JP2012214814A - インク組成物、インクの製造方法、インクセット、並びに記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】多量添加または他の色補正染料を必要とせずに、優れた黒色調と高濃度の印刷が可能となり、且つ、耐候性に優れると共に、特に耐水性(にじみのない)に優れる、水溶性染料を少なくとも2種含有する黒インク組成物及びそれを含むインクセット並びにそれらを用いたインクジェット記録方法を提供すること。
【解決手段】水溶性染料を少なくとも2種含有するインク組成物であって、該水溶性染料のうち少なくとも1つが一般式(S−1)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる化合物であり、且つ、該水溶性染料のうち少なくとも1つが一般式(L−1)で表される化合物、または少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたナフタレン環と3つ以上のアゾ基を有する化合物であることを特徴とするインク組成物。
【選択図】なし
【解決手段】水溶性染料を少なくとも2種含有するインク組成物であって、該水溶性染料のうち少なくとも1つが一般式(S−1)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる化合物であり、且つ、該水溶性染料のうち少なくとも1つが一般式(L−1)で表される化合物、または少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたナフタレン環と3つ以上のアゾ基を有する化合物であることを特徴とするインク組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、本発明は、インク組成物、インクの製造方法、インクセット、記録方法に関し、特に高湿でのにじみに優れた画像を形成することができる黒インク組成物に関するものである。
インクジェット記録方法は、材料費が安価であること、高速記録が可能なこと、記録時の騒音が少ないこと、更にカラー記録が容易であることから、急速に普及し、更に発展しつつある。
インクジェット記録方法には、連続的に液滴を飛翔させるコンティニュアス方式と画像情報信号に応じて液滴を飛翔させるオンデマンド方式が有り、その吐出方式にはピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。
また、インクジェット記録用インクとしては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インクが用いられる。
インクジェット記録方法には、連続的に液滴を飛翔させるコンティニュアス方式と画像情報信号に応じて液滴を飛翔させるオンデマンド方式が有り、その吐出方式にはピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。
また、インクジェット記録用インクとしては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インクが用いられる。
このようなインクジェット記録用インクに用いられる着色剤に対しては、溶剤に対する溶解性あるいは分散性が良好なこと、発色性に優れ高濃度記録が可能であること、色相が良好であること、光、熱、環境中の活性ガス(NOx、オゾン等の酸化性ガスの他SOxなど)に対して堅牢であること、水や薬品に対する堅牢性に優れていること、受像材料に対して定着性が良く滲みにくいこと、インクとしての保存性に優れていること、毒性がないこと、純度が高いこと、更には、安価に入手できることが要求されている。しかしながら、これらの要求を高いレベルで満たす着色剤を捜し求めることは、極めて難しい。特に、良好な黒色調を有し、且つ高濃度印字が可能であり、光、湿度、熱に対して堅牢である黒インク用の着色剤が強く望まれている。
従来、黒用色素はジスアゾ染料またはトリスアゾ染料が使用されてきているが、これらの染料だけでは青色乃至緑色光に対する吸収が不足して良好な黒色調が得られない事が多い為、これらの青色乃至緑色光を吸収する色補正用の染料が併用されるのが一般的である。このような補正用染料としては、例えば特許文献1:JP−A−9−255906(以下「JP−A」は「特開」として用いられる)や特許文献2:特許第3178200号明細書に記載されているような染料が提案され、黒色調調整能、発色性、堅牢性、インク保存安定性、耐水性、ノズルの目詰まり等の改良が図られてきた。
しかしながら、従来提案されてきた色補正用染料では、吸収が短波過ぎる為に多量添加する必要があったり、更に別の色補正用の染料が必要になるなどの黒色調の調整能に欠ける問題を抱えていた。
しかしながら、従来提案されてきた色補正用染料では、吸収が短波過ぎる為に多量添加する必要があったり、更に別の色補正用の染料が必要になるなどの黒色調の調整能に欠ける問題を抱えていた。
また、青色乃至緑色光を吸収できる染料も一般に知られてはいるが、堅牢性が劣るために光,熱,環境中の活性ガスへの暴露で色相が大きく変化したり、定着性が不十分であった為に高湿下条件で輪郭部が黄色く滲み出すなどの現象が起きるものが殆どで、更なる改良が必要である。
これらの欠点を鑑み、特許文献3:JP−A−2002−332426には、色補正染料として水溶媒における可視域吸収スペクトルの吸収極大が435nmのトリアジン染料を、ブラック染料に配合することからなるブラックインク組成物が記載されている。
ところが、一般的な黒染料は570〜620nmに極大吸収を有しており、該色補正染料を用いたとしても、黒色調の調整に重要な補色関係を考慮すると好適な黒色調が得られないことは明らかである(非特許文献1:「色彩科学ハンドブック(第2版)」,東京大学出版会,1998,p560-562)。
特許文献4:JP−A−8−302255には、CI Direct Red 84の記載があるが、これを短波染料として用い長波染料と組み合わせた黒インク組成物については開示がない。
特許文献5:JP−A−2000−265099には、CI Direct Red 84の記載がカラム8にあるが、マゼンタであって、上記と同様にこれを短波染料として用い長波染料と組み合わせた黒インク組成物については開示がない。
特許文献6:JP−A−2005−1462444では特定の長波染料と組み合わせた黒インク組成物について開示されている。
ところが、一般的な黒染料は570〜620nmに極大吸収を有しており、該色補正染料を用いたとしても、黒色調の調整に重要な補色関係を考慮すると好適な黒色調が得られないことは明らかである(非特許文献1:「色彩科学ハンドブック(第2版)」,東京大学出版会,1998,p560-562)。
特許文献4:JP−A−8−302255には、CI Direct Red 84の記載があるが、これを短波染料として用い長波染料と組み合わせた黒インク組成物については開示がない。
特許文献5:JP−A−2000−265099には、CI Direct Red 84の記載がカラム8にあるが、マゼンタであって、上記と同様にこれを短波染料として用い長波染料と組み合わせた黒インク組成物については開示がない。
特許文献6:JP−A−2005−1462444では特定の長波染料と組み合わせた黒インク組成物について開示されている。
「色彩科学ハンドブック(第2版)」,東京大学出版会,1998,p560-562
本発明は、上記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、多量添加または他の色補正染料を必要とせずに、優れた黒色調と高濃度の印刷が可能となり、且つ、耐候性に優れると共に、特に耐水性(にじみのない)に優れる、水溶性染料を少なくとも2種含有する黒インク組成物及びそれを含むインクセット並びにそれらを用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
即ち、本発明の目的は、多量添加または他の色補正染料を必要とせずに、優れた黒色調と高濃度の印刷が可能となり、且つ、耐候性に優れると共に、特に耐水性(にじみのない)に優れる、水溶性染料を少なくとも2種含有する黒インク組成物及びそれを含むインクセット並びにそれらを用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
発明者らは、本発明は特定の水溶性染料を組み合わせて使うことにより上記目的を達成できることを見出すに至った。
<1>
水溶性染料を少なくとも2種含有するインク組成物であって、該水溶性染料のうち少なくとも1つが一般式(S−1)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる化合物であり、且つ、該水溶性染料のうち少なくとも1つが一般式(L−2)で表される化合物、であることを特徴とするインク組成物。
一般式(S−1):
ここで、B1〜B30は水素原子もしくはイオン性親水性基を表し、少なくともひとつのイオン性親水性基を含む。
一般式(L−2):
ここで、R11及びR12は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基若しくはフェニル基で置換されても良いスルファモイル基、リン酸基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、ヒドロキシル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されても良い炭素数1〜4のアルコキシ基またはアシルアミノ基であり、Aはフェニル基またはナフチル基を示し、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基若しくはフェニル基で置換されても良いスルファモイル基、リン酸基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、ヒドロキシル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されても良い炭素数1〜4のアルコキシ基またはアシルアミノ基によって置換されていても良い。n1は0又は1である。
<2>
前記一般式(S−1)におけるイオン性親水性基のうち少なくとも一つがスルホ基であることを特徴とする<1>に記載のインク組成物
<3>
前記一般式(S−1)で表される化合物及びその塩を0.1〜4質量%含有することを特徴とする<1>又は<2>に記載のインク組成物。
<4>
前記一般式(S−1)で表される化合物、一般式(L−2)で表される化合物の少なくとも1つは、リチウムイオンを対イオンとする塩であることを特徴とする<1>〜<3>の何れかに記載のインク組成物。
<5>
前記一般式(S−1)で表される化合物を水に溶解してインク原液を作製し、該インク原液の前記一般式(S−1)で表される化合物の濃度をさげて<1>〜<4>のいずれかに記載のインク組成物とする工程を有する事を特徴とするインク製造方法。
<6>
前記インク原液に水混和性有機溶剤を含有することを特徴とする<5>に記載のインク製造方法。
<7>
前記水混和性有機溶剤が2−ピロリドン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールの群から選ばれることを特徴とする<6>に記載のインク製造方法。
<8>
<5>〜<7>のいずれかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とするインク組成物。
<9>
<1>〜<4>のいずれかに記載のインク組成物を含むことを特徴とするインクセット。
<10>
<1>〜<4>のいずれかに記載のインク組成物を記録媒体上に付与して記録することを特徴とする記録方法。
<11>
<9>に記載のインクセットを記録装置に装填し、記録装置から記録媒体上にインクを付与して記録することを特徴とする記録方法。
<12>
インクジェットノズルよりインク組成物を記録媒体上に吐出させて記録することを特徴とする、<10>または<11>に記載の記録方法。
本発明は上記<1>〜<12>に関するものであるが、その他に事項についても参考のため記載している。
(1)水溶性染料を少なくとも2種含有するインク組成物であって、該水溶性染料のうち少なくとも1つが一般式(S−1)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる化合物であり、且つ、該水溶性染料のうち少なくとも1つが一般式(L−1)で表される化合物、または少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたナフタレン環と3つ以上のアゾ基を有する化合物であることを特徴とするインク組成物。
<1>
水溶性染料を少なくとも2種含有するインク組成物であって、該水溶性染料のうち少なくとも1つが一般式(S−1)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる化合物であり、且つ、該水溶性染料のうち少なくとも1つが一般式(L−2)で表される化合物、であることを特徴とするインク組成物。
一般式(S−1):
ここで、B1〜B30は水素原子もしくはイオン性親水性基を表し、少なくともひとつのイオン性親水性基を含む。
一般式(L−2):
ここで、R11及びR12は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基若しくはフェニル基で置換されても良いスルファモイル基、リン酸基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、ヒドロキシル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されても良い炭素数1〜4のアルコキシ基またはアシルアミノ基であり、Aはフェニル基またはナフチル基を示し、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基若しくはフェニル基で置換されても良いスルファモイル基、リン酸基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、ヒドロキシル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されても良い炭素数1〜4のアルコキシ基またはアシルアミノ基によって置換されていても良い。n1は0又は1である。
<2>
前記一般式(S−1)におけるイオン性親水性基のうち少なくとも一つがスルホ基であることを特徴とする<1>に記載のインク組成物
<3>
前記一般式(S−1)で表される化合物及びその塩を0.1〜4質量%含有することを特徴とする<1>又は<2>に記載のインク組成物。
<4>
前記一般式(S−1)で表される化合物、一般式(L−2)で表される化合物の少なくとも1つは、リチウムイオンを対イオンとする塩であることを特徴とする<1>〜<3>の何れかに記載のインク組成物。
<5>
前記一般式(S−1)で表される化合物を水に溶解してインク原液を作製し、該インク原液の前記一般式(S−1)で表される化合物の濃度をさげて<1>〜<4>のいずれかに記載のインク組成物とする工程を有する事を特徴とするインク製造方法。
<6>
前記インク原液に水混和性有機溶剤を含有することを特徴とする<5>に記載のインク製造方法。
<7>
前記水混和性有機溶剤が2−ピロリドン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールの群から選ばれることを特徴とする<6>に記載のインク製造方法。
<8>
<5>〜<7>のいずれかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とするインク組成物。
<9>
<1>〜<4>のいずれかに記載のインク組成物を含むことを特徴とするインクセット。
<10>
<1>〜<4>のいずれかに記載のインク組成物を記録媒体上に付与して記録することを特徴とする記録方法。
<11>
<9>に記載のインクセットを記録装置に装填し、記録装置から記録媒体上にインクを付与して記録することを特徴とする記録方法。
<12>
インクジェットノズルよりインク組成物を記録媒体上に吐出させて記録することを特徴とする、<10>または<11>に記載の記録方法。
本発明は上記<1>〜<12>に関するものであるが、その他に事項についても参考のため記載している。
(1)水溶性染料を少なくとも2種含有するインク組成物であって、該水溶性染料のうち少なくとも1つが一般式(S−1)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる化合物であり、且つ、該水溶性染料のうち少なくとも1つが一般式(L−1)で表される化合物、または少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたナフタレン環と3つ以上のアゾ基を有する化合物であることを特徴とするインク組成物。
一般式(S−1)においてB1〜B30は水素原子もしくはイオン性親水性基を表し、少なくともひとつのイオン性親水性基を含む。
上記一般式(L−1)中、W、R43およびR44は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基、及びヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、ヘテロ環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ヘテロ環スルフィニル基、スルファモイル基、またはスルホ基を表し、各基は更に置換されていても良い。R41、R42、R45及びR46は各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していても良い。但し、R41、R42が同時に水素原子であることはない。また、R43とR41、R41とR42あるいはR45とR46が結合して5乃至6員環を形成しても良い。X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は、一価の基を表す。ただし、一般式(L−1)は少なくともひとつのイオン性親水性基を含む。
(2)少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたナフタレン環と3つ以上のアゾ基を有する化合物が有するアゾ基の数が5つ以下であることを特徴とする前記(1)に記載のインク組成物
(3)少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたナフタレン環と3つ以上のアゾ基を有する化合物が、スルホン酸基またはカルボキシル基を1つ以上含有することを特徴とする前記(1)及び(2)のいずれかに記載のインク組成物。
(4)少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたナフタレン環と3つ以上のアゾ基を有する化合物が一般式(L−2)、(L−2a)、(L−3)及び(L−4)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる化合物であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のインク組成物。
(2)少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたナフタレン環と3つ以上のアゾ基を有する化合物が有するアゾ基の数が5つ以下であることを特徴とする前記(1)に記載のインク組成物
(3)少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたナフタレン環と3つ以上のアゾ基を有する化合物が、スルホン酸基またはカルボキシル基を1つ以上含有することを特徴とする前記(1)及び(2)のいずれかに記載のインク組成物。
(4)少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたナフタレン環と3つ以上のアゾ基を有する化合物が一般式(L−2)、(L−2a)、(L−3)及び(L−4)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる化合物であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のインク組成物。
一般式(L−2)中、R11及びR12は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基若しくはフェニル基で置換されても良いスルファモイル基、リン酸基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、ヒドロキシル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されても良い炭素数1〜4のアルコキシ基またはアシルアミノ基であり、Aはフェニル基またはナフチル基を示し、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基若しくはフェニル基で置換されても良いスルファモイル基、リン酸基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、ヒドロキシル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されても良い炭素数1〜4のアルコキシ基またはアシルアミノ基によって置換されていても良い。n1は0又は1である。
一般式(L−2a)中、A’は下記式(L−2a−1)を表し、A’の置換位置はアゾ基に対してm−位又はp−位であり、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;カルボキシル基;スルホ基;スルファモイル基;N−アルキルアミノスルホニル基;N−フェニルアミノスルホニル基;ホスホ基;ニトロ基;アシル基;ウレイド基;ヒドロキシル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルキル基;ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されても良い炭素数1〜4のアルコキシ基;炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されても良いアシルアミノ基を表し、R3及びR4は、それぞれ独立して水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;カルボキシル基;スルホ基;ニトロ基;炭素数1〜4のアルキル基;ヒドロキシル基;炭素数1〜4のアルコキシ基若しくはスルホ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルコキシ基を表し、nは0又は1である。
