JP2012504186A - 希土類元素を含有するマグネシウム合金 - Google Patents

希土類元素を含有するマグネシウム合金 Download PDF

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Abstract

改善された加工性および/または延性および/または腐食特性を有し、かつ展伸用途および鋳造用途に適した希土類元素を含有するマグネシウム合金であって、Y:2.0〜6.0重量% Nd:0〜4.0重量% Gd:0〜5.5重量% Dy:0〜5.5重量% Er:0〜5.5重量% Zr:0.05〜1.0重量% Zn+Mn:<0.11重量%、任意に他の希土類元素および重希土類元素、ならびにマグネシウムおよび不可避的な不純物である残部、からなり、Gd、DyおよびErの総含有量は0.3〜12重量%の範囲にあり、いずれの合金も低い量のYbおよびSmを含有し、30Mpy未満のASTM B117に従って測定した腐食速度を呈し、かつ/または1μmよりも大きくかつ15μm未満の平均粒径を有する、合金が加工されるときに生じるあらゆる析出した粒子の面積百分率は、3%未満である、希土類元素を含有するマグネシウム合金。この合金は、鋳造されかつ/または熱処理されかつ/または展伸されかつ/または金属マトリクス複合材料のための基合金として使用されうる。
【選択図】なし

Description

本発明は、良好な耐腐食性を保持しつつ、特に展伸されたときの改善された加工性および/または延性を有する希土類元素を含有するマグネシウム合金に関する。
希土類元素は、その質量に従って、希土類元素(「RE」 −本願明細書中ではY、La、Ce、PrおよびNdとして定義される)と重希土類元素(「HRE」− 本願明細書中では62〜71の原子番号を有する元素、すなわちSm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuとして定義される)との間で分けることができる。集合的に、それらはRE/HREと呼ばれることが多い。例えば特許文献1から、RE/HREが存在すると、高温での良好な強度および耐クリープ性を有するマグネシウム合金が与えられるということが知られている。
マグネシウム−イットリウム−ネオジム−重希土類元素−ジルコニウム合金(Mg−Y−Nd−HRE−Zr)が市販されている。例としては、Elektron WE43およびElektron WE54(以降、それぞれ「WE43」および「WE54」と呼ばれる)の商標で現在入手できるものが挙げられる。WE43およびWE54は室温〜300℃で使用するために設計されており、これらの合金は鋳造された形態および展伸された形態の両方で使用することができるということが知られている。ASTM B107/B 107M06によって定義されるそれらの化学組成は、下に、表1(ASTM B107/Bから採用した)に示される。これらの公知のWE43およびWE54合金は、以降、集合的に「WE43型合金」と呼ばれることになろう。
Figure 2012504186
これらのWE43型合金については、高温での良好な強度および耐クリープ性というそれらの有益な力学的特性は、当該合金の中に強化析出物を作り出すイットリウムおよびネオジムなどの元素の存在によって引き起こされる析出硬化の機構を通して主に成し遂げられる。HREは、Mg−Y−(HRE)−Nd化合物であるこれらの強化析出物の中にも存在する(参考:非特許文献1)。特許文献1によれば、この種の合金のHRE含有量はイットリウム含有量の40%未満でなければならない。純粋なYは記載された合金で使用することができるが、その合金のコストを下げるために、Y含有量が少なくとも60%である限りは、より低い純度の出発物質を使用することができると記載されている。この文献には特定のHREの重要性という認識はなく、そして具体例ではCdの使用が推奨されているということにも気づくであろう。さらには、Kingら(参考:非特許文献1)は、Y/他のRE(このRE成分は、主にHREである)の比は典型的には80/20であるべきであると記載している。この同じ参考文献は、WE43型合金のHRE成分はクリープ性能の点で有益である一方で、高添加量のRE(CeおよびLaなど)(すなわち、0.5wt%の程度)は当該合金の引張特性には有害である可能性があるということも教示する。
約4%のY含有量とともに、WE43型合金は、典型的には約1%のHRE(このHREはSm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、YbおよびLuを含むことができる)ならびに他のRE(La、CeおよびPrなど)を含む(参考:非特許文献1)。これらの個々の元素の各々の濃度はその文献の中では特定されておらず、単に「他の希土類元素は主に重希土類元素、例えばGd、Dy、Er、Ybということになろう」と記載されているだけであるか(参考:ASTM B107/B 107M06)、または「Ndおよび他の重希土類元素」へ言及されている(参考:BSI 3116:2007)。WE43型合金についてのこれらの刊行されたデータシートはこれらの「他の希土類元素」のレベルを非常に低くすることができるということを示唆するが、実際にはこのような市販の合金の中の全濃度はHREと存在するYとを合わせた合計の約20%である(表1、脚注eを参照)。そのため、4%のYを含有するWE43合金については、およそ1%の「他の希土類元素」が存在するであろう。この量の他の希土類元素の範囲内で、Gd、Dy、Er、YbおよびSm以外のHREは、一般に、当該合金の中のGd、Dy、Er、YbおよびSmの総含有量の約10〜30%である。
