JPH1017447A - 抗歯石剤及び口腔用組成物 - Google Patents

抗歯石剤及び口腔用組成物

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JPH1017447A
JPH1017447A JP18845896A JP18845896A JPH1017447A JP H1017447 A JPH1017447 A JP H1017447A JP 18845896 A JP18845896 A JP 18845896A JP 18845896 A JP18845896 A JP 18845896A JP H1017447 A JPH1017447 A JP H1017447A
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phytic acid
sodium
antiodontolithic
agent
acid
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JP18845896A
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Masaaki Iwata
正明 岩田
Isao Minemoto
勲 峰本
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Lion Corp
Original Assignee
Lion Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れたハイドロキシアパタイトの結晶性抑制
活性を有し、歯石予防効果が高く、しかも安定性が良好
で、かつ使用感も良い抗歯石剤を得る。 【解決手段】 下記一般式(1)で示されるフィチン酸
又はその塩から選ばれる1種又は2種以上と、フィチン
酸に対して0.1〜3倍モルのマグネシウムイオンとを
配合する。 【化1】 (但し、式中Mはそれぞれ独立に水素原子、アルカリ金
属又はアンモニア、有機アミン等のアミンから誘導され
るカチオンである。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハイドロキシアパ
タイト結晶生成抑制効果に優れ、高い歯石予防効果を有
する抗歯石剤及び該抗歯石剤を配合した口腔用組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】歯石
は、歯面、歯間部、或いは歯肉辺縁部に沈着した石灰質
の堆積物であり、口腔部の容貌を大きく損ねる原因とな
る。更に、歯石は非常に粗な表面を持ち、このため口腔
内細菌の定着或いは歯垢の付着を促進し、種々の口腔内
疾患の加速要因になると言われている。
【0003】歯石形成過程の詳細については必ずしも明
らかにされているわけではないが、歯面に存在するプラ
ークを構成する細菌、或いは粘着性デキストラン等の有
機基質に、唾液や浸出液から供給されるカルシウム及び
リンが吸着し、これが結晶化するプラークの石灰化現象
ととらえることができる。そして、その無機成分はハイ
ドロキシアパタイト様の石灰化物である。従って、プラ
ーク中に沈着したリン酸カルシウム分がハイドロキシア
パタイト結晶に転移し、更に成長していくのを抑制する
ことにより歯石の形成を抑制することができる。
【0004】従来、このような考えのもとに歯石形成の
予防に対する可溶性リン酸塩の効果が報告されている
〔アーカイブ・オーラル・バイオロジー(Arch.O
ral.Biol.)Vol.15、p893〜896
(1970)〕。更に、特開昭52−108029号公
報、特開昭59−42311号公報等には、ピロリン酸
塩、ポリリン酸塩等の縮合リン酸塩による歯石予防法、
特開昭49−118839号公報、特開平4−3343
14号公報等には、縮合リン酸と類似の化学構造を有す
るジホスホネート化合物を使用した歯石予防法が提案さ
れている。
【0005】また、構成単位中にカルボン酸基、ホスホ
ン酸基を持っていたり、構成単位に酸性アミノ酸を使用
した合成高分子化合物を単独で又は上記の縮合リン酸塩
と組み合わせて使用することにより、ハイドロキシアパ
タイトの結晶成長を抑制する方法が特開昭61−165
317号公報、特開平4−275212号公報、特開昭
64−71808号公報、特開平2−4708号公報等
に提案されている。
【0006】更に、上記のアニオン性物質による歯石予
防法以外の方法として、アルカリ土類金属塩を利用する
方法が特開昭52−108029号公報、特開昭61−
36211号公報等に提案されているが、これらはアル
カリ土類金属塩と縮合リン酸塩との併用を訴求したもの
である。更に亜鉛塩を利用する方法(特開昭60−23
3008号公報、特開昭62−252714号公報、特
開昭64−13015号公報等)も提案されている。
【0007】一方、フィチン酸は、従来より口腔用組成
物において色調の安定化、タバコヤニの除去或いはフッ
化錫の安定化等の目的での使用が提案されている(特開
