JP2013001651A - 透明液体口腔用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】アラントインの安定なpH域内で、pHの変動を抑制してアラントインの安定化を図り、優れた透明性と良好な使用感を兼ね備えた透明液体口腔用組成物を提供する。
【解決手段】次の成分(A)、(B)並びに(C):(A)アラントイン又はその塩 アラントイン換算量で0.01〜0.3質量%、(B)乳酸及びそのアルカリ金属塩 乳酸換算量で0.08〜0.12質量%、並びに(C)水 75〜99質量%を含有し、pHが4.5〜6である透明液体口腔用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明液体口腔用組成物に関する。
従来より、アラントインやその塩は、細胞の機能を活性化するとともに抗炎症作用、止血作用、殺菌作用、抗潰瘍作用等を有する有用な薬効成分であることが知られており、口腔用組成物の分野でも活用されている。例えば、特許文献1には、抗菌性を有する金属化合物と組み合わせることにより、歯周病及び口臭抑制効果の向上を図る口腔用組成物が開示されている。
その一方で、アラントインは加水分解しやすい性質を有しているため、これを安定に保持することが重要であり、各分野において種々の研究がなされている。例えば、特許文献2には、アラントインに有機酸や無機酸等を組み合わせて配合した水性製剤が開示されており、有機酸としてクエン酸や乳酸を配合した具体例が示されている。また、特許文献3には、クエン酸及びクエン酸塩を含有することによって、アラントインの加水分解を抑制した液体口腔用組成物が開示されている。
特開2010−189358号公報 特開2010−143889号公報 特開昭63−159317号公報
しかしながら、アラントインは、併用する有機酸の種類によっては、pHの変動に伴ってアラントインによる沈殿物が生成することがあり、また保存温度によってpHが変動することが判明した。そのため、アラントインの安定性を担保しつつ、アラントインの安定性を保持するpH域内にpHを維持するには、適切な有機酸を選択する上でさらなる検討が必要であり、特に透明性が強く要求される液体口腔用組成物にアラントインを配合するにあたっては、こうしたpHとの兼ね合いを充分に考慮しなければならない。
したがって、本発明の課題は、アラントインの安定なpH域内で、pHの変動を抑制してアラントインの安定化を図り、優れた透明性と良好な使用感を兼ね備えた透明液体口腔用組成物を提供することにある。
そこで本発明者らは、アラントインを含有する安定な透明液体口腔用組成物を開発すべく種々検討し、クエン酸やリンゴ酸のような有機酸を配合した場合には、pHの変動に伴ってアラントインによる沈殿物が生成されてしまうことから、他の有機酸の配合をさらに検討したところ、乳酸及びそのアルカリ金属塩と特定量の水とを含有することにより、アラントインの安定なpH域内で、pHの変動を抑制してアラントインの加水分解及び沈殿を抑制し、優れた透明性と良好な香味を有する透明液体口腔用組成物が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)並びに(C):
(A)アラントイン又はその塩 アラントイン換算量で0.01〜0.3質量%、
(B)乳酸及びそのアルカリ金属塩 乳酸換算量で0.08〜0.12質量%、並びに
(C)水 75〜99質量%
を含有し、pHが4.5〜6である透明液体口腔用組成物を提供するものである。
本発明によれば、アラントインの安定な限られたpH域内で、pHの変動を抑制して、アラントインの加水分解及び沈殿を抑制することができる。したがって、アラントインの薬効成分としての作用を充分に発揮しながら、優れた透明感と良好な味を保持し、保存安定性に優れた透明液体口腔用組成物を得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の透明液体口腔用組成物は、アラントイン又はその塩(A)を含有する。成分(A)は、細胞の機能を活性化するとともに抗炎症作用、止血作用、殺菌作用、抗潰瘍作用等を有する薬効成分である。
アラントインは、化学名は5−ウレイドヒダントインであって、その塩としては、アラントインアセチル−DL−メチオニン、アラントイン ポリガラクツロン酸、アラントインアスコルビン酸、アラントイングリシル、アラントインジヒドロキシアルミニウム(アルジオキサ)、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム(アルクロキサ)等が挙げられる。このうち、アラントインの金属塩が好ましく、特にアラントインクロルヒドロキシアルミニウムが好ましい。
