以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施例について説明する。
図1及び図2には、本発明の実施例1である画像投射用光学系に用いられる照明光学系の構成を示している。該照明光学系は、光源1からの光束を用いて偏光ビームスプリッタ7を介して被照明面に配置された反射型画像形成素子としての反射型液晶パネル(以下、単に液晶パネルという)8を照明する。
但し、液晶パネル8によって画像変調された光(画像光)は、再度偏光ビームスプリッタ7を介して不図示の投射レンズに導かれ、スクリーン等の被投射面に投射される。このように、本実施例の照明光学系は、画像光を偏光ビームスプリッタ7で検光して投射レンズに導く機能も含む。
本実施例では、照明光学系の光軸(例えば、コンデンサレンズ6の中心と液晶パネル8のパネル面中心を通る軸線によって定義される)をZ軸とし、該Z軸に平行な方向を光軸方向とする。また、光源ランプLPからの光束がコンデンサレンズ6及び偏光ビームスプリッタ7を介して液晶パネル8に向かって進むZ軸に沿った方向を、光の進行方向ともいう。
図1は、Z軸を含み(Z軸と平行で)、かつ互いに直交する2つの面であるXZ断面とYZ断面のうち、液晶パネル8のパネル面に対する入射光束の角度分布が広い方の断面であるXZ断面(第1の断面)での光学構成を示す。このXZ断面は、液晶パネル8の長辺の方向(長辺が延びる方向)に平行な断面である。
また、図2には、パネル面に対する入射光束の角度分布が狭い方の断面であるYZ断面(第2の断面)での光学構成を示す。このYZ面は、液晶パネル8の短辺の方向(短辺が延びる方向)に平行な断面である。
なお、YZ断面は、図3に示すように、光軸(Z軸)と偏光ビームスプリッタ7の偏光分離面7aの法線(N)とを含む面(図3の紙面)に平行な断面である。そして、このYZ断面は、偏光分離面7aの法線Nと液晶パネル8のパネル面(入射出面)8aの法線NPとに平行な断面と言い換えることもできる。
また、XZ断面は、YZ断面に対して垂直で、Z軸(光軸)と平行な断面であると言える。これらZ軸、XZ断面及びYZ断面の意味は、後述する以下の実施例2〜5でも同じである。
これらの図には、照明光学系の基本的な構成部品しか示していないが、実際には、光源からの光路を折り曲げるミラーや、熱線カットフィルタ及び偏光板等の各種光学素子も配置される。
高圧水銀放電管等の光源1から放射状に発せられた光束は、楕円リフレクタ(楕円ミラー)2によって収束する光束に変換される。光源1及びリフレクタ2により光源ランプLPが構成される。ここで、この楕円リフレクタは放物面リフレクタと凸レンズに置き換えてもよい。
楕円リフレクタ2で反射された反射光は、第1のフライアイレンズ3で複数の光束に分割され、該複数の分割光束は、第2のフライアイレンズ4と偏光変換素子5の近傍に、複数の2次光源像を形成する。
各2次光源像を形成した光束は、偏光変換素子5で所定の偏光方向を有する直線偏光(偏光状態が揃った光束)に変換された後、コンデンサレンズ6に入射する。偏光変換素子5は、複数の偏光分離面と、複数の反射面と、複数の1/2波長板とを有する。ここでの偏光変換素子5は、具体的には、偏光分離面と反射面(偏光分離面でも可)と1/2波長板とで1つの偏光変換素子部として構成し、この偏光変換素子部を光軸に対して略直交する方向に複数個配列したアレイ状の光学素子である。したがって、ここでの偏光変換素子は、偏光変換素子アレイと称してもよい。
この偏光変換素子5において、各偏光分離膜に入射した光のうち所定の偏光方向を有する偏光成分はこれを透過して偏光変換素子5から射出する。
一方、各偏光分離膜に入射した光のうち上記所定の偏光方向に直交する偏光方向を有する偏光成分は、該偏光分離面で反射し、さらに反射面で反射する。そして、1/2波長板でその偏光方向が90度変換されて偏光変換素子5から射出する。こうして、偏光変換素子5は、入射した無偏光光を所定の偏光方向を有する直線偏光に変換する。
ここで、1/2波長板は偏光分離膜を透過した光の光路上にのみ配置していても構わない。また、この偏光変換素子は、色ごと(各パネルに対応する波長領域ごと)に無偏光を直線偏光にすれば良く、それらの直線偏光の方向は必ずしも同一である必要は無い。
すなわち、赤色光だけを後段の偏光ビームスプリッタ7に対してS偏光とし、緑色光と青色光を偏光ビームスプリッタ7に対してP偏光とする等、3色光のうち1つの色光の偏光方向と残りの2つの色光の偏光方向とを直交させてもよい。
具体的には、前述の偏光分離面に、緑色光と青色光のS偏光と赤色光のP偏光を反射し、緑色光と青色光のP偏光と赤色光のS偏光を透過する特性を持たせ、前述の偏光分離面で反射される光束の光路上に1/2波長板を配置すればよい。
コンデンサレンズ6から射出した複数の分割光束は、偏光ビームスプリッタ7の偏光分離面(光学膜面、光学面)7aを透過して液晶パネル8上で重ね合わされる。これにより、液晶パネル8は均一な強度分布を有する照明光束によって照明される。
偏光分離面7aは、光分離作用を有する。液晶パネル8において画像変調及び反射された光は、偏光ビームスプリッタ7の偏光分離面7aで反射されて不図示の投射レンズに導かれる。本実施例では、液晶パネル8を1枚のみ示しているが、実際の一般的なプロジェクタでは、R,G,Bに対応した3つの液晶パネルが設けられる。偏光ビームスプリッタ7は、これら3つの液晶パネルに対してR,G,Bの各色照明光を導き、3つの液晶パネルからの各色画像光を合成する、いわゆる色分解合成光学系の一部を構成する。
偏光ビームスプリッタ7は、照明光学系の光軸(Z軸)に対して傾いて配置された多層膜からなる偏光分離膜(偏光分離面)7aを備えている。偏光分離面7aの光軸Zに対する傾きは、45度に設定されるのが一般的であり、42〜48度の範囲に設定される場合が多い。
偏光分離膜は、可視光領域内の少なくとも一部の波長域(例えば、10nm以上、好ましくは40nm以上の幅を有する波長域)の光に対して偏光方向による分離作用を有する。一般的には、特定の角度で入射する光のうち第1の偏光方向の光を80%以上反射し、第1の偏光方向に直交する第2の偏光方向の光を80%以上透過する。
第1及び第2のフライアイレンズ3,4はそれぞれ、複数のレンズセルが2次元方向に(光軸と垂直な第1方向とそれと垂直な第2方向とに複数個ずつ配置するように)配列されて構成されている。各フライアイレンズの中心線方向はZ軸に平行である。
前述したように、楕円リフレクタ2の第1焦点位置近傍で光源1から発せられた光束は、楕円リフレクタ2で反射して集光され、収束光束として第1のフライアイレンズ3に向かう。
図1に示すXZ断面において、図4に示すように、第1のフライアイレンズ3の複数のレンズセル3aのうち中心のレンズセル以外のレンズセルの頂点はX方向外側に偏心している。このため、第1のフライアイレンズ3は、楕円リフレクタ2からの光束に対して全体として負(凹)レンズ作用を有する。
これを図5を用いて詳しく説明する。図5には、XZ断面における第1のフライアイレンズ2の中心レンズセル3a0と、これにX方向にて隣接する2つのレンズセル(外側レンズセル)3a1,3a2とを示している。
外側レンズセル3a1,3a2の頂点(図中に示す点線、すなわち該2つのレンズセルの光軸o1,o2上の位置)は、各外側レンズセルの中心(図中の点線o1′,o2′上の位置)に対して外側に偏心している。レンズセルをX方向Y方向各々に偶数個ずつ配列する場合には、すべてのレンズセルの頂点を各レンズセルの中心に対して外側に偏心させることが望ましい。
図5では、第1のフライアイレンズ3の焦点距離fをaとし、第1フライアイレンズ3(中心レンズセル3a0)から楕円リフレクタ2側に距離aだけ離れた位置(入射側焦点位置)をラインAで示す。
この場合、外側レンズセル3a1,3a2の光軸o1,o2上におけるラインAとの交点Q1,Q2を通過した光線L1,L2は、これら外側レンズセル3a1,3a2の中心を通過すると、Z軸に沿って進む平行な光線となって射出する。
ここで、光線L1、L2はそれぞれ、外側レンズセル3a1,3a2の中心を通過する光線である。さらに、図示しないが、中心レンズセル3a0の頂点は該中心レンズセル3a0の中心に位置し、該中心レンズセル3a0の中心に入射した光線もZ軸に沿って平行に進む光線となって第1のフライアイレンズから射出する。
すなわち、第1のフライアイレンズ3は、各レンズセルの中心に入射する光線を光軸(Z軸)と平行な光線に変換する機能を持っている。言い換えれば、第1のフライアイレンズは、楕円リフレクタからの収束光束を光軸と平行な複数の光束(平行光束)に分割し、その上で、その複数の分割光束各々を集光させて光源像を形成させる機能を有している。
また、第1のフライアイレンズは、楕円リフレクタからの収束光束全体に対しては負の光学パワーのレンズとして作用して平行光束に変換しており、且つ、各分割光束に対しては正の光学パワーのレンズとして作用してそれぞれの分割光束を集光させている。光学パワーは、焦点距離の逆数であり、屈折力と言い換えることもできる。
このように、第1のフライアイレンズ3は、XZ断面において、楕円リフレクタ2からの収束光束を、光軸に平行な複数の光束として射出する凹レンズ作用を有する。
一方、図2に示すYZ断面において、図6に示すように、第2のフライアイレンズ4の複数のレンズセル4aのうち中心レンズセル以外のレンズセルの頂点はY方向外側に偏心している。これにより、楕円リフレクタ2で反射して第2のフライアイレンズ4に入射した光束は、平行な光束となる。つまり、第2のフライアイレンズ4は、YZ断面において、楕円リフレクタ2からの光束に対して全体として負(凹)のレンズ作用を有する。このレンズ作用は、第1のフライアイレンズ3と同様にして得られる。
図7及び図8には、図1及び図2に示した楕円リフレクタ2から偏光変換素子5までの光路を拡大して示している。楕円リフレクタ2で反射した収束光束は、XZ断面では第1のフライアイレンズ3で平行光束とし、YZ断面では第2のフライアイレンズ4で平行光束としている。
すなわち、XZ断面においては楕円リフレクタ2と第1のフライアイレンズ3とによって構成される圧縮系によって、またYZ断面においては楕円リフレクタ2と第2のフライアイレンズ4とによって構成される圧縮系によってそれぞれ、光束の圧縮が行われる。
ここにいう光束の圧縮とは、光束径(言い換えれば光束幅)を縮小した後、平行光束化するまでをいう。また、本実施例にいう平行光束とは、完全な平行な光束だけでなく、光学性能的に平行とみなせる光束も含む。
具体的に言うと、圧縮系とは、光源側から順に、正の光学パワーを持つ第1の光学素子とXZ,YZ断面において互いに異なる第1及び第2の負の光学パワーを持つ第2及び第3の又は第2の光学素子との組み合わせである。第1の光学素子は、楕円リフレクタ、凸レンズ等により構成することができる。また、第2及び第3の光学素子は、凹レンズや、凹レンズ作用を持つフライアイレンズ(レンズアレイ)により構成することができる。勿論、正のパワーを持つ光学素子(楕円リフレクタ、凸レンズ等)と正のパワーを持つ光学素子(凸レンズ等)との組み合わせであっても、圧縮系を射出した光束が平行光束になっていれば構わない。圧縮系をレンズ系のみで構成する場合は、圧縮系をアフォーカル系で構成することが望ましい。
このように、圧縮系は、XZ断面及びYZ断面の両者(一方及び他方の断面)において、圧縮系への入射前(リフレクタへの入射)の光束の径(光束幅)よりも圧縮系から射出した光束の径の方を細くしている。
ここで、本実施例の圧縮系は、光源からの光束を液晶パネルに導く照明光学系中において、光源(発光部)と照明光学系の瞳位置(光源像が形成される位置、発光部の像が形成される位置)との間に配置されている。
この照明光学系の瞳位置は、本実施例においては偏光変換素子(小さな複数の偏光変換素子がアレイ状に配置されて構成されたもの)の近傍に位置しているが、偏光変換素子より一つ以上の光学素子を挟んで液晶パネル側に位置していても構わない。
また、XZ断面内の光束径を圧縮するXZ断面用圧縮系とYZ断面内の光束を圧縮するYZ断面用圧縮系とは、同一の光学素子で構成してもよいし、光学素子の一部が重複してもよいし、互いに重複しない別々の光学素子で構成してもよい。
本実施例における圧縮系は、光源と偏光変換素子との間に配置されており、リフレクタで反射された時点での光束径をXZ断面及びYZ断面において圧縮している。
このようにすれば、光源からの光を液晶パネルに導く照明光学系の瞳位置(光源像形成位置)における光束の径を細くすることができる。
そして、XZ、YZ断面において、光学素子の配置及び/又はこれらの光学素子のパワーが互いに異なるように配置することにより、偏光変換素子に入射する段階(圧縮系を射出した段階)での光束径がXZ断面、YZ断面内とで互いに異なるようにしている。つまり、XZ断面とYZ断面とで圧縮率を互いに異ならせている。
ここでは、主に偏光変換素子より光源側に圧縮系を配置している場合について記載しているが、圧縮系は、前述のように偏光変換素子よりも液晶パネル(投射光学系)側に配置しても構わない。
その場合、XZ断面における照明光学系の瞳位置(光源像形成位置)よりも光源側にXZ断面の光束径を圧縮するXZ断面用圧縮系を配置する。また、YZ断面における照明光学系の瞳位置(光源像形成位置)よりも光源側にYZ断面の光束径を圧縮するYZ断面用圧縮系を配置すればよい。これらは、後述する他の実施例でも同様である。
ここで、光束の圧縮率を、楕円リフレクタ2から射出(反射)する時点での光束の外径と圧縮系から射出した直後の光束の外径(又は偏光変換素子5に入射する光束の外径)との比として定義する。具体的には、実施例1〜5において、圧縮率とは、楕円リフレクタ2から射出する時点での光束の外径を圧縮系から射出した直後の光束の外径で割った値を意味する。尚、この実施例1〜5における圧縮率の定義と、実施例7以降での圧縮率の定義とは逆である。詳細は実施例7以降において説明する。
本実施例では、フライアイレンズ3,4からの射出光束が平行光束として偏光変換素子5に入射するので、結局、該圧縮率は楕円リフレクタ2とフライアイレンズ3,4までの距離(以下、圧縮距離という)で決まる。
図7に示すように、XZ断面では、光束の圧縮は楕円リフレクタ2と第1のフライアイレンズ3で行われるため、圧縮距離はBである。
また、図8に示すように、YZ断面では、光束の圧縮は楕円リフレクタ2と第2のフライアイレンズ4とで行われるため、圧縮距離はCである。
つまり、本実施例では、XZ断面とYZ断面とで光束の圧縮率が異なる。具体的には、B/C<1であるので、YZ断面での光束の圧縮率がXZ断面での光束の圧縮率より大きい。
言い換えれば、XZ断面での圧縮率をαとし、YZ断面での圧縮率をβとすると、α≠βであって、
α/β<1
(α≠0、β≠0、好ましくはα、β>1)
となっている。
ここで、α、βで表す圧縮率は、前述した通り、楕円リフレクタ2から射出する時点での光束の外径を圧縮系から射出した直後の光束の外径で割った値である。つまり、圧縮系によって光束が圧縮されていれば、その圧縮率α、βは、必然的に1よりも大きくなる。
ここで、図1、図2を用いて、α、βについて説明する。まず、図1及び図2内に示したLrは、楕円リフレクタで反射される光束の幅(光軸と垂直な方向の幅)を示している。また、Lxは、XZ断面において、偏光変換素子の直前(偏光変換素子より光源側で最も偏光変換素子に近い光学素子と、偏光変換素子との間)での、光束の幅(光軸と垂直な方向の幅)を示している。
そして、Lyは、YZ断面において、偏光変換素子の直前(偏光変換素子より光源側で最も偏光変換素子に近い光学素子と、偏光変換素子との間)での、光束の幅(光軸と垂直な方向の幅)を示している。
ここで、α、βは以下のように表すことができる。
α=Lr/Lx
β=Lr/Ly
また、α、βは以下のように言い換えることもできる。フライアイレンズのうち軸外に配置されたレンズセルの中心に入射する光線が、リフレクタで反射される位置の高さ(光軸からの距離)をHr、その光線が偏光変換素子に入射する時の高さをHx(XZ断面)、Hy(YZ断面)とする。このとき、α、βは以下のように表すことができる。
α=Hr/Hx
β=Hr/Hy
ここで、前述のフライアイレンズのうち軸外に配置されたレンズセルの中心に入射する光線とは、第1のフライアイレンズ、第2のフライアイレンズのいずれに関しても、軸外に配置されたレンズセルの中心に入射していることが望ましい。さらに、その光線は偏光変換素子に対して垂直に(光軸と平行な状態で)入射する。
また、ここではLx、Lyを、偏光変換素子の直前の位置での光束径としたが、圧縮系を射出した直後の光束径としても構わない。
尚、図1、図2で示した実施例においては、α=1.21、β=1.67であり、αとβとが互いに異なる値であり、α/β=0.72(<1)となる。
このように、本実施例では、楕円リフレクタ2から収束光束を射出させ、楕円リフレクタ2から第1及び第2のフライアイレンズ3,4までの距離差を利用して、XZ断面よりも大きな光束圧縮率をYZ断面で得ている。
このため、第1のフライアイレンズと第2のフライアイレンズとの間で急激に光束を圧縮する従来の例に比べて、各フライアイレンズを構成するレンズセルの偏心量を大きくする必要がない。
したがって、各フライアイレンズの光軸方向での厚みの増加を抑えることができる。この結果、各フライアイレンズで発生する収差を低減することができ、照明効率を大きく低下させることなくYZ断面で必要な光束圧縮率を実現することができる。これにより、偏光ビームスプリッタ7における光束角度分布に敏感な方向(YZ断面方向)での光束角度分布を小さくして明るさむらやコントラスト低下を抑制しつつ、明るい画像を投射することができる。
しかも、偏光ビームスプリッタ7における光束角度分布に鈍感な方向(XZ断面方向)についても光束角度分布を小さくすることで、この方向での光束角度分布が大きい場合に比べれば、明るさむらやコントラスト低下の抑制に寄与することができる。
図9及び図10には、本発明の実施例2である照明光学系を示す。図9は該照明光学系のXZ断面を、図10はYZ断面をそれぞれ示す。
光源11から発せられた白色光は、放物リフレクタ(放物ミラー)12によって平行光束として射出される。光源11と放物リフレクタ12とにより光源ランプLPが構成される。該平行光束は、凸レンズ13によって集光作用を受け、第1の凹シリンドリカルレンズ14を通過して第1のフライアイレンズ15に入射する。
第1のフライアイレンズ15に入射した光束は、複数の光束に分割され、各分割光束は集光される。第1のフライアイレンズ15から射出した光束は、第2の凹シリンドリカルレンズ16を通過した後、第2のフライアイレンズ17及び偏光変換素子18の近傍に2次光源像を形成する。
偏光変換素子18から射出した複数の分割光束(所定の偏光方向を有する直線偏光)は、コンデンサレンズ19によって集光され、偏光ビームスプリッタ20を透過して反射型液晶パネル21上で重ね合わされる。偏光ビームスプリッタ20には、実施例1で説明したのと同様の偏光分離膜(光学面、光学膜面)20aが設けられている。
第1及び第2のフライアイレンズ15,17はそれぞれ、複数のレンズセルが2次元方向に配列されて構成されている。
図11及び図12には、図9及び図10に示した放物リフレクタ12から偏光変換素子18までの光路を拡大して示している。放物リフレクタ12から射出した平行光束は、凸レンズ13によって収束光束とされるが、その後、XZ断面では凹レンズ作用を有する第1の凹シリンドリカルレンズ14で平行光束とされる。
一方、YZ断面では、凸レンズ13からの収束光束は、凹レンズ作用を有する第2の凹シリンドリカルレンズ16で平行光束とされる。
すなわち、XZ断面では、凸レンズ(第1の光学素子)13と第1の凹シリンドリカルレンズ(第2の光学素子)14とにより構成される圧縮系によって光束の圧縮が行われる。また、YZ断面では凸レンズ13と第2の凹シリンドリカルレンズ(第3の光学素子)16とにより構成される圧縮系によって光束の圧縮が行われる。
ここで、光束の圧縮率を、前述と同様に、放物リフレクタ12から射出する時点での光束の外径を圧縮系から射出した直後の光束の外径で割った値として定義する。
本実施例では、放物リフレクタ12から凸レンズ13に平行光束が入射し、凹シリンドリカルレンズ14,16からの射出光束が平行光束として偏光変換素子18に入射する。このため、該圧縮率は凸レンズ13と凹シリンドリカルレンズ14,16までの距離(圧縮距離)で決まる。
図11に示すように、XZ断面での光束の圧縮は、凸レンズ13と第1の凹シリンドリカルレンズ14とで行われるため、圧縮距離はDである。また、図12に示すように、YZ断面での光束の圧縮は、凸レンズ13と第2の凹シリンドリカルレンズ16とで行われるため、圧縮距離はEである。
つまり、本実施例では、XZ断面とYZ断面とで光束の圧縮率が異なる。具体的には、D/E<1であるので、YZ断面での光束の圧縮率がXZ断面での光束の圧縮率より大きい。
言い換えれば、XZ断面での圧縮率をαとし、YZ断面での圧縮率をβとすると、
