JP7409759B2 - 口腔用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ヒノキチオールと、アラントイン及び/又はその誘導体(以下、「アラントイン類」と表記することもある)と、水とを含みながらも変色が抑制されている口腔用組成物に関する。
2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体等のホスホコリン基含有重合体は、生体への親和性が高く、更に保湿性、口腔内への微生物の付着防止、歯肉炎の予防等の作用も報告されており、口腔用組成物において利用されている(例えば、特許文献1~3参照)。
アラントイン類は、細胞の機能を活性化するとともに抗炎症作用、止血作用、殺菌作用、抗潰瘍作用等を有することが知られており、口腔用組成物に使用されている(例えば、特許文献4参照)。
また、う蝕や歯周病の病原菌数を低下させるための殺菌剤が口腔用組成物に使用されている。口腔用組成物に使用される殺菌剤は種々知られているが、ヒノキチオールは、低毒性で幅広い抗菌スペクトルを示すため、口腔用組成物に広く使用されている。ヒノキチオールには、変色、含量減少といった不安定性の問題がある。ヒノキチオールの安定性を維持するために種々の提案がなされている。
例えば、特許文献5では、ヒノキチオールを含有する口腔用組成物に対して、塩化ナトリウム等の水易溶性無機塩を配合することが記載されている。さらに良好な保存安定性を得る技術として、特許文献6では、ヒノキチオールを含有する口腔用組成物に対して、0.02~1質量%のエデト酸塩と、0.2~10重量%のエタノールと、エタノールに対し質量比で3~200倍の水とを配合することが記載されている。しかしながら、特許文献6の製剤化技術では、処方に制約があるため、近年の多様化する液状口腔用組成物の処方に対応できないケースがある。そこで、口腔用組成物において、ヒノキチオールを安定化させる新たな製剤技術の開発が望まれている。
特開2006-219450号公報 特開2011-153101号公報 特開2015-853号公報 特開2011-168557号公報 特開平4-198121号公報 特開2010-150155号公報
本発明者は、ヒノキチオールを含む口腔用組成物の製剤安定性について検討を行ったところ、ヒノキチオールをアラントイン類と共存させると、顕著な変色が生じるという新たな課題に直面した。つまり、ヒノキチオールとアラントインとを水中に含む口腔用組成物には、変色の問題という特有の課題が併存することが明らかとなった。
そこで本発明の目的は、ヒノキチオールとアラントイン類と水とを含みながらも、変色が抑制できる製剤化技術を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、口腔用組成物において、ヒノキチオール、アラントイン類、及び水と共に、ホスホコリン基含有重合体を含有する口腔用組成物は、変色が抑制できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)ヒノキチオールと、(B)アラントイン及びその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種と、(C)ホスホコリン基含有重合体と、(D)水と、を含有する口腔用組成物。
項2. 前記(C)成分が、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体である、項1又に記載の口腔用組成物。
項3. (A)ヒノキチオール、(B)アラントイン及びその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種及び(D)水を含有する口腔用組成物における変色を抑制するために使用される変色抑制剤であって、
(C)ホスホコリン基含有重合体を有効成分とする、変色抑制剤。
項4. (A)ヒノキチオール、(B)アラントイン及びその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種及び(D)水を含有する口腔用組成物における変色を抑制する方法であって、
口腔用組成物に、前記(A)成分と前記(B)成分と前記(D)成分と共に、(C)ホスホコリン基含有重合体を配合する、変色を抑制する方法。
本発明の口腔用組成物によれば、ヒノキチオールとアラントイン類と水とを含みながらも、変色が抑制でき、優れた製剤安定性を有しているので、保存中に良好な外観を維持でき、使用時にも良好な外観となることを可能とするとともに、ヒノキチオールによる効果の減弱を抑制することができる。
1.口腔用組成物
本発明の口腔用組成物は、(A)ヒノキチオール(以下、(A)成分と表記することがある)と、(B)アラントイン及び/又はその誘導体(以下、(B)成分と表記することがある)と、(C)ホスホコリン基含有重合体(以下、(C)成分と表記することがある)と、(D)水(以下、(D)成分と表記することがある)とを含有することを特徴とする。以下、本発明の口腔用組成物について詳述する。
(A)ヒノキチオール
本発明の口腔用組成物は、(A)成分としてヒノキチオールを含有する。ヒノキチオールは、低毒性で幅広い抗菌スペクトルを示す殺菌作用を有することが知られている公知の薬剤である。
