JP2013003521A - トナー及びその製造方法、並びに画像形成装置 - Google Patents

トナー及びその製造方法、並びに画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】熱特性、耐地汚れ、低温定着性、離型性などの特性を損なうことなく、帯電性に優れ、特に一成分現像剤として使用する際に求められる機械的強度に優れるトナー及びその製造方法、並びに画像形成装置の提供。
【解決手段】帯電制御樹脂微粒子を基材樹脂中に含有してなるトナーであって、前記トナーの表面から深さが500nmまでの領域における前記帯電制御樹脂微粒子の含有割合が、20体積%〜70体積%であり、前記帯電制御樹脂微粒子のトナーに対する埋没率が、90%以上であり、前記帯電制御樹脂微粒子のブローオフ法による帯電量が、60μC/m以上であることを特徴とするトナー及びその製造方法、並びに画像形成装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、トナー及びその製造方法、並びに画像形成装置に関する。
近年、ローエンドのレーザビームプリンタは、最終消費者をターゲットとして低コスト化、小型化及び高速化の傾向が顕著であり、小型化及び低コスト化のために、各部品の小型化及び装置の簡略化が望まれている。
例えば、画像形成装置に備えられる現像装置においては、キャリアを現像剤成分として含む二成分現像方式に比べ、キャリアを使用せず現像部分の部品点数の少ない一成分現像方式の方が、より小型化が望める。
前記一成分現像方式は、トナー規制部材によりトナー粒子を摩擦帯電させ、トナー担持体上にトナー像を形成させる方式であり、二成分現像方式に比べて簡単な構成である一方、トナー自体に様々な機能が求められる。特に、機械的強度が高いこと、トナーの帯電性能が高いことが重要であり、更には外的ノイズに対して変化が少ないことが求められる。
帯電性能の高い電子写真用トナーを得る方法としては、(1)造粒されたトナー粒子表面に均一に帯電制御剤を付着させる方法、(2)トナー母粒子の製造過程において、樹脂成分、着色剤などのトナー材料に加え、帯電制御剤を添加する方法などが考えられる。
前記(1)の方法としては、外添剤(例えば、シリカ、アルミナ、チタニアなど)をトナー母粒子に外添させる方法(例えば、ヘンシェルミキサーなどの混合機を用いてトナー母粒子と外添剤とを混合する方法)が考えられる。しかしながら、帯電制御剤が外添されたトナー粒子では、外添された帯電制御剤がトナー母粒子から脱落し易く、長期間に渡ってトナーの帯電量を維持することができないという問題があった。
前記(2)の方法としては、帯電制御効果を有する樹脂及び/又は帯電制御剤を用いた混練粉砕法、又はケミカルトナー法などが採られてきた。
例えば、結着樹脂と、イオン性官能基を有する帯電制御樹脂と、該帯電制御樹脂とは逆極性のイオン性官能基を有する離型剤とを含有し、前記結着樹脂と前記帯電制御樹脂とが互いに親和性を有する分子鎖で構成されたトナーが提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、この提案のトナーは、前記混練粉砕法を用いて作製されており、前記帯電制御剤がトナー粒子全体に分散されてしまうため、トナー粒子の表面付近における帯電制御剤の含有量が少なく、トナーの帯電量が十分でないという問題があった。
また、トナー粒子の表面付近における帯電制御樹脂(剤)の含有量を多くするため、帯電制御樹脂(剤)の含有量を増加させると、トナー粒子が硬くなり、トナー粒子と記録媒体との定着性が悪化するという問題があった。
前記ケミカルトナー法の中でも溶解懸濁法、特にSPR工法においては、帯電制御剤を導入しようとするとトナー粒子が生成し難いという問題があり、仮に導入できた場合でもトナー内部に取り込まれてしまい、十分な効力を発揮できないという問題があった。
前記ケミカルトナー法の中でも凝集法では、トナーのコア部に熱定着に有利な樹脂を用い、その外側を帯電に有利な樹脂で粒状に覆った、コア/シェル型トナーが既に知られている。
例えば、帯電制御剤の機能を十分に発揮させる目的で、シェル層に帯電制御剤を均一に分散させることにより、トナー表層の帯電性を向上させることが提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、この提案には、トナー表層全体を帯電制御剤含有シェル層で覆うため、トナー全体の熱特性を変えてしまい、コア部に含有する成分の働きを阻害し、例えば、定着時の離型剤(ワックス)の表面ブリードを阻害し定着性能を損なうという問題があった。また、コア/シェル型トナーでは、一成分現像剤として用いると、トナー同士のこすれや規制部でのストレスによって、シェルが剥がれることがあり、シェルが剥がれることによりトナーの帯電能の低下、規制ブレードへの融着、現像ローラーへのフィルミングが発生するという問題があった。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、熱特性、耐地汚れ、低温定着性、離型性などの特性を損なうことなく、帯電性に優れ、特に一成分現像剤として使用する際に求められる機械的強度に優れるトナー及びその製造方法、並びに前記トナーを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下のとおりである。即ち、
<1> 帯電制御樹脂微粒子を基材樹脂中に含有してなるトナーであって、
前記トナーの表面から深さが500nmまでの領域における前記帯電制御樹脂微粒子の含有割合が、20体積%〜70体積%であり、
前記帯電制御樹脂微粒子のトナーに対する埋没率が、90%以上であり、
前記帯電制御樹脂微粒子のブローオフ法による帯電量が、60μC/m以上であることを特徴とするトナーである。
<2> 帯電制御樹脂微粒子のブローオフ法による帯電量が、100μC/m〜300μC/mである前記<1>に記載のトナーである。
<3> 帯電制御樹脂微粒子の平均円相当径が、90nm以上400nm以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載のトナーである。
<4> 帯電制御樹脂微粒子のガラス転移温度が、65℃以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載のトナーである。
<5> 帯電制御樹脂微粒子が、ビニル系樹脂であり、エステル系モノマーを構成成分として20質量%以上含む前記<1>から<4>のいずれかに記載のトナーである。
<6> 帯電制御樹脂微粒子が、スチレン系モノマーを構成成分として20質量%以上含む前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーである。
<7> 帯電制御樹脂微粒子が、サリチル酸系亜鉛錯体、サリチル酸系ジルコニウム錯体、及び有機ホウ素錯体の少なくともいずれかの帯電制御剤を含有する前記<1>から<6>のいずれかに記載のトナーである。
<8> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有し、前記現像剤が前記<1>から<7>のいずれかに記載のトナーからなることを特徴とする画像形成装置である。
<9> 有機溶媒中に少なくとも樹脂と着色剤とを溶解又は分散させた油相を調製する油相調製工程と、
水系媒体を含む水相を調製する水相調製工程と、
前記水系媒体中に前記油相を分散させ、油相からなるトナー粒子母体が分散した分散液を調製するトナー粒子母体作製工程と、
前記トナー粒子母体作製工程において、前記水系媒体中に油相を分散した後、帯電制御樹脂微粒子を添加する帯電制御樹脂微粒子添加工程とを少なくとも含むことを特徴とするトナーの製造方法である。
<10> 有機溶媒中に少なくとも樹脂と着色剤とを溶解又は分散させた油相を調製する油相調製工程と、
水系媒体を含む水相を調製する水相調製工程と、
前記水系媒体中に帯電制御樹脂微粒子を添加する帯電制御樹脂微粒子添加工程と、
前記帯電制御樹脂微粒子が添加された水系媒体中に前記油相を分散させ、油相からなるトナー粒子母体が分散した分散液を調製するトナー粒子母体作製工程とを少なくとも含むことを特徴とするトナーの製造方法である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、熱特性、耐地汚れ、低温定着性、離型性などの特性を損なうことなく、帯電性に優れ、特に一成分現像剤として使用する際に求められる機械的強度に優れるトナー及びその製造方法、並びに前記トナーを用いた画像形成装置を提供することができる。
図1は、本発明のトナーを模式的に表した断面図の一例である。 図2は、本発明のトナー表層の帯電制御樹脂微粒子の配置を模式的に表した正面図の一例である。 図3は、従来のトナーを模式的に表した正面図の一例である。 図4は、本発明のトナーの2種類の製造過程を示すフローチャートである。 図5は、本発明のトナーを走査型透過電子顕微鏡(STEM)で観察した断面写真像の一例である。
(トナー)
本発明のトナーは、基材樹脂及び帯電制御樹脂微粒子を含み、更に必要に応じて、無機分散剤、離型剤、ワックス分散剤、着色剤などその他の成分を含む。本発明のトナーの特徴としては、帯電制御樹脂微粒子を基材樹脂中に含有してなり、トナーの表面から深さが500nmまでの領域における前記帯電制御樹脂微粒子の含有割合が、20体積%〜70体積%であり、前記帯電制御樹脂微粒子のトナーに対する埋没率が、90%以上であり、前記帯電制御樹脂微粒子のブローオフ法による帯電量が、60μC/m以上である。
<樹脂>
