JP7000048B2 - 口腔用組成物 - Google Patents
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項1. (A)塩化セチルピリジニウムと、(B)ホスホコリン基含有重合体と、(C)水と、(E)シリカとを含有し、前記(E)成分の吸水量(mL/g)と含有量(重量%)との積が7.4~48である、口腔用組成物。
項2. 前記(B)成分が、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体である、項1に記載の口腔用組成物。
項3. 前記(A)成分1重量部当たり、前記(B)成分が総量で0.05~100重量部含まれる、項1又は2に記載の口腔用組成物。
項4. 前記(A)成分の含有量が0.01~1重量%である、項1~3のいずれかに記載の口腔用組成物。
項5. 前記(B)成分の含有量が0.05~1重量%である、項1~4のいずれかに記載の口腔用組成物。
項6. 前記(E)成分が増粘性シリカを含み、前記増粘性シリカの含有量が2.5重量%以上である、項1~5のいずれかに記載の口腔用組成物。
項7. 前記(E)成分が研磨性シリカを含み、前記研磨性シリカの含有量が5.5重量%以上である、項1~6のいずれかに記載の口腔用組成物。
項8. 更に、(D)l-メントール及び/又はハッカ油を含む、項1~7のいずれかに記載の口腔用組成物。
項9. (A)塩化セチルピリジニウム、(C)水及び(E)シリカを含み、前記(E)成分の吸水量(mL/g)と含有量(重量%)との積が7.4~48である口腔用組成物における当該(A)成分の析出を抑制するために使用される析出抑制剤であって、(B)ホスホコリン基含有重合体を有効成分とする、析出抑制剤。
項10. (A)塩化セチルピリジニウム、(C)水及び(E)シリカを含み、前記(E)成分の吸水量(mL/g)と含有量(重量%)との積が7.4~48である口腔用組成物において、当該(A)成分の析出を抑制する析出抑制方法であって、口腔用組成物に、前記(A)成分と前記(C)成分と前記成分(E)と共に、(B)ホスホコリン基含有重合体を配合する、析出抑制方法。
項11. (C)水及び(E)シリカを含み、前記(E)成分の吸水量(mL/g)と含有量(重量%)との積が7.4~48である口腔用組成物における前記(E)成分の分散性を向上させるために使用される分散性向上剤であって、(A)塩化セチルピリジニウム及び(B)ホスホコリン基含有重合体を有効成分とする、分散性向上剤。
項12. (C)水及び(E)シリカを含み、前記(E)成分の吸水量(mL/g)と含有量(重量%)との積が7.4~48である口腔用組成物において前記(E)成分の分散性を向上させる分散性向上方法であって、口腔用組成物に、前記(C)成分と前記(E)成分と共に、(A)塩化セチルピリジニウム及び(B)ホスホコリン基含有重合体を配合する、分散性向上方法。
項13. (B)ホスホコリン基含有重合体、(D)l-メントール及び/又はハッカ油、(C)水、並びに(E)シリカを含み、前記(E)成分の吸水量(mL/g)と含有量(重量%)との積が7.4~48である口腔用組成物における当該(D)成分の析出を抑制するために使用される析出抑制剤であって、(A)塩化セチルピリジニウムを有効成分とする、析出抑制剤。
項14. (B)ホスホコリン基含有重合体、(D)l-メントール及び/又はハッカ油、(C)水、並びに(E)シリカを含み、前記(E)成分の吸水量(mL/g)と含有量(重量%)との積が7.4~48である口腔用組成物において、当該(D)成分の析出を抑制する析出抑制方法であって、口腔用組成物に、前記(B)成分と前記(D)成分と前記(C)成分と前記(E)成分と共に、(A)塩化セチルピリジニウムを配合する、析出抑制方法。
本発明の口腔用組成物は、塩化セチルピリジニウム(以下、(A)成分と表記することがある)と、ホスホコリン基含有重合体(以下、(B)成分と表記することがある)と、水(以下、(C)成分と表記することがある)と、(E)シリカ(以下、(E)成分と表記することがある)とを含有することを特徴とする。以下、本発明の口腔用組成物について詳述する。
本発明の口腔用組成物は、(A)成分として、塩化セチルピリジニウムを含有する。塩化セチルピリジニウムは、後述する所定の総吸水値で配合されている(E)シリカの分散性を向上させる。塩化セチルピリジニウムは、第四級アミン化合物であり、口腔内細菌に対する殺菌作用を示す公知の薬剤である。