式(L−2a−1)中、R5はシアノ基;カルボキシル基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基またはフェニル基を表し、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;カルボキシル基;スルホ基;ニトロ基、炭素数1〜4のアルキル基;ヒドロキシル基;炭素数1〜4のアルコキシ基若しくはスルホ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基若しくはスルホ基で置換されても良いアシルアミノ基を表す。
一般式(L−3)中、E及びGはそれぞれ独立に置換されていても良いフェニル基、ナフチル基、アゾ基に炭素原子で結合する5員又は6員の芳香族へテロ環基を表し、各々の成分にはそれぞれ少なくとも1つ以上のカルボキシル基又はスルホ基を含む。X、Yの一方はヒドロキシル基、他方はアミノ基であり、l2、m2及びn2は1又は2を表す。
前記一般式(L−4)中、R21は置換基を有するフェニル基または置換基を有するナフチル基を表し、R22は置換基を有するフェニレン基または置換基を有するナフチレン基を表し、R23は少なくとも1つの二重結合及び置換基を有する5〜7員環のヘテロ環基を表す。さらに前記R21〜R23における前記置換基は独立して、OH、SO3H、PO3H2、CO2H、NO2、NH2、炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有する炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換基を有する炭素数1〜4のアルコキシ基、アミノ基、置換基を有するアミノ基、及び置換基を有するフェニル基からなる群から選ばれる。
(5)前記一般式(L−4)で表される化合物が一般式(L−5)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれることを特徴とする前記(4)に記載のインク組成物。
(5)前記一般式(L−4)で表される化合物が一般式(L−5)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれることを特徴とする前記(4)に記載のインク組成物。
前記一般式(L−5)中、R31〜R39は独立して、H、OH、SO3H、PO3H2、CO2H、NO2、及びNH2からなる群から選ばれる基を表す。
(6)前記一般式(S−1)におけるイオン性親水性基のうち少なくとも一つがスルホ基であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載のインク組成物
(7)前記一般式(S−1)で表される化合物及びその塩を0.1〜4質量%含有することを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載のインク組成物。(本明細書において、「質量比」は「重量比」と同義である。)
(8)前記一般式(S−1)で表される化合物、一般式(L−1)で表される化合物、および少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたナフタレン環と3つ以上のアゾ基を有する化合物の少なくとも1つは、リチウムイオンを対イオンとする塩であることを特徴とする前記(1)〜(7)の何れかに記載のインク組成物。
(9)前記一般式(S−1)で表される化合物を水に溶解してインク原液を作製し、該インク原液の前記一般式(S−1)で表される化合物の濃度をさげて前記(1)〜(8)のいずれかに記載のインク組成物とする工程を有する事を特徴とするインク製造方法。
(10)前記インク原液に水混和性有機溶剤を含有することを特徴とする前記(9)に記載のインク製造方法。
(11)前記水混和性有機溶剤が2−ピロリドン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールの群から選ばれることを特徴とする前記(10)に記載のインク製造方法。
(12)前記(9)〜(11)のいずれかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とするインク組成物
(13)前記(1)〜(8)のいずれかに記載のインク組成物を含むことを特徴とするインクセット。
(14)前記(1)〜(8)のいずれかに記載のインク組成物を記録媒体上に付与して記録することを特徴とする記録方法
(15)前記(13)に記載のインクセットを記録装置に装填し、記録装置から記録媒体上にインクを付与して記録することを特徴とする記録方法。
(16)インクジェットノズルよりインク組成物を記録媒体上に吐出させて記録することを特徴とする、前記(14)または(15)に記載の記録方法。
(6)前記一般式(S−1)におけるイオン性親水性基のうち少なくとも一つがスルホ基であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載のインク組成物
(7)前記一般式(S−1)で表される化合物及びその塩を0.1〜4質量%含有することを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載のインク組成物。(本明細書において、「質量比」は「重量比」と同義である。)
(8)前記一般式(S−1)で表される化合物、一般式(L−1)で表される化合物、および少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたナフタレン環と3つ以上のアゾ基を有する化合物の少なくとも1つは、リチウムイオンを対イオンとする塩であることを特徴とする前記(1)〜(7)の何れかに記載のインク組成物。
(9)前記一般式(S−1)で表される化合物を水に溶解してインク原液を作製し、該インク原液の前記一般式(S−1)で表される化合物の濃度をさげて前記(1)〜(8)のいずれかに記載のインク組成物とする工程を有する事を特徴とするインク製造方法。
(10)前記インク原液に水混和性有機溶剤を含有することを特徴とする前記(9)に記載のインク製造方法。
(11)前記水混和性有機溶剤が2−ピロリドン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールの群から選ばれることを特徴とする前記(10)に記載のインク製造方法。
(12)前記(9)〜(11)のいずれかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とするインク組成物
(13)前記(1)〜(8)のいずれかに記載のインク組成物を含むことを特徴とするインクセット。
(14)前記(1)〜(8)のいずれかに記載のインク組成物を記録媒体上に付与して記録することを特徴とする記録方法
(15)前記(13)に記載のインクセットを記録装置に装填し、記録装置から記録媒体上にインクを付与して記録することを特徴とする記録方法。
(16)インクジェットノズルよりインク組成物を記録媒体上に吐出させて記録することを特徴とする、前記(14)または(15)に記載の記録方法。
本発明の上記インク組成物を用いたインクジェット記録に用いることにより、良好な黒色調を有し、印字濃度が高く、しかも光及び環境中の活性ガスに対して堅牢性の高い画像を形成することができ、高温高湿下における保存時の画像滲みも大幅に改良される。
以下、本発明についてより詳細に説明する。
本発明のインク組成物は水溶性染料を少なくとも2種含有することを特徴とするインク組成物であって、該水溶性染料のうち少なくとも1つが一般式(S−1)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる化合物(以下、「水溶性短波染料S」とも記す。)であり、且つ、該水溶性染料のうち少なくとも1つが(L−1)で表される化合物、および少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたナフタレン環と3つ以上のアゾ基を有する化合物とから選ばれる化合物(以下、「水溶性長波染料L」とも記す。)であることを特徴とするインク組成物である。
本発明のインク組成物は、黒インクとして好ましく用いられる。
本発明のインク組成物は水溶性染料を少なくとも2種含有することを特徴とするインク組成物であって、該水溶性染料のうち少なくとも1つが一般式(S−1)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる化合物(以下、「水溶性短波染料S」とも記す。)であり、且つ、該水溶性染料のうち少なくとも1つが(L−1)で表される化合物、および少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたナフタレン環と3つ以上のアゾ基を有する化合物とから選ばれる化合物(以下、「水溶性長波染料L」とも記す。)であることを特徴とするインク組成物である。
本発明のインク組成物は、黒インクとして好ましく用いられる。
(水溶性短波染料S)
水溶性短波染料Sは、水溶媒における吸収スペクトルの極大(吸収極大:λmax)を440〜540nm、且つ半値幅を90nm〜200nmに有し、ブロードな吸収を達成する染料であることが好ましい。ここで、水溶媒とは水を主溶媒とし、水混和性有機溶剤を適度に含んでもよい染料を溶解又は分散させる媒体を意味する。また、吸収スペクトルは、通常使用する1cmのセルを用いた分光光度計で測定されるものを意味する。これらは、後述の水溶性短波染料Sについても同様である。
上記水溶性短波染料Sの吸収スペクトルは、単一化合物を用いて測定されたものである。即ち、本発明の水溶性短波染料Sは、水溶媒における吸収スペクトルを測定する場合、複数の化合物を組み合わせることにより所望の吸収極大および半値幅といった物性を示すものではなく、1つの化合物によりかかる物性を示すことを意味する。なお、上記水溶性短波染料S(以下、「短波染料S」とも記す。)として、互いに構造の異なる化合物を併用しても差し支えないことは明らかである。更に本発明は、前記一般式(S−1)で表される化合物以外の染料を併用してもかまわない。
短波染料Sは、かかる吸収特性を有している為、水溶性長波染料Lの吸収スペクトルで不足となりがちな、青色から緑色にかけて広い範囲の光を吸収することができ、補色染料として好ましい吸収特性を有する。
短波染料Sの吸収極大としては、440〜520nmの間であることが好ましく、460〜500nmにあることが特に好ましい。
短波染料Sの吸収極大における半値幅としては、100nm〜180nmの間にあることが好ましく、110nm〜160nmの間にあることが特に好ましい。
水溶性短波染料Sは、水溶媒における吸収スペクトルの極大(吸収極大:λmax)を440〜540nm、且つ半値幅を90nm〜200nmに有し、ブロードな吸収を達成する染料であることが好ましい。ここで、水溶媒とは水を主溶媒とし、水混和性有機溶剤を適度に含んでもよい染料を溶解又は分散させる媒体を意味する。また、吸収スペクトルは、通常使用する1cmのセルを用いた分光光度計で測定されるものを意味する。これらは、後述の水溶性短波染料Sについても同様である。
上記水溶性短波染料Sの吸収スペクトルは、単一化合物を用いて測定されたものである。即ち、本発明の水溶性短波染料Sは、水溶媒における吸収スペクトルを測定する場合、複数の化合物を組み合わせることにより所望の吸収極大および半値幅といった物性を示すものではなく、1つの化合物によりかかる物性を示すことを意味する。なお、上記水溶性短波染料S(以下、「短波染料S」とも記す。)として、互いに構造の異なる化合物を併用しても差し支えないことは明らかである。更に本発明は、前記一般式(S−1)で表される化合物以外の染料を併用してもかまわない。
短波染料Sは、かかる吸収特性を有している為、水溶性長波染料Lの吸収スペクトルで不足となりがちな、青色から緑色にかけて広い範囲の光を吸収することができ、補色染料として好ましい吸収特性を有する。
短波染料Sの吸収極大としては、440〜520nmの間であることが好ましく、460〜500nmにあることが特に好ましい。
短波染料Sの吸収極大における半値幅としては、100nm〜180nmの間にあることが好ましく、110nm〜160nmの間にあることが特に好ましい。
また、本発明の短波染料Sは、一般的な色素に存在する解離性のフェノール性水酸基を有しないことが好ましく、かかる構造により、使用する受像材料に依存した色調変化が少ない、空気中のオゾン等の酸化性ガスに対する反応性が低く耐ガス性に優れる、といった好ましい性能を有する。
ここで、解離性のフェノール性水酸基とは、アリール基に置換されている解離性の水酸基を意味する。このアリール基は、他の置換基で置換されていてもよい。
さらに、本発明の短波染料Sは、1分子中に4個以上のアゾ基を有することが好ましく、かかる構造により、発色性を増強させ、また、色素平面が大きく広がっているために定着性の良い画像を与えることができる。
ここで、解離性のフェノール性水酸基とは、アリール基に置換されている解離性の水酸基を意味する。このアリール基は、他の置換基で置換されていてもよい。
さらに、本発明の短波染料Sは、1分子中に4個以上のアゾ基を有することが好ましく、かかる構造により、発色性を増強させ、また、色素平面が大きく広がっているために定着性の良い画像を与えることができる。
本発明のインク組成物は、一般式(S−1)で表された化合物及びその塩から選ばれる化合物を含有する。
一般式(S−1)においてB1〜B30は水素原子もしくはイオン性親水性基を表し、少なくともひとつのイオン性親水性基を含む。
イオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基、および4級アンモニウム基等が含まれる。イオン性親水性基としてはカルボキシル基、ホスホノ基、およびスルホ基が好ましく、中でもカルボキシル基、スルホ基が好ましく、水溶媒への溶解性を高める観点からスルホ基がもっとも好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基、およびスルホ基は塩の状態であっても良く、前記水溶性基と反対の電荷を持ち、塩(イオン対)を形成するイオン(以下、対塩もしくは対イオンと記す)の例には、アンモニウム、アルカリ金属(例、リチウム、ナトリウム、カリウム)及び有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウム、テトラメチルグアニジニウム、テトラメチルホスホニウム)などが含まれる。対イオンとしてはアンモニウム、リチウム、ナトリウム、及びカリウムの各々のイオンが好ましく、中でもナトリウムイオン及びリチウムイオンとすることがより好ましく、リチウムイオンであることが最も好ましい。
さらに、以下に本発明で好ましく用いられる一般式(S−1)で表される化合物の例を遊離の酸の構造で示すが、任意の塩として用いても良いことは言うまでもない。
中でもSB−1の化合物がより好ましい。前記のように塩として用いてもよく、ナトリウム塩のものはC.I.Direct Red84として市販されており、市販染料として入手可能であるために有用である。また、対イオンがリチウムの塩は他の対イオンとの塩に比べて水溶性に優れるために染料が析出しにくい。そのため、溶液での保存安定性に優れ、かつブロンズ及び滲みのない画像を得られるという点で特に好適である。
尚、市販の染料以外の上記短波染料Sについても、カラーインデックス第4巻(The Society of Dyers and Colourists 発行)に記載されているC.I.Direct Red84の合成ルートに従って、市販の原料から容易に合成できる。
尚、市販の染料以外の上記短波染料Sについても、カラーインデックス第4巻(The Society of Dyers and Colourists 発行)に記載されているC.I.Direct Red84の合成ルートに従って、市販の原料から容易に合成できる。
本発明のインク組成物は、上記短波染料Sを0.1〜3質量%、好ましくは0.2〜2.5質量%、特に好ましくは0.3〜2.0質量%含有することが好ましいが、所望により、適宜変更することも可能である。
(水溶性長波染料L)
本発明において水溶性長波染料Lは、水溶媒における吸収スペクトルの極大(吸収極大)が550〜700nm、かつ半値幅が100nm以上(好ましくは120〜500nm、更に好ましくは120〜350nm)であることが好ましい。
上記水溶性長波染料Lの吸収スペクトルは、単一化合物を用いて測定されたものである。即ち、本発明の水溶性長波染料Lは、水溶媒における吸収スペクトルを測定する場合、複数の化合物を組み合わせることにより所望の吸収極大および半値幅といった物性を示すものではなく、1つの化合物によりかかる物性を示すことを意味する。なお、本発明において、上記水溶性長波染料L(以下、「長波染料L」とも記す。)として上記吸収スペクトルを満たすものであれば、互いに構造の異なる化合物を併用しても差し支えないことは明らかである。更に、本発明は、上記吸収スペクトル特性を示す長波染料L以外の染料を併用してもかまわない。
長波染料Lとしては、1分子中に2〜5個の互いに共役するアゾ基を有することが好ましい。
本発明において水溶性長波染料Lは、水溶媒における吸収スペクトルの極大(吸収極大)が550〜700nm、かつ半値幅が100nm以上(好ましくは120〜500nm、更に好ましくは120〜350nm)であることが好ましい。
上記水溶性長波染料Lの吸収スペクトルは、単一化合物を用いて測定されたものである。即ち、本発明の水溶性長波染料Lは、水溶媒における吸収スペクトルを測定する場合、複数の化合物を組み合わせることにより所望の吸収極大および半値幅といった物性を示すものではなく、1つの化合物によりかかる物性を示すことを意味する。なお、本発明において、上記水溶性長波染料L(以下、「長波染料L」とも記す。)として上記吸収スペクトルを満たすものであれば、互いに構造の異なる化合物を併用しても差し支えないことは明らかである。更に、本発明は、上記吸収スペクトル特性を示す長波染料L以外の染料を併用してもかまわない。
長波染料Lとしては、1分子中に2〜5個の互いに共役するアゾ基を有することが好ましい。
さらに、長波染料Lとしては、会合性を有し、物理的に反応を抑制できる性質を有するものが更に好ましい。
染料が会合状態であるかどうかについては、染料濃度を変化させて可視吸収スペクトルを測定し、その吸収極大波長、モル吸光係数および波形の変化を調べることで染料が会合性を有するかどうかを判断し、それらの溶液物性と受像材料上での染料の吸収スペクトルとの比較から容易に判断できる。
具体的には、特開2004-307831号で定義されている、0.1mmol/l染料水溶液を光路長1cmのセルを使用して測定した可視域吸収の極大波長におけるモル吸光係数(ε1)と、0.2mol/l水溶液を光路長5μmの液晶セルを使用して測定した時のモル吸光係数(ε2)の間で、ε1/ε2>1.2の関係が成り立つ染料が好ましい。
染料が会合状態であるかどうかについては、染料濃度を変化させて可視吸収スペクトルを測定し、その吸収極大波長、モル吸光係数および波形の変化を調べることで染料が会合性を有するかどうかを判断し、それらの溶液物性と受像材料上での染料の吸収スペクトルとの比較から容易に判断できる。
具体的には、特開2004-307831号で定義されている、0.1mmol/l染料水溶液を光路長1cmのセルを使用して測定した可視域吸収の極大波長におけるモル吸光係数(ε1)と、0.2mol/l水溶液を光路長5μmの液晶セルを使用して測定した時のモル吸光係数(ε2)の間で、ε1/ε2>1.2の関係が成り立つ染料が好ましい。
本発明では、以下の一般式(L−1)で表される化合物、または、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたナフタレン環と3つ以上のアゾ基を有する化合物を含有することを特徴とする。
下記一般式では染料を遊離の酸の構造で示すが、実際の使用にあたっては塩の形で用いても良いことは言うまでもない。
下記一般式では染料を遊離の酸の構造で示すが、実際の使用にあたっては塩の形で用いても良いことは言うまでもない。
上記一般式(L−1)中、W、R43およびR44は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基、及びヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、ヘテロ環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、ヘテロ環スルフィニル基、スルファモイル基、またはスルホ基を表し、各基は更に置換されていても良い。R41、R42、R45及びR46は各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していても良い。但し、R41、R42が同時に水素原子であることはない。また、R43とR41、R41とR42あるいはR45とR46が結合して5乃至6員環を形成しても良い。X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は、一価の基を表す。ただし、一般式(L−1)は少なくともひとつのイオン性親水性基を含む。
本発明の一般式(L−1)について詳細に説明する。
一般式(L−1)において、好ましいX1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールチオ基、ヘテロ環チオ基を表し、各基は更に置換されていても良い。
好ましいX1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基を表し、その中でも水素原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基が好ましく、特に置換基を有するアミノ基が好ましく、イオン性親水性基を置換基として有するアリール基で置換したアミノ基(置換アニリノ基等)が最も好ましい。