本発明のトナーに用いられる樹脂としては、特に制限はなく、従来よりトナーに用いられている樹脂を用いることができ、例えば、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリオール樹脂、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。これらの中でも、定着性の観点から、本発明における基材樹脂としては、ポリエステル樹脂が好ましい。
本発明における帯電制御樹脂微粒子としては、上記のいずれの樹脂も使用できるが、基材樹脂中にドメインとして点在することが必要であり、互いに相溶しないことが必要である。また、帯電制御樹脂微粒子は、トナーの帯電性に影響のある表面近傍のみに配置することが必要であるため、帯電性の高いビニル系樹脂がより好ましい。
本願発明のトナーの製造方法として例えば、溶解懸濁法を用いる場合、帯電制御樹脂微粒子のトナー中での存在位置は、基材樹脂と帯電制御樹脂微粒子との組合せに大きく影響する。
例えば、基材樹脂と帯電制御樹脂微粒子とが、両方ともポリエステル樹脂である場合、仮に互いが非相溶なものであっても、帯電制御樹脂微粒子がトナー内部に存在する可能性が高くなってしまう。一方、基材樹脂と帯電制御樹脂微粒子の組合せとして、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂等のように構造が異なる樹脂を組み合わせた場合、帯電制御樹脂微粒子は、表面付近に追いやられやすくなるため、トナー表層に帯電制御樹脂微粒子が存在するようになる。
以下では、図1及び図2を用いて、本発明のトナーの構造を説明する。
図1及び図2は、本発明のトナーを模式的に表した断面図、及びトナー表層における帯電制御樹脂微粒子の配置を模式的に示した正面図の一例を示したものであり、帯電制御樹脂微粒子が帯電制御剤を含む態様のものである。本発明のトナーは、基材樹脂1(コア部)の表層に帯電制御樹脂微粒子2が存在し、基材樹脂1中に帯電制御樹脂微粒子2が埋没した構造をとっている(ただし、図2においては、埋没率に関係なく帯電制御樹脂微粒子の配置のみを示した)。前記帯電制御樹脂微粒子2は、帯電制御剤3を含んでいてもよく、帯電制御剤3がトナーの表層部に配置されることで、高い帯電性を有する。また、帯電制御剤3を含む帯電制御樹脂微粒子2は、基材樹脂1の表面を完全に被覆しておらず、トナー表層にドメイン状に点在しているため、コア部の特性を阻害せず、例えば、定着時における離型剤の溶出を阻害しない。更に、本発明のトナーは、帯電制御樹脂微粒子2が基材樹脂1(コア部)に埋没していることにより、耐久性(機械強度)を有する。
一方、図3に示すように、従来の粉砕法、溶解懸濁法により帯電制御剤3がトナーに導入された場合には、帯電制御剤がトナー表層部にあまり存在せず、帯電性を十分に発揮できない。
<<基材樹脂>>
前記基材樹脂には、上述した樹脂を用いることができ、それらの中でもポリエステル樹脂が好ましいことは前述したとおりである。前記基材樹脂としては、これらの樹脂以外に、末端にイソシアネート基を有する変性樹脂(イソシアネート変性樹脂)を用い、後述する熟成工程においてイソシアネートの伸長乃至架橋反応を行って得られる樹脂でもよい。
前記イソシアネート変性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することできるが、定着性の観点から、イソシアネート変性ポリエステルが好ましい。
前記イソシアネート変性ポリエステルとしては、例えば、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルを更にポリイソシアネート(3)と反応させたものなどが挙げられる。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、例えば、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられる。これらの中でも、アルコール性水酸基が好ましい。
−ポリオール−
前記ポリオール(1)としては、ジオール(1−1)と3価以上のポリオール(1−2)が挙げられ、(1−1)単独、または(1−1)と少量の(1−2)の混合物が好ましい。
前記ジオール(1−1)としては、例えば、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物などが挙げられる。
これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物と炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用が特に好ましい。
前記3価以上のポリオール(1−2)としては、例えば、3価以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
−ポリカルボン酸−
ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2−1)と3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられ、(2−1)単独、または(2−1)と少量の(2−2)の混合物が好ましい。
前記ジカルボン酸(2−1)としては、例えば、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸等);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)などが挙げられる。これらの中でも、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
前記3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、例えば、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等)などが挙げられる。
なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。
前記ポリオール(1)と前記ポリカルボン酸(2)との比率としては、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1であり、1.5/1〜1/1が好ましく、1.3/1〜1.02/1がより好ましい。
−ポリイソシアネート−
前記ポリイソシアネート(3)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート等);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;及びこれら2種以上の併用が挙げられる。
前記ポリイソシアネート(3)とポリエステルとの比率としては、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1であり、4/1〜1.2/1が好ましく、2.5/1〜1.5/1がより好ましい。前記[NCO]/[OH]が、5/1を超えると残留するポリイソシアネート化合物がトナーの帯電性に悪影響を及ぼすことがある。
−伸長剤−
前記イソシアネート変性ポリエステルを伸長させるために、伸長剤としてアミン類(B)を用いてもよい。
前記アミン類(B)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、及び前記B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
前記ジアミン(B1)としては、例えば、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタン、テトラフルオロ−p−キシリレンジアミン、テトラフルオロ−p−フェニレンジアミン等)、脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等)、脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ドデカフルオロヘキシレンジアミン、テトラコサフルオロドデシレンジアミン等)などが挙げられる。
前記3価以上のポリアミン(B2)としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
前記アミノアルコール(B3)としては、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
前記アミノメルカプタン(B4)としては、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
前記アミノ酸(B5)としては、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
前記B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、例えば、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
これらアミン類(B)の中でも、B1、B1と少量のB2との混合物が好ましい。
前記アミン類(B)の前記イソシアネート変性ポリエステルに対する比率としては、イソシアネート変性ポリエステル中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NH]の当量比[NCO]/[NH]として、通常1/2〜2/1であり、1.5/1〜1/1.5が好ましく、1.2/1〜1/1.2がより好ましい。前記[NCO]/[NH]が、1/2未満又は2を超えると、イソシアネート変性ポリエステルの伸長反応が十分に進行せず、粘弾性特性が得られないおそれがある。
