JP2017079087A - 磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コロイダルシリカを含む研磨液を循環使用する磁気記録媒体用ガラス基板の仕上げ研磨において、ガラス基板の表面粗さの悪化や付着欠点の増加を抑制し、平滑性を向上させる。【解決手段】ガラス基板の主表面をコロイダルシリカを含む研磨液を循環使用して研磨する仕上げ研磨工程において、研磨に使用された前記研磨液を、スルホン酸基を有するイオン交換樹脂に通してイオン交換処理を行った後、再び研磨に供することを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。【選択図】図1
Description
本発明は、磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法に関する。
磁気記録媒体(磁気ディスク)の製造に用いられるガラス基板(磁気記録媒体用ガラス基板)には、高精度の表面平滑性が求められる。磁気記録媒体用ガラス基板は、通常、ガラス基板の主表面を研磨(一次研磨)して平坦かつ平滑な面とした後、さらに精密に研磨する仕上げ研磨を経て製造される。
この仕上げ研磨においては、高い平滑性を達成するために、コロイダルシリカを含む研磨液(以下、コロイダルシリカスラリーともいう。)が使用されている。そして、コロイダルシリカスラリーを用いる仕上げ研磨では、廃棄される液量を低減し、生産性を向上させるために、研磨液をかけ流して使用するのではなく、循環使用することが行われている。ここで、研磨液の循環使用は、研磨に使用した研磨液を回収し、回収した研磨液を再び研磨に供給する操作を繰り返して行う方法である。
しかしながら、コロイダルシリカスラリーを循環使用してガラス基板の仕上げ研磨を行った場合には、以下に示す問題があった。すなわち、ガラス基板の研磨によって生じる各種の金属イオン(1価のアルカリ金属イオン、および2価以上の金属イオン)により、コロイダルシリカの凝集が生じ、研磨後のガラス基板の表面粗さが悪化するという問題があった。また、前記金属イオン濃度(特に、2価または3価の金属イオン濃度)の増大により、研磨後のガラス基板表面のシリカ砥粒の付着やキズ等の欠点(以下、付着欠点という。)が増加するという問題があった。
研磨液中の金属イオンの除去に関しては、特許文献1に、シリコンウェハの研磨や半導体デバイスのCMP(化学的機械的研磨)に使用されるアルミ改質コロイダルシリカの水分散液に、陽イオン交換樹脂を投入し、アルカリ金属イオンを除去することが記載されている。そして、特許文献1には、イオン交換樹脂による処理後の液に含まれるアルカリ金属(ナトリウムまたはカリウム)イオン含有量が50ppm以下(好ましくは30ppm以下、さらに好ましくは5ppm以下)であること、アルカリ土類金属(カルシウムまたはマグネシウム)および重金属の含有量がそれぞれ1ppm以下(より好ましくは0.5ppm以下)であることが記載されている。
しかしながら、ガラス基板の仕上げ研磨に、特許文献1に記載されたイオン交換処理済みのコロイダルシリカ水分散液を使用した場合には、研磨後のガラス基板表面の付着欠点は減少するが、水分散液のpHが低いので、ガラス基板の表面粗さが悪化する。また、pHの緩衝作用を持つアルカリ金属イオンの含有量が低いので、研磨に使用した後の研磨液のpH変動(上昇)が大きい。その結果、コロイダルシリカが凝集し、フィルタの目詰まりやガラス基板の表面粗さの悪化が生じやすいという問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、コロイダルシリカを含む研磨液を循環使用するガラス基板の仕上げ研磨において、ガラス基板の主表面の表面粗さの悪化や付着欠点の増加を抑制し、主表面の平滑性を向上させることができる磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法は、ガラス基板の主表面を、コロイダルシリカを含む研磨液を循環使用して研磨する仕上げ研磨工程を有する磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法であり、前記仕上げ研磨工程において、研磨に使用された前記研磨液を、スルホン酸基を有するイオン交換樹脂に通してイオン交換処理を行った後、再び研磨に供することを特徴とする。
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法において、研磨に使用された前記研磨液を、少なくとも前記イオン交換樹脂に通す前に5μm以下の開口径を有するフィルタを通し、前記研磨液中の異物を捕捉し除去することが好ましい。
また、本発明の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記イオン交換樹脂は、ナトリウムイオン置換率が40%以上のスルホン酸基を有するイオン交換樹脂であることが好ましい。また、前記イオン交換樹脂を通した後、前記仕上げ研磨工程に供給される研磨液中のアルカリ金属イオン濃度は、10〜5,000ppmであることが好ましい。また、前記イオン交換樹脂を通した後、前記仕上げ研磨工程に供給される研磨液中の2価または3価の金属イオンの濃度は、100ppm以下であることが好ましい。
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法によれば、コロイダルシリカを含む研磨液を循環使用する仕上げ研磨において、研磨に使用した研磨液をスルホン酸基を有するイオン交換樹脂に通してイオン交換処理することにより、研磨液中のアルカリ金属イオンを適度に除去するとともに、2価または3価の金属イオンを十分に除去することができる。そして、これらの金属イオンの除去により、研磨液中のコロイダルシリカの凝集を防止し、表面の付着欠点が低減され、表面粗さが良好なガラス基板を得ることができる。
また、pH変動を抑制する効果を持つアルカリ金属イオンが、イオン交換処理により除去されすぎることがなく、研磨液中に適度な濃度で含まれているので、研磨液の研磨前後のpH変動(上昇)が小さく、安定した研磨速度で仕上げ研磨を行うことができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