α/β<1
(α≠0)
となっている。
このように、本実施例では、放物リフレクタ12から射出した平行光束を凸レンズ13で収束光束とし、凸レンズ13から第1及び第2の凹シリンドリカルレンズ14,16までの距離差を利用して、XZ断面よりも大きな光束圧縮率をYZ断面で得ている。
これにより、実施例1と同様に、第1及び第2のフライアイレンズ15,17の厚み増加やこれに伴う照明効率の低下を抑制しつつ、YZ断面で必要な光束圧縮率を実現することができる。これにより、偏光ビームスプリッタ20における光束角度分布に敏感な方向(YZ断面方向)での光束角度分布を小さくして明るさむらやコントラスト低下を抑制しながら、明るい画像を投射することができる。
しかも、偏光ビームスプリッタ20における光束角度分布に鈍感な方向(XZ断面方向)についても光束角度分布を小さくすることで、この方向での光束角度分布が大きい場合に比べれば、明るさむらやコントラスト低下の抑制に寄与することができる。
なお、本実施例では、フライアイレンズとは別のレンズとしての凹シリンドリカルレンズを用いた場合について説明したが、フライアイレンズにおけるレンズセル面とは反対側の面に凹シリンドリカル面を設けてもよい。
図13及び図14には、本発明の実施例3である照明光学系を示す。図13は該照明光学系のXZ断面を、図14はYZ断面をそれぞれ示す。
光源31から発せられた白色光は、放物リフレクタ32によって平行光束として射出される。光源31と放物リフレクタ32とにより光源ランプLPが構成される。該平行光束は、両凸トーリックレンズ33によって収束光束とされ、さらに両凹トーリックレンズ34を透過して第1のフライアイレンズ35に入射する。ここで、両凸トーリックレンズ33は、平凸形状でもメニスカス形状でもよい。また両凹トーリックレンズ34は、平凹形状でもメニスカス形状でもよい。
第1のフライアイレンズ35に入射した光束は、複数の光束に分割され、各分割光束は集光される。第1のフライアイレンズ35から射出した光束は、第2のフライアイレンズ36及び偏光変換素子37の近傍に2次光源像を形成する。
偏光変換素子37から射出した複数の分割光束(所定の偏光方向を有する直線偏光)は、コンデンサレンズ38によって集光され、偏光ビームスプリッタ39を透過して反射型液晶パネル40上で重ね合わされる。偏光ビームスプリッタ39には、実施例1で説明したのと同様の偏光分離膜(光学面)39aが設けられている。
第1及び第2のフライアイレンズ35,36はそれぞれ、複数のレンズセルが2次元方向に配列されて構成されている。
図15及び図16には、図13及び図14に示した放物リフレクタ32から偏光変換素子37までの光路を拡大して示している。
両凸トーリックレンズ33を通過した光束は収束光束であるが、XZ断面及びYZ断面において凹レンズ作用を有する両凹トーリックレンズ34によって平行光束とされる。
すなわち、XZ断面及びYZ断面の双方において、両凸トーリックレンズ(第1の光学素子)33と両凹トーリックレンズ(第2の光学素子)34とにより構成される圧縮系によって光束の圧縮が行われる。
ここで、光束の圧縮率を、放物リフレクタ32から射出する時点での光束の外径を圧縮系から射出した直後の光束の外径で割った値として定義する。
本実施例では、放物リフレクタ32から両凸トーリックレンズ33に平行光束が入射し、両凹トーリックレンズ34からの射出光束が平行光束として偏光変換素子37に入射する。このため、該圧縮率は、両凸トーリックレンズ33及び両凹トーリックレンズ34のXZ断面及びYZ断面での焦点距離で決まる。つまり、本実施例でも、XZ断面での光束の圧縮率αとYZ断面での光束の圧縮率βとが互いに異なる。
ここで、両凸トーリックレンズ33のXZ断面での焦点距離をT1xとし、YZ断面での焦点距離をT1yとする。また、両凹トーリックレンズ34のXYZ断面での焦点距離をT2xとし、YZ断面での焦点距離をT2yとする。
この場合、
T1x/T1y>1
T2x/T2y>1
の関係にある。また、各断面での圧縮率α、βは、
α=T1x/T2x>1
β=T1y/T2y>1
となる。ここで、YZ断面での光束の圧縮率βがXZ断面での光束の圧縮率αより大きい。
言い換えれば、XZ断面での圧縮率αとYZ断面での圧縮率βとの関係は、
α/β<1
(α≠0)
となっている。
このように、本実施例では、放物リフレクタ32から射出した平行光束を両凸トーリックレンズ33で収束光束とする。そして、両凸トーリックレンズ33及び両凹トーリックレンズ34のXZ断面及びYZ断面での焦点距離の差を利用して、XZ断面よりも大きな光束圧縮率をYZ断面で得ている。
これにより、実施例1と同様に、第1及び第2のフライアイレンズ35,37の厚み増加やこれに伴う照明効率の低下を抑制しつつ、YZ断面で必要な光束圧縮率を実現することができる。これにより、偏光ビームスプリッタ39における光束角度分布に敏感な方向(YZ断面方向)での光束角度分布を小さくして明るさむらやコントラスト低下を抑制しながら、明るい画像を投射することができる。
しかも、偏光ビームスプリッタ39における光束角度分布に鈍感な方向(XZ断面方向)についても光束角度分布を小さくすることで、この方向での光束角度分布が大きい場合に比べれば、明るさむらやコントラスト低下の抑制に寄与することができる。
図17及び図18には、本発明の実施例4である照明光学系を示す。図17は該照明光学系のXZ断面を、図18はYZ断面をそれぞれ示す。
光源51から発せられた白色光は、楕円リフレクタ52で反射されて収束光束となる。該収束光束は、第1のフライアイレンズ53に入射する。光源51と楕円リフレクタ52とにより光源ランプLPが構成される。なお、楕円リフレクタ52に代えて、放物リフレクタを用いてもよい。
本実施例では、第1のフライアイレンズ53を構成する複数のレンズセルのそれぞれ(中心レンズセルを除く)を、XZ断面とYZ断面とで異なる量偏心させて、第1のフライアイレンズ53に全体としての両凸トーリックレンズ作用を付加している。
第1のフライアイレンズ53に入射した光束は、複数の光束に分割され、各分割光束は集光される。第1のフライアイレンズ53から射出した光束は、第2のフライアイレンズ54及び不図示の偏光変換素子の近傍に2次光源像を形成する。
ここで、本実施例では、第2のフライアイレンズ54を構成する複数のレンズセルのそれぞれ(中心レンズセルを除く)を、XZ断面とYZ断面とで異なる量偏心させて、第2のフライアイレンズ54に全体としての両凹トーリックレンズ作用を付加している。
偏光変換素子から射出した複数の分割光束(所定の偏光方向を有する直線偏光)は、コンデンサレンズ55によって集光され、偏光ビームスプリッタ56の偏光分離膜(光学面)56aを透過して反射型液晶パネル57上で重ね合わされる。
第1のフライアイレンズ53の両凸トーリックレンズとしてのXZ断面及びYZ断面での焦点距離の関係と、第2のフライアイレンズ54の両凹トーリックレンズとしてのXZ断面及びYZ断面での焦点距離の関係は、実施例3と同様である。
すなわち、XZ断面での圧縮率をαとし、YZ断面での圧縮率をβとすると、
α/β<1
(α≠0)
となっている。
そして、本実施例でも、実施例3と同様の作用効果を得ることができる。
なお、上記各実施例では、偏光ビームスプリッタを用いた照明光学系について説明した。しかし、照明光学系の光軸に対して傾いて配置された色分離作用を有するダイクロイック膜面を備えたダイクロイックプリズムやダイクロイックミラーを用いる照明光学系に、本実施例の光束圧縮構成を適用することもできる。
以上の実施例1〜4について、圧縮率α、β、及びα/βの値を算出した表が以下の表1である。但し、ここでの数値は条件式の範囲内においては変更しても本願の効果が損なわれるものでは無い。したがって、実施例1の圧縮率を他の実施例に適用しても構わないし、その逆を行っても、本願の効果が損なわれるものではない。また、実施例5以降の実施例に関しても、この表1に記載した圧縮率を適用しても構わない。
ここで、α/β<1である。より好ましくは、α/β<0.95、さらに好ましくはα/β<0.90とすることが望ましい。また、下限値は、α/β>0.3、より好ましくはα/β>0.5、さらに好ましくはα/β>0.7とすることが望ましい。
また、α>1であることは当然であるが、より好ましくはα>1.05、さらに好ましくはα>1.10を満足することが望ましい。また、βも同じくβ>1であることは当然であるが、より望ましくはβ>1.10、さらに望ましくはβ>1.25を満足することが望ましい。
上記各実施例では、偏光変換素子よりも光源側に、XZ断面とYZ断面とで光束の圧縮率を異ならせる圧縮系を設けた照明光学系について説明した。しかし、偏光変換素子よりも偏光ビームスプリッタ側に同様の作用を有する圧縮系を設けてもよい。
この場合も、YZ断面での圧縮率がXZ断面での圧縮率よりも大きくなるように圧縮系を構成する。
以上説明した各実施例によれば、コントラスト低下を抑制しつつ、明るい画像を投射することが可能な画像投射用光学系を実現することができる。
以上の実施例1〜5に関しては、圧縮率を、圧縮系に入射する前(リフレクタから射出した直後)の光束径を、圧縮系から出射した直後の光束径で割った値として定義した。しかしながら、実施例7以降において用いる「圧縮率」及び「伸長率」と言う文言(以下、「変換率」とも称する)は、この定義の逆とする。すなわち、実施例7以降において用いる「圧縮率」及び「伸長率」(変換率)とは、圧縮系から出射した直後の光束径を、圧縮系に入射する前(リフレクタから射出した直後)の光束径で割った値として定義する。勿論、この「圧縮率」及び「伸長率」(変換率)は、実施例7以降で詳細に説明するように、圧縮系内の光学系の焦点距離を用いて定義しても構わない。
また、実施例1〜5におけるXZ断面、YZ断面と、実施例7〜15におけるXZ断面、YZ断面とは互いに異なる断面(互いに逆の断面)を指している。つまり、実施例7〜15におけるXZ断面とは、光学面(偏光分離面)の法線と平行な断面であり、YZ断面はそのXZ断面と垂直な断面である。勿論、XZ断面もYZ断面もZ軸(すなわち照明光学系の光軸)に対しては平行である。
このように、圧縮率の定義を実施例7以降で用いる「圧縮率」や「伸長率」(変換率)の定義に基づいて、光学面(偏光分離面)の法線と平行な断面(実施例1〜5におけるYZ断面)における変換率をγ(ガンマ)とする。また、それと直交する断面(実施例1〜5におけるXZ断面)における変換率をδ(デルタ)とする。その時、上記の表1は、以下の表1Aのように書き換えることができる。
この表1Aにおいて、γが1未満であることは当然であるが、γは好ましくは0.90未満、より好ましくは0.75未満であることが望ましい。またδも1未満であることは当然であるが、δは好ましくは0.95未満、より好ましくは0.90未満であることが望ましい。これは、実施例1〜5は勿論のこと、実施例7〜11に関しても同様のことが言える。但し、実施例12〜15に関しては、光束を伸長するため、γやδは共に1よりも大きな値となる。
また、γ/δも1未満であることは当然であるが、好ましくは0.95未満、より好ましくは0.90未満であることが望ましい。また、γ/δは、0.3より大きい、より好ましくは0.5よりも大きい値(更に好ましくは0.6以上)であることが望ましい。これは実施例1〜5は勿論のこと、実施例7〜15に関しても同様のことが言える。
尚、実施例7以降においては、光学面(偏光分離面)の法線と平行な断面がXZ断面であり、それと垂直な断面がYZ断面と定義されている(実施例1〜5とは逆である)。すなわち、表1A中のγに相当するのは、実施例7以降のXZ断面における変換率(圧縮率、伸長率)であり、表1A中のδに相当するのは、実施例7以降のYZ断面における変換率である。言い換えれば、表1Aのγは、実施例7以降のα、或いは平行化倍率HXのことであり、表1Aのδは、実施例7以降のβ、或いは平行化倍率HYのことである。従って、表1Aのγ/δは、実施例7以降で記載するα/β、或いはHX/HYと同意であり、数値範囲も同様の範囲に存在することが望ましい。
図19には、上記実施例1で説明した照明光学系を用いた液晶プロジェクタ(画像投射装置)の構成を示している。図19は、実施例1でいうYZ面を含む断面での構成を示している。なお、この液晶プロジェクタにおいて、照明光学系を実施例2〜5で説明したものに置き換えてもよい。
同図において、1は連続スペクトルで白色光を発光する光源、2は光源1からの光を所定の方向に集光する楕円リフレクタである。光源1とリフレクタ2により光源ランプLPが構成される。
100は実施例1で説明した照明光学系のうち光源ランプLPと偏光ビームスプリッタ7を除いた部分である。
158は青(B:430〜495nm)と赤(R:590〜650nm)の波長領域の光を反射し、緑(G:505〜580nm)の波長領域の光を透過するダイクロイックミラーである。青、赤、緑の波長領域は以上の記載に限定されるものではなく、上記の領域のうち40nm以上の幅を持った波長領域であればよい。159は透明基板に偏光素子を貼り付けたG用の入射側偏光板であり、S偏光光のみを透過する。60は多層膜により構成された偏光分離面においてP偏光光を透過し、S偏光光を反射する第1の偏光ビームスプリッタである。
61R,61G,61Bはそれぞれ、入射した光を反射するとともに画像変調する光変調素子(若しくは画像形成素子)としての赤用反射型液晶パネル、緑用反射型液晶パネル及び青用反射型液晶パネルである。62R,62G,62Bはそれぞれ、赤用1/4波長板、緑用1/4波長板及び青用1/4波長板である。
64は透明基板に偏光素子を貼り付けたRB用入射側偏光板であり、S偏光のみを透過する。
65はB光の偏光方向を90度変換し、R光の偏光方向は変換しない第1の色選択性位相差板である。66は偏光分離面においてP偏光を透過し、S偏光を反射する第2偏光ビームスプリッタである。67はR光の偏光方向を90度変換し、B光の偏光方向は変換しない第2の色選択性位相差板である。
68はRB用の射出側偏光板(偏光素子)であり、S偏光のみを透過する。69は偏光分離面においてP偏光を透過し、S偏光を反射する第3の偏光ビームスプリッタである。
以上のダイクロイックミラー158から第3の偏光ビームスプリッタ69までの光学素子により、色分解合成光学系200が構成される。
70は投射レンズ(投射光学系)であり、上記照明光学系100、色分解合成光学系200及び投射レンズ70により画像投射用光学系が構成される。ここで、投射レンズは、勿論ミラーとレンズを両方とも有していても構わないし、ミラーのみで構成されていても構わない。勿論、回折光学素子等を含んでいても構わない。
次に、照明光学系100を通過した後の光学的な作用を説明する。まず、Gの光路について説明する。
ダイクロイックミラー158を透過したGの光は入射側偏光板159に入射する。G光はダイクロイックミラー158によって分解された後もS偏光となっている。そして、G光は、入射側偏光板159から射出した後、第1の偏光ビームスプリッタ60に対してS偏光として入射し、その偏光分離面で反射され、G用反射型液晶パネル61Gへと至る。
該プロジェクタの液晶駆動回路250には、パーソナルコンピュータ、DVDプレーヤ、テレビチューナ等の画像供給装置300が接続されている。プロジェクタと画像供給装置300により画像表示システムが構成される。液晶駆動回路250は、画像供給装置300から入力された画像情報(映像情報)に基づいて各反射型液晶パネルを駆動し、これらに各色用の原画を形成させる。これにより、各反射型液晶パネルに入射した光は、反射されるとともに原画に応じて変調(画像変調)される。
画像変調されたG光のうちS偏光成分は、再び第1の偏光ビームスプリッタ60の偏光分離面で反射し、光源側に戻されて投射光から除去される。一方、画像変調されたG光のうちP偏光成分は、第1の偏光ビームスプリッタ60の偏光分離面を透過し、投射光として第3の偏光ビームスプリッタ69に向かう。このとき、すべての偏光成分をS偏光に変換した状態(黒を表示した状態)において、第1の偏光ビームスプリッタ60とG用反射型液晶パネル61Gとの間に設けられた1/4波長板62Gの遅相軸を所定の方向に調整する。これにより、第1の偏光ビームスプリッタ60とG用反射型液晶パネル61Gで発生する偏光状態の乱れの影響を小さく抑えることができる。
第1の偏光ビームスプリッタ60から射出したG光は、第3の偏光ビームスプリッタ69に対してP偏光として入射し、第3の偏光ビームスプリッタ69の偏光分離面を透過して投射レンズ70へと至る。
一方、ダイクロイックミラー158を反射したRとBの光は、入射側偏光板64に入射する。RとBの光はダイクロイックミラー158によって分解された後もS偏光となっている。そして、R光とB光は、入射側偏光板64から射出した後、第1の色選択性位相差板65に入射する。第1の色選択性位相差板65は、B光のみ偏光方向を90度回転する作用を持っており、これによりBの光はP偏光として、R光はS偏光として第2の偏光ビームスプリッタ66に入射する。S偏光として第2の偏光ビームスプリッタ66に入射したR光は、第2の偏光ビームスプリッタ66の偏光分離面で反射され、R用反射型液晶パネル61Rへと至る。
また、P偏光として第2の偏光ビームスプリッタ66に入射したB光は、第2の偏光ビームスプリッタ66の偏光分離面を透過してB用反射型液晶パネル61Bへと至る。
R用反射型液晶パネル61Rに入射したR光は画像変調されて反射される。画像変調されたR光のうちS偏光成分は、再び第2の偏光ビームスプリッタ66の偏光分離面で反射されて光源側に戻され、投射光から除去される。一方、画像変調されたR光のうちP偏光成分は、第2の偏光ビームスプリッタ66の偏光分離面を透過して投射光として第2の色選択性位相板67に向かう。
また、B用反射型液晶パネル61Bに入射したB光は画像変調されて反射される。画像変調されたB光のうちP偏光成分は、再び第2の偏光ビームスプリッタ66の偏光分離面を透過して光源側に戻され、投射光から除去される。一方、画像変調されたB光のうちS偏光成分は、第2の偏光ビームスプリッタ66の偏光分離面で反射して投射光として第2の色選択性位相板67に向かう。
このとき、第2の偏光ビームスプリッタ66とR用及びB用反射型液晶パネル61R,61Bの間に設けられた1/4波長板62R,62Bの遅相軸を調整することにより、Gの場合と同じようにR,Bそれぞれの黒の表示の調整を行うことができる。
こうして1つの光束に合成され、第2の偏光ビームスプリッタ66から射出したR光とB光のうちR光は、第2の色選択性位相板67によってその偏光方向が90度回転されてS偏光成分となる。さらに、R光は、射出側偏光板68で検光されて第3の偏光ビームスプリッタ69に入射する。
また、Bの光はS偏光のまま第2の色選択性位相板67をそのまま透過し、さらに射出側偏光板68で検光されて第3の偏光ビームスプリッタ69に入射する。尚、射出側偏光板68で検光されることにより、RとBの投射光は、第2の偏光ビームスプリッタ66とR用及びB用反射型液晶パネル61R,61B、1/4波長板62R、62Bを通ることによって生じた無効な成分をカットされた光となる。
そして、第3の偏光ビームスプリッタ69に入射したRとBの投射光は第3の偏光ビームスプリッタ69の偏光分離面で反射し、G光と合成されて投射レンズ70に至る。
合成されたR,G,Bの投射光(カラー画像)は、投射レンズ70によってスクリーンなどの被投射面に拡大投射される。
以上説明した光路は反射型液晶パネルが白表示の場合である為、以下に反射型液晶パネルが黒表示の場合での光路を説明する。
まず、Gの光路について説明する。ダイクロイックミラー158を透過したG光のS偏光光は、入射側偏光板159に入射し、その後、第1の偏光ビームスプリッタ60に入射して偏光分離面で反射され、G用反射型液晶パネル61Gへと至る。しかし、反射型液晶パネル61Gが黒表示状態であるため、G光は画像変調されないまま反射される。したがって、反射型液晶パネル61Gで反射された後もG光はS偏光光のままである。このため、再び第1の偏光ビームスプリッタ60の偏光分離面で反射し、入射側偏光板159を透過して光源側に戻され、投射光から除去される。
次に、RとBの光路について説明する。ダイクロイックミラー158で反射したRとBの光のS偏光光は、入射側偏光板64に入射する。そして、R光とB光は、入射側偏光板64から射出した後、第1の色選択性位相差板65に入射する。第1の色選択性位相差板65は、B光のみ偏光方向を90度回転する作用を持っており、これによりB光はP偏光として、R光はS偏光として第2の偏光ビームスプリッタ66に入射する。
S偏光として第2の偏光ビームスプリッタ66に入射したR光は、第2の偏光ビームスプリッタ66の偏光分離面で反射され、R用反射型液晶パネル61Rへと至る。また、P偏光として第2の偏光ビームスプリッタ66に入射したB光は、第2の偏光ビームスプリッタ66の偏光分離面を透過してB用反射型液晶パネル61Bへと至る。
