JPH10182383A - 口腔用組成物 - Google Patents

口腔用組成物

Info

Publication number
JPH10182383A
JPH10182383A JP35575896A JP35575896A JPH10182383A JP H10182383 A JPH10182383 A JP H10182383A JP 35575896 A JP35575896 A JP 35575896A JP 35575896 A JP35575896 A JP 35575896A JP H10182383 A JPH10182383 A JP H10182383A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phytic acid
sodium
composition
amount
substance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP35575896A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaaki Iwata
正明 岩田
Isao Minemoto
勲 峰本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Lion Corp
Original Assignee
Lion Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Lion Corp filed Critical Lion Corp
Priority to JP35575896A priority Critical patent/JPH10182383A/ja
Priority to IDP973850A priority patent/ID19246A/id
Publication of JPH10182383A publication Critical patent/JPH10182383A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cosmetics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 フィチン酸又はその水溶性塩と非カチオ
ン性抗菌物質とを併用配合してなることを特徴とする口
腔用組成物。 【効果】 本発明によれば、フィチン酸あるいはその水
溶性塩から選ばれる1種又は2種以上と、非カチオン性
抗菌物質とを必須成分として配合したことにより、歯石
の前駆物質である歯垢を形成する細菌に対し高い抗菌活
性を示すと共に、ハイドロキシアパタイト結晶生成抑制
活性が非常に高く、歯石予防効果に極めて優れ、更にフ
ィチン酸の欠点である経時での着色が大きく改善され、
安全性上の問題もない口腔用組成物を得ることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、改良された抗歯石
効果を有し、かつ安定性の良好な口腔用組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】歯石は
歯面、歯間部、あるいは歯肉辺縁部に沈着した石灰質の
堆積物であり、口腔部の容貌を大きく損ねる原因とな
る。更に、歯石は非常に粗な表面を持つため、口腔内細
菌の定着あるいは歯垢の付着を促進し、種々の口腔内疾
患の加速要因になると言われている。
【0003】歯石形成過程の詳細については必ずしも明
らかとされているわけではないが、歯面に存在するプラ
ークを構成する細菌あるいは粘着性デキストラン等の有
機基質に、唾液や浸出液から供給されるカルシウム及び
リンが吸着し、これが結晶化するプラークの石灰化現象
ととらえることができる。そして、その無機成分はハイ
ドロキシアパタイト様の石灰化物である。従って、プラ
ーク中に沈着したリン酸カルシウム分がハイドロキシア
パタイト結晶に転移し、更に成長していくのを抑制する
ことにより歯石の形成を抑制することができる。
【0004】従来、このような考えのもとに歯石形成の
予防に対する可溶性リン酸塩の効果が報告されている
[アーカイブ・オーラル・バイオロジー(Arch.O
ral.Biol.)Vol.15,p.893〜89
6(1970)]。更に、特開昭52−108029号
公報、特開昭59−42311号公報等には、ピロリン
酸塩、ポリリン酸塩等の縮合リン酸塩による歯石予防
法、特開昭49−118839号公報、特開平4−33
4314号公報等には、縮合リン酸と類似の化学構造を
有するジホスホネート化合物を使用した歯石予防法が提
案されている。
【0005】また、歯石の前駆物質である歯垢の形成を
