JP2012143845A - 非晶質ガラス基板用研磨液組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セリア粒子、シリカ粒子、及び水を含有する非晶質ガラス基板用研磨液組成物であって、前記研磨液組成物中におけるセリア粒子とシリカ粒子の合計含有量が4〜20重量%であり、前記セリア粒子と前記シリカ粒子との重量比(セリア粒子/シリカ粒子)が5/95〜30/70であり、pHが4〜12である、非晶質ガラス基板用研磨液組成物。
【選択図】なし
Description
本発明の研磨液組成物は、研磨速度を向上させる観点、並びに、表面粗さ、ピット及びキズを低減する観点から、セリア粒子、シリカ粒子、及び水を含有する。研磨液組成物中におけるセリア粒子とシリカ粒子の合計含有量は、経済的に研磨速度を向上させる観点、表面粗さ、ピット及びキズを低減する観点から、4〜20重量%であり、好ましくは5〜16重量%、より好ましくは6〜14重量%、さらに好ましくは7〜13重量%、さらにより好ましくは8〜12重量%である。
本発明に用いられるセリア粒子は、市販品であってもよいし、自家調製したものであってもよい。セリア粒子の調製方法としては、焼成法、水熱合成法、塩・触媒法、気相法(PSV法)等の従来公知の方法が挙げられるが、なかでも、焼成法が好ましい。より具体的には、研磨速度をさらに向上させる観点から、本実施形態の研磨液組成物に含まれるセリア粒子は、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩又はシュウ酸塩等の形態のセリウム化合物を焼成することにより得られるセリア粒子であると好ましい。他の成分と混合される前のセリア粒子の形態は、特に制限されず、粉末状であってもよいし、ゾル状であってもよい。
平均一次粒子径(nm)=820/S
本発明の研磨液組成物は、研磨速度向上の観点から、砥粒としてシリカ粒子を含有する。本発明に用いられるシリカ粒子としては、コロイダルシリカ粒子、ヒュームドシリカ粒子、表面修飾したシリカ粒子等が挙げられる。表面粗さ、ピット、キズを低減する観点から、コロイダルシリカ粒子が好ましい。シリカ粒子の使用形態としては、スラリー状であるのが好ましい。
本発明の研磨液組成物は、セリア粒子の分散安定性を向上する観点、研磨速度を向上させる観点、並びに、表面粗さ、ピット及びキズを低減する観点から、分散剤を含有することが好ましい。分散剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の界面活性剤、あるいは、ポリアクリル酸又はその塩、アクリル酸系共重合体又はその塩、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合体(プルロニック類)等の高分子分散剤等が挙げられる。中でも、分散効果の観点から、ポリアクリル酸又はその塩が好ましい。
本発明の研磨液組成物は、媒体として水を含有する。水としては、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等が使用され得る。研磨液組成物中の水の含有量は、研磨液組成物の取扱いがさらに容易になるため、70重量%以上が好ましく、より好ましくは75重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上、さらにより好ましくは85重量%以上である。また、前記水の含有量は、研磨速度向上の観点から、96重量%以下が好ましく、より好ましくは95重量%以下、さらに好ましくは94重量%以下である。従って、前記媒体の含有量は、70〜96重量%が好ましく、より好ましくは75〜95重量%、さらに好ましくは80〜94重量%、さらにより好ましくは85〜94重量%である。
本発明の研磨剤組成物のpHは、必要に応じてpH調整剤を用いて調整されうる。pH調整剤としては、塩基性化合物、又は酸性化合物等があげられる。塩基性化合物としては、アンモニア、水酸化カリウム、水溶性有機アミン及び四級アンモニウムハイドロオキサイド等があげられる。酸性化合物としては、硫酸、塩酸、硝酸又はリン酸等の無機酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、グリコール酸、リンゴ酸、クエン酸又は安息香酸等の有機酸等があげられる。