昭54−154537号公報、特開昭56−18913
号公報、特開昭56−22720号公報等)が、更に、
カルシウム塩との高い親和性を利用し、歯石予防を目的
とした使用も提案されている。特に、特表平7−501
827号公報では、フィチン酸とカチオン性抗菌剤との
併用による歯石予防法が提案されている。
【0008】しかし、この方法においては、フィチン酸
は経時での変色が著しく、歯石予防効果を得るのに十分
な量を使用することが困難であること、また、カチオン
性抗菌剤と併用した場合、不溶性の塩を形成し易いた
め、安定化のための複雑な処方を必要とするなどの問題
点がある。
【0009】このように歯石形成抑制効果を有する口腔
用組成物は種々提案されているが、近年、口腔衛生意識
の高まりを反映して、より高い機能を付与することがで
きる抗歯石剤の開発が望まれている。
【0010】更に、口腔用組成物が人の口腔内で使用さ
れることを考慮したとき、高安全性に加えて、味の良
さ、味覚への影響のなさも重要な特性となる。上記した
縮合リン酸塩等の無機塩類は、口腔用組成物に多量に配
合すると、塩味、苦味等の不快味を呈するという問題が
あり、これらの点に対する改善も望まれている。
【0011】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、優れたハイドロキシアパタイトの結晶生成抑制活性
を有し、歯石予防効果が高く、しかも安定性が良好で変
色せず、使用感も良好な抗歯石剤及び該抗歯石剤を配合
してなる口腔用組成物を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結
果、穀類或いは植物種子中に多く含まれる天然の有機リ
ン酸化合物である下記一般式(1)で示されるフィチン
酸又はその塩が、高いハイドロキシアパタイトの結晶生
成抑制活性を示すこと、かかるフィチン酸又はその塩と
マグネシウムイオンを併用することにより、上記結晶生
成抑制活性が大きく向上し、歯石予防効果が高く、しか
も安定性が良好で経時での変色の心配もなく、使用感も
良い抗歯石剤が得られることを見出した。
【0013】
【化2】 (但し、式中Mはそれぞれ独立に水素原子、アルカリ金
属又はアンモニア、有機アミン等のアミンから誘導され
るカチオンである。)
【0014】即ち、フィチン酸又はフィチン酸のアルカ
リ金属塩、アルカリ土類金属塩は、その高いキレート作
用を利用して、従来より食品分野或いは口腔製品分野で
色調の安定化剤或いは多価金属イオンの安定化剤として
使用されてきた。例えば特開昭56−45408号公報
の実施例中には、錫イオンの安定化を目的としたフィチ
ン酸マグネシウムの使用例の記載がある。しかし、これ
らのフィチン酸又はその塩は安定化剤としての利用であ
り、ハイドロキシアパタイトの結晶生成抑制活性につい
ては触れられていない。更に、上記したようにフィチン
酸又はフィチン酸のアルカリ金属塩を歯石防止の目的で
使用した提案も存在する。しかし、フィチン酸自身の色
調及び経時での大きな変色性のため、十分な歯石予防効
果を得るだけの使用は困難であった。
【0015】これに対し、上記式(1)のフィチン酸又
はその塩と、フィチン酸に対して0.1〜3倍モルのマ
グネシウムイオンとを併用すると、これらが相乗的に作
用してハイドロキシアパタイト結晶生成抑制活性が非常
に高く向上し、フィチン酸又はその塩の比較的少量の添
加で満足な歯石予防効果を得ることができ、このため経
時での変色の問題も解消され、安定性も大きく改善でき
ることを知見した。更に、この抗歯石剤を配合した口腔
用組成物のpHを6〜10に調整することで、フィチン
酸の安定性をより大きく改善できることを知見し、本発
明をなすに至ったものである。
【0016】従って、本発明は、上記一般式(1)で示
されるフィチン酸又はその塩から選ばれる1種又は2種
以上と、フィチン酸に対して0.1〜3倍モルのマグネ
シウムイオンとを必須成分とする抗歯石剤及びこの抗歯
石剤が配合された口腔用組成物を提供する。
【0017】以下、本発明につき更に詳述すると、本発
明の抗歯石剤は、各種の口腔製品に添加され、高い歯石
予防効果を付与するものであって、下記一般式(1)で
示されるフィチン酸又はその塩から選ばれる1種又は2
種以上と、フィチン酸に対して0.1〜3倍モルのマグ
ネシウムイオンとを必須成分とするものである。
【0018】
【化3】 (但し、式中Mはそれぞれ独立に水素原子、アルカリ金
属又はアンモニア、有機アミン等のアミンから誘導され
るカチオンである。)
【0019】上記式(1)において、Mは例えば水素原
子、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、アンモニ
ア、有機アミン等のアミンから誘導されるカチオンなど
である。
【0020】ここで、フィチン酸は、主に穀類或いは植
物種子中にカルシウム塩又はマグネシウム塩として存在
する。これらの塩を抽出後、塩酸等の酸に溶解し、カチ
オン交換樹脂処理を行うことにより、上記式(1)のフ
ィチン酸を得ることができる。