アラントイン又はその塩(A)の含有量は、後述する特定のpH域内において良好な安定性を保持する点から、本発明の透明液体口腔用組成物中にアラントイン換算量で0.01〜0.3質量%であり、好ましくは0.02〜0.2質量%であり、より好ましくは0.03〜0.15質量%である。
本発明の透明液体口腔用組成物は、乳酸及びそのアルカリ金属塩(B)を含有する。成分(B)は、pHの変動を抑制してpH調整剤としての充分な緩衝能を発揮するとともに、口腔用として適用可能なpH域でアラントインを沈殿させるおそれがなく、また良好な香味をもたらすことができる。
乳酸アルカリ金属としては、例えば、乳酸ナトリウム、乳酸カリウムが挙げられ、味の点から、乳酸ナトリウムが好ましい。なお、例えば、アルカリ金属イオンを含む化合物と乳酸とを配合して、乳酸の一部とアルカリ金属との間で塩を形成させることにより、成分(B)の乳酸と乳酸のアルカリ金属塩とを含有させてもよい。
乳酸及びそのアルカリ金属塩(B)の含有量は、後述する特定のpH域への調整を可能としつつ、長期に亘りpHを安定に保持し、アラントインによる沈殿物の生成を抑制する点から、本発明の透明液体口腔用組成物中に乳酸換算量で0.08〜0.12質量%であり、好ましくは0.085〜0.115質量%であり、より好ましくは0.085〜0.11質量%である。また、乳酸及びそのアルカリ金属塩(B)の本発明の透明液体口腔用組成物への配合量は、pHの安定性、アラントインによる沈殿物の生成の抑制及び香味の点から、本発明の透明液体口腔用組成物中に、好ましくは0.095〜0.135質量%であり、より好ましくは0.1〜0.13質量%である。
乳酸の配合量と乳酸アルカリ金属塩の配合量との質量比(乳酸アルカリ金属塩/乳酸)は、pHの安定性と良好な香味との両立を図る点から、好ましくは2.2〜5であり、より好ましくは2.4〜4である。また、乳酸の配合量と乳酸アルカリ金属塩の配合量とのモル比(乳酸アルカリ金属塩/乳酸)は、pHの安定性と香味を良好にする点から、好ましくは1.8〜4.5であり、より好ましくは1.9〜4であり、さらに好ましくは2〜3.5である。
なお、本発明の透明液体口腔用組成物における乳酸以外の有機酸の含有量は、特定のpH域内におけるアラントインによる沈殿物の生成を抑制する点及び香味の点から、好ましくは0.05質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以下であり、さらに0.001質量%以下が好ましく、さらに含有しないのが好ましい。乳酸以外の有機酸としては、具体的には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の一塩基酸;シュウ酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、マレイン酸等の二塩基酸;グリコール酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、グリセリン酸等の乳酸以外のヒドロキシカルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸;ピルビン酸、アセト酢酸、レブリン酸等のケト酸;安息香酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸;エチレンジアミンテトラ酢酸等のポリカルボン酸類;その他イソクエン酸、マロン酸、グルタル酸、グルクロン酸、コウジ酸、フィチン酸、アコニット酸、グリセロリン酸等が挙げられる。
また、本発明の透明液体口腔用組成物における無機酸の含有量は、特定のpH域内におけるアラントインによる沈殿物の生成を抑制する点から、好ましくは0.01質量%以下であり、より好ましくは0.001質量%以下であり、さらに含有しないのが好ましい。無機酸としては、具体的には、例えば、塩酸、硫酸、炭酸、リン酸等が挙げられる。
本発明の透明液体口腔用組成物は、水(C)を本発明の透明液体口腔用組成物中に75〜99質量%含有する。水(C)の含有量は、使用感、味の点から、好ましくは80〜97質量%であり、より好ましくは85〜95質量%である。水(C)の含有量は、配合量と同じであって、成分(C)には、精製水、イオン交換水のほか、各成分に含有される水を含む。