一般式(L−1)において好ましいWは、置換フェニル基、置換または無置換のナフチル基、置換または無置換のヘテロ環基(例えばピロール環、チオフェン環、イミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ピリジン環またはピリダジン環)であり、特に好ましくは、置換フェニル基(特にパラ位置換のフェニル基)、置換または無置換のβ−ナフチル基、ピリジン環またはチアゾール環である。
一般式(L−1)において、R41、R42は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、スルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していても良いが、その中でも水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基が好ましく、更に水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基が好ましく、特に水素原子、置換基を有するアリール基、置換基を有するヘテロ環基が好ましく、水素原子、置換基を有するアリール基が最も好ましい。但し、R41、R42が同時に水素原子であることはない。また、R43とR41、R41とR42あるいはR45とR46が結合して5乃至6員環を形成しても良い。
一般式(L−1)において、R45、R46はR41、R42と同義であり、好ましい例も同じである。
一般式(L−1)においてイオン性親水性基は一般式(S−1)と同義であり、好ましい例も同じである。
本発明の一般式(L−1)で表される化合物として特に好ましい組み合わせは、以下の(a)〜(e)を含むものである。
(a)X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基(それらの塩を含む)、カルボキシル基(それらの塩を含む)、水酸基(塩でもよい)、ホスホノ基(塩でもよい)又は4級アンモニウムであり、その中でも水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、スルホ基(それらの塩を含む)、カルボキシル基(それらの塩を含む)、水酸基(塩でもよい) (それらの塩を含む)が好ましく、更に水素原子、スルホ基(それらの塩を含む)、カルボキシル基(それらの塩を含む)が好ましく、特にX1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7のうち少なくとも1つがスルホ基(それらの塩を含む)またはカルボキシル基(それらの塩を含む)であることが好ましい。
(b)好ましいWは、置換フェニル基、置換または無置換のナフチル基、置換または無置換のヘテロ環基(例えばピロール環、チオフェン環、イミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ピリジン環またはピリダジン環)であり、特に好ましくは、置換フェニル基(特にパラ位置換のフェニル基)、置換または無置換のβ−ナフチル基、ピリジン環またはチアゾール環である。
(c)R41、R42は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基が好ましく、更に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基が好ましく、特に水素原子、置換基を有するアリール基、置換基を有するヘテロ環基が好ましく、水素原子、置換基を有するアリール基が最も好ましい。但し、R41、R42が同時に水素原子であることはない。また、R43とR41、あるいはR41とR42が結合して5乃至6員環を形成しても良い。
(d)R43およびR44の好ましい例は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基、及びヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、ヘテロ環スルホニルアミノ基を表し、各基は更に置換されていても良い。
更に好ましいR43は、水素原子、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基を表し、その中でもシアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基が好ましく、特にシアノ基が最も好ましい。
更に好ましいR44は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基、及びヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、ヘテロ環スルホニルアミノ基を表し、その中でも水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基が好ましく、特に、メチル基が最も好ましい。
(e)R45、R46は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基が好ましく、更に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基が好ましく、特に水素原子、置換基を有するアリール基、置換基を有するヘテロ環基が好ましく、水素原子、置換基を有するアリール基が最も好ましい。但し、R45、R46が同時に水素原子であることはない。また、R45とR46が結合して5乃至6員環を形成しても良い。
本発明の一般式(L−1)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
一般式(L−1)で表されるアゾ染料の具体例を以下に示すが、本発明は、下記の例に限定されるものではなく、また下記の具体例中でカルボキシル基、ホスホノ基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジニウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。これらの中でもアンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオンの場合が好ましく、リチウムイオンが最も好ましい。
少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたナフタレン環と3つ以上のアゾ基を有する化合物を用いることで、画像堅牢性にすぐれ、高湿保存でのにじみの少ない画像を得ることができる。
アゾ基数の多い化合物ほど、分子量が大きく、高湿保存での画像のにじみを抑制できる傾向があるが、インクへの溶解性が悪くなる傾向であり、インクの保存安定性が問題になることがある。それらを両立するために、アゾ基数は3〜5であることが好ましい。
少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたナフタレン環と3つ以上のアゾ基を有する化合物は、親水性基を持つことが好ましい。
親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基、アミノ基、ニトロ基、および4級アンモニウム基等が含まれる。親水性基としてはカルボキシル基、ホスホノ基、アミノ基、ニトロ基、およびスルホ基が好ましく、中でもカルボキシル基、スルホ基が好ましく、水溶媒への溶解性を高める観点からスルホ基がもっとも好ましい。
親水性基は塩の状態であっても良く、親水性基と反対の電荷を持ち、塩(イオン対)を形成するイオン(以下、対塩もしくは対イオンと記す)の例には、アンモニウム、アルカリ金属(例、リチウム、ナトリウム、カリウム)及び有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウム、テトラメチルグアニジニウム、テトラメチルホスホニウム)などが含まれる。対イオンとしてはアンモニウム、リチウム、ナトリウム、及びカリウムの各々のイオンが好ましく、中でもナトリウムイオン及びリチウムイオンとすることがより好ましく、リチウムイオンであることが最も好ましい。
少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたナフタレン環と3つ以上のアゾ基を有する化合物は、一般式(L−2)、(L−2a)、(L−3)及び(L−4)で表される化合物から選ばれる化合物であることが好ましい。
一般式(L−2)中、R11及びR12は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、炭素数1〜4のアルキル基若しくはフェニル基で置換されても良いスルファモイル基、リン酸基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、ヒドロキシル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されても良い炭素数1〜4のアルコキシ基またはアシルアミノ基であり、Aはフェニル基またはナフチル基を示し、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、炭素数1〜4のアルキル基若しくはフェニル基で置換されても良いスルファモイル基、リン酸基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、ヒドロキシル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されても良い炭素数1〜4のアルコキシ基またはアシルアミノ基によって置換されていても良い。n1は0又は1である。
一般式(L−2)で表される化合物のうち、下記一般式(L−6)で表される化合物が好ましい。
一般式(L−6)中、R13,R14及びR15は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、炭素数1〜4のアルキル基若しくはフェニル基で置換されても良いスルファモイル基、リン酸基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、ヒドロキシル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されても良い炭素数1〜4のアルコキシ基またはアシルアミノ基であり、R13,R14及びR15のうち少なくとも一つはスルホ基またはカルボキシル基である。n1は0又は1である。
一般式(L−2)で表される化合物及びその塩の好ましい化合物の具体例を以下に示すが、これに限定されるものではない。また、下記具体例は遊離の酸の構造で示すが、任意の塩として用いても良いことは言うまでもない。
一般式(L−2)で表される化合物及びその塩の詳細の説明は特開2005−220211号公報に記載されており、上記公報に記載の化合物を好ましく使用することができる。
一般式(L−2a)中、A’は下記式(L−6a−1)を表し、A’の置換位置はアゾ基に対してm−位又はp−位であり、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;カルボキシル基;スルホ基;スルファモイル基;N−アルキルアミノスルホニル基;N−フェニルアミノスルホニル基;ホスホ基;ニトロ基;アシル基;ウレイド基;ヒドロキシル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルキル基;ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されても良い炭素数1〜4のアルコキシ基;炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されても良いアシルアミノ基を表し、R3及びR4は、それぞれ独立して水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;カルボキシル基;スルホ基;ニトロ基;炭素数1〜4のアルキル基;ヒドロキシル基;炭素数1〜4のアルコキシ基若しくはスルホ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルコキシ基を表し、nは0又は1である。
式(L−2a−1)中、R5はシアノ基;カルボキシル基;炭素数1〜4のアルキル基;炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基またはフェニル基を表し、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;カルボキシル基;スルホ基;ニトロ基、炭素数1〜4のアルキル基;ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基若しくはスルホ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基若しくはスルホ基で置換されても良いアシルアミノ基を表す。
一般式(L−2a)で表される化合物及びその塩の好ましい化合物の具体例を以下に示すが、これに限定されるものではない。また、下記具体例(化合物No.1〜27)は遊離の酸の構造で示すが、任意の塩として用いても良いことは言うまでもない。
一般式(L−2a)で表される化合物及びその塩の詳細の説明は国際公開第05/097912号パンフレットに記載されており、上記公報に記載の化合物を好ましく使用することができる。
一般式(L−3)中、E及びGはそれぞれ独立に置換されていても良いフェニル基、ナフチル基、アゾ基に炭素原子で結合する5員又は6員の芳香族へテロ環基を表し、E及びGはそれぞれ少なくとも1つ以上のカルボキシル基又はスルホ基を含む。X、Yの一方はヒドロキシル基、他方はアミノ基であり、l2、m2及びn2は、それぞれ独立に1又は2を表す。
一般式(L−3)で表される化合物のうち、下記一般式(L−7)で表される化合物が好ましい。
一般式(L−7)中E及びGはそれぞれ独立に置換されていても良いフェニル基、ナフチル基、アゾ基に炭素原子で結合する5員又は6員の芳香族へテロ環基を表し、E及びGはそれぞれ少なくとも1つ以上のカルボキシル基又はスルホ基を含む。a及びbはそれぞれ単結合を示し、結合aの結合位置は2位又は3位であり、結合bの結合位置は6位又は7位である。X、Yの一方はヒドロキシル基を、他方はアミノ基を、l3、m3、n3、は、それぞれ独立に0又は1を表す。
一般式(L−7)において、E及びGがそれぞれ独立に、少なくとも1つ以上のカルボキシル基及び/又はスルホ基を含む置換基で置換されていても良いフェニル基若しくはナフチル基であることが好ましい。E及びGを置換する置換基の例としてはハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、フェニル基、ウレイド基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されているアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されているアルコキシ基、カルボキシ基又はスルホ基で更に置換されていても良い、フェニル基、アルキル基、又はアシル基によって置換されているアミノ基が挙げられる。
一般式(L−7)において、E及びGがそれぞれ独立に、アゾ基に対してo位にスルホ基を有し、さらにニトロ基、アルコキシ基、スルホ基で置換されていてもよいフェニル基であることが好ましい。
一般式(L−3)で表される化合物及びその塩の好ましい化合物の具体例を以下に示すが、これに限定されるものではない。また、下記具体例は遊離の酸の構造で示すが、任意の塩として用いても良いことは言うまでもない。
一般式(L−3)で表される化合物及びその塩の詳細の説明は特開2004−285351号公報に記載されており、上記公報に記載の化合物を好ましく使用することができる。
前記一般式(L−4)中、R21は置換基を有するフェニル基または置換基を有するナフチル基を表し、R22は置換基を有するフェニレン基または置換基を有するナフチレン基を表し、R23は少なくとも1つの二重結合及び置換基を有する5〜7員環のヘテロ環基を表す。さらに前記R21〜R23における前記置換基は独立して、OH、SO3H、PO3H2、CO2H、NO2、NH2、炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有するアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換基を有するアルコキシ基、アミノ基、置換基を有するアミノ基、及び置換基を有するフェニル基からなる群から選ばれる。
本発明では、上記一般式(L−4)で表される化合物のうち、下記一般式(L−5)で表される化合物が好ましい。
前記式(L−5)中、R31〜R39は独立して、H、OH、SO3H、PO3H2、CO2H、NO2、及びNH2からなる群から選ばれる基を表す。
一般式(L−4)、及び(L−5)で表される化合物及びその塩の好ましい化合物の具体例を以下に示すが、これに限定されるものではない。また、下記具体例は遊離の酸の構造で示すが、任意の塩として用いても良いことは言うまでもない。
一般式(L−4)、及び(L−5)で表される化合物及びその塩の詳細の説明は国際出願公開第03/106572号パンフレット、及び特開2005−2271号公報に記載されており、上記公報に記載の化合物を好ましく使用することができる。
(その他の染料)
さらにまた、本発明においては、ブラックインク組成物の色調などを調整するために耐光性・耐オゾン性を大きく損ねない範囲で、さらにその他の染料を併用することもできる。
さらにまた、本発明においては、ブラックインク組成物の色調などを調整するために耐光性・耐オゾン性を大きく損ねない範囲で、さらにその他の染料を併用することもできる。
イエロー染料としては、例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料などがあり、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。これらの染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてイエローを呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
マゼンタ染料としては、例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料、例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料、例えばジオキサジン染料等のような縮合多環系色素等を挙げることができる。これらの染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてマゼンタを呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
シアン染料としては、例えばインドアニリン染料、インドフェノール染料のようなアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料、インジゴ・チオインジゴ染料を挙げることができる。これらの染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてシアンを呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
また、ポリアゾ染料などのブラック染料も使用することができる。
また、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料等の水溶性染料を併用することもできる。なかでも好ましいものとしては、C.I. ダイレクトレッド2、4、9、11、23、26、31、37、39、62、63、72、75、76、79、80、81、83、84、87、89、92、95、111、173、184、207、211、212、214、218、219、223、224、225、226、227、232、233、240、241、242、243、247、254、C.I. ダイレクトバイオレット7、9、47、48、51、66、90、93、94、95、98、100、101、C.I. ダイレクトイエロー4、8、9、11、12、27、28、29、33、35、39、41、44、50、53、58、59、68、86、87、93、95、96、98、100、106、108、109、110、120、130、132、142、144、157、161、163、C.I. ダイレクトブルー1、10、15、22、25、55、67、68、71、76、77、78、80、84、86、87、90、98、106、108、109、151、156、158、159、160、168、189、192、193、194、199、200、201、202、203、207、211、213、214、218、225、229、236、237、244、248、249、251、252、264、270、280、288、289、290、291、C.I. ダイレクトブラック9、17、19、22、32、51、56、62、69、77、80、91、94、97、108、112、113、114、117、118、121、122、125、132、146、154、166、168、173、199、C.I. アシッドレッド1、8、35、42、52、57、62、80、81、82、87、94、111、114、115、118、119、127、128、131、143、144、151、152、154、158、186、245、249、254、257、261、263、266、289、299、301、305、336、337、361、396、397、C.I. アシッドバイオレット5、34、43、47、48、90、103、126、C.I. アシッドイエロー17、19、23、25、39、40、42、44、49、50、61、64、76、79、110、127、135、143、151、159、169、174、190、195、196、197、199、218、219、222、227、C.I. アシッドブルー9、25、40、41、62、72、76、78、80、82、87、92、106、112、113、120、127:1、129、138、143、175、181、185、205、207、220、221、230、232、247、249、258、260、264、271、277、278、279、280、288、290、326、C.I. アシッドブラック7、24、29、48、52:1、172、C.I. リアクティブレッド3、6、13、17、19、21、22、23、24、29、35、37、40、41、43、45、49、55、63、106、107、112、113、114、126、127、128、129、130、131、137、160、161、174、180、C.I. リアクティブバイオレット1、3、4、5、6、7、8、9、16、17、22、23、24、26、27、33、34、C.I. リアクティブイエロー2、3、13、14、15、17、18、23、24、25、26、27、29、35、37、41、42、C.I. リアクティブブルー2、3、5、7、8、10、13、14、15、17、18、19、21、25、26、27、28、29、38、82、89、158、182、190、203、216、220、244、C.I. リアクティブブラック4、5、8、14、21、23、26、31、32、34、C.I. ベーシックレッド12、13、14、15、18、22、23、24、25、27、29、35、36、38、39、45、46、C.I. ベーシックバイオレット1、2、3、7、10、15、16、20、21、25、27、28、35、37、39、40、48、C.I. ベーシックイエロー1、2、4、11、13、14、15、19、21、23、24、25、28、29、32、36、39、40、C.I. ベーシックブルー1、3、5、7、9、22、26、41、45、46、47、54、57、60、62、65、66、69、71、C.I. ベーシックブラック8、等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