抑制する抗菌物質を併用することで歯石予防効果の向上
を行う方法も提案されている。例えば、米国特許第40
22860号公報には、抗歯石物質として亜鉛イオンを
与える化合物と抗菌物質との併用が示されている。特開
昭60−258404号公報には、抗歯石物質として縮
合リン酸塩と非カチオン系の抗菌物質との併用が記載さ
れている。
【0006】しかし、亜鉛イオンは多量に配合される
と、味の劣化、あるいは口腔用組成物で汎用されるフッ
素化合物との反応等の問題があり、また、縮合リン酸塩
も口腔内でのリン酸加水分解酵素による有効性の低下と
いう問題が存在する。
【0007】フィチン酸は、従来より口腔用組成物にお
いて色調の安定化、タバコヤニの除去あるいはフッ化錫
の安定化等の目的での使用が提案されている(特開昭5
4−154537号公報、特開昭56−18913号公
報、特開昭56−22720号公報等)。更に、カルシ
ウム塩との高い親和性を利用し、歯石予防を目的とした
使用も提案されている。特に、特表平7−501827
号公報では、フィチン酸とカチオン性抗菌剤との併用に
よる歯石予防法が提案されている。
【0008】しかし、フィチン酸は経時での変色が著し
く、歯石予防効果を得るのに十分な量を使用することが
困難であること、また、カチオン性抗菌剤と併用した場
合、不溶性の塩を形成し易いため、安定化のための複雑
な処方を必要とする等の問題点がある。
【0009】このように歯石形成抑制効果を有する口腔
用組成物は種々提案されているが、近年、口腔衛生意識
の高まりを反映して、より高い抗歯石効果を有する口腔
用組成物の開発が望まれている。
【0010】一方、口腔用組成物が人の口腔内で使用さ
れることを考慮したとき、高安全性に加えて、味の良
さ、味覚への影響の無さも重要な特性となる。上記した
縮合リン酸塩等の無機塩類は、口腔用組成物に多量に配
合すると、塩味、苦味等の不快味を呈するという問題が
あり、これらの点に対する改善も望まれる。
【0011】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、歯垢を形成する細菌に対する高い抗菌活性を有する
と共に、優れたハイドロキシアパタイトの結晶生成抑制
活性を有し、歯石予防効果が高く、しかも安全性の高い
口腔用組成物を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結
果、穀類あるいは植物種子中に多く含まれる天然の有機
リン酸化合物であるフィチン酸及びその水溶性塩が、高
いハイドロキシアパタイトの結晶生成抑制活性を示すこ
と、更に、歯石の前駆物質である歯垢を形成する口腔内
細菌に対し高い抗菌活性を示す非カチオン性抗菌物質を
併用することで、より効果的な歯石予防を図ることがで
きることを見出した。
【0013】即ち、フィチン酸あるいはフィチン酸のア
ルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩はその高いキレート
作用を利用して、従来より食品分野あるいは口腔製品分
野で色調の安定化剤あるいは多価金属イオンの安定化剤
として使用されてきた。更に、上述したように、フィチ
ン酸あるいはフィチン酸のアルカリ金属塩を歯石防止の
目的で使用した提案も存在し、特に、特表平7−501
827号公報では、フィチン酸とカチオン性抗菌剤との
併用による歯石予防法が提案されている。しかし、上述
した通り、フィチン酸自身の色調及び経時での大きな変
色性のため、十分な歯石予防効果を得るだけの使用は困
難であり、また、カチオン性抗菌剤と併用した場合、不
溶性の塩を形成し易いため、有効性維持と組成物安定化
のための複雑な処方を必要とする等の問題点があったも
のである。
【0014】これに対し、フィチン酸あるいはその水溶
性塩と、非カチオン性抗菌物質とを併用することで、歯
石の前駆物質である歯垢を形成する細菌に対し高い抗菌
活性を示すと共に、ハイドロキシアパタイト結晶生成抑
制活性が非常に高く、歯石予防効果に極めて優れ、しか
も安全性の高い口腔用組成物が得られること、両者間で
の不溶性塩の形成がなく、経時での歯石予防効果及び安
定性の低下が生じないこと、更に両者を併用することで
フィチン酸の欠点である経時での着色を大きく改善でき
ることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0015】従って、本発明は、フィチン酸あるいはそ
の水溶性塩から選ばれる1種又は2種以上と、非カチオ
ン性抗菌物質とを必須成分とする口腔用組成物を提供す
る。
【0016】以下、本発明につき更に詳述すると、本発
明の口腔用組成物は、練歯磨、潤製歯磨、液体歯磨等の
歯磨剤、洗口液、口中清涼剤、うがい用錠剤、義歯用洗