本発明において、ヒノキチオールは、天然物由来のものを使用してもよく、化学合成されたものを使用してもよい。また、本発明で使用されるヒノキチオールは、精製品又は粗精製品の別を問わず、例えば、樹木から得られたヒノキチオール含有精油を使用することもできる。
本発明の口腔用組成物における(A)成分の含有量については、当該口腔用組成物の製剤形態や用途等に応じて適宜設定されるが、優れた殺菌作用を発揮させるという観点から、通常0.001~0.5重量%、好ましくは0.005~0.3重量%、より好ましくは0.01~0.2重量%が挙げられる。
(B)アラントイン類
本発明の口腔用組成物は、(B)成分として、アラントイン及びその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する。
アラントインは、5-ウレイドヒダントインとも称される化合物であり、抗炎症作用、細胞賦活作用、止血作用、殺菌作用、抗潰瘍作用等を有することが知られている公知の薬剤である。
アラントインの誘導体としては、薬学的に許容できることを限度として特に制限されないが、具体的には、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインヒドロキシアルミニウム等が挙げられる。これらのアラントインの誘導体は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の口腔用組成物において、(B)成分として、アラントイン及びその誘導体の中から、1種を選択して使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの(B)成分の中でも、優れた安定性を得る観点から、好ましくはアラントインが挙げられる。
本発明の口腔用組成物において、(B)成分の含有量については、当該口腔用組成物に備えさせるべき薬効、当該口腔用組成物の製剤形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.001~2重量%、好ましくは0.005~0.5重量%、更に好ましくは0.01~0.3重量%が挙げられる。
(C)ホスホコリン基含有重合体
本発明の口腔用組成物は、(C)成分として、ホスホコリン基含有重合体を含有する。ホスホコリン基含有重合体は、(A)成分及び(B)成分と共存させることで、変色を抑制することができる。
ホスホコリン基含有重合体とは、ホスホコリン基を含む単量体(以下、「ホスホコリン基含有単量体」と表記することがある)が重合したポリマーであり、保湿作用等を有する公知の成分である。
ホスホコリン基含有重合体において、ホスホコリン基含有単量体の種類については、特に制限されないが、例えば、ホスホコリン基とビニル基を有する単量体が挙げられる。ホスホコリン基含有単量体として、より具体的には、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルエタノールアミン等が挙げられる。ホスホコリン基含有重合体において、ホスホコリン基含有単量体は1種単独で含まれていてもよく、また2種以上組み合わされて含まれていてもよい。これらのホスホコリン基含有単量体の中でも、変色抑制効果をより一層向上させるという観点から、好ましくは2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが挙げられる。
本発明で使用されるホスホコリン基含有重合体は、1種のホスホコリン基含有単量体からなる単重合体であってもよく、また2種以上の単量体からなる共重合体であってもよい。
ホスホコリン基含有重合体が共重合体である場合、2種以上のホスホコリン基含有単量体からなる共重合体であってもよく、また少なくとも1種のホスホコリン基含有単量体と少なくとも1種のホスホコリン基含有単量体以外の単量体からなる共重合体であってもよい。
ホスホコリン基含有重合体に含まれるホスホコリン基含有単量体以外の単量体の種類については、薬学的に許容されるものであってホスホコリン基含有単量とラジカル重合可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、ビニル基を有する単量体が挙げられる。ホスホコリン基含有単量体以外の単量体として、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メタクリル酸ナトリウム、2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。ホスホコリン基含有重合体において、ホスホコリン基含有単量体以外の単量体は1種単独で含まれていてもよく、また2種以上組み合わされて含まれていてもよい。これらのホスホコリン基含有単量体以外の単量体の中でも、保湿作用を有効に発揮させつつ変色抑制効果をより一層向上させるという観点から、好ましくはアルキル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウム、更に好ましくはアルキル基の炭素数が1~18のアルキル(メタ)アクリレート、より好ましくはアルキル基の炭素数が3~5のアルキル(メタ)アクリレート、特に好ましくはブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレート及び/又はアクリレートを示す。