上記で表される染料以外に、下記各公報に記載の染料も併用することもできる。国際公開第01/48090号パンフレット、国際公開第04/087815号パンフレット、国際公開第02/090441号パンフレット、国際公開第03/027185号パンフレット、国際公開第04/085541号パンフレット、特開2003−321627号公報、特開2002−332418号公報、特開2002−332419号公報、国際公開第02/059216号パンフレット、国際公開第02/059215号パンフレット、国際公開第04/087814号パンフレット、国際公開第00/58407号パンフレット、特許第3558211号明細書、特許第3558212号明細書、特許第3558213号明細書、特開2004−323605号公報、国際公開第04/104108号パンフレット、等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
本発明のブラックインク組成物は、水溶性染料を少なくとも2種を着色剤として含み、その着色剤は塩の形で含まれても構わない。複数の着色剤が塩の形で添加される場合は、同一の対イオンであることが好ましい。対塩については特に限定は無いが、その例には、アンモニウム、アルカリ金属(例、リチウム、ナトリウム、カリウム)及び有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウム、テトラメチルグアニジニウム、テトラメチルホスホニウム)などが含まれる。塩の対イオンとしてはアンモニウム、リチウム、ナトリウム、及びカリウムの各々のイオンが好ましく、中でもナトリウムイオン及びリチウムイオンとすることがより好ましく、リチウムイオンであることが最も好ましい。
特に、本発明のインク組成物としては、前記一般式(S−1)、一般式(L−1)で表される化合物、および少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたナフタレン環と3つ以上のアゾ基を有する化合物の少なくとも1つは、リチウムイオンを対イオンとする対塩であることが好ましい。中でも、本発明のインク組成物としては、前記一般式(S−1)及び一般式(L−1)で表される化合物が、リチウムイオンを対イオンとする塩であることが好ましい。
本発明においては、上記対塩の着色剤をインクセットとして用いると、印画の際に記録媒体に供給されるインクの量が多く滲みが悪化しやすいフルカラー画像においても、滲みを十分に抑制する効果がある。
特に、本発明のインク組成物としては、前記一般式(S−1)、一般式(L−1)で表される化合物、および少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたナフタレン環と3つ以上のアゾ基を有する化合物の少なくとも1つは、リチウムイオンを対イオンとする対塩であることが好ましい。中でも、本発明のインク組成物としては、前記一般式(S−1)及び一般式(L−1)で表される化合物が、リチウムイオンを対イオンとする塩であることが好ましい。
本発明においては、上記対塩の着色剤をインクセットとして用いると、印画の際に記録媒体に供給されるインクの量が多く滲みが悪化しやすいフルカラー画像においても、滲みを十分に抑制する効果がある。
本発明のブラックインク組成物は、水溶性染料を少なくとも2種を着色剤として含み、その着色剤の合計量がブラックインク組成物の総重量に対して0.5〜12重量%含まれることが好ましく、3.0〜10.0重量%含まれることがさらに好ましい。特に好ましくは5.0〜8.0%である。
ブラックインク組成物中に含まれる上記の染料の合計量が0.5重量%以上の場合、そのインク組成物を用いて記録媒体に画像等を記録したときに、充分良好な発色や高い画像濃度を得ることができる。
また、ブラックインク組成物中に含まれる上記の染料の合計量を12重量%以下にすることにより、そのインク組成物の粘度を好ましい値に調節することができ、またインクジェットヘッドからのインク組成物の吐出量を安定化することができ、さらにインクジェットヘッドの目詰まりを防止することができる。
本発明のインク組成物において用いることができる水混和性有機溶剤は、乾燥防止剤、浸透促進剤、湿潤剤などの機能を有する材料であり、主に高沸点の水混和性有機溶媒が使用される。このような化合物の具体例は、特開2004−331871号公報の[0419]〜[0423]に記載されている。
本発明では水混和性有機溶剤の中でも、アルコール系溶媒が特に好ましい。また、本発明のインク組成物では沸点150℃以上の水混和性有機溶剤を含むことが好ましい。
これらの水混和性有機溶剤は、総量でインク組成物中に5〜60質量%含有することが好ましく、特に好ましくは10〜45質量%である。
本発明では水混和性有機溶剤の中でも、アルコール系溶媒が特に好ましい。また、本発明のインク組成物では沸点150℃以上の水混和性有機溶剤を含むことが好ましい。
これらの水混和性有機溶剤は、総量でインク組成物中に5〜60質量%含有することが好ましく、特に好ましくは10〜45質量%である。
本発明のインク組成物の吐出安定性や印字品質、画像の耐久性等を向上させる目的で、特開2004−331871号公報等に記載の界面活性剤や乾燥防止剤、浸透促進剤、尿素系添加剤、キレート剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、分散剤、分散安定剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、消泡剤、ポリマー材料、酸プレカーサー等の添加剤を適宜選択して使用する事ができる。これらの添加剤の好ましい使用量は、上記特開2004−331871号公報等に記載の通りである。
また本発明のインク組成物は、上記成分に加えて更に滲み防止剤、ブロンズ改良剤、耐オゾン性向上剤、からなる群から選択される添加剤の1種以上を必要に応じて含有することが好ましい。
(滲み防止剤)
滲み防止剤としては、ベタイン系界面活性剤が挙げられる。ベタイン系界面活性剤については特開2005−111699号公報の[0017]〜[0044]に記載の化合物を適宜選択して使用することができる。
滲み防止剤としては、ベタイン系界面活性剤が挙げられる。ベタイン系界面活性剤については特開2005−111699号公報の[0017]〜[0044]に記載の化合物を適宜選択して使用することができる。
(ブロンズ改良剤)
本発明に用いられるブロンズ改良剤は、黒インク組成物を含むインクセットを用いてベタ印刷した場合に見られるブロンズ現象を弱める、もしくは無くする機能を有するものであり、例えば、ブロンズ改良剤としてはカルボキシル基を有する芳香族化合物又はその塩が挙げられる。
本発明で使用されるカルボキシル基を有する芳香族化合物又はその塩としては、特開2004−263155号公報の[0044]に記載の化合物を適宜選択して使用することができる。
本発明に用いられるブロンズ改良剤は、黒インク組成物を含むインクセットを用いてベタ印刷した場合に見られるブロンズ現象を弱める、もしくは無くする機能を有するものであり、例えば、ブロンズ改良剤としてはカルボキシル基を有する芳香族化合物又はその塩が挙げられる。
本発明で使用されるカルボキシル基を有する芳香族化合物又はその塩としては、特開2004−263155号公報の[0044]に記載の化合物を適宜選択して使用することができる。
これらのカルボキシル基を有する芳香族化合物及び/又はその塩の含有総量は、カルボキシル基を有する芳香族化合物及び/又はその塩の種類、染料の種類、溶媒成分の種類等により決められる。
また、他のブロンズ改良剤としては、1分子中に10を超える非局在化π電子を有する無色の水溶性平面状化合物が好ましい。この水溶性平面状化合物については特開2005−105261号公報の[0012]〜[0026]に記載の化合物を適宜選択して使用することができる。
これらのブロンズ改良剤は、黒インク組成物全重量に対し、好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは、0.5〜5重量%の範囲である。
(耐オゾン性向上剤)
耐オゾン性向上剤は、染料の酸化を抑制する機能を有する化合物であり、例えば、チオール系化合物、アミジン系化合物、カルバジド系化合物、ヒドラジド系化合物、グアニジン系化合物等が挙げられる。
耐オゾン性向上剤は、染料の酸化を抑制する機能を有する化合物であり、例えば、チオール系化合物、アミジン系化合物、カルバジド系化合物、ヒドラジド系化合物、グアニジン系化合物等が挙げられる。
(チオール系化合物)
本発明に用いられるチオール系化合物とは、SH基を有する化合物であり、芳香族チオール、脂肪族チオールが好ましく、一般式(B)で表される化合物が好ましい。
一般式(B):
R10−SH(式中、R10はアルキル基、アリール基、又はヘテロ環基である。)
上記R10につき説明する。
アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜12個、更に好ましくは炭素数1〜6個のものが挙げられる。
アリール基としては、好ましくは炭素数6〜18個、更に好ましくは炭素数6〜10個のものが挙げられる。
ヘテロ環基としては、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピロリル基、ピロリニル基、ピロリジル基、ジオキソリル基、ピラゾリル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、チアジアゾリル基、ピリル基、ピリジル基、ピペリジル基、ジオキサニル基、モルホリル基、ピリダジル基、ピラジル基、ピペラジル基、トリアジル基、トリチアニル基等が挙げられる。
R10で示される上記置換基は、上述のようにその水素原子が更に他の任意の置換基により置換されたものを包含する。そのような置換基としては、カルボキシル基、オキソ基、アミノ基、アミノ酸残基(好ましくは炭素数2〜8個)、アンモニウム基、ヒドロキシル基、チオール基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12個)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜12個、カルボキシル基、アミノ基等が置換されていてもよい)、カルバモイル基等が挙げられ、これら置換基は2種以上が同一分子に置換されていてもよい。
本発明に用いられるチオール系化合物とは、SH基を有する化合物であり、芳香族チオール、脂肪族チオールが好ましく、一般式(B)で表される化合物が好ましい。
一般式(B):
R10−SH(式中、R10はアルキル基、アリール基、又はヘテロ環基である。)
上記R10につき説明する。
アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜12個、更に好ましくは炭素数1〜6個のものが挙げられる。
アリール基としては、好ましくは炭素数6〜18個、更に好ましくは炭素数6〜10個のものが挙げられる。
ヘテロ環基としては、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピロリル基、ピロリニル基、ピロリジル基、ジオキソリル基、ピラゾリル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、チアジアゾリル基、ピリル基、ピリジル基、ピペリジル基、ジオキサニル基、モルホリル基、ピリダジル基、ピラジル基、ピペラジル基、トリアジル基、トリチアニル基等が挙げられる。
R10で示される上記置換基は、上述のようにその水素原子が更に他の任意の置換基により置換されたものを包含する。そのような置換基としては、カルボキシル基、オキソ基、アミノ基、アミノ酸残基(好ましくは炭素数2〜8個)、アンモニウム基、ヒドロキシル基、チオール基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12個)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜12個、カルボキシル基、アミノ基等が置換されていてもよい)、カルバモイル基等が挙げられ、これら置換基は2種以上が同一分子に置換されていてもよい。
一般式(B)で表される化合物の合成方法としては、例えば、該当するアリールグリニャール試薬と単体硫黄との反応によりRがアリール基であるチオールが得られ、また、該当するハロゲン化アルキルと硫化水素ナトリウム又はチオ尿素の反応によりR10がアルキル基であるチオールが得られる。
(アミジン系化合物)
本発明に用いられるアミジン系化合物とは、−C(=NH)−NH2基(アミジノ基)が炭素含有基の炭素原子に結合した構造を示すものを意味し、前記−C(=NH)−NH2基の水素原子の1以上は置換基により置換されてもよい。
アミジン系化合物としては、一般式(C)で表される化合物が好ましい。
本発明に用いられるアミジン系化合物とは、−C(=NH)−NH2基(アミジノ基)が炭素含有基の炭素原子に結合した構造を示すものを意味し、前記−C(=NH)−NH2基の水素原子の1以上は置換基により置換されてもよい。
アミジン系化合物としては、一般式(C)で表される化合物が好ましい。
(式中、R51、R52、R53、又はR54は、各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を示し、R51が窒素原子を含む場合、該窒素原子は式中に示されたCと結合することはない。)
アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜12個、更に好ましくは炭素数1〜6個のものが挙げられる。
アリール基としては、好ましくは炭素数6〜18個、更に好ましくは炭素数6〜10個のものが挙げられる。
ヘテロ環基としては、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピロリル基、ピロリニル基、ピロリジル基、ジオキソリル基、ピラゾリル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、チアジアゾリル基、ピリル基、ピリジル基、ピペリジル基、ジオキサニル基、モルホリル基、ピリダジル基、ピラジル基、ピペラジル基、トリアジル基、トリチアニル基等が挙げられる。
R51〜R54で示される置換基は、その水素原子が更に他の任意の置換基により置換されていてもよい。そのような置換基としては、塩素などのハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アミジノ基、アリールオキシ基(アリール部分は、ここで列記する置換基により更に置換されていてもよい)等が挙げられ、これら置換基は2種以上が同一分子に置換されていてもよい。また、上記アミノ基、カルバモイル基、アミジノ基は、その水素原子が上記R51〜R54で示されるアルキル基、アリール基、又はヘテロ環基で置換されていてもよい。
アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜12個、更に好ましくは炭素数1〜6個のものが挙げられる。
アリール基としては、好ましくは炭素数6〜18個、更に好ましくは炭素数6〜10個のものが挙げられる。
ヘテロ環基としては、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピロリル基、ピロリニル基、ピロリジル基、ジオキソリル基、ピラゾリル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、チアジアゾリル基、ピリル基、ピリジル基、ピペリジル基、ジオキサニル基、モルホリル基、ピリダジル基、ピラジル基、ピペラジル基、トリアジル基、トリチアニル基等が挙げられる。
R51〜R54で示される置換基は、その水素原子が更に他の任意の置換基により置換されていてもよい。そのような置換基としては、塩素などのハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アミジノ基、アリールオキシ基(アリール部分は、ここで列記する置換基により更に置換されていてもよい)等が挙げられ、これら置換基は2種以上が同一分子に置換されていてもよい。また、上記アミノ基、カルバモイル基、アミジノ基は、その水素原子が上記R51〜R54で示されるアルキル基、アリール基、又はヘテロ環基で置換されていてもよい。
アミジン系化合物は、塩酸塩などの塩の形態であっても良い。
一般式(C)で表される化合物の合成方法としては、例えば、該当するイミノエーテルの塩酸塩にアンモニアを作用させる工程を少なくとも経ることにより得られる。
(カルバジド系化合物)
本発明に用いられるカルバジド系化合物とは、カルバジド及びその誘導体を意味し、下記一般式(D)で表される化合物である。
R55R56NCONHNR57R58 (D)
一般式(D)において、R55〜R58は、それぞれ独立に、水素原子または有機基である。
前記有機基としては、前記R51〜R54で挙げられたものが好ましい。
R55〜R58で示される置換基は、その水素原子が更に他の任意の置換基により置換されたものを包含する。そのような置換基としては、前記R51〜R54に置換し得るものとして例示したものの他に、−HNCONHNR59R60(ここで、R59、R60は、有機基であり、その好ましい例は、R51〜R54と同様である。)が好ましいものとして挙げられる。本発明において、−HNCONHNR59R60をカルバジド構造という。本発明で用いられるカルバジド系化合物としては、同一分子中にカルバジド構造を好ましくは2つ以上(更に好ましくは2〜6つ)有するものである。
本発明に用いられるカルバジド系化合物とは、カルバジド及びその誘導体を意味し、下記一般式(D)で表される化合物である。
R55R56NCONHNR57R58 (D)
一般式(D)において、R55〜R58は、それぞれ独立に、水素原子または有機基である。
前記有機基としては、前記R51〜R54で挙げられたものが好ましい。
R55〜R58で示される置換基は、その水素原子が更に他の任意の置換基により置換されたものを包含する。そのような置換基としては、前記R51〜R54に置換し得るものとして例示したものの他に、−HNCONHNR59R60(ここで、R59、R60は、有機基であり、その好ましい例は、R51〜R54と同様である。)が好ましいものとして挙げられる。本発明において、−HNCONHNR59R60をカルバジド構造という。本発明で用いられるカルバジド系化合物としては、同一分子中にカルバジド構造を好ましくは2つ以上(更に好ましくは2〜6つ)有するものである。
一般式(D)で表されるカルバジド系化合物は、具体的には、該当するイソシアネートやジイソシアネート、尿素誘導体等と、NH2NR57R58(R57及びR58は、前記と同義である)で表されるヒドラジン化合物類との縮合反応等によって得られる。
(ヒドラジド系化合物)
本発明に用いられるヒドラジド系化合物とは、ヒドラジド及びその誘導体を意味し、好ましくは一般式(E)R61CONHNR62R63(R61〜R63は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドラジノ基、または有機基である。また、R61とR62またはR63と結合することにより環を形成してもよい。)で表される化合物である。
前記有機基としては、前記一般式(C)のR51〜R54で挙げられたものが好ましい。
R61〜R63で示される置換基は、その水素原子が更に他の任意の置換基により置換されたものを包含する。そのような置換基としては、前記R51〜R54に置換し得るものとして例示したものの他に、アシル基、シアノ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、ベンゾイル基、−CONHNR64R65(ここで、R64、R65は、有機基であり、その好ましい例は、R51〜R54と同様である。)が好ましいものとして挙げられる。本発明において、−CONHNR64R65をヒドラジド構造という。本発明で用いられるヒドラジド系化合物としては、同一分子中にヒドラジド構造を好ましくは2つ以上(更に好ましくは2〜6つ)有するものである。
本発明に用いられるヒドラジド系化合物とは、ヒドラジド及びその誘導体を意味し、好ましくは一般式(E)R61CONHNR62R63(R61〜R63は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドラジノ基、または有機基である。また、R61とR62またはR63と結合することにより環を形成してもよい。)で表される化合物である。