まず、磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法の概要を説明し、次いで本発明の実施形態を詳細に説明する。
まず、磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法の概要を説明し、次いで本発明の実施形態を詳細に説明する。
磁気記録媒体用ガラス基板(以下、単に「ガラス基板」ともいう。)は、通常、(1)ガラス素板製造工程、(2)形状付与工程、(3)主表面研削工程、(4)端面研磨工程、(4)主表面研磨工程、(5)洗浄工程を経て、製造される。
(1)ガラス素板製造工程
所望のガラス組成を有するガラス素板を製造する。ガラスの種類は特に限定されないが、機械的特性に優れ、耐熱性、耐薬品性が良好であることから、アルミノシリケートガラスが好ましい。アルミノシリケートガラスとしては、例えば、酸化物換算のモル基準で、SiO2を55〜75モル%、Al2O3を5〜17モル%、B2O3を0〜15モル%、Li2O、Na2OおよびK2Oから選ばれる1種または2種以上を合計で0〜27モル%、MgO、CaO、SrOおよびBaOから選ばれる1種または2種以上を合計で0〜20モル%含有するガラスが挙げられる。
所望のガラス組成を有するガラス素板を製造する。ガラスの種類は特に限定されないが、機械的特性に優れ、耐熱性、耐薬品性が良好であることから、アルミノシリケートガラスが好ましい。アルミノシリケートガラスとしては、例えば、酸化物換算のモル基準で、SiO2を55〜75モル%、Al2O3を5〜17モル%、B2O3を0〜15モル%、Li2O、Na2OおよびK2Oから選ばれる1種または2種以上を合計で0〜27モル%、MgO、CaO、SrOおよびBaOから選ばれる1種または2種以上を合計で0〜20モル%含有するガラスが挙げられる。
ガラス素板の製造では、通常使用される各成分の原料を所望の組成となるように調合し、これを加熱溶融する。バブリング、撹拌、清澄剤の添加等によりガラスを均質化し、公知のフロート法、プレス法、フュージョン法またダウンドロー法等により所定の厚さの板状に成形する。そして、徐冷後、必要に応じて研削、研磨等の加工を行い、所定の寸法・形状のガラス素板とする。
(2)形状付与工程
ガラス素板製造工程(1)で得られたガラス素板を、中央部に円孔を有する円盤形状に加工した後、内周側面と外周側面の面取り加工を行う。なお、プレス法で成形する場合は、ガラス素板を経由せずに、ガラスのゴブ(塊)から中央部に円孔を有する円盤形状に直接成形してもよい。
ガラス素板製造工程(1)で得られたガラス素板を、中央部に円孔を有する円盤形状に加工した後、内周側面と外周側面の面取り加工を行う。なお、プレス法で成形する場合は、ガラス素板を経由せずに、ガラスのゴブ(塊)から中央部に円孔を有する円盤形状に直接成形してもよい。
(3)主表面研削工程
形状付与工程(2)で得られたガラス基板の上下両表面に、遊離砥粒または固定砥粒工具を用いて研削(ラッピング)加工を行う。
形状付与工程(2)で得られたガラス基板の上下両表面に、遊離砥粒または固定砥粒工具を用いて研削(ラッピング)加工を行う。
(4)端面研磨工程
ガラス基板の内周側面と内周面取り部とを合わせた内周端面、および外周側面と外周面取り部とを合わせた外周端面の研磨を行う。
ガラス基板の内周側面と内周面取り部とを合わせた内周端面、および外周側面と外周面取り部とを合わせた外周端面の研磨を行う。
(4)主表面研磨工程
ガラス基板の上下両表面を研磨する。主表面の研磨では、通常、酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて一次研磨を行った後、コロイダルシリカスラリーを用いて二次研磨を行う。一次研磨が2段階以上になってもよいし、二次研磨の後にさらに三次研磨を行ってもよい。なお、本発明では、主表面研磨工程において、最後に行う研磨を仕上げ研磨という。
ガラス基板の上下両表面を研磨する。主表面の研磨では、通常、酸化セリウム砥粒を含む研磨液を用いて一次研磨を行った後、コロイダルシリカスラリーを用いて二次研磨を行う。一次研磨が2段階以上になってもよいし、二次研磨の後にさらに三次研磨を行ってもよい。なお、本発明では、主表面研磨工程において、最後に行う研磨を仕上げ研磨という。
(5)洗浄工程
ガラス基板の洗浄を行い、磁気記録媒体用ガラス基板とする。なお、こうして製造された磁気記録媒体用ガラス基板の上に磁性層等の薄膜を形成し、磁気記録媒体を製造する。
ガラス基板の洗浄を行い、磁気記録媒体用ガラス基板とする。なお、こうして製造された磁気記録媒体用ガラス基板の上に磁性層等の薄膜を形成し、磁気記録媒体を製造する。
このような磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法においては、各工程間にガラス基板の洗浄(工程間洗浄)やガラス基板表面のエッチング(工程間エッチング)を実施してもよい。また、主平面の研削(ラッピング)工程を粗ラッピング工程と精ラッピング工程とに分け、それらの間に形状付与工程あるいは端面研磨工程を設けてもよい。また、端面の研磨工程では、円盤形状のガラス基板の複数枚を積層して、それらの内周端面に対して、砥粒を用いたブラシ研磨を一括して行ってもよい。さらに、磁気記録媒体用ガラス基板に高い機械的強度が求められる場合には、ガラス基板の表層に強化層を形成する強化工程(例えば、化学強化工程)を、研磨工程前または研磨工程後、あるいは研磨工程間で実施してもよい。
本発明の実施形態は、前記(4)主表面研磨工程の仕上げ研磨工程において、ガラス基板の主表面を、コロイダルシリカを含む研磨液を循環使用して研磨する磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法である。そして、研磨液の循環使用に当たり、研磨に使用された研磨液(以下、使用済み研磨液ともいう。)を、スルホン酸基を有するイオン交換樹脂に通してイオン交換処理を行った後、再び研磨に供することを特徴とする。
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法によれば、(4)主表面研磨工程の仕上げ研磨工程において、使用済み研磨液をイオン交換処理することにより、アルカリ金属イオンを所定の濃度範囲に除去するとともに、2価または3価の金属イオンを所定の濃度以下に除去することができるので、使用済み研磨液中のコロイダルシリカの凝集を防止し、ガラス基板表面の付着欠点の低減、および表面粗さの向上を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について、さらに詳細に説明する。
