JP6982427B2 - シリカスラリー - Google Patents
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Description
本発明のシリカスラリーは、砥粒としてシリカ粒子を含有する。シリカ粒子は、研磨速度向上の観点から、好ましくは非球状シリカ粒子A(以下、「粒子A」とも言う。)を含み、長波長うねり低減と研磨速度向上の両立の観点から、好ましくは粒子Aと球状シリカ粒子(以下、「粒子B」とも言う。)の両方を含む。シリカ粒子としては、例えば、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、表面修飾したシリカ等が挙げられる。
本発明の研磨液組成物は、高研磨速度の確保の観点から、好ましくは非球状シリカ粒子Aを含有する。
球形度=4π×S/L2
個々の粒子Aの球形度は、前記平均球形度と同様、0.60以上が好ましく、0.70以上がより好ましく、そして、同様の観点から、0.85以下が好ましく、0.80以下がより好ましく、0.75以下が更に好ましい。
平均一次粒子径(nm)=2727/S
本発明の研磨液組成物は、上述したように、長周期欠陥の低減と高研磨速度の確保の観点から、成分aとして、好ましくは、球状シリカ粒子Bを更に含有し、特に、粒子Aが沈降法シリカ粒子である場合、高研磨速度の確保の観点から、好ましくは、粒子Bを含有する。
本発明の研磨液組成物は、再分散性向上剤として水膨潤性の無機層状化合物を含有する。ここで、「水膨潤性」とは、第15改正日本薬局方に定められた試験方法を準用し、粘土鉱物2gの膨潤体積(cm3)で表される膨潤力が、20cm3/g以上であるものをいう。
本発明のシリカスラリーは、媒体として水を含有する。水としては、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等が挙げられる。シリカスラリー中の水の含有量は、シリカスラリーの取扱いが容易になる観点から、30質量%以上が好ましく、40質量%以上が好ましく、50質量%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下が更に好ましい。
本発明のシリカスラリーは、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。他の成分としては、pH調整剤、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、研磨速度向上剤、界面活性剤、高分子化合物等が挙げられる。前記その他の成分は、本発明の効果を損なわない範囲でシリカスラリー中に含有されることが好ましく、シリカスラリー中の前記その他の成分の含有量は、0質量%以上が好ましく、0質量%超がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、0.1質量%以上が更により好ましく、そして、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
本発明のシリカスラリーのpHは、シリカ粒子の再分散性向上の観点からアルカリ性であり、8.0以上12.0以下である。本発明のシリカスラリーの調製の際、必要に応じて、pH調整剤が用いられてもよい。pH調整剤としては、例えば、アルカリ化合物であり、例えば、アンモニア、及び水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機アルカリ化合物;アルキルアミン、及びアルカノールアミン等の有機アルカリ化合物;等が挙げられる。なかでも、シリカ粒子の再分散性向上の観点から、アンモニア、水酸化ナトリウム及びアルキルアミンから選ばれる少なくとも1種が好ましく、アンモニア及び水酸化ナトリウムから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
本発明のシリカスラリーは、突起欠陥の低減化の観点から、アルミナ粒子の含有量が、0.1質量%以下が好ましく、0.05質量%以下がより好ましく、0.02質量%以下が更に好ましく、アルミナ粒子を実質的に含まないことが更に好ましい。本発明において「アルミナ粒子を実質的に含まない」とは、アルミナ粒子を含まないこと、砥粒として機能する量のアルミナ粒子を含まないこと、又は、研磨結果に影響を与える量のアルミナ粒子を含まないこと、を含みうる。アルミナ粒子のシリカスラリー中の含有量は、シリカスラリー中の砥粒全量に対し、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましく、実質的に0質量%であることが更により好ましい。