ここで、R用反射型液晶パネル61Rは黒表示状態であるため、R用反射型液晶パネル61Rに入射したR光は画像変調されないまま反射される。したがって、R用反射型液晶パネル61Rで反射された後もR光はS偏光光のままである。このため、再び第2の偏光ビームスプリッタ66の偏光分離面で反射し、入射側偏光板64を通過して光源側に戻され、投射光から除去される。
一方、B用の反射型液晶パネル61Bに入射したB光は、B用反射型液晶パネル61Bが黒表示状態であるため、画像変調されないまま反射される。したがって、B用反射型液晶パネル61Bで反射された後も、B光はP偏光光のままである。このため、再び第2の偏光ビームスプリッタ66の偏光分離面を透過し、第1の色選択性位相差板65によりS偏光に変換され、入射側偏光板64を透過して光源側に戻されて投射光から除去される。これにより、黒表示が行われる。
本実施例においては、色分解合成系200において、波長選択性位相差板を用いたが、これをなくしてもよい。この場合、色分解合成系200内に配置された偏光ビームスプリッタが、可視領域内の特定の波長領域に対して偏光ビームスプリッタとして機能し、他の波長領域に対しては偏光方向に関わらず透過又は反射する特性を有する偏光分離膜を持つ構成とすればよい。
また、色分解合成系200と投射レンズ70との間に1/4位相差板を配置して、投射レンズ70内のレンズ面で反射されて戻ってきた光が再反射されて、再びスクリーン方向に戻るのを防ぐようにしてもよい。
さらに、本実施例では、液晶パネルを3枚用いた場合について説明したが、本発明においては、1枚、2枚又は4枚以上を用いてもよい。
また、本実施例においてフライアイレンズと記載したものは、シリンドリカルレンズを2枚近接して配置したもの、或いは貼り合わせたもので代用しても構わない。
図22、図23は、本発明の実施例7の照明光学系を用いたプロジェクタ(画像投射装置)の要部概略図である。なお、以下の実施例では、XZ断面及びYZ断面の定義及び圧縮率の意味が実施例1〜6と異なる。
図22、図23においては、401は高圧水銀放電管等の光源手段である。402は光束集光手段としての楕円リフレクタ(楕円ミラー)である。光源401の発光面401aは、楕円リフレクタ402の第1焦点P1に配置されている。
光源401から放射状に発せられた光束は、楕円リフレクタ402によって収束する光束(収斂光)に変換されて、楕円リフレクタ402の第2焦点P2に集光する。
尚、楕円リフレクタ402は放物面リフレクタと正レンズに置き換えて構成してもよい。
楕円リフレクタ402の頂点Tから第2焦点P2までの距離fpは光束集光手段402の焦点距離に相当している。すなわち、楕円リフレクタ(光束集光手段)402は、第1のレンズアレイ403よりも光源側の第2焦点の位置に、光源からの光束を集光させている。 尚、ここでの第2焦点とは、光源から発した光束が集光される位置のことであり、楕円リフレクタを用いない場合においては、単に集光点(集光位置)と言い換えてもよい。
第2焦点P2からの光束は、その第2焦点よりも偏光変換素子側に配置された第1のレンズアレイ403で複数の光束に分割される。その複数の分割光束は、第2のレンズアレイ404を介して偏光変換素子405の近傍または光入射側又は光射出側に、複数の2次光源像を形成する。
各2次光源像を形成した光束は、偏光変換素子405で所定の偏光方向を有する直線偏光に変換された後、コンデンサレンズ406に入射する。
コンデンサレンズ406から射出した複数の分割光束は、偏光ビームスプリッタ407の偏光分離面407aを透過して被照射面に設けた液晶パネル408上で重ね合わされる。これにより、液晶パネル408は均一な強度分布を有する照明光束によって照明される。
液晶パネル408において画像変調及び反射された光は、偏光ビームスプリッタ407の偏光分離面407aで反射されて投射レンズ409に導かれる。本実施例では、液晶パネル408を1枚のみ示しているが、実際の一般的なカラープロジェクタでは、画像形成素子としてR,G,B色光に対応した3つの液晶パネルが設けられる。偏光ビームスプリッタ407は、これら3つの液晶パネルに対してR,G,Bの各色照明光を導き、3つの液晶パネルからの各色画像光を合成する、いわゆる色分解合成光学系の一部を構成する。
尚、図22は偏光ビームスプリッタ407の偏光分離面407aの法線と、照明光学系の光軸oを含む第1断面(XZ面)を示している。
ここで光軸oとは、例えば、コンデンサレンズ406の中心と液晶パネル408のパネル面中心を通る軸線によって定義される。また光軸oはZ軸に相当する。
図23は、照明光学系の光軸oを含む第1断面と直交する第2断面(YZ面)を示している。
図22は、長方形状の液晶パネル408の短辺方向に平行な断面である。
図23は、液晶パネル408の長辺方向に平行な断面である。
このXZ断面は、偏光分離面407aの法線と液晶パネル408のパネル面(入射出面)の法線とに平行な断面と言い換えることができる。また、YZ断面は、XZ断面に対して垂直で、Z軸(光軸)と平行な断面であると言える。これらZ軸、XZ断面及びYZ断面の意味は、後述する以下の実施例でも同じである。
照明光学系は、光源手段からの光束を用いて偏光ビームスプリッタ407を介した照明光束による被照明面に配置された長方形状の反射型の画像形成素子としての反射型液晶パネル(液晶パネル)408を照明している。液晶パネル408によって画像変調された光(画像光)は、再度偏光ビームスプリッタ407を介して投射レンズ(投射光学系)409に導かれ、スクリーン等の被投射面に投射されている。
図22の第1断面内において、第1のレンズアレイ403の光入射側は、第1断面内においてのみ正の屈折力を有するシリンドリカル面より構成されている。第1レンズアレイ403の光射出面はレンズアレイ面により構成されている。第2レンズアレイ404の入射面は、レンズアレイ面により構成されている。第2レンズアレイ404の光射出面は屈折力がない面である。
図23の第2断面内において、第1レンズアレイ403の光入射面は屈折力のない面である。第1レンズアレイ403の光射出側は、レンズアレイ面により構成されている。第2レンズアレイ404の光入射面は、レンズアレイ面により構成されている。第2レンズアレイ404の光射出面は、第2断面内においてのみ正の屈折力を有するシリンドリカル面により構成されている。
第1断面内において、第1レンズアレイ403のシリンドリカル面の焦点距離をfxとするとき、第2焦点P2から第1レンズアレイ403までの距離はfxとなっている。第2焦点P2からの発散光束は第1レンズアレイ403を通過した後平行光束となり、平行光束の状態で第2レンズアレイ404と偏光変換素子405を通過してコンデンサレンズ406に入射する。
本実施例にいう平行光束とは、完全な平行な光束だけでなく、光学性能的に平行とみなせる光束も含む。
図22において、点線は第1レンズアレイ403の中心(光軸上)を通過する光束である。実線は第1レンズアレイ403の中心以外を通過する光束である。実線の光束が、液晶パネル408上に重なっている状態を示している。第1断面内において、第1レンズアレイ403は平行化手段を構成する。
図23の第2断面内において、第2レンズアレイ404の光射出面のシリンドリカル面における焦点距離をfyとする。
このとき、第2焦点P2から第2レンズアレイ404までの距離の空気換算値はfyである。
このため第2焦点P2からの発散光束のうち第1レンズアレイ403の光射出面のシリンドリカル面の中心と、第2レンズアレイ404の光入射面のシリンドリカル面の中心を通過した光束は第2レンズアレイ404の光射出面から射出するとき平行光束となる。
第1レンズアレイ403の光射出面と第2レンズアレイ404の光入射面に設けたレンズアレイ面によって複数の光源像が形成される。これらの複数の光源像は、コンデンサレンズ406の焦平面に形成される。
これらの複数の光源像からの光束は、偏光変換素子405を介し、コンデンサレンズ406によって、液晶パネル408上で重畳される。
第2断面内において第2レンズアレイ404は平行化手段を構成する。
図39は偏光変換素子405の一部分の説明図である。
偏光変換素子405は、平行化手段の光射出側又はその光路中に設けて用いられる。
偏光変換素子405は、複数の偏光分離面405aと、複数の反射面405bと、複数の1/2波長板405cとを有する。ここでの偏光変換素子405は、具体的には、偏光分離面405aと反射面(偏光分離面でも可)405bと1/2波長板405cとを1つの偏光変換素子部として有する。そして、偏光変換素子405は、この偏光変換素子部を光軸に対して略直交する方向に複数個配列したアレイ状の光学素子である。したがって、ここでの偏光変換素子405は、偏光変換素子アレイと称してもよい。
この偏光変換素子405において、各偏光分離面405aに入射した光のうち所定の偏光方向を有する偏光成分はこれを透過して偏光変換素子405から射出する。
一方、各偏光分離面405aに入射した光のうち上記所定の偏光方向に直交する偏光方向を有する偏光成分は、該偏光分離面405aで反射し、さらに反射面405bで反射する。そして、1/2波長板405cでその偏光方向が90度変換されて偏光変換素子405から射出する。こうして、偏光変換素子405は、入射した無偏光光を所定の偏光方向を有する直線偏光に変換する。
ここで、1/2波長板405cは偏光分離面405aを透過した光の光路上にのみ配置していても構わない。また、この偏光変換素子5は、色ごと(各パネルに対応する波長領域ごと)に無偏光光を直線偏光光にすればよく、それらの直線偏光光の方向は必ずしも同一である必要は無い。
すなわち、赤色光だけを後段の偏光ビームスプリッタ407に対してS偏光とし、緑色光と青色光を偏光ビームスプリッタ407に対してP偏光とする等、3色光のうち1つの色光の偏光方向と残りの2つの色光の偏光方向とを直交させてもよい。
具体的には、前述の偏光分離面405aに、緑色光と青色光のS偏光と赤色光のP偏光を反射し、緑色光と青色光のP偏光と赤色光のS偏光を透過する特性を持たせ、前述の偏光分離面405aで反射される光束の光路上に1/2波長板405cを配置すればよい。
本実施例では、楕円リフレクタ(第1の光学素子)402で反射した収束光束(収斂光)は、図22のXZ断面では第1のレンズアレイ(第2の光学素子)403で平行光束としている。又、図23のYZ断面では第2のレンズアレイ(第3の光学素子)404で平行光束としている。すなわち、XZ断面においては楕円リフレクタ402と第1のレンズアレイ403とによって構成される圧縮系によって光束を圧縮している。
また、YZ断面においては楕円リフレクタ402と第2のフライアイレンズ404とによって構成される圧縮系によって、光束を圧縮している。
このように、本実施例では、楕円リフレクタ402から収束光束を射出させ、楕円リフレクタ402から第1及び第2のレンズアレイ403,404までの距離差を利用して、YZ断面よりも大きな光束圧縮率(平行化倍率)をXZ断面で得ている。
このため、第1のレンズアレイ403と第2のレンズアレイ404との間で急激に光束を圧縮する従来の例に比べて、各レンズアレイを構成するレンズセルの偏心量を大きくする必要がない。したがって、各レンズアレイの光軸方向での厚みの増加を抑えることができる。この結果、各レンズアレイで発生する収差を低減することができる。また、照明効率を大きく低下させることなくXZ断面で必要な光束圧縮率(平行化倍率)を実現することができる。これにより、偏光ビームスプリッタ407における光束角度分布に敏感な方向(XZ断面)での光束角度分布を小さくして明るさむらやコントラスト低下を抑制しつつ、明るい画像を投射している。
偏光ビームスプリッタ407における光束角度分布に鈍感な方向(YZ断面)についても光束角度分布を小さくすることで、この方向での光束角度分布が大きい場合に比べれば、明るさむらやコントラスト低下に寄与することができる。
本実施例では、液晶パネル408のパネル面に対する入射光束の角度分布は、図22の液晶パネル408の短辺方向に平行なXZ断面(第1断面)に比べて、図23の長辺方向に平行なYZ断面(第2断面)の方が大きい。
光源401と偏光ビームスプリッタ407との間に設けられ、照明光学系における互いに直交する第1断面(XZ断面)及び第2断面(YZ断面)においてそれぞれ光束を圧縮する平行化手段(第2及び第3の光学素子)403、404を有する。そして、平行化手段403、404による光束の圧縮率(平行化倍率)は、第1断面と第2断面とで互いに異なっている。
尚、光束の圧縮とは、光束集光手段402で光束径(言い換えれば光束幅)を縮小した後、平行化手段403、404で平行光束化するまでをいう。
そして、圧縮率とは、光束集光手段402で反射される光束径(光軸と垂直な方向の幅)Lrに対する平行化手段403、404を通過した後の光束径L(Lx、Ly)との比L/Lrをいう。
第1断面における光束の圧縮率をα、第2断面における光束の圧縮率βとする。
このとき、
α=Lx/Lr
β=Ly/Lr
である。ここで、
α≠β
α<1、β<1
α<β
α/β<1
である。
すなわち、図22の第1断面における光束の圧縮率αの方が、図23の第2断面における光束の圧縮率βよりも小さい。
例えば、
α=0.6
β=0.83
α/β=0.72
である。
本実施例では、
α/β≦0.75
となるように各要素を設定している。
より好ましくは、
0.5<α/β≦0.75
となるようにしている。
ここで、第1断面における圧縮率(変換率)α、第2断面における圧縮率(変換率)β、そしてその両者の比α/βそれぞれを、第1、2断面における平行化倍率HX、HY、HX/HYで置き換えてもよい。そこで、以下記載するHX、HYに関しては、圧縮率(変換率)α(γ)、β(δ)とほぼ同じ意味であり、α(γ)、β(δ)、α/β(γ/δ)に関して規定した条件式は、HX、HY、HX/HYにも適用できるものとする。したがって、γ/δの数値範囲と同様にHX/HYも1未満であることは当然であるが、好ましくは0.95未満、より好ましくは0.90未満であることが望ましく、更には前述したように0.75以下であることが望ましい。また、HX/HYは前述したように0.5より大きい(更に好ましくは0.6以上)ことが望ましいが、γ/δと同様に、少なくとも0.3より大きければ良い。
ここで、本実施例において第1断面(XZ面)と第2断面(YZ面)における、平行化倍率HX、HYとは次のことをいう。
第1断面(図22)における第1の平行化倍率(光束の圧縮率)HXは、
HX=|fx/fp|
である。
同様に第2断面(図23)における第2の平行化倍率HYは、
HY=|fy/fp|
である。
図22、図23から第2のレンズアレイ404が第1のレンズアレイ403よりも第2の焦点P2に対して離れた位置に配置されるために、
|fy|>|fx|
である。
よって、
HY>HX
なる条件を満足することとなる。
これにより、光束集光手段402からの光束は第1、第2断面において異なる圧縮率で圧縮され、第1、第2断面において幅(径)が異なる光束に変換される。
ここで、本実施例では、偏光変換素子405は光束の広い図23の第2断面内に偏光変換ユニットのアレイを構成し、偏光ビームスプリッタ407は光束の狭い第1断面方向に、偏光分離面407aによる折り曲げを行う。これによれば、偏光分離面407aで、明るさを損なうとこなく、コントラストを向上することができる。
XZ断面内の光束径を圧縮するXZ断面用平行化手段とYZ断面内の光束を圧縮するYZ断面用平行化手段とは、同一の光学素子で構成してもよい。また、レンズアレイの配置により平行化手段を有するように光学素子の一部が重複してもよいし、又互いに重複しない別々の光学素子で構成してもよい。
本実施例における平行化手段は、光源と偏光変換素子との間に配置されており、リフレクタで反射された時点での光束径をXZ断面及びYZ断面において圧縮している。このようにすれば、光源からの光を液晶パネルに導く照明光学系の瞳位置(光源像形成位置)における光束の径を細くすることができる。
そして、XZ断面とYZ断面において、光学素子の配置及びこれらの光学素子のパワーが互いに異なるような配置のうち少なくとも一方により、偏光変換素子に入射する段階(平行化手段を射出した段階)での光束径が両断面内で互いに異なるようにしている。つまり、XZ断面とYZ断面とで圧縮率を互いに異ならせている。
ここでは、主に偏光変換素子よりも光源側に平行化手段を配置している場合について記載しているが、平行化手段は、偏光変換素子よりも液晶パネル(投射光学系)側に配置しても構わない。
その場合、YZ断面における照明光学系の瞳位置(光源像形成位置)よりも光源側にYZ断面の光束径を圧縮するYZ断面用平行化手段を配置すればよい。また、XZ断面における照明光学系の瞳位置(光源像形成位置)よりも光源側にXZ断面の光束径を圧縮するXZ断面用平行化手段を配置すればよい。
これらは、後述する他の実施例でも同様である。
尚、他の実施例として、本実施例における平行化手段403、404による光束の圧縮の代わりに、圧縮とは逆に入射光束を第1断面と第2断面とで異なる比率で伸長してもよい。この場合、前述の実施例における圧縮系の代わりに、負の屈折力(光学パワー)を有する、すなわち光束発散作用を持つ光束発散手段と、その光束発散手段から射出する光束を平行にする正の屈折力を持つ平行化手段とにより構成される伸長系を用いる。光源及び光源からの光束を反射するリフレクタの外径が小さい場合(液晶パネル等の画像形成素子の大きさに比べて小さい、もしくは半分より小さい場合)、光束発散手段を用いる構成が望ましい。
この場合、第1断面と第2断面との光束の伸長率を各々HXX、HYYとする。このとき、第2断面での光束の伸長率が第1断面よりも大きくなるようにすれば、光束を圧縮したのと同様の効果が得られる。
すなわち、
HXX<HYY
とすればよい。
ここで、伸長率と圧縮率は、光束径(光束幅)が変換される比率としての変換率ということができる。また、伸長系及び圧縮系は、変換系ということができる。これらは後述する各実施例において全く同様である。
尚、平行化倍率HX、HYを求めるときの各断面における焦点距離は、以下のように定義した値を用いればよい。
図22、図23において第1、第2レンズアレイ403、404では、1つの面にシリンドリカル面を設け、他の面にレンズアレイ面を設ける形態を示したが、シリンドリカル面とレンズアレイ面を一体化した形態でもよい。
図24は、一体化したレンズアレイAの例を示す。ここでは、レンズアレイAの一方の光学面に、偏心した微小レンズ面(レンズセルLA1、LA2、LA2′)を複数配置している。
このとき、レンズアレイA(光学面)の焦点距離は、計算上、図24に示すようにレンズアレイ中心のレンズセルLA1の中心を通過する光線と、それに隣接するレンズセルLA2またはLA2′の中心を通過する光線の集光点より定義できる。
レンズアレイAを構成する各レンズセルを基準となる基準軸(照明光学系の光軸)oに垂直に配置したとき、基準軸oに平行な各レンズセル(LA1,LA2,LA2′など)の面法線が各レンズセルの光軸(o1,o2,o2′)と見なすことができる。
よって、図24において各レンズセルLA1,LA2,LA2’の中央(o1,o2,o2’)を通過する基準軸oに平行な光線を追跡すると、レンズセルLA2,LA2’では光線は屈折し、中央のレンズセルLA1の光軸に対して所定の位置Qで交差する。
レンズセルLA1のレンズ面から点Qまでの距離fgはをそれぞれの断面におけるレンズアレイAの焦点距離となる。
レンズセルLA2とLA2’が基準軸oに対して対称であるときには、レンズセルLA2,LA2’の中心を通過する光線は1つの点で中央のレンズセルLA1の光軸に対して交わり、非対称なときは異なる位置で交差する。このときは、異なる交差点の中間を用いてレンズアレイAの焦点距離を定義すればよい。
さらに、図25のように基準軸o上にレンズセルがない場合は、基準軸o近傍の2つのレンズセルLA3,LA3’に対して同様な作図を行うことで、レンズセルLA3,LA3’の中心を通る2つの光線の交点Q’から焦点距離fg’を定義することができる。
図26は、光束集光手段を、楕円リフレクタ(楕円ミラー)に代えて用いられる放物リフレクタ(対物ミラー)402aと正レンズ420との組み合せで構成した例である。光源401からの光束は、放物リフレクタ402aで反射して平行光束となり、正レンズ420に入射する。
正レンズ420の焦点位置を、図22,図23の第2焦点位置P2と一致させることにより、正レンズ420を通過した光束は第2焦点P2に集光する。これによって上記で説明した効果が同様に得られる。
このとき光束集光手段は、放物リフレクタ402aと正レンズ420からなり、光束集光手段の焦点距離は正レンズ420の焦点距離f20となる
また、図27のように放物リフレクタ402bと正レンズ420bを組み合わせたときには、次の如く定義するのがよい。
すなわち、放物リフレクタ402bの頂点T1に焦点距離fpのレンズがあり、さらに頂点T1から空気間隔dだけ間隔を空けて正レンズ(焦点距離=f20)420bがあるものとみなして、光束集光手段の焦点距離を定義すればよい。