浄剤、チューインガム等の口腔製品であり、高い歯石予
防効果を有するものであって、フィチン酸あるいはその
水溶性塩から選ばれる1種又は2種以上と、非カチオン
性抗菌物質とを必須成分とする。
【0017】本発明で使用されるフィチン酸及びその水
溶性塩としては、特に下記式で示されるものが用いられ
る。
【0018】
【化1】
【0019】ここで、Mはそれぞれ独立に水素原子、ア
ルカリ金属又はアミンから誘導されるカチオンである。
【0020】フィチン酸は主に穀物あるいは植物種子中
にカルシウム塩又はマグネシウム塩として存在する。こ
れらの塩を抽出後、塩酸等の酸に溶解し、カチオン交換
樹脂処理を行うことにより、フィチン酸を得ることがで
きる。
【0021】フィチン酸は、適用される口腔用組成物の
性状に応じて酸の状態のまま、あるいはアルカリ金属水
酸化物、アンモニア、有機アミン等の塩基性物質の単独
あるいは混合物で適宜pHを調整して使用することがで
きる。調整後のフィチン酸のpHについて特に規定はな
いが、pH=6〜10の間で使用することが好ましく、
特に好ましくはpH=7〜9である。pHが6より低い
と歯牙脱灰等の為害性が生じる場合があり、pHが10
より高いと加水分解による効果の低下あるいは味等の使
用感の低下が生ずる場合がある。
【0022】フィチン酸及びその塩の口腔用組成物への
添加量についても、特に規定はないが、組成物全体に対
し0.01〜10%(重量%、以下同じ)が好ましく、
より好ましくは0.02〜5%であり、特に好ましくは
0.1〜3%である。フィチン酸あるいはその塩の添加
量が0.01%に満たないと、十分な歯石予防効果が得
られない場合があり、10%を超えると経時における変
色等の問題が発生する場合がある。
【0023】本発明のもう一方の必須成分である非カチ
オン性の抗菌物質としては、ハロゲン化されたジフェニ
ルエーテル、ハロゲン化されたサリチルアニリド、安息
香酸エステル、ハロゲン化されたカルバニリドあるいは
フェノール化合物を挙げることができるが、ここに記し
たものに限定されるものではない。非カチオン性の抗菌
物質は、その1種を単独で又は2種以上を混合して使用
することができる。これらの非カチオン性の抗菌物質の
うち、非イオン性の抗菌剤が好ましく、特にハロゲン化
されたジフェニルエーテル、例えば2,4,4’−トリ
クロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル(トリク
ロサン)の使用が好ましい。
【0024】非カチオン性の抗菌物質の配合量は、必ず
しも制限されないが、組成物全体に対し0.01〜5%
が好ましく、より好ましくは0.05〜0.5%であ
る。配合量が0.01%に満たないと満足な効果が発揮
されない場合があり、5%を超えると組成物の使用感あ
るいは味に好ましくない影響を与える場合がある。
【0025】本発明の口腔用組成物は、フィチン酸ある
いはその塩から選ばれる1種又は2種以上と、非カチオ
ン性抗菌物質とを必須成分とするものであるが、更に、
フィチン酸に対して0.1〜3倍モルのマグネシウムイ
オンを併用することにより、ハイドロキシアパタイト結
晶生成抑制活性が相乗的に向上し、歯石予防効果をより
向上させることができる。
【0026】マグネシウムイオンを与える物質として具
体的には、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸
マグネシウム、炭酸マグネシウム等の無機塩及び酢酸マ
グネシウム、クエン酸マグネシウム等の有機酸塩を挙げ
ることができるが、ここに記した塩に限定されるもので
はない。
【0027】マグネシウムイオンの口腔用組成物への添
加量は、フィチン酸に対し0.1〜3倍モルに相当する
量であることが好ましい。より好ましくはフィチン酸に
対し0.3〜2倍モルに相当する量であり、更に好まし
くは0.5〜1.5倍モルに相当する量である。マグネ
シウムイオンの添加量がフィチン酸に対し0.1倍モル
に相当する量に達しないと、相乗作用による歯石予防効
果の向上が十分認められない場合が生じ、3倍モルに相
当する量を超えると、フィチン酸マグネシウムの不溶性
塩が形成され、歯石予防効果が認められなくなる場合が
生じる。
【0028】本発明の口腔用組成物は、上述したよう
に、練歯磨、潤製歯磨、液体歯磨等の歯磨剤、洗口液、
口中清涼剤、うがい用錠剤、義歯用洗浄剤、チューイン
ガム等の形態とすることができ、それぞれの組成物は、
その種類に応じ、その他の汎用成分を本発明の効果を損
ねない範囲で使用し、通常の方法で調製することができ
る。任意成分としては、例えば歯磨を調製する場合、リ
ン酸水素カルシウム2水和物、リン酸水素カルシウム無