前記有機基としては、前記一般式(C)のR51〜R54で挙げられたものが好ましい。
R61〜R63で示される置換基は、その水素原子が更に他の任意の置換基により置換されたものを包含する。そのような置換基としては、前記R51〜R54に置換し得るものとして例示したものの他に、アシル基、シアノ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、ベンゾイル基、−CONHNR64R65(ここで、R64、R65は、有機基であり、その好ましい例は、R51〜R54と同様である。)が好ましいものとして挙げられる。本発明において、−CONHNR64R65をヒドラジド構造という。本発明で用いられるヒドラジド系化合物としては、同一分子中にヒドラジド構造を好ましくは2つ以上(更に好ましくは2〜6つ)有するものである。
一般式(E)で表されるヒドラジド系化合物は、具体的には、該当するカルボン酸のエステル、酸ハロゲン化物のような酸誘導体、酸無水物等と、一般式NH2NR62R63(R62及びR63は、前記と同義である)で表されるヒドラジン化合物類との縮合反応等によって得られる。
耐オゾン性向上剤の中でもグアニジン系化合物が特に好ましい。以下、グアニジン系化合物について詳述する。
(グアニジン系化合物)
本発明に用いられるグアニジン系化合物とは、N−C(=N)−N構造を有する化合物を意味する。
グアニジン系化合物としては、一般式(F)で表される化合物が好ましい。
(グアニジン系化合物)
本発明に用いられるグアニジン系化合物とは、N−C(=N)−N構造を有する化合物を意味する。
グアニジン系化合物としては、一般式(F)で表される化合物が好ましい。
(式中、R71、R72、R73、又はR74は、各々独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、又はアミノ基を示し、R75は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はヘテロ環基を示す。これらのアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、又はアミノ基は、置換されていても置換されていなくてもよい。)
アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜12個、特に好ましくは炭素数1〜6個のものが挙げられる。
アルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜12個、特に好ましくは炭素数1〜6個のものが挙げられる。
アリール基としては、好ましくは炭素数6〜18個、特に好ましくは炭素数6〜10個のものが挙げられる。
ヘテロ環基としては、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピロリル基、ピロリニル基、ピロリジル基、ジオキソリル基、ピラゾリル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、チアジアゾリル基、ピリル基、ピリジル基、ピペリジル基、ジオキサニル基、モルホリル基、ピリダジル基、ピラジル基、ピペラジル基、トリアジル基、トリチアニル基等が挙げられる。
R71〜R75で示されるアルキル基、アルコキシ基、アリール基、またはヘテロ環基は、その水素原子が更に他の任意の置換基により置換されたものを包含する。そのような置換基としては、塩素などのハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルバモイル基、アミジノ基、グアニジノ基、アリールオキシ基(アリール部分は、ここで列記する置換基により更に置換されていてもよい)等が挙げられ、これら置換基は2種以上が同一分子に置換されていてもよい。また、上記アミノ基、カルバモイル基、アミジノ基、グアニジノ基は、その水素原子が上記R71〜R75で示されるアルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はヘテロ環基で置換されていてもよい。
R71〜R74で示されるアミノ基は、その水素原子が上記R71〜R75で示されるアルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はヘテロ環基等で置換されていてもよい。
アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜12個、特に好ましくは炭素数1〜6個のものが挙げられる。
アルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜12個、特に好ましくは炭素数1〜6個のものが挙げられる。
アリール基としては、好ましくは炭素数6〜18個、特に好ましくは炭素数6〜10個のものが挙げられる。
ヘテロ環基としては、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピロリル基、ピロリニル基、ピロリジル基、ジオキソリル基、ピラゾリル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、チアジアゾリル基、ピリル基、ピリジル基、ピペリジル基、ジオキサニル基、モルホリル基、ピリダジル基、ピラジル基、ピペラジル基、トリアジル基、トリチアニル基等が挙げられる。
R71〜R75で示されるアルキル基、アルコキシ基、アリール基、またはヘテロ環基は、その水素原子が更に他の任意の置換基により置換されたものを包含する。そのような置換基としては、塩素などのハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルバモイル基、アミジノ基、グアニジノ基、アリールオキシ基(アリール部分は、ここで列記する置換基により更に置換されていてもよい)等が挙げられ、これら置換基は2種以上が同一分子に置換されていてもよい。また、上記アミノ基、カルバモイル基、アミジノ基、グアニジノ基は、その水素原子が上記R71〜R75で示されるアルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はヘテロ環基で置換されていてもよい。
R71〜R74で示されるアミノ基は、その水素原子が上記R71〜R75で示されるアルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はヘテロ環基等で置換されていてもよい。
グアニジン系化合物は、塩または金属錯体の形態であってもよい。例えば、塩酸塩、硝酸塩、燐酸塩、スルファミン酸塩、炭酸塩、酢酸塩等が挙げられる。
一般式(F)で表される化合物の合成方法としては、例えば、該当するイミノエーテルの塩酸塩にアンモニアを作用させる工程を少なくとも経ることにより得られる。
グアニジン系化合物は、N−C(=N)−N構造を有するポリマーであってもよい。このようなポリマーとしては、下記一般式(F−a)、一般式(F−b)、一般式(F−c)で表される繰り返し単位を含む化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。なお、該繰り返し単位を含む化合物は、オリゴマーであってもよい。一般式(F−c)で表される繰り返し単位を含む化合物は、モノマーであってもよい。また、これら化合物は、酸との塩であることが好ましい。
一般式(F−a)中、R75は前記と同義、R76は、R71、R72、R73、又はR74の何れかを示し、n個のR75及びR76は各々同一でも異なってもよい。n7は2以上の整数であり、好ましくは2〜30であり、更に好ましくは2〜15である。一般式(F−a)で表される繰り返し単位を含む化合物は、単独重合体であっても、他の繰り返し単位、例えば、アゼチジニウム等との共重合体であってもよい。また、末端構造は適宜選定し得るが、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、又はアミノ基が好ましい。
一般式(F−b)中、R75及びR76は前記と同義であり、l7個のR75及びR76は各々同一でも異なってもよい。l7は2以上の整数であり、好ましくは2〜10であり、更に好ましくは2〜5である。m7は1以上の整数であり、好ましくは1〜6であり、更に好ましくは1〜3である。一般式(F−b)で表される繰り返し単位を含む化合物は、単独重合体であっても、他の繰り返し単位、例えば、アゼチジニウム等との共重合体であってもよい。また、末端構造は適宜選定し得るが、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、又はアミノ基が好ましい。
一般式(F−c)中、R75は前記と同義であり、R77はR71又はR72と同義であり、R78はR73又はR74と同義であり、p7個のR75、R77及びR78は各々同一でも異なってもよい。pは1以上の整数であり、好ましくは1〜10であり、更に好ましくは1〜5である。一般式(F−c)で表される繰り返し単位を含む化合物は、単独重合体であっても、他の繰り返し単位、例えば、アゼチジニウム等との共重合体であってもよい。また、末端構造は適宜選定し得るが、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、又はアミノ基が好ましい。
耐オゾン性向上剤は、上記種々の化合物を単独または組み合わせて用いることができ、その使用総量は、インク組成物中0.1〜10質量%であることが好ましい。
本発明のインク組成物は、粘度が、1〜20mPa・sであることが好ましい。更に好ましくは2〜15mPa・sであり、特に好ましくは2〜10mPa・sである。20mPa・sを超えると記録画像の定着速度が遅くなり、吐出性能も低下する。1mPa・s未満では、記録画像がにじむために品位が低下する。この粘度は、25℃にて測定される。粘度は、上記粘度調整剤により調整される。水混和性有機溶剤の添加量は、インクジェット記録用の場合、インク組成物に対して5〜70質量%の範囲で用いられることが好ましく、10〜60質量%の範囲で用いられることが更に好ましい。また、水混和性有機溶剤は2種以上を併用することができる。
液体の粘度測定法はJISのZ8803に詳細に記載されているが、市販品の粘度計にて簡便に測定することができる。例えば、回転式では東京計器のB型粘度計、E型粘度計がある。本発明では山一電機の振動式VM−100A−L型により25℃にて測定した。
本発明のインク組成物は、表面張力が、20〜50mN/mであることが好ましく、20〜40mN/mであることが更に好ましい。
この表面張力は、動的表面張力及び静的表面張力の両者を意味し、いずれも、25℃において測定される。表面張力が50mN/mを超えると吐出安定性、混色時のにじみ、ひげ等印字品質が著しく低下する。また、インクの表面張力を20mN/m以下にすると吐出時、ハード表面へのインクの付着等により印字不良となる場合がある。表面張力の調整は、界面活性剤等を用いることが挙げられ、上記界面活性剤の項で挙げたものを用いることができる。
この表面張力は、動的表面張力及び静的表面張力の両者を意味し、いずれも、25℃において測定される。表面張力が50mN/mを超えると吐出安定性、混色時のにじみ、ひげ等印字品質が著しく低下する。また、インクの表面張力を20mN/m以下にすると吐出時、ハード表面へのインクの付着等により印字不良となる場合がある。表面張力の調整は、界面活性剤等を用いることが挙げられ、上記界面活性剤の項で挙げたものを用いることができる。
静的表面張力測定法としては、毛細管上昇法、滴下法、吊環法等が知られているが、本発明においては、静的表面張力測定法として、垂直板法を用いている。
ガラスまたは白金の薄い板を液体中に一部分浸して垂直に吊るすと、液体と板との接する長さに沿って液体の表面張力が下向きに働く。この力を上向きの力で釣り合わせて表面張力を測定することが出来る。
ガラスまたは白金の薄い板を液体中に一部分浸して垂直に吊るすと、液体と板との接する長さに沿って液体の表面張力が下向きに働く。この力を上向きの力で釣り合わせて表面張力を測定することが出来る。
また、動的表面張力測定法としては、例えば、「新実験化学講座、第18巻、界面とコロイド」[(株)丸善、p.69〜90(1977)]に記載されるように、振動ジェット法、メニスカス落下法、最大泡圧法などが知られており、さらに、特開平3−2064号公報に記載されるような液膜破壊法が知られているが、本発明においては、動的表面張力測定法として、バブルプレッシャー差圧法を用いている。以下、その測定原理と方法について説明する。
撹拌して均一となった溶液中で気泡を生成すると、新たな気−液界面が生成され、溶液中の界面活性剤分子が水の表面に一定速度で集まってくる。バブルレート(気泡の生成速度)を変化させたとき、生成速度が遅くなれば、より多くの界面活性剤分子が泡の表面に集まってくるため、泡がはじける直前の最大泡圧が小さくなり、バブルレートに対する最大泡圧(表面張力)が検出出来る。好ましい動的表面張力測定としては、大小二本のプローブを用いて溶液中で気泡を生成させ、二本のプローブの最大泡圧状態での差圧を測定し、動的表面張力を算出する方法を挙げることができる。
本発明のインク組成物は、伝導度が、0.01〜10S/mであることが好ましく、中でも好ましい範囲は0.05〜5S/mである。この伝導度は、25℃において測定される。伝導度を上記範囲とすることにより、画像保存性が確保される。
伝導度の測定方法は、市販の飽和塩化カリウムを用いた電極法により測定可能である。
伝導度は主に水系溶液中のイオン濃度によってコントロール可能である。塩濃度が高い場合、限外濾過膜などを用いて脱塩することができる。また、塩等を加えて伝導度調節する場合、種々の有機物塩や無機物塩を添加することにより調節することができる。
無機物塩としては、ハロゲン化物カリウム、ハロゲン化物ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸1水素ナトリウム、ホウ酸、リン酸2水素カリウム、リン酸2水素ナトリウム等の無機化合物や、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、サッカリン酸カリウム、フタル酸カリウム、ピコリン酸ナトリウム等の有機化合物を使用することもできる。
また、上記添加剤を選定することによっても伝導度を調整し得る。
伝導度の測定方法は、市販の飽和塩化カリウムを用いた電極法により測定可能である。
伝導度は主に水系溶液中のイオン濃度によってコントロール可能である。塩濃度が高い場合、限外濾過膜などを用いて脱塩することができる。また、塩等を加えて伝導度調節する場合、種々の有機物塩や無機物塩を添加することにより調節することができる。
無機物塩としては、ハロゲン化物カリウム、ハロゲン化物ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸1水素ナトリウム、ホウ酸、リン酸2水素カリウム、リン酸2水素ナトリウム等の無機化合物や、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、サッカリン酸カリウム、フタル酸カリウム、ピコリン酸ナトリウム等の有機化合物を使用することもできる。
また、上記添加剤を選定することによっても伝導度を調整し得る。
本発明のインク組成物は、pHが7〜9であることが好ましく、更に好ましくは7〜8である。pHが7未満である場合は染料の溶解性が低下してノズルが詰まりやすく、9を超えると耐水性が劣化する傾向がある。pHの測定方法は、市販の試験紙を用いることも可能であるし、飽和塩化カリウムを用いた電極法による測定も可能である。
インク組成物のpHは、上記pH調整剤を用いることにより調整される。
インク組成物のpHは、上記pH調整剤を用いることにより調整される。
本発明のインク組成物は、その画像耐久性の高さから、種々の画像記録に使用することが可能である。イメージング用の染料としては、例えば写真感光材料への利用、熱転写材料への利用、感熱・感圧記録材料への利用、インクジェット記録への利用など種々の利用、応用が可能であるが、中でも好ましくは、インクジェット記録用の黒インク組成物としての利用が適している。
インク組成物の調製方法については、先述の特許文献以外にも特開平5−295312号、同7−97541号、同7−82515号の各公報に詳細が記載されていて、本発明のインク組成物の調製にも利用できる。
本発明のインク製造方法は、前記一般式(S−1)で表される化合物を水に溶解してインク原液を作製し、該インク原液の前記一般式(S−1)で表される化合物の濃度をさげてインク組成物とする工程を有する事を特徴とする。
[インク原液の調製]
本発明のインク製造工程において一般式(S−1)で表される化合物を含有するインク原液は、一般式(S−1)で表される化合物を水に溶解して調整される。その染料濃度としては3〜15重量%が好ましく、4〜10重量%が更に好ましい。
本発明のインク製造工程において一般式(S−1)で表される化合物を含有するインク原液は、一般式(S−1)で表される化合物を水に溶解して調整される。その染料濃度としては3〜15重量%が好ましく、4〜10重量%が更に好ましい。
前記インク原液は、所望により水混和性有機溶剤等の有機溶媒が含まれる。この有機溶媒は、粘度低下剤としての機能を有することが好ましい。
本発明のインク組成物の製造方法は、インク原液を作製する際に、染料を水に添加して溶解させた後に、粘度低下剤を添加して粘度を調節する工程を含んでも良い。
このインク原液の製造方法は、まず染料水溶液(所望により染料以外の成分を含む)を調製した後に、粘度低下剤を添加してインク原液の粘度を低下させる方法を挙げることができる。この粘度低下剤の添加は、染料水溶液に粘度低下剤を一様に溶解したものの粘度を定性的乃至定量的に測定しつつ行ってもよいし、予め添加量を決めて染料水溶液に添加してもよい。このインク原液の製造方法では、粘度低下剤を添加して粘度を調節する工程が最終工程であることが好ましいが、この工程と同時またはこの工程の後で他の成分を添加する工程や濾過工程を設けるようにしてもよい。
なお、染料水溶液を調製するときには、加熱することが好ましい。加熱温度は、30〜80℃が好ましく、35〜70℃が更に好ましい。
本発明の第2のインク原液の製造方法は、インク原液を作製する際に、少なくとも染料、水、粘度低下剤が共存する状態でそれらを溶解する工程を含むことを特徴とする。
上記少なくとも染料、水、粘度低下剤が共存する状態でそれらを溶解する工程は、染料を水に溶解する段階で、同時に粘度低下剤、所望によりその他の成分を同時に溶解する工程であって、通常、インク原液の調製の初期工程で用いることが好ましい。この初期工程は最終工程(後述の濾過工程を行う場合はその前段階)であることが好ましいが、他の成分を添加する工程をこの工程の後又は前に設けてもよい。
なお、この第2の製法においても、染料等を溶解する場合に第1の製法と同様に加熱してもよい。
上記本発明のインク原液の2つの製法は、水溶液染料についてであるが、同様な技術思想を油溶性染料についても当てはめることが可能である。
このインク原液の製造方法は、まず染料水溶液(所望により染料以外の成分を含む)を調製した後に、粘度低下剤を添加してインク原液の粘度を低下させる方法を挙げることができる。この粘度低下剤の添加は、染料水溶液に粘度低下剤を一様に溶解したものの粘度を定性的乃至定量的に測定しつつ行ってもよいし、予め添加量を決めて染料水溶液に添加してもよい。このインク原液の製造方法では、粘度低下剤を添加して粘度を調節する工程が最終工程であることが好ましいが、この工程と同時またはこの工程の後で他の成分を添加する工程や濾過工程を設けるようにしてもよい。
なお、染料水溶液を調製するときには、加熱することが好ましい。加熱温度は、30〜80℃が好ましく、35〜70℃が更に好ましい。
本発明の第2のインク原液の製造方法は、インク原液を作製する際に、少なくとも染料、水、粘度低下剤が共存する状態でそれらを溶解する工程を含むことを特徴とする。
上記少なくとも染料、水、粘度低下剤が共存する状態でそれらを溶解する工程は、染料を水に溶解する段階で、同時に粘度低下剤、所望によりその他の成分を同時に溶解する工程であって、通常、インク原液の調製の初期工程で用いることが好ましい。この初期工程は最終工程(後述の濾過工程を行う場合はその前段階)であることが好ましいが、他の成分を添加する工程をこの工程の後又は前に設けてもよい。
なお、この第2の製法においても、染料等を溶解する場合に第1の製法と同様に加熱してもよい。
上記本発明のインク原液の2つの製法は、水溶液染料についてであるが、同様な技術思想を油溶性染料についても当てはめることが可能である。
インク原液を作製する工程において、染料やその他の成分を溶解する方法としては、攪拌による溶解、超音波照射による溶解、振とうによる溶解等種々の方法が使用可能である。中でも特に攪拌法が好ましく使用される。攪拌を行う場合、当該分野では公知の流動攪拌や反転アジテイターやディゾルバを利用した剪断力を利用した攪拌など、種々の方式が利用可能である。一方では、磁気攪拌子のように、容器底面との剪断力を利用した攪拌法も好ましく利用できる。
上記染料を溶解するための超音波振動は、染料の溶解を促進する機能に加え、インク組成物が記録ヘッドで加えられる圧力によって気泡を発生することを防止するため、記録ヘッドで受けるエネルギーと同等かそれ以上の超音波エネルギーを予めインク原液の製造工程中に加えて気泡を除去する機能も有している。
超音波振動は、通常、振動数20kHz以上、好ましくは40kHz以上、より好ましくは50kHzの超音波である。また超音波振動により液に加えられるエネルギーは、通常、2×107J/m3以上、好ましくは5×107J/m3以上、より好ましくは1×108J/m3以上である。また、超音波振動の付与時間としては、通常、10分〜1時間程度である。
超音波振動を加える工程は、染料を媒体に投入以降であれば何時行っても効果を示す。完成後のインク組成物を一旦保存した後に超音波振動を加えても効果を示す。しかし、染料を媒体中に溶解及び/又は分散する際に超音波振動を付加することが、気泡除去の効果がより大きく、尚且つ超音波振動により染料の媒体への溶解及び/又は分散が促進されるので好ましい。
即ち、上記少なくとも超音波振動を加える工程は、染料を媒体中に溶解及び/又は分散する工程中でもその工程後であってもいずれの場合にも行うことができる。換言すれば、上記少なくとも超音波振動を加える工程は、インク原液および/またはインク組成物調製後に製品となるまでの間に任意に1回以上行うことができる。