【0021】上記式(1)のフィチン酸は、適用される
口腔用組成物の性状に応じて酸の状態のまま、或いはア
ルカリ金属水酸化物、アンモニア、有機アミン等の塩基
性物質の単独或いは混合物で適宜pHを調整してフィチ
ン酸塩として使用することができる。フィチン酸又はそ
の塩の使用量については、特に規定はないが、添加後の
口腔用組成物全体に対し0.01〜10%(重量%、以
下同じ)となる範囲が好ましく、より好ましくは0.0
2〜5%であり、特に好ましくは0.1〜3%である。
フィチン酸又はその塩の使用量が0.01%に満たない
と、十分な歯石予防効果が得られない場合があり、10
%を超えると経時における変色等の問題が発生する場合
がある。
【0022】次に、マグネシウムイオンは、本発明の製
剤にマグネシウムイオンを与える物質を配合することで
供給することができる。マグネシウムイオンを与える物
質として具体的には、塩化マグネシウム、硫酸マグネシ
ウム、硝酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等の無機
塩、酢酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム等の有機
酸塩などを挙げることができるが、これらの塩に限定さ
れるものではない。
【0023】マグネシウムイオンの使用量は、マグネシ
ウムイオンの含有量がフィチン酸に対し0.1〜3倍モ
ルに相当する量となる範囲であり、好ましくはフィチン
酸に対し0.3〜2倍モル、より好ましくは0.5〜
1.5倍モルに相当する量となる範囲である。マグネシ
ウムイオンの含有量がフィチン酸に対し0.1倍モルに
相当する量に達しないと、相乗作用による歯石予防効果
の向上が認められない。3倍モルに相当する量を超える
と、フィチン酸マグネシウムの不溶性塩が形成され、歯
石予防効果が認められなくなる。
【0024】本発明の抗歯石剤は、各種口腔用組成物に
配合することができるが、本発明の抗歯石剤が配合され
た口腔用組成物は、そのpHが6〜10に調整してある
ことが好ましい。この場合、より好ましくはpH7〜
9、特に好ましくはpH7.5〜8.5である。組成物
のpHが6より低いと、フィチン酸の経時による着色を
抑制することができない場合があり、pHが10を超え
ると、味の劣化或いはフィチン酸の加水分解等の問題を
生じることがある。
【0025】pH調整は、フィチン酸をアルカリ金属水
酸化物の塩基性物質で中和するとき、そのpHを6〜1
0の範囲にするために必要な量のアルカリを予め添加す
ることで行うことができる。また、炭酸ナトリウム、炭
酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸
塩、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のアルカリ金
属リン酸塩、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、
リンゴ酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、コハク酸ナト
リウム、フタル酸ナトリウム等の有機酸アルカリ金属塩
のpHが6〜10の範囲でpH緩衝作用を示す有機酸ア
ルカリ金属塩から選ばれる1種又は2種以上をpH調整
剤として使用し、pH調整することもできる。なお、本
発明では、pH調整剤を使用したpH調整が好適であ
り、特にpH調整剤としてpH6〜10の範囲でpH緩
衝作用を示す有機酸アルカリ金属塩を使用することがよ
り好適である。
【0026】本発明の抗歯石剤は、練歯磨、潤製歯磨、
液体歯磨等の歯磨剤、洗口剤、口中清涼剤、うがい用錠
剤、義歯用洗浄剤、チューインガム等の口腔製品に添加
することができ、それぞれの製品は特徴に応じその他の
成分を本発明の効果を損なわない範囲で使用し、通常の
方法で調製することができる。任意成分としては、例え
ばリン酸水素カルシウム二水和物、リン酸水素カルシウ
ム無水物、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化
アルミニウム、無水ケイ酸等の研磨剤、グリセリン、ソ
ルビット、プロピレングリコール等の粘稠剤、カルボキ
シメチルセルロースナトリウム、カラギナン、キサンタ
ンガム等の粘結剤、ラウリル硫酸ナトリウム等の界面活
性剤、サッカリン等の甘味剤、その他防腐剤、香料、着
色剤、pH調整剤、賦形剤、各種薬効成分等を配合する
ことができる。なお、これら任意成分の配合量は、本発
明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、フィチン酸又はその塩
から選ばれる1種又は2種以上と、フィチン酸に対して
0.1〜3倍モルのマグネシウムイオンとを併用するこ
とで、フィチン酸又はその塩由来のハイドロキシアパタ
イトの結晶生成抑制活性が相乗的に向上して優れた歯石
形成抑制効果を有し、更に安定性が大きく改善され、着
色の心配がなく、使用感も良好な抗歯石剤を得ることが
できる。
【0028】