水物、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アル
ミニウム、無水ケイ酸等の研磨剤、グリセリン、ソルビ
ット、プロピレングリコール等の粘稠剤、カルボキシメ
チルセルロースナトリウム、カラギナン、キサンタンガ
ム等の粘結剤、ラウリル硫酸ナトリウム等の界面活性
剤、サッカリン等の甘味剤、その他防腐剤、香料、着色
剤、pH調整剤、賦形剤、各種薬効成分等を配合するこ
とができる。更に、口腔製品の性状・外観により、フィ
チン酸の経時での変色が問題となる場合には、変色防止
剤としてクエン酸、酒石酸、コハク酸等の有機酸あるい
はその塩を併用することができる。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、フィチン酸あるいはそ
の水溶性塩から選ばれる1種又は2種以上と、非カチオ
ン性抗菌物質とを必須成分として配合したことにより、
歯石の前駆物質である歯垢を形成する細菌に対し高い抗
菌活性を示すと共に、ハイドロキシアパタイト結晶生成
抑制活性が非常に高く、歯石予防効果に極めて優れ、更
にフィチン酸の欠点である経時での着色が大きく改善さ
れ、安全性上の問題もない口腔用組成物を得ることがで
きる。
【0030】
【実施例】以下、実験例及び実施例を示して本発明を具
体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限される
ものではない。なお、各例において%はいずれも重量%
である。
【0031】〔実験例1〕フィチン酸及びカルシウムイ
オンに対しキレート作用を示すシュウ酸、酒石酸、クエ
ン酸、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸の各試
料水溶液を水酸化ナトリウムで中和し、pH=7.0の
試験溶液を調製した。これらの水溶液を使用し、インビ
トロ(in vitro)におけるハイドロキシアパタ
イト結晶の生成に対する抑制効果を下記の方法で評価し
た。結果を表1に示す。
【0032】ハイドロキシアパタイト結晶の生成に対す
る抑制効果評価方法 上記各成分を表1に示す濃度で含む4mMリン酸ナトリ
ウム溶液24mlに、4mM塩化カルシウム溶液1ml
を加え、析出した不定形のリン酸カルシウムが転移して
ハイドロキシアパタイト結晶を生成するまでの時間に及
ぼす効果を測定した。評価は、下記反応式1−(b)に
示すハイドロキシアパタイトへの転移反応で消費された
OHイオンを補給するために滴下された0.1規定水酸
化ナトリウム溶液の経時変化を測定することにより行っ
た。なお、コントロールとしては、上記各成分の代わり
に蒸留水を添加したリン酸ナトリウム溶液を用いた。
【0033】下記反応式1にカルシウムイオンとリン酸
イオンからハイドロキシアパタイトの生成する反応を示
した。反応式1−(a)は不定形のリン酸カルシウムの
生成反応であり、反応式1−(b)は不定形のリン酸カ
ルシウムからハイドロキシアパタイト結晶への転移反応
である。カルシウムイオンとリン酸イオンが接触する
と、瞬時に式1−(a)の反応が起こり、引き続いて式
1−(b)の転移反応が徐々に進行する。これらはいず
れも反応の進行と共にOHイオンが消費され、溶液は酸
性に変化していく。このOHイオンの消費量は、溶液の
pHを常に一定に保つために外部より加えられる水酸化
ナトリウム溶液の添加量をモニターすることにより知る
ことができる。反応の進行と水酸化ナトリウム溶液の添
加量との関係を図1に示す。ここで、の変化は、式1
−(a)の不定形リン酸カルシウムの形成に対応する。
また、の変化は、式1−(b)の不定形リン酸カルシ
ウムが転移してハイドロキシアパタイト結晶が生成する
反応に対応する。
【0034】即ち、式1−(a)の反応後、式1−
(b)の反応が始まるまでの時間(以後、Thapと記
載する)が長いほど、ハイドロキシアパタイト結晶の生
成が抑えられている。
【0035】反応式1: Ca2++H2PO4 -+OH-+H2O → CaHPO4・2H2O …(a) 10CaHPO4・2H2O+4OH- → Ca10(PO46(OH)2+4H2PO4 -+22H2O …(b)
【0036】
【表1】
【0037】表1の結果より、フィチン酸は他のキレー
ト剤に比較してハイドロキシアパタイト結晶が生成する
までの時間(Thap)が大きく延長し、高いハイドロ
キシアパタイト結晶生成抑制効果のあることがわかっ
た。
【0038】〔実験例2〕下記の歯磨組成中にフィチン
酸とトリクロサン(以下、TCと略す)、チモール(以
下、THと略す)、ヒノキチオール(以下、HIと略
す)及び口腔用組成物で汎用される塩化セチルピリジニ
ウム(以下、CPCと略す)を抗菌物質として表2に示
す配合量で添加した。これらの歯磨を40℃,1週間保