本発明の口腔用組成物は、(B)成分として、ホスホコリン基含有重合体を含有する。ホスホコリン基含有重合体は、塩化セチルピリジニウムと共存させることによって、常温で保存した際に生じる塩化セチルピリジニウムの析出物の生成を抑制することができる。また、塩化セチルピリジニウムの析出物の生成を抑制することで、塩化セチルピリジニウムによるシリカの分散性向上効果を析出物の生成進行により損なわないよう、塩化セチルピリジニウムの溶解状態を補助することで、間接的にシリカの分散性を向上させることができる。さらに、塩化セチルピリジニウムとホスホコリン基含有重合体を共存させることによって、低温で保存した際に生じる塩化セチルピリジニウムの析出物の生成を抑制することが可能になる。
本発明の口腔用組成物は、基剤として水を含有する。前記(A)成分は、水との共存下で保存すると、溶解性が低下して、析出を生じる傾向を示すが、本発明の口腔用組成物によれば、このような(A)成分の析出を効果的に抑制することができる。また、後述の(E)成分は、所定の総吸水値となる含有量で水との共存下で保存すると、分散性不良でケーキング(振とうによる再分散が困難な沈積物の形成)や離水を生じる傾向を示すが、本発明の口腔用組成物によれば、このようなシリカの分散性をケーキングも離水も生じさせないほどに効果的に向上させることができる。
本発明の口腔用組成物には、更にl-メントール及び/又はハッカ油(以下、(D)成分と表記することがある)が含まれていてもよい。
シリカは、無水ケイ酸または二酸化ケイ素と同義である。シリカは、増粘作用や汚れ除去作用を有する公知の成分である。
本発明の口腔用組成物は、前述する成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、口腔用組成物の製剤形態に応じて、当該技術分野で通常使用される成分を含有していてもよい。このような成分としては、例えば、防腐剤、殺菌剤、抗菌剤、消炎剤、研磨剤、グルコシルトランスフェラーゼ(GTase)阻害剤、プラーク抑制剤、知覚過敏抑制剤、歯石予防剤、歯質強化/再石灰化剤、増粘剤、湿潤剤、賦形剤、香料、甘味剤、色素、消臭剤、界面活性剤、溶剤、pH調整剤等が挙げられる。
また、本発明の口腔用組成物のpHについては、口腔内への適用が許容される範囲で適宜設定すればよいが、例えば、4~8、好ましくは5~7.5、更に好ましくは6~7が挙げられる。ここで、pHとは、25℃の温度条件下で測定される値である。
本発明の口腔用組成物の剤型については、口腔内に適用可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、液状又は半固形状(ゲル状、ペースト状)が挙げられる。
前述するように、ホスホコリン基含有重合体は、塩化セチルピリジニウム、所定の総吸水値で配合されるシリカ及び水を含む口腔用組成物において、塩化セチルピリジニウムの析出を抑制することができる。従って、本発明は、更に、塩化セチルピリジニウム、所定の総吸水値で配合されるシリカ及び水を含む口腔用組成物における塩化セチルピリジニウムの析出を抑制するために使用される析出抑制剤であって、ホスホコリン基含有重合体を有効成分とする析出抑制剤を提供する。また、本発明は、塩化セチルピリジニウム、所定の総吸水値で配合されるシリカ及び水を含む口腔用組成物において、塩化セチルピリジニウムの析出を抑制する析出抑制方法であって、口腔用組成物に、塩化セチルピリジニウム、所定の総吸水値で配合されるシリカ及び水と共に、ホスホコリン基含有重合体を配合する、析出抑制方法を提供する。
前述するように、塩化セチルピリジニウムは、所定の総吸水値で配合されるシリカ及び水を含む口腔用組成物において、シリカの分散性を向上させることができる。しかしながら、塩化セチルピリジニウムは保存後に口腔用組成物中で析出するため、析出が進めばシリカの分散性向上効果も失われるおそれがある。そこで、塩化セチルピリジニウムを、ホスホコリン基含有重合体と共に配合することで、析出を抑制しつつシリカの分散性を向上させ、製剤安定性を向上させることができる。従って、本発明は、更に、所定の総吸水値で配合されるシリカ及び水を含む口腔用組成物におけるシリカの分散性を向上させるために使用される分散性向上剤であって、塩化セチルピリジニウム及びホスホコリン基含有重合体を有効成分とする分散性向上剤を提供する。また、本発明は、塩化セチルピリジニウム、所定の総吸水値で配合されるシリカ及び水を含む口腔用組成物において、シリカの分散性を向上させる分散性向上方法であって、口腔用組成物に、所定の総吸水値で配合されるシリカ及び水と共に、塩化セチルピリジニウムとホスホコリン基含有重合体とを配合する、分散性向上方法を提供する。