本発明の透明液体口腔用組成物は、pHが4.5〜6である。このようなpH域であれば、口腔用として適用可能であるとともに、組成物中でアラントインを安定に保持して残留率が低下するのを効果的に抑制することができる。具体的には、例えば、5℃で保存した際におけるアラントインの含有量を基準とした場合、50℃で1ヶ月間保存した後におけるアラントインの残存率が95%以上であるのが望ましい。アラントインの残留率をより高める点から、好ましくはpHが4.7〜5.8であり、より好ましくはpHが4.7〜5.5である。
本発明の透明液体口腔用組成物は、さらにβ−グリチルレチン酸又はその塩(D)を含有するのが好ましい。β−グリチルレチン酸又はその塩(D)は、抗炎症作用、歯槽骨吸収抑制作用、ヒスタミン遊離抑制作用等を有するので、本発明の透明液体口腔用組成物に配合することによって、さらに歯周炎、歯周病等の予防改善作用を奏することができる。
β−グリチルレチン酸は、甘草等から得られるグリチルリチン酸を加水分解することにより得られる3β−ヒドロキシ−11−オキソオレアナ−12−エン−30−カルボン酸である。β−グリチルレチン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩が挙げられる。このうち、β−グリチルレチン酸が好ましい。
β−グリチルレチン酸又はその塩(D)の含有量は、薬理作用、分散性、安定性及び透明性の点から、本発明の透明液体口腔用組成物中にグリチルレチン酸換算量で、好ましくは0.006〜0.06質量%である。より好ましい成分(D)の含有量は、充分な薬理作用を得る点と、成分(D)の分散性が低下することによる析出物や沈殿物の生成を防止する点から、本発明の透明液体口腔用組成物中にグリチルレチン酸換算量で0.008〜0.055質量%であり、さらに好ましくは0.01〜0.05質量%である。β−グリチルレチン酸又はその塩(D)の配合量は、上記の含有量と同じである。
また、β-グリチルレチン酸又はその塩(D)を含有する場合、アラントイン又はその塩(A)の含有量は、β-グリチルレチン酸又はその塩(D)の分散性向上による透明性向上及び香味の向上の点から、本発明の透明液体口腔用組成物中にアラントイン換算量で、好ましくは0.01〜0.3質量%であり、より好ましくは0.02〜0.25質量%であり、さらに好ましくは0.03〜0.2質量%である。さらに、本発明の透明液体口腔用組成物中のアラントイン又はその塩(A)の含有量とβ-グリチルレチン酸又はその塩(D)の含有量とのモル比(A/D)は、成分(D)の分散性、組成物の透明性、及び香味の点から、好ましくは0.8〜75であり、より好ましくは1.5〜50であり、さらに好ましくは2〜25である。
本発明の透明液体口腔用組成物は、さらにトリクロサン及びイソプロピルメチルフェノールから選ばれる非イオン性殺菌剤(E)を含有するのが好ましい。これら成分(E)は1種単独で用いてもよく、2種組み合わせて用いてもよい。本発明の透明液体口腔用組成物に塩化セチルピリジニウムのようなカチオン性殺菌剤を配合すると、pHが変動しやすくなるおそれがあるところ、トリクロサン及びイソプロピルメチルフェノールから選ばれる非イオン性殺菌剤(E)であれば、pHの変動を抑制することができ、これら成分(E)を安定に保持しながら有効に殺菌効果を発揮させることも可能である。なかでも、透明性及び殺菌効果の確保の点から、トリクロサンが好ましい。
本発明の透明液体口腔用組成物に非イオン性殺菌剤(E)を含有する場合、成分(E)の含有量は、本発明の透明液体口腔用組成物中に好ましくは0.001〜0.1質量%であり、より好ましくは0.01〜0.08質量%である。
本発明の透明液体口腔用組成物は、さらに粘結剤を本発明の透明液体口腔用組成物中に0.1質量%以下で含有してもよく、好ましくは0.05質量%以下の含有量であり、さらに好ましくは0.01量%以下の含有量であり、或いは粘結剤を含有しなくてもよい。粘結剤を上記範囲内の含有量のように少量で含有する場合には、適度なとろみ感を実現することができる。本発明の透明液体口腔用組成物は、粘結剤を含有しないか又は0.1質量%以下で含有していても、透明性、安定性を向上することができる。
粘結剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明の透明液体口腔用組成物は、β−グリチルレチン酸又はその塩(D)のような油溶性成分の分散性及び香味や使用感の点から、さらに非イオン性界面活性剤を含有するのが好ましい。