存した後、3倍の水で希釈し、遠心分離を行った上清液
を試験溶液として、以下に示す方法で各種細菌に対する
インビトロにおける抗菌力を評価した。結果を表2に示
す。
【0039】 歯磨組成 シリカ 15.0 % 60%ソルビトール液 25.0 カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0 サッカリンナトリウム 0.15 ラウリル硫酸ナトリウム 1.5 水酸化ナトリウム 適量* フィチン酸 表2に示す量 抗菌物質 表2に示す量 精製水 残量 計 100.0 % (*フィチン酸を中和し、歯磨のpHを7に調整するのに必要な量)
【0040】口腔内細菌に対する抗菌力評価方法 液体培地4mlが入った試験管(13×100mm)
に、段階的に濃度を変えた試験溶液0.04mlを加え
て混合し、1昼夜前培養した各菌液0.04mlを添加
撹拌した。これを37℃で3日間嫌気培養の後、550
nmにおける吸光度により菌の発育量を測定した。吸光
度0.05未満を有効とし、最小発育阻止濃度(MI
C)を求めた。なお、各抗菌物質の最小発育阻止濃度は
試験溶液の希釈率から算出して示した。
【0041】使用菌株及び液体培地組成 ストレプトコッカス・ミュータンス 10449(St
reptococcus mutans 10449
(以下、Smと略す)) 培地:トッド・ヘウィッド・ブロス(以下、THBと略
す) 3% ストレプトコッカス・サンギス 10558(Stre
ptococcus sanguis 10558(以
下、Ssと略す)) 培地:THB 3% アクチノマイセス・ビスコーサス T14V(Acti
nomyces viscosus T14V(以下、
Avと略す)) 培地:THB 3% ポルフィロモナス・ジンジバリス 381(Porph
yromonas gingivalis 381(以
下、Pgと略す))
【0042】
【表2】
【0043】表2に示すように、非カチオン性抗菌剤は
フィチン酸と併用しても、歯垢形成に関与している微生
物に対し高い抗菌力を保持していることが認められる。
【0044】〔実験例3〕フィチン酸及び非カチオン性
抗菌剤としてトリクロサンを使用し、表3に示す組成の
含嗽液を調製した。これらの含嗽液を使用し、喫煙習慣
のない成人男性20名によるイン ジチュウ(in s
itu)における歯石形成抑制効果を下記の方法で評価
した。結果の平均値を表3に示す。
【0045】歯石形成に対する抑制効果評価方法 下顎前歯舌側に嵌合し舌側面中央部に一定の面積を有す
るポリエステルフィルムを貼付した樹脂製マウスピース
を作成した。マウスピースを口腔内下顎前歯舌側部に1
日8時間装着し、その間に含嗽液を使用した洗口を2回
行った。1回の洗口は約10mlの含嗽液を使用し30
秒間行った。これを5日間連続して行った後、マウスピ
ースに貼付したポリエステルフィルム上に沈着した付着
物に含まれるカルシウム量及びアミノ態窒素量を定量し
た。カルシウム量は歯石量の指標であり、カルシウム量
とアミノ態窒素量の比(以下、Ca/Nと略す)は、付
着物中の灰分と有機分の比率を示す指標となり、付着物
の石灰化(歯石化)の程度を示す。即ち、カルシウム量
の減少とCa/Nの低下は、歯石の形成抑制を示してい
る。
【0046】
【表3】
【0047】表3に示すように、フィチン酸ナトリウム
とトリクロサンとを併用した含嗽液を使用した実験群で
は、コントロール含嗽液を使用した実験群に比較して、
カルシウム量及びCa/Nが大きく減少し、歯石の付着
量に対して大きな抑制効果を示すことが明らかとなっ
た。有効成分としてフィチン酸ナトリウムあるいはトリ
クロサンをそれぞれ単独で使用した含嗽液を使用した実
験群においても、コントロール含嗽液を使用した実験群
に比較して、カルシウム量及びCa/Nの減少が認めら
れるが、両者を併用した場合に比較して抑制効果は小さ
く、併用することにより歯石抑制効果の相乗的向上が認
められた。
【0048】〔実験例4〕フィチン酸5%水溶液のpH
を水酸化ナトリウムで8.0に調整後、非イオン性抗菌
剤としてTC,HI及びTH、アニオン性抗菌剤として
ソルビン酸ナトリウム(以下、SAと略す)、及びカチ
オン性抗菌剤としてCPCを添加して60℃の恒温槽に
保存し、経時での着色を評価した。着色の程度は500
nmでの吸光度変化により測定した。結果を表4に示
す。
【0049】
【表4】
【0050】表4に示すように、非カチオン性の抗菌剤
を併用した場合、経時での吸光度変化が小さく、着色性
が大きく改善されている。一方、カチオン性の抗菌剤で
あるCPCを併用した場合、着色性に改善が認められな
いだけでなく、不溶物の析出も発生した。
【0051】〔実験例5〕実験例1と同様にpH=7.