尚、光束集光手段を楕円リフレクタと集光レンズとにより構成してもよい。
図28、図29は本発明の実施例8の照明光学系の要部断面図である。
図28は第1断面(XZ面)、図29は第2断面(YZ面)を示している。
実施例8は、図22、図23で説明した実施例7に比べて楕円リフレクタ421と第1レンズアレイ424との間に回転対称の負レンズ423を配置した点が異なっているだけであり、その他の構成は同じである。
図28、図29において図22、図23と同じ部材には同一符号を付す。
図28、図29において、401は光源、421は楕円リフレクタ、423は負レンズ、424は第1のレンズアレイ、425は第2のレンズアレイである。405は偏光変換素子、406はコンデンサレンズ、407は偏光ビームスプリッタ(PBS)、408は反射型の液晶パネル、409は投射レンズ、410は位相板である。
図28、図29において、楕円リフレクタ421と負レンズ423によって光源401の虚像が形成される点P2′が、図22、図23における第2の焦点P2に相当する。
したがって、本実施例では、基本的に図28、図29の点P2’が、図22、図23の第2の焦点P2であるとして取扱えばよい。
本実施例では、光源401の発光点は楕円リフレクタ421の第1焦点P1に配置され、楕円リフレクタ421の第2焦点P2に光源401からの光束が集光する。楕円リフレクタ421は光束集光手段を構成している。
このとき楕円リフレクタ421の頂点Tから第2焦点P2までの距離が光束集光手段の焦点距離fpとなる。
楕円リフレクタ421から第2焦点P2との間に負レンズ423を設け、負レンズ423の負のパワーにより第2焦点(物点)P2を点P2’に結像させる。光束は点P2’から発散する光束となる。
第1レンズアレイ424の入射側の面は、図28のXZ断面において正のパワーを有するレンズアレイ形状をしている。ここでは、図26とは異なり、レンズセルの段差がないように配置しているが、レンズアレイにおける正のパワーの焦点距離の求め方は図26と同じである。
この形状で得られる第1レンズアレイ424の焦点距離をfxとし、第1レンズアレイ424をP2‘からfxだけ離れた位置に配置することで、この断面で光束を平行化する作用を有する。
よって、負レンズ423と第1レンズアレイ424が、第1断面XZの平行化手段を構成する。
第1断面(XZ面)内の平行化手段の焦点距離は、負レンズ423の焦点距離f23と第1レンズアレイ424の焦点距離fx1によって決まる。
図28の第1断面において、負レンズ423のレンズアレイ側の主平面位置から第1レンズアレイ面424までの空気換算距離をL1とする。負レンズ423と第1レンズアレイ424の合成の焦点距離は、
fx=1/(1/f23+1/fx1−L1/f23/f1)
となる。
第2のレンズアレイ425の射出側は、図29の断面YZにおいて正のパワーを有するレンズアレイ形状をしている。
この形状で得られる第2レンズアレイ425の焦点距離をfy1とし、第2レンズアレイ425を点P2‘から空気換算で距離fyだけ離れた位置に配置することでこの断面YZで光束を平行化する作用を有する。
よって負レンズ423と第2レンズアレイ425が第2断面YZの平行化手段となる。
第2断面(YZ面)内の平行化手段の焦点距離は、負レンズ423の焦点距離f23とそれぞれのレンズアレイ424、425の焦点距離fy1で決まる。
第2断面(図29)においては、負レンズ423のレンズアレイ側主平面位置から第2レンズアレイ面425までの距離をL2とすると、負レンズ423と第2レンズアレイ425の合成の焦点距離は、
fy=1/(1/f23+1/fy1−L2/f23/fy1)
となる。
このとき、第1断面(図28)における第1の平行化倍率HXは、
HX=|fx/fp|
である。
同様に第2断面(図29)における第2の平行化倍率HYは、
HY=|fy/fp|
である。
図28,図29から第2レンズアレイ425が第1レンズアレイ424よりも第2の焦点P2に対して離れた位置に配置されるために、
|fy|>|fx|
である。よって、
HY>HX
となり、光束集光手段からの光束は第1、第2断面において異なる圧縮率で圧縮され、第1、第2断面において幅(径)が異なる光束に変換される。
例えば、f23=−50mm、fx=150mm、L1=50mm、fy=200mm、L2=100mmとすると、
fx=−150mm
fy=−200mm
となる。
ここで、
HX/HY=|fx/fy|=0.75
となる。
(実施例8の変形例)
図30、図31は、実施例8の変形例であり、図28、図29に対応している。
図30、図31において、401は光源、421aは楕円リフレクタ、423aは回転対称の負レンズ、424aは第1のレンズアレイ、425aは第2のレンズアレイである。405は偏光変換素子、406はコンデンサレンズ、407は偏光ビームスプリッタ(PBS)、408は反射型の液晶パネル、409は投射レンズである。
図30において、光源401は楕円リフレクタ421aの第1焦点P1近傍に配置され、楕円リフレクタ421aの第2焦点P2に光源401からの光束が集光するので、楕円リフレクタ421aが光束集光手段となる。
このとき楕円リフレクタ421aの頂点Tから第2焦点P2までの距離が光束集光手段の焦点距離fpとなる。
楕円リフレクタから第2焦点P2の間に負レンズ423aを設け、負レンズ423の負のパワーにより光束は平行化される。
図30の第1断面において、第1のレンズアレイ424aと、第2のレンズアレイ425aは共にパワーを有していない(レンズセルが一様に並べられたレンズアレイである)。よって、負レンズ423aが第1の方向の平行化手段となる。
図31の第2断面では、第1のレンズアレイ424aが負のパワーを有するレンズアレイの形状をしており、第2のレンズアレイ425aが正のパワーを有するレンズアレイの形状をしている。
この形状で得られる第1のレンズアレイ424aと第2のレンズアレイ425aの焦点距離をそれぞれfy1、fy2とする。そして、fy1、fy2に対応するそれぞれの焦点位置が点R1で一致するように第1のレンズアレイ424aと第2のレンズアレイ425aを配置する。これにより、この第2断面では、第1のレンズアレイ424aで光束が発散したのち、再び第2のレンズアレイ425aで光束を平行化する作用を有する。
よって、負レンズ423aと第1のレンズアレイ424aと第2のレンズアレイ425aが第2断面内での平行化手段となる。
平行化手段の焦点距離fx,fyは、負レンズ423aの焦点距離f23とレンズアレイ424a、425aのそれぞれの焦点距離fy1,fy2によって決まる。
第1断面(図30)においては、負レンズ423aの焦点距離と同じで、
fx=f23
となる。
図31において、第1のレンズアレイ424aの焦点距離をfy1、第2のレンズアレイ425aの焦点距離をfy2とする。このとき、第2断面(図31)においては、3つの光学素子423a、424a、425aの合成の焦点距離から、
fy=f23*|fy2/fy1|
となる。
このとき第1断面(図30)における第1の平行化倍率HXは、
HX=|fx/fp|
である。
同様に第2断面(図31)における第2の平行化倍率HYは、
HY=|fy/fp|
である。
図31から|fy2|>|fy1|であるために、
|fy|>|fx|
である。よって、
HY>HX
となり、光束集光手段421aからの光束は第1、第2断面において異なる圧縮率で圧縮され、第1、第2断面において幅(径)が異なる光束に変換される。
図32、図33には、本発明の実施例9の照明光学系の要部断面図である。
図32は第1断面(XZ面)、図33は第2断面(YZ面)を示している。
図32、図33において、図22、図23と同じ部材には同一符号を付している。
図32、図33において、401は光源、432は楕円リフレクタ、433は第1のレンズアレイ、434は第2のレンズアレイである。405は偏光変換素子、406はコンデンサレンズ、407は偏光ビームスプリッタ(PBS)、408は反射型の液晶パネル、409は投射レンズ、410は位相板である。
図中、一点鎖線oは照明光学系の基準軸(光軸)で、楕円リフレクタ432の回転対称軸やコンデンサレンズ406の光軸と一致している。(但し、これらは必ずしも一致する必要はない。)
光源401は楕円リフレクタ432の第1焦点P1近傍に配置され、楕円リフレクタ432の第2焦点P2に光源401からの光束が集光する。楕円リフレクタ432が光束集光手段となる。
このとき楕円リフレクタ432の頂点Tから第2焦点P2までの距離が光束集光手段の焦点距離fpとなる。
第2のレンズアレイ434の入射側が図32の断面に負のレンズパワーを有するシリンダー形状をしている。
この形状で得られる第2のレンズアレイ434の焦点距離をfxとする。第2のレンズアレイ434を第2の焦点P2から距離fxだけ離れた位置に配置することで、この断面で光束を平行化する作用を有する。
よって、第2のレンズアレイ434が第1断面内の平行化手段となる。
第1のレンズアレイ433の射出側が、図33の断面に負のレンズパワーを有するシリンダー形状をしている。
この形状で得られる第1のレンズアレイ433の焦点距離をfyとし、第1のレンズアレイ433を第2の焦点P2から空気換算で距離fyだけ離れた位置に配置することでこの断面で光束を平行化する作用を有する。
よって、第1のレンズアレイ433が第2断面内の平行化手段となる。
第1断面(図32)における第1の平行化倍率HXは、
HX=|fx/fp|
である。
同様に第2断面(図33)における第2の平行化倍率HYは、
HY=|fy/fp|
である。
図32,33から第1レンズアレイ433が第2レンズアレイ434よりも第2の焦点P2に対して離れた位置に配置されるために、
|fy|>|fx|
である。よって、
HY>HX
となり、光束集光手段からの光束は第1、第2断面において異なる圧縮率で圧縮され、第1、第2断面において幅(径)が異なる光束に変換される。
ここで、fp=200mm、fx=90mm、fy=150mmとすると、
HX=0.45、HY=0.75、HX/HY=0.6となる。
図34は、反射型の液晶パネルを3つ用いたカラープロジェクタ(画像投射装置)に実施例7〜9の照明光学系を適用したときの要部概略図である。
本実施例のプロジェクタは、図34に示すように、コンデンサレンズ406とPBS471,472の間に色分解素子501を設け、偏光ビームスプリッタ471、472と投射レンズ409の間に色合成素子502を設けた3板式のプロジェクタである。
図34において、図22、図23に示す各部材と同じ部材には同符番を付している。
図34において、503,504,505はそれぞれG,R,B色光用の反射型の画像形成素子である。506,507,508はそれぞれG,R,B色光用の2分の1位相板である。471はG色光用のPBSである。472はRB色光用のPBSである。509は色選択性位相板である。
また、画像形成素子は反射型に限らず透過型でもよい。透過型の場合は画像形成素子における相対的にコントラスト特性が低い側に対して、直交する2つの断面方向のうち圧縮された光束幅の比率が小さい方向を設定するのがよい。
各実施例において、光束平行化手段は、光束の圧縮比を計算するとき方向に寄らず一定の焦点距離として扱うのが望ましく、リフレクタから共通の正のパワーの光学素子までの光学系を光束圧縮系と考えればよい。
図35、図36は、放物リフレクタRFからの光を2つの断面(XZ面、YZ面)で正のパワーが異なる(fx、fy)トーリックレンズTLで集光する場合を示す。
図37、図38は、図35、図36の屈折力配置の模式図である。
この光学系では、図37,38のように正のパワーの小さい側の焦点距離(fy)をXZ断面とYZ断面とに共通の焦点距離としている。また、図37のXZ断面では、正のパワーの強い側の焦点距離(fx)が、焦点距離fyの正のレンズと焦点距離fx’の正のレンズとが間隔0で配置されることによって形成されていると考えられる。
このときには焦点距離fx’を平行化手段の一部と考えて合成の焦点距離の計算をすれば、各実施例の条件がそのまま適用できる。
高輝度の光源では熱的な問題より、リフレクタの大きさを小さくすることはできない。このため、例えば30Wよりも高輝度のランプを使用し、かつ対角1インチ以下の小型の画像形成素子を使う場合は、リフレクタからの光束を狭めることが、効率アップに有効である。この場合は、平行化倍率HYを、
HY<1
となるようにするのがよい。
以上のように各実施例によれば、明るく高いコントラストを有する画像を投射できる照明光学系及びそれを有する画像投射装置が得られる。
本発明の実施例12の概略図を図40A、40Bに示す。この実施例12は、光源(又はリフレクタ)から射出した光束の光束径を伸長する実施例である。このように光束径を伸長する実施例は、光源、或いはリフレクタの外径が小さい場合に特に有効である。
光源として、前述の実施例と同じく高圧水銀ランプを用いても構わないが、キセノンランプやレーザ光源等を用いた小型化が容易な光源を用いた場合に特に好適である。具体的には、画像形成素子の有効領域(画像表示領域)よりもリフレクタの外径やレーザ光源のレーザ発振領域が小さい場合、特に(各断面内で)リフレクタの外径やレーザ光源のレーザ発振領域が画像形成素子の有効領域の半分以下の場合に好適である。
ここで、図40AはXZ断面図であり、液晶パネル(液晶表示素子、画像形成素子)の短辺方向と平行な断面であり、光束の伸長率が後述するYZ断面よりも低い(変換率が小さい)断面である。図40BはYZ断面図であり、液晶パネルの長辺方向と平行な断面であり、図40Aの断面と比較して光束の伸長率が高い(変換率が大きい)断面である。
1001は光源(発光点)であり、光を放射状に発している。1002は放物面リフレクタ(放物面鏡)であり、光源から発した光束を平行光束に変換している。1003は凹レンズ(第1の光学素子)であり、リフレクタから射出した平行光束を発散光束に変換している。ここで、放物面リフレクタ1002は、楕円リフレクタであっても構わないし、また、リフレクタ1002から反射される光束が発散光束となるように、光源の位置とリフレクタの位置を設定しても構わない。
図40Aの断面、すなわちXZ断面において、1004は、複数の微小レンズセル(微小なシリンドリカルレンズセル)を備え、発散光束を平行化しつつ(平行光束に変換しつつ)複数の分割光束に分割する第1のレンズアレイである。1005は、1004と同じく複数の微小レンズセルを備え、複数の分割光束を後段の偏光変換素子アレイ1006に導く第2のレンズアレイである。
1007はコンデンサレンズ、1008は偏光分離素子(偏光ビームスプリッタ)、1009は1/4波長板、1010は液晶パネル、1011は投射レンズであり、これらの機能についての説明は前述の実施例と同じなので省略する。
図40Bの断面、すなわちYZ断面において、1004は、複数の微小レンズ(微小なシリンドリカルレンズ)を備え、発散光束を発散光束のまま射出する(平行化作用を持たない)第1のレンズアレイである。この第1のレンズアレイは、同時に発散光束を複数の分割光束に分割している。
1005は、1004と同じく複数の微小レンズセルを備え、発散光束を平行化しつつ(平行光束に変換しつつ)後段の偏光変換素子1006に導く第2のレンズアレイである。1007〜1011に関しては図40Aの断面(XZ断面)と同じく、前述した実施例と同じ機能であるため、ここでは説明を省略する。
本実施例では、液晶パネル1010のパネル面に対する入射光束の角度分布は、図40Aの液晶パネル1010の短辺方向に平行なXZ断面(第1断面)に比べて、図40Bの長辺方向に平行なYZ断面(第2断面)の方が大きい。
光源1001と偏光ビームスプリッタ1008との間に設けられ、照明光学系における互いに直交する第1断面(XZ断面)及び第2断面(YZ断面)においてそれぞれ光束を伸長する平行化手段(第2及び第3の光学素子)1004、1005を有する。平行化手段1004、1005は、伸長系とも言える。そして、平行化手段1004、1005による光束の伸長率(平行化倍率)は、第1断面と第2断面とで互いに異なっている。
尚、光束の伸長とは、光束発散手段1003で光束径(光束幅)を拡大した後、平行化手段1004、1005で平行光束化するまでをいう。
そして、伸長率とは、光束発散手段1003で拡大される光束径(光軸と垂直な方向の幅)Lrに対する平行化手段1004、1005を通過した後の径をL(Lx、Ly)との比L/Lrをいう。
第1断面における光束の伸長率をα、第2断面における光束の伸長率をβとする。
このとき、
α=Lx/Lr
β=Ly/Lr
である。ここで、
α≠β
α>1、β>1
α<β
α/β<1
である。
すなわち、図40Aの第1断面における光束の伸長率αの方が、図40Bの第2断面における光束の伸長率βよりも小さい。
ここで、例えば、Lr=30mm、Lx=12mm、Ly=18mmだとすると、
α=0.4
β=0.6
α/β=0.67
となる。
図41及び図42は、本発明の実施例13である照明光学系を含む画像投射用光学系のXZ断面及びYZ断面を示す図である。
図41中、701は発散光を放射する光源ユニット、703は第1のレンズアレイ、704は第2のレンズアレイ、705は偏光変換素子、706はコンデンサレンズ、707は偏光ビームスプリッタ(PBS)である。708は反射型液晶パネル、709は投射レンズ、710は位相板である。
光源ユニット701は、光を発する電極711,712が放物ミラー713と一体で構成されたキセノンランプ等の発光素子を備えた高出力発光可能な光源部714と、該光源部714からの光が放射する側に設けられた凹レンズ715とから構成されている。光源部714から放射された光束は、凹レンズ715により発散光束に変換される。
図中の一点鎖線oは、照明光学系の基準軸であり、放物ミラー713の回転対称軸やコンデンサレンズ706の光軸と一致している(ただし、これらは必ずしも一致する必要はない)。
第1のレンズアレイ703の入射側は、図41のXZ断面において正の光学パワーを有するシリンダー形状を有する。
この形状の焦点距離をfxとし、焦点位置を凹レンズ715の焦点位置にほぼ配置することで、この断面で光束を平行化する作用を有する。
図中に太点線で示した光線は、レンズアレイの中心を通過する光線を表わしており、該光線は平行化されている。第1のレンズアレイ703以降に示した細実線は、分割された光束が、反射型液晶パネル708上で重なっている状態を表している。第1のレンズアレイ703は、XZ断面での平行化手段となる。
第2のレンズアレイ704の出射側は、図42のYZ断面において正の光学パワーを有するシリンダー形状を有する。
この形状の焦点距離をfyとし、焦点位置を凹レンズ715の焦点位置にほぼ配置することで、この断面で光束を平行化する作用を有する。すなわち、第2のレンズアレイ704がYZ断面での平行化手段となる。
図41及び図42から、第2のレンズアレイ704が第1のレンズアレイ703よりも凹レンズ715に対して離れた位置に配置されるために、
|fy|>|fx|
である。よって、光束集光手段としての楕円リフレクタ713からの光束はXZ断面とYZ断面において幅(径)が異なる光束に変換される。
ここで、偏光変換素子705では、光束幅の広い第2の断面方向に偏光変換素子のアレイを構成する。また、偏光ビームスプリッタ707では、光束幅の狭い第1の断面方向に偏光分離面による光束の折り曲げを行う。これにより、明るさを損なうことなく、コントラストを向上させることができる。
ここで、図41及び図42には、各レンズアレイでは、一方の面にシリンダー形状を設け、他方の面にレンズアレイ形状を設ける場合を示したが、シリンダー形状とレンズアレイを一体化して一方の面に設けてもよい。
図43には、本発明の実施例14である照明光学系における光源ユニットを示す。
本実施例の光源ユニット721は、LEDやLDなどのチップ上の光源722から発散放射される光を、凸レンズ723により小さな発散角の光に変換して射出する構成を有する。図43においては、射出する光を細実線で表わしている。
このような光源ユニット721は、1つの光源では光量が不足するので、図44に示すように複数個並べた光源ユニット731として使用するのが望ましい。
図45及び図46には、図44に示した光源ユニット731を用いた照明光学系を含む画像投射用光学系のXZ断面及びYZ断面を示す。光源ユニット以外は、実施例13と同じであるので、同じ符号を付して説明を省略する。
本実施例の光学系の光源として、電極を有しない放電光源を用いてもよい。
図47には、本発明の実施例15である照明光学系に用いられるさらに別の光源ユニットを示している。
本実施例では、複数の光源842から発せられた平行光束を、該複数の光源842に対応した複数のレンズセルを有するレンズアレイ843で、それぞれ一旦集光した後、発散光束として照明光学系に導く。光束を細実線で示している。
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施例及び参考例について説明する。
[参考例1]