上記残余の溶媒を混合する工程は、単独工程でも複数工程でもよい。
また、本発明によるインク原液の調製において、加熱脱気あるいは減圧脱気を併用することは、インク原液中の気泡除去の効果を上げるので好ましい。加熱脱気工程あるいは減圧脱気工程は、残余の媒体を混合する工程と同時またはその後に実施することが好ましい。
超音波振動を加える工程における、超音波振動発生手段としては、超音波分散機等の公知の装置が挙げられる。
超音波振動は、通常、振動数20kHz以上、好ましくは40kHz以上、より好ましくは50kHzの超音波である。また超音波振動により液に加えられるエネルギーは、通常、2×107J/m3以上、好ましくは5×107J/m3以上、より好ましくは1×108J/m3以上である。また、超音波振動の付与時間としては、通常、10分〜1時間程度である。
超音波振動を加える工程は、染料を媒体に投入以降であれば何時行っても効果を示す。完成後のインク組成物を一旦保存した後に超音波振動を加えても効果を示す。しかし、染料を媒体中に溶解及び/又は分散する際に超音波振動を付加することが、気泡除去の効果がより大きく、尚且つ超音波振動により染料の媒体への溶解及び/又は分散が促進されるので好ましい。
即ち、上記少なくとも超音波振動を加える工程は、染料を媒体中に溶解及び/又は分散する工程中でもその工程後であってもいずれの場合にも行うことができる。換言すれば、上記少なくとも超音波振動を加える工程は、インク原液および/またはインク組成物調製後に製品となるまでの間に任意に1回以上行うことができる。
上記残余の溶媒を混合する工程は、単独工程でも複数工程でもよい。
また、本発明によるインク原液の調製において、加熱脱気あるいは減圧脱気を併用することは、インク原液中の気泡除去の効果を上げるので好ましい。加熱脱気工程あるいは減圧脱気工程は、残余の媒体を混合する工程と同時またはその後に実施することが好ましい。
超音波振動を加える工程における、超音波振動発生手段としては、超音波分散機等の公知の装置が挙げられる。
インク原液を作製する際には、濾過により固形分であるゴミを除く工程を加えることが好ましい。この作業には濾過フィルターを使用するが、このときの濾過フィルターとは、有効径が1μm以下、好ましくは0.3μm以下0.05μm以上、特に好ましくは0.3μm以下0.25μm以上のフィルターを用いる。フィルターの材質としては種々のものが使用できるが、特に水溶性染料のインク組成物の場合には、水系の溶媒用に作製されたフィルターを用いるのが好ましい。中でも特にゴミの出にくい、ポリマー材料で作製されたジャケット型のフィルターを用いるのが好ましい。濾過法としては送液によりジャケットを通過させてもよいし、加圧濾過、減圧濾過のいずれの方法も利用可能である。
この濾過後には溶液中に空気を取り込むことが多い。この空気に起因する泡もインクジェット記録において画像の乱れの原因となることが多いため、前述の脱泡工程を別途設けることが好ましい。脱泡の方法としては、濾過後の溶液を静置してもよいし、市販の装置などを用いた超音波脱泡や減圧脱泡等種々の方法が利用可能である。超音波による脱泡の場合は、好ましくは30秒〜2時間、より好ましくは5分〜1時間程度脱泡操作を行うとよい。
これらの作業は、作業時におけるゴミの混入を防ぐため、クリーンルームもしくはクリーンベンチなどのスペースを利用して行うことが好ましい。本発明では特にクリーン度としてクラス1000以下のスペースにおいてこの作業を行うことが好ましい。ここで「クリーン度」とは、ダストカウンターにより測定される値を指す。
この濾過後には溶液中に空気を取り込むことが多い。この空気に起因する泡もインクジェット記録において画像の乱れの原因となることが多いため、前述の脱泡工程を別途設けることが好ましい。脱泡の方法としては、濾過後の溶液を静置してもよいし、市販の装置などを用いた超音波脱泡や減圧脱泡等種々の方法が利用可能である。超音波による脱泡の場合は、好ましくは30秒〜2時間、より好ましくは5分〜1時間程度脱泡操作を行うとよい。
これらの作業は、作業時におけるゴミの混入を防ぐため、クリーンルームもしくはクリーンベンチなどのスペースを利用して行うことが好ましい。本発明では特にクリーン度としてクラス1000以下のスペースにおいてこの作業を行うことが好ましい。ここで「クリーン度」とは、ダストカウンターにより測定される値を指す。
(粘度低下剤)
本発明のインク原液の作製に用いることのできる粘度低下剤とは、染料が水溶性の場合は、脱イオン水に比べてインク原液の粘度低下作用が大きいものを意味し、すなわち、本発明のインク原液の粘度をV0として、本発明のインク原液から粘度低下剤を除いた量と同量の脱イオン水を添加して測定した粘度をV1としたときにV0<V1であることを意味し、好ましくはΔV=V1−V0が10mPa・s以上、更に好ましくは20mPa・s以上を示すものである。
粘度低下剤としては、水混和性有機溶剤が好ましい。水混和性有機溶剤としては、25℃における水に対する溶解度が10(g/100g)以上が好ましく、20(g/100g)以上が更に好ましい。
水混和性有機溶剤の詳細は、先述と同様であるが、粘度低下剤として用いられる水混和性有機溶剤としては、インクジェット記録用インクの乾燥防止剤、浸透促進剤、湿潤剤などの機能を有する主に高沸点の水混和性有機溶剤が用いられ、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TEGmBE)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、アルコール及び含窒素化合物が好ましい。
アルコールとしては、水酸基を2個以上含む多価アルコールやエーテル結合を有するものが添加量に対する粘度低下効果が大きく好ましい。アルコールの例としては、例えば、エタノール、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、1−プロパノール、2−プロパノール、メタノール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
含窒素化合物としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中から特に好ましく使用できる水混和性有機溶剤としては、2−ピロリドン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールが挙げられる。
インク原液への粘度低下剤の添加量は、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは1〜15質量%である。
本発明のインク原液の作製に用いることのできる粘度低下剤とは、染料が水溶性の場合は、脱イオン水に比べてインク原液の粘度低下作用が大きいものを意味し、すなわち、本発明のインク原液の粘度をV0として、本発明のインク原液から粘度低下剤を除いた量と同量の脱イオン水を添加して測定した粘度をV1としたときにV0<V1であることを意味し、好ましくはΔV=V1−V0が10mPa・s以上、更に好ましくは20mPa・s以上を示すものである。
粘度低下剤としては、水混和性有機溶剤が好ましい。水混和性有機溶剤としては、25℃における水に対する溶解度が10(g/100g)以上が好ましく、20(g/100g)以上が更に好ましい。
水混和性有機溶剤の詳細は、先述と同様であるが、粘度低下剤として用いられる水混和性有機溶剤としては、インクジェット記録用インクの乾燥防止剤、浸透促進剤、湿潤剤などの機能を有する主に高沸点の水混和性有機溶剤が用いられ、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(TEGmBE)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、アルコール及び含窒素化合物が好ましい。
アルコールとしては、水酸基を2個以上含む多価アルコールやエーテル結合を有するものが添加量に対する粘度低下効果が大きく好ましい。アルコールの例としては、例えば、エタノール、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、1−プロパノール、2−プロパノール、メタノール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
含窒素化合物としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中から特に好ましく使用できる水混和性有機溶剤としては、2−ピロリドン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールが挙げられる。
インク原液への粘度低下剤の添加量は、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは1〜15質量%である。
前記インク原液は防腐剤、防黴剤、pH調整剤を適宜選択して使用する事ができる。
本発明のインク製造方法においては、前記インク原液に他の染料を加えて前記一般式(S−1)で表される化合物の濃度を下げる工程を有する。インク組成物の調製方法については、特開平5−148436号、同5−295312号、同7−97541号、同7−82515号、同7−118584号、特開2004−331871号の各公報に詳細が記載されていて、本発明のインク組成物の調製にも利用できる。
また、本発明のインク組成物は、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。フルカラー画像を形成するために、少なくともイエロー、マゼンタ及びシアンのインク組成物を含むインクセットであることが好ましく、各色についてそれぞれ同一色相で濃度の異なる複数色のインク組成物を用いることもできる。更には、レッド、グリーン、ブルー、さらにバイオレットと言った中間色調のインク組成物を用いることもできる。
本発明のインクセットに好ましく用いることのできるインク組成物に含まれる着色剤としての染料の例を以下に挙げるが、これに限定されるものではない。
[イエロー染料]
イエロー染料としては、国際公開第05/075573号パンフレット、特開2004−83903号公報(段落番号[0024]〜[0062])、同2003−277661号公報(段落番号[0021]〜[0050])、同2003−277662号公報(段落番号[0042]〜[0047])、同2003−128953号公報(段落番号[0025]〜[0076])、同2003−41160号公報(段落番号[0028]〜[0064])、米国特許出願公開第2003/0213405号明細書(段落番号[0108])に記載されたもの、及び下記一般式(Y−1)であらわされる化合物が挙げられる。
(Y−1)
イエロー染料としては、国際公開第05/075573号パンフレット、特開2004−83903号公報(段落番号[0024]〜[0062])、同2003−277661号公報(段落番号[0021]〜[0050])、同2003−277662号公報(段落番号[0042]〜[0047])、同2003−128953号公報(段落番号[0025]〜[0076])、同2003−41160号公報(段落番号[0028]〜[0064])、米国特許出願公開第2003/0213405号明細書(段落番号[0108])に記載されたもの、及び下記一般式(Y−1)であらわされる化合物が挙げられる。
(Y−1)
式(Y−1)中、Gはヘテロ環基を表し、nは1〜3の整数を表す。nが1の時は、R、X、Y、Z、Q、Gは一価の基を表す。nが2の時は、R、X、Y、Z、Q、Gは一価または2価の置換基を表し、少なくとも1つは2価の置換基を表す。nが3の時は、R、X、Y、Z、Q、Gは一価、2価または3価の置換基を表し、少なくとも二つが2価の置換基を表すかまたは少なくとも1つが3価の置換基を表す。
一般式(Y−1)で表される化合物は下記一般式(Y−2)、一般式(Y−3)、一般式(Y−4)、一般式(Y−5)又は一般式(Y−6)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
(Y−2)
(Y−2)
式(Y−2)中、R1、R2、X1、X2、Y1、Y2、Z1、及びZ2は一価の基を示し、Gは5〜8員含窒素ヘテロ環を構成する原子団を示し、Mは水素原子またはカチオンを示す。m1は0〜3の整数を表す。
(Y−3)
(Y−3)
式(Y−3)中、R1、R2、R11、R12、X1、X2、Z1、及びZ2は一価の基を示し、L1は2価の連結基を示し、G1、G2はそれぞれ独立に5〜8員含窒素ヘテロ環を構成する原子団を示し、Mは水素原子またはカチオンを示す。m21、m22は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。
(Y−4)
(Y−4)
式(Y−4)中、R1、R2、R11、R12、X1、X2、Y1、及びY2は一価の基を示し、L2は2価の連結基を示し、G1、G2はそれぞれ独立に5〜8員含窒素ヘテロ環を構成する原子団を示し、Mは水素原子またはカチオンを示す。m31、m32は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。
(Y−5)
(Y−5)
式(Y−5)中、R11、R12、X1、X2、Y1、Y2、Z1、及びZ2は一価の基を示し、L3は2価の連結基を示し、G1、G2はそれぞれ独立に5〜8員含窒素ヘテロ環を構成する原子団を示し、Mは水素原子またはカチオンを示す。m41、m42は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。
(Y−6)
(Y−6)
式(Y−6)中、R1、R2、R11、R12、Y1、Y2、Z1、及びZ2は一価の基を示し、L4は2価の連結基を示し、G1、G2はそれぞれ独立に5〜8員含窒素ヘテロ環を構成する原子団を示し、Mは水素原子またはカチオンを示す。m51、m52は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。
一般式(Y−2)、一般式(Y−3)、一般式(Y−4)、一般式(Y−5)、一般式(Y−6)中、G、G1及びG2で構成される含窒素ヘテロ環がS−トリアジン環であることが好ましい。
前記一般式(Y−1)、一般式(Y−2)、一般式(Y−3)、一般式(Y−4)、一般式(Y−5)および一般式(Y−6)で表される化合物の具体例(例示色素r−1〜26)を以下に示すが、本発明に用いられる色素は、下記の例に限定されるものではない。
また、以下の具体例の構造は遊離の酸の形で示されるが、任意の塩として用いても良いことは言うまでもない。
好ましいカウンターカチオンとしては、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)、アンモニウム、または有機のカチオン(例えばピリジニウム、テトラメチルアンモニウム、グアニジニウム)を挙げることができる。
[マゼンタ染料]
マゼンタ染料としては、ヘテロ環アゾ染料が好ましく、国際公開第02/83795号パンフレット(35〜55頁)、同02/83662号パンフレット(27〜42頁)、特開2004−149560号公報(段落番号[0046]〜[0059])、同2004−149561号公報(段落番号[0047]〜[0060])、及び下記一般式(M−1)に記載するアゾ色素が挙げられる。
一般式(M−1)
マゼンタ染料としては、ヘテロ環アゾ染料が好ましく、国際公開第02/83795号パンフレット(35〜55頁)、同02/83662号パンフレット(27〜42頁)、特開2004−149560号公報(段落番号[0046]〜[0059])、同2004−149561号公報(段落番号[0047]〜[0060])、及び下記一般式(M−1)に記載するアゾ色素が挙げられる。
一般式(M−1)
上記一般式(M−1)中:Aは、5員ヘテロ環ジアゾ成分A-NH2の残基を表す。
B31およびB32は、各々-CR81=もしくは-CR82=を表すか、またはいずれか一方が窒素原子、他方が-CR81=もしくは-CR82=を表す。R83及びR84は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表わす。各基は更に置換基を有していてもよい。R81、R82は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ニトロ基、アルキルもしくはアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、またはヘテロ環チオ基を表す。各基は更に置換されていてもよい。また、R81とR83、またはR83とR84が結合して5または6員環を形成してもよい。aおよびeは各々独立に、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表すが、aおよびe が共にアルキル基である時は、そのアルキル基を構成する炭素数の合計が3以上であって、それらはさらに置換されていてもよい。b、c、dは、各々独立にR81、R2と同義であり、aとb、または、eとdで互いに縮環していてもよい。但し、一般式(M−1)は、少なくとも一つのイオン性親水性基を有する。
Aは5員ヘテロ環ジアゾ成分A−NH2の残基を表す。該5員ヘテロ環のヘテロ原子の例には、N、O、およびSを挙げることができる。好しくは含窒素5員ヘテロ環であり、ヘテロ環に脂肪族環、芳香族環または他のヘテロ環が縮合していてもよい。
Aの好ましいヘテロ環の例には、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、またはベンゾイソチアゾール環を挙げることができる。各ヘテロ環基は更に置換基を有していてもよい。なかでもピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、またはトリアゾール環が好ましい。一般式(M−1)アゾ色素が下記一般式(M−2)で表されることが好ましい。
一般式(M−2)
B31およびB32は、各々-CR81=もしくは-CR82=を表すか、またはいずれか一方が窒素原子、他方が-CR81=もしくは-CR82=を表す。R83及びR84は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表わす。各基は更に置換基を有していてもよい。R81、R82は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ニトロ基、アルキルもしくはアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、またはヘテロ環チオ基を表す。各基は更に置換されていてもよい。また、R81とR83、またはR83とR84が結合して5または6員環を形成してもよい。aおよびeは各々独立に、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表すが、aおよびe が共にアルキル基である時は、そのアルキル基を構成する炭素数の合計が3以上であって、それらはさらに置換されていてもよい。b、c、dは、各々独立にR81、R2と同義であり、aとb、または、eとdで互いに縮環していてもよい。但し、一般式(M−1)は、少なくとも一つのイオン性親水性基を有する。
Aは5員ヘテロ環ジアゾ成分A−NH2の残基を表す。該5員ヘテロ環のヘテロ原子の例には、N、O、およびSを挙げることができる。好しくは含窒素5員ヘテロ環であり、ヘテロ環に脂肪族環、芳香族環または他のヘテロ環が縮合していてもよい。
Aの好ましいヘテロ環の例には、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、またはベンゾイソチアゾール環を挙げることができる。各ヘテロ環基は更に置換基を有していてもよい。なかでもピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、またはトリアゾール環が好ましい。一般式(M−1)アゾ色素が下記一般式(M−2)で表されることが好ましい。
一般式(M−2)
一般式(M−2)中、Z11は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z12は、水素原子、アシル基、脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基を表す。R81、R82、R83、R84、a、b、c、d及びeは、各々一般式(M−1)の場合と同義である。Q11は、水素原子、脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基を表す。上記Z11、Z12及びQ11の各基は、更に置換基を有していてもよい。但し、一般式(M−2)は、少なくとも一つのイオン性親水性基を有する。
アゾ色素の具体例を以下に示すが、下記の例に限定されるものではない。
アゾ色素の具体例を以下に示すが、下記の例に限定されるものではない。
[シアン染料]
シアン染料としては、フタロシアニン染料としては、会合性のフタロシアニン染料が好ましい。会合性のフタロシアニン染料としては、会合性基を有するものが好ましい。この会合性基とは、その基中に少なくとも分子間で水素結合が可能な結合部位(あるいは官能基)を少なくとも有する基を意味する。該結合部位は、1基中に1以上含有することができる。結合部位としては、水酸基、アミノ基、アミド結合、オキシド結合等が挙げられ、同一種もしくは異種間で水素結合が形成される。なお、会合性基は、フタロシアニン染料と任意の添加剤との間で水素結合が可能であってもよい。
求電子剤であるオゾンとの反応性を下げるために、例えばアザフタロシアニンのようにフタロシアニン骨格の炭素原子を部分的にヘテロ原子に置換したり、電子求引性基をフタロシアニン骨格に導入したりして、酸化電位を1.0V(vs SCE)よりも貴とすることが望ましい。酸化電位は貴であるほど好ましく、酸化電位が1.1V(vs SCE)よりも貴であることがさらに好ましく、1.15V(vs SCE)よりも貴であることが特に好ましい。
シアン染料としては、フタロシアニン染料としては、会合性のフタロシアニン染料が好ましい。会合性のフタロシアニン染料としては、会合性基を有するものが好ましい。この会合性基とは、その基中に少なくとも分子間で水素結合が可能な結合部位(あるいは官能基)を少なくとも有する基を意味する。該結合部位は、1基中に1以上含有することができる。結合部位としては、水酸基、アミノ基、アミド結合、オキシド結合等が挙げられ、同一種もしくは異種間で水素結合が形成される。なお、会合性基は、フタロシアニン染料と任意の添加剤との間で水素結合が可能であってもよい。