前述するように、塩化セチルピリジニウムは、ホスホコリン基含有重合体、l-メントール及び/又はハッカ油、並びに水を含む口腔用組成物において、l-メントール及び/又はハッカ油の析出を抑制することができる。従って、本発明は、更に、ホスホコリン基含有重合体、l-メントール及び/又はハッカ油、並びに水を含む口腔用組成物におけるl-メントール及び/又はハッカ油の析出を抑制するために使用される析出抑制剤であって、塩化セチルピリジニウムを有効成分とする析出抑制剤を提供する。また、本発明は、ホスホコリン基含有重合体、l-メントール及び/又はハッカ油、並びに水を含む口腔用組成物において、l-メントール及び/又はハッカ油の析出を抑制する析出抑制方法であって、口腔用組成物に、ホスホコリン基含有重合体、l-メントール及び/又はハッカ油、並びに水と共に、塩化セチルピリジニウムを配合する、析出抑制方法を提供する。
表1~表13に示す組成の液剤を調製し、得られた液剤5mLをガラス製スクリュー管瓶(容量6mL)に充填し、遮光条件下で室温(25℃)で1日間静置した。1日間静置後の各液剤の外観を観察し、以下に示す判定基準に従って析出物生成およびシリカ分散の程度を評価した。なお、表中の各成分の含有量の単位は、重量%である。
<析出物の生成の程度の判定基準>
◎:析出物は全く認められず、澄明な状態が維持できている。
○:僅かにだけ析出物が生成していたが、全体的に澄明な状態が維持できている。
×:析出物が多く生成しており、澄明な状態が失われている。
××:析出物が著しく多く生成しており、澄明な状態が失われている。
なお、塩化セチルピリジニウムの析出は、液体中における光輝性の粉状結晶を視認することにより確認した。また、l-メントールの析出は、液面付近における針状の結晶を視認することにより確認した。
(1)ケーキング
○:1日静置後に、上下に激しく20回振って撹拌させた際、全てのシリカが溶液中に分散される。
×:1日静置後に、上下に激しく20回振って撹拌させた際、容器底部に一部のシリカが分散せずに凝集した状態で付着している。
(2)分散度
1日静置後の、液剤全体が占める高さに対するシリカ分散領域(白濁部位)が占める高さの比率を「分散度」とした。さらに、シリカのみを同じ含有濃度で精製水に分散させた液剤を「参照用液剤」(例えば、実施例1における参照用液剤はシリカ4%分散液であり、実施例3における参照用液剤はシリカ5%分散液というように、評価対象となる液剤と同じシリカを同じ総吸水値で含むシリカ単独分散液をいう)とし、参照用液剤を一日放置後の、参照用液剤全体が占める高さに対するシリカ分散領域(白濁部位)が占める高さの比率を「参照用分散度」とした。参照用分散度を100とした場合の各溶剤の分散度の値を「相対分散度」として導出し、分散性の指標の1つとした。(したがって、比較例における相対分散度は全て100である。)これによって、シリカの絶対含有量による分散性評価への影響を排除した。
分散度の計算式:(液剤中のシリカ分散領域の高さ)/(液剤全体の高さ)
相対分散度の計算式:(評価対象となる各液剤の分散度)/(シリカのみを精製水に分散させた参照用液剤の分散度)×100
なお、シリカの含有量が比較的多く分散度が100となる場合については相対分散度が計算できないため「○」評価とし、ケーキングの有無で分散性を評価した。
表14に示す組成の練歯磨剤を製造した。得られた練歯磨剤をチューブ容器に入れて保存した。以下に示す判定基準に従って、析出物生成及びシリカ分散の程度を評価した。なお、表中の各成分の含有量の単位は、重量%である。
チューブ容器に入れた練歯磨剤を、遮光条件下、4℃で1か月静置した後、容器から内容物を取り出して広げ、析出物の有無を目視にて確認した。
◎:析出が認められなかった。
×:析出が認められた。
なお、塩化セチルピリジニウムの析出の有無は、光輝性の粉状結晶を視認できるか否かにより判断した。l-メントールの析出の有無は、針状の結晶を視認できるか否かにより判断した。
チューブ容器に入れた練歯磨剤を、遮光条件下、50℃で1か月静置した後、容器を切り開き、製剤表面の離水を目視にて確認した。
◎:離水が認められない、または、やや表面が濡れている程度である。
×:離水が認められた。
表15に示す組成の練歯磨剤を製造した。なお、表中の各成分の含有量の単位は、重量%である。得られた口腔用組成物については、いずれも保存後に析出物の生成が抑制されており、かつ、離水も抑制されていたためシリカが良好に分散していた。
表16に示す組成の液剤を調製し、得られた液剤5mLをガラス製スクリュー管瓶(容量6mL)に充填し、遮光条件下で、4℃で3日間静置した。3日間静置後の各液剤の外観を観察し、以下に示す判定基準に従って、析出物の生成の程度を評価した。なお、調製直後の液剤は、いずれも析出物が認められず、澄明な外観であった。