本発明の研磨液組成物は、さらに、殺菌剤、抗菌剤、増粘剤、防錆剤等を含んでもよい。これらの成分の研磨液組成物中の含有量は、研磨特性の観点から、5重量%以下が好ましく、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。
本発明の研磨液組成物は、各成分を公知の方法で混合することにより、調製することができる。研磨液組成物は、経済性の観点から、通常、濃縮液として製造され、これを使用時に希釈する場合が多い。したがって、本発明の研磨液組成物も、そのまま使用する形態でもよいし、濃縮液の形態であって希釈して使用するものでもよい。濃縮液を希釈する場合、その希釈倍率は、特に制限されず、前記濃縮液における各成分の濃度(研磨材の含有量等)や研磨条件等に応じて適宜決定できる。研磨液組成物のpHは、前記成分の混合後、所定のpHに調整してもよいし、混合前にそれぞれ調整していてもよい。
本発明の研磨液組成物は、非晶質ガラス基板用の研磨液組成物である。本明細書において、本発明の研磨液組成物を用いた研磨の対象である非晶質ガラス基板は、結晶質部分の割合が非晶質部分の割合よりも少ないガラス基板を言い、結晶質部分の割合が10重量%未満のガラス基板が好ましい。前記結晶質部分の割合は、例えば、実施例に記載のX線回折法により求めることができる。
したがって、本発明は、その他の態様として、本発明の研磨液組成物を用いた非晶質ガラス基板の研磨方法(以下「本発明の研磨方法」とも言う。)に関する。また、本発明は、さらにその他の態様として、非晶質ガラス基板の研磨における本発明の研磨液組成物の使用に関する。
本発明の研磨液組成物を用いた研磨は、ガラスハードディスク基板の製造方法における研磨工程に適用できる。したがって、本発明は、一態様において、本発明の研磨液組成物を用いて非晶質ガラス基板である被研磨基板(被研磨非晶質ガラス基板)を研磨する工程(以下「ガラス基板研磨工程(1)」とも言う。)を含むガラスハードディスク基板の製造方法(以下「本発明の基板製造方法」とも言う。)に関する。また、本発明は、その他の態様として、非晶質ガラス基板である被研磨基板を研磨する工程を含むガラスハードディスク基板の製造方法における本発明の研磨液組成物の使用に関する。
非晶質ガラス基板の研磨に用いられる研磨装置としては、特に制限はなく、被研磨基板を保持する、アラミド製やガラスエポキシ製等の治具(「キャリア」ともいう。)と、研磨布(「研磨パッド」ともいう。)を備えた片面又は両面研磨装置を用いることができる。中でも、両面研磨装置が好適に用いられる。
下記表1に示す組成となるように実施例1〜9及び比較例1〜9の研磨液組成物を調製した。具体的には、水に必要量のセリア粒子を攪拌・分散させ、その後必要量のコロイダルシリカ粒子を攪拌・分散させ20分間のマグネットスターラー攪拌を行う手法で研磨液組成物を調製した。実施例7の研磨液組成物のpHは、硫酸を用いて5.0に調整し、実施例8の研磨液組成物のpHは、KOHを用いて11.0に調整し、比較例7の研磨液組成物のpHは、硫酸を用いて2.0に調整した。比較例1及び比較例4の研磨液組成物については、pH調整していない。その他の研磨液組成物のpHは、下記表1に示すとおり、硫酸を用いて6.5〜6.7に調整した。なお、実施例9の研磨液組成物は、0.01重量%となるように、分散剤としてポリアクリル酸アンモニウム(分子量35,000、花王株式会社製)を添加した。セリア粒子の体積中位径、コロイダルシリカ粒子の平均一次粒子径、平均面積比R、及び平均凸部個数、並びに、分散剤の平均重量分子量は、下記の条件で測定した。
セリア粒子の体積中位径(D50)を、レーザー回折・散乱式粒度分布計(商品名LA−920、堀場製作所製)で測定した体積基準のメジアン径として算出した。
セリア粒子中の全希土類酸化物の含有量は、酸で溶解し、溶液にシュウ酸を添加して沈殿物を生じさせ、この沈殿物を焼成して重量法にて測定した。また、前記全希土類酸化物に占める酸化セリウムの含有量は、ICP−AES法にて測定した。前記酸化セリウム含有量は、例えば、X線回折法によっても測定することができる。