本発明のシリカスラリーのpHは、シリカ粒子の再分散性向上の観点から、8.0以上であり、8.2以上が好ましく、8.5以上がより好ましく、9.0以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、12.0以下であり、11.0以下が好ましく、10.8以下がより好ましく、10.5以下が更に好ましく、10.0以下が更に好ましい。pHの調整は、前述のpH調整剤を用いて、調整することが好ましい。上記のpHは、25℃におけるシリカスラリーのpHであり、pHメータを用いて測定でき、好ましくは、pHメータの電極を研磨液組成物へ浸漬して30秒後の数値である。
本発明の研磨液組成物は、例えば、本発明のシリカスラリーと、酸と、更に所望により、酸化剤及びその他の成分とを公知の方法で配合し、pHを0.5以上6.0以下、好ましくは1.0以上2.0以下とすることにより製造できる。したがって、本発明は、少なくともシリカ粒子、再分散性向上剤、及び水を配合する工程を含む、研磨液組成物の製造に用いられるシリカスラリーの製造方法に関する。さらに、本発明は、少なくともシリカ粒子、再分散性向上剤及び水を配合する工程を含み、必要に応じて25℃におけるpHを0.5以上6.0以下、好ましくは1.0以上2.0以下に調整する工程を含む、研磨液組成物の製造方法に関する。
工程1:水と、酸と、任意で酸化剤及びその他の成分を混合し、pH6.0以下の酸性水溶液を調整する工程
工程2:前記酸性水溶液と、シリカスラリーとを、混合する工程
工程1において、得られる酸性水溶液のpHは、研磨液組成物のpHが所望の値となるように調整されることが好ましい。
本発明の研磨液組成物中のシリカ粒子の含有量は、高研磨速度の担保と長周期欠陥の低減の両立の観点から、0.5質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましく、そして、経済性の観点から、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、6質量%以下が更に好ましい。
本発明の研磨液組成物のpHは、高研磨速度の担保と長周期欠陥の低減の両立の観点から、0.5以上が好ましく、0.7以上がより好ましく、0.9以上が更に好ましく、1.0以上が更により好ましく、1.2以上が更により好ましく、1.4以上が更により好ましく、そして、同様の観点から、6.0以下が好ましく、4.0以下がより好ましく、3.0以下が更に好ましく、2.5以下が更により好ましく、2.0以下が更により好ましい。pHの調整は、前述の酸、必要に応じて酸化剤を用いて調整することが好ましい。上記のpHは、25℃における研磨液組成物のpHであり、測定方法は、シリカスラリーのpHの測定方法と同じである。
本発明の研磨液組成物は、高研磨速度の担保と長周期欠陥の低減の両立の観点、及びpHを調整する観点から、酸を含む。
本発明の研磨液組成物は、高研磨速度の担保と長周期欠陥の低減の両立の観点から、酸化剤を含有してもよい。酸化剤としては、例えば、同様の観点から、過酸化物、過マンガン酸又はその塩、クロム酸又はその塩、ペルオキソ酸又はその塩、酸素酸又はその塩等が挙げられる。これらの中でも、過酸化水素、硝酸鉄(III)、過酢酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、硫酸鉄(III)及び硫酸アンモニウム鉄(III)から選ばれる少なくとも1種が好ましく、研磨速度向上の観点、被研磨基板の表面に金属イオンが付着しない観点、及び入手容易性の観点から、過酸化水素がより好ましい。これらの酸化剤は、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の研磨液組成物は、媒体として水を含有する。水としては、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等が挙げられる。研磨液組成物中の水の含有量は、研磨液組成物の取扱いが容易になる観点から、61質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、85質量%以上が更により好ましく、そして、同様の観点から、99質量%以下が好ましく、98質量%以下がより好ましく、97質量%以下が更に好ましい。