以下、本発明の実施形態について、さらに詳細に説明する。
(研磨液)
本発明の実施形態において、ガラス基板の主表面の仕上げ研磨工程で循環使用される研磨液は、コロイダルシリカを含有する。コロイダルシリカは酸化ケイ素(SiO2)の微粒子であり、仕上げ研磨の砥粒として用いられる。コロイダルシリカの種類は特に限定されず、種々の公知の方法で製造されるものを使用できる。
本発明の実施形態において、ガラス基板の主表面の仕上げ研磨工程で循環使用される研磨液は、コロイダルシリカを含有する。コロイダルシリカは酸化ケイ素(SiO2)の微粒子であり、仕上げ研磨の砥粒として用いられる。コロイダルシリカの種類は特に限定されず、種々の公知の方法で製造されるものを使用できる。
研磨液に含有されたコロイダルシリカは、凝集粒子(二次粒子)として存在する。研磨液中のコロイダルシリカの平均粒子径(平均二次粒子径)は、動的光散乱方式の粒度分布測定装置(例えば、大塚電子株式会社製、装置名:ELS-Z0 Plus)を用いて測定することができる。本発明において、研磨液中のコロイダルシリカの平均粒子径(D50)は、研磨液が繰り返し研磨に使用される各研磨時において、10〜40nmの範囲が好ましい。なお、D50は、体積基準累積50%粒径である。すなわち、体積基準で粒度分布を求め、全体積を100%とした累積曲線において、累積値が50%となる点の粒子径である。
研磨液には、コロイダルシリカの分散媒として水が含有される。水については特に制限はないが、後述する他の成分に対する影響、不純物の混入、pH等への影響の少なさの点から、純水、超純水、イオン交換水等を使用することが好ましい。そして、研磨液におけるコロイダルシリカの含有割合(濃度)は、1〜50質量%とすることが好ましい。コロイダルシリカの含有割合が1質量%未満の場合には、十分な研磨速度を得ることが難しい。また、含有割合が50質量%を超えると、研磨液のpHを後述する所定の範囲に調整した場合に、コロイダルシリカが凝集しやすくなる。また、濃度の増加に見合った研磨速度の向上が認められず、研磨液の粘性が上がり過ぎる場合がある。コロイダルシリカの含有割合は、3〜20質量%がより好ましく、4〜15質量%が特に好ましい。
研磨液のpHは2〜6でも使用できるが、3〜5.8とすることが好ましい。研磨液のpHを3〜5.8とすることにより、アルミノシリケートガラス等からなるガラス基板に対して、十分な研磨速度を達成することができるうえに、ガラス基板の表層のAl成分(Al2O3)や、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物等の浸出(リーチング)が抑制され、表面粗さとその面内均一性に優れた磁気記録媒体用ガラス基板を得ることができる。研磨液のpHは、3.5〜5.5がより好ましく、3.8〜5.3がさらに好ましく、4.0〜5.0が特に好ましい。
研磨液には、以下に示す理由で、有機酸と、アルカリ金属の水酸化物を配合することが好ましい。すなわち、前記pH3.5〜5.5の研磨液は、pH値が変動しやすく、安定した研磨速度でガラス基板を研磨することが難しい。したがって、pH3.5〜5.5の範囲でpH値が変動することを抑えるために、研磨液を調製する際に、有機酸と、アルカリ金属の水酸化物を配合することが好ましい。有機酸と、アルカリ金属の水酸化物とを配合することで、pH緩衝作用によって研磨液のpHを3.5〜5.5の範囲に安定して保つことができる。そして、研磨速度の変動を抑制し、安定して高い研磨速度を維持することができる。
有機酸としては、アスコルビン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸等を挙げることができる。また、有機酸としては、カルボン酸基を有するカルボン酸を好ましく使用することができ、カルボン酸基を2つ以上有する2価または3価の多価カルボン酸がより好ましい。2価以上の多価カルボン酸は、錯形成作用により、研磨速度を向上させるとともに、砥粒であるコロイダルシリカの凝集を抑制して研磨キズの発生を抑える働きをする。2価以上の多価カルボン酸として具体的には、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸およびフタル酸等が挙げられる。特に、クエン酸が好ましい。
研磨液に配合されるアルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。特に、水酸化ナトリウムが好ましい。
なお、これらの有機酸およびアルカリ金属水酸化物は、研磨液の調製の際に研磨液に含有されるものであり、使用の際の研磨液中には、必ずしも有機酸およびアルカリ金属水酸化物のかたちで含有されているわけではなく、一部が電解したイオンの形で含有されている。また、前記有機酸およびアルカリ金属の水酸化物とともに、これらの有機酸とアルカリ金属水酸化物との反応により得られる塩を添加することも可能である。また、前記有機酸とアルカリ金属水酸化物の反応により得られる塩とアルカリ金属水酸化物、前記有機酸とアルカリ金属水酸化物の反応により得られる塩と有機酸を配合することも可能である。
以上の各成分を配合してなる研磨液には、砥粒であるコロイダルシリカの分散剤を含有させてもよい。分散剤としては、陰イオン性、陽イオン性、ノニオン性、両性の界面活性剤や界面活性作用のある水溶性ポリマーを使用できる。
(研磨機)
本発明の実施形態において、ガラス基板の主表面の仕上げ研磨工程で使用される研磨機としては、特に制限はなく、複数のガラス基板を同時に搭載保持する冶具(キャリアともいう。)と研磨布(研磨パッドともいう。)とを備える片面研磨装置、または両面研磨装置を用いることができる。中でも、両面研磨装置が好適に用いられる。
本発明の実施形態において、ガラス基板の主表面の仕上げ研磨工程で使用される研磨機としては、特に制限はなく、複数のガラス基板を同時に搭載保持する冶具(キャリアともいう。)と研磨布(研磨パッドともいう。)とを備える片面研磨装置、または両面研磨装置を用いることができる。中でも、両面研磨装置が好適に用いられる。