【実施例】以下、実施例、実験例及び配合例を示して本
発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制
限されるものではない。なお、各例において%はいずれ
も重量%である。
【0029】〔実施例1,2、比較例1〜5〕フィチン
酸及びカルシウムイオンに対しキレート作用を示すシュ
ウ酸、酒石酸、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、ニ
トリロ三酢酸の各試料水溶液を水酸化ナトリウムで中和
し、pH=7.4に試験溶液を調整した。これらの水溶
液を使用し、インビトロ(in vitro)における
ハイドロキシアパタイト結晶の生成に対する抑制効果を
下記の方法で評価した。結果を表1に示す。ハイドロキシアパタイト結晶の生成に対する抑制効果評
価方法 上記各成分を表1に示す濃度で含む4mMリン酸ナトリ
ウム溶液24mlに、4mM塩化カルシウム溶液1ml
を加え、析出した不定形のリン酸カルシウムが転移し
て、ハイドロキシアパタイト結晶を生成するまでの時間
に及ぼす効果を測定した。評価は、下記反応式1−
(b)に示すハイドロキシアパタイトへの転移反応で消
費されたOHイオンを補強するために滴下された0.1
規定水酸化ナトリウム溶液の経時変化を測定することに
より行った。なお、コントロールとしては、上記各成分
の代わりに蒸留水を添加したリン酸ナトリウム溶液を用
いた。
【0030】下記反応式1にカルシウムイオンとリン酸
イオンからハイドロキシアパタイトの生成する反応を示
した。下記反応式1−(a)は不定形のリン酸カルシウ
ムの生成反応であり、下記反応式1−(b)は不定形の
リン酸カルシウムからハイドロキシアパタイト結晶への
転移反応である。カルシウムイオンとリン酸イオンが接
触すると、瞬時に式1−(a)の反応が起こり、引き続
いて式1−(b)の転移反応が徐々に進行する。これら
はいずれも反応の進行と共にOHイオンが消費され、溶
液は酸性に変化していく。このOHイオンの消費量は、
溶液のpHを常に一定に保つために外部より加えられる
水酸化ナトリウム溶液の添加量をモニターすることによ
り知ることができる。反応の進行と水酸化ナトリウム溶
液の添加量との関係を図1に示した。ここで、の変化
は、式1−(a)の不定形リン酸カルシウムの形成に対
応する。また、の変化は、式1−(b)の不定形リン
酸カルシウムが転移して、ハイドロキシアパタイト結晶
が生成する反応に対応する。即ち、式1−(a)の反応
後、式1−(b)の反応が始まるまでの時間(THA
P、以下同じ)が長いほど、ハイドロキシアパタイト結
晶の生成が抑えられている。反応式1 Ca2++H2PO4-+OH-+H2O → CaHPO4・2H2O …(a) 10CaHPO4・2H2O+4OH- → Ca10(PO46(OH)2+4H2PO4-+22H2O …(b)
【0031】
【表1】
【0032】表1の結果より、フィチン酸とマグネシウ
ムイオンとを併用した場合(実施例1,2)は、ハイド
ロキシアパタイト結晶が生成するまでの時間(T HA
P)が大きく延長し、高いハイドロキシアパタイト結晶
生成抑制効果のあることがわかった。一方、他のキレー
ト剤の場合(比較例1〜5)はT HAPが短く、ほと
んどハイドロキシアパタイト結晶生成抑制効果を示して
いない。
【0033】〔実施例3、比較例6〜11〕実施例1と
同様にpH=7.4に調整したフィチン酸を使用し、表
2に示すような種々の金属イオンと併用したときのハイ
ドロキシアパタイトの結晶生成抑制効果を評価した。な
お、実験条件は実施例1と同様である。結果を表2に示
す。
【0034】
【表2】
【0035】表2の結果より、フィチン酸とマグネシウ
ムイオンとを併用した場合(実施例3)は、ハイドロキ
シアパタイト結晶が生成するまでの時間(T HAP)
が大きく延長し、高いハイドロキシアパタイト結晶生成
抑制効果のあることがわかった。一方、それ以外の金属
イオンと併用した場合(比較例6〜11)は、フィチン
酸単独の場合と変わらないか、或いはT HAPが短く
なりハイドロキシアパタイト結晶生成抑制効果を示して
いない。
【0036】〔実施例4〜10、比較例12〜15〕実
施例1と同様にpH=7.4に調整したフィチン酸を使
用し、表3に示すような割合でマグネシウムイオンを併
用したときのハイドロキシアパタイト結晶生成抑制効果
を評価した。なお、実験条件は実施例1と同様である。
結果を表3に示す。
【0037】
【表3】
【0038】表3の結果より、フィチン酸とマグネシウ
ムイオンとを併用したとき、フィチン酸に対するマグネ
シウムイオンのモル比が0.1〜3倍モルの範囲にある
ときハイドロキシアパタイトの結晶生成抑制効果は大き
く向上した。モル比が0.1倍モルに満たないと相乗効
果は認められず、3倍モルを超えるとフィチン酸が不溶
化して効果は急速に低下した。
【0039】〔実験例1〕水酸化ナトリウムを用いて表
4に示すpHに調整したフィチン酸5%及びマグネシウ
ムイオン0.1%(フィチン酸/Mg2+のモル比=0.