4に調整したフィチン酸を使用し、マグネシウムイオン
(以下、Mg2+と略す)、カルシウムイオン(以下、C
2+と略す)、亜鉛イオン(以下、Zn2+と略す)、銅
(II)イオン(以下、Cu2+と略す)、及び鉄(II
I)イオン(以下、Fe3+と略す)と表5に示す組成で
併用したときのハイドロキシアパタイトの結晶生成抑制
効果を評価した。なお、実験条件等は実験例1と同様で
ある。結果を表5に示す。
【0052】
【表5】
【0053】表5に示すように、フィチン酸とマグネシ
ウムイオンとを併用することにより、ハイドロキシアパ
タイト結晶が生成するまでの時間(Thap)が大きく
延長し、ハイドロキシアパタイト結晶生成抑制効果が向
上した。一方、他の金属イオンでは、併用によりTha
pの変化が認められないか、あるいは逆に短くなり、ハ
イドロキシアパタイト結晶生成抑制を向上させる効果を
示していない。
【0054】次に実施例を示す。 〔実施例1〕 練歯磨 リン酸水素カルシウム2水和物 50.0 % グリセリン 20.0 プロピレングリコール 5.0 カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0 ラウリル硫酸ナトリウム 1.5 サッカリンナトリウム 0.2 香料 1.0 パラベン 0.1 フィチン酸6ナトリウム 1.0 トリクロサン 0.1 塩化マグネシウム6水和物 0.051 (マグネシウムイオンとして 0.006) 水酸化ナトリウム 適量 精製水 残部 計 100.0 %
【0055】 〔実施例2〕 練歯磨 リン酸水素カルシウム2水和物 45.0 % 60%ソルビット液 25.0 プロピレングリコール 5.0 ラウリル硫酸ナトリウム 1.5 カルボキシメチルセルロース 0.7 カラギナン 0.5 サッカリンナトリウム 0.2 香料 1.0 安息香酸ナトリウム 0.2 モノフルオロリン酸ナトリウム 0.78 フィチン酸カリウム 2.0 トリクロサン 0.05 精製水 残部 計 100.0 %
【0056】 〔実施例3〕 練歯磨 無水ケイ酸 25.0 % グリセリン 30.0 60%ソルビット液 25.0 ポリエチレングリコール400 5.0 ラウリル硫酸ナトリウム 1.5 カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0 サッカリンナトリウム 0.1 香料 1.0 フッ化ナトリウム 0.22 塩化マグネシウム7水和物 1.56 (マグネシウムイオンとして 0.15) フィチン酸6ナトリウム 5.0 チモール 0.2 クエン酸ナトリウム 適量 精製水 残部 計 100.0 %
【0057】 〔実施例4〕 練歯磨 水酸化アルミニウム 45.0 % 60%ソルビット液 25.0 プロピレングリコール 5.0 ラウリル硫酸ナトリウム 1.5 ヒドロキシエチルセルロース 1.5 サッカリンナトリウム 0.1 香料 1.0 モノフルオロリン酸ナトリウム 0.78 ヒノキチオール 0.1 フィチン酸6ナトリウム 5.0 クエン酸ナトリウム 適量 精製水 残部 計 100.0 %
【0058】 〔実施例5〕 液状歯磨 無水ケイ酸 15.0 % グリセリン 35.0 60%ソルビット液 35.0 プロピレングリコール 5.0 ラウリル硫酸ナトリウム 1.5 キサンタンガム 0.2 ポリアクリル酸ナトリウム 0.2 サッカリンナトリウム 0.1 香料 1.0 フッ化ナトリウム 0.22 トリクロサン 0.1 塩化マグネシウム6水和物 0.05 (マグネシウムイオンとして 0.006) フィチン酸6カリウム 1.0 リン酸ナトリウム 適量 精製水 残部 計 100.0 %
【0059】 〔実施例6〕 練歯磨 リン酸水素カルシウム2水和物 45.0 % グリセリン 20.0 プロピレングリコール 5.0 ラウリル硫酸ナトリウム 1.0 N−ラウロイルサルコシンナトリウム 0.5 カラギナン 0.5 サッカリンナトリウム 0.1 香料 1.0 パラベン 0.1 トラネキサム酸 0.1 ビサボロール 0.2 フィチン酸6ナトリウム 1.0 水酸化ナトリウム 適量 精製水 残部 計 100.0 %
【0060】 〔実施例7〕 洗口剤 エタノール 20.0 % サッカリンナトリウム 0.05 香料 1.0 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60EO) 1.5 塩化マグネシウム6水和物 0.25 (マグネシウムイオンとして 0.03) フィチン酸6ナトリウム 0.5 トリクロサン 0.05 クエン酸ナトリウム 適量 精製水 残部 計 100.0 %
【0061】 〔実施例8〕 洗口剤 エタノール 30.0 % 第2リン酸ナトリウム 0.8 第1リン酸カリウム 0.1 サッカリンナトリウム 0.05 香料 0.5 グリチルリチン酸塩 0.1 塩化マグネシウム6水和物 0.13 (マグネシウムイオンとして 0.015) フィチン酸6ナトリウム 0.2 トリクロサン 0.05 精製水 残部 計 100.0 %
【0062】 〔実施例9〕 チューインガム ガムベース 40.0 % 炭酸カルシウム 2.0 水飴 15.0 砂糖 40.0 香料 0.5 クエン酸マグネシウム9水和物 2.55 (マグネシウムイオンとして 0.03) フィチン酸6ナトリウム 3.0 ソルビン酸 0.2 精製水 残部 計 100.0 %