図1及び図2には、本発明の参考例1である画像投射用光学系に用いられる照明光学系の構成を示している。該照明光学系は、光源1からの光束を用いて偏光ビームスプリッタ7を介して被照明面に配置された反射型画像形成素子としての反射型液晶パネル(以下、単に液晶パネルという)8を照明する。
但し、液晶パネル8によって画像変調された光(画像光)は、再度偏光ビームスプリッタ7を介して不図示の投射レンズに導かれ、スクリーン等の被投射面に投射される。このように、本参考例の照明光学系は、画像光を偏光ビームスプリッタ7で検光して投射レンズに導く機能も含む。
本参考例では、照明光学系の光軸(例えば、コンデンサレンズ6の中心と液晶パネル8のパネル面中心を通る軸線によって定義される)をZ軸とし、該Z軸に平行な方向を光軸方向とする。また、光源ランプLPからの光束がコンデンサレンズ6及び偏光ビームスプリッタ7を介して液晶パネル8に向かって進むZ軸に沿った方向を、光の進行方向ともいう。
図1は、Z軸を含み(Z軸と平行で)、かつ互いに直交する2つの面であるXZ断面とYZ断面のうち、液晶パネル8のパネル面に対する入射光束の角度分布が広い方の断面であるXZ断面(第1の断面)での光学構成を示す。このXZ断面は、液晶パネル8の長辺の方向(長辺が延びる方向)に平行な断面である。
また、図2には、パネル面に対する入射光束の角度分布が狭い方の断面であるYZ断面(第2の断面)での光学構成を示す。このYZ面は、液晶パネル8の短辺の方向(短辺が延びる方向)に平行な断面である。
なお、YZ断面は、図3に示すように、光軸(Z軸)と偏光ビームスプリッタ7の偏光分離面7aの法線(N)とを含む面(図3の紙面)に平行な断面である。そして、このYZ断面は、偏光分離面7aの法線Nと液晶パネル8のパネル面(入射出面)8aの法線NPとに平行な断面と言い換えることもできる。
また、XZ断面は、YZ断面に対して垂直で、Z軸(光軸)と平行な断面であると言える。これらZ軸、XZ断面及びYZ断面の意味は、後述する以下の参考例2〜5でも同じである。
これらの図には、照明光学系の基本的な構成部品しか示していないが、実際には、光源からの光路を折り曲げるミラーや、熱線カットフィルタ及び偏光板等の各種光学素子も配置される。
高圧水銀放電管等の光源1から放射状に発せられた光束は、楕円リフレクタ(楕円ミラー)2によって収束する光束に変換される。光源1及びリフレクタ2により光源ランプLPが構成される。ここで、この楕円リフレクタは放物面リフレクタと凸レンズに置き換えてもよい。
楕円リフレクタ2で反射された反射光は、第1のフライアイレンズ3で複数の光束に分割され、該複数の分割光束は、第2のフライアイレンズ4と偏光変換素子5の近傍に、複数の2次光源像を形成する。
各2次光源像を形成した光束は、偏光変換素子5で所定の偏光方向を有する直線偏光(偏光状態が揃った光束)に変換された後、コンデンサレンズ6に入射する。偏光変換素子5は、複数の偏光分離面と、複数の反射面と、複数の1/2波長板とを有する。ここでの偏光変換素子5は、具体的には、偏光分離面と反射面(偏光分離面でも可)と1/2波長板とで1つの偏光変換素子部として構成し、この偏光変換素子部を光軸に対して略直交する方向に複数個配列したアレイ状の光学素子である。したがって、ここでの偏光変換素子は、偏光変換素子アレイと称してもよい。
この偏光変換素子5において、各偏光分離膜に入射した光のうち所定の偏光方向を有する偏光成分はこれを透過して偏光変換素子5から射出する。
一方、各偏光分離膜に入射した光のうち上記所定の偏光方向に直交する偏光方向を有する偏光成分は、該偏光分離面で反射し、さらに反射面で反射する。そして、1/2波長板でその偏光方向が90度変換されて偏光変換素子5から射出する。こうして、偏光変換素子5は、入射した非偏光光を所定の偏光方向を有する直線偏光に変換する。
ここで、1/2波長板は偏光分離膜を透過した光の光路上にのみ配置していても構わない。また、この偏光変換素子は、色ごと(各パネルに対応する波長領域ごと)に無偏光を直線偏光にすれば良く、それらの直線偏光の方向は必ずしも同一である必要は無い。
すなわち、赤色光だけを後段の偏光ビームスプリッタ7に対してS偏光とし、緑色光と青色光を偏光ビームスプリッタ7に対してP偏光とする等、3色光のうち1つの色光の偏光方向と残りの2つの色光の偏光方向とを直交させてもよい。
具体的には、前述の偏光分離面に、緑色光と青色光のS偏光と赤色光のP偏光を反射し、緑色光と青色光のP偏光と赤色光のS偏光を透過する特性を持たせ、前述の偏光分離面で反射される光束の光路上に1/2波長板を配置すればよい。
コンデンサレンズ6から射出した複数の分割光束は、偏光ビームスプリッタ7の偏光分離面(光学膜面、光学面)7aを透過して液晶パネル8上で重ね合わされる。これにより、液晶パネル8は均一な強度分布を有する照明光束によって照明される。
偏光分離面7aは、光分離作用を有する。液晶パネル8において画像変調及び反射された光は、偏光ビームスプリッタ7の偏光分離面7aで反射されて不図示の投射レンズに導かれる。本参考例では、液晶パネル8を1枚のみ示しているが、実際の一般的なプロジェクタでは、R,G,Bに対応した3つの液晶パネルが設けられる。偏光ビームスプリッタ7は、これら3つの液晶パネルに対してR,G,Bの各色照明光を導き、3つの液晶パネルからの各色画像光を合成する、いわゆる色分解合成光学系の一部を構成する。
偏光ビームスプリッタ7は、照明光学系の光軸(Z軸)に対して傾いて配置された多層膜からなる偏光分離膜(偏光分離面)7aを備えている。偏光分離面7aの光軸Zに対する傾きは、45度に設定されるのが一般的であり、42〜48度の範囲に設定される場合が多い。
偏光分離膜は、可視光領域内の少なくとも一部の波長域(例えば、10nm以上、好ましくは40nm以上の幅を有する波長域)の光に対して偏光方向による分離作用を有する。一般的には、特定の角度で入射する光のうち第1の偏光方向の光を80%以上反射し、第1の偏光方向に直交する第2の偏光方向の光を80%以上透過する。
第1及び第2のフライアイレンズ3,4はそれぞれ、複数のレンズセルが2次元方向に(光軸と垂直な第1方向とそれと垂直な第2方向とに複数個ずつ配置するように)配列されて構成されている。各フライアイレンズの中心線方向はZ軸に平行である。
前述したように、楕円リフレクタ2の第1焦点位置近傍で光源1から発せられた光束は、楕円リフレクタ2で反射して集光され、収束光束として第1のフライアイレンズ3に向かう。
図1に示すXZ断面において、図4に示すように、第1のフライアイレンズ3の複数のレンズセル3aのうち中心のレンズセル以外のレンズセルの頂点はX方向外側に偏心している。このため、第1のフライアイレンズ3は、楕円リフレクタ2からの光束に対して全体として負(凹)レンズ作用を有する。
これを図5を用いて詳しく説明する。図5には、XZ断面における第1のフライアイレンズ2の中心レンズセル3a0と、これにX方向にて隣接する2つのレンズセル(外側レンズセル)3a1,3a2とを示している。
外側レンズセル3a1,3a2の頂点(図中に示す点線、すなわち該2つのレンズセルの光軸o1,o2上の位置)は、各外側レンズセルの中心(図中の点線o1′,o2′上の位置)に対して外側に偏心している。レンズセルをX方向Y方向各々に偶数個ずつ配列する場合には、すべてのレンズセルの頂点を各レンズセルの中心に対して外側に偏心させることが望ましい。
図5では、第1のフライアイレンズ3の焦点距離fをaとし、第1フライアイレンズ3(中心レンズセル3a0)から楕円リフレクタ2側に距離aだけ離れた位置(入射側焦点位置)をラインAで示す。
この場合、外側レンズセル3a1,3a2の光軸o1,o2上におけるラインAとの交点Q1,Q2を通過した光線L1,L2は、これら外側レンズセル3a1,3a2の中心を通過すると、Z軸に沿って進む平行な光線となって射出する。
ここで、光線L1、L2はそれぞれ、外側レンズセル3a1,3a2の中心を通過する光線である。さらに、図示しないが、中心レンズセル3a0の頂点は該中心レンズセル3a0の中心に位置し、該中心レンズセル3a0の中心に入射した光線もZ軸に沿って平行に進む光線となって第1のフライアイレンズから射出する。
すなわち、第1のフライアイレンズ3は、各レンズセルの中心に入射する光線を光軸(Z軸)と平行な光線に変換する機能を持っている。言い換えれば、第1のフライアイレンズは、楕円リフレクタからの収束光束を光軸と平行な複数の光束(平行光束)に分割し、その上で、その複数の分割光束各々を集光させて光源像を形成させる機能を有している。
また、第1のフライアイレンズは、楕円リフレクタからの収束光束全体に対しては負の光学パワーのレンズとして作用して平行光束に変換しており、且つ、各分割光束に対しては正の光学パワーのレンズとして作用してそれぞれの分割光束を集光させている。光学パワーは、焦点距離の逆数であり、屈折力と言い換えることもできる。
このように、第1のフライアイレンズ3は、XZ断面において、楕円リフレクタ2からの収束光束を、光軸に平行な複数の光束として射出する凹レンズ作用を有する。
一方、図2に示すYZ断面において、図6に示すように、第2のフライアイレンズ4の複数のレンズセル4aのうち中心レンズセル以外のレンズセルの頂点はY方向外側に偏心している。これにより、楕円リフレクタ2で反射して第2のフライアイレンズ4に入射した光束は、平行な光束となる。つまり、第2のフライアイレンズ4は、YZ断面において、楕円リフレクタ2からの光束に対して全体として負(凹)のレンズ作用を有する。このレンズ作用は、第1のフライアイレンズ3と同様にして得られる。
図7及び図8には、図1及び図2に示した楕円リフレクタ2から偏光変換素子5までの光路を拡大して示している。楕円リフレクタ2で反射した収束光束は、XZ断面では第1のフライアイレンズ3で平行光束とし、YZ断面では第2のフライアイレンズ4で平行光束としている。
すなわち、XZ断面においては楕円リフレクタ2と第1のフライアイレンズ3とによって構成される圧縮系によって、またYZ断面においては楕円リフレクタ2と第2のフライアイレンズ4とによって構成される圧縮系によってそれぞれ、光束の圧縮が行われる。
ここにいう光束の圧縮とは、光束径(言い換えれば光束幅)を縮小した後、平行光束化するまでをいう。また、本参考例にいう平行光束とは、完全な平行な光束だけでなく、光学性能的に平行とみなせる光束も含む。
具体的に言うと、圧縮系とは、光源側から順に、正の光学パワーを持つ第1の光学素子とXZ,YZ断面において互いに異なる第1及び第2の負の光学パワーを持つ第2及び第3の又は第2の光学素子との組み合わせである。第1の光学素子は、楕円リフレクタ、凸レンズ等により構成することができる。また、第2及び第3の光学素子は、凹レンズや、凹レンズ作用を持つフライアイレンズ(レンズアレイ)により構成することができる。勿論、正のパワーを持つ光学素子(楕円リフレクタ、凸レンズ等)と正のパワーを持つ光学素子(凸レンズ等)との組み合わせであっても、圧縮系を射出した光束が平行光束になっていれば構わない。圧縮系をレンズ系のみで構成する場合は、圧縮系をアフォーカル系で構成することが望ましい。
このように、圧縮系は、XZ断面及びYZ断面の両者(一方及び他方の断面)において、圧縮系への入射前(リフレクタへの入射)の光束の径(光束幅)よりも圧縮系から射出した光束の径の方を細くしている。
ここで、本参考例の圧縮系は、光源からの光束を液晶パネルに導く照明光学系中において、光源(発光部)と照明光学系の瞳位置(光源像が形成される位置、発光部の像が形成される位置)との間に配置されている。
この照明光学系の瞳位置は、本参考例においては偏光変換素子(小さな複数の偏光変換素子がアレイ状に配置されて構成されたもの)の近傍に位置しているが、偏光変換素子より一つ以上の光学素子を挟んで液晶パネル側に位置していても構わない。
また、XZ断面内の光束径を圧縮するXZ断面用圧縮系とYZ断面内の光束を圧縮するYZ断面用圧縮系とは、同一の光学素子で構成してもよいし、光学素子の一部が重複してもよいし、互いに重複しない別々の光学素子で構成してもよい。
本参考例における圧縮系は、光源と偏光変換素子との間に配置されており、リフレクタで反射された時点での光束径をXZ断面及びYZ断面において圧縮している。
このようにすれば、光源からの光を液晶パネルに導く照明光学系の瞳位置(光源像形成位置)における光束の径を細くすることができる。
そして、XZ、YZ断面において、光学素子の配置及び/又はこれらの光学素子のパワーが互いに異なるように配置することにより、偏光変換素子に入射する段階(圧縮系を射出した段階)での光束径がXZ断面、YZ断面内とで互いに異なるようにしている。つまり、XZ断面とYZ断面とで圧縮率を互いに異ならせている。
ここでは、主に偏光変換素子より光源側に圧縮系を配置している場合について記載しているが、圧縮系は、前述のように偏光変換素子よりも液晶パネル(投射光学系)側に配置しても構わない。
その場合、XZ断面における照明光学系の瞳位置(光源像形成位置)よりも光源側にXZ断面の光束径を圧縮するXZ断面用圧縮系を配置する。また、YZ断面における照明光学系の瞳位置(光源像形成位置)よりも光源側にYZ断面の光束径を圧縮するYZ断面用圧縮系を配置すればよい。これらは、後述する他の実施例または参考例でも同様である。
ここで、光束の圧縮率を、楕円リフレクタ2から射出(反射)する時点での光束の外径と圧縮系から射出した直後の光束の外径(又は偏光変換素子5に入射する光束の外径)との比として定義する。具体的には、参考例1〜5において、圧縮率とは、楕円リフレクタ2から射出する時点での光束の外径を圧縮系から射出した直後の光束の外径で割った値を意味する。尚、この参考例1〜5における圧縮率の定義と、実施例1以降での圧縮率の定義とは逆である。詳細は実施例1以降において説明する。
本参考例では、フライアイレンズ3,4からの射出光束が平行光束として偏光変換素子5に入射するので、結局、該圧縮率は楕円リフレクタ2とフライアイレンズ3,4までの距離(以下、圧縮距離という)で決まる。
図7に示すように、XZ断面では、光束の圧縮は楕円リフレクタ2と第1のフライアイレンズ3で行われるため、圧縮距離はBである。
また、図8に示すように、YZ断面では、光束の圧縮は楕円リフレクタ2と第2のフライアイレンズ4とで行われるため、圧縮距離はCである。
つまり、本参考例では、XZ断面とYZ断面とで光束の圧縮率が異なる。具体的には、B/C<1であるので、YZ断面での光束の圧縮率がXZ断面での光束の圧縮率より大きい。
言い換えれば、XZ断面での圧縮率をαとし、YZ断面での圧縮率をβとすると、α≠βであって、
α/β<1
(α≠0、β≠0、好ましくはα、β>1)
となっている。
ここで、α、βで表す圧縮率は、前述した通り、楕円リフレクタ2から射出する時点での光束の外径を圧縮系から射出した直後の光束の外径で割った値である。つまり、圧縮系によって光束が圧縮されていれば、その圧縮率α、βは、必然的に1よりも大きくなる。
ここで、図1、図2を用いて、α、βについて説明する。まず、図1及び図2内に示したLrは、楕円リフレクタで反射される光束の幅(光軸と垂直な方向の幅)を示している。また、Lxは、XZ断面において、偏光変換素子の直前(偏光変換素子より光源側で最も偏光変換素子に近い光学素子と、偏光変換素子との間)での、光束の幅(光軸と垂直な方向の幅)を示している。
そして、Lyは、YZ断面において、偏光変換素子の直前(偏光変換素子より光源側で最も偏光変換素子に近い光学素子と、偏光変換素子との間)での、光束の幅(光軸と垂直な方向の幅)を示している。
ここで、α、βは以下のように表すことができる。
α=Lr/Lx
β=Lr/Ly
また、α、βは以下のように言い換えることもできる。フライアイレンズのうち軸外に配置されたレンズセルの中心に入射する光線が、リフレクタで反射される位置の高さ(光軸からの距離)をHr、その光線が偏光変換素子に入射する時の高さをHx(XZ断面)、Hy(YZ断面)とする。このとき、α、βは以下のように表すことができる。
α=Hr/Hx
β=Hr/Hy
ここで、前述のフライアイレンズのうち軸外に配置されたレンズセルの中心に入射する光線とは、第1のフライアイレンズ、第2のフライアイレンズのいずれに関しても、軸外に配置されたレンズセルの中心に入射していることが望ましい。さらに、その光線は偏光変換素子に対して垂直に(光軸と平行な状態で)入射する。
また、ここではLx、Lyを、偏光変換素子の直前の位置での光束径としたが、圧縮系を射出した直後の光束径としても構わない。
尚、図1、図2で示した参考例においては、α=1.21、β=1.67であり、αとβとが互いに異なる値であり、α/β=0.72(<1)となる。
このように、本参考例では、楕円リフレクタ2から収束光束を射出させ、楕円リフレクタ2から第1及び第2のフライアイレンズ3,4までの距離差を利用して、XZ断面よりも大きな光束圧縮率をYZ断面で得ている。
このため、第1のフライアイレンズと第2のフライアイレンズとの間で急激に光束を圧縮する従来の例に比べて、各フライアイレンズを構成するレンズセルの偏心量を大きくする必要がない。
したがって、各フライアイレンズの光軸方向での厚みの増加を抑えることができる。この結果、各フライアイレンズで発生する収差を低減することができ、照明効率を大きく低下させることなくYZ断面で必要な光束圧縮率を実現することができる。これにより、偏光ビームスプリッタ7における光束角度分布に敏感な方向(YZ断面方向)での光束角度分布を小さくして明るさむらやコントラスト低下を抑制しつつ、明るい画像を投射することができる。
しかも、偏光ビームスプリッタ7における光束角度分布に鈍感な方向(XZ断面方向)についても光束角度分布を小さくすることで、この方向での光束角度分布が大きい場合に比べれば、明るさむらやコントラスト低下の抑制に寄与することができる。
[参考例2]
図9及び図10には、本発明の参考例2である照明光学系を示す。図9は該照明光学系のXZ断面を、図10はYZ断面をそれぞれ示す。
光源11から発せられた白色光は、放物リフレクタ(放物ミラー)12によって平行光束として射出される。光源11と放物リフレクタ12とにより光源ランプLPが構成される。該平行光束は、凸レンズ13によって集光作用を受け、第1の凹シリンドリカルレンズ14を通過して第1のフライアイレンズ15に入射する。
第1のフライアイレンズ15に入射した光束は、複数の光束に分割され、各分割光束は集光される。第1のフライアイレンズ15から射出した光束は、第2の凹シリンドリカルレンズ16を通過した後、第2のフライアイレンズ17及び偏光変換素子18の近傍に2次光源像を形成する。
偏光変換素子18から射出した複数の分割光束(所定の偏光方向を有する直線偏光)は、コンデンサレンズ19によって集光され、偏光ビームスプリッタ20を透過して反射型液晶パネル21上で重ね合わされる。偏光ビームスプリッタ20には、参考例1で説明したのと同様の偏光分離膜(光学面、光学膜面)20aが設けられている。
第1及び第2のフライアイレンズ15,17はそれぞれ、複数のレンズセルが2次元方向に配列されて構成されている。
図11及び図12には、図9及び図10に示した放物リフレクタ12から偏光変換素子18までの光路を拡大して示している。放物リフレクタ12から射出した平行光束は、凸レンズ13によって収束光束とされるが、その後、XZ断面では凹レンズ作用を有する第1の凹シリンドリカルレンズ14で平行光束とされる。
一方、YZ断面では、凸レンズ13からの収束光束は、凹レンズ作用を有する第2の凹シリンドリカルレンズ16で平行光束とされる。
すなわち、XZ断面では、凸レンズ(第1の光学素子)13と第1の凹シリンドリカルレンズ(第2の光学素子)14とにより構成される圧縮系によって光束の圧縮が行われる。また、YZ断面では凸レンズ13と第2の凹シリンドリカルレンズ(第3の光学素子)16とにより構成される圧縮系によって光束の圧縮が行われる。
ここで、光束の圧縮率を、前述と同様に、放物リフレクタ12から射出する時点での光束の外径を圧縮系から射出した直後の光束の外径で割った値として定義する。
本参考例では、放物リフレクタ12から凸レンズ13に平行光束が入射し、凹シリンドリカルレンズ14,16からの射出光束が平行光束として偏光変換素子18に入射する。このため、該圧縮率は凸レンズ13と凹シリンドリカルレンズ14,16までの距離(圧縮距離)で決まる。
図11に示すように、XZ断面での光束の圧縮は、凸レンズ13と第1の凹シリンドリカルレンズ14とで行われるため、圧縮距離はDである。また、図12に示すように、YZ断面での光束の圧縮は、凸レンズ13と第2の凹シリンドリカルレンズ16とで行われるため、圧縮距離はEである。
つまり、本参考例では、XZ断面とYZ断面とで光束の圧縮率が異なる。具体的には、D/E<1であるので、YZ断面での光束の圧縮率がXZ断面での光束の圧縮率より大きい。
言い換えれば、XZ断面での圧縮率をαとし、YZ断面での圧縮率をβとすると、
α/β<1
(α≠0)
となっている。