WE43型合金などのMg−Y−Nd−HRE−Zr合金は、高温での用途に向けて設計された(参考:非特許文献2)。Y/HREおよびNdを含有する強化析出物は高温で安定であり、良好な引張性能およびクリープ性能に寄与する。この強度および安定性は高温用途のためには有益である一方で、この同じ特徴は、成形(展伸)操作の間には不利益をもたらしうる。これは、限定的な成形性および延性を有する合金に関連する。結果として、亀裂発生を最小にするためには、(加熱成形操作の間)高い加工温度、および低い還元速度を用いることが必要である。これは生産コストを付加し、かつ高スクラップ率に向かう傾向がある。
このMg−Y−Nd−HRE−Zr型合金内で、あるタイプのRE/HREを選択および制御することによって、その合金の何らの特別の熱処理も必要とせず、良好な耐腐食性を保持しつつ、特に展伸されたときにその物質の加工性および/または延性において予期されない恩恵が成し遂げられうるということが見出された。
具体的には、WE43型合金の中に重希土類元素Gd、DyおよびErが存在すると、その合金の加工性および/または延性が改善される一方で、他の希土類元素、特にYbおよびより少ない程度ではあるがSmが存在すると、この改善に対して不利に作用する傾向があるということが見出された。
その後さらなる検討は密接に関連するイットリウム−ネオジム含有マグネシウム合金の挙動の探求につながり、そして驚くべきことに、加工性および/または延性における上記の改善は、Ndがほぼ完全に存在しないときでさえも、これらの合金の特定のもので同様に見出される可能性があるということが見出された。
特許文献2には、希土類元素を含有するマグネシウム基合金は、それに0.1〜2.5重量%のZnおよび0.01〜0.05重量%のMnを必須に組み込むことにより、改善された長期強度および耐腐食性を有するとして記載されている。Y、Gd、およびNdについて列挙されている範囲は広く、その合金の中のYの量に関連したGdの含有量の重要性の認識はない。また、他のHREの影響の認識もまったくない。記載された合金は鋳造用途のみが意図されており、そして熱処理された(T61)ということも明らかである。
特許文献3などの多くの先行技術文献は、特定の個々のHREの重要性に何ら触れることなくWE43型合金の使用に言及する。例えば特許文献4には、WE43型合金の延性を改善するためにその合金の熱処理が記載されている。このタイプの市販の合金を生産するために使用される製造プロセスに起因して、存在するHREの量は常に当該合金のY含有量の約25%であろうし、さらにはGd、DyおよびErに加えて特定されない希土類元素が様々な量で存在するであろうし、そして特にYbは少なくとも0.02重量%の量で存在するであろう。本発明とは対照的に、得られたと主張された改善された延性は、合金の組成の制御を通してではなく、特別の熱処理(これは必然的に生産コストを増加させるであろう)によって成し遂げられたと記載されている。
英国特許出願公開第2095288号明細書 旧ソビエト社会主義共和国連邦特許第1360223号明細書 米国特許第6495267号明細書 特開平9−104955号公報
King、Lyon、Savage、59th World Magnesium Conference、Montreal、2002年5月 J Becker P15−28 Magnesium alloys and applications proceedings、B.L Mordike編、1998年
本発明は、同時に等しく良好な耐腐食性を保持しつつ、加工性および/または延性の点でWE43型合金に勝る改善された合金を提供しようとする。この等しく良好な耐腐食性は、公知の腐食を引き起こす不純物、特に鉄、ニッケルおよび銅、ならびに当該合金についてそれらの腐食挙動にとって有害であることが見出されている合金元素、例えばZnおよびMnの両方の慎重な制御によって成し遂げられる。本発明の合金の腐食挙動に影響を及ぼす合金成分間で種々の相互作用が存在するが、その挙動はWE43型合金よりも悪くてはならない。ASTM B117の標準的な塩霧試験を使用すると、本発明の合金は、30Mpy未満の腐食速度を呈するべきである。
その力学的特性の点で、WE43型合金の性能に合致するために、本発明の合金は、展伸用合金として使用することが意図される場合は、下記の実施例に記載される条件下で、押出されたままの状態で室温で測定した場合、以下の特徴を有するべきである:
0.2% YS >190Mpa
UTS >280Mpa
伸び >23%。
しかしながら、特定の用途については、本発明の合金は、そのような高力学的特性を必要とはしなくてもよく、ASTM B107/B 107M−07によって定義される値などのなどのより低い値が、または以下の値でさえ、おそらく十分であろう:
0.2% YS >150Mpa
UTS >240Mpa
伸び >20%。
展伸用途に加えて、WE43型合金の場合のように、本発明の合金は鋳造合金としても有用である。
そのような鋳造合金のいずれのその後の加工(熱処理など)も、当然、最終の物質の加工性および延性に対して著しい効果を有するであろうし、低下した引張特性は、一般にそのような加工の後に、はじめて明らかになるであろう。F状態にある、すなわち何らのさらなる熱処理もない押し出されたままの物質は、特にその後の加工の間にその物質において引張特性の低下を引き起こしうるサイズの粒子を含有する可能性がある。本発明の合金について、T4もしくはT6状態にあるときの鋳造合金、またはF状態もしくはエージングされた(T5)状態にあるかもしくはいずれかの他の加工後の展伸された物質のいずれかにおいて形成されるこのような粒子(これは光学顕微鏡法によって容易に検出可能である。すなわち約1〜15μmの範囲の平均粒径を有する)の面積百分率が3%未満、特に1.5%未満であるときに、加工性および/または延性の改善は、顕著になることが見出された。これらの光学的に解像できる粒子は脆い傾向があり、そしてそれらの存在は適切にされた熱処理を通して減少させることはできるが、それらの形成が当該合金の組成の調整によって制御することができれば明らかに好ましい。好ましくは、1μmよりも大きく7μm未満である平均サイズを有する粒子の面積百分率は3%未満である。