【0063】 〔実施例10〕 うがい用錠剤 炭酸水素ナトリウム 55.0 % 第2リン酸ナトリウム 10.0 ポリエチレングリコール400 3.0 香料 1.0 オレイン酸 0.1 塩酸クロルヘキシジン 0.05 クエン酸 17.0 ヒノキチオール 0.1 硫酸マグネシウム7水和物 3.1 (マグネシウムイオンとして 0.3) フィチン酸6ナトリウム 5.0 精製水 残部 計 100.0 %
【0064】 〔実施例11〕 義歯洗浄用ペースト 無水ケイ酸 3.0 % 増粘性シリカ 10.0 ポリエチレングリコール400 5.0 グリセリン 35.0 60%ソルビット液 30.0 ラウリル硫酸ナトリウム 2.0 カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.5 香料 1.0 チモール 0.5 フィチン酸6アンモニウム 5.0 炭酸ナトリウム 適量 精製水 残部 計 100.0 %
【図面の簡単な説明】
【図1】カルシウムイオンとリン酸イオンからハイドロ
キシアパタイトが形成されるとき、溶液のpHを一定に
保つために添加された水酸化ナトリウム溶液の経時によ
る変化を示したグラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年12月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】また、歯石の前駆物質である歯垢の形成を
抑制する抗菌物質を併用することで歯石予防効果の向上
を行う方法も提案されている。例えば、米国特許第40
22880号公報には、抗歯石物質として亜鉛イオンを
与える化合物と抗菌物質との併用が示されている。特開
昭60−258404号公報には、抗歯石物質として縮
合リン酸塩と非カチオン系の抗菌物質との併用が記載さ
れている。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィチン酸又はその水溶性塩と非カチオ
    ン性抗菌物質とを併用配合してなることを特徴とする口
    腔用組成物。
  2. 【請求項2】 更にマグネシウムイオン供給物質を配合
    した請求項1記載の口腔用組成物。
JP35575896A 1996-12-24 1996-12-24 口腔用組成物 Pending JPH10182383A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35575896A JPH10182383A (ja) 1996-12-24 1996-12-24 口腔用組成物
IDP973850A ID19246A (id) 1996-12-24 1997-12-09 Komposisi oral antikalkulus

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35575896A JPH10182383A (ja) 1996-12-24 1996-12-24 口腔用組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10182383A true JPH10182383A (ja) 1998-07-07

Family

ID=18445610

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35575896A Pending JPH10182383A (ja) 1996-12-24 1996-12-24 口腔用組成物

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JPH10182383A (ja)
ID (1) ID19246A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6689342B1 (en) 2002-07-29 2004-02-10 Warner-Lambert Company Oral care compositions comprising tropolone compounds and essential oils and methods of using the same
US6787675B2 (en) 2002-07-29 2004-09-07 Warner-Lambert Company Substituted tropolone compounds, oral care compositions containing the same and methods of using the same
JP2009526818A (ja) * 2006-02-17 2009-07-23 ウニベルシタット デ レス イリュス バレアルス フィチン酸塩と亜鉛の一定量組み合わせ
WO2010058522A1 (ja) * 2008-11-19 2010-05-27 花王株式会社 歯の表面に生成した固形生成物を除去する方法
JP2010120880A (ja) * 2008-11-19 2010-06-03 Kao Corp 口腔用組成物
JP2010150225A (ja) * 2008-11-19 2010-07-08 Kao Corp 歯の表面に生成した固形生成物除去用組成物
JP2013539783A (ja) * 2010-11-04 2013-10-28 コルゲート・パーモリブ・カンパニー 減少した収斂性を有する歯磨剤組成物
US8580234B2 (en) 2008-11-19 2013-11-12 Kao Corporation Method for removing solid product formed on surfaces of teeth