研磨パッドの材質としては、有機高分子等が挙げられ、有機高分子としてはポリウレタン等が挙げられる。研磨パッドの形状は、不織布状が好ましい。例えば、スウェード調の軟質ウレタン製パッドが好適に用いられる。
前記研磨機を用いる研磨の具体例としては、研磨すべきガラス基板をキャリアで保持し、研磨パッドを貼り付けた1対の研磨定盤で挟み込み、研磨液を研磨パッドとガラス基板との間に供給し、所定の圧力下で研磨定盤および/またはガラス基板を動かすことにより、研磨液をガラス基板の被研磨面に接触させながら研磨する方法が挙げられる。
(研磨液の循環使用)
このような研磨機を用いてガラス基板の主表面の仕上げ研磨を行うに当たり、研磨液を循環させて再使用するシステムの概要を、以下に示す。なお、研磨液の循環使用とは、前記したように、研磨に使用した研磨液(使用済み研磨液)を回収し、回収された使用済み研磨液を再び研磨機に供給して研磨に使用することにより、研磨液を研磨工程で循環させて再利用することをいう。
このような研磨機を用いてガラス基板の主表面の仕上げ研磨を行うに当たり、研磨液を循環させて再使用するシステムの概要を、以下に示す。なお、研磨液の循環使用とは、前記したように、研磨に使用した研磨液(使用済み研磨液)を回収し、回収された使用済み研磨液を再び研磨機に供給して研磨に使用することにより、研磨液を研磨工程で循環させて再利用することをいう。
研磨液の循環使用の態様は、回収された使用済み研磨液の全量を回収タンク等に貯留してから研磨機に供給するバッチ式の方法でもよいし、使用済み研磨液を回収タンクに戻しながら連続的に研磨機に供給する連続式の方法でもよいが、後述するイオン交換樹脂によるイオン交換処理の効率の観点から、研磨液を連続的に循環させる方法が好ましい。なお、研磨液を研磨工程で循環使用するにあたり、その循環使用による再利用回数は特に制限されないが、ガラス基板の仕上げ研磨を5〜30回、より好ましくは8〜20回研磨する場合の使用に適している。
本発明の実施形態では、前記した研磨液の循環使用による仕上げ研磨工程において、使用済み研磨液を回収し、回収された使用済み研磨液を、スルホン酸基を有するイオン交換樹脂に通してイオン交換処理を行った後、再び研磨機に供給して仕上げ研磨に使用する。
(イオン交換樹脂)
イオン交換樹脂としては、強酸性陽イオン交換樹脂であるスルホン酸型のイオン交換樹脂を使用する。使用されるスルホン酸型イオン交換樹脂の酸形(H形)、イオン形の別、およびイオン形の場合のイオンの種類とその置換率は、特に限定されないが、ナトリウム(Na)イオン形でかつナトリウムイオン置換率(以下、Na置換率と示す。)が40%以上のスルホン酸型イオン交換樹脂を使用することで、効果を上げることができる。スルホン酸型イオン交換樹脂のNa置換率は、60%以上が好ましく、75%以上がさらに好ましい。
イオン交換樹脂としては、強酸性陽イオン交換樹脂であるスルホン酸型のイオン交換樹脂を使用する。使用されるスルホン酸型イオン交換樹脂の酸形(H形)、イオン形の別、およびイオン形の場合のイオンの種類とその置換率は、特に限定されないが、ナトリウム(Na)イオン形でかつナトリウムイオン置換率(以下、Na置換率と示す。)が40%以上のスルホン酸型イオン交換樹脂を使用することで、効果を上げることができる。スルホン酸型イオン交換樹脂のNa置換率は、60%以上が好ましく、75%以上がさらに好ましい。
なお、このNa置換率は、研磨液に対するイオン交換処理を行う前のNa置換率(以下、初期Na置換率という。)だけではなく、循環使用する研磨液のイオン交換を複数回(例えば10回以上)行った後のイオン交換樹脂についてのNa置換率も含むものである。すなわち、イオン交換樹脂のNa置換率は、循環使用される研磨液に対するイオン交換処理を行う度に低下し、研磨液の循環使用による研磨回数が10回以上になると、Na置換率は初期値から10%程度低下する。しかし、そのように初期値に比べて低下した値であっても、処理時において、Na置換率が40%以上のスルホン酸型イオン交換樹脂を使用してイオン交換を行いながら研磨を繰り返すことにより、使用済み研磨液中のアルカリ金属イオンを所定の濃度範囲に除去するとともに、2価または3価の金属イオンを所定の濃度以下に除去することができる。
なお、スルホン酸型イオン交換樹脂の初期Na置換率は、60%以上が好ましく、75%以上がさらに好ましい。
なお、スルホン酸型イオン交換樹脂の初期Na置換率は、60%以上が好ましく、75%以上がさらに好ましい。
ここで、イオン交換樹脂のNa置換率は、以下の方法で測定することができる。
まず、イオン交換樹脂に十分量の塩化ナトリウム溶液(1mol/L)を通した後、イオン交換水で洗浄する。そして、洗浄後のイオン交換樹脂に塩酸(1mol/L)を流し、このとき流出したNaイオン量を測定する。そして、測定されたNaイオン量を、Naイオン量(1)とする。次に、塩酸で部分的にスルホン酸基を置換し、イオン交換水で洗浄したイオン交換樹脂(部分置換樹脂)に、塩酸(1mol/L)を流し、このとき流出したNaイオン量を測定する。そして、測定されたNaイオン量を、Naイオン量(2)とする。部分置換樹脂のNa置換率(%)は、以下の式で算出することができる。
Na置換率(%)=Naイオン量(2)/Naイオン量(1)×100
まず、イオン交換樹脂に十分量の塩化ナトリウム溶液(1mol/L)を通した後、イオン交換水で洗浄する。そして、洗浄後のイオン交換樹脂に塩酸(1mol/L)を流し、このとき流出したNaイオン量を測定する。そして、測定されたNaイオン量を、Naイオン量(1)とする。次に、塩酸で部分的にスルホン酸基を置換し、イオン交換水で洗浄したイオン交換樹脂(部分置換樹脂)に、塩酸(1mol/L)を流し、このとき流出したNaイオン量を測定する。そして、測定されたNaイオン量を、Naイオン量(2)とする。部分置換樹脂のNa置換率(%)は、以下の式で算出することができる。
Na置換率(%)=Naイオン量(2)/Naイオン量(1)×100
処理の際のNa置換率が40%以上のスルホン酸型イオン交換樹脂を使用することで、イオン交換樹脂による処理によって生じる研磨液のpHの低下を抑制することができる。そして、ガラス基板の表層のAl成分(Al2O3)等の浸出(リーチング)を抑え、表面粗さとその面内均一性に優れた磁気記録媒体用ガラス基板を得ることができる。スルホン酸型イオン交換樹脂のNa置換率は、60%以上が好ましく、75%以上がさらに好ましい。