本発明の研磨液組成物は、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。他の成分としては、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、研磨速度向上剤、界面活性剤、高分子化合物等が挙げられる。前記その他の成分は、本発明の効果を損なわない範囲で研磨液組成物中に含有されることが好ましく、研磨液組成物中の前記その他の成分の含有量は、0質量%以上が好ましく、0質量%超がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、そして、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
本発明の研磨液組成物の粘度は、高研磨速度の担保と長周期欠陥の低減の両立の観点から、20.0mPa・s以下が好ましく、10mPa・s以下がより好ましく、9.0mPa・s以下が更に好ましく、7.0mPa・s以下が更により好ましく、そして、同様の観点から、0.5mPa・s以上が好ましく、1.0mPa・s以上がより好ましく、2.0mPa・s以上が更に好ましく、3.0mPa・s以上が更により好ましい。上記粘度は、25℃における研磨液組成物の粘度であり、測定方法は、シリカスラリーの粘度の測定方法と同じである。
本発明の研磨液キットは、研磨液組成物を製造するためのキットであって、前記シリカ粒子を含むシリカスラリーが容器に収納された容器入りシリカスラリーを含む、研磨液キットに関する。本発明の研磨液キットは、前記容器入りシリカスラリーとは別の容器に収納されたpH6.0以下の酸性水溶液を更に含むことができる。本発明によれば、砥粒として粒径の大きいシリカ粒子を使用した場合でも、高研磨速度の担保と長周期欠陥の低減の両立が行える研磨液組成物が得られうる研磨液キットを提供できる。
本発明の研磨液組成物が研磨の対象とする被研磨基板は、磁気ディスク基板の製造に用いられる基板であり、例えば、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板や、珪酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、結晶化ガラス、強化ガラス等のガラス基板が挙げられ、強度と扱いやすさの観点からNi−Pメッキされたアルミニウム合金基板が好ましい。本発明において「Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板」とは、アルミニウム合金基材の表面を研削後、無電解Ni−Pメッキ処理したものをいう。被研磨基板の表面を本発明にかかる研磨液組成物を用いて研磨する工程の後、スパッタ等でその基板表面に磁性層を形成する工程を行うことにより、磁気ディスクを製造できうる。被研磨基板の形状には、例えば、ディスク状、プレート状、スラブ状、プリズム状等の平面部を有する形状や、レンズ等の曲面部を有する形状が挙げられ、好ましくはディスク状の被研磨基板である。ディスク状の被研磨基板の場合、その外径は、例えば10〜120mmであり、その厚みは、例えば0.5〜2mmである。
本発明は、本発明の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程(以下、「本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程」ともいう)を含む、磁気ディスク基板の製造方法(以下、「本発明の基板の製造方法」ともいう。)に関する。
本発明は、本発明の研磨液組成物を用いた研磨工程を含む、磁気ディスク基板の研磨方法(以下、本開示に係る研磨方法ともいう)に関する。
表1の砥粒(非球状シリカ粒子A、球状シリカ粒子B)、再分散性向上剤、及び水を用い、実施例1〜8及び比較例1のシリカスラリーを調製した。シリカスラリー中の各成分の含有量は、シリカ粒子は40質量%、再分散性向上剤は、表3に記載の量、残余は水である。実施例1〜8及び比較例1のシリカスラリーの25℃におけるpHは10である。粒子A及び粒子Bの詳細は、表1に記載の通りである。
[粗研磨に用いる研磨液組成物の調製]