<析出物の生成の程度の判定基準>
◎:析出物は全く認められず、澄明な状態が維持できている。
○:僅かにだけ析出物が生成していたが、全体的に澄明な状態が維持できている。
×:析出物が多く生成しており、澄明な状態が失われている。
××:析出物が著しく多く生成しており、澄明な状態が失われている。
表17に示す組成の液剤を50℃の温度条件下で調製し、得られた液剤5mLをガラス製スクリュー管瓶(容量6mL)に充填し、遮光条件下で、4℃で3日間静置した。3日間静置後の各液剤の外観を観察し、試験例1の場合と同じ判定基準で析出物の生成の程度を評価した。なお、調製直後の液剤は、いずれも析出物が認められず、澄明な外観であった。
Claims (14)
- (A)塩化セチルピリジニウムと、(B)ホスホコリン基含有重合体と、(C)水と、(E)シリカとを含有し、
前記(E)成分の吸水量(mL/g)と含有量(重量%)との積が7.4~48である、口腔用組成物。 - 前記(B)成分が、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体である、請求項1に記載の口腔用組成物。
- 前記(A)成分1重量部当たり、前記(B)成分が総量で0.05~100重量部含まれる、請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
- 前記(A)成分の含有量が0.01~1重量%である、請求項1~3のいずれかに記載の口腔用組成物。
- 前記(B)成分の含有量が0.05~1重量%である、請求項1~4のいずれかに記載の口腔用組成物。
- 前記(E)成分が増粘性シリカを含み、前記増粘性シリカの含有量が2.5重量%以上である、請求項1~5のいずれかに記載の口腔用組成物。
- 前記(E)成分が研磨性シリカを含み、前記研磨性シリカの含有量が5.5重量%以上である、請求項1~6のいずれかに記載の口腔用組成物。
- 更に、(D)ハッカ油を含む、請求項1~7のいずれかに記載の口腔用組成物。
- (A)塩化セチルピリジニウム、(C)水及び(E)シリカを含み、前記(E)成分の吸水量(mL/g)と含有量(重量%)との積が7.4~48である口腔用組成物における当該(A)成分の析出を抑制するために使用される析出抑制剤であって、
(B)ホスホコリン基含有重合体を有効成分とする、析出抑制剤。 - (A)塩化セチルピリジニウム、(C)水及び(E)シリカを含み、前記(E)成分の吸水量(mL/g)と含有量(重量%)との積が7.4~48である口腔用組成物において、当該(A)成分の析出を抑制する析出抑制方法であって、
口腔用組成物に、前記(A)成分と前記(C)成分と前記成分(E)と共に、(B)ホスホコリン基含有重合体を配合する、析出抑制方法。 - (C)水及び(E)シリカを含み、前記(E)成分の吸水量(mL/g)と含有量(重量%)との積が7.4~48である口腔用組成物における前記(E)成分の分散性を向上させるために使用される分散性向上剤であって、
(A)塩化セチルピリジニウム及び(B)ホスホコリン基含有重合体を有効成分とする、分散性向上剤。 - (C)水及び(E)シリカを含み、前記(E)成分の吸水量(mL/g)と含有量(重量%)との積が7.4~48である口腔用組成物において前記(E)成分の分散性を向上させる分散性向上方法であって、
口腔用組成物に、前記(C)成分と前記(E)成分と共に、(A)塩化セチルピリジニウム及び(B)ホスホコリン基含有重合体を配合する、分散性向上方法。 - (B)ホスホコリン基含有重合体、(D)l-メントール及び/又はハッカ油、(C)水、並びに(E)シリカを含み、前記(E)成分の吸水量(mL/g)と含有量(重量%)との積が7.4~48である口腔用組成物における当該(D)成分の析出を抑制するために使用される析出抑制剤であって、
(A)塩化セチルピリジニウムを有効成分とする、析出抑制剤。 - (B)ホスホコリン基含有重合体、(D)l-メントール及び/又はハッカ油、(C)水、並びに(E)シリカを含み、前記(E)成分の吸水量(mL/g)と含有量(重量%)との積が7.4~48である口腔用組成物において、当該(D)成分の析出を抑制する析出抑制方法であって、
口腔用組成物に、前記(B)成分と前記(D)成分と前記(C)成分と前記(E)成分と共に、(A)塩化セチルピリジニウムを配合する、析出抑制方法。
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