54)を含有する水溶液を60℃の恒温槽に保存し、経
時での着色を評価した。着色の程度は500nmでの吸
光度変化により測定した。結果を表4に示す。
【0040】
【表4】
【0041】表4の結果より、フィチン酸とマグネシウ
ムイオンとを含有する溶液のpHを6〜10、特にpH
を7〜10の弱アルカリ性にしたとき、大きな着色性の
改善が認められた。
【0042】〔実験例2〕フィチン酸5%とマグネシウ
ムイオン0.1%を含む溶液を水酸化ナトリウムにより
中和した後、表5に示すpH調整剤を添加してpHを
8.0とした水溶液を60℃の恒温槽に保存し、経時で
の着色を実験例1と同様の方法で評価した。結果を表5
に示す。
【0043】
【表5】
【0044】表5の結果より、pH調整剤を使用するこ
とで経時での着色性は大きく改善された。特に、クエン
酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム等の有機酸アルカリ金
属塩を使用したとき大きな改善が認められた。
【0045】次に、配合例を示す。 〔配合例1〕練歯磨(組成物pH=7.5) リン酸水素カルシウム2水和物 50 重量% グリセリン 20 プロピレングリコール 5.0 カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0 ラウリル硫酸ナトリウム 1.5 サッカリンナトリウム 0.2 香料 1.0 パラベン 0.1 塩化マグネシウム六水和物 0.051 (マグネシウムイオンとして 0.006) フィチン酸六ナトリウム 1.0 水酸化ナトリウム 適 量精製水 残 部 計 100.0
【0046】 〔配合例2〕練歯磨(組成物pH=8.0) リン酸水素カルシウム2水和物 45 重量% 60%ソルビット液 25 プロピレングリコール 5.0 ラウリル硫酸ナトリウム 1.5 カルボキシメチルセルロース 0.7 カラギナン 0.5 サッカリンナトリウム 0.2 香料 1.0 安息香酸ナトリウム 0.2 モノフルオロリン酸ナトリウム 0.78 塩化マグネシウム六水和物 0.254 (マグネシウムイオンとして 0.03) フィチン酸カリウム 2.0 炭酸ナトリウム 適 量精製水 残 部 計 100.0
【0047】 〔配合例3〕練歯磨(組成物pH=7.5) 無水ケイ酸 25 重量% グリセリン 30 60%ソルビット液 25 ポリエチレングリコール400 5.0 ラウリル硫酸ナトリウム 1.5 カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0 サッカリンナトリウム 0.1 香料 1.0 フッ化ナトリウム 0.22 硫酸マグネシウム七水和物 1.56 (マグネシウムイオンとして 0.15) フィチン酸六ナトリウム 5.0 クエン酸ナトリウム 適 量精製水 残 部 計 100.0
【0048】 〔配合例4〕練歯磨(組成物pH=8.5) 水酸化アルミニウム 45 重量% 60%ソルビット液 25 プロピレングリコール 5.0 ラウリル硫酸ナトリウム 1.5 ヒドロキシエチルセルロース 1.5 サッカリンナトリウム 0.1 香料 1.0 モノフルオロリン酸ナトリウム 0.78 クエン酸マグネシウム九水和物 0.26 (マグネシウムイオンとして 0.03) フィチン酸六ナトリウム 5.0 クエン酸ナトリウム 適 量精製水 残 部 計 100.0
【0049】 〔配合例5〕液状歯磨(組成物pH=8.0) 無水ケイ酸 15 重量% グリセリン 35 60%ソルビット液 35 プロピレングリコール 5.0 ラウリル硫酸ナトリウム 1.5 キサンタンガム 0.2 ポリアクリル酸ナトリウム 0.2 サッカリンナトリウム 0.1 香料 1.0 フッ化ナトリウム 0.22 塩化マグネシウム六水和物 0.05 (マグネシウムイオンとして 0.006) フィチン酸六カリウム 1.0 リン酸ナトリウム 適 量精製水 残 部 計 100.0