求電子剤であるオゾンとの反応性を下げるために、例えばアザフタロシアニンのようにフタロシアニン骨格の炭素原子を部分的にヘテロ原子に置換したり、電子求引性基をフタロシアニン骨格に導入したりして、酸化電位を1.0V(vs SCE)よりも貴とすることが望ましい。酸化電位は貴であるほど好ましく、酸化電位が1.1V(vs SCE)よりも貴であることがさらに好ましく、1.15V(vs SCE)よりも貴であることが特に好ましい。
会合性のフタロシアニン染料としては、国際公開第02/60994号パンフレット、同03/811号パンフレット、同03/62324号パンフレット、特開2003-213167号公報、同2004-75986号公報、同2004-323605号公報、同2004-315758号公報、同2004-315807号公報、同2005-179469号後方に記載されたものが挙げられる。
フタロシアニン染料は、前述した特許の他、特開2004-315729号公報、同2005-41856号公報、同2004-323511号工法に従って合成することが可能である。また、出発物質、染料中間体及び合成ル−トについてはこれらにより限定されるものでない。
本発明のインクセットは、インクジェット記録以外の用途に使用することもできる。例えば、特開2004−331871号公報の[0727]〜[0731]等に記載のディスプレイ画像用材料、室内装飾材料の画像形成材料および屋外装飾材料の画像形成材料などに使用が可能である。
本発明のインクセットは、インクジェット記録以外の用途に使用することもできる。例えば、特開2004−331871号公報の[0727]〜[0731]等に記載のディスプレイ画像用材料、室内装飾材料の画像形成材料および屋外装飾材料の画像形成材料などに使用が可能である。
前記の染料以外に、下記各公報に記載の染料も各色のインク組成物に好ましく用いることができる。特開平10−130557号公報、特開平9−255906号公報、特開平6−234944号公報、特開平7−97541号公報、欧州特許第982371号明細書、国際公開第00/43450号パンフレット、国際公開第00/43451号パンフレット、国際公開第00/43452号パンフレット、国際公開第00/43453号パンフレット、国際公開第03/106572号パンフレット、国際公開第03/104332号パンフレット、特開2003−238862号公報、特開2004−83609号公報、特開2002−302619号公報、特開2002−327131号公報、特開2002−265809号公報、国際公開第01/48090号パンフレット、国際公開第04/087815号パンフレット、国際公開第02/090441号パンフレット、国際公開第03/027185号パンフレット、国際公開第04/085541号パンフレット、特開2003−321627号公報、特開2002−332418号公報、特開2002−332419号公報、国際公開第02/059216号パンフレット、国際公開第02/059215号パンフレット、国際公開第04/087814号パンフレット、国際公開第04/046252号パンフレット、国際公開第04/046265号パンフレット、特許第3479444号明細書、米国特許第6652637B号明細書、国際公開第03/106572号パンフレット、国際公開第03/104332号パンフレット、国際公開第00/58407号パンフレット、特許第3558211号明細書、特許第3558212号明細書、特許第3558213号明細書、特開2004−285351号公報、特開2004−323605号公報、国際公開第04/104108号パンフレット。
[記録方法]
本発明の記録方法は、本発明のインク組成物を被記録材に付与することを特徴とする。本発明の好ましい記録方法は、好ましくは、インク組成物の液滴を記録媒体上に吐出させて記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法で、インク組成物にエネルギーを供与して、被記録材としての公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する。なお、本発明のインクジェット記録方法として特開2003−306623号公報段落番号0093〜0105の記載が適用できる。
本発明の記録方法は、本発明のインク組成物を被記録材に付与することを特徴とする。本発明の好ましい記録方法は、好ましくは、インク組成物の液滴を記録媒体上に吐出させて記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法で、インク組成物にエネルギーを供与して、被記録材としての公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する。なお、本発明のインクジェット記録方法として特開2003−306623号公報段落番号0093〜0105の記載が適用できる。
画像を形成する際に、光沢性や耐水性を与えたり耐候性を改善する目的からポリマーラテックス化合物を併用してもよい。ラテックス化合物を受像材料に付与する時期については、着色剤を付与する前であっても、後であっても、また同時であってもよく、したがって添加する場所も受像紙中であっても、インク中であってもよく、あるいはポリマーラテックス単独の液状物として使用しても良い。
具体的には、特開2002−166638号公報、特開2002−121440号公報、特開2002−154201号公報、特開2002−144696号公報、特開2002−080759号公報、特開2002−187342号公報、特開2002−172774号公報に記載された方法を好ましく用いることができる。
具体的には、特開2002−166638号公報、特開2002−121440号公報、特開2002−154201号公報、特開2002−144696号公報、特開2002−080759号公報、特開2002−187342号公報、特開2002−172774号公報に記載された方法を好ましく用いることができる。
以下に、本発明のインクを用いてインクジェットプリントをするのに用いられる記録紙及び記録フィルムについて説明する。記録紙及び記録フィルムにおける支持体は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等からなり、必要に応じて従来公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g/m2が望ましい。支持体には、そのままインク受容層及びバックコート層を設けてもよいし、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後、インク受容層及びバックコー卜層を設けてもよい。更に支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。本発明では支持体としては、両面をポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテン及びそれらのコポリマー)でラミネートした紙及びプラスチックフィルムがより好ましく用いられる。ポリオレフィン中に、白色顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛)又は色味付け染料(例えば、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
支持体上に設けられるインク受容層には、顔料や水性バインダーが含有される。顔料としては、白色顔料が好ましく、白色顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等の白色無機顔料、スチレン系ピグメント、アクリル系ピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。インク受容層に含有される白色顔料としては、多孔性無機顔料が好ましく、特に細孔面積が大きい合成非晶質シリカ等が好適である。合成非晶質シリカは、乾式製造法によって得られる無水珪酸及び湿式製造法によって得られる含水珪酸のいずれも使用可能であるが、特に含水珪酸を使用することが望ましい。
本発明の記録方法はインクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するインクジェットヘッドを用いる、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して、放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等に用いられる。インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
ここで、水溶性長波染料LとしてB−1〜B−3、B−5及びB−6を用いた実施例は参考例と読み替えるものとする。
(インク原液作製)
染料(Black・S−1)を50gに超純水(比抵抗値18MΩ・cm以上)850gを加えて60〜65℃で加熱しながら1時間攪拌した。染料が完全に溶解した後、室温まで冷却し、粘度低下剤として2−ピロリドンを100g添加し、防腐剤としてPROXELXL2を1.0g添加した。10分間の攪拌の後、平均孔径0.2μmのミクロフィルターで減圧濾過してインクジェット用インク原液を作製した。
同様に、(Black・S−2)、(Black・S−3)、(Black・S−4)のインク原液を作製した。
(ブラックインクの調製)
下記の成分に超純水を加え100%とした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過してブラックインク液をそれぞれ調製した。なお表1中において、各成分の数値はインク組成物の質量を100%とした場合の各成分の重量%を示し、さらに水の量を示す「残」は、水以外の成分とあわせて合計100%になる量を示す。
ここで、水溶性長波染料LとしてB−1〜B−3、B−5及びB−6を用いた実施例は参考例と読み替えるものとする。
(インク原液作製)
染料(Black・S−1)を50gに超純水(比抵抗値18MΩ・cm以上)850gを加えて60〜65℃で加熱しながら1時間攪拌した。染料が完全に溶解した後、室温まで冷却し、粘度低下剤として2−ピロリドンを100g添加し、防腐剤としてPROXELXL2を1.0g添加した。10分間の攪拌の後、平均孔径0.2μmのミクロフィルターで減圧濾過してインクジェット用インク原液を作製した。
同様に、(Black・S−2)、(Black・S−3)、(Black・S−4)のインク原液を作製した。
(ブラックインクの調製)
下記の成分に超純水を加え100%とした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過してブラックインク液をそれぞれ調製した。なお表1中において、各成分の数値はインク組成物の質量を100%とした場合の各成分の重量%を示し、さらに水の量を示す「残」は、水以外の成分とあわせて合計100%になる量を示す。
(実施例1)
これらのブラックインクをセイコーエプソン(株)社製インクジェットプリンタPM-A700のブラックインクカートリッジに装填した。Adobe Systems Incorporated製の画像ソフトPhotoshopを使用してR:0、G:0、B:0からR:255、G:255、B:255まで段階的に濃度が変化したグレー画像(以下、階段パターンとも記す)を作成し、「黒」モードで印字させて、黒インクのみで印画した画像を得た。受像シートは、富士写真フイルム(株)社製 画彩〈写真仕上げPro〉を用いた。
(評価)
1)色相の評価は、グレーの階段パターンで、各印字濃度におけるグレーの色調を目視で判断して、各濃度において好ましいグレー色調を示すものをA、グレーバランスが崩れる濃度が散見されるものをB、殆どの濃度でグレーバランスが崩れたものをCとした。
2)画像保存性については、グレー印字サンプルを用いて、以下3)〜4)の評価を行った。画像保存性の評価は、階段状パターンの濃度を、ステータスAフィルターを搭載したX-rite 310濃度測定機を用いて測定し、Dvis=1.0付近の点を基準点として、そこの濃度変化を測定することにより行った。
3)耐光性
3−1)光堅牢性は、印字直後の上記濃度(DB、DG、DR)CiをX-rite 310を用いて測定した後、アトラス社製ウェザーメーターを用い画像にキセノン光(8万5千ルックス)を10日照射した。その後再び濃度Cfを測定し染料残存率Cf/Ci×100を求め評価を行った。
染料残像率がDB、DG、DRすべてにおいて80%以上の場合をA、一部でも70〜80%となった場合をB、一部でも70%未満となった場合をCとした。
3−2)色相の評価に用いたグレーの階段パターンを用いて、アトラス社製ウェザーメーターを用い画像にキセノン光(8万5千ルックス)を10日照射した。各印字濃度におけるキセノン光暴露後のグレーの色調を目視で判断して、各濃度において好ましいグレー色調を示すものをA、グレーバランスが崩れる濃度が散見されるものをB、殆どの濃度でグレーバランスが崩れたものをCとした。
4)耐オゾン性
4−1)耐オゾン性は、印字直後の上記濃度(DB、DG、DR)CiをX-rite 310を用いて測定した後、オゾンガス濃度が5ppmに設定されたボックス内で170時間オゾンガスに暴露した。その後再び濃度Cfを測定し染料残存率Cf/Ci×100を求め評価を行った。
ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニタ(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。
染料残像率がDB、DG、DRすべてにおいて80%以上の場合をA、一部でも70〜80%となった場合をB、一部でも70%未満となった場合をCとした。
4−2)色相の評価に用いたグレーの階段パターンを用いて、オゾンガス濃度が5ppmに設定されたボックス内で170時間オゾンガスに暴露した。各印字濃度におけるキセノン光暴露後のグレーの色調を目視で判断して、各濃度において好ましいグレー色調を示すものをA、グレーバランスが崩れる濃度が散見されるものをB、殆どの濃度でグレーバランスが崩れたものをCとした。
5)ブラックインクの高湿下における画像にじみについては、Adobe Systems Incorporated製の画像ソフトPhotoshopを使用して、線幅が0.2mm、線の間隔が0.2mmの格子の画像を作成した。線を黒色(R:0、R:0、B:0)、線の間を白色(R:255、G:255、B:255)の黒/白格子の画像サンプルを作成し、25℃90%RHの条件下7日間保存後の画像にじみを目視にて判断した。
格子間の白地部分ににじみが認められないものをA、色補正染料の色相が若干認められるものをB、明らかに色補正染料が白地部ににじみ出したものをC、色補正染料だけでなく黒染料のにじみも顕著であるものをDとした。
評価結果を表2に示す。
これらのブラックインクをセイコーエプソン(株)社製インクジェットプリンタPM-A700のブラックインクカートリッジに装填した。Adobe Systems Incorporated製の画像ソフトPhotoshopを使用してR:0、G:0、B:0からR:255、G:255、B:255まで段階的に濃度が変化したグレー画像(以下、階段パターンとも記す)を作成し、「黒」モードで印字させて、黒インクのみで印画した画像を得た。受像シートは、富士写真フイルム(株)社製 画彩〈写真仕上げPro〉を用いた。
(評価)
1)色相の評価は、グレーの階段パターンで、各印字濃度におけるグレーの色調を目視で判断して、各濃度において好ましいグレー色調を示すものをA、グレーバランスが崩れる濃度が散見されるものをB、殆どの濃度でグレーバランスが崩れたものをCとした。
2)画像保存性については、グレー印字サンプルを用いて、以下3)〜4)の評価を行った。画像保存性の評価は、階段状パターンの濃度を、ステータスAフィルターを搭載したX-rite 310濃度測定機を用いて測定し、Dvis=1.0付近の点を基準点として、そこの濃度変化を測定することにより行った。
3)耐光性
3−1)光堅牢性は、印字直後の上記濃度(DB、DG、DR)CiをX-rite 310を用いて測定した後、アトラス社製ウェザーメーターを用い画像にキセノン光(8万5千ルックス)を10日照射した。その後再び濃度Cfを測定し染料残存率Cf/Ci×100を求め評価を行った。
染料残像率がDB、DG、DRすべてにおいて80%以上の場合をA、一部でも70〜80%となった場合をB、一部でも70%未満となった場合をCとした。
3−2)色相の評価に用いたグレーの階段パターンを用いて、アトラス社製ウェザーメーターを用い画像にキセノン光(8万5千ルックス)を10日照射した。各印字濃度におけるキセノン光暴露後のグレーの色調を目視で判断して、各濃度において好ましいグレー色調を示すものをA、グレーバランスが崩れる濃度が散見されるものをB、殆どの濃度でグレーバランスが崩れたものをCとした。
4)耐オゾン性
4−1)耐オゾン性は、印字直後の上記濃度(DB、DG、DR)CiをX-rite 310を用いて測定した後、オゾンガス濃度が5ppmに設定されたボックス内で170時間オゾンガスに暴露した。その後再び濃度Cfを測定し染料残存率Cf/Ci×100を求め評価を行った。
ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニタ(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。
染料残像率がDB、DG、DRすべてにおいて80%以上の場合をA、一部でも70〜80%となった場合をB、一部でも70%未満となった場合をCとした。
4−2)色相の評価に用いたグレーの階段パターンを用いて、オゾンガス濃度が5ppmに設定されたボックス内で170時間オゾンガスに暴露した。各印字濃度におけるキセノン光暴露後のグレーの色調を目視で判断して、各濃度において好ましいグレー色調を示すものをA、グレーバランスが崩れる濃度が散見されるものをB、殆どの濃度でグレーバランスが崩れたものをCとした。
5)ブラックインクの高湿下における画像にじみについては、Adobe Systems Incorporated製の画像ソフトPhotoshopを使用して、線幅が0.2mm、線の間隔が0.2mmの格子の画像を作成した。線を黒色(R:0、R:0、B:0)、線の間を白色(R:255、G:255、B:255)の黒/白格子の画像サンプルを作成し、25℃90%RHの条件下7日間保存後の画像にじみを目視にて判断した。
格子間の白地部分ににじみが認められないものをA、色補正染料の色相が若干認められるものをB、明らかに色補正染料が白地部ににじみ出したものをC、色補正染料だけでなく黒染料のにじみも顕著であるものをDとした。
評価結果を表2に示す。
比較染料を用いたブラックインクB−3およびB−4では短波長域での吸収が十分でなくブラックの色相が不十分で、堅牢性も劣るため、光、オゾンへの暴露によって短波の吸収が減少し、更に色相がグレーからずれる結果となった。本発明のブラックインクで黒画像を作成した場合に、色相、堅牢性、退色バランス、にじみが特に優れていることが判った。
同様の試験を受像シートだけを変えて、富士写真フイルム(株)製画彩〈写真仕上げAdvance〉Hi厚手、エプソン(株)製写真用紙CRISPIA〈高光沢〉、エプソン(株)製写真用紙〈光沢〉、キャノン(株)製プロフェッショナルフォトペーパー、キャノン(株)製スーパーフォトペーパー、コニカミノルタ製PhotolikeQP〈写真画質〉超厚手を用いて同様の試験を行ったが、表2とほぼ同様の結果が得られた。
同様の試験を受像シートだけを変えて、富士写真フイルム(株)製画彩〈写真仕上げAdvance〉Hi厚手、エプソン(株)製写真用紙CRISPIA〈高光沢〉、エプソン(株)製写真用紙〈光沢〉、キャノン(株)製プロフェッショナルフォトペーパー、キャノン(株)製スーパーフォトペーパー、コニカミノルタ製PhotolikeQP〈写真画質〉超厚手を用いて同様の試験を行ったが、表2とほぼ同様の結果が得られた。
(実施例2)
〔各インク組成物の調製〕
以下の表3及び表4に示した組成に基づき、各成分を常温において30分間攪拌した後、得られた溶液を目開き1.0μmのメンブランフィルターを用いて濾過することにより各インク組成物を得た。なお表3、4中において、各成分の数値はインク組成物の質量を100%とした場合の各成分の重量%を示し、さらに水の量を示す「残」は、水以外の成分とあわせて合計100%になる量を示す。
〔各インク組成物の調製〕
以下の表3及び表4に示した組成に基づき、各成分を常温において30分間攪拌した後、得られた溶液を目開き1.0μmのメンブランフィルターを用いて濾過することにより各インク組成物を得た。なお表3、4中において、各成分の数値はインク組成物の質量を100%とした場合の各成分の重量%を示し、さらに水の量を示す「残」は、水以外の成分とあわせて合計100%になる量を示す。
(YELLOW−2):
(YELLOW−3):
化合物(YELLOW−1)は下記の方法によって合成することができる。(1)化合物(YELLOW−1b)の合成:
炭酸水素ナトリウム25.5gおよびイオン交換水150mLを40℃に加温し、塩化シアヌル(東京化成品)25.0gを10分毎に5分割して添加して1時間攪拌した。その溶液をヒドラジン52.8mLとイオン交換水47mLの混液(8℃)に内温が10℃を超えないように滴下した。内温を50℃まで昇温し、30分攪拌した。析出した結晶を濾過し、23.4gの化合物b(YELLOW−1b)(ヒドラジン誘導体:m.p.>300℃)を得た。収率は94.7%であった。
炭酸水素ナトリウム25.5gおよびイオン交換水150mLを40℃に加温し、塩化シアヌル(東京化成品)25.0gを10分毎に5分割して添加して1時間攪拌した。その溶液をヒドラジン52.8mLとイオン交換水47mLの混液(8℃)に内温が10℃を超えないように滴下した。内温を50℃まで昇温し、30分攪拌した。析出した結晶を濾過し、23.4gの化合物b(YELLOW−1b)(ヒドラジン誘導体:m.p.>300℃)を得た。収率は94.7%であった。
(2)化合物(YELLOW−1c)の合成:
