になるような位置に突部202を形成すると、横溝40A内部を流れる空気を増やすとともに、効率よく周方向溝20A内部に流入させることができる。これにより、横溝40A内部の熱伝達率が向上し、陸部ブロック100の温度を低減させることができる。更には、トレッド部13の温度を低減させることができる。
(5)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例が明らかとなる。例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。
実施形態に係る空気入りタイヤは、例えば、偏平率80%以下、リム径が57”以上、荷重負荷能力が60mton以上、荷重係数(k−factor)が1.7以上の、いわゆる超大型タイヤである場合に顕著な効果が得られるが、乗用車用、トラック・バス用の汎用のタイヤに適用してもよい。
実施形態では、典型例として図1に示す空気入りタイヤ1のトレッドパターンについて例示した。しかし、このトレッドパターンに限定されない。例えば、空気入りタイヤ1のタイヤ赤道線付近に横溝が形成されていないリブ状陸部を有するタイプであってもよい。
上述した実施形態では、横溝部(横溝40,横溝41,横溝42など)は、タイヤ周方向に対して全て同じ角度に形成されていると説明した。しかし、同一の空気入りタイヤにおいて、横溝部のタイヤ周方向に対する角度は、必ずしも同一でなくてもよい。例えば、周方向陸部30A,30B,30C毎に異なる角度で形成されていてもよい。更には、一つの周方向陸部30Aにおいても異なる角度の横溝部が形成されていてもよい。
実施形態では、突部は、タイヤ周方向に配置された陸部ブロックの全てに形成されると説明した。しかし、タイヤ周方向tcに連続して配置された陸部ブロックのうち1つおき、もしくは複数おきに形成されていてもよい。
突部の形状は、矩形状に限定されない。突部の形状は、以下に説明するように変更可能である。
例えば、図9に示す突部203は、突部203の長手方向に垂直な断面の形状が三角形である。また、突部203において、周方向溝20A側の側面203aは、周方向溝20Aの溝壁を形成する側面102に沿っており、周方向溝20Aの延びる方向に平行になるように形成されている。
図10に示す突部204は、周方向溝20A側の側面204aと、トレッド幅方向tw外側に面した側面204bとを有し、側面204bが屈曲している。
図11に示す突部205は、突部205の長手方向に垂直な断面は、回転方向の一方側に向けて傾斜した形状を有する。具体的に、突部205の長手方向に垂直な断面の形状が三角形であり、周方向溝20A側の側面205aは、周方向溝20Aの溝壁よりも周方向溝20Aの溝中心線に向けて傾斜している。
また、図12に示す突部206は、突部206の長手方向に垂直な断面は、周方向溝20A内部に向けて傾斜した傾斜面206a、206bを有する四辺形を有する。
図13に示す突部207は、周方向溝20A側の側面207aと、トレッド幅方向tw外側に面した側面207bとを有し、側面207aは、周方向溝20A内部に向けて傾斜している。また、側面207bは、屈曲している。
上述した例以外であっても、横溝40A内を流れる空気を周方向溝20Aに流入可能な構成であれば、適用可能である。
実施形態では、タイヤは、空気、あるいは窒素ガスなどの気体が充填される空気入りタイヤと説明したが、気体を充填しない、いわゆる無垢タイヤ(ソリッドタイヤ)であってもよい。
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
1…空気入りタイヤ、 11…ビード部、 12…サイドウォール部、 13l…トレッド部、 13…トレッド部、 13e…トレッド端部、 14…バットレス部、 20A,20B…周方向溝、 30A,30B,30C…周方向陸部、 40A,40B,40C…横溝、 40Ab…溝底、 41…横溝、 42…横溝、 51…カーカス層、 52…インナーライナー、 53…ビード、 54…ベルト層、 54a…第1ベルト層、 54b…第2ベルト層、 100,110,120…陸部ブロック、 101…側面、 101a…端部領域、 102,103…側面、 111,112…側面、 111a…領域、 200…突部、 201…突部、 201a…端部、 202…突部、 203…突部、 203a…側面、 204…突部、 204a…側面、 204b…側面、 205…突部、 205a…側面、 206…突部、 206a…傾斜面、 207…突部、 207a…側面、 207b…側面、 301…バットレス突部

Claims (6)

  1. 路面に当接する接地面を有するトレッド部に、
    前記接地面からタイヤ径方向内側に窪んでおりトレッド幅方向に沿ったトレッド幅方向に沿って形成された複数の横溝部と、
    複数の前記横溝部に連通し、前記接地面からタイヤ径方向内側に窪んでおりタイヤ周方向に沿って形成された複数の周方向溝部と、
    前記横溝部と前記周方向溝によって区画された複数の陸部ブロックと、
    が形成されたタイヤであって、
    前記陸部ブロックは、
    前記横溝部の溝壁を形成する横側面部と、
    前記周方向溝部の溝壁を形成する周側面部と、を有し、
    前記横側面部の中央部よりも前記陸部ブロックのトレッド幅方向の一方側の領域には、前記横側面部から前記タイヤ周方向に突出するとともにタイヤ径方向に延びる突部が形成されているタイヤ。
  2. 前記突部の前記タイヤ径方向の長さは、前記接地面から前記横溝部の底部までの長さよりも短く、前記突部のタイヤ径方向の端部は、前記接地面よりもタイヤ径方向内側に位置する請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記突部は、タイヤ径方向を長手方向とする矩形状であり、
    前記ブロック側面部におけるトレッド幅方向の端部からトレッド幅方向における前記突部の端部までの長さpとし、前記突部のタイヤ周方向の長さLtsとするとき、
    p<2・Lts
    を満たす請求項1又は2に記載のタイヤ。
  4. 前記突部のタイヤ周方向の長さLtsとし、前記横溝部のタイヤ周方向の幅をLlsとするとき、
    Lts<0.5Lls
    を満たす請求項1乃至3の何れか1項に記載のタイヤ。
  5. 前記横側面部は、
    トレッド幅方向に沿ったトレッド幅方向線に対して傾斜しており、
    前記突部は、
    前記横側面部と前記周側面部とのなす角が鋭角になる前記横側面部に形成される請求項1乃至4の何れか1項に記載のタイヤ。
  6. 前記タイヤは、
    ビード部と、前記ビード部に連なるサイドウォール部と、路面に当接するトレッド部と、前記トレッド部の幅方向外側に位置するトレッド端部からタイヤ径方向内側に向かって前記横溝部の溝底まで延びるバットレス部とを有し、
    前記バットレス部に、トレッド幅方向に突出する突部が形成されている請求項1乃至5の何れか1項に記載のタイヤ。
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