本発明で使用されるホスホコリン基含有重合体として、具体的には、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン単重合体、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体(ポリクオタニウム-51)、2-メタクリロイルオキシエチレンホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル・メタクリル酸ナトリウム共重合体(ポリクオタニウム-65)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウム共重合体(ポリクオタニウム-64)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ステアリル共重合体(ポリクオタニウム-61)等が挙げられる。なお、ホスホコリン基含有重合体に関する前記表記において、括弧内の名称は化粧品成分表示名称を示す。
本発明の口腔用組成物において、(C)成分として、1種のホスホコリン基含有重合体を使用してもよく、また2種以上のホスホコリン基含有重合体を組み合わせて使用してもよい。
これらの(C)成分の中でも、保湿作用を有効に発揮させつつ変色抑制効果をより一層向上させるという観点から、好ましくは、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン単重合体、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウム共重合体;更に好ましくは、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウム共重合体;特に好ましくは、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体が挙げられる。
本発明の口腔用組成物において、(C)成分の含有量については、特に制限されないが、変色抑制効果をより一層向上させるという観点から、例えば、(C)成分の総量で0.05重量%以上、好ましくは0.05~0.5重量%、更に好ましくは0.05~0.3重量%、一層好ましくは0.05~0.25重量%が挙げられる。
本発明の口腔用組成物において、(A)成分に対する(C)成分の比率については、(A)成分及び(B)成分の各含有量に応じて定まるが、変色抑制効果をより一層向上させるという観点から、例えば、(A)成分の1重量部当たり、(C)成分の総量が0.1重量部以上、好ましくは0.1~500重量部、より好ましくは0.15~60重量部、更に好ましくは0.25~25重量部が挙げられる。
(D)水
本発明の口腔用組成物は、基剤として水を含有する。前記の(A)成分及び(B)成分は、水との共存下で保存すると、変色を生じる傾向を示すが、本発明の口腔用組成物によれば、このような変色を効果的に抑制することができる。
本発明の口腔用組成物において、(D)成分の含有量については、その製剤形態等に応じて適宜設定されるが、例えば、1~95重量%、好ましくは3~90重量%、更に好ましくは5~85重量%が挙げられる。
その他の成分
本発明の口腔用組成物は、前述する成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、口腔用組成物の製剤形態に応じて、当該技術分野で通常使用される成分を含有していてもよい。このような成分としては、例えば、防腐剤、殺菌剤、抗菌剤、消炎剤、研磨剤、グルコシルトランスフェラーゼ(GTase)阻害剤、プラーク抑制剤、知覚過敏抑制剤、歯石予防剤、歯質強化/再石灰化剤、抗ヒスタミン剤、局所麻酔剤、血行促進剤、増粘剤、湿潤剤、賦形剤、香料、甘味剤、清涼化剤、色素、消臭剤、界面活性剤、溶剤、pH調整剤等が挙げられる。
防腐剤、殺菌剤、抗菌剤としては、上述の(A)成分を除く成分であればよく、例えば、安息香酸類、サリチル酸類、ソルビン酸類、パラベン類、塩化デカリニウム、塩化クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、塩化リゾチーム、塩酸クロルヘキシジン、ヨウ化カリウム等が挙げられる。
消炎剤としては、上述の(B)成分を除く成分であればよく、例えば、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸メチル、グリチルリチン酸ステアリル、グリチルレチン酸ピリドキシン、グリチルレチン酸ステアリル、グリチルレチン酸グリセリル、グリチルレチン酸モノグルクロニド、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、アズレン、塩化ナトリウム、ビタミン類等が挙げられる。
研磨剤としては、例えば、無水ケイ酸、含水ケイ酸、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、結晶セルロース、ポリエチレン末、炭粒等が挙げられる。
GTase阻害剤としては、例えば、アカバナ科マツヨイグサ属植物の抽出物、ブドウ科ブドウ属植物の抽出物、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、タステイン、タンニン類、エラグ酸、ポリフェノール、ウーロン茶抽出物、緑茶抽出物、センブリ、タイソウ、ウイキョウ、芍薬、ゲンチアナ、センソ、龍胆、黄連等が挙げられる。