かかる非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトステロール及びフィトスタノール、ポリオキシエチレンラノリン及びラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン及び脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル及び脂肪酸エタノールアミドなどが挙げられる。このうち、成分(D)等の油溶性成分の分散性、安定性及び香味の点から、炭素数14〜20の脂肪酸残基、アルキル基又はアルケニル基を有するものが好ましい。また、成分(D)等の油溶性成分の分散性の点から、HLBが10〜20のものが好ましく、特にHLB12〜19のものが好ましい。これらの非イオン性界面活性剤は1種又は2種以上を組み合せて用いられる。ここで、HLBはグリフィン(Griffin)の式(J.Soc.Cosmet.Chem.,1,311(1949))により求められるものである。
本発明の透明液体口腔用組成物には、上記成分以外に、糖アルコール、多価アルコール、甘味剤、エタノール等の低級アルコール、湿潤剤、保存料、フッ化物、その他の薬効剤、酵素、色素、香料等を含有させることができる。
糖アルコールとしては、例えば、エリスリトール、キシリトール、リビトール、アラビトール、ガラクチトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、還元パラチノース、ラクチトール、マルトトリイトール、イソマルトトリイトール、マルトテトライトール、イソマルトテトライトール、還元水あめ類等が挙げられる。なかでも、香味の観点から、エリスリトール、キシリトール、マルチトールが好ましく、エリスリトール、キシリトールがさらに好ましい。本発明の透明液体口腔用組成物における糖アルコールの含有量は、0.5〜10質量%が好ましく、1〜8質量%がより好ましく、3〜7質量%がさらに好ましい。
多価アルコールとしては、例えば、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等が挙げられる。なかでも、香味の点から、グリセリンが好ましい。多価アルコールの含有量は、香味の観点から、本発明の透明液体口腔用組成物中に好ましくは8質量%以下であり、より好ましくは6質量%以下であり、さらに好ましくは4質量%以下である。
甘味剤としては、具体的には、例えば、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、ソウマチン、アスパラチルフェニルアラニルメチルエステル、スクラロース等が挙げられる。なかでも、より良好な香味を付与する点から、スクラロースが好ましい。
本発明の透明液体口腔用組成物は、優れた透明性を有している。透明性を有しているとは、沈殿物が沈降している状態、2層に分離した状態、又は濁った状態が目視で確認されないことを意味し、透明又は半透明であるのが好ましく、着色されていてもよい。本発明において透明又は半透明であるとは、光路長10mmのセルにおける吸収波長550nmの光の透過率が80%以上であることをいい、透過率90%以上であることがさらに好ましい。このような本発明の透明液体口腔用組成物は、液体歯磨剤、水歯磨剤、洗口剤、マウススプレー、うがい薬等として適用できるが、特に液体歯磨剤及び洗口剤とするのが好ましい。
本発明の透明液体口腔用組成物の製造方法は、精製水に必要に応じて糖アルコール、グリセリン等の多価アルコールを混合する第1水溶性成分混合液製造工程と、精製水に乳酸及びそのアルカリ金属塩並びにアラントイン又はその塩等を混合するアラントイン類含有液製造工程と、エタノール等の低級アルコール等の溶剤に必要に応じて非イオン性殺菌剤や非イオン性界面活性剤、香料、β-グリチルレチン酸、α-トコフェロール等の油溶性成分を配合し混合する油溶性成分含有液の製造工程とを備え、第1水溶性成分混合液とアラントイン類含有液とを混合する水溶性成分混合液製造工程と、水溶性成分混合液と油溶性成分含有液とを混合する工程とを備える。第1水溶性成分混合液製造工程は、10〜40℃で混合することが好ましく、アラントイン類含有液の製造工程は、アラントイン類含有液を10〜65℃で、好ましくは20〜55℃で、さらに好ましくは40〜55℃で混合することが好ましく、混合時間は8〜12分間が好ましい。油溶性成分含有液の製造工程は、10〜40℃で混合することが好ましい。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
[実施例1、比較例1〜5]
表1に示す処方にしたがって、各液体口腔用組成物(洗口剤)を調製した。得られた液体口腔用組成物を用い、下記方法にしたがって、各評価を行った。結果を表1に示す。