前記イソシアネート変性ポリエステルは、1種単独で用いてもよいが、例えば、1種類以上の直鎖状イソシアネート変性ポリエステルと、1種類以上の分岐構造を有するイソシアネート変性ポリエステルとを組み合わせて使用することにより、トナーの粘弾性設計を好ましく行うことができる。特にトナー中に架橋点間距離を広く取った架橋構造を均一に存在させるためには、分岐構造を有するイソシアネート変性ポリエステルを比較的低分子量に設計し、それとともに直鎖状イソシアネート変性ポリエステルを併用することが好ましい。一方、前記イソシアネート変性ポリエステルの分子鎖を長く設計すると、トナーの熱特性が悪化することがある。その原因としては、トナー製造過程の油相中において分子鎖がランダムコイル状に収縮し、局所的に架橋構造を形成するため、又は分子内でイソシアネート基が反応を完結してしまい、トナー全体にわたって架橋構造を持たせることができないためであると考えられる。
なお、本発明においては、イソシアネート変性ポリエステルとともに、イソシアネート変性されていないポリエステル(未変性ポリエステル)を用いてもよい。前記未変性ポリエステルを用いることにより、トナーの粘弾性の設計がより行いやすくなる。前記未変性ポリエステルとしては、前述のポリオール(1)とポリカルボン酸(2)との重縮合物などが挙げられる。
<<帯電制御樹脂微粒子>>
本発明において、前記帯電制御樹脂微粒子とは、帯電制御性能を有する樹脂微粒子のことを指し、樹脂微粒子自体が帯電制御性能を有していてもよく、樹脂微粒子が帯電制御剤を含有することにより帯電制御性能を有していてもよい。
ここで、帯電制御性能を有する樹脂微粒子とは、キャリアと混合攪拌した際に十分な帯電量を有している樹脂微粒子を指す。前記帯電制御樹脂微粒子のブローオフ法による帯電量としては、60μC/m以上であり、100μC/m〜300μC/mであることが好ましく、120μC/m〜280μC/mあることがより好ましい。前記帯電量が、60μC/m未満であると、トナーに十分な帯電性を付与できない。
ここで、前記「ブローオフ法による帯電量」とは、帯電制御樹脂微粒子とキャリアとの質量比(帯電制御樹脂微粒子/キャリア)が5/95である帯電制御樹脂微粒子及びキャリアに200rpmの回転を5分間与え、攪拌した際の単位面積当たりの帯電量(Q/S)である。なお、前記帯電量は、帯電量測定装置TB−200(株式会社東芝製)により測定することができる。
トナーの表面から深さが500nmまでの領域における前記帯電制御樹脂微粒子の含有割合としては、20体積%〜70体積%であり、40体積%〜60体積%が好ましい。前記含有割合が、20体積%未満であると、帯電付与能力に欠け、70体積%を超えると、トナー表面に樹脂層を作ってしまうこととなり、低温定着性を阻害する。一方、前記含有割合が前記範囲内である本発明のトナーは、トナーの表面に均一な皮膜と存在していないために低温定着性に対する影響が小さく、表面近傍に存在することで帯電を付与することができる。
トナーの帯電性は、前記帯電制御樹脂微粒子の帯電性能と、前記帯電制御樹脂微粒子の基材樹脂中の含有量及びトナーの表面から深さ500nmの領域における含有割合との掛け合わせにより決定されるため、本発明のトナーは、前記帯電性能が前記数値範囲内であり、かつ、前記含有割合が前記範囲内であることが好ましい。
なお、前記含有割合は、例えば、トナーをウルトラミクロトーム(ウルトラソニック)でスライスしてトナーの薄片を作製し、これを走査型透過電子顕微鏡(STEM)で観察して得られたトナーの断面画像から、トナー表面からの距離が500nm以内の領域に存在するドメイン状の帯電制御樹脂微粒子の割合を算出することで求めることができる(図5参照)。また、トナー表面からの距離の測定には、例えば、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア Mac−View(マウンテック社製)を用いることができる。
前記帯電制御樹脂微粒子の含有量としては、基材樹脂100質量部に対して、2質量部〜14質量部が好ましく、4質量部〜9質量部がより好ましい。トナーの表面から深さ500nmの領域における帯電制御樹脂微粒子の含有割合は、帯電制御樹脂微粒子の含有量に大きく影響を受ける。
前記含有量が、2質量部未満であると、前記含有割合が20体積%より少なくなるトナーが発生してしまい、本発明の効果が得られない。一方、前記含有量が、14質量部を超えると、前記含有割合が70体積%を超えてしまうトナーが発生するようになる。前記含有割合が70体積%を超えてしまうと、帯電制御樹脂微粒子の間隔が狭くなってしまい、コア部に含有する成分の働きを阻害(例えば、定着時の剥離剤(ワックス)の表面ブリードを阻害し、定着性能を損なう)してしまったり、帯電制御樹脂微粒子の特性が支配的になり、トナー全体の熱特性と変えてしまうなどの不具合が生じる。
前記帯電制御樹脂微粒子の平均円相当径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、90nm以上400nm以下が好ましく、100nm以上350nm以下がより好ましい。前記平均円相当径が、90nm未満であると、帯電制御樹脂微粒子への帯電制御樹剤の導入が困難であることがあり、400nmを超えると、トナーへの帯電制御樹脂微粒子の導入が困難になることがある。
前記平均円相当径は、例えば、トナーをウルトラミクロトーム(ウルトラソニック)でスライスしてトナーの薄片を作製して、これを走査型透過電子顕微鏡(STEM)で観察し、得られたトナーの断面画像から求めることができる。算出には、例えば画像解析式粒度分布測定ソフトウェア Mac−View(マウンテック社製)を用いることができる。
前記帯電制御樹脂微粒子のガラス転移温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、65℃以上が好ましい。前記ガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量計(DSC−6220R、セイコーインスツル社製)により測定することができる。
以下では、前記帯電制御樹脂微粒子として好適に用いることができるビニル系樹脂を例に説明する。前記ビニル系樹脂が帯電制御剤を含まない場合には、樹脂自体が帯電し易い構造を有していることが好ましく、そのため、芳香環構造のように電子が安定に存在できる電子軌道を持つスチレン系モノマーを用いることが好ましい。
ここで、前記「スチレン系モノマー」とは、ビニル重合性官能基を有する芳香族化合物のことを指す。前記ビニル重合性官能基としては、例えば、ビニル基、イソプロペニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。
前記スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、αメチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−エトキシスチレン、4−カルボキシスチレン又はその金属塩、4−スチレンスルホン酸又はその金属塩、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレンなどが挙げられる。
これらの中でも、入手が容易で反応性に優れ帯電性の高いスチレンを主として用いることが好ましい。
前記帯電制御樹脂微粒子における構成成分としてのスチレン系モノマーの含有量としては、帯電性の観点から、20質量%以上であることが好ましく、30質量%〜50質量%がより好ましい。前記含有量が20質量%未満であると、更に帯電制御剤を添加しない限り、十分な帯電性を得ることができないことがある。
また、基材樹脂にポリエステル樹脂、帯電制御樹脂微粒子にビニル系樹脂など、構造の異なる樹脂の組み合わせを用いた場合、トナーの表面付近に存在しやすくなることは前述したが、例えばビニル系樹脂として疎水性の高いスチレンのみを使用した場合、ポリエステル樹脂と構造が違いすぎるためトナー表面に突出してしまう。そのため、親水性のモノマーを添加することが望ましい。親水性のモノマーとしては、例えば、モノマーの末端に水酸基を持っていたり、分子内にエステル結合を持つものがあるが、環境変動に強いという意味では、エステル系モノマーが好ましい。
前記エステル系モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ビニルメトキシアセテート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖及び脂環式のいずれかの基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖及び脂環式のいずれかの基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系モノマー、多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記帯電制御樹脂微粒子における構成成分としてのエステル系モノマーの含有量としては、基材樹脂と帯電制御樹脂微粒子との相溶性、及び帯電制御樹脂微粒子の埋没率の観点から、20質量%以上であることが好ましく、40質量%〜80質量%がより好ましい。前記含有量が、20質量%未満であると、基材樹脂と帯電制御樹脂微粒子との相溶性が低くなり、帯電制御樹脂微粒子の埋没率が低下することがある。
前記スチレン系モノマーとエステル系モノマーとの質量比率(スチレン系モノマー/エステル系モノマー)としては、ポリエステル樹脂の種類にもよるが、30/70〜60/40程度が好ましい。スチレン系モノマーの比率が30%未満であると、帯電性が悪化してしまうことがあり、エステル系モノマーが40%未満であると、トナー表面に突出しやすくなる。帯電制御樹脂微粒子がトナー表面に突出してしまうと、トナー製造時や現像器内での攪拌によって帯電制御樹脂微粒子が離脱してしまうことがあり、規制部において本発明の効果が得られなくなる。