酸(リン酸)と酸化剤(過酸化水素)と水とを混合して酸性水溶液(pH=1.4)を調整した。「1.シリカスラリーの調製」に記載の方法で調製されたシリカスラリーの調製後直ちに又は3カ月静置後に、実施例1〜8及び比較例1のシリカスラリーと、リン酸と過酸化水素と水とを含む酸性水溶液とを混合して、研磨液組成物1〜9を調製した。研磨液組成物1〜9中の各成分の含有量は、砥粒は5.0質量%、リン酸は1.5質量%、過酸化水素は0.8質量%、再分散性向上剤は表3に記載のとおりとした。残量は水である。研磨液組成物1〜9の25℃におけるpHは1.6である。
表2のコロイダルシリカ粒子(砥粒a)、硫酸、過酸化水素、及び水を用い、仕上げ研磨に用いる研磨液組成物Cを調製した。研磨液組成物C中の各成分の含有量は、コロイダルシリカ粒子:5.0質量%、硫酸:0.5質量%、過酸化水素:0.5質量%とした。研磨液組成物CのpHは1.4であった。この研磨液組成物Cを、後述の仕上げ研磨工程で使用した。砥粒aの詳細は、表2に記載のとおりである。
[シリカ粒子のBET比表面積の測定方法]
BET比表面積Sは、下記の[前処理]をした後、測定サンプル約0.1gを測定セルに小数点以下4桁(0.1mgの桁)まで精量し、比表面積の測定直前に110℃の雰囲気下で30分間乾燥した後、比表面積測定装置(島津製作所製 マイクロメリティック自動比表面積測定装置「フローソーブIII2305」)を用いてBET法により測定した。
[前処理]
スラリー状の粒子をシャーレにとり150℃の熱風乾燥機内で1時間乾燥させた。乾燥後の試料をメノウ乳鉢で細かく粉砕して測定サンプルを得た。
シリカ粒子のBET換算による平均一次粒子径は、上記BET比表面積S(m2/g)を用いて下記式から算出した。
平均一次粒子径(nm)=2727/S
(1)シリカ粒子A1,B1の平均二次粒子径の測定方法
シリカ粒子をイオン交換水で希釈し、シリカ粒子を1質量%含有する分散液を作製した。そして、該分散液を下記測定装置内に投入し、シリカ粒子の体積粒度分布を得た。得られた体積粒度分布の累積体積頻度が50%となる粒径(Z-average値)を二次粒子径とした。
測定機器 :マルバーン ゼータサイザー ナノ「Nano S」
測定条件 :サンプル量 1.5mL
:レーザー He−Ne、3.0mW、633n
:散乱光検出角 90°
水を分散媒として、下記測定装置内に投入し、続いて透過率が75〜95%になるようにサンプル(シリカ粒子A2)を投入し、その後、5分間超音波を付与した後、粒径を測定した。
測定機器 :堀場製作所製 レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置 LA920
循環強度 :4
超音波強度:4
シリカ粒子をTEM(日本電子社製「JEM−2000FX」、80kV、1〜5万倍)で観察した写真をパーソナルコンピュータにスキャナで画像データとして取込み、解析ソフト(三谷商事「WinROOF(Ver.3.6)」)を用いて500個のシリカ粒子の投影画像について下記の通り解析した。
個々のシリカ粒子の短径及び長径を求め、短径の平均値(平均短径)を得た。さらに、個々のシリカ粒子の面積Sと周囲長Lとから、下記式により個々のシリカ粒子の球形度を算出し、球形度の平均値(平均球形度)を得た。
球形度=4π×S/L2
砥粒aをイオン交換水で希釈して得られる1質量%分散液を、下記測定装置内に投入し、シリカ砥粒の体積粒度分布を得た。
測定機器 :マルバーン ゼータサイザー ナノ「Nano S」
測定条件 :サンプル量 1.5mL
:レーザー He―Ne、3.0mW、633nm
:散乱光検出角 173°
そして、得られた体積粒度分布の累積体積頻度が10%、50%及び90%となる粒径を、それぞれ、D10、D50(体積平均粒子径)、及びD90とした。
シリカ粒子のシリカスラリーにおける再分散性は、沈降率(%)で評価した。沈降率は、全固形分を100としたときの全固形分に対する沈降量(g)の割合である。調製後3か月静置したシリカスラリーを、振とう機(宮本理研工業社製「MW−YS」)にて30秒間、回転速度100rpmにて振とうし、上澄み液を除去した残余を沈降量とした。沈降率が小さいほど、シリカスラリーの再分散性が良好であることを意味する。
[評価基準]
A:沈降率0%以上1%未満
B:沈降率1%以上3%未満
C:沈降率3%以上