【0050】 〔配合例6〕練歯磨(組成物pH=8.0) リン酸水素カルシウム2水和物 45 重量% グリセリン 20 プロピレングリコール 5.0 ラウリル硫酸ナトリウム 1.0 N−ラウロイルサルコシンナトリウム 0.5 カラギナン 0.5 サッカリンナトリウム 0.1 香料 1.0 パラベン 0.1 トラネキサム酸 0.1 グリチルリチン酸二カリウム 0.1 クエン酸マグネシウム九水和物 0.51 (マグネシウムイオンとして 0.06) フィチン酸六ナトリウム 1.0 水酸化ナトリウム 適 量精製水 残 部 計 100.0
【0051】 〔配合例7〕洗口剤(組成物pH=7.0) エタノール 20 重量% サッカリンナトリウム 0.05 香料 1.0 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60EO) 0.3 塩化マグネシウム六水和物 0.25 (マグネシウムイオンとして 0.03) フィチン酸六カリウム 0.5 クエン酸ナトリウム 適 量精製水 残 部 計 100.0
【0052】 〔配合例8〕洗口剤(組成物pH=6.5) エタノール 30 重量% 第2リン酸ナトリウム 0.8 第1リン酸カリウム 0.1 サッカリンナトリウム 0.05 香料 0.5 グリチルリチン酸二カリウム 0.1 塩化マグネシウム六水和物 0.13 (マグネシウムイオンとして 0.015) フィチン酸六ナトリウム 0.2精製水 残 部 計 100.0
【0053】 〔配合例9〕チューインガム(組成物pH=8.5) ガムベース 40 重量% 炭酸カルシウム 2.0 水アメ 15.0 砂糖 40.0 香料 0.5 クエン酸マグネシウム九マグネシウム 2.55 (マグネシウムイオンとして 0.03) フィチン酸六ナトリウム 3.0精製水 残 部 計 100.0
【0054】 〔配合例10〕うがい用錠剤(組成物pH=8.5) 炭酸水素ナトリウム 55 重量% 第2リン酸ナトリウム 10.0 ポリエチレングリコール400 3.0 香料 1.0 オレイン酸 0.1 塩酸クロルヘキシジン 0.05 クエン酸 17.0 硫酸マグネシウム七水和物 3.1 (マグネシウムイオンとして 0.3) フィチン酸六ナトリウム 5.0精製水 残 部 計 100.0
【0055】 〔配合例11〕義歯洗浄用ペースト(組成物pH=9.0) 無水ケイ酸 3.0重量% 増粘性シリカ 10.0 ポリエチレングリコール400 5.0 グリセリン 35 60%ソルビット液 30 ラウリル硫酸ナトリウム 2.0 カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.5 香料 1.0 塩化マグネシウムイオン六水和物 0.85 (マグネシウムイオンとして 0.1) フィチン酸六アンモニウム 5.0 炭酸ナトリウム 適 量精製水 残 部 計 100.0
【図面の簡単な説明】
【図1】実験例1において、カルシウムイオンとリン酸
イオンからハイドロキシアパタイトが形成されるとき、
溶液のpHを一定に保つために添加された水酸化ナトリ
ウム溶液の経時による変化を示したグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で示されるフィチン酸
    又はその塩から選ばれる1種又は2種以上と、フィチン
    酸に対して0.1〜3倍モルのマグネシウムイオンとを
    含有してなることを特徴とする抗歯石剤。 【化1】 (但し、式中Mはそれぞれ独立に水素原子、アルカリ金
    属又はアンモニア、有機アミン等のアミンから誘導され
    るカチオンである。)
  2. 【請求項2】 請求項1記載の抗歯石剤を配合してなる
    ことを特徴とする口腔用組成物。
  3. 【請求項3】 pHが6〜10の範囲にある請求項2記
    載の口腔用組成物。
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