重要なことに、これらの粒子の形成は、存在するYbおよび/またはSmの特定の量に必ずしも依存するというわけではない。F状態の物質について、これらの粒子の存在は、当該合金の中のYbおよびSmの量にだけでなく、Gd、DyおよびErに対するRE/HREの相対的割合に関連することが多いことが見出された。多くの合金については、Gd、DyおよびEr以外の希土類元素(YおよびNdを除く)の総量は、Gd、DyおよびErの総重量の20%未満、好ましくは13%未満、より好ましくは5%未満であるべきである。
最も好ましくないHRE、YbおよびSm、の本発明の合金における最大含有量は、確かにある程度は特定の合金組成物に依存するが、Yb含有量が0.02重量%以下であり、かつSm含有量が0.04重量%以下であれば、一般に引張特性は、展伸された物質については著しくは低下しないであろう。好ましくは、Yb含有量は0.01重量%未満であり、Sm含有量は0.02重量%未満である。
本発明に係る展伸用途については、マグネシウム合金であって、以下:
Y:2.0〜6.0重量%
Nd:0.05〜4.0重量%
Gd:0〜5.5重量%
Dy:0〜5.5重量%
Er:0〜5.5重量%
Zr:0.05〜1.0重量%
Zn+Mn:<0.11重量%
Yb:0〜0.02重量%
Sm:0〜0.04重量%
任意に、0.5重量%までの総量のY、Nd、Gd、Dy、Er、YbおよびSm以外の希土類元素および重希土類元素、ならびに
マグネシウムおよび0.3重量%までの総量の不可避的な不純物である残部
からなり、
Gd、DyおよびErの総含有量は0.3〜12重量%の範囲にあり、当該合金は30Mpy未満の、ASTM B117に従って測定した腐食速度を呈する、マグネシウム合金が提供される。
本発明に係る鋳造用途については、マグネシウム合金であって、以下:
Y:2.0〜6.0重量%
Nd:0.05〜4.0重量%
Gd:0〜5.5重量%
Dy:0〜5.5重量%
Er:0〜5.5重量%
Zr:0.05〜1.0重量%
Zn+Mn:<0.11重量%
任意に、20重量%までの総量のY、Nd、Gd、DyおよびEr以外の希土類元素および重希土類元素、ならびに
マグネシウムおよび0.3重量%までの総量の不可避的な不純物である残部
からなり、
Gd、DyおよびErの総含有量は0.3〜12重量%の範囲にあり、当該合金がT4またはT6状態にある場合は、1〜15μmの間の平均粒径を有する、あらゆる析出した粒子の面積百分率は3%未満である、マグネシウム合金が提供される。
好ましくはこの鋳造合金は、30Mpy未満の、ASTM B117に従って測定した腐食速度を呈する。
本発明は、これより添付の図面を参照して説明される。
マグネシウムの再結晶化温度に対する合金元素の効果を示すグラフである(後述するRokhlin 2003の参考文献から採用した)。 450℃での押出後のWE43型合金から作製した試料の微細構造を示す。合金の組成は下記の表3の試料1aの組成である。 450℃での押出後の本発明のマグネシウム合金から作製した試料の微細構造を示す。合金の組成は下記の表3の試料3dの組成である。 450℃での押出後のWE43型合金から作製した試料の微細構造を示す。合金の組成は下記の表3の試料1bの組成である。 450℃での押出後の本発明のマグネシウム合金から作製した試料の微細構造を示す。合金の組成は下記の表3の試料3aの組成である。 引張荷重の下で破断した市販の展伸用WE43合金の試料の微細構造を示す。この図は、2つの領域に、その領域内の脆い粒子の存在と関連する亀裂を明らかにする。 T4状態にある砂型鋳造合金の試料の顕微鏡写真である。その組成は下記の表3の試料Cである。 T4状態にある砂型鋳造合金の試料の顕微鏡写真である。その組成は下記の表3の試料Dである。
加工性に関して、重要な機構は再結晶化である。これは、新しい歪んでいない結晶粒を形成する能力であり、すでに歪んでいた(例えば、押出、圧延および延伸が挙げられるがこれらに限定されない)物質にとって延性を回復する上で有益である。再結晶化によって物質が再び歪むことが可能になり、さらなる変形が成し遂げられる。再結晶化は、加工工程間に合金を加熱する(アニーリングする)ことにより成し遂げられることが多い。
再結晶化が起こる温度または完全な再結晶化にかかる時間を下げることができれば、高温アニーリング工程の数および/または時間を低減することができ、そしてその物質の成形(加工)が改善されうる。
再結晶化に影響を及ぼす要因のうちの1つは当該物質の純度であるということは十分に認識されており(参考文献、Modern Physical Metallurgy − RE Smallman Third edition p393)、1つの例は、帯精製した(zone refined)(浄化された)アルミニウムと比べたアルミニウム合金の中の銅含有量の効果である。