スルホン酸型イオン交換樹脂の粒子径は特に限定されないが、平均粒子径が0.3〜1.0mmの範囲が好ましく、0.6〜0.8mmの範囲がより好ましい。イオン交換樹脂の平均粒子径が0.3mm未満の場合には、イオン交換樹脂をフィルタ内に収納する使用態様において、フィルタの開孔から漏出する粒子が生じ、ガラス基板のキズ発生の原因となるため好ましくない。一方、イオン交換樹脂の平均粒子径が1.0mm超の場合には、イオン交換の処理効率が不十分となり、研磨液中の金属イオンの除去効果を十分に上げることができない。
(異物除去フィルタ)
使用済み研磨液は、少なくとも前記イオン交換樹脂に通す前に、所定の開口径を有するフィルタを通し、研磨液中の異物を捕捉し除去した後、研磨機に再供給することが好ましい。ここで、「異物」とは、研磨によって研磨液中に生じた研磨パッド屑やガラス屑等をいう。異物を捕捉し除去するフィルタ(以下、異物除去フィルタという。)を設けることで、研磨の際に異物によりガラス基板表面に発生するキズ(スクラッチ)等を防止することができる。ガラス基板表面のキズ等を防止する観点から、異物除去フィルタの開口径は5μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。また、異物除去の処理効率の観点から、異物除去フィルタの開口径は0.1μm以上が好ましい。
使用済み研磨液は、少なくとも前記イオン交換樹脂に通す前に、所定の開口径を有するフィルタを通し、研磨液中の異物を捕捉し除去した後、研磨機に再供給することが好ましい。ここで、「異物」とは、研磨によって研磨液中に生じた研磨パッド屑やガラス屑等をいう。異物を捕捉し除去するフィルタ(以下、異物除去フィルタという。)を設けることで、研磨の際に異物によりガラス基板表面に発生するキズ(スクラッチ)等を防止することができる。ガラス基板表面のキズ等を防止する観点から、異物除去フィルタの開口径は5μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。また、異物除去の処理効率の観点から、異物除去フィルタの開口径は0.1μm以上が好ましい。
異物除去性向上の観点から、研磨液の循環経路において、イオン交換樹脂の上流側だけでなく下流側にも異物除去フィルタを設け、イオン交換樹脂を通してイオン交換処理を行った研磨液を、さらに異物除去フィルタに通して異物除去処理を行うこともできる。その場合、イオン交換樹脂の下流側の異物除去フィルタの開口径は、上流側の異物除去フィルタの開口径と同等か、または小さくすることが好ましい。
(アルカリ金属イオン濃度)
仕上げ研磨に使用前の研磨液中のアルカリ金属イオンの濃度は、10〜5,000ppmであることが好ましい。そして、研磨に使用された研磨液(使用済み研磨液)は、前記イオン交換樹脂によるイオン交換処理がなされた後、イオン交換処理された研磨液(以下、処理済み研磨液という。)が再び研磨に供される。処理済み研磨液中のアルカリ金属イオンの濃度も10〜5,000ppmであることが好ましい。すなわち、研磨液の循環使用により繰り返される仕上げ研磨工程においては、アルカリ金属イオンの濃度が10〜5,000ppmの研磨液の使用により、ガラス基板の研磨がなされることが好ましい。
なお、アルカリ金属イオンとしては、Li+、Na+、K+が挙げられる。アルカリ金属イオン濃度は、これらのイオンの濃度の合計を示す。
仕上げ研磨に使用前の研磨液中のアルカリ金属イオンの濃度は、10〜5,000ppmであることが好ましい。そして、研磨に使用された研磨液(使用済み研磨液)は、前記イオン交換樹脂によるイオン交換処理がなされた後、イオン交換処理された研磨液(以下、処理済み研磨液という。)が再び研磨に供される。処理済み研磨液中のアルカリ金属イオンの濃度も10〜5,000ppmであることが好ましい。すなわち、研磨液の循環使用により繰り返される仕上げ研磨工程においては、アルカリ金属イオンの濃度が10〜5,000ppmの研磨液の使用により、ガラス基板の研磨がなされることが好ましい。
なお、アルカリ金属イオンとしては、Li+、Na+、K+が挙げられる。アルカリ金属イオン濃度は、これらのイオンの濃度の合計を示す。
研磨液中のアルカリ金属イオン濃度が10ppm未満であると、研磨液のpH緩衝性が低下し、研磨液のpHが研磨後に急上昇しやすいため、安定した研磨速度でガラス基板を研磨することが難しい。研磨液中のアルカリ金属イオン濃度が5,000ppm超の場合には、コロイダルシリカが凝集をしやすくなる。そして、コロイダルシリカの凝集が進行した研磨液を使用した場合は、研磨キズの発生、ガラス基板の表面粗さの悪化、表面異物の増加等が生じやすく、好ましくない。アルカリ金属イオン濃度は、1000〜5000ppmの範囲がより好ましい。
(2価または3価の金属イオン濃度)
処理済み研磨液中の2価または3価の金属イオンの濃度は、100ppm以下であることが好ましい。すなわち、研磨液の循環使用により繰り返される仕上げ研磨工程においては、2価または3価の金属イオンの濃度が100ppm以下の研磨液の使用により、ガラス基板の研磨がなされることが好ましい。なお、2価または3価の金属イオンは、ガラス基板のガラス組成中の2価または3価の金属イオンに相当し、ガラスの組成によっても異なるが、例えば、Al3+、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+等が挙げられる。2価または3価の金属イオンの濃度は、これらのイオンの濃度の合計を示す。
処理済み研磨液中の2価または3価の金属イオンの濃度は、100ppm以下であることが好ましい。すなわち、研磨液の循環使用により繰り返される仕上げ研磨工程においては、2価または3価の金属イオンの濃度が100ppm以下の研磨液の使用により、ガラス基板の研磨がなされることが好ましい。なお、2価または3価の金属イオンは、ガラス基板のガラス組成中の2価または3価の金属イオンに相当し、ガラスの組成によっても異なるが、例えば、Al3+、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+等が挙げられる。2価または3価の金属イオンの濃度は、これらのイオンの濃度の合計を示す。