シリカ/コロイダルシリカ粒子を含む試料を、透過型電子顕微鏡「JEM−2000FX」(80kV、1〜5万倍、日本電子社製)により当該製造業者が添付した説明書に従って試料を観察し、TEM(Transmission Electron Microscope)像を写真撮影した。この写真をスキャナで画像データとしてパソコンに取り込み、解析ソフト「WinROOF ver.3.6」(販売元:三谷商事)を用いて、個々のシリカ粒子の円相当径を計測し、粒子径を求めた。このようにして、1000個のシリカ粒子の粒子径を求めた後、これらの平均値を算出し、この平均値を平均粒子径とした。
透過型電子顕微鏡(TEM)(JEM―2000FX、製造元;日本電子)によって、加速電圧80kV、撮影倍率5〜10万倍の条件で取得した画像を、画像解析ソフト(WinROOF、販売元;三谷商事)を用いて解析した。解析時の画像解像度は0.5nm/pixel以下が好ましく、10万倍画像の場合0.22nm/pixel、5万倍画像の場合0.44nm/pixelの解像度条件で解析した。解析手順は、独立した任意の粒子20個について、まず、TEM画像を色調調整/白黒反転した後、自動2値化及び必要に応じ手動操作により、粒子画像を忠実に再現してから自動計算により、各粒子について投影面積(A1)を求めた。次に各粒子に対し手動により、最大内接円を描いて最大内接円の面積(A)を求めた。そして、各粒子に対応した投影面積(A1)及び最大内接円面積(A)から、各粒子の面積比R(=A1/A)を算出し、面積比Rの平均値を求めた。
凸部のカウント方法は、以下のように行った。透過型電子顕微鏡(TEM)(JEM―2000FX、製造元;日本電子)によって、加速電圧80kV、撮影倍率5〜10万倍の条件で取得した画像を、画像解析ソフト(WinROOF、販売元;三谷商事)を用いて、前記面積比Rを求めたシリカ粒子20個について輪郭を注意深く観察し、各粒子における最大内接円半径(r)の1/5〜1/2の曲率半径を持った凸部箇所の個数をカウントし、凸部個数の平均値を求めた。解析時の画像解像度は0.5nm/pixel以下が好ましく、10万倍画像の場合0.22nm/pixel、5万倍画像の場合0.44nm/pixelの解像度の条件で解析した。
分散剤の重量平均分子量は、下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により得られるクロマトグラム中のピークに基づいて算出した。
(GPC条件)
カラム:G4000PWXL+G2500PWXL(商品名、いずれも東ソー社製)
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/アセトニトリル=9/1(容量比)
流量:1.0mL/分
カラム温度:40℃
検出器:RI検出器
標準物質:ポリエチレンオキサイド(PEO、アニオン水系低分子用、重量平均分子量2.1万、10.1万、18.5万、54万、いずれも東ソー社製、重量平均分子量25.8万、100.1万、いすれも創和化学株式会社製)
上記で調製した実施例1〜9及び比較例1〜9の研磨液組成物を使用して、下記非晶質ガラス基板を被研磨基板として、下記条件で研磨を行った。
〔被研磨非晶質ガラス基板の調製〕
アルミナを含有する研磨液組成物であらかじめ精研削したアルミノ珪酸ガラス基板を非晶質ガラス基板として用意した。非晶質ガラス基板における結晶質部分の割合については、下記X線回折法により測定した。使用した非晶質ガラス基板の結晶質部分の割合は10重量%未満であった。また、研磨前の非晶質ガラス基板の表面粗さ(Ra)は、0.3〜0.4μmであった。
アルミノ珪酸ガラス基板を割断した後、乳鉢で解砕して測定用サンプルを得た。X線回折法による測定条件は下記の通りとした。
(測定条件)
X線回折装置 :株式会社リガク社製、粉末X線回折装置 RINT2500VC
X線発生電圧 :40kV
放射線 :Cu−Kα1線(λ=0.154050nm)
電流 :120mA
Scan Speed :10度/分
測定ステップ :0.02度/分
得られた粉末X線回折スペクトルから、粉末X線回折装置付属の粉末X線回折パターン総合解析ソフトJADE(MDI社製)を用いて各ピークの面積を算出し、結晶質部分の割合を算出した。上記ソフトによる算出処理は、上記ソフトの取扱説明書(jade(ver.5)ソフトウェア、取扱説明書Manual No.MJ13133E02、理学電機社製)に基づいて行った。
研磨装置:ラップマスターSFT社製片面研磨機(型式:LP15)
研磨パッド:ガラス粗研磨用パッド(セリア含浸、溝付)
研磨液組成物供給量:10mL/分(被研磨基板1cm2あたりの供給速度:約0.33mL/分)