プラーク抑制剤としては、例えばクエン酸亜鉛やグルコン酸等が挙げられる。
知覚過敏抑制剤としては、例えば、硝酸カリウム、塩化ストロンチウム等が挙げられる。
歯石予防剤としては、例えば、ポリリン酸塩類、ゼオライト、エタンヒドロキシジホスフォネート等が挙げられる。
歯質強化/再石灰化剤としては、例えば、フッ素、フッ化ナトリウム、フルオロリン酸ナトリウム、フッ化第一スズ等が挙げられる。
抗ヒスタミン剤としては、例えば、ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン等が挙げられる。
局所麻酔剤としては、例えば、プロカイン、テトラカイン、ブピパカイン、メピパカイン、クロロプロカイン、プロパラカイン、メプリルカイン又はこれらの塩、オルソカイン、オキセサゼイン、オキシポリエントキシデカン、ロートエキス、ペルカミンパーゼ、テシットデシチン等が挙げられる。
血行促進剤としては、例えば、ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、カプサイシン、トウガラシエキス等が挙げられる。
増粘剤としては、例えば、プルラン、プルラン誘導体、デンプン等の多糖類;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩類(カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカリウム等)、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩(ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸・アクリル酸オクチルエステル共重合体等)、メタアクリル酸類の共重合体(メタアクリル酸とアクリル酸 n-ブチルの重合体、メタアクリル酸とメタアクリル酸メチルの重合体及びメタアクリル酸とアクリル酸エチルの重合体等)等のセルロース系高分子物質;カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の合成高分子物質;レクチン、アルギン酸、アルギン酸塩(アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸トリエタノールアミン、アルギン酸トリイソプロパノールアミン、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ブチルアミン、アルギン酸ジアミルアミン等)、コンドロイチン硫酸ナトリウム、寒天、キトサン、カラギーナン等の天然系高分子物質;コラーゲン、ゼラチン等のアミノ酸系高分子物質;アラビアガム、カラヤガム、トラガカントガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアガム、タマリンドガム、ジェランガム等のゴム系高分子物質等が挙げられる。
湿潤剤としては、例えば、グリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キシリトール、マルチトール、ラクトール、エリスリトール等が挙げられる。
賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、マンニトール、デンプン、デキストリン、結晶セルロース、シリカ(軽質無水ケイ酸等)等が挙げられる。
香料としては、例えば、天然香料(ウイキョウ油等)、合成香料、これらの調合香料等が挙げられる。
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、ステビアエキス、アスパルテーム、キシリトール、水飴、蜂蜜、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、エリスリトール、糖類(乳糖、白糖、果糖、ブドウ糖等)等が挙げられる。
清涼化剤としては、例えば、メントール、エリスリトール、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、これらを含む精油等が挙げられる。
色素としては、例えば、天然色素、合成色素、これらの混合物が挙げられる。
消臭剤としては、例えば、塩化亜鉛、銅クロロフィリンナトリウム、コーヒー生豆抽出物、ゴボウパウダー、緑茶、焙煎米糠エキス等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、N-ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、N-ミリストリルサルコシン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、N-パルミトイルグルタルミン酸ナトリウム、N-メチル-N-アシルタウリンナトリウム等の陰イオン性界面活性剤;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、マルチトール脂肪酸エステル、ラクトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤;ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミンオキシド、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、N-ラウリルジアミノエチルグリシン、N-ミリスチルジアミノエチルグリシン、N-アルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリンベタインナトリウム等の両性界面活性剤;塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム等の陽イオン性界面活性剤が挙げられる。
溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、イソプロパノール等の1価アルコール等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、リン酸、安息香酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸水素ナトリウム、乳酸ナトリウム、乳酸カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明の口腔用組成物において、これらの成分を含有させる場合、その含有量については、当該技術分野で通常使用される範囲で適宜設定すればよい。
pH
また、本発明の口腔用組成物のpHについては、口腔内への適用が許容される範囲で適宜設定すればよいが、例えば、4~8、好ましくは5~7.5、更に好ましくは6~7が挙げられる。ここで、pHとは、25℃の温度条件下で測定される値である。
製剤形態
本発明の口腔用組成物の剤型については、口腔内への適用が可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、液状又は半固形状(ゲル状、ペースト状)が挙げられる。
本発明の口腔用組成物の製剤形態については、口腔内に適用されて口腔内で一定時間滞留し得るものである限り特に制限されないが、例えば、液体歯磨剤、液状歯磨剤、練歯磨剤、洗口液(液体歯磨剤、洗口液は、一般にマウスリンス、マウスウォッシュ、デンタルリンス等と呼称されることがある)、口中清涼剤(マウススプレー等)、口腔用軟膏剤等の口腔衛生剤が挙げられる。これらの中でも、好ましくは液体歯磨剤、液状歯磨剤、練歯磨剤、洗口液、更に好ましくは液体歯磨剤、練歯磨剤、洗口液が挙げられる。
容器
本発明の口腔用組成物を充填する容器の材質としては特に限定されない。容器の材質の例としては、ガラス及び樹脂が挙げられる。樹脂の具体例としては、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、及びポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂が挙げられる。変色抑制効果をより一層発揮させる観点からは、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリプロピレンがより好ましい。なお、容器が樹脂を含み、複層構造からなる積層体で構成される場合、上述の樹脂からなる樹脂層が容器の最内層となるように構成される。なお、上述の(C)成分を配合しない口腔用組成物は、ガラス容器の内壁に不溶性成分が吸着するが、本発明の口腔用組成物において(C)成分を配合することにより、ガラス製容器の内壁への不溶性成分の吸着も抑制することができる。
また、容器の形状としては特に限定されず、チューブ、ボトル等どのような形状であってもよい。
2.変色抑制剤、及び変色を抑制する方法
前述するように、ホスホコリン基含有重合体は、ヒノキチオール、アラントイン類、及び水を含む口腔用組成物において、変色を抑制することができる。従って、本発明は、更に、ヒノキチオール、アラントイン類及び水を含む口腔用組成物における変色を抑制するために使用される変色抑制剤であって、ホスホコリン基含有重合体を有効成分とする変色抑制剤を提供する。また、本発明は、ヒノキチオール、アラントイン類、及び水を含む口腔用組成物において、変色を抑制する方法であって、口腔用組成物に、ヒノキチオール、アラントイン類、及び水と共に、ホスホコリン基含有重合体を配合する方法を提供する。
前記変色抑制剤はホスホコリン基含有重合体の添加剤としての用途であり、また、前記変色を抑制する方法は、ホスホコリン基含有重合体を利用して、ヒノキチオール、アラントイン類、及び水を含む口腔用組成物における変色を抑制する方法である。
前記変色抑制剤及び変色を抑制する方法において、使用する成分の種類や使用量、口腔用組成物の形態等については、前記「1.口腔用組成物」の欄に示す通りである。
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
試験例