研磨液中の2価または3価の金属イオンの濃度が100ppm超の場合には、コロイダルシリカが凝集しやすくなる。そして、コロイダルシリカの凝集が進行した研磨液を使用した場合は、研磨キズの発生、ガラス基板の表面粗さの悪化、表面異物の増加等が生じやすく、好ましくない。なお、コロイダルシリカの凝集に与える金属イオンの影響は、前記アルカリ金属イオンに比べて2価または3価の金属イオンが大きいので、研磨液中の2価または3価の金属イオン濃度はより低く調整する必要がある。2価または3価の金属イオン濃度は、0〜50ppmの範囲がより好ましく、0〜20ppmの範囲がより好ましい。
(研磨液の循環使用研磨システム)
本発明の実施形態における、研磨液の循環使用による研磨システムの一例を図1に示す。
この研磨システム10は、研磨機1と、研磨機1から使用済み研磨液laを回収し収容する回収タンク2と、使用済み研磨液1a中の異物を除去する異物除去フィルタ3a,3bと、強酸性陽イオン交換樹脂であるスルホン酸型イオン交換樹脂を内包し、使用済み研磨液1a中の陽イオンを吸着して除去するイオン交換樹脂部4と、スルホン酸型イオン交換樹脂によりイオン交換処理された研磨液(処理済み研磨液)4aを貯留する貯留タンク5と、研磨液を循環させる第1および第2の液循環ポンプ6,7を備えている。なお、図1では、イオン交換樹脂部4の上流側と下流側にそれぞれ異物除去フィルタ3a,3bを配置しているが、上流側にのみ異物除去フィルタ3aを設けてもよい。
本発明の実施形態における、研磨液の循環使用による研磨システムの一例を図1に示す。
この研磨システム10は、研磨機1と、研磨機1から使用済み研磨液laを回収し収容する回収タンク2と、使用済み研磨液1a中の異物を除去する異物除去フィルタ3a,3bと、強酸性陽イオン交換樹脂であるスルホン酸型イオン交換樹脂を内包し、使用済み研磨液1a中の陽イオンを吸着して除去するイオン交換樹脂部4と、スルホン酸型イオン交換樹脂によりイオン交換処理された研磨液(処理済み研磨液)4aを貯留する貯留タンク5と、研磨液を循環させる第1および第2の液循環ポンプ6,7を備えている。なお、図1では、イオン交換樹脂部4の上流側と下流側にそれぞれ異物除去フィルタ3a,3bを配置しているが、上流側にのみ異物除去フィルタ3aを設けてもよい。
このように構成される研磨システム10においては、研磨機1→回収タンク2→異物除去フィルタ3a→イオン交換樹脂部4→異物除去フィルタ3b→貯留タンク5→研磨機1という、研磨液の循環経路が形成される。すなわち、研磨機1で使用され回収タンク2に回収された使用済み研磨液1aは、第1の液循環ポンプ6により回収タンク2から送り出され、異物除去フィルタ3a、イオン交換樹脂部4、異物除去フィルタ3bを順に通過する。そして、使用済み研磨液1aは、異物除去フィルタ3a,3bを通ることで液中の異物(固形物)が除去され、イオン交換樹脂部4を通ることで液中の陽イオンの交換処理がなされた後、貯留タンク5に送り込まれる。貯留タンク5に貯留された処理済み研磨液4aは、第2の液循環ポンプ7により再び研磨機1に供給され、仕上げ研磨に供される。
このような研磨システム10によれば、使用済み研磨液1a中のアルカリ金属イオンを適度に除去するとともに、2価または3価の金属イオンを十分に除去することができるので、研磨液中のコロイダルシリカの凝集を防止することができ、研磨を繰り返しても、表面の付着欠点が低減され、表面粗さが良好なガラス基板を安定的に得ることができる。
次に、具体的実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。例1〜4は本発明の実施例であり、例5〜8は比較例である。
なお、以下の例において、コロイダルシリカの平均粒子径は、動的光散乱計(大塚電子社製、装置名:ELS-Z0 Plus)を使用して測定した平均二次粒子径(D50)である。また、研磨液中のアルカリ金属イオン濃度と、2価または3価の金属イオン濃度は、いずれもキャピラリー電気泳動装置(大塚電子社製、装置名:CAPI3300)を用いて測定した値である。
例1
(ガラス基板の作製)
アルカリ金属を含むアルミノシリケートガラス板から、外径65mm、内径20mm、板厚0.635mmのガラス基板が得られるように、中央に円孔を有する円形ガラス板を切り出し、内周面および外周面の面取り加工、上下主表面の研削(ラッピング)、面取り加工した内周面および外周面の端面研磨を、公知の方法で順に行った。
(ガラス基板の作製)
アルカリ金属を含むアルミノシリケートガラス板から、外径65mm、内径20mm、板厚0.635mmのガラス基板が得られるように、中央に円孔を有する円形ガラス板を切り出し、内周面および外周面の面取り加工、上下主表面の研削(ラッピング)、面取り加工した内周面および外周面の端面研磨を、公知の方法で順に行った。
(一次研磨)
次いで、端面研磨されたガラス基板の上下主表面を、両面研磨装置を使用し、研磨液として、平均粒径が約0.5μmの酸化セリウム砥粒と水とを含有する酸化セリウムスラリーを用いて、一次研磨を行った。一次研磨終了後、酸化セリウムスラリーを洗浄除去した。
次いで、端面研磨されたガラス基板の上下主表面を、両面研磨装置を使用し、研磨液として、平均粒径が約0.5μmの酸化セリウム砥粒と水とを含有する酸化セリウムスラリーを用いて、一次研磨を行った。一次研磨終了後、酸化セリウムスラリーを洗浄除去した。
(仕上げ研磨)
まず、仕上げ研磨用の研磨液であるコロイダルシリカスラリーを調製した。純水10Lにクエン酸一水和物164gと30質量%水酸化ナトリウム水溶液114gを溶解した後、コロイダルシリカ水分散液(触媒化成社製、商品名:SI40、SiO2濃度40質量%)2Lを添加して撹拌し、研磨液を調製した。
この研磨液のpHは4.0、コロイダルシリカの平均二次粒子径(D50)は25nmであった。また、研磨液中のアルカリ金属イオン濃度は1600ppmであり、2価または3価の金属イオン濃度は5ppm以下であった。
まず、仕上げ研磨用の研磨液であるコロイダルシリカスラリーを調製した。純水10Lにクエン酸一水和物164gと30質量%水酸化ナトリウム水溶液114gを溶解した後、コロイダルシリカ水分散液(触媒化成社製、商品名:SI40、SiO2濃度40質量%)2Lを添加して撹拌し、研磨液を調製した。
この研磨液のpHは4.0、コロイダルシリカの平均二次粒子径(D50)は25nmであった。また、研磨液中のアルカリ金属イオン濃度は1600ppmであり、2価または3価の金属イオン濃度は5ppm以下であった。