《調製直後のpH》
調製した直後の各液体口腔用組成物のpHを測定した。
《沈殿物の有無》
調製した直後の各液体口腔用組成物を目視により観察し、アラントインによる沈殿物が生じていない場合を「無」、沈殿物が生じている場合を「有」として評価した。
《香味》
各液体口腔用組成物を用いて、パネラー3名が1分間洗口し、渋味や塩味の評価を行った。渋味や塩味等が全く感じられない場合を「良好」、渋味や塩味等がほぼ感じられない場合を「概ね良好」、渋味や塩味等がややするが問題ない場合を「やや良好」、渋味、塩味又は酸臭が感じられた場合はその感じられた香味を示して評価した。表には3名の協議による評価を示す。
《透明性》
調製した直後の各液体口腔用組成物を目視により観察し、光路超10mmのセル、吸収波長550nmの光の透過率が90%以上である場合を「透明」、濁りが生じている場合を「濁り」として評価した。
Figure 2013001651
表1の結果より、乳酸及びそのナトリウム塩の代わりに、クエン酸及びそのナトリウム塩を含有する比較例1、及びリンゴ酸及びそのナトリウム塩を含有する比較例2は、沈殿物が生成して透明性に劣ることがわかる。また、酢酸及びそのナトリウム塩を含有する比較例3〜5は、沈殿物は生成しなかったものの、その含有量を低減させても酢酸臭により香味評価が劣り、口腔用には不向きであることがわかる。
[実施例2〜4、比較例6〜8]
実施例2〜4、比較例6〜8は、乳酸の含有量を表2に示す含有量にしたがって変動させ、pHが5.0〜5.3になるように乳酸ナトリウムを表2に示す含有量とした以外、実施例1の処方に準じ、精製水の含有量を調整することによって各液体口腔用組成物を調製した。−5℃及び50℃で1ヶ月間保存し、各温度での保存後のpHを測定し、その差を求め、上記と同様にして香味の評価を行った。実施例1の評価を含め、結果を表2に示す。
Figure 2013001651
表2によれば、実施例1〜4と比較例6、7との間に、1ヶ月間保存後における−5℃と50℃でのpH値の差は0.5以下であり大きな差異はなく、緩衝能の点からは大きな影響は認められなかった。しかしながら、比較例6〜7は実施例1〜4に比べ、香味の点で評価が劣り、特に50℃の高温環境下で塩味が強く感じられた。一方、比較例8は香味の点では概ね良好であるものの、−5℃と50℃でのpH値の差は0.5より大きくなるため、長期保存によるアラントインの安定性に課題があると考えられる。
[実施例5〜7]
実施例5〜7を、実施例1と同様に各液体口腔用組成物を調製した。上記と同様にして、透明性、香味の評価を行った。結果を表3に示す。成分(A)と成分(D)の含有量を変更したが、沈殿は認められず、香味も良好である評価が得られた。
Figure 2013001651

Claims (7)

  1. 次の成分(A)、(B)並びに(C):
    (A)アラントイン又はその塩 アラントイン換算量で0.01〜0.3質量%、
    (B)乳酸及びそのアルカリ金属塩 乳酸換算量で0.08〜0.12質量%、並びに
    (C)水 75〜99質量%
    を含有し、pHが4.5〜6である透明液体口腔用組成物。
  2. さらに、(D)β−グリチルレチン酸又はその塩を含有する請求項1に記載の透明液体口腔用組成物。
  3. (D)β−グリチルレチン酸又はその塩の含有量が、グリチルレチン酸換算量で0.006〜0.06質量%である請求項2に記載の透明液体口腔用組成物。
  4. 乳酸の配合量と乳酸アルカリ金属塩の配合量との質量比(乳酸アルカリ金属塩/乳酸)が、2.2〜5である請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明液体口腔用組成物。
  5. さらに、(E)トリクロサン及びイソプロピルメチルフェノールから選ばれる非イオン性殺菌剤を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明液体口腔用組成物。
  6. 粘結剤の含有量が0.1質量%以下であり、又は粘結剤を含有しない請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明液体口腔用組成物。
  7. さらに、非イオン性界面活性剤を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の透明液体口腔用組成物。
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