前記帯電制御樹脂微粒子が、トナー表面に埋没している、或いはトナー表面から突出している状態は、埋没率として評価することができる。本発明のトナーにおける前記埋没率としては、90%以上である。前記埋没率が、90%未満であると、帯電制御樹脂微粒子がトナー表面から剥離しやすく、帯電性を保持できないという問題が生じる。
前記埋没率の測定は、トナーをウルトラミクロトーム(ウルトラソニック)にて薄くスライスしてトナーの薄片を作製し、トナー断面を走査型透過電子顕微鏡(STEM)で観察することで、計測することができる。このとき、画像処理ソフトを用いれば、基材樹脂に埋没、もしくは付着している帯電制御樹脂微粒子の総面積と、そのうちトナー芯粒子に埋没している部分の面積とを求め、前記総面積に対する前記埋没している部分の面積の百分率を埋没率として導出することができる。なお、帯電制御樹脂微粒子の粒径は、トナー芯粒子の粒径より十分小さいとして、突起部の露出領域と埋没領域の境界は平面で近似する。
−帯電制御剤−
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。
前記帯電制御剤は、適宜合成してもよいし、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、ニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のボントロンE−82、サリチル酸系金属錯体のボントロンE−84、サリチル酸系亜鉛錯体のボントロンE−304、フェノール系縮合物のボントロンE−89(以上、オリエント化学工業株式会社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415、サリチル酸系ジルコニア錯体のTN−105(以上、保土谷化学工業株式会社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、有機ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット株式会社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物などが挙げられる。これらの中でも、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用され、サリチル酸系亜鉛錯体、サリチル酸系ジルコニア錯体、有機ホウ素錯体などが好ましく、サリチル酸系亜鉛錯体が特に好ましい。
<その他の成分>
<<無機分散剤>>
前記無機分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなどが挙げられる。
<<離型剤>>
前記本発明に使用する離型剤(ワックス)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等);長鎖炭化水素(パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス等);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。
前記カルボニル基含有ワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル(カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート等);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミド等);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミド等);ジアルキルケトン(ジステアリルケトン等)などが挙げられる。
これらの中でも、極性が小さく溶融粘度が低い点で、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素が好ましく、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスがより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<<ワックス分散剤>>
ワックス分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ワックスとの相溶性の高いユニットと、樹脂との相溶性の高いユニットとがブロック体として存在するポリマー乃至オリゴマー;ワックスとの相溶性の高いユニット及び樹脂との相溶性の高いユニットのうち、一方に他方がグラフトしているポリマー乃至オリゴマー;エチレン、プロピレン、ブテン、スチレン、α−スチレン等の不飽和炭化水素と、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸又はそのエステル、若しくはその無水物との共重合体;ビニル系樹脂とポリエステルとのブロック又はグラフト体などが挙げられる。
前記ワックスとの相溶性の高いユニットとしては、炭素数が12以上の長鎖アルキル基や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエンとそれらの共重合体などが挙げられる。前記樹脂との相溶性の高いユニットとしては、ポリエステル、ビニル系樹脂などが挙げられる。
帯電制御樹脂微粒子のトナー中への埋没率は、前記ワックス分散剤によって調整することができる。例えば、帯電制御樹脂微粒子と似た構造をもつワックス分散剤を用いれば、帯電制御樹脂微粒子の埋没率を上げることができる。また、そのワックス分散剤の量を増やすことでも、更に埋没率を上げることができる。
<<着色剤>>
本発明のトナーにおいては、従来からフルカラートナーで使用されている公知の着色剤を用いてもよい。前記着色剤としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、銅フタロシアニン、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド184、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ソルベント・イエロー162、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー185、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3などが挙げられる。
前記着色剤のトナー粒子中における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、全樹脂成分100質量部に対して、2質量部〜15質量部の範囲が好ましい。
前記着色剤は、使用樹脂との混合樹脂中に分散されたマスターバッチの形態で使用されることが分散性の観点から好ましい。前記マスターバッチの添加量としては、含有される着色剤の量が上記範囲内となるような量であればよい。
前記マスターバッチ中の着色剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20質量%〜40質量%が好ましい。
(トナーの製造方法)
本発明のトナーの製造方法は、油相調製工程と、水相調製工程と、帯電制御樹脂微粒子添加工程と、トナー粒子母体作製工程とを少なくとも含み、必要に応じて脱溶工程、洗浄工程、乾燥工程、熟成工程、外添処理工程などその他の工程を含む。
本発明のトナーのような構造をとるトナーの製造のし易さから、溶解懸濁法による製造が好ましい。
溶解懸濁法を用いてトナーを製造する方法としては、少なくとも、前記基材樹脂の原料となる樹脂及び着色剤からなるトナー組成物を、有機溶媒に溶解又は分散させることにより得られる溶解液又は分散液を、分散剤の存在する水性溶媒中で、通常の撹拌機、ホモミキサー、ホモジナイザー等を用いて、所望の粒度分布を有するトナーが得られるように分散させた後、有機溶媒を除去することによりトナースラリーを得る方法が挙げられる。トナーは、公知の方法に従い、洗浄及び濾過により回収し、乾燥させることにより単離することができる。以下、図4のフローチャートに記載の製造工程に沿って説明する。
<油相調製工程>
前記油相調製工程は、有機溶媒中に少なくとも樹脂と着色剤とを溶解又は分散させた油相を調製する工程である。その方法としては、有機溶媒中に攪拌をしながら基材樹脂、着色剤などを徐々に添加していき、溶解あるいは分散させればよい。ただし、着色剤として顔料を用いる場合や、離型剤、帯電制御剤等の中で有機溶媒に溶解しにくいものを添加する場合には、有機溶媒への添加に先立って粒子を小さくしておいてもよい。
前記樹脂としては、前述の基材樹脂の原料となる樹脂を好適に用いることができる。また、前記着色剤としては、前述の着色剤を好適に用いることができる。
更に別の手段として、有機溶媒の沸点未満で溶融するようなものを分散するのであれば、有機溶媒中で、必要に応じて分散助剤を添加し、分散質とともに攪拌しながら加熱を行い、一旦溶解させた後、攪拌もしくはせん断しながら冷却を行うことによって晶析を行い、分散質の微結晶を生成させる方法を行ってもよい。
以上の手段を用いて分散された着色剤、離型剤は、有機溶媒中に前記樹脂とともに溶解あるいは分散された後、更に分散を行ってもよい。分散に際しては、公知のビーズミル、ディスクミル等の分散機を用いることができる。
−有機溶媒−