次に、前記両面研磨装置の上下定盤に軟質ウレタン製の研磨パッドを取り付け、前記研磨液(コロイダルシリカスラリー)を使用して、図1に示す研磨システムで仕上げ研磨を行った。
すなわち、タンクに貯留された研磨液を、ポンプを使用し、異物除去フィルタとイオン交換樹脂を順に通した後、前記両面研磨装置に再び供給した。異物除去フィルタとしては、開口径0.5μmのカートリッジフィルタを使用した。イオン交換樹脂としては、初期Na置換率が95%のスルホン酸型イオン交換樹脂を、カートリッジシェルに収容して使用した。なお、イオン交換樹脂のNa置換率は、前述の方法で測定した値である。以下の例においても同様である。
研磨液であるコロイダルシリカスラリーの流量は750mL/minとし、使用済み研磨液は回収タンクに回収し、ポンプにより、異物除去フィルタ、イオン交換樹脂、研磨装置の順で繰り返し循環させて使用した。さらに、仕上げ研磨における研磨圧力は9.0MPaとし、研磨時間は、両主表面の厚さ方向での総研磨量が1μmとなるように設定して、研磨を行った。
このような仕上げ研磨を10回繰り返した後(以下、「10回研磨後」という。)の研磨液のpHは4.0、コロイダルシリカの平均粒子径は26nmであった。また、10回研磨後の研磨液中のアルカリ金属イオン濃度は2000ppmであり、2価または3価の金属イオンの濃度は15ppmであった。さらに、10回研磨後のイオン交換樹脂のNa置換率は85%であった。
仕上げ研磨後のガラス基板は、アルカリ性洗剤によるスクラブ洗浄、アルカリ性洗剤溶液に浸漬した状態での超音波洗浄、純水に浸漬した状態での超音波洗浄を順に行った後、イソプロピルアルコールの蒸気により乾燥した。
研磨液の循環使用による10回目の仕上げ研磨で得られたガラス基板について、表面粗さの測定を、以下に示すようにして行った。また、表面のシリカ付着やキズ等の欠点(付着欠点)の評価を、以下に示すようにして行った。結果を、イオン交換樹脂の種類、研磨繰返し後の研磨液のpH、研磨繰返し後の研磨液中のコロイダルシリカの平均粒子径とアルカリ金属イオン濃度および2価または3価のイオン濃度とともに、表1に示す。
(表面粗さの測定)
研磨液の循環使用による10回目の仕上げ研磨で得られたガラス基板の主表面を、原子間力顕微鏡(AFM)(SIIナノテクノロジー社製、装置名:SPA400)を用いて、1μm×1μm(256pixel×256pixel)で観察し、表面粗さ(Ra)を測定した。そして、測定の結果得られたRaが1.2nm以下を◎、1.2nm超〜1.5nm以下を○、1.5nm超〜1.8nm以下を△、1.8nm超を×と評価した。
研磨液の循環使用による10回目の仕上げ研磨で得られたガラス基板の主表面を、原子間力顕微鏡(AFM)(SIIナノテクノロジー社製、装置名:SPA400)を用いて、1μm×1μm(256pixel×256pixel)で観察し、表面粗さ(Ra)を測定した。そして、測定の結果得られたRaが1.2nm以下を◎、1.2nm超〜1.5nm以下を○、1.5nm超〜1.8nm以下を△、1.8nm超を×と評価した。
(表面の付着欠点の評価)
10回目の仕上げ研磨で得られたガラス基板の主表面を、光学式欠点検査(OSA:Optical Surface analyzer)装置(KLA Tencor社製)を用いて観察した。なお、OSA設定条件は、LaserをCircumferential、PolarizationをQ−PolarizationのPhazeとした。5枚ずつそれぞれ2面を観察し、表面の付着欠点の数を面の数で除した欠点数を求めた。そして、欠点数が10個以下を○、11個〜50個を△、51個以上を×と評価した。
10回目の仕上げ研磨で得られたガラス基板の主表面を、光学式欠点検査(OSA:Optical Surface analyzer)装置(KLA Tencor社製)を用いて観察した。なお、OSA設定条件は、LaserをCircumferential、PolarizationをQ−PolarizationのPhazeとした。5枚ずつそれぞれ2面を観察し、表面の付着欠点の数を面の数で除した欠点数を求めた。そして、欠点数が10個以下を○、11個〜50個を△、51個以上を×と評価した。
例2〜6
例1と同様に一次研磨を行った後のガラス基板に対して、以下に示すようにして仕上げ研磨を行った。すなわち、例1に使用したものと同じ研磨液を使用し、初期Na置換率が95%のスルホン酸型イオン交換樹脂を用いる代わりに、表1に示すイオン交換樹脂を用いてイオン交換処理を行った。そして、それ以外は例1と同様に仕上げ研磨を行った。
例1と同様に一次研磨を行った後のガラス基板に対して、以下に示すようにして仕上げ研磨を行った。すなわち、例1に使用したものと同じ研磨液を使用し、初期Na置換率が95%のスルホン酸型イオン交換樹脂を用いる代わりに、表1に示すイオン交換樹脂を用いてイオン交換処理を行った。そして、それ以外は例1と同様に仕上げ研磨を行った。
次いで、10回目の仕上げ研磨で得られたガラス基板について、表面粗さの測定、および表面の付着欠点の評価を、前記と同様に行った。それらの結果を、イオン交換樹脂の種類と初期Na置換率および10回研磨後のNa置換率、10回研磨後の研磨液のpH、10回研磨後の研磨液中のコロイダルシリカの平均粒子径とアルカリ金属イオン濃度および2価または3価のイオン濃度とともに、表1に示す。
例7
例1と同様に一次研磨を行った後のガラス基板に対して、例1に使用したものと同じ研磨液を、イオン交換樹脂を通すことなく循環使用して、仕上げ研磨を行った。そして、10回目の仕上げ研磨で得られたガラス基板について、表面粗さの測定、および表面の付着等欠点の評価を、前記と同様に行った。結果を、10回研磨後の研磨液のpH、10回研磨後の研磨液中のコロイダルシリカの平均粒子径とアルカリ金属イオン濃度および2価または3価のイオン濃度とともに、表1に示す。
例1と同様に一次研磨を行った後のガラス基板に対して、例1に使用したものと同じ研磨液を、イオン交換樹脂を通すことなく循環使用して、仕上げ研磨を行った。そして、10回目の仕上げ研磨で得られたガラス基板について、表面粗さの測定、および表面の付着等欠点の評価を、前記と同様に行った。結果を、10回研磨後の研磨液のpH、10回研磨後の研磨液中のコロイダルシリカの平均粒子径とアルカリ金属イオン濃度および2価または3価のイオン濃度とともに、表1に示す。
例8