このように、本参考例では、放物リフレクタ12から射出した平行光束を凸レンズ13で収束光束とし、凸レンズ13から第1及び第2の凹シリンドリカルレンズ14,16までの距離差を利用して、XZ断面よりも大きな光束圧縮率をYZ断面で得ている。
これにより、参考例1と同様に、第1及び第2のフライアイレンズ15,17の厚み増加やこれに伴う照明効率の低下を抑制しつつ、YZ断面で必要な光束圧縮率を実現することができる。これにより、偏光ビームスプリッタ20における光束角度分布に敏感な方向(YZ断面方向)での光束角度分布を小さくして明るさむらやコントラスト低下を抑制しながら、明るい画像を投射することができる。
しかも、偏光ビームスプリッタ20における光束角度分布に鈍感な方向(XZ断面方向)についても光束角度分布を小さくすることで、この方向での光束角度分布が大きい場合に比べれば、明るさむらやコントラスト低下の抑制に寄与することができる。
なお、本参考例では、フライアイレンズとは別のレンズとしての凹シリンドリカルレンズを用いた場合について説明したが、フライアイレンズにおけるレンズセル面とは反対側の面に凹シリンドリカル面を設けてもよい。
[参考例3]
図13及び図14には、本発明の参考例3である照明光学系を示す。図13は該照明光学系のXZ断面を、図14はYZ断面をそれぞれ示す。
光源31から発せられた白色光は、放物リフレクタ32によって平行光束として射出される。光源31と放物リフレクタ32とにより光源ランプLPが構成される。該平行光束は、両凸トーリックレンズ33によって収束光束とされ、さらに両凹トーリックレンズ34を透過して第1のフライアイレンズ35に入射する。ここで、両凸トーリックレンズ33は、平凸形状でもメニスカス形状でもよい。また両凹トーリックレンズ34は、平凹形状でもメニスカス形状でもよい。
第1のフライアイレンズ35に入射した光束は、複数の光束に分割され、各分割光束は集光される。第1のフライアイレンズ35から射出した光束は、第2のフライアイレンズ36及び偏光変換素子37の近傍に2次光源像を形成する。
偏光変換素子37から射出した複数の分割光束(所定の偏光方向を有する直線偏光)は、コンデンサレンズ38によって集光され、偏光ビームスプリッタ39を透過して反射型液晶パネル40上で重ね合わされる。偏光ビームスプリッタ39には、参考例1で説明したのと同様の偏光分離膜(光学面)39aが設けられている。
第1及び第2のフライアイレンズ35,36はそれぞれ、複数のレンズセルが2次元方向に配列されて構成されている。
図15及び図16には、図13及び図14に示した放物リフレクタ32から偏光変換素子37までの光路を拡大して示している。
両凸トーリックレンズ33を通過した光束は収束光束であるが、XZ断面及びYZ断面において凹レンズ作用を有する両凹トーリックレンズ34によって平行光束とされる。
すなわち、XZ断面及びYZ断面の双方において、両凸トーリックレンズ(第1の光学素子)33と両凹トーリックレンズ(第2の光学素子)34とにより構成される圧縮系によって光束の圧縮が行われる。
ここで、光束の圧縮率を、放物リフレクタ32から射出する時点での光束の外径を圧縮系から射出した直後の光束の外径で割った値として定義する。
本参考例では、放物リフレクタ32から両凸トーリックレンズ33に平行光束が入射し、両凹トーリックレンズ34からの射出光束が平行光束として偏光変換素子37に入射する。このため、該圧縮率は、両凸トーリックレンズ33及び両凹トーリックレンズ34のXZ断面及びYZ断面での焦点距離で決まる。つまり、本参考例でも、XZ断面での光束の圧縮率αとYZ断面での光束の圧縮率βとが互いに異なる。
ここで、両凸トーリックレンズ33のXZ断面での焦点距離をT1xとし、YZ断面での焦点距離をT1yとする。また、両凹トーリックレンズ34のXYZ断面での焦点距離をT2xとし、YZ断面での焦点距離をT2yとする。
この場合、
T1x/T1y>1
T2x/T2y>1
の関係にある。また、各断面での圧縮率α、βは、
α=T1x/T2x>1
β=T1y/T2y>1
となる。ここで、YZ断面での光束の圧縮率βがXZ断面での光束の圧縮率αより大きい。
言い換えれば、XZ断面での圧縮率αとYZ断面での圧縮率βとの関係は、
α/β<1
(α≠0)
となっている。
このように、本参考例では、放物リフレクタ32から射出した平行光束を両凸トーリックレンズ33で収束光束とする。そして、両凸トーリックレンズ33及び両凹トーリックレンズ34のXZ断面及びYZ断面での焦点距離の差を利用して、XZ断面よりも大きな光束圧縮率をYZ断面で得ている。
これにより、参考例1と同様に、第1及び第2のフライアイレンズ35,37の厚み増加やこれに伴う照明効率の低下を抑制しつつ、YZ断面で必要な光束圧縮率を実現することができる。これにより、偏光ビームスプリッタ39における光束角度分布に敏感な方向(YZ断面方向)での光束角度分布を小さくして明るさむらやコントラスト低下を抑制しながら、明るい画像を投射することができる。
しかも、偏光ビームスプリッタ39における光束角度分布に鈍感な方向(XZ断面方向)についても光束角度分布を小さくすることで、この方向での光束角度分布が大きい場合に比べれば、明るさむらやコントラスト低下の抑制に寄与することができる。
[参考例4]
図17及び図18には、本発明の参考例4である照明光学系を示す。図17は該照明光学系のXZ断面を、図18はYZ断面をそれぞれ示す。
光源51から発せられた白色光は、楕円リフレクタ52で反射されて収束光束となる。該収束光束は、第1のフライアイレンズ53に入射する。光源51と楕円リフレクタ52とにより光源ランプLPが構成される。なお、楕円リフレクタ52に代えて、放物リフレクタを用いてもよい。
本参考例では、第1のフライアイレンズ53を構成する複数のレンズセルのそれぞれ(中心レンズセルを除く)を、XZ断面とYZ断面とで異なる量偏心させて、第1のフライアイレンズ53に全体としての両凸トーリックレンズ作用を付加している。
第1のフライアイレンズ53に入射した光束は、複数の光束に分割され、各分割光束は集光される。第1のフライアイレンズ53から射出した光束は、第2のフライアイレンズ54及び不図示の偏光変換素子の近傍に2次光源像を形成する。
ここで、本参考例では、第2のフライアイレンズ54を構成する複数のレンズセルのそれぞれ(中心レンズセルを除く)を、XZ断面とYZ断面とで異なる量偏心させて、第2のフライアイレンズ54に全体としての両凹トーリックレンズ作用を付加している。
偏光変換素子から射出した複数の分割光束(所定の偏光方向を有する直線偏光)は、コンデンサレンズ55によって集光され、偏光ビームスプリッタ56の偏光分離膜(光学面)56aを透過して反射型液晶パネル57上で重ね合わされる。
第1のフライアイレンズ53の両凸トーリックレンズとしてのXZ断面及びYZ断面での焦点距離の関係と、第2のフライアイレンズ54の両凹トーリックレンズとしてのXZ断面及びYZ断面での焦点距離の関係は、参考例3と同様である。
すなわち、XZ断面での圧縮率をαとし、YZ断面での圧縮率をβとすると、
α/β<1
(α≠0)
となっている。
そして、本参考例でも、参考例3と同様の作用効果を得ることができる。
なお、上記各参考例では、偏光ビームスプリッタを用いた照明光学系について説明した。しかし、照明光学系の光軸に対して傾いて配置された色分離作用を有するダイクロイック膜面を備えたダイクロイックプリズムやダイクロイックミラーを用いる照明光学系に、本参考例の光束圧縮構成を適用することもできる。
以上の参考例1〜4について、圧縮率α、β、及びα/βの値を算出した表が以下の表1である。但し、ここでの数値は条件式の範囲内においては変更しても本願の効果が損なわれるものでは無い。したがって、参考例1の圧縮率を他の参考例に適用しても構わないし、その逆を行っても、本願の効果が損なわれるものではない。また、参考例1以降の実施例または参考例に関しても、この表1に記載した圧縮率を適用しても構わない。
ここで、α/β<1である。より好ましくは、α/β<0.95、さらに好ましくはα/β<0.90とすることが望ましい。また、下限値は、α/β>0.3、より好ましくはα/β>0.5、さらに好ましくはα/β>0.7とすることが望ましい。
また、α>1であることは当然であるが、より好ましくはα>1.05、さらに好ましくはα>1.10を満足することが望ましい。また、βも同じくβ>1であることは当然であるが、より望ましくはβ>1.10、さらに望ましくはβ>1.25を満足することが望ましい。
[参考例5]
上記各参考例では、偏光変換素子よりも光源側に、XZ断面とYZ断面とで光束の圧縮率を異ならせる圧縮系を設けた照明光学系について説明した。しかし、偏光変換素子よりも偏光ビームスプリッタ側に同様の作用を有する圧縮系を設けてもよい。
この場合も、YZ断面での圧縮率がXZ断面での圧縮率よりも大きくなるように圧縮系を構成する。
以上説明した各参考例によれば、コントラスト低下を抑制しつつ、明るい画像を投射することが可能な画像投射用光学系を実現することができる。
以上の参考例1〜5に関しては、圧縮率を、圧縮系に入射する前(リフレクタから射出した直後)の光束径を、圧縮系から出射した直後の光束径で割った値として定義した。しかしながら、実施例1以降において用いる「圧縮率」及び「伸長率」と言う文言(以下、「変換率」とも称する)は、この定義の逆とする。すなわち、実施例1以降において用いる「圧縮率」及び「伸長率」(変換率)とは、圧縮系から出射した直後の光束径を、圧縮系に入射する前(リフレクタから射出した直後)の光束径で割った値として定義する。勿論、この「圧縮率」及び「伸長率」(変換率)は、実施例1以降で詳細に説明するように、圧縮系内の光学系の焦点距離を用いて定義しても構わない。
また、参考例1〜5におけるXZ断面、YZ断面と、実施例1〜5または参考例6〜10におけるXZ断面、YZ断面とは互いに異なる断面(互いに逆の断面)を指している。つまり、実施例1〜5または参考例6〜10におけるXZ断面とは、光学面(偏光分離面)の法線と平行な断面であり、YZ断面はそのXZ断面と垂直な断面である。勿論、XZ断面もYZ断面もZ軸(すなわち照明光学系の光軸)に対しては平行である。
このように、圧縮率の定義を実施例1以降で用いる「圧縮率」や「伸長率」(変換率)の定義に基づいて、光学面(偏光分離面)の法線と平行な断面(参考例1〜5におけるYZ断面)における変換率をγ(ガンマ)とする。また、それと直交する断面(参考例1〜5におけるXZ断面)における変換率をδ(デルタ)とする。その時、上記の表1は、以下の表1Aのように書き換えることができる。
この表1Aにおいて、γが1未満であることは当然であるが、γは好ましくは0.90未満、より好ましくは0.75未満であることが望ましい。またδも1未満であることは当然であるが、δは好ましくは0.95未満、より好ましくは0.90未満であることが望ましい。これは、参考例1〜5は勿論のこと、実施例1または参考例7〜10に関しても同様のことが言える。但し、実施例2〜5に関しては、光束を伸長するため、γやδは共に1よりも大きな値となる。
また、γ/δも1未満であることは当然であるが、好ましくは0.95未満、より好ましくは0.90未満であることが望ましい。また、γ/δは、0.3より大きい、より好ましくは0.5よりも大きい値(更に好ましくは0.6以上)であることが望ましい。これは参考例1〜5は勿論のこと、実施例1〜5または参考例7〜10に関しても同様のことが言える。
尚、実施例1以降においては、光学面(偏光分離面)の法線と平行な断面がXZ断面であり、それと垂直な断面がYZ断面と定義されている(参考例1〜5とは逆である)。すなわち、表1A中のγに相当するのは、実施例1以降のXZ断面における変換率(圧縮率、伸長率)であり、表1A中のδに相当するのは、実施例7以降のYZ断面における変換率である。言い換えれば、表1Aのγは、実施例1以降のα、或いは平行化倍率HXのことであり、表1Aのδは、実施例1以降のβ、或いは平行化倍率HYのことである。従って、表1Aのγ/δは、実施例1以降で記載するα/β、或いはHX/HYと同意であり、数値範囲も同様の範囲に存在することが望ましい。
[参考例6]
図19には、上記参考例1で説明した照明光学系を用いた液晶プロジェクタ(画像投射装置)の構成を示している。図19は、参考例1でいうYZ面を含む断面での構成を示している。なお、この液晶プロジェクタにおいて、照明光学系を参考例2〜5で説明したものに置き換えてもよい。
同図において、1は連続スペクトルで白色光を発光する光源、2は光源1からの光を所定の方向に集光する楕円リフレクタである。光源1とリフレクタ2により光源ランプLPが構成される。
100は参考例1で説明した照明光学系のうち光源ランプLPと偏光ビームスプリッタ7を除いた部分である。
158は青(B:430〜495nm)と赤(R:590〜650nm)の波長領域の光を反射し、緑(G:505〜580nm)の波長領域の光を透過するダイクロイックミラーである。青、赤、緑の波長領域は以上の記載に限定されるものではなく、上記の領域のうち40nm以上の幅を持った波長領域であればよい。159は透明基板に偏光素子を貼り付けたG用の入射側偏光板であり、S偏光光のみを透過する。60は多層膜により構成された偏光分離面においてP偏光光を透過し、S偏光光を反射する第1の偏光ビームスプリッタである。
61R,61G,61Bはそれぞれ、入射した光を反射するとともに画像変調する光変調素子(若しくは画像形成素子)としての赤用反射型液晶パネル、緑用反射型液晶パネル及び青用反射型液晶パネルである。62R,62G,62Bはそれぞれ、赤用1/4波長板、緑用1/4波長板及び青用1/4波長板である。
64は透明基板に偏光素子を貼り付けたRB用入射側偏光板であり、S偏光のみを透過する。
65はB光の偏光方向を90度変換し、R光の偏光方向は変換しない第1の色選択性位相差板である。66は偏光分離面においてP偏光を透過し、S偏光を反射する第2偏光ビームスプリッタである。67はR光の偏光方向を90度変換し、B光の偏光方向は変換しない第2の色選択性位相差板である。
68はRB用の射出側偏光板(偏光素子)であり、S偏光のみを透過する。69は偏光分離面においてP偏光を透過し、S偏光を反射する第3の偏光ビームスプリッタである。
以上のダイクロイックミラー158から第3の偏光ビームスプリッタ69までの光学素子により、色分解合成光学系200が構成される。
70は投射レンズ(投射光学系)であり、上記照明光学系100、色分解合成光学系200及び投射レンズ70により画像投射用光学系が構成される。ここで、投射レンズは、勿論ミラーとレンズを両方とも有していても構わないし、ミラーのみで構成されていても構わない。勿論、回折光学素子等を含んでいても構わない。
次に、照明光学系100を通過した後の光学的な作用を説明する。まず、Gの光路について説明する。
ダイクロイックミラー158を透過したGの光は入射側偏光板159に入射する。G光はダイクロイックミラー158によって分解された後もS偏光となっている。そして、G光は、入射側偏光板159から射出した後、第1の偏光ビームスプリッタ60に対してS偏光として入射し、その偏光分離面で反射され、G用反射型液晶パネル61Gへと至る。
該プロジェクタの液晶駆動回路250には、パーソナルコンピュータ、DVDプレーヤ、テレビチューナ等の画像供給装置300が接続されている。プロジェクタと画像供給装置300により画像表示システムが構成される。液晶駆動回路250は、画像供給装置300から入力された画像情報(映像情報)に基づいて各反射型液晶パネルを駆動し、これらに各色用の原画を形成させる。これにより、各反射型液晶パネルに入射した光は、反射されるとともに原画に応じて変調(画像変調)される。
画像変調されたG光のうちS偏光成分は、再び第1の偏光ビームスプリッタ60の偏光分離面で反射し、光源側に戻されて投射光から除去される。一方、画像変調されたG光のうちP偏光成分は、第1の偏光ビームスプリッタ60の偏光分離面を透過し、投射光として第3の偏光ビームスプリッタ69に向かう。このとき、すべての偏光成分をS偏光に変換した状態(黒を表示した状態)において、第1の偏光ビームスプリッタ60とG用反射型液晶パネル61Gとの間に設けられた1/4波長板62Gの遅相軸を所定の方向に調整する。これにより、第1の偏光ビームスプリッタ60とG用反射型液晶パネル61Gで発生する偏光状態の乱れの影響を小さく抑えることができる。
第1の偏光ビームスプリッタ60から射出したG光は、第3の偏光ビームスプリッタ69に対してP偏光として入射し、第3の偏光ビームスプリッタ69の偏光分離面を透過して投射レンズ70へと至る。
一方、ダイクロイックミラー158を反射したRとBの光は、入射側偏光板64に入射する。RとBの光はダイクロイックミラー158によって分解された後もS偏光となっている。そして、R光とB光は、入射側偏光板64から射出した後、第1の色選択性位相差板65に入射する。第1の色選択性位相差板65は、B光のみ偏光方向を90度回転する作用を持っており、これによりBの光はP偏光として、R光はS偏光として第2の偏光ビームスプリッタ66に入射する。S偏光として第2の偏光ビームスプリッタ66に入射したR光は、第2の偏光ビームスプリッタ66の偏光分離面で反射され、R用反射型液晶パネル61Rへと至る。
また、P偏光として第2の偏光ビームスプリッタ66に入射したB光は、第2の偏光ビームスプリッタ66の偏光分離面を透過してB用反射型液晶パネル61Bへと至る。
R用反射型液晶パネル61Rに入射したR光は画像変調されて反射される。画像変調されたR光のうちS偏光成分は、再び第2の偏光ビームスプリッタ66の偏光分離面で反射されて光源側に戻され、投射光から除去される。一方、画像変調されたR光のうちP偏光成分は、第2の偏光ビームスプリッタ66の偏光分離面を透過して投射光として第2の色選択性位相板67に向かう。
また、B用反射型液晶パネル61Bに入射したB光は画像変調されて反射される。画像変調されたB光のうちP偏光成分は、再び第2の偏光ビームスプリッタ66の偏光分離面を透過して光源側に戻され、投射光から除去される。一方、画像変調されたB光のうちS偏光成分は、第2の偏光ビームスプリッタ66の偏光分離面で反射して投射光として第2の色選択性位相板67に向かう。
このとき、第2の偏光ビームスプリッタ66とR用及びB用反射型液晶パネル61R,61Bの間に設けられた1/4波長板62R,62Bの遅相軸を調整することにより、Gの場合と同じようにR,Bそれぞれの黒の表示の調整を行うことができる。
こうして1つの光束に合成され、第2の偏光ビームスプリッタ66から射出したR光とB光のうちR光は、第2の色選択性位相板67によってその偏光方向が90度回転されてS偏光成分となる。さらに、R光は、射出側偏光板68で検光されて第3の偏光ビームスプリッタ69に入射する。
また、Bの光はS偏光のまま第2の色選択性位相板67をそのまま透過し、さらに射出側偏光板68で検光されて第3の偏光ビームスプリッタ69に入射する。尚、射出側偏光板68で検光されることにより、RとBの投射光は、第2の偏光ビームスプリッタ66とR用及びB用反射型液晶パネル61R,61B、1/4波長板62R、62Bを通ることによって生じた無効な成分をカットされた光となる。
そして、第3の偏光ビームスプリッタ69に入射したRとBの投射光は第3の偏光ビームスプリッタ69の偏光分離面で反射し、G光と合成されて投射レンズ70に至る。
合成されたR,G,Bの投射光(カラー画像)は、投射レンズ70によってスクリーンなどの被投射面に拡大投射される。
以上説明した光路は反射型液晶パネルが白表示の場合である為、以下に反射型液晶パネルが黒表示の場合での光路を説明する。
まず、Gの光路について説明する。ダイクロイックミラー158を透過したG光のS偏光光は、入射側偏光板159に入射し、その後、第1の偏光ビームスプリッタ60に入射して偏光分離面で反射され、G用反射型液晶パネル61Gへと至る。しかし、反射型液晶パネル61Gが黒表示状態であるため、G光は画像変調されないまま反射される。したがって、反射型液晶パネル61Gで反射された後もG光はS偏光光のままである。このため、再び第1の偏光ビームスプリッタ60の偏光分離面で反射し、入射側偏光板159を透過して光源側に戻され、投射光から除去される。
次に、RとBの光路について説明する。ダイクロイックミラー158で反射したRとBの光のS偏光光は、入射側偏光板64に入射する。そして、R光とB光は、入射側偏光板64から射出した後、第1の色選択性位相差板65に入射する。第1の色選択性位相差板65は、B光のみ偏光方向を90度回転する作用を持っており、これによりB光はP偏光として、R光はS偏光として第2の偏光ビームスプリッタ66に入射する。
S偏光として第2の偏光ビームスプリッタ66に入射したR光は、第2の偏光ビームスプリッタ66の偏光分離面で反射され、R用反射型液晶パネル61Rへと至る。また、P偏光として第2の偏光ビームスプリッタ66に入射したB光は、第2の偏光ビームスプリッタ66の偏光分離面を透過してB用反射型液晶パネル61Bへと至る。