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6689342B1 (en) 2002-07-29 2004-02-10 Warner-Lambert Company Oral care compositions comprising tropolone compounds and essential oils and methods of using the same
US6787675B2 (en) 2002-07-29 2004-09-07 Warner-Lambert Company Substituted tropolone compounds, oral care compositions containing the same and methods of using the same
US6924398B2 (en) 2002-07-29 2005-08-02 Warner-Lambert Company Llc Substituted tropolone compounds, oral care compositions containing the same and methods of using the same
JP2009526818A (ja) * 2006-02-17 2009-07-23 ウニベルシタット デ レス イリュス バレアルス フィチン酸塩と亜鉛の一定量組み合わせ
JP2014139182A (ja) * 2006-02-17 2014-07-31 Universitat De Les Illes Balears フィチン酸塩と亜鉛の一定量組み合わせ
WO2010058522A1 (ja) * 2008-11-19 2010-05-27 花王株式会社 歯の表面に生成した固形生成物を除去する方法
JP2010120880A (ja) * 2008-11-19 2010-06-03 Kao Corp 口腔用組成物
JP2010150225A (ja) * 2008-11-19 2010-07-08 Kao Corp 歯の表面に生成した固形生成物除去用組成物
US8580234B2 (en) 2008-11-19 2013-11-12 Kao Corporation Method for removing solid product formed on surfaces of teeth
JP2013539783A (ja) * 2010-11-04 2013-10-28 コルゲート・パーモリブ・カンパニー 減少した収斂性を有する歯磨剤組成物

Also Published As

Publication number Publication date
ID19246A (id) 1998-06-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4746441B2 (ja) 過飽和溶液中のカルシウムおよびリン酸イオンからなるうがい薬
US4259316A (en) Oral composition for caries prophylaxis
US4550018A (en) Dental hygiene compositions
US20090123396A1 (en) Anti-sensitivity,anti-caries, anti-staining, anti-plaque ultra-mild oral hygiene agent
US4545979A (en) Dental hygiene compositions
US5578295A (en) Oral care compositions comprising certain substituted diphenyl ethers
JPH09503506A (ja) オーラル組成物
EP0875238A2 (en) Dentifrice compositions containing Beta-phase calcium pyrophosphate, an anticalculus agent & fluoride
JPH09143043A (ja) 歯石軟化・溶解用組成物
RU2723646C1 (ru) Композиции для ухода за полостью рта
JPS6136211A (ja) 口腔用組成物
CZ21593A3 (en) Mixtures preventing the formation of tartar and bacterial plaque on teeth and containing azacycloalkane diphosphonates
JPH10182383A (ja) 口腔用組成物
EP3880160B1 (en) Dentifrice containing sodium bicarbonate and stannous ions.
JPH1017447A (ja) 抗歯石剤及び口腔用組成物
JPH09249541A (ja) 歯磨剤
JP2013151473A (ja) 口腔用組成物
JPH05930A (ja) 口腔用組成物
JPH09175968A (ja) 口腔用組成物
JPH05339135A (ja) 口腔用組成物
JP4149335B2 (ja) 口腔用液状組成物及びその製造方法
JPH10298049A (ja) 歯垢形成抑制剤及び口腔用組成物
JP6825339B2 (ja) 口腔用組成物
JPH08268855A (ja) 口腔用組成物
JP2003231621A (ja) 口臭予防用口腔用組成物