それゆえ、例えば、RE/HREのレベルを低下させることによりMg−Y−Nd−HRE−Zr合金の純度を改善することは、その合金の再結晶化温度を低下することになろうと予想されるかもしれない。実際に、マグネシウムのRE含有合金については、REはこのような合金の再結晶化温度を上昇させるということが報告されている(L.L.Rokhlin 「Magnesium alloys containing RE metals」 Taylor & Francis 2003 p143)。この事実は −Rokhlinおよび別の研究者Dritsによれば− 再結晶化の活性化エネルギーの増加に関連する。さらには、Rokhlin(p144)は、再結晶化温度はマグネシウムの中でのREの溶解性と対応して上昇する;すなわち、REがより溶解性であるほど再結晶化温度はより高くなるということを観察した。1つの例外はREを少量加えた場合であり、この場合、再結晶化温度は影響を受けない(つまり、添付の図1によると、約0.05原子%未満)。
Lorimer(Materials Science Forum Vols. 488−489 2005 pp99−102)は、WE43型合金では再結晶化が第二相粒子で起こる可能性があるということ、および粒子誘起核生成(Particle Stimulated Nucleation、PSN)が再結晶化の1つの機構であるということを提案する。
上記のことから、Mg−Y−Nd−HRE−Zr型合金についての教示の方向は、HRE/RE粒子の生成は再結晶化にとっては有益となりうる一方で、約0.05原子重量%を超えてRE/HRE含有量(特に可溶性RE/HRE)を増加させることは再結晶化温度を上昇させることになるということである、と結論することができる。
しかしながらその教示とは対照的に、驚くべきことに、Mg−Y−Nd−HRE−Zr合金については、熱処理の間のそれらの再結晶化挙動は、合金中の存在するHREはかなりの含有量であるにもかかわらずそのHREの制御によって改善されうるということが見出された。換言すれば、特別の加工の使用によるのではなく組成の制御によって、本発明の合金の再結晶化挙動は改善されうる、すなわちより低い温度での熱処理でも再結晶化のためには十分であり、かつ/またはWE43型合金についてよりもより少ない時間しか完全な再結晶化のために必要とされない。このように、本発明のマグネシウム合金の使用は加工性の点で優位性を有し、そして加工時間の短縮およびスクラップの減少の点でより経済的であり、かつ当該合金の力学特性および腐食特性も改善することができる。
本発明のマグネシウム合金およびWE43型合金の微細構造の検討により、いくつかの変形工程およびその後の中間の熱処理の後には、本発明のマグネシウム合金の中には、まったく同じようにして加工されたWE43型合金の中よりも著しくより少なくかつより小さい脆い沈殿物(光学的に解像できる粒子)しか存在しないということが明らかになる。換言すれば、Mg−Y−Nd−HRE−Zr合金の中に存在するREおよびHREの種類および量の選択は、驚くべきことに、その合金の成形性の改善につながった。
これらの合金の中の粒子は、それらの構成元素のいずれかのものの相互作用から生じる可能性があるが、本発明にとって特に興味深いのは、HRE/RE構成要素から形成される粒子である。WE43型合金は、典型的には、Gd、Dy、Er、Yb、Eu、Tb、HoおよびLuからなりうる1% HREならびにLa、CeおよびPrなどの他のREを含有する。合金のHRE含有量全体を低下させることなく選択的なREおよびHREをWE43型合金から取り除くことにより、このような粒子の発生およびサイズは低下するということが見出された。結果として、当該合金の延性を改善することができ、そしてその再結晶化温度および/または再結晶化時間は、合金の引張特性および腐食特性に著しい悪影響を及ぼすことなく低下する可能性があり、従って合金に加えられる成形プロセスを改善する機会が与えられる可能性がある。加えて、HRE成分の制御により、これらの成分によって引き起こされる合金の中でのいずれの結晶粒の成長も、本発明の合金の引張特性に対して有害な効果をもたらすのに十分なほど著しくはないことが見出された。
これまでに記載されたように、YおよびNdは、析出硬化の機構によって、本発明が関係する合金の強度を改善する元素である。これは、これらの合金構成要素が過飽和の状態にあり、その後(典型的には、200〜250℃の範囲の温度での)エージングの間に、制御された態様で溶液から析出することができるという事実に依る。強度のために望まれる析出物は、サイズが小さく、これらの強化析出物は、光学顕微鏡法によって解像しえない。十分なNdをも含有する合金の鋳造および加工では、粗くかつ光学顕微鏡法によって粒子として容易に観察されるさらなる析出物も生成される。これらは、通常、Ndに富み、15μm未満、そして一般に約10μmまでの平均粒径を有する(添付の図2Bを参照)。これらの粗い粒子は脆く、添付の図3に示されるように、その物質の成形性および延性を低下させる。典型的には、Ndに富む粒子は、その粒子中のいずれの他の元素の百分率組成よりも大きい、Ndの百分率組成を有する。
本発明は、このような粗い粒子が形成されることを引き起こすことが見出された合金成分を制御することにより、このような粗い粒子の発生を低減しようとする。これらの望ましくない粒子の原因を検討する過程で、これらの合金元素の溶解性との予期しない関連性が見出された。
マグネシウムへのRE/HREの溶解性はかなり変動する(下記の表2を参照)。
Figure 2012504186
表2中の各HRE/REのデータの考察およびWE43型合金の典型的な分析から、このような合金の中に存在する粗い粒子の体積は、Ndの低い固溶度に起因して、合金のこの元素の含有量に主に関連するであろうということを、当業者は予想するかもしれない。