被研磨基板の研磨を下記工程(1)〜(3)に従い行った。各工程の条件を以下に示す。工程(3)は、工程(1)で使用した研磨機とは別個の研磨機で行った。
(1)粗研磨工程:研磨液組成物1〜9を用いて被研磨基板の研磨対象面を研磨する工程。
(2)洗浄工程:工程(1)で得られた基板を洗浄する工程。
(3)仕上げ研磨工程:研磨液組成物Cを用いて工程(2)で得られた基板の研磨対象面を研磨する工程。
被研磨基板は、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板を用いた。この被研磨基板は、厚み1.27mm、直径95mmであった。
研磨機:両面研磨機(9B型両面研磨機、スピードファム社製)
被研磨基板枚数:10枚
研磨液:研磨液組成物1〜9
研磨パッド:スエードタイプ(発泡層:ポリウレタンエラストマー)、厚み:1.0mm、平均気孔径:30μm、表面層の圧縮率:2.5%(Filwel社製)
定盤回転数:35rpm
研磨荷重:9.8kPa(設定値)
研磨液供給量:100mL/分(被研磨基板面1cm2あたり、0.076mL/min
に相当)
研磨時間:6分
工程(1)で得られた基板を、下記条件で洗浄した。
まず、0.1質量%のKOH水溶液からなるpH12のアルカリ性洗浄剤組成物の入った槽内に、工程(1)で得られた基板を5分間浸漬する。次に、浸漬後の基板を、イオン交換水で20秒間すすぎを行う。そして、すすぎ後の基板を洗浄ブラシがセットされたスクラブ洗浄ユニットに移送し洗浄する。
研磨機:両面研磨機(9B型両面研磨機、スピードファム社製)、工程(1)で使用した研磨機とは別個の研磨機
被研磨基板枚数:10枚
研磨液:研磨液組成物C
研磨パッド:スエードタイプ(発泡層:ポリウレタンエラストマー)、厚み:0.9mm、平均気孔径:5μm、表面層の圧縮率:10.2%(Fujibo社製)
定盤回転数:40rpm
研磨荷重:9.8kPa
研磨液供給量:100mL/分(被研磨基板面1cm2あたり、0.076mL/minに相当)
研磨時間:2分
工程(3)後に、洗浄を行った。洗浄条件は、前記工程(2)と同条件で行った。
[工程(1)の研磨速度の測定方法及び評価]
研磨前後の各基板1枚当たりの重さを計り(Sartorius社製、「BP−210S」)を用いて測定し、各基板の質量変化から質量減少量を求めた。全10枚の平均の質量減少量を研磨時間で割った値を研磨速度として下記式により算出し、その結果を、表3に示した。
質量減少量(g)={研磨前の質量(g)−研磨後の質量(g)}
研磨速度(mg/min)=質量減少量(mg)/研磨時間(min)
速度低下率(%)=100−3か月静置後の研磨速度÷製造直後の研磨速度×100
速度低下率:評価
−5%以上5%未満 :「A:研磨速度に優れ、更なる基板収率向上が期待できる」
5%以上10%未満 :「B:研磨速度が良好で、基板収率向上が期待できる」
10%以上 :「C:実生産には改良が必要」
工程(1)の研磨後の10枚の基板の両面(計20点)について、工程(2)を行った後、下記の条件で測定し長周期欠陥発生率(%)を求めた。基板表面に肉眼で確認できる小さな斑点がPEDであり、基板表面にそれが1点でも確認できた場合、その面は長周期欠陥有りとみなした。
長周期欠陥発生率(%)
=(長周期欠陥が発生している基板面の数/20)×100
長周期欠陥発生率を下記基準で5段階評価した。すなわち、値が大きいほど長周期欠陥の発生率が低いことを意味する。その結果を表3に示す。
長周期欠陥発生率:評価
10%以下 :「5:極めて発生が抑制され、基板収率向上が期待できる」
10%超20%以下:「4:実生産可能」
20%超30%以下:「3:実生産には改良が必要」
30%超50%以下:「2:基板収率が大幅に低下する」
50%超 :「1:実生産には程遠い(一般的なシリカ砥粒を用いた場合と同じレベル)」
[測定機器]
光干渉型表面形状測定機:「OptiFLAT III」(KLA Tencor社製)Radius Inside/Out:14.87mm/47.83mm
Center X/Y:55.44mm/53.38mm
Low Cutoff:2.5mm
Inner Mask:18.50mm
Outer Mask:45.5mm
Long Period:2.5mm
Wa Correction:0.9
Rn Correction:1.0
No Zernike Terms:8
研磨後の各基板の表面を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製:S−4000)にて1万倍で観察し、下記の3段階評価をした。