化合物(YELLOW−1b)(ヒドラジン誘導体)35.0gをエチレングリコール420mLに懸濁し、内温50℃で攪拌した。濃塩酸59mL、続いてピバロイルアセトニトリル(東京化成品)60.1gを添加し、50℃で10時間攪拌した。濃塩酸95mL、メタノール145mLを追添し、更に8時間攪拌した。室温まで冷却後、析出した結晶を濾別し、化合物c(5−アミノピラゾール誘導体:m.p.=233〜235℃)を81.6gを得た。収率は94.2%であった。1H-NMR(DMSO-d6),δ値TMS基準:1.2〜1.3(18H,s))
化合物(YELLOW−1b)(ヒドラジン誘導体)35.0gをエチレングリコール420mLに懸濁し、内温50℃で攪拌した。濃塩酸59mL、続いてピバロイルアセトニトリル(東京化成品)60.1gを添加し、50℃で10時間攪拌した。濃塩酸95mL、メタノール145mLを追添し、更に8時間攪拌した。室温まで冷却後、析出した結晶を濾別し、化合物c(5−アミノピラゾール誘導体:m.p.=233〜235℃)を81.6gを得た。収率は94.2%であった。1H-NMR(DMSO-d6),δ値TMS基準:1.2〜1.3(18H,s))
(3)化合物(YELLOW−1e)の合成:
化合物d(東京化成品)90.57gを、H2O 500mlに懸濁しておき、130mlの濃塩酸を注入後内温が5℃以下になるまで冷却した。次に亜硝酸ナトリウム36.23gと( )70mlの水溶液を内温4〜6℃の範囲で滴下し、更に内温5℃以下で30分間撹拌した。次に、159gの亜硫酸ナトリウムと636mlのH2Oを内温20℃以下を保ちながら注入し、更に内温25℃で250mlの濃塩酸を注入し、引き続き内温90℃で1時間撹拌後、内温を室温が冷却後ろ過、200mlの水で洗浄し風乾後80.0gの化合物eを得た。
化合物d(東京化成品)90.57gを、H2O 500mlに懸濁しておき、130mlの濃塩酸を注入後内温が5℃以下になるまで冷却した。次に亜硝酸ナトリウム36.23gと( )70mlの水溶液を内温4〜6℃の範囲で滴下し、更に内温5℃以下で30分間撹拌した。次に、159gの亜硫酸ナトリウムと636mlのH2Oを内温20℃以下を保ちながら注入し、更に内温25℃で250mlの濃塩酸を注入し、引き続き内温90℃で1時間撹拌後、内温を室温が冷却後ろ過、200mlの水で洗浄し風乾後80.0gの化合物eを得た。
(4)化合物(YELLOW−1f)の合成:
化合物e 23.3gと209mlのエタノール懸濁液にトリエチルアミン28mlを室温で滴下後12.2gのエトキシメチレンマロノニトリル(ALDRICH品)を分割添加し、3時間還流し室温まで冷却後ろ過、400mlのイソプロピルアルコールで洗浄し乾燥後23.57gの化合物fを得た。
化合物e 23.3gと209mlのエタノール懸濁液にトリエチルアミン28mlを室温で滴下後12.2gのエトキシメチレンマロノニトリル(ALDRICH品)を分割添加し、3時間還流し室温まで冷却後ろ過、400mlのイソプロピルアルコールで洗浄し乾燥後23.57gの化合物fを得た。
(5)化合物(YELLOW−1)の合成:
内温4℃以下で硫酸32.4mLに酢酸145.56mLを注入し、引き続き内温7℃で撹拌しながら40%ニトロシル硫酸15.9mL(ALDRICH品)を滴下した。
化合物(YELLOW−1f)32.4gを分割添加し、内温10℃で撹拌しながら同温度で60分間撹拌した後、尿素1.83gを反応混合物の中に添加した18.8gの化合物Cを470mlのメタノールに懸濁した溶液へ、内温<0℃でジアゾニウム塩を滴下し、そのまま同温度で30分間撹拌した後、反応液の内温を室温まで昇温した後、ろ過、メタノール洗浄及びH2O洗浄して、粗結晶を得た。引き続き粗結晶をメタノール400mlに懸濁して、一時間還流下で撹拌後、室温まで冷却し、ろ過、メタノール洗浄、水洗浄メタノール洗浄後、75℃で一晩乾燥した後DYE−11の遊離酸型結晶34.4gを得た。得られた結晶を10wt%aq(at25℃:pH≒8.3:KOHaq調製)とした後、内温50℃でIPAを添加して晶析後、冷却、ろ過、IPA洗浄して、乾燥後35gの(YELLOW−1)(カリウム塩)を得た。
λmax=436.4nm(H2O)、ε:3.53×104(dm3.cm/mol)
内温4℃以下で硫酸32.4mLに酢酸145.56mLを注入し、引き続き内温7℃で撹拌しながら40%ニトロシル硫酸15.9mL(ALDRICH品)を滴下した。
化合物(YELLOW−1f)32.4gを分割添加し、内温10℃で撹拌しながら同温度で60分間撹拌した後、尿素1.83gを反応混合物の中に添加した18.8gの化合物Cを470mlのメタノールに懸濁した溶液へ、内温<0℃でジアゾニウム塩を滴下し、そのまま同温度で30分間撹拌した後、反応液の内温を室温まで昇温した後、ろ過、メタノール洗浄及びH2O洗浄して、粗結晶を得た。引き続き粗結晶をメタノール400mlに懸濁して、一時間還流下で撹拌後、室温まで冷却し、ろ過、メタノール洗浄、水洗浄メタノール洗浄後、75℃で一晩乾燥した後DYE−11の遊離酸型結晶34.4gを得た。得られた結晶を10wt%aq(at25℃:pH≒8.3:KOHaq調製)とした後、内温50℃でIPAを添加して晶析後、冷却、ろ過、IPA洗浄して、乾燥後35gの(YELLOW−1)(カリウム塩)を得た。
λmax=436.4nm(H2O)、ε:3.53×104(dm3.cm/mol)
(YELLOW−4):
(YELLOW−5);C.I.ダイレクトイエロ−132(YELLOW−6);C.I.ダイレクトイエロ−86(YELLOW−7);C.I.ダイレクトイエロ−58
マゼンタ染料としては、下記(MAGENTA−1)、(MAGENTA−2)、(MAGENTA−3)、(MAGENTA−4)、(MAGENTA−5)を用いた。
(MAGENTA−1):
(MAGENTA−2):
(MAGENTA−3):
化合物(MAGENTA−1)は下記の方法によって合成することができる。
(1)化合物(MAGENTA−1a)の合成
5-アミノ-3-tert-ブチル-4-シアノピラゾール(1)24.1g(0.147mol)、濃塩酸45ml、酢酸30ml、プロピオン酸45mlを内温0℃で攪拌させ、水20mlに溶解させた亜硝酸ナトリウム10.1g(0.147mol)を10分間で滴下した。そのまま30分間攪拌させた。カプラー成分(2)84.7g(0.147mol)をメタンスルホン酸231ml、酢酸147ml、プロピオン酸221mlに溶解させ、0℃で攪拌し、上記ジアゾニウム塩を30分間で加えた。ジアゾニウム塩添加後、さらに反応液を30分攪拌させた後、水2250mlに氷750gを添加し攪拌させたところへ、上記反応液を徐々に加え、析出した化合物(MAGENTA−1a)を吸引濾過し単離した。収量73.8g、収率85%。
(1)化合物(MAGENTA−1a)の合成
5-アミノ-3-tert-ブチル-4-シアノピラゾール(1)24.1g(0.147mol)、濃塩酸45ml、酢酸30ml、プロピオン酸45mlを内温0℃で攪拌させ、水20mlに溶解させた亜硝酸ナトリウム10.1g(0.147mol)を10分間で滴下した。そのまま30分間攪拌させた。カプラー成分(2)84.7g(0.147mol)をメタンスルホン酸231ml、酢酸147ml、プロピオン酸221mlに溶解させ、0℃で攪拌し、上記ジアゾニウム塩を30分間で加えた。ジアゾニウム塩添加後、さらに反応液を30分攪拌させた後、水2250mlに氷750gを添加し攪拌させたところへ、上記反応液を徐々に加え、析出した化合物(MAGENTA−1a)を吸引濾過し単離した。収量73.8g、収率85%。
(2)化合物(MAGENTA−1b)の合成
化合物(MAGENTA−1a)21g(35.5mmol)にヘテリル化剤(3)26.6g(157mmol)、炭酸カリウム21.7g、DMSO147mlを加え、窒素バブリングさせながら内温92℃で4時間加熱攪拌させた。攪拌終了後、室温まで冷却し、反応系から析出した化合物(d5−b)を吸引濾過にて単離した。さらにこの粗結晶を水3L中で分散させ、過剰の炭酸カリウムを溶解させ、吸引ろ過して目的化合物(MAGENTA−1b)を得た。収量20.0g、収率63.5%。λmax=558nm(DMF溶液)。
m/Z(POSI)=858。
化合物(MAGENTA−1a)21g(35.5mmol)にヘテリル化剤(3)26.6g(157mmol)、炭酸カリウム21.7g、DMSO147mlを加え、窒素バブリングさせながら内温92℃で4時間加熱攪拌させた。攪拌終了後、室温まで冷却し、反応系から析出した化合物(d5−b)を吸引濾過にて単離した。さらにこの粗結晶を水3L中で分散させ、過剰の炭酸カリウムを溶解させ、吸引ろ過して目的化合物(MAGENTA−1b)を得た。収量20.0g、収率63.5%。λmax=558nm(DMF溶液)。
m/Z(POSI)=858。
(3)化合物(MAGENTA−1)の合成
化合物(MAGENTA−1b)2g(2.33mmol)を東京化成製スルホラン7gに分散させ、内温15℃で日曹サルファン(三酸化硫黄)1.7gを滴下した。滴下終了後、内温70℃で2時間反応させた。反応終了後、反応液を20℃に冷却し、水2mlを滴下させた。内温5℃に冷却し、25wt%水酸化ナトリウム水溶液を3.3ml滴下、さらにソディウムメトキシド28wt%メタノール溶液を0.8ml滴下させた。さらにメタノールを4ml滴下し、析出した無機塩をろ過し、2mlのメタノールで共洗いした。このろ液に酢酸カリウム2g、メタノール5.6mlを添加し、さらにエタノール22,5mlを添加して、染料を晶析させ、吸引ろ過およびエタノールによる洗浄を行って、粗結晶の化合物(MAGENTA−1)を得た。上記無機塩を含む粗結晶は、ファルマシア製セファデックスLH−20ゲルクロマトフラフィー(溶離液、水/メタノール=1:1(v/v))で脱塩精製し、化合物MAGENTA−1を得た。得量2g、収率66%。
λmax(DMSO)=567.1nm、ε=46900
化合物(MAGENTA−1b)2g(2.33mmol)を東京化成製スルホラン7gに分散させ、内温15℃で日曹サルファン(三酸化硫黄)1.7gを滴下した。滴下終了後、内温70℃で2時間反応させた。反応終了後、反応液を20℃に冷却し、水2mlを滴下させた。内温5℃に冷却し、25wt%水酸化ナトリウム水溶液を3.3ml滴下、さらにソディウムメトキシド28wt%メタノール溶液を0.8ml滴下させた。さらにメタノールを4ml滴下し、析出した無機塩をろ過し、2mlのメタノールで共洗いした。このろ液に酢酸カリウム2g、メタノール5.6mlを添加し、さらにエタノール22,5mlを添加して、染料を晶析させ、吸引ろ過およびエタノールによる洗浄を行って、粗結晶の化合物(MAGENTA−1)を得た。上記無機塩を含む粗結晶は、ファルマシア製セファデックスLH−20ゲルクロマトフラフィー(溶離液、水/メタノール=1:1(v/v))で脱塩精製し、化合物MAGENTA−1を得た。得量2g、収率66%。
λmax(DMSO)=567.1nm、ε=46900
同様の合成方法によって化合物(MAGENTA−2)、化合物(MAGENTA−3)の化合物も合成できた。
(MAGENTA−4):
(MAGENTA−5):
表3及び表4中、シアン染料としては、下記(CYAN−1)、(CYAN−2)、(CYAN−3)、(CYAN−4)及び(CYAN−5)で表される化合物を用いた。
(CYAN−1):
(CYAN−2):
(CYAN−3):
(CYAN−4):
(CYAN−5);C.I.ダイレクトブルー199を用いた。
次に調製した各インク組成物を用いて表5に示す組み合わせでインクセット1〜10の各インクセットを作成した。
これらのインクをセイコーエプソン株式会社製インクジェットプリンタPMG820の各々対応するインクカートリッジに充填した。インクセット6ではブラックインク以外はPMG820用の純正インクをそのまま使用し、インクセット7ではキャノン株式会社製のインクであるBCI-7の各色のインクを抜き取り、各々対応するPMG800用インクカートリッジに充填した。これらのインクカートリッジをPMG800に装填し、印画を行った。
(評価)
1)画像保存性については、Adobe Systems Incorporated製の画像ソフトPhotoshopを使用してR:0、G:0、B:0の黒色ベタ画像を作成し、黒ベタ画像の印画を行った。その画像を使用して以下2)〜3)の評価を行った。画像保存性の評価は、階段状パターンの濃度を、ステータスAフィルターを搭載したX-rite 310濃度測定機を用いて測定し、濃度変化を測定することにより行った。
2)耐光性
光堅牢性は、印字直後の上記濃度(DB、DG、DR)CiをX-rite 310を用いて測定した後、アトラス社製ウェザーメーターを用い画像にキセノン光(8万5千ルックス)を10日照射した。その後再び濃度Cfを測定し染料残存率Cf/Ci×100を求め評価を行った。
染料残像率がDB、DG、DRすべてにおいて80%以上の場合をA、一部でも70〜80%となった場合をB、一部でも70%未満となった場合をCとした。
3)耐オゾン性
耐オゾン性は、印字直後の上記濃度(DB、DG、DR)CiをX-rite 310を用いて測定した後、オゾンガス濃度が5ppmに設定されたボックス内で170時間オゾンガスに暴露した。その後再び濃度Cfを測定し染料残存率Cf/Ci×100を求め評価を行った。
ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニタ(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。
染料残像率がDB、DG、DRすべてにおいて80%以上の場合をA、一部でも70〜80%となった場合をB、一部でも70%未満となった場合をCとした。
4)ブラックインクの高湿下における画像にじみについては、実施例1で作成した黒/白格子画像と、その画像の白部をマゼンタのOD=1.0となるように作成した黒/マゼンタ格子画像、同様に白部をシアンのOD=1.0となるように作成した黒/シアン格子画像とを作成し、それぞれの画像サンプルを作成した。その画像サンプルを用いて25℃90%RHの条件下7日間保存後の画像にじみを目視にて判断した。
格子間の白地、マゼンタ地またはシアン地の部分ににじみが認められないものをA、色補正染料の色相が若干認められるものをB、明らかに色補正染料が白地部ににじみ出したものをCとした。
評価結果を表6に示す。
1)画像保存性については、Adobe Systems Incorporated製の画像ソフトPhotoshopを使用してR:0、G:0、B:0の黒色ベタ画像を作成し、黒ベタ画像の印画を行った。その画像を使用して以下2)〜3)の評価を行った。画像保存性の評価は、階段状パターンの濃度を、ステータスAフィルターを搭載したX-rite 310濃度測定機を用いて測定し、濃度変化を測定することにより行った。
2)耐光性
光堅牢性は、印字直後の上記濃度(DB、DG、DR)CiをX-rite 310を用いて測定した後、アトラス社製ウェザーメーターを用い画像にキセノン光(8万5千ルックス)を10日照射した。その後再び濃度Cfを測定し染料残存率Cf/Ci×100を求め評価を行った。
染料残像率がDB、DG、DRすべてにおいて80%以上の場合をA、一部でも70〜80%となった場合をB、一部でも70%未満となった場合をCとした。
3)耐オゾン性
耐オゾン性は、印字直後の上記濃度(DB、DG、DR)CiをX-rite 310を用いて測定した後、オゾンガス濃度が5ppmに設定されたボックス内で170時間オゾンガスに暴露した。その後再び濃度Cfを測定し染料残存率Cf/Ci×100を求め評価を行った。
ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニタ(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。
染料残像率がDB、DG、DRすべてにおいて80%以上の場合をA、一部でも70〜80%となった場合をB、一部でも70%未満となった場合をCとした。
4)ブラックインクの高湿下における画像にじみについては、実施例1で作成した黒/白格子画像と、その画像の白部をマゼンタのOD=1.0となるように作成した黒/マゼンタ格子画像、同様に白部をシアンのOD=1.0となるように作成した黒/シアン格子画像とを作成し、それぞれの画像サンプルを作成した。その画像サンプルを用いて25℃90%RHの条件下7日間保存後の画像にじみを目視にて判断した。
格子間の白地、マゼンタ地またはシアン地の部分ににじみが認められないものをA、色補正染料の色相が若干認められるものをB、明らかに色補正染料が白地部ににじみ出したものをCとした。
評価結果を表6に示す。
高湿にじみにおいて、比較例のインクセットでは、黒/マゼンタ格子や黒/シアン格子ではマゼンタインク、シアンインク由来のインク溶剤の影響で、黒/白格子と比較して色補正染料のにじみが顕著に悪化した。一方、本発明のインクセットでは、黒/マゼンタ格子や黒/シアン格子においても色補正色素のにじみは認められず、良好な耐湿にじみ性を示すことが判った。
同様の試験を受像シートだけを変えて、富士写真フイルム(株)製画彩〈写真仕上げAdvance〉Hi厚手、エプソン(株)製写真用紙CRISPIA〈高光沢〉、エプソン(株)製写真用紙〈光沢〉、キャノン(株)製プロフェッショナルフォトペーパー、キャノン(株)製スーパーフォトペーパー、コニカミノルタ製PhotolikeQP〈写真画質〉超厚手を用いて同様の試験を行ったが、表6とほぼ同様の結果が得られた。
同様の試験を受像シートだけを変えて、富士写真フイルム(株)製画彩〈写真仕上げAdvance〉Hi厚手、エプソン(株)製写真用紙CRISPIA〈高光沢〉、エプソン(株)製写真用紙〈光沢〉、キャノン(株)製プロフェッショナルフォトペーパー、キャノン(株)製スーパーフォトペーパー、コニカミノルタ製PhotolikeQP〈写真画質〉超厚手を用いて同様の試験を行ったが、表6とほぼ同様の結果が得られた。
本発明の上記インク組成物を用いたインクジェット記録に用いることにより、良好な黒色調を有し、印字濃度が高く、しかも光及び環境中の活性ガスに対して堅牢性の高い画像を形成することができ、高温高湿下における保存時の画像滲みも大幅に改良される。
ここで十分に説明したように、本出願において請求された他国の優先権によるそれぞれ全ての開示及び全ての外国特許出願が、ここに援用して組み込まれる。
ここで十分に説明したように、本出願において請求された他国の優先権によるそれぞれ全ての開示及び全ての外国特許出願が、ここに援用して組み込まれる。
Claims (12)
- 水溶性染料を少なくとも2種含有するインク組成物であって、該水溶性染料のうち少なくとも1つが一般式(S−1)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる化合物であり、且つ、該水溶性染料のうち少なくとも1つが一般式(L−2)で表される化合物、であることを特徴とするインク組成物。
一般式(S−1):
ここで、B1〜B30は水素原子もしくはイオン性親水性基を表し、少なくともひとつのイオン性親水性基を含む。
一般式(L−2):
ここで、R11及びR12は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基若しくはフェニル基で置換されても良いスルファモイル基、リン酸基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、ヒドロキシル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されても良い炭素数1〜4のアルコキシ基またはアシルアミノ基であり、Aはフェニル基またはナフチル基を示し、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基若しくはフェニル基で置換されても良いスルファモイル基、リン酸基、ニトロ基、アシル基、ウレイド基、ヒドロキシル基若しくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基若しくはカルボキシル基で置換されても良い炭素数1〜4のアルコキシ基またはアシルアミノ基によって置換されていても良い。n1は0又は1である。 - 前記一般式(S−1)におけるイオン性親水性基のうち少なくとも一つがスルホ基であることを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
- 前記一般式(S−1)で表される化合物及びその塩を0.1〜4質量%含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のインク組成物。
- 前記一般式(S−1)で表される化合物、一般式(L−2)で表される化合物の少なくとも1つは、リチウムイオンを対イオンとする塩であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のインク組成物。
- 前記一般式(S−1)で表される化合物を水に溶解してインク原液を作製し、該インク原液の前記一般式(S−1)で表される化合物の濃度をさげて請求項1〜4のいずれかに記載のインク組成物とする工程を有する事を特徴とするインク製造方法。
- 前記インク原液に水混和性有機溶剤を含有することを特徴とする請求項5に記載のインク製造方法。
- 前記水混和性有機溶剤が2−ピロリドン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールの群から選ばれることを特徴とする請求項6に記載のインク製造方法。
- 請求項5〜7のいずれかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とするインク組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のインク組成物を含むことを特徴とするインクセット。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のインク組成物を記録媒体上に付与して記録することを特徴とする記録方法。
- 請求項9に記載のインクセットを記録装置に装填し、記録装置から記録媒体上にインクを付与して記録することを特徴とする記録方法。
- インクジェットノズルよりインク組成物を記録媒体上に吐出させて記録することを特徴とする、請求項10または11に記載の記録方法。
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