しかしながら、RE/HRE成分の選択をGd、DyまたはErまたはこれらの3つの元素の混合物に限定することによって、粗いNdに富む粒子の体積は著しく減少するということが見出された(添付の図2A 対 図2Bを参照)。特に、YbおよびSmなどの他のRE/HREの溶解性が原因でそれらの元素は溶解状態で保持され粗い粒子の形成には寄与しないであろうと予想されるであろうと考える場合には、これは予想されないことである。Laだけが調べた組成の範囲で不溶性であり、その量は非常に小さい。従って、これらのRE/HREの除去ならびにGdおよび/またはDyおよび/またはErによるそれらの置き換えは、粗い粒子の量に重大な差をもたらすとは予想されないであろう。
さらには、表2の溶解性データから、この合金中のGdおよびYbの存在のそれぞれの効果は類似しているであろうということが予想されたはずである。実際は、驚くべきことに、Gdは5.5重量%までの量で存在できる一方で、展伸用合金については、Ybは約0.02重量%を超える量で存在してはならず、一方で鋳造合金についてはYbは約0.01重量%未満であるべきであり、そうでなければこの合金の延性は大幅に低下するということが見出された。Smについては、最大レベルは、展伸用合金および鋳造合金の両方について約0.04重量%である。好ましいHRE、Gd、DyおよびErは、合金の成形性および延性に対するそれらの効果に関しては本発明の合金において同様に振る舞うこと、およびそれゆえこれらのHREは実質的に置き換え可能であるということも見出された。
WE43型合金の別の注目すべき特徴は、腐食に対するその抵抗性である。マグネシウム合金の一般腐食は、鉄、ニッケル、銅およびコバルトなどの混入物質によって影響を受けるということは周知である(J Hillis、Corrosion Ch 7.2 p470.Magnesium Technology、2006 Edited Mordike)。これは、これらの元素とマグネシウムとの間の大きい電位差に起因する。腐食性の環境では、ミクロガルバニ電池が生成され、これが腐食につながる。
マグネシウムにREを加えることは二元合金の腐食に対していくらかの効果を有するということが報告されている。La、CeおよびPrなどの元素の高いレベル(数wt%)は耐食性能にとって有害であるということが報告されている。Rohklin(LL.Rokhlin、Magnesium alloys containing RE metals、Taylor & Francis 2003P205)は、「低含有量」(定義されず)では、それらが加えられたベースのマグネシウムよりも低い腐食速度を見ることができると記載する。しかしながら、マグネシウム合金の耐食性能に対する、(この特許出願の領域での)少量のRE/HREを変えることの効果については、何らの明瞭な教示はないようである。
驚くべきことに、Mg−Y−Nd−HRE−Zr合金のRE/HRE含有量を選択することにより、本発明の合金の耐食性能は改善できる、ある場合にはおよそ4倍も改善できるということが見出された。これは、これらの合金の総RE/HRE含有量全体を低下させることなく起こることが見出される。
本発明は、好ましくないHRE/RE、特にYb、ならびに好ましいHRE、つまりGdおよび/またはDyおよび/またはErの両方の制御によって上記の恩恵を成し遂げる。この発見は、RE/HREの低いレベルは、そのレベルが比較的高くない限り、マグネシウムの再結晶化温度には影響を及ぼさないと主張され、しかも、より可溶性が高いREは再結晶化温度を上昇させる傾向を有することが見出されたRokhlin(Mg−RE合金に特に焦点を当てたおよそ50年のマグネシウム技術における名高い研究者)の教示からは予想されないであろう(参考文献(LL.Rokhlin Magnesium alloys containing RE metals Taylor & Francis 2003 p144 line 15)。さらには、Lorimer教授ら(Materials Science Forum Vols. 488−489 2005 pp99−102)は、粒子誘起核生成(PSN)を、Mg−Y−Nd−HRE−Zr合金WE43における再結晶化のための機構として支持する。それゆえ粒子の減少は、この機構を制限するのであり、再結晶化を支援するのではないと予想されるかもしれない。本発明によれば、あまり好ましくないHRE/REを低下させることによって成し遂げられるこの粒子の減少は、添付の特許請求の範囲に記載される組成限界内でより好ましいHRE/REによって置き換えられた有害なHRE/REの量から予想されるであろうものよりも多い。
本発明の合金の恩恵は、当該合金が、例えば押出によって展伸されるときに、最も明らかになる。さらには、本発明の合金の力学的特性は公知の熱処理によって好ましく変えることができるが、合金の組成の記載された制御によって成し遂げられる改善された延性は、このような熱処理の必要性なしに達成することができる。本発明の合金は、WE43型合金を使用することができる用途と同様の用途で使用することができる。それらは鋳造することができ、かつ/または熱処理することができ、かつ/または展伸することができ、かつ金属マトリクス複合材料のための基合金として適切でもある。好ましくは、本発明の合金の中のYの含有量は3.5〜4.5重量%、より好ましくは3.7〜4.3重量%である。Yの含有量をこれらの好ましい範囲内に保つことで、特性の一貫性、例えば引張試験の際のばらつきが維持されるということが確保される。あまりに低いY含有量は強度の低下につながる一方で、あまりに高いY含有量は延性の大きな低下につながる。
さらに、当該合金の中のNdの含有量は、好ましくは1.5〜3.5重量%、より好ましくは2.0〜3.0重量%、最も好ましくは2.0〜2.5重量%である。Ndの含有量が約1.5重量%よりも低く、とりわけ0.05重量%よりも低くされる場合は、当該合金の強度は著しく低下し始める。しかしながら、Ndの含有量が4.0重量%を超えて上がると、当該合金の延性は、Mgの中へのNdの限られた溶解性に起因して、悪化する。