ここで、R用反射型液晶パネル61Rは黒表示状態であるため、R用反射型液晶パネル61Rに入射したR光は画像変調されないまま反射される。したがって、R用反射型液晶パネル61Rで反射された後もR光はS偏光光のままである。このため、再び第2の偏光ビームスプリッタ66の偏光分離面で反射し、入射側偏光板64を通過して光源側に戻され、投射光から除去される。
一方、B用の反射型液晶パネル61Bに入射したB光は、B用反射型液晶パネル61Bが黒表示状態であるため、画像変調されないまま反射される。したがって、B用反射型液晶パネル61Bで反射された後も、B光はP偏光光のままである。このため、再び第2の偏光ビームスプリッタ66の偏光分離面を透過し、第1の色選択性位相差板65によりS偏光に変換され、入射側偏光板64を透過して光源側に戻されて投射光から除去される。これにより、黒表示が行われる。
本参考例においては、色分解合成光学系200において、波長選択性位相差板を用いたが、これをなくしてもよい。この場合、色分解合成光学系200内に配置された偏光ビームスプリッタが、可視領域内の特定の波長領域に対して偏光ビームスプリッタとして機能し、他の波長領域に対しては偏光方向に関わらず透過又は反射する特性を有する偏光分離膜を持つ構成とすればよい。
また、色分解合成光学系200と投射レンズ70との間に1/4位相差板を配置して、投射レンズ70内のレンズ面で反射されて戻ってきた光が再反射されて、再びスクリーン方向に戻るのを防ぐようにしてもよい。
さらに、本参考例では、液晶パネルを3枚用いた場合について説明したが、本発明においては、1枚、2枚又は4枚以上を用いてもよい。
また、本参考例においてフライアイレンズと記載したものは、シリンドリカルレンズを2枚近接して配置したもの、或いは貼り合わせたもので代用しても構わない。
図22、図23は、本発明の実施例1の照明光学系を用いたプロジェクタ(画像投射装置)の要部概略図である。なお、以下の実施例では、XZ断面及びYZ断面の定義及び圧縮率の意味が実施例1〜6と異なる。
図22、図23においては、401は高圧水銀放電管等の光源手段である。402は光束集光手段としての楕円リフレクタ(楕円ミラー)である。光源401の発光面401aは、楕円リフレクタ402の第1焦点P1に配置されている。
光源401から放射状に発せられた光束は、楕円リフレクタ402によって収束する光束(収斂光)に変換されて、楕円リフレクタ402の第2焦点P2に集光する。
尚、楕円リフレクタ402は放物面リフレクタと正レンズに置き換えて構成してもよい。
楕円リフレクタ402の頂点Tから第2焦点P2までの距離fpは光束集光手段402の焦点距離に相当している。すなわち、楕円リフレクタ(光束集光手段)402は、第1のレンズアレイ403よりも光源側の第2焦点の位置に、光源からの光束を集光させている。 尚、ここでの第2焦点とは、光源から発した光束が集光される位置のことであり、楕円リフレクタを用いない場合においては、単に集光点(集光位置)と言い換えてもよい。
第2焦点P2からの光束は、その第2焦点よりも偏光変換素子側に配置された第1のレンズアレイ403で複数の光束に分割される。その複数の分割光束は、第2のレンズアレイ404を介して偏光変換素子405の近傍または光入射側又は光射出側に、複数の2次光源像を形成する。
各2次光源像を形成した光束は、偏光変換素子405で所定の偏光方向を有する直線偏光に変換された後、コンデンサレンズ406に入射する。
コンデンサレンズ406から射出した複数の分割光束は、偏光ビームスプリッタ407の偏光分離面407aを透過して被照射面に設けた液晶パネル408上で重ね合わされる。これにより、液晶パネル408は均一な強度分布を有する照明光束によって照明される。
液晶パネル408において画像変調及び反射された光は、偏光ビームスプリッタ407の偏光分離面407aで反射されて投射レンズ409に導かれる。本実施例では、液晶パネル408を1枚のみ示しているが、実際の一般的なカラープロジェクタでは、画像形成素子としてR,G,B色光に対応した3つの液晶パネルが設けられる。偏光ビームスプリッタ407は、これら3つの液晶パネルに対してR,G,Bの各色照明光を導き、3つの液晶パネルからの各色画像光を合成する、いわゆる色分解合成光学系の一部を構成する。
尚、図22は偏光ビームスプリッタ407の偏光分離面407aの法線と、照明光学系の光軸oを含む第1断面(XZ面)を示している。
ここで光軸oとは、例えば、コンデンサレンズ406の中心と液晶パネル408のパネル面中心を通る軸線によって定義される。また光軸oはZ軸に相当する。
図23は、照明光学系の光軸oを含む第1断面と直交する第2断面(YZ面)を示している。
図22は、長方形状の液晶パネル408の短辺方向に平行な断面である。
図23は、液晶パネル408の長辺方向に平行な断面である。
このXZ断面は、偏光分離面407aの法線と液晶パネル408のパネル面(入射出面)の法線とに平行な断面と言い換えることができる。また、YZ断面は、XZ断面に対して垂直で、Z軸(光軸)と平行な断面であると言える。これらZ軸、XZ断面及びYZ断面の意味は、後述する以下の実施例でも同じである。
照明光学系は、光源手段からの光束を用いて偏光ビームスプリッタ407を介した照明光束による被照明面に配置された長方形状の反射型の画像形成素子としての反射型液晶パネル(液晶パネル)408を照明している。液晶パネル408によって画像変調された光(画像光)は、再度偏光ビームスプリッタ407を介して投射レンズ(投射光学系)409に導かれ、スクリーン等の被投射面に投射されている。
図22の第1断面内において、第1のレンズアレイ403の光入射側は、第1断面内においてのみ正の屈折力を有するシリンドリカル面より構成されている。第1レンズアレイ403の光射出面はレンズアレイ面により構成されている。第2レンズアレイ404の入射面は、レンズアレイ面により構成されている。第2レンズアレイ404の光射出面は屈折力がない面である。
図23の第2断面内において、第1レンズアレイ403の光入射面は屈折力のない面である。第1レンズアレイ403の光射出側は、レンズアレイ面により構成されている。第2レンズアレイ404の光入射面は、レンズアレイ面により構成されている。第2レンズアレイ404の光射出面は、第2断面内においてのみ正の屈折力を有するシリンドリカル面により構成されている。
第1断面内において、第1レンズアレイ403のシリンドリカル面の焦点距離をfxとするとき、第2焦点P2から第1レンズアレイ403までの距離はfxとなっている。第2焦点P2からの発散光束は第1レンズアレイ403を通過した後平行光束となり、平行光束の状態で第2レンズアレイ404と偏光変換素子405を通過してコンデンサレンズ406に入射する。
本実施例にいう平行光束とは、完全な平行な光束だけでなく、光学性能的に平行とみなせる光束も含む。
図22において、点線は第1レンズアレイ403の中心(光軸上)を通過する光束である。実線は第1レンズアレイ403の中心以外を通過する光束である。実線の光束が、液晶パネル408上に重なっている状態を示している。第1断面内において、第1レンズアレイ403は平行化手段を構成する。
図23の第2断面内において、第2レンズアレイ404の光射出面のシリンドリカル面における焦点距離をfyとする。
このとき、第2焦点P2から第2レンズアレイ404までの距離の空気換算値はfyである。
このため第2焦点P2からの発散光束のうち第1レンズアレイ403の光射出面のシリンドリカル面の中心と、第2レンズアレイ404の光入射面のシリンドリカル面の中心を通過した光束は第2レンズアレイ404の光射出面から射出するとき平行光束となる。
第1レンズアレイ403の光射出面と第2レンズアレイ404の光入射面に設けたレンズアレイ面によって複数の光源像が形成される。これらの複数の光源像は、コンデンサレンズ406の焦平面に形成される。
これらの複数の光源像からの光束は、偏光変換素子405を介し、コンデンサレンズ406によって、液晶パネル408上で重畳される。
第2断面内において第2レンズアレイ404は平行化手段を構成する。
図39は偏光変換素子405の一部分の説明図である。
偏光変換素子405は、平行化手段の光射出側又はその光路中に設けて用いられる。
偏光変換素子405は、複数の偏光分離面405aと、複数の反射面405bと、複数の1/2波長板405cとを有する。ここでの偏光変換素子405は、具体的には、偏光分離面405aと反射面(偏光分離面でも可)405bと1/2波長板405cとを1つの偏光変換素子部として有する。そして、偏光変換素子405は、この偏光変換素子部を光軸に対して略直交する方向に複数個配列したアレイ状の光学素子である。したがって、ここでの偏光変換素子405は、偏光変換素子アレイと称してもよい。
この偏光変換素子405において、各偏光分離面405aに入射した光のうち所定の偏光方向を有する偏光成分はこれを透過して偏光変換素子405から射出する。
一方、各偏光分離面405aに入射した光のうち上記所定の偏光方向に直交する偏光方向を有する偏光成分は、該偏光分離面405aで反射し、さらに反射面405bで反射する。そして、1/2波長板405cでその偏光方向が90度変換されて偏光変換素子405から射出する。こうして、偏光変換素子405は、入射した無偏光光を所定の偏光方向を有する直線偏光に変換する。
ここで、1/2波長板405cは偏光分離面405aを透過した光の光路上にのみ配置していても構わない。また、この偏光変換素子5は、色ごと(各パネルに対応する波長領域ごと)に無偏光光を直線偏光光にすればよく、それらの直線偏光光の方向は必ずしも同一である必要は無い。
すなわち、赤色光だけを後段の偏光ビームスプリッタ407に対してS偏光とし、緑色光と青色光を偏光ビームスプリッタ407に対してP偏光とする等、3色光のうち1つの色光の偏光方向と残りの2つの色光の偏光方向とを直交させてもよい。
具体的には、前述の偏光分離面405aに、緑色光と青色光のS偏光と赤色光のP偏光を反射し、緑色光と青色光のP偏光と赤色光のS偏光を透過する特性を持たせ、前述の偏光分離面405aで反射される光束の光路上に1/2波長板405cを配置すればよい。
本実施例では、楕円リフレクタ(第1の光学素子)402で反射した収束光束(収斂光)は、図22のXZ断面では第1のレンズアレイ(第2の光学素子)403で平行光束としている。又、図23のYZ断面では第2のレンズアレイ(第3の光学素子)404で平行光束としている。すなわち、XZ断面においては楕円リフレクタ402と第1のレンズアレイ403とによって構成される圧縮系によって光束を圧縮している。
また、YZ断面においては楕円リフレクタ402と第2のレンズアレイ404(フライアイレンズ)とによって構成される圧縮系によって、光束を圧縮している。
このように、本実施例では、楕円リフレクタ402から収束光束を射出させ、楕円リフレクタ402から第1及び第2のレンズアレイ403,404までの距離差を利用して、YZ断面よりも大きな光束圧縮率(平行化倍率)をXZ断面で得ている。
このため、第1のレンズアレイ403と第2のレンズアレイ404との間で急激に光束を圧縮する従来の例に比べて、各レンズアレイを構成するレンズセルの偏心量を大きくする必要がない。したがって、各レンズアレイの光軸方向での厚みの増加を抑えることができる。この結果、各レンズアレイで発生する収差を低減することができる。また、照明効率を大きく低下させることなくXZ断面で必要な光束圧縮率(平行化倍率)を実現することができる。これにより、偏光ビームスプリッタ407における光束角度分布に敏感な方向(XZ断面)での光束角度分布を小さくして明るさむらやコントラスト低下を抑制しつつ、明るい画像を投射している。
偏光ビームスプリッタ407における光束角度分布に鈍感な方向(YZ断面)についても光束角度分布を小さくすることで、この方向での光束角度分布が大きい場合に比べれば、明るさむらやコントラスト低下に寄与することができる。
本実施例では、液晶パネル408のパネル面に対する入射光束の角度分布は、図22の液晶パネル408の短辺方向に平行なXZ断面(第1断面)に比べて、図23の長辺方向に平行なYZ断面(第2断面)の方が大きい。
光源401と偏光ビームスプリッタ407との間に設けられ、照明光学系における互いに直交する第1断面(XZ断面)及び第2断面(YZ断面)においてそれぞれ光束を圧縮する平行化手段(第2及び第3の光学素子)403、404を有する。そして、平行化手段403、404による光束の圧縮率(平行化倍率)は、第1断面と第2断面とで互いに異なっている。
尚、光束の圧縮とは、光束集光手段402で光束径(言い換えれば光束幅)を縮小した後、平行化手段403、404で平行光束化するまでをいう。
そして、圧縮率とは、光束集光手段402で反射される光束径(光軸と垂直な方向の幅)Lrに対する平行化手段403、404を通過した後の光束径L(Lx、Ly)との比L/Lrをいう。
第1断面における光束の圧縮率をα、第2断面における光束の圧縮率βとする。
このとき、
α=Lx/Lr
β=Ly/Lr
である。ここで、
α≠β
α<1、β<1
α<β
α/β<1
である。
すなわち、図22の第1断面における光束の圧縮率αの方が、図23の第2断面における光束の圧縮率βよりも小さい。
例えば、
α=0.6
β=0.83
α/β=0.72
である。
本実施例では、
α/β≦0.75
となるように各要素を設定している。
より好ましくは、
0.5<α/β≦0.75
となるようにしている。
ここで、第1断面における圧縮率(変換率)α、第2断面における圧縮率(変換率)β、そしてその両者の比α/βそれぞれを、第1、2断面における平行化倍率HX、HY、HX/HYで置き換えてもよい。そこで、以下記載するHX、HYに関しては、圧縮率(変換率)α(γ)、β(δ)とほぼ同じ意味であり、α(γ)、β(δ)、α/β(γ/δ)に関して規定した条件式は、HX、HY、HX/HYにも適用できるものとする。したがって、γ/δの数値範囲と同様にHX/HYも1未満であることは当然であるが、好ましくは0.95未満、より好ましくは0.90未満であることが望ましく、更には前述したように0.75以下であることが望ましい。また、HX/HYは前述したように0.5より大きい(更に好ましくは0.6以上)ことが望ましいが、γ/δと同様に、少なくとも0.3より大きければ良い。
ここで、本実施例において第1断面(XZ面)と第2断面(YZ面)における、平行化倍率HX、HYとは次のことをいう。
第1断面(図22)における第1の平行化倍率(光束の圧縮率)HXは、
HX=|fx/fp|
である。
同様に第2断面(図23)における第2の平行化倍率HYは、
HY=|fy/fp|
である。
図22、図23から第2のレンズアレイ404が第1のレンズアレイ403よりも第2の焦点P2に対して離れた位置に配置されるために、
|fy|>|fx|
である。
よって、
HY>HX
なる条件を満足することとなる。
これにより、光束集光手段402からの光束は第1、第2断面において異なる圧縮率で圧縮され、第1、第2断面において幅(径)が異なる光束に変換される。
ここで、本実施例では、偏光変換素子405は光束の広い図23の第2断面内に偏光変換ユニットのアレイを構成し、偏光ビームスプリッタ407は光束の狭い第1断面方向に、偏光分離面407aによる折り曲げを行う。これによれば、偏光分離面407aで、明るさを損なうとこなく、コントラストを向上することができる。
XZ断面内の光束径を圧縮するXZ断面用平行化手段とYZ断面内の光束を圧縮するYZ断面用平行化手段とは、同一の光学素子で構成してもよい。また、レンズアレイの配置により平行化手段を有するように光学素子の一部が重複してもよいし、又互いに重複しない別々の光学素子で構成してもよい。
本実施例における平行化手段は、光源と偏光変換素子との間に配置されており、リフレクタで反射された時点での光束径をXZ断面及びYZ断面において圧縮している。このようにすれば、光源からの光を液晶パネルに導く照明光学系の瞳位置(光源像形成位置)における光束の径を細くすることができる。
そして、XZ断面とYZ断面において、光学素子の配置及びこれらの光学素子のパワーが互いに異なるような配置のうち少なくとも一方により、偏光変換素子に入射する段階(平行化手段を射出した段階)での光束径が両断面内で互いに異なるようにしている。つまり、XZ断面とYZ断面とで圧縮率を互いに異ならせている。
ここでは、主に偏光変換素子よりも光源側に平行化手段を配置している場合について記載しているが、平行化手段は、偏光変換素子よりも液晶パネル(投射光学系)側に配置しても構わない。
その場合、YZ断面における照明光学系の瞳位置(光源像形成位置)よりも光源側にYZ断面の光束径を圧縮するYZ断面用平行化手段を配置すればよい。また、XZ断面における照明光学系の瞳位置(光源像形成位置)よりも光源側にXZ断面の光束径を圧縮するXZ断面用平行化手段を配置すればよい。
これらは、後述する他の実施例でも同様である。
尚、他の実施例として、本実施例における平行化手段403、404による光束の圧縮の代わりに、圧縮とは逆に入射光束を第1断面と第2断面とで異なる比率で伸長してもよい。この場合、前述の実施例における圧縮系の代わりに、負の屈折力(光学パワー)を有する、すなわち光束発散作用を持つ光束発散手段と、その光束発散手段から射出する光束を平行にする正の屈折力を持つ平行化手段とにより構成される伸長系を用いる。光源及び光源からの光束を反射するリフレクタの外径が小さい場合(液晶パネル等の画像形成素子の大きさに比べて小さい、もしくは半分より小さい場合)、光束発散手段を用いる構成が望ましい。
この場合、第1断面と第2断面との光束の伸長率を各々HXX、HYYとする。このとき、第2断面での光束の伸長率が第1断面よりも大きくなるようにすれば、光束を圧縮したのと同様の効果が得られる。
すなわち、
HXX<HYY
とすればよい。
ここで、伸長率と圧縮率は、光束径(光束幅)が変換される比率としての変換率ということができる。また、伸長系及び圧縮系は、変換系ということができる。これらは後述する各実施例において全く同様である。
尚、平行化倍率HX、HYを求めるときの各断面における焦点距離は、以下のように定義した値を用いればよい。
図22、図23において第1、第2レンズアレイ403、404では、1つの面にシリンドリカル面を設け、他の面にレンズアレイ面を設ける形態を示したが、シリンドリカル面とレンズアレイ面を一体化した形態でもよい。
図24は、一体化したレンズアレイAの例を示す。ここでは、レンズアレイAの一方の光学面に、偏心した微小レンズ面(レンズセルLA1、LA2、LA2′)を複数配置している。
このとき、レンズアレイA(光学面)の焦点距離は、計算上、図24に示すようにレンズアレイ中心のレンズセルLA1の中心を通過する光線と、それに隣接するレンズセルLA2またはLA2′の中心を通過する光線の集光点より定義できる。
レンズアレイAを構成する各レンズセルを基準となる基準軸(照明光学系の光軸)oに垂直に配置したとき、基準軸oに平行な各レンズセル(LA1,LA2,LA2′など)の面法線が各レンズセルの光軸(o1,o2,o2′)と見なすことができる。
よって、図24において各レンズセルLA1,LA2,LA2’の中央(o1,o2,o2’)を通過する基準軸oに平行な光線を追跡すると、レンズセルLA2,LA2’では光線は屈折し、中央のレンズセルLA1の光軸に対して所定の位置Qで交差する。
レンズセルLA1のレンズ面から点Qまでの距離fgはをそれぞれの断面におけるレンズアレイAの焦点距離となる。
レンズセルLA2とLA2’が基準軸oに対して対称であるときには、レンズセルLA2,LA2’の中心を通過する光線は1つの点で中央のレンズセルLA1の光軸に対して交わり、非対称なときは異なる位置で交差する。このときは、異なる交差点の中間を用いてレンズアレイAの焦点距離を定義すればよい。
さらに、図25のように基準軸o上にレンズセルがない場合は、基準軸o近傍の2つのレンズセルLA3,LA3’に対して同様な作図を行うことで、レンズセルLA3,LA3’の中心を通る2つの光線の交点Q’から焦点距離fg’を定義することができる。
図26は、光束集光手段を、楕円リフレクタ(楕円ミラー)に代えて用いられる放物リフレクタ(対物ミラー)402aと正レンズ420との組み合せで構成した例である。光源401からの光束は、放物リフレクタ402aで反射して平行光束となり、正レンズ420に入射する。
正レンズ420の焦点位置を、図22,図23の第2焦点位置P2と一致させることにより、正レンズ420を通過した光束は第2焦点P2に集光する。これによって上記で説明した効果が同様に得られる。
このとき光束集光手段は、放物リフレクタ402aと正レンズ420からなり、光束集光手段の焦点距離は正レンズ420の焦点距離f20となる
また、図2のように放物リフレクタ402bと正レンズ420bを組み合わせたときには、次の如く定義するのがよい。
すなわち、放物リフレクタ402bの頂点T1に焦点距離fpのレンズがあり、さらに頂点T1から空気間隔dだけ間隔を空けて正レンズ(焦点距離=f20)420bがあるものとみなして、光束集光手段の焦点距離を定義すればよい。