表1に示す組成の液剤を調製した。具体的には、実施例においては、精製水にヒノキチオールを加えて撹拌し、溶解させた後、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体を添加して撹拌混合した。その後、アラントインを添加して撹拌し、溶解させた。すべての工程は80℃の加温条件にて行った。比較例及び参考例においては、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体、又はさらにアラントイン又はヒノキチオールを用いなかったことを除いて同様に液剤を得た。得られた液剤を、ガラス製のスクリュー管瓶(容量110mL)、ポリプロピレン(PP)製のボトル容器(容量100mL)、又はポリエチレンテレフタレート(PET)製のボトル容器(容量100mL)にそれぞれ50mL充填した。なお、全ての容器は透明タイプのものを使用した。各液剤について以下のとおり変色抑制性を評価した。
<変色抑制性>
充填した液剤を、遮光条件下、60℃で7日間保存した。その後、常温に戻し、以下に示す判定基準に従って変色抑制の程度を評価した。
××:製剤に極めて著しい変色が認められる。
×:製剤に著しい変色が認められる。
○:製剤に著しい変色が認められない。
◎:製剤にほとんど変色が認められない。
得られた結果を表1に示す。表1に示されるように、ヒノキチオール又はアラントインをそれぞれ単独で含む液剤(参考例1及び2)では変色は認められないが、ヒノキチオールとアラントインとの両方を含む液剤(比較例1及び2)では、著しい変色が認められた。特に、ポリプロピレン(PP)製の容器に充填させた液剤(比較例1及び2の「PP」)で、極めて著しい変色が認められた。これに対し、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体を配合した液剤(実施例1~4)では、変色が飛躍的に抑制された。
なお、表中には示していないが、変色抑制性の評価を行った液剤において、ヒノキチオールとアラントインとの両方を含み、ガラス製スクリュー管瓶に充填された液剤(比較例1及び2の「ガラス」)においては、液剤と接触するスクリュー管瓶の内壁に析出物が吸着することによる曇りが認められた。これに対し、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体を配合した液剤(実施例1~4の「ガラス」)では、析出物の吸着による曇りも認められなかった。
Figure 0007409759000001
製剤例1
表2及び表3に示す組成の口腔用組成物を調製した。なお、表中の各成分の含有量の単位は、重量%である。得られた表2の口腔用組成物を、ガラス製のスクリュー管瓶(容量110mL)、ポリプロピレン(PP)製のボトル容器(容量100mL)、又はポリエチレンテレフタレート(PET)製のボトル容器(容量100mL)にそれぞれ50mL充填し、得られた表3の口腔用組成物を、ガラス製のスクリュー管瓶(容量9mL)、ポリプロピレン(PP)製のラミネートチューブ、又はポリエチレンテレフタレート(PET)製のボトル容器(容量10mL)にそれぞれ5mL充填した。各製剤について、試験例1と同様に変色抑制性を評価した。得られた口腔用組成物はいずれも、変色が抑制されていた。
Figure 0007409759000002
Figure 0007409759000003
製剤例2
表4~11に示す組成の口腔用組成物を製造した。なお、表中の各成分の含有量の単位は、重量%である。得られた口腔用組成物については、いずれも変色が抑制されていた。
Figure 0007409759000004
Figure 0007409759000005
Figure 0007409759000006
Figure 0007409759000007
Figure 0007409759000008
Figure 0007409759000009
Figure 0007409759000010
Figure 0007409759000011

Claims (4)

  1. (A)ヒノキチオールと、(B)アラントイン及びその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種と、(C)ホスホコリン基含有重合体と、(D)水と、を含有する口腔用組成物(但し、生薬エキスを含む場合と、エデト酸塩及びエタノールを含む場合とを除く)
  2. 前記(C)成分が、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体である、請求項1に記載の口腔用組成物。
  3. (A)ヒノキチオール、(B)アラントイン及びその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種及び(D)水を含有する口腔用組成物(但し、生薬エキスを含む場合と、エデト酸塩及びエタノールを含む場合とを除く)における変色を抑制するために使用される変色抑制剤であって、
    (C)ホスホコリン基含有重合体を有効成分とする、変色抑制剤。
  4. (A)ヒノキチオール、(B)アラントイン及びその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種及び(D)水を含有する口腔用組成物(但し、生薬エキスを含む場合と、エデト酸塩及びエタノールを含む場合とを除く)における変色を抑制する方法であって、
    口腔用組成物に、前記(A)成分と前記(B)成分と前記(D)成分と共に、(C)ホスホコリン基含有重合体を配合する、変色を抑制する方法。

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