必須の望ましいHRE、Gd、DyおよびErについては、それらの存在が当該合金の加工性および/または延性に対する顕著な効果を有するためには、合計で少なくとも0.3%であるべきである。一般に、各々は5.5重量%までの量で存在してもよいが、それらの好ましい範囲は特定の合金の中へのそれらの溶解性に依存する。なぜなら、合金の中の析出した粒子の量およびサイズが増加するにつれて合金の延性は大きく低下するからである。加えて、他のHREに比べたこれらの望ましいHREの相対量は重要である。なぜなら、YbおよびSmなどの望ましくないHREについては、特に当該合金の延性に対するそれらの効果はそれらの含有量と不釣り合いであることが見出されたからである。WE43型合金と整合して、良好な力学的特性を保持しながらの延性および/または加工性の改善は、Gd、DyおよびEr以外の希土類元素(YおよびNdを除く)の総含有量がGd、DyおよびErの総重量の20%未満のとき、好ましくは13%未満のとき、特に顕著になるということが見出された。鋳造された物質については、特に、Ybは0.01重量%未満であるべきである。
本発明の合金の中のGd、DyおよびErの総含有量は、好ましくは0.4〜4.0重量%、より好ましくは0.5〜1.0重量%、とりわけ0.6重量%未満までの範囲にある。
当該合金の中のNd、Gd、DyおよびErの総含有量は、好ましくは2.0〜5.5重量%の範囲にある。この範囲内では、良好な延性の維持を確保することができる。
展伸用合金については、Y、Nd、Gd、Dy、Er、YbおよびSm以外の希土類元素および重希土類元素は、0.5重量%までの総量で存在することができる。鋳造合金については、Y、Nd、Gd、DyおよびEr以外の希土類元素および重希土類元素は、20%まで、好ましくは5重量%までの総量で存在することができる。Gd、DyおよびEr以外の希土類元素(YおよびNdを除く)の総含有量はGd、DyおよびErの総重量の5%未満であることが好ましい。
好ましくは、現在の相対的コストに起因して、本発明のマグネシウム合金は、GdおよびDy、とりわけGdのみを含む。
Zrの含有量は好ましくは0.1〜0.7重量%であり、ジルコニウムはマグネシウム合金の、とりわけ押出前の物質の結晶粒サイズを低下させるという顕著な恩恵を有し、この粒径の低下は当該合金の延性を改善する。
鉄およびニッケルという不純物が制御されるべきであるということがさらに見出された。これは、鉄およびニッケルと結合して不溶性の化合物を形成するジルコニウムおよびアルミニウムの添加によって成し遂げることができる。この化合物は溶融るつぼの中に析出し、鋳造の前に沈降する[Emleyら、Principles of Magnesium Technology.Pergamon Press 1966、126頁以下; Foerster、米国特許第3,869,281号明細書、1975年]。このようにZrおよびAlは、改善した耐腐食性に寄与しうる。これらの効果を確実にするために、Zrの含有量は、少なくとも0.05重量%であるべきであるのに対して、Alの含有量は最終の合金の中で0.3重量%未満、好ましくは0.2重量%以下であるべきである。Zrがその最低レベル付近、つまり0.05重量%にあるとき、腐食試験結果は一定しない傾向がある。
WE43型合金の場合のように、いくつかの少量の定着した合金元素が存在することができるが、ただしこれは、当該合金の加工性/延性/耐食性能に対する著しい有害な効果がない場合に限る。例えば、本発明のマグネシウム合金は0.2%未満、好ましくは0.02重量%未満のLiを含むことができるが、合計で0.11%を超えるZnおよびMnを含有するべきではない。
当該合金の中の不純物の総含有量は、0.3重量%未満、好ましくは0.2重量%未満であるべきである。特に,以下の最大不純物レベルは守られるべきである:
Ce、Sm、La、Zn、Fe、Si、Cu、Ag、Cd:各々個々に0.06重量%
Ni:0.003重量%
全体では、本発明の合金が少なくとも91重量%のMgを含むことが好ましい。
本発明は、これより、以下の限定を意図しない実施例を参照して例証される。下記の表3のセクションaおよびbに示される組成を有する試料を、押出を用いて、および押出を用いずに、の両方で調製した。
異なる合金組成を有するいくつかの融成物を溶融し、そして鋳造し、押し出し、そして微細構造(析出物の結晶粒サイズおよび分率)およびそれぞれの熱機械的特性(引張特性、復元および再結晶化挙動)を重要視した様々な検討にかけた。一般に、押し出されるべき試料は以下の技術に従って調製した。
合金試料を、その成分を鋼製のるつぼの中で一緒に溶融させることにより調製した。この融成物表面は、保護ガス(CO+2%SF)の使用によって保護した。温度を760〜800℃に上げ、その後、この溶融合金を撹拌してその融成物の化学組成を均質にした。次いでこの溶融合金を、名目上直径120mmおよび長さ300mmのビレットを得るための型の中へと鋳造した。
押出のための試料を調製するために、上記ビレットを、名目上直径75mmおよび長さ150〜250mmへと機械加工した。
あるいは、名目上直径300mmの型の中で行ったことを除いて上記のようにして鋳造することにより、押出のためにいくつかの試料を調製した。次いでそのより大きいビレットを押し出し、その直径を56mmへと小さくした。いずれの場合も、次にこのようにして形成されたビレットを、およそ525℃に4〜8時間加熱することにより均質にした。
押出は、液圧プレスで行った。75mmビレットからの生成物は、直径3.2〜25mm、しかしより典型的には9.5mmの利用できるセクションを有する丸棒セクションであった。この押し出されたセクションを評価のために使用した。