研磨荷重:12.7kPa
下定盤回転数:50rpm
キャリア:ガラスエポキシ製キャリア
研磨時間:30分
被研磨基板:アルミノ珪酸ガラス基板(外径65mm、内径20mm、厚さ0.7mm)
投入基板枚数:1枚
上記研磨について、研磨速度、並びに、研磨後の基板表面の表面粗さ、ピット、及びキズの評価を、以下のように行った。
研磨前後の基板の重量差(g)を該基板の密度(2.46g/cm3)、基板の表面積(30.04cm2)、及び研磨時間(分)で除した単位時間当たりの研磨量を計算し、研磨速度(μm/分)を算出した。重量測定には、精密天秤 AG204(メトラートレド社製)を使用した。シリカ粒子を含有しない比較例1の研磨液組成物の研磨速度を100としたときの相対速度を表1に示す。
ZYGO社製New View 5000を用いて、研磨前後の基板のうち1枚を選択し、基板上の任意の領域(0.69mm×0.52mm)における、表面粗さ(Ra)を5点測定し、その平均値を算出した。また、表面粗さ測定の画像でピット、キズの有無を観察した。その結果を表1に示す。
研磨したガラス基板を、以下の条件で洗浄し、水洗浄後及びアルカリ洗浄後の表面粗さを測定した。表面粗さの測定は、前述の測定方法と同様に行った。
〔水洗浄〕
(1)洗浄−1:超純水300mLを入れた300mLガラスビーカーに研磨面を下にして被洗浄基板を浸漬し、200kHz−400Wの超音波を照射しながら、120秒間洗浄する。
(2)洗浄−2:再度(1)を繰り返す。
(3)乾燥:被研磨基板を取り出し、スピンドライにて完全に基板表面を乾燥させる。
〔アルカリ洗浄〕
(4)洗浄−1:KOH水溶液からなるpH12のアルカリ洗浄剤組成物300mLを入れた300mLガラスビーカーに研磨面を下にして被洗浄基板を浸漬し、200kHz−400Wの超音波を照射しながら、120秒間洗浄する。
(5)洗浄−2:再度(4)を繰り返す。
(6)すすぎ−1:超純水300mLを入れた300mLガラスビーカーに被洗浄基板を移し、200kHz−400Wの超音波を照射しながら120秒間すすぎを行なう。
(7)すすぎ−2:再度(6)を繰り返す。
(8)乾燥:被研磨基板を取り出し、スピンドライにて完全に基板表面を乾燥させる。
Claims (6)
- セリア粒子、シリカ粒子、及び水を含有する非晶質ガラス基板用研磨液組成物であって、前記研磨液組成物中におけるセリア粒子とシリカ粒子の合計含有量が4〜20重量%であり、前記セリア粒子と前記シリカ粒子との重量比(セリア粒子/シリカ粒子)が5/95〜30/70であり、pHが4〜12である、非晶質ガラス基板用研磨液組成物。
- 前記シリカ粒子の、電子顕微鏡法により得られるシリカ粒子の投影面積(A1)とシリカ粒子の最大内接円面積(A)との面積比R(A1/A)の平均値が、1.2〜3.0である、請求項1記載の非晶質ガラス基板用研磨液組成物。
- 前記シリカ粒子が、電子顕微鏡法により得られる投影画像における前記シリカ粒子の輪郭に、前記シリカ粒子の最大内接円半径の1/5〜1/2の曲率半径をもった凸部を、平均2.0個以上有する、請求項1又は2に記載の非晶質ガラス基板用研磨液組成物。
- 前記セリア粒子は、前記セリア粒子中の全希土類酸化物含有量が85重量%以上であり、前記全希土類酸化物に占める酸化セリウムの含有量が60重量%以上である、請求項1から3のいずれかに記載の非晶質ガラス基板用研磨液組成物。
- 被研磨基板の研磨対象面に研磨液組成物を供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び又は前記被研磨基板を動かして研磨する工程を含むガラスハードディスク基板の製造方法であって、
前記被研磨基板が非晶質ガラス基板であり、前記研磨液組成物が請求項1から4のいずれかに記載の非晶質ガラス基板用研磨液組成物である、ガラスハードディスク基板の製造方法。 - 被研磨基板の研磨対象面に研磨液組成物を供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び又は前記被研磨基板を動かして研磨することを含むガラス基板の研磨方法であって、
前記被研磨基板が非晶質ガラス基板であり、前記研磨液組成物が請求項1から4のいずれかに記載の非晶質ガラス基板用研磨液組成物である、ガラス基板の研磨方法。
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