仕上げ研磨用の研磨液であるコロイダルシリカスラリーを、以下に示すように調製した。すなわち、純水10Lにクエン酸一水和物と30質量%水酸化ナトリウム水溶液を溶解させた後、コロイダルシリカ水分散液(触媒化成社製、商品名:SI40、SiO2濃度40質量%)2Lを添加し撹拌して、研磨液を調製した。
この研磨液のpHは4.0、コロイダルシリカの平均二次粒子径(D50)は35nmであった。また、研磨液中のアルカリ金属イオン濃度は99500ppmであった。
仕上げ研磨用の研磨液であるコロイダルシリカスラリーを、以下に示すように調製した。すなわち、純水10Lにクエン酸一水和物と30質量%水酸化ナトリウム水溶液を溶解させた後、コロイダルシリカ水分散液(触媒化成社製、商品名:SI40、SiO2濃度40質量%)2Lを添加し撹拌して、研磨液を調製した。
この研磨液のpHは4.0、コロイダルシリカの平均二次粒子径(D50)は35nmであった。また、研磨液中のアルカリ金属イオン濃度は99500ppmであった。
例1と同様に一次研磨を行った後のガラス基板に対して、前記研磨液を表1に示すイオン交換樹脂を用いて処理を行った以外は例1と同様にして、仕上げ研磨を行った。
そして、10回目の仕上げ研磨で得られたガラス基板について、表面粗さの測定、および表面の付着欠点の評価を、前記と同様に行った。それらの結果を、イオン交換樹脂の種類と初期Na置換率および10回研磨後のNa置換率、10回研磨後の研磨液のpH、10回研磨後の研磨液中のコロイダルシリカの平均粒子径とアルカリ金属イオン濃度および2価または3価のイオン濃度とともに、表1に示す。
表1から、以下に示すことがわかる。すなわち、研磨液であるコロイダルシリカスラリーの循環使用による仕上げ研磨工程において、使用済み研磨液を、スルホン酸基を有するイオン交換樹脂に通してイオン交換処理を行った後、再び研磨機に供給して仕上げ研磨に使用する例1〜4においては、10回研磨後の研磨液中のアルカリ金属イオン濃度および2価または3価の金属イオン濃度が、それぞれ10〜5,000ppmおよび100ppm以下となり、いずれも所望の範囲にあり、研磨液中のコロイダルシリカに凝集が見られない。そして、例1〜4においては、10回目の仕上げ研磨で得られたガラス基板についての評価結果が、表面粗さ(Ra)および表面の付着欠点がともに良好になっている。
なお、初期Na置換率が50%のスルホン酸基Na形イオン交換樹脂でイオン交換処理を行った例3、および初期Na置換率0%のスルホン酸基H形のイオン交換樹脂でイオン交換処理を行った例4では、初期Na置換率が80%以上のスルホン酸基Na形のイオン交換樹脂を使用した例1,2に比べて、研磨液のpHが低めであるため、10回目の仕上げ研磨で得られたガラス基板の表面粗さ(Ra)がより大きくなっているが、実用上十分に良好な表面粗さ(Ra)が得られている。
それに対して、官能基としてカルボン酸基を有するイオン交換樹脂で研磨液のイオン交換処理を行った例5および例6では、10回研磨後の研磨液中のアルカリ金属イオン濃度および2価または3価の金属イオン濃度は所望の範囲にあるが、コロイダルシリカに凝集が生じている。そのため、10回目の仕上げ研磨で得られたガラス基板の表面粗さ(Ra)および表面の付着欠点がともに悪くなっている。特に、Na置換率95%のカルボン酸基Na形のイオン交換樹脂で研磨液のイオン交換処理を行った例5では、研磨の繰返しによるpHの上昇およびコロイダルシリカの凝集が大きくなっている。
また、研磨液のイオン交換処理を行なわなかった例7では、10回研磨後の研磨液中の2価または3価の金属イオン濃度が著しく増大して、研磨液中のコロイダルシリカに凝集が生じている。そのため、10回目の仕上げ研磨で得られたガラス基板の表面粗さ(Ra)と表面の付着欠点がともに悪くなっている。
さらに、初期Na置換率が95%のスルホン酸基Na形のイオン交換樹脂の使用ではあるが、アルカリ金属イオン濃度が著しく高い研磨液を使用した例8では、10回研磨後の研磨液中のアルカリ金属イオン濃度が100,000ppmと極めて高く、研磨液中のコロイダルシリカに凝集が生じている。そのため、10回目の仕上げ研磨で得られたガラス基板の表面粗さ(Ra)と表面の付着欠点がともに悪くなっている。
本発明の製造方法によれば、研磨液中のコロイダルシリカの凝集を防止し、表面の付着欠点が低減され、表面粗さが良好なガラス基板を得ることができる。したがって、本発明の製造方法は、高記録密度化の要求される磁気記録媒体用ガラス基板の製造に好適する。
10…研磨システム、1…研磨機、1a…使用済み研磨液、2…回収タンク、3a,3b…異物除去フィルタ、4…イオン交換樹脂部、4a…処理済み研磨液、5…貯留タンク、6,7…液循環ポンプ。
Claims (5)
- ガラス基板の主表面を、コロイダルシリカを含む研磨液を循環使用して研磨する仕上げ研磨工程を有する磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法であり、
前記仕上げ研磨工程において、研磨に使用された前記研磨液を、スルホン酸基を有するイオン交換樹脂に通してイオン交換処理を行った後、再び研磨に供することを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。 - 研磨に使用された前記研磨液を、少なくとも前記イオン交換樹脂に通す前に、5μm以下の開口径を有するフィルタを通し、前記研磨液中の異物を捕捉し除去する、請求項1に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
- 前記イオン交換樹脂は、ナトリウムイオン置換率が40%以上のスルホン酸基を有するイオン交換樹脂である、請求項1または2に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
- 前記イオン交換樹脂を通した後、前記仕上げ研磨工程に供給される研磨液中のアルカリ金属イオン濃度は、10〜5,000ppmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
- 前記イオン交換樹脂を通した後、前記仕上げ研磨工程に供給される研磨液中の2価または3価の金属イオンの濃度は、100ppm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
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