鋳造した物質は、これまでに記載されたのと同様にして溶融することにより生産したが、ここでは溶融合金を典型的には200mm*200mm*25mmの鋳物を生産するための砂型の中へと注ぎ込み、引き続く押出または鍛造作業は行わなかった。これらの試料については、この物質を525Cで熱処理してその構造を固溶し、室温まで冷却し(T4処理として公知)、その後250Cで16時間エージングした。この物質および全熱処理を、本願明細書中では「砂型鋳造T6」と呼ぶ。他の試料とは異なり、試料1aおよび試料Aは0.13% Liをさらに含有することに留意されたい。
セクションaおよびbに分けられている下記の表3は、押し出したF状態および試験した砂型鋳造T6合金の化学組成、腐食速度ならびに室温での引張特性を要約する。試料1a〜1hおよび試料AはWE43型合金の比較例である。融成物を、引っ張りデータを生成するため、および金属組織解析のために生産した。表の中で、YSは物質の降伏強度または降伏点であり、これは、物質のひずみが弾性変形から塑性変形へと変わりその試料が永久的に変形することを引き起こす応力である。UTSは、破壊前にその物質が耐えることができた最大応力である最大引張強さ(Ultimate Tensile Strength)を意味する。「伸び」は破断点伸びを表す。表3aは押し出した試料についてのデータを示し、一方、表3bは鋳造した試料についての対応する結果を示す。
表3aおよび表3bのデータからわかるように、当該合金の中の本発明の組成の変更は、強度の点では引張特性にとって著しく有害というわけではなかったが、伸びによって測定する延性の場合は、当該合金のHRE成分がGdおよび/またはDyおよび/またはErに富む場合に顕著な改善が観察された。
表3aを参照すると、試料1a〜1hは、WE43型合金については、既知のHRE含有量の変動は、本発明の試料3a〜3mによって証明される展伸された物質における引張特性および腐食特性の改善をもたらさないということが実証される。比較試料2a〜2iは、本発明の限界外ではこれらの改善がどのように減退して消失するかを示す。
表3bは、鋳造した物質についての同様の結果を示す。その中で、試料AおよびCはWE43型合金であり、試料BおよびDは本発明の範囲内のものである。
表4は、選択した合金の中で見出した粒子の推定面積および平均サイズのデータを示す。使用した技術は、粒子の着色の違いによって粒子の面積およびサイズを分析するための市販のソフトウェアを使用する光学顕微鏡法であった。この技術は絶対値を与えないが、ランダム粒子の物理測定と匹敵した良好な推定値を与える。表4は、本発明の合金の中の検出可能な粒子(この粒子は脆いものである可能性が高い)の数の減少を明瞭に示す。
図2は、450℃での押出後の2つの比較試料1a(図2A)および1b(図2C)ならびに2つの本発明の試料3d(図2B)および3a(図2D)の微細構造を示す。押し出したままの状態のこの金属組織の検討のために、当該物質を溶融し、鋳造し、均質にし、ビレットへと切断し、棒へと押し出した。次いで試料を切断し、エポキシ樹脂の中に包埋し、磨き、鏡面仕上げまで研磨し、標準的な金属組織学的技術[G Petzow、Metallographisches, keramographisches und plastographisches Aetzen、2006]に従って2% Nitalでエッチングした。
図2Bからわかるように、本発明のマグネシウム合金は、押出後、著しく少ない析出物およびわずかに大きい結晶粒サイズを有する。さらに検討により、いくつかの変形工程およびそれぞれの中間の熱処理の後、試料3dの中には著しく少なくかつ小さい析出物しか存在しないこと、および試料3dの結晶粒サイズは、まったく同様に加工した比較試料1aについてよりも、なおわずかに大きいということが明らかになった。
予備試験で、本発明のマグネシウム合金は温度の変動に対してあまり感受性ではないということがわかった。特に、一様伸びと破断点伸びとの間の範囲は、従来のマグネシウム合金よりも一様である。試験した本発明の合金は、従来の合金よりも低いアニーリング温度で軟化し、従って延性はより均一なレベルで維持された。
力学的特性の改善に加えて、かつ加工性のこの改善を通して、本発明の合金について、表3aに提示するように腐食特性の改善が見出された。押し出したままの状態での腐食試験のために、表3a中にある物質を棒へと押し出した。次いで、試料を機械加工し、ASTM B117に従って、7日間、5% NaClの塩霧環境の中で試験した。腐食生成物を、10%三酸化クロム溶液の沸騰溶液を使用して除去した。試料の重量減少を測定し、mpy(mils penetration per year(1年あたりのミル単位での浸食))で表す。
平均して、試験した本発明の合金とWE43型合金の比較試料との間でおよそ4倍の、塩霧耐食性能の改善があるということがわかる。
WE43型合金に勝る本発明のマグネシウム合金の改善された加工性および延性とそれらのそれぞれの微細構造との間の関連性は、図2Bおよび図2Dに対する図2Aおよび図2Cの比較からわかる。図2Aおよび図2Cは、WE43型合金のうちの2つの試料(分析値は表3aに示す)の中の明瞭に目に見える粒子の面積百分率を示す顕微鏡写真である。この面積百分率は3%を超えるということに注目されたい。このような量の大きい粒子の存在は、それらの合金に相対的に非常に低い延性をもたらすという効果を有する。対照的に、図2Bおよび図2Dは、本発明のマグネシウム合金の試料について、その大きい粒子の面積百分率が1.5%未満であることを示し、これは、著しく改善された延性と相関する。