前記有機溶媒としては、容易に除去できる点で、沸点が100℃未満である有機溶媒が好ましい。このような有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<水相調製工程>
水相調製工程は、水系媒体を含む水相を調製する工程である。
前記水系媒体としては、水単独でもよく、水と混和可能な溶媒を併用してもよい。前記水と混和可能な溶媒としては、例えば、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ等のセロソルブ類、アセトン、メチルエチルケトン等の低級ケトン類などが挙げられる。トナー材料100質量部に対する前記水系媒体の含有量としては、通常、50質量部〜2,000質量部であり、100質量部〜1,000質量部が好ましい。前記含有量が、50質量部未満であると、トナー材料の分散状態が悪くなるおそれがあり、2,000質量部を超えると、経済的でない。
前記水系媒体は、前記油相の分散性を向上させるため、界面活性剤を含んでいてもよい。前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、溶媒を含む油滴を効率よく分散する観点から、HLBが高いジスルホン酸塩の界面活性剤が好ましい。前記界面活性剤の水系媒体中における含有量としては、1質量%〜10質量%が好ましく、2質量%〜8質量%がより好ましく、3質量%〜7質量%が特に好ましい。前記含有量が、10質量%を超えると、油滴が小さくなりすぎたり、逆ミセル構造を形成して逆に分散安定性が低下して油滴の粗大化が発生したりすることがある。一方、前記含有量が、1質量%未満であると、油滴の分散を安定に行うことができずに油滴が粗大化してしまうことがある。
<帯電制御樹脂微粒子添加工程>
帯電制御樹脂微粒子添加工程は、前記帯電制御樹脂微粒子を添加する工程である。添加方法としては、以下の方法が挙げられる。
(1)前記水相調製工程における水系媒体中に予め添加しておく(図4の〔フロー1〕参照)。
(2)トナー粒子母体作製工程において、水系媒体中に油相を分散した後に添加する(図4の〔フロー2〕参照)。
前記(1)又は(2)の工程を取ることにより、帯電制御樹脂微粒子がトナー表面に存在することから、結果として帯電制御剤をトナー表層に効果的に配置することができる。
なお、前記帯電制御樹脂微粒子へ帯電制御剤を分散させる場合の分散方法としては、樹脂合成時のモノマーを予め分散させた後に、重合反応を行い、樹脂中に帯電制御剤分散体を取り込む方法や、帯電制御樹脂微粒子に帯電制御剤を溶融混練により分散させた後、転相乳化法や溶融混練法、乳化凝集法により所定粒子にすることにより行うことができる。
<トナー粒子母体作製工程>
前記トナー粒子母体作製工程は、前記水系媒体中に前記油相を分散させ、油相からなるトナー粒子母体が分散した分散液を作製する工程である。その方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、分散体の粒径を2μm〜20μmに制御する観点から、高速せん断式が好ましい。この工程において、前記樹脂は、トナーの基材樹脂となり、その表層に前記帯電制御樹脂微粒子が含有された構造が形成される。
前記分散の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、バッチ方式の場合は、通常0.1分間〜5分間である。前記時間が、0.1分間未満であると、分散が十分に行われないことがあり、5分間を超えると、望ましくない小径の粒子が残存してしまったり、分散が過分散状態になって系が不安定になり凝集体や粗大粒子が発生したりすることがある。前記分散時の温度としては、通常、0℃〜40℃であり、10℃〜30℃が好ましい。前記温度が、40℃を超えると、分子運動が活発になることから分散安定性が低下し凝集体や粗大粒子が発生しやすくなる。一方、前記温度が、0℃未満であると、分散体の粘度が高くなり、分散に必要なせん断エネルギーが増大するため、製造効率が低下することがある。
<その他の工程>
<<脱溶工程>>
前記脱溶工程は、前記有機溶剤を除去する工程である。得られたトナー粒子分散体から有機溶剤を除去するためには、系全体を攪拌しながら徐々に昇温し、液滴中の有機溶剤を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。
また、得られたトナー粒子分散体を攪拌しながら乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の有機溶剤を完全に除去することも可能である。また、トナー粒子分散体を攪拌しながら減圧し、有機溶媒を蒸発除去してもよい。後の2つの手段は、最初の手段と併用することも可能である。
乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどを用いた短時間の処理で十分に目的とする品質が得られる。
<<熟成工程>>
熟成工程は、前記樹脂として末端にイソシアネート基を有する変性樹脂を添加している場合に、イソシアネートの伸長乃至架橋反応を進める工程である。前記熟成の時間としては、通常10分間〜40時間であり、2時間〜24時間が好ましい。前記熟成時の反応温度としては、通常0℃〜65℃であり、35℃〜50℃が好ましい。
<<洗浄工程>>
前記洗浄工程は、これまでの工程で得られたトナー粒子を洗浄する工程である。上記の方法で得られたトナー粒子の分散液には、トナー粒子のほか、界面活性剤等の分散剤などの副材料が含まれているため、前記分散液から前記トナー粒子のみを取り出すために洗浄を行う。
トナー粒子の洗浄方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、遠心分離法、減圧濾過法、フィルタープレス法などの方法が挙げられる。
前記いずれの方法によってもトナー粒子のケーキ体が得られるが、一度の操作で十分に洗浄できない場合は、得られたケーキを再度水系溶媒に分散させてスラリーにして上記のいずれかの方法でトナー粒子を取り出す工程を繰り返してもよいし、減圧濾過法やフィルタープレス法によって洗浄を行うのであれば、水系溶媒をケーキに貫通させてトナー粒子が抱き込んだ副材料を洗い流す方法を採ってもよい。
前記洗浄に用いる水系溶媒としては、例えば、水、水にメタノール、エタノール等のアルコールを混合した混合溶媒などが挙げられる。これらの中でも、コストや排水処理などによる環境負荷の観点から、水が好ましい。
<<乾燥工程>>
前記乾燥工程は、前記トナー粒子を乾燥する工程である。洗浄されたトナー粒子は、前記水系媒体を多く抱き込んでいるため、乾燥を行い水系媒体を除去することでトナー粒子のみを得ることが好ましい。
前記乾燥には、例えば、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動槽乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機などの乾燥機を使用することができる。
乾燥されたトナー粒子としては、最終的に水分が1%未満になるまで乾燥されていることが好ましい。
また、乾燥後のトナー粒子は、軟凝集をしており、使用に際して不都合が生じる場合には、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、コーヒーミル、オースターブレンダー、フードプロセッサーなどの装置を利用して解砕を行い、軟凝集をほぐしてもよい。
<<外添処理工程>>
前記外添処理工程は、前記トナー粒子に異種粒子を外添処理する工程である。得られた乾燥後のトナー粉体と流動化剤微粒子などの異種粒子とをともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法などが挙げられる。また、用いられる装置としては、例えば、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)、スーパーミキサー(株式会社カワタ製)などが挙げられる。
(画像形成装置)
本発明の画像形成装置は、静電像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを含んでなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段などを含む。そして、現像手段において使用する現像剤が、上述の本発明のトナーからなることを必要とする。
<静電潜像形成手段>
前記静電潜像形成手段は、静電像担持体上に静電潜像を形成する手段である。
<現像手段>
前記現像手段は、静電像担持体上に形成された静電潜像を、現像剤を用いて現像して可視像を形成する手段であり、現像工程において使用する現像剤が、上述の本発明のトナーである。
前記現像による可視像の形成は、現像剤担持体としての現像ローラ上にトナー層を形成し、現像ローラ上のトナー層を静電像担持体である感光体ドラムと接触させるように搬送することにより、感光体ドラム上の静電潜像を現像することでなされる。
<転写手段>
前記転写手段は、静電像担持体上に形成された可視像を記録媒体に転写する手段である。
なお、一次転写手段と、二次転写手段とを合わせて転写手段と称することもある。前記一次転写手段は、静電像担持体上に形成された可視像を一次転写装置により中間転写体上に転写する手段であり、前記二次転写手段は、前記中間転写体上に転写された転写像を二次転写装置により記録材上に転写する手段である。
<定着手段>
前記定着手段は、記録媒体に転写された転写像を定着させる手段である。