A:表面にアルミナ残留物が全く観察されないもの
B:表面にわずかにアルミナ残留物が観察されたもの
C:表面にアルミナ残留物が観察されたもの
各評価の結果を表3に示した。
Claims (14)
- 25℃におけるpHが0.5以上6.0以下の磁気ディスク基板用研磨液組成物の調製に使用されるシリカスラリーであって、
前記研磨液組成物は、アルミナ粒子を使用しない粗研磨工程に使用するための研磨液組成物であり、
シリカ粒子、再分散性向上剤、及び水を含み、
前記シリカ粒子の平均一次粒子径が80nm以上であり、
前記シリカ粒子の平均二次粒子径が130nm以上580nm以下であり、
再分散性向上剤が、水膨潤性の無機層状化合物であり、
25℃におけるpHが8.0以上12.0以下である、シリカスラリー。 - 前記水膨潤性の無機層状化合物が、ベントナイト、ヘクトライト、及びサポナイトから選ばれる1種以上である、請求項1に記載のシリカスラリー。
- 前記シリカ粒子が、非球状シリカ粒子を含む、請求項1又は2に記載のシリカスラリー。
- 前記非球状シリカ粒子の平均球形度が、0.85以下である、請求項3に記載のシリカスラリー。
- 前記シリカ粒子が、更に、球状シリカ粒子を含む、請求項3又は4に記載のシリカスラリー。
- 前記非球状シリカ粒子と前記球状シリカ粒子との質量比(A/B)が、10/90以上99/1以下である、請求項5に記載のシリカスラリー。
- アルミナ粒子の含有量が、0質量%以上0.1質量%以下である、請求項1から6のいずれかの項に記載のシリカスラリー。
- 請求項1から7のいずれかの項に記載のシリカスラリー(第1液)と、前記シリカスラリーとは別の容器内に収容された酸性水溶液(第2液)とを含み、前記第1液と前記第2液とを混合したときの25℃におけるpHが0.5以上6.0以下である、磁気ディスク基板用研磨液組成物を製造できる、研磨液キット。
- 請求項1から7のいずれかの項に記載のシリカスラリーと酸とを混合して、25℃におけるpHを0.5以上6.0以下とする工程を含む、磁気ディスク基板用研磨液組成物の製造方法。
- 請求項1から7のいずれかの項に記載のシリカスラリーを用いて調製された磁気ディスク基板用研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法。
- 前記被研磨基板が、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板である、請求項10に記載の磁気ディスク基板の製造方法。
- 請求項1から7のいずれかの項に記載のシリカスラリーを用いて調製された磁気ディスク基板用研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含み、
前記被研磨基板は、磁気ディスク基板の製造に用いられる基板である、基板の研磨方法。 - 25℃におけるpHが0.5以上6.0以下である磁気ディスク基板用研磨液組成物の調製に使用するためのシリカスラリーの保存後の再分散性を向上する方法であって、
前記研磨液組成物は、アルミナ粒子を使用しない粗研磨工程に使用するための研磨液組成物であり、
シリカ粒子、再分散性向上剤、及び水を含むシリカスラリーを調製することを含み、
前記シリカ粒子の平均一次粒子径が80nm以上であり、
前記シリカ粒子の平均二次粒子径が130nm以上580nm以下であり、
再分散性向上剤が、水膨潤性の無機層状化合物であり、
25℃におけるpHが8.0以上12.0以下である、シリカスラリーの保存後の再分散性を向上する方法。 - 25℃におけるpHが0.5以上6.0以下である磁気ディスク基板用研磨液組成物の調製に使用するためのシリカスラリーの製造方法であって、
前記研磨液組成物は、アルミナ粒子を使用しない粗研磨工程に使用するための研磨液組成物であり、
シリカ粒子、再分散性向上剤、及び水を配合することを含み、
前記シリカ粒子の平均一次粒子径が80nm以上であり、
前記シリカ粒子の平均二次粒子径が130nm以上580nm以下であり、
再分散性向上剤が、水膨潤性の無機層状化合物であり、
25℃におけるpHが8.0以上12.0以下である、保存後の再分散性が向上したシリカスラリーの製造方法。
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