砂型鋳造物質の挙動については、表3bおよび図4を参照する。両方の合金は同様にして生産され、つまりT4状態に処理した砂型鋳造した金属板であるが、脆い保持された相の量はWE43型合金試料Cにおいてよりも、本発明の試料、Dにおいて著しく少ないということがわかるであろう。
Figure 2012504186
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Claims (20)

  1. 展伸用合金としての使用に適したマグネシウム合金であって、
    Y:2.0〜6.0重量%
    Nd:0.05〜4.0重量%
    Gd:0〜5.5重量%
    Dy:0〜5.5重量%
    Er:0〜5.5重量%
    Zr:0.05〜1.0重量%
    Zn+Mn:<0.11重量%
    Yb:0〜0.02重量%
    Sm:0〜0.04重量%
    任意に、0.5重量%までの総量のY、Nd、Gd、Dy、Er、YbおよびSm以外の希土類元素および重希土類元素、ならびに
    マグネシウムおよび0.3重量%までの総量の不可避的な不純物である残部
    からなり、
    Gd、DyおよびErの総含有量は0.3〜12重量%の範囲にあり、前記合金は30Mpy未満の、ASTM B117に従って測定した腐食速度を呈する、展伸用合金としての使用に適したマグネシウム合金。
  2. 1〜15μmの間の平均粒径を有する、前記合金の加工の間に形成されたあらゆる析出した粒子の面積百分率は3%未満である、請求項1に記載の合金。
  3. 前記粒子はNdに富み、そのため、前記粒子は前記粒子中のいずれの他の元素の百分率組成よりも大きいNdの百分率組成を有する、請求項2に記載の合金。
  4. 鋳造合金としての使用に適したマグネシウム合金であって、
    Y:2.0〜6.0重量%
    Nd:0.05〜4.0重量%
    Gd:0〜5.5重量%
    Dy:0〜5.5重量%
    Er:0〜5.5重量%
    Zr:0.05〜1.0重量%
    Zn+Mn:<0.11重量%
    任意に、20重量%までの総量のY、Nd、Gd、DyおよびEr以外の希土類元素および重希土類元素、ならびに
    マグネシウムおよび0.3重量%までの総量の不可避的な不純物である残部
    からなり、
    Gd、DyおよびErの総含有量は0.3〜12重量%の範囲にあり、前記合金がT4またはT6状態にある場合は、1〜15μmの間の平均粒径を有する、あらゆる析出した粒子の面積百分率は3%未満である、鋳造合金としての使用に適したマグネシウム合金。
  5. 前記合金は、30Mpy未満のASTM B117に従って測定した腐食速度を呈する、請求項4に記載の合金。
  6. Yの含有量は3.5〜4.5重量%である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の合金。
  7. Yの含有量は3.7〜4.3重量%である、請求項6に記載の合金。
  8. Ndの含有量は1.5〜3.5重量%である、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の合金。
  9. Ndの含有量は2.0〜3.0重量%である、請求項8に記載の合金。
  10. Zrの含有量は0.1〜0.7重量%である、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の合金。
  11. Gd、DyおよびErの総含有量は0.4〜4.0重量%の範囲にある、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の合金。
  12. Nd、Gd、DyおよびErの総含有量は2.0〜5.5重量%の範囲にある、請求項11に記載の合金。
  13. Gd、DyおよびEr以外の希土類元素(YおよびNdを除く)の総含有量は、Gd、DyおよびErの総重量の13%未満である、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の合金。
  14. Ybは0.01重量%未満の量で存在する、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の合金。
  15. Smは0.02重量%未満の量で存在する、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の合金。
  16. 少なくとも91重量%のマグネシウム含有量を有する、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の合金。
  17. 前記合金がT4またはT6状態にあるとき、1μmよりも大きくかつ15μm未満の平均サイズを有する粒子の面積百分率は1.5%未満である、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の合金。
  18. 前記合金がT4またはT6状態にあるとき、1μmよりも大きくかつ7μm未満の平均サイズを有する粒子の面積百分率は3%未満である、請求項17に記載の合金。
  19. 前記粒子はNdに富み、そのため、前記粒子は前記粒子中のいずれの他の元素の百分率組成よりも大きいNdの百分率組成を有する、請求項4から請求項18のいずれか1項に記載の合金。
  20. 鋳造されかつ/または熱処理されかつ/または展伸されかつ/または金属マトリクス複合材料のための基合金として使用される場合の、請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の合金。
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