転写された転写像の定着は、記録媒体に転写された転写像を、加熱加圧質量部材などを含む定着手段により記録材上に定着させることによりなされ、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行なってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行なってもよい。
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧質量部材が好適である。前記加熱加圧質量部材としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせなどが挙げられる。そのような定着手段として、例えば、磁性金属から構成されて電磁誘導により加熱される加熱ローラと、加熱ローラと平行に配置された定着ローラと、加熱ローラと定着ローラとに張り渡され、加熱ローラにより加熱されるとともにこれらのローラによって回転される無端帯状のトナー加熱媒体(加熱ベルト)と、加熱ベルトを介して定着ローラに圧接されるとともに、加熱ベルトに対して順方向に回転して定着ニップ質量部を形成する加圧ローラとを有する定着手段などが挙げられる。これにより、定着ベルトの温度が短時間で上昇し、かつ安定した温度制御が可能となる。また、表面の粗い記録材を使用した場合にも、定着時にある程度転写紙の表面に応じた状態で定着ベルトが作用するため、十分な定着性が得られるようになる。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
<樹脂1の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物264質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物523質量部、テレフタル酸123質量部、アジピン酸173質量部及びジブチルチンオキサイド1質量部を入れ、常圧230℃で8時間反応し、更に10mmHg〜15mmHgの減圧で8時聞反応した。その後、反応容器に無水トリメリット酸26質量部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[樹脂1]を得た。得られた[樹脂1]は、ガラス転移温度が65℃、酸価が12mgKOH/gであった。
なお、樹脂の粒径は、UPA−150EX(日機装株式会社製)を用いて測定を行った。また、樹脂のガラス転移温度の測定は、示差走査熱量計(例えばDSC−6220R:セイコーインスツル社)を用い、樹脂を室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10分間放置し、室温まで試料を冷却して10分間放置し、再度150℃まで昇温速度10℃/minで加熱して、ガラス転移温度以下のベースラインと、ガラス転移を示す曲線部分の接線との交点で求めた。
<樹脂2の合成>
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物240質量部、ビスフェノールAプロピオンオキサイド3モル付加物529質量部、テレフタル酸208質量部、アジピン酸46質量部及びジブチルスズオキシド2質量部を投入し、常圧下、230℃で8時間反応させた。次に、10mmHg〜15mmHgの減圧下で5時間反応させた後、反応槽中に無水トリメリット酸44質量部を添加し、常圧下、180℃で2時間反応させて、[樹脂2]を合成した。得られた[樹脂2]は、ガラス転移温度が47℃、酸価が25mgKOH/gであった。
<樹脂3の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ドデシル硫酸ナトリウム0.3質量部、イオン交換水200質量部を入れ、攪拌しながら80℃に加熱して溶解させた後、過硫酸カリウム1.3質量部をイオン交換水51質量部に溶解させたものを加え、その15分後に、スチレンモノマー30質量部、n−ブチルアクリレート40質量部、メタクリル酸30質量部、及びn−オクタンチオール3.2質量部の単量体混合液を90分間かけて滴下し、更に60分間80℃に保ち重合反応をさせた。
その後、冷却して体積平均粒子径110nmの白色の[樹脂3]を得た。得られた[樹脂3]のガラス転移温度は、84℃であった。
<樹脂4の合成>
[樹脂3]の合成において、単量体混合液を下記組成に変更した以外は、[樹脂3]の合成と同様にして[樹脂4]を得た。
スチレンモノマー30質量部、n−ブチルアクリレート40質量部、メタクリル酸30質量部、及びn−オクタンチオール3.2質量部の混合液に帯電制御剤としてのBONTORON E−304(オリエント化学工業株式会社製)10質量部を攪拌混合しながら投入し、15分間混合した。その後、10分間超音波にて分散し、単量体混合液とした。
<樹脂5の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ドデシル硫酸ナトリウム0.3質量部、イオン交換水250質量部を入れ、攪拌しながら80℃に加熱して溶解させた後、過硫酸カリウム1.3質量部をイオン交換水52質量部に溶解させたものを加え、その15分後に、スチレンモノマー20質量部、n−ブチルアクリレート40質量部、メタクリル酸40質量部、及びn−オクタンチオール2.1質量部の単量体混合液を90分間かけて滴下し、その後更に60分間80℃に保ち重合反応をさせた。
その後、冷却して体積平均粒子径100nmの白色の[樹脂5]を得た。得られた[樹脂5]のガラス転移温度は、80℃であった。
<樹脂6−1の合成>
[樹脂5]の合成において、単量体混合液を下記に変更した以外は、[樹脂5]の合成と同様にして、体積平均粒子径100nmの[樹脂6−1]を得た。
スチレンモノマー20質量部、n−ブチルアクリレート40質量部、メタクリル酸40質量部、及びn−オクタンチオール2.1質量部の混合液に帯電制御剤としてのBONTORON E−304(オリエント化学工業株式会社製)10質量部を攪拌混合しながら投入し、15分間混合した。その後、10分間超音波にて分散し、単量体混合液とした。
<樹脂6−2の合成>
[樹脂6−1]の合成において、ドデシル硫酸ナトリウムの量を0.3質量部から0.2質量部に変更した以外は、[樹脂6−1]の合成と同様にして、体積平均粒子径150nmの[樹脂6−2]を得た。
<樹脂6−3の合成>
[樹脂6−1]の合成において、ドデシル硫酸ナトリウムの量を0.3質量部から0.7質量部に変更した以外は、[樹脂6−1]の合成と同様にして、体積平均粒子径50nmの[樹脂6−3]を得た。
<樹脂6−4の合成>
[樹脂6−1]の合成において、ドデシル硫酸ナトリウムの量を0.3質量部から0.15質量部に変更した以外は、[樹脂6−1]の合成と同様にして、体積平均粒子径200nmの[樹脂6−4]を得た。
<樹脂7の合成>
[樹脂5]の合成において、単量体混合液を下記に変更した以外は、[樹脂5]の合成と同様にして[樹脂7]を得た。
スチレンモノマー20質量部、n−ブチルアクリレート40質量部、メタクリル酸40質量部、及びn−オクタンチオール2.1質量部の混合液に帯電制御剤としてのTN−105(保土谷化学工業株式会社製)10質量部を攪拌混合しながら投入し、15分間混合した。その後、10分間超音波にて分散し、単量体混合液とした。
<樹脂8の合成>
[樹脂5]の合成において、単量体混合液を下記に変更した以外は、樹脂5の合成と同様にして[樹脂8]を得た。
スチレンモノマー20質量部、n−ブチルアクリレート40質量部、メタクリル酸40質量部、及びn−オクタンチオール2.1質量部の単量体混合液に帯電制御剤としてのLR−147(日本カーリット社製)10質量部を攪拌混合しながら投入し、15分間混合した。その後、10分間超音波にて分散し、単量体混合液とした。
<樹脂9の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ドデシル硫酸ナトリウム0.3質量部、イオン交換水250質量部を入れ、攪拌しながら80℃に加熱して溶解させた後、過硫酸カリウム1.3質量部をイオン交換水50質量部に溶解させたものを加え、その15分後に、スチレンモノマー40質量部、n−ブチルアクリレート40質量部、メタクリル酸20質量部、及びn−オクタンチオール2質量部の単量体混合液を90分間かけて滴下し、その後更に60分間80℃に保ち重合反応をさせた。
その後、冷却して体積平均粒子径100nmの白色の[樹脂9]を得た。得られた[樹脂9]のガラス転移温度は、57℃であった。
<樹脂10の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ドデシル硫酸ナトリウム0.3質量部、イオン交換水250質量部を入れ、攪拌しながら80℃に加熱して溶解させた後、過硫酸カリウム1.3質量部をイオン交換水53質量部に溶解させたものを加え、その15分後に、スチレンモノマー92.5質量部、メトキシジエチレングリコールメタクリレート7.5質量部、及びn−オクタンチオール2.1質量部に帯電制御剤としてのBONTORON E−304(オリエント化学工業株式会社製)10質量部を攪拌混合しながら投入し、15分間混合した後、10分間超音波にて分散した単量体混合液を90分間かけて滴下し、その後更に60分間80℃に保ち重合反応をさせた。
その後、冷却して体積平均粒子径110nmの白色の[樹脂10]を得た。得られた[樹脂10]のガラス転移温度は、70℃であった。
<樹脂11の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ドデシル硫酸ナトリウム0.3質量部、イオン交換水250質量部をいれ、攪拌しながら80℃に加熱して溶解させた後、過硫酸カリウム1.2質量部をイオン交換水49質量部に溶解させたものを加え、その15分後に、スチレンモノマー28.8質量部、n−ブチルアクリレート38.5質量部、メタクリル酸28.8質量部、メトキシジエチレングリコールメタクリレート3.85質量部、及びn−オクタンチオール2質量部に帯電制御剤としてのBONTORON E−304(オリエント化学工業株式会社製)10質量部を攪拌混合しながら投入し、15分間混合した後、10分間超音波にて分散した単量体混合液を90分間かけて滴下し、その後更に60分間80℃に保ち重合反応をさせた。
その後、冷却して体積平均粒子径90nmの白色の[樹脂11]を得た。得られた[樹脂11]のガラス転移温度は、77℃であった。
<樹脂12の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ドデシル硫酸ナトリウム0.3質量部、イオン交換水250質量部をいれ、攪拌しながら80℃に加熱して溶解させた後、過硫酸カリウム1.2質量部をイオン交換水49質量部に溶解させたものを加え、その15分後に、スチレンモノマー27質量部、n−ブチルアクリレート36質量部、メタクリル酸27質量部、メトキシジエチレングリコールメタクリレート10質量部、及びn−オクタンチオール2質量部の単量体混合液を90分かけて滴下し、その後更に60分間80℃に保ち重合反応をさせた。
その後、冷却して体積平均粒子径90nmの白色の[樹脂12]を得た。得られた[樹脂12]のガラス転移温度は、65℃であった。
<プレポリマー1の合成>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81質量部、テレフタル酸283質量部、無水トリメリット酸22質量部及びジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧下、230℃で8時間反応させ、更に1.3kPa〜2.0kPa(10mmHg〜15mmHg)の減圧下で5時間反応させ、[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2100、質量平均分子量9500、ガラス転移温度55℃、酸価0.5、水酸基価49であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]411質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部及び酢酸エチル500質量部を入れ、100℃で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。
<マスターバッチ1の製造>
C.I.ピグメント・イエロー74 50質量部、樹脂1 50質量部、水30質量部をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロ−ル表面温度130℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行い、パルベライザーで1mmの大きさに粉砕し、[マスターバッチ1]を得た。
(実施例1)
<水相の調製>
イオン交換水970質量部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25質量%水性分散液60質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液180質量部、酢酸エチル100質量部を混合撹拌した。このときpH6.2であった。これに、10質量%水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpH9.5に調整し、[水相1]を得た。
<WAX分散液調製工程>
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、[樹脂1]24質量部、パラフィンワックス(融点72℃)12質量部、酢酸エチル100質量部、ワックス分散剤として、スチレン−ポリエチレンポリマー(ガラス転移温度72℃、数平均分子量7,100)8質量部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒間、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、WAXの分散を行い、[WAX分散液1]を得た。
<油相調製工程>
[樹脂1]100質量部、[マスターバッチ1]18質量部、[WAX分散液1]30質量部、酢酸エチル80質量部をTKホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)で8,000rpmにて30分間混合した後、[プレポリマー1]15質量部を加えTKホモミキサーで8,000rpmにて2分間混合して[油相1]を得た。得られた[油相1]の固形分を測定したところ60質量%であった。
<トナー粒子母体作製工程>
[油相1]100質量部に[水相1]100質量部を加え、ミキサーのせん断熱による温度上昇を抑えるために水浴で冷却をすることにより、液中温度を20℃〜23℃の範囲になるように調整しながら、TKホモミキサーを用い回転数3,000rpmで2分間混合した後、アンカー翼を取り付けたスリーワンモーターで回転数250rpmに調整しながら10分間攪拌し、芯粒子となる油相の液滴が水相に分散された[粒子スラリー1]を得た。
<帯電制御樹脂微粒子添加工程>
前記[粒子スラリー1]200質量部をアンカー翼を取り付けたスリーワンモーターで回転数350rpmで攪拌しながら、液温が22℃の状態で、[樹脂3]の分散液を[樹脂1]100質量部に対して6.0質量部となるように、3分間かけて滴下した。その後、30分間攪拌を続け、[複合粒子スラリー1]を得た。
<脱溶工程>
撹拌機及び温度計をセットした容器に、[複合粒子スラリー1]を投入し、攪拌を行いながら30℃で8時間脱溶剤を行い、[分散スラリー1]を得た。
<洗浄乾燥工程>
[分散スラリー1]100質量部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後、濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキにイオン交換水900質量部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下となるようにこの操作を繰り返した。
(3):(2)のリスラリー液のpHが4となるように10%塩酸を加え、そのままスリーワンモーターで30分間攪拌した後、濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後、濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下となるようにこの操作を繰り返し[濾過ケーキ1]を得た。
前記[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmのメッシュで篩い、[トナー粒子1]を得た。
<外添工程>
前記[トナー粒子1]100質量部に対して無機微粒子であるキャボジル社製TS530を2.5質量部添加し、ヘンシェルミキサー(速度40m/s)で10分間混合処理し、トナー1を得た。
(実施例2〜13及び比較例1〜6)
実施例1において、[樹脂1]及び[樹脂3]に代えて表1に示す樹脂の組み合わせを用いた以外は、実施例1と同様にして、トナー2〜13及び15〜20を得た。
(実施例14)
実施例3において、帯電制御樹脂微粒子の添加を、トナー粒子母体作製工程後の粒子スラリーに対して行うことからトナー粒子母体作製工程前の水相に対して行うことに変更した以外は、実施例3と同様にして、トナー14を得た。
<評価方法>
上記で得られたトナー1〜20について、以下の方法により評価を行った。評価結果を表2及び表3に示す。
<<トナーの粒径>>
トナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII、III(いずれもコールター社製)が挙げられる。以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100mL〜150mL中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1mL〜5mL加えた。ここで、電解液とは、1級塩化ナトリウムを用いて約1質量%NaCl水溶液を調製したもので、ISOTON−II(コールター社製)を使用した。更に、測定試料を固形分にして2mg〜20mg加えた。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1分間〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出した。得られた分布から、トナーの体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dp)を求めた。
チャンネルとしては、例えば2.00μm以上2.52μm未満;2.52μm以上3.17μm未満;3.17μm以上4.00μm未満;4.00μm以上5.04μm未満;5.04μm以上6.35μm未満;6.35μm以上8.00μm未満;8.00μm以上10.08μm未満;10.08μm以上12.70μm未満;12.70μm以上16.00μm未満;16.00μm以上20.20μm未満;20.20μm以上25.40μm未満;25.40μm以上32.00μm未満;32.00μm以上40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とした。
<<トナー表面から深さ500nmの領域における帯電制御樹脂微粒子の含有割合>>
トナーをエポキシ樹脂で包埋し、これをウルトラミクロトーム(ウルトラソニック)で厚さ80nmにスライスしてトナーの薄片を作製して、四酸化ルテニウムで染色を施した。これを走査型透過電子顕微鏡(STEM)で観察し、得られたトナーの断面画像から、トナー表面から500nmの距離になり得る領域におけるコントラストの異なる島状の樹脂の割合を算出した。計測には、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア Mac−View(マウンテック社製)を用いた。サンプルとしては、体積平均粒径に対して±10%以内のトナー100個を選択し、それぞれにトナー表面から500nmの領域における帯電制御樹脂微粒子の含有割合を求め、平均した値を評価の値とした。
トナーがワックスや帯電制御剤等を含有する場合は、予め材料単体を上記のエポキシ樹脂に包埋し、エポキシ樹脂に対する帯電制御樹脂微粒子を含めた各材料のコントラストを確認した上で、帯電制御樹脂微粒子のみの割合を計測した。これは、以下のトナー断面を観察する全ての方法に適用した。
<<帯電制御樹脂微粒子の埋没率>>
トナーをエポキシ樹脂で包埋し、これをウルトラミクロトーム(ウルトラソニック)にて厚さ80nmにスライスしてトナーの薄片を作製して、四酸化ルテニウムで染色を施した。トナー断面を走査型透過電子顕微鏡(STEM)で観察し、得られた断面画像から画像解析式粒度分布測定ソフトウェア Mac−View(マウンテック社製)を用いて、20個以上のトナーに対して埋没率を計測した。
基材樹脂に埋没、もしくは付着している帯電制御樹脂微粒子の総面積と、そのうちトナー芯粒子に埋没している部分の面積を求め、両者から埋没率を導出した。帯電制御樹脂微粒子の粒径はトナー芯粒子の粒径より十分小さいとして、突起部の露出領域と埋没領域の境界は平面で近似した。
<<帯電制御樹脂微粒子の帯電性能評価>>
帯電制御樹脂微粒子0.25gをキャリア4.75gを底面直径25mm、高さ30mmのステンレス容器に入れ、円周方向に200rpmの回転を5分間与え、帯電制御樹脂微粒子とキャリアとを攪拌し、接触させた。ここで、キャリアとしては、平均粒径35μmのフェライト粒子(株式会社リコー製)を用いた。
この攪拌させた帯電制御樹脂微粒子を帯電量測定装置TB−200(株式会社東芝製)によりブローオフ法で単位面積当たりの帯電量(Q/S)を測定した。
具体的には、上記帯電量測定装置の400メッシュのステンレス製スクリーンを装着した試料部に測定サンプルを装填し、常温常湿環境(20℃、55%RH)で、ブロー圧50kPa(0.5kgf/cm)の窒素ガスを10秒間ブローして電荷を測定した。
<<帯電制御樹脂微粒子の平均円相当径>>
トナーをエポキシ樹脂で包埋し、これをウルトラミクロトーム(ウルトラソニック)で厚さ80nmにスライスしてトナーの薄片を作製して、四酸化ルテニウムで染色を施した。これを走査型透過電子顕微鏡(STEM)で観察し、得られたトナーの断面画像において、コントラストの異なる島状の樹脂について、円相当径を求めた。算出には画像解析式粒度分布測定ソフトウェア Mac−View(マウンテック社製)を用いた。サンプルとしては、島状の樹脂100個をランダムに選択し、平均値を求めてこれを評価の値とした。
<<生産性>>
−評価基準−
○:問題なく造粒できる。
×:造粒できず、トナー粒子が得られない。
<<帯電性>>
株式会社リコー製IPSiO SP C310を使用し、印字率5%の画像をN/N環境下(温度23℃、湿度45%)で連続印字した。N/N環境下の50枚及び2,000枚連続印字後(耐久後)に、白紙パターン印字中の現像ローラ上のトナーをトレックジャパン社製吸引式小型帯電量測定装置 MODEL 210HSで吸引し、電荷量を測定し、50枚後及び2,000枚後の帯電量を評価した。
−評価基準−
○:帯電量差の絶対値が15μC/g以上25μC/g以下の範囲内
△:帯電量差の絶対値が10μC/g以上15μC/g未満の範囲内
×:帯電量差の絶対値が10μC/g未満
<<かぶり>>
株式会社リコー製IPSiO SP C310を使用し、印字率5%の画像をN/N環境下(温度23℃、湿度45%)、H/H環境下(温度27℃、湿度80%)で1,000枚連続印字した。この際、地汚れ評価として感光体上に残留しているトナーを住友スリーエム株式会社製のメンディングテープで剥離し、分光濃度計Xrite 939でL*を測定した。ここで、L*は、明度(色の明るさ)に相当するパラメーターである。判定△以上が実仕様上問題ないレベルである。
−評価基準−
○:90以上
△:85以上90未満
×:85未満
<<低温定着性>>
株式会社リコー製IPSiO SP C310を使用し、タイプ6200Y目紙(リコー社製)に8.5±1g/m2のトナー付着量でベタ画像を作像し、130±2℃で定着を行った。
定着画像部を、描画試験器AD−401(株式会社上島製作所製)を用いて、定着画像上に、サファイヤ針125μRを、針回転直径8mm、荷重1gの条件で当接した状態で走行させ、サファイヤ針の先端部の走行面におけるひっかき傷(走行跡)の発生状況を目視で観察することにより、低温定着性を評価した。判定△以上が実仕様上問題ないレベルである。
−評価基準−
○:走行跡がほとんど認められない
△:画像の真上から観察すると走行跡が微かに認められるが、紙が見えていない
×:画像の真上から観察すると走行跡がはっきりと認められ、紙が見えている
<<離型性>>
低温定着性評価と同じ画像を5枚用意し、同じ定着器に200±2℃で通して、定着ローラーへの巻き付きを下記の基準で評価した。
−評価基準−
○:5枚とも巻き付かない
△:1〜2枚巻き付く
×:3枚以上巻き付く
<<耐フィルミング性>>
改造したIPSiO SP C220(株式会社リコー製)にトナーを入れ、印字率5%の画像を5,000枚印刷後、ベタ画像を採取しスジを目視で観察し評価を行った。
−評価基準−
○:画像にスジはなく、現像ローラの薄層にもスジは見られない
△:画像にスジはないが、現像ローラの薄層にスジが見られる
×:画像にスジが見られる
<<機械的強度>>
IPSIO SP C310(株式会社リコー製)にトナーを入れ、印字率5%の画像を2,000枚印刷後、トナーを採取して、トナー表層を電子顕微鏡で観察し、評価を行った。
−評価基準−
○:帯電制御樹脂微粒子のトナーからの脱落が全く見られない
△:帯電制御樹脂微粒子のトナーからの脱落が一部で見られる
×:帯電制御樹脂微粒子のトナーからの脱落及びトナー粒子の損壊が見られる
1 基材樹脂(コア部)
2 帯電制御樹脂微粒子
3 帯電制御剤
特開平11−174738号公報 特開2008−089918号公報

Claims (10)

  1. 帯電制御樹脂微粒子を基材樹脂中に含有してなるトナーであって、
    前記トナーの表面から深さが500nmまでの領域における前記帯電制御樹脂微粒子の含有割合が、20体積%〜70体積%であり、
    前記帯電制御樹脂微粒子のトナーに対する埋没率が、90%以上であり、
    前記帯電制御樹脂微粒子のブローオフ法による帯電量が、60μC/m以上であることを特徴とするトナー。
  2. 帯電制御樹脂微粒子のブローオフ法による帯電量が、100μC/m〜300μC/mである請求項1に記載のトナー。
  3. 帯電制御樹脂微粒子の平均円相当径が、90nm以上400nm以下である請求項1から2のいずれかに記載のトナー。
  4. 帯電制御樹脂微粒子のガラス転移温度が、65℃以上である請求項1から3のいずれかに記載のトナー。
  5. 帯電制御樹脂微粒子が、ビニル系樹脂であり、エステル系モノマーを構成成分として20質量%以上含む請求項1から4のいずれかに記載のトナー。
  6. 帯電制御樹脂微粒子が、スチレン系モノマーを構成成分として20質量%以上含む請求項1から5のいずれかに記載のトナー。
  7. 帯電制御樹脂微粒子が、サリチル酸系亜鉛錯体、サリチル酸系ジルコニウム錯体、及び有機ホウ素錯体の少なくともいずれかの帯電制御剤を含有する請求項1から6のいずれかに記載のトナー。
  8. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前
    記静電潜像を現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒
    体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少
    なくとも有し、前記現像剤が請求項1から7のいずれかに記載のトナーからなることを特徴とする画像形成装置。
  9. 有機溶媒中に少なくとも樹脂と着色剤とを溶解又は分散させた油相を調製する油相調製工程と、
    水系媒体を含む水相を調製する水相調製工程と、
    前記水系媒体中に前記油相を分散させ、油相からなるトナー粒子母体が分散した分散液を調製するトナー粒子母体作製工程と、
    前記トナー粒子母体作製工程において、前記水系媒体中に油相を分散した後、帯電制御樹脂微粒子を添加する帯電制御樹脂微粒子添加工程とを少なくとも含むことを特徴とするトナーの製造方法。
  10. 有機溶媒中に少なくとも樹脂と着色剤とを溶解又は分散させた油相を調製する油相調製工程と、
    水系媒体を含む水相を調製する水相調製工程と、
    前記水系媒体中に帯電制御樹脂微粒子を添加する帯電制御樹脂微粒子添加工程と、
    前記帯電制御樹脂微粒子が添加された水系媒体中に前記油相を分散させ、油相からなるトナー粒子母体が分散した分散液を調製するトナー粒子母体作製工程とを少なくとも含むことを特徴とするトナーの製造方法。
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