尚、光束集光手段を楕円リフレクタと集光レンズとにより構成してもよい。
[参考例7]
図28、図29は本発明の参考例7の照明光学系の要部断面図である。
図28は第1断面(XZ面)、図29は第2断面(YZ面)を示している。
参考例7は、図22、図23で説明した実施例1に比べて楕円リフレクタ421と第1レンズアレイ424との間に回転対称の負レンズ423を配置した点が異なっているだけであり、その他の構成は同じである。
図28、図29において図22、図23と同じ部材には同一符号を付す。
図28、図29において、401は光源、421は楕円リフレクタ、423は負レンズ、424は第1のレンズアレイ、425は第2のレンズアレイである。405は偏光変換素子、406はコンデンサレンズ、407は偏光ビームスプリッタ(PBS)、408は反射型の液晶パネル、409は投射レンズ、410は位相板である。
図28、図29において、楕円リフレクタ421と負レンズ423によって光源401の虚像が形成される点P2′が、図22、図23における第2の焦点P2に相当する。
したがって、本参考例では、基本的に図28、図29の点P2’が、図22、図23の第2の焦点P2であるとして取扱えばよい。
本参考例では、光源401の発光点は楕円リフレクタ421の第1焦点P1に配置され、楕円リフレクタ421の第2焦点P2に光源401からの光束が集光する。楕円リフレクタ421は光束集光手段を構成している。
このとき楕円リフレクタ421の頂点Tから第2焦点P2までの距離が光束集光手段の焦点距離fpとなる。
楕円リフレクタ421から第2焦点P2との間に負レンズ423を設け、負レンズ423の負のパワーにより第2焦点(物点)P2を点P2’に結像させる。光束は点P2’から発散する光束となる。
第1レンズアレイ424の入射側の面は、図28のXZ断面において正のパワーを有するレンズアレイ形状をしている。ここでは、図26とは異なり、レンズセルの段差がないように配置しているが、レンズアレイにおける正のパワーの焦点距離の求め方は図26と同じである。
この形状で得られる第1レンズアレイ424の焦点距離をfxとし、第1レンズアレイ424をP2‘からfxだけ離れた位置に配置することで、この断面で光束を平行化する作用を有する。
よって、負レンズ423と第1レンズアレイ424が、第1断面XZの平行化手段を構成する。
第1断面(XZ面)内の平行化手段の焦点距離は、負レンズ423の焦点距離f23と第1レンズアレイ424の焦点距離fx1によって決まる。
図28の第1断面において、負レンズ423のレンズアレイ側の主平面位置から第1レンズアレイ面424までの空気換算距離をL1とする。負レンズ423と第1レンズアレイ424の合成の焦点距離は、
fx=1/(1/f23+1/fx1−L1/f23/f1)
となる。
第2のレンズアレイ425の射出側は、図29の断面YZにおいて正のパワーを有するレンズアレイ形状をしている。
この形状で得られる第2レンズアレイ425の焦点距離をfy1とし、第2レンズアレイ425を点P2‘から空気換算で距離fyだけ離れた位置に配置することでこの断面YZで光束を平行化する作用を有する。
よって負レンズ423と第2レンズアレイ425が第2断面YZの平行化手段となる。
第2断面(YZ面)内の平行化手段の焦点距離は、負レンズ423の焦点距離f23とそれぞれのレンズアレイ424、425の焦点距離fy1で決まる。
第2断面(図29)においては、負レンズ423のレンズアレイ側主平面位置から第2レンズアレイ面425までの距離をL2とすると、負レンズ423と第2レンズアレイ425の合成の焦点距離は、
fy=1/(1/f23+1/fy1−L2/f23/fy1)
となる。
このとき、第1断面(図28)における第1の平行化倍率HXは、
HX=|fx/fp|
である。
同様に第2断面(図29)における第2の平行化倍率HYは、
HY=|fy/fp|
である。
図28,図29から第2レンズアレイ425が第1レンズアレイ424よりも第2の焦点P2に対して離れた位置に配置されるために、
|fy|>|fx|
である。よって、
HY>HX
となり、光束集光手段からの光束は第1、第2断面において異なる圧縮率で圧縮され、第1、第2断面において幅(径)が異なる光束に変換される。
例えば、f23=−50mm、fx=150mm、L1=50mm、fy=200mm、L2=100mmとすると、
fx=−150mm
fy=−200mm
となる。
ここで、
HX/HY=|fx/fy|=0.75
となる。
(参考例7の変形例)
図30、図31は、参考例7の変形例であり、図28、図29に対応している。
図30、図31において、401は光源、421aは楕円リフレクタ、423aは回転対称の負レンズ、424aは第1のレンズアレイ、425aは第2のレンズアレイである。405は偏光変換素子、406はコンデンサレンズ、407は偏光ビームスプリッタ(PBS)、408は反射型の液晶パネル、409は投射レンズである。
図30において、光源401は楕円リフレクタ421aの第1焦点P1近傍に配置され、楕円リフレクタ421aの第2焦点P2に光源401からの光束が集光するので、楕円リフレクタ421aが光束集光手段となる。
このとき楕円リフレクタ421aの頂点Tから第2焦点P2までの距離が光束集光手段の焦点距離fpとなる。
楕円リフレクタから第2焦点P2の間に負レンズ423aを設け、負レンズ423の負のパワーにより光束は平行化される。
図30の第1断面において、第1のレンズアレイ424aと、第2のレンズアレイ425aは共にパワーを有していない(レンズセルが一様に並べられたレンズアレイである)。よって、負レンズ423aが第1の方向の平行化手段となる。
図31の第2断面では、第1のレンズアレイ424aが負のパワーを有するレンズアレイの形状をしており、第2のレンズアレイ425aが正のパワーを有するレンズアレイの形状をしている。
この形状で得られる第1のレンズアレイ424aと第2のレンズアレイ425aの焦点距離をそれぞれfy1、fy2とする。そして、fy1、fy2に対応するそれぞれの焦点位置が点R1で一致するように第1のレンズアレイ424aと第2のレンズアレイ425aを配置する。これにより、この第2断面では、第1のレンズアレイ424aで光束が発散したのち、再び第2のレンズアレイ425aで光束を平行化する作用を有する。
よって、負レンズ423aと第1のレンズアレイ424aと第2のレンズアレイ425aが第2断面内での平行化手段となる。
平行化手段の焦点距離fx,fyは、負レンズ423aの焦点距離f23とレンズアレイ424a、425aのそれぞれの焦点距離fy1,fy2によって決まる。
第1断面(図30)においては、負レンズ423aの焦点距離と同じで、
fx=f23
となる。
図31において、第1のレンズアレイ424aの焦点距離をfy1、第2のレンズアレイ425aの焦点距離をfy2とする。このとき、第2断面(図31)においては、3つの光学素子423a、424a、425aの合成の焦点距離から、
fy=f23*|fy2/fy1|
となる。
このとき第1断面(図30)における第1の平行化倍率HXは、
HX=|fx/fp|
である。
同様に第2断面(図31)における第2の平行化倍率HYは、
HY=|fy/fp|
である。
図31から|fy2|>|fy1|であるために、
|fy|>|fx|
である。よって、
HY>HX
となり、光束集光手段421aからの光束は第1、第2断面において異なる圧縮率で圧縮され、第1、第2断面において幅(径)が異なる光束に変換される。
[参考例8]
図32、図33には、本発明の参考例8の照明光学系の要部断面図である。
図32は第1断面(XZ面)、図33は第2断面(YZ面)を示している。
図32、図33において、図22、図23と同じ部材には同一符号を付している。
図32、図33において、401は光源、432は楕円リフレクタ、433は第1のレンズアレイ、434は第2のレンズアレイである。405は偏光変換素子、406はコンデンサレンズ、407は偏光ビームスプリッタ(PBS)、408は反射型の液晶パネル、409は投射レンズ、410は位相板である。
図中、一点鎖線oは照明光学系の基準軸(光軸)で、楕円リフレクタ432の回転対称軸やコンデンサレンズ406の光軸と一致している。(但し、これらは必ずしも一致する必要はない。)
光源401は楕円リフレクタ432の第1焦点P1近傍に配置され、楕円リフレクタ432の第2焦点P2に光源401からの光束が集光する。楕円リフレクタ432が光束集光手段となる。
このとき楕円リフレクタ432の頂点Tから第2焦点P2までの距離が光束集光手段の焦点距離fpとなる。
第2のレンズアレイ434の入射側が図32の断面に負のレンズパワーを有するシリンダー形状をしている。
この形状で得られる第2のレンズアレイ434の焦点距離をfxとする。第2のレンズアレイ434を第2の焦点P2から距離fxだけ離れた位置に配置することで、この断面で光束を平行化する作用を有する。
よって、第2のレンズアレイ434が第1断面内の平行化手段となる。
第1のレンズアレイ433の射出側が、図33の断面に負のレンズパワーを有するシリンダー形状をしている。
この形状で得られる第1のレンズアレイ433の焦点距離をfyとし、第1のレンズアレイ433を第2の焦点P2から空気換算で距離fyだけ離れた位置に配置することでこの断面で光束を平行化する作用を有する。
よって、第1のレンズアレイ433が第2断面内の平行化手段となる。
第1断面(図32)における第1の平行化倍率HXは、
HX=|fx/fp|
である。
同様に第2断面(図33)における第2の平行化倍率HYは、
HY=|fy/fp|
である。
図32,33から第1レンズアレイ433が第2レンズアレイ434よりも第2の焦点P2に対して離れた位置に配置されるために、
|fy|>|fx|
である。よって、
HY>HX
となり、光束集光手段からの光束は第1、第2断面において異なる圧縮率で圧縮され、第1、第2断面において幅(径)が異なる光束に変換される。
ここで、fp=200mm、fx=90mm、fy=150mmとすると、
HX=0.45、HY=0.75、HX/HY=0.6となる。
[参考例9]
図34は、反射型の液晶パネルを3つ用いたカラープロジェクタ(画像投射装置)に実施例1または参考例7、8の照明光学系を適用したときの要部概略図である。
本参考例のプロジェクタは、図34に示すように、コンデンサレンズ406と偏光ビームスプリッタ471,472(PBS)の間に色分解素子501を設け、偏光ビームスプリッタ471、472と投射レンズ409の間に色合成素子502を設けた3板式のプロジェクタである。
図34において、図22、図23に示す各部材と同じ部材には同符番を付している。
図34において、503,504,505はそれぞれG,R,B色光用の反射型の画像形成素子である。506,507,508はそれぞれG,R,B色光用の2分の1位相板である。471はG色光用のPBSである。472はRB色光用のPBSである。509は色選択性位相板である。
また、画像形成素子は反射型に限らず透過型でもよい。透過型の場合は画像形成素子における相対的にコントラスト特性が低い側に対して、直交する2つの断面方向のうち圧縮された光束幅の比率が小さい方向を設定するのがよい。
各実施例又は参考例において、光束平行化手段は、光束の圧縮比を計算するとき方向に寄らず一定の焦点距離として扱うのが望ましく、リフレクタから共通の正のパワーの光学素子までの光学系を光束圧縮系と考えればよい。
[参考例10]
図35、図36は、放物リフレクタRFからの光を2つの断面(XZ面、YZ面)で正のパワーが異なる(fx、fy)トーリックレンズTLで集光する場合を示す。
図37、図38は、図35、図36の屈折力配置の模式図である。
この光学系では、図37,38のように正のパワーの小さい側の焦点距離(fy)をXZ断面とYZ断面とに共通の焦点距離としている。また、図37のXZ断面では、正のパワーの強い側の焦点距離(fx)が、焦点距離fyの正のレンズと焦点距離fx’の正のレンズとが間隔0で配置されることによって形成されていると考えられる。
このときには焦点距離fx’を平行化手段の一部と考えて合成の焦点距離の計算をすれば、各実施例または参考例の条件がそのまま適用できる。
高輝度の光源では熱的な問題より、リフレクタの大きさを小さくすることはできない。このため、例えば30Wよりも高輝度のランプを使用し、かつ対角1インチ以下の小型の画像形成素子を使う場合は、リフレクタからの光束を狭めることが、効率アップに有効である。この場合は、平行化倍率HYを、
HY<1
となるようにするのがよい。
以上のように各実施例または参考例によれば、明るく高いコントラストを有する画像を投射できる照明光学系及びそれを有する画像投射装置が得られる。
本発明の実施例2の概略図を図40A、40Bに示す。この実施例2は、光源(又はリフレクタ)から射出した光束の光束径を伸長する実施例である。このように光束径を伸長する実施例は、光源、或いはリフレクタの外径が小さい場合に特に有効である。
光源として、前述の実施例または参考例と同じく高圧水銀ランプを用いても構わないが、キセノンランプやレーザ光源等を用いた小型化が容易な光源を用いた場合に特に好適である。具体的には、画像形成素子の有効領域(画像表示領域)よりもリフレクタの外径やレーザ光源のレーザ発振領域が小さい場合、特に(各断面内で)リフレクタの外径やレーザ光源のレーザ発振領域が画像形成素子の有効領域の半分以下の場合に好適である。
ここで、図40AはXZ断面図であり、液晶パネル(液晶表示素子、画像形成素子)の短辺方向と平行な断面であり、光束の伸長率が後述するYZ断面よりも低い(変換率が小さい)断面である。図40BはYZ断面図であり、液晶パネルの長辺方向と平行な断面であり、図40Aの断面と比較して光束の伸長率が高い(変換率が大きい)断面である。
1001は光源(発光点)であり、光を放射状に発している。1002は放物面リフレクタ(放物面鏡)であり、光源から発した光束を平行光束に変換している。1003は凹レンズ(第1の光学素子)であり、リフレクタから射出した平行光束を発散光束に変換している。ここで、放物面リフレクタ1002は、楕円リフレクタであっても構わないし、また、放物面リフレクタ1002から反射される光束が発散光束となるように、光源の位置とリフレクタの位置を設定しても構わない。
図40Aの断面、すなわちXZ断面において、1004は、複数の微小レンズセル(微小なシリンドリカルレンズセル)を備え、発散光束を平行化しつつ(平行光束に変換しつつ)複数の分割光束に分割する第1のレンズアレイである。1005は、1004と同じく複数の微小レンズセルを備え、複数の分割光束を後段の偏光変換素子1006に導く第2のレンズアレイである。
1007はコンデンサレンズ、1008は偏光分離素子(偏光ビームスプリッタ)、1009は1/4波長板、1010は液晶パネル、1011は投射レンズであり、これらの機能についての説明は前述の実施例または参考例と同じなので省略する。
図40Bの断面、すなわちYZ断面において、1004は、複数の微小レンズ(微小なシリンドリカルレンズ)を備え、発散光束を発散光束のまま射出する(平行化作用を持たない)第1のレンズアレイである。この第1のレンズアレイは、同時に発散光束を複数の分割光束に分割している。
1005は、1004と同じく複数の微小レンズセルを備え、発散光束を平行化しつつ(平行光束に変換しつつ)後段の偏光変換素子1006に導く第2のレンズアレイである。1007〜1011に関しては図40Aの断面(XZ断面)と同じく、前述した実施例ま たは参考例と同じ機能であるため、ここでは説明を省略する。
本実施例では、液晶パネル1010のパネル面に対する入射光束の角度分布は、図40Aの液晶パネル1010の短辺方向に平行なXZ断面(第1断面)に比べて、図40Bの長辺方向に平行なYZ断面(第2断面)の方が大きい。
光源1001と偏光ビームスプリッタ1008との間に設けられ、照明光学系における互いに直交する第1断面(XZ断面)及び第2断面(YZ断面)においてそれぞれ光束を伸長する平行化手段(第2及び第3の光学素子)1004、1005を有する。平行化手段1004、1005は、伸長系とも言える。そして、平行化手段1004、1005による光束の伸長率(平行化倍率)は、第1断面と第2断面とで互いに異なっている。
尚、光束の伸長とは、光束発散手段1003で光束径(光束幅)を拡大した後、平行化手段1004、1005で平行光束化するまでをいう。
そして、伸長率とは、光束発散手段1003で拡大される光束径(光軸と垂直な方向の幅)Lrに対する平行化手段1004、1005を通過した後の径をL(Lx、Ly)との比L/Lrをいう。
第1断面における光束の伸長率をα、第2断面における光束の伸長率をβとする。
このとき、
α=Lx/Lr
β=Ly/Lr
である。ここで、
α≠β
α>1、β>1
α<β
α/β<1
である。
すなわち、図40Aの第1断面における光束の伸長率αの方が、図40Bの第2断面における光束の伸長率βよりも小さい。
ここで、例えば、Lr=30mm、Lx=12mm、Ly=18mmだとすると、
α=0.4
β=0.6
α/β=0.67
となる。
図41及び図42は、本発明の実施例3である照明光学系を含む画像投射用光学系のXZ断面及びYZ断面を示す図である。
図41中、701は発散光を放射する光源ユニット、703は第1のレンズアレイ、704は第2のレンズアレイ、705は偏光変換素子、706はコンデンサレンズ、707は偏光ビームスプリッタ(PBS)である。708は反射型液晶パネル、709は投射レンズ、710は位相板である。
光源ユニット701は、光を発する電極711,712が放物ミラー713と一体で構成されたキセノンランプ等の発光素子を備えた高出力発光可能な光源部714と、該光源部714からの光が放射する側に設けられた凹レンズ715とから構成されている。光源部714から放射された光束は、凹レンズ715により発散光束に変換される。
図中の一点鎖線oは、照明光学系の基準軸であり、放物ミラー713の回転対称軸やコンデンサレンズ706の光軸と一致している(ただし、これらは必ずしも一致する必要はない)。
第1のレンズアレイ703の入射側は、図41のXZ断面において正の光学パワーを有するシリンダー形状を有する。
この形状の焦点距離をfxとし、焦点位置を凹レンズ715の焦点位置にほぼ配置することで、この断面で光束を平行化する作用を有する。
図中に太点線で示した光線は、レンズアレイの中心を通過する光線を表わしており、該光線は平行化されている。第1のレンズアレイ703以降に示した細実線は、分割された光束が、反射型液晶パネル708上で重なっている状態を表している。第1のレンズアレイ703は、XZ断面での平行化手段となる。
第2のレンズアレイ704の出射側は、図42のYZ断面において正の光学パワーを有するシリンダー形状を有する。
この形状の焦点距離をfyとし、焦点位置を凹レンズ715の焦点位置にほぼ配置することで、この断面で光束を平行化する作用を有する。すなわち、第2のレンズアレイ704がYZ断面での平行化手段となる。
図41及び図42から、第2のレンズアレイ704が第1のレンズアレイ703よりも凹レンズ715に対して離れた位置に配置されるために、
|fy|>|fx|
である。よって、光束集光手段としての楕円リフレクタ713からの光束はXZ断面とYZ断面において幅(径)が異なる光束に変換される。
ここで、偏光変換素子705では、光束幅の広い第2の断面方向に偏光変換素子のアレイを構成する。また、偏光ビームスプリッタ707では、光束幅の狭い第1の断面方向に偏光分離面による光束の折り曲げを行う。これにより、明るさを損なうことなく、コントラストを向上させることができる。
ここで、図41及び図42には、各レンズアレイでは、一方の面にシリンダー形状を設け、他方の面にレンズアレイ形状を設ける場合を示したが、シリンダー形状とレンズアレイを一体化して一方の面に設けてもよい。
図43には、本発明の実施例4である照明光学系における光源ユニットを示す。
本実施例の光源ユニット721は、LEDやLDなどのチップ上の光源722から発散放射される光を、凸レンズ723により小さな発散角の光に変換して射出する構成を有する。図43においては、射出する光を細実線で表わしている。
このような光源ユニット721は、1つの光源では光量が不足するので、図44に示すように複数個並べた光源ユニット731として使用するのが望ましい。
図45及び図46には、図44に示した光源ユニット731を用いた照明光学系を含む画像投射用光学系のXZ断面及びYZ断面を示す。光源ユニット以外は、実施例3と同じであるので、同じ符号を付して説明を省略する。
本実施例の光学系の光源として、電極を有しない放電光源を用いてもよい。
図47には、本発明の実施例5である照明光学系に用いられるさらに別の光源ユニットを示している。
本実施例では、複数の光源842から発せられた平行光束を、該複数の光源842に対応した複数のレンズセルを有するレンズアレイ843で、それぞれ一旦集光した後、発散光束として照明光学系に導